JP2003138154A - アザ多環芳香族系化合物およびその製造方法、ならびにアザ多環芳香族系化合物を含有する色素 - Google Patents

アザ多環芳香族系化合物およびその製造方法、ならびにアザ多環芳香族系化合物を含有する色素

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JP2003138154A
JP2003138154A JP2002062266A JP2002062266A JP2003138154A JP 2003138154 A JP2003138154 A JP 2003138154A JP 2002062266 A JP2002062266 A JP 2002062266A JP 2002062266 A JP2002062266 A JP 2002062266A JP 2003138154 A JP2003138154 A JP 2003138154A
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aromatic compound
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Yukinori Nagao
幸徳 長尾
Akifumi Adachi
昌文 安達
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 長波長領域(例えば680nm以上の領域)
に吸収帯を有するとともに、吸収強度が大きく、かつ堅
牢性や溶解性などの特性にも優れた色素の提供。 【解決手段】 下記一般式(II)で示される化合物。 (式(II)中X′は酸素原子、窒素原子、硫黄原子ま
たはリン原子を表し、Y′およびZ′は、酸素原子、窒
素原子、炭素原子または硫黄原子を表す。X′、Y′お
よびZ′は、結合基を有していてもよく、X′とY′ま
たはX′とZ′は、それぞれ連結基を介して互いに結合
して環を形成してもよい。V′およびW′は、水素原
子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、フッ素原子、硫黄
原子、塩素原子、臭素原子または沃素原子を含む置換基
を表わすが、互いに結合して環を形成してもよい。式中
の水素原子はいずれも置換されていてもよく、該置換に
より分子中の他の環と共に縮合環を形成していてもよ
い。n′は0〜8の整数を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長波長領域に吸収
帯を有するとともに、溶解性や堅牢性に優れ、色素とし
て有用な、アザ多環芳香族系化合物およびその製造方
法、ならびにこのアザ多環芳香族系化合物を含有する色
素に関するものである。
【0002】
【従来の技術】長波長領域、例えば、680nm以上の
長波長領域に吸収帯を有する色素は、光電変換材料、有
機太陽電池、記録材料、セキュリティ材料、指示試薬な
ど、種々の用途に利用されている。ところが、こうした
長波長領域に吸収帯を有する色素として従来用いられて
いる化合物は、一般に容易に劣化してしまい、その機能
を失いやすいという問題がある。
【0003】こうした問題を改善すべく、近年、劣化を
受けにくい特性を有する多環芳香族系化合物を用いて、
分子骨格を拡大することにより長波長領域に吸収帯を有
するようにした、新たな化合物の研究開発が盛んに行な
われており、例えば、下記式(V)
【化8】 (V) で表わされる化合物が、Angew. Chem. Int. Ed. 34, 13
23 (1995) に報告されている。
【0004】しかし、かかる多環芳香族系化合物を使用
した色素は、分子骨格を拡大して吸収波長領域を長波長
化しているので、いずれも分子量が大きくなってしま
い、溶解性に乏しい等の実用上制約を受けることが多
い。
【0005】また、こうした多環芳香族化合物のアザ化
に関する研究もなされているが、ドイツ公開特許DE4
005056に開示されている下記式(VI)
【化9】 (VI) により示される化合物等がわずかに知られているにすぎ
ず、長波長領域に吸収帯を有する色素としての応用はほ
とんどなされていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情から、長波
長領域に吸収帯を有する色素に関しては、その多様性、
機能性等のより一層の拡大を求めて、新規な色素の開発
が求められている。本発明は、長波長領域(例えば68
0nm以上の領域)に吸収帯を有するとともに、吸収強
度が大きく、かつ堅牢性や溶解性などの特性にも優れ
た、新規な色素材料およびその製造方法、ならびにそれ
を用いた色素の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討を重ねた結果、特定の多環芳香族
化合物の特定位置をアザ化した新規なアザテリレン系化
合物が、溶解性を低下させやすい芳香環の数が比較的少
ないにも関らず、長波長領域に吸収を有し、かつ堅牢性
にも優れていることから、色素として用いる上で工業的
に優れた性能を有することを見出し、本発明を完成し
た。
【0008】即ち、本発明の要旨は、下記一般式(I)
で示されることを特徴とする、アザ多環芳香族系化合物
に存する。
【化10】 (I) (上記一般式(I)に於いて、Xは、酸素原子、窒素原
子、硫黄原子またはリン原子を表し、YおよびZは各々
独立に、酸素原子、窒素原子、炭素原子または硫黄原子
を表す。X、YおよびZは各々独立に、結合基を有して
いてもよい。Xが窒素原子、硫黄原子またはリン原子で
あって、YまたはZが窒素原子、炭素原子または硫黄原
子である場合には、XとY、あるいは、XとZは、それ
ぞれ連結基を介して互いに結合して環を形成してもよ
い。VおよびWは各々独立に、水素原子、炭素原子、窒
素原子、酸素原子、フッ素原子、硫黄原子、塩素原子、
臭素原子または沃素原子を含む置換基を表す。Vおよび
Wは、互いに結合して環を形成してもよい。上記一般式
(I)中の水素原子は、いずれも置換されていてもよ
く、該置換により分子中の他の環と共に縮合環を形成し
ていてもよい。nは0〜8の整数を表す。)
【0009】また、本発明の別の要旨は、下記一般式
(II)で示されることを特徴とする、アザ多環芳香族
系化合物に存する。
【化11】 (II) (上記一般式(II)に於いて、X′は、酸素原子、窒
素原子、硫黄原子またはリン原子を表し、Y′および
