JP2003190808A - 複合金属シアン化物錯体触媒およびその製造方法 - Google Patents

複合金属シアン化物錯体触媒およびその製造方法

Info

Publication number
JP2003190808A
JP2003190808A JP2001396593A JP2001396593A JP2003190808A JP 2003190808 A JP2003190808 A JP 2003190808A JP 2001396593 A JP2001396593 A JP 2001396593A JP 2001396593 A JP2001396593 A JP 2001396593A JP 2003190808 A JP2003190808 A JP 2003190808A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal cyanide
cyanide complex
complex catalyst
solid
tert
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001396593A
Other languages
English (en)
Inventor
Kayoko Sugiyama
佳世子 杉山
Kazutoshi Suzuki
千登志 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2001396593A priority Critical patent/JP2003190808A/ja
Publication of JP2003190808A publication Critical patent/JP2003190808A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Polyethers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】水媒体中で、ハロゲン化金属塩とアルカリ金属
シアノメタレートと有機配位子とを反応させて複合金属
シアン化物錯体触媒を製造する際に、固液分離工程に要
する時間を短縮して生産性を向上させる。 【解決手段】モノ(またはジまたはトリ)エチレングリ
コールのモノ−tert−ブチルエーテルまたはモノ−
tert−ペンチルエーテル(a)および/またはte
rt−ブチルアルコール(b)と、数平均分子量400
〜3000のポリオキシアルキレンポリオール(c)と
の存在下で固液分離工程を行う。本発明に係る複合金属
シアン化物錯体触媒の例のX線回折パターンを図に示
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルキレンオキシ
ドの開環重合反応における触媒として好適に用いられる
複合金属シアン化物錯体触媒およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】アルキ
レンオキシドを開環重合反応させる触媒として複合金属
シアン化物錯体を使用することは、以前から知られてお
り(US3278457〜9など)、複合金属シアン化
物錯体の製造方法はUS3427256、US3941
849、US4472560、US4477589など
に記載されている。また、複合金属シアン化物錯体を触
媒として使用したポリエーテルポリオールの製造方法は
US4055188、US4721818などに記載さ
れている。これらの方法により得られたポリエーテルポ
リオールの多くは、イソシアネートと反応させて、ポリ
ウレタンエラストマー、ポリウレタンフォーム、ポリウ
レタン接着剤などのポリウレタン化合物を製造するのに
使用される。
【0003】複合金属シアン化物錯体触媒は、シアン化
複金属化合物に有機配位子、水、および金属塩が配位し
た複合金属シアン化物錯体触媒からなる、水に不溶性の
触媒である。重合性能に優れた複合金属シアン化物錯体
触媒の代表的な例としては、有機配位子、水、塩化亜鉛
を含む亜鉛ヘキサシアノコバルテート(Zn3[Co
(CN)62)である。複合金属シアン化物錯体触媒の
製造方法としては、水媒体中で、ハロゲン化金属塩とア
ルカリ金属シアノメタレートとの反応物に有機配位子を
配位させ、濾過を行って複合金属シアン化物錯体触媒有
機相を含むケーキ(残さ)を得た後、このケーキを洗浄
液に分散させて濾過する洗浄操作を1回以上行って得ら
れたケーキを乾燥させて粉体状の複合金属シアン化物錯
体触媒を得る方法がよく知られている。また、有機配位
子としてtert−ブチルアルコールが好適に用いられ
ることがある。しかしながら、このような複合金属シア
ン化物錯体触媒の製造方法にあっては、濾過などの固液
分離工程に時間がかかるため、生産性が悪いという問題
があった。
【0004】また本発明者等は、先に、有機配位子とし
て下記(1)式で表される化合物を用いた複合金属シア
ン化物錯体触媒を使用してポリエーテルポリオールを製
造し、該ポリエーテルポリオールを使用してポリウレタ
ンフォームを製造すると、ポリウレタンフォームの物性
が飛躍的に改善されることを見出し、WO00/029
51において、下記式(1)で表される化合物を用いて
複合金属シアン化物錯体触媒を製造する方法を提案し
た。 R1 −C(CH32 (OR0n OH・・・(1) ただし、式(1)において、R1 はメチル基またはエチ
ル基、R0 はエチレン基または該エチレン基の水素原子
がメチル基もしくはエチル基で置換された基、nは1〜
3の整数を表す。しかしながら、この製造方法において
も、複合金属シアン化物錯体触媒を含むスラリーを固液
分離する工程が必要であり、かかる固液分離工程には時
間かかかるため、生産性が悪いことが問題であった。
【0005】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、触媒製造における固液分離工程に要する時間を短縮
して生産性を向上できる複合金属シアン化物錯体触媒の
方法および該製造方法により得られる複合金属シアン化
物錯体触媒を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、複合金属
シアン化物錯体触媒の製造過程における固液分離工程に
ついて鋭意研究を重ねた結果、下記式(1)で表される
化合物(a)および/またはtert−ブチルアルコー
ル(b)を有機配位子として用いる場合に、数平均分子
量400〜3000のポリオキシアルキレンポリオール
(c)の存在下で固液分離を行うことにより、得られる
触媒の性能を悪化させることなく、固液分離に要する時
間を大幅に短縮できることを見出して、本発明を完成し
た。
【0007】すなわち本発明の複合金属シアン化物錯体
触媒の製造方法は、水媒体中で、ハロゲン化金属塩とア
ルカリ金属シアノメタレートと有機配位子とを反応させ
た後、固液分離を行って固体生成物を得る工程と、該固
体生成物を洗浄した後に固液分離する工程を有する複合
金属シアン化物錯体触媒の製造方法において、少なくと
も1回の固液分離を、下記式(1)で表される化合物
(a)および/またはtert−ブチルアルコール
(b)と、数平均分子量400〜3000のポリオキシ
アルキレンポリオール(c)との存在下で行うことを特
徴とする。 R1 −C(CH32 (OR0n OH・・・(1) ただし、式(1)において、R1 はメチル基またはエチ
ル基、R0 はエチレン基または該エチレン基の水素原子
がメチル基もしくはエチル基で置換された基、nは1〜
3の整数を表す。
【0008】前記式(1)で表される化合物(a)がエ
チレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテルで
あることが好ましい。
【0009】前記ポリオキシアルキレンポリオール
(c)の量に対する、前記式(1)で表される化合物
(a)とtert−ブチルアルコール(b)との合計量
の質量比[(a)+(b)]/(c)が20/1〜12
0/1であることが好ましい。
【0010】本発明はまた、かかる方法により得られる
複合金属シアン化物錯体触媒を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のスラリー状複合金属シア
ン化物錯体触媒を製造するには、まず、水媒体中で、ハ
ロゲン化金属塩とアルカリ金属シアノメタレートと有機
配位子とを反応させる。具体的には、水媒体中で、ハロ
ゲン化金属塩とアルカリ金属シアノメタレートとを反応
させて得られる反応生成物に有機配位子を配位させる。
【0012】(ハロゲン化金属塩)本発明において用い
られるハロゲン化金属塩の金属としては、Zn(II)、
Fe(II)、Fe(III) 、Co(II)、Ni(II)、
Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V) 、S
