JP2003138367A - 溶射皮膜、溶射皮膜の形成方法及び溶射原料粉末 - Google Patents

溶射皮膜、溶射皮膜の形成方法及び溶射原料粉末

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JP2003138367A
JP2003138367A JP2001331739A JP2001331739A JP2003138367A JP 2003138367 A JP2003138367 A JP 2003138367A JP 2001331739 A JP2001331739 A JP 2001331739A JP 2001331739 A JP2001331739 A JP 2001331739A JP 2003138367 A JP2003138367 A JP 2003138367A
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Mitsumasa Sasaki
光正 佐々木
Tadaoki Arakawa
忠興 荒川
Jun Kusui
潤 楠井
Toru Kimura
木村  亨
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Toyo Aluminum KK
Oerlikon Metco Japan Ltd
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Toyo Aluminum KK
Sulzer Metco Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高回転、高負荷、無潤滑の運転条件におい
て、優れた耐焼付性、耐摩耗性を有する溶射皮膜、更に
は斯かる溶射皮膜を高速度で且つ容易に被溶射基材表面
に形成することのできる方法及び溶射原料粉末を提供す
る。 【解決手段】 本発明の溶射被膜は、単体のSn成分の
相が分散しているAl及び/又はAl合金組織から成る
構成とされる。又、本発明によれば、被溶射基材表面に
溶射原料粉末を溶射して、被溶射基材表面に皮膜を形成
する方法は、溶射原料粉末に、Snを5〜40重量%含
むAl及び/又はAl合金粉末を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動性に優れた溶
射皮膜の形成技術に関するものであり、耐焼付性、耐摩
耗性を必要とされる、例えば、Al合金、Cu合金、鋳
鉄又は鉄鋼系合金にて作製された機器部品、特に、エア
ーコンプレッサーポンプ用斜板の一部或いは全部の表面
に形成される潤滑性、耐摩耗性に優れた溶射皮膜、該溶
射皮膜の形成方法及び溶射原料粉末に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばエアーコンプレッサーポン
プ用斜板は、回転することによって、斜板の両面円周上
に当接しているシューを介してピストンを往復運動させ
る機構を有し、従って、斜板の円周上をシューが摺動す
る構成となっている。
【0003】通常、斜板はAl合金、Cu合金、鋳鉄又
は鉄鋼系合金で作製され、摺動する相手部品のシューは
SUJ2にて形成されており、そのために、潤滑が不十
分になると焼付きが発生する。従って、従来、斜板の表
面には、Snメッキ、テフロン(イー・アイ・デュポン
社製商品名)コーティング、MoS2(固体潤滑剤)の
塗布、Pb入りCu合金の焼結及びPb入りCu合金溶
射(特開平10−8231号公報)などの処理が施され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Snメ
ッキされた斜板は、高回転・高負荷がかかる運転条件
で、摩耗が激しく、且つ、無潤滑状態になり易く、つい
には、斜板とシューと焼付くこととなる。又、Snメッ
キは厚さ10μmの皮膜作製におよそ30分を要し、不
要部のマスキング作業に多くの時間を要するため、作業
性の点でも問題がある。
【0005】同様に、テフロンコーティングされた斜板
は、高回転・高負荷がかかる運転条件で、摩耗が激し
く、ついには、斜板とシューとが焼付くこととなる。
又、Snメッキ以上に不要部のマスキング作業に多くの
時間を要するため、作業性の点でも問題がある。
【0006】MoS2(固体潤滑剤)の塗布では、高回
転・高負荷がかかる運転条件で、塗布膜の減少が激し
く、膜が無くなると、直ちに、斜板とシューが焼付くこ
ととなる。
【0007】Pb入りCu合金の焼結及びPb入りCu
合金溶射(特開平10−8231号公報)皮膜は、Pb
の環境に対する安全性の問題で、近々使用が不可能にな
ることが予想される。
【0008】現在、本発明者らの知る限りにおいて、高
回転・高負荷の運転条件において、優れた耐焼付性及び
耐摩耗性を示す、例えば、Al合金、Cu合金、鋳鉄又
は鉄鋼軽合金などで作製された摺動部材などの表面に施
す適当な被覆材料は見当たらない。しかも、作業工程が
短く、皮膜形成(成膜)速度の速い表面改質方法は存在
