JP2003095761A - セラミックス構造体の製造方法 - Google Patents

セラミックス構造体の製造方法

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JP2003095761A
JP2003095761A JP2001286745A JP2001286745A JP2003095761A JP 2003095761 A JP2003095761 A JP 2003095761A JP 2001286745 A JP2001286745 A JP 2001286745A JP 2001286745 A JP2001286745 A JP 2001286745A JP 2003095761 A JP2003095761 A JP 2003095761A
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ceramic structure
screw member
ceramic
sheath tube
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English (en)
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Kiyobumi Ogita
清文 荻田
Ken Iida
憲 飯田
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Meiden Ceramics Co Ltd
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Meiden Ceramics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 引っ張り強度が強いセラミックス構造体を作
業よく製造する。 【解決手段】 雌ねじ型治具11,12とプレス型7〜
10を用いて原料粉末を加圧成形して雌ねじ部材13を
形成し、プレス型7〜10を除去した後、装着したまま
の雌ねじ型治具11,12とプレス型14〜17を用い
て雌ねじ部材13の外周にセラミックス原料粉末を加圧
成形して鞘管18を形成し、雌ねじ型治具11,12と
プレス型14〜17を除去した後、雌ねじ部材13と鞘
管18を焼成し、鞘管18により雌ねじ部材13を圧縮
して両者を密着固定させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、セラミックスか
らなる雌ねじ体に係り、耐熱特性、耐腐食特性、電気的
絶縁特性が要求される例えば土木、電気関係に好適な、
強度を向上した雌ねじ部を備えるセラミックス構造体の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、部材の耐熱特性、耐腐食特性、
電気的腐食性の誘発などを改善するために、金属に代え
てセラミックス化するなどの傾向がある。特に、土木関
係では、コンクリート構造物の耐久性を向上するため
に、金属からセラミックスに移行する傾向にある。例え
ば、コンクリート型枠保持装置の端止体(継ぎ手)とし
ては、各種のものが知られている。例えば、特開平8−
135187においては、金属製雌ねじ部をセラミック
スで覆ったものが示され、特開平9−324537にお
いては、金属製雌ねじ部を分割セラミックス筒体で保持
したものが示されている。又、特開2000−3457
16や特開2000−345704においては、金属製
雌ねじ部をモルタルで覆ったものが示され、特開平11
−2025においては、金属製雌ねじ部を合成樹脂で覆
ったものが示されている。
【0003】又、特開平6−279131、同10−2
72614などにおいては、セラミックス部材同士を焼
成収縮率の差を利用して嵌着結合することにより、気密
性、接合強度に優れたものを得る技術が示されている。
【0004】しかし、本発明のように、圧縮力を付与す
ることにより強度を高めるセラミックス構造体の製造方
法の思想は開示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の端止体
においては、金属製雌ねじ部を合成樹脂で覆ったもの