r(II)、W(IV)、W(VI)、Mn(II)、Cr(II
I) 、Cu(II)、Sn(II)、およびPb(II)から
選ばれる1種以上を用いることが好ましい。特に、Zn
(II)またはFe(II)が好ましい。ハロゲン化金属塩
を構成するハライドとしてはクロライドが好ましく、特
に塩化亜鉛(II)が好ましい。ハロゲン化金属塩とし
て、金属および/またはハライドが異なる2種以上を併
用してもよい。
【0013】(アルカリ金属シアノメタレート)本発明
で用いられるアルカリ金属シアノメタレートのシアノメ
タレートを構成する金属としては、Fe(II)、Fe
(III) 、Co(II)、Co(III) 、Cr(II)、C
r(III) 、Mn(II)、Mn(III) 、Ni(II)、
V(IV)、およびV(V) から選ばれる1種以上を用い
ることが好ましい。特にCo(III) またはFe(II
I) が好ましい。アルカリ金属シアノメタレートのアル
カリ金属としては、カリウムが好ましい。
【0014】ハロゲン化金属塩とアルカリ金属シアノメ
タレートとの反応は水媒体中で行う。該反応は、ハロゲ
ン化金属塩水溶液とアルカリ金属シアノメタレート水溶
液とを混合させることにより行うのが好ましく、ハロゲ
ン化金属塩水溶液にアルカリ金属シアノメタレート水溶
液を滴下することにより行うのが特に好ましい。
【0015】ハロゲン化金属塩水溶液の濃度としては
0.1g/ml以上、特に0.5g/ml以上であるこ
とが好ましい。また、飽和濃度以下であることが好まし
い。ハロゲン化金属塩水溶液の濃度が上記の範囲より低
いと、得られる複合金属シアン化物錯体の結晶性が高く
なり触媒活性が不十分となる。また飽和濃度を超える
と、ハロゲン化金属塩水溶液とアルカリ金属シアノメタ
レート水溶液とを混合させたときに、溶液の混合状態が
不均一になり、やはり得られる複合金属シアン化物錯体
の触媒活性が不十分となる。
【0016】アルカリ金属シアノメタレート水溶液の濃
度は0.5g/ml以下、特に0.2g/ml以下が好
ましい。また、0.02g/ml以上であることが好ま
しい。アルカリ金属シアノメタレート水溶液の濃度が上
記の範囲より高いと、アルカリ金属シアノメタレート水
溶液をハロゲン化金属塩水溶液中に滴下した場所が、部
分的にアルカリ金属シアノメタレート過剰領域となり上
述したハロゲン化金属塩の濃度が低すぎる場合と同等の
効果を生じ触媒活性が不十分となる。またアルカリ金属
シアノメタレート水溶液の濃度が上記の範囲より低いと
触媒活性が不十分となる。
【0017】使用するハロゲン化金属塩とアルカリ金属
シアノメタレートとのモル相対比(ハロゲン化金属塩/
アルカリ金属シアノメタレート)は、12/1〜1.6
/1が好ましく、6/1〜1.8/1がより好ましい。
1.6/1より小さいと、水中にアルカリ金属シアノメ
タレートが残存しやすく、廃水処理にコストがかかる。
【0018】ハロゲン化金属塩水溶液とアルカリ金属シ
アノメタレート水溶液とを反応させるときの反応温度は
0℃以上が好ましく、30℃以上が特に好ましい。ま
た、70℃未満が好ましく、50℃未満が特に好まし
い。反応温度が高過ぎると、合成される複合金属シアン
化物錯体の結晶性が高くなり、しかも後工程で有機配位
子が配位できなくなって触媒活性が生じなくなる。また
反応温度が低すぎると複合金属シアン化物錯体の合成反
応が不十分となり触媒活性が著しく低下する。
【0019】ハロゲン化金属塩とアルカリ金属シアノメ
タレートとの反応により得られる反応生成物は、例えば
Zn3 [Fe(CN)62 、Zn3 [Co(CN)
62、Fe[Fe(CN)6 ]、Fe[Co(CN)6
]であるが、特にZn3 [Co(CN)62 、すな
わち、亜鉛ヘキサシアノコバルテートが好ましい。
【0020】次に、ハロゲン化金属塩とアルカリ金属シ
アノメタレートとの反応により得られる反応生成物に有
機配位子を配位させる。具体的には、ハロゲン化金属塩
とアルカリ金属シアノメタレートとの反応により得られ
た反応生成物を有機配位子と接触させて熟成処理するこ
とにより、有機配位子を配位させることができる。これ
により複合金属シアン化物錯体が生成される。好ましく
は、亜鉛ヘキサシアノコバルテートに有機配位子を配位
させて複合金属シアン化物錯体を生成させる。
【0021】(有機配位子)熟成処理において、有機配
位子として下記式(1)で表される化合物(a)を使用
することができる。 R1 −C(CH32 (OR0n OH・・・(1) ただし、R1 はメチル基またはエチル基、R0 はエチレ
ン基または該エチレン基の水素原子がメチル基もしくは
エチル基で置換された基、nは1〜3の整数を表す。R
0 としては、エチレン基、プロピレン基、エチルエチレ
ン基、1,2−ジメチルエチレン基および1,1−ジメ
チルエチレン基から選ばれる基が特に好ましい。
【0022】式(1)で表される化合物(a)の具体例
としては、エチレングリコールモノ−tert−ブチル
エーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチ
ルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノ−ter
t−ブチルエーテル、イソブチレングリコールモノ−t
ert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t
ert−ペンチルエーテル、プロピレングリコールモノ
−tert−ペンチルエーテル、1,2−ブチレングリ
コールモノ−tert−ペンチルエーテル、イソブチレ
ングリコールモノ−tert−ペンチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジ
プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテ
ル、ジ−1,2−ブチレングリコールモノ−tert−
ブチルエーテル、ジイソブチレングリコールモノ−te
rt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t
ert−ペンチルエーテル、ジプロピレングリコールモ
ノ−tert−ペンチルエーテル、ジ−1,2−ブチレ
ングリコールモノ−tert−ペンチルエーテル、ジイ
ソブチレングリコールモノ−tert−ペンチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノ−tert−ブチルエ
ーテル、トリプロピレングリコールモノ−tert−ブ
チルエーテル、トリ−1,2−ブチレングリコールモノ
−tert−ブチルエーテル、トリイソブチレングリコ
ールモノ−tert−ブチルエーテル、トリエチレング
リコールモノ−tert−ペンチルエーテル、トリプロ
ピレングリコールモノ−tert−ペンチルエーテル、
トリ−1,2−ブチレングリコールモノ−tert−ペ
ンチルエーテル、トリイソブチレングリコールモノ−t
ert−ペンチルエーテルが挙げられる。
【0023】これら中で、エチレングリコールモノ−t
ert−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−
tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−
tert−ペンチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノ−tert−ペンチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノ−tert−ペンチルエーテル、トリエチレン
グリコールモノ−tert−ブチルエーテル、トリエチ
レングリコールモノ−tert−ペンチルエーテルが好
ましい。さらには、エチレングリコールモノ−tert
−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−ter
t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−te
rt−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−
tert−ブチルエーテルがより好ましく、エチレング
リコールモノ−tert−ブチルエーテルが特に好まし
い。上記式(1)で表される化合物(a)は、1種を用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】また熟成処理において、有機配位子として
tert−ブチルアルコール(b)を使用することがで
きる。また熟成処理において、有機配位子として数平均
分子量400〜3000のポリオキシアルキレンポリオ
ール(c)を使用することができる。ここで使用するポ
リオキシアルキレンポリオール(c)の数平均分子量が
400より小さいと、固液分離に要する時間を短縮する
