JP2003092803A - 電気車の制御装置 - Google Patents

電気車の制御装置

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JP2003092803A
JP2003092803A JP2001283171A JP2001283171A JP2003092803A JP 2003092803 A JP2003092803 A JP 2003092803A JP 2001283171 A JP2001283171 A JP 2001283171A JP 2001283171 A JP2001283171 A JP 2001283171A JP 2003092803 A JP2003092803 A JP 2003092803A
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electric motor
slip
electric vehicle
stall
control device
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JP2001283171A
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Hiroyuki Yamada
博之 山田
Takashi Yasuhara
隆 安原
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Hitachi Ltd
Hitachi Automotive Systems Engineering Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Car Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】車両ストール時、電動機電流を増大させること
なく、電動機の出力を増大させることにより、車両スト
ール状態を回避して、車両性能の向上を図ることができ
る電気車の制御装置を提供することにある。 【解決手段】制御手段34は、電動機15の電流をトル
ク電流と励磁電流に分離して、すべり周波数指令値に応
じて、電動機をベクトル制御する。ストール判定手段1
7が、電気車のストール状態を判定すると、制御手段1
5は、すべり補正係数演算手段21によって求められた
すべり補正係数により、すべり周波数を補正した上で、
電動機15を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動機により電気
車を駆動する電気車の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電気車の制御装置としては、例え
ば、特開平10−309091号公報に記載されている
ように、交流電流を電流座標変換してトルク分電流と励
磁分電流に分離検出し、このトルク分電流をもとにすべ
り周波数を求め、このすべり周波数をトルク分電流の大
きさ又は出力電圧の大きさに従い演算するすべり周波数
補正率により補正し、力行・回生それぞれの状態におけ
る電動機制御の精度を向上させるものが知られている。
【0003】また、例えば、特開平6−217586号
公報に記載されているように、誘導電動機をV/F(電
圧/周波数)一定制御を行う際に、すべり周波数一定制
御を行う際の最大すべり周波数の制限値を、あらかじめ
基準となる基準すべり周波数設定値とすべり周波数補正
手段によって演算した補正値をもとに最大すべり周波数
の制限値を補正し誘導電動機の温度変化に起因する2次
抵抗変化分による出力変動を補償するするものが知られ
ている。
【0004】さらに、例えば、特開平5−83976号
公報に記載されているように、低速運転域では電動機を
ベクトル制御で制御し、高速運転域ではすべり周波数制
御によって制御するというように運転条件によって制御
方法を切り換えることによって、高速運転域でインバー
タ電圧利用率をあげて1パルス制御を行うといったよう
な、ベクトル制御が成立しにくい条件下での電動機の制
御精度を確保するものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
10−309091号公報,特開平6−217586号
公報,特開平5−83976号公報に記載されたものに
おいては、車両が段差を乗り越える必要があるような運
転状況、すなわち電動機がロックしていたり、極低速の
状態,すなわち、車両ストール時における電動機の出力
トルクの制御については何ら考慮されていないものであ
る。
【0006】車両ストール状態を回避するために、電動
機に流す電流を大きくして、電動機の出力トルクを増大
する方法も考えられるが、電動機電流を大きくすると、
バッテリーの消耗の問題や、コントローラやインバータ
の発熱が大きくなると言う問題がある。
【0007】本発明の目的は、車両ストール時、すなわ
ち電動機がロック状態もしくは極低速で動作している状
況において、電動機電流を増大させることなく、電動機
の出力、すなわち発生トルクを増大させることにより、
車両ストール状態を回避して、車両性能の向上を図るこ
とができる電気車の制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成す
るために、本発明は、電動機の電流をトルク電流と励磁
電流に分離して、すべり周波数指令値に応じて、電動機
をベクトル制御する制御手段と、この制御手段によって
制御される電動機の回転数を検出する回転検出手段を有
し、上記制御手段は、アクセル開度に応じて、電動機を
駆動制御する電気車の制御装置において、電気車のスト
ール状態を判定するストール判定手段と、すべり補正係
数を演算するすべり補正係数演算手段とを備え、上記制
御手段は、上記ストール判定手段によってストール状態
と判定された時、上記すべり補正係数演算手段によって
求められたすべり補正係数により、すべり周波数を補正
した上で、上記電動機を制御するようにしたものであ
る。かかる構成により、車両ストール時には、電動機電
流を増大させることなく、すべり周波数を補正すること
