JP2003055347A - 2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−n−オキシル化合物の製造方法 - Google Patents

2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−n−オキシル化合物の製造方法

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JP2003055347A
JP2003055347A JP2001245478A JP2001245478A JP2003055347A JP 2003055347 A JP2003055347 A JP 2003055347A JP 2001245478 A JP2001245478 A JP 2001245478A JP 2001245478 A JP2001245478 A JP 2001245478A JP 2003055347 A JP2003055347 A JP 2003055347A
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oxyl
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tetramethyl
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Shigeki O
重輝 王
Zenji Yamaguchi
善治 山口
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Hakuto Co Ltd
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Hakuto Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、過酸化水素を用いたN−非置換−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの酸化による
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシ
ル化合物の製造において、過酸化水素の分解反応を抑制
し、その使用量を低減し、2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン−N−オキシル化合物の収率を高めた製造
方法を提供することにある。 【解決手段】 N−非置換−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジンの過酸化水素による酸化において、4−
ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
−N−オキシルを触媒として使用する2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン−N−オキシル化合物の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明に属する技術分野】本発明は、ラジカル重合禁止
剤、有機高分子材料用の光安定剤およびレドックス触媒
として有用な立体障害性ニトロキシル化合物である2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル化
合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン−N−オキシル化合物の製造方法は、N−置
換−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを過酸化
水素で酸化する方法が用いられ、その酸化反応方法がい
くつか開示されている。例えば、特公昭44−1214
2号公報では、タングステン酸塩、リンタングステン
酸、リンモリブデン酸などの金属塩を触媒とする方法、
特開平6−247932号公報では、ケイ素化合物であ
るヘテロポリ酸またはそのアルカリ金属塩、あるいはア
ンモニウム塩を使用する製造方法、特開平6−8783
0号公報、特開平6−100538号公報には、二価ア
ルカリ金属塩および亜鉛の塩を酸化触媒として使用する
方法、特開平8−3136号公報には、二酸化炭素の存
在下、過酸化水素を用いてN−オキシル化合物の製造方
法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のタング
ステン酸塩等の金属塩、ヘテロポリ酸またはそのアルカ
リ金属塩を触媒とする方法、二価アルカリ金属塩および
亜鉛の塩を酸化触媒として用いる方法は、いずれも酸化
反応が遅く、そのために過酸化水素自身の分解も進み反
応率が低くなったり、過剰量の過酸化水素が必要となる
等の問題点がある。本発明は、過酸化水素を用いる2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル化
合物の製造において、過酸化水素自身の分解反応を抑制
し、その使用量を低減し、2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン−N−オキシル化合物の収率を高めた製造
方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するため手段】本発明者らは、N−非置換
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物の過
酸化水素による酸化反応について鋭意研究を重ねた結
果、過酸化水素と4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン−N−オキシルを使用することに
より、過酸化水素の分解を抑制し、高収率で2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル化合物
を得ることができることを見出し、発明を完成するに至
った。
【0005】即ち、請求項1に係る発明は、N−非置換
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物を過
酸化水素と4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン−N−オキシルを含む触媒を用いて製造
することを特徴とする2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン−N−オキシル化合物の製造方法である。
【0006】請求項2に係る発明は、請求項1記載の
