JP2003041086A - 水系エマルジョン組成物 - Google Patents

水系エマルジョン組成物

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JP2003041086A
JP2003041086A JP2002136455A JP2002136455A JP2003041086A JP 2003041086 A JP2003041086 A JP 2003041086A JP 2002136455 A JP2002136455 A JP 2002136455A JP 2002136455 A JP2002136455 A JP 2002136455A JP 2003041086 A JP2003041086 A JP 2003041086A
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emulsion composition
aqueous emulsion
rpm
mass
component
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JP2002136455A
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English (en)
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Ichiji Watanabe
一司 渡辺
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゾル−ゲル変換性が良好な水系エマルジョン
組成物の提供。 【解決手段】 (A)アルコキシシリル基を有する構成
単位を含む重合体エマルジョンを固形分濃度で30〜9
5質量%含有し、(B)シラノール基を有するポリビニ
ルアルコールを固形分濃度で5〜70質量%含有し、固
形分濃度20質量%で、BL型粘度計(6、12、30
及び60rpm)により測定される30℃の粘度(V
30)と10℃の粘度(V10)の比率(V10/V
30)が2以上である水系エマルジョン組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温度降下によりゾ
ル−ゲル変換性を示す水系エマルジョン組成物、前記水
系エマルジョン組成物を用いた情報記録用積層体及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】写真カ
ラーネガフィルムや写真カラーペーパーは、プラスチッ
クフィルムや紙等の基材上に、ハロゲン化銀やカップラ
ー等の各種記録材料をバインダーと共に分散した複数種
の塗布液を塗布乾燥して製造されている。
【0003】このような写真カラーネガフィルムの製造
に用いるバインダーとして、冷却によりゲル化する可逆
的なゾル−ゲル変換性(温度を冷却することによって、
著しく粘度が上昇し、最終的にはゲル化するが、温度を
上げることで再びゾル化する現象)を有するゼラチンを
用いる技術が知られている。(特開平3−296736
号公報、特開平4−116544号公報参照) また、冷却によりゲル化する可逆的なゾル−ゲル変換性
を示す高分子として、アイソタクチックポリメタクリル
酸メチルとシンジオタクチックポリメタクリル酸メチル
とをメタクリル酸メチルモノマーに溶解した混合物を用
いる感光性ゲル状物質が特開平4−225009号公報
に開示されているが、これらは水系エマルジョンに関す
るものではない。
【0004】また、2000年7月4日の日本画像学会
「デジダルフォトプリントステーションと最新要素技
術」研究会における「TA方式とデジタルプリントステ
ーションへの展開」という題目の中で、デジタル感熱式
情報記録紙であるTA(Thermo−Autochr
ome:直接感熱記録方式)ペーパーの保護層に、温度
を約10℃まで冷却すると、塗布液粘度が著しく上昇す
るゾル−ゲル変換性があるアルコキシ基変性ポリビニル
アルコールをバインダーに使用することが報告されてい
る。
【0005】また、特開平4−219730号公報に
は、ポリビニルアルコールとテトラエトキシシランとの
ゾル−ゲル反応によって、架橋を行うカプセル型液晶表
