JP2003098306A - 反射防止フィルム - Google Patents

反射防止フィルム

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antireflection
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Takayuki Abe
能之 阿部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フッ素系樹脂膜のもつ傷に対する耐性の
弱さやダイヤモンドライクカーボン膜の持つ防汚性能上
の問題を解決しうる保護膜の提供を課題とする。 【解決手段】 透明な基体と、該基体表面に設けられた
反射防止膜と、該反射防止膜の表面に設けられた保護膜
とから主として構成される反射防止フィルムにおいて、
該保護膜が厚さ1〜20nmの硬質アモルファスグラフ
ァイト膜であり、該硬質アモルファスグラファイト膜
は、黒鉛からなるターゲットを用いたスパッタリングに
より成膜された緻密な炭素膜であり、炭素の結合がsp2
結合のみで形成されているものである。なお、保護膜の
膜厚は1nm〜20nmとすることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示板(LC
D)、テレビやコンピュ−タ−の表示画面ブラウン管
(CRT)、その他の表示画面などの前面に装着され
る、反射防止膜を有するプラスチックフィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイやブラウン管等の表示
画面を見る場合、窓からの外光や室内照明の光が画面上
で反射し、表示が見難くなり、ディスプレイ作業におけ
る疲労の原因とも成っている。この対策の一つとして、
表示画面の表面に反射防止膜を設けることが行われてい
る。
【0003】一般的には液晶表示板(LCD)、テレビ
やコンピュ−タ−表示画面のブラウン管(CRT)など
の表示画面はガラスであり、従来はそのガラス表面に直
接反射防止膜を設けることで背後の光源からの光の反射
による視覚的障害を避けてきた。この反射防止膜は、通
常高真空中で金属酸化物や誘電体からなる多層膜を蒸着
させて形成するが、被処理材がCRTのように、大きさ
が数十cm四方以上とか、曲面を持つような場合は、大
掛かりな成膜設備を必要とし、経済性の面で問題があっ
た。
【0004】この問題を解決すべく、あらかじめ反射防
止性能を付与したPETやPCなどの樹脂フィルムを用
意し、それを表示用ガラス面に接着して装着することが
行われるようになった。すなわち反射防止膜を有するプ
ラスチックフィルムまたはシート状の基材を各種接着剤
を用いてガラス面上に貼合せ固定している。また、これ
までCRTの画像のコントラストを上げるために着色ガ
ラスをブラウン管材料として用いていたが、最近のフラ
ット型CRTでは無着色のガラスを用いたブラウン管を
用いて、その代わりに、装着する樹脂フィルムに着色機
能をもたせる方法がとられている。この方法によると画
像全体が均一にコントラスト効果を持たせることができ
る。その際、樹脂フィルムの平均可視光透過率は60〜
75%が適当であり、60%より低いと画像が暗すぎて
見えなくなる。
【0005】しかし上記フィルム等は、基材である樹脂
フィルム自体が柔らかいため、キズに対して弱く、耐摩
耗性、耐久性の面で実用的ではなかった。これを克服す
るために、上記樹脂フィルムの表面にアクリル系のハー
ドコート膜を設け、その上に反射防止膜を形成する方法
が検討されている。これにより、耐摩耗性の向上をはか
っている。
【0006】また、反射防止膜を汚れ、埃、傷などから
保護するために、反射防止フィルムの最上層には保護膜
が形成されている。従来、この保護膜としては、フッ素
系樹脂膜がよく用いられている。このフッ素系樹脂膜は
汚れの防止に効果的であり、防汚膜と呼ばれている。こ
の防汚膜は表面に指紋などの汚れが付着し難く、いった
ん付着した汚れも乾いた布等で拭くことにより容易に除
去できる。このフッ素系の樹脂からなる防汚膜は、パー
フルオロ基を含有したシリコン系材料を溶質とする溶液
にパーフルオロ基を含有した燐酸エステルを触媒として
加えて形成されたコーティング剤を反射防止膜状に塗布
し、さらにこれを乾燥することによって形成される。
【0007】さらに、最近では、特開2001−141
903に記されているように、ダイヤモンドライクカー
ボン膜を保護膜に用いた反射防止膜が提案されている。
