JP4144778B2 - イオン伝導性高分子およびその製造方法ならびにその処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン伝導性高分子、およびその製造方法、ならびにその処理方法に係り、特に、イオン伝導性を向上させたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
イオン伝導性高分子は、ポリマー二次電池をはじめとする各種の電気化学デバイスに好適な固体電解質材料として注目されている。従来のイオン伝導性高分子は、主に、高分子量のポリエチレンオキシド(PEO)にアルカリ金属塩を配合して構成され、各種のPEO誘導体に各種のアルカリ金属塩を添加した複合体が提案されている。
【0003】
例えば、A.S.Best等は、学術誌;Macromolecule(第34巻、第4549頁(2001年))に、架橋構造や櫛型構造を有するPEO誘導体に極性溶媒を含浸させてゲル化させ、このようにゲル化された前記PEO誘導体に各種のリチウム塩と、更に酸化チタニウムや酸化アルミニウム等のセラミックパウダーを充填させたものを提案している。このように構成されたイオン伝導性高分子は、室温で10-4〜10-3S/cm程度の比較的高いイオン伝導度を有するとされ、一部の前記ポリマー二次電池の電解質に適用されている。
【0004】
しかしながら、前記の比較的高いイオン伝導度を有するイオン伝導性高分子は、アルカリ金属塩が配合されたPEO等の高分子に対して極性溶媒を含浸させたゲル状の形態であり、溶媒が有する高い極性の効果と高分子が備える可塑性の効果との相乗効果によって前記高分子中のアルカリ金属塩の溶解性を促進させ、そのイオン拡散係数を増大させているに過ぎない。このため、このようなイオン伝導性高分子では、その高分子マトリックス中のイオンの分散性が最大限に高められているとは言い難く、そのイオン伝導性能を向上させる余地が残されていた。
【0005】
また、前記ゲル形態のイオン伝導性高分子は溶媒を含んでいるため、このイオン伝導性高分子をポリマー二次電池に適用する場合には、その安全性や動作の安定性を充分に確保するべく、溶媒の蒸発や漏洩を未然に防止する対策が必要である。すなわち、このようなイオン伝導性高分子を備えた従来のポリマー二次電池では、気密性シール等の装備を付与する必要があるため、サイズや重量の増加、ひいてはコストアップを招来するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記問題点に鑑み、本発明の目的は、イオン伝導性高分子に対して、金属塩の分散性を高めるための処理を施すことにより、そのイオン伝導性能を向上させ、ゲル状のイオン伝導性高分子と同等以上のイオン伝導性能を有する固体状のイオン伝導性高分子およびその製造方法ならびに処理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明者は、各種の金属塩を含んで構成されるイオン伝導性高分子に対して、超臨界流体処理技術を適用することにより、高分子マトリックス中に前記金属塩を高度に分散させて、そのイオン伝導性能を顕著に向上させることが可能なことを見い出し、本発明を創作するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る請求項1は、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドからなる群の中から選ばれた1種または2種の混合物で構成される、質量平均分子量が、50000〜3000000である高分子にトリフルオロメタンスルホン酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム、6フッ化砒素酸リチウム、6フッ化アンチモン酸リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウムからなる群の中から選ばれた1種または2種以上の金属塩が配合されたイオン伝導性高分子であって、前記イオン伝導性高分子は、超臨界CO2流体で所定時間、接触処理されたことを特徴とするイオン伝導性高分子を提供する。
【0009】
このように構成すれば、前記金属塩によって前記所定の高分子に供給されるイオン種が、適切な極性を有する前記高分子の極性を有する基または電荷を有する基と強い相互作用を有するので、このイオン種の分散性が良好に保持されると共に、このイオン種の移動度が高くなるとともに、超臨界CO2流体を用いて処理することにより、高分子マトリックス中に前記金属塩が高度に分散されるので、前記イオン伝導性を更に向上させたイオン伝導性高分子が具現される。さらに、前記高分子が、質量平均分子量が、50000〜3000000であるため、前記高分子が薄膜に形成される際にも、適度な強度と成形性を有する。
【0021】
本発明に係る請求項2は、前記請求項1において、前記金属塩が、その格子エネルギが500〜2500kJ/molであることを特徴とするイオン伝導性高分子を提供する。
【0022】
このように構成すれば、メタノールをはじめとするアルコール等の各種極性溶媒に対し、前記金属塩の溶解性が良好となると共に、前記金属塩の化学的安定性が確保されるので、前記所定の高分子に前記金属塩を配合する際、前記金属塩の分散性が良好安かつ安定に保持されて高いイオン伝導性を安定に発揮できるイオン伝導性高分子が具現される。
