JP2003039411A - ケナフ複合ボード及びその製造方法 - Google Patents

ケナフ複合ボード及びその製造方法

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JP2003039411A
JP2003039411A JP2001226681A JP2001226681A JP2003039411A JP 2003039411 A JP2003039411 A JP 2003039411A JP 2001226681 A JP2001226681 A JP 2001226681A JP 2001226681 A JP2001226681 A JP 2001226681A JP 2003039411 A JP2003039411 A JP 2003039411A
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fiber
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JP2001226681A
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English (en)
Inventor
Takusane Ueda
卓実 上田
Yuzo Okudaira
有三 奥平
Kenji Onishi
兼司 大西
Bunkai Ryu
文海 劉
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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  • Laminated Bodies (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Veneer Processing And Manufacture Of Plywood (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量に形成しても、優れた強度と表面平滑性
を有するケナフ複合ボードを提供する。 【解決手段】 木材単板1の両側の表面にそれぞれケナ
フ繊維層2を配して形成されるケナフ複合ボードに関す
る。ケナフ繊維層2は互いに絡み合っている長さ20m
m以上の多数のケナフ長繊維3と熱硬化性樹脂とから形
成されていると共に、ケナフ繊維層2は木材単板1に接
着されている。表層を構成するケナフ繊維層2は繊維長
が20mm以上のケナフ長繊維3を絡めて熱硬化性樹脂
で固めることによって形成されており、軽量に形成して
も、優れた強度と表面平滑性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケナフを用いて形
成したケナフ複合ボード及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】合板、パーティクルボード、MDF(中
質繊維板)は、床材・壁材・天井材等の建築部材、扉部
材、幅木・回り縁等の造作部材、家具用材料などの幅広
い分野で使用されている。これらの木質系ボードは、主
に針葉樹あるいは広葉樹の木材を加工して得られる単板
や、木材小片(パーティクル)、木材繊維を熱硬化性樹
脂等で接着して板状に成形したものである。このため、
木材を製材して得られる挽板に比べて、品質が安定して
いると共に、異方性が少なくて加工性に優れているなど
の特長を有している。
【0003】一方、近年の地球環境問題から、森林保護
を目的として森林伐採の規制が強化され始めており、上
記のような針葉樹や広葉樹のような木材資源を原料とし
た木質系ボードに替わって、非木材資源を用いたボード
への要望が高まっている。
【0004】このような非木材資源を用いたボードとし
て、本出願人は既に特開平11−333986号公報な
どにおいて、ケナフ(アオイ科の一年生草本類)、油ヤ
シ、ココヤシの靭皮部分から得られる長繊維を原料とし
て用い、長繊維を一方向に配向させ、あるいは直交方向
に配向させて熱硬化性樹脂で接着した繊維板を提供して
いる。この繊維板は従来の木質系ボードに比べ、高強度
で表面平滑性に優れた特性を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平11−
333986号公報で提供されているケナフ等の長繊維
からなる繊維板では、比重0.6以下の軽量に形成しな
がら、強度や表面平滑性を保持するのは非常に困難であ
るという問題があった。
【0006】すなわち、ケナフ等の長繊維からなる繊維
板を製造するにあたっては、熱硬化性樹脂を分散させた
長繊維のマットを加熱加圧成形することによって行なわ
れるが、比重が0.6以下の繊維板を製造するには、熱
圧成形する際に長繊維のマットを圧縮する圧締率を小さ
くする必要があり、この結果、繊維板の内部において空
隙が大きくなると共に、長繊維間の接着力が弱まり、強
度が低下すると共に表面平滑性が損なわれるものであっ
た。
【0007】また一方、特開平3−254902号公報
にみられるような、木材単板1の両面に木材ファイバー
を熱硬化性樹脂で固めた繊維層15を接着した図12の
ような複合ボードが提供されているが、一般に短繊維で
ある木材ファイバーは繊維同士の絡み合いがないため
に、十分なボード性能を得るためには高い圧力で圧締し
て繊維層15を形成する必要があり、軽量化には限界が
あるものであった。
【0008】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、軽量に形成しても、優れた強度と表面平滑性を有
するケナフ複合ボード及びその製造方法を提供すること
を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
ケナフ複合ボードは、木材単板1の両側の表面にそれぞ
れケナフ繊維層2を配して形成されるケナフ複合ボード
であって、ケナフ繊維層2は互いに絡み合っている長さ
20mm以上の複数のケナフ長繊維3と熱硬化性樹脂4
とから形成されていると共に、ケナフ繊維層2は木材単
板1に接着されていることを特徴とするものである。
【0010】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、ケナフ繊維層2はケナフ長繊維3が一方向あるいは
直交方向に配向されているものであることを特徴とする
ものである。
【0011】また請求項3の発明は、請求項1におい
て、ケナフ繊維層2はケナフ長繊維3を編み込みあるい
は織り込みしてシート状に形成されたものであることを
特徴とするものである。
【0012】また請求項4の発明は、請求項1乃至3の
いずれかにおいて、木材単板1は比重が0.5以下であ
ることを特徴とするものである。
【0013】また請求項5の発明は、請求項1乃至4の
いずれかにおいて、木材単板1として、ポプラから得ら
れたポプラ単板を用いることを特徴とするものである。
【0014】本発明の請求項6に係るケナフ複合ボード
の製造方法は、長さが20mm以上の複数のケナフ長繊
維3が絡み合って形成されたケナフ繊維マット5に水溶
性の熱硬化性樹脂4を含浸させる熱硬化性樹脂含浸工程
と、熱硬化性樹脂4が含浸されたケナフ繊維マット5を
乾燥する乾燥工程と、乾燥されたケナフ繊維マット5を
木材単板1の両側の表面にそれぞれ重ねて積層体6を形
成する積層工程と、積層体6を加熱加圧して一体化する
熱圧成形工程からなることを特徴とするものである。
【0015】また請求項7の発明は、請求項6の乾燥工
程において、熱硬化性樹脂4が含浸されたケナフ繊維マ
ット5の含水率が20〜100質量%の範囲になるまで
乾燥を行なうことを特徴とするものである。
【0016】また請求項8の発明は、請求項6又は7の
乾燥工程において、ケナフ繊維マット5の片側の表面に
温度40〜120℃の熱風を吹き付けることによって乾
燥を行なうことを特徴とするものである。
【0017】また請求項9の発明は、請求項6乃至8の
いずれかの積層工程において、木材単板1とケナフ繊維