ダイヤモンドライクカーボン膜は、硬質膜であり摩擦係
数も小さいため、保護膜に用いれば耐久性の点で更に向
上すると期待されるからである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このフ
ッ素系樹脂膜は撥水性が主な機能であり汚れ防止や除去
には効果的であるが傷に対する耐性が弱い。またフッ素
系樹脂膜は湿式プロセスで成膜され、フッ素系の溶媒を
使用していることから将来環境上の問題から使用が不可
能になることが考えられる。
【0009】また、ダイヤモンドライクカーボン膜は抵
抗が高く絶縁性であるため、ディスプレイ表面上では静
電気による帯電が生じ、静電引力により埃等が吸着しや
すくなるため防汚性能に劣る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成せんものと鋭意研究の結果、硬質アモルファス
グラファイト膜(グラファイトライクカーボン)を保護
膜として使用すれば耐久性と防汚性能とが共に高まるこ
とを見出して本発明に至った。
【0011】すなわち、上記課題を解決する本発明は、
透明な基体と、該基体表面に設けられた反射防止膜と、
該反射防止膜の表面に設けられた保護膜とから主として
構成される反射防止フィルムにおいて、該保護膜が硬質
アモルファスグラファイト膜であることを特徴とする反
射防止フィルムである。そして、好ましくは、該硬質ア
モルファスグラファイト膜は、黒鉛からなるターゲット
を用いたスパッタリングにより成膜された緻密な炭素膜
であり、炭素の結合がsp2結合のみで形成されているも
のである。
【0012】なお、保護膜の膜厚は1nm〜20nmと
することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明に含まれる反射防止
フィルムの基本的な構造を示す模式的な断面図である。
図に示すように本反射防止フィルムは、透明な基体と、
その上に形成された反射防止膜と、その上に形成された
保護膜とからなる。このような反射防止フィルムは、例
えば粘着剤を介してCRTやLCDの画面に貼り付けら
れる。透明基材は例えば、50〜200mmの厚みのポリ
エチレンテレフタレート(PET)のフィルムの上にア
クリル系の硬化樹脂(ハードコート)を1〜20mmほど
塗布した有機基材である。
【0014】本発明においては、フィルム基材上の反射
防止膜として形成される金属酸化物の積層膜上に硬質ア
モルファスグラファイト膜を保護膜として設ける。ここ
で言う硬質アモルファスグラファイト膜とは、硬質アモ
ルファスグラファイト膜のラマン分光スペクトルを測定
すると、実質的にグラファイト構造(sp2結合)に由来
するピークのみが存在するものを言う。ダイヤモンド構
造に由来するピークを含む膜は、ダイヤモンドライクカ
ーボン膜と呼ばれ、本発明の膜とは異なる。なお、実質
的にとは通常の測定条件で行った場合にと言うことを示
す。
【0015】この硬質アモルファスグラファイト膜は、
例えばスパッタリング法により形成可能である。スパッ
タ法は、真空槽に膜の原料となるターゲットを陰極とし
て配置し、その対向側に被成膜材料(基材)を陽極とし
て配置し、真空槽内を10Pa以下のアルゴンガス圧と
し、陰極陽極間に電圧をかけてグロー放電を起こさせ、
これによりアルゴンプラズマを発生させ、プラズマ中の
アルゴン陽イオンをターゲットに衝突させてターゲット
成分の粒子をはじき飛ばし、はじき飛ばされた粒子を基
材表面上に堆積させて膜を形成するというものである。
アルゴンプラズマの発生方法は、高周波プラズマを用い
る方法と直流プラズマを用いる方法がある。
【0016】スパッタリング法の中でマグネトロンスパ
ッタリング法は、蒸気圧の低い材料の成膜や精密な膜厚
制御を必要とする際に有効な手法であり、操作が非常に
簡便であるため、工業的に広範に利用されている。マグ
ネトロンスパッタとは、カソードの裏側に磁石を設置し
て、ターゲット基板間の空間に磁界を持たせてプラズマ
の発生効率をあげて行うスパッタリングのことである。
【0017】このマグネトロンスパッタリング法でカー
ボンターゲットから得られる膜は、製造条件を変えるこ
とにより本発明の硬質アモルファスグラファイト膜が得
られたり、従来のダイヤモンドライクカーボン膜が得ら
れたりする。通常のアルゴンガスを用いたスパッタリン
グの場合では、硬質アモルファスグラファイト膜が得ら
れやすく、アルゴンガスに水素ガスを混合して得た混合
