JP2003159812A - 液体噴射記録ヘッド - Google Patents

液体噴射記録ヘッド

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JP2003159812A
JP2003159812A JP2001364313A JP2001364313A JP2003159812A JP 2003159812 A JP2003159812 A JP 2003159812A JP 2001364313 A JP2001364313 A JP 2001364313A JP 2001364313 A JP2001364313 A JP 2001364313A JP 2003159812 A JP2003159812 A JP 2003159812A
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JP2001364313A
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Yukuo Yamaguchi
裕久雄 山口
Mikiya Umeyama
幹也 梅山
Hiroshi Koizumi
寛 小泉
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1.針刺しによってインク供給が成されるゴ
ム栓の容器本体における安価で確実な保持方法。 2.針の脱着によってゴム栓表面に付着したインクに触
れないように保護する(ゴム栓が容器側面に配設される
場合に有効)。 【解決手段】 予め亀裂穴が開けられたゴム栓を容器円
筒部に圧入した後、容器円筒部より延長されたスリーブ
がゴム栓の外周を覆う(スウェージング)ように溶融加
圧して変形させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吐出口から液滴を吐
出して記録媒体に対して記録を行う液体噴射記録ヘッド
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の液体噴射記録装置では、記録媒体
の搬送方向に対してほぼ直交する方向に往復移動される
キャリッジが備えられており、液体噴射記録ヘッドはこ
のキャリッジに搭載される。
【0003】液体噴射記録ヘッドは主に吐出口から液体
を吐出して記録媒体に記録を行う液体噴射記録ヘッド
と、その液体噴射記録ヘッドに供給する液体が収容され
る液体貯蔵室とから構成される。一般的なタイプの液体
噴射記録ヘッドの1つに、液体貯蔵部を一体的に備えた
交換可能な液体噴射記録ヘッドが挙げられる。
【0004】このような液体噴射記録ヘッドは再充填を
目的としたものではなく、液体の当初の供給量を使い切
ると、液体噴射記録ヘッドは処分され、新しい液体噴射
記録ヘッドが走査キャリッジ上に搭載される。つまり液
体噴射記録ヘッドを頻繁に交換すような場合には、運用
コストが比較的高いものとなる。
【0005】これに対して、運用コストの低減を図るた
めに液体噴射記録ヘッドから液体貯蔵部を分離して液体
の使いきりの際に液体貯蔵部を根幹するようにしたもの
と、液体噴射記録ヘッドの外部に配設された外部液体貯
蔵室より液体噴射記録ヘッドに向けて液体供給されるも
のがある。
【0006】これらを分類すると、液体補充形態によっ
て、1.液体噴射記録ヘッド内部に液体貯蔵室を収容す
る形態、2.液体噴射記録ヘッド上に交換式液体貯蔵室
を搭載する形態、3.管部材等の連結によって遠隔の液
体貯蔵室から液体噴射記録ヘッド内へ液体供給する形態
等に分類される。
【0007】ただし、何れの形態であっても、通常、液
体噴射記録ヘッドから液体が漏れないようにするため、
液体噴射記録ヘッド内部は大気圧以下または負圧に維持
されている。
【0008】以下に上記した各液体補充形態における負
圧発生手段の特徴を記述する。
【0009】液体貯蔵室が収容された液体噴射記録ヘッ
ドの場合は、一般的に液体貯蔵室内の負圧を維持するた
めに負圧発生手段が液体貯蔵室内部に配設される。そし
て、採用される負圧発生手段としては液体吸収方式や機
械的方式等が挙げられる。
【0010】液体吸収方式は、ポリウレタンフォームの
ような多孔質液体吸収部材の毛細管力を活用することに
よって負圧を維持すると液体保持を形成する構成であ
る。
【0011】一方、機械的方式は、例えば弾性体などの
反発力を利用して、可撓性壁を収縮させることにより液
体貯蔵室内部の負圧を維持する構成である。
【0012】次に、交換式液体貯蔵室搭載の液体噴射記
録ヘッドについて説明する。交換式液体貯蔵室を搭載す
る液体噴射記録ヘッドの負圧発生手段は一般に液体吸収
方式が採用される。すなわち、多孔質液体吸収部材等の
液体保持力によって、液体貯蔵室の接続口から内部の液
体が落下するのを阻止している。
【0013】次に、外部液体貯蔵室より液体供給される
液体噴射記録ヘッドについて説明する。この形態の負圧
発生手段は液体吸収方式または機械的方式等の負圧発生
手段を採用する形態と、外部液体貯蔵室の水位が液体噴
射記録ヘッドの吐出口面よりも低い位置に配置すること
による両者の水頭差によって、液体噴射記録ヘッド内の
負圧を維持させる形態がある。
【0014】以上に説明した何れかの形態によって記録
液が供給される液体噴射記録ヘッドの液滴吐出形態は、
電気熱変換体等によって発生される熱エネルギーを利用
して微小液滴を吐出させるものや、一対の電極を設けて
液滴を偏向して吐出させるもの等が知られている。これ
らの中でも、熱エネルギーを利用して液滴を吐出する液
体噴射記録ヘッドは、記録用の液滴を吐出して飛翔用液
滴を形成するための液体吐出部(吐出口)を高密度に配
列することができるために、高解像度の記録が可能であ
るほか、全体的にコンパクト化も容易である等の利点が
あり、すでに実用化されている。
【0015】熱エネルギーを利用して記録液を吐出させ