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシ
ル化合物の製造方法において、触媒が4−ヒドロキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシ
ルと過タングステン酸であることを特徴とする。
【0007】請求項3に係る発明は、請求項1ないし2
記載の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−
オキシル化合物の製造方法において、2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシ
ル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン−N−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−エト
キシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−
オキシル、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−N−
オキシルピペリジル)グルタレート、ビス(2,2,
6,6−テトラメチル−N−オキシルピペリジル)アジ
ペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−N−オ
キシルピペリジル)セバケートから選ばれた少なくとも
1種であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳しく説明
する。
【0009】本発明の2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン−N−オキシル化合物の製造方法は、N−非置
換−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物と
して2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを例に挙
げ説明すると、下式のように過酸化水素と4−ヒドロキ
シ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オ
キシルを含む触媒を使用して、N−非置換−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン化合物(2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン)(A)を酸化させて対応
する2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オ
キシル化合物(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン−N−オキシル)(B)を製造する方法である。
【0010】
【化1】
【0011】本発明のN−非置換−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン化合物(以下、「N−非置換TE
MP」とする)は、ピペリジン環の窒素原子に置換基の
導入されていないN−非置換−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン化合物であり、4位に置換基を持って
いても、持っていなくてもいずれでも良いN−非置換−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物からな
る群から選ばれた少なくとも1種以上を用いたN−非置
換−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物で
ある。具体的には、下記一般式(1)および/又は一般
式(2)で示されたN−非置換−2,2,6,6−テト
ラメチルピペリジン化合物類であり、
【0012】
【化2】
【0013】
【化3】
【0014】一般式(1)において、Xは、メチレン
基、カルボニル基、カルボキシメチレン基、カルバモイ
ルメチル基、炭素数1〜6のアルコキシメチレン基であ
る。具体的には、2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン、4−カルバモイル−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン、4−エトキシ−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン、4−プロポキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどがあり、
好ましくは2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン、4−エトキシ−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン、より好ましくは2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジンである。
【0015】一般式(2)において、Rは炭素数1〜
10のアルキレン基、フェニレン基であり、例えばメチ
レン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペン
チレン基、ヘキセレン基、デカニレン基、フェニレン基
である。具体的には、ビス(2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジル)マレート、ビス(2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジル)スクシネート、ビス(2,2,
6,6−テトラメチルピペリジル)グルタレート、ビス
(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)アジペー
ト、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)
セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジル)テレタレート、ビス(2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジル)フタレートなどがあり、好ましくは
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)グル
タレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジル)セバケート、より好ましくはビス(2,
2,6,6−テトラメチルピペリジル)アジペート、ビ
ス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケ
ートである。本発明のN−非置換−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン化合物は、これらの単独あるいは
2種以上を組み合わせて用いても何ら構わない。
【0016】本発明の2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン−N−オキシル化合物(以下、「TEMPO」
とする)は、過酸化水素による酸化でN−非置換TEM
Pのピペリジン環の窒素原子に−O・が導入され、N−
非置換TEMPに対応した2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン−N−オキシル化合物となったものであ
る。具体的には、一般式(1)、(2)の2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン化合物に対応して得られ
る、下式の一般式(3)、(4)で示される2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル化合物
であり、
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】一般式(3)においては、例えば2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−
オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N
−オキシル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン−N−オキシル、4−カルバモイル−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシ
ル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン−N−オキシル、4−エトキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−イソプ
ロポキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンな
どがあり、好ましくは2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−メトキ
シ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オ
キシル、4−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン−N−オキシル、より好ましくは2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−
メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−
N−オキシルである。
【0020】同様に一般式(4)においては、例えばビ
ス(2,2,6,6−テトラメチル−N−オキシルピペ
リジル)マレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチ
ル−N−オキシルピペリジル)スクシネート、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−N−オキシルピペリ
ジル)グルタレート、ビス(2,2,6,6−テトラメ
チル−N−オキシルピペリジル)アジペート、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−N−オキシルピペリ
ジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチ
ル−N−オキシルピペリジル)テレタレート、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−N−オキシルピペリ
ジル)フタレートなどがあり、好ましくはビス(2,
2,6,6−テトラメチル−N−オキシルピペリジル)
グルタレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−
N−オキシルピペリジル)アジペート、ビス(2,2,
6,6−テトラメチル−N−オキシルピペリジル)セバ
ケート、より好ましくはビス(2,2,6,6−テトラ
メチル−N−オキシルピペリジル)アジペート、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−N−オキシルピペリ
ジル)セバケートである。
【0021】本発明の4−ヒドロキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(以下、「H
TEMPO」とする)は、水溶性および有機溶媒可溶性
のN−オキシル化合物であり、市販の試薬及び工業製品
が使用できる。HTEMPOは、過酸化水素によるピペ
リジン化合物、特に2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン化合物の酸化触媒として作用し、N−非置換TE
MPのN−H基に作用して、N−オキシル化をもたら
す。
【0022】HTEMPOの使用方法は、特に限定され
るものではないが、通常、HTEMPOを予め水に希釈
して10〜50重量%水溶液として、過酸化水素と共に
N−非置換TEMPに添加する方法、あるいは予め過酸
化水素水に溶解させて添加する方法等があり、適宜、選
択すれば良い。
【0023】本発明のHTEMPOの使用量は、通常、
N−非置換TEMPの1モルのN−H基に対して、1〜
30ミリモルであり、好ましくは5〜20ミリモルであ
る。HTEMPOが1ミリモル未満となるとHTEMP
Oの触媒効果が得られない場合がある。また、30ミリ
モル以上では、酸化反応は十分達成するが、増加した割
に触媒効果の向上が小さく、好ましくない場合がある。
【0024】本発明のHTEMPOと過酸化水素におい
て、従来から使用されてきた触媒類との併用を何ら妨げ
るものではなく、特に、HTEMPOと過タングステン
酸の併用により、使用する過酸化水素使用量の低減、反
応収率の向上、反応条件の緩和、例えば、反応時間の短
縮が得られる。