しない。
【0009】従って、本発明の目的は、高回転、高負
荷、無潤滑の運転条件において、優れた耐焼付性、耐摩
耗性を有する溶射皮膜、更には斯かる溶射皮膜を高速度
で且つ容易に被溶射基材表面に形成することのできる方
法及び溶射原料粉末を提供することである。
【0010】本発明の他の目的は、仕上げ加工時におい
て、皮膜からの粒子の脱落がなく、仕上げ面に欠陥の無
い、密着性の良好な溶射皮膜、更には斯かる溶射皮膜の
形成方法及び溶射原料粉末を提供することである。
【0011】本発明の他の目的は、特に、Al合金、C
u合金、鋳鉄及び鉄鋼系合金などで作製したエアーコン
プレッサーポンプ用斜板の一部或いは全部の表面に優れ
た潤滑性、耐摩耗性を与える溶射皮膜、更には斯かる溶
射皮膜の形成方法及び溶射原料粉末を提供することであ
る。
【0012】本発明の更に他の目的は、特に、Al合金
部材の面に形成することで、リサイクルが容易になると
共に、Pb入り摺動部材の代替として用いることがで
き、軽量化及び環境に対する安全性を向上させ得る溶射
皮膜、更には斯かる溶射皮膜の形成方法及び溶射原料粉
末を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく多くの実験研究を行い鋭意検討を重ねた結
果、Snを含むAl合金粉末をアトマイズ法で作製し、
この粉末を用いて溶射法で皮膜を形成することにより、
上記課題を解決できることを見出し、本発明を慣性する
に至った。
【0014】つまり、上記目的は本発明に係る溶射皮
膜、溶射皮膜の形成方法及び溶射原料粉末にて達成され
る。要約すれば、本発明の第1の態様は、単体のSn成
分の相が分散しているAl及び/又はAl合金組成から
成ることを特徴とする溶射皮膜である。
【0015】本発明の一実施態様によると、溶射原料粉
末として、Snを5〜40重量%含むAl及び/又はA
l合金粉末を被溶射基材表面に溶射して形成される。第
1の本発明の他の実施態様によると、溶射皮膜は、更に
Siを17〜50重量%含むAl及び/又はAl合金粉
末を被溶射基材表面に溶射して形成される。
【0016】本発明の一実施態様によると、前記溶射原
料粉末は、アトマイズ法により作製され、成分としてA
lを45〜95重量%、Snを5〜40重量%含み、更
に、Siを50重量%以下、Mgを6重量%以下、Cu
を5重量%以下、Znを5重量%以下、Mnを1重量%
以下、Feを0.7重量%以下又はCrを0.35重量
%以下のいずれかを含んでいる。前記溶射原料粉末の粒
径範囲は、10〜150μmであることが好ましい。
又、他の実施態様によると、前記溶射原料粉末は、
(A)アトマイズ法で作製され、成分としてAlを50
〜90重量%、Snを10〜40重量%含む粉末、
(B)アトマイズ法で作製され、成分としてAlを50
〜95重量%、Siを50重量%以下、Mgを6重量%
以下、Cuを5重量%以下、Znを5重量%以下、Mn
を1重量%以下、Feを0.7重量%以下、Crを0.
35重量%以下含む粉末、の混合粉末である。前記混合
粉末は、前記(A)粉末50〜70重量%と、前記
(B)粉末30〜50重量%と、を混合することで得ら
れる。又、前記(A)粉末の粒径範囲は30〜150μ
m、前記(B)粉末の粒径範囲は10〜150μmであ
ることが好ましい。
【0017】本発明において、一実施態様によると、溶
射皮膜は、燃焼ガスとしてプロパンガス、プロピレンガ
ス、ブタン、エタン、エチレン、天然ガス、水素ガス又
は灯油、助燃ガスとして酸素又は空気を用いてフレーム
温度が1500〜2800℃、フレーム速度が1000
〜2500m/秒の高速フレームを形成し、この高速フ
レームを用いて溶射距離100〜400mmに保持して
被溶射基材表面に溶射原料粉末を溶射することによって
形成される。又、他の実施態様によると、溶射皮膜は、
不活性ガスを300℃以上に加熱して速度1000m/
秒以上の高速ジェットを形成し、この高速ジェットを用
いて被溶射基材に溶射原料粉末を溶射することによって
形成される。本発明の好ましい一実施態様によると、溶
射皮膜は、粗さμmRz=25〜90に粗面化処理した
被溶射基材表面に形成される。
【0018】本発明において、溶射皮膜は、Al合金、
Cu合金、鋳鉄又は鉄鋼系合金にて作製された機器部品
に形成することができる。特に、前記機器部品は、エア
ーコンプレッサーポンプ用斜板であってよい。
【0019】本発明の第2の態様によると、被溶射基材
表面に溶射原料粉末を溶射して、被溶射基材表面に皮膜
を形成する方法において、前記溶射原料粉末に、Snを
5〜40重量%含むAl及び/又はAl合金粉末を使用
することを特徴とする溶射皮膜の形成方法が提供され
る。
【0020】又、本発明の第3の態様よると、アトマイ
ズ法により形成され、成分としてAlを45〜95重量
%、Snを5〜40重量%含み、更に、Siを50重量
%以下、Mgを6重量%以下、Cuを5重量%以下、Z
nを5重量%以下、Mnを1重量%以下、Feを0.7
