JP2003093888A - 複合金属シアン化物錯体触媒およびその製造方法 - Google Patents

複合金属シアン化物錯体触媒およびその製造方法

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JP2003093888A
JP2003093888A JP2001295293A JP2001295293A JP2003093888A JP 2003093888 A JP2003093888 A JP 2003093888A JP 2001295293 A JP2001295293 A JP 2001295293A JP 2001295293 A JP2001295293 A JP 2001295293A JP 2003093888 A JP2003093888 A JP 2003093888A
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cyanide complex
transition metal
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Masanori Toyoda
賢伯 豊田
Kayoko Sugiyama
佳世子 杉山
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】複合金属シアン化物錯体触媒を用いてアルキレ
ンオキシドを開環重合させる際に、触媒の添加量を増加
させなくても、反応開始までの誘導期を短縮できる複合
金属シアン化物錯体触媒を提供する。 【解決手段】水媒体中で、遷移金属がコバルトであるシ
アン化遷移金属化合物および遷移金属が3価の鉄である
シアン化遷移金属化合物と、ハロゲン化金属塩と、有機
配位子を反応させて、シアノコバルト酸イオンとシアノ
鉄(III)酸イオンの合計数を1とするときの、シアノ
鉄(III)酸イオンの数が0.02〜0.95である複
合金属シアン化物錯体触媒を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルキレンオキシド
開環重合用の複合金属シアン化物錯体触媒およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】これま
で、ポリウレタンエラストマー、接着剤、塗料、発泡剤
等の原料であるポリエーテルポリオールは、活性水素を
持つ開始剤を用いてエチレンオキシド、プロピレンオキ
シドのようなアルキレンオキシドを重合させて製造され
てきた。アルキレンオキシドの代表的な重合触媒として
は、アルカリ金属(アニオン重合)、BF3エーテラー
ト(カチオン重合)、複合金属シアン化物錯体触媒(配
位重合)がよく知られている。これらの触媒のうち、複
合金属シアン化物錯体触媒は他の2つの触媒に比べて重
合活性が高く、アルキレンオキシド化合物が副生せず、
また不飽和結合を持つモノオールを副生する反応が少な
く、高分子量のポリオールを製造できる。複合金属シア
ン化物錯体触媒は、複合金属シアン化物錯体、有機配位
子、水、および金属塩を含む、水に不溶性の触媒であ
り、重合性能に優れた複合金属シアン化物錯体触媒の代
表的な例としては、有機配位子、水、塩化亜鉛を含む亜
鉛ヘキサシアノコバルテート(Zn3[Co(CN)6
2)である。
【0003】アルキレンオキシドを開環重合反応させる
触媒として複合金属シアン化物錯体触媒を使用すること
は、以前から知られており(US3278457な
ど)、複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法はUS3
427256、US3941849、US447256
0、US4477589などに、複合金属シアン化物錯
体触媒を使用したポリエーテルポリオールの製造方法は
US4055188、US4721818などに記載さ
れている。
【0004】複合金属シアン化物錯体触媒を用いてポリ
エーテルポリオールを製造するには、例えば、開始剤で
あるヒドロキシ化合物に複合金属シアン化物錯体触媒を
添加し、これを例えば120℃程度の高温に保ちながら
アルキレンオキシドを徐々に加えることにより、アルキ
レンオキシドを開環してヒドロキシ化合物に付加させる
