JP2003123758A - ポリ硫化カーボンおよびそれを用いた非水電解質電池 - Google Patents

ポリ硫化カーボンおよびそれを用いた非水電解質電池

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高容量で、可逆性が高いポリ硫化カーボン
と、それを正極活物質として用いることにより、高容量
でかつ充放電サイクル特性が優れ、信頼性の高い非水電
解質電池を提供する。 【解決手段】 炭素とイオウを主な構成元素とし、イオ
ウの質量比率が67質量%以上でかつ炭素とイオウの質
量比率の合計が95質量%以上で、その分子中に、下記
の式(1) 【化1】 で示される繰り返し単位を有するようにしてポリ硫化カ
ーボンを合成し、そのポリ硫化カーボンを活物質として
用いて、非水電解質電池を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池の活物質など
に利用可能なポリ硫化カーボンおよびそれを用いた非水
電解質電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】市場における携帯式電子デバイスの急速
拡大に伴い、その電源として使用される電池の高性能化
への要求はますます強くなり、しかも、その一方で、よ
り環境に優しい電池の開発が要求されている。そのよう
な状況の中で、非水電解質電池(一次電池または二次電
池)の正極活物質として、低コストで環境負荷が小さ
く、しかも高容量であるイオウ(硫黄)やその誘導体に
対する期待が高まっている。
【0003】このイオウの二電子反応を電池に利用でき
るならば、理論的には元素イオウは1675mAh/g
という大きなエネルギー密度を有する活物質となる。し
かし、イオウは絶縁性の高い物質であり、また可逆性に
乏しいため、アルカリ金属−イオウ電池では、実際には
低い利用率しか得られないのが現状である。しかも、高
温でしか利用できないため、イオウやその誘導体の高い
活性により電池ケースなどが侵食されるという問題があ
り、民生用の小型電池への応用は困難であると言われて
いる。
【0004】一方、アルカリ金属の硫化物など、有機溶
媒に可溶な無機イオウ化合物も電池の正極活物質として
利用されている(特開昭57−145272号公報な
ど)。この無機イオウ化合物を用いた電池では、正極に
多孔質のカーボン電極が用いられており、従来のイオウ
電池より大電流での放電ができるが、電極を構成するカ
ーボンが放電中に劣化しやすいため、主に一次電池とし
て用いられてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】また、特表平5−50
1937号公報には、一般式〔R(S)y n (y=1
〜6、n=2〜20、Rは1〜20の炭素原子を有する
脂肪族、脂環族または芳香族官能基であり、このRには
イオウ、酸素、窒素、フッ素なども含む)で表される有
機イオウ化合物を正極材料とする電池が検討されてい
る。この有機イオウ正極材料は、充電状態でのS−S結
合が放電状態で開裂して有機イオウ金属塩を形成する。
【0006】しかしながら、この電池系においては、以
下の1)、2)に示すような問題があった。 1)電池構成としては、有機イオウ/イオン伝導性を有
する固体ポリマー電解質/金属リチウムの電池構成で、
200℃以下で作動する電池を構成できるものの、この
電池は常温での作動が困難である。 2)固体ポリマー電解質が必要なため、液体系電解質を
使用できず、微小電流でしか充放電できない。
【0007】さらに、炭素とイオウなどを主な構成元素
とする有機イオウ化合物の検討も進められており、特表
昭60−502213号公報(WO85/01293
号)には、一般式(Ra CSb c (ただし、Rは水
素、アルカリ金属または遷移元素)で表される有機イオ
ウ化合物が提案されている。しかしながら、本発明者ら
が上記公報に開示の有機イオウ化合物の合成方法につい
て検討したところ、以下に示すような問題を有している
ことが判明した。
【0008】すなわち、ポリテトラフルオロエチレンや
ポリトリフルオロクロロエチレンのようなハロゲン化ポ
リエチレンやポリアセチレンなどのポリマーにイオウを
付加する合成方法では、ハロゲン元素や水素などを完全
にイオウで置換することができず、分子内にハロゲン元
素や水素などが多く残存した有機イオウ化合物が生成し
やすい。また、付加するイオウの量も制御できないた
め、均一な構造の化合物を得ることは非常に困難であ
る。このような問題は、上記特表昭60−502213
号公報において、実施例1〜3および実施例7に記載さ
れた有機イオウ化合物が炭素とイオウ以外の元素を多く
含んでいることからも明らかである。
【0009】また、上記特表昭60−502213号公
報の実施例6には、組成がCS0.980.009 というほぼ
炭素とイオウの二元素のみで構成される生成物も記載さ
れている。しかしながら、本発明者らの詳細な検討によ
れば、実施例6に記載の合成方法でCS0.980.009
合成しようとすると、実際にはイオウの含有率の低い有
機イオウ化合物とポリスルフィド化合物との混合物が得
られることが判明した。このポリスルフィド化合物は水
洗によって除去することができないため、実施例6に記
載の生成物の組成は、実際には上記混合物の平均組成を
表したものと思われる。しかも、出発原料として不飽和
結合を含まないポリマーを使用しているため、合成され
るイオウ含有率の低い有機イオウ化合物の炭素骨格は基
本的に飽和結合の炭素鎖であり、分子内に存在する炭素
骨格とイオウとのジスルフィド結合(C−S−S−C)
の数が少ないため、可逆的な充放電が難しく放電容量も
小さい。すなわち、特表昭60−502213号公報に
記載の方法では、炭素とイオウの二元素のみからなり、
かつイオウの含有割合が高い高容量の有機イオウ化合物
を得ることができなった。
【0010】一方、上記とは別の化合物として、一般式
(CSw p (wは1.2〜約50、pは2以上)など
で表される有機イオウ化合物が、1000〜1600m
Ah/gという高いエネルギー密度を有することから注
目されている。スコットハイム(Skotheim)ら
は、この化合物を非水電解質電池の正極活物質として用
い、室温下でも高い容量を示す二次電池を提案している
〔特開平7−29599号公報(US5441831
号)、特表平11−506799号公報(WO96/4
1388号)、特表平11−514128号公報(WO
96/41387号)など〕。この有機イオウ化合物
は、硫化ナトリウムとイオウとを反応させ、さらに有機
クロライド化合物と反応させる方法、あるいは金属ナト
リウムのアンモニア溶液中でアセチレンとイオウとを反
応させる方法、金属ナトリウムを触媒として二硫化炭素
とジメチルスルホンとを反応させる方法などにより製造
することができる。そして、この有機イオウ化合物の分
子構造は、主として炭素で形成された共役構造を有する