は、合成樹脂部が経年により劣化して金属製雌ねじ部が
腐食し、金属製セパレータへ腐食が波及することとなっ
た。又、金属製雌ねじ部を無機質(モルタル、セラミッ
クス)で覆ったものは、覆った部分の劣化はないもの
の、内部の金属製雌ねじ部が腐食し、金属製セパレータ
へ腐食が波及することとなった。従って、端止体で腐食
が始まると、コンクリート構造体の表面部にクラックが
発生するなどの劣化が始まり、コンクリート構造体の耐
久性を損なうこととなった。
【0006】一方、発明者らは、図6(a)に示すよう
に、隔壁1aを介して雌ねじ部1b,1cを備えた雌ね
じ体1をアルミナセラミックス(アルミナ96重量%)
の焼結体で形成し、図6(b)に示すように各雌ねじ部
1b,1cにそれぞれボルト2,3を螺合し、一方のボ
ルト3を固定して他方のボルト2を矢印のように引っ張
って引っ張り試験を行った所、ボルト2の先端部を起点
にして雌ねじ体1の外周面方向に発生した破断面1dに
より破断した。せん断強度は、2.60〜2.90KN
であった。なお、試験に使用した雌ねじ体1の焼結後の
寸法関係は図7に示す通りである。すわなち、最大径2
7mm、両端部の径19mm、全長35mm、雌ねじ部
1b,1cは共にねじ径がW3/8でねじ山の数は7〜
8山であり、雌ねじ部1bの長さは端部側に形成された
径大部1eを含めて18.5mm、雌ねじ部1cの長さ
は13.5mm、隔壁1aの厚さは3.0mmである。
【0007】この結果からも明らかなように、腐食を発
生せず、コンクリート構造体の耐久性を損なうことがな
いセラミックスは圧縮力に強いが、靱性に欠け、引っ張
り力に弱いことから、コンクリート内に埋設する以前の
状態において引っ張り力が作用する構造体への使用普及
には限界があった。
【0008】そこで、発明者らは研究を重ね、図8に示
すようなセラミックス構造体を考案した。図において、
5は隔壁5aを介して一対の穴5b,5cを設けたアル
ミナセラミックスの未焼結体からなる鞘管、4はアルミ
ナセラミックスの焼結体からなる筒状の雌ねじ部材であ
り、その内周には貫通した雌ねじ部4aが設けてある。
そして、鞘管5の穴5b,5c内にそれぞれ雌ねじ部材
4を装着し、これらを焼成して鞘管5を焼結する。この
焼結の際に鞘管5は収縮し、鞘管5は雌ねじ部材4を加
圧圧縮し、両者は嵌合密着結合し、セラミックス構造体
6が形成される。このとき、両者間に拡散結合は一部を
除いて生じない。このように、鞘管5と雌ねじ部材4と
の間に締め付け圧縮力が作用することにより、セラミッ
クス構造体6の引っ張り強度は向上する。従って、全体
的な拡散結合が生じると、雌ねじ部材4と鞘管5が同一
体となってしまい、好ましくない。
【0009】ここで、図9に示すように、一対の雌ねじ
部材4の雌ねじ部4aにボルト2,3を螺合し、一方の
ボルト3を固定し、他方のボルト2を引っ張って引っ張
り試験を行うと、従来より大きな耐力を有することが判
明した。即ち、引っ張り力は従来のように鞘管5に直接
局部的に作用せず、引っ張り力により雌ねじ部材4に作
用する応力は雌ねじ部材4と鞘管5との密着面Aを介し
て鞘管5に分散して作用するので、引っ張り強度が著し
く向上する。
【0010】なお、アルミナセラミックスの焼成時の線
収縮率は14〜17%であるが、粒径や加圧成形圧力な
どの条件によって異なる。上記の場合、焼結済の雌ねじ
部材4の外径より若干径が大きい穴5b,5cを有する
鞘管5を用意し、この鞘管5を焼成することにより、鞘
管5が雌ねじ部材4を締め付け、圧縮力が作用するよう
にする。若干形状が異なるが、図10(a)は焼成前の
鞘管5の寸法を示し、最大径31.8mm、両端部の径
22.4mm、穴5b,5cの径17.1mm、穴5
b,5cの深さ21.8mm、15.9mm、全長4
1.2mm、隔壁5aの厚さ3.5mmである。又、図
10(b)は1600℃で焼成後(収縮率15%)の鞘
管5の寸法を示し、最大径27mm、両端部の径19m
m、全長35mm、穴5b,5cの深さ18.5mm、
13.5mm、隔壁5aの厚さ3.0mmである。図1
0(c)は1600℃で焼成後の雌ねじ部材4の寸法を
示し、外径15mm、長さ13.5mm、雌ねじ部4a
のねじ径はW3/8、ねじ山数は7〜8である。雌ねじ
部材4のアルミナ量は96重量%であり、その成形は静