る液体噴射記録ヘッドは、液体を吐出する吐出口(オリ
フィス)、吐出口に連通した液流路およびこの液流路に
対応して配置された電気熱変換素子等の複数の吐出エネ
ルギー(例えば、液体に膜沸騰を生じせしめるための熱
エネルギー)を付与することによって、吐出口から液体
を液滴として吐出させ、印字記録を行うように構成され
ている。
【0016】ここで、上記に説明した液体噴射記録ヘッ
ドの一般的な構成を図12に基づいて説明する。
【0017】液体を吐出するためのエネルギー発生体で
ある発熱素子(ヒーター)1106を備えた素子基板1
107はアルミニウム、セラミックス等の支持体111
0上にダイボンディングされている。
【0018】一方、支持体1110上には素子基板11
07の他に記録装置とのコンタクトを行うための配線基
板1108が接着されており、素子基板1107と配線
基板1108とはワイヤーボンディングまたはリードボ
ンディング等によって電気的に接続されている。
【0019】なお、前記素子基板1107上には発熱素
子の他に駆動用シフトレジスター及び配線パターンが設
けられており、これらは発熱素子とともにシリコン形成
技術によりあらかじめ素子基板1107に作り込まれて
いる。
【0020】また、配線基板1108には液体噴射記録
装置とのコンタクトを行なうコンタクトパッド(不図
示)が形成されている。
【0021】1100は、液滴を吐出するための微細な
吐出口群1102を有するオリフィスプレート1101
と、液流路1103となる凹部、液室1104とが射出
成形等によって樹脂で一体に形成された天板である。
【0022】天板1100は前記素子基板1107に不
図示であるバネ等の押圧手段あるいは接着剤等の接合手
段によって固定され、前記液流路1103および液室1
104は間仕切りされる。
【0023】なお、天板1100は上記したように樹脂
で一体成形されるような形態に限られるものではなく、
オリフィスプレート1101が天板1100より分離形
成し、両者が接合されるような形態もある。
【0024】後者は素子基板1107と天板1100と
の圧接によって形成された液流路1103に対し、オリ
フィスプレート1101上の吐出口群1102をアライ
メントして接合する方式であり、耐久性が必要とされる
オリフィスプレート1101の材質が任意に選択できる
利点を有する。
【0025】他方、前者は吐出口群1102と液流路1
103が連通して部材形成されるため、天板1100と
素子基板1107との簡単な機械的圧接によって液流路
1103が形成されるため、生産性が優れている構成で
ある。
【0026】後者のような形態の場合、天板1100は
シリコン、セラミックス、樹脂等で形成され、一方、オ
リフィスプレート1101はシリコン、樹脂、SUS、
Ni、セラミックス等の材料を用いて、レーザ加工、電
鋳、成形、異方性エッチング、プレス加工等の超精密加
工によって形成される。
【0027】さらに、別形態の液体噴射記録ヘッドとし
ては記録液吐出方向にオリフィスプレート、素子基板、
液流路などを積層する構成のものがある。
【0028】上記に説明したような液体噴射記録ヘッド
を用いたインクジェット記録装置は、主としてワードプ
ロセッサやパーソナルコンピュータに接続されてカラー
プリンタとして使用さてるほか、ファクシミリや複写機
のエンジンとしても使用される。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】近年、インクジェット
記録装置は様々な分野の装置に展開され急速に普及して
きている上に、装置の記録容量が増大し、記録液体の消
費が増えている。これに伴い液体貯蔵容量の大きなイン
クジェット記録装置の需要が急速に増している。
【0030】しかしながら、上記したような液体貯蔵室
を一体的に収容した液体噴射記録ヘッドや交換式液体貯
蔵室搭載の液体噴射記録ヘッドでは、液体貯蔵量が制限
されてしまい、液体が大量に消費されるような場合に
は、液体貯蔵室や液体噴射記録ヘッドを頻繁に交換する
ことになり、オペレータの操作が煩わしくなる上、消耗
品の消費コストを増大させる欠点となっていた。
【0031】これに対して、液体貯蔵容量を増やすと、
液体噴射記録ヘッドの重量が大きくなり、キャリッジ走
査によって生じる慣性力が大きくなり、キャリッジの安
定走査が損なわれて、印字品位を悪化させることにな
る。
【0032】また、キャリッジ上に搭載される液体貯蔵
室が大きくなると、液体噴射記録装置全体が大型化して
しまう欠点もある。
【0033】一方、外部液体貯蔵室より液体供給される
液体噴射記録ヘッド形態では、外部液体貯蔵室の設置位
置に自由度を有することから装置全体を大型化すること
なく外部液体貯蔵室を大容量化することができる利点を
有している。
【0034】さらに、液体噴射記録ヘッドの吐出口面と
外部液体貯蔵室の液面水位との水頭差によって、液体噴
射記録ヘッド内部の負圧を維持させる形態は液体吸収方
式や機械的方式などの負圧発生手段を設けるような形態
と異なり、非常に簡単な構成であることから、装置全体
が安価な構成となる。
【0035】ところが、上記したような水頭差によっ
て、液体噴射記録ヘッド内の負圧が維持されるような液
体噴射記録ヘッド形態の場合には以下のような課題があ
った。
【0036】一般に、外部液体貯蔵室と液体噴射記録ヘ
ッドは管部材によって接続されており、液体噴射記録ヘ
ッドにはゴム等の弾性体によって形成される栓部材が配
設される。
【0037】通常、液体噴射記録ヘッドがキャリッジに
搭載されると、外部液体貯蔵室と連結された針状体が栓
部材に挿通されることによって、外部液体貯蔵室と液体
噴射記録ヘッドが導通状態となる。
【0038】このように、外部液体貯蔵室と液体噴射記
録ヘッドとが導通されている状態では、空気やインクな
どのリークが生じることのないように、針状体と栓部材
との間は完全に密閉されていなければならない。
【0039】一方、針状体が引き抜かれた際は、栓部材