反応を行う。ところで、このような複合金属シアン化物
錯体触媒を用いた開環重合反応の初期段階においては、
アルキレンオキシドを加えると直ちに反応が始まるので
はなく、例えば数十分程度の誘導期を経た後、急激に反
応が進む。このため、反応開始までの待ち時間(誘導
期)が長く、生産性向上を妨げる要因の1つとなってい
た。この誘導期の長さは触媒濃度に応じて変化し、触媒
の添加量を増やせば誘導期を短くすることができる。し
かしながら、複合金属シアン化物錯体触媒は比較的高価
な触媒であるため、添加量を増加させると製造コストが
大幅に増大してしまうという問題があった。
【0005】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、複合金属シアン化物錯体触媒を用いてアルキレンオ
キシドを開環重合させる際に、複合金属シアン化物錯体
触媒の添加量を増加させなくても、反応開始までの誘導
期を短縮できる複合金属シアン化物錯体触媒およびその
製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意研究した結果、水媒体中で、ハロゲン
化金属塩とシアン化遷移金属化合物と有機配位子を反応
させて複合金属シアン化物錯体触媒を製造する際に、シ
アン化遷移金属化合物を構成する遷移金属として、コバ
ルトと3価の鉄(本明細書中において鉄(III)と記載
する。)とを併用すると、複合金属シアン化物錯体触媒
の活性が飛躍的に向上することを見出して本発明を完成
した。
【0007】すなわち本発明の複合金属シアン化物錯体
触媒の製造方法は、水媒体中で、ハロゲン化金属塩とシ
アン化遷移金属化合物と有機配位子を反応させて複合金
属シアン化物錯体触媒を製造する方法であって、前記シ
アン化遷移金属化合物を構成する遷移金属がコバルトで
あるシアン化遷移金属化合物と、前記遷移金属が3価の
鉄であるシアン化遷移金属化合物とを併用し、前記複合
金属シアン化物錯体触媒における、シアノコバルト酸イ
オンとシアノ鉄(III)酸イオンの合計数を1とすると
きの、シアノ鉄(III)酸イオンの数が0.02〜0.
95である複合金属シアン化物錯体触媒を製造すること
を特徴とする。本発明はまた、かかる方法により得られ
る複合金属シアン化物錯体触媒を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を説明す
る。本発明においては、複合金属シアン化物錯体触媒を
製造するために、まず、水媒体中で、ハロゲン化金属塩
とシアン化遷移金属化合物とを反応させる。この反応は
ハロゲン化金属塩水溶液とシアン化遷移金属化合物水溶
液を混合させることにより行なうことが好ましく、ハロ
ゲン化金属塩水溶液にシアン化遷移金属化合物水溶液を
滴下する、またはその逆に、シアン化遷移金属化合物水
溶液にハロゲン化金属塩水溶液を滴下することが特に好
ましい。
【0009】ハロゲン化金属塩の金属としては、Zn
(II)、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Ni
(II)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V
(V)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Mn(I
I)、Cr(III)、Cu(II)、Sn(II)、およびP
b(II)から選ばれる1種以上を用いることが好まし
く、特にZn(II)が好ましい。ハロゲン化金属塩を構
成するハライドは特にクロライドが好ましい。特に好ま
しいハロゲン化金属塩は塩化亜鉛(ZnCl2)であ
る。
【0010】ハロゲン化金属塩は、ハロゲン化金属塩水
溶液の形態で用いることが好ましい。このハロゲン化金
属塩水溶液の濃度は0.1g/ml以上が好ましく、
0.2g/ml以上がより好ましい。また、飽和濃度以
下であることが好ましい。ハロゲン化金属塩水溶液の濃
度が上記の範囲より低い場合には、複合金属シアン化物
錯体触媒へのハロゲン化金属塩の取り込みが充分ではな
くなり、複合金属シアン化物錯体触媒の結晶性が高くな
り、触媒活性が低下する。またハロゲン化金属塩水溶液
の濃度が飽和濃度を超えると、溶液の混合状態が不均一
