JP2003155625A - 吸湿性に優れたポリエステル繊維 - Google Patents

吸湿性に優れたポリエステル繊維

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JP2003155625A
JP2003155625A JP2001349881A JP2001349881A JP2003155625A JP 2003155625 A JP2003155625 A JP 2003155625A JP 2001349881 A JP2001349881 A JP 2001349881A JP 2001349881 A JP2001349881 A JP 2001349881A JP 2003155625 A JP2003155625 A JP 2003155625A
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silica
polyester fiber
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Yoshihiro Naruse
恵寛 成瀬
Toshihiro Sasaki
敏弘 佐々木
Tatsuya Nagano
達也 長野
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】吸湿性が高く、織編物等として下着、スポーツ
ウェア、裏地等の快適素材として用いることができるポ
リエステル繊維を得ることを課題とする。 【解決手段】シリカ系無機粒子を含有したポリエステル
繊維であって吸湿性に優れたポリエステル繊維によって
解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸湿性に優れたポリ
エステル繊維に関する。より詳しくは、吸湿性、耐熱
性、耐候性等に優れるため、着用快適性を有する合成繊
維用途や帯電防止性を有するポリエステル繊維に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートを始めとす
るいわいるポリエステルは、強度や熱安定性、耐薬品性
などに優れるため、繊維やフィルム、組成物などの用途
に広く用いられている。しかし、ポリエチレンテレフタ
レートは本質的に疎水性であるため、きわめて吸放湿性
に乏しく、衣服として用いられる場合には、高湿時にお
いて“むれ感”を生じたり、冬場の低湿時には静電気を
生じたりと、着用快適性においては好ましい素材とはい
えない。また、樹脂やフィルムなどとして用いられる際
にも低吸湿性のため帯電し、問題となることがある。
【0003】この欠点を解消するため、例えば特開昭48
-8270号公報に提案されているように、側鎖にオキシア
ルキレングリコールを有するジオールの共重合、特開平
2-26985号公報におけるスルホン酸金属塩含有ジカルボ
ン酸の共重合など、吸湿性能を有する化合物をポリエス
テルに共重合する方法が提案されている。しかし吸湿成
分を共重合することによってポリマー全体が改質されて
しまい、耐候性が低下したり、優れた機械的特性という
ポリエステルの持つ本来の利点が失われてしまうという
大きな問題を抱えている。
【0004】また、特公昭59-17224号公報にみられるよ
うに、ポリエステル繊維にアクリル酸やメタアクリル酸
をグラフト重合して、それらのカルボキシル基をアルカ
リ金属で置換することにより吸湿性を付与する方法が知
られている。しかし、耐光性の低下、吸湿部分が組成物
あるいは繊維表層に付着していることによるぬめりの発
生や経時的な強度低下の問題を有していることから、実
用化には至っていない。
【0005】これらの問題を解決するため、繊維用途に
おいては高い吸湿性を有する吸湿性樹脂を芯部とし、ポ
リエステルの鞘部で覆った芯鞘型複合繊維が特開平2-99
612号公報、特開平4-361616号公報、特開平4-341617号
公報、特開平9-132871号公報等に提案されている。しか
しながら、これら芯鞘型複合繊維の場合、精練や染色な
どの熱水処理時に芯部の吸湿性樹脂が水を含んで大きく
膨潤するため、繊維表面にひび割れ(鞘割れ)が発生
し、吸湿性樹脂の外部への流出や、染色堅牢性の著しい
悪化など布帛品位が低下する欠点があった。この鞘割れ
を抑制する目的で、前もって溶融紡糸の段階から吸湿性
の芯成分に隣接する中空部を設けておく方法が、特開平