により、電動機の出力を増大させて、車両ストール状態
を回避して、車両性能の向上を図り得るものとなる。
【0009】(2)上記(1)において、好ましくは、
上記ストール判定手段は、上記回転検出手段によって検
出された電動機回転数が所定値より小さく、アクセル検
出手段によって検出されたアクセル開度が所定開度より
大きいか若しくはこのアクセル開度に応じて求められる
目標トルク指令値が所定値より大きい場合に、電気車の
ストール状態を判定するようにしたものである。
【0010】(3)上記(1)において、好ましくは、
上記制御手段は、上記ストール判定手段によってストー
ル状態と判定された後、所定時間が経過すると、すべり
周波数を補正前のすべり周波数に復帰するようにしたも
のである。
【0011】(4)上記(1)において、好ましくは、
上記制御手段は、上記回転検出手段によって検出された
電動機回転数が所定値より大きい状態が所定時間以上継
続した場合、すべり周波数を補正前のすべり周波数に復
帰するようにしたものである。
【0012】(5)上記(1)において、好ましくは、
上記制御手段は、アクセル開度が所定値以下になるか、
このアクセル開度に応じて求められる目標トルク指令値
が所定値以下になると、すべり周波数を補正前のすべり
周波数に復帰するようにしたものである。
【0013】(6)上記(1)において、好ましくは、
上記制御手段は、前後進選択手段によってニュートラル
が選択されると、すべり周波数を補正前のすべり周波数
に復帰するようにしたものである。
【0014】(7)上記(1)において、好ましくは、
上記制御手段は、ブレーキが踏み込まれると、すべり周
波数を補正前のすべり周波数に復帰するようにしたもの
である。
【0015】(8)また、上記目的を達成するために、
本発明は、電動機の電流をトルク電流と励磁電流に分離
して、すべり周波数指令値に応じて、電動機をベクトル
制御する制御手段と、この制御手段によって制御される
電動機の回転数を検出する回転検出手段を有し、上記制
御手段は、アクセル開度に応じて、電動機を駆動制御す
る電気車の制御装置において、上記制御手段は、ストー
ル状態判定時に、上記電動機に供給する交流電力の周波
数を増加制御するようにしたものである。かかる構成に
より、車両ストール時には、電動機電流を増大させるこ
となく、すべり周波数を補正することにより、電動機の
出力を増大させて、車両ストール状態を回避して、車両
性能の向上を図り得るものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図7を用いて、本発
明の一実施形態よる電気車の制御装置の構成及び動作に
ついて説明する。最初に、図1を用いて、本実施形態に
よる電気車の制御装置の全体構成について説明する。電
気車としては、電動フォークリフトや電気自動車が用い
られる。図1は、本発明の一実施形態による電気車の制
御装置の全体構成を示すシステムブロック図である。
【0017】制御装置34には、アクセル検出手段1,
ブレーキ検出手段2,前後進選択手段3からの出力信号
が入力する。アクセル検出手段1は、アクセルペダルの
踏込み量(アクセルペダルの開度)を検出して、踏込み
量(開度)の信号を制御装置34に出力する。ブレーキ
検出手段2は、ブレーキペダルが踏込まれているか否か
を検出して、踏込み状態の信号を制御装置34に出力す
る。前後進選択手段3は、前進若しくは後進が選択され
ているか、それとも、ニュートラルが選択されているか
を検出し、前後進の選択状態を制御装置34に出力す
る。アクセル検出手段1,ブレーキ検出手段2,前後進
選択手段3は、運転者の意志を電気的な信号に変換する
手段として備えられている。制御手段34は、アクセル
検出手段1,ブレーキ検出手段2,前後進選択手段3か
らの信号に基づいて、電動機15を制御する。
【0018】電動機15は、誘導電動機であり、車両の
駆動力を発生する。制御装置34は、電力変換手段14
に制御信号を供給する。電力変換手段14は、電源13
の電力を電動機15に印加できる交流電力へと変換し、
電動機15に電力が印加され、電動機15が駆動力を発
生して、電気車が走行駆動される。
【0019】回転検出手段16は、電動機15の回転速
度を検出して、電気的な回転信号Nrに変換して、制御
手段34に出力する。回転検出信号Nrは、制御手段3
4の内部の電動機回転演算手段18に伝達される。電動
機回転演算手段18は、回転検出信号Nrから電動機回
転数信号Nmを演算して、目標トルク演算手段4,スト
ール判定手段17,周波数換算手段20に出力する。
【0020】制御装置34の目標トルク演算手段4に
は、アクセル検出手段1,ブレーキ検出手段2,前後進
選択手段3,電動機回転数信号Nmの信号が、入力す
る。目標トルク演算手段4は、運転者の意志に沿った目
標トルク指令値τmを演算する。トルク電流指令演算手
段5は、目標トルク演算手段4によって演算された目標
トルク指令値τmと、二次磁束値演算手段9によって演
算された二次磁束値φ2に基づいて、トルク電流指令値
Itを算出する。また、磁束指令演算手段6は、入力し
た目標トルク指令値τmに基づいて、この目標トルクに
応じた磁束指令値φを演算する。磁束制御手段7は、入
力した磁束指令値φに基づいて、磁束指令値φに対する
電動機15の磁束を演算し、二次磁束値φ2を演算す
る。励磁インダクタンス演算手段31は、この二次磁束
値φ2の結果より、励磁インダクタンス値Lmを演算す
る。励磁電流演算手段8は、入力した二次磁束値φ2と
励磁インダクタンス値Lmの値に基づいて、励磁電流指
令値Imを演算する。すべり演算手段19は、入力した
トルク電流指令値Itと二次磁束値φ2に基づいて、電動
機15の駆動制御に必要なすべり周波数の演算を行い、
すべり周波数指令値23を出力する。
【0021】一方、ストール判定手段17は、入力した
目標トルク指令値τm及び電動機回転数信号Nmに基づい
て、車両がストール,例えば、運転者が車両が通常乗り
越えられない段差を乗り越えようとする操作を行ってい
るかどうかの車両走行状態を判断する。車両ストール状
態は、例えば、目標トルク指令値τmが所定の値以上で
ありながら、電動機回転数信号Nmが所定の値よりも小
さい(零若しくは極低回転)である場合に、ストール状