が密閉されて液体噴射記録ヘッド内部のインクが栓部材
から漏洩しないようにしなければならない。
【0040】そこで、栓部材は上記性能を満足させるた
め、一般的には、低硬度のゴム材料が選定されている。
【0041】針状体の挿入時、針状体先端が栓部材に当
接押圧されると、栓部材が伸びて針状体の押圧部周辺は
陥没変形を起こすことになる。この状態から針状体がさ
らに押し込まれると針状体は栓部材の亀裂部より対向側
に突き抜け液体噴射記録ヘッド内に導通される。
【0042】ところが、栓部材が低硬度の材質である
と、栓部材の伸びが大きくなって針状体が導通されるま
でに進入されるストロークが大きくなるとともに、針状
体の挿入時に針状体表面と栓部材との間で生じる摩擦力
が大きくなるため、針状体の挿入荷重が大きくなるとい
った欠点があった。
【0043】また、針状体挿入の際、栓部材の摩擦係数
と針状体外周に作用する圧縮力とによって、栓部材と針
状体との間の摩擦力は非常に大きくなるため、針状体先
端が突き抜けると栓部材の亀裂部は針状体の外周面に張
り付き、以後針状体の進入とともに栓部材の陥没変形量
は拡大される。つまり、針状体の挿通状態では、栓部材
は陥没変形状態を維持してしまうようになる。
【0044】一方、先端形状が鋭利な針状体を栓部材に
差し込んで、外部液体貯蔵室と液体噴射記録ヘッドを導
通させるような構成の場合には、オペラータが針状体の
先端部に触れないような保護手段を設ける必要がある。
【0045】また、このように鋭利な針状体先端が栓部
材を突き破りながら挿入するような形態の場合、初期の
針状体の挿入荷重が非常に大きくなるばかりでなく、栓
部材に開けられる穴の亀裂範囲が十分に大きくなるまで
針状体の挿入負荷は大きくなる。その上、針状体の脱着
によって形成される亀裂穴は針状体挿入時常時同一領域
に形成されるとは限らないため、針状体の脱着の繰り返
しによって亀裂穴は所望の大きさよりも大きくなる恐れ
があり、これによって栓部材の閉塞性の低下を招く恐れ
がある。
【0046】さらに、針状体が栓部材に対して挿入引抜
を繰り返して使用するような場合、栓部材が圧入部から
徐々に抜き出てくる可能性がある。
【0047】また、針状体の外周に付着して液体噴射記
録ヘッド内部より引き出された記録液が栓部材の表面に
移動付着すると、オペレータが液体噴射記録ヘッドの交
換作業の際に、栓部材表面に付着した記録液に触れて手
を汚してしまう恐れがある。
【0048】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、液体噴射記録ヘッドを以下のように構成し
たことを特徴とするものである。
【0049】(1)液滴を吐出する複数の吐出口が配列
された吐出口群と、該吐出口の上流側に連通する液流路
と、該液流路部の記録液を吐出口から噴射するために利
用されるエネルギーを発生させるエネルギー発生手段
と、該液流路部の上流にあって該液流路部に記録液を供
給する第1共通液室と、該第1共通液室に記録液を供給
する液供給通路と、該液供給通路の上流にあって該液供
給通路に供給される記録液を収容する第2共通液室と、
前記第2共通液室を形成する枠体と、該液供給通路と該
第2共通液室との間に設けられた多孔質部材とを有する
液体噴射記録ヘッドにおいて、前記枠体には前記第2共
通液室の記録液供給口となる孔部を有するハウジング部
と、該ハウジング部の外周部または外周近傍にスリーブ
突起を形成し、該ハウジング部に挿入されて前記第2共
通液室へ記録液を供給するためのジョイントとなる弾性
体の栓部材を設けて、該栓部材を該ハウジング部内へ挿
入した後に、該スリーブ突起を溶融して該栓部材の外周
部を覆うようにしたことを特徴とする液体噴射記録ヘッ
ドである。
【0050】(2)該栓部材の外形は該ハウジング部の
外形よりも大きく、該栓部材が該ハウジング部に圧入さ
れるようにしたことを特徴とする(1)項に記載された
液体噴射記録ヘッドである。
【0051】(3)前記栓部材には予め亀裂穴が形成さ
れ、該栓部材が該ハウジング部に圧入される前に形成さ
れることを特徴とする(1)項乃(2)至に記載された
液体収容容器または液体噴射記録ヘッドである。
【0052】(4)前記栓部材に形成される亀裂穴はY
字状スリット形状であることを特徴とする(3)項に記
載された液体噴射記録ヘッドである。
【0053】(5)前記栓部材は液体噴射記録ヘッドの
側面に配設されていることを特徴とする(1)項乃至
(4)項に記載された液体収容容器または液体噴射記録
ヘッドである。
【0054】
【作用】本発明によれば、液体噴射記録装置に配設され
る針状体が液体噴射記録ヘッドの栓部材を挿通すること
によって、外部液体貯蔵室から液体噴射記録ヘッドへイ
ンク供給が成される形態の液体噴射記録ヘッドのおい
て、栓部材の針状体挿通部に予め亀裂穴を形成すること
により、針状体が栓部材に当接押圧されると、それまで
閉塞状態にあった栓部材の亀裂穴が陥没して行くため、
針状体先端は栓部材を通過して内部に誘導されるように
なる。そして、針状体が引き抜かれた際には速やかに弾
性回復によって所定の位置に復帰する。
【0055】一方、栓部材はその外径よりも小さなハウ
ジング部に圧入さていることから、栓部材の弾性反発力
によって、亀裂穴部分は密着するため、針状体非挿入時
においては、栓部材は閉塞状態を維持することになる。
【0056】よって、液体噴射記録カートリッジ交換時
に針状体が引き抜かれても、亀裂穴より液体および空気
が漏れてしまうようなことはない。
【0057】また、針状体挿通状態では、針状体に向け
て、栓部材の圧縮力によってグリップ力が加わるため、
挿通部における液体および空気のリークは阻止できる。
【0058】また、スリーブ突起の溶融変形工程によっ
て栓部材の外周領域はスリーブ突起に覆われてストッパ
ーの役目を担うため、針状体の挿入引抜が繰り返されて
も、栓部材がハウジング部から抜け出るようなことはな