骨格と、その骨格に結合した−Sm −(m≧3)で表さ
れる構造(以下、「ポリスルフィドセグメント」と記載
する)を有することを特徴としている。かつ、この有機
イオウ化合物は、充放電過程でS−S結合が切断されて
も主鎖の重合と解重合が起こらない、すなわち、主鎖が
破壊しないことを特徴とすることを強く主張している。
【0011】しかしながら、上記一般式(CSw p
表される有機イオウ化合物は合成過程で分子設計ができ
ないため、得られる化合物のイオウ含率などを制御する
ことが困難であり、単一構造の化合物が得られないとい
う問題があった。
【0012】また、生成した化合物には、一般に低分子
量または高分子量のポリスルフィド化合物が多く混在し
ており、一般式(CSw p 中のpの値が大きくなるほ
ど前記共役構造の割合が減少し、ポリスルフィド化合物
の割合が増える傾向がある。このポリスルフィド化合物
や、上記有機イオウ化合物の分子内のポリスルフィドセ
グメントは、特に電解液(液体電解質)を用いた電池で
は、充放電時に分解して電解液中に溶解しやすく、化合
物自体の安定性やそれを用いる電池の安定性を欠く大き
な要因となる。その結果、電池の自己放電が比較的大き
くなるだけでなく、充放電の可逆性を阻害する金属硫化
物が形成され、電池のサイクル寿命が短くなるという問
題があった。
【0013】本発明者らは、既にほぼ炭素とイオウの二
元素のみからなり、従来の有機イオウ化合物よりも分子
構造の単一性の高い新規な有機イオウ化合物(ポリ硫化
カーボン)を合成し、これを活物質として用いることに
より、充放電サイクル特性が優れ、信頼性が高く、かつ
高容量の非水電解質電池を実現し、それについて既に特
許出願をしてきた(特願2000−31305)。この
有機イオウ化合物は、充放電過程でS−S結合が切断さ
れても主鎖の重合と解重合が起こらない、すなわち、主
鎖が破壊しないことを特徴としている。しかし、加熱合
成法において、出発材料の導熱性が低く、均一性能を有
する活物質が大量に得られにくいという問題があり、コ
ストもやや高い。また、合成時の温度が高いため、分子
内のポリエン構造が部分的に壊れるおそれがあるため、
その可逆性が必ずしも充分ではなかった。
【0014】本発明は、上記のような従来の有機イオウ
化合物の問題点を解消し、より可逆性が高く、高容量で
安定性が高いポリ硫化カーボンを提供し、さらにそのポ
リ硫化カーボンを活物質として用いることにより、高容
量で、かつ充放電サイクル特性が優れ、信頼性が高い非
水電解質電池を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を重ねた結果、特に本発明者ら
の既出願での合成法の合成条件を改良し、炭素とイオウ
を主な構成元素としポリスルフィドセグメントを有する
有機イオウ化合物を基にして、ほぼ炭素とイオウの二元
素のみからなり、炭素とイオウのモル比がほぼ1:1.
4〜1.6で、従来の有機イオウ化合物よりも分子構造
の単一性の高い新規なポリ硫化カーボンを合成できるこ
とを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0016】すなわち、本発明のポリ硫化カーボンは、
炭素とイオウを主な構成元素とし、イオウの質量比率が
67質量%以上でかつ炭素とイオウの質量比率の合計が
95質量%以上であって、その分子中に、下記の式
(1)
【化2】 で示される繰り返し単位を有することを特徴とする。
【0017】このポリ硫化カーボンは、充放電過程で側
鎖中のS−S結合が切断されると同時に、主鎖に存在す
るS−S結合も切断され、それに伴って主鎖の重合と解
重合が起こることを特徴としている。また、このポリ硫
化カーボンをリチウム系非水電解質二次電池の正極活物
質として用いた場合、その充放電過程でLix y z
(x=1〜z、z/y=1.5)を主成分とするイオウ
化合物セグメントのリチウム塩が形成される。
【0018】上記構成からなる本発明のポリ硫化カーボ
ンにおいて、特に下記に示す特徴を有するポリ硫化カー
ボンが好ましい。
【0019】すなわち、本発明の好ましい態様の一つ
は、炭素とイオウを主な構成元素とし、イオウの質量比
率が75質量%以上でかつ炭素とイオウの質量比率の合
計が95質量%以上であって、そのラマンスペクトルに
おいて、ラマンシフトの1444cm-1付近に主ピーク
が存在し、かつ400cm-1〜525cm-1の範囲に存
在するピークが実質的に490cm-1付近のブロードな
ピークのみであり、かつ218cm-1付近にシャープな
ピークを有しないことを特徴とするポリ硫化カーボンで
ある。
【0020】また、本発明の他の好ましい態様の一つ
は、炭素とイオウを主な構成元素とし、イオウの質量比
率が75質量%以上でかつ炭素とイオウの質量比率の合
計が95質量%以上であって、そのCuKα線によるX
線回折において、回折角(2θ)が20°〜30°の範
囲の回折パターンが、実質的に25°付近にピークを有
するブロードな回折ピークのみで表されることを特徴と
するポリ硫化カーボンである。
【0021】本発明のさらに他の好ましい態様の一つ
は、炭素とイオウを主な構成元素とし、イオウの質量比
率が75質量%以上でかつ炭素とイオウの質量比率の合
計が95質量%以上であって、室温から300℃まで1
0℃/分の速度で加熱した際の熱質量分析による質量減
少が15%以下であることを特徴とするポリ硫化カーボ
ンである。
【0022】上記のような炭素とイオウを主な構成元素
とし、イオウの質量比率が67質量%以上でかつ炭素と
イオウの質量比率の合計が95質量%以上であって、そ
の分子中に式(1)で示される繰り返し単位を有するポ
リ硫化カーボンは、非水電解質電池の正極活物質として
用いたときに、高容量で、可逆性が高く、かつ充放電サ
イクルに伴う容量低下が少ないので、信頼性の高い一次
電池または二次電池を提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】次に、本発明のポリ硫化カーボン
の合成方法についての詳細と、非水電解質電池の活物質
としての利用について具体的に説明する。
【0024】本発明の炭素とイオウを主な構成元素と
し、イオウの質量比率が67質量%以上でかつ炭素とイ
オウの質量比率の合計が95質量%以上であって、かつ
式(1)で示される繰り返し単位を有するポリ硫化カー
ボンは、例えば、次の方法によって合成することができ
る。まず、硫化ナトリウムなどのアルカリ金属硫化物と
イオウをアルコール、アセトン、水などの溶媒中で、お
およそ0℃〜50℃の温度範囲で10分〜10時間程度
反応させた後、真空中で溶媒を揮発させて反応物を取り
出す。次いで、これをN−メチル−2−ピロリドンなど
の有機溶媒中で、おおよそ0℃〜50℃の温度範囲で1
0分〜3時間程度ヘキサクロロブタジエンなどのハロゲ
ン化不飽和炭化水素と反応させる。その後、反応生成物
を純水および有機溶媒で数回洗浄し、おおよそ10℃〜