態であると判定する。ストール判定手段17は、ストー
ル状態であると判定すると、パワーアップフラグPUFを
すべり補正係数演算手段21に出力する。すべり補正係
数演算手段21は、パワーアップフラグPUFの結果を元
に、すべり補正係数Ksの値を補正し、すべり演算手段
19に出力する。すべり演算手段19は、すべり補正係
数Ksの値に基づき、補正されたすべり周波数指令値ωs
を出力する。一方、周波数変換手段20は、入力した電
動機回転数信号Nmを、周波数に変換して、同期周波数
ω0を出力する。同期周波数ω0とすべり周波数指令値ω
sは加算され、一次周波数指令値ω1としてなる。一次周
波数指令値ω1は、電動機15の駆動を行う周波数の指
令となり、電流位相演算手段10,座標変換手段11,
PWM生成手段12にそれぞれに入力する。
【0022】電流位相演算手段10は、トルク電流指令
値It,励磁電流指令値Im、一次周波数指令値ω1に基
づいて、電動機15に通電する電流の指令値及び電流の
位相を演算し、結果を座標変換手段11に出力する。座
標変換演算手段11は、電流の指令値及び位相の値に基
づき、いわゆるベクトル制御の座標変換を行い、PWM
生成手段12に出力する。PWM生成手段12は、電力
変換手段14を駆動するための、いわゆるパルス列であ
る駆動信号を生成し、電力変換手段14を駆動する。こ
れにより、電源13の電力が電動機15に印加できる交
流電力へと変換され、電動機15に電力が印加され、電
動機15が駆動力を発生して、電気車が走行駆動され
る。
【0023】以上のように構成とすることにより、スト
ール判定手段17が、車両がストールしている状態、例
えば車両が通常の性能では乗り越しができないような段
差に差し掛かって、運転者がアクセルを一杯に踏み込ん
で乗り越しを図ろうとしているような状態を、目標トル
ク指令値τm及び電動機回転数信号Nmの情報を元に判断
検知すると、電動機15に印加しているすべり周波数の
指令値ω1を、すべり補正係数演算手段21で演算する
すべり補正係数Ksに基づいて、すべり演算手段19に
より補正し、電動機15の出力トルクを増大させて、車
両の段差乗り越しを可能とするような動作を実現するこ
とができる。なお、すべり補正係数Ksにより電動機1
5の出力トルクが増大できる原理については、図2を用
いて、後述する。すべり周波数を補正することにより、
電動機電流を増大させなくても、電動機の出力、すなわ
ち発生トルクを増大させることができ、車両ストール状
態を回避して、車両性能の向上を図ることができる。
【0024】次に、図2を用いて、本発明の一実施形態
における電気車の制御装置に用いる誘導電動機のすべり
−トルク特性について説明する。図2は、本発明の一実
施形態における電気車の制御装置に用いる誘導電動機の
すべり−トルク特性図である。
【0025】電動機15には、交流で駆動するいわゆる
誘導電動機を用い、誘導電動機を高応答かつ安定に駆動
制御するための制御方法としては、一般的にベクトル制
御が用いられている。ベクトル制御は、基本的には、電
動機15に印加する交流電圧,交流電流,交流の周波数
を制御するものである。
【0026】ベクトル制御においては、電動機15に印
加する電圧、電流をベクトル成分に置換することにより
制御する。ここで、誘導電動機を駆動するには、すべり
周波数の設定が必要であり、すべり周波数指令値ωs
は、以下の式(1)によって、 ωs=(r2/Lm)・(It/Im) …(1) と求めることができる。ここで、r2:電動機2次抵抗
値,Lm:励磁インダクタンス値Lm,It:トルク電流
指令値It,Im:励磁電流指令値Imである。この式
(1)により、電動機に印加するすべり周波数ωsを決
定する。
【0027】誘導電動機の発生するトルクτmは、以下
の式(2)により、 τm=m・p・(Lm2/Lm+L2)・Im・It …(2) と表すことができる。ここで、m:相数,p:極対数,
L2:2次漏れインダクタンスである。
【0028】このようにして、あらかじめ電動機の定数
を用意しておき、トルク電流指令値It及び励磁電流指
令値Im、すべり周波数ωsを決定することによって、
電動機発生トルクτmの制御が可能となる。
【0029】実際の制御演算においては、電動機発生ト
ルクは、電動機15が発生すべきトルクである目標トル
ク指令値τmとして指令として与えられるものであるた
め、その目標トルク指令値τmよりトルク電流指令値I
t、励磁電流指令値Im等を求めて制御を実現する必要が
ある。ここで、磁束指令値φ,トルク電流指令値It,
励磁電流指令値Imは、それぞれ、以下の式(3),
(4),(5)で、 φ=f(τm、Vm) …(3) It=τm/φ …(4) Im=φ/Lm …(5) 与えられる。ここで、Vm:電動機電圧である。この式
(3)〜式(5)により、トルク電流指令値Itと励磁
電流指令値Imを求めることができる。この時、磁束指
令値φは、電動機15が発生すべきトルクや電動機の電
圧によってあらかじめ決めておくことができる値である
ため、目標トルク指令値τmまたは電動機電圧Vmに基
づく値としてあらかじめ準備しておく。
【0030】式(1)に、式(5)を代入することによ
り、すべり周波数指令値ωsは、以下の式(6)によ
り、 ωs=r2・It/φ …(6) として求めることができる。
【0031】このすべり周波数指令値ωsより、電動機
15に印加する周波数指令値ω1は、以下の式(7)に
より、 ω1=ωs+ω0 …(7) 電動機回転数信号Nmの周波数変換値である同期周波数
(すべりが含まれていない周波数)にすべり周波数指令
値ωsを加算することによって求めることができる。こ
こで、ω0:同期周波数である。
【0032】これらの演算結果を元に、電動機15への
印加電流の位相は、以下の式(8)により、電流位相角
δ、 δ=taN-1(It/Im) …(8) により求めることができる。
【0033】これらの一連の計算により、電動機15の
トルクを目標トルク指令値τmに沿ってベクトル制御に
より制御することができる。ここで、すべり周波数指令
値ωsは、式(6)に示されるような演算によって求め
ることができるが、この演算結果は基本的に電動機二次