マット5からなる積層体6に積層方向の圧力を加えて予
備圧締した後に、熱圧成形工程で積層体6を加熱加圧す
ることを特徴とするものである。
【0018】また請求項10の発明は、請求項6乃至9
のいずれかの積層工程において、木材単板1の両側の表
面に熱硬化性樹脂を付着させた後に、ケナフ繊維マット
5を木材単板1の両側の表面にそれぞれ重ねて積層体6
を形成することを特徴とするものである。
【0019】また請求項11の発明は、請求項10にお
いて、木材単板1に塗布して付着させる熱硬化性樹脂
が、粘度100センチポイズ以上の高粘度液であること
を特徴とするものである。
【0020】また請求項12の発明は、請求項6乃至1
1のいずれかにおいて、木材単板1として、木材単板1
に存在する空隙や割れなどの欠陥部分7に、熱硬化性樹
脂を付着させた粒径1mm以下の木粉あるいは繊維長5
mm以下のケナフ短繊維を充填したものを用いることを
特徴とするものである。
【0021】また請求項13の発明は、請求項6乃至1
2のいずれかの積層工程において、木材単板1をその端
面同士を近接対向させて複数枚並べ、隣り合う木材単板
1の端面間に熱硬化性樹脂を付着させた粒径1mm以下
の木粉あるいは繊維長5mm以下のケナフ短繊維を充填
し、この複数枚並べた木材単板1の両側の表面に、各木
材単板1間に跨らせてケナフ繊維マット5を重ねること
を特徴とするものである。
【0022】また請求項14の発明は、請求項6乃至1
2のいずれかの積層工程において、木材単板1の端面を
傾斜面9に形成し、隣り合う木材単板1の端面同士を傾
斜面9が厚み方向に重なるように複数枚の木材単板1を
その端面同士を近接対向させて並べ、この複数枚並べた
木材単板1の両側の表面に、各木材単板1間に跨らせて
ケナフ繊維マット5を重ねることを特徴とするものであ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0024】図1は請求項1の発明の実施の形態の一例
を示すものであり、コア層となる木材単板1の両側の表
面にそれぞれ熱硬化性樹脂を接着剤として固められたケ
ナフ繊維層2を一体に積層接着して、ケナフ複合ボード
が形成してある。木材単板1は広葉樹や針葉樹の原木を
薄く切削して得られる図1(b)のような単板を用いる
ことができる。
【0025】またケナフ繊維層2は図1(c)に示すよ
うなケナフ長繊維3を多数絡ませて得られたケナフ繊維
マット5を用いて形成することができる。このケナフ繊
維マット5の作製方法は、特に限定されるものではない
が、多数のケナフ長繊維3を重ねて、これをニードルパ
ンチング処理してケナフ長繊維3を絡ませることによっ
て、マット化する方法が一般的である。ケナフ長繊維3
は繊維長が20mm以上のものを用いるものであり、繊
維長が20mm以上であると、ニードルパンチ処理など
でケナフ長繊維3を強く絡み合わせることができ、ケナ
フ繊維層2の強度を高く得ることができるものである。
ケナフ長繊維3は繊維長が長くなるにつれて絡み合いが
強くなり、強度を高めることができるが、入手の容易さ
などから繊維長は4m程度が実用上の上限である。この
ケナフ繊維マット5において、ケナフ長繊維3の配向性
については非配向であってもかまわない。またケナフ繊
維マット5の面重量については、取り扱いができる範囲
であれば特に制限されないが、ボードの構成やマットの
取り扱い性から面重量100〜800g/m2の範囲が
好ましい。
【0026】そしてケナフ繊維マット5に熱硬化性樹脂
を均一に付着させた後、このケナフ繊維マット5を木材
単板1の両側の表面にそれぞれ重ねて積層し、これを加
熱プレスして成形することによって、ケナフ繊維マット
5からケナフ繊維層2を形成すると共にケナフ繊維層2
を木材単板1の両側の表面にそれぞれ接着して一体化し
た、図1(a)のようなケナフ複合ボードを得ることが
できるものである。ケナフ繊維層2のケナフ長繊維3同
士を接着させると共にケナフ繊維層2を木材単板1に接
着させる接着剤として用いる熱硬化性樹脂の種類は、フ
ェノール系樹脂、ユリア系樹脂、ユリア・メラミン系樹
脂を挙げることができるが、これらに限定されるもので
はない。またケナフ繊維マット5に熱硬化性樹脂を付着
させる方法についても特に制限されるものではなく、乾
式法であっても湿式法であっても何でも良い。
【0027】上記のようにして得られるケナフ複合ボー
ドにあって、表層を構成するケナフ繊維層2は繊維長が
20mm以上のケナフ長繊維3を絡めて熱硬化性樹脂で
固めることによって形成されているものであり、表面平
滑性や表面硬度に優れており、強度についても優れた性
能を有しているものである。ここで、表層を針葉樹繊維
などの1〜5mm程度の短繊維の繊維層で形成する場
合、短繊維は繊維同士の絡み合いがないために十分なボ
ード性能を得るためには比重0.6程度が必要であり、
比重0.55以下ではボードとしての強度性能や表面硬
度を得ることができない。これに対して、本発明のよう
に表層を構成するケナフ繊維層2は繊維長が20mm以
上のケナフ長繊維3からなり、ケナフ長繊維3が絡み合
って形成されているので、比重が0.45〜0.55で
十分な強度性能や表面硬度を得ることができるものであ
り、特にコア層となる木材単板1によって強度性能を一
層高く得ることができるものである。
【0028】ここで、木材単板1は上記のように原木を
薄く切削加工して得られるものであり、図2(a)
(b)に示すように、表面に凹凸があって平滑性が悪
く、また切削時に空隙7aや割れ7bなどの欠陥部分7
が生じているが、図2(c)のように木材単板1の表面
には高強度、高硬度で表面平滑性の高いケナフ繊維層2
が被覆されているので、木材単板1の凹凸や欠陥部分7
によってボードの性能が低下することはない。
【0029】図3(a)(b)(c)はそれぞれ請求項
2の発明の実施の形態を示すものであり、図3(a)
(b)の実施の形態では、ケナフ長繊維3をその繊維の
長手方向を一方向に揃えて配向させるようにしてケナフ
繊維層2が形成してある。イ矢印方向がケナフ繊維層2
におけるケナフ長繊維3の配向方向を示すものであり、
このようにケナフ長繊維3を配向させることによって、
配向方向での強度を極めて高くすることができると共に
配向方向での寸法安定性を高くすることができるもので
ある。
【0030】そして図3(a)の実施の形態では、ケナ
フ長繊維3の配向方向が木材単板1の繊維方向(木材繊
維の長手方向が向く方向:ロ矢印で示す)と直交するよ
うに、木材単板1にケナフ繊維層2を積層するようにし
てある。木材単板1の強度は繊維方向と平行な方向が強
く、繊維方向と直交する方向は弱いが、この直交方向は
ケナフ繊維層2のケナフ長繊維3の配向によって補強さ
れており、どの方向にも強度が高いケナフ複合ボードを
得ることができるものである。また図3(b)の実施の
形態では、ケナフ長繊維3の配向方向が木材単板1の繊
維方向と同一方向になるように、木材単板1にケナフ繊
維層2を積層するようにしてある。このものでは、ケナ
フ長繊維3の配向方向と木材単板1の繊維方向が一致す
る方向での強度が極めて高いという特性を有するケナフ
複合ボードを得ることができるものである。
【0031】さらに図3(c)の実施の形態では、ケナ
フ長繊維3の配向方向を直交させて複数枚のケナフ繊維
層2を重ねた状態で、木材単板1の両側の表面にそれぞ
れ積層するようにしてある。このようにケナフ繊維層2
のケナフ長繊維3の配向方向を直交させることによっ
て、いずれの方向に対しても強度を高めることができ、
どの方向にも異方性がなく強度が高いケナフ複合ボード
を得ることができるものである。図3(c)の実施の形
態では、ケナフ長繊維3が一方向に配向した複数枚のケ
ナフ繊維層2をその配向方向が直交するよう重ねて用い
るようにしたが、ケナフ長繊維3を繊維の長手方向が直
交する二方向に配向させて形成したケナフ繊維層2を用
いるようにしてもよい。
【0032】図4は請求項3の発明の実施の形態の一例
を示すものであり、ケナフ長繊維3を縦糸3aと横糸3
bとして織った織布によってシート状のケナフ繊維層2
を形成するようにしたものである。このようにケナフ長