効果が十分に得られず、3000を超えると粘度が高過
ぎて取り扱い難い。より好ましいポリオキシアルキレン
ポリオール(c)の数平均分子量は700〜2000で
ある。またポリオキシアルキレンポリオール(c)の水
酸基数は1〜4が好ましく2〜3がより好ましい。ポリ
オキシアルキレンポリオール(c)の具体例としては、
後述のポリオキシアルキレンポリオールのうち、上記条
件に合致するものが挙げられる。ただし、複合金属シア
ン化物錯体触媒を用いて製造されたポリオキシアルキレ
ンポリオールに限定されない。より具体的には、例え
ば、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシプロピ
レントリオール等が挙げられる。ポリアルキレンポリオ
ール(c)は、1種を用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。
【0025】さらに、熟成処理において、上記以外のそ
の他の有機配位子として、n−ブチルアルコール、イソ
ブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、イ
ソペンチルアルコール、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、グライム(エチレングリコールジメチルエーテ
ル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエー
テル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチ
ルエーテル)、イソプロピルアルコール、およびジオキ
サン等も使用できる。ジオキサンとしては、1,4−ジ
オキサンでも1,3−ジオキサンでもよく、1,4−ジ
オキサンが好ましい。これらの中でもtert−ペンチ
ルアルコールまたはグライムが特に好ましい。これらの
その他の有機配位子は1種を用いてもよく、2種以上を
併用してもよい。
【0026】熟成処理において使用する有機配位子に
は、前記式(1)で表される化合物(a)およびter
t−ブチルアルコール(b)の少なくとも一方が含まれ
ることが好ましく、少なくとも前記式(1)で表される
化合物(a)が含まれることがより好ましい。また前記
式(1)で表される化合物(a)とtert−ブチルア
ルコール(b)を併用することがさらに好ましい。ま
た、後述するように、熟成処理後の固液分離工程におい
て、前記式(1)で表される化合物(a)および/また
はtert−ブチルアルコール(b)と、前記ポリオキ
シアルキレンポリオール(c)とが存在していることが
好ましいので、熟成工程において、有機配位子としてポ
リオキシアルキレンポリオール(c)を使用することも
好ましい。
【0027】熟成処理は、水媒体中で行う。有機配位子
は、ハロゲン化金属塩水溶液および/またはアルカリ金
属シアノメタレート水溶液に予め含有させておいてもよ
く、ハロゲン化金属塩とアルカリ金属シアノメタレート
とを反応させた後に添加してもよい。熟成方法として、
例えば、ハロゲン化金属塩とアルカリ金属シアノメタレ
ートとの反応生成物を含む溶液中に、1種の有機配位子
または2種以上の有機配位子の混合物を滴下して撹拌す
る方法などが挙げられる。
【0028】熟成温度は前記反応生成物と有機配位子と
の反応温度以上であればよいが、特に30℃以上が好ま
しく、125℃未満、特に80℃以下が好ましい。また
熟成時間は15分以上が好ましい。熟成時間の上限は特
にないが、工業的には2〜3時間程度を上限とすること
が好ましい。
【0029】この後、熟成処理を終えて得られた懸濁液
を固液分離する。固液分離方法としては、濾過、遠心分
離、デカンテーション等の既知の固液分離手段を用いる
ことができる。濾過が特に好ましい。濾過後に得られる
ケーキ(残さ)には、ハロゲン化金属塩とアルカリ金属
シアノメタレートとの反応により得られた反応生成物に
有機配位子が配位した複合金属シアン化物錯体が固体生
成物として含まれている。
【0030】本発明において、この熟成処理後の固液分
離工程を、前記式(1)で表される化合物(a)および
/またはtert−ブチルアルコール(b)と、前記ポ
リオキシアルキレンポリオール(c)との存在下で行う
ことが好ましい。固液分離の対象となる溶液中に前記
(a)および/または(b)と、前記(c)とを存在さ
せることにより、この固液分離工程に要する時間を短縮
することができる。すなわち、熟成処理において、前記
式(1)で表される化合物(a)および/またはter
t−ブチルアルコール(b)を使用することは、触媒活
性が高く、ポリエーテルポリオールの製造に用いたとき
に分子量分布が狭いポリエーテルポリオールが得られる
複合金属シアン化物錯体触媒を得るうえで好ましい。そ
して、熟成処理において、前記(a)および/または
(b)を使用した場合には、熟成処理後の固液分離工程
に時間がかかる傾向にあるが、該固液分離工程において
前記ポリオキシアルキレンポリオール(c)を存在させ
ることにより固液分離容易性が改善される。したがっ
て、前記熟成工程において、有機配位子として前記ポリ
オキシアルキレンポリオール(c)を使用しなかった場
合は、熟成処理後、固液分離前にこれを添加することが
好ましい。また熟成工程において上記(c)を使用した
場合は、これを新たに添加せずに固液分離工程を行うこ
とができるが、熟成処理後、固液分離前にさらに添加し
ても構わない。
【0031】熟成処理後の固液分離工程を前記(a)お
よび/または(b)と、前記(c)との存在下で行う場
合、固液分離の対象とされる溶液中における、前記式
(1)で表される化合物(a)とtert−ブチルアル
コール(b)との合計量と、ポリオキシアルキレンポリ
オール(c)の量との質量比[(a)+(b)]/
(c)を20/1〜120/1の範囲内とすることが好
ましく、より好ましくは30〜100/1である。ポリ
オキシアルキレンポリオール(c)の量が少なすぎる
と、濾過時間を短縮する効果が十分に得られず、相対的
に多すぎると得られる複合金属シアン化物錯体触媒の活
性が悪くなり、該複合金属シアン化物錯体触媒を用いて
製造したポリエーテルポリオールの分子量分布が広くな
ってしまう。
【0032】次に、熟成処理後に固液分離して得られた
固体生成物を水および有機配位子を用いて洗浄する。具
体的には、得られた固体生成物を、有機配位子と水の混
合物からなる洗浄液中に分散させて洗浄した後、固液分
離を行って洗浄後の固体生成物を得る工程を行う。この
洗浄および固体分離を行う工程は複数回繰り返してもよ
い。また2回目以降の洗浄液には水を用いず、有機配位
子のみで洗浄してもよい。このような工程を行うことに
より、熟成処理後の固体生成物中に含まれる、水に可溶
な副生成物が除去されるとともに、複合金属シアン化物
錯体への有機配位子の配位をさらに進行させることがで
きる。固液分離方法としては、濾過、遠心分離、デカン
テーション等の既知の固液分離手段を用いることができ
る。濾過が特に好ましい。
【0033】洗浄に用いる有機配位子としては、前記熟
成処理に使用できる有機配位子として挙げた有機配位子
の1種以上が用いられる。前記熟成処理で使用した有機
配位子と同一のものを用いることが好ましいが、異なる
ものも使用できる。洗浄に用いた有機配位子が、複合金
属シアン化物錯体にすでに配位している有機配位子に比
較して特に配位力が強くなければ、洗浄に用いた有機配
位子がすでに配位している有機配位子の一部ないし全部
と置換することは少ない。
【0034】本発明において、この洗浄後の固液分離工
程を、前記式(1)で表される化合物(a)および/ま
たはtert−ブチルアルコール(b)と、前記ポリオ
キシアルキレンポリオール(c)との存在下で行うこと
が好ましく、これにより洗浄後の固液分離工程に要する
時間を短縮することができる。ここで前記(a)および
/または(b)と、前記(c)との存在下で固液分離を
行うとは、当該固液分離の前に別の固液分離が行われた
場合、前回の固液分離後に前記(a)および/または
(b)と、前記(c)とを添加した状態で固液分離を行
うことをいう。
【0035】前記式(1)で表される化合物(a)およ
びtert−ブチルアルコール(b)の少なくとも一方
は、前記洗浄に用いる洗浄液中に含まれることが好まし
く、洗浄液中に少なくとも前記式(1)で表される化合
物(a)が含まれることがより好ましい。また洗浄液中
に、前記式(1)で表される化合物(a)とtert−
ブチルアルコール(b)の両方が含まれることがさらに
好ましい。このように、洗浄を行う際に、前記式(1)
で表される化合物(a)および/またはtert−ブチ
ルアルコール(b)を使用することは、触媒活性が高
く、ポリエーテルポリオールの製造に用いたときに分子
量分布が狭いポリエーテルポリオールが得られる複合金
属シアン化物錯体触媒を得るうえで好ましい。そして、
洗浄液中に前記(a)および/または(b)が含まれて