ガスによるプラズマを用いた場合では、ダイヤモンドラ
イクカーボン膜が得やすい。また、このダイヤモンドラ
イクカーボン膜は、カソードの裏面に配置した磁場のバ
ランスを非平衡にして、プラズマの一部が基板面の近傍
まで広がった状態でスパッタリングを行った場合でも得
られやすい。なお、どちらの膜が形成されるかは、プラ
ズマから与えられるカーボンスパッタ粒子のエネルギー
の大きさによってきまるため、水素混合アルゴンガスを
用いた場合でも、非平衡マグネトロンを使用した場合で
も、他の条件、例えばガス圧、投入パワー、磁場強度な
どの条件や、放電の発生方法を変えることにより硬質ア
モルファスグラファイト膜を得ることが可能である。
【0018】このようにして形成した硬質アモルファス
グラファイト膜は導電性が高く、この点がダイヤモンド
ライクカーボン膜と異なる。よって、静電気などの帯電
防止の機能を持つため防汚機能はダイヤモンドライクカ
ーボン膜より高い。また、言うまでもなく、摩擦係数は
非常に低く、また硬度も非常に高いため膜自体の強度が
向上し、膜厚が薄くても十分な耐久性を確保することが
できる。
【0019】また、この硬質アモルファスグラファイト
膜の形成に際し、例えばCVD法を用いて形成すること
も可能である。ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチ
ルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシ
ロキサン等の有機シリコン化合物ガス又は有機フッ化シ
リコンガスを導入してもよい。これにより、得られる硬
質アモルファスグラファイト膜に珪素や水素が取り込ま
れ、より顕著な効果を期待することができる。
【0020】硬質アモルファスグラファイト膜は真空薄
膜形成技術により低屈折率の金属酸化物薄膜と高屈折率
の金属酸化物薄膜もしくは金属窒化物薄膜を積層して形
成され、各層の界面で反射された位相の異なる光が干渉
により打ち消し合うようになっている。具体的に例示す
るならば、低屈折率の金属酸化物薄膜材料としてSiO
2やMgF2などが挙げられ、高屈折率の金属酸化物薄膜
材料としてTiO2、ZrO2、HfO2、Ta25、N
25、In23、ITOが挙げられ、高屈折率の金属
窒化物薄膜材料としてTiN、ZrNなどが挙げられ
る。
【0021】これらの金属酸化物薄膜を形成する手段と
しては、微量の酸素ガスを導入した真空下で上述の金属
材料を加熱蒸発させ上記フィルム基体上に被着せしめる
真空蒸着法や、上記金属酸化物材料の蒸発を放電中で行
うイオンプレーティング法、上述のスパッタ法等がいず
れも使用可能である。
【0022】上記反射防止膜上に、保護膜として形成さ
れる硬質アモルファスグラファイト膜は摩擦係数が非常
に低く、また硬度も非常に高いため、膜自体の強度が向
上し、膜厚が薄くても十分な耐久性を確保することがで
きる。なお、本保護膜の厚さを1nm〜20nmとする
のは以下の理由による。本発明において硬質アモルファ
スグラファイト膜の厚さを20nm以下としたのは,2
0nmより厚いとDLC自体の着色性により可視光透過
率が低すぎてしまい,ディスプレイ表面に装着するフィ
ルムとして利用できないからであり、1nm以上とした
のは、これより薄いと実質的に均一、かつ充分な耐久性
を有する硬質アモルファスグラファイト膜とならないか
らである。
【0023】以下、本発明を具体的な検討例により説明
するが、本発明がこの実施例に限定されるものでないこ
とは言うまでもない。
【0024】図1に示した構造の反射防止フィルムを以
下のようにして作成した。用いた透明基材は、125mm
の厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)のフィ
ルムの上にアクリル系の硬化樹脂(ハードコート)を5
mmほど塗布した有機基材である。なお、透明基材として
は50〜200mmの厚みの透明樹脂膜を用いることがで
き、ハードコートの厚さは1〜20mmとすることが好ま
しい。
【0025】反射防止膜は以下のような手順で形成し
た。フィルム基体のハードコート層の上に、ITO膜
(21nm)、SiO2膜(32nm)、ITO膜(4
2nm)、SiO2膜(103nm)の順に4層すべて
を、巻き取り式スパッタリング装置を用いて、各層の膜
厚さを光学膜厚(n×d)となるようにオンラインで計
測制御しながら順次形成した。ITO膜はITOターゲ
ットを用いたDCスパッタリング法で形成した。また、
