JP2003118193A - インクリボンカセット及びそれを用いた熱転写プリンタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 全面に印刷記録された記録用紙を品質の劣化
なく適正に給排紙することが可能とした。 【解決手段】 リボン引き出し口２３から引き出しされ
るインクリボン２９の幅方向の両端近傍の、カセット本
体部１６の壁板１６ｃに、インクリボン２９の引き出し
方向に突出した一対の用紙ガイド部３５がそれぞれ設け
られ、一対の用紙ガイド部３５は、突出した頂部３５ａ
から用紙ガイド部３５の根元部まで壁板１６ｃの幅方向
の中央に向けて突出寸法が低くなるように傾斜する傾斜
面３５ｂを形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はインクリボンカセッ
ト及びそれを用いた熱転写プリンタに関し、特に全面に
印刷記録された記録用紙を適正に給排紙することが可能
なインクリボンカセット及びそれを用いた熱転写プリン
タに関する。

【０００２】

【従来の技術】図１１に示すように、従来の熱転写プリ
ンタ１００は、内部に空洞部を有する箱状をしたフレー
ム１０１を有している。このフレーム１０１は、手前側
に側板部１０１ａと、この側板部１０１ａと対向する奧
側に側板部１０１ｂとを設け、さらに上方に天板部１０
１ｃと、下方に底板部１０１ｄとをそれぞれ設けてい
る。

【０００３】このフレーム１０１の空洞内部には、後述
するインクリボンカセット１１０を装着可能なカセット
装着部１０２が設けられ、このカセット装着部１０２に
通じるように側板部１０１ａにはカセット挿入口１０２
ａが形成されている。

【０００４】フレーム１０１の側板部１０１ａ、１０１
ｂ間には、回転自在なプラテンローラ１０４が配設され
ている。プラテンローラ１０４と対向する位置には、サ
ーマルヘッド１０６が配設され、このサーマルヘッド１
０６はヘッド取付台１０７に固着されている。ヘッド取
付台１０７は、平面視が略矩形状に形成され、一方の側
板部１０１ｂに片持ち支持されて取り付けられている。

【０００５】フレーム１０１内の左端部側には壁部材１
１３が配設され、この壁部材１１３にはカセット装着部
１０２に通じる給排紙口１１０ａが開口形成されてい
る。フレーム１０１には、プラテンローラ１０４の近傍
に紙送りローラ１１１が配設されていて、この紙送りロ
ーラ１１１に圧接可能で、該紙送りローラ１１１ととも
に回転自在な圧接ローラ１１２が圧接可能に配設されて
いる。

【０００６】図１２及び図１３に示すように、従来の熱
転写プリンタ１００に着脱されるインクリボンカセット
１１０は、インクリボン１１４を収納する略楕円形状の
空洞部を有するカセット本体部１１５と、カセット本体
部１１５の一方側に延設されたリボン案内部１１８とを
一体に形成している。

【０００７】カセット本体部１１５には、インクリボン
１１４の両端を巻回した供給コア１１６と巻取りコア１
１７とが収納されている。図１２に示すように、カセッ
ト本体部１１５には、供給コア１１６に巻回したインク
リボン１１４をカセット本体部１１５内から外部に引き
出し可能な、スリット状のリボン引き出し口１１５ｃが
形成されている。このリボン引き出し口１１５ｃ近傍の
カセット本体部１１５には、三角形状をした用紙ガイド
部１１５ｅがインクリボン１１４の引き出し方向に突出
して形成されている。用紙ガイド部１１５ｅは、リボン
引き出し口１１５ｃから引き出されるインクリボン１１
４の幅方向の左右端部寄りにそれぞれ形成されている。

【０００８】図１４に示すように、リボン案内部１１８
の下部には、カセット本体部１１５の一対の側壁１１５
ａを連結するリボン摺接壁１１８ａが形成されている。
このリボン摺接壁１１８ａの上面部分には所定の隙間寸
法からなるリボン走行溝１１８ｂが形成されている。リ
ボン案内部１１８は、図１２の右側先端にリボン折り返
し部１１８ｃが形成され、このリボン折り返し部１１８
ｃに回転自在のローラが配設されている。

【０００９】リボン引き出し口１１５ｃから引き出され
たインクリボン１１４と、リボン摺接壁１１８との間に
は、フレーム１０１の側板部１０１ｂに片持ち支持され
たヘッド取付台１０７が挿入可能となっている。