80℃で真空乾燥させることにより、中間生成物として
茶色の固体化合物を得る。この茶色の固体化合物は、そ
の分子中に多数のポリスルフィドセグメントを有してお
り、前記の特表平11−514128号公報などに記載
されている有機イオウ化合物に相当するものである。ま
た、その合成反応の過程で生じるポリスルフィド化合物
が多く混在していることも確認されている。この中間生
成物を得る方法としては、上記方法以外にも、従来公知
の種々の有機イオウ化合物の合成方法を採用することが
できる。
【0025】次に、上記中間生成物をアルミナ(酸化ア
ルミニウム)などで作られた耐熱容器に入れ、真空中、
150℃〜250℃の範囲内で加熱することにより、中
間生成物中に混在しているポリスルフィド化合物などの
不純物を蒸発させ、また、有機イオウ化合物分子中のポ
リスルフィドセグメントを切断して、余分なイオウを蒸
発させて除去し、ほぼ炭素とイオウとの二元素のみから
なり、分子内のほとんどあるいはすべての炭素原子がイ
オウ原子との結合を形成し、しかもイオウ原子のほとん
どあるいはすべてが酸化および還元に対する高い可逆性
を有するジスルフィド結合を形成した構造のポリ硫化カ
ーボンが得られる。このようなポリ硫化カーボン中のイ
オウの含有比率は、質量基準で67%〜82%と高い値
になる。
【0026】この化合物の分子構造を具体的に説明する
と、前記したように、次の式(1)で表される繰り返し
単位を有する構造が推定され、さらに炭素鎖間の結合
は、例えば、式(2)、式(3)で示されるようなジス
ルフィド結合によりなされているものと推定される。
【化3】
【化4】
【化5】
【0027】上記ポリ硫化カーボンの分子内に炭素の二
重結合(C=C)やイオウのジスルフィド結合(C−S
−S−C)が存在することは、後に詳記するラマン分析
などによって確認することができる。
【0028】上記の加熱処理においては、加熱中の化合
物の酸化を防ぐため、およそ5×103 Pa以下の高真
空度でかつ不活性ガス置換した後の真空雰囲気中などで
加熱処理するのが好ましい。上記加熱温度としては、お
およそ150℃〜250℃が好ましく、180℃〜22
0℃がより好ましいが、真空度が高いほど、均一に熱が
伝わるほど、また出発時の原材料が少ないほど、より低
温で行うことができる。また、加熱時間は加熱処理の温
度や雰囲気により調整すればよいが、おおよそ30分〜
5時間が適当である。中間生成物の組成、加熱温度や加
熱時間などの相違により、得られるポリ硫化カーボンの
組成は若干異なるが、イオウを質量比率で67%〜82
%含有することにより高容量化が容易となり、化学的安
定性の点からは炭素およびイオウ以外の元素の含有量が
少ないこと、すなわちイオウと炭素の質量比率が95質
量%以上であることが必要である。
【0029】さらに、上記ポリ硫化カーボンの炭素とイ
オウの原子比率を1:xとしたときに、xが1.4〜
1.6の範囲にある化合物は、分子構造の単一性が高
く、充放電における可逆性が優れ、高容量の活物質とな
るので好ましい。これは、xの値が1.6より大きい化
合物では、分子内にポリスルフィドセグメントが多く導
入されてしまうからである。
【0030】また、上記ポリ硫化カーボンは、その化学
的安定性や充放電の可逆性を害しない範囲で炭素および
イオウ以外の元素を含有してもよく、水素、窒素、ホウ
素やハロゲン元素などを有する化合物とすることもでき
るが、炭素とイオウの二元素のみで構成されていること
がより好ましい。例えば、ポリ硫化カーボンを一般式
(CSx n で表した場合、xは1.4〜1.6で、n
が4以上の化合物が好ましい。nが3の場合はジスルフ
ィド結合を有する可逆性のトリチオン構造が形成するこ
とが困難であり、たとえ、そのようなトリチオン構造を
有するものを合成できたとしても安定性が悪く有用性が
低いと考えられる。本発明のポリ硫化カーボンは、有機
溶剤などに対する溶解度が低く、その分子量を測定する
ことが困難であるため、上記一般式におけるnの値を正
確に求めることは難しいが、前記のように、このnは4
以上であることが好ましく、また、nはいくら大きくな
っても何ら問題が生じないと考えられるが、通常、nが
10万程度のものまでが合成しやすく実用的である。上
記したnが4以上のポリ硫化カーボンは、例えば、主鎖
の炭素数が4以上のハロゲン化不飽和炭化水素を用いて
合成することにより得ることができる。
【0031】また、上記ポリ硫化カーボンは、ポリスル
フィドセグメントを有する有機イオウ化合物を容器中で
溶解性を示す非水性溶媒に接触させるか、またはその非
水性溶媒の蒸気に接触させることにより、カーボン骨格
に繋がっていないイオウのセグメントと他の不純物を溶
出し、かつカーボン骨格に繋がっていても不安定な長い
イオウのセグメントを切断して除去することによっても
得ることができる。すなわち、ポリスルフィドセグメン
トを有する有機イオウ化合物は、上記のような非水性溶
媒との接触により、ほぼカーボンとイオウの二元素から
なり、式(1)で表される繰り返し単位を主体とするポ
リ硫化カーボンに変化する。この溶媒抽出処理において
は、溶媒の引火点を配慮して、雰囲気は酸素濃度の低い
状態が好ましく、酸素濃度を400ppm以下に低減し
た不活性ガス雰囲気中で処理することがより好ましい。
このような方法で合成したポリ硫化カーボンの分子量は
低いと予想される。
【0032】上記溶媒抽出処理に使用する溶媒は、イオ
ウやポリスルフィドセグメントを有するイオウ化合物に
対して優れた溶解性を有する非水性有機溶媒であること
が好ましい。特に、カーボン骨格に繋がっている不安定
な長いイオウのセグメントを切断して除去するために
は、強いドナー性の非水性有機溶媒であることが好まし
い。その具体例としては、例えば、トルエン、ベンセン
などの芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、ジメチルホ
ルムアミド、テトラメチルエチレンジアミン、ジオキソ
ラン、テトラグリム(tetraglyme)などの分
子内に酸素または窒素を含有する脂肪族系または脂環族
系の低分子量溶媒や、二硫化炭素、ジメチルスルホキシ
ド、スルホランなどのイオウを含有する溶媒などが挙げ
られる。また、それらの溶媒の混合溶媒でもよい。前記
の溶媒の中でも、特にジメチルスルホキシド、二硫化炭
素、テトラヒドロフラン、トルエン、テトラグリムなど
が好ましい。なお、上記のテトラグリムはビス〔(2−
メトキシエトキシ)エチル〕エーテルと称される有機溶
媒である。
【0033】上記溶媒による抽出温度は、特に限定され
ることはないが、室温から溶媒の沸点までの温度であ
り、特に溶媒を環流しながら抽出を行うことが好まし
い。また、抽出時間は、温度および中間生成物である有
機イオウ化合物の分子量にも依存するが、おおよそ10
分〜5時間が適当である。温度が高くなるほど、また中
間生成物の分子量が小さいほど、抽出時間を短縮するこ