Z′は各々独立に、酸素原子、窒素原子、炭素原子また
は硫黄原子を表す。X′、Y′およびZ′は各々独立
に、結合基を有していてもよい。X′が窒素原子、硫黄
原子またはリン原子であって、Y′またはZ′が窒素原
子、炭素原子または硫黄原子である場合には、X′と
Y′、あるいは、X′とZ′は、それぞれ連結基を介し
て互いに結合して環を形成してもよい。V′およびW′
は各々独立に、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原
子、フッ素原子、硫黄原子、塩素原子、臭素原子または
沃素原子を含む置換基を表わす。V′およびW′は、互
いに結合して環を形成してもよい。上記一般式(II)
中の水素原子は、いずれも置換されていてもよく、該置
換により分子中の他の環と共に縮合環を形成していても
よい。n′は0〜8の整数を表す。)
【0010】さらに、本発明の別の要旨は、下記一般式
(III)で示される多環芳香族系化合物
【化12】 (III) (上記一般式(III)に於いて、X、YおよびZは各
々、上記一般式(I)における同じ符号と同様の基を表
わし、R3、R4およびR5は各々独立に、炭素数8以下
のアルキル基を表す。上記一般式(III)中の水素原
子は、いずれも置換されていてもよく、該置換により分
子中の他の環と共に縮合環を形成していてもよい。nは
0〜8の整数を表す。)と、下記一般式(IV)で示さ
れるキノリン系化合物
【化13】 (IV) (上記一般式(IV)に於いて、VおよびWは各々、上
記一般式(I)における同じ符号と同様の基を表わし、
Uは、ハロゲン原子を表す。上記一般式(IV)中の水
素原子は、いずれも置換されていてもよく、該置換によ
り分子中の他の環と共に縮合環を形成していてもよ
い。)とをカップリング反応させることにより、上記一
般式(I)で表わされるアザ多環芳香族系化合物を製造
することを特徴とする、アザ多環芳香族系化合物の製造
方法に存する。
【0011】また、本発明の別の要旨は、上記一般式
(I)で表わされるアザ多環芳香族系化合物を閉環反応
させることにより、上記一般式(II)で表わされるア
ザ多環芳香族系化合物を製造することを特徴とする、ア
ザ多環芳香族系化合物の製造方法に存する。
【0012】加えて、本発明の別の要旨は、上記一般式
(I)で表わされるアザ多環芳香族系化合物、または、
上記一般式(II)で表わされるアザ多環芳香族系化合
物を含有することを特徴とする、色素に存する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明の化合物は、下記一般式(I)または下記一
般式(II)で示される構造を有するものである。
【化14】 (I)
【0014】
【化15】 (II)
【0015】上記一般式(I)におけるnおよび上記一
般式(II)におけるn′は、通常0〜8の整数を示
し、好ましくは0〜7、更に好ましくは0〜3、特に好
ましくは0または1である。
【0016】上記一般式(I)におけるXおよび上記一
般式(II)におけるX′は、酸素原子、窒素原子、硫
黄原子またはリン原子を表わすが、これらの中でも酸素
原子および窒素原子が、特にこれらの中でも窒素原子
が、合成の容易さおよび原料の多様性の面で好ましい。
【0017】上記一般式(I)におけるYおよびZ、並
びに、上記一般式(II)におけるY′およびZ′は、
それぞれ、酸素原子、窒素原子、炭素原子または硫黄原
子を表し、互いに異なっていてもよいが、これらの中で
も酸素原子および窒素原子が、合成の容易さおよび原料
の多様性の面で好ましい。
【0018】X、YおよびZは、それぞれ、結合基を有
していてもよく、Xが窒素原子、硫黄原子またはリン原
子であり、YまたはZが、窒素原子、炭素原子または硫
黄原子である場合には、XとY、あるいは、XとZは、
それぞれ連結基を介して互いに結合して環を形成しても
よい。同様に、X′、Y′およびZ′は、それぞれ、結
合基を有していてもよく、X′が窒素原子、硫黄原子ま
たはリン原子であり、Y′またはZ′が、窒素原子、炭
素原子または硫黄原子である場合には、X′とY′、あ
るいは、X′とZ′は、それぞれ連結基を介して互いに
結合して環を形成してもよい。該連結基としては、置換
基や縮合環を有していてもよい炭素数1以上10以下の
アルキレン基、炭素数2以上10以下のアルケニレン基
が挙げられる。該置換基としては、例えば、炭素数20
以下程度のアルキル基を挙げることができる。また、縮
合環の炭素数としては、2以上25以下程度、中でも3
以上15以下程度が適切である。
【0019】上記一般式(I)において、YとZが酸素
原子であり、Xが窒素原子である場合、および、上記一
般式(II)において、Y′とZ′が酸素原子であり、
X′が窒素原子である場合が好ましく例示されるが、こ
の場合の、窒素原子に付加する置換基としては、例え
ば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec
−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−エチ
ルヘキシル基、シクロヘキシル等の炭素数1〜20程度
の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基が好ましく挙げ
られる。また置換基としては、ヒドロキシ基、アリール
基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ
基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環基、アリールオ
キシ基等も挙げられる。これらの置換基はさらに置換さ
れていても良い。置換基の総炭素数は1以上が好まし
く、中でも2以上が更に好ましく、また、30以下が好
ましく、中でも20以下が更に好ましい。
【0020】また、上記一般式(I)において、Xが窒
素原子であり、YまたはZのいずれか一方が窒素原子で
他方が酸素原子であり、YおよびZのうちの窒素原子で
あるいずれか一方が、Xを伴って環を構成している場
合、および、上記一般式(II)において、X′が窒素
原子であり、Y′またはZ′のいずれか一方が窒素原子
で他方が酸素原子であり、Y′およびZ′のうちの窒素
原子であるいずれか一方が、Xを伴って環を構成してい
る場合、が好ましく例示されるが、この場合の環として
は、例えば、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、