【００１０】そして、図１４に示すように、インクリボ
ンカセット１１０をカセット装着部１０２に装着する
と、カセット本体部１１５の底面１１５ｄと、フレーム
１０１の底板部１０１ｄとの間に、隙間１２０が形成さ
れ、この隙間１２０が給排紙口１１０ａにつながって、
紙送りローラ１１１で給排紙される記録用紙２０が隙間
１２０を図１４中の左右方向に搬送可能となっている。

【００１１】図１２に示すように、インクリボン１１４
は、巻取りコア１１７の図１２の矢印Ｅ方向の回転で、
リボン引き出し口１１５ｃから外部に一旦引き出しされ
て、ヘッド挿入部２０の下を矢印Ｇ方向に引き出しさ
れ、リボン折り返し部１１８ｃで折り返した状態からリ
ボン案内部１１８のリボン摺接壁１１８ａ上を走行可能
とし、リボン走行溝１１８ｂから再度カセット本体部１
１５内に引き入れられて、巻取りコア１１７に巻取り可
能となっている。

【００１２】図１６に示すように、一般に、記録用紙２
０は、所定サイズのカット紙などからなり、前端部２０
ａと後端部２０ｂとを有し、中央部の広い範囲に印刷範
囲（印刷記録面）２０ｃと、この印刷記録面２０ｃから
外れた幅方向の両端部寄りに非印刷範囲２０ｄ、２０ｄ
とが形成されている。また、前端部２０ａと印刷範囲２
０ｃとの境界部分は、記録用紙２０の印刷開始位置２０
ｓとなっている。そして、熱転写プリンタ１００で記録
用紙２０に画像記録すると、印刷範囲２０ｃに所望の画
像記録がなされるようになっている。なお、全面印刷
（ふち無し印刷）にて記録用紙２０に画像記録する際に
は、非印刷範囲２０ｄ、２０ｄをも印刷範囲となる。

【００１３】次に、従来の熱転写プリンタ１００に装着
されたインクリボンカセット１１０による印刷記録の動
作を図１４乃至図１６に基づいて説明する。先ず、イン
クリボンカセット１１０をカセット装着部１０２に装着
すると、リボン引き出し口１１５ｃから引き出されたイ
ンクリボン１１４はサーマルヘッド１０６とプラテンロ
ーラ１０４間に位置する。給排紙口１１０ａから挿入し
た記録用紙２０をリボン折り返し部１１８ｃ側に搬送
し、サーマルヘッド１０６側に上昇させたプラテンロー
ラ１０４にてインクリボン１１４とともにサーマルヘッ
ド１０６を弾圧する。そして、選択的に発熱されたサー
マルヘッド１０６の複数の発熱素子を記録用紙２０上に
溶融したインクを熱転写して所望の印刷記録を行う。所
望の印刷記録が終了すると、プラテンローラ１０４を下
降させてサーマルヘッド１０６から離間させ、この記録
用紙２０を紙送りローラ１１１及び圧接ローラ１１２の
回転によって外部に搬送する。

【００１４】次に、記録用紙２０にカラー印刷する場合
には、インクリボン１１４にマゼンダ、シアン、イエロ
ーなどの異なる色のインクが順次形成され、このインク
リボン１１４を収納したインクリボンカセット１１０を
用いる。そしてプラテンローラ１０４の上下動を繰り返
すとともに、紙送りローラ１１１を正転、及び反転（逆
転）を繰り返して記録用紙２０を往復動させて、記録用
紙２０の所定の位置にマゼンダ、シアン、イエローなど
を順に重ね印刷し、所望のカラー画像を印刷記録するよ
うになっている。

【００１５】そのため、１つの色のインクによる印刷記
録が終了し、記録用紙２０の後端部２０ｂが紙送りロー
ラ１１１と圧接ローラ１１２間に位置した記録用紙２０
は、紙送りローラ１１１による回転（正転）が一旦停止
され、続いて記録用紙２０を逆方向（図１４の矢印ｋ方
向）に搬送するために紙送りローラ１１１の回転方向が
反転（逆転）し、再度サーマルヘッド１０６とプラテン
ローラ１０４間に記録用紙２０の印刷開始位置２０ｓを
位置させる。そして、上述した同じ印刷記録の動作を順
次繰り返し、異なる色のインクで印刷記録を行う。

