JP2003039194A - 熱交換器用アルミニウムブレージングシートのろう材およびその製造方法 - Google Patents
熱交換器用アルミニウムブレージングシートのろう材およびその製造方法Info
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Abstract
は溶融穴の発生を抑制することを可能とする熱交換器用
アルミニウムブレージングシートのろう材およびその製
造方法を提供する。 【解決手段】 アルミニウムブレージングシートにクラ
ッドされ、ろう付け加熱時に溶融するAl−Si系合金
ろう材において、該ろう材の共晶組織中に晶出する粗大
Si粒の最大径が20μm以下とする。ろう材中の粗大
Si粒の粒径の正規分布における平均値をμ、標準偏差
をσとしたとき、(μ+3σ)の値が10μm以下とす
るのが好ましい。このブレージングシートは、ろう材中
にNa、Sr、Sbを特定量添加する方法、ろう材中の
不純物量を特定範囲に限定する方法、ろう材の鋳造時に
おける冷却速度を特定する方法などによって得られる。
Description
ニウムブレージングシートのろう材、詳しくは、ろう付
け加熱時に溶融穴を発生させないまたは溶融穴の発生を
抑制する熱交換器用アルミニウムブレージングシートの
ろう材、およびその製造方法に関する。
ポレータ等の自動車用熱交換器には、軽量性と熱伝導性
が良好なアルミニウム合金が一般に使用されており、こ
れらのアルミニウム合金製熱交換器の製造においては、
アルミニウム合金の板材や押出形材を所定形状に成形し
て組付け、ろう付けによって接合する方法が一般的に採
用されている。
は、Al−Si合金ろう材やAl−Si−Mg合金ろう
材などのAl−Si系合金ろう材を板材の両面あるいは
片面にクラッドしたブレージングシートが使用され、組
み付けられた熱交換器をろう付け加熱炉に挿入して、A
l−Siの共晶温度(577℃)以上に加熱すると、板
材表面にクラッドされたろう材が溶融し、それらが継ぎ
手に流れて間隙を充填したり、継ぎ手にフィレットを形
成することによりろう付け接合が行われる。この際、ろ
う材は温度の上昇に伴って徐々に溶融し、直ちに継ぎ手
に向けて流動する。また、溶融の進展と共に、溶融ろう
材中への芯材の溶解も進行するが、通常は、ろうの流動
によって溶解の進行は抑制される。
は、省エネルギー、省資源の観点から薄肉化が進展して
おり、薄肉化に応じた耐食性の向上が急務となってい
る。特に冷媒の通路となるチューブやタンクにおける耐
食性が重要であり、部材が薄肉化されても従来と同等の
腐食貫通寿命が確保できるような材料開発が必要となっ
ているが、ろう材厚さが薄い薄肉化されたブレージング
シートが使用された場合、ろう付け加熱時に局部的な溶
融がブレージングシートの厚さ(深さ)方向に進行し、
溶融穴が生じて腐食貫通寿命を低下させ、甚だしい場合
には、溶融の進行によってブレージングシートに貫通孔
が生じ、漏れ不良となることが確認されている。
付け加熱時にブレージングシートに生じる局部的な溶融
についての検討過程において、種々の実験の結果とし
て、Al−Si合金ろう材、Al−Si−Mg合金ろう
材中に存在する粗大Si粒が局部溶融の原因となること
を見出した。すなわち、Al−Si合金ろう材およびA
l−Si−Mg合金ろう材は、Al−Siの共晶とAl
側固溶体α相からなる組織を有するが、共晶組織中に、
図1に示すような粗大Si粒(図1において共晶組織中
にみられる黒色の四角形の晶出物)の晶出が避けられ
ず、特に、そのサイズが大きい場合には、図2に示すよ
うに、ブレージングシートの表面にクラッドされたろう
材の厚さを越えて芯材中にまで及ぶ場合があることが判