ナフトイミダゾール環、フェナンスロイミダゾール環等
の、通常は炭素数2以上25以下、中でも炭素数3以上
15以下程度の、窒素原子をヘテロ原子とする複素環、
および、さらにこれに置換基や縮合環を有しているもの
でも良い。該置換基としては、メチル基、エチル基、n
−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブ
チル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチ
ル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭
素数1〜20程度の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル
基やヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、アラル
キルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル
基、ヘテロ環基、アリールオキシ基等も挙げられる。こ
れらの置換基はさらに置換されていても良く、置換基の
総炭素数は1以上が好ましく、中でも2以上が更に好ま
しく、また、30以下が好ましく、中でも20以下が更
に好ましい。Xを伴う環のトータルの炭素数としては、
通常、2以上、50以下、中でも、3以上、20以下と
するのがよい。
【0021】また、上記一般式(I)におけるVおよび
W、並びに上記一般式(II)におけるV′およびW′
は、それぞれ、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原
子、フッ素原子、硫黄原子、塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子を含む置換基を表し、互いに異なっていても
よく、互いに結合して環を形成してもよい。また、式中
の水素原子は置換されていてもよく、該置換により分子
中の他の環と共に縮合環を形成していてもよい。
【0022】これらの中でも、V、W、V′およびW′
がそれぞれ互いに異なっていてもよいアルキル基である
場合が好ましい。
【0023】VおよびWの分子量としては、VおよびW
のそれぞれが、通常、1以上、200以下程度、中でも
1以上、100以下程度が好ましい。また、VおよびW
が互いに結合して環を形成する場合の、置換基としての
総分子量としては、通常、30以上、400以下程度、
中でも30以上、300以下程度が好ましい。
【0024】上記一般式(I)において、VおよびWが
互いに環を形成しない場合、あるいは、上記一般式(I
I)において、V′およびW′が互いに環を形成しない
場合、V、W、V′およびW′としては、それぞれ、例
えば、水素原子;フッ素原子;塩素原子;臭素原子;沃
素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プ
ロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチ
ル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−エチルヘキ
シル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜15程度の直
鎖、分岐もしくは環状のアルキル基;アミノ基;カルボ
キシル基が挙げられる。またこれらは置換基を有してい
てもよく、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、
アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカル
ボニル基、ヘテロ環基、アリールオキシ基等、アミノ基
も挙げられる。これらの置換基はさらに置換されていて
も良く、置換基の総炭素数は、1以上が好ましく、中で
も2以上が更に好ましく、また、30以下が好ましく、
更に好ましくは2から20である。
【0025】上記一般式(I)においてVおよびWが互
いに環を形成する場合、あるいは上記一般式(II)に
おいてV′およびW′が互いに環を形成する場合、Vお
よびW、あるいはV′およびW′が形成する環構造とし
ては、ジカルボキシ無水物として以下の式
【化16】 により表わされる環構造、ジカルボキシ無水イミドとし
て以下の式
【化17】 により表わされる環構造、または、ジカルボキシ無水イ
ミダゾールとして以下の式
【化18】 によりそれぞれ表わされる環構造が挙げられる。これら
の環構造は、さらにこれに置換基や縮合環を有していて
も良い。
【0026】なお、上記式におけるRを含め、上記の各
環構造が有していてもよい置換基としては、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチ
ル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル
基、n−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘ
キシル基等の炭素数1〜20程度の直鎖、分岐もしくは
環状のアルキル基やヒドロキシ基、アリール基、アルコ
キシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、アルコ
キシカルボニル基、ヘテロ環基、アリールオキシ基等も
挙げられる。これらの置換基はさらに置換されていても
良く、置換基の総炭素数は1以上が好ましく、中でも2
以上が更に好ましく、また、30以下が好ましく、中で
も20以下が更に好ましい。
【0027】また、上記の各環構造が有していてもよい
縮合環としては、例えば、イミダゾール環、ベンゾイミ
ダゾール環、ナフトイミダゾール環、フェナンスロイミ
ダゾール環等の、通常は炭素数2以上25以下程度、中
でも好ましくは炭素数7以上15以下程度の、窒素原子
をヘテロ原子とする複素環が挙げられ、縮合環の総炭素
数としては、通常は2以上25以下程度、中でも好まし
くは3以上15以下程度とするのがよい。
【0028】上記一般式(I)におけるVおよびW、お
よび、上記一般式(II)におけるV′およびW′の構
造の具体例を以下に示す。なお、例示の明確化のため
に、VおよびW、または、V′およびW′がそれぞれ結
合する2つの六員環も合わせて示すことにする。
【化19】