いると、洗浄後の固液分離工程に時間がかかる傾向にあ
るが、該固液分離工程において前記ポリオキシアルキレ
ンポリオール(c)を存在させることにより固液分離容
易性が改善される。
【0036】したがって、前記した熟成工程後の固液分
離において前記(c)が存在していた場合、および存在
していなかった場合のいずれも、熟成工程の固液分離を
行った後、洗浄工程において前記(a)および/または
(b)を使用するとともに、前記(c)を新たに添加し
た状態で洗浄後の固液分離を行うことが好ましい。また
洗浄および固体分離を複数回繰り返して行う場合には、
前回の洗浄後の固液分離において前記(c)が存在して
いた場合、および存在していなかった場合のいずれも、
前回の洗浄後の固液分離を行った後、新たに前記(c)
を添加した状態で洗浄後の固液分離を行うことによっ
て、固液分離工程に要する時間を短縮する効果が得られ
る。前記(c)は洗浄液に含有させてもよく、または洗
浄後、固液分離前に添加してもほぼ同等の効果が得られ
る。また洗浄液に前記(c)を含有させた場合でも、洗
浄後、固液分離前にさらに前記(c)を添加しても構わ
ない。
【0037】洗浄後の固液分離工程を前記(a)、
(b)、および(c)の存在下で行う場合、前回の固液
分離の後に添加された前記(a)、(b)、および
(c)の量について、質量比[(a)+(b)]/
(c)を20/1〜120/1の範囲内とすることが好
ましく、より好ましくは30/1〜100/1とする。
ここで使用するポリオキシアルキレンポリオール(c)
の量が少なすぎると、固液分離工程に要する時間を短縮
する効果が十分に得られず、多すぎると得られる複合金
属シアン化物錯体触媒の活性が悪くなり、該複合金属シ
アン化物錯体触媒を用いて製造したポリエーテルポリオ
ールの分子量分布が広くなってしまう。
【0038】そして洗浄後、固液分離して得られた固体
生成物を乾燥させ、粉砕することにより粉体状の複合金
属シアン化物錯体触媒が得られる。乾燥は加熱による乾
燥方法、真空状態での乾燥方法、または難揮発性液体と
混合後、揮発性水分および有機配位子を除去する方法等
が挙げられる。乾燥の温度は0℃〜150℃で行うのが
好ましく、0〜90℃がより好ましい。これは触媒に配
位している有機配位子が揮発してしまうのを防ぐためで
ある。
【0039】本発明に係る複合金属シアン化物錯体触媒
は、これを用いてアルキレンオキシドを開環重合してポ
リエーテルモノオールまたはポリエーテルポリオールを
製造することができる。すなわち、上記製造方法で製造
した複合金属シアン化錯体触媒の存在下、開始剤である
モノヒドロキシ化合物に、アルキレンオキシドを開環重
合させてポリエーテルモノオールを製造する。または上
記製造方法で製造した複合金属シアン化錯体触媒の存在
下、開始剤である水酸基数2以上のポリヒドロキシ化合
物に、アルキレンオキシドを開環重合させてポリエーテ
ルポリオールを製造する。アルキレンオキシドは、炭素
数3以上のアルキレンオキシドを含むことが好ましい。
炭素数3以上のアルキレンオキシドとしては、プロピレ
ンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチ
レンオキシド、エピクロルヒドリンなどが好ましい。こ
れらは2種以上併用することができ、その場合、それら
を混合して反応させたり、順次反応させることができ
る。
【0040】本発明の複合金属シアン化物錯体触媒を用
いた場合、炭素数2のアルキレンオキシドであるエチレ
ンオキシドはそれ単独では反応の制御、すなわち、製造
されるポリエーテルポリオールの構造の制御が困難とな
るが、炭素数3以上のアルキレンオキシドと混合して反
応系に加えることにより安定に制御しながら反応させる
ことができる。特に好ましいアルキレンオキシドはプロ
ピレンオキシド単独か、またはプロピレンオキシドとエ
チレンオキシドとの組み合わせである。
【0041】また、末端にオキシエチレン基を有するポ
リエーテルモノオールまたはポリエーテルポリオール
は、上記複合金属シアン化物錯体触媒用いて開始剤に炭
素数3以上のアルキレンオキシドを含むアルキレンオキ
シドを開環重合させた後、アルカリ触媒を用いて、エチ
レンオキシドを反応させることにより製造できる。ここ
でのアルカリ触媒としては、ナトリウム、カリウムなど
のアルカリ金属、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムな
どのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムアルコキシド、
カリウムアルコキシドなどのアルカリ金属アルコキシド
などが好適である。
【0042】開始剤として使用できるヒドロキシ化合物
の具体例としては、下記のものが挙げられるが、これら
に限定されない。メチルアルコール、イソプロピルアル
コール、n−ブチルアルコール、2−エチルヘキサノー
ル、1−オクタデカノール、アリルアルコール、オレイ
ルアルコール、モノエチレングリコール、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエ
リスリトール、シグリセリン、ソルビトール、デキスト
ロース、メチルグルコシド、シュクロース、ビスフェノ
ールA、フェノール、ジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミンなど。またこれらの開始剤のアルキレンオキ
シド付加物も同様に開始剤として使用できる。 開始剤
の分子量が小さいと、アルキレンオキシドの開環重合反
応が生じない場合があるので、開始剤は分子量が500
以上のものを用いることが好ましい。また、弾性ポリウ
レタンフォームを製造する場合は、水酸基数2〜8のポ
リヒドロキシ化合物を使用することが好ましい。
【0043】ポリエーテルモノオールまたはポリエーテ
ルポリオールは、開始剤であるヒドロキシ化合物に本発
明の複合金属シアン化物錯体触媒を添加し、アルキレン
オキシドを徐々に加えながら反応を行うことにより製造
できる。複合金属シアン化物錯体触媒の使用量は特に限
定されるものではないが、使用するヒドロキシ化合物に
対して1〜5000ppm程度が適当であり、10〜2
000ppmがより好ましい。反応温度は30〜180
℃が好ましく、90〜130℃がより好ましい。複合金
属シアン化物錯体触媒の反応系への導入は、初めに一括
して導入してもよいし、順次分割して導入してもよい。
反応終了後のポリエーテルポリオールはそのまま使用し
てもよく、用途によっては触媒除去等の精製を行っても
よい。得られるポリエーテルモノオールまたはポリエー
テルポリオールの水酸基価は特に限定されないが、5〜
70mgKOH/gが好ましい。このようにして得られ
たポリエーテルモノオールまたはポリエーテルポリオー
ルは、界面活性剤、潤滑油などの用途に使用できる。ま
たポリエーテルポリオールは、ポリウレタン化合物の原
料として好適である。また、ポリマー微粒子を含むポリ
マー分散ポリエーテルポリオールとしても使用できる。
【0044】本発明によれば、複合金属シアン化物錯体
触媒を製造する過程で行われる固液分離の工程を、前記
式(1)で表される化合物(a)および/またはter
t−ブチルアルコール(b)と、前記ポリオキシアルキ
レンポリオール(c)との存在下で行うことにより、得
られる複合金属シアン化物錯体触媒の触媒活性や該触媒
を用いて製造されるポリエーテルポリオールの分子量分
布を悪化させずに、固液分離に要する時間を短縮するこ
とができるので、複合金属シアン化物錯体触媒の生産性
を向上させることができる。また本発明により粉体状の
複合金属シアン化物錯体触媒を製造すると、従来よりも
見かけかさ比重が小さくて比較的嵩高い粉体状複合金属
シアン化物錯体触媒が得られる。このことから、添加さ
れた前記ポリオキシアルキレンポリオール(c)がバイ
ンダー的役割を果たして二次造粒が進み、その結果、嵩
高い粉体が得られ、製造過程での濾過性も改善されるも
のと考えられる。
【0045】また本発明の複合金属シアン化物錯体触媒
は触媒活性が良好であり、該触媒を用いて分子量分布が
良好なポリエーテルポリオールを製造できるとともに、
従来よりも短い製造時間で得られるものである。また、
特に配位子として前記式(1)で表される化合物(a)
を含有しているので、この複合金属シアン化物錯体触媒
を用いて製造されたポリエーテルポリオールを使用して
得られたポリウレタンフォームにあっては、シートクッ
ションの乗り心地を保持しつつ、大きく複雑な形状のシ
ートクッションにおけるクラッシング性が飛躍的に改良
される。
【0046】なお、本発明では、触媒を製造する過程に
おいて行われる複数回の固液分離のうち、前記(a)お
よび/または(b)が存在する状態で行われる固液分離
の少なくとも1回を、前記(c)の存在下で行えば、そ
の回の固液分離に要する時間が短縮されるので、これに