い。
【0059】また、スリーブ突起は枠体上に一体形成さ
れているので、栓部材の抜け防止用に専用部材を設ける
ような形態と異なり、安価である上、極めてスペース効
率の良い構成である。
【0060】さらに、針状体の引抜時に記録液が栓部材
の表面に付着しても、スリーブ突起が栓部材の表面を保
護するため、オペレータが栓部材の表面に直接手を触れ
てしまうことはなく、オペレータの手を汚すことを回避
させることができる。その上、栓部材の表面に付着した
記録液は記録液の表面張力によって栓部材の表面とスリ
ーブ突起内面との隙間に流れ込んで行くため、栓部材の
表面に付着した記録液は栓部材の外周部に移動退避する
ようになり、記録液が針状体の挿入口に停滞するような
ことは無い。
【0061】そして特に、栓部材が液体噴射記録ヘッド
の側面に配設されるような構成では、栓部材の中央に付
着した記録液は栓部材の外周下方へ直ちに流れて行くた
め、オペレータがヘッド脱着操作の際に記録液に触れる
ことはなく、オペレータの操作性を格段に向上させるこ
とができる。
【0062】
【発明の実施の形態】図1乃至図11は本発明の液体噴
射記録ヘッドの構成を示す図で、図1は液体噴射記録ヘ
ッドの液滴吐出部の一例を示す概略斜視図、図2は液体
噴射記録ヘッドの液滴吐出部の部分断面斜視図、図3は
液体噴射記録ヘッドの外観斜視図、図4(a)(b)は
液体噴射記録ヘッドの栓部材周辺の構成を示す部分断面
図、図5は本発明に適用できる栓部材の外観斜視図、図
6乃至図7は液体噴射記録ヘッドのスリーブ構成を示す
外観斜視図、図8(a)(b)は液体噴射記録ヘッドへ
の針状体脱着動作を示す部分断面図、図9は液体噴射記
録ヘッドの記録液供給経路を示す断面図、図10は液体
噴射記録ヘッドの部分断面斜視図、図11は液体噴射記
録ヘッドの構造を説明するための分解斜視図である。
【0063】以下に、本発明の実施例を図1乃至図11
に基づいて説明する。
【0064】本発明形態の液体噴射記録ヘッド100
は、液滴を吐出する吐出口(ノズル)が列を成して形成
されたノズル列からプリント信号に従って液滴を吐出す
る液滴吐出部と、液体噴射記録装置本体との間を伝送さ
れるプリント信号の受け渡しをする電気配線がなされる
フレキシブルケーブルやTAB等のシート配線部材とを
有する液体噴射吐出ユニット(以下ヘッドチップと称
す)15と、ヘッドチップに供給される記録液等を収容
する記録液貯蔵室(第2共通液室)を有するとともにヘ
ッドチップを保持するための筐体となる枠体ユニット
(以下枠体と称す)16から構成される。
【0065】まず、ヘッドチップ15の構成の一例につ
いて説明する。
【0066】図1乃至図2において、1は記録液を吐出
するためのエネルギー発生体である電気熱変換体(吐出
ヒータ1a)と、吐出ヒータ1aへ電力を供給する配線
とがシリコン成膜プロセスによりシリコン基板上に形成
されて成るヒータボード、2はヒータボード1に対する
配線と、液体噴射記録装置本体に対する電気的コンタク
トとを行うための配線基板で、ガラエポ基板に銅やニッ
ケルにて配線パターンを形成したPWB基板やフレキシ
ブルフィルム等に配線パターンを形成したTAB、FP
C等が用いられる。
【0067】ヒータボード1と配線基板2とは、例えば
ワイヤーボンディングやリードボンディング等によって
電気的に接続される。
【0068】3はアルミニウム、セラミックス等によっ
て形成され、ヒータボード1を支持する基台としての支
持基板であり(以下ベースプレートと称す)、ベースプ
レート3は吐出駆動に伴って生じるヒータボード1の熱
を放熱冷却するヒートシンクとしても機能する。3dは
ヒータボード1を載置接合する面に配設される溝で、溝
3dはヒータボード1の長手方向に沿って形成される。
【0069】ベースプレート3はヒータボード1上に蓄
積される熱を効率良く放熱させるために、熱伝導性の良
好な接着剤によって接合されており、例えば、エポキシ
樹脂に銀粉末が含有された銀ペースト等が用いられ、ヒ
ータボード1は、銀ペーストによってベースプレート3
上にダイボンディングされる。
【0070】銀ペーストはベースプレート3上の溝3d
内部へ溝3dに沿って注入されるため、塗布領域が制限
し易くなる上に、銀ペーストがベースプレート3とヒー
タボード1の接合面からはみ出すのを防止することがで
きるようになり、銀ペーストの無駄な消費を抑えること
ができる。
【0071】また、一般に銀ペーストはエポキシ系の接
着剤から成ることから、加熱によって接着剤を反応硬化
させる必要がある。エポキシ接着剤は加熱の際一時的に
低粘度化するため、この低粘度化によって流動性が増し
て、溝3d内部に完全に充填されることになる。
【0072】したがって、溝3dはヒータボード1が載
置される領域内に制限して配設されることが好ましい
が、溝3dがベースプレート3の両端部まで延長されて
いれば、銀ペーストが所望量よりも多く塗布されたよう
な場合には、余分な銀ペーストは溝に沿って長手方向に
流れ出すことになり、銀ペーストの前面流出を阻止する
ことができる。
【0073】また、ベースプレート3上には配線基板2
が接合されており、配線基板2はヒータボード1の後方
に載置されて、粘着剤等によって接着される。
【0074】5は液流路上面を形成する天板で、7は液
流路をそれぞれ区分けするための隔壁等によって形成さ
れるノズルとしての液流路溝、8は各液流路へ送給する
記録液を収納するための第1共通液室、9は不図示の記
録液貯蔵タンクから第2共通液室を経て供給される記録
液を第1共通液室8へ導く受け口となる記録液供給口9
である。
【0075】天板5はシリコン、窒化シリコン、ガラ
ス、セラミックス等の材料を用いて、異方性エッチング
や成形等によって形成される。
【0076】液流路溝7は吐出ヒータ群1aの配列と合
致するようにヒータボード1上に配設されており、エポ
キシ等の感光性樹脂層をヒータボード1上面に積層した