抵抗値r2,トルク電流指令値It、磁束指令値φによ
って求められるものであるが、演算処理上では係数によ
って補正することにより、式(9)に示すように、 ωs=r2・It・Ks/φ …(9) として、すべり周波数ωsの演算結果を変化させること
が可能である。ここで、Ks:すべり補正係数Ksであ
る。
【0034】以上のようにして、すべり周波数指令値ω
sの演算に、式(6)の代わりに、式(9)を用いるこ
とにより、すべり周波数指令値ωsの値を自由に変化さ
せることが可能である。このことによって、電動機15
に印加する電圧及び電流は、トルク電流指令値It、励
磁電流指令値Im、磁束指令値φ等のパラメータを変え
ないですべり周波数指令値ωsを単独で変化させること
になり、電動機15に印加する電圧及び電流は変化させ
ないまま、すべり周波数指令値ωsだけを増減変化せし
めるように動作を行うことが可能となる。また、このす
べり補正係数Ksは、先に述べたストール判定手段17
からのパワーアップフラグPUFに基づいて、すべり補正
係数演算手段21によって求めることにより、すべり補
正係数Ksは、すべり演算手段19に伝達される。すべ
り演算手段19は、その内部において、式(9)に基づ
き演算を行うものである。また、式(9)におけるすべ
り補正係数Ksがない場合であっても、電動機二次抵抗
値r2の値を変化させることによってもすべり周波数の
演算値を変化させることもできる。
【0035】次に、誘導電動機は、印加電圧、電流及び
周波数をもとに制御を行うが、そのすべりに対するトル
クの特性は、図2に示すようになっている。図2におい
て、横軸は同期周波数を示し、縦軸はトルクを示してい
る。
【0036】電動機15に印加する周波数が、電動機1
5の回転速度である電動機回転数信号Nmの周波数と等
しい場合には、すべりが存在しない状態であるため、こ
の時は周波数ω0で駆動されていることになり、電動機
15が発生するトルクはゼロである。ここから、すべり
周波数指令値ωsを、図中のωsAまで増加させた場
合、電動機15はトルクを発生し、トルクはP点のトル
クτAを発生する。このままさらにすべり周波数指令値
ωsを図中のωsBまで増加させると、さらにトルクは
上昇し、電動機15の発生トルクは、図中Q点のトルク
τBまで増大する。さらにすべり周波数指令値ωsを増
大させた場合、電動機15の設計及び基本特性で決まる
停動点を超えてることとなり、電動機15はいわゆる脱
調現象となり、逆にトルクが低下していく特性になる。
【0037】この電動機15のすべり−トルク特性は誘
導電動機である電動機15の個々の特性により左右され
るものでもあり、また電動機電圧や電流によっても変化
するものである。
【0038】ここで先に述べたように、すべり周波数指
令値ωsをすべり周波数補正係数Ksによって補正するよ
うに動作させた場合、電動機電圧や電流を変化させず
に、すべり周波数指令値ωsを増減させることができる
ので、その場合には図3に示す特性と同様のすべり−ト
ルク特性を示すことになる。
【0039】通常、誘導電動機は、停動点付近まですべ
りを発生させて運転した場合、電動機回転中の負荷変動
外乱や速度変動の影響により出力トルクが不安定になる
可能性があるため、出力トルクの安定性等を考慮した上
で最大のすべり周波数は、図中のωsAまでに設定して
制御することが一般的である。
【0040】それに対して、本実施形態では、電動機1
5の回転速度が極低速や電動機15がロック状態である
場合には、外乱や速度変動の影響が非常に少なくなる。
この時に、すべり周波数指令値ωsをωsBまで増加さ
せることにより、通常の制御においては出力トルクがτ
Aまでしか発生しない電動機15をトルクτBまで発生
させて駆動することが可能となる。このことを利用し、
ストール判定手段17の判定に基づき、すべり周波数ω
の値をすべり補正係数Ksによって増加補正することに
よって、すべり周波数指令値ωsを図中のωsAからω
sBまで増加させる。その結果、電動機15の出力トル
クを、図中のτAからτBまで増加させることができ、
車両の段差乗り越え等の状況で電気車に大きい駆動力を
発生させ、通常では乗り越し不可能な段差を乗り越しす
ることができる等の動作ができる様になり、電気車の性
能向上に貢献することが可能となる。
【0041】また、この時、電動機15に印加する電圧
及び電流は先に述べたように増加すること無く出力トル
クの増大が可能なため、電動機15や電力変換手段14
を不必要に大きいものにする必要が無いものである。
【0042】次に、図3〜図6を用いて、本実施形態に
よる電気車の制御装置による制御方法について説明す
る。図3は、本発明の一実施形態による電気車の制御装
置のストール判定手段17による判定内容を示すフロー
チャートであり、図4は、本発明の一実施形態による電
気車の制御装置のすべり補正係数演算手段21による演
算内容を示すフローチャートであり、図5及び図6は、
本発明の一実施形態による電気車の制御装置による制御
時のタイミングチャートである。
【0043】アクセル検出手段1が踏み込まれて電気車
が走行しようとした時に、電気車が段差などを乗り越そ
うとして乗り越しができない様な状態になったときに
は、アクセル検出手段1により求められる目標トルク指
令値τmがあるしきい値のAC1以上であっても、電動
機15が回転せず電動機回転数信号Nmはゼロを維持し
た状態となる。この時には電動機電流は目標トルク指令
値τmに従ってベクトル制御により演算された電流が流
れ、すべり周波数指令値ωsについても目標トルク指令
値τmに従った値であるωsAの値が出力されている状
態となる。
【0044】そこで、図3のステップs10において、
ストール判定手段17は、目標トルク指令値τmがしき
い値AC1以上かどうかを判定する。しきい値AC1以
上でない場合は、電動機15は大きな出力トルクを必要
としない状況であるので、ステップs15に進み、スト
ール判定手段17内のストール判定カウンタをクリア
し、パワーアップフラグPUFをリセットして、ストール
判定手段17の処理を終了する。
【0045】例えば、図5(A)の時刻t1に示すよう
に、目標トルク指令値τmがしきい値AC1以上である
場合には、ステップs20に進み、ストール判定手段1