より複合金属シアン化物錯体触媒の生産性を向上させる
ことができる。前記(a)および/または(b)が存在
する状態で行われる複数回の固液分離のうち、前記
(c)の存在下で行う固液分離の回数が増えるほど、複
合金属シアン化物錯体触媒の生産性はより向上する。触
媒性能を向上させるとともに、製造時間をより短縮させ
るためには、全ての固液分離工程を前記(a)および/
または(b)と、前記(c)との存在下で行うことが好
ましい。
【0047】また、以上は粉体状の複合金属シアン化物
錯体触媒を製造する方法について説明したが、スラリー
状の複合金属シアン化物錯体触媒を製造することもでき
る。すなわち、ハロゲン化金属塩とアルカリ金属シアノ
メタレートとを反応させ、熟成処理を行い、洗浄および
固液分離を行うまでは前述の粉体状の複合金属シアン化
物錯体触媒を製造する方法と同様にして行う。そして、
少なくとも1回の洗浄を行って得られる固体生成物を、
有機配位子とともにヒドロキシ化合物中に分散させて分
散液を得、この分散液を脱気処理して過剰分の水および
有機配位子を除去することによりスラリー状の複合金属
シアン化物錯体触媒が得られる。
【0048】具体的に、前記分散液を得る方法として
は、洗浄後、固液分離を行って得られる固体生成物、好
ましくは濾過を行って得られるケーキ(残さ)と、有機
配位子とを混合した後、これらの混合液をヒドロキシ化
合物中に分散させる。または、洗浄後、固液分離を行っ
て得られる固体生成物、好ましくは濾過を行って得られ
るケーキ(残さ)に、有機配位子とヒドロキシ化合物を
添加して撹拌してもよい。
【0049】分散液を得る工程で用いる有機配位子とし
ては、前記熟成処理に使用できる有機配位子として挙げ
た有機配位子の1種以上が用いられる。前記熟成処理で
使用した有機配位子と同一のものを用いることが好まし
いが、異なるものも使用できる。また得られた分散液に
対して固液分離は行わないので、分散液中に、前記ポリ
オキシアルキレンポリオール(c)を存在させなくても
よい。この分散液を得る工程において、洗浄後の固体生
成物に有機配位子を接触させることにより、複合金属シ
アン化物錯体への有機配位子の配位をさらに進行させる
ことができる。分散液を得る工程で用いた有機配位子
が、複合金属シアン化物錯体に既に配位している有機配
位子に比較して特に配位力が強くなければ、この分散液
を得る工程で用いた有機配位子が既に配位している有機
配位子の一部ないし全部と置換することは少ない。
【0050】また、前記分散液を得る工程で使用するヒ
ドロキシ化合物は、水酸基数1〜4かつ数平均分子量4
00〜3000のものが用いられる。該ヒドロキシ化合
物としては、アルコール性水酸基を有する化合物が好ま
しい。特に、水酸基を1〜4個有する多価アルコール等
にアルキレンオキシドを反応させて数平均分子量400
〜3000に調製したポリオキシアルキレンモノオール
やポリオキシアルキレンポリオールがより好ましい。た
だし、このヒドロキシ化合物は、アルキレンオキシド開
環重合触媒として複合金属シアン化物錯体触媒以外のア
ルカリ金属触媒等を用いて得られるものが好ましい。ヒ
ドロキシ化合物の数平均分子量が400を下回れば、本
発明により得られる触媒の触媒活性が発現し難くなり、
3000を越えると、高粘度となり取り扱い難い。かか
るヒドロキシ化合物の具体例としては、メタノール、イ
ソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、2−エ
チルヘキサノール、1−オクタデカノール、アリルアル
コール、オレイルアルコール、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピ
レングリコール、グリセリントリメチロールプロパン、
ペンタエリスリトール、ジグリセリン等のアルコール類
のアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0051】分散液を得る工程で使用するヒドロキシ化
合物の量は、最終的に得られるスラリー状複合金属シア
ン化物錯体触媒において、ヒドロキシ化合物中の複合金
属シアン化物錯体の濃度が2〜20質量%となるように
設定される。この複合金属シアン化合物錯体の濃度が2
質量%未満であると、スラリー状複合金属シアン化合物
錯体触媒を使用する際の添加量が多くなって経済的でな
く、20質量%を超えるとスラリー状複合金属シアン化
合物錯体触媒の粘度が高くなりすぎて取り扱い難くな
る。ヒドロキシ化合物中の複合金属シアン化合物錯体の
より好ましい濃度は3〜15質量%である。
【0052】このようにして得られた分散液は、この分
散液中に含まれている未配位の有機配位子を除去するた
めに、減圧下で加熱し揮発成分を除去する脱気処理を行
うことが好ましい。このときの加熱温度は、高すぎると
配位した有機配位子までも除去してしまい、低すぎると
時間がかかるので40〜120℃程度が好ましい。この
脱気処理によって分散液中に含まれる水分も除去するこ
とができる。これにより、ヒドロキシ化合物中に、複合
金属シアン化物錯体が2〜20質量%の濃度で分散して
なるスラリー状の複合金属シアン化物錯体触媒が得られ
る。
【0053】ここで、スラリー状複合金属シアン化物錯
体触媒における、ヒドロキシ化合物中の複合金属シアン
化物錯体の濃度を確認する方法としては、出発原料とし
て使用したハロゲン化金属塩およびアルカリ金属シアノ
メタレートの使用量から生成される複合金属シアン化物
錯体の量を理論的に計算する方法でもよいが、より正確
には、分散液を得る工程において、洗浄および固液分離
後の固体生成物、好ましくは洗浄後に濾過して得られる
ケーキを、有機配位子と接触させた後、ヒドロキシ化合
物中に投入する直前において生成している複合金属シア
ン化物錯体の質量を求め、その値と分散媒であるヒドロ
キシ化合物の質量の値とから前記複合金属シアン化物錯
体の濃度を算出する方法が好ましい。後者の方法の場
合、具体的には、分散液を得る工程において、まず洗浄
後の固体生成物を有機配位子に分散させてスラリー状の
混合液を得、この混合液の質量を正確に秤量しておく。
そして、該混合液の一部を採取して秤量した後、濾過お
よび乾燥して得られる粉体の質量を秤量する。該粉体の
質量を複合金属シアン化物錯体の質量とみなして、前記
混合液中における複合金属シアン化物錯体の濃度(質量
%)を求める。さらに、この濃度に基づいて前記混合液
に含まれていた複合金属シアン化物錯体の質量を算出
し、この値と使用したヒドロキシ化合物の質量の値とか
ら前記複合金属シアン化物錯体の濃度を算出する。
【0054】本発明に係るスラリー状の複合金属シアン
化物錯体触媒を製造する方法は、前述の粉体状の複合金
属シアン化物錯体触媒を製造する方法と同様に、製造過
程において、前記式(1)で表される化合物(a)およ
び/またはtert−ブチルアルコール(b)が存在し
ている状態で行われる固液分離工程を、前記ポリオキシ
アルキレンポリオール(c)の存在下で行うことによ
り、得られる複合金属シアン化物錯体触媒の触媒活性や
該触媒を用いて製造されるポリエーテルポリオールの分
子量分布を悪化せずに、固液分離に要する時間を短縮さ
せることができるので、複合金属シアン化物錯体触媒の
生産性を向上させることができる。
【0055】また、粉体状の複合金属シアン化物錯体触
媒を得る方法に比較して、最後の洗浄後に複合金属シア
ン化物錯体を固液分離して、乾燥し、粉砕する工程が不
要であるので、製造工程が非常に簡略化され、製造時間
が短縮される。また、また製造工程数が削減されるの
で、これに伴って触媒性能の安定性が向上し、収率も向
上する。さらに、スラリー状複合金属シアン化物錯体触
媒は、複合金属シアン化物錯体がヒドロキシ化合物によ
り保護されているので、複合金属シアン化物錯体の劣化
が少なく高い保存安定性が得られる。また触媒の形態
が、粉体でなくスラリー状であるため、取り扱いが容易
である。なお、スラリー状複合金属シアン化物錯体触媒
を保存後に触媒を使用する際は、分散媒であるヒドロキ
シ化合物と複合金属シアン化物錯体とを分離して錯体の
みを触媒として使用することもできる。
【0056】また、本発明に係るスラリー状複合金属シ
アン化物錯体触媒は、前述の粉体状の複合金属シアン化
物錯体触媒と同様にして、開始剤であるヒドロキシ化合
物にアルキレンオキシドを開環重合させポリエーテルポ
リオールを製造する際の触媒として好適に用いられる。
この場合、開始剤として必要なヒドロキシ化合物の一部
または全部として、スラリー状複合金属シアン化物錯体
触媒に含まれるヒドロキシ化合物を用いることができ
る。
【0057】具体的には、スラリー状複合金属シアン化
物錯体触媒はヒドロキシ化合物中に複合金属シアン化物
錯体が分散されたものであり、その複合金属シアン化物
錯体の濃度は2〜20質量%である。この濃度は、これ
はアルキレンオキシドの開環重合反応において通常用い
られる触媒濃度よりも高いので、スラリー状複合金属シ