後に、エッチング等のようなフォトリソ工程を経て、隔
壁としての溝が形成される。
【0077】そして、次工程における天板5とヒータボ
ード1との接合(天板接合)よって、液流路溝7が天板
5とヒータボード1に挟持されると、液流路溝7の天面
が天板5によって塞がれるため、液流路としてのノズル
7が形成されることになる。天板接合は一般的に耐記録
液特性の良好な接着剤によって接合される。
【0078】なお、天板接合は、上記したようなダイボ
ンディング工程後に実施される形態に限られるものでは
なく、天板接合工程の後に、ヒータボード1とベースプ
レート3とを接合するダイボンディングが行われる形態
もある。本実施例では、説明の便宜上、ダイボンディン
グ工程後に天板接合が行われる形態を採用して説明を行
う。
【0079】また、液流路溝7は、ヒータボード1上に
形成される形態に限られるものではなく、天板5下面に
感光性樹脂で形成するような形態にしても良い。
【0080】いずれにしても、液流路7がヒータボード
1上面に設けられる形態では、液流路溝群7と吐出ヒー
タ群1aは半導体成膜技術によって両者の相対位置は高
精度に配設されるようになる。
【0081】一方、液流路溝群7が天板5下面に設けら
れる形態では、液流路群7と吐出ヒータ群1aはメカニ
カルなアライメント処理によって両者の相対位置が高精
度に配設されるようになる。
【0082】6はオリフィスプレートで、オリフィスプ
レート6は記録液を被記録媒体へ吐出するための吐出口
群6aを所望の数量だけ有しており、オリフィスプレー
ト6はSUS、Ni、Cr、Al等の金属プレート、ポ
リイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、
ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリプロピレン等の樹脂成形品や樹脂フィルム材
等、さらにはシリコン、セラミックス等によって形成さ
れる。
【0083】また、10はヒータボード1と天板5とを
密着させるための押えバネで、押えバネ10が天板5上
面短手方向のほぼ中央の位置を押圧する。すなわち、押
えバネ10の両端部に設けた略コ字状の折曲部10a
(対向面は不図示)を、ベースプレート3に設けた切欠
き3aに挿入させ、その爪部10bをベースプレート3
の下面に掛上する。これにより、押えバネ10の押圧発
生部10cが天板5の上面を押圧するため、天板5とヒ
ータボード1は押えバネ10とベースプレート3とによ
って挟持されることになる。
【0084】すなわち、ヒータボード1とベースプレー
ト3は両者の接合方向において、押えバネ10の設定荷
重を受けるようになり、両者の接合は接着剤の結合力に
押えバネ10の物理的荷重を加えた力となる。
【0085】なお、上記したような押えバネ10による
物理的荷重を加えないような構成もあり、そのような構
成の場合は、ヒータボード1とベースプレート3との接
合は接着剤の結合力によってのみ決定される。
【0086】11は液体噴射記録ヘッド100の上流位
置に配設される第2共通液室等から記録液供給口9へ記
録液を導くための記録液通路11aが形成されるチップ
タンクであり、11は液体噴射記録ヘッド100の上流
位置に配設される第2共通液室等から記録液供給口9へ
記録液を導くための記録液通路11aが形成されるチッ
プタンクである。
【0087】チップタンク11には前面プレート部11
bが設けられており、前面プレート部11bはオリフィ
スプレート6における吐出口6aの外側部分の領域を接
合保持する役割と、記録装置本体に配設される不図示キ
ャップ部材からキャッピング動作時に加えられる脱着力
や押圧力に対してオリフィスプレート6が十分に耐え得
るようにオリフィスプレート6を支持する役割を担って
いる。
【0088】オリフィスプレート6はヒータボード1の
前端面1bと天板5の前端面5bに例えばエポキシ系の
接着剤によって接合される。図2はオリフィスプレート
6接合前の状態を示し、図1はオリフィスプレート6接
合後の状態を示す。
【0089】12はチップタンク11と第2共通液室
(後述する)21との境界に配設され、記録液の不純物
をトラップする微細穴を有する多孔質部材である。
【0090】本実施例では、多孔質部材12はチプタン
ク11に溶着によって接合されている。そのため、チッ
プタンク11と多孔質部材12との接合部から液体噴射
記録ヘッド100内部に気体が侵入することはない。
【0091】チップタンク11と天板5とは図7に示す
ように、チップタンク11の記録液供給路11aが天板
5の記録液供給口9に連通した状態で接合されている。
チップタンク11と天板5との接合は、接合面同士を互
いに圧着させることにより行い、補完的に接合面の周囲
が充填剤(不図示)で密封されている。
【0092】次に、枠体16の構成の一例について説明
する。
【0093】図3乃至図8において、枠体16は液体噴
射記録ヘッド100の筐体の役割を担うものである。ま
た、枠体16の内部には所望量の記録液が収容できると
ともに収容された記録液を一時もしくは使い切るまで保
管するための第2共通液室21が設けられており(図4
参照)、第2共通液室21に貯蔵された記録液はヘッド
チップ15へ供給され、チップタンク11の記録液供給
路11a、天板5の第1共通液室8を介してノズル部へ
供給される。
【0094】液体噴射記録ヘッド100の上方に配設さ
れる把手22は液体噴射記録ヘッド100を液体噴射記
録装置本体のキャリッジ(不図示)に脱着する際の手掛
かりとなる。
【0095】23は第2共通液室21への記録液供給口
となるジョイントゴムで、図5に示すようにジョイント
ゴム23の中央にはY字スリット状の亀裂穴23bが設
けられている。このジョイントゴム23はジョイントゴ
ム23の外径寸法よりも小さい内径寸法で形成される枠
体16の円筒穴部16aに圧入される。また、ジョイン