【0026】
前記課題を解決する本発明に係る請求項3は、イオン伝導性高分子の製造方法であって、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドからなる群の中から選ばれた1種または2種の混合物で構成される、質量平均分子量が、50000〜3000000である高分子にトリフルオロメタンスルホン酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム、6フッ化砒素酸リチウム、6フッ化アンチモン酸リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウムからなる群の中から選ばれた1種または2種以上の金属塩を所定量添加して、前記高分子中に前記金属塩を分散させる工程と、前記金属塩が分散した高分子を所定の溶媒に溶解させて高分子溶液を調製し、この高分子溶液を基板上に展開し、これを乾燥、固化して金属塩含有高分子フィルムを作製する工程と、前記金属塩含有高分子フィルムを超臨界CO2流体に、所定時間、浸漬させて超臨界CO2流体処理を行なう工程と、を含んで構成されることを特徴とするイオン伝導性高分子の製造方法を提供する。
【0027】
このように構成すれば、前記金属塩が前記高分子に配合されたイオン伝導性高分子フィルムを調製し、前記イオン伝導性高分子フィルムに対して超臨界CO2流体の接触処理を施すことにより、前記イオン伝導性高分子のマトリックス中に超臨界CO2流体が含浸し、前記金属塩がより高度に分散されて、前記金属塩によって前記高分子マトリックスに供給されるイオン種がこの高分子マトリックスの極性を有する基または電荷を有する基と強い相互作用を有するので、このイオン種の分散性が良好に保持されると共に、金属塩から供給されるイオン種のマトリックスとなる前記高分子が適切な極性を有するので、このイオン種の分散性が良好に保持され、このイオン種の移動度が高くなるとともに、そのイオン伝導性をより向上させるイオン伝導性高分子の製造方法が具現される。そして、前記高分子が、質量平均分子量が、50000〜3000000であるため、前記高分子を薄膜に形成する際にも、適度な強度と成形性を有するイオン伝導性高分子の製造方法が具現される。
【0034】
(A)多孔質高分子系
(B)極性高分子系
(C)ポリエチレンオキシドと高分子電解質との混合系
(D)共重合体系
(E)網目状ポリエーテル系
(F)含浸ポリマーネットワーク系
(G)ブロック共重合体系
(H)架橋薄膜系
(I)非ポリエーテル系
【0042】
本発明に係る請求項4は、前記請求項3において、前記金属塩が、格子エネルギが500から2500kJ/molであることを特徴とするイオン伝導性高分子の製造方法を提供する。
【0043】
このように構成すれば、メタノールをはじめとするアルコール等の各種極性溶媒に対し、前記金属塩の溶解性が良好なものとなるので、前記所定の高分子に前記金属塩を配合する際、前記金属塩の分散性が良好かつ安定に保持されて高いイオン伝導性が安定に発揮できるイオン伝導性高分子の製造方法が具現される。
【0050】
更にまた、以上のような効果を有する請求項1または2に記載のイオン伝導性高分子は、高いイオン伝導性を備えると共に、薄膜に形成する際にも適切な強度を有するため、ポリマー二次電池用の電解質に好適なものである。(請求項5)
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、高分子に所定の金属塩が配合されたイオン伝導性高分子に対して、超臨界CO2流体を用いた処理を施すことにより、前記高分子マトリックス中に前記金属塩の分散性を高めてそのイオン伝導性能を向上させるものである。
【0052】
(超臨界CO2流体)
本発明で用いられる超臨界CO2流体は、温度、圧力ともに臨界点を越えた状態の物質である。図6は、CO2の種々の状態を、温度と圧力の関係で示す状態図である。図6に示すように、CO2は、臨界温度31℃超、かつ臨界圧力73atm超で、超臨界流体となる。この超臨界CO2流体の密度は気体に比べて高密度な割に粘度が小さく、しかも拡散係数は液体の数百倍近いという性質を有するものである。
【0053】
また、この超臨界CO2流体は、高温高圧であるため、非常に分子運動が激しいという特徴を有している。このため、前記超臨界CO2流体は、小さな細孔にも容易に浸透しやすく、大きな運動エネルギを備えているために、特異的な化学反応を発現させ得る反応媒体として注目されている。しかも、前記超臨界CO2流体は、臨界温度が31℃であり、臨界圧力が73atmであるため、室温近傍で超臨界流体となり、低毒性、かつ不燃性、なおかつ安価であるため、ハロゲン化炭化水素が有する性質のように、油分をはじめとする各種の物質を溶解する性質を備えるといった点からも関心が持たれている。
【0054】
このように前記溶液状のイオン伝導性高分子前駆体に対して超臨界CO2流体の接触処理を施した場合には、前記イオン伝導性高分子に対して溶媒の効果が発現して、高分子と金属塩との複合体中の金属塩の分散性に多大な影響を及ぼすと考えられる。その結果、前記溶液状のイオン伝導性高分子前駆体に超臨界CO2流体の接触処理を施したものは、前記のフィルム状のイオン伝導性高分子に超臨界CO2処理を施した場合とは異なった特性を有するイオン伝導性高分子の製造方法を具現することが可能となる。
【0055】