水圧成形機(通称CIP)により5MPaの圧力で成形
する。又、鞘管5の穴5b,5cの焼成後の自然状態に
おける径は14.5mmとなり、雌ねじ部材4の焼成後
の外径は15mmであるから、14.5−15mmの差
分で鞘管5の穴5b,5cが雌ねじ部材4を締め付ける
ことになる。セラミックス構造体6のせん断強度は1
1.5〜13KNであった。
【0011】この発明は上記のような課題を解決するた
めに成されたものであり、耐腐食性、耐電気腐食性に優
れ、圧縮力、引っ張り力にも強く、かつ作業性に優れた
セラミックス構造体の製造方法を得ることを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記のように
鋭意研究を重ねた結果、雌ねじ体に直接雌ねじ部を設け
て構成した場合には、上記のように破断現象が生じる
が、雌ねじ部材を鞘管で強く圧縮して雌ねじ体を構成す
ることにより、両者間に存在する圧縮作用による雌ねじ
部材の強度向上と密着面の存在により、引っ張り強度の
向上に著しく寄与して雌ねじ体の耐力を向上できること
を見出した。
【0013】この発明の請求項1に係るセラミックス構
造体の製造方法は、セラミックス原料粉末を加圧成形し
て雌ねじ部材を形成し、この雌ねじ部材の外周にセラミ
ックス原料粉末を加圧成形して少なくとも一層の鞘管を
形成し、両者を焼成することにより、鞘管が雌ねじ部材
を圧縮して両者を密着固定させるものである。
【0014】鞘管は一層以上の複数層とすることによ
り、強度が増す。この場合、加圧成形を繰り返すことに
より多層にする。雌ねじ部材を加圧成形後、雌ねじ部材
の周囲に直接鞘管を加圧成形することから、作業性に優
れ、しかも雌ねじ部材の外形形状を任意のものとして、
嵌着結合を強化できる。例えば、雌ねじ部材の外形を樽
形状、両側円弧錐状、多角形、外周面凹凸状とすること
ができる。
【0015】請求項2に係るセラミックス構造体の製造
方法は、雌ねじ型治具を用いてセラミックス原料粉末を
加圧成形して雌ねじ部材を形成し、雌ねじ型治具を装着
した状態において雌ねじ部材の外周にセラミックス原料
粉末を加圧成形して少なくとも一層の鞘管を形成し、雌
ねじ型治具を除去した後、雌ねじ部材と鞘管を焼成する
ことにより、鞘管が雌ねじ部材を圧縮して両者を密着固
定させるものである。
【0016】請求項3に係るセラミックス構造体の製造
方法は、焼成における焼結順序が雌ねじ部材の焼結後に
鞘管が焼結するようにしたものである。
【0017】雌ねじ部材と鞘管を同種のセラミックス
(例えばアルミナセラミックス)で形成する場合、鞘管
の圧縮力を大きくする手段として、鞘管の成形時の圧力
を雌ねじ部材より低くすることにより、焼成時の収縮率
を大きくできる。又は、鞘管の原料粉末の粒径を大きく
することによっても、焼成時の収縮率を大きくでき、こ
れらの組み合わせでもよい。又、異種のセラミックスで
雌ねじ部材及び鞘管を形成する場合には、焼結完了の温
度、収縮率などを考慮して組み合わせることが重要であ
る。
【0018】請求項4に係るセラミックス構造体の製造
方法は、最外位置の鞘管の外形を、円柱状、樽形状、両
側円弧錐状、多角形、外周面凹凸状のいずれかにするも
のである。
【0019】請求項5に係るセラミックス構造体の製造
方法は、セラミックスを、アルミナ、ジルコニア、炭化
珪素、窒化珪素のいずれかを主成分とするものである。
【0020】雌ねじ部材と鞘管とを同種のセラミックス
で組み合わせる、又は異種のセラミックスで組み合わせ
ることは、必要に応じて行う。
【0021】請求項6に係るセラミックス構造体の製造
方法は、雌ねじ部材が隔壁を介して一対の雌ねじ部を有
するものである。
【0022】隔壁の外周は、平面より曲面状が望まし
い。
【0023】
【発明の実施の形態】実施形態1 以下、この発明の実施の形態を図面とともに説明する。
図1(a)〜(c)及び図2(a)〜(c)はこの発明
の実施形態1によるセラミックス構造体の製造方法の説
明図を示し、まず図1(a)に示すように、一対の雌ね
じ型治具11,12を対向配置してプレス型7〜10に
装着し、プレス型7などに設けた孔から内部の空間にア
ルミナセラミックスを主成分としたセラミックス粉末を
充填し、加圧成形して、樽形状の雌ねじ部材13を形成
