JP2003138142A - イオン伝導性高分子およびその製造方法ならびにその処理方法 - Google Patents

イオン伝導性高分子およびその製造方法ならびにその処理方法

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JP2003138142A JP2001340405A JP2001340405A JP2003138142A JP 2003138142 A JP2003138142 A JP 2003138142A JP 2001340405 A JP2001340405 A JP 2001340405A JP 2001340405 A JP2001340405 A JP 2001340405A JP 2003138142 A JP2003138142 A JP 2003138142A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン伝導性高分子に対して、金属塩の分散
性を高めるための処理を施すことにより、そのイオン伝
導性能を向上させ、ゲル状のイオン伝導性高分子と同等
以上のイオン伝導性能を有する固体状のイオン伝導性高
分子およびその製造方法ならびに処理方法を提供する。 【解決手段】 所定の高分子に所定の金属塩が配合され
て構成されたイオン伝導性高分子に対して超臨界CO2
流体を接触させる処理を施す。このような超臨界CO2
流体処理が施されたイオン伝導性高分子は、高分子マト
リックス中に前記金属塩の分散特性が改善されるので、
イオン伝導性能が著しく向上された固体状のイオン伝導
性高分子が具現される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオン伝導性高分
子、およびその製造方法、ならびにその処理方法に係
り、特に、イオン伝導性を向上させたものに関する。
【0002】
【従来の技術】イオン伝導性高分子は、ポリマー二次電
池をはじめとする各種の電気化学デバイスに好適な固体
電解質材料として注目されている。従来のイオン伝導性
高分子は、主に、高分子量のポリエチレンオキシド(P
EO)にアルカリ金属塩を配合して構成され、各種のP
EO誘導体に各種のアルカリ金属塩を添加した複合体が
提案されている。
【0003】例えば、A.S.Best等は、学術誌;
Macromolecule(第34巻、第4549頁
(2001年))に、架橋構造や櫛型構造を有するPE
O誘導体に極性溶媒を含浸させてゲル化させ、このよう
にゲル化された前記PEO誘導体に各種のリチウム塩
と、更に酸化チタニウムや酸化アルミニウム等のセラミ
ックパウダーを充填させたものを提案している。このよ
うに構成されたイオン伝導性高分子は、室温で10-4
10-3S/cm程度の比較的高いイオン伝導度を有する
とされ、一部の前記ポリマー二次電池の電解質に適用さ
れている。
【0004】しかしながら、前記の比較的高いイオン伝
導度を有するイオン伝導性高分子は、アルカリ金属塩が
配合されたPEO等の高分子に対して極性溶媒を含浸さ
せたゲル状の形態であり、溶媒が有する高い極性の効果
と高分子が備える可塑性の効果との相乗効果によって前
記高分子中のアルカリ金属塩の溶解性を促進させ、その
イオン拡散係数を増大させているに過ぎない。このた
め、このようなイオン伝導性高分子では、その高分子マ
トリックス中のイオンの分散性が最大限に高められてい
るとは言い難く、そのイオン伝導性能を向上させる余地
が残されていた。
【0005】また、前記ゲル形態のイオン伝導性高分子
は溶媒を含んでいるため、このイオン伝導性高分子をポ
リマー二次電池に適用する場合には、その安全性や動作
の安定性を充分に確保するべく、溶媒の蒸発や漏洩を未
然に防止する対策が必要である。すなわち、このような
イオン伝導性高分子を備えた従来のポリマー二次電池で
は、気密性シール等の装備を付与する必要があるため、
サイズや重量の増加、ひいてはコストアップを招来する
という問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記問題点に鑑み、本
発明の目的は、イオン伝導性高分子に対して、金属塩の
分散性を高めるための処理を施すことにより、そのイオ
ン伝導性能を向上させ、ゲル状のイオン伝導性高分子と
同等以上のイオン伝導性能を有する固体状のイオン伝導
性高分子およびその製造方法ならびに処理方法を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明者は、各種の金属塩を含んで構成されるイオ
ン伝導性高分子に対して、超臨界流体処理技術を適用す
ることにより、高分子マトリックス中に前記金属塩を高
度に分散させて、そのイオン伝導性能を顕著に向上させ
ることが可能なことを見い出し、本発明を創作するに至
った。
【0008】すなわち、本発明に係る請求項1は、所定
の高分子に金属塩が配合されたイオン伝導性高分子であ
って、前記イオン伝導性高分子は、超臨界CO2流体で
所定時間、接触処理されることを特徴とするイオン伝導
性高分子を提供する。
【0009】このように構成すれば、各種の金属塩を含
んで構成されるイオン伝導性高分子を、超臨界CO2
体を用いて処理することにより、高分子マトリックス中
に前記金属塩が高度に分散されるので、そのイオン伝導
性が向上されたイオン伝導性高分子が具現される。
【0010】本発明に係る請求項2は、前記請求項1に
おいて、前記所定の高分子が、ポリエチレオンオキシ
ド、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、ポリビ
ニルピロリドン、ポリエチレンサクシネート、ポリビニ
ルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスル
フィド、ポリビニレンカーボネート、ポリイソプレンお
よびポリブタジエンからなる群の中から選ばれた1種ま
たは2種以上の混合物で構成されることを特徴とするイ
オン伝導性高分子を提供する。
【0011】このように構成すれば、金属塩から供給さ
れるイオン種のマトリックスとなる前記高分子が適切な
極性を有するので、このイオン種の分散性が良好に保持
されると共に、このイオン種の移動度が高くなり、前記
イオン伝導性を更に向上させたイオン伝導性高分子が具
現される。
【0012】本発明に係る請求項3は、前記請求項1に
おいて、前記所定の高分子が、前記所定の高分子は、下
記(A)〜(I)からなる群の中から選ばれた1種または
2種以上の混合物の高分子マトリックス系から構成され
ることを特徴とするイオン伝導性高分子を提供する。
【0013】(A)多孔質高分子系 (B)極性高分子系 (C)ポリエチレンオキシドと高分子電解質との混合系 (D)共重合体系 (E)ブロック共重合体系 (F)網目状ポリエーテル系 (G)含浸ポリマーネットワーク系 (H)架橋薄膜系 (I)非ポリエーテル系
【0014】このように構成すれば、前記イオン種のマ
トリックスとなる前記高分子が、適切な極性及び電荷の
両方またはいずれか一方を有するので、前記イオン種の
分散性及び移動度を更に高めてイオン伝導性を向上させ
たイオン伝導性高分子が具現される。
【0015】本発明に係る請求項4は、前記請求項1に
おいて、前記所定の高分子が、下記一般式(1)で表わ
されることを特徴とするイオン伝導性高分子を提供す
る。
【0016】
【化3】
【0017】前記一般式(1)中、m、n、kは、互い
に独立した1以上の整数である。
【0018】このように構成すれば、前記イオン種のマ
トリックスとなる前記高分子が適切な極性及び負の電荷
の両方を有すると共に、この高分子鎖の三次構造が前記
イオン種に対して適度な自由空間を確保したものとなる
ので、前記イオン種の分散性及び移動度を更に一段と高
めてイオン伝導性を向上させたイオン伝導性高分子が具
現される。
【0019】本発明に係る請求項5では、前記請求項1