このような性質を有する前記超臨界CO2流体を、所定の金属塩が配合されたイオン伝導性高分子に対して接触させる処理を施した場合と、所定の高分子と所定の金属塩とを含む溶液状のイオン伝導性高分子前駆体に対して接触させる処理を施した場合とでは、後者の場合に溶媒の効果が発現し、前記両者で互いに異なった特性を有するイオン伝導性高分子が得られるようになることが期待される。
【0056】
本発明者は、超臨界CO2流体が有するこのような作用効果に着目して、従来のイオン伝導性高分子材料に超臨界CO2流体を接触させることにより、このイオン伝導性高分子材料の特性の改善について検討した。その結果、イオン伝導性高分子のイオン伝導度が顕著に高められることが明らかとなった。
【0057】
本発明で、このような超臨界CO2流体をイオン伝導性高分子に接触させて行なわれる処理方法は特に限定されるものではなく、前記超臨界CO2流体の状態を安定に保持できる処理方法であれば使用することが可能である。図1は、本発明で使用することができる1例の超臨界CO2流体処理装置の模式図である。
【0058】
図1に示すように本発明で使用可能な1例の超臨界CO2流体処理装置Aは、イオン伝導性高分子材料を載置して超臨界CO2流体処理を施すための反応セル1と、この反応セルを所定温度に加熱するための加熱手段2と、反応セル1に熱電対3を介して電気的に接続された温度モニタ等を含む温度測定手段4とから構成され、この超臨界CO2流体処理装置Aには、反応セル1の内部にCO2ガスを供給するための供給源であるCO2ボンベ5と、このCO2ボンベ5のCO2を反応セル1の内部に向けて送気する送気ポンプ6と、反応セル1の内部の圧力を監視するためのレギュレータ7とが接続されて構成されている。
【0059】
(高分子)
本発明に係るイオン伝導性高分子で用いられる高分子は、金属塩、ひいてはこの金属塩から供給されるイオンのマトリックスを構成するものである。この高分子は、特に限定されるものではなく従来公知の各種の高分子材料を適用することができるが、この高分子のマトリックス中に配合されたイオンの分散性を高めると共に、高分子マトリックス中でのイオンの移動度を向上させるために、下記一般式(A)〜(I)で表わされる高分子マトリックスからなる群の中から選ばれた1種または2種以上の混合物の高分子マトリックスであることが好ましい。
【0060】
(A)多孔質高分子系
(B)極性高分子系
(C)ポリエチレンオキシドと高分子電解質との混合系
(D)共重合体系
(E)網目状ポリエーテル系
(F)含浸ポリマーネットワーク系
(G)ブロック共重合体系
(H)架橋薄膜系
(I)非ポリエーテル系
なお、前記(A)〜(I)の各高分子マトリックス系としては、例えば、以下のような高分子マトリックス系が挙げられる。
【0061】
(A)多孔質高分子系;ナフィオン、フレミオン。
(B)極性高分子系;ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンと6フッ化リンとの架橋体、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドンからなる群の中から選ばれた1種または2種以上の混合物、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、グラフト型ポリエーテルである下記一般式(2)〜(6)で表わされる高分子マトリックス系からなる群の中から選ばれた1種または2種以上の混合物の高分子マトリックス系。
【0062】
【化5】
【0063】
前記一般式(2)中、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0064】
【化6】
【0065】
前記一般式(3)中、m、nは互いに独立した1以上の整数であり、RはHまたはCH3である。
【0066】
【化7】
【0067】
前記一般式(4)中、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0068】
【化8】
【0069】
前記一般式(5)中、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0070】
【化9】
【0071】
前記一般式(6)中、m、nは互いに独立した1以上の整数であり、RはHまたはCH3である。
【0072】
(C)ポリエチレンオキシド(PEO)と高分子電解質との混合系;PEOとナフィオンとを混合した高分子マトリックス系、下記一般式(7)〜(10)で表わされる高分子マトリックス系からなる群の中から選ばれた1種または2種以上の混合物の高分子マトリックス系。
【0073】
なお、前記(C)ポリエチレンオキシド(PEO)と高分子電解質との混合系で例示した、PEOとナフィオンとを混合した高分子マトリックス系は、金属塩の構造部が−COO-M+、−[SO2−N-―SO2R]M+(M=Li、Na、K、Rb、Cs、R=(CF2)nCF3)であるものも含む。
【0074】
【化10】
【0075】
前記一般式(7)中、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0076】
【化11】
【0077】
前記一般式(8)中、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0078】
【化12】
【0079】