SiO2膜はSiターゲットを用い、酸素ガスを用いた
反応性スパッタ法で形成した。
【0026】次に、保護膜の形成工程において使用した
マグネトロンスパッタリング装置の構成について説明す
る。このマグネトロンスパッタ装置は、内部が所定の真
空度に保たれた真空槽内に反射防止膜が形成されたフィ
ルム基体(被処理体)が、定速回転する送りロールから
定速回転する巻き取りロールに向かって順次走行するよ
うになされている。
【0027】送りロール側から巻き取りロール側に上記
フィルム基材が走行する中途部には、該反射防止膜を引
き出すように上記各ロールの径よりも大きな径の回転支
持体が定速回転するように設けられている。該フィルム
基材は反射防止膜が外側(回転支持体側と逆側)に向く
よう回転支持体上にて搬送される。
【0028】また、これら送りロールと回転支持体及び
該回転支持体と巻き取りロールとの間には、ガイドロー
ルがそれぞれ配設されており、上記送りロールと回転支
持体及び該回転支持体と巻き取りロール間を走行する上
記フィルム基材に適当なテンションを与えつつ、円滑な
走行がなされるようになっている。
【0029】なお、上記送りロール、巻き取りロール及
び回転支持体は、それぞれ上記フィルム基材の幅と略同
じ長さからなる円筒状をなすものである。従って、この
マグネトロンスパッタ装置においては、上記フィルム基
材が、上記送りロールから順次送り出され、上記回転支
持体の外周面に沿って通過し、更に上記巻き取りロール
に巻き取られていくようになされている。
【0030】一方、上記真空槽内では、上記回転支持体
の下方に平衡マグネトロンカソードが設けられ、この平
衡マグネトロンカソード上に黒鉛ターゲットが装着さ
れ、これら回転支持体と黒鉛ターゲットの間を通過する
際に、上記フィルム基材表面の反射防止膜上に保護膜が
形成されるようにされている。なお、マグネトロンカソ
ードとはカソード内部に永久磁石が配置されているカソ
ードであり、これを用いると、電圧を印加してグロー放
電を起こした場合に密度の高いプラズマをターゲット上
に発生させることができる。このカソードは、上記真空
槽の外部に配設された高周波電源と接続されており、該
高周波電源により基板電位よりも低い電圧が供給される
ため、アルゴンイオンによるスパッタリング成膜が可能
となる。
【0031】こうして、上記送りロールより送り出さ
れ、上記回転支持体の外周面に沿って走行する上記フィ
ルム基材が上記回転支持体と上記黒鉛ターゲットとの間
を通過する時点で反射防止膜上に硬質アモルファスグラ
ファイト膜が保護膜として形成される。この結果、反射
防止膜の表面上に形成された上記硬質アモルファスグラ
ファイト膜により優れた潤滑性が得られるとともに、摩
擦係数の低減が図られるため、良好な耐久性を確保する
ことができる。また、上記硬質アモルファスグラファイ
ト膜は導電性を有するため、帯電防止にも成り、防汚性
能は高まる。
【0032】本検討例では、上記スパッタ装置(上記回
転支持体の直径は70cm、ターゲットは30×10c
mの直方体のものを用いた。)を使用し、上記反射防止
膜が形成されたフィルム基体を上述の送りロールに装着
した後、アルゴンガスを真空槽に挿入してガス圧0.6
Paとし、500Wの高周波電力を投入して黒鉛ターゲ
ットと回転支持体の間にグロー放電を発生させ、反射防
止膜表面に膜厚5nmの保護膜を形成した。このように
して製造した保護膜についてラマン分光スペクトルを測
定したところ、グラファイトに起因するピークのみが観
察された。このことより本例の保護膜は硬質アモルファ
スグラファイト膜であることが確認できた。
【0033】以上のようにして得た反射防止フィルム表
面の摩擦係数を測定したところ0.1であり、非常に小
さな摩擦係数であることがわかった。また、JIS規格
に基づく鉛筆硬度試験によると硬度4Hの高硬度を有す
ることがわかった。また、表面抵抗を四端針法で測定し
たところ2kΩ/□であった。また可視光領域400〜
600nmの平均透過率を測定したところ、75%であ
った。このことから、本発明に従うと、従来のような環
境問題などで懸念されるフッ素系溶媒を用いなくても耐
久性が良好で帯電防止機能の備わった反射防止フィルム
を得ることができる。
【0034】
【実施例】次に実施例を用いて本発明をさらに説明す
る。 (実施例1〜4)保護膜の厚さが1、10、15、20
各nmとなるようにした以外は検討例と同じようにして
反射防止フィルムを得た。
【0035】それぞれの反射防止フィルム表面の摩擦係