示素子が示されているが、乾燥段階で不可逆的なゲル化
が進行するものであり、水系エマルジョンに関するもの
ではない。
【0006】また、特開昭63−139957号公報に
は、重合性の不飽和有機シラン化合物の共重合体が示さ
れているが、一液型湿式硬化性の有機溶剤プライマーに
関するものであり、水系エマルジョンに関するものでは
ない。
【0007】一方、逆に加熱によりゲル化するゾル−ゲ
ル変換性を示す高分子として、ポリ−N−イソプロピル
アクリルアミドを用いるカラーレジストが特開平5−3
13008号公報により知られている。
【0008】しかし、従来バインダーとして用いられて
いるゼラチンやポリビニルアルコール等の水溶性ポリマ
ーは、画像等の情報形成・記録システムの制限を受ける
場合があり、画像情報の耐水安定性が劣る等の性能上の
不具合もある。また、写真現像液を使用しない、乾式
(ドライ方式)の情報形成・記録システムが急激に普及
しており、これらのシステムにおいては、疎水性でかつ
ゾル−ゲル変換性を示し、積層塗布が可能であるバイン
ダーが要望されている。
【0009】本発明は、温度降下によりゲル化し、かつ
疎水性を示すことができ、バインダーとして好適な、ゾ
ル−ゲル変換性を示す水系エマルジョン組成物を提供す
ることを課題とする。
【0010】また本発明は、前記水系エマルジョン組成
物を用いた情報記録用積層体及びその製造方法を提供す
ることを他の課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題の解
決手段として、(A)アルコキシシリル基を有する構成
単位を含む重合体エマルジョンを固形分濃度(不揮発分
濃度)で30〜95質量%含有し、(B)シラノール基
を有するポリビニルアルコールを固形分濃度(不揮発分
濃度)で5〜70質量%含有する水系エマルジョン組成
物を提供するものである。
【0012】本発明の水系エマルジョン組成物は、使用
時において(A)及び(B)成分を混合する2液性の水
系エマルジョン組成物にすることが好ましい。
【0013】本発明は、上記他の課題の解決手段とし
て、基材上に、上記水系エマルジョン組成物をバインダ
ーとして含む層を1又は2以上有する情報記録用積層体
及びその製造方法を提供するものである。
【0014】本発明におけるBL型粘度計による粘度測
定は、水系エマルジョンを所定温度雰囲気中に30分間
放置したのちに測定したものである。また、ゲル化した
とは、粘度が100,000mPa・s以上となり、B
L型粘度計により粘度が測定できない状態になったこと
を意味する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明で用いる(A)成分のアル
コキシシリル基を有する構成単位を含む重合体エマルジ
ョンは、構成単位中にアルコキシル基を有する構成単位
を1以上有しているものであればよく、アルコキシル基
を有する構成単位の種類は特に制限されない。
【0016】(A)成分の重合体エマルジョンは、アル
コキシシリル基を有するモノマーと、それらと共重合可
能なモノマーとを共重合させる方法、アクリル系樹脂、
スチレン−ブタジエン系樹脂、ポリエステル樹脂、エチ
レン−酢酸ビニル系樹脂等の重合体に対して、アルコキ
シシリル基を有するモノマーを重合させる方法、化学的
修飾方法により前記重合体に導入する方法等を適用して
製造することができる。
【0017】アルコキシシリル基を有するモノマーとし
ては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリプロポキシシラン及びビニルトリス(β
−メトキシエトキシ)シラン等を挙げることができる
が、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが好ま
しい。
【0018】アルコキシシリル基を有するモノマーと共
重合可能なモノマーとしては、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸
ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタク
リル酸、アクリル酸、スチレン、アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸ブチル及びアクリル酸−2