前記一般式(9)中、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0080】
【化13】
【0081】
前記一般式(10)中、m、nは1以上の整数である。
【0082】
(D)共重合体系;下記一般式(11)〜(14)で表わされる高分子マトリックス系からなる群の中から選ばれた1種または2種以上の混合物の高分子マトリックス系。
【0083】
【化14】
【0084】
前記一般式(11)中、m、n、pは互いに独立した1以上の整数であり、MはLi、NaまたはKである。
【0085】
【化15】
【0086】
前記一般式(12)中、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0087】
【化16】
【0088】
前記一般式(13)中、k、m、nは互いに独立した1以上の整数であり、Rは、−SO3 -Na+または−N+R´3X-であり、前記R´はCH3、またはC2H5である。
【0089】
【化17】
【0090】
前記一般式(14)中、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0091】
(E)網目状ポリエーテル系;下記一般式(15)または(16)で表わされる高分子マトリックス系。
【0092】
【化18】
【0093】
前記一般式(15)中、nは1以上の整数である。
【0094】
【化19】
【0095】
前記一般式(16)中、nは1以上の整数である。
【0096】
(F)含浸ポリマーネットワーク系;エポキシ樹脂とポリエチレンオキシドとが混合された高分子マトリックス系、ポリ(メタクリル酸)とポリメチレンビスアクリルアミドとポリビニルアルコールとが混合された高分子マトリックス系。(G)ブロック共重合体系;下記一般式(17)〜(22)で表わされる高分子マトリックス系
【0097】
【化20】
【0098】
前記一般式(17)中、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0099】
【化21】
【0100】
前記一般式(18)中、k、m、n、pは互いに独立した1以上の整数である。
【0101】
【化22】
【0102】
前記一般式(19)中、k、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0103】
【化23】
【0104】
前記一般式(20)中、k、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0105】
【化24】
【0106】
前記一般式(21)中、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0107】
【化25】
【0108】
前記一般式(22)中、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0109】
(H)架橋薄膜系;下記一般式(22)〜(26)で表わされる高分子マトリックス系からなる群の中から選ばれた1種または2種以上の混合物の高分子マトリックス系。
【0110】
【化26】
【0111】
前記一般式(23)中、k、m、n、p、qは互いに独立した1以上の整数である。
【0112】
【化27】
【0113】
前記一般式(24)中、k、m、n、pは互いに独立した1以上の整数である。
【0114】
【化28】
【0115】
前記一般式(25)中、nは1以上の整数である。
【0116】
【化29】
【0117】
前記一般式(26)中、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0118】
【化30】
【0119】
前記一般式(27)中、mは1以上の整数である。
【0120】
(I)非ポリエーテル系;下記一般式(28)〜(32)で表わされる高分子マトリックス系からなる群の中から選ばれた1種または2種以上の混合物の高分子マトリックス系。
【0121】
【化31】
【0122】
前記一般式(28)中、nは1以上の整数である。
【0123】
【化32】
【0124】
前記一般式(29)中、nは1以上の整数である。
【0125】
【化33】
【0126】
前記一般式(30)中、m、nは互いに独立した1以上の整数である。
【0127】
【化34】
【0128】
前記一般式(31)中、nは1以上の整数である。
【0129】
【化35】
【0130】
前記一般式(32)中、nは1以上の整数である。
【0131】
そして、下記一般式(1)で表わされる高分子は、ポリエチレンオキシドと、ポリエチレンスルフィドの両方を備えており、高分子中に適度な極性と負の電荷の両方を有する高分子である。しかも、この高分子は、前記両者が結合しているエチレン鎖の各々の長さを適切化することによって、この高分子に配合されたイオン種に対して適度な自由空間を確保した三次構造とすることができる。したがって、本発明にあっては、下記一般式(1)で表される高分子を用いることによって、前記イオン種の分散性及び移動度を更に高めたイオン伝導性高分子を具現することが可能となる。
【0132】
【化36】
【0133】
前記一般式(1)中、m、n、kは、互いに独立した1以上の整数である。
【0134】
(金属塩)