重量%以下、Crを0.35重量%以下のいずれかを含
むことを特徴とする溶射原料粉末が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る溶射皮膜、溶
射皮膜の形成方法、溶射原料粉末及び溶射皮膜が形成さ
れた物品を図面に則して更に詳しく説明する。
【0022】図6に、本発明を実施し得る高速フレーム
溶射装置(溶射ガン)1の概略構成を示す。簡単に説明
すると、溶射ガン1は、中心部に溶射原料を投入する粉
末投入ポート2が配置され、そして、その回りに同中心
にて、内方より外方へと、ノズル(インサート3a、シ
ェル3b)3、エアキャップ4が配置され、燃焼・助燃
混合ガス通路7並びに圧縮空気通路(補助冷却用)6及
び8を形成している。更に、エアキャップ4の外側には
エアキャップボディ5が配置されている。斯かる溶射ガ
ン1の構造は当業者には周知であるので、これ以上の詳
しい説明は省略する。
【0023】溶射原料粉末は、窒素ガスなどの不活性ガ
スで搬送されて粉末投入ポート2へと供給され、ポート
先端より燃焼炎中に噴出される。一方、燃焼・助燃混合
ガス通路7から供給される高圧ガスは、ノズル(インサ
ート3a、シェル3b)3の先端外周部にて燃焼する。
この燃焼炎は、圧縮空気に包まれ、高温高圧でエアキャ
ップ4より噴出し、円筒状の超高速フレーム(火炎)9
となる。この超高速フレーム9によりポート2の先端か
ら噴出された溶射原料粉末は、フレーム中心部にて加熱
され、溶融され、そして加速されて、溶射ガン1より高
速で噴出される。そして、溶射原料液滴は、所定の距離
に配置された所望の被溶射基材100へと衝突し、その
表面に溶射皮膜102を形成する。
【0024】次に、本発明に従う溶射原料粉末について
説明する。
【0025】本発明では、溶射原料粉末としては、Sn
を含むAl及び/又はAl合金粉末が使用される。この
溶射原料粉末は、成分としてAlを45〜95重量%、
Snを5〜40重量%含んでいる。
【0026】溶射原料粉末にて、Alが45重量%未満
では、脆性が起こり、一方95重量%を超えると、他の
添加金属の効果(後述)を損なう。従って、溶射原料粉
末中のAlの量は、45重量%〜95重量%、好ましく
は55〜75重量%とされる。
【0027】Snは、単体で使用すると耐焼付性に優
れ、固体潤滑剤の働きをする。Snは、Alとは合金に
ならず、分離する特性があり、固体潤滑剤の働きを維持
することができる。しかし、溶射原料粉末中でSnが5
重量%未満であると、その効果は小さい。一方、溶射原
料粉末中でSnが40重量%を超えると、溶射皮膜の強
度が著しく低下し、脆性が高くなる。従って、溶射原料
粉末中のSnの量は、5〜40重量%、好ましくは5〜
20重量%とされる。
【0028】又、溶射原料粉末としてのSnを含むAl
合金粉末は更に、好ましくは、Siを17〜50重量%
含んでいる。Siは、Alと合金になるが、溶射原料粉
末中でSiが17重量%以上であると、硬いSiの初晶
が晶出し、耐摩耗性を向上させる。しかし、溶射原料粉
末中でSiの量が50重量%を超えると、溶射皮膜の引
張り強度が低下し、脆性が高くなる。従って、溶射原料
粉末中のSiの量は、17〜40重量%、好ましくは2
5〜40重量%とされる。
【0029】或いは、溶射原料粉末としてのSnを含む
Al合金粉末は更に、50重量%以下のSi、6重量%
以下のMg、5重量%以下のCu、5重量%以下のZ
n、1重量%以下のMn、0.7重量%以下のFe、
0.35%以下のCrのいずれかを含んでいてよい。S
i、Mg、Cu、Zn、Mn、Fe、Crは、それぞれ
上記範囲の量でAlと合金を形成させると、引張り強度
が向上し、溶射皮膜の引張り強度を向上させる効果があ
る。但し、こらの金属は、それぞれ上記範囲を超える
と、脆くとなり好ましくない。例えば、Cu、CuとM
g、MgとSi、ZnとMgなどを溶射原料粉末に含有
させることができる。
【0030】溶射原料粉末に含まれるAl成分は、Al
が含有する不純物が0.05重量%未満の、即ち、9
9.95重量%以上の純度を有するAlであっても、上
記その他の成分と合金となったAl合金であってもよ
い。
【0031】上記組成の溶射原料粉末は、アトマイズ法
で作製することができる。溶射原料粉末を作製する出発
原料中、AlとSnは合金にならないため、アトマイズ
法を用いて作製すると、凝固過程でAlの粒界にSnの
析出した粉末ができる。好ましくは、不活性ガスを用い
たアトマイズ法により、酸素含有量を1000ppm未
満にする。アトマイズ法で溶射原料粉末を作製する場
合、Siが出発原料中に、Alとの比率で15重量%以
上含まれると、Siの微細な単体粒子が分散したAl合
金を形成する。又、出発原料中に含まれる上記その他の
成分は、アトマイズ法で溶射原料粉末を作製すると、A
l合金を形成する。出発原料中のAlで、合金を形成し
ない部分は単体として溶射原料粉末中に存在する。
【0032】アトマイズ法は、原料金属を溶融させて、