繊維3を織ってケナフ繊維層2を形成することによっ
て、ケナフ長繊維3は直交する二方向に配向するもので
あり、強度の異方性がなくなって、どの方向にも強度が
高いケナフ複合ボードを得ることができるものである。
尚、ケナフ長繊維3を織る他に、ケナフ長繊維3を編む
ことによってシート状に形成したケナフ繊維層2を用い
ることもできる。
【0033】請求項4の発明では、木材単板1として比
重が0.5以下のものを用いるようしている。このよう
に木材単板1として比重が小さいものを用いることによ
って、ケナフ複合ボードをより軽量化することができる
ものである。しかし、木材単板1の比重が0.5以下の
ものは材質が不均一なものが多く、既述の図2(a)
(b)のように、空隙7aや割れ7bなどの欠陥部分7
やうねりなどの凹凸が生じていることが多いが、木材単
板1の表面には高強度、高硬度で表面平滑性の高いケナ
フ繊維層2が被覆されているので、軽量化を達成しなが
ら、高強度、高硬度で表面平滑性の高いケナフ複合ボー
ドを得ることができるものである。尚、木材単板1の比
重の下限は特に制限されないが、取り扱い性などの面か
ら、木材単板1の比重は0.3以上であることが望まし
い。
【0034】また請求項5の発明では、木材単板1とし
てポプラから得られたポプラ単板を用いるようにしてい
る。ポプラ単板は比重が0.3〜0.4であって非常に
低く、ケナフ複合ボードをより軽量化することができる
ものである。しかし、ポプラ単板は材質が不均一なもの
が多く、既述の図2(a)(b)と同様に、空隙7aや
割れ7bなどの欠陥部分7やうねりなどの凹凸が生じて
いる、いわゆる低品質と称される木材単板1であるが、
この木材単板1の表面には高強度、高硬度で表面平滑性
の高いケナフ繊維層2が被覆されているので、軽量化を
達成しながら、高強度、高硬度で表面平滑性の高いケナ
フ複合ボードを得ることができるものである。またポプ
ラ単板は柔らかい材質であるため、後述の熱圧成形工程
で十分に圧締することができ、ポプラ単板による木材単
板1とケナフ繊維層2の界面の接着性を高めることがで
きるものである。このようにして、比重が0.45〜
0.55で、高強度、高硬度かつ表面平滑性に優れたケ
ナフ複合ボードを得ることができるものである。
【0035】次に、請求項6に係るケナフ複合ボードの
製造方法について説明する。図5はその実施の形態の一
例を示すものであり、まず図5(a)のように熱硬化性
樹脂含浸工程で、多数のケナフ長繊維3が絡み合って形
成されたケナフ繊維マット5に水溶性の熱硬化性樹脂を
含浸させる。すなわち、含浸槽17には熱硬化性樹脂水
溶液18が供給してあり、この熱硬化性樹脂水溶液18
にケナフ繊維マット5を浸漬することによって、ケナフ
繊維マット5に熱硬化性樹脂水溶液18を含浸させ、ケ
ナフ繊維マット5の表面や内部においてケナフ長繊維3
に水溶液状態で熱硬化性樹脂を付着させるものである。
熱硬化性樹脂水溶液18を含浸させたケナフ繊維マット
5は含水率が100〜200質量%程度の範囲になって
いる。
【0036】次に乾燥工程で熱硬化性樹脂が含浸された
ケナフ繊維マット5を乾燥する。例えば送風機で常温風
や40〜120℃程度の熱風を、図5(b)に矢印で示
すようにケナフ繊維マット5の表面の全体に均一に吹き
付けて接触させることによって、高含水率のケナフ繊維
マット5を乾燥することができる。ケナフ繊維マット5
の含水率が100質量%以下になるように乾燥させるこ
とによって、ケナフ繊維マット5のケナフ長繊維3に熱
硬化性樹脂を固着させることができるものである。乾燥
後のケナフ繊維マット5の含水率が5〜15質量%程度
の範囲であると、十分に乾燥していて熱硬化性樹脂はケ
ナフ長繊維3の表面に固着している。
【0037】次に、このように乾燥されたケナフ繊維マ
ット5を積層工程で木材単板1の両側の表面にそれぞれ
重ね、図5(c)のように積層体6を形成する。
【0038】そしてこの木材単板1の両面にケナフ繊維
マット5を重ねた積層体6を図5(d)の熱圧成形工程
で加熱加圧成形する。すなわち、熱圧プレス装置19の
熱盤20間に積層体6をセットし、熱盤20で積層体6
を加熱加圧することによって、熱硬化性樹脂を硬化させ
ながらケナフ繊維マット5を圧締して熱硬化性樹脂を接
着剤としてケナフ長繊維3を接着固定したケナフ繊維層
2を形成すると同時に、この熱硬化性樹脂でケナフ繊維
層2を木材単板1の両面に接着した、3層構成のケナフ
複合ボードを得ることができるものである。この熱圧成
形工程での加熱加圧条件は、特に制限されるものではな
いが、温度150〜180℃、圧力1〜5MPa、プレ
ス時間1〜10分程度の範囲が適している。
【0039】上記の各工程を経てケナフ複合ボードを製
造するにあたって、含浸工程では均一な熱硬化性樹脂水
溶液18にケナフ繊維マット5を浸漬させるようにして
いるので、ケナフ繊維マット5の内部にまで均一に熱硬
化性樹脂を含浸させることができるものであり、また乾
燥工程でケナフ繊維マット5を乾燥させて熱硬化性樹脂
水溶液18の水分を蒸発させることによって、熱硬化性
樹脂をケナフ長繊維3に均一に固着させることができ
る。従って、積層工程でこのケナフ繊維マット5を木材
単板1の両面に重ね、熱圧成形工程で加熱加圧成形する
ことによって、ケナフ長繊維3が絡み合いながら熱硬化
性樹脂で結合固定して強度性能や表面平滑性、表面硬度
に優れたケナフ繊維層2を形成することができ、また木
材単板1に接着剤を塗布する必要なく、ケナフ繊維マッ
ト5に含浸された熱硬化性樹脂を接着剤として木材単板
1にケナフ繊維層2を接着して一体化することができる
ものである。
【0040】ここで、請求項7の発明では、上記の乾燥
工程において、熱硬化性樹脂水溶液18を含浸したケナ
フ繊維マット5を、その含水率が20〜100質量%の
範囲になるまで乾燥を行なうようにしており、含水率が
この範囲になるように乾燥を調整することによって、熱
圧成形工程で木材単板1とケナフ繊維マット5を加熱加
圧して木材単板1にケナフ繊維層2を接着する際の、接
着性を向上させることができるものである。
【0041】すなわち、乾燥工程で乾燥したケナフ繊維
マット5の含水率が20質量%以上あると、図6(a)
のように、木材単板1に積層したケナフ繊維マット5内
には熱硬化性樹脂4が水分を含有した状態で固着してい
る。そしてこの積層体6を熱圧成形工程で熱盤20で熱
圧成形する際に、ケナフ繊維マット5に含まれる水分は
ケナフ繊維マット5の側面から図6(b)の矢印のよう
に蒸発するが、このように積層体6を加圧していると、
ケナフ繊維マット5の水分は木材単板1を通しても蒸発
するので、ケナフ繊維マット5の水分の一部は蒸発に伴
って木材単板1の方向へ移動することになり、この際に
水分とともに熱硬化性樹脂4も木材単板1の側へ移動す
る現象が起こる。そしてこの現象が起こると、図6
(b)に示すようケナフ繊維マット5内の熱硬化性樹脂
4は木材単板1の界面の付近に多く偏在することにな
り、この偏在する熱硬化性樹脂4によって、木材単板1
に対するケナフ繊維層2の接着性能が向上するものであ
る。
【0042】このような接着性能向上の効果を十分に得
るためには、乾燥工程で乾燥したケナフ繊維マット5の
含水率が20質量%以上であることが必要であり、含水
率が高くなる程接着性能は向上し、このため吸水厚さ膨
張率も小さくなる傾向があるが、ケナフ繊維マット5の
吸水率が100質量%を超えると、ケナフ繊維マット5
の取り扱い性が悪くなり、また熱圧成形工程での熱圧時
間が長く必要になって生産効率が悪くなるので、ケナフ
繊維マット5の吸水率は100質量%以下であることが
望ましい。
【0043】また請求項8の発明では、上記の乾燥工程
において、ケナフ繊維マット5の片側の表面に温度40
〜120℃の熱風を吹き付けて乾燥を行なうようにして
おり、熱圧成形工程で木材単板1とケナフ繊維マット5
を加熱加圧して木材単板1にケナフ繊維層2を接着する
際の、接着性を向上させるようにしている。
【0044】すなわち、熱硬化性樹脂4の水溶液を含浸
しているウエットなケナフ繊維マット5の片面に、図7
(a)の矢印のように40〜120℃の熱風を吹き付け