する。雌ねじ部材13は隔壁13aを介して一対の雌ね
じ部13b,13cが設けられる。アルミナ含有量は9
4重量%であり、残りは結合助材である。加圧力は、静
水圧成形機(通称CIP)により5MPaで成形する。
【0024】次に、図1(b)に示すようにプレス型7
〜10を外し、図1(c)に示すように雌ねじ型治具1
1,12を装着した状態で雌ねじ部材13の外周に空間
が生じるようにプレス型14〜17を装着し、プレス型
14などに設けた孔から上記空間にアルミナセラミック
スを主成分とするセラミックス粉末を充填し、加圧成形
して、雌ねじ部材13の外周に鞘管18を形成する。鞘
管18のアルミナ含有量は96重量%とし、残りは結合
助材である。鞘管18が雌ねじ部材13より高温で焼結
するように(雌ねじ部材13より遅く焼結するよう
に)、鞘管18のアルミナ量を雌ねじ部材13より多く
する。加圧力は、静水圧成形機により4.5MPaの圧
力で成形する。このように、鞘管18の成形時の圧力を
雌ねじ部材13より小さくすることにより、焼成時の収
縮率を大きくすることができる。収縮率を大きくする手
段としては、セラミックス粉末の粒径を大きくしてもよ
い。アルミナセラミックスの焼成時の線収縮率は14〜
17%であるが、上記したようにセラミックス粉末の粒
径や加圧成形圧力により異なる。
【0025】又、上記したように、雌ねじ部材13のア
ルミナ量を、例えば94重量%とし、鞘管18のアルミ
ナ量を例えば96重量%としたことにより、焼結完了時
間に差が生じる(焼成温度に差が生じる。)。即ち、焼
成温度を昇温する過程において、雌ねじ部材13は例え
ば1500℃で焼結して反応を停止し、鞘管18はさら
に高温の例えば1600℃で焼成して反応を停止する。
【0026】次に、図2(a)に示すように、プレス型
型14〜17及び雌ねじ型治具11,12を除去し、焼
成炉で焼成する。まず、図2(b)に示すように約15
00℃で雌ねじ部材13が焼結して縮小し、次に図2
(c)に示すように約1600℃で鞘管18が焼結して
縮小する。この結果、鞘管18が雌ねじ部材13を加圧
圧縮し、両者は嵌合密着結合し、セラミックス構造体1
9が形成される。このように、両者間に締め付け圧縮力
が作用することにより、セラミックス構造体19の強度
が向上する。
【0027】実施形態1においては、セラミックス原料
粉末を加圧成形して雌ねじ部材13を形成し、この雌ね
じ部材13の外周にセラミックス原料粉末を加圧成形し
て鞘管18を形成し、両者を焼成することにより、セラ
ミックス構造体19を形成しており、焼成の際に縮小し
た鞘管18が雌ねじ部材13を加圧圧縮することにより
両者は嵌合密着結合し、両者間に締め付け圧縮力が作用
することにより、セラミックス構造体19の引っ張り強
度が向上する。又、セラミックス構造体19は従来のよ
うな金属材料を使用していないので、耐腐食性、耐電気
腐食性などで課題の多い部門にも適用することができ
る。さらに、未焼結体である雌ねじ部材13と鞘管18
を一括焼成するので、生産コストの削減に寄与し、安価
なセラミックス構造体19が得られる。又、雌ねじ部材
13を加圧成形後、雌ねじ部材13の周囲に直接鞘管1
8を加圧成形するので、作業性に優れ、しかも成形段階
で雌ねじ部材13と鞘管18を密着して形成できるので
焼成時の両者の嵌合密着度を高めることができる。
【0028】図3は上記したセラミックス構造体19を
用いた端子体の構成を示し、端子体20はセラミックス
構造体19とセラミックスからなる筒状のスリーブ体2
1とから主に構成され、その他にセラミックス構造体1
9の一端とスリーブ体21の一端を嵌合構造により接続
する樹脂製の接続体9と、スリーブ体21の他端に設け
られたゴムパッキン23を備えている。
【0029】図4は端子体20を用いたコンクリート型
枠保持装置の構成図を示し、24はセパレータであり、
その両端は端子体20のセラミックス構造体19の雌ね
じ部13cに螺合され、一端が型枠25を挿通し、端子
体20のスリーブ体21等を挿通してセラミックス構造
体19の雌ねじ部13bに螺合されたボルト26の他端
にナット27を螺合し、これによって当接体28及びパ
イプ29を介して型枠25と一体の桟木30を端子体2
0側に押圧し、型枠25を端子体20のゴムパッキン2
3に当接させて固定する。この状態で型枠25間にコン