水或いは不活性ガスにて噴霧することによって溶射原料
粉末を形成する方法である。アトマイズ法自体は当業者
には周知であるので、これ以上の詳しい説明は省略す
る。
【0033】又、溶射原料粉末の粒径範囲は、10〜1
50μm、好ましくは45〜100μmとすることが望
ましい。溶射原料粉末の粒径が10μm未満であると、
酸化物の形成量が過剰となり、その酸化物などが溶射粒
子間に堆積する。一方、溶射原料粉末の粒径が150μ
mを超えると、多くの未溶融粒子が溶射皮膜に低まれ、
皮膜の引張り強度を低下させるので好ましくない。従っ
て、溶射原料粉末の粒径範囲は、10〜150μm、好
ましくは45〜100μmとされる。上記アトマイズ
法、特にガスアトマイズ法によれば、溶射原料粉末の粒
径範囲を上記範囲に好適に調節することができる。尚、
本明細書にて、粉末の平均粒径は、レーザートラック法
により測定した。
【0034】上記成分範囲の溶射原料粉末は、混合粉末
として調製してもよい。つまり、(A)アトマイズ法で
作製され、成分としてAlを50〜90重量%、Snを
10〜40重量%含む粉末と、(B)アトマイズ法で作
製され、成分としてAlを50〜95重量%、Siを5
0重量%以下、Mgを6重量%以下、Cuを5重量%以
下、Znを5重量%以下、Mnを1重量%以下、Feを
0.7重量%以下、Crを0.35重量%以下含む粉末
と、の混合粉末を好適に用い得る。
【0035】これら(A)粉末と(B)粉末とは、
(A)粉末50〜70重量%に対して、(B)粉末30
〜50重量%が混合される。又、この場合、上述と同様
の理由により、(A)粉末の粒径範囲は30〜150μ
m、(B)粉末の粒径範囲は10〜150μmとされ
る。このように、溶射原料粉末を(A)粉末と(B)粉
末との混合粉末として得ることにより、耐焼付性に優れ
た(A)粉末と、耐摩耗性に優れた(B)粉末の特性を
効果的に皮膜に分散することができる点で有利である。
【0036】本発明の溶射皮膜は、上記組成の溶射原料
粉末を用いて、溶射法により、主にAl及び/又はAl
合金組織で構成された溶射皮膜内に、単体のSn成分、
更にはSi成分の相が塊として適当に分散するように形
成される。溶射被膜中、合金を形成しないAl部分は、
単体組織として存在する。
【0037】この溶射皮膜を、好ましくは、高速フレー
ム溶射法(高速ガスフレーム溶射法)を用いて成膜する
と、溶射原料粉末の成分変化が少なく、粒子間の密着強
さが大きく、Sn、更にはSi相の塊の脱落を防ぐこと
ができる。これにより、皮膜の引張り強度が安定し、優
れた耐焼付性及び耐摩耗性を有する溶射皮膜が得られ
る。このため、皮膜を機械加工する時に皮膜から粒子
(Sn、Si成分)が脱落するのを防止することがで
き、巣の無い健全な加工仕上げが可能となる。
【0038】本発明における高速フレーム溶射法は、燃
焼ガスとしてプロパンガス、プロピレンガス、ブタン、
エタン、エチレン、天然ガス、水素ガス又は灯油、助燃
ガスとして酸素又は圧縮空気を用い、これら燃焼ガスと
助燃ガスとの混合燃焼による燃焼エネルギーを利用した
溶射法である。
【0039】フレーム温度は、1500〜2800℃、
好ましくは1800〜2700℃の範囲である。フレー
ム温度が2800℃を超えると、溶射原料粉末に含まれ
る、特に、Snが酸化及び気化し、成分が減少する。
又、溶射皮膜内の粒界にSn及びその酸化物が積層し、
粒子間の密着強さを小さくする。一方、フレーム温度が
1500℃未満であると、溶射原料粉末の温度が低くな
り、未溶融粒子が多くなり好ましくない。ここで、温度
は、CCDカメラで測定した値である。
【0040】又、フレーム速度は、1000〜2500
m/秒、好ましくは1400〜2500m/秒の範囲で
ある。フレーム速度が1000m/秒未満であると、加
熱時間が長く、溶射原料粉末に含まれる、特に、Snが
酸化及び気化し、成分が減少する。又、加速が不十分な
ため、被溶射基材表面の密着強さ及び溶射皮膜内の粒子
間の密着強さが不足し、剥離の原因となるため好ましく
ない。一方、上述のような構成をした現状の溶射ガン1
の構造上から、フレームの最高速度は2500m/秒程
度に制限される。ここで、速度は、レーザーストロボで
測定した値である。
【0041】溶射時の溶射距離(溶射ガン1と被溶射基
材100との距離)は、100〜400mm、好ましく
は200〜300mmの範囲に保持する。この溶射距離
が100mm未満である場合、被溶射基材への熱影響が
大きく、変形する。一方、溶射距離が400mmを超え
ると、溶射粉末の酸化量が多く、溶射皮膜内の粒子間の
密着強さが不足して剥離の原因となるため好ましくな
い。
【0042】被溶射基材の表面は、密着表面を拡大し、
溶射皮膜との密着強さを維持するために、皮膜形成する
前に溶射すべき被溶射基材表面の一部或いは全部のスケ
ールを取り除き、予め洗浄化し、粗面化処理をおこなう
ことが必要である。粗面化処理は、グリットブラスト処
理にて行うのが好適であり、SiC、アルミナなどのグ
リットを0.5MPa程度の圧力で被溶射基材表面に吹