から4のいずれか1項において、所定の高分子は、質量
平均分子量が、50000〜3000000であること
を特徴とするイオン伝導性高分子を提供する。
【0020】このように構成すれば、前記所定の高分子
が薄膜に形成される際にも、適度な強度と成形性を有す
るイオン伝導性高分子が具現される。
【0021】本発明に係る請求項6は、前記請求項1か
ら5のいずれか1項において、所定の金属塩が、アルカ
リ金属またはアルカリ土類金属を含み、かつその格子エ
ネルギが500〜2500kJ/molであることを特
徴とするイオン伝導性高分子を提供する。
【0022】このように構成すれば、メタノールをはじ
めとするアルコール等の各種極性溶媒に対し、前記金属
塩の溶解性が良好となると共に、前記金属塩の化学的安
定性が確保されるので、前記所定の高分子に前記金属塩
を配合する際、前記金属塩の分散性が良好安かつ安定に
保持されて高いイオン伝導性を安定に発揮できるイオン
伝導性高分子が具現される。
【0023】本発明に係る請求項7は、前記請求項1か
ら6のいずれか1項において、所定の金属塩は、トリフ
ルオロメタンスルホン酸リチウム、6フッ化リンリチウ
ム、6フッ化砒素リチウム、6フッ化アンチモンリチウ
ムヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、ヨウ化ナトリウ
ムからなる群の中から選ばれた1種または2種以上であ
ることを特徴とするイオン伝導性高分子を提供する。
【0024】このように構成すれば、前記金属塩によっ
て前記所定の高分子マトリックスに供給されるイオン種
が、この高分子マトリックスの極性を有する基または電
荷を有する基と強い相互作用を有するので、このイオン
種の分散性が良好に保持されると共に、このイオン種の
移動度が高くなり、前記イオン伝導性を更に向上させた
イオン伝導性高分子が具現される。
【0025】本発明に係る請求項8は、前記請求項1か
ら7のいずれか1項において、所定の高分子に、更に酸
化チタニウム、酸化アルミニウムおよび酸化珪素からな
る群の中から選ばれた1種または2種以上が含まれて構
成されることを特徴とするイオン伝導性高分子を提供す
る。このように構成すれば、前記イオン種の移動度が更
に高められて一段と高いイオン伝導性を発現するイオン
伝導性高分子が具現される。
【0026】前記課題を解決する本発明に係る請求項9
は、高分子に金属塩が配合されたイオン伝導性高分子の
製造方法であって、所定の高分子に、所定の金属塩を所
定量添加して、前記高分子中に前記金属塩を分散させる
工程と、前記金属塩が分散した高分子を所定の溶媒に溶
解させて高分子溶液を調製し、この高分子溶液を基板上
に展開し、これを乾燥、固化して金属塩含有高分子フィ
ルムを作製する工程と、前記金属塩含有高分子フィルム
を超臨界CO2流体に、所定時間、浸漬させて超臨界C
2流体処理を行なう工程とを含んで構成されることを
特徴とするイオン伝導性高分子の製造方法を提供する。
【0027】このように構成すれば、各種の金属塩が所
定の高分子に配合されたイオン伝導性高分子フィルムを
調製し、前記イオン伝導性高分子フィルムに対して超臨
界CO2流体の接触処理を施すことにより、前記イオン
伝導性高分子のマトリックス中に超臨界CO2流体が含
浸し、前記金属塩がより高度に分散されて、そのイオン
伝導性をより向上させるイオン伝導性高分子の製造方法
が具現される。
【0028】前記課題を解決する本発明に係る請求項1
0は、高分子に金属塩が配合されたイオン伝導性高分子
の製造方法であって、所定の高分子に、所定の金属塩を
所定量添加して、前記高分子中に前記金属塩を分散させ
る工程と、前記金属塩が分散した高分子を所定の溶媒に
溶解させて高分子溶液を調製する工程と、前記高分子溶
液を超臨界CO2流体と、所定時間、混合させて超臨界
CO2流体処理を行なう工程とを含んで構成されること
を特徴とするイオン伝導性高分子の製造方法を提供す
る。
【0029】このように構成すれば、各種の金属塩が所
定の高分子を含む溶液に配合された溶液状のイオン伝導
性高分子(イオン伝導性高分子前駆体)を調製し、この
イオン伝導性高分子前駆体に対して超臨界CO2流体の
接触処理を施すことにより、前記溶液状のイオン伝導性
高分子前駆体中で溶媒の効果が発現し、前記金属塩がよ
り高度に分散される。そして、例えば、このように前記
金属塩が高度に分散された溶液状のイオン伝導性高分子
前駆体を基板の上に展開し、乾燥、固化してフィルム状
のイオン伝導性高分子を作製すれば、イオン伝導性がよ
り向上されたイオン伝導性高分子が得られるイオン伝導
性の高分子の製造方法が具現される。
【0030】なお、このように前記溶液状のイオン伝導
性高分子前駆体に対して超臨界CO 2流体の接触処理を
施した場合には、前記イオン伝導性高分子に対して溶媒
の効果が発現して、高分子と金属塩との複合体中の塩分
散性に多大な影響を及ぼすと考えられる。その結果、前
記溶液状のイオン伝導性高分子前駆体に超臨界CO2
体の接触処理を施したものは、前記のフィルム状のイオ
ン伝導性高分子に超臨界CO2処理を施した場合とは異
なった特性を有するイオン伝導性高分子の製造方法を具
現することが可能となる。
【0031】本発明に係る請求項11は、前記請求項9
または10において、所定の高分子が、ポリエチレオン
オキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、
ポリビニルピロリドン、ポリエチレンサクシネート、ポ
リビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレ
ンスルフィド、ポリビニレンカーボネート、ポリイソプ
レンおよびポリブタジエンからなる群の中から選ばれた
1種または2種以上の混合物で構成されることを特徴と
するイオン伝導性高分子の製造方法を提供する。
【0032】このように構成すれば、金属塩から供給さ
れるイオン種のマトリックスとなる前記高分子が適切な
極性を有するので、このイオン種の分散性が良好に保持
されると共に、このイオン種の移動度が高くなり、前記
イオン伝導性を更に向上させることが可能なイオン伝導
性高分子の製造方法が具現される。
【0033】本発明に係る請求項12は、前記請求項9
または10において、前記所定の高分子が、下記(A)
〜(I) からなる群の中から選ばれた1種または2種
以上の混合物の高分子マトリックス系で構成されること
を特徴とするイオン伝導性高分子を提供する。
【0034】(A)多孔質高分子系 (B)極性高分子系 (C)ポリエチレンオキシドと高分子電解質との混合系 (D)共重合体系 (E)網目状ポリエーテル系 (F)含浸ポリマーネットワーク系 (G)ブロック共重合体系 (H)架橋薄膜系 (I)非ポリエーテル系
【0035】このように構成すれば、高分子中に配合さ
れた金属塩から供給されるイオン種のマトリックスであ
る前記高分子が、適切な極性及び電荷の両方またはいず
れか一方を有すると共に、この高分子鎖の三次構造が前
記イオン種に対して適度な自由空間を確保したものとな
るので、前記イオン種の分散性及び移動度を更に高めて
イオン伝導性を向上させることが可能なイオン伝導性高
分子の製造方法が具現される。
【0036】本発明に係る請求項13は、前記請求項9
または10において、所定の高分子が、下記一般式
(1)で表わされることを特徴とするイオン伝導性高分
子の製造方法を提供する
【0037】
【化4】
【0038】前記一般式(1)中、m、n、kは、互い
に独立した1以上の整数である。
【0039】このように構成すれば、前記イオン種のマ
トリックスとなる前記高分子が適切な極性及び負の電荷
の両方を有すると共に、この高分子鎖の三次構造が前記
イオン種に対して適度な自由空間を確保したものとなる
ので、前記イオン種の分散性及び移動度を更に一段と高
めてイオン伝導性を向上させることが可能なイオン伝導
性高分子の製造方法が具現される。
【0040】本発明に係る請求項14では、請求項9か