【００１６】このような従来の熱転写プリンタ１００
は、カラー印刷途中の記録用紙２０を矢印Ｊ、ｋの方向
に繰り返し搬送しても、インクリボンカセット１１０の
用紙ガイド部１１５ｅの上面に摺接させながら、この記
録用紙２０を搬送できるようになっている。

【００１７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、図１５に示
すように、印刷記録面２０ｃに印刷記録された記録用紙
２０が図１４の矢印ｋ方向に逆搬送される際、カセット
本体部１１５の用紙ガイド部１１５ｅの上面に記録用紙
２０の印刷記録面２０ｃ側が摺接するため、記録用紙２
０が幅方向に位置ずれしたりしたまま紙送りされると、
印刷記録面２０ｃの一部が擦れてその品質が劣化するお
それがあった。また、近年、ユーザのニーズに応じて記
録用紙２０に全面印刷する際、記録用紙２０の印刷記録
面２０ｃが用紙ガイド部１１５ｅの上面に直接触れて擦
れてしまうため、画像記録の品質が著しく劣化するとい
う問題がある。

【００１８】本発明の目的は、印刷記録された記録用紙
を品質の劣化なく適正に給排紙することが可能なインク
リボンカセット及びそれを用いた熱転写プリンタを提供
することにある。

【００１９】

【課題を解決するための手段】上記課題の少なくとも１
つを解決するための第１の解決手段として、互いに対向
配置された天板及び底板と、天板及び底板間に配置さ
れ、底板に連設された壁板とを有する、内部が空洞状の
カセット本体部を備え、カセット本体部内に設けられ、
インクリボンを巻回した供給コア及び巻取りコアと、壁
板にはカセット本体部内に位置させたインクリボンを引
き出し可能なリボン引き出し口が形成されて、リボン引
き出し口を通ってカセット本体部内から外部に一旦引き
出しされたインクリボンは、再度カセット本体部内に引
き入れて巻取りコアに巻き取り可能とし、カセット本体
部の壁板には、リボン引き出し口から引き出しされるイ
ンクリボンの幅方向の両端近傍に、インクリボンの引き
出し方向に突出した一対の用紙ガイド部がそれぞれ設け
られ、用紙ガイド部の少なくとも一方は、突出した頂部
から壁板の幅方向の中央に向けて突出寸法が低くなるよ
うに傾斜する傾斜面を形成したものである。

【００２０】また、第２の解決手段として、カセット本
体部の天板から一方向に延設されたリボン案内部を備
え、リボン案内部の先端に設けられたリボン折り返し部
で折り返しされた状態でインクリボンは巻き取り可能と
したものである。

【００２１】また、第３の解決手段として、壁板は、底
板の一端と、天板とリボン案内部を繋ぐ繋ぎ部分とにそ
れぞれ連続して一体形成され、底板の一端から天板に向
かうにしたがって徐々にリボン折り返し部側に傾けて形
成したものである。

【００２２】また、第４の解決手段として、用紙ガイド
部は、インクリボンの幅方向と平行な壁板の幅方向の中
央からそれぞれ等しい距離に配置されるとともに、傾斜
面を互いに対向させてこの中央を基準にして対称となる
テーパー状または湾曲状に形成したものである。

【００２３】また、第５の解決手段として、互いに対向
する一対の側板部と一方の側板部に形成した開口部から
挿入したインクリボンカセットを着脱可能なカセット装
着部とを有するフレームと、他方の側板部に片持ち支持
されてカセット装着部内に位置させたサーマルヘッド
と、一方と他方の側板部間に回転自在に配設され、サー
マルヘッドに弾接可能なプラテンローラと、サーマルヘ
ッドとプラテンローラとの間にインクリボンとともに挟
持される記録用紙を紙送りする紙送りローラと、を備
え、サーマルヘッドにより画像記録された記録用紙は、
記録用紙の幅方向の側端縁をインクリボンカセットの傾
斜面に摺接させながら紙送りされるようにしたものであ
る。