【0029】本発明のアザ多環芳香族系化合物において
は、上記一般式(I)で表されるアザ多環芳香族系化合
物の中でも、下記一般式(Ia)
【化20】 (Ia) (上記一般式(Ia)に於いて、nは、0または1を表
し、R1は、置換基を有していてもよい炭素数20以下
のアルキル基を表し、V1およびW1は各々独立に、置換
基を有していてもよい炭素数10以下のアルキル基を表
す。)で表されるアザ多環芳香族系化合物が、溶解性が
高い点で好適である。上記一般式(Ia)のアザ多環芳
香族系化合物の中でも、R1が炭素数5〜20のアルキ
ル基であるアザ多環芳香族系化合物が特に好ましい。
【0030】また、上記一般式(II)で表されるアザ
多環芳香族系化合物のうち、下記一般式(IIa)
【化21】 (IIa) (上記一般式(IIa)に於いて、n′は、0または1
を表し、R2は、置換基を有していてもよい炭素数20
以下のアルキル基を表し、V2およびW2は各々独立に、
置換基を有していてもよい炭素数10以下のアルキル基
を表す。)で表されるアザ多環芳香族系化合物が、溶解
性が高い点より好ましい。上記一般式(IIa)のアザ
多環芳香族系化合物の中でも、R2が炭素数5〜20の
アルキル基であるアザ多環芳香族系化合物が、特に好ま
しい。
【0031】下記の表1〜表4に、上記一般式(I)で
表される本発明の化合物を、また、表5〜表8に、上記
一般式(II)で表される本発明の化合物の具体例を示
すが、本発明化合物はこれに限定されるものではない。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】前記一般式(I)で示されるアザ多環芳香
族系化合物は、例えば、下記一般式(III)で表され
る多環芳香族系化合物と、下記一般式(IV)で表され
るキノリン系化合物をカップリング反応させることによ
って製造することが出来る。
【化22】 (III)
【0041】上記一般式(III)に於いて、X、Yお
よびZは各々、上記一般式(I)における同じ符号の基
と同じ定義を表わす。また、nも、上記一般式(I)と
同じ定義を表わす。R3、R4およびR5は各々独立に、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル
基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n
−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、シク
ロヘキシル基等の炭素数8以下の直鎖、分岐、環状のア
ルキル基、好ましくは、炭素数8以下の直鎖のアルキル
基を表す。なお、上記一般式(III)中の水素原子
は、いずれも置換されていてもよく、該置換により分子
中の他の環と共に縮合環を形成していてもよい。
【0042】
【化23】 (IV)
【0043】上記一般式(IV)に於いて、VおよびW
は各々、上記一般式(I)における同じ符号の基と同じ
基を表わす。また、Uは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素
原子等のハロゲン原子、好ましくは臭素原子を表す。な
お、上記一般式(IV)中の水素原子は、いずれも置換
されていてもよく、該置換により分子中の他の環と共に
縮合環を形成していてもよい。
【0044】カップリング反応の条件としては、特に制
限はないが、例えば下記の条件が挙げられる。 ・触媒:通常は貴金属触媒存在下であるが、中でも、P
dCl2、Pd(OAc)2等のPd化合物、Pd(PP
34、Pd(PPh32Cl2、Pd2(dba)3
のPd錯体等のパラジウム系触媒が好ましい。 ・溶媒:トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系
溶媒、DMF等の非プロトン系溶媒が好ましい。 ・反応条件:通常は、溶媒中で還流攪拌しながら反応さ
せる。 ・温度:通常は100℃以上200℃以下の範囲である
が、中でも120℃以上160℃以下の範囲が好まし
い。 ・圧力:通常は常圧以上0.2MPa以下の範囲である
が、常圧が好ましい。 ・反応時間:通常は300分以上5日以下の範囲である
が、中でも500分以上50時間以下の範囲が好まし
い。 ・生成物の分離:常法に従って、蒸留による溶媒除去、
カラムクロマトグラフィー、再結晶化による分離等によ
り行なうことができる
【0045】一方、前記一般式(II)で示される化合
物は、例えば、前記一般式(I)の化合物を閉環反応さ
せることによって得られる。閉環反応の条件としては、
例えば、前記一般式(I)の化合物を溶媒、溶融塩又は
複合塩基試薬中に溶解し、アルカリ条件下で還流、溶融
又は加熱処理する。
【0046】・アルカリの種類:KOH、NaOH等の
無機強塩基試薬、DBN,DBU等の窒素含有有機塩基
試薬,t−BuOK等のアルカリ金属誘導体アルコキシ
ドなどの有機塩基試薬等、種々のものを選択できるが、
複合塩基試薬を用いることにより、より収率よく閉環反
応を行わせたり、より低い反応温度で反応させたりする
ことが可能となるので好ましい。複合塩基試薬として
は、前記した無機強塩基試薬と有機塩基試薬との組み合
わせ、複数の有機塩基試薬の組み合わせ等が挙げられ
る。中でも、複数の有機塩基試薬の組み合わせが好まし
い。具体的な好ましい組み合わせとしては、KOH/D
BN,t−BuOK/DBN,KOH/DBU,t−B
uOK/DBUなどが挙げられるが、これらの中でも特
にt−BuOK/DBNが好ましい。なお、前記の記載
において、DBNは1,5-diazabicyclo [4.3.0] non-5-e
ne を、DBUは1,8-diazabicyclo [5.4.0]undec-7-ene
を表す。)
【0047】・アルカリの濃度:反応液中のアルカリの
濃度は、通常は20%以上95%以下の範囲であるが、
中でも30%以上が好ましい。複合塩基試薬を用いる場
合は、全塩基の総濃度がこの濃度範囲内となるようにす
る。複合塩基試薬を用いる場合で、無機強塩基試薬と有
機塩基試薬とを組み合わせる場合の、無機強塩基試薬の
有機塩基試薬に対する比率(モル比)は、通常1/10
以上10/1以下、好ましくは1/5以上5/1以下、
より好ましくは1/2以上1/1以下である。窒素含有
有機塩基試薬と、その他の有機塩基試薬或いは更にそれ
に無機強塩基試薬を組み合わせる場合には、その他の有
機塩基試薬或いは更にそれに無機強塩基試薬を含めたも
のの窒素含有有機塩基試薬に対する比率(モル比)は、