った。このような材料をろう付けすると、図3に示すよ
うな溶融穴が発生して問題となる。
ば、ろう材厚さの薄いブレージングシートとフィン材と
を組付けて加熱した場合、図4に示すように、ろう材が
溶融して継ぎ手部へ流動するが、粗大Si粒を囲むよう
にして発生した溶融ろうも継ぎ手部へ流動する。その結
果、残された粗大Si粒と芯材との共晶溶融が深さ(厚
さ)方向に進行する。従って、粗大Si粒のサイズが大
きいほど溶融穴は深くなる。一方、ろう材層が厚い従来
材においては、粗大Si粒の近傍にも大量の溶融ろうが
発生し、それらが継ぎ手に向けて流動するため、粗大S
i粒を囲むようにして発生した溶融ろうが、直ちに継ぎ
手に向けて流動して粗大Si粒が取り残される危険性は
少なくなる。そのような場合、粗大Si粒と芯材がそれ
ぞれ溶融ろう中へ溶解するため、溶融穴が一深さ方向に
のみ進展することはない。但し、その場合においても、
Si粒のサイズが著しく大きいと溶融穴が芯材の深層部
まで及ぶことになり、耐食寿命の点から問題となる。
造組織において、前記のような粗大Si粒が晶出するメ
カニズムについては十分に解明されてはおらず、また、
その粗大Si粒の微細化や晶出抑制についても明らかに
されてはいない。発明者らは、粗大Si粒を微細化する
ため、あるいはその晶出を防止するために、以下の3つ
の方策を試みた結果、いずれも粗大Si粒の晶出防止あ
るいは成長抑制に効果を有することが見出された。
状に晶出するSi)の異形物あるいは初晶Si粒である
と考え、共晶組織の微細化に有効な元素の添加によっ
て、粗大Si粒の晶出抑制あるいは成長抑制を試みる。 (2)Al−Si系合金ろう材の製造に高純度地金を使
用することによって、粗大Si粒の発生核となっている
PやFeなどの不純物を制限し、粗大Si粒の晶出抑制
あるいは成長抑制を試みる。 (3)ろう材鋳造時における冷却速度を速めることによ
って粗大Si粒の成長を抑制する。
ものであり、その目的は、ろう付け加熱時に溶融穴を発
生させないまたは溶融穴の発生を抑制することを可能と
する熱交換器用アルミニウムブレージングシートのろう
材、およびその製造方法を提供することにある。
項1による熱交換器用アルミニウムブレージングシート
のろう材は、アルミニウムブレージングシートにクラッ
ドされ、ろう付け加熱時に溶融するAl−Si系合金ろ
う材において、該ろう材中の粗大Si粒の最大径が20
μm以下であることを特徴とする。
レージングシートのろう材は、アルミニウムブレージン
グシートにクラッドされ、ろう付け加熱時に溶融するA
l−Si系合金ろう材において、該ろう材中の粗大Si
粒の粒径の正規分布における平均値をμ、標準偏差をσ
としたとき、(μ+3σ)の値が10μm以下であるこ
とを特徴とする。
レージングシートのろう材は、アルミニウムブレージン
グシートにクラッドされ、ろう付け加熱時に溶融するA
l−Si系合金ろう材において、該ろう材の厚さが30
μm以下であり、ろう材中の粗大Si粒の最大径がろう
材の厚さの2/3以下であることを特徴とする。
レージングシートのろう材は、アルミニウムブレージン
グシートにクラッドされ、ろう付け加熱時に溶融するA
l−Si系合金ろう材において、該ろう材の厚さが30
μm以下であり、ろう材中の粗大Si粒の粒径の正規分
布における平均値をμ、標準偏差をσとしたとき、(μ
+3σ)の値がろう材の厚さの1/3以下であることを
特徴とする。
ニウムブレージングシートのろう材の製造方法は、請求
項1〜4のいずれかに記載のAl−Si系合金ろう材を
製造する方法であって、該ろう材に重量比率で10〜2
00ppmのNa、20〜400ppmのSr、500
〜4000ppmのSbのうちの1種以上を含有させる
ことを特徴とする。
レージングシートのろう材の製造方