クリートを打設し、コンクリートが固化してコンクリー
ト構造物31になった後、ナット27、当接体28、パ
イプ29、ボルト26、桟木30及び型枠25を除去す
る。
【0030】その後、ゴムパッキン23も除去する。ゴ
ムパッキン23はコンクリート打設時にコンクリートが
端子体20内に侵入するのを防止するなどのために設け
てあり、スリーブ体21の一端に一成分形の瞬間接着剤
により貼着される。瞬間接着剤としては例えばシアノア
クリレート系のものが用いられ、具体的には、アロンア
ルファ(東亜合成株式会社製)、セメダイン3000シ
リーズ(セメダイン株式会社製)などが用いられる。瞬
間接着剤は、接着作業を迅速に行うことができ、除去す
る際にも剥離を容易に行うことができる利点がある。た
だし、スリーブ体21が上記したようにセラミックス製
あるいはモルタル製の場合には、接着剤はゼリー状であ
る必要がある。接着剤が液状であると、塗布したものが
スリーブ体21内にしみこみ、拡散して接着層を形成で
きないからである。
【0031】スリーブ体21はかぶり寸法を確保するた
めに設けてあり、セラミックス(アルミナ、ムライトな
ど)、コンクリート、モルタルなどの無機質体により形
成される。スリーブ体21とセラミックス構造体19と
の接続は、接続体22を介して接続し、または接着剤に
より接着する。セラミックス構造体19とスリーブ体2
1を接着剤により接着する場合には、接着剤として常温
硬化形のエポキシ樹脂を使用した。例えば、エポキシ樹
脂系二液形の接着剤であり、主成分のエポキシ樹脂(ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂中間体)と充填剤、染料
とからなる主剤と、主成分のポリチオールと充填剤とか
らなる硬化剤の二液から構成される。具体的には商品名
EP−330(セメダイン株式会社製)を使用した。こ
の場合、主剤と硬化剤の二液を50:50で混合し、塗
布後スリーブ体21とセラミックス構造体19とを合わ
せて静止状態とし、自然硬化により接合した。
【0032】図4に示したコンクリート型枠保持装置に
おいては、雌ねじ体としてセラミックス構造体19を用
いており、セラミックス構造体19はすべてセラミック
スからなり、金属製ではないので腐食の心配がなく、ま
たセラミックス構造体19は隔壁13aを介して一対の
雌ねじ部13b,13cを有しており、内部のセパレー
タ24が外部に露出しないので、両水の浸入によるセパ
レータ24の腐食の発生もない。従って、端子体20で
腐食が発生することはなく、コンクリート構造物31の
表面部にクラックが発生するなどの劣化現象はなく、コ
ンクリート構造物31の耐久性は損なわれず、耐久性の
高いコンクリート構造物31が得られる。
【0033】実施形態2 図5(a)は実施形態2によるセラミックス構造体の横
断面図を示し、実施形態1においては図5(b)に示す
ように、一層からなる鞘管18が焼成時に縮小すること
により雌ねじ部材13を圧縮していたが、実施形態2に
おいては鞘管18の外側にさらにセラミックス製の鞘管
32を形成し、焼成時鞘管32により鞘管18を圧縮
し、鞘管18により雌ねじ部材13を圧縮してセラミッ
クス構造体33を形成している。
【0034】実施形態2においては、上記したように、
二層の鞘管18,32によって雌ねじ部材13を圧縮す
ることにより、セラミックス構造体33を形成してお
り、セラミックス構造体33の引っ張り強度を高めるこ
とができるとともに、せん断強度を高めることができ
る。なお、三層以上の鞘管によって雌ねじ部材を圧縮す
るようにすれば、さらにこれらの強度を高めることがで
きる。又、コンクリート型枠保持装置に用いれば、コン
クリート構造物31の耐久性を損なわない。
【0035】なお、上記各実施形態においては、鞘管の
外形を樽形状としたが、円柱状、両側円弧錐状、多角
形、外周面凹凸状などとしてもよい。又、鞘管、雌ねじ
部材をアルミナセラミックスにより形成したが、ジルコ
ニア、炭化珪素、窒化珪素などのセラミックスにより形
成してもよい。
【0036】
【実施例】(1)雌ねじ部材13の製造方法 まず、主成分となる酸化アルミニウム原料(粒径1μm
以下、純度99.8%、含有量94重量%)に焼結を助