ると、熱風が接触するケナフ繊維マット5の表面から図
7(b)の矢印のように水分が蒸発する。このようにケ
ナフ繊維マット5の片側の表面から水分が蒸発すると、
水溶液となっている熱硬化性樹脂4もケナフ繊維マット
5のこの片側表面に移動する現象が起こり、ケナフ繊維
マット5の熱風が接した側の表面に図7(b)のように
熱硬化性樹脂4が多く偏在することになる。そして、こ
の熱硬化性樹脂4が偏在する側でケナフ繊維マット5を
木材単板1に重ね、熱圧成形工程で加熱加圧成形して木
材単板1の両面にケナフ繊維層2を一体化したケナフ複
合ボードを製造すると、木材単板1に対するケナフ繊維
層2の接着性能が偏在している熱硬化性樹脂4によって
向上するものである。
【0045】このような接着性能向上の効果を十分に得
るためには、乾燥工程で用いる熱風の温度は40℃以上
であることが必要である。熱風の温度が高い程、水分の
蒸発速度が速くなって接着性能も向上するが、熱風の温
度が120℃を超えると、熱硬化性樹脂4の硬化が始ま
ってしまうおそれがあるので、熱風の温度は120℃以
下であることが望ましい。
【0046】また請求項9の発明は、熱硬化性樹脂水溶
液18を含浸したケナフ繊維マット5を、その含水率が
20〜100質量%の範囲になるように乾燥したのち、
上記の積層工程において、木材単板1とケナフ繊維マッ
ト5からなる積層体6に積層方向の圧力を加えて予備圧
締するようにしており、熱圧成形工程で木材単板1とケ
ナフ繊維マット5を加熱加圧して木材単板1にケナフ繊
維層2を接着する際の、接着性を向上させるようにして
いる。
【0047】すなわち、積層工程で木材単板1に積層し
たケナフ繊維マット5の含水率が20〜100質量%の
状態では、ケナフ繊維マット5内の熱硬化性樹脂4は水
溶液状態で存在し、例えば積層体6を図8に示すように
圧締ローラー22間に通して予備圧締すると、ケナフ繊
維マット5内の熱硬化性樹脂4が水分と共に木材単板1
との界面に滲み出して木材単板1の表面に付着し、熱圧
成形工程において、積層体6を加熱加圧して木材単板1
の両面にケナフ繊維層2を一体化したケナフ複合ボード
を製造するにあたって、木材単板1に対するケナフ繊維
層2の接着性能を向上させることができるものである。
【0048】請求項10の発明は、積層工程において、
木材単板1の両側の表面に熱硬化性樹脂を塗布して付着
させた後に、ケナフ繊維マット5を木材単板1の両側の
表面にそれぞれ重ねて積層体6を形成するようにしてい
る。木材単板1の表面に熱硬化性樹脂を付着させる方法
は、特に制限されるものではないが、木材単板1の表面
にスプレーやロールコーターで均一に塗布する方法が適
している。
【0049】このように木材単板1の両側の表面に熱硬
化性樹脂を付着させておくことによって、木材単板1と
ケナフ繊維層2の間に熱硬化性樹脂による接着層を形成
して、木材単板1とケナフ繊維層2の間の接着性を大幅
に向上できるものであり、ケナフ複合ボードにおける木
材単板1とケナフ繊維層2の剥離強度を大幅に向上する
ことができるものである。尚、この接着剤として用いる
熱硬化性樹脂は、水溶性の熱硬化性樹脂が適しており、
例えばフェノール系樹脂、ユリア系樹脂、ユリア・メラ
ミン系樹脂を挙げることができる。熱硬化性樹脂の付着
量は10〜100g/m2程度でよく、このような少量
でも十分な接着性の向上がみられる。
【0050】請求項11の発明は、木材単板1の両側の
表面に塗布して付着させる上記の熱硬化性樹脂として、
粘度(25℃)が100cp以上の高粘度の熱硬化性樹
脂液を用いるようにしたものである。木材単板1の表面
に水溶性の熱硬化性樹脂を塗布して付着させる場合、木
材単板1の表面から内部に浸透する性質があり、粘度の
低い熱硬化性樹脂液であると木材単板1の内部に過剰に
浸透して表面に接着剤層が形成され難く、木材単板1と
ケナフ繊維層2との界面の接着性を高く得ることができ
ない。そこで、粘度が100cp以上の高粘度の熱硬化
性樹脂液を用いることによって、木材単板1の内部への
浸透を抑制し、木材単板1の表面に十分な接着剤層が形
成されるようにして、木材単板1とケナフ繊維層2との
界面の接着性を向上させ、ケナフ複合ボードにおける木
材単板1とケナフ繊維層2の剥離強度を大幅に向上する
ことが可能になったものである。熱硬化性樹脂液の粘度
は高いほど、接着性向上の効果を大きく得ることができ
るが、粘度が高くなり過ぎると、塗布の作業性が悪くな
ると共に均一に塗布することが困難になるので、熱硬化
性樹脂液の粘度は2000cp以下であることが望まし
い。
【0051】図9は請求項12の発明の実施の形態の一
例を示すものである。比重が0.5以下の木材単板1に
は既述の図2(a)(b)のように空隙7aや割れ7b
などの欠陥部分7を有していることが多く、特にポプラ
単板などの低品質なものは直径10mm以上の空隙7a
や幅5mm以上の割れ7bが生じているものがあり、こ
のような場合には、木材単板1をケナフ繊維層2で被覆
しても、ケナフ複合ボードの強度や表面硬度、表面平滑
性、吸水厚さ膨張率の性能が低下する。
【0052】そこで請求項12の発明では、木材単板1
の空隙7aや割れ7bなどの欠陥部分7に、熱硬化性樹
脂を付着させた粒径1mm以下の木粉あるいは繊維長5
mm以下のケナフ短繊維を補修剤24として充填して、
欠陥部分7を補修するようにしてあり、この欠陥部分7
を補修した木材単板1を用いて上記と同様にしてケナフ
複合ボードを製造するようにしている。このように低品
質な木材単板1であっても欠陥部分7を補修した状態で
用いることによって、強度や表面硬度、表面平滑性、吸
水厚さ膨張率の十分な性能のケナフ複合ボードを得るこ
とができるものである。
【0053】粒径1mm以下の木粉あるいは繊維長5m
m以下のケナフ短繊維に付着させる熱硬化性樹脂として
は水溶性の熱硬化性樹脂が適しており、例えばフェノー
ル系樹脂、ユリア系樹脂、ユリア・メラミン系樹脂を挙
げることができる。また木粉としては広葉樹や針葉樹な
ど任意の木材の粉末を用いることができるものであり、
粒径が1mmを超えると欠陥部分7への充填の作業性が
悪くなるので、木粉の粒径は1mm以下であることが好
ましい。木粉の粒径の下限は特に設定されないが、取り
扱い性等の面から木粉の粒径は30μm以上であること
が望ましい。ケナフ短繊維の繊維長が5mmを超えると
欠陥部分7への充填の作業性が悪くなるので、ケナフ短
繊維の繊維長は5mm以下であることが好ましい。ケナ
フ短繊維の繊維長の下限は特に設定されないが、取り扱
い性等の面からケナフ短繊維の繊維長は50μmmm以
上であることが望ましい。
【0054】図10は請求項13の発明の実施の形態の
一例を示すものであり、上記の積層工程において、木材
単板1を複数枚、その端面同士を近接対向させた状態で
図10(a)のように並べ、この並べた複数枚の木材単
板1の両側の表面に、図10(b)のように各木材単板
1間に跨らせてケナフ繊維マット5を配置し、そしてこ
れを熱圧成形工程で加熱加圧成形することによって、図
10(c)のように複数枚の木材単板1からなるコア層
の表面にケナフ繊維層2を接着して一体化したケナフ複
合ボードを製造するようにしたものである。
【0055】木材単板1、特に比重0.5以下で、低品
質の木材単板1は、繊維方向に対して垂直な方向の大き
さについて限度があり、例えば4×8尺(約1.2×約
2.4m)のサイズのコア層にする場合には、複数枚の
木材単板1を並べて用いる必要があり、ポプラのような
小径木から得られる木材単板1の場合に4×8尺にする
には、3枚の木材単板1を並べる必要がある。そしてこ
のように複数枚の木材単板1を並べた状態で各木材単板
1間に跨らせてケナフ繊維マット5を配置し、これを熱
圧成形工程で加熱加圧成形すると、各木材単板1がずれ
動いて、隣合う木材単板1の対向する端面間の継ぎ目に
隙間が生じるおそれがある。この隙間が1mm程度以上
になると、製造されたケナフ複合ボードは強度や表面硬
度、表面平滑性、吸水厚さ膨張率の性能に悪影響が及ぼ
される。
【0056】そこで請求項13の発明では、近接対向さ