になり、得られる複合金属シアン化物錯体触媒が触媒活
性の低いものとなってしまう。
【0011】シアン化遷移金属化合物は水溶性のものが
用いられ、アルカリ金属シアノメタレート、アルカリ土
類金属シアノメタレート、アンモニウムシアノメタレー
ト、シアノメタレート酸などが挙げられる。本発明では
シアノメタレートを構成する遷移金属がコバルトである
ものと、鉄(III)であるものとを併用する。コバルト
はCo(II)またはCo(III)であり、特にCo(II
I)が好ましい。具体例としては、K3Co(CN)6
3Fe(CN)6、Na3Co(CN)6、Na3Fe
(CN)6、Mg3(Co(CN)62、Mg3(Fe
(CN)62、(NH43Co(CN)6、(NH43
Fe(CN)6、H3Co(CN)6、H3Fe(C
N)6、などが挙げられる。これらの中でも、シアン化
遷移金属化合物としては、アルカリ金属シアノメタレー
トが好ましく、特に好ましいシアン化遷移金属化合物
は、カリウムヘキサシアノコバルテート(シアノコバル
ト酸カリウム:K3Co(CN)6)、およびカリウムヘ
キサシアノフェレート(シアノ鉄(III)酸カリウム:
3Fe(CN) 6)である。
【0012】シアン化遷移金属化合物は、シアン化遷移
金属化合物水溶液の形態で用いることが好ましい。この
シアン化遷移金属化合物水溶液の濃度は、遷移金属がコ
バルトであるシアン化遷移金属化合物と、遷移金属が鉄
(III)であるシアン化遷移金属化合物の合計の濃度が
1.0g/ml以下が好ましく、0.5g/ml以下が
より好ましい。また、0.01g/ml以上であること
が好ましい。シアン化遷移金属化合物の濃度が上記の範
囲を超えると、複合金属シアン化物錯体触媒へのハロゲ
ン化金属の取り込みが充分ではなくなり、触媒活性が低
下する。またシアン化遷移金属化合物の濃度が上記の範
囲より低いと、複合金属シアン化物錯体触媒に取り込ま
せたハロゲン化金属塩が水中に溶解するため触媒活性が
低下する。
【0013】また、シアン化遷移金属化合物水溶液にお
ける、遷移金属がコバルトであるシアン化遷移金属化合
物の含有量と、遷移金属が鉄(III)であるシアン化遷
移金属化合物の含有量の比は、得ようとする複合金属シ
アン化物錯体触媒におけるシアノコバルト酸イオンの数
とシアノ鉄(III)酸イオンの数との比に応じて設定す
る。具体的には、シアン化遷移金属化合物水溶液中にお
ける、シアノコバルト酸イオンの数とシアノ鉄(III)
酸イオンの数の合計を1とするとき、シアノ鉄(III)
酸イオンの数が0.02〜0.95の範囲内となるよう
に設定する。
【0014】ハロゲン化金属塩水溶液とシアン化遷移金
属化合物水溶液を混合させる工程における反応温度は0
℃以上が好ましく、20℃以上が特に好ましい。また、
80℃未満が好ましく、70℃以下が特に好ましい。高
温領域で反応を行うとハロゲン化金属塩を含まない結晶
性の高い複合金属シアン化物錯体触媒が合成され、有機
配位子が配位できなくなり触媒活性が生じない。また低
温領域においてはハロゲン化金属塩とシアン化遷移金属
化合物との反応が不充分となり触媒活性が低下する。
【0015】このような反応により、反応生成物として
例えばMa [Co(CN)6b[Fe(CN)6c
・d(MXf)・g(H2O)が生成する。Mはハロゲン
化金属塩の金属、Xはハロゲン化金属塩のハロゲンであ
る。添え字のa、b、cは金属(M)イオン、シアノコ
バルト酸イオン、およびシアノ鉄(III)酸イオンが電
気的中性を保つように決まり、c/(b+c)の値は
0.02〜0.95である。またd、gはそれぞれ反応
生成物に取り込まれるハロゲン化金属塩、水の量を表
す。dは0.1〜10が、gは0.1〜20がそれぞれ
好ましい。特にZn a [Co(CN)6b[Fe(C
N)6c・d(ZnCl2)・g(H2O)が好まし
い。
【0016】次に上記反応生成物に対して有機配位子を
配位させる。この工程は、ハロゲン化金属塩とシアン化
遷移金属化合物とを反応させて得られる上記反応生成物
を、有機配位子を含有する水媒体中で熟成させることが
好ましい。例えば、上記反応生成物を含む溶液中に有機
配位子を添加し、撹拌する方法で行うことができる。ま
た、ハロゲン化金属塩水溶液およびシアン化遷移金属化
合物水溶液のうちの一液または二液以上に、有機配位子