ら13のいずれか1項において、所定の高分子は、質量
平均分子量が、50000〜3000000であること
を特徴とするイオン伝導性高分子の製造方法を提供す
る。
【0041】このように構成すれば、前記所定の高分子
を薄膜に形成する際にも、適度な強度と成形性を有する
イオン伝導性高分子の製造方法が具現される。
【0042】本発明に係る請求項15は、前記請求項9
から14のいずれか1項において、所定の金属塩が、ア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属を含み、かつ格子エ
ネルギが500から2500kJ/molであることを
特徴とするイオン伝導性高分子の製造方法を提供する。
【0043】このように構成すれば、メタノールをはじ
めとするアルコール等の各種極性溶媒に対し、前記金属
塩の溶解性が良好なものとなるので、前記所定の高分子
に前記金属塩を配合する際、前記金属塩の分散性が良好
かつ安定に保持されて高いイオン伝導性が安定に発揮で
きるイオン伝導性高分子の製造方法が具現される。
【0044】更に、本発明に係る請求項16は、前記請
求項9から15のいずれか1項において、所定の金属塩
が、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、6フッ化
リンリチウム、6フッ化砒素リチウム、6フッ化アンチ
モンリチウムヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、ヨウ
化ナトリウムからなる群の中から選ばれた1種または2
種以上であることを特徴とするイオン伝導性高分子の製
造方法を提供する。
【0045】このように構成すれば、前記金属塩によっ
て前記所定の高分子マトリックスに供給されるイオン種
がこの高分子マトリックスの極性を有する基または電荷
を有する基と強い相互作用を有するので、このイオン種
の分散性が良好に保持されると共に、このイオン種の移
動度が高くなり、前記イオン伝導性を更に向上させるこ
とが可能なイオン伝導性高分子の製造方法が具現され
る。
【0046】そして、本発明に係る請求項17は、前記
請求項9から16のいずれか1項において、所定の高分
子に、更に酸化チタニウム、酸化アルミニウムおよび酸
化珪素からなる群の中から選ばれた1種または2種以上
が含まれて構成されることを特徴とするイオン伝導性高
分子の製造方法を提供する。
【0047】このように構成すれば、前記イオン種の移
動度を更に高めて一段と高いイオン伝導性を発揮できる
イオン伝導性高分子の製造方法が具現される。
【0048】また、本発明に係る請求項18は、イオン
伝導性を有する高分子を、超臨界CO2流体に浸漬させ
て所定時間、処理することを特徴とするイオン伝導性高
分子の処理方法を提供する。
【0049】このように構成すれば、既存のイオン導電
性高分子材料のイオン伝導性を更に高めることが可能な
イオン導電性の処理方法が具現される。
【0050】更にまた、以上のような効果を有する請求
項9から17のいずれか1項に記載のイオン伝導性高分
子の製造方法によれば、高いイオン伝導性を備えると共
に、薄膜に形成する際にも適切な強度を有するイオン伝
導性高分子を提供することができる。(請求項19)そ
して、このイオン伝導性高分子は、ポリマー二次電池用
の電解質に好適なものである。(請求項20)
【0051】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明は、高分子に所定の金属塩が
配合されたイオン伝導性高分子に対して、超臨界CO2
流体を用いた処理を施すことにより、前記高分子マトリ
ックス中に前記金属塩の分散性を高めてそのイオン伝導
性能を向上させるものである。
【0052】(超臨界CO2流体)本発明で用いられる
超臨界CO2流体は、温度、圧力ともに臨界点を越えた
状態の物質である。図6は、CO2の種々の状態を、温
度と圧力の関係で示す状態図である。図6に示すよう
に、CO2は、臨界温度31℃超、かつ臨界圧力73a
tm超で、超臨界流体となる。この超臨界CO2流体の
密度は気体に比べて高密度な割に粘度が小さく、しかも
拡散係数は液体の数百倍近いという性質を有するもので
ある。
【0053】また、この超臨界CO2流体は、高温高圧
であるため、非常に分子運動が激しいという特徴を有し
ている。このため、前記超臨界CO2流体は、小さな細
孔にも容易に浸透しやすく、大きな運動エネルギを備え
ているために、特異的な化学反応を発現させ得る反応媒
体として注目されている。しかも、前記超臨界CO2
体は、臨界温度が31℃であり、臨界圧力が73atm
であるため、室温近傍で超臨界流体となり、低毒性、か
つ不燃性、なおかつ安価であるため、ハロゲン化炭化水
素が有する性質のように、油分をはじめとする各種の物
質を溶解する性質を備えるといった点からも関心が持た
れている。
【0054】このように前記溶液状のイオン伝導性高分
子前駆体に対して超臨界CO2流体の接触処理を施した
場合には、前記イオン伝導性高分子に対して溶媒の効果
が発現して、高分子と金属塩との複合体中の金属塩の分
散性に多大な影響を及ぼすと考えられる。その結果、前
記溶液状のイオン伝導性高分子前駆体に超臨界CO2
体の接触処理を施したものは、前記のフィルム状のイオ
ン伝導性高分子に超臨界CO2処理を施した場合とは異
なった特性を有するイオン伝導性高分子の製造方法を具
現することが可能となる。
【0055】このような性質を有する前記超臨界CO2
流体を、所定の金属塩が配合されたイオン伝導性高分子
に対して接触させる処理を施した場合と、所定の高分子
と所定の金属塩とを含む溶液状のイオン伝導性高分子前
駆体に対して接触させる処理を施した場合とでは、後者
の場合に溶媒の効果が発現し、前記両者で互いに異なっ
た特性を有するイオン伝導性高分子が得られるようにな
ることが期待される。
【0056】本発明者は、超臨界CO2流体が有するこ
のような作用効果に着目して、従来のイオン伝導性高分
子材料に超臨界CO2流体を接触させることにより、こ
のイオン伝導性高分子材料の特性の改善について検討し
た。その結果、イオン伝導性高分子のイオン伝導度が顕
著に高められることが明らかとなった。
【0057】本発明で、このような超臨界CO2流体を
イオン伝導性高分子に接触させて行なわれる処理方法は
特に限定されるものではなく、前記超臨界CO2流体の
状態を安定に保持できる処理方法であれば使用すること
が可能である。図1は、本発明で使用することができる
1例の超臨界CO2流体処理装置の模式図である。
【0058】図1に示すように本発明で使用可能な1例
の超臨界CO2流体処理装置Aは、イオン伝導性高分子
材料を載置して超臨界CO2流体処理を施すための反応
セル1と、この反応セルを所定温度に加熱するための加
熱手段2と、反応セル1に熱電対3を介して電気的に接
続された温度モニタ等を含む温度測定手段4とから構成
され、この超臨界CO2流体処理装置Aには、反応セル
1の内部にCO2ガスを供給するための供給源であるC
2ボンベ5と、このCO2ボンベ5のCO2を反応セル
1の内部に向けて送気する送気ポンプ6と、反応セル1
の内部の圧力を監視するためのレギュレータ7とが接続
されて構成されている。
【0059】(高分子)本発明に係るイオン伝導性高分
子で用いられる高分子は、金属塩、ひいてはこの金属塩
から供給されるイオンのマトリックスを構成するもので
ある。この高分子は、特に限定されるものではなく従来
公知の各種の高分子材料を適用することができるが、こ
の高分子のマトリックス中に配合されたイオンの分散性
を高めると共に、高分子マトリックス中でのイオンの移
動度を向上させるために、下記一般式(A)〜(I)で
表わされる高分子マトリックスからなる群の中から選ば
れた1種または2種以上の混合物の高分子マトリックス
であることが好ましい。