【0025】HTEMPOと過タングステン酸の併用比
率は、特に限定されたものではなく、N−非置換−2,
2,6,6−テトラピペリジン化合物の種類と目的とす
るN−オキシル化合物を考慮して、通常、HTEMP
O:過タングステン酸=20:80〜80:20の範囲
で適宜、決定すれば良い。HTEMPOと過タングステ
ン酸を併用する場合、その使用方法は特に限定されるも
のではなく、それぞれ水溶液として個別添加する、ある
いは過酸化水素水と混合して使用する等の方法がある。
【0026】本発明の過酸化水素の使用量は、N−非置
換TEMPのN−H基1モルに対して、理論上、1.5
モル必要であるが、過酸化水素の分解を考慮して、通
常、1.8〜4.0モル、好ましくは2.0〜3.5モ
ルで使用される。1.8モル未満になると酸化反応が不
十分となる場合がある。また、4.0モル以上となると
酸化反応は十分達成するが、残存過酸化水素の処理に費
用を要し経済的に好ましくない場合がある。
【0027】本発明で使用する過酸化水素は、特に限定
されたものではなく、通常、約10〜70重量%の過酸
化水素水が用いられる。
【0028】本発明のHTEMPOと過酸化水素による
N−非置換TEMPの酸化反応は、N−非置換TEMP
が水溶性ならば、N−非置換TEMPの水溶液中で行
い、非水溶性ならば水―水溶性有機液体との混合溶中、
水相―有機相二相系および懸濁液中で実施する。水溶性
有機液体としては、過酸化水素のより酸化反応を受けな
い水溶性有機溶媒であり、例えば、ジオキサン、N、N
−ジメチルホルムアミド、エタノール等がある。また、
水相―有機相二相系および懸濁液中で実施する場合に
は、適宜、相転移触媒、例えば、クラウンエーテル類、
第四アンモニウム塩類、第四ホスホニウム塩類等の使用
やアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤を使用
する等の方法がある。
【0029】本発明のHTEMPOと過酸化水素による
N−非置換TEMPの酸化反応の温度は、通常、30〜
90℃、好ましくは40〜60℃である。30℃より低
いと反応の進行が遅く、90℃より高いと過酸化水素の
分解が進行し好ましくない。他の触媒、例えば過タング
ステン酸を併用した場合、40〜60℃が好ましい。
【0030】本発明のHTEMPOと過酸化水素による
N−非置換TEMPの酸化反応時間は、N−非置換TE
MPと目的とするTEMPOにより適宜、選択されれば
良いが、目安として3〜8時間である。
【0031】反応の進行は、ガスクロマトグラフィー等
の分析を用い、被反応物であるN−非置換TEMPの減
少と、反応生成物であるN−オキシル化合物の生成を測
定することにより知ることができ、目的のN−オキシル
化合物が定量的に生成したことを確認して終了する。
【0032】反応終了後、反応系から目的物を単離する
には濃縮、液−液抽出、晶析、濾過また乾燥など通常の
方法が用いられる。水溶性N−オキシル化合物を製造す
る場合は、N−オキシル化合物を濃縮した後、有機溶剤
で目的物を液―液抽出して溶媒を蒸発することにより固
体目的物を得られる。非水溶性N−オキシル化合物を製
造する場合は、有機相と水相の二相系においては簡単に
分離すればよい。懸濁液においては非水溶性N−オキシ
ル化合物を濾過することによって、固体の目的物がえら
れる。HTEMPOを触媒とした場合、金属化合物類触
媒を含有しないため、水系から生成したN−オキシル化
合物を単離しやすくなる。
【0033】残存過酸化水素の分解が必要な場合、従来
の二酸化マンガン等の重金属酸化物や鉄、コバルト、ニ
ッケル、銅等の重金属イオンの重金属化合物を用いて分
解する方法、よう化カリウムおよびヨウ素酸を用いた方
法があり、適宜、選択すればよい。
【0034】
【実施例】以下、実施例によって、本発明をさらに詳細
に説明する。 (実施例1)撹拌機、温度計およびコンデンサーを付け
した500mL三つ口フラスコ反応装置に2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン(TEMP):70.5g
(0.50モル)、トルエン:120mLを加え、HT
EMPO:1.51(10ミリモル)、35%の過酸化
水素溶液120g(1.24モル)を加え、75℃に加
熱した。この温度で8時間撹拌した。反応終了後、ヨウ
素滴定法で反応系に残った過酸化水素は5.8%であっ
た。次に、トルエン150mLとよう化カリウム0.2
gを加入し、84℃で1時間加熱し、残存過酸化水素が
完全に分解したことを確認した後、常圧下、蒸留により
水を除去した。残留物をキシレン150mLで3回、抽
出し、減圧下、キシレンを留去して2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジンN−オキシル(TEMPO)を収
率97%で得た。 (実施例2)撹拌機、温度計およびコンデンサーを付け
した500mL三つ口フラスコ反応装置に2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン(TEMP):70.5g
(0.50モル)、トルエン:120mLを加え、HT
EMPO:1.51(10ミリモル)、35%の過酸化
水素溶液97g(1.00モル)を加え、75℃に加熱
した。この温度で8時間撹拌した。反応終了後、ヨウ素
滴定法で反応系に残った過酸化水素は5.8%であっ
た。次に、トルエン150mLとよう化カリウム0.2
gを加入し、84℃で1時間加熱し、残存過酸化水素が
完全に分解したことを確認した後、常圧下、蒸留により
水を除去した。残留物をキシレン150mLで3回、抽
出し、減圧下、キシレンを留去して2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジンN−オキシル(TEMPO)を収
率95%で得た。 (実施例3)35%の過酸化水素97g(1.00モ
ル)にHTEMPOを0.75g(5ミリモル)、タン
グステン酸1.2g(5ミリモル)を添加して、40℃
で15分間加熱して、HTEMPOと過タングステン酸
を含有する過酸化水素水溶液を調製した。撹拌機、温度
計およびコンデンサーを付けした500mL三つ口フラ
スコ反応装置にTEMP70.5g(0.50モル)、
トルエン:120gを添加し、50℃に加熱した後、先
に調製したHTEMPOと過タングステン酸を含有する
過酸化水素水溶液を加え、50℃で3時間撹拌した。反
応終了後、よう素酸0.2gを添加し、70℃で1時間
撹拌して残存の過酸化水素を分解した。そして、実施例
1と同様な方法でHTEMPOを固化単離し、TEMP
Oを得た(収率97%)。 (実施例4)実施例3において、TEMP70.5g