【００２４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態である
インクリボンカセット及びこれを用いた熱転写プリンタ
を図１乃至図１０に基づいて説明する。図１及び図２に
示すように、インクリボンカセット１５は、互いに対向
配置された天板１６ａ及び底板１６ｂと、底板１６ｂに
連設され、天板１６ａ及び底板１６ｂ間に配置された壁
板１６ｃとを有する、内部が空洞状のカセット本体部１
６を有している。さらに、カセット本体部１６の天板１
６ａから一方向（図２の右方向）にリボン案内部１７が
延設されている。さらに、カセット本体部１６には、互
いに対向する略楕円状の一対の側壁板１６ｄ、１６ｅが
設けられ、これら側壁板１６ｄ、１６ｅには径寸法の異
なる貫通穴１９ａ、１９ｂが２個ずつそれぞれ形成され
ている。また、カセット本体部１６は、壁板１６ｃと対
向して半円弧状の外周壁１６ｆを設けている。このよう
に、インクリボンカセット１５は、カセット本体部１６
とリボン案内部１７とを一体化してなる樹脂製のカセッ
トケース１８を有している。

【００２５】図１及び図３に示すように、リボン案内部
１７の先端には、リボン折り返し部２１が形成されてい
る。このリボン折り返し部２１には、回転自在の折り返
しローラ２２が配設されている。カセット本体部１６の
壁板１６ｃは、その外面を摩擦抵抗の少ない状態に形成
し、底板１６ｂの一端と、天板１６ａとリボン案内部１
７を繋ぐ繋ぎ部分とにそれぞれ連続して一体形成され、
底板１６ｂの一端から天板１６ａに向かうにしたがって
徐々にリボン折り返し部２１側に傾けた傾斜部として形
成されている。また、壁板１６ｃには、カセット本体部
１６内に収納した後述のインクリボン２９を外部に引き
出し可能な大きさの開口部分となるスリット状をしたリ
ボン引き出し口２３が形成されている。

【００２６】図４に示すように、カセット本体部１６の
空洞内部には、幅広なインクリボン２９を巻回した円筒
状の供給コア３２及び巻取りコア３３が収納されてい
る。供給コア３２及び巻取りコア３３は、両側壁板１６
ｄ、１６ｅ間に配設され、両コア３２，３３の両端を貫
通穴１９ａ、１９ｂ内に回転自在にそれぞれ軸支してい
る（図１参照）。

【００２７】図１０Ｂに示すように、リボン案内部１７
は、上部にカセット本体部１６の天板１６ａから一方向
に延長して形成された上面板１７ａと、下部にカセット
本体部１６の壁板１６ｃから突出するリボン摺接壁１７
ｂとから構成され、このリボン摺接壁１７ｂと上面板１
７ａに挟まれた隙間部分に、リボン走行溝１７ｃが形成
されている。

【００２８】図３に示すように、カセット本体部１６の
壁板１６ｃには、リボン引き出し口２３から引き出され
るインクリボン２９の幅方向の両端近傍に、インクリボ
ン２９の引き出し方向に壁板１６ｃの表面から突出した
一対の用紙ガイド部３５がそれぞれ設けられている。各
用紙ガイド部３５には、図３に示すように、突出した頂
部３５ａから壁板１６ｃの幅方向の中央に向けて突出寸
法が徐々に低くなるように傾斜する傾斜面３５ｂがそれ
ぞれ形成されている。また、用紙ガイド部３５は、イン
クリボン２９の幅方向と平行な壁板１６ｃの幅方向の中
央からそれぞれ等しい距離に配置され、その幅寸法Ｈの
間隔を有している（図３参照）。

【００２９】この傾斜面３５ｂには、記録用紙２０の幅
方向の側端縁がそれぞれ摺接するようになっている。ま
た、傾斜面３５ｂは、壁板１６ｃの幅方向の中央からそ
れぞれ等しい距離に互いに対向して配置され、且つ上記
中央を基準にして対称となるテーパー状に形成してい
る。なお、傾斜面３５ｂは、テーパー状だけでなく、単
に非対称または対称となる湾曲状に形成してもよい。

【００３０】次に、このように構成されたインクリボン
カセット１５を用いた熱転写プリンタ５０を図５乃至図
８に基づいて説明する。図５及び図６に示すように、熱
転写プリンタ５０は、内部に空洞部を有する箱状から成
り、手前側および後方側に互いに対向して配置された一
対の側板部５１ａ、５１ｂと、下方側（図７の上方側）
に天板部５１ｃと、上方側（図７の下方側）に底板部５
１ｄとを有する金属製のフレーム５１を備えている。こ
のフレーム５１は、空洞部内にインクリボンカセット１
５を装着可能なカセット装着部５２を設け、このカセッ
ト装着部５２にインクリボンカセット１５を着脱するた
めの開口部５２ａが一方の側板部５１ａに形成されてい
る。