【0060】(A)多孔質高分子系 (B)極性高分子系 (C)ポリエチレンオキシドと高分子電解質との混合系 (D)共重合体系 (E)網目状ポリエーテル系 (F)含浸ポリマーネットワーク系 (G)ブロック共重合体系 (H)架橋薄膜系 (I)非ポリエーテル系 なお、前記(A)〜(I)の各高分子マトリックス系と
しては、例えば、以下のような高分子マトリックス系が
挙げられる。
【0061】(A)多孔質高分子系;ナフィオン、フレ
ミオン。 (B)極性高分子系;ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ
化ビニリデンと6フッ化リンとの架橋体、ポリアクリロ
ニトリル、ポリビニルピロリドンからなる群の中から選
ばれた1種または2種以上の混合物、ポリエチレンオキ
シド、ポリプロピレンオキシド、グラフト型ポリエーテ
ルである下記一般式(2)〜(6)で表わされる高分子
マトリックス系からなる群の中から選ばれた1種または
2種以上の混合物の高分子マトリックス系。
【0062】
【化5】
【0063】前記一般式(2)中、m、nは互いに独立
した1以上の整数である。
【0064】
【化6】
【0065】前記一般式(3)中、m、nは互いに独立
した1以上の整数であり、RはHまたはCH3である。
【0066】
【化7】
【0067】前記一般式(4)中、m、nは互いに独立
した1以上の整数である。
【0068】
【化8】
【0069】前記一般式(5)中、m、nは互いに独立
した1以上の整数である。
【0070】
【化9】
【0071】前記一般式(6)中、m、nは互いに独立
した1以上の整数であり、RはHまたはCH3である。
【0072】(C)ポリエチレンオキシド(PEO)と
高分子電解質との混合系;PEOとナフィオンとを混合
した高分子マトリックス系、下記一般式(7)〜(1
0)で表わされる高分子マトリックス系からなる群の中
から選ばれた1種または2種以上の混合物の高分子マト
リックス系。
【0073】なお、前記(C)ポリエチレンオキシド
(PEO)と高分子電解質との混合系で例示した、PE
Oとナフィオンとを混合した高分子マトリックス系は、
金属塩の構造部が−COO-+、−[SO2−N-―SO
2R]M+(M=Li、Na、K、Rb、Cs、R=(C
2nCF3)であるものも含む。
【0074】
【化10】
【0075】前記一般式(7)中、m、nは互いに独立
した1以上の整数である。
【0076】
【化11】
【0077】前記一般式(8)中、m、nは互いに独立
した1以上の整数である。
【0078】
【化12】
【0079】前記一般式(9)中、m、nは互いに独立
した1以上の整数である。
【0080】
【化13】
【0081】前記一般式(10)中、m、nは1以上の
整数である。
【0082】(D)共重合体系;下記一般式(11)〜
(14)で表わされる高分子マトリックス系からなる群
の中から選ばれた1種または2種以上の混合物の高分子
マトリックス系。
【0083】
【化14】
【0084】前記一般式(11)中、m、n、pは互い
に独立した1以上の整数であり、MはLi、Naまたは
Kである。
【0085】
【化15】
【0086】前記一般式(12)中、m、nは互いに独
立した1以上の整数である。
【0087】
【化16】
【0088】前記一般式(13)中、k、m、nは互い
に独立した1以上の整数であり、Rは、−SO3 -Na+
または−N+R´3-であり、前記R´はCH3、または
2 5である。
【0089】
【化17】
【0090】前記一般式(14)中、m、nは互いに独
立した1以上の整数である。
【0091】(E)網目状ポリエーテル系;下記一般式
(15)または(16)で表わされる高分子マトリック
ス系。
【0092】
【化18】
【0093】前記一般式(15)中、nは1以上の整数
である。
【0094】
【化19】
【0095】前記一般式(16)中、nは1以上の整数
である。
【0096】(F)含浸ポリマーネットワーク系;エポ
キシ樹脂とポリエチレンオキシドとが混合された高分子
マトリックス系、ポリ(メタクリル酸)とポリメチレン
ビスアクリルアミドとポリビニルアルコールとが混合さ
れた高分子マトリックス系。 (G)ブロック共重合体系;下記一般式(17)〜(2
2)で表わされる高分子マトリックス系
【0097】
【化20】
【0098】前記一般式(17)中、m、nは互いに独
立した1以上の整数である。
【0099】
【化21】
【0100】前記一般式(18)中、k、m、n、pは
互いに独立した1以上の整数である。
【0101】
【化22】
【0102】前記一般式(19)中、k、m、nは互い
に独立した1以上の整数である。
【0103】
【化23】
【0104】前記一般式(20)中、k、m、nは互い
に独立した1以上の整数である。
【0105】
【化24】
【0106】前記一般式(21)中、m、nは互いに独
立した1以上の整数である。
【0107】
【化25】
【0108】前記一般式(22)中、m、nは互いに独
立した1以上の整数である。
【0109】(H)架橋薄膜系;下記一般式(22)〜
(26)で表わされる高分子マトリックス系からなる群
の中から選ばれた1種または2種以上の混合物の高分子
マトリックス系。
【0110】
【化26】
【0111】前記一般式(23)中、k、m、n、p、
qは互いに独立した1以上の整数である。
【0112】
【化27】
【0113】前記一般式(24)中、k、m、n、pは
互いに独立した1以上の整数である。
【0114】
【化28】
【0115】前記一般式(25)中、nは1以上の整数
である。
【0116】
【化29】
【0117】前記一般式(26)中、m、nは互いに独
立した1以上の整数である。
【0118】
【化30】
【0119】前記一般式(27)中、mは1以上の整数
である。
【0120】(I)非ポリエーテル系;下記一般式(2
8)〜(32)で表わされる高分子マトリックス系から
なる群の中から選ばれた1種または2種以上の混合物の
高分子マトリックス系。
【0121】
【化31】
【0122】前記一般式(28)中、nは1以上の整数
である。
【0123】
【化32】
【0124】前記一般式(29)中、nは1以上の整数
である。
【0125】
【化33】
【0126】前記一般式(30)中、m、nは互いに独
立した1以上の整数である。
【0127】
【化34】
【0128】前記一般式(31)中、nは1以上の整数
である。
【0129】
【化35】
【0130】前記一般式(32)中、nは1以上の整数
である。
【0131】そして、下記一般式(1)で表わされる高
分子は、ポリエチレンオキシドと、ポリエチレンスルフ
ィドの両方を備えており、高分子中に適度な極性と負の
電荷の両方を有する高分子である。しかも、この高分子
は、前記両者が結合しているエチレン鎖の各々の長さを
適切化することによって、この高分子に配合されたイオ
ン種に対して適度な自由空間を確保した三次構造とする
ことができる。したがって、本発明にあっては、下記一
般式(1)で表される高分子を用いることによって、前
記イオン種の分散性及び移動度を更に高めたイオン伝導
性高分子を具現することが可能となる。
【0132】
【化36】
【0133】前記一般式(1)中、m、n、kは、互い
に独立した1以上の整数である。
【0134】(金属塩)本発明で用いられる金属塩は、
本発明に係るイオン伝導性高分子におけるイオンの供給
源となるものである。この本発明で用いられる金属塩
は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むことを
必要とし、更にメタノールをはじめとするアルコール等
の各種極性溶媒への溶解性が良好で前記所定の高分子中
に適切に分散すると共に、所要の化学的安定性を備える
べく、熱力学的見地から格子エネルギが500〜250
0kJ/molであることが好ましい。
【0135】すなわち、前記金属塩の格子エネルギが2
500kJ/molを越えると前記金属塩の前記所定の