トゴム23の圧入方向先端部23cは円筒穴部16aへ
の挿入性を良好にするためテーパ形状となっている。
【0096】17は円筒穴部16aから外側へ向けて延
長形成されるスリーブ、18はスリーブ17を溶融変形
させるために高温度に加熱された加熱棒で、ジョイント
ゴム23が円筒穴部16aへ圧入された後、加熱棒18
がスリーブ17を溶融加圧することにより、スリーブ1
7の外周面17aがスリーブ17中心へ向けて倒される
ため、スリーブ17がジョイントゴム23の表面23a
へ覆い被さるようになる。すなわち、スリーブ17がジ
ョイントゴム23に対してスウェージングすることにな
る。なお、図4(a)および図6はスリーブ17が溶融
変形される前の状態を示す図で、図4(b)および図7
はスリーブ17が溶融変形された後の状態を示す図であ
る。
【0097】このスウェージングによってスリーブ17
の内壁17bとジョイントゴム23の表面23aは近接
するようになるため、液体噴射記録装置本体の記録液供
給用ニードル51の抜き差しによって、記録液がジョイ
ントゴム23の表面23aに付着しても、記録液は自身
の表面張力によってスリーブ内壁17bとジョイントゴ
ム表面23aとの間に形成された隙間に流れ込んでい
く。
【0098】また、その上、ジョイントゴム表面23a
はスリーブ17に覆われため、オペレータが液体噴射記
録ヘッドの交換操作の際にジョイントゴム表面23aに
付着した記録液に触れることはない。
【0099】なお、上記のようにY字スリット状亀裂穴
23bはジョイントゴム23の外周部から圧縮荷重を受
けるため、液体噴射記録装置本体の記録液供給用ニード
ル51の非挿入時(図8(b)参照)には第2共通液室
21内部を密閉状態に保つことができる。
【0100】一方、図8(a)に示すように、ニードル
51が挿入された際は、ニードル51に対してグリップ
力(外周からの圧縮力)が作用するので、ニードル51
の中空部を除いてはジョイント部を完全にシールするこ
とができる。
【0101】このように、ジョイントゴム23にY字ス
リット状の亀裂穴23bを形成することによって、ニー
ドル51の挿通時および引抜時にY字スリット状亀裂穴
23bは3方向に分離変形し、ジョイントゴム23の外
周方向に退避するようになるため、鋭利なニードル51
を挿入してゴムを裂きつつ挿入する構成に比べて、ニー
ドル51の摺動負荷は格段に小さくなり、液体噴射記録
ヘッド交換時の操作性が良好となる。
【0102】また、ニードル51中心がジョイントゴム
23d中心に対して偏心して挿入されたとしても、ニー
ドル51先端の突入圧力を受けて、3分割された亀裂片
の少なくとも1ヶ所がジョイントゴム表面23aから陥
没しつつ後退するため、ニードル先端の挿入抵抗は小さ
くなる。
【0103】そして、この状態からニードル51がさら
に挿入されると、ニードル51は陥没後退した亀裂片の
弾性回復力に伴う反発力を受け、ニードル51にはジョ
イントゴム23の中心23dへ向けた荷重が作用するこ
とになる。したがって、以後ニードル51はジョイント
ゴム23の中心23dへ誘導されながら第2共通液室2
1部へ挿入されて行くことになる。そして、ニードル5
1のさらなる進入によって他の亀裂片も同様に後退して
行くため、ニードル51はスムーズに挿入されて行く。
【0104】したがって、ジョイントゴム亀裂穴23の
Y字形状がどのような方向に傾いて枠体16に圧入され
ても、ニードル51先端は第2共通液室21内部へ確実
に導かれるようになる。
【0105】このようなことから、ニードル51、ニー
ドル保持部(不図示)、ジョイントゴム23、枠体16
等の部品寸法精度や組立精度を向上させることなく、ニ
ードル51の挿通動作をスムーズかつ確実に実行させる
ことができるようになり、液体噴射記録ヘッドおよび液
体噴射記録装置本体が安価に製作できるようになる。
【0106】ジョイントゴム23は上下2ヶ所に配設さ
れるが、下方部は液体噴射記録装置本体に配設される不
図示の外部記録液貯蔵タンク(以下、メインタンクと称
す)から記録液を供給するための供給通路であり、記録
液は下方のニードル51および穴16bを通って第2共
通液室21内部へ供給される。
【0107】一方、上方部は第2共通液室21内部に蓄
えられた空気を液室外部へ放出して液室内の負圧力を制
御するための吸気通路であり、ポンプなどの吸気用駆動
手段によって穴16aおよび上方のニードル51を通っ
て第2共通液室21外部へ排出される。
【0108】また、この吸気通路による第2共通液室2
1内部の負圧力を増大させることで第2共通液室21内
の記録液補給制御ができる。
【0109】24は前述した配線基板2の一端に配設さ
れて、ヘッドチップ15と液体噴射記録装置本体との間
を伝送されるプリント信号の受け渡しをするためのコン
タクトパッドである。
【0110】次に、ヘッドチップ15と枠体16との接
続に関して説明する。
【0111】図9乃至図11において、ヘッドチップ1
5は枠体16に例えば位置決めボス16c、16dの溶
着やビス25等によって固定されており、双方の分解が
容易にできるようになっている。
【0112】また、第2共通液室21とチップタンク1
1との接続部にはシリコーンゴム等からなる充填剤25
が充填されている。
【0113】さらに、コンタクトパッド24が枠体16
の所定位置に配置されるように、配線基板2と枠体16
のアライメントを行った後に配線基板2は枠体16の側
面に沿って接合される。
【0114】次に、上記した各構成についてより詳しく
説明する。
【0115】液体噴射記録ヘッド100がキャリッジに
搭載されると、液体噴射記録ヘッド100の吐出口面は
メインタンク内の記録液水面よりも常時高い位置に設定
されており、液体噴射記録ヘッド100とメインタンク
とが接続されることにより、第2共通液室21の内部は
負圧力に保持されることになる。
【0116】第2共通液室21は記録液を保管しておく