き付けて行う。
【0043】主にブラスと処理により、粗面化処理後の
被溶射基材の溶射面は、表面粗さ、μmRz(JIS
B 0601:十点平均粗さ)=25〜90にする。μ
mRzが25未満であると、高荷重に対し溶射皮膜と被
溶射基材との密着強さが不足し、剥離の原因になる。μ
mRzが90を超えると、溶射皮膜の厚さが均一となる
ように薄膜にすることが難しい。好ましくは、μmRz
=30〜60の粗さにする。
【0044】尚、ブラスト処理をした後、被溶射基材を
50〜150℃に加熱した後に溶射することが好ましい
が、必ずしも加熱する必要はない。温度を50℃以上に
上げることで、結露の発生を抑えたり、密着力を増す効
果がある。又、基材の熱変形や基材の強度劣化を防ぐた
めに基材を150℃以下にする。更に、溶射中の皮膜及
び基材の温度は、皮膜の酸化を防ぐために200℃以
下、好ましくは150℃以下に制御することが望まし
い。
【0045】又、被膜の厚みは耐摩耗性効果を得るため
には0.02mm以上に、又溶射中の剥離や摺動中の熱
応力による剥離を防ぐために0.5mm以下にすること
が好ましい。又、溶射後の被膜表面粗度は、μmRa
(JIS B 0601:中心線平均粗さ)=0.4〜
6.0に仕上げ加工するのが好ましい。μmRaが6.
0を超えると耐焼付性を損ない、0.4未満ではコスト
高になる。
【0046】又、本発明に従う溶射皮膜は、He、A
r、N2などの不活性ガスを300℃以上に加熱して、
速度1000m/秒以上の高速ジェットを形成し、この
高速ジェットを用いて被溶射基材に溶射原料を溶射する
ことによっても得られる。この高速ジェット溶射法を用
いて成膜しても、溶射原料粉末の成分変化が少なく、粒
子間の密着強さが大きく、Sn、更にはSi相の塊の脱
落を防ぐことができ、上記高速フレーム溶射法の場合と
同様の効果を得ることができる。斯かる方法を実施し得
る溶射装置を簡単に説明すると、図7に示すように、高
速低温ジェット溶射装置10は、キャリアガスとしてH
e、Ar、N2などの不活性ガスを供給する高圧ボンベ
11、粉末量及びキャリアガスの量と速度の制御を行う
高圧粉末供給装置12、ノズル14を備える高速燃焼ガ
ン13を有している。溶射原料粉末は、高圧粉末供給装
置12で上記不活性ガスにより高速で噴射され、出口の
高速燃焼ガン13において高圧燃料15が供給されると
共にフレームの熱量、速度制御がなされて、ノズル14
の先端からは300度以上、1000m/秒以上の高速
ジェットフレーム16が形成される。この高速ジェット
フレーム16により、粉末は加熱、加速されて高速で噴
出される。そして、粉末は、被溶射基材100の表面へ
と衝突して、その表面に溶射皮膜102を形成する。
【0047】本発明に従って形成された溶射皮膜の断面
組織を光学顕微鏡で観察した(倍率200倍)結果を図
1に示す。黒点で示されるSn、灰色で示されるSi粒
子が、均一に分散分布しているAl合金組織が観察され
た。図2は、本発明に従ってアトマイズ法にて作製した
溶射原料粉末であり、表面にSnが存在するAl合金粉
末の外観のSEM観察画像(倍率100倍)を示す。
【0048】次に、本発明を実施例と比較例とを参照し
て更に説明する。
【0049】実施例 溶射原料粉末として、下記の表に示す組成の溶射原料粉
末を用いて作製した溶射皮膜の、耐圧力、耐摩耗性、耐
焼付性を評価した。試験は、本発明に従う実施例1及び
2、及び本発明に従わない比較例1〜3について行い、
比較検討した。比較例2、3は、従来のPb入りCu合
金溶射被膜である。
【0050】溶射原料粉末は、全て不活性ガスを用いた
アトマイズ法により作製したものである。混合粉末は、
それぞれアトマイズ法により作製した粉末を下記の割合
で混合した。
【0051】被溶射基材としては、外径85mm×内径
42mm×厚さ5.5mmの寸法を有し、SS400で
作製したリング状の試験片を使用した。
【0052】先ず、上記リング状の試験片の溶射面をμ
mRz=30〜60の粗面に処理した。この粗面化処理
は、アルミナグリット(粒度#20(JIS R 60
01、JIS R 6111);710〜1700μ
m)を圧力0.5MPaで吹き付けるグリットブラスト
処理にて行った。
【0053】次いで、図6に示す溶射ガン1を使用し
て、予熱処理を行った。このとき、溶射ガン1は、下記
に示す溶射条件にて、但し、溶射原料粉末を供給しない
で、溶射距離を250mmに保ち、フレームのみを噴射
するように作動させ、試験片を100℃に加熱して、各
試験片表面の湿気、水、水蒸気を除去した。
【0054】次いで、この面に、図6に示す溶射ガン1
を用いて、下記条件の高速フレーム溶射法により250
μmの厚さの溶射皮膜を施した。更に溶射皮膜の表面を
切削加工にてμmRa=0.8〜1.0、厚さ100〜
120μmに仕上げた。仕上げ面には、0.01mm径