高分子中への溶解性が阻害され、前記金属塩の格子エネ
ルギが500kJ/mol未満であると前記金属塩自体
が不安定となって取扱いが困難となる。
【0136】そして、前記した本発明の必要条件を満た
すと共に、比較的高いイオン伝導性能を具現させるべ
く、前記金属塩は、トリフルオロメタンスルホン酸リチ
ウム、6フッ化リンリチウム、6フッ化砒素リチウム、
6フッ化アンチモンリチウムヨウ化リチウム、過塩素酸
リチウム、ヨウ化ナトリウムからなる群の中から選ばれ
た1種または2種以上であることが特に好ましい。
【0137】(酸化チタニウム、酸化アルミニウム、酸
化珪素)本発明に係るイオン伝導性高分子に酸化チタニ
ウム、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を添加すれば、
イオン伝導度をより一層高めることが可能となる。これ
は、前記イオン伝導性高分子に配合された金属塩に対し
てルイス酸、またはルイス塩基として作用し、前記イオ
ン伝導性高分子中で前記金属塩のイオン解離を促進させ
る役割を演ずることによるものと考えられる。したがっ
て、本発明に係るイオン伝導性高分子に酸化チタニウ
ム、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を添加することが
好ましい。
【0138】このような酸化チタニウム、酸化アルミニ
ウムまたは酸化珪素は、特に限定されるものではなく、
従来公知のものを使用することができるが、前記のルイ
ス酸またはルイス塩基の効果をより強く発揮させるため
には、これらの粒径は可能な限り小さい方が好ましく、
また、これらの粒度分布は可能な限り均一であることが
好ましい。
【0139】(イオン伝導性高分子の製造方法)本発明
に係るイオン伝導性高分子の製造方法として、所定のイ
オン伝導性高分子フィルムに超臨界CO2流体を接触さ
せて処理する方法と、所定の溶媒中に所定の金属塩と高
分子とを溶解させて構成されたイオン伝導性高分子材料
の原料となる溶液(イオン伝導性高分子前駆体)に対し
て超臨界CO2流体を接触させて処理する方法の2つの
方法がある。
【0140】最初に、前記所定のイオン伝導性高分子フ
ィルムに超臨界CO2流体を接触させて処理する方法に
ついて説明する。まず、前記の本発明の必要条件を満た
す所定の高分子に、所定の金属塩を所定量添加して、前
記高分子中に前記金属塩を含浸させる。なお、前記高分
子に前記金属塩を分散させる方法は、特に限定されるも
のではなく、従来公知の方法を用いて行なうことができ
る。例えば、前記金属塩を溶解させたメタノール等の極
性溶媒に、前記高分子を所定時間、浸漬させることによ
り、前記高分子を適度に膨潤させて、その高分子マトリ
ックス中に前記金属塩を含浸させてもよい。その際、前
記溶媒を沸点未満、かつこの高分子の融点以下の温度に
保持し、更に、前記溶媒を適宜撹拌することにより前記
金属塩の高分子中への含浸をより一層促進させることが
できる。
【0141】続いて、前記金属塩が含浸されて、適宜分
散された高分子を、所定の溶媒に溶解させて高分子溶液
を調製し、この高分子溶液を基板上に展開して、これを
乾燥、固化して金属塩含有高分子フィルムを作製する。
このとき用いられる溶媒は特に限定されるものではない
が、前記高分子の溶解性が良好な溶媒として、極性の高
いアルコールを用いることが好ましい。また、前記高分
子溶液から金属塩含有高分子フィルムを作製する際に
は、例えば、従来公知の回転塗布方法(スピンコート
法)を用いれば、膜厚が比較的均一な前記高分子フィル
ムを作製することができる。
【0142】そして、前記金属塩含有高分子フィルムに
対して、前記図1に示すような超臨界CO2流体処理装
置を用いて、超臨界CO2流体を、所定時間、浸漬(ま
たは接触)させて超臨界CO2流体処理を施すことがで
きる。このような超臨界CO2流体処理によって、前記
金属塩含有高分子フィルム中に配合された金属塩が溶媒
の効果によって、一段と高度に分散されて、この高分子
フィルムのイオン伝導性が高められると考えられる。
【0143】つぎに、前記所定の溶媒中に所定の金属塩
と高分子とを溶解させて得られたイオン伝導性高分子前
駆体となる溶液に対して超臨界CO2流体を接触させて
処理する方法について説明する。まず、所定の溶媒に前
記の本発明の必要条件を満たす金属塩と、前記の本発明
の必要条件を満たす高分子とを溶解させて、イオン伝導
性高分子前駆体となる溶液を調製する。このとき用いら
れる溶媒は特に限定されるものではないが、前記高分子
の溶解性が良好な溶媒として、極性の高いアルコールを
用いることができる。
【0144】続いて、前記溶液状のイオン伝導性高分子
前駆体に対して、超臨界CO2流体処理装置(図示省
略)を用いて、超臨界CO2流体を、所定時間、接触さ
せて超臨界CO2流体処理を施すことができる。その結
果、前記溶液状のイオン伝導性高分子前駆体で発現する
溶媒の効果によって金属塩の分散性が更に高められるこ
とが期待される。そして、このような超臨界CO2流体
処理が施された溶液状のイオン伝導性高分子前駆体を所
定の基板上に展開して、乾燥、固化すれば、イオン伝導
性より高められたフィルム状のイオン伝導性高分子が得
られる。このとき、例えば、従来公知の回転塗布方法
(スピンコート法)を用いれば、膜厚が比較的均一なフ
ィルム状のイオン伝導性高分子を作製することができ
る。
【0145】本発明にあっては、このようにして、フィ
ルム状のイオン伝導性高分子に対して超臨界CO2流体
の接触処理を施した場合と、溶液状のイオン伝導性高分
子前駆体に対して超臨界CO2流体の接触処理を施した
場合とでは、前記後者の場合に溶媒の効果が発現する。
このため、前記両者では、高分子中の金属塩の分散状態
が異なると考えられ、異なる特性を有するイオン伝導性
高分子が得られることが期待される。したがって、本発
明に係るイオン伝導性高分子の製造方法によれば、所望
の特性を有するイオン伝導性高分子を具現することが可
能になると考えられる。
【0146】(イオン伝導性高分子材料)以上のように
して作製されたイオン伝導は、イオンセンサ、表示素子
に用いられる高分子電解質や導電性塗料を構成するイオ
ン伝導性高分子材料に好適なものである。そして、この
ようなイオン伝導性高分子材料は、例えば、図5に示さ
れるようなポリマー二次電池用高分子電解質にも好適で
ある。図5は、本発明に係るイオン伝導性高分子をポリ
マー二次電池用電解質に適用したリン酸型燃料電池セル
の構成を示す模式図である。
【0147】
【実施例】つぎに、本発明に係るイオン伝導性高分子お
よびその製造方法ならびにその処理方法の実施例につい
て説明する。
【0148】まず、ポリエチレンオキシド(PEO)の
高分子マトリックス中にリチウムイオン(Li+)を配
合して、前記高分子マトリックス中で、Li+の濃度を
2.5〜33.0mol%で適宜水準振りし、Li+
とオキシエチレンユニット(−CH2CH2O−)数との
比([Li+]/[OE])が1/40、1/20、1
/10、1/7、1/5、1/3となるようにして、超
臨界CO2処理用のイオン伝導性高分子を作製した。具
体的には、PEOを10.0gに対し、Li+の供給源
であるLiCF3SO3を、各々0.885g、1.77
1g、3.541g、5.0653g、7.083g、
11.805g秤量したものに、ドライアセトンを30
0ml加えて前記両者を溶解させた後、更に80℃で1
2時間、撹拌してゲル状のイオン伝導性高分子を調製し
た。
【0149】更に、前記のゲル状の高分子を12時間、
80℃に保持して撹拌し、続いてデシケータ中で減圧に
より乾燥させて、固体状のイオン伝導性高分子を調製し
た。その後、この固体状のイオン伝性性高分子を、ホッ
トプレス装置を用いて、温度を80℃、圧力を20MP
aの条件で10分間保持してフィルム状のイオン伝導性
高分子を作製した。そして、このフィルム状のイオン伝
導性高分子を室温まで空冷し、膜厚が略1.0mmのフ