7は、電動機回転数信号Nmがしきい値Nm1より上回
るか下回るかを判定する。
【0046】ステップs20において、ストール判定手
段17は、電動機回転数信号NmがNm1を下回る場合
にはステップs25に進み、ステップs25において、
ストール判定手段17は、目標トルク指令値τmがしき
い値AC1以上かつ電動機回転数信号Nmがしきい値N
m1以下の状態が、規定時間tc経過したかどうかを判
定する。この判定は、ストール判定手段17の内部に備
えられたストール判定カウンタによるカウント計数値に
よって判定する。すなわち、目標トルク指令値τmがあ
るしきい値AC1以下で、かつ電動機回転数信号Nmが
あるしきい値Nm1以下のときは、車両ストール状態と
なっているので、ストール判定手段17にて判断検出
し、このストール状態の継続時間をストール判定カウン
タによりカウントする。
【0047】ステップs25において、規定時間tcが
経過していない場合には、まだストール状態確定ではな
いので、ステップs30に進み、ストール判定手段17
は、ストール判定カウンタを加算して、パワーアップフ
ラグPUFをリセットしておき、規定時間tcの計数を継
続する。
【0048】一方、図5(D)に示すように、時刻t2
において、ステップscにて規定時間tcが経過したと
判断された場合、すなわち,カウントC1分継続した場
合には、ストール判定手段17は、ストール状態確定と
して、ステップs30に進み、図5(E)の時刻t2に
おけるストール状態確定のX点にて、パワーアップフラ
グPUFをセットして、ストール時の電動機15の出力ト
ルクアップ動作を行うようにする。
【0049】次に、図4を用いて、パワーアップフラグ
PUFをセット時の処理について説明する。
【0050】ステップs110において、すべり補正係
数演算手段21は、ストール判定手段17から伝達され
るパワーアップフラグPUFがセットされているか否かを
判定する。パワーアップフラグがセットされている場合
には、ステップs120に進み、セットされていない場
合には、ステップs150に進む。
【0051】セットされている場合には、ステップs1
20において、すべり補正係数演算手段21は、すべり
補正係数Ksが、規定のすべり補正係数の上限値KsBよ
り大きいかどうかを判定する。
【0052】ステップs120において、すべり補正係
数KsのKsがすべり補正係数の上限値KsBに達して
いない場合は、ステップs130において、すべり補正
係数演算手段21は、すべり補正係数Ksにある任意の
値を加算することによりすべり補正係数Ksの値を増加
せしめる。なお、すべり補正係数Ksの増加方法は、任
意の値の加算による方法でもよいし、ある任意のパター
ンまたは関数による演算で求めても良いものである。
【0053】以上のようにして、パワーアップフラグPU
Fがセットされている場合には、図5(F)の時刻t2
以降において示すように、すべり補正係数Ksの値が規
定任意のすべり補正係数の上限値Ksbに向かって漸次
増加していき、やがて規定任意のすべり補正係数の上限
値Ksbの値に保たれるようになる。この規定任意のす
べり補正係数の上限値Ksbの値は電動機15の設計及
び特性より決まる停動点のすべりまでの範囲で任意に決
定すれば良いものである。
【0054】図5(F)に示すように、すべり補正係数
KsがKsAからKsBまで増加し、それに伴って、図
5(G)に示すように、すべり周波数指令値ωsがωs
AからωsBまで増加する。この動作により、誘導電動
機である電動機15の発生トルクτmは、図5(H)に
示すように、τAからτBまで増加する動作となる。こ
の時、電動機電流は、目標トルク指令値τmが変化しな
いため、すべり周波数指令値ωsが変化する前後でも目
標トルク指令値τmによって決定している値を維持した
ままである。
【0055】ステップs120の判定で、すべり補正係
数Ksが上限値Ksbより大きいか等しい場合には、す
でにすべり補正係数Ksが上限値に達していることを示
しているので、ステップs140において、すべり補正
係数演算手段21は、すべり補正係数Ksにすべり補正
係数の上限値KsBの値を代入して、すべり補正係数演
算手段21の処理を終了する。従って、図5(F)に示
すように、すべり補正係数は、上限値KsBに保持され
る。
【0056】これらの動作により、電動機15の発生ト
ルクが増大して電気車の駆動力が増加し、車両は段差等
を乗り越えすることが可能となる。車両が段差を乗り越
えすると、電動機15が回転し始めるため、電動機回転
数信号Nmがゼロから増加する。
【0057】再び、図3に戻り、ステップs20におい
て、電動機回転数信号Nmがしきい値Nm1よりも上回
っている場合には、ステップs40に進む。
【0058】ステップs40において、このステップに
進む以前にストール判定による出力トルクアップがなさ
れている可能性があるため、ストール判定手段17は、
パワーアップフラグPUFがセットされているかどうかを
判定する。
【0059】ここでパワーアップフラグPUFがセットさ
れていない場合には、以前にストール確定とはならなか
ったことであるので、ステップs50に進み、ストール
判定手段17は、ストール判定カウンタ及びパワーアッ
プフラグPUFをクリアリセットして、ストール判定手段
17の処理を終了する。
【0060】一方、ステップs40において、パワーア
ップフラグPUFがセットされていた場合には、以前にス
トール状態が確定してパワーアップフラグPUFがセット
されていた状態であるので、ステップs45に進み、ス
トール判定手段17は、電動機回転数信号Nmが、今度
は出力トルクアップ解除の条件であるしきい値Nm2を
上回るか下回るかを判定する。
【0061】ステップs45において、電動機回転数信
号Nmがしきい値Nm2を上回っていた場合には、電動
機15が普通に回転している状態でストールではない状
態であると判断できるため、ステップs50に進み、ス
トール判定手段17は、ストール判定カウンタ及びパワ
ーアップフラグPUFをクリアリセットしてストール判定
手段17の処理を終了する。
【0062】また、ステップs45において、電動機回
転数信号Nmがしきい値Nm2を下回っている状態であ