本発明で用いられる金属塩は、本発明に係るイオン伝導性高分子におけるイオンの供給源となるものである。この本発明で用いられる金属塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むことを必要とし、更にメタノールをはじめとするアルコール等の各種極性溶媒への溶解性が良好で前記所定の高分子中に適切に分散すると共に、所要の化学的安定性を備えるべく、熱力学的見地から格子エネルギが500〜2500kJ/molであることが好ましい。
【0135】
すなわち、前記金属塩の格子エネルギが2500kJ/molを越えると前記金属塩の前記所定の高分子中への溶解性が阻害され、前記金属塩の格子エネルギが500kJ/mol未満であると前記金属塩自体が不安定となって取扱いが困難となる。
【0136】
そして、前記した本発明の必要条件を満たすと共に、比較的高いイオン伝導性能を具現させるべく、前記金属塩は、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、6フッ化リンリチウム、6フッ化砒素リチウム、6フッ化アンチモンリチウムヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、ヨウ化ナトリウムからなる群の中から選ばれた1種または2種以上であることが特に好ましい。
【0137】
(酸化チタニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素)
本発明に係るイオン伝導性高分子に酸化チタニウム、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を添加すれば、イオン伝導度をより一層高めることが可能となる。これは、前記イオン伝導性高分子に配合された金属塩に対してルイス酸、またはルイス塩基として作用し、前記イオン伝導性高分子中で前記金属塩のイオン解離を促進させる役割を演ずることによるものと考えられる。したがって、本発明に係るイオン伝導性高分子に酸化チタニウム、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を添加することが好ましい。
【0138】
このような酸化チタニウム、酸化アルミニウムまたは酸化珪素は、特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用することができるが、前記のルイス酸またはルイス塩基の効果をより強く発揮させるためには、これらの粒径は可能な限り小さい方が好ましく、また、これらの粒度分布は可能な限り均一であることが好ましい。
【0139】
(イオン伝導性高分子の製造方法)
本発明に係るイオン伝導性高分子の製造方法として、所定のイオン伝導性高分子フィルムに超臨界CO2流体を接触させて処理する方法と、所定の溶媒中に所定の金属塩と高分子とを溶解させて構成されたイオン伝導性高分子材料の原料となる溶液(イオン伝導性高分子前駆体)に対して超臨界CO2流体を接触させて処理する方法の2つの方法がある。
【0140】
最初に、前記所定のイオン伝導性高分子フィルムに超臨界CO2流体を接触させて処理する方法について説明する。
まず、前記の本発明の必要条件を満たす所定の高分子に、所定の金属塩を所定量添加して、前記高分子中に前記金属塩を含浸させる。
なお、前記高分子に前記金属塩を分散させる方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いて行なうことができる。例えば、前記金属塩を溶解させたメタノール等の極性溶媒に、前記高分子を所定時間、浸漬させることにより、前記高分子を適度に膨潤させて、その高分子マトリックス中に前記金属塩を含浸させてもよい。その際、前記溶媒を沸点未満、かつこの高分子の融点以下の温度に保持し、更に、前記溶媒を適宜撹拌することにより前記金属塩の高分子中への含浸をより一層促進させることができる。
【0141】
続いて、前記金属塩が含浸されて、適宜分散された高分子を、所定の溶媒に溶解させて高分子溶液を調製し、この高分子溶液を基板上に展開して、これを乾燥、固化して金属塩含有高分子フィルムを作製する。このとき用いられる溶媒は特に限定されるものではないが、前記高分子の溶解性が良好な溶媒として、極性の高いアルコールを用いることが好ましい。また、前記高分子溶液から金属塩含有高分子フィルムを作製する際には、例えば、従来公知の回転塗布方法(スピンコート法)を用いれば、膜厚が比較的均一な前記高分子フィルムを作製することができる。
【0142】
そして、前記金属塩含有高分子フィルムに対して、前記図1に示すような超臨界CO2流体処理装置を用いて、超臨界CO2流体を、所定時間、浸漬(または接触)させて超臨界CO2流体処理を施すことができる。このような超臨界CO2流体処理によって、前記金属塩含有高分子フィルム中に配合された金属塩が溶媒の効果によって、一段と高度に分散されて、この高分子フィルムのイオン伝導性が高められると考えられる。
【0143】
つぎに、前記所定の溶媒中に所定の金属塩と高分子とを溶解させて得られたイオン伝導性高分子前駆体となる溶液に対して超臨界CO2流体を接触させて処理する方法について説明する。
まず、所定の溶媒に前記の本発明の必要条件を満たす金属塩と、前記の本発明の必要条件を満たす高分子とを溶解させて、イオン伝導性高分子前駆体となる溶液を調製する。このとき用いられる溶媒は特に限定されるものではないが、前記高分子の溶解性が良好な溶媒として、極性の高いアルコールを用いることができる。