せて並べた隣り合う木材単板1の端面間に、熱硬化性樹
脂を付着させた粒径1mm以下の木粉あるいは繊維長5
mm以下のケナフ短繊維を充填剤25として図10
(c)のように充填し、隣合う木材単板1をこの充填剤
25で接合するようにしてある。従って、複数枚の木材
単板1を並べた状態で各木材単板1間に跨らせてケナフ
繊維マット5を配置し、これを熱圧成形工程で加熱加圧
成形する際に、各木材単板1がずれ動くことを防ぐこと
ができ、隣合う木材単板1の対向する端面間の継ぎ目に
隙間が生じることがなくなり、強度や表面硬度、表面平
滑性、吸水厚さ膨張率の十分な性能のケナフ複合ボード
を得ることができるものである。
【0057】粒径1mm以下の木粉あるいは繊維長5m
m以下のケナフ短繊維に付着させる熱硬化性樹脂として
は水溶性の熱硬化性樹脂が適しており、例えばフェノー
ル系樹脂、ユリア系樹脂、ユリア・メラミン系樹脂を挙
げることができる。また木粉としては広葉樹や針葉樹な
ど任意の木材の粉末を用いることができるものであり、
粒径が1mmを超えると木材単板1間の継ぎ目への充填
の作業性が悪くなるので、木粉の粒径は1mm以下であ
ることが好ましい。木粉の粒径の下限は特に設定されな
いが、取り扱い性等の面から木粉の粒径は30μm以上
であることが望ましい。ケナフ短繊維の繊維長が5mm
を超えると木材単板1間の継ぎ目への充填の作業性が悪
くなるので、ケナフ短繊維の繊維長は5mm以下である
ことが好ましい。ケナフ短繊維の繊維長の下限は特に設
定されないが、取り扱い性等の面からケナフ短繊維の繊
維長は50μm以上であることが望ましい。
【0058】図11は請求項14の発明の実施の形態の
一例を示すものであり、木材単板1の端部を厚み方向に
斜めに切断して、図11(a)に示すように端面を傾斜
面9に形成してある。そして積層工程において、木材単
板1を複数枚、その端面同士を近接対向させた状態で並
べるにあたって、隣合う木材単板1の端面を傾斜面9が
厚み方向に重なるように各木材単板1を配置してある。
すなわち図11(b)に示すように、隣合う木材単板1
の対向する端部の傾斜面9,9が相互に逆向きに傾斜す
るように配置することによって、隣合う木材単板1の端
面を傾斜面9が厚み方向に重なるようにすることができ
るものである。そしてこの並べた複数枚の木材単板1の
両側の表面に、図11(b)に示すように、各木材単板
1間に跨らせてケナフ繊維マット5を配置し、これを熱
圧成形工程で熱圧成形する際に、木材単板1が多少ずれ
たとしても、隣合う木材単板1の継ぎ目は傾斜面9,9
が上下に重なった状態を保持することができ、図11
(c)に示すように隣合う木材単板1の対向する端面間
の継ぎ目に隙間が生じることなく、木材単板1の両面に
ケナフ繊維層2を接着した一体化したケナフ複合ボード
を製造することができるものであり、強度や表面硬度、
表面平滑性、吸水厚さ膨張率の十分な性能のケナフ複合
ボードを得ることができるものである。
【0059】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0060】(実施例1)繊維径50〜600μm、繊
維長20〜100mmのケナフ靭皮の長繊維を多数本重
ねて集合させ、これをニードルパンチ処理することによ
って、ケナフ長繊維が絡み合いながら一方向に配向され
たケナフ繊維マットを作製した。このケナフ繊維マット
のマット面重量は400g/m2であった。
【0061】次に、固形分25質量%濃度のフェノール
樹脂水溶液にケナフ繊維マットを10秒間浸漬した後、
ローラー絞り機にかけることによって、フェノール樹脂
水溶液をケナフ繊維マットのケナフ長繊維に均一に付着
させた。このフェノール樹脂水溶液を含浸させたケナフ
繊維マットの含水率は165質量%であった。
【0062】次に、このフェノール樹脂水溶液を含浸さ
せたケナフ繊維マットの両側の表面に、ブロアー送風機
により得られる常温風を吹き付けて接触させることによ
って、含水率を20質量%にまで低下させ、さらに温度
80℃の熱風を吹き付けて接触させることによって、含
水率を10質量%にまで低下させて、乾燥させた。
【0063】次に、ポプラ単板の両面にそれぞれ、上記
の乾燥させたケナフ繊維マットを、ポプラ単板の繊維方
向とケナフ長繊維の配向方向とが直交するように積層
し、これを熱圧プレス装置を用い、熱盤温度160℃、
成形圧力3MPa、成形時間5分の条件で熱圧成形する
ことによって、図3(a)に示すようなケナフ複合ボー
ドを得た。得られたケナフ複合ボードの樹脂含有量は2
5質量%であった。
【0064】(実施例2)繊維径50〜600μm、繊
維長100〜200mmのケナフ靭皮の長繊維を用いる
ようにした他は実施例1と同様にしてケナフ繊維マット
を作製した。後は実施例1と同様にして図3(a)に示
すようなケナフ複合ボードを得た。
【0065】(実施例3)繊維径50〜600μm、繊
維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用い
るようにした他は実施例1と同様にして、面重量350
g/m2のケナフ繊維マットを作製し、後は実施例1と
同様にして図3(a)に示すようなケナフ複合ボードを
得た。
【0066】(実施例4)繊維径50〜600μm、繊
維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用い
るようにした他は実施例1と同様にして、面重量380
g/m2のケナフ繊維マットを作製し、後は実施例1と
同様にして図3(a)に示すようなケナフ複合ボードを
得た。
【0067】(実施例5)繊維径50〜600μm、繊
維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用い
るようにした他は実施例1と同様にして、面重量400
g/m2のケナフ繊維マットを作製し、後は実施例1と
同様にして図3(a)に示すようなケナフ複合ボードを
得た。
【0068】(実施例6)繊維径50〜600μm、繊
維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用い
るようにした他は実施例1と同様にして、面重量440
g/m2のケナフ繊維マットを作製し、後は実施例1と
同様にして図3(a)に示すようなケナフ複合ボードを
得た。
【0069】(実施例7)繊維径50〜600μm、繊
維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用い
るようにした他は実施例1と同様にして、面重量480
g/m2のケナフ繊維マットを作製し、後は実施例1と
同様にして図3(a)に示すようなケナフ複合ボードを
得た。
【0070】(実施例8)繊維径50〜600μm、繊
維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用い
て実施例1と同様にして面重量400g/m2のケナフ
繊維マットを作製した。あとは、ポプラ単板の繊維方向
とケナフ長繊維の配向方向とが同一方向になるようにポ
プラ単板にケナフ繊維マットを積層するようにした他
は、実施例1と同様にして、図3(b)に示すようなケ
ナフ複合ボードを得た。
【0071】(実施例9)繊維径50〜600μm、繊
維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用
い、ケナフ長繊維の繊維方向が直交する二層構成のケナ
フ繊維マットを作製した。このケナフ繊維マットは面重
量400g/m2であった。あとは、フェノール樹脂水
溶液の替わりに、固形分25質量%濃度のユリア樹脂水
溶液を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、
図3(c)に示すようなケナフ複合ボードを得た。
【0072】(実施例10)繊維径50〜600μm、
繊維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用
い、これを縦糸及び横糸として用いて織ることによっ
て、面重量400g/m2の織布のシートとしてケナフ