−エチルヘキシル、ブタジエン、アクリロニトリル、塩
化ビニル、酢酸ビニル、エチレン等を挙げることができ
る。
【0019】(A)成分の重合体エマルジョン中のアル
コキシシリル基量は特に限定されないが、重合体(乾
燥)1g当りのアルコキシシリル基量は、好ましくは
0.01〜4mmol、より好ましくは0.02〜2m
mol、特に好ましくは0.1〜1mmolの範囲であ
る。
【0020】アルコキシシリル基量が0.01mmol
以上の場合は、(A)成分と(B)成分との相互作用が
良く、温度降下によるゾル−ゲル変換が速やかに生じる
ために情報記録用積層体を製造する際の塗布作業性が向
上されるほか、乾燥後の膜物性においても耐水性が良く
なる。アルコキシシリル基量が4mmol以下の場合
は、(A)及び(B)成分の相互作用が適度となり、組
成物の安定性が向上される。
【0021】本発明で用いる(B)成分のシラノール基
を有するポリビニルアルコールは、アルコキシシリル基
を有するモノマーと酢酸ビニルを共重合した後、ケン化
したり、化学的修飾方法で変性したりすることで製造で
きる。
【0022】(B)成分のポリビニルアルコール中のシ
ラノール基量は特に限定されないが、ポリビニルアルコ
ール(乾燥)1g当りのシラノール基量は、好ましくは
0.01〜2mmol、より好ましくは0.02〜1m
mol、特に好ましくは0.05〜0.5mmolの範
囲である。
【0023】シラノール基量が0.01mmol以上の
場合は、(A)及び(B)成分との相互作用が良く、温
度降下によるゾル−ゲル変換が速やかに生じるために情
報記録用積層体を製造する際の塗布作業性が向上され
る。シラノール基量が24mmol以下の場合は、
(A)及び(B)成分との相互作用が適度となり、組成
物の安定性が良くなる。
【0024】(B)成分としては、シラノール基変性ポ
リビニルアルコール(クラレ(株)製、K−ポリマー)
を用いることができる。
【0025】本発明の水系エマルジョン組成物におい
て、(A)及び(B)成分の含有割合は、(A)成分が
30〜95質量%、好ましくは50〜90質量%、より
好ましくは70〜80質量%であり、(B)成分が5〜
70質量%、好ましくは10〜50質量%、より好まし
くは20〜30質量%である。
【0026】(A)成分の含有割合が30質量%以上の
場合は、乾燥後の塗布膜の疎水性及び耐水性が優れてい
る。(A)成分の含有割合が95質量%以下の場合は、
温度降下によるゾル−ゲル変換が速やかに生じるため、
情報記録用積層体を製造する際の塗布作業性が良い。
【0027】本発明の水系エマルジョン組成物は、固形
分濃度20質量%で、BL型粘度計(6、12、30及
び60rpm)により測定される30℃の粘度
(V30)と10℃の粘度(V10)の比率(V10
30)が、好ましくは2以上、より好ましくは5以
上、更に好ましくは10以上になるものである。
【0028】更に本発明の水系エマルジョン組成物は、
固形分濃度20質量%で、BL型粘度計(60rpm)
により測定される30℃の粘度(V)が、好ましくは
5000mPa・s以下、より好ましくは1000mP
a・s以下、更に好ましくは200mPa・s以下にな
るものである。
【0029】本発明の水系エマルジョン組成物は、常温
乃至30℃程度では粘度の低いゾル状態を維持するた
め、情報記録用積層体を製造する際の塗布液の粘度が低
く、塗布作業性が良いので好ましい。そして、塗布後に
10℃乃至5℃程度まで温度降下(好ましくは急冷)さ
せたときに粘度が上昇し、多くの場合、保持時間、部分
的な乾燥、下層又は基材等への水の染み込みに応じてゲ
ル状態にまで変換するため、各積層間の界面が入れ乱れ
ることなく安定化され、最終段階で乾燥処理したときの
各層の表面が平滑となる。
【0030】本発明の水系エマルジョン組成物は、固形
分濃度20質量%で、BL型粘度計により測定される6
rmpでかつ30℃の粘度(V6rpm)と60rpm
でかつ30℃の粘度(V60rpm)の比率(V
6rpm/V60rpm)が、好ましく1.3以上、よ
り好ましくは2以上、更に好ましくは5以上になるもの
である。
【0031】本発明の水系エマルジョン組成物は、上記