数を測定したところそれぞれ0.2、0.1、0.1、
0.1であり、非常に小さな摩擦係数であることがわか
った。また、JIS規格に基づく鉛筆硬度試験によると
硬度はそれぞれ3H、4H、4H、4Hの高硬度を有す
ることがわかった。また、表面抵抗を四端針法で測定し
たところそれぞれ11kΩ/□、900Ω/□、650
Ω/□、520Ω/□であった。また可視光領域400
〜600nmの平均透過率を測定したところ、81%、
70%、64%、60%であった。このことから、本発
明に従うと、従来のような環境問題などで懸念されるフ
ッ素系溶媒を用いなくても耐久性が良好で帯電防止機能
の備わった反射防止フィルムを得ることができる。
【0036】(比較例1)保護膜の厚さが0.1nmと
なるようにした以外は検討例と同じようにして反射防止
フィルムを得た。
【0037】それぞれの反射防止フィルム表面の摩擦係
数を測定したところ0.8であり非常にたかかった。ま
た、JIS規格に基づく鉛筆硬度試験によると硬度は2
Hであることがわかった。また、表面抵抗を四端針法で
測定したところそれぞれ100kΩ/□以上の高抵抗値
を示した。可視光領域400〜600nmの平均透過率
を測定したところ、87%であった。このことから、透
過率は良好なものの、耐久性が良好で帯電防止機能の備
わった反射防止フィルムを得ることができない。
【0038】(比較例2)保護膜の厚さが25nmとな
るようにした以外は検討例と同じようにして反射防止フ
ィルムを得た。それぞれの反射防止フィルム表面の摩擦
係数を測定したところ0.1であり、また、JIS規格
に基づく鉛筆硬度試験によると硬度は4Hの高硬度を有
することがわかった。また、表面抵抗を四端針法で測定
したところ400Ω/□であった。よって耐久性は十分
であるが、可視光領域400〜600nmの平均透過率
を測定したところ55%であり、透過性の面でディスプ
レイ表面に貼る反射防止フィルムとしては実用的でない
ことがわかった。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の反射防止フィルムは、膜厚の薄い硬質アモルファスグ
ラファイト膜を保護膜として用いているため、環境問題
などで懸念されるフッ素系溶媒を用いなくても、硬質で
自己潤滑性に優れた保護膜が得られるとともに、耐久性
を改善することができる。従って、本発明によれば、反
射特性の良好で、耐久性に優れた反射防止フィルムを提
供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる反射防止フィルムの構造を示す
模式的な断面図である。
【図2】本発明を適用して反射防止フィルムを製造する
に際し、硬質アモルファスグラファイト膜の成膜時に使
用したスパッタ装置の構成を示す模式図である。
【図3】図1に示した反射防止フィルムの反射特性を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1333 505 G02B 1/10 A Fターム(参考) 2H090 HB02X JB02 JC07 2K009 AA02 BB24 CC01 CC26 DD04 EE05 4F100 AA37C AD11C AS00C BA03 BA10A BA10C BA25C EH66C GB41 JA12C JK12C JM02C JN01A JN06B YY00C 4K029 AA11 AA25 BA34 BA46 BA50 BB02 BB10 BC07 BD00 CA05 DC05 DC35 DC39 KA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明な基体と、該基体表面に設けられた反
    射防止膜と、該反射防止膜の表面に設けられた保護膜と
    から主として構成される反射防止フィルムにおいて、該
    保護膜が硬質アモルファスグラファイト膜であることを
    特徴とする反射防止フィルム。
  2. 【請求項2】該硬質アモルファスグラファイト膜は、黒
    鉛からなるターゲットを用いたスパッタリングにより成
    膜された緻密な炭素膜であり、炭素の結合がsp2結合の
    みで形成されているものである請求項1記載の反射防止
    フィルム。
  3. 【請求項3】保護膜の膜厚が1nm〜20nmである請
    求項1または2記載の反射防止フィルム。
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