(0.50モル)をOTEMP77.5g(0.50モ
ル)に置き換えて、同様に酸化反応を行い、4−オキソ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンN−オキシ
ル(OTEMPO)を得た(収率94%)。 (実施例5)実施例2において、TEMP70.5g
(0.50モル)をビス(2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジル)セバケート(bis−TEMP−S)24
0.5g(0.50モル)に置き換えて添加して、同様
に反応を行った。その結果、ビス(2,2,6,6−テ
トラメチル−N−オキシルピペリジル)セバケート(bi
s−TEMPO−S)を得た(収率90%)。 (比較例1)実施例1において、触媒に水酸化マグネシ
ウム0.58g(10ミリモル)を用い、他は同様の条
件で2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEM
P)を過酸化水素で酸化し、2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン−N−オキシル(TEMPO)を収率8
9%で得た。 (比較例2)実施例1において、触媒に水酸化マグネシ
ウム0.58g(10ミリモル)を用い、35%の過酸
化水素溶液を97g(1.00モル)とし、他の反応条
件は同様でTEMPの酸化反応を行った。TEMPの収
率は71%であった。 (比較例3)実施例1において、TEMPをOTEMP
77.5g(0.5モル)に置き換え、触媒を水酸化マ
グネシウム0.58g(10ミリモル)として、酸化反
応を行った。その結果、OTEMPOを収率26%で得
た。 (比較例4)実施例3において、HTEMPOを添加せ
ず、タングステン酸2.5g(10ミリモル)と35%
の過酸化水素120g(1.24モル)により、過タン
グステン酸−過酸化水素水溶液を調製し、TEMPから
TEMPOを調製した。その収率は91%であった。 (比較例5)実施例3において、HTEMPOを添加せ
ず、タングステン酸2.5g(10ミリモル)と35%
の過酸化水素97g(1.00モル)により、過タング
ステン酸−過酸化水素水溶液を調製し、TEMPからT
EMPOを調製した。その収率は80%であった。 (比較例6)実施例3において、HTEMPOの0.7
5g(5ミリモル)をタングステン酸1.25g(5ミ
リモル)に置き換え、タングステン酸を合計2.5g
(10ミリモル)添加して反応を行った。その結果、ビ
ス(2,2,6,6−テトラメチル−N−オキシルピペ
リジル)セバケートを収率71%で得た。以上の結果を
表1のまとめた。
【0035】
【表1】
【0036】過酸化水素によるN−非置換−TEMPの
N−オキシル化にHTEMPOを併用することで、N−
オキシル化の収率が向上し、特に過タングステン酸との
併用では、使用過酸化水素量を20モル%低減しても過
タングステン酸単独使用よりも17〜19ポイントも収
率が高くなることが分かった。
【0037】
【発明の効果】本発明は、HTEMPOを触媒として用
いることによって過酸化水素によるN−非置換−ピペリ
ジン化合物から、対応するN−オキシル化合物への収率
の向上と過酸化水素使用量の低減が達成できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】N−非置換−2,2,6,6−テトラメチ
    ルピペリジン化合物を過酸化水素と4−ヒドロキシ−
    2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシ
    ルを含む触媒を用いて製造することを特徴とする2,
    2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル化
    合物の製造方法。
  2. 【請求項2】触媒が、4−ヒドロキシ−2,2,6,6
    −テトラメチルピペリジン−N−オキシルと過タングス
    テン酸である請求項1記載の2,2,6,6−テトラメ
    チルピペリジン−N−オキシル化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
    −N−オキシル化合物が、2,2,6,6−テトラメチ
    ルピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,
    6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−
    カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
    −N−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テト
    ラメチルピペリジン−N−オキシル、4−エトキシ−
    2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシ
    ル、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−N−オキシ
    ルピペリジル)グルタレート、ビス(2,2,6,6−
    テトラメチル−N−オキシルピペリジル)アジペート、
    ビス(2,2,6,6−テトラメチル−N−オキシルピ
    ペリジル)セバケートから選ばれた少なくとも1種であ
    る請求項1ないし2記載の2,2,6,6−テトラメチ
    ルピペリジン−N−オキシル化合物の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011125437A1 (ja) * 2010-04-06 2011-10-13 第一工業製薬株式会社 N-オキシル化合物の製法
JP2011219381A (ja) * 2010-04-06 2011-11-04 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd N−オキシル化合物の製法
JP2011219382A (ja) * 2010-04-06 2011-11-04 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd N−オキシル化合物の製法
CN112707858A (zh) * 2020-12-28 2021-04-27 上海博栋化学科技有限公司 一种以丙酮和氨气为原料一锅法合成阻聚剂702的制备方法

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