アン化物錯体触媒に含まれるヒドロキシ化合物を開始剤
の一部として用い、さらに開始剤としてのヒドロキシ化
合物を追加することにより、複合金属シアン化物錯体の
濃度を好ましい触媒濃度にまで低下させて前記重合反応
を行うことが好ましい。
【0058】追加するヒドロキシ化合物は、前述の粉体
状の複合金属シアン化物錯体触媒を用いてポリエーテル
ポリオールを製造する際に開始剤として使用できるヒド
ロキシ化合物として挙げた具体例と同様のものを用いる
ことができ、スラリー状複合金属シアン化物錯体触媒に
含まれるヒドロキシ化合物と同一のものでもよく、異な
るものでもよい。
【0059】本発明に係るスラリー状の複合金属シアン
化物錯体触媒は、触媒活性が良好であり、該触媒を用い
て分子量分布が良好なポリエーテルポリオールを製造で
きるとともに、短い製造時間で生産性良く得られるもの
である。また、特に配位子として前記式(1)で表され
る化合物(a)を含有しており、このスラリー状複合金
属シアン化物錯体触媒を用いて製造されたポリエーテル
ポリオールを使用して得られたポリウレタンフォームに
あっては、シートクッションの乗り心地を保持しつつ、
大きく複雑な形状のシートクッションにおけるクラッシ
ング性が飛躍的に改良される。
【0060】
【実施例】以下に本発明を実施例および比較例により具
体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。例
1〜3は粉体状の複合金属シアン化物錯体触媒を製造し
た実施例であり、例4はスラリー状の複合金属シアン化
物錯体触媒を製造した実施例である。例5は比較例であ
り、例6〜10は評価例である。
【0061】「複合金属シアン化物錯体の製造」以下の
各例の触媒の製造において、各回の濾過に要した時間を
記録し、下記表1に記した。 (例1)塩化亜鉛10gを含む15mlの水溶液中に、
カリウムヘキサシアノコバルテートK3 Co(CN)6
を4g含む80mlの水溶液を、30分間かけて滴下し
た。その間、反応溶液は40℃に保温し、撹拌した。滴
下終了後、前記式(1)で表される化合物(a)である
エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル
(以下、EGMTBEという。)を20g、tert−
ブチルアルコール(b)を60g、前記ポリオキシアル
キレンポリオール(c)である数平均分子量1500、
水酸基価75mgKOH/g、水酸基数2のポリオキシ
プロピレングリコール(以下、PPG1という。)1
g、および水80gの混合物を添加し、60℃に昇温さ
せた。1時間撹拌後、濾過操作(1回目濾過)を行い、
複合金属シアン化物錯体触媒有機相を含むケーキを得
た。
【0062】次いで、この複合金属シアン化物錯体触媒
有機相を含むケーキにEGMTBE10g、tert−
ブチルアルコール30g、PPG1の1g、および水7
0gの混合物を添加し、30分撹拌した後、濾過操作
(2回目濾過)を行った。この濾過操作により得られた
複合金属シアン化物錯体触媒有機相を含むケーキに、さ
らにEGMTBE20g、tert−ブチルアルコール
60g、PPG1の1g、および水10gの混合物を添
加して撹拌し、濾過操作(3回目濾過)を行った。この
濾過操作により得られた複合金属シアン化物錯体触媒有
機相を含むケーキを、80℃で重量変化がなくなるまで
乾燥させた後、粉砕して粉体状の複合金属シアン化物錯
体触媒Aを得た。得られた複合金属シアン化物錯体触媒
AのX線回折パターンを図1に示す。
【0063】(例2)本例では、有機配位子としてte
rt−ブチルアルコール(b)を使用しないで粉体状の
複合金属シアン化物錯体触媒を製造した。すなわち、前
記例1と同様にして塩化亜鉛とK3Co(CN)6 とを
反応させて得られた反応溶液に、EGMTBEを80
g、前記PPG1の1g、および水80gの混合物を添
加し、60℃に昇温させた。1時間撹拌後、濾過操作
(1回目濾過)を行い、複合金属シアン化物錯体触媒有
機相を含むケーキを得た。
【0064】次いで、この複合金属シアン化物錯体触媒
有機相を含むケーキにEGMTBE40g、PPG1の
1g、および水70の混合物を添加し、30分撹拌した
後、濾過操作(2回目濾過)を行った。この濾過操作に
より得られた複合金属シアン化物錯体触媒有機相を含む
ケーキに、さらにEGMTBE80g、PPG1の1
g、および水10gの混合物を添加して撹拌し、濾過操
作(3回目濾過)を行った。この濾過操作により得られ
た複合金属シアン化物錯体触媒有機相を含むケーキを、
80℃で重量変化がなくなるまで乾燥させた後、粉砕し
て粉体状の複合金属シアン化物錯体触媒Bを得た。
【0065】(例3)本例では、有機配位子として前記
式(1)で表される化合物(a)を使用しないで粉体状
の複合金属シアン化物錯体触媒を製造した。すなわち、
前記例1と同様にして塩化亜鉛とK3Co(CN)6
を反応させて得られた反応溶液に、tert−ブチルア
ルコール(b)の80g、PPG1の1g、および水8
0gの混合物を添加し、60℃に昇温させた。1時間撹
拌後、濾過操作(1回目濾過)を行い、複合金属シアン
化物錯体触媒有機相を含むケーキを得た。
【0066】次いで、この複合金属シアン化物錯体触媒
有機相を含むケーキにtert−ブチルアルコール40
g、PPG1の1g、および水70gの混合物を添加
し、30分撹拌した後、濾過操作(2回目濾過)を行っ
た。この濾過操作により得られた複合金属シアン化物錯
体触媒有機相を含むケーキに、さらにtert−ブチル
アルコール80g、PPG1の1g、および水10gの
混合物を添加して撹拌し、濾過操作(3回目濾過)を行
った。この濾過操作により得られた複合金属シアン化物
錯体触媒有機相を含むケーキを、80℃で重量変化がな
くなるまで乾燥させた後、粉砕して粉体状の複合金属シ
アン化物錯体触媒Cを得た。得られた複合金属シアン化
物錯体触媒CのX線回折パターンを図2に示す。
【0067】(例4)本例では、スラリー状複合金属シ
アン化物錯体触媒を製造したすなわち、前記例1と同様
にして塩化亜鉛とK3Co(CN)6 とを反応させて得
られた反応溶液に、EGMTBEを20g、tert−
ブチルアルコールを60g、PPG1を1g、および水
80gの混合物を添加し、60℃に昇温させた。1時間
撹拌後、濾過操作(1回目濾過)を行い、複合金属シア
ン化物錯体触媒有機相を含むケーキを得た。次いで、こ
の複合金属シアン化物錯体触媒有機相を含むケーキにE
GMTBE10g、tert−ブチルアルコール30
g、PPG1の1g、および水70gの混合物を添加
し、30分撹拌した後、濾過操作(2回目濾過)を行っ
た。この濾過操作により得られた複合金属シアン化物錯
体触媒有機相を含むケーキに、さらにEGMTBE20
g、tert−ブチルアルコール60g、およびヒドロ
キシ化合物として数平均分子量1500、水酸基価75
mgKOH/g、水酸基数2のポリオキシプロピレング
リコールを2400g添加して撹拌した。この後、80
℃で減圧下、約90mlの揮発分を除去することによっ
て、ヒドロキシ化合物中に、複合金属シアン化物錯体を
7質量%の濃度で含むスラリー状の複合金属シアン化物
錯体触媒Dを得た。
【0068】(例5)本例では、前記ポリオキシアルキ
レンポリオール(c)を使用しないで粉体状の複合金属
シアン化物錯体触媒を製造した。すなわち、前記例1と
同様にして塩化亜鉛とK3Co(CN)6 とを反応させ
て得られた反応溶液に、EGMTBEを40g、ter
t−ブチルアルコールを40g、および水80mlの混
合物を添加し、60℃に昇温させた。1時間撹拌後、濾
過操作(1回目濾過)を行い、複合金属シアン化物錯体
触媒有機相を含むケーキを得た。
【0069】次いで、この複合金属シアン化物錯体触媒
有機相を含むケーキにEGMTBE20g、tert−
ブチルアルコール20g、および水80mlの混合物を
添加し、30分撹拌した後、濾過操作(2回目濾過)を
行った。この濾過操作により得られた複合金属シアン化
物錯体触媒有機相を含むケーキに、さらにEGMTBE
50g、tert−ブチルアルコール50g、および水
10mlの混合物を添加して撹拌し、濾過操作(3回目
濾過)を行った。この濾過操作により得られた複合金属
シアン化物錯体触媒有機相を含むケーキを、80℃で重
量変化がなくなるまで乾燥させた後、粉砕して粉体状の
複合金属シアン化物錯体触媒Eを得た。
【0070】(例6)本例では、有機配位子としてte
rt−ブチルアルコール(b)およびポリオキシアルキ
レンポリオール(c)を使用しないで粉体状の複合金属
シアン化物錯体触媒を製造した。すなわち、前記例1と
同様にして塩化亜鉛とK3Co(CN)6 とを反応させ
て得られた反応溶液に、EGMTBEを80g、および
水80gの混合物を添加し、60℃に昇温させた。1時
間撹拌後、濾過操作(1回目濾過)を行い、複合金属シ
アン化物錯体触媒有機相を含むケーキを得た。