とができる。
【0034】上記ポリ硫化カーボンのラマン分析はアル
ゴンレーザーを光源として行われるが、本発明のポリ硫
化カーボンは、そのラマン分析によれば、得られたラマ
ンスペクトルにおいて、ラマンシフトの1444cm-1
付近に主なピークが存在し、かつ400cm-1〜525
cm-1の範囲に存在するピークが実質的に490cm -1
付近のブロードなピークのみで、かつ218cm-1付近
にシャープなピークを有しないことを特徴とする。ここ
で、1444cm-1付近の主ピークはカーボン骨格中の
炭素の不飽和結合(C=C結合)に基づくものであり、
ラマンスペクトルにおいてこのピークが最大強度とな
る。また、上記400cm-1〜525cm -1の範囲に
は、カーボン骨格と繋がったジスルフィド結合に由来す
るピーク、あるいはポリスルフィドセグメントに由来す
るピークが現れるが、490cm-1付近のピークはジス
ルフィド結合に由来するピークであり、ポリスルフィド
セグメント中のS−S結合に由来するピークは、これと
は別の位置に現れる(例えば、219cm-1付近と47
0cm-1付近などにシャープなピークを有する)。本発
明において、「実質的に490cm-1付近のピークの
み」としたのは、490cm-1付近のピーク以外に微小
なピークが存在していてもかまわないという意味であ
る。すなわち、本発明のポリ硫化カーボンにおいては、
その分子内にポリスルフィドセグメントが存在しないこ
と、すなわち、ラマンシフトの前記範囲内には490c
-1付近のピーク以外のピークが存在しないことが好ま
しいが、要求される特性を劣化させない範囲内で、分子
内に少量のポリスルフィドセグメントが存在していても
よいことを意味している。ここで、1444cm-1付近
とはおおよそ1444cm-1±50cm-1の範囲に相当
し、490cm-1付近とはおおよそ490cm-1±50
cm-1の範囲に相当する。
【0035】これに対し、従来の有機イオウ化合物のラ
マンスペクトルでは、200cm-1〜525cm-1の範
囲に多数のピークがあり、特にイオウの含率が高い時、
218cm-1付近と270cm-1付近などにシャープな
ピークを有する様子が認められる。これは、分子内に−
m −(m≧3)で表されるポリスルフィドセグメント
が多く存在することを示しており、mは種々の値を有し
ているものと考えられる。
【0036】上記ポリ硫化カーボンについて、CuKα
線を用いたX線回折を行うと、回折角(2θ)で20°
〜30°の範囲の回折パターンは、実質的に、25°付
近にピーク位置を有する半値幅がおおよそ1.5°〜5
°くらいの一つのブロードな回折ピークとして表すこと
ができる。すなわち、前記回折角の範囲では、実質的
に、前記回折ピークが一つ存在するだけである。ここ
で、上記のように「実質的に」と記載したのは、完全に
一つだけであることは要求されず、ポリスルフィドセグ
メントに由来するピークすなわちイオウで同定されるピ
ークが観察されないことが好ましいものの、たとえ観察
されても微弱(ピーク強度が前記ピークのおおよそ1/
10以下の強度)であるものは本発明において許容され
ることを意味している。
【0037】また、上記した方法でポリ硫化カーボンを
合成した場合、中間生成物である有機イオウ化合物の生
成過程においてアルカリ金属のハロゲン化物も副生成物
として生成するため、中間生成物あるいは最終的に得ら
れるポリ硫化カーボンの洗浄を行った場合でも、ポリ硫
化カーボンに少量の塩化ナトリウムなどが混在すること
がある。そのため、X線回折パターンにアルカリ金属の
ハロゲン化物のピークが現れることがあるが、この回折
ピークは除外して考えればよい。
【0038】上記X線回折パターンにおいて、25°付
近のピークは、次の式(4)
【化6】 で示されるジスルフィド結合により形成される平面がさ
らに層状構造を形成し、その層状構造により生じた回折
ピークであると推定される。ピークがブロードな形にな
るのは、主として炭素で構成される主鎖が回転可能であ
るため、一つの分子内に存在する複数のジスルフィド結
合により形成されるそれぞれの平面が、すべて同一平面
になるわけではないことや、合成されるポリ硫化カーボ
ンの分子量が一定の分布を有していることなどの理由に
よるものと考えられる。もちろん、上記理由から、この
ピークが完全に一つのピークとならずに若干の分離が生
じることも考えられるが、全体としてほぼ一つのピーク
を形成していればよい。このピークの回折角から求まる
層間距離は、0.3nm〜0.44nm程度であり、黒
鉛の層間距離(0.335nm)に近い値であるため、
上記層状構造の層間ヘリチウムがインターカレートする
ことが考えられる。
【0039】これに対して、本発明での中間生成物をは
じめとする従来の有機イオウ化合物では、そのX線回折
パターンには多数のシャープなピークが存在するが、そ
のほとんどすべてが遊離したイオウまたはポリスルフィ
ドセグメントのイオウによる回折ピークである。イオウ
に基づく回折ピーク以外の回折ピークは強度が小さいた
め判別しにくい。
【0040】さらに、従来の有機イオウ化合物では、窒
素雰囲気下で熱質量−示差熱分析(TG−DTA)を行
うと、イオウに基づく122.7℃と314℃の強い吸
熱ピークが存在し、また、温度の上昇とともに200℃
付近から質量減少も生じるが、本発明のポリ硫化カーボ
ンでは、上記122.7°と314°のピークが消滅
し、また、より高温まで質量減少が生じない。例えば、
本発明のポリ硫化カーボンは、室温から300℃まで1
0℃/分の昇温速度で加熱した際の質量減少が20%以
下という優れた熱的安定性を示す。従って、結晶性がよ
く化学的安定性にも優れた本発明のポリ硫化カーボンを
非水電解質電池の正極活物質として用いた場合は、硫化
物の形成がないため長期にわたり良好な可逆性を維持す
ることができる。
【0041】本発明のポリ硫化カーボンを非水電解質電
池の正極活物質として用いた場合、その理論容量はおお
よそ670mAh/gであり、正極活物質として最も汎
用されているLiCoO2 (137mAh/g)の4倍
以上の高容量化を実現できる。また、本発明のポリ硫化
カーボンは、上記のような非水電解質電池の正極活物質
としての用途以外に、負極活物質としての利用、あるい
はその化学的安定性、半導電性、光吸収性などの特性を
生かして、情報記憶素子、表示素子、電子材料などへの
利用も可能であると考えられる。
【0042】次に、本発明のポリ硫化カーボンを正極活
物質として用いた非水電解質電池(二次電池)の作製に
ついて述べる。
【0043】正極は、上記のポリ硫化カーボンと、必要
に応じて用いる導電助剤、バインダー、添加剤などとで
構成されるが、上記導電助剤としては、例えば、黒鉛、
カーボンブラックのような炭素質材料や、導電性ポリマ
ーなどが好適に用いられる。
【0044】上記バインダーとしては、例えば、ポリフ
ッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフ
ッ素樹脂、無定形ポリエーテル、ポリアクリルアミド、
ポリ−N−ビニルアセトアミド、溶媒に溶解性を有する
ポリアニリン、ポリピロールまたはそれらのコポリマー
または架橋により形成される化合物などが挙げられ、こ
れらは正極活物質に対して化学的に安定でかつ強い接着
力を有する高分子化合物であることが好ましい。
【0045】正極は、例えば、前記ポリ硫化カーボンか
らなる正極活物質に、必要に応じて、前記の導電助剤や
バインダーなどを加え、混合して正極合剤を調製し、そ
れを溶剤に分散させてペーストにし(バインダーはあら
かじめ溶剤に溶解させてから正極活物質などと混合して
もよい)、その正極合剤含有ペーストを金属箔などから
なる正極集電体に塗布し、乾燥して、正極集電体の少な
くとも一部に正極合剤層を形成する工程を経ることによ
って作製される。ただし、正極の作製方法は、上記例示
の方法に限られることなく、他の方法によってもよい。
【0046】負極の活物質としては、例えば、金属リチ
ウム、リチウムのアルミニウムなどとの合金、リチウム
含有複合化合物、黒鉛などの炭素質材料、スズ(錫)ま
たはケイ素(珪素)などのリチウムと合金化可能な元素
かまたはそれらを含む酸化物、リチウム含有窒素化合物
などが挙げられる。
【0047】負極の作製方法は、用いる負極活物質の種
類によって大別して2つに分けられる。その一つは、負
極活物質として金属や合金を用いる場合、金網、エキス
パンドメタル、パンチングメタルなどの金属多孔体から
なる負極集電体に負極活物質としての金属や合金を圧着
して負極を作製する方法が採用される。そして、負極活
物質として炭素質材料などを用いる場合は、上記炭素質
材料などからなる負極活物質に、必要に応じて、正極の
場合と同様の導電助剤やバインダーなどを加え、混合し
て負極合剤を調製し、それを溶剤に分散させてペースト
にし(バインダーはあらかじめ溶剤に溶解させておいて
から負極活物質などと混合してもよい)、その負極合剤
含有ペーストを銅箔などからなる負極集電体に塗布し、
乾燥して、負極集電体の少なくとも一部に負極合剤層を
形成する工程を経ることによって作製される。ただし、
負極の作製方法は、上記例示の方法に限られることな
く、他の方法によってもよい。
【0048】非水電解質としては、非水系の液状電解質
(以下、「電解液」という)、ポリマー電解質、固体電
解質のいずれも用いることができる。
【0049】上記電解質として、まず、電解液から説明
すると、電解液は非水性溶媒成分に電解質塩を溶解させ
ることによって構成される。
【0050】電解質の非水性溶媒としては、リチウムの
硫化物に対する良好な溶解性を有する主溶媒と、必要に
応じて用いられる副溶媒とで構成される。前記主溶媒の
具体例としては、トルエン、ベンゼンなどの芳香族系溶
媒、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、1,
2−ジメトキシエタン、テトラメチルエチレンジアミ
ン、ジオキソラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、
テトラグリムなどを代表とする分子量10000以下の
ポリオキサイドなど分子内に酸素または窒素を含有する
脂肪族系または脂環族系の低分子量溶媒、ジメチルスル
ホキシド、スルホランなどのイオウを含有する溶媒など
が挙げられ、これらの溶媒はそれぞれ単独でまたは2種
以上の混合溶媒として用いることができる。また、これ
らの溶媒の中でも、特に1,2−ジメトキシエタン、ジ
メチルスルホキシド、スルホラン、テトラヒドロフラ
ン、テトラグリムのようなドナー性(電子供与性)の強
い溶媒が好ましく、とりわけ、これらのドナー性の強い
溶媒をテトラヒドロフラン、ジオキソランなどの低粘度
エーテルと組み合わせて用いることが好ましい。もちろ
ん、この主溶媒だけで非水性溶媒を構成することもでき
る。
【0051】また、上記助溶媒としては、例えば、エチ
レンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレン
カーボネート、γ−ブチロラクトンなどのエステルが用
いられ、またエチレングリコール、サルファイトなどの
イオウ系エステルなども用いることができる。さらに、
これら以外にも、ジメチルカーボネート、ジエチルカー
ボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸メ
チルなどの鎖状エステル、リン酸トリメチルなどの鎖状
リン酸トリエステルやジエチルエーテルなどを用いるこ
とができる。これらの助溶媒の添加により電解質のイオ
ン伝導度は高まるが、活物質の反応性を低下させる傾向
があるので、副溶媒の添加量としては、主溶媒の性質に
もよるが、全構成溶媒中の20質量%以下が好ましい。
【0052】上記非水性溶媒に溶解させる電解質塩とし
ては、例えば、リチウムのハロゲン塩または過塩素酸
塩、有機ホウ素リチウム塩、トリフロロメタンスルホン
酸塩を代表とする含フッ素化合物の塩、イミド塩などが
好適に用いられる。このような電解質塩の具体例として
は、例えば、LiF、LiClO4 、LiPF6 、Li
BF4 、LiB(OC6 4 COO)2 、LiCF3
3 、LiC4 9 SO 3 、LiCF3 CO2 、Li2
2 4 (SO3 2 、LiN(CF3 SO2 2 、L
iN(RfSO2 )(Rf′SO2 )、LiN(RfO
SO2 )(Rf′OSO2 )、LiC(RfS
2 3 、LiCn 2n+1SO3 (n≧2)、LiN
(RfOSO2 2 〔ここでRfとRf′はフルオロア
ルキル基〕などが挙げられ、これらはそれぞれ単独でま
たは2種以上混合して用いることができる。そして、こ
の電解質塩としては、特に炭素数2以上の含フッ素有機
リチウム塩またはイミド塩が好ましい。これは、上記含
フッ素有機リチウム塩はアニオン性が大きく、かつイオ
ン分離しやすいので、上記非水性溶媒に溶解しやすいか
らであり、また、イミド塩は安定性が優れているからで
ある。電解液中における電解質塩の濃度は、特に限定さ
れるものではないが、0.5mol/l以上が好まし
く、1.7mol/l以下が好ましい。
【0053】ポリマー電解質は、上記電解液をゲル化し
たものに相当する。そのゲル化にあたっては、例えば、
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共
重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルニトリ
ルなどの直鎖状ポリマーまたはそれらのコポリマー、多
官能モノマー(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレートなどの四官能以上のアクリレートなど)よ
り得られるポリマー化合物やアミン化合物とウレタンと
の反応により得られるポリマー化合物などが用いられ