【００３１】図７に示すように、フレーム５１内の左端
部側には壁部材５１ｆが配設され、この壁部材５１ｆに
はカセット装着部５２に通じる給排紙口５１ｇが開口形
成されている。この給排紙口５１ｇから記録用紙２０を
給紙、または排紙が可能となっている。

【００３２】図６に示すように、フレーム５１の両側板
部５１ａ、５１ｂ間には軸部材５６が軸支され、この軸
部材５６と平行に回転自在なプラテンローラ５５がその
両端を一対の腕部を有する支持レバー６１を介して軸支
している。フレーム５１の側方側（図６の左側）には、
金属棒等からなる紙送りローラ６３と、この紙送りロー
ラ６３に圧接する外周がゴムなどの樹脂からなる圧接ロ
ーラ６４（図７参照）とが、フレーム５１の両側板部５
１ａ、５１ｂ間に回転自在に取り付けられている。

【００３３】図７及び図８に示すように、カセット装着
部５２内の底板部５１ｄには、図７に示すように右上が
りとなる傾斜面を形成した樹脂製の傾斜台５２ｂが取り
付けられていて、記録用紙２０を図７の左右方向、特に
右方向へ紙送りするための下方側のガイドとなってい
る。また、カセット装着部５２内には、サーマルヘッド
５７が配設されている。サーマルヘッド５７は、複数の
発熱素子を有する基板部５８と、この基板部５８を固着
し、フレーム５１の他方の側板部５１ｂに取り付けたヘ
ッド取付台５９とを有している。さらに、他方の側板部
５１ｂには、回転可能な巻取りボビン６０が配設され、
インクリボンカセット１５の巻取りコア３３が係合する
ようになっている。

【００３４】次に、図９、図１０Ａ、１０Ｂに示すよう
に、インクリボンカセット１５を熱転写プリンタ５０の
フレーム５１に装着させて印刷記録する動作を説明す
る。先ず、熱転写プリンタ５０のカセット装着部５２に
インクリボンカセット１５を挿着すると、インクリボン
カセット１５のリボン摺接壁１７ｂと露出したインクリ
ボン２９との隙間部分にサーマルヘッド５７が位置する
とともに、サーマルヘッド５７の下部にプラテンローラ
５５が位置する。また、カセット本体部１６のリボン引
き出し口２３からリボン折り返し部２１に引き出された
インクリボン２９は、サーマルヘッド５７とプラテンロ
ーラ５５間に位置する。

【００３５】次に、記録用紙２０の前端部２０ａを給排
紙口５１ｇから挿入し、図９の矢印Ｍ方向に搬送する
と、その前端部２０ａはフレーム５１の底板部５１ｄ上
を案内されて、リボン引き出し口２３から引き出された
インクリボン２９とプラテンローラ５５間を通過し、前
端部２０ａは、紙送りローラ６３と圧接ローラ６４とに
圧接挟持される。

【００３６】次に、プラテンローラ５５を上方（図９の
矢印Ｅ方向）に移動させ、記録用紙２０とインクリボン
２９とを介してサーマルヘッド５７に圧接挟持するとと
もに、複数の発熱素子を印刷記録情報に応じて選択的に
発熱させる。そして、インクリボンカセット１５の巻取
りコア３３を反時計回り方向（図９の矢印Ｔ方向）に回
転させるとともに、紙送りローラ６３を時計回り方向に
回転させ、所定の速度で記録用紙２０を搬送方向（図示
Ｍ方向）に搬送する。それと同時に、記録用紙２０にイ
ンクリボン２９の溶融したインクが転写され、記録用紙
２０に所望の画像記録にて印刷される。

【００３７】次に、印刷記録した後の記録用紙２０を給
排紙口５１ｇ側に排紙するには、プラテンローラ５５を
サーマルヘッド５７から離間させて、記録用紙２０の圧
接状態を解除する。続いて、紙送りローラ６３を図９の
反時計回り方向に反転させると、印刷後の記録用紙２０
の側端部２０ｄ、２０ｄが用紙ガイド部３５の傾斜面３
５ｂに摺接しながら、給排紙口５１ｇ側の方向へ紙送り
（逆搬送）される（図１０Ａ参照）。

【００３８】記録用紙２０は、一対の用紙ガイド部３５
の各傾斜面３５ｂにガイドされながら、カセット本体部
１６の底板１６ｂ側に戻され、紙送りローラ６３の反時
計回り方向の回転により、記録用紙２０の後端部２０ｂ
が給排紙口５１ｇから排紙されるとともに、その前端部
２０ａが紙送りローラ６３と圧接ローラ６４の圧接挟持
から外れる。