を予め添加しておいてもよい。
【0017】有機配位子としては、アルコール、エーテ
ル、ケトン、エステル、アミン、アミドなどこれまで複
合金属シアン化物錯体触媒の合成で良く知られた電子供
与体すべてを用いることができる。好ましい有機配位子
は水溶性のものであり、具体例としてはtert−ブチ
ルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチル
アルコール、tert−ペンチルアルコール、iso−
ペンチルアルコール、N,N−ジメチルアセトアミド、
エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジ
エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、
トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライ
ム)、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエー
テル、iso−プロピルアルコール、およびジオキサン
から選ばれる1種または2種以上の化合物が挙げられ
る。ジオキサンとしては、1,4−ジオキサンでも1,
3−ジオキサンでもよく、1,4−ジオキサンが好まし
い。特に好ましい有機配位子はtert−ブチルアルコ
ールである。
【0018】有機配位子を配位させるときの熟成温度の
下限は、反応温度以上が好ましく、20℃以上がより好
ましい。また熟成温度の上限は、125℃未満が好まし
く、80℃以下がより好ましい。熟成時間は10分以上
が好ましい。熟成時間の上限は特にないが、工業的には
2〜3時間程度を上限とすることが好ましい。
【0019】上記熟成により得たスラリーを濾過または
遠心分離後デカンテーションすることにより複合金属シ
アン化物錯体触媒有機相を含んだケーキが得られる。さ
らに必要であれば該ケーキに水、合成に使用した有機配
位子および合成に使用した有機配位子とは異なる有機配
位子からなる群から選ばれる化合物を添加することによ
り洗浄を行って、さらに濾過または遠心分離後デカンテ
ーションすること(洗浄操作)が好ましい。該洗浄操作
は複数回繰り返してもよい。洗浄に用いた有機配位子
が、触媒にすでに配位している有機配位子に比較して特
に配位力が強くない限り、洗浄に用いた有機配位子がす
でに配位している有機配位子と一部ないし全部が置換す
ることは少ない。得られた複合金属シアン化物錯体触媒
有機相を含んだケーキを乾燥させることにより複合金属
シアン化物錯体触媒が得られる。乾燥は加熱による乾燥
方法、真空状態での乾燥方法、または難揮発性液体と混
合後揮発性水分および有機配位子を除去する方法等が挙
げられる。乾燥の温度は0℃〜150℃で行うのが好ま
しく、特に90℃以下が好ましい。これは配位した有機
溶媒および水をすべて揮発させないためである。
【0020】また、前記難揮発性液体として、アルキレ
ンオキシド開環重合体に分散し、過剰量の水及び有機配
位子を除いて触媒スラリーとして重合反応に用いること
ができる。アルキレンオキシド開環重合体として、ポリ
エーテルポリオールが好適に使用でき、分子量は通常、
300〜12000、好ましくは500〜10000、
特に好ましくは700〜5000であり、使用量として
は、複合金属シアン化物錯体触媒に対して通常10〜9
5質量%である。
【0021】このような工程を経て、上記反応生成物
(例えば、Ma [Co(CN)6b[Fe(CN)
6c)と、有機配位子(Ligand)と、水と、残
存するハロゲン化金属塩を含む、水に不溶性の複合金属
シアン化物錯体触媒が得られる。この複合金属シアン化
物錯体触媒において、シアノコバルト酸イオンとシアノ
鉄(III)酸イオンの合計数を1とすると、シアノ鉄(I
II)酸イオンの数は0.02〜0.95の範囲内であ
り、好ましくは0.02〜0.7の範囲内、より好まし
くは0.02〜0.5の範囲内である。シアノ鉄(II
I)酸イオンの数が、多すぎても、少なすぎても、シア
ン化遷移金属化合物を構成する遷移金属として、コバル
トと鉄(III)の両方を用いたことによる複合金属シア
ン化物錯体触媒の活性向上効果が十分に得られない。こ