以上の巣は存在しなかった。 (高速フレーム溶射条件) ・燃焼ガス プロピレンガス:圧力=6.5Bar(0.65MPa) 流量=50〜75SLM ・助燃ガス 酸素 :圧力=12Bar(1.2MPa)、 流量=300〜350SLM ・補助冷却 圧縮空気 :圧力=6Bar(0.6MPa) 流量=350〜450SLM ここで、「SLM」は、標準状態に換算したガス流量(リットル/分)を意味 する。 ・フレーム温度 :約2500℃ ・フレーム速度 :約1500m/秒 ・溶射距離 :200〜280mm ・粉末供給量 :30〜50g/分
【0055】
【表1】
【0056】耐圧力は、上述のようにして作製した溶射
皮膜を有するリング状の試験片を用い、万能試験機にて
圧縮し、その溶射皮膜と基材とが剪断剥離する耐圧力を
測定した。その結果を図3に示す。
【0057】同様に、上述のようにして作製した溶射皮
膜を有するリング状の試験片を用い、ピンオンデスク試
験を行い、耐摩耗性、耐焼付性を評価した。相手材とし
ては、SUJ2を硬さRc(ロックウェル硬さ試験機:
C硬さ)=58〜60に処理してμmRa=0.3以下
に仕上げたもの(SUJ2ブロック)を用いた。ピンオ
ンデスク試験では、リング状の試験片表面にSUJ2ブ
ロックを面圧220MPaで押圧し、且つ試験片を周速
20m/秒で回転することにより、皮膜(リング)の摩
耗量とSUJ2ブロックの摩耗量、即ち、相手攻撃性と
を測定した。その結果を図4に示す。
【0058】更に、上述のようにして作製した溶射皮膜
を有するリング状の試験片にSUJ2ブロックを面圧2
20MPaで押圧し、且つ試験片を周速20m/秒で回
転して、焼き付くまでの荷重を測定した。その結果を図
5に示す。
【0059】尚、対照として、上記リング状の試験片の
表面に、従来のSnメッキを施したもの(メッキ厚さ
0.01mm)を使用し、同じ条件にて耐圧力、耐摩耗
性、耐焼付性を試験した。
【0060】図3〜図5に示す結果から総合評価して、
本発明に従って作製した実施例1及び2は、比較例と比
べて、高回転・高負荷がかかる運転条件において、同等
若しくはそれ以上の優れた耐焼付性及び耐摩耗性を示す
ことが分かる。対照とした従来品のSnメッキを施した
ものでは、最大摩耗深さが0.01mm以上にまで摩耗
し、下地のSS400が露出して焼付いたのに対して、
本発明従って溶射被膜が形成された試験片では、耐摩耗
性、耐焼付性、耐圧強度に優れていることが分かった。
【0061】このように、本発明に従う溶射被膜は、例
えば、Pbの環境に対する安全性の問題でPbを含む合
金系の使用が不可能となった場合でも、これに替わっ
て、例えばエアーコンプレッサーポンプ用斜板に施す溶
射被膜として十分に使用が可能であり、軽量化をも図る
ことができる。又、溶射皮膜は主にAl又はAl合金組
織からなるので、特に、Al合金部材の面に形成するこ
とで、リサイクルが容易となる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
Snを含んだAl又はAl合金粉末(Al−Sn系合金
粉末)を用いて被溶射基材表面に溶射を行うことで、 (1)高回転、高負荷、無潤滑条件で、優れた耐焼付
性、耐摩耗性を有する被膜を、高速で且つ容易に被溶射
基材表面に成膜することができる。 (2)仕上げ加工時において、被膜から粒子の脱落がな
く、仕上げ面に欠陥の無い密着性の良好な被膜を作製す
ることができる。 (3)特に、Al合金、Cu合金、鋳鉄又は鉄鋼系合金
で作製したエアーコンプレッサーポンプ用斜板の一部或
いは全部の表面に潤滑性、耐摩耗性に優れた溶射被膜を
形成することができる。 (4)特に、Al合金部材の面に形成することで、リサ
イクルが容易になると共に、Pb入り摺動部材の代替と
して用いることができ、軽量化及び環境に対する安全性
を向上させることができる。 といった多くの効果を達成し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って形成された溶射被膜の断面組織
図(光学顕微鏡観察画像)である。
【図2】本発明に従う溶射原料粉末の外観図(SEM観
察画像)である。
【図3】本発明に従って形成された溶射被膜と、比較例
とにおける耐圧力を示すグラフ図である。
【図4】本発明に従って形成された溶射被膜と、比較例
とにおける耐摩耗性を示すグラフ図である。
【図5】本発明に従って形成された溶射被膜と比較例と
における焼付け荷重を示すグラフ図である。
【図6】本発明を実施するために用い得る溶射装置の一
例の概略構成を示す図である。
【図7】本発明を実施するために用い得る溶射装置の他