バッファの役割をもち、吐出により記録液が消費される
と記録液は第2共通液室21から天板5とヒータボード
1とにより構成される第1共通液室8へ適宜供給され
る。また、第2共通液室21は別に設けられたメインタ
ンクから記録液を受け取るための接続部と液室内の空気
を外部へ逃がすための接続部を有している。
【0117】チップタンク11と第2共通液室21との
間はその全周が充填剤25によって隙間なく充填されて
おり、第2共通液室21内からチップタンク11までの
水密性が確保されている。
【0118】しかしながら、充填剤25は気体透過性を
有するシリコーンゴム等からなるため、外気が充填剤2
5を透過して第2共通液室21内へ侵入し得る。
【0119】第2共通液室21内へ侵入した気体は第2
共通液室21内を浮力により上昇し、液室の上部の気体
層に滞留する。そして、この気体は第2共通液室21内
の気体を外部へ逃がす接続部(不図示)を経て最終的に
は外部へ排出される。
【0120】本実施形態ではチップタンク11と第2共
通液室21との接続部が記録液の流れ方向に関して多孔
質部材12の上流側に配置されている。そのため、充填
剤25を透過した気体が多孔質部材12よりも下流側の
チップタンク11内に侵入することがない。また、第2
共通液室21内において乾燥等によって記録液の一部が
凝固して固形物が生成した場合であっても、その固形物
を多孔質部材12で捕集(トラップ)することができ
る。
【0121】上記の構成により、多孔質部材12よりも
下流側、すなわち記録液供給路11aからヘッドチップ
15のノズルまでの流路中に侵入する気体を減少させる
ことができるので、多孔質部材12よりも下流側の流路
中に気体が存在することによる液体噴射性能への影響を
低減することができる。
【0122】また、多孔質部材12よりも下流側の流路
中に存在する気体が減少するので、長期間放置された液
体噴射記録ヘッド100の使用を開始する際に行う回復
動作を簡略化することができる。そのため、回復動作に
おいて吸引・廃棄される記録液の量が減少し記録液の使
用効率を向上させることができる。
【0123】多孔質部材12はチップタンク11の記録
液供給路11aの液流れ方向に対して斜めに配置されて
いる。そのため、多孔質部材12の面積はチップタンク
11の第2共通液室21との接続部付近の、流路方向に
対して垂直な断面積よりも大きくなる。
【0124】なお、多孔質部材は液流れ方向に対して垂
直に配設しても構わない。
【0125】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
第1の液体噴射記録ヘッドは、液滴を吐出する複数の吐
出口が配列された吐出口群と、吐出口の上流側に連通す
る液流路と、液流路部の記録液を吐出口から噴射するた
めに利用されるエネルギーを発生させるエネルギー発生
手段と、液流路部の上流にあって液流路部に記録液を供
給する第1共通液室と、第1共通液室に記録液を供給す
る液供給通路と、液供給通路の上流にあって液供給通路
に供給される記録液を収容する第2共通液室と、第2共
通液室を形成する枠体と、液供給通路と第2共通液室と
の間に設けられた多孔質部材とを有する液体噴射記録ヘ
ッドにおいて、枠体には第2共通液室の記録液供給口と
なる孔部を有するハウジング部と、ハウジング部の外周
部または外周近傍にスリーブ突起を形成し、ハウジング
部に挿入されて第2共通液室へ記録液を供給するための
ジョイントとなる弾性体の栓部材を設けて、栓部材をハ
ウジング部内へ挿入した後に、スリーブ突起を溶融して
栓部材の外周部を覆うようにしたことにより、栓部材の
外周領域はスリーブ突起の溶融変形によって覆われるた
め、ニードルの挿入引抜が繰り返されても、栓部材がハ
ウジング部から抜け出るようなことはない。
【0126】また、スリーブ突起は枠体上に一体形成さ
れているので、栓部材の抜け防止用に専用部材を設ける
ような形態と異なり、安価である上、スペース効率が極
めて良好な構成である。
【0127】さらに、ニードルの引抜時に記録液が栓部
材の表面に付着しても、オペレータが栓部材の表面に触
れることがないように、スリーブ突起が栓部材の表面を
保護するため、オペレータの操作性が格段に向上する。
【0128】その上、栓部材の表面に付着した記録液は
記録液の表面張力によって栓部材の表面とスリーブ突起
内面との隙間に流れ込んで行くため、栓部材の表面に付
着した記録液がニードルの挿入口に停滞することはな
い。
【0129】第2の液体噴射記録ヘッドは第1の液体噴
射記録ヘッドにおいて、栓部材の外形はハウジング部の
外形よりも大きく、栓部材がハウジング部に圧入される
ようにしたことにより、栓部材には外周部から中心に向
けて圧縮応力が作用することになり、ニードルの挿通に
よって栓部材中央に亀裂穴が形成されてもこの亀裂穴は
密着するため、ニードル非挿入時、栓部材は閉塞状態を
確実に維持することになる。
【0130】よって、液体収容容器交換の際に液体噴射
記録ヘッドからニードルが引き抜かれても、亀裂穴より
液体および空気が外部へ漏れてしまうようなことはな
い。また、ニードル挿通状態では、ニードルに向けて、
栓部材の圧縮力によってグリップ力が加わるため、挿通
部における液体および空気のリークは阻止できる。
【0131】第3の液体噴射記録ヘッドは第1乃至第2
の液体噴射記録ヘッドにおいて、栓部材には予め亀裂穴
が形成され、栓部材がハウジング部に圧入される前に形
成されることにより、先端の鋭利なニードルを挿入して
ジョイントゴムを引き裂くような構成に比べて、ニード
ルはジョイントゴムの亀裂穴に沿って挿通引抜されるよ
うになるため、ニードルの挿通負荷および引抜負荷が小
さくなり、液体噴射記録ヘッド交換時の操作性が良好と
なる。
【0132】第4の液体噴射記録ヘッドは第3の液体噴
射記録ヘッドにおいて、栓部材に形成される亀裂穴はY
字状スリット形状であることにより、ニードルがジョイ
ントゴムに当接押圧されると、それまで閉塞状態にあっ