のようにして得られた本発明の複合金属シアン化物錯体
触媒は、結晶構造の歪みにより、アルキレンオキシドの
開環重合に対して活性が高いと考えられる。
【0022】本発明の複合金属シアン化物錯体触媒は、
これを用いてアルキレンオキシドを開環重合してポリエ
ーテルポリオールを製造することができる。すなわち、
上記製造方法で製造した複合金属シアン化錯体触媒の存
在下、開始剤であるヒドロキシ化合物に、炭素数3以上
のアルキレンオキシドを含むアルキレンオキシドを開環
重合させてポリエーテルポリオールを製造する。アルキ
レンオキシドは、炭素数3以上のアルキレンオキシドを
含むことが好ましい。炭素数3以上のアルキレンオキシ
ドとしては、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオ
キシド、2,3−ブチレンオキシド、エピクロルヒドリ
ンなどが好ましい。これらは2種以上併用することがで
き、その場合、それらを混合して反応させたり、順次反
応させることができる。
【0023】本発明の複合金属シアン化物錯体触媒を用
いた場合、炭素数2のアルキレンオキシドであるエチレ
ンオキシドはそれ単独では反応させることは困難である
が、炭素数3以上のアルキレンオキシドと混合して反応
系に加えることにより反応させることができる。特に好
ましいアルキレンオキシドはプロピレンオキシド単独
か、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの
組み合わせである。また、弾性ポリウレタンフォームを
製造する場合は、ポリエーテルポリオールが末端にオキ
シエチレン基を有することが好ましく、該末端オキシエ
チレン基含有量が5〜30質量%であることが特に好ま
しい。末端にオキシエチレン基を有するポリエーテルポ
リオールは、上記複合金属シアン化物錯体触媒用いて開
始剤に炭素数3以上のアルキレンオキシドを含むアルキ
レンオキシドを開環重合させた後、アルカリ触媒を用い
て、エチレンオキシドを反応させることにより製造でき
る。ここでのアルカリ触媒としては、ナトリウム、カリ
ウムなどのアルカリ金属、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムアルコ
キシド、カリウムアルコキシドなどのアルカリ金属アル
コキシドなどが好適である。
【0024】開始剤として使用できるヒドロキシ化合物
としては具体的には下記のものが挙げられるがこれらに
限られない。メチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、2−エチルヘキサノール、
ステアリルアルコール、アリルアルコール、オレイルア
ルコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトール、シグリセリン、ソルビトール、デキストロ
ース、メチルグルコシド、シュクロース、ビスフェノー
ルA、など。またこれらの開始剤のアルキレンオキシド
付加物も同様に開始剤として使用できる。また開始剤の
分子量が小さいとは、アルキレンオキシドの開環重合反
応が生じない場合があるので、開始剤は分子量が500
以上のものを用いることが好ましい。
【0025】ポリエーテルポリオールは開始剤であるヒ
ドロキシ化合物に本発明の複合金属シアン化物錯体触媒
を添加し、アルキレンオキシドを徐々に加えながら反応
を行うことにより製造できる。複合金属シアン化物錯体
触媒の使用量は特に限定されるものではないが、使用す
るヒドロキシ化合物に対して1〜5000ppm程度が
適当であり、10〜1000ppmがより好ましく、1
0〜300ppmがさらに好ましい。反応温度は30〜
180℃が好ましく、90〜130℃がより好ましい。
複合金属シアン化物錯体触媒の反応系への導入は、初め
に一括して導入してもよいし、順次分割して導入しても
よい。反応終了後のポリエーテルポリオールはそのまま
使用してもよく、用途によっては触媒除去等の精製を行
ってもよい。精製は行なうことが好ましい。得られるポ
リエーテルポリオールの分子量は特に限定されるもので
はないが、水酸基価5〜70mgKOH/gが好まし
い。
【0026】本発明によれば、複合金属シアン化物錯体
触媒製造の原料であるシアン化遷移金属化合物を構成す