9-111579号公報また特開昭52-55721号公報により提案さ
れているが、たとえ中空部を有する形状に繊維化した場
合にも繊維に撚糸加工や仮撚加工を施した場合には中空
部の潰れが生じ、その後の熱水処理によって前述の場合
と同じく吸湿ポリマーの膨潤に起因する鞘割れが生じて
しまう欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題点を克服して、ポリエステルの優れた特
性を維持しながら、高い吸湿特性を有するポリエステル
繊維を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した課題は、下記A
〜Dを満足するシリカ系無機粒子を1〜20重量%含有
したポリエステル繊維であって、該繊維の吸湿パラメー
ター(ΔMR)が2%以上であることを特徴とする吸湿
性に優れたポリエステル繊維で解決することができる。
【0008】A.シリカ系無機粒子の細孔容積V(ml
/g)が0.9以上であり、かつ該粒子の比表面積S
(m2/g)との関係が 次式を満足すること。
【0009】300≦(S/V)<1500 B.シリカ系無機粒子の平均粒径(μm)が0.01〜
10であること。
【0010】C.シリカ系無機粒子の表面に存在するシ
ラノール基の数が3個/nm2以上であること。
【0011】D.シリカ系無機粒子の吸湿パラメーター
(ΔMR)が7%以上であること。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容を具体的に説
明する。
【0013】本発明に於いてシリカ系無機粒子は繊維に
吸湿性を付与するための必須成分である。具体的には粒
子の50%以上がSiO2で構成される無機粒子であ
り、ホワイトカーボン、シリカゾル、シリカゲル等が挙
げられるが、好ましくはSiO 2含有量が95%以上の
湿式シリカ、乾式シリカが好ましい。
【0014】ここで、シリカ系無機粒子の吸湿特性につ
いては、低湿度環境下ては粒子の比表面積に依存し、比
表面積が高いと吸湿率も高くなる。一方、高湿度環境下
においては、粒子の細孔容積および比表面積の関係を特
定の値に制御することで初めて高い吸湿率を付与するこ
とが可能となる。すなわち、シリカ系無機粒子の細孔容
積V(ml/g)が0.9以上であり、かつ該粒子の比
表面積S(m2/g)との関係が 次式を満足することで
目的とする吸湿特性を繊維に付与することが可能であ
る。
【0015】300≦(S/V)<1500 高い吸湿性を付与するといった観点から400〜100
0が好ましく、500〜800がさらに好ましい。この
値が300未満であると目的使用範囲(高湿度環境下)
での吸湿性が満足に発現せず、また1500以上だと低
湿度環境下での吸湿率が高くなりすぎるため、目的とし
た吸湿特性を付与することができない。本発明で用いら
れるシリカ系無機粒子はその細孔容積Vが0.9(ml
/g)以上であることが必要である。この細孔容積が小
さい場合には吸湿性能、放湿性能ともに不十分なものし
かえられない。
【0016】本発明において用いられるシリカ系無機粒
子の平均粒径は0.01〜10μmである。0.01μm
よりも小さい場合には重合の段階での増粘が激しすぎる
ため高重合度の樹脂が得られない。また、10μmより
も大きな粒子は溶融成型時にフィルター圧力の急激な上
昇を引き起こす原因となるばかりでなく、繊維に成形す
る際、粗大粒子として振るまうので糸切れの原因となり
好ましくない。より好ましい無機微粒子の平均粒径は
0.1〜5μmである。
【0017】また本発明で用いるシリカ系無機粒子は、
吸湿性という観点から3個/nm2以上のシラノール基
が粒子表面に存在することが必要である。表面のシラノ
ール基の数がこれより少ないと満足する吸湿性を期待で
きない。
【0018】また、シリカ系無機粒子の吸湿特性を示す
吸湿パラメーター(以下ΔMRと記す)は、これを用い
た合成繊維の吸湿性を高めるため、高ければ高い方が好
ましいが、7%以上であることが必要である。好ましく
は15.0%以上、特に好ましくは20.0%以上であ
る。
【0019】ここでΔMRとは、30℃×90%RHで
の吸湿率(MR2)から20℃×65%RHでの吸湿率
(MR1)を引いた差である(ΔMR(%)=MR2−
MR1)。ここでΔMRは衣服着用時の衣服内の湿気を
外気に放出することにより快適性を得るためのドライビ