【００３９】なお、記録用紙２０にカラー印刷する場合
には、インクリボン２９にマゼンダ、シアン、イエロー
などの異なる色のインクが順次だんだら状に塗布して形
成されたインクリボン２９を用いる。カラー印刷する動
作は、プラテンローラ５５をサーマルヘッド５７側に上
昇させて、インクリボン２９と記録用紙２０をサーマル
ヘッド５７に圧接挟持する。そして、紙送りローラ６３
に搬送された記録用紙２０を矢印Ｍの搬送方向に搬送さ
せながらインクリボン２９のインクを転写する動作と、
プラテンローラ５５をサーマルヘッド５７から離間さ
せ、紙送りローラ６３を反転させて、記録用紙２０を矢
印Ｎ方向に戻す動作とを繰り返して、異なる複数の色の
インクを記録用紙２０に重ね印刷して、所望のカラー画
像を印刷する。

【００４０】本発明の熱転写プリンタ５０は、記録用紙
２０の排紙動作だけでなく、カラー印刷時の記録用紙２
０を矢印Ｍ、Ｎ方向に往復移動させる動作においても、
印刷記録された後の記録用紙２０の後端面２０ｂまたは
幅方向の両方の側端縁が用紙ガイド部３５の各傾斜面３
５ｂに摺接しながら、高精度な位置にてスムーズに搬送
される。

【００４１】以上、説明したように本発明のインクリボ
ンカセット１５及びそれを用いた熱転写プリンタ５０
は、以下に示す効果を奏する。 １）リボン引き出し口２３から引き出しされたインクリ
ボン２９の幅方向の両端近傍の、カセット本体部１６の
壁板１６ｃには、インクリボン２９の引き出し方向に突
出した一対の用紙ガイド部３５がそれぞれ設けられ、一
対の用紙ガイド部３５は、突出した頂部３５ａから壁板
１６ｃの幅方向の中央に向けて突出寸法が低くなるよう
に傾斜する傾斜面３５ｂを形成したことにより、インク
リボン２９のインクで印刷記録された記録用紙２０を紙
送りしても一対の用紙ガイド部３５の傾斜面３５ｂにこ
の記録用紙２０の印刷記録されない部分、すなわち記録
用紙２０の側端縁を摺接させながら紙送りすることがで
きるので、画像記録の品質が劣化することなく、記録用
紙２０の印刷記録状態を高品質に維持することができ
る。また、記録用紙２０を全面印刷した場合であって
も、幅方向の側端縁を傾斜面３５ｂに摺接させながら紙
送りすることになるので、記録用紙２０の印刷記録面２
０ｃの劣化が生じることなく、高品質に維持することが
できる。

【００４２】２）壁板１６ｃは、底板１６ｂの一端と、
天板１６ａとリボン案内部１７を繋ぐ繋ぎ部分とにそれ
ぞれ連続して一体形成され、底板１６ｂの一端から天板
１６ａに向かうにしたがって徐々にリボン折り返し部２
１側に傾けて形成したことにより、記録用紙２０が撓み
やすい極薄い素材を使用した場合であっても、傾斜面３
５ｂにガイドされ紙送りされた記録用紙２０をスムーズ
に紙送りすることができる。

【００４３】３）用紙ガイド部３５は、インクリボン２
９の幅方向と平行な壁板１６ｃの幅方向の中央からそれ
ぞれ等しい距離に配置されるとともに、傾斜面３５ｂを
互いに対向させて中央を基準にして対称となるテーパー
状または湾曲状に形成したことにより、記録用紙２０の
幅方向の位置決めがなされた状態で紙送りできるので、
カラー印刷のように記録用紙２０の同じ箇所に異なる色
のインクで印刷記録される際に、位置精度良く印刷記録
できるように紙送りすることができる。