の例の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 高速フレーム溶射装置 2 粉末投入ポート 3 ノズル 4 エアキャップ 5 エアキャップボディー 6,8 圧縮空気 7 燃焼・助燃混合ガス 9 高速フレーム 10 高速低温ジェット溶射装置 100 溶射基材 102 溶射被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 4/12 C23C 4/12 F04B 27/08 F04B 27/08 A E L (72)発明者 荒川 忠興 東京都練馬区氷川台3丁目4番2号 スル ザーメテコジャパン株式会社内 (72)発明者 楠井 潤 大阪府大阪市中央区久太郎町三丁目6番8 号 東洋アルミニウム株式会社内 (72)発明者 木村 亨 大阪府大阪市中央区久太郎町三丁目6番8 号 東洋アルミニウム株式会社内 Fターム(参考) 3H076 AA05 BB26 BB38 CC20 CC99 4K018 AA16 AA18 BA08 BB04 BC12 BD09 KA02 4K031 AA02 AB08 BA01 CB01 CB10 CB18 CB37 DA01 EA10 EA12

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単体のSn成分の相が分散しているAl
    及び/又はAl合金組織から成ることを特徴とする溶射
    皮膜。
  2. 【請求項2】 溶射原料粉末として、Snを5〜40重
    量%含むAl及び/又はAl合金粉末を被溶射基材表面
    に溶射して形成されることを特徴とする請求項1の溶射
    皮膜。
  3. 【請求項3】 前記溶射原料粉末は更に、Siを17〜
    50重量%含むことを特徴とする請求項2の溶射皮膜。
  4. 【請求項4】 前記溶射原料粉末は、アトマイズ法によ
    り作製され、成分としてAlを45〜95重量%、Sn
    を5〜40重量%含み、更に、Siを50重量%以下、
    Mgを6重量%以下、Cuを5重量%以下、Znを5重
    量%以下、Mnを1重量%以下、Feを0.7重量%以
    下又はCrを0.35重量%以下のいずれかを含んでい
    ることを特徴とする請求項1又は2の溶射皮膜。
  5. 【請求項5】 前記溶射原料粉末の粒径範囲は、10〜
    150μmであることを特徴とする請求項4の溶射皮
    膜。
  6. 【請求項6】 前記溶射原料粉末は、(A)アトマイズ
    法で作製され、成分としてAlを50〜90重量%、S
    nを10〜40重量%含む粉末、(B)アトマイズ法で
    作製され、成分としてAlを50〜95重量%、Siを
    50重量%以下、Mgを6重量%以下、Cuを5重量%
    以下、Znを5重量%以下、Mnを1重量%以下、Fe
    を0.7重量%以下、Crを0.35重量%以下含む粉
    末、の混合粉末であることを特徴とする請求項4又は5
    の溶射皮膜。
  7. 【請求項7】 前記混合粉末は、前記(A)粉末50〜
    70重量%と、前記(B)粉末30〜50重量%と、を
    混合して成ることを特徴とする請求項6の溶射皮膜。
  8. 【請求項8】 前記(A)粉末の粒径範囲は30〜15
    0μm、前記(B)粉末の粒径範囲は10〜150μm
    であることを特徴とする請求項6又は7の溶射皮膜。
  9. 【請求項9】 燃焼ガスとしてプロパンガス、プロピレ
    ンガス、ブタン、エタン、エチレン、天然ガス、水素ガ
    ス又は灯油、助燃ガスとして酸素又は空気を用いてフレ
    ーム温度が1500〜2800℃、フレーム速度が10
    00〜2500m/秒の高速フレームを形成し、この高
    速フレームを用いて溶射距離100〜400mmに保持
    して被溶射基材表面に溶射原料粉末を溶射することによ
    って形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれ
    かの項に記載の溶射皮膜。
  10. 【請求項10】 不活性ガスを300℃以上に加熱して
    速度1000m/秒以上の高速ジェットを形成し、この
    高速ジェットを用いて被溶射基材に溶射原料粉末を溶射
    することによって形成されることを特徴とする請求項1
    〜8のいずれかの項に記載の溶射皮膜。
  11. 【請求項11】 粗さμmRz=25〜90に粗面化処
    理した被溶射基材表面に形成されることを特徴とする請
    求項1〜10のいずれかの項に記載の溶射皮膜。
  12. 【請求項12】 Al合金、Cu合金、鋳鉄又は鉄鋼系
    合金にて作製された機器部品に形成されることを特徴と
    する請求項1〜11のいずれかの項に記載の溶射皮膜。
  13. 【請求項13】 前記機器部品は、エアーコンプレッサ
    ーポンプ用斜板であることを特徴とする請求項12の溶
    射皮膜。
  14. 【請求項14】 被溶射基材表面に溶射原料粉末を溶射
    して、被溶射基材表面に皮膜を形成する方法において、
    前記溶射原料粉末に、Snを5〜40重量%含むAl及
    び/又はAl合金粉末を使用することを特徴とする溶射
    皮膜の形成方法。
  15. 【請求項15】 前記溶射原料粉末は更に、Siを17
    〜50重量%含むことを特徴とする請求項14の溶射皮
    膜の形成方法。