ングフォ―スであり、軽〜中作業あるいは軽〜中運動を
行った際の30℃×90%RHに代表される衣服内温度
と20℃×65%RHに代表される外気温湿度との吸湿
率差である。本発明では吸湿性評価の尺度としてこのΔ
MRをパラメーターとして用いている。ΔMRは大きけ
れば大きいほど吸放湿能力が高く着用時の快適性が良好
であることに対応する。
【0020】本発明におけるポリエステルは、優れた強
度という観点から、その80モル%以上がアルキレンテレ
フタレート繰り返し単位からなるものであり、たとえば
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリプロピレンテレフタレートなどを好適な例と
して挙げることができる。なかでも、エチレンテレフタ
レートを主たる繰り返し単位とするポリエステル系重合
体は、強度、耐候性が良好なことからであり好ましい。
【0021】このエチレンテレフタレートを主たる繰り
返し単位とするポリエステルは、本発明の目的を損なわ
ない範囲で他の第3成分が共重合されていてもよい。例
えば、テレフタル酸の代わりに用いうる化合物として
は、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフ
ェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4-シ
クロヘキサンジカルボン酸等の、芳香族、脂肪族、脂環
族ジカルボン酸及びそれらの誘導体を挙げることが出来
る。エチレングリコールの代わりに用いうるジオール化
合物としては、プロピレングリコール、テトラメチレン
グリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキ
レングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS
のような芳香族、脂肪族、脂環族のジオール化合物を挙
げることができる。なお、これらのポリマーには必要に
応じてたとえば艶消し剤、制電剤、消臭剤、微細孔形成
剤等を含有せしめても良い。
【0022】また、ポリマー自体の吸湿性を向上させる
目的から、スルホイソフタル酸金属塩を0.5〜20モ
ル%共重合することが好ましい。これらの共重合比率
は、十分な吸放湿性、強度という観点から、より好まし
くは1〜10モル%である。
【0023】さらに同様な目的から分子量600〜20
000のポリオキシアルキレングリコールを0.5〜1
5重量%共重合することが好ましく、より好ましくは2
〜10重量%である。
【0024】また、用いるポリオキシアルキレングリコ
ールとして具体的にはポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、
ポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシドブロッ
ク共重合体、ポリエチレンオキシド・ポリテトラメチレ
ンオキシドブロック共重合体、ポリプロピレンオキシド
・ポリテトラメチレンオキシドブロック共重合体等が挙
げられるが、好ましくはポリエチレングリコールであ
る。
【0025】本発明で用いられるシリカ系無機粒子の添
加量は1〜20重量%である。添加量が1重量%に満た
ないとポリエステル組成物の吸放湿性が不十分となり、
また、10重量%以上となると組成物の溶融粘度が著し
く高くなるため成形が困難となる。より好ましい添加量
は5〜15重量%である。
【0026】実用上の着用快適性を得るためには合成繊
維のΔMRは経時変化が問題とならない範囲で高いほど
好ましく、2.0%以上が必要であり、さらに好ましく
は2.5%以上である。
【0027】本発明で用いるシリカ系無機粒子の平均細
孔径は1〜15nmであることが好ましい。平均細孔径
が1nm未満だと吸湿性に劣る。また、平均細孔径が1
5nmを超えると高湿度下での吸湿性には優れるものの
低湿度下での吸湿性に劣るために本発明が目的としてい
る吸放湿性を付与することができない。より好ましい平
均細孔径は3〜10nm、さらに好ましくは4〜7nm
である。
【0028】本発明のポリエステルに含有するシリカ系
無機粒子は、1〜20nmまでの径を持つ細孔で全細孔
容積の90%以上を占めることが好ましい。本発明のシ
リカ系無機粒子は細孔を持つことで周りの水蒸気が毛管
凝縮を繰り返すことによって吸放湿するが、本発明が目