ィルム状イオン伝導性高分子(超臨界CO2流体未処理
試料)を作製した。
【0150】(超臨界CO2流体処理)引き続いて、前
記フィルム状の各試料を真空中で乾燥させ、10mm角
の大きさに切断して、図1に示すような超臨界CO2
体処理装置Aに含まれるステンレス製の高圧反応容器で
ある反応セル1に導入し、この反応セル1全体をオーブ
ン中で、100℃で1時間保持した。図1は、超臨界C
2流体処理装置Aおよびこれに付随する装置の構成を
示す模式図である。そして、反応セル1を100℃に保
持したまま、その内部にCO2ボンベ5から送気ポンプ
6によりCO2ガスを導入し、圧力を20MPaとして
超臨界CO2流体状態を形成し、この超臨界CO2流体処
理を前記フィルム状の各試料に対して30分間接触させ
て処理を施し、本発明に係るイオン伝導性高分子の製造
方法によって作製された実施例の試料とした。
【0151】この後、前記高圧反応容器を室温の冷水中
に投入して、30℃まで急冷し、この高圧反応容器の内
部に残留しているCO2ガスを速やかに放出させた。そ
して、前記高圧反応容器の中から前記フィルム状の試料
を取り出し、引き続いて、室温で24時間、真空乾燥を
施して測定試料とした。一方、前記超臨界CO2処理を
施さなかった、10mm角サイズのイオン伝導性高分子
フィルムの試料を本発明の必要条件を満たさない比較例
とした。
【0152】(試料の測定)このようにして作製した本
発明に係る実施例と、本発明の必要条件を満たさない比
較例の各測定試料を、図2に示すような、厚さ0.5m
m、15mm角のステンレス板10、10’を両極と
し、厚さ1.0mmのポリテトラフルオロエチレン(P
TFE)をスペーサ11として構成された測定セル12
の測定部11’に装填し、インピーダンスアナライザ
(図示省略)を用いて、温度範囲を30〜100℃、昇
温速度を2.0℃/min、周波数範囲を50Hz〜1
3MHzとして、複素インピーダンスアナライザ測定を
行なった。なお、測定は全て乾燥窒素雰囲気下のステン
レス製のボックス中で行なった。
【0153】また、各試料の熱的性質は、DSC(di
fferential scanning calor
imetry、示差走査熱分析)測定装置を用い、温度
範囲を100〜200℃、昇温速度を10℃/minと
して測定した。また、同時にこれら各試料のガラス転移
点Tg(℃)、融点Tm1(℃)、Tm2(℃)、および融
解エンタルピΔH1(kJ/mol)、ΔH2(kJ/m
ol)についても測定した。表1にこれら各試料の測定
結果を示す。なお、前記融点Tm1および融解エンタルピ
ΔH1は、単体のポリエチレンオキシド(PEO)相の
ものであり、前記融点Tm2および融解エンタルピΔH2
は、PEO相と金属塩との複合化によって生起されたP
EO相の結晶相に基づくものである。
【0154】
【表1】
【0155】表1に示すように、イオン伝導性高分子に
超臨界CO2流体処理を施した本発明に係る実施例(N
o.1〜6)は、前記イオン伝導性高分子に超臨界CO
2流体処理を施していない比較例(No.7〜12)に
比べて、ガラス転移点Tgが減少し、融点Tm1(℃)お
よび融点Tm2(℃)は同等あるいは若干増加しているこ
とがわかる。この結果は、イオン伝導性高分子に超臨界
CO2流体処理を施した本発明に係る実施例(No.1
〜6)は、前記イオン伝導性高分子に超臨界CO2流体
処理を施していない比較例(No.7〜12)に比べ
て、高分子マトリックスの動力学特性が改善されて、こ
の高分子マトリックス中の物質(金属塩、イオン種)が
拡散し易くなっていることを示唆するものである。
【0156】図3は、本発明に係る実施例、及び本発明
の必要条件を満たさない比較例の各々のイオン伝導度の
温度依存性を示すグラフである。また、図3には、表1
に示す実施例No.4の結果が黒丸(●)で示され、比
較例No.10の結果が白丸(○)で示され、前記両者
が対比して示されている。図3に示すように、超臨界C
2流体処理を施した本発明に係る実施例No.4で
は、超臨界CO2流体処理を施していない比較例No.
10に比べ、40℃のイオン伝導度が約100倍向上し
ていることがわかる。なお、超臨界CO2流体処理を施
した本発明に係る実施例、および超臨界CO2流体処理
を施していない比較例で、60℃付近(横軸(1000
-1/K-1)の3.0付近)で相転移が生じているが、
この相転移はポリエチレンオキシドの結晶相に基づくも
のと考えられる。
【0157】図4は、表1に示す超臨界CO2流体処理
が施された本発明に係る実施例(表1のNo.1〜6)
と、前記超臨界CO2流体処理が施されていない本発明
の必要条件を満たさない比較例(表1のNo.7〜1
1)のイオン伝導度の測定結果を示すグラフであって、
測定温度が90℃のものと40℃のものを示している。
また、図4の横軸は、ポリエチレンオキシド(PEO)
の高分子マトリックス中のオキシエチレンユニット(−
CH2CH2O−)に対するLi+の濃度(mol%)を
示し、グラフ中の黒い点(◆または●)は本発明に係る
実施例の結果を示し、グラフ中のブランクの点(◇また
は○)は本発明の必要条件を満足しない比較例の結果を
示す。
【0158】図4に示すように、測定温度が90℃およ
び40℃のいずれにおいても、本発明に係る実施例(表
1のNo.1〜6)は、本発明の必要条件を満足しない
(すなわち、超臨界CO2流体処理が施されていない)
比較例(表1のNo.7〜11)に比べて、高いイオン
伝導度を示している。
【0159】このように、本発明にあっては、高分子材
料に従来公知の方法によって前記金属塩を配合して作製
されたイオン伝導性高分子に、超臨界CO2流体処理を
施すことによって、イオン伝導度を飛躍的に高めること
ができる。そして、このように作製されたイオン伝導性
高分子材料は、例えば図5に示すようなポリマー二次電
池用の電解質に好適なものである。図5は、本発明に係
るイオン伝導性高分子からなる電解質を備えた各種ポリ
マー二次電池用の構成を示す模式図であって、図5
(a)はリブ付電極セルを有する形態ポリマー二次電池
の模式図を示し、図5(b)はリブ付インターコネクタ
セルを有する形態のポリマー二次電池の模式図である。
また、このようにして作製された本発明に係るイオン伝
導性高分子は、各種のイオンセンサ、表示材料の高分子
電解質、または導電性塗料にも好適なものである。
【0160】
【発明の効果】以上説明した通りに構成される本発明に
よれば、以下の効果を奏する。すなわち、本発明に係る
請求項1によれば、各種の金属塩を含んで構成されるイ
オン伝導性高分子を、超臨界CO2流体を用いて処理す
ることにより、高分子鎖の間に前記金属塩が高度に分散
されるので、そのイオン伝導性が向上されたイオン伝導
性高分子を提供することができる。
【0161】本発明に係る請求項2によれば、金属塩か
ら供給されるイオン種のマトリックスとなる前記高分子
が適切な極性を有するので、このイオン種の分散性が良
好に保持されると共に、このイオン種の移動度が高くな
り、前記イオン伝導性を更に向上させたイオン伝導性高
分子を提供することができる。
【0162】本発明に係る請求項3によれば、前記イオ
ン種のマトリックスとなる前記高分子が、適切な極性及
び電荷の両方またはいずれか一方を有するので、前記イ
オン種の分散性及び移動度を更に高めてイオン伝導性を
向上させたイオン伝導性高分子を提供することができ
る。
【0163】本発明に係る請求項4によれば、前記イオ
ン種のマトリックスとなる前記高分子が、適切な極性及
び電荷の両方を有すると共に、この高分子鎖の三次構造
が前記イオン種に対して適度な自由空間を確保したもの
となるので、前記イオン種の分散性及び移動度を更に一
段と高めてイオン伝導性を向上させたイオン伝導性高分
子を提供することができる。
【0164】本発明に係る請求項5によれば、前記所定
の高分子はが薄膜に形成される際にも、適度な強度と成
形性を有するイオン伝導性高分子を提供することができ