る場合には、ストール状態確定により電動機15の出力
トルクがアップされているにも関わらず電動機15が回
転していない、もしくは極低速でしか回転していないと
いうことであるので、その状態の時間を計測判定すべく
ステップs55に進む。
【0063】ステップs55において、ストール判定手
段17は、ストール判定カウンタの計数値をもとに規定
時間tdが経過したかどうかを判定し、規定時間tdが
経過している場合にはストール判定による電動機15の
出力トルクアップ状態が連続して継続している状態で、
かつ電動機15が回転できない状態が継続していると見
なしステップs65に進んで、ストール判定カウンタ及
びパワーアップフラグPUFをクリアリセットする。
【0064】一方、ステップs55において、規定時間
tdが経過していない場合は、ステップs65に進み、
ストール判定手段17は、ストール判定カウンタを加算
する。
【0065】以上のようにして、図5(B)に示すよう
に、時刻t3において、電動機回転数信号Nmがしきい
値Nm2まで達した場合、ストール判定手段17は、電
気車が段差を乗り越えして、ストール状態は解除された
と判断し、Y点において、図5(D)に示すように、ス
トール判定カウンタをリセットし、パワーアップフラグ
をリセットする。
【0066】次に、パワーアップフラグPUFがリセット
された場合の動作について説明する。
【0067】図4のステップs110の判定で、パワー
アップフラグPUFがセットされていなかった場合には、
ストール状態によるパワーアップが解除されていること
を示しているので、ステップs150に進む。
【0068】ステップs150において、すべり補正係
数演算手段21は、すべり補正係数Ksが、規定任意の
すべり補正係数の下限値KsAよりも大きいかどうかを
判定する。すべり補正係数KsのKsが規定任意のすべ
り補正係数の下限値KsAよりも小さいか等しい場合に
はステップs170に進み、すべり補正係数KsのKs
の値を規定任意のすべり補正係数の下限値KsAの値と
して処理を終了する。これによりすべり補正係数Ksの
Ksの値が通常の制御を行うための規定のすべり補正係
数の値へと復帰する。
【0069】一方、ステップs150において、すべり
補正係数KsのKsが規定任意のすべり補正係数の下限
値KsAよりも大きい場合には、すべり補正係数Ksの
Ksを漸減する必要があるため、ステップs160に進
み、すべり補正係数KsのKsにある任意の値を減算
し、すべり補正係数KsのKsの値を減少せしめる動作
を行う。このすべり補正係数KsのKsの減少方法は、
任意の値の減少による方法でもよいし、ある任意のパタ
ーンまたは関数による演算で求めても良いものである。
【0070】以上のようにして、図5の時刻t3におい
て、パワーアップフラグPUFがリセットされた場合に
は、図5(F)に示すように、すべり補正係数Ksは、
規定任意のすべり補正係数の下限値KsAに向かって漸
次減少していき、通常の制御によるすべり周波数指令値
ωsの演算に復帰できる。
【0071】図5(F)に示すように、すべり補正係数
Ksが漸次減少すると、図5(G)に示すように、すべ
り周波数指令値ωsがωsBからωsAに戻り、図5
(H)に示すように、電動機15の出力トルクτmはτ
BからτAに復帰する動作となる。
【0072】このような一連の処理によって、電気車が
ストールしているかどうか、ストール判定により電動機
15の出力トルクアップを行ってストール状態を脱出で
きたか、出力トルクアップしてもストール状態を脱出で
きない状態が規定時間経過しているかどうかの判別を行
うことができ、その状況に応じた電動機15の出力トル
クの制御を的確に行うことができる。
【0073】以上のようにして、電気車が段差乗り越え
等の動作を行う必要が合った場合に一時的に電動機15
の出力トルクを増加させるように動作し、電気車の段差
乗り越え動作等を容易とすることが可能となり、電気車
の性能を向上でき、また、使い勝手を向上することがで
きる。
【0074】また、通常の登坂動作などの動作の場合に
は、電動機回転数信号Nmの値により車両がストール状
態なのか登坂状態であるのかを区別することが可能とな
り、不必要に電動機15の発生トルクを増加させること
がないので、通常動作においてはすべり周波数指令値τ
mの値の上限がωsAとなり、電動機15を安定に駆動
できることになる。
【0075】また、この一連の電動機15の出力トルク
増加の動作においても、電動機15に通電する電流が増
加することが無いため、電動機15及び電力変換手段1
4については段差乗り越え等のトルクを考慮する必要の
ないレベルで容量や大きさを決定することができ、電動
機15や電力変換手段14を不必要に大きくする必要が
無いものである。
【0076】なお、以上の説明において、ストール判定
手段17は、入力した目標トルク指令値τmと電動機回
転数信号Nmに基づいて、車両ストール状態を検出する
ようにしている。すなわち、例えば、目標トルク指令値
τmが所定の値以上でありながら、電動機回転数信号Nm
が所定の値よりも小さい(零若しくは極低回転)場合
に、車両ストール状態であると判定している。しかしな
がら、ストール判定手段17は、他の車両状態によっ
て、車両ストールを判定することもできる。例えば、ス
トール判定手段17に、アクセル検出手段1の信号を入
力することにより、ストール判定手段17は、アクセル
開度が大きく(アクセルペダルが踏み込まれている状
態)、しかも、電動機回転数信号Nmが所定の値よりも
小さい(零若しくは極低回転)場合に、車両ストール状
態であると判定することができる。
【0077】次に、図6を用いて、段差乗り越え不可時
動作について説明する。アクセル検出手段1が踏み込ま
れて電気車が走行しようとした場合に、電気車が段差な
どを乗り越そうとして乗り越しができない様な状態であ
る場合には、図6(A),(B)に示すように、アクセ
ル検出手段1により求められる目標トルク指令値τmが
あるしきい値のAC1以上であっても、電動機15が回
転しないので電動機回転数信号Nmはゼロを維持した状
態となる。
【0078】この時には、電動機電流は、図6(C)に
示すように、目標トルク指令値τmに従った電流が流