る。また、固体電解質としては、無機系のものと有機の
ものとがあり、無機系固体電解質としては、例えば、ナ
トリウムβアルミナ、60LiI−40Al2 3 、L
3 N、5LiI−4Li2 S−2P2 5 、Li3
−LiIなどが挙げられ、また、有機系固体電解質とし
ては、例えば、無定形、低相転移温度(Tg)のポリエ
ーテル、無定形フッ化ビニリデンコポリマー、異種ポリ
マーのブレンドした物などが挙げられる。
【0054】上記のように、本発明のポリ硫化カーボン
を非水電解質電池の活物質として用いる場合について説
明してきたが、本発明のポリ硫化カーボンは、上記に例
示したような非水電解質電池の活物質だけでなく、例え
ば、キャパシタなどの他の電気化学素子や、情報記録素
子、表示素子、電子材料などにも利用可能である。
【0055】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定
されるものではない。なお、以下の実施例において、溶
液または分散液の濃度を示す%や、組成、収率などを示
す%は、特にその基準を付記しないかぎり質量%であ
る。
【0056】実施例1 硫化ナトリウムの九水和物(Na2 S・9H2 O)10
0gを、体積比1:1で混合したエタノールと水との混
合溶媒300mlに溶解させ、これに53.4gのイオ
ウを添加して室温下で1時間反応させた。次いで、溶媒
を真空中で除去した後、残留物をN−メチル−2−ピロ
リドン700mlに溶解させ、ヘキサクロロブタジエン
を17.2g添加して、室温下で1時間反応させた。そ
の後、純水、アセトンおよびエタノールを用いて充分に
洗浄し、真空中で40℃に保ちながら15時間乾燥し
て、中間生成物として茶色の化合物を得た。この化合物
の合成方法は、特表平11−506799号公報の実施
例に記載の方法とほぼ同一である。
【0057】得られた化合物について元素分析を行い、
その平均組成を求めた。その結果、C:7.0%、S:
92.3%、N:0.2%以下、H:0.3%以下であ
った。これに対応する一般式は(CS6.2 n であった
(合成によって得られた化合物の平均組成は必ずしも一
定ではない)。前記C、N、Hの分析結果は、全自動元
素分析装置〔シーベルヘグナ社製、vario EL〕
により、試料分解炉温度:950℃、還元炉温度:50
0℃、ヘリウム流量:200ml/分、酸素流量:20
〜25ml/分の条件下で元素分析を行った結果による
ものであり、また、前記Sの分析結果は、フラスコ燃焼
法−酢酸バリウム測定で、指示薬としてトリンメチレン
ブルーを用いて元素分析を行った結果によるものであ
る。
【0058】次に、上記中間生成物40gを船形のアル
ミナ(酸化アルミニウム)容器に入れ、その中間生成物
を入れたアルミナ容器を真空乾燥炉に置き、真空度が
1.33×102 Pa(1torr)以下になるまで真
空引きして純度99.9%のアルゴンガスで一回置換し
た後、同様の真空度で以下に示す条件で温度を変化させ
て最終的に205℃で加熱処理を行った。すなわち、室
温から60℃まで0.5時間で昇温を行い、60℃で1
時間保持し、次いで205℃まで2時間で昇温を行い、
205℃で5時間保持して加熱処理を行うことにより、
中間生成物中のイオウの一部を除去することによって、
中間生成物をポリ硫化カーボンに変化させた。
【0059】処理後に室温まで冷却してから反応生成物
をアルミナ容器中から取り出し、外観が黒鉛に似た金属
光沢を有する黒色のポリ硫化カーボン約10.0gを得
た。元素分析の結果、このポリ硫化カーボンの組成は、
C:19.9%、S:79.8%であり、一般式で表す
と(CS1.50n となった。上記ポリ硫化カーボンの合
成にあたって反応成分として用いたヘキサクロロブタジ
エンが炭素数4の化合物であることから、上記ポリ硫化
カーボンの一般式(CS1.50n のn値は4以上であ
り、主として4の倍数の化合物であると推定される。
【0060】次に、このポリ硫化カーボンについて、以
下の装置および条件によりラマン分析を行った。その結
果を図1に示す。 装置:Ramaonor T−6400(Jobin
Yvon/愛宕物産) 光源:Arレーザー〔GLG3460(514.5n
m、出力:1mW(NEC)〕
【0061】図1において、横軸はラマンシフト(cm
-1)であり、縦軸は相対強度であるが、このポリ硫化カ
ーボン(CS1.50n のラマン分析の結果は、図1に示
すように、1444cm-1に炭素の不飽和結合(C=C
結合)に基づく主ピークを有し、また400cm-1〜5
25cm-1の範囲内に存在するピークは、490cm -1
付近のブロードなピークが存在し、かつ219cm-1
近にシャープなピークを有しなかった。すなわち、上記
ポリ硫化カーボンには、ジスルフィド結合に基づくピー
クのみで、ポリスルフィドセグメントに基づくピークは
認められなかった。一般に、炭素に繋がるジスルフィド
結合の場合は、505cm-1付近にジスルフィド結合に
基づくピークが現れるが、本発明のポリ硫化カーボンで
は、上記炭素の不飽和結合(C=C結合)の影響を受け
てピーク位置がシフトしたものと推定される。
【0062】また、上記ポリ硫化カーボンについて粉末
X線回折装置〔RINT2000(リガク社製)〕によ
り、CuKα線を用いてX線回折測定を行った。測定条
件は、電圧:40kV、電流:150mA、スキャン速
度:2°/分、サンプリング:0.02°、積算回数:
5回で、回折角(2θ)が10°〜80°の範囲で測定
を行った。上記X線回折測定により得られたポリ硫化カ
ーボン(CS1.50nの回折パターンを図2に示すが、
回折角(2θ)が20°〜30°の範囲では、25°付
近にピーク位置を有するブロードな回折ピークだけが観
察された。なお、31.8°および45.5°のピーク
は塩化ナトリウムによるものである。
【0063】さらに、上記ポリ硫化カーボンについて、
リガク社製の熱分析計(thermo Plus TG
8120)を用いて熱質量−示差熱分析(TG−DT
A)を行った。すなわち、高純度窒素ガスを0.15リ
ットル/分の流量で流しながら10℃/分の昇温速度で
加熱を行い、温度と質量変化の関係を測定した。その結
果を図3に示す。この図3には、後述する比較例1の化
合物(CS6.2 n の熱質量−示差熱分析結果について
も示している。図3に示す結果から明らかなように、従
来公知の有機イオウ化合物(CS6.2 n は、200℃
以上になると急激に質量が減少するのに対して、本発明
のポリ硫化カーボン(CS1.50n は、300℃付近ま
で質量減少が少なく(300℃までの質量減少:20%
以下)、−Sm−(mは3以上)をほとんど含有しない
ことがわかる。
【0064】実施例2 実施例1の加熱処理において、処理温度を190℃とし
た以外は、実施例1と同様にしてポリ硫化カーボン(C
1.58n を得た。このポリ硫化カーボンについて実施
例1と同様にラマン分析とX線回折測定を行った。