繊維マットを作製した。あとは、フェノール樹脂水溶液
の替わりに、固形分25質量%濃度のユリア・メラミン
樹脂水溶液を用いるようにした他は、実施例1と同様に
して、図4に示すようなケナフ複合ボードを得た。
【0073】(実施例11)繊維径50〜600μm、
繊維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用
いるようにした他は実施例1と同様にして面重量380
g/m2のケナフ繊維マットを作製した。そして木材単
板として針葉樹単板を用いるようにした他は、実施例1
と同様にして図3(a)に示すようなケナフ複合ボード
を得た。
【0074】(実施例12)繊維径50〜600μm、
繊維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用
いるようにした他は実施例1と同様にして面重量400
g/m2のケナフ繊維マットを作製した。そしてフェノ
ール樹脂水溶液を含浸させたケナフ繊維マットを含水率
が21質量%になるように乾燥して、積層・熱圧成形を
行なうようにした他は、実施例1と同様にして図3
(a)に示すようなケナフ複合ボードを得た。
【0075】(実施例13)繊維径50〜600μm、
繊維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用
いるようにした他は実施例1と同様にして面重量400
g/m2のケナフ繊維マットを作製した。そしてフェノ
ール樹脂水溶液を含浸させたケナフ繊維マットを含水率
が50質量%になるように乾燥して、積層・熱圧成形を
行なうようにした他は、実施例1と同様にして図3
(a)に示すようなケナフ複合ボードを得た。 (実施例14)繊維径50〜600μm、繊維長200
〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用いるようにし
た他は実施例1と同様にして面重量400g/m2のケ
ナフ繊維マットを作製した。そしてフェノール樹脂水溶
液を含浸させたケナフ繊維マットを含水率が100質量
%になるように乾燥して、積層・熱圧成形を行なうよう
にした他は、実施例1と同様にして図3(a)に示すよ
うなケナフ複合ボードを得た。 (実施例15)繊維径50〜600μm、繊維長200
〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用いるようにし
た他は実施例1と同様にして面重量400g/m2のケ
ナフ繊維マットを作製した。そしてフェノール樹脂水溶
液を含浸させたケナフ繊維マットを乾燥するにあたっ
て、ケナフ繊維マットの片側の表面にのみ、ブロアー送
風機により得られる常温風及び温度80℃の熱風を吹き
付けて接触させることによって、含水率を50質量%に
まで低下させるようにした他は、実施例1と同様にして
図3(a)に示すようなケナフ複合ボードを得た。 (実施例16)繊維径50〜600μm、繊維長200
〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用いるようにし
た他は実施例1と同様にして面重量400g/m2のケ
ナフ繊維マットを作製した。そしてフェノール樹脂水溶
液を含浸させたケナフ繊維マットを乾燥するにあたっ
て、ケナフ繊維マットの片側の表面にのみ、ブロアー送
風機により得られる常温風及び温度80℃の熱風を吹き
付けて接触させることによって、含水率を50質量%に
まで低下させるようにし、さらにこの後に図8のように
圧締ローラを通して予備圧締するようにした他は、実施
例1と同様にして図3(a)に示すようなケナフ複合ボ
ードを得た。
【0076】(実施例17)繊維径50〜600μm、
繊維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用
いるようにした他は実施例1と同様にして面重量400
g/m2のケナフ繊維マットを作製した。そしてフェノ
ール樹脂水溶液を含浸させたケナフ繊維マットを含水率
が40質量%になるように乾燥し、また積層工程で、ポ
プラ単板の両表面にロールコーターで粘度500cpの
ユリア樹脂を50g/m2の塗布量で塗布したものを用
いるようにした他は、実施例1と同様にして図3(a)
に示すようなケナフ複合ボードを得た。
【0077】(実施例18)繊維径50〜600μm、
繊維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用
いるようにした他は実施例1と同様にして面重量400
g/m2のケナフ繊維マットを作製した。そしてフェノ
ール樹脂水溶液を含浸させたケナフ繊維マットを含水率
が35質量%になるように乾燥し、また積層工程で、ポ
プラ単板の両表面にスプレーで粘度100cpのフェノ
ール樹脂を50g/m2の塗布量で塗布したものを用い
るようにした他は、実施例1と同様にして図3(a)に
示すようなケナフ複合ボードを得た。
【0078】(実施例19)繊維径50〜600μm、
繊維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用
いるようにした他は実施例1と同様にして面重量400
g/m2のケナフ繊維マットを作製した。そしてフェノ
ール樹脂水溶液を含浸させたケナフ繊維マットを含水率
が35質量%になるように乾燥し、また積層工程で、ポ
プラ単板の空隙や割れを生じている箇所に、繊維長5m
m以下のケナフ短繊維にフェノール樹脂をスプレー塗布
で10質量%付着させて調製した補修剤を充填したもの
を用いるようにした他は、実施例1と同様にして図3
(a)に示すようなケナフ複合ボードを得た。
【0079】(実施例20)繊維径50〜600μm、
繊維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用
いるようにした他は実施例1と同様にして面重量400
g/m2のケナフ繊維マットを作製した。そしてフェノ
ール樹脂水溶液を含浸させたケナフ繊維マットを含水率
が38質量%になるように乾燥し、また積層工程で、ポ
プラ単板を複数枚継ぎ合わせると共に、粒径1mm以下
の木粉にユリア樹脂をスプレー塗布で10質量%付着さ
せて調製した充填剤を継ぎ合わせの端面間に充填したも
のを用いるようにした他は、実施例1と同様にして図3
(a)に示すようなケナフ複合ボードを得た。
【0080】(実施例21)繊維径50〜600μm、
繊維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維を用
いるようにした他は実施例1と同様にして面重量400
g/m2のケナフ繊維マットを作製した。そしてフェノ
ール樹脂水溶液を含浸させたケナフ繊維マットを含水率
が36質量%になるように乾燥し、また積層工程で、ポ
プラ単板の端部を斜めに切断すると共にこの傾斜面を上
下に重ねた状態で複数枚継ぎ合わせたものを用いるよう
にした他は、実施例1と同様にして図3(a)に示すよ
うなケナフ複合ボードを得た。
【0081】(比較例1)繊維径50〜600μm、繊
維長200〜2000mmのケナフ靭皮の長繊維に、フ
ェノール樹脂接着剤を繊維絶乾重量に対して25質量%
スプレー塗布し、このケナフ長繊維を用いてケナフ繊維
マットを作製した後に、これを実施例1と同じ条件で加
熱加圧成形することによって、ケナフ繊維板を得た。
【0082】(比較例2)繊維長1〜5mmの針葉樹短
繊維に、フェノール樹脂接着剤を繊維絶乾重量に対して
25質量%スプレー塗布し、この針葉樹短繊維を用いて
繊維マットを作製した。そしてロールコーターでフェノ
ール樹脂接着剤を塗布した針葉樹単板の両面に繊維マッ
トを積層し、これを実施例1と同じ条件で加熱加圧成形
することによって、図12に示すような針葉樹複合ボー
ドを得た。
【0083】(比較例3)比較のためにラワン合板を用
いた。
【0084】(比較例4)比較のためにMDFを用い
た。
【0085】(比較例5)比較のためにパーティクルボ
ードを用いた。
【0086】(比較例6)コア層として針葉樹単板の替
わりにポプラ単板を用いるようにした他は、比較例2と