【0071】次いで、この複合金属シアン化物錯体触媒
有機相を含むケーキにEGMTBE40g、および水7
0の混合物を添加し、30分撹拌した後、濾過操作(2
回目濾過)を行った。この濾過操作により得られた複合
金属シアン化物錯体触媒有機相を含むケーキに、さらに
EGMTBE80g、および水10gの混合物を添加し
て撹拌し、濾過操作(3回目濾過)を行った。この濾過
操作により得られた複合金属シアン化物錯体触媒有機相
を含むケーキを、80℃で重量変化がなくなるまで乾燥
させた後、粉砕して粉体状の複合金属シアン化物錯体触
媒Fを得た。
【0072】「ポリエーテルポリオールの製造」上記各
例で製造した触媒の性能を評価するためにポリオールの
製造を行った。 (例7)撹拌機付きステンレス鋼製5リットルの耐圧反
応槽中に、開始剤としてグリセリンにプロピレンオキシ
ド(以下POと称する)を付加して得られた分子量10
00のポリオキシプロピレントリオール1470gを投
入するとともに、複合金属シアン化物錯体触媒Aの0.
14gを投入した。窒素置換後120℃に昇温し、PO
の147gを投入してスポット反応させるとともに、反
応槽内の圧力と温度の経時的変化を測定した。PO投入
後、約40分間経過した時に反応槽内の圧力が減少し始
めるとともに、温度が上昇し始めた。これは、120℃
の反応槽内で気体として存在していたPOが開環して開
始剤に付加する反応が生じたためである。反応槽内の圧
力の減少と、反応熱による反応槽内の温度上昇があった
ことより、反応開始までの誘導期は約40分間であった
と認められた。その後、反応槽内を120℃に保ちなが
ら徐々にPOを投入し、全量で3072gのPOを投入
してポリエーテルポリオールを得た。こうして得られた
ポリエーテルポリオールの水酸基価は56.1mgKO
H/gであり、ポリスチレン換算の分子量分布(Mw
n)はGPCでの分析の結果、1.05であった。
【0073】(例8)例7において、複合金属シアン化
物錯体触媒Aに代えて複合金属シアン化物錯体触媒Bを
0.14g用いた他は、同様にした。その結果、反応開
始までの誘導期は、80分であったことが認められた。
また得られたポリエーテルポリオールの水酸基価は5
7.2mgKOH/gであり、分子量分布は1.15で
あった。
【0074】(例9)例7において、複合金属シアン化
物錯体触媒Aに代えて複合金属シアン化物錯体触媒Cを
0.14g用いた他は、同様にした。その結果、反応開
始までの誘導期は、30分であったことが認められた。
また得られたポリエーテルポリオールの水酸基価は5
5.9mgKOH/gであり、分子量分布は1.04で
あった。
【0075】(例10)撹拌機付きステンレス鋼製5リ
ットルの耐圧反応槽中に、開始剤としてグリセリンにP
Oを付加して得られた数平均分子量1000のポリオキ
シプロピレントリオール1470gを投入するととも
に、スラリー状の複合金属シアン化物錯体触媒Dを2.
0g投入した。窒素置換後120℃に昇温し、POの1
47gを投入してスポット反応させるとともに、反応槽
内の圧力と温度の経時的変化を測定した。PO投入後、
約50分間経過した時に反応槽内の圧力が減少し始める
とともに、温度が上昇し始めた。これは、120℃の反
応槽内で気体として存在していたPOが開環して開始剤
に付加する反応が生じたためである。反応槽内の圧力の
減少と、反応熱による反応槽内の温度上昇があったこと
より、反応開始までの誘導期は約50分間であったと認
められた。その後、反応槽内を120℃に保ちながら徐
々にPOを投入し、全量で3072gのPOを投入して
ポリエーテルポリオールを得た。こうして得られたポリ
エーテルポリオールの水酸基価は56.3mgKOH/
gであり、ポリスチレン換算の分子量分布(Mw/Mn
はGPCでの分析の結果、1.07であった。
【0076】(例11)例7において、複合金属シアン
化物錯体触媒Aに代えて複合金属シアン化物錯体触媒E
を0.14g用いた他は、同様にした。その結果、反応
開始までの誘導期は、60分であったことが認められ
た。また得られたポリエーテルポリオールの水酸基価は
56.4mgKOH/gであり、分子量分布は1.09
であった。
【0077】(例12)例7において、複合金属シアン
化物錯体触媒Aに代えて複合金属シアン化物錯体触媒F
を0.14g用いた他は、同様にした。その結果、反応
開始までの誘導期は、100分であったことが認められ
た。また得られたポリエーテルポリオールの水酸基価は
57.9mgKOH/gであり、分子量分布は1.18
であった。
【0078】下記表1には、例1〜例6で複合金属シア
ン化物錯体触媒を製造したときの、各回の濾過に要した
時間(濾過所要時間)、全工程を通しての合計濾過所要
時間を示した。また、例7〜12でそれぞれポリエーテ
ルポリオールを製造したときの、触媒活性の指標となる
誘導期、および各例で得られたポリエーテルポリオール
の分子量分布を表1に合わせて示した。
【0079】
【表1】
【0080】表1の結果より、有機配位子としてEGM
TBEおよびtert−ブチルアルコールを用い、濾過
時にPPG1を存在させなかった例5は、これを用いて
ポリエーテルポリオールを製造した例11において誘導
期が短くて触媒活性は良好であり、分子量分布が狭いポ
リエーテルポリオールが得られたが、触媒製造時の濾過
に要する時間が非常に長かった。また有機配位子として
EGMTBEを用い、tert−ブチルアルコール
(b)およびポリオキシアルキレンポリオール(c)を
使用しなかった例6は、触媒製造時の濾過所要時間は例
5に比べれば短かったが、これを用いてポリエーテルポ
リオールを製造した例12における誘導期が長くて触媒
活性が劣っており、得られたポリエーテルポリオールの
分子量分布も広くなっていた。これに対して、濾過時に
EGMTBEとtert−ブチルアルコールとPPG1
を存在させた例1および例4、濾過時にEGMTBEと
PPG1を存在させた例2、濾過時にtert−ブチル
アルコールとPPG1を存在させた例3は、濾過時間が
短縮されており、誘導期が短くて触媒活性が良好であ
り、かかる触媒を用いてポリエーテルポリオールを製造
した例7〜10では分子量分布が狭いポリエーテルポリ
オールが得られた。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、水媒体中で、ハロゲン
化金属塩とアルカリ金属シアノメタレートと有機配位子
とを反応させた後、固液分離を行って固体生成物を得る
工程と、該固体生成物を洗浄した後に固液分離する工程
を有する複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法におい
て、少なくとも1回の固液分離を、上記式(1)で表さ
れる化合物(a)および/またはtert−ブチルアル
コール(b)と、数平均分子量400〜3000のポリ
オキシアルキレンポリオール(c)との存在下で行うこ
とにより、固液分離に要する時間を大幅に短縮すること
ができ、よって複合金属シアン化物錯体触媒の生産性を
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得られた複合金属シアン化物錯体触媒
のX線回折パターンである。
【図2】実施例で得られた複合金属シアン化物錯体触媒
のX線回折パターンである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA02 AA08 BA21A BA22A BA27A BA27B BB08A BB08B BC01A BC03A BC03B BC12A BC16A BC21A BC22A BC31A BC35A BC35B BC54A BC58A BC59A BC60A BC62A BC66A BC67A BC67B BC68A BD12A BE06B BE06C BE07A BE08A BE43A BE43B CB38 CB46 DA05 DA08 EC25 FA01 FB80 FC02 FC04 4J005 AA12 AA21 BB02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水媒体中で、ハロゲン化金属塩とアルカリ
    金属シアノメタレートと有機配位子とを反応させた後、
    固液分離を行って固体生成物を得る工程と、該固体生成
    物を洗浄した後に固液分離する工程を有する複合金属シ
    アン化物錯体触媒の製造方法において、 少なくとも1回の固液分離を、下記式(1)で表される
    化合物(a)および/またはtert−ブチルアルコー
    ル(b)と、数平均分子量400〜3000のポリオキ
    シアルキレンポリオール(c)との存在下で行うことを
    特徴とする複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法。 R1 −C(CH32 (OR0n OH・・・(1) ただし、式(1)において、R1 はメチル基またはエチ