【0144】
続いて、前記溶液状のイオン伝導性高分子前駆体に対して、超臨界CO2流体処理装置(図示省略)を用いて、超臨界CO2流体を、所定時間、接触させて超臨界CO2流体処理を施すことができる。その結果、前記溶液状のイオン伝導性高分子前駆体で発現する溶媒の効果によって金属塩の分散性が更に高められることが期待される。そして、このような超臨界CO2流体処理が施された溶液状のイオン伝導性高分子前駆体を所定の基板上に展開して、乾燥、固化すれば、イオン伝導性より高められたフィルム状のイオン伝導性高分子が得られる。このとき、例えば、従来公知の回転塗布方法(スピンコート法)を用いれば、膜厚が比較的均一なフィルム状のイオン伝導性高分子を作製することができる。
【0145】
本発明にあっては、このようにして、フィルム状のイオン伝導性高分子に対して超臨界CO2流体の接触処理を施した場合と、溶液状のイオン伝導性高分子前駆体に対して超臨界CO2流体の接触処理を施した場合とでは、前記後者の場合に溶媒の効果が発現する。このため、前記両者では、高分子中の金属塩の分散状態が異なると考えられ、異なる特性を有するイオン伝導性高分子が得られることが期待される。したがって、本発明に係るイオン伝導性高分子の製造方法によれば、所望の特性を有するイオン伝導性高分子を具現することが可能になると考えられる。
【0146】
(イオン伝導性高分子材料)
以上のようにして作製されたイオン伝導は、イオンセンサ、表示素子に用いられる高分子電解質や導電性塗料を構成するイオン伝導性高分子材料に好適なものである。そして、このようなイオン伝導性高分子材料は、例えば、図5に示されるようなポリマー二次電池用高分子電解質にも好適である。図5は、本発明に係るイオン伝導性高分子をポリマー二次電池用電解質に適用したリン酸型燃料電池セルの構成を示す模式図である。
【0147】
【実施例】
つぎに、本発明に係るイオン伝導性高分子およびその製造方法ならびにその処理方法の実施例について説明する。
【0148】
まず、ポリエチレンオキシド(PEO)の高分子マトリックス中にリチウムイオン(Li+)を配合して、前記高分子マトリックス中で、Li+の濃度を2.5〜33.0mol%で適宜水準振りし、Li+数とオキシエチレンユニット(−CH2CH2O−)数との比([Li+]/[OE])が1/40、1/20、1/10、1/7、1/5、1/3となるようにして、超臨界CO2処理用のイオン伝導性高分子を作製した。具体的には、PEOを10.0gに対し、Li+の供給源であるLiCF3SO3を、各々0.885g、1.771g、3.541g、5.0653g、7.083g、11.805g秤量したものに、ドライアセトンを300ml加えて前記両者を溶解させた後、更に80℃で12時間、撹拌してゲル状のイオン伝導性高分子を調製した。
【0149】
更に、前記のゲル状の高分子を12時間、80℃に保持して撹拌し、続いてデシケータ中で減圧により乾燥させて、固体状のイオン伝導性高分子を調製した。その後、この固体状のイオン伝性性高分子を、ホットプレス装置を用いて、温度を80℃、圧力を20MPaの条件で10分間保持してフィルム状のイオン伝導性高分子を作製した。そして、このフィルム状のイオン伝導性高分子を室温まで空冷し、膜厚が略1.0mmのフィルム状イオン伝導性高分子(超臨界CO2流体未処理試料)を作製した。
【0150】
(超臨界CO2流体処理)
引き続いて、前記フィルム状の各試料を真空中で乾燥させ、10mm角の大きさに切断して、図1に示すような超臨界CO2流体処理装置Aに含まれるステンレス製の高圧反応容器である反応セル1に導入し、この反応セル1全体をオーブン中で、100℃で1時間保持した。図1は、超臨界CO2流体処理装置Aおよびこれに付随する装置の構成を示す模式図である。そして、反応セル1を100℃に保持したまま、その内部にCO2ボンベ5から送気ポンプ6によりCO2ガスを導入し、圧力を20MPaとして超臨界CO2流体状態を形成し、この超臨界CO2流体処理を前記フィルム状の各試料に対して30分間接触させて処理を施し、本発明に係るイオン伝導性高分子の製造方法によって作製された実施例の試料とした。
【0151】
この後、前記高圧反応容器を室温の冷水中に投入して、30℃まで急冷し、この高圧反応容器の内部に残留しているCO2ガスを速やかに放出させた。そして、前記高圧反応容器の中から前記フィルム状の試料を取り出し、引き続いて、室温で24時間、真空乾燥を施して測定試料とした。
一方、前記超臨界CO2処理を施さなかった、10mm角サイズのイオン伝導性高分子フィルムの試料を本発明の必要条件を満たさない比較例とした。
【0152】
(試料の測定)
このようにして作製した本発明に係る実施例と、本発明の必要条件を満たさない比較例の各測定試料を、図2に示すような、厚さ0.5mm、15mm角のステンレス板10、10’を両極とし、厚さ1.0mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をスペーサ11として構成された測定セル12の測定部11’に装填し、インピーダンスアナライザ(図示省略)を用いて、温度範囲を30〜100℃、昇温速度を2.0℃/min、周波数範囲を50Hz〜13MHzとして、複素インピーダンスアナライザ測定を行なった。
なお、測定は全て乾燥窒素雰囲気下のステンレス製のボックス中で行なった。
【0153】