同様にして図12に示すような針葉樹複合ボードを得
た。
【0087】上記の実施例1〜21及び比較例1〜6の
ボード構成や製造条件等について、表1、表2にまとめ
て示す。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】次に、実施例1〜21及び比較例1〜6で
得た各ボードについて、曲げ強度、曲げヤング率、剥離
強度、吸水時厚さ膨張率を、JIS A 5906(中
質繊維板)、JIS A 5905(繊維板)に規定さ
れた方法で測定し、また直径10mmの硬球を用いてボ
ード表面に300Nの荷重を負荷したときの、硬球圧縮
へこみ量を測定して表面硬度を評価した。これらの結果
を表3に示す。
【0091】
【表3】
【0092】表3にみられるように、各実施例のケナフ
複合ボードは、比較例1のケナフ繊維板や比較例2,6
の針葉樹複合ボード、比較例6のパーティクルボードと
比較して、0.6以下の低比重でありながら、強度性能
が高いものであった。また各実施例のケナフ複合ボード
は、比較例3の合板と同等の剥離強度を有しており、ボ
ードとして十分な層間接着強度を有するものであり、し
かも吸水時厚さ膨張率については、層間接着強度が十分
得られているので、比較例3の合板と同等以上の性能を
有するものであった。さらに各実施例のケナフ複合ボー
ドは、比較例4のMDFと同等以上の表面硬度性能を有
するものであった。
【0093】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係るケ
ナフ複合ボードは、木材単板の両側の表面にそれぞれケ
ナフ繊維層を配して形成されるケナフ複合ボードであっ
て、ケナフ繊維層は互いに絡み合っている長さ20mm
以上の多数のケナフ長繊維と熱硬化性樹脂とから形成さ
れていると共に、ケナフ繊維層は木材単板に接着されて
いるので、表層を構成するケナフ繊維層は繊維長が20
mm以上のケナフ長繊維を絡めて熱硬化性樹脂で固める
ことによって形成されており、軽量に形成しても、優れ
た強度と表面平滑性を有するものである。また層間の接
着性に優れており、耐水性にも優れた性能を有している
ものである。
【0094】また請求項2の発明は、ケナフ繊維層はケ
ナフ長繊維が一方向あるいは直交方向に配向されている
ので、ケナフ長繊維の配向によって配向方向に強度性能
や吸水時などの寸法安定性能が優れているものである。
【0095】また請求項3の発明は、ケナフ繊維層はケ
ナフ長繊維を編み込みあるいは織り込みしてシート状に
形成されたものであるので、異方性がなくなってあらゆ
る方向の強度や寸法安定性などを高く得ることができる
ものである。またケナフ繊維層はケナフ長繊維が厚み方
向に絡み合っており、吸水厚さ膨張率についても優れた
性能を有しているものである。
【0096】また請求項4の発明は、木材単板は比重が
0.5以下であることを特徴とするものであり、木材単
板の比重がこのように低く低品質のものであっても、表
面層として形成されるケナフ繊維層によって、低比重を
活かしながら高強度、高硬度、表面平滑性に優れたもの
にすることができるものである。
【0097】また請求項5の発明は、木材単板として、
ポプラから得られたポプラ単板を用いることを特徴とす
るものであり、木材単板の比重がこのように低く低品質
のポプラ単板であっても、表面層として形成されるケナ
フ繊維層によって、低比重のポプラ単板の特性を活かし
ながら、高強度、高硬度、表面平滑性に優れたものにす
ることができるものである。
【0098】本発明の請求項6に係るケナフ複合ボード
の製造方法は、長さが20mm以上の多数のケナフ長繊
維が絡み合って形成されたケナフ繊維マットに水溶性の
熱硬化性樹脂を含浸させる熱硬化性樹脂含浸工程と、熱
硬化性樹脂が含浸されたケナフ繊維マットを乾燥する乾
燥工程と、乾燥されたケナフ繊維マットを木材単板の両
側の表面にそれぞれ重ねて積層体を形成する積層工程
と、積層体を加熱加圧して一体化する熱圧成形工程から
なることを特徴とするものであり、ケナフ繊維マットの
内部にまで熱硬化性樹脂を均一に浸透させて固着させる
ことができ、この強度性能や表面硬度に優れたケナフ繊
維層を形成することができると共に、ケナフ繊維層に含
浸させた熱硬化性樹脂を利用してケナフ繊維層を木材単
板に接着することができ、層間接着性に優れたケナフ複
合ボードを得ることができるものである。
【0099】また請求項7の発明は、乾燥工程におい
て、熱硬化性樹脂が含浸されたケナフ繊維マットの含水
率が20〜100質量%の範囲になるまで乾燥を行なう
ようにしたので、熱圧成形工程でケナフ繊維マットを加
熱する際に水分蒸発に伴って、熱硬化性樹脂を木質単板
との界面に多く存在するように移動させることができ、
木材単板とケナフ繊維層との層間接着性を高めることが
できるものである。
【0100】また請求項8の発明は、乾燥工程におい
て、ケナフ繊維マットの片側の表面に温度40〜120
℃の熱風を吹き付けることによって乾燥を行なうように
したので、熱風が接触した側においてケナフ繊維マット
の表面に熱硬化性樹脂が多く存在するようにすることが
でき、木材単板とケナフ繊維層との層間接着性を高める
ことができるものである。
【0101】また請求項9の発明は、積層工程におい
て、木材単板とケナフ繊維マットからなる積層体に積層
方向の圧力を加えて予備圧締した後に、熱圧成形工程で
積層体を加熱加圧するようにしたので、ケナフ繊維マッ
トの表面に熱硬化性樹脂が多く存在するようにすること
ができ、木材単板とケナフ繊維層との層間接着性を高め
ることができるものである。
【0102】また請求項10の発明は、積層工程におい
て、木材単板の両側の表面に熱硬化性樹脂を付着させた
後に、ケナフ繊維マットを木材単板の両側の表面にそれ
ぞれ重ねて積層体を形成するようにしたので、木材単板
とケナフ繊維層との界面の接着性を高めることができ、
ケナフ複合ボードの層間剥離性や吸水厚さ膨張率を向上
させることができるものである。
【0103】また請求項11の発明は、木材単板に塗布
して付着させる熱硬化性樹脂が、粘度100センチポイ
ズ以上の高粘度液であるので、木材単板内に熱硬化性樹
脂が浸透して吸収されてしまうことを防ぐことができ、
木材単板とケナフ繊維層との界面の接着性を高く得るこ
とができるものである。
【0104】また請求項12の発明は、木材単板とし
て、木材単板に存在する空隙や割れなどの欠陥部分に、
熱硬化性樹脂を付着させた粒径1mm以下の木粉あるい
は繊維長5mm以下のケナフ短繊維を充填したものを用
いるようにしたので、木材単板の欠陥部分を補修した状
態で使用することができ、木材単板の欠陥によってボー
ド性能や品質が低下することを防ぐことができるもので
ある。
【0105】また請求項13の発明は、積層工程におい
て、木材単板をその端面同士を近接対向させて複数枚並
べ、隣り合う木材単板の端面間に熱硬化性樹脂を付着さ
せた粒径1mm以下の木粉あるいは繊維長5mm以下の
ケナフ短繊維を充填し、この複数枚並べた木材単板の両
側の表面に、各木材単板間に跨らせてケナフ繊維マット
を重ねるようにしたので、木材単板を複数枚継いで使用
するにあたって、木材単板間のぎ目が隙間などの欠陥と
ならないようにすることができ、木材単板の継ぎ目の欠
陥によってボード性能や品質が低下することを防ぐこと
ができるものである。
【0106】また請求項14の発明は、積層工程におい
て、木材単板の端面を傾斜面に形成し、隣り合う木材単
板の端面同士を傾斜面が厚み方向に重なるように複数枚
の木材単板をその端面同士を近接対向させて並べ、この
複数枚並べた木材単板の両側の表面に、各木材単板間に
跨らせてケナフ繊維マットを重ねるようにしたので、木
材単板間の継ぎ目が隙間などの欠陥とならないようにす
ることができ、木材単板の継ぎ目の欠陥によってボード
性能や品質が低下することを防ぐことができるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るケナフ複合ボードの実施の形態の
一例を示すものであり、(a)はケナフ複合ボードの斜
視図、(b)は木材単板の斜視図、(c)はケナフ繊維