的としている吸放湿性付与に関与する細孔径は1〜20
nmまでであり、この範囲でより多くの細孔容積を占め
るほうが水を保持できる空間が大きくなるために吸放湿
の効率が良くなる。上記細孔径範囲で全細孔容積の95
%以上を占めることがより好ましい。
【0029】本発明のポリエステルに含有するジエチレ
ングリコール(以後DEG)含有量は2重量%以下、カ
ルボキシル(以後COOH)末端基量は10〜50当量
/tであることが好ましい。DEGが多すぎると、吸湿
性が低下する。この理由については現在のところ定かで
はないが、DEG含有量が多くなると組成物を構成する
ポリエステルのソフトセグメント部分が増加するために
シリカ系無機粒子表面の活性基を覆いやすくなるためと
推定している。より好ましいDEG含有量は1重量%以
下である。
【0030】COOH末端基量多ければ多いほど吸湿性
が向上する傾向にあるが、多すぎるとポリエステルの熱
分解反応が促進されるため繊維強度の観点から好ましく
ない。より好ましいCOOH末端基量は20〜30当量
/tである。
【0031】本発明においてポリエステルにシリカ系無
機粒子を含有させる方法はポリエステルのエステル化あ
るいはエステル交換反応時、重縮合反応時、重縮合反応
後溶融成形前のいずれかの段階において混合させればよ
い。
【0032】本発明においてポリエステルにシリカ系無
機粒子を含有させる方法はポリエステルのエステル化あ
るいはエステル交換反応時、重縮合反応時、重縮合反応
後溶融成形前のいずれかの段階において混合させればよ
い。
【0033】本発明のポリエステルを用いる繊維の製法
としては従来公知の方法で製造することができ、以下に
製造法を示す。シリカ系無機粒子含有ポリエステルを溶
融し、紡糸パックに導き口金吐出孔から紡出する。
【0034】紡出したフィラメント糸を所定の速度で引
取った後、一旦パッケージに巻上げ、得られた未延伸糸
を通常の延伸機にて延伸する。また、この延伸は紡出糸
を引取った後巻取ることなく連続して行い巻上げてもよ
いし、4000m/分以上の高速で引取り実質的に延伸
することなく一挙に所望の繊維性能を得る方法をとって
もよい。
【0035】直接紡糸延伸法としては、例えば、紡出糸
を1000〜5000m/分で引取り、引続いて300
0〜6000m/分で延伸・熱固定する方法が挙げられ
る。
【0036】本発明の合成繊維の断面形状は丸ばかりで
なく、三角、偏平、多葉型などの異形断面でも良い。ま
た、該合成繊維の糸状形態は、フィラメント、ステープ
ルのどちらでも良く、用途によって適宜選定される。布
帛形態としては、織物、編物、不織布など目的に応じて
適宜選択できる。
【0037】
【実施例】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説
明する。なお、実施例中の各特性値は次の方法によって
求めた。
【0038】A.ポリエステルの極限粘度 [η] オルトクロロフェノール溶液とし、25℃で求めた。
【0039】B.粒子およびそれを含有した繊維の吸湿
性パラメーター(ΔMR) 吸湿率は粒子の場合、粒子1gを用い、また繊維の場合
には原糸または布帛1〜3gを用い、絶乾時の重量と2
0℃×65%RHあるいは30℃×90%RHの雰囲気
下、恒温恒湿器(タバイ製PR−2G)中に24時間放
置後の重量との重量変化から、次式で求めた。 吸湿率(%)=(吸湿後の重量 − 絶乾時の重量)/
絶乾時の重量 ×100 上記測定した20℃×65%RHおよび30℃×90%
RHの条件での吸湿率(それぞれMR1およびMR2と
する)から、吸湿率差ΔMR(%)=MR2−MR1を
求めた。
【0040】C.粒子の平均粒径 粒子の平均粒径はHORIBA製粒径分析装置(LA−
700)にて測定を行った。
【0041】D.DEG含有量 ポリエステルをモノエタノールアミンで加熱分解後、
1,6へキサンジオール/メタノールで希釈し、テレフ
タル酸で中和した後、ガスクロマトグラフィーのピーク
面積から求めた。
【0042】E.カルボキシル末端基量 ポリエステルをオルトクレゾールに溶解し、水酸化ナト
リウムを用いて電位差滴定法により求めた。
【0043】F.粒子の比表面積、細孔容積、平均細孔
径 窒素吸着法により温度77Kで測定し、比表面積につい
てはBET法で、細孔容積と平均細孔径についてはDH
法で解析した。
【0044】G.細孔容積占有率の計算 粒子の全細孔容積に対する1〜20nmまでの径を持つ