のとおり、30℃から10℃への温度降下により粘度を
上昇させるゾル−ゲル変換性を示すものであるが、BL
型粘度計による測定時において、60、30、12及び
6rpmと回転数を減少させた場合にも、温度降下の場
合と同様の粘度上昇傾向を示し、回転数が高くなるほ
ど、即ち加える外力が大きくなるほど粘度測定値が小さ
くなるチキソトロピーを示す。このため、本発明の水系
エマルジョン組成物を用いて塗布液を調製する際には、
塗布作業性を考慮して、適宜攪拌の回転数等で剪断速度
を調整することで、所望粘度の塗布液を得ることができ
る。
【0032】本発明の水系エマルジョン組成物は、
(A)及び(B)成分の相互作用によって、温度降下に
より粘度が上昇し、温度上昇により粘度が低下するた
め、温度条件の設定により可逆的にゲル化したりゾル化
したりするゾル−ゲル変換性を有している。このため、
塗布性に優れ、乾燥後には、エマルジョン粒子と水溶性
ポリマーが相互に架橋するため、塗布膜は疎水性乃至耐
水性を示す。なお、本発明の水系エマルジョン組成物
は、保管時には(A)及び(B)成分を別々に保管し、
使用時において(A)及び(B)成分を混合して使用す
る、2液性の組成物にすることが望ましい。
【0033】本発明の情報記録用積層体は、基材上に、
上記した水系エマルジョン組成物をバインダーとして含
み、更に用途に応じて必要な各種添加成分を含有してな
るものである。なお、本発明の水系エマルジョン組成物
と共に、公知の他のバインダー成分、例えばゼラチンを
併用することもできる。
【0034】基材は用途に応じて適宜選択されるもので
あり、紙、各種天然又は合成樹脂からなるプラスチック
フィルム、織布、不織布、ガラス、金属、陶磁器、又は
これらを2種以上組み合わせた複合体等を挙げることが
できる。基材の形状、厚み、大きさ等は、用途に応じて
適宜選択することができる。
【0035】用途に応じて必要な各種添加成分として
は、シリカゲルのような無機微粒子、ポリビニルアルコ
ールとの弱い相互作用を有するホウ酸又はその塩、熱、
光又は圧力応答性の発色成分である各種染料、ハロゲン
化銀、有機銀、化学増感剤、カブリ防止剤、分光増感
剤、現像促進剤、現像抑制剤、色調剤、還元剤、酸化
剤、カプラー、発色剤、顔料、染料、退色防止剤、混色
防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、色素捕
獲剤、染料受容剤、界面活性剤、可塑剤、帯電防止剤、
滑剤、マット剤、マイクロカプセル等を挙げることがで
きる。なお、これらの添加成分は、水系エマルジョン組
成物の含有成分として、予め組成物に配合しておくこと
もできる。
【0036】本発明の情報記録用積層体は、次の方法で
製造することができる。まず、所望の基材と塗布液を用
意する。この塗布液は、用途に応じて必要な添加成分と
バインダーとしての水系エマルジョン組成物を含むもの
である。
【0037】次に、塗布液の温度をゾル状態(30〜5
0℃程度)に保持し、基材上に塗布液を塗布した後、ゲ
ル化温度以下(5〜15℃程度)まで急冷し、そのまま
の状態で所要時間だけ保持及び部分乾燥して、塗布液を
ゲル化させ、第1層を形成する。その後、同様にして所
要回数の塗布と冷却及び部分乾燥を行って、所要数の層
を積層した後、40〜100℃程度で後乾燥して、基材
上に1又は2以上の層を有する情報記録用積層体を得る
ことができる。
【0038】塗布方法は、ローラー法、リバースロール
法、ドクターブレード法、浸漬法、エアーナイフ法、ス
プレー法、ビーズ法、押出法、ストレッチフロー法、ス
クリーン印刷法、カーテン法等を適用できる。
【0039】以上のとおり、塗布液を塗布後に冷却して
ゲル化及び部分乾燥させ、これを繰り返すことにより、
各層はゲル化した状態で積層されるため、各層の界面が
入り乱れることがなく、平滑面が形成される。
【0040】更に、乾燥処理後の塗布膜では、(A)及
び(B)成分が高密度で架橋されており、その中に、カ
ブリ防止剤、色調節剤、安定剤、マット剤、染料・顔料
等の添加成分が閉じこめられて固定されるため、これら
の添加成分がブリード(膜外への拡散)することが防止
される。このため、記録画像の鮮鋭度や画像保存安定性
が損なわれることがない。
【0041】本発明の情報記録用積層体は、画像鮮鋭度