通常1/10以上10/1以下、好ましくは1/5以上
5/1以下、より好ましくは1/2以上1/1以下であ
る。また、反応物(閉環反応の対象となる前記一般式
(I)の化合物)の複合強塩基試薬に対する比率は、通
常1/40以上1/2以下、好ましくは1/30以上1
/3以下とするのがよい。
【0048】・溶媒:無機強塩基試薬をアルカリとして
用いる場合には、メタノール、エタノール、ブタノー
ル、イソブチルアルコール等のアルコール類や、メチル
セロソルブ、エチルセロソルブ等の多価アルコールを用
いることができる。また、有機塩基試薬又は複合塩基試
薬を用いる場合、ジグライム、キノリン、トルエン、メ
シチレン等の高沸点、非プロトン性溶媒を用いることが
できる。
【0049】・反応条件:通常は溶媒中で還流もしくは
加熱攪拌するか、溶融塩中で溶融状態で攪拌しながら反
応させる。複合塩基試薬を用いる場合には窒素雰囲気下
で、溶媒中で還流若しくは加熱攪拌しながら反応させ
る。 ・温度:通常は60℃以上250℃以下の範囲である
が、中でも80℃以上200℃以下の範囲が好ましい。
詳細は不明だが、複合塩基試薬を用いる場合は、反応活
性が高められるため、反応温度を比較的低くすることが
できる。この場合、例えば通常60℃以上200℃以下
の範囲とすることが好ましい。 ・圧力:通常は常圧以上0.2MPa以下であるが、常
圧が好ましい。 ・反応時間:通常は15分以上1日以下の範囲である
が、中でも20分以上10時間以下が好ましい。 ・生成物の分離:酸で中和した後、常法に従って、蒸
留、中和析出沈殿の濾過、再結晶若しくは昇華による分
離を行なう。なお、複合塩基試薬を用いる場合には、放
冷後、析出沈澱の濾過洗浄、再結晶もしくは昇華による
分離をおこなう。複合塩基試薬を用いる場合はより高収
率となり、生成物の分離も有利である。
【0050】本発明の上記一般式(II)で表されるア
ザ多環芳香族系化合物は、長波長領域に充分な強度の吸
収帯を有するとともに、堅牢性にも優れているので、顔
料もしくは水不溶性の色素として用いるのが好ましい。
本発明のアザ多環芳香族系化合物を色素に用いることに
より、前記従来技術で得られる色素に比べて、吸収波長
を50nm以上も長波長化することが可能である。
【0051】具体的には、本発明の上記一般式(II)
のアザ多環芳香族系化合物は、各種樹脂、塗料、インク
などの着色、繊維の染色の他に、太陽電池、光電変換材
料、情報記録、色素レーザ、有機EL素子(有機電界発
光素子)、蛍光標識試薬、蛍光コレクタ、蛍光センサ、
シンチレータ、光ファイバ用増幅器等の色素としての用
途に好適であり、特に顔料や、樹脂の着色用などに使用
される水不溶性の色素として、工業的に極めて有用であ
る。
【0052】また、本発明の上記一般式(I)で表され
るアザ多環芳香族系化合物は、上記一般式(II)のア
ザ多環芳香族系化合物を製造する際の中間体として用い
ることができるとともに、上に挙げた各種の色素とし
て、また、消光剤、紫外線吸収剤、安定化剤等としても
有用である。
【0053】なお、本発明の上記一般式(I)または
(II)のアザ多環芳香族系化合物を色素に用いる場
合、その分子量の範囲は、通常250以上、好ましくは
300以上、また、通常3000以下、好ましくは20
00以下である。この範囲内であれば、分子量が比較的
小さいので充分な溶解性を保つことができ、実用上の制
約を受けることがない。従って、その工業的利用価値は
より高くなる。
【0054】
【実施例】以下に実施例1〜5および比較例1,2を挙
げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を
越えない限りこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0055】・実施例1(化合物(I−1)の合成) トルエン30ml中に、下記式(III−1)
【化24】 (III−1) で表される化合物0.50g(0.734mmol)
と、下記式(IV−1)
【化25】 (IV−1) で表される化合物0.17g(0.734mmol)を
加えるとともに、Pd(PPh34を5%molとなる
ように加え、4日間還流攪拌した。放冷後、トルエンを
減圧留去し、ジクロロメタンを展開液としたカラム分離
後、エタノールによる再結晶化を行なうことにより、下
記式(I―1)
【化26】 (I−1) で表わされる化合物0.11gを得た(収率28.5
%)。
【0056】同定データおよび吸収スペクトルは以下の
通りである。 IR(KBr法(cm-1)):1687,1649(C
=O),1574(C=N) MS:m/z 646(M+1 H−NMR(CDCl3(δ=ppm)):0.85
(m,3H,Alkane−CH3),1.34−1.
37(m,4H,―(CH22―),1.68(m,2
H,―CH2―),3.01(s,3H,Naphth
yl―CH3),3.19(s,3H,Naphthy
l―CH3),4.16(t,J=8Hz,2H,N―
CH2―),7.03(d,J=8Hz,1H,Aro
m),7.29(d,J=8Hz,1H,Arom),
7.36(t,J=8Hz,1H,Arom),7.5
0−7.56(m,3H,Arom),8.10(d,
J=6Hz,1H,Arom),8.27−8.34
(m,3H,Arom),8.41−8.49(m,3
H,Arom) 吸収スペクトル:λmax 623nm(溶媒:濃硫
酸) 吸収スペクトル:λmax 505nm,480nm
(溶媒:クロロホルム)
【0057】・実施例2(化合物(I−2)の合成) トルエン30ml中で、下記式(III−2)
【化27】 (III−2) で表わされる化合物0.50g(0.719mmol)
および前記式(IV−1)の化合物0.17g(0.7
34mmol)を加えるとともに、Pd(PPh 34
5%molとなるように加え、4日間還流攪拌した。放
冷後、トルエンを減圧留去し、ジクロロメタンを展開液
としたカラム分離後、エタノールによる再結晶化を行な
うことにより、下記式(I−2)
【化28】 (I−2) で表わされる化合物0.10gを得た(収率25.3
%)。
【0058】同定データおよび吸収スペクトルは以下の
通りである。 IR(KBr法、cm-1):1686,1648(C=
O),1574(C=N) MS:m/z 660(M+1 H−NMR(CDCl3(δ=ppm)):0.86
(m,3H,Alkane―CH3),1.30−1.