細孔の容積の総和の割合から求めた。
【0045】H.表面のシラノール基の定量 微粉末シリカを圧力0.1kPa以下、温度120℃で
乾燥した後ジオキサン中で水素化リチウムアルミニウム
と反応させ水素量を測定して求めた。
【0046】I.強度、伸度 東洋ボールドウィン社製テンシロン引張り試験機を用い
て試長20cm、引張り速度10cm/分の条件で応力−歪み曲
線から値を求めた。
【0047】実施例1 平均粒径3.0μm、細孔容積Vが0.9ml/g、S
/Vの関係が580、シラノール基を5個/nm2有す
る湿式シリカ粒子の吸湿性パラメーター(ΔMR)は6
0.8%であった。
【0048】ポリエステルとして、ジメチルテレフタル
酸194部、エチレングリコール124部、酢酸コバル
ト0.05部を加え、140〜230℃でメタノールを
留出しつつエステル交換反応を行った後、リン酸トリメ
チル0.08部のエチレングリコール溶液、上記湿式シ
リカ粒子20部のエチレングリコールスラリー、および
三酸化アンチモン0.1部を加え、0.1kPaの減圧
下290℃に昇温した条件下で重合を行いポリエステル
を得た。このポリエステルのシリカ粒子の含有量は10
重量%であり、またΔMRは6.1%であった。
【0049】該ポリエステルを溶融し、同心円口金から
吐出して未延伸糸を得、次いで延伸、熱処理することに
より 83デシテックス24フィラメントのポリエステ
ル繊維を得た。この繊維を筒編みとし、吸放湿特性を測
定したところΔMR=6.1%であり、強伸度特性も良
好であった。
【0050】実施例2〜4、比較例1,2 実施例1においてポリエステル中のシリカ粒子の添加量
を変更する以外は同様な方法によりポリエステル繊維を
得た。比較例1においては満足するΔMRを得ることが
できず、また比較例2においては紡糸時の糸切れが多発
してポリエステル繊維を得ることができなかった。
【0051】
【表1】 実施例5、6、比較例3,4 実施例1において用いるシリカ粒子の平均粒径を変更す
る以外は実施例1と同様な方法によりポリエステル繊維
を得た。比較例3においては重合時のシリカ粒子起因の
増粘が激しく、ベースのポリエステルの重合度が上がら
なかった。また比較例4においては実用上満足する強度
を有する繊維を得ることができなかった。
【0052】
【表2】 実施例7、8、比較例5,6 実施例1において、粒子のS/V、平均細孔径、細孔容
積占有率をを変更した粒子を用いた以外は実施例1と同
様な方法によりポリエステル繊維を得た。比較例5,6
いずれも満足のいくΔMRを付与することができなかっ
た。
【0053】
【表3】 実施例9 DEG含有量を2.0wt%に変更した以外は実施例1
と同様な方法でポリエステル繊維を得た。この繊維を筒
編みとし、吸放湿特性を測定したところΔMR=5.4
%であり、強伸度特性も強度3.5CN/dtex、伸度4
0.9%で良好であった。また、紡糸1日で糸切れは発
生しなかった。
【0054】実施例10 COOH末端基量を45当量/tに変更した以外は実施
例1と同様な方法でポリエステル繊維を得た。この繊維
を筒編みとし、吸放湿特性を測定したところΔMR=
6.4%であり、強伸度特性も強度3.1CN/dtex、伸
度38.5%で良好であった。また、紡糸1日で糸切れ
は発生しなかった。
【0055】実施例11 ポリエステルとして、ジメチルテレフタル酸194部、
エチレングリコール135部、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸ジメチル26.6部、酢酸コバルト0.05
部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつ
エステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.0
8部のエチレングリコール溶液、実施例1記載の湿式シ
リカ粒子20部のエチレングリコールスラリー、および
三酸化アンチモン0.1部を加え、0.1kPaの減圧
下290℃に昇温した条件下で重合を行いポリエステル
を得た。このポリエステルのシリカ粒子の含有量は10
重量%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合量
は5モル%であり、またΔMRは7.0%であった。
【0056】該ポリエステルを溶融し、同心円口金から