マットの斜視図である。
【図2】同上の実施の形態の一例を示すものであり、
(a)は木材単板の断面図、(b)は木材単板の斜視
図、(c)はケナフ複合ボードの木材単板とケナフ繊維
層の断面図である。
【図3】同上の実施の形態の一例を示すものであり、
(a),(b),(c)はそれぞれ一部を破断した斜視
図である。
【図4】同上の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るケナフ複合ボードの製造方法の実
施の形態の一例を示すものであり、(a),(b),
(c),(d)はそれぞれ各工程の斜視図である。
【図6】同上の実施の形態の一例を示すものであり、
(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図7】同上の実施の形態の一例を示すものであり、
(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図8】同上の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図9】同上の実施の形態の一例の斜視図である。
【図10】同上の実施の形態の一例を示すものであり、
(a)は木材単板の斜視図、(b)は積層工程での断面
図、(c)はケナフ複合ボードの一部の断面図である。
【図11】同上の実施の形態の一例を示すものであり、
(a)は木材単板の断面図、(b)は積層工程での断面
図、(c)はケナフ複合ボードの断面図である。
【図12】従来例の斜視図である。
【符号の説明】
1 木材単板 2 ケナフ繊維層 3 ケナフ長繊維 4 熱硬化性樹脂 5 ケナフ繊維マット 6 積層体 7 欠陥部分 9 傾斜面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大西 兼司 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 劉 文海 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 2B200 AA01 AA07 BA03 BA11 BB01 BB04 BB06 BB07 BB15 CA11 DA04 EA06 EE13 EF11 FA24 FA31 HA03 2B250 AA01 AA05 AA06 AA09 AA13 BA05 BA06 CA11 DA04 EA02 EA13 FA21 FA31 FA37 HA01 2B260 AA03 AA12 BA01 BA07 BA19 CB01 CB04 CD02 CD03 CD04 CD06 DA01 DA17 DD02 EA05 EB02 EB06 EB19 EB21 4F100 AJ02A AJ02C AK01A AK01C AP01B BA03 BA06 BA10A BA10C DG01A DG01C EJ202 EJ422 EJ82A EJ82C EJ821 EJ861 GB07 JA02 JA13B JB13A JB13C JK06 JK14 JL04 JL16 YY00B 4J040 EB031 EB111 EB131 JB02 KA04 LA06 MA08 MA09 MB02 MB09 NA12 NA13

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材単板の両側の表面にそれぞれケナフ
    繊維層を配して形成されるケナフ複合ボードであって、
    ケナフ繊維層は互いに絡み合っている長さ20mm以上
    の複数のケナフ長繊維と熱硬化性樹脂とから形成されて
    いると共に、ケナフ繊維層は木材単板に接着されている
    ことを特徴とするケナフ複合ボード。
  2. 【請求項2】 ケナフ繊維層はケナフ長繊維が一方向あ
    るい直交方向に配向されているものであることを特徴と
    する請求項1に記載のケナフ複合ボード。
  3. 【請求項3】 ケナフ繊維層はケナフ長繊維を編み込み
    あるいは織り込みしてシート状に形成されたものである
    ことを特徴とする請求項1に記載のケナフ複合ボード。
  4. 【請求項4】 木材単板は比重が0.5以下であること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のケナフ
    複合ボード。
  5. 【請求項5】 木材単板として、ポプラから得られたポ
    プラ単板を用いることを特徴とする請求項1乃至4のい
    ずれかに記載のケナフ複合ボード。
  6. 【請求項6】 長さが20mm以上の複数のケナフ長繊
    維が絡み合って形成されたケナフ繊維マットに水溶性の
    熱硬化性樹脂を含浸させる熱硬化性樹脂含浸工程と、熱
    硬化性樹脂が含浸されたケナフ繊維マットを乾燥する乾
    燥工程と、乾燥されたケナフ繊維マットを木材単板の両
    側の表面にそれぞれ重ねて積層体を形成する積層工程
    と、積層体を加熱加圧して一体化する熱圧成形工程から
    なることを特徴とするケナフ複合ボードの製造方法。
  7. 【請求項7】 乾燥工程において、熱硬化性樹脂が含浸
    されたケナフ繊維マットの含水率が20〜100質量%
    の範囲になるまで乾燥を行なうことを特徴とする請求項
    6に記載のケナフ複合ボードの製造方法。
  8. 【請求項8】 乾燥工程において、ケナフ繊維マットの
    片側の表面に温度40〜120℃の熱風を吹き付けるこ
    とによって乾燥を行なうことを特徴とする請求項6又は
    7に記載のケナフ複合ボードの製造方法。
  9. 【請求項9】 積層工程において、木材単板とケナフ繊
    維マットからなる積層体に積層方向の圧力を加えて予備
    圧締した後に、熱圧成形工程において、積層体を加熱加
    圧することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記
    載のケナフ複合ボードの製造方法。
  10. 【請求項10】 積層工程において、木材単板の両側の
    表面に熱硬化性樹脂を付着させた後に、ケナフ繊維マッ
    トを木材単板の両側の表面にそれぞれ重ねて積層体を形
    成することを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記
    載のケナフ複合ボードの製造方法。
  11. 【請求項11】 木材単板に塗布して付着させる熱硬化
    性樹脂が、粘度100センチポイズ以上の高粘度液であ
    ることを特徴とする請求項10に記載のケナフ複合ボー
    ドの製造方法。
  12. 【請求項12】 木材単板として、木材単板に存在する
    空隙や割れなどの欠陥部分に、熱硬化性樹脂を付着させ
    た粒径1mm以下の木粉あるいは繊維長5mm以下のケ
    ナフ短繊維を充填したものを用いることを特徴とする請
    求項6乃至11のいずれかに記載のケナフ複合ボードの
    製造方法。
  13. 【請求項13】 積層工程において、木材単板をその端
    面同士を近接対向させて複数枚並べ、隣り合う木材単板
    の端面間に熱硬化性樹脂を付着させた粒径1mm以下の
    木粉あるいは繊維長5mm以下のケナフ短繊維を充填
    し、この複数枚並べた木材単板の両側の表面に、各木材
    単板間に跨らせてケナフ繊維マットを重ねることを特徴
    とする請求項6乃至12のいずれかに記載のケナフ複合
    ボードの製造方法。
  14. 【請求項14】 積層工程において、木材単板の端面を
    傾斜面に形成し、隣り合う木材単板の端面を傾斜面が厚
    み方向に重なるように複数枚の木材単板をその端面同士
    を近接対向させて並べ、この複数枚並べた木材単板の両
    側の表面に、各木材単板間に跨らせてケナフ繊維マット
    を重ねることを特徴とする請求項6乃至12のいずれか
    に記載のケナフ複合ボードの製造方法。
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