37(m,6H,―(CH22―),1.69(m,2
H,―CH2―),3.01(s,3H,Naphth
yl―CH3),3.20(s,3H,Naphthy
l―CH3),4.12(t,J=8Hz,2H,N―
CH2―),7.03(d,J=8Hz,1H,Aro
m),7.29(d,J=8Hz,1H,Arom),
7.36(t,J=8Hz,1H,Arom),7.5
0−7.56(m,3H,Arom),8.10(d,
J=6Hz,1H,Arom),8.27−8.34
(m,3H,Arom),8.41−8.49(m,3
H,Arom) 吸収スペクトル:λmax 624nm(溶媒:濃硫
酸) 吸収スペクトル:λmax 505nm,480nm
(溶媒:クロロホルム)
【0059】・実施例3(化合物(I−3)の合成) 実施例1において、トルエンの代わりにメシチレン15
0mlを用い、前記式(III−1)の化合物の代わり
に、下記式(III−3)
【化29】 (III−3) で表わされる化合物4.0g(7.19mmol)およ
び前記式(IV−1)の化合物2.2g(9.32mm
ol)を加えるとともに、Pd(PPh34を0.06
g(0.0519mmol)を加え、3日間還流攪拌し
た。
【0060】放冷後、溶媒を減圧留去し、酢酸エチルを
展開液としたシリカゲルクロマトグラフィーにより、下
記式(I−3)
【化30】 (I−3) で表される化合物と、前記式(IV−1)の化合物との
混合物を得た。この固体をメタノールで洗浄することに
より、未反応の前記式(IV−1)の化合物を除いた。
その後、再結晶によって前記式(I−3)の化合物を分
離し、白色粉状の前記式(I−3)の化合物1.1gを
得た(収率36.2%)。
【0061】同定データおよび吸収スペクトルは以下の
通りである。 IR(KBr法、cm-1:1657,1697(C=
O),1615,1590,1565,1495,14
31(C=N,C=C) 融点:201.0〜202.5℃ MS:m/z 423(M+1 H−NMR(CDCl3(δ=ppm)):0.86
(t,3H,−CH3),1.36−1.37(m,4
H,―(CH22―),1.70(m,2H,―CH2
―),3.01(s,3H,―CH3),3.17
(s,3H,―CH3),4.16(t,2H,N―C
2―),6.86(d,1H,Arom.H),7.
44−7.52(m,3H,Arom.H),7.60
(d,1H,Arom.H),7.64(d,1H,A
rom.H),8.08(d,1H,Arom.H),
8.55(d,1H,Arom.H),8.63(d,
1H,Arom.H)13 CNMR(CDCl3(δ=ppm)):116.
1,120.8,121.2,125.3,126.
6,126.6,127.2,128.2,129.
0,129.3,129.4,129.6,130.
7,132.6,135.1,135.5,139.
7,142.8,157.4 吸収スペクトル:λmax 335nm,ε 2300
0(溶媒:クロロホルム)
【0062】・実施例4(化合物(II−1)の合成) 水酸化カリウム7.2gをエタノール15mlに加熱溶
解させ、そこに前記式(I−1)の化合物を0.10g
(0.183mmol)投入し、3時間還流攪拌した。
放冷後、2規定塩酸水溶液を注ぎ、固体をろ過し、冷水
とクロロホルムで十分に洗浄することにより、下記式
(II−1)
【化31】 (II−1) で表わされる化合物0.03gを得た(収率35.1
%)。
【0063】同定データおよび吸収スペクトルは以下の
通りである。 IR(KBr法、cm-1):1687,1649(C=
O),1574(C=N) 吸収スペクトル:λmax 988nm(溶媒:濃硫
酸) また、TG−DTA測定をおこなったところ、分解温度
は361℃であった。
【0064】・実施例5(化合物(II−2)の合成) 水酸化カリウム7.2gをエタノール15mlに加熱溶
解させ、そこに前記式(I−2)の化合物を0.10g
(0.178mmol)投入し、3時間還流攪拌した。
放冷後、2規定塩酸水溶液を注ぎ、固体をろ過し、冷水
とクロロホルムで十分に洗浄することにより、下記式
(II−2)
【化32】 (II−2) で表わされる化合物0.03gを得た(収率30.0
%)。
【0065】同定データおよび吸収スペクトルは以下の
通りである。 IR(KBr法、cm-1):1686,1648(C=
O),1574(C=N) 吸収スペクトル:λmax 988nm(溶媒:濃硫
酸) また、TG−DTA測定をおこなったところ、分解温度
は357℃であった。
【0066】・実施例6(化合物(II−3)の合成) 窒素雰囲気下、t−BuOK1.0g,DBN1.5g
をジグライム3mlに加熱溶解させ、そこに前記式(I
−3)の化合物0.6g(1.4mmol)を投入し、
130℃で1時間加熱攪拌した。放冷後、析出固体を濾
過し、メタノールと水で十分に洗浄することにより、下
記式(II−3)
【化33】 (II−3) で表される化合物0.5gを得た(収率83%)。
【0067】同定データおよび吸収スペクトルは以下の
通りである。 MS:m/z 420(M+) IR(KBr法、cm-1):1687,1649(C=
O),1574(C=N) 吸収スペクトル:λmax 491nm(溶媒:クロロ
ホルム)
【0068】・比較例1 実施例1において、前記式(IV)の化合物に代えて、
下記式(IX)
【化34】 (IX) で表わされる化合物を等モル用いた以外は、同様の条件
にて操作を行ない、下記式(X)
【化35】 (X) で表わされる化合物0.38gを得た(収率76.4
%)。
【0069】同定データおよび吸収スペクトルは以下の
通りである。 IR(KBr法、cm-1):1687,1649(C=
O) MS:m/z 656(M+1 H−NMR(CDCl3(δ=ppm)):0.86−
0.89(m,6H,―CH3),1.37−1.38
(m,8H,―(CH22―),1.71(m,4H,
―CH2―),4.16(tt,4H,N―CH2―),
7.33(d,J=8Hz,1H,Arom),7.4
0(t,J=8Hz,1H,Arom),7.53
(d,J=8Hz,1H,Arom),7.58(t,
J=8Hz,1H,Arom),7.77(dd,J=
8Hz,2H,Arom),8.39−8.60(m,