や保存安定性、耐光性等に優れたインクジェット・レー
ザー・熱転写方式等の各種感熱・感圧・感光、及びそれ
らの複合方式の情報記録用積層紙や情報記録用積層フィ
ルムに適用することができる。
【0042】
【実施例】以下、実施例によって、本発明の内容を更に
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
【0043】製造例1 下記の乳化重合法により、(A)成分の重合体エマルジ
ョンを合成した。攪拌機とコンデンサーを備えたガラス
フラスコに、蒸留水400質量部、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル系乳化剤(ハイテノール08E:第一
工業製薬(株)製)11質量部を仕込み、温度50〜5
5℃で溶解させ、80℃に昇温した。
【0044】80℃に維持しながら、ラジカル重合開始
剤として過硫酸カリウム1.5質量部を添加し、スチレ
ン50質量部、2−エチルヘキシルアクリレート36質
量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5質量部、
アクリル酸5質量部及びγ−メタクリロキシイルプロピ
ルトリメトキシシラン(日本ユニカ(株)製、A−17
4)4質量部からなる重合性モノマー混合物を3時間か
けて滴下した後、更に80℃で3時間反応させ、不揮発
分濃度が22.5質量%の重合体エマルジョンを製造し
た。
【0045】製造例2 下記の乳化重合法により、(A)成分の重合体エマルジ
ョンを合成した。攪拌機とコンデンサーを備えたガラス
フラスコに蒸留水2200質量部、乳化剤としてドデシ
ルベンゼンスルホン酸ソーダ12.6質量部、中和剤と
して苛性ソーダ1.5質量部を仕込み、80℃に昇温し
た。
【0046】80℃に維持しながら、ラジカル重合開始
剤として過硫酸カリウム2質量部を添加し、表2に示す
割合(質量部)のメチルメタクリレート、ブチルアクリ
レート、及びγ−メタクリロキシイルプロピルトリメト
キシシラン(日本ユニカ(株)製、A−174)のモノ
マー混合物(モノマー混合物全体で1260質量部)を
3時間かけて滴下した後、更に80℃で3時間反応さ
せ、冷却後、不揮発分濃度を調整し、不揮発分濃度が3
6.0質量%の重合体エマルジョンを製造した。
【0047】実施例1 シラノール変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)
製、R−2130)100質量部と2.5質量部の水酸
化ナトリウムを、脱イオン水1900質量部に90℃で
1時間撹拌して溶解させ、(B)成分の5質量%水溶液
を得た。
【0048】製造例1で得た(A)成分の重合体エマル
ジョン100gと、(B)成分のシラノール変性ポリビ
ニルアルコール(R−2130)水溶液200gを撹拌
混合し、蟻酸でpH=4に調整し、水系エマルジョン組
成物を得た。
【0049】水系エマルジョン組成物の30℃と10℃
の粘度をBL型粘度計(ローターNo.3)で測定した
結果、60rpmの粘度で6rpmの粘度を割った値
(V rpm/V60rpm)を表1に示す。更に、水
系エマルジョン組成物を容器に入れて密封し、5℃の冷
蔵庫で12時間静置した所、完全にゲル化した。このゲ
ル体を90℃に加温すると完全にゾル変換したため、再
び30℃まで冷却後、その粘度をBL型粘度計(ロータ
ーNo.3)で測定した結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】水系エマルジョン組成物は、30℃から1
0℃に温度降下させることにより大きな粘度増加を示
し、5℃で保持時間を設定すればゾル−ゲル変換するこ
とが確認された。更に攪拌速度が大きくなるほど粘度が
小さくなっており、明確なチキソトロピーを示した。更
に、ゾル→ゲル→ゾルの変換後においても同傾向の粘度
変化を示した。
【0052】実施例2〜6、比較例1 製造例2で得た(A)成分の重合体エマルジョンと、
(B)成分のシラノール変性ポリビニルアルコール(ク
ラレ(株)製R−2105)の20.0%水溶液を、表
2に示す割合で撹拌混合して、水系エマルジョン組成物
を得た。なお、表2で示す量の調整水を配合した。
【0053】これらの水系エマルジョン組成物の30