【００４４】４）互いに対向する一対の側板部５１ａ、
５１ｂと一方の側板部５１ａに形成した開口部５２ａか
ら挿入したインクリボンカセット１５を着脱可能なカセ
ット装着部５２とを有するフレーム５１と、他方の側板
部５１ｂに片持ち支持されてカセット装着部５２内に位
置させたサーマルヘッド５７と、一方と他方の側板部５
１ａ、５１ｂ間に回転自在に配設され、サーマルヘッド
５７に弾接可能なプラテンローラ５５と、サーマルヘッ
ド５７とプラテンローラ５５との間にインクリボン２９
とともに挟持される記録用紙２０を紙送りする紙送りロ
ーラ６３と、を備え、サーマルヘッド５７により画像記
録された記録用紙２０は、記録用紙２０の幅方向の側端
縁をインクリボンカセット１５の用紙ガイド部３５の傾
斜面３５ｂに摺接させながら紙送りされるようにしたこ
とにより、印刷記録された記録用紙２０を紙送りしても
その印刷記録された面が摺接することなく記録用紙の幅
方向の側端縁を摺接させて紙送りすることができるの
で、画像記録の品質が劣化することなく、印刷記録を高
画質の品質のまま保持することができる熱転写プリンタ
を提供することができる。

【００４５】以上、本発明の一実施形態について説明し
てきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはな
く、その主旨を逸脱しない範囲内において変更して実施
することができる。例えば、インクリボンカセットは、
回転可能な供給コアを収納する第１の収納部と、この第
１の収納部と所定の間隔を設けて配置され、回転可能な
巻取りコアを収納する第２の収納部と、これら第１及び
第２の収納部の側端部を繋ぐ連結部材とからなるカセッ
ト本体部で構成する。そして、この第２の収納部の周壁
部の一部（壁部）には、リボン送り用の開口部と、この
開口部の両端側に近接した一対のガイド部とを設け、該
一対のガイド部に傾斜面をそれぞれ設けるようにしても
良い。

【００４６】

【発明の効果】以上述べたように、本発明に係るインク
リボンカセットは、リボン引き出し口から引き出される
インクリボンの幅方向の両端近傍の壁板に、インクリボ
ンの引き出し方向に突出した一対の用紙ガイド部がそれ
ぞれ設けられ、用紙ガイド部の少なくとも一方は、突出
した頂部から壁板の幅方向の中央に向けて突出寸法が低
くなるように傾斜する傾斜面を形成したことにより、こ
のインクリボンカセットのインクリボンで印刷記録され
た記録用紙を紙送りしても用紙ガイド部の傾斜面にこの
記録用紙の印刷記録されなかった部分を摺接させて紙送
りすることができるので、画像記録の品質が劣化するこ
となく、記録用紙の印刷記録を高画質の品質のまま維持
することができる。特に、全面に印刷記録した記録用紙
の場合に、その効果が顕著である。

【００４７】また、本発明に係るインクリボンカセット
を用いた熱転写プリンタは、互いに対向する一対の側板
部と一方の側板部に形成した開口部から挿入したインク
リボンカセットを着脱可能なカセット装着部とを有する
フレームと、他方の側板部に片持ち支持されてカセット
装着部内に位置させたサーマルヘッドと、一方と他方の
側板部間に回転自在に配設され、サーマルヘッドに弾接
可能なプラテンローラと、サーマルヘッドとプラテンロ
ーラとの間にインクリボンとともに挟持される記録用紙
を紙送りする紙送りローラと、を備え、サーマルヘッド
により画像記録された記録用紙は、該記録用紙の幅方向
の側端縁をインクリボンカセットの傾斜面に摺接させな
がら紙送りされるようにしたことにより、印刷記録され
た記録用紙を紙送りしてもその印刷記録された面が摺接
することなく記録用紙の幅方向の側端縁を摺接させて紙
送りすることができるので、画像記録の品質が劣化する
ことなく、印刷記録を高画質のまま保持することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態であるインクリボンカセッ
トの斜視図である。

【図２】上記インクリボンカセットの正面図である。

【図３】上記インクリボンカセットの底面図である。

【図４】上記インクリボンカセットの平面図である。

【図５】本発明の一実施形態であるインクリボンカセッ
トを装着した熱転写プリンタの全体斜視図である。

【図６】本発明の一実施形態である底板を外した熱転写
プリンタの底面側から見た斜視図である。

【図７】上記熱転写プリンタの正面図である。

【図８】上記熱転写プリンタの側面図である。

【図９】本発明の一実施形態である熱転写プリンタにリ
ボンカセットを装着した際の縦断面図である。

【図１０】本発明の一実施形態である熱転写プリンタに
インクリボンカセットを装着し、記録用紙に印刷記録動
作をした際のインクリボンカセットと記録用紙との関係
を説明するための模式図であり、図１０Ａはその側方側
からの模式図、図１０Ｂは正面側からの模式図である。