る遷移金属として、コバルトと鉄(III)の両方を用い
たことにより、触媒活性が飛躍的に向上した複合金属シ
アン化物錯体触媒が得られる。したがって、本発明の複
合金属シアン化物錯体触媒を用いてアルキレンオキシド
の開環重合を行うと、従来と同程度の触媒添加量でも、
反応開始までの誘導期が大幅に短縮される。または、触
媒の添加量を従来より削減しても、誘導期は従来と同等
またはそれより短くなる。よって、アルキレンオキシド
を開環重合させてポリエーテルポリオールを製造する際
に、反応開始までの待ち時間を短縮して生産性を上げる
ことができ、また触媒の添加量を減らして製造コストを
削減することができる。
【0027】またアルキレンオキシド開環重合反応に本
発明の複合金属シアン化物錯体触媒を用いれば、副反応
が抑えられ、低い不飽和度を有する比較的高分子量のポ
リエーテルモノオール又はポリエーテルポリオールを製
造できる。本発明の複合金属シアン化物錯体触媒を用い
て製造できるポリエーテルポリオールの水酸基価は特に
限定されないが、通常、2〜70mgKOH/gであ
り、その不飽和度は0.003〜0.01meq/gで
ある。この低不飽和度のポリエーテルポリオールを用い
て弾性ポリウレタンフォームを製造すると硬度の低下、
反発弾性の低下、圧縮永久歪みの悪化、フォーム成形時
のキュア性の低下などの問題を改善できる。また、ポリ
ウレタンエラストマーに使用するポリエーテルポリオー
ルの不飽和度は0.010meq/g以下であることが
好ましい。不飽和度が0.010meq/g以下である
場合には、硬化速度が速く、ポリウレタンエラストマー
に伸びや強度などの優れた物性を与えることができる。
これはポリエーテルポリオール中に含有される不飽和モ
ノオールの量が少ないために、実質的な官能基数が多い
ためと考えられる。
【0028】上記方法により得られたポリエーテルモノ
オール及びポリエーテルポリオールは、ポリウレタンの
原料以外に、界面活性剤、潤滑油、などの用途に使用で
きる。また、ポリマー微粒子を含むポリマー分散ポリエ
ーテルポリオールとしても使用できる。
【0029】
【実施例】以下に本発明を実施例および比較例により具
体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。なお、例1は実施例、例2は比較例、例3,4
は触媒の評価例である。 <複合金属シアン化物錯体触媒の製造> (例1)500mlのフラスコ中、塩化亜鉛10.2g
を含んだ10mlの水溶液中に、カリウムヘキサシアノ
コバルテートK3 Co(CN)6 を2.94gおよびカ
リウムヘキサシアノフェレートK3 Fe(CN)6
1.26g含んだ75mlの水溶液を50℃に保温しつ
つ、ポリテトラフルオロエチレン製撹拌機で撹拌しなが
ら30分間かけて滴下した。滴下終了後、tert−ブ
チルアルコール80gおよび水80gの混合物を添加
し、70℃に昇温させた。1時間撹拌後、196kPa
の加圧下で加圧濾過操作を行い、複合金属シアン化錯体
触媒有機相を含んだケーキを得た。次いで、この複合金
属シアン化物錯体触媒有機相を含んだケーキにtert
−ブチルアルコール40gおよび水70gの混合物を添
加して30分撹拌後、同様に濾過を行った。この結果得
られた複合金属シアン化物錯体触媒有機相を含んだケー
キに、さらにtert−ブチルアルコール100gを添
加して撹拌し、その後同様に濾過操作を行った。得られ
たケーキを50℃減圧下で3時間乾燥し、粉砕を行い、
複合金属シアン化物錯体触媒Aを得た。得られた金属シ
アン化物錯体触媒Aの元素分析を行った結果、亜鉛が3
1.0質量%、コバルトが8.5質量%、鉄が3.6質
量%であった。この複合金属シアン化物錯体触媒Aにお
いて、シアノコバルト酸イオンとシアノ鉄(III)酸イ
オンの合計数を1とすると、シアノ鉄(III)酸イオン
の数は0.31であることが認められた。
【0030】(例2)例1において、塩化亜鉛10.2
gを含んだ10mlの水溶液中に滴下する水溶液を、カ
リウムヘキサシアノコバルテートK3 Co(CN)6
4.2g含んだ75mlの水溶液に代えた他は同様にし
て、鉄を含まない複合金属シアン化物錯体触媒Bを得
た。得られた金属シアン化物錯体触媒Bの元素分析を行
った結果、亜鉛が30.4質量%で、コバルトが12.