れ、図6(G)に示すように、すべり周波数指令値ωs
についても目標トルク指令値τmに従った値であるωs
Aの値が出力されている状態となる。
【0079】この目標トルク指令値τmがあるしきい値
AC1以下で、かつ電動機回転数信号Nmがあるしきい
値Nm1以下である状態を車両ストールであると判断し
てストール判定手段17にて検知し、この状態の継続時
間をストール判定カウンタによりカウントする。図6
(D)に示すように、時刻t2において、このストール
状態がある任意の時間tc、すなわちカウントC1分継
続した場合には、ストール判定手段17よりストール確
定のX点にて、図6(E)に示すように、パワーアップ
フラグPUFを発生する。
【0080】すべり補正係数演算手段21は、このパワ
ーアップフラグPUFを受けて、図6(F)に示すよう
に、すべり補正係数Ksを暫時増加させる。すべり補正
係数Ksの変化方法はある任意の関数計算に沿ってもよ
いし、あらかじめ用意していたパターンに沿って変化さ
せても良いものである。
【0081】この動作により、すべり補正係数KsがK
sAからKsBまで増加し、それに伴って、図6(G)
に示すように、すべり周波数指令値ωsがωsAからω
sBまで増加する。この動作により、先に述べたように
誘導電動機である電動機15の発生トルクτmは、図6
(H)に示すように、図中のτAからτBまで増加す
る。この時に電動機電流は目標トルク指令値τmによっ
て決められる値を維持したままである。これらの動作に
より、電動機15の出力トルクが増加し電気車の駆動力
が増加することとなる。
【0082】しかし、電動機15の出力トルクがτBま
で増加しても乗り越しができないような段差に差し掛か
っていたった場合には、当然ながら車両は段差を乗り越
しすることができず、車両ストールしたままの状態とな
り、電動機回転数信号Nmはしきい値Nm1を下回った
状態が継続することとなる。ストール判定カウンタは時
間tc経過後、すなわちカウントC1経過後も継続して
カウントを行う様に動作しており、図6(D)に示すよ
うに、時間カウントの計数値がやがてしきい値C2に達
する。
【0083】カウント時間がC2に達した場合、ストー
ル判定手段17では車両が乗り越し不能なレベルの段差
に差し掛かっていて電動機15の出力トルクアップを行
っても乗り越しができないでいるものと判断し、電動機
回転数信号Nmがしきい値Nm2に達しない条件であっ
ても、図6(E)に示すように、時刻t4において、パ
ワーアップフラグPUFをリセットし、また、図6(D)
に示すように、ストール判定カウンタをリセットする。
これにより、すべり補正係数演算手段21は、図6
(F)に示すように、すべり補正係数Ksを漸減し、す
べり補正係数KsがKsBからKsAに復帰する動作を
行う。すべり補正係数Ksの復帰は、ある任意の関数計
算に基づいても良いし、あらかじめ容易したパターンに
沿って求めても良い。
【0084】このすべり補正係数Ksの変化により、図
6(G)に示すように、すべり周波数指令値ωsはωs
BからωsAに戻り、図6(H)に示すように、電動機
15の出力トルクτmはτBからτAに復帰する動作と
なる。
【0085】なお、以上の説明において、時間カウント
の計数値がしきい値C2となった場合、すなわち、出力
トルクアップが所定時間継続した場合に、補正係数を元
の状態に戻し、出力トルクを元に戻している。しかしな
がら、例えば、運転者がアクセルペダルを戻した場合に
より、運転者の意志により、段差乗り越えを断念した場
合も、ストール判定手段17は、アクセル検出手段1の
信号を用いて、アクセル開度を判定し、補正係数を元の
状態に戻し、出力トルクを元に戻すようにする。このと
き、アクセル検出手段1によりアクセル開度を検出する
方法の他に、アクセル開度が小さくなることによって、
目標トルク指令値τmがあるしきい値より小さくなった
ことを検出しても、運転者の意志により、段差乗り越え
を断念したとして、補正係数を元の状態に戻し、出力ト
ルクを元に戻すようにすることもできる。
【0086】また、ストール判定手段17は、前後進検
出手段3の出力信号により、操作レバー(変速レバー)
が前進や後進に選択されていない場合、例えば、ニュー
トラルが選択されている場合も、段差乗り越えを断念し
たとして、補正係数を元の状態に戻し、出力トルクを元
に戻すようにすることもできる。
【0087】さらに、ストール判定手段17は、ブレー
キ検出手段2の出力信号により、ブレーペダルが踏み込
まれている場合も、段差乗り越えを断念したとして、補
正係数を元の状態に戻し、出力トルクを元に戻すように
することもできる。
【0088】以上説明したように、本実施形態において
は、このような動作とすることにより、電気車が段差乗
り越え等の動作を行う必要が合った場合に、一時的に電
動機15の出力トルクを増加させることができるが、そ
れでも乗り越し不可能な段差等であった場合には運転者
がそのまま段差乗り越しの為の運転操作を継続していた
場合、ある任意のカウント時間C2を持って段差乗り越
し不能であると判断して出力トルクτmを元に戻す動作
を行えるようになり、不必要に電動機15及び電力変換
手段14に負担をかけないように動作させることができ
る。
【0089】次に、図7を用いて、本実施形態による電
気車の制御装置を搭載した電気車の構成について説明す
る。図7は、本発明の一実施形態による電気車の制御装
置を搭載した電気車のブロック構成図である。なお、図
1と同一符号は、同一部分を示している。電気車の車体
100は、4つの車輪110,112,114,116
によって支持されている。この電気車は、前輪駆動であ
るため、前方の車軸154には、電動機15が直結して
取り付けられている。電動機15は、制御装置34によ
って駆動トルクが制御される。制御装置34の動力源と
しては、電源13が備えられ、この電源13から電力が
制御装置34を介して、電動機15に供給され、電動機
15が駆動されて、車輪110,114が回転する。ハ
ンドル150の回転は、ステアリングギア152及びタ
イロッド,ナックルアーム等からなる伝達機構を介し
て、2つの車輪110,114に伝達され、車輪の角度