また、各試料の熱的性質は、DSC(differential scanning calorimetry、示差走査熱分析)測定装置を用い、温度範囲を100〜200℃、昇温速度を10℃/minとして測定した。また、同時にこれら各試料のガラス転移点Tg(℃)、融点Tm1(℃)、Tm2(℃)、および融解エンタルピΔH1(kJ/mol)、ΔH2(kJ/mol)についても測定した。表1にこれら各試料の測定結果を示す。
なお、前記融点Tm1および融解エンタルピΔH1は、単体のポリエチレンオキシド(PEO)相のものであり、前記融点Tm2および融解エンタルピΔH2は、PEO相と金属塩との複合化によって生起されたPEO相の結晶相に基づくものである。
【0154】
【表1】
【0155】
表1に示すように、イオン伝導性高分子に超臨界CO2流体処理を施した本発明に係る実施例(No.1〜6)は、前記イオン伝導性高分子に超臨界CO2流体処理を施していない比較例(No.7〜12)に比べて、ガラス転移点Tgが減少し、融点Tm1(℃)および融点Tm2(℃)は同等あるいは若干増加していることがわかる。この結果は、イオン伝導性高分子に超臨界CO2流体処理を施した本発明に係る実施例(No.1〜6)は、前記イオン伝導性高分子に超臨界CO2流体処理を施していない比較例(No.7〜12)に比べて、高分子マトリックスの動力学特性が改善されて、この高分子マトリックス中の物質(金属塩、イオン種)が拡散し易くなっていることを示唆するものである。
【0156】
図3は、本発明に係る実施例、及び本発明の必要条件を満たさない比較例の各々のイオン伝導度の温度依存性を示すグラフである。また、図3には、表1に示す実施例No.4の結果が黒丸(●)で示され、比較例No.10の結果が白丸(○)で示され、前記両者が対比して示されている。
図3に示すように、超臨界CO2流体処理を施した本発明に係る実施例No.4では、超臨界CO2流体処理を施していない比較例No.10に比べ、40℃のイオン伝導度が約100倍向上していることがわかる。なお、超臨界CO2流体処理を施した本発明に係る実施例、および超臨界CO2流体処理を施していない比較例で、60℃付近(横軸(1000T-1/K-1)の3.0付近)で相転移が生じているが、この相転移はポリエチレンオキシドの結晶相に基づくものと考えられる。
【0157】
図4は、表1に示す超臨界CO2流体処理が施された本発明に係る実施例(表1のNo.1〜6)と、前記超臨界CO2流体処理が施されていない本発明の必要条件を満たさない比較例(表1のNo.7〜11)のイオン伝導度の測定結果を示すグラフであって、測定温度が90℃のものと40℃のものを示している。また、図4の横軸は、ポリエチレンオキシド(PEO)の高分子マトリックス中のオキシエチレンユニット(−CH2CH2O−)に対するLi+の濃度(mol%)を示し、グラフ中の黒い点(◆または●)は本発明に係る実施例の結果を示し、グラフ中のブランクの点(◇または○)は本発明の必要条件を満足しない比較例の結果を示す。
【0158】
図4に示すように、測定温度が90℃および40℃のいずれにおいても、本発明に係る実施例(表1のNo.1〜6)は、本発明の必要条件を満足しない(すなわち、超臨界CO2流体処理が施されていない)比較例(表1のNo.7〜11)に比べて、高いイオン伝導度を示している。
【0159】
このように、本発明にあっては、高分子材料に従来公知の方法によって前記金属塩を配合して作製されたイオン伝導性高分子に、超臨界CO2流体処理を施すことによって、イオン伝導度を飛躍的に高めることができる。そして、このように作製されたイオン伝導性高分子材料は、例えば図5に示すようなポリマー二次電池用の電解質に好適なものである。図5は、本発明に係るイオン伝導性高分子からなる電解質を備えた各種ポリマー二次電池用の構成を示す模式図であって、図5(a)はリブ付電極セルを有する形態ポリマー二次電池の模式図を示し、図5(b)はリブ付インターコネクタセルを有する形態のポリマー二次電池の模式図である。また、このようにして作製された本発明に係るイオン伝導性高分子は、各種のイオンセンサ、表示材料の高分子電解質、または導電性塗料にも好適なものである。
【0160】
【発明の効果】
以上説明した通りに構成される本発明によれば、以下の効果を奏する。すなわち、本発明に係る請求項1によれば、前記金属塩によって前記所定の高分子に供給されるイオン種が、適切な極性を有する前記高分子の極性を有する基または電荷を有する基と強い相互作用を有するので、このイオン種の分散性が良好に保持されると共に、このイオン種の移動度が高くなるとともに、超臨界CO2流体を用いて処理することにより、高分子鎖の間に前記金属塩が高度に分散されるので、そのイオン伝導性が向上されたイオン伝導性高分子を提供することができる。さらに、前記高分子が、質量平均分子量が、50000〜3000000であるため、薄膜に形成される際にも、適度な強度と成形性を有するイオン伝導性高分子を提供することができる。
【0165】
本発明に係る請求項2によれば、メタノールをはじめとするアルコール等の各種極性溶媒に対し、前記金属塩の溶解性が良好となると共に、前記金属塩の化学的安定性が確保されるので、前記所定の高分子に前記金属塩を配合する際、前記金属塩の分散性が良好かつ安定に保持されて高いイオン伝導性を安定に発揮できるイオン伝導性高分子を提供することができる。
【0168】