けるための副成分(焼結助材、残りの成分)を添加し、
さらに純水を加え、ボールミルにより10時間混合破砕
を行う。得られた原料スラリーにポリビニールアルコー
ルなどの有機バインダーと分散剤としてのポリカルボン
酸アンモニウム塩を添加し、スプレードライヤーで15
0℃の温度で乾燥し、噴霧造粒する。得られた顆粒をプ
レス型7〜10及び雌ねじ型治具11,12を用いて、
静水圧成形機(通称CIP)により5MPaの圧力で成
形する。
【0037】(2)鞘管18の製造方法 まず、主成分となる酸化アルミニウム原料(粒径1μm
以下、純度99.8%、含有量96重量%)に焼結を助
けるための副成分(焼結助材、残りの成分)を添加し、
さらに純水を加え、ボールミルにより10時間混合破砕
を行う。得られた原料スラリーにポリビニールアルコー
ルなどの有機バインダーと分散剤としてのポリカルボン
酸アンモニウム塩を添加し、スプレードライヤーで15
0℃の温度で乾燥し、噴霧造粒する。得られた顆粒を雌
ねじ型治具11,12を装着した状態の雌ねじ部材13
の外周でプレス型14〜17を用いて静水圧成形機によ
り4.5MPaの圧力で成形する。
【0038】(3)セラミックス構造体19の製造方法 プレス型14〜17及び雌ねじ型治具11,12を除去
し、未焼成のセラミックス構造体19をガス炉により1
600℃で2時間焼成し、100℃/時間の降温速度で
冷却し、セラミックス焼結体からなるセラミックス構造
体19を得る。セラミックス構造体19の焼成において
は、雌ねじ部材13はアルミナ量を94重量%とするこ
とにより、約1500℃で焼結が完了する。一方、鞘管
18はアルミナ量を96重量%とすることにより、約1
600℃で焼結が完了し、しかも加圧成形圧力を雌ねじ
部材13の5MPaに対してこれより低い4.5MPa
とすることにより収縮率を大きくすることができ、雌ね
じ部材13を鞘管18で締め付け圧縮することができ
る。
【0039】(4)成分について(各部材共通、以下同
じ) 主成分の酸化アルミニウムの含有量は約90〜98重量
%とする。90重量%以下の場合には、強度が不足し、
特に内部のねじ山が破損する。98重量%以上の場合に
は、焼結温度を高くする必要があり、経済的に好ましく
ない。焼結助材としては、MgO,SiO2,CaOが
好ましく、焼成温度を低下させる効果がある。
【0040】(5)粒径について 噴霧造粒された顆粒は、その粒径が約30〜200μm
の範囲に分布する粒子が80%以上占めるものが好まし
い。この範囲を下回る場合(小径)には、流動性が悪化
して成形型への充填が困難となり、空洞が発生する。こ
の範囲を上回る場合(大径)には、ねじ山の形成が確実
に行われない。いずれにしても、所望の端子体を得るこ
とが困難である。
【0041】(6)圧力について 成形圧力は、3〜10MPaの範囲であればよい。これ
以下では、圧力不足により欠けやクラックを発生する。
これ以上では、圧力解除までの時間がかかり、生産性が
低下し、しかも離型性が悪く、型割れが発生しやすくな
る。
【0042】(7)焼成条件について 雰囲気は大気中でもよい。焼成保持温度は1500〜1
700℃、焼成時間は2時間以上、降温速度は、焼成保
持温度から400℃までを50〜200℃/時間の冷却
速度で行えばよい。理由は、90重量%以上の酸化アル
ミニウムと焼結助材(MgO,SiO2,CaO)を含
む組成では、約1500〜1700℃で焼結しないと焼
結が完了せず、また50〜200℃/時間の降温速度で
ないと焼成後の強度が低下して好ましくないからであ
る。
【0043】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、セラ
ミックスからなる雌ねじ部材をセラミックスからなる鞘
管によりその焼成時の収縮力を利用して圧縮し、セラミ
ックス構造体を形成しており、雌ねじ部材には圧縮力が
作用し、しかも雌ねじ部材と鞘管との間には密着面が存
在することから、セラミックス構造体の引っ張り強度を
著しく向上することができる。又、セラミックス構造体
は腐食しないので、耐食性、耐電気絶縁性などが要求さ
れる各種用途に適用され、例えばコンクリート構造物内
に埋設した場合には、耐久性が高いコンクリート構造物
が得られる。さらに、雌ねじ部材と鞘管を一括焼成した