る。
【0165】本発明に係る請求項6によれば、メタノー
ルをはじめとするアルコール等の各種極性溶媒に対し、
前記金属塩の溶解性が良好となると共に、前記金属塩の
化学的安定性が確保されるので、前記所定の高分子に前
記金属塩を配合する際、前記金属塩の分散性が良好かつ
安定に保持されて高いイオン伝導性を安定に発揮できる
イオン伝導性高分子を提供することができる。
【0166】本発明に係る請求項7によれば、前記金属
塩によって前記所定の高分子マトリックスに供給される
イオン種がこの高分子マトリックスの極性を有する基ま
たは電荷を有する基と強い相互作用を有するので、この
イオン種の分散性が良好に保持されると共に、このイオ
ン種の移動度が高くなり、前記イオン伝導性を更に向上
させたイオン伝導性高分子を提供することができる。
【0167】本発明に係る請求項8によれば、前記イオ
ン種の移動度が更に高められて一段と高いイオン伝導性
を発揮できるイオン伝導性高分子が具現される。
【0168】また、本発明に係る請求項9によれば、各
種の金属塩が所定の高分子に配合されたイオン伝導性高
分子フィルムを調製し、前記イオン伝導性高分子フィル
ムに対して超臨界CO2流体の接触処理を施すことによ
り、前記イオン伝導性高分子のマトリックス中に超臨界
CO2流体が含浸し、前記金属塩がより高度に分散され
て、そのイオン伝導性をより向上させるイオン伝導性高
分子の製造方法を提供することができる。
【0169】更に、本発明に係る請求項10によれば、
各種の金属塩が所定の高分子の溶液に配合された、溶液
状のイオン伝導性高分子前駆体を調製し、この溶液状の
イオン伝導性高分子前駆体に対して超臨界CO2流体の
接触処理を施すことにより、前記溶液状のイオン伝導性
高分子前駆体中に超臨界CO2流体が混入し、前記金属
塩がより高度に分散される。そして、例えば、このよう
に前記金属塩が高度に分散された溶液状のイオン伝導性
高分子前駆体を基板の上に展開し、乾燥、固化してフィ
ルム状のイオン伝導性高分子を作製すれば、イオン伝導
性がより向上されたイオン伝導性高分子が得られるイオ
ン伝導性の高分子の製造方法を提供することができる。
【0170】本発明に係る請求項11によれば、金属塩
から供給されるイオン種のマトリックスとなる前記高分
子が適切な極性を有するので、このイオン種の分散性が
良好に保持されると共に、このイオン種の移動度が高く
なり、前記イオン伝導性を更に向上させることが可能な
イオン伝導性高分子の製造方法を提供することができ
る。
【0171】本発明に係る請求項12によれば、前記イ
オン種のマトリックスとなる前記高分子が、適切な極性
及び電荷の両方またはいずれか一方を有するので、前記
イオン種の分散性及び移動度を更に高めてイオン伝導性
を向上させることが可能なイオン伝導性高分子の製造方
法を提供することができる。
【0172】本発明に係る請求項13によれば、前記イ
オン種のマトリックスである前記高分子が、ポリエチレ
ンオキシドとポリエチレンスルフィドとを備えて構成さ
れるので、更に一段と適切な極性及び電荷の両方を有す
ると共に、この高分子鎖の三次構造が前記イオン種に対
して適度な自由空間を確保したものとなる。その結果、
前記イオン種の分散性及び移動度を更に高めるイオン伝
導性高分子の製造方法を提供することができる。
【0173】本発明に係る請求項14によれば、前記所
定の高分子を薄膜に形成する際にも、適度な強度と成形
性を有するイオン伝導性高分子の製造方法を提供するこ
とができる。
【0174】本発明に係る請求項15によれば、メタノ
ールをはじめとするアルコール等の各種極性溶媒に対
し、前記金属塩の溶解性が良好なものとなるので、前記
所定の高分子に前記金属塩を配合する際、前記金属塩の
分散性が良好かつ安定に保持されて高いイオン伝導性が
安定に発揮できるイオン伝導性高分子の製造方法を提供
することができる。
【0175】本発明に係る請求項16によれば、前記金
属塩によって前記所定の高分子マトリックスに供給され
るイオン種がこの高分子マトリックスの極性を有する基
または電荷を有する基と強い相互作用を有するので、こ
のイオン種の分散性が良好に保持されると共に、このイ
オン種の移動度が高くなり、前記イオン伝導性を更に向
上させることが可能なイオン伝導性高分子の製造方法を
提供することができる。
【0176】本発明に係る請求項17によれば、前記イ
オン種の移動度を更に高めて一段と高いイオン伝導性を
発揮できるイオン伝導性高分子の製造方法を提供するこ
とができる。
【0177】本発明に係る請求項18によれば、既存の
イオン導電性高分子材料のイオン伝導性を更に高めるイ
オン導電性の処理方法を提供することができる。
【0178】また、請求項9から17のいずれか1項に
記載のイオン伝導性高分子の製造方法によって、高いイ
オン伝導性を備えると共に、薄膜に形成する際にも適切
な強度を有するイオン伝導性高分子を提供することがで
き、このイオン伝導性高分子は、ポリマー二次電池用の
電解質に好適なものである。(請求項19、請求項2
0)
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るイオン伝導性高分子の製造方法、
またはその処理方法で使用される1例の超臨界CO2
体処理装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係るイオン伝導性高分子の実施例のイ
オン伝導度測定に用いた装置構成を示す模式図である。
【図3】本発明に係る実施例及び本発明の必要条件を満
たさない比較例の各々のイオン伝導度の温度依存性を示
すグラフである。
【図4】本発明に係る実施例及び本発明の必要条件を満
たさない比較例の各々のイオン伝導度のイオン濃度依存
性を示すグラフである。
【図5】本発明に係るイオン伝導性高分子をポリマー二
次電池用電解質に適用したリン酸型燃料電池セルの構成
を示す模式図である。
【図6】CO2の各種状態間の転移を起こす圧力を,温
度の関数として示した状態図である。
【符号の説明】
1 反応セル 2 ヒータ 3 熱電対 4 温度測定手段 5 CO2ボンベ 6 送気ポンプ 7 圧力を監視するためのレギュレータ A 超臨界CO2流体処理装置 10 電極 11 スペーサ 11’ 測定部 12 測定セル
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3/22 C08K 3/22 5H029 3/36 3/36 5/42 5/42 C08L 55/00 C08L 55/00 H01B 1/06 H01B 1/06 A H01M 10/40 H01M 10/40 B (72)発明者 住田 雅夫 東京都目黒区大岡山2−12−1 東京工業 大学内 Fターム(参考) 4F070 FA04 FB10 4F071 AA12 AA29 AA37 AA44 AA51 AA67 AB15 AB18 AB25 AB26 AC14 AE15 AF37 AH15 FA05 FB01 FC01 FD05 4F073 BA04 BA17 BA23 BA27 BA32 BA33 BA34 BB01 DA09 4J002 AC031 AC061 BC121 BE021 BJ001 CF031 CH021 CM011 CP031 DD036 DD086 DE196 DH006 EV256 FD116 GQ02 5G301 CA30 CD01 CE10 5H029 AJ06 AJ15 AM12 AM16 CJ25

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の高分子に金属塩が配合されたイオ
    ン伝導性高分子であって、 前記イオン伝導性高分子は、超臨界CO2流体で所定時
    間、接触処理されたことを特徴とするイオン伝導性高分
    子。
  2. 【請求項2】 前記所定の高分子は、ポリエチレオンオ