たジョイントゴムの亀裂穴は3分割されて亀裂片が分離
陥没して行くため、ニードル先端は亀裂穴の中心部へス
ムーズに誘導されるようになる。一方、ニードルが引き
抜かれた際には亀裂片は速やかに弾性回復によって所定
の位置に復帰する。
【0133】さらに、ニードル先端の進入軌跡とジョイ
ントゴムのスリット位置とが一致しないような場合であ
っても、あるいはニードルの中心がY字スリット中心に
対して偏心しているような場合であっても、ニードル先
端の当接を受けた亀裂片がすみやかに曲げ変形を起こし
て後退する。以後、ニードル先端は変形後退した亀裂片
の反発力によって徐々にY字スリット中心部へ誘導さ
れ、さらなるニードルの挿入によって他の亀裂片も追従
して曲げ変形を起こして後退するため、ニードルはスム
ーズにジョイントゴムへ挿通されることになる。
【0134】このように、ジョイントゴムが予めY字ス
リット状亀裂穴を形成することにより、ニードルとジョ
イントゴムとの摺動抵抗は軽減されて、ニードルの挿通
負荷および引抜負荷が小さくなり、液体噴射記録カート
リッジ交換時の操作性が良好となる。また、ニードルと
ジョイントゴムの相対位置を高精度に設定する必要はな
く、液体噴射記録装置が安価にできる。
【0135】第5の液体噴射記録ヘッドは第1乃至第4
の液体噴射記録ヘッドにおいて、栓部材は液体噴射記録
ヘッドの側面に配設されていることにより、栓部材の中
央に付着した記録液は栓部材の外周下方へ直ちに流れて
行くため、オペレータがヘッド脱着操作の際に記録液に
触れることはなく、オペレータの操作性を格段に向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体噴射記録ヘッドの液滴吐出部の一例を示す
概略斜視図。
【図2】液体噴射記録ヘッドの液滴吐出部の部分断面斜
視図。
【図3】液体噴射記録ヘッドの外観斜視図。
【図4】液体噴射記録ヘッドのスリーブ溶融変形を示す
部分断面図で、(a)はスリーブの変形前の状態を示す
図、(b)はスリーブの変形後に状態を示す図。
【図5】本発明に適用できる栓部材の外観斜視図。
【図6】液体噴射記録ヘッドのスリーブ変形前の状態を
示す外観斜視図。
【図7】液体噴射記録ヘッドのスリーブ変形後の状態を
示す外観斜視図。
【図8】液体噴射記録ヘッドへのニードル脱着動作を示
す部分断面図で、はニードル挿入状態を示す図、(b)
はニードル非挿入状態を示す図。
【図9】液体噴射記録ヘッドの記録液供給経路を示す断
面図。
【図10】液体噴射記録ヘッドの部分断面斜視図。
【図11】液体噴射記録ヘッドの構造を説明するための
分解斜視図。
【図12】従来構成の液体噴射記録ヘッドを示す部分概
略斜視図。
【符号の説明】
1 ヒータボード 2 配線基板 3 ベースプレート 5 天板 6 オリフィスプレート 8 第1共通液室 11 チップタンク 12 多孔質部材 15 ヘッドチップ 16 枠体 16a 円筒穴部 17 スリーブ 18 加熱棒 21 第2共通液室 23 ジョイントゴム 51 ニードル 100 液体噴射記録ヘッド
フロントページの続き (72)発明者 小泉 寛 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA16 EA20 EA22 EA24 KB19 KC02 KC05 KC11 KC16 KC21 KC27

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴を吐出する複数の吐出口が配列され
    た吐出口群と、 該吐出口の上流側に連通する液流路と、 該液流路部の記録液を吐出口から噴射するために利用さ
    れるエネルギーを発生させるエネルギー発生手段と、 該液流路部の上流にあって該液流路部に記録液を供給す
    る第1共通液室と、 該第1共通液室に記録液を供給する液供給通路と、 該液供給通路の上流にあって該液供給通路に供給される
    記録液を収容する第2共通液室と、 前記第2共通液室を形成する枠体と、 該液供給通路と該第2共通液室との間に設けられた多孔
    質部材とを有する液体噴射記録ヘッドにおいて、 前記枠体には前記第2共通液室の記録液供給口となる孔
    部を有するハウジング部と、 該ハウジング部の外周部または外周近傍にスリーブ突起
    を形成し、 該ハウジング部に挿入されて前記第2共通液室へ記録液
    を供給するためのジョイントとなる弾性体の栓部材を設
    けて、 該栓部材を該ハウジング部内へ挿入した後に、該スリー
    ブ突起を溶融して該栓部材の外周部を覆うようにしたこ
    とを特徴とする液体噴射記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 該栓部材の外形は該ハウジング部の外形
    よりも大きく、該栓部材が該ハウジング部に圧入される
    ようにしたことを特徴とする請求項1に記載された液体
    噴射記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記栓部材には予め亀裂穴が形成され、
    該栓部材が該ハウジング部に圧入される前に形成される
    ことを特徴とする請求項1乃至2に記載された液体噴射
    記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記栓部材に形成される亀裂穴はY字状
    スリット形状であることを特徴とする請求項3に記載さ
    れた液体噴射記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記栓部材は液体噴射記録ヘッドの側面
    に配設されていることを特徴とする請求項1乃至4に記
    載された液体噴射記録ヘッド。
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