ので、生産コストの削減に寄与し、安価なセラミックス
構造体が得られる。又、雌ねじ部材を加圧成形後、雌ね
じ部材の周囲に鞘管を直接加圧成形するので、作業性に
優れ、しかも成形段階で雌ねじ部材と鞘管を密着して形
成できるので、焼成時の両者の嵌合密着度を高めること
ができ、引っ張り強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態1によるセラミックス構造
体の製造方法の説明図である。
【図2】実施形態1によるセラミックス構造体の製造方
法の説明図である。
【図3】実施形態1によるセラミックス構造体を用いた
端子体の構成図である。
【図4】実施形態1によるセラミックス構造体を用いた
コンクリート型枠保持装置の構成図である。
【図5】実施形態2及び1によるセラミックス構造体の
横断面図である。
【図6】従来の雌ねじ体の断面図及びその引っ張り強度
試験の説明図である。
【図7】従来の雌ねじ体の焼成後の寸法を示す図であ
る。
【図8】本発明者らが考案したセラミックス構造体の製
造方法の説明図である。
【図9】本発明者らが考案したセラミックス構造体の引
っ張り強度試験の説明図である。
【図10】本発明者らが考案したセラミックス構造体の
鞘管の焼成前後の寸法及び焼成後の雌ねじ部材の寸法を
示す図である。
【符号の説明】
7〜10,14〜17…プレス型 11,12…雌ねじ型治具 13…雌ねじ部材 13a…隔壁 13b,13c…雌ねじ部 18,32…鞘管 19,33…セラミックス構造体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯田 憲 静岡県沼津市東間門字上中溝515番地 明 電セラミックス株式会社内 Fターム(参考) 4G026 BA03 BA05 BA14 BA17 BB03 BB05 BB14 BB17 BF57 BG05 BG08 BH01 4G055 AA08 AB01 AC09 BA14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス原料粉末を加圧成形して雌
    ねじ部材を形成し、この雌ねじ部材の外周にセラミック
    ス原料粉末を加圧成形して少なくとも一層の鞘管を形成
    し、両者を焼成することにより、鞘管が雌ねじ部材を圧
    縮して両者を密着固定させることを特徴とするセラミッ
    クス構造体の製造方法。
  2. 【請求項2】 雌ねじ型治具を用いてセラミックス原料
    粉末を加圧成形して雌ねじ部材を形成し、雌ねじ型治具
    を装着した状態において雌ねじ部材の外周にセラミック
    ス原料粉末を加圧成形して少なくとも一層の鞘管を形成
    し、雌ねじ型治具を除去した後、雌ねじ部材と鞘管を焼
    成することにより、鞘管が雌ねじ部材を圧縮して両者を
    密着固定させることを特徴とするセラミックス構造体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 焼成における焼結順序は、雌ねじ部材の
    焼結後に鞘管が焼結するようにしたことを特徴とする請
    求項1又は2記載のセラミックス構造体の製造方法。
  4. 【請求項4】 最外位置の鞘管は、外形を円柱状、樽形
    状、両側円弧錐状、多角形、外周面凹凸状のいずれかに
    することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    セラミックス構造体の製造方法。
  5. 【請求項5】 セラミックスは、アルミナ、ジルコニ
    ア、炭化珪素、窒化珪素のいずれかを主成分とすること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセラミッ
    クス構造体の製造方法。
  6. 【請求項6】 雌ねじ部材は、隔壁を介して一対の雌ね
    じ部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    に記載のセラミックス構造体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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