7H,Arom),8.69(d,J=8Hz,1H,
Arom) 吸収スペクトル:λmax 626nm(溶媒:濃硫
酸) 吸収スペクトル:λmax 510nm,483nm
(溶媒:クロロホルム)
【0070】・比較例2 水酸化カリウム30gをエタノール60mlに加熱溶解
させ、そこに前記式(X)の化合物を0.5g(0.7
62mmol)投入し、3時間還流攪拌した。放冷後、
2規定塩酸水溶液を注ぎ、生成した固体を濾過し、冷水
とクロロホルムで十分に洗浄することにより、下記式
(XI)
【化36】 (XI) で表される化合物0.46g(収率93.0%)を得
た。
【0071】同定データおよび吸収スペクトルは以下の
通りである。 IR(KBr法、cm-1):1688,1652(C=
O) MS:m/z 654(M+) 吸収スペクトル:λmax 807nm(溶媒:濃硫
酸) 吸収スペクトル:λmax 650nm(溶媒:クロロ
ホルム) また、TG−DTA測定を行なったところ、分解温度は
420℃であった。
【0072】この化合物は、公知文献Chem. Eur. J. 3,
219 (1997) に記載の、本発明の化合物と類似の構造を
有する化合物であるが、実施例4の化合物に比べて、λ
maxが約180nmも短い。
【0073】上記の実施例4および5の結果から、本発
明の上記一般式(II)で表されるアザ多環芳香族系化
合物は、長波長領域に吸収を有している。さらに、堅牢
性にも優れており、色素等の用途において工業的に極め
て利用価値が高いことが分かる。
【0074】
【発明の効果】本発明の上記一般式(II)で表される
アザ多環芳香族系化合物によれば、長波長領域に充分な
強度の吸収帯を有するとともに、堅牢性や溶解性にも優
れているので、色素を始めとする様々な用途に用いるこ
とができ、工業的に極めて有用である。
【0075】また、本発明の上記一般式(I)で表され
るアザ多環芳香族系化合物によれば、溶解性に優れてい
るので、色素を始めとする様々な用途に用いることがで
きる。また、上記一般式(II)のアザ多環芳香族系化
合物の中間体としての有用性も高い。
【0076】さらに、本発明のアザ多環芳香族系化合物
の製造方法によれば、上記の一般式(I)および(I
I)で表されるアザ多環芳香族系化合物を工業的に有利
に作成することが出来るので、その工業的価値は高い。
【0077】また、本発明の上記の一般式(II)で表
されるアザ多環芳香族系化合物を含有した色素は、長波
長領域に充分な強度の吸収帯を有するとともに、堅牢性
や溶解性にも優れているので、様々な用途に用いること
ができる。
【0078】さらに、本発明の上記の一般式(I)で表
されるアザ多環芳香族系化合物を含有した色素も、溶解
性に優れているので、様々な用途に用いることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安達 昌文 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 4C063 AA01 BB01 CC15 DD17 EE10 4C065 AA07 BB09 CC01 DD02 EE02 HH09 JJ04 KK02 LL01 PP03 QQ02

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で示されることを特徴
    とする、アザ多環芳香族系化合物。 【化1】 (I) (上記一般式(I)に於いて、Xは、酸素原子、窒素原
    子、硫黄原子またはリン原子を表し、YおよびZは各々
    独立に、酸素原子、窒素原子、炭素原子または硫黄原子
    を表す。X、YおよびZは各々独立に、結合基を有して
    いてもよい。Xが窒素原子、硫黄原子またはリン原子で
    あって、YまたはZが窒素原子、炭素原子または硫黄原
    子である場合には、XとY、あるいは、XとZは、それ
    ぞれ連結基を介して互いに結合して環を形成してもよ
    い。VおよびWは各々独立に、水素原子、炭素原子、窒
    素原子、酸素原子、フッ素原子、硫黄原子、塩素原子、
    臭素原子または沃素原子を含む置換基を表す。Vおよび
    Wは、互いに結合して環を形成してもよい。上記一般式
    (I)中の水素原子は、いずれも置換されていてもよ
    く、該置換により分子中の他の環と共に縮合環を形成し
    ていてもよい。nは0〜8の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 上記一般式(I)に於いて、nが0また
    は1であり、Xが酸素原子または窒素原子であり、Yお
    よびZがいずれも酸素原子であることを特徴とする、請
    求項1記載のアザ多環芳香族系化合物。
  3. 【請求項3】 上記一般式(I)に於いて、nが0また
    は1であり、Xが窒素原子であり、YまたはZのいずれ
    か一方が窒素原子で他方が酸素原子であり、YおよびZ
    のうちの窒素原子であるいずれか一方が、Xを伴って環
    を構成していることを特徴とする、請求項1記載のアザ
    多環芳香族系化合物。
  4. 【請求項4】 上記一般式(I)に於いて、nが0また
    は1であり、Xが酸素原子または窒素原子であり、Yお
    よびZが酸素原子であり、VおよびWが互いに異なって
    いてもよいアルキル基であることを特徴とする、請求項
    1記載のアザ多環芳香族系化合物。
  5. 【請求項5】 下記一般式(Ia)で表される 【化2】 (Ia) (上記一般式(Ia)に於いて、nは、0または1を表
    し、R1は、置換基を有していてもよい炭素数20以下
    のアルキル基を表し、V1およびW1は各々独立に、置換
    基を有していてもよい炭素数10以下のアルキル基を表
    す。)ことを特徴とする、請求項1記載のアザ多環芳香
    族系化合物。
  6. 【請求項6】 上記一般式(Ia)において、R1が炭
    素数5〜20のアルキル基であることを特徴とする、請
    求項5記載のアザ多環芳香族系化合物。
  7. 【請求項7】 下記一般式(II)で示されることを特
    徴とする、アザ多環芳香族系化合物。 【化3】 (II) (上記一般式(II)に於いて、X′は、酸素原子、窒
    素原子、硫黄原子またはリン原子を表し、Y′および