    キシド、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、ポ
    リビニルピロリドン、ポリエチレンサクシネート、ポリ
    ビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレン
    スルフィド、ポリビニレンカーボネート、ポリイソプレ
    ンおよびポリブタジエンからなる群の中から選ばれた1
    種または2種以上の混合物で構成されることを特徴とす
    る請求項1に記載のイオン伝導性高分子。
  3. 【請求項3】 前記所定の高分子は、下記(A)〜(I)
    からなる群の中から選ばれた1種または2種以上の混
    合物の高分子マトリックス系で構成されることを特徴と
    する請求項1に記載のイオン伝導性高分子。 (A)多孔質高分子系 (B)極性高分子系 (C)ポリエチレンオキシドと高分子電解質との混合系 (D)共重合体系 (E)網目状ポリエーテル系 (F)含浸ポリマーネットワーク系 (G)ブロック共重合体系 (H)架橋薄膜系 (I)非ポリエーテル系
  4. 【請求項4】 前記所定の高分子は、下記一般式(1)
    で表わされることを特徴とする請求項1に記載のイオン
    伝導性高分子。 【化1】 前記一般式(1)中、m、n、kは、互いに独立した1
    以上の整数である。
  5. 【請求項5】 前記所定の高分子は、質量平均分子量
    が、50000〜3000000であることを特徴とす
    る請求項1から4のいずれか1項に記載のイオン伝導性
    高分子。
  6. 【請求項6】 前記所定の金属塩は、アルカリ金属また
    はアルカリ土類金属を含み、かつその格子エネルギが5
    00〜2500kJ/molであることを特徴とする請
    求項1から5のいずれか1項に記載のイオン伝導性高分
    子。
  7. 【請求項7】 前記所定の金属塩は、トリフルオロメタ
    ンスルホン酸リチウム、6フッ化リンリチウム、6フッ
    化砒素リチウム、6フッ化アンチモンリチウムヨウ化リ
    チウム、過塩素酸リチウム、ヨウ化ナトリウムからなる
    群の中から選ばれた1種または2種以上の混合物である
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載
    のイオン伝導性高分子。
  8. 【請求項8】 前記所定の高分子に、更に酸化チタニウ
    ム、酸化アルミニウムおよび酸化珪素からなる群の中か
    ら選ばれた1種または2種以上の混合物が含まれて構成
    されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項
    に記載のイオン伝導性高分子。
  9. 【請求項9】 高分子に金属塩が配合されたイオン伝導
    性高分子の製造方法であって、 所定の高分子に、所定の金属塩を所定量添加して、前記
    高分子中に前記金属塩を分散させる工程と、 前記金属塩が分散した高分子を所定の溶媒に溶解させて
    高分子溶液を調製し、この高分子溶液を基板上に展開
    し、これを乾燥、固化して金属塩含有高分子フィルムを
    作製する工程と、 前記金属塩含有高分子フィルムを超臨界CO2流体に、
    所定時間、浸漬させて超臨界CO2流体処理を行なう工
    程と、 を含んで構成されることを特徴とするイオン伝導性高分
    子の製造方法。
  10. 【請求項10】 高分子に金属塩が配合されたイオン伝
    導性高分子の製造方法であって、 所定の高分子に、所定の金属塩を所定量添加して、前記
    高分子中に前記金属塩を分散させる工程と、 前記金属塩が分散した高分子を所定の溶媒に溶解させて
    高分子溶液を調製する工程と、 前記高分子溶液を超臨界CO2流体と、所定時間、混合
    させて超臨界CO2流体処理を行なう工程と、を含んで
    構成されることを特徴とするイオン伝導性高分子の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 前記所定の高分子は、ポリエチレオン
    オキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、
    ポリビニルピロリドン、ポリエチレンサクシネート、ポ
    リビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレ
    ンスルフィド、ポリビニレンカーボネート、ポリイソプ
    レンおよびポリブタジエンからなる群の中から選ばれた
    1種または2種以上の混合物で構成されることを特徴と
    する請求項9または10に記載のイオン伝導性高分子の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 前記所定の高分子は、下記(A)〜
    (I) からなる群の中から選ばれた1種または2種以上
    の混合物の高分子マトリックス系で構成されることを特
    徴とする請求項9または10に記載のイオン伝導性高分
    子。 (A)多孔質高分子系 (B)極性高分子系 (C)ポリエチレンオキシドと高分子電解質との混合系 (D)共重合体系 (E)網目状ポリエーテル系 (F)含浸ポリマーネットワーク系 (G)ブロック共重合体系 (H)架橋薄膜系 (I)非ポリエーテル系
  13. 【請求項13】 前記所定の高分子は、下記一般式
    (1)で表わされることを特徴とする請求項9または1
    0に記載のイオン伝導性高分子の製造方法。 【化2】 前記一般式(1)中、m、n、kは、互いに独立した1
    以上の整数である。
  14. 【請求項14】 前記所定の高分子は、質量平均分子量
    が、50000〜3000000であることを特徴とす
    る請求項9から13のいずれか1項に記載のイオン伝導
    性高分子の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記所定の金属塩は、アルカリ金属ま
    たはアルカリ土類金属を含み、かつ格子エネルギが50
    0から2500kJ/molであることを特徴とする請
    求項9から14のいずれか1項に記載のイオン伝導性高
    分子の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記所定の金属塩は、トリフルオロメ
    タンスルホン酸リチウム、6フッ化リンリチウム、6フ
    ッ化砒素リチウム、6フッ化アンチモンリチウムヨウ化
    リチウム、過塩素酸リチウム、ヨウ化ナトリウムからな
    る群の中から選ばれた1種または2種以上の混合物であ
    ることを特徴とする請求項9から15のいずれか1項に
    記載のイオン伝導性高分子の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記所定の高分子に、更に酸化チタニ
    ウム、酸化アルミニウムおよび酸化珪素からなる群の中
    から選ばれた1種または2種以上の混合物が含まれて構
    成されることを特徴とする請求項9から16のいずれか
    1項に記載のイオン伝導性高分子の製造方法。
  18. 【請求項18】 イオン伝導性を有する高分子を、超臨
    界CO2流体と接触させて所定時間、処理することを特
    徴とするイオン伝導性高分子の処理方法。
  19. 【請求項19】 請求項9から17のいずれか1項に記
    載のイオン伝導性高分子の製造方法を用いて製造された
    イオン伝導性高分子。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載のイオン伝導性高分
    子から構成されるポリマー二次電池用電解質。
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