【図１１】従来の熱転写プリンタの正面図である。

【図１２】従来の熱転写プリンタに着脱可能なインクリ
ボンカセットの縦断面図である。

【図１３】図１２に示すインクリボンカセットの右側面
図である。

【図１４】従来の熱転写プリンタにインクリボンカセッ
トを装着した状態の縦断面図である。

【図１５】従来の熱転写プリンタにインクリボンカセッ
トを装着し、記録用紙に印刷記録動作する際のインクリ
ボンカセットと記録用紙との関係を説明するための模式
図である。

【図１６】一般に熱転写プリンタに用いられる記録用紙
を説明するための模式図である。

【符号の説明】

１５ インクリボンカセット １６ カセット本体部 １６ａ 天板 １６ｂ 底板 １６ｃ 壁板 １７ リボン案内部 ２０ 記録用紙 ２１ リボン折り返し部 ２３ インク引き出し口 ２９ インクリボン ３２ 供給コア ３３ 巻取りコア ３５ 用紙ガイド部 ３５ｂ 傾斜面 ５１ フレーム ５１ａ、５１ｂ 側板部 ５２ カセット装着部 ５７ サーマルヘッド ６３ 紙送りローラ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに対向配置された天板及び底板と、
   該天板及び底板間に配置され前記底板に連設された壁板
   とを有する、内部が空洞状のカセット本体部を備え、 前記カセット本体部内に設けられ、インクリボンを巻回
   した供給コア及び巻取りコアと、 前記壁板には前記カセット本体部内に位置させた前記イ
   ンクリボンを引き出し可能なリボン引き出し口が形成さ
   れて、 前記リボン引き出し口を通って前記カセット本体部内か
   ら外部に一旦引き出しされた前記インクリボンは、再度
   前記カセット本体部内に引き入れて前記巻取りコアに巻
   き取り可能とし、 前記カセット本体部の前記壁板には、前記リボン引き出
   し口から引き出しされる前記インクリボンの幅方向の両
   端近傍に、前記インクリボンの前記引き出し方向に突出
   した一対の用紙ガイド部がそれぞれ設けられ、 該用紙ガイド部の少なくとも一方は、突出した頂部から
   前記壁板の幅方向の中央に向けて突出寸法が低くなるよ
   うに傾斜する傾斜面を形成したことを特徴とするインク
   リボンカセット。
2. 【請求項２】 前記カセット本体部の前記天板から一方
   向に延設されたリボン案内部を備え、該リボン案内部の
   先端に設けられたリボン折り返し部で折り返しされた状
   態で前記インクリボンは巻取り可能としたことを特徴と
   する請求項１記載のインクリボンカセット。
3. 【請求項３】 前記壁板は、前記底板の一端と、前記天
   板と前記リボン案内部を繋ぐ繋ぎ部分とにそれぞれ連続
   して一体形成され、前記底板の一端から前記天板に向か
   うにしたがって徐々に前記リボン折り返し部側に傾けて
   形成したことを特徴とする請求項２記載のインクリボン
   カセット。
4. 【請求項４】 前記用紙ガイド部は、前記インクリボン
   の幅方向と平行な前記壁板の幅方向の中央からそれぞれ
   等しい距離に配置されるとともに、前記傾斜面を互いに
   対向させて前記中央を基準にして対称となるテーパー状
   または湾曲状に形成したことを特徴とする請求項１乃至
   ３のいずれか１項に記載のインクリボンカセット。
5. 【請求項５】 請求項１乃至４のいずれか１項に記載の
   インクリボンカセットを用いた熱転写プリンタであっ
   て、互いに対向する一対の側板部と一方の前記側板部に
   形成した開口部から挿入した前記インクリボンカセット
   を着脱可能なカセット装着部とを有するフレームと、 他方の前記側板部に片持ち支持されて前記カセット装着
   部内に位置させたサーマルヘッドと、 一方と他方の前記側板部間に回転自在に配設され、前記
   サーマルヘッドに弾接可能なプラテンローラと、 前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとの間に前記
   インクリボンとともに挟持される記録用紙を紙送りする
   紙送りローラと、を備え、 前記サーマルヘッドにより画像記録された前記記録用紙
   は、該記録用紙の幅方向の側端縁を前記インクリボンカ
   セットの前記傾斜面に摺接させながら紙送りされるよう
   にしたことを特徴とする前記インクリボンカセットを用
   いた熱転写プリンタ。