2質量%であった。
【0031】<ポリエーテルポリオール製造における触
媒活性の評価> (例3)撹拌機付きステンレス鋼製5リットルの耐圧反
応槽中に、開始剤としてグリセリンにプロピレンオキシ
ド(以下POと称する)を付加して得られた分子量10
00のポリオキシプロピレントリオール1470gを投
入するとともに、複合金属シアン化物錯体触媒Aの0.
14gを投入した。窒素置換後120℃に昇温し、PO
の147gを投入してスポット反応させるとともに、反
応槽内の圧力と温度の経時的変化を測定した。PO投入
後、約5分間経過した時に反応槽内の圧力が減少し始め
るとともに、温度が上昇し始めた。これは、120℃の
反応槽内で気体として存在していたPOが開環して開始
剤に付加する反応が生じたためである。反応槽内の圧力
の減少と、反応熱による反応槽内の温度上昇があったこ
とより、反応開始までの誘導期は約5分間であったと認
められた。反応槽内を120℃に保ちながら徐々にPO
を投入し、全量で3140gのPOを投入した。こうし
て得られたポリエーテルポリオールの水酸基価は56m
gKOH/gであり、ゲル浸透クロマトグラフィで測定
したポリスチレン換算の分子量分布(Mw/Mn)は1.
07であった。
【0032】(例4)例3において、複合金属シアン化
物錯体触媒Aに代えて、複合金属シアン化物錯体触媒B
の0.14gを用いた他は同様にした。その結果、反応
開始までの誘導期が約90分間であった。また、得られ
たポリエーテルポリオールの水酸基価は56mgKOH
/gであり、分子量分布は1.13であった。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、触
媒活性が高い複合金属シアン化物錯体触媒が得られ、ア
ルキレンオキシドの開環重合反応における反応開始まで
の誘導期を大幅に短縮することができ、ポリエーテルポ
リオールを製造する際の生産性を向上させることができ
る。また複合金属シアン化物錯体触媒の触媒活性が高い
ので、触媒の添加量を削減して製造コストの削減を図る
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA06 AA08 BA27C BA28A BA28B BA36A BB08C BC12A BC12C BC16A BC16C BC21A BC21C BC22A BC22C BC31A BC31C BC35A BC35C BC54A BC54C BC58A BC58C BC59A BC59C BC60A BC60C BC62A BC62C BC66A BC66B BC66C BC67A BC67B BC67C BC68A BC68C BD12C BE06A BE06B BE43A BE43B BE43C CB38 CB46 FA01 FB05 FB77 FC01 4J005 AA04 AA10 AA12 AA21 BB02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水媒体中で、ハロゲン化金属塩とシアン
    化遷移金属化合物と有機配位子を反応させて複合金属シ
    アン化物錯体触媒を製造する方法であって、 前記シアン化遷移金属化合物を構成する遷移金属がコバ
    ルトであるシアン化遷移金属化合物と、前記遷移金属が
    3価の鉄であるシアン化遷移金属化合物とを併用し、前
    記複合金属シアン化物錯体触媒における、シアノコバル
    ト酸イオンとシアノ鉄(III)酸イオンの合計数を1と
    するときの、シアノ鉄(III)酸イオンの数が0.02
    〜0.95である複合金属シアン化物錯体触媒を製造す
    ることを特徴とする複合金属シアン化物錯体触媒の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記ハロゲン化金属塩が亜鉛化合物であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の複合金属シアン化
    物錯体触媒の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記有機配位子がtert−ブチルアル
    コールを含むことを特徴とする請求項1または2のいず
    れかに記載の複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方
    法で得られる複合金属シアン化物錯体触媒。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03733A (ja) * 1989-05-30 1991-01-07 Asahi Glass Co Ltd ポリエーテル化合物の製造法
WO2003020796A1 (de) * 2001-08-31 2003-03-13 Bayer Materialscience Ag Doppelmetallcyanid-katalysatoren für die herstellung von polyetherpolyolen

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