【0065】このポリ硫化カーボン(CS1.58n のラ
マン分析においては、前記(CS1. 50n と同様に14
44cm-1に主ピークを有し、また400cm-1〜52
5cm-1の範囲には490cm-1付近のブロードなピー
クが存在するだけで、かつ219cm-1付近にシャープ
なピークを有しなかった。また、X線回折測定において
も、前記(CS1.50n の回折パターンとほぼ一致する
パターンが得られた。
【0066】実施例3 実施例1の加熱処理において、処理温度を220℃とし
た以外は、実施例1と同様にしてポリ硫化カーボン(C
1.42n を得た。このポリ硫化カーボンについて実施
例1と同様にラマン分析とX線回折測定を行った。
【0067】このポリ硫化カーボン(CS1.42n のラ
マン分析においては、前記(CS1. 50n と同様に14
40cm-1に主ピークを有し、また494cm-1付近の
ブロードなピークが存在するだけで、かつ219cm-1
付近にシャープなピークを有しなかった。また、X線回
折測定においても、前記(CS1.50n の回折パターン
と同様のパターンが得られ、24.4°にブロードなピ
ークを有するだけであった。
【0068】実施例4 実施例1と同様に中間生成物として得た一般式(CS
6.2 ) n で表される化合物をボールミルで10μm前後
まで粉砕し、得られた粉末20gを、冷却管と窒素置換
口を取り付けた内容積300mlの三つ口フラスコ中に
投入し、そこに100mlの二硫化炭素を加え、アルゴ
ン雰囲気中で5時間環流することにより、上記化合物を
構成するイオウの一部を除去し、ジスルフィド結合に変
化させた。その後、室温まで冷却して遠心分離法で沈殿
物を収集し、30mlの二硫化炭素とアセトンで洗浄し
てから、50℃で12時間真空乾燥して、黒茶色の金属
光沢を有するポリ硫化カーボン(CS1.54n を得た。
このポリ硫化カーボンについて実施例1と同様にラマン
分析とX線回折測定を行った。
【0069】このポリ硫化カーボンのラマン分析の結果
を図4に示すが、このポリ硫化カーボン(CS1.54n
では、1447cm-1の主ピークがブロードで1447
cm -1と1467cm-1に***し、また400cm-1
525cm-1の範囲には472cm-1にピークを有する
のみで、かつ219cm-1付近にシャープなピークを有
しなかった。さらに、X線回折測定では、25.6°に
ブロードなピークを有するのみであった。
【0070】比較例1 実施例1と同様にして、その中間生成物として一般式
(CS6.2 n で表される有機イオウ化合物を得て、こ
れを比較例1の有機イオウ化合物とした。
【0071】比較例2 実施例4と同様にして、その中間生成物として一般式
(CS2.6 n で表される有機イオウ化合物を得て、こ
れを比較例2の有機イオウ化合物とした。
【0072】これらの有機イオウ化合物(CS6.2 n
および(CS2.6 n について、実施例1と同様にラマ
ン分析とX線回折測定を行った。有機イオウ化合物(C
6. 2 n のラマン分析の結果を図5に、X線回折の結
果を図6に示す。有機イオウ化合物(CS6.2 n のラ
マン分析において、1440cm-1に主ピークを有し、
400cm-1〜525cm-1の間での494cm-1付近
のピークも存在するものの、ポリスルフィドセグメント
に基づく多数のピークも現れていた。例えば、219c
-1付近のピークなどは本発明のポリ硫化カーボンでは
見られなかったピークであり、本発明のポリ硫化カーボ
ンとは分子構造がかなり異なるものと推定された。
【0073】また、(CS6.2 n のX線回折測定で
は、多数のシャープな回折ピークが認められたが、その
回折ピークのほとんどがイオウまたはポリサルファイド
の−Sm(m>3)の回折ピークで同定され、本発明の
ポリ硫化カーボンに見られるような、結晶構造に基づく
と考えられる明瞭なピークは認められなかった。
【0074】以下の実施例5〜8および比較例3〜4で
は、上記実施例1〜4のポリ硫化カーボンおよび比較例
1〜2の有機イオウ化合物をそれぞれ正極活物質として
用いた非水電解質二次電池を作製し、その特性を評価し
た。
【0075】実施例5〜8および比較例3〜4 まず、正極は以下のようにして作製した。実施例1〜4
のポリ硫化カーボンまたは比較例1〜2の有機イオウ化
合物について、その10質量部と、ロンザ社製グラファ
イト(KS−6)7.2質量部およびアセチレンブラッ
ク0.8質量部を混合用容器に入れ、乾式で10分間混
合した後、N−メチル−2−ピロリドン50質量部を添
加して30分間混合した。次いで、ポリフッ化ビニリデ
ンを12%含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液1
6.7質量部を加え、さらに1時間混合して正極合剤含
有ペーストを調製した。
【0076】得られた正極合剤含有ペーストを厚さ20
μmのアルミニウム箔(サイズ:250mm×220m
m)に塗布し、50℃のホットプレート上で10分間乾
燥した後、さらに真空中で70℃で10時間乾燥してN
−メチル−2−ピロリドンを除去することにより正極合
剤層を形成した。乾燥後の電極体を100℃に加温して
加圧し、正極合剤層の厚みが40μmの正極を得た。
【0077】負極は、アルゴンガス雰囲気中で厚さ12
0μmのリチウム箔を60μmのステンレス鋼製網(サ
イズ:250mm×220mm)上に載せ、ローラーで
加圧して、リチウム箔をステンレス鋼製網に圧着するこ
とによって作製した。
【0078】電解液としては、テトラグリムと1,3−
ジオキソランとの混合溶媒(質量比4:1)に、LiC
3 SO3 を1mol/l溶解させた溶液を用いた。
【0079】そして、上記正極と負極を70×42mm
に裁断して、厚さ40μmの多孔質ポリエチレンフィル
ムからなるセパレータを介してアルゴンガス雰囲気中で
積層し、その積層電極体をナイロンフィルム−アルミニ
ウム箔−変性ポリオレフィン樹脂フィルムの三層ラミネ
ートフィルムからなる包装体に入れ、電解液を注入した
後、密閉して非水電解質二次電池を作製した。この電池
に、正極活物質1gあたり60mAに相当する電流値で
充放電を行い(定電流定電圧の制限電圧:2.5V、定
電流放電終止電圧:1.5V)、これを5サイクル繰り
返し、サイクル初期の放電容量と5サイクル目の放電容
量を測定し、正極活物質1gあたりの放電容量の変化を
調べた。その結果を表1に示す。なお、実施例5〜8お
よび比較例3〜4の電池と実施例1〜4のポリ硫化カー
ボンおよび比較例1〜2の有機イオウ化合物との関係に
ついて示すと、実施例5の電池の正極活物質は実施例1
のポリ硫化カーボンで、実施例6の電池の正極活物質は
実施例2のポリ硫化カーボンで、実施例7の電池の正極
活物質は実施例3のポリ硫化カーボンで、実施例8の電
池の正極活物質は実施例4のポリ硫化カーボンであり、
比較例3の電池の正極活物質は比較例1の有機イオウ化
合物で、比較例4の電池の正極活物質は比較例2の有機