℃、10℃及び5℃の粘度をBL型粘度計で測定した。
結果を表2に示す。また、これらの水系エマルジョン組
成物をガラス板に30μmの膜厚となるようにバーコー
ターで塗布し、105℃で30分乾燥して積層体を得
た。これらの積層体における膜の耐水白化性を、下記の
方法及び評価基準で評価した。結果を表2に示す。
【0054】(耐水白化性1)積層体を水の中に完全に
浸漬し、その状態で1時間放置した後のガラス板上の膜
の透明性を目視判断した。
【0055】 ◎:完全に透明 ○:極僅かであるが白濁している △:白濁している ×:一部が溶解したり、剥がれている (耐水白化性2)積層体を水の中に完全に浸漬し、その
状態で24時間放置した後、105℃で1時間乾燥させ
たときの膜の透明性を目視判断した。
【0056】 ◎:完全に透明 ○:極僅かであるが白濁している △:白濁している ×:一部が溶解したり、剥がれている
【0057】
【表2】
【0058】実施例2〜6の組成物はゲル化していない
が、塗布後、5〜15℃に冷却し、かつ部分乾燥させる
か、或いは下層又は基材等へ水が染み込んで、固形分濃
度が25質量%以上になった段階でゲル化した。
【0059】実施例7〜9、比較例2 実施例2〜6と同様にして水系エマルジョン組成物と積
層体を得た。配合量及び試験結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】実施例7〜9の水系エマルジョン組成物は
5℃にてゲル化し、40℃に加温するとゾル化した。
【0062】実施例10〜12、比較例3 実施例2〜6と同様にして水系エマルジョン組成物と積
層体を得た。配合量及び試験結果を表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】実施例10〜12の水系エマルジョン組成
物は5及び10℃にてゲル化し、40℃に加温するとゾ
ル化した。
【0065】実施例13(情報記録用積層体の製造) 厚さ100μm(縦300mm、横200mm)の表面
処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に、厚
さ30μmとなるようにポリビニアルアルコール(クラ
レ(株)製,PVA−217)水溶液を塗布し、乾燥さ
せたフィルムを基材として用いた。
【0066】まず、基材を5℃に温度制御されたステン
レス製平板上に固定して、十分に冷却させた。
【0067】次に、基材上に、実施例2の水系エマルジ
ョン組成物に対して黒色油性染料を添加した40℃の塗
布液を、厚さ10μmとなるようにバーコーターを用い
て塗布し、そのまま30秒間保持した。その後、20℃
の風を吹き付けて3分間部分乾燥させ、第1層を形成し
た。
【0068】次に、第1層上に、実施例2の水系エマル
ジョン組成物を厚さ10μmとなるようにバーコーター
を用いて塗布し、そのまま30秒間保持した。その後、
20℃の風を吹き付けて3分間部分乾燥させ、第2層を
形成した。
【0069】次に、第2層上に、実施例2の水系エマル
ジョン組成物に対して黒色油性染料を添加した塗布液
を、厚さ10μmとなるようにバーコーターを用いて塗
布し、そのまま30秒間保持した。その後、20℃の風
を吹き付けて3分間部分乾燥させ、基材上に3層を有す
る積層体を得た。
【0070】次に、積層体をステンレス平板から取り外
し、平滑なガラス板上に置き、50℃の風を吹き付け、
10分間後乾燥して、情報記録用積層体を得た。この情
報記録用積層体を幅方向に切断し、各層の界面を電子顕
微鏡で観察したが、各層は入り乱れることなく形成され
ていた。
【0071】
【発明の効果】本発明の水系エマルジョン組成物は、温
度変化により粘度が増減され、温度条件を設定すること
でゾル−ゲル変換性を示す。このため、本発明になるエ
マルジョン組成物を用いると、塗布作業が容易で、乾燥
後の膜は疎水性となるため、写真カラーフィルム、写真
カラーペーパー及び乾式デジタル印刷記録紙等の各種情
報記録媒体用のバインダーとして適している。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)アルコキシシリル基を有する構成
    単位を含む重合体エマルジョンを固形分濃度で30〜9