吐出して未延伸糸を得、次いで延伸、熱処理することに
より 83デシテックス24フィラメントのポリエステ
ル繊維を得た。この繊維を筒編みとし、吸放湿特性を測
定したところΔMR=6.9%であり、強伸度特性も強
度3.4CN/dtex、伸度38.9%で良好であった。
【0057】実施例12 ポリエステルとして、ジメチルテレフタル酸194部、
エチレングリコール124部、酢酸コバルト0.05部
を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエ
ステル交換反応を行った後、分子量1000のポリエチ
レングリコール20部、リン酸トリメチル0.08部の
エチレングリコール溶液、実施例1記載の湿式シリカ粒
子20部のエチレングリコールスラリー、および三酸化
アンチモン0.1部を加え、0.1kPaの減圧下29
0℃に昇温した条件下で重合を行いポリエステルを得
た。このポリエステルのシリカ粒子の含有量は10重量
%、ポリエチレングリコールの共重合量は10重量%で
あり、またΔMRは6.8%であった。
【0058】該ポリエステルを溶融し、同心円口金から
吐出して未延伸糸を得、次いで延伸、熱処理することに
より 83デシテックス24フィラメントのポリエステ
ル繊維を得た。この繊維を筒編みとし、ΔMRを測定し
たところ6.8%であり、強伸度特性も強度3.4CN/d
tex、伸度39.9%で良好であった。
【0059】
【発明の効果】本発明によって得られた合成繊維は着用
快適性を得るのに十分な吸湿性を有し、かつドライタッ
チな風合いと高い染色堅牢性や耐光性を有している。本
発明の合成繊維は下着、シャツ、ブラウス類、中衣、ス
ポーツウェア、スラックス類、外衣、裏地、カーテン、
壁紙、さらには、シーツ、フトンカバー、詰め綿等の寝
装用に適しており、極めて実用性の高いものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記A〜Dを満足するシリカ系無機粒子を
    1〜20重量%含有したポリエステル繊維であって、該
    繊維の吸湿パラメーター(ΔMR)が2%以上であるこ
    とを特徴とする吸湿性に優れたポリエステル繊維。 A.シリカ系無機粒子の細孔容積V(ml/g)が0.
    9以上であり、かつ該粒子の比表面積S(m2/g)と
    の関係が 次式を満足すること。 300≦(S/V)<1500 B.シリカ系無機粒子の平均粒径(μm)が0.01〜
    10であること。 C.シリカ系無機粒子の表面に存在するシラノール基の
    数が3個/nm2以上であること。 D.シリカ系無機粒子の吸湿パラメーター(ΔMR)が
    7%以上であること。
  2. 【請求項2】ポリエステルとして、その80モル%以上が
    アルキレンテレフタレート繰り返し単位からなるポリエ
    ステルであることを特徴とする請求項1記載の吸湿性に
    優れたポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】ポリエステルの全酸成分に対して0.5〜
    20モル%のスルホイソフタル酸金属塩成分を共重合し
    たことを特徴とする請求項1または2記載の吸湿性に優
    れたポリエステル繊維。
  4. 【請求項4】ポリエステルに対し分子量600〜200
    00のポリオキシアルキレングリコールを0.5〜15
    重量%共重合したことを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1項記載の吸湿性に優れたポリエステル繊維。
  5. 【請求項5】シリカ系無機粒子において、平均細孔径が
    1〜15nmであることを特徴とする請求項1〜4いず
    れか1項記載のポリエステル繊維。
  6. 【請求項6】シリカ系無機粒子において、1〜20nm
    までの径を持つ細孔の容積の積算値が全細孔容積の90
    %以上を占めることを特徴とする請求項1〜5いずれか
    1項記載のポリエステル繊維。
  7. 【請求項7】ポリエステル中のジエチレングリコール
    (DEG)含有量が2wt%以下、カルボキシル末端基
    量が10〜50当量/tであることを特徴とする請求項
    1〜6いずれか1項記載のポリエステル繊維。
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