イオウ化合物である。
【0080】
【表1】
【0081】表1に示す結果から明らかなように、実施
例5〜8の電池は、容量が大きく、かつ充放電サイクル
に伴う容量低下が少なく、高容量でかつ充放電サイクル
特性が優れた信頼性の高い非水電解質二次電池であっ
た。すなわち、一般式(CSxn で表したときに、x
が1.4〜1.6の範囲内にある実施例1〜4のポリ硫
化カーボンは、従来の有機イオウ化合物(CS2.6 n
および(CS6.2 n に比べて、実装電池化したとき
に、初期容量はあまり差がないものの、充放電サイクル
に伴う容量低下が小さく、高容量でかつ充放電サイクル
特性が優れた信頼性の高い非水電解質二次電池を構成で
きることがわかる。
【0082】実施例9 Huntsman社製のアミン化合物(Jeffami
ne XTJ−502)100gをテトラグリムと1,
3−ジオキソランとの質量比4:1の混合溶媒130g
に溶解し、これに坂本薬品社製のエポキシ樹脂(SR−
8EG)25.2gを添加して、室温下で攪拌しながら
7日間反応させた。この反応により得られたアミン化合
物の溶液に、LiCF3 SO3 を濃度が1.0mol/
lになるように加え、均一に溶解するまで攪拌した。一
方、三井化学社製のウレタン(AX−1043)をテト
ラグリムと1,3−ジオキソランとの質量比4:1の混
合溶媒に溶解し、さらにLiCF3 SO3 を濃度が1.
0mol/lになるように加えた溶液を調製した。上記
アミン化合物を含む溶液とウレタンを含む溶液とを、ア
ミンの活性水素とウレタンのイソシアネート基とのモル
比が1.1:1になるように混合し、その混合溶液に平
均厚さが80μmのポリブチレンテレフタレート不織布
を浸漬し、引き上げ後に2時間放置してポリブチレンテ
レフタレート不織布を支持体とするポリマー電解質を作
製した。以上の操作はすべて露点温度が−60℃以下の
ドライ雰囲気中で行った。
【0083】次に、電解液として、テトラグリムと1,
3−ジオキソランとの質量比4:1の混合溶媒にLiC
3 SO3 を濃度が1.0mol/lになるように加え
た溶液を調製し、さらに実施例5において用いた(CS
1.50n を活物質とする正極と負極を用いて電池を組み
立てた。上記正極および負極の表面を電解液で湿らせ、
さらに、それらの正極と負極とを上記ポリマー電解質を
介して積層し、その積層体を実施例5と同様の包装体に
入れ、電解液を注入した後、密閉して非水電解質二次電
池を作製した。
【0084】実施例10 実施例5において、正極活物質として(CS1.50n
用い、電解液の溶媒として、テトラグリムと1,3−ジ
オキソランとエチレンカーボネートとの質量比75:2
0:5の混合溶媒を用いた以外は、実施例5と同様に非
水電解質二次電池を作製した。
【0085】実施例11 実施例5において、正極活物質として(CS1.50n
用い、電解液の溶媒として、ジメチルスルホキシドと
1,3−ジオキソランとメチルエチルカーボネートとの
質量比50:40:10の混合溶媒を用いた以外は、実
施例5と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0086】実施例12 実施例5において、正極活物質として(CS1.50n
用い、電解質塩として、1モル濃度の過塩素酸リチウム
を用いた以外は、実施例5と同様にして非水電解質二次
電池を作製した。
【0087】上記実施例9〜12の電池に対して、実施
例5と同様の充放電条件で充放電を50サイクル繰り返
し、50サイクル目の放電容量を測定した。その結果
を、正極活物質1gあたりの放電容量として表2に示
す。
【0088】
【表2】
【0089】表2に示すように、実施例9〜12の電池
は、充放電サイクルの増加に伴う容量低下が小さく、高
容量でかつ充放電サイクルが優れ、信頼性の高い非水電
解質二次電池を提供することができた。つまり、実施例
9〜12の電池は、電解液の組成が変化しても、特性は
実施例5の電池とほとんど変わらなかった。
【0090】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、高容
量でかつ可逆性が高いポリ硫化カーボンと、そのポリ硫
化カーボンを活物質として用いることにより、高容量で
かつ充放電サイクルが優れ、信頼性の高い非水電解質電
池を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたポリ硫化カーボン(CS
1.50n のラマンスペクトルを示す図である。
【図2】実施例1で得られたポリ硫化カーボン(CS
1.50n のX線回折パターンを示す図である。
【図3】実施例1で得られたポリ硫化カーボン(CS
1.50n および比較例1で得られた有機イオウ化合物
(CS6.2 n の熱質量−示差熱分析での質量変化を示
す図である。
【図4】実施例4で得られたポリ硫化カーボン(CS
1.54n のラマンスペクトルを示す図である。
【図5】比較例1で得られた有機イオウ化合物(CS
6.2 n のラマンスペクトルを示す図である。
【図6】比較例1で得られた有機イオウ化合物(CS
6.2 n のX線回折パターンを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 10/40 H01M 10/40 Z (72)発明者 中井 敏浩 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 植苗 圭一郎 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 長井 龍 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 4J030 BA04 BB18 BB62 BC08 BC24 BD23 BF13 BG05 5H024 AA02 AA09 AA12 FF31 HH01 5H029 AJ03 AJ05 AK00 AK15 AL02 AL12 AM03 AM04 AM05 HJ02 5H050 AA07 AA08 BA06 BA15 CA00 CA26 CB02 CB12 HA02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素とイオウを主な構成元素とし、イオ
    ウの質量比率が67質量%以上でかつ炭素とイオウの質
    量比率の合計が95質量%以上であって、その分子中
    に、下記の式(1) 【化1】 で示される繰り返し単位を有することを特徴とするポリ
    硫化カーボン。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリ硫化カーボンを活物
    質とする電極と非水電解質を用いたことを特徴とする非
    水電解質電池。
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