また、本発明に係る請求項3によれば、各種の金属塩が所定の高分子に配合されたイオン伝導性高分子フィルムを調製し、前記イオン伝導性高分子フィルムに対して超臨界CO2流体の接触処理を施すことにより、前記イオン伝導性高分子のマトリックス中に超臨界CO2流体が含浸し、前記金属塩がより高度に分散されて、前記金属塩によって前記高分子マトリックスに供給されるイオン種がこの高分子マトリックスの極性を有する基または電荷を有する基と強い相互作用を有するので、このイオン種の分散性が良好に保持されると共に、金属塩から供給されるイオン種のマトリックスとなる前記高分子が適切な極性を有するので、このイオン種の分散性が良好に保持され、このイオン種の移動度が高くなるとともに、イオン伝導性がより向上されたイオン伝導性高分子が得られるイオン伝導性の高分子の製造方法を提供することができる。そして、前記高分子が、質量平均分子量が、50000〜3000000であるため、前記高分子を薄膜に形成する際にも、適度な強度と成形性を有するイオン伝導性高分子の製造方法を提供することができる。
【0174】
本発明に係る請求項4によれば、メタノールをはじめとするアルコール等の各種極性溶媒に対し、前記金属塩の溶解性が良好なものとなるので、前記所定の高分子に前記金属塩を配合する際、前記金属塩の分散性が良好かつ安定に保持されて高いイオン伝導性が安定に発揮できるイオン伝導性高分子の製造方法を提供することができる。
【0178】
また、請求項1または2に記載のイオン伝導性高分子は、高いイオン伝導性を備えると共に、薄膜に形成する際にも適切な強度を有し、このイオン伝導性高分子は、ポリマー二次電池用の電解質に好適なものである。(請求項5)
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るイオン伝導性高分子の製造方法、またはその処理方法で使用される1例の超臨界CO2流体処理装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係るイオン伝導性高分子の実施例のイオン伝導度測定に用いた装置構成を示す模式図である。
【図3】本発明に係る実施例及び本発明の必要条件を満たさない比較例の各々のイオン伝導度の温度依存性を示すグラフである。
【図4】本発明に係る実施例及び本発明の必要条件を満たさない比較例の各々のイオン伝導度のイオン濃度依存性を示すグラフである。
【図5】本発明に係るイオン伝導性高分子をポリマー二次電池用電解質に適用したリン酸型燃料電池セルの構成を示す模式図である。
【図6】CO2の各種状態間の転移を起こす圧力を,温度の関数として示した状態図である。
【符号の説明】
1 反応セル
2 ヒータ
3 熱電対
4 温度測定手段
5 CO2ボンベ
6 送気ポンプ
7 圧力を監視するためのレギュレータ
A 超臨界CO2流体処理装置
10 電極
11 スペーサ
11’ 測定部
12 測定セル
Claims (5)
- ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドからなる群の中から選ばれた1種または2種の混合物で構成される、質量平均分子量が、50000〜3000000である高分子にトリフルオロメタンスルホン酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム、6フッ化砒素酸リチウム、6フッ化アンチモン酸リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウムからなる群の中から選ばれた1種または2種以上の金属塩が配合されたイオン伝導性高分子であって、前記イオン伝導性高分子は、超臨界CO2流体で所定時間、接触処理されたことを特徴とするイオン伝導性高分子。
- 前記金属塩は、その格子エネルギが500〜2500kJ/molであることを特徴とする請求項1に記載のイオン伝導性高分子。
- イオン伝導性高分子の製造方法であって、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドからなる群の中から選ばれた1種または2種の混合物で構成される、質量平均分子量が、50000〜3000000である高分子にトリフルオロメタンスルホン酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム、6フッ化砒素酸リチウム、6フッ化アンチモン酸リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウムからなる群の中から選ばれた1種または2種以上の金属塩を所定量添加して、前記高分子中に前記金属塩を分散させる工程と、前記金属塩が分散した高分子を所定の溶媒に溶解させて高分子溶液を調製し、この高分子溶液を基板上に展開し、これを乾燥、固化して金属塩含有高分子フィルムを作製する工程と、前記金属塩含有高分子フィルムを超臨界CO2流体に、所定時間、浸漬させて超臨界CO2流体処理を行なう工程と、を含んで構成されることを特徴とするイオン伝導性高分子の製造方法。
- 前記金属塩は、格子エネルギが500から2500kJ/molであることを特徴とする請求項3に記載のイオン伝導性高分子の製造方法。
- 請求項1または2に記載のイオン伝導性高分子から構成されるポリマー二次電池用電解質。
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