が変えられる。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、車両ストール時、電動
機電流を増大させることなく、電動機の出力を増大させ
ることにより、車両ストール状態を回避して、車両性能
の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による電気車の制御装置の
全体構成を示すシステムブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における電気車の制御装置
に用いる誘導電動機のすべり−トルク特性図である。
【図3】本発明の一実施形態による電気車の制御装置の
ストール判定手段17による判定内容を示すフローチャ
ートである。
【図4】本発明の一実施形態による電気車の制御装置の
すべり補正係数演算手段21による演算内容を示すフロ
ーチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による電気車の制御装置に
よる制御時のタイミングチャートである。
【図6】本発明の一実施形態による電気車の制御装置に
よる制御時のタイミングチャートである。
【図7】本発明の一実施形態による電気車の制御装置を
搭載した電気車のブロック構成図である。
【符号の説明】
1…アクセル検出手段 2…ブレーキ検出手段 3…前後進選択手段 4…目標トルク演算手段 5…トルク電流指令演算手段 6…磁束指令演算手段 7…磁束制御手段 8…励磁電流演算手段 9…励磁インダクタンス演算手段 10…電流位相演算手段 11…座標変換手段 12…PWM生成手段 13…電源 14…電力変換手段 15…電動機 16…回転検出手段 17…ストール判定手段 18…電動機回転演算手段 19…すべり演算手段 20…周波数換算手段 21…すべり補正係数演算手段 34…制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安原 隆 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 Fターム(参考) 5H115 PC06 PG04 PU09 PU21 PV03 PV09 QN06 RB19 RB22 RB24 RB26 SE03 TB01 TO04 TO12 5H576 AA15 DD02 DD04 EE01 EE03 EE07 EE11 GG02 HB01 LL22 LL39

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電動機の電流をトルク電流と励磁電流に分
    離して、すべり周波数指令値に応じて、電動機をベクト
    ル制御する制御手段と、この制御手段によって制御され
    る電動機の回転数を検出する回転検出手段を有し、上記
    制御手段は、アクセル開度に応じて、電動機を駆動制御
    する電気車の制御装置において、 電気車のストール状態を判定するストール判定手段と、 すべり補正係数を演算するすべり補正係数演算手段とを
    備え、 上記制御手段は、上記ストール判定手段によってストー
    ル状態と判定された時、上記すべり補正係数演算手段に
    よって求められたすべり補正係数により、すべり周波数
    を補正した上で、上記電動機を制御することを特徴とす
    る電気車の制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の電気車の制御装置におい
    て、 上記ストール判定手段は、上記回転検出手段によって検
    出された電動機回転数が所定値より小さく、アクセル検
    出手段によって検出されたアクセル開度が所定開度より
    大きいか若しくはこのアクセル開度に応じて求められる
    目標トルク指令値が所定値より大きい場合に、電気車の
    ストール状態を判定することを特徴とする電気車の制御
    装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の電気車の制御装置におい
    て、 上記制御手段は、上記ストール判定手段によってストー
    ル状態と判定された後、所定時間が経過すると、すべり
    周波数を補正前のすべり周波数に復帰することを特徴と
    する電気車の制御装置。
  4. 【請求項4】請求項1記載の電気車の制御装置におい
    て、 上記制御手段は、上記回転検出手段によって検出された
    電動機回転数が所定値より大きい状態が所定時間以上継
    続した場合、すべり周波数を補正前のすべり周波数に復
    帰することを特徴とする電気車の制御装置。
  5. 【請求項5】請求項1記載の電気車の制御装置におい
    て、 上記制御手段は、アクセル開度が所定値以下になるか、
    このアクセル開度に応じて求められる目標トルク指令値
    が所定値以下になると、すべり周波数を補正前のすべり
    周波数に復帰することを特徴とする電気車の制御装置。
  6. 【請求項6】請求項1記載の電気車の制御装置におい
    て、 上記制御手段は、前後進選択手段によってニュートラル
    が選択されると、すべり周波数を補正前のすべり周波数
    に復帰することを特徴とする電気車の制御装置。
  7. 【請求項7】請求項1記載の電気車の制御装置におい
    て、 上記制御手段は、ブレーキが踏み込まれると、すべり周
    波数を補正前のすべり周波数に復帰することを特徴とす
    る電気車の制御装置。
  8. 【請求項8】電動機の電流をトルク電流と励磁電流に分
    離して、すべり周波数指令値に応じて、電動機をベクト
    ル制御する制御手段と、この制御手段によって制御され
    る電動機の回転数を検出する回転検出手段を有し、上記
    制御手段は、アクセル開度に応じて、電動機を駆動制御
    する電気車の制御装置において、 上記制御手段は、ストール状態判定時に、上記電動機に
    供給する交流電力の周波数を増加制御することを特徴と
    する電気車の制御装置。
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