  16. 【請求項16】 前記溶射原料粉末は、アトマイズ法に
    より作製され、成分としてAlを45〜95重量%、S
    nを5〜40重量%含み、更に、Siを50重量%以
    下、Mgを6重量%以下、Cuを5%以下、Znを5重
    量%以下、Mnを1重量%以下、Feを0.7重量%以
    下、Crを0.35重量%以下のいずれかを含んでいる
    ことを特徴とする請求項14の溶射皮膜の形成方法。
  17. 【請求項17】 前記溶射原料粉末の粒径範囲は、10
    〜150μmであることを特徴とする請求項16の溶射
    皮膜の形成方法。
  18. 【請求項18】 前記溶射原料粉末は、(A)アトマイ
    ズ法で作製され、成分としてAlを50〜90重量%、
    Snを10〜40重量%含む粉末、(B)アトマイズ法
    で作製され、成分としてAlを50〜95重量%、Si
    を50重量%以下、Mgを6重量%以下、Cuを5重量
    %以下、Znを5重量%以下、Mnを1重量%以下、F
    eを0.7重量%以下、Crを0.35重量%以下含む
    粉末、の混合粉末であることを特徴とする請求項16又
    は17の溶射皮膜の形成方法。
  19. 【請求項19】 前記混合粉末は、前記(A)粉末50
    〜70重量%と、前記(B)粉末30〜50重量%と、
    を混合して成ることを特徴とする請求項18の溶射皮膜
    の形成方法。
  20. 【請求項20】 前記混合粉末は、前記(A)粉末の粒
    径範囲は30〜150μm、前記(B)粉末の粒径範囲
    は10〜150μmであることを特徴とする請求項18
    又は19の溶射皮膜の形成方法。
  21. 【請求項21】 燃焼ガスとしてプロパンガス、プロピ
    レンガス、ブタン、エタン、エチレン、天然ガス、水素
    ガス又は灯油、助燃ガスとして酸素又は空気を用いてフ
    レーム温度が1500〜2800℃、フレーム速度が1
    000〜2500m/秒の高速フレームを形成し、この
    高速フレームを用いて溶射距離100〜400mmに保
    持して被溶射基材に溶射原料粉末を溶射することを特徴
    とする請求項14〜20のいずれかの項に記載の溶射皮
    膜の形成方法。
  22. 【請求項22】 不活性ガスを300℃以上に加熱して
    速度1000m/秒以上の高速ジェットを形成し、この
    高速ジェットを用いて被溶射基材に溶射原料粉末を溶射
    することを特徴とする請求項14〜20のいずれかの項
    に記載の溶射皮膜の形成方法。
  23. 【請求項23】 被溶射基材の溶射皮膜を施す面を粗さ
    μmRz=25〜90に粗面化処理した後、その表面に
    溶射を行うことを特徴とする請求項14〜22のいずれ
    かの項に記載の溶射皮膜の形成方法。
  24. 【請求項24】 被溶射基材は、Al合金、Cu合金、
    鋳鉄又は鉄鋼系合金にて作製された機器部品であること
    を特徴とする請求項14〜23のいずれかの項に記載の
    溶射皮膜の形成方法。
  25. 【請求項25】 前記機器部品は、エアーコンプレッサ
    ーポンプ用斜板であることを特徴とする請求項24の溶
    射皮膜の形成方法。
  26. 【請求項26】 アトマイズ法により形成され、成分と
    してAlを45〜95重量%、Snを5〜40重量%含
    み、更に、Siを50重量%以下、Mgを6重量%以
    下、Cuを5重量%以下、Znを5重量%以下、Mnを
    1重量%以下、Feを0.7重量%以下、Crを0.3
    5重量%以下のいずれかを含むことを特徴とする溶射原
    料粉末。
  27. 【請求項27】 前記溶射原料粉末の粒径範囲は、10
    〜150μmであることを特徴とする請求項26の溶射
    原料粉末。
  28. 【請求項28】 (A)アトマイズ法で作製され、成分
    としてAlを50〜90重量%、Snを10〜40重量
    %含む粉末、(B)アトマイズ法で作製され、成分とし
    てAlを50〜95重量%、Siを50重量%以下、M
    gを6重量%以下、Cuを5重量%以下、Znを5重量
    %以下、Mnを1重量%以下、Feを0.7重量%以
    下、Crを0.35重量%以下含む粉末、の混合粉末で
    あることを特徴とする請求項26又は27の溶射原料粉
    末。
  29. 【請求項29】 前記混合粉末は、前記(A)粉末50
    〜70重量%と、前記(B)粉末30〜50重量%と、
    を混合して成ることを特徴とする請求項28の溶射原料
    粉末。
  30. 【請求項30】 前記(A)粉末の粒径範囲は30〜1
    50μm、前記(B)粉末の粒径範囲は10〜150μ
    mであることを特徴とする請求項28又は29の溶射原
    料粉末。
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