    5質量%含有し、(B)シラノール基を有するポリビニ
    ルアルコールを固形分濃度で5〜70質量%含有する水
    系エマルジョン組成物。
  2. 【請求項2】 (A)成分のアルコキシシリル基を有す
    る構成単位が、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
    シシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシ
    ラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
    シラン、ビニルトリプロポキシシラン及びビニルトリス
    (β−メトキシエトキシ)シランから選ばれるモノマー
    に由来する単位である請求項1記載の水系エマルジョン
    組成物。
  3. 【請求項3】 (A)成分中のアルコキシシリル基量
    が、(A)成分の重合体エマルジョン(乾燥)1g当り
    0.01〜4mmolである請求項1又は2記載の水系
    エマルジョン組成物。
  4. 【請求項4】 (A)成分が、アルコキシシリル基を有
    するモノマーと、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
    チル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジル、メ
    タクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸、アク
    リル酸、スチレン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
    ル、アクリル酸ブチル及びアクリル酸−2−エチルヘキ
    シル、ブタジエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢
    酸ビニル、エチレンから選ばれる1又は2以上を重合し
    て得られるものである請求項1〜3のいずれか1記載の
    水系エマルジョン組成物。
  5. 【請求項5】 (B)成分中のシラノール基量が、ポリ
    ビニルアルコール(乾燥)1g当り0.01〜2mmo
    lの範囲である請求項1〜4のいずれか1記載の水系エ
    マルジョン組成物。
  6. 【請求項6】 固形分濃度20質量%で、BL型粘度計
    (6、12、30及び60rpm)により測定される3
    0℃の粘度(V30)と10℃の粘度(V )の比率
    (V10/V30)が2以上である請求項1〜5のいず
    れか1記載の水系エマルジョン組成物。
  7. 【請求項7】 固形分濃度20質量%で、BL型粘度計
    (60rpm)により測定される30℃の粘度
    (V30)が5000mPa・s以下である請求項1〜
    6のいずれか1記載の水系エマルジョン組成物。
  8. 【請求項8】 固形分濃度20質量%で、BL型粘度計
    により測定される6rmpでかつ30℃の粘度(V
    6rpm)と60rpmでかつ30℃の粘度(V
    60rpm)の比率(V6rpm/V60rpm)が
    1.3以上である請求項1〜7のいずれか1記載の水系
    エマルジョン組成物。
  9. 【請求項9】 基材上に、請求項1〜8のいずれか1記
    載の水系エマルジョン組成物をバインダーとして含む層
    を1又は2以上有する情報記録用積層体。
  10. 【請求項10】 基材上に、熱、光又は圧力応答性の発
    色成分と、請求項1〜8のいずれか1記載の水系エマル
    ジョン組成物からなるバインダーとを含む層を1又は2
    以上有する情報記録用積層体。
  11. 【請求項11】 基材上に、請求項1〜8のいずれか1
    記載の水系エマルジョン組成物をバインダーとして含む
    塗布液を塗布し、温度降下させて塗布液をゲル化させた
    後、部分乾燥する処理を所要回数繰り返して2以上の層
    を形成した後、後乾燥する情報記録用積層体の製造方
    法。
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