    Z′は各々独立に、酸素原子、窒素原子、炭素原子また
    は硫黄原子を表す。X′、Y′およびZ′は各々独立
    に、結合基を有していてもよい。X′が窒素原子、硫黄
    原子またはリン原子であって、Y′またはZ′が窒素原
    子、炭素原子または硫黄原子である場合には、X′と
    Y′、あるいは、X′とZ′は、それぞれ連結基を介し
    て互いに結合して環を形成してもよい。V′およびW′
    は各々独立に、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原
    子、フッ素原子、硫黄原子、塩素原子、臭素原子または
    沃素原子を含む置換基を表わす。V′およびW′は、互
    いに結合して環を形成してもよい。上記一般式(II)
    中の水素原子は、いずれも置換されていてもよく、該置
    換により分子中の他の環と共に縮合環を形成していても
    よい。n′は0〜8の整数を表す。)
  8. 【請求項8】 上記一般式(II)に於いて、n′が0
    または1であり、X′が酸素原子または窒素原子であ
    り、Y′とZ′が酸素原子であることを特徴とする、請
    求項7記載のアザ多環芳香族系化合物。
  9. 【請求項9】 上記一般式(II)に於いて、n′が0
    または1であり、X′が窒素原子であり、Y′または
    Z′のいずれか一方が窒素原子で他方が酸素原子であ
    り、Y′およびZ′のうちの窒素原子であるいずれか一
    方が、X′を伴って環を構成していることを特徴とす
    る、請求項7記載のアザ多環芳香族系化合物。
  10. 【請求項10】 上記一般式(II)に於いて、n′が
    0または1であり、X′が酸素原子または窒素原子であ
    り、Y′およびZ′が酸素原子であり、V′およびW′
    が互いに異なっていてもよいアルキル基であることを特
    徴とする、請求項7記載のアザ多環芳香族系化合物。
  11. 【請求項11】 下記一般式(IIa)で表される 【化4】 (IIa) (上記一般式(IIa)に於いて、n′は、0または1
    を表し、R2は、置換基を有していてもよい炭素数20
    以下のアルキル基を表し、V2およびW2は各々独立に、
    置換基を有していてもよい炭素数10以下のアルキル基
    を表す。)ことを特徴とする、請求項7記載のアザ多環
    芳香族系化合物。
  12. 【請求項12】 上記一般式(IIa)において、R2
    が炭素数5〜20のアルキル基であることを特徴とす
    る、請求項11記載のアザ多環芳香族系化合物。
  13. 【請求項13】 下記一般式(III)で示される多環
    芳香族系化合物 【化5】 (III) (上記一般式(III)に於いて、Xは、酸素原子、窒
    素原子、硫黄原子またはリン原子を表し、YおよびZは
    各々独立に、酸素原子、窒素原子、炭素原子または硫黄
    原子を表す。X、YおよびZは各々独立に、結合基を有
    していてもよい。Xが窒素原子、硫黄原子またはリン原
    子であって、YまたはZが窒素原子、炭素原子または硫
    黄原子である場合には、XとY、あるいは、XとZは、
    それぞれ連結基を介して互いに結合して環を形成しても
    よい。R3、R4およびR5は各々独立に、炭素数8以下
    のアルキル基を表す。上記一般式(III)中の水素原
    子は、いずれも置換されていてもよく、該置換により分
    子中の他の環と共に縮合環を形成していてもよい。nは
    0〜8の整数を表す。)と、下記一般式(IV)で示さ
    れるキノリン系化合物 【化6】 (IV) (上記一般式(IV)に於いて、VおよびWは各々独立
    に、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、フッ素
    原子、硫黄原子、塩素原子、臭素原子または沃素原子を
    含む置換基を表す。VおよびWは、互いに結合して環を
    形成してもよい。Uは、ハロゲン原子を表す。上記一般
    式(IV)中の水素原子は、いずれも置換されていても
    よく、該置換により分子中の他の環と共に縮合環を形成
    していてもよい。)とをカップリング反応させることに
    より、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアザ多環芳
    香族系化合物を製造することを特徴とする、アザ多環芳
    香族系化合物の製造方法。
  14. 【請求項14】 下記一般式(I) 【化7】 (I) (上記一般式(I)に於いて、Xは、酸素原子、窒素原
    子、硫黄原子またはリン原子を表し、YおよびZは各々
    独立に、酸素原子、窒素原子、炭素原子または硫黄原子
    を表す。X、YおよびZは各々独立に、結合基を有して
    いてもよい。Xが窒素原子、硫黄原子またはリン原子で
    あって、YまたはZが窒素原子、炭素原子または硫黄原
    子である場合には、XとY、あるいは、XとZは、それ
    ぞれ連結基を介して互いに結合して環を形成してもよ
    い。VおよびWは各々独立に、水素原子、炭素原子、窒
    素原子、酸素原子、フッ素原子、硫黄原子、塩素原子、
    臭素原子または沃素原子を含む置換基を表す。Vおよび
    Wは、互いに結合して環を形成してもよい。上記一般式
    (I)中の水素原子は、いずれも置換されていてもよ
    く、該置換により分子中の他の環と共に縮合環を形成し
    ていてもよい。nは0〜8の整数を表す。)で示される
    化合物を閉環反応させることにより、請求項7〜12の
    いずれか1項に記載のアザ多環芳香族系化合物を製造す
    ることを特徴とする、アザ多環芳香族系化合物の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜12のいずれか1項に記載
    のアザ多環芳香族系化合物を含有することを特徴とす
    る、色素。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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