    ル基、R0 はエチレン基または該エチレン基の水素原子
    がメチル基もしくはエチル基で置換された基、nは1〜
    3の整数を表す。
  2. 【請求項2】 前記式(1)で表される化合物(a)が
    エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルで
    あることを特徴とする請求項1記載の複合金属シアン化
    物錯体触媒の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ポリオキシアルキレンポリオール
    (c)の量に対する、前記式(1)で表される化合物
    (a)とtert−ブチルアルコール(b)との合計量
    の質量比[(a)+(b)]/(c)が20/1〜12
    0/1であることを特徴とする請求項1または2のいず
    れかに記載の複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれに記載の製造方法
    で得られる複合金属シアン化物錯体触媒。
JP2001396593A 2001-12-27 2001-12-27 複合金属シアン化物錯体触媒およびその製造方法 Withdrawn JP2003190808A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001396593A JP2003190808A (ja) 2001-12-27 2001-12-27 複合金属シアン化物錯体触媒およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001396593A JP2003190808A (ja) 2001-12-27 2001-12-27 複合金属シアン化物錯体触媒およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003190808A true JP2003190808A (ja) 2003-07-08

Family

ID=27602640

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001396593A Withdrawn JP2003190808A (ja) 2001-12-27 2001-12-27 複合金属シアン化物錯体触媒およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003190808A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004108794A1 (ja) * 2003-06-04 2004-12-16 Asahi Glass Company, Limited 複合金属シアン化物錯体触媒、その製造方法およびその利用
JP2014520938A (ja) * 2011-07-18 2014-08-25 バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング ポリエーテルカーボネートポリオールの製造方法
US9676897B2 (en) 2011-03-30 2017-06-13 Asahi Glass Company, Limited Process for producing polyether polyol, process for producing flexible polyurethane foam, and seat
WO2022048099A1 (zh) * 2020-09-01 2022-03-10 万华化学集团股份有限公司 一种窄分布三乙醇胺嵌段聚醚的制备方法、嵌段聚醚及其应用
JP7473059B1 (ja) 2023-06-01 2024-04-23 Agc株式会社 複合金属シアン化物錯体触媒及びその製造方法、複合金属シアン化物錯体スラリー触媒及びその製造方法、並びに重合体の製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004108794A1 (ja) * 2003-06-04 2004-12-16 Asahi Glass Company, Limited 複合金属シアン化物錯体触媒、その製造方法およびその利用
US7169956B2 (en) 2003-06-04 2007-01-30 Asahi Glass Company, Limited Double metal cyanide complex catalyst, its production process and its utilization
US9676897B2 (en) 2011-03-30 2017-06-13 Asahi Glass Company, Limited Process for producing polyether polyol, process for producing flexible polyurethane foam, and seat
JP2014520938A (ja) * 2011-07-18 2014-08-25 バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング ポリエーテルカーボネートポリオールの製造方法
WO2022048099A1 (zh) * 2020-09-01 2022-03-10 万华化学集团股份有限公司 一种窄分布三乙醇胺嵌段聚醚的制备方法、嵌段聚醚及其应用
JP7473059B1 (ja) 2023-06-01 2024-04-23 Agc株式会社 複合金属シアン化物錯体触媒及びその製造方法、複合金属シアン化物錯体スラリー触媒及びその製造方法、並びに重合体の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100355336B1 (ko) 고활성이중금속시안나이드촉매
EP0894108B1 (en) Highly active double metal cyanide catalysts
KR100483237B1 (ko) 이중금속시아나이드착물촉매를사용하여제조된전이금속을저수준으로함유하는폴리옥시알킬렌폴리에테르폴리올의제조방법
JP4664970B2 (ja) エチレンオキサイド末端ブロックを有する反応性ポリエーテルポリオールの製造方法
US7169956B2 (en) Double metal cyanide complex catalyst, its production process and its utilization
EP1409567B1 (en) Double metal complex catalyst
US20090057608A1 (en) Alkoxylate composition and a process for preparing the same
EP1663928B1 (en) Preparation of an alkoxylate composition
JP4277541B2 (ja) ポリエーテルモノオールまたはポリエーテルポリオールの製造方法
JP4574964B2 (ja) 活性化出発混合物およびその関連方法
EP2325230B1 (en) High productivity alkoxylation processes
JP2004051996A5 (ja)
EP1295902A1 (en) Process for preparing polyoxyalkylene polyether products.
JP2003165836A (ja) スラリー状複合金属シアン化物錯体触媒およびその製造方法、ならびにこれを用いたポリエーテルポリオールまたはポリエーテルモノオールの製造方法
EP2223953B1 (en) Continuous processes for the production of ethoxylates
JP2003190808A (ja) 複合金属シアン化物錯体触媒およびその製造方法
MX2007015048A (es) Proceso continuo para la produccion de etoxilados de alquilfenol.
JP2003165837A (ja) 複合金属シアン化物錯体触媒およびその製造方法
JP2003147071A (ja) アルキレンオキシド開環重合用複合金属シアン化物錯体触媒及びその製造方法
JP2003093888A (ja) 複合金属シアン化物錯体触媒およびその製造方法
JP2003073469A (ja) アルキレンオキシド開環重合用複合金属シアン化物錯体触媒及びその製造方法
JP2003096183A (ja) 複合金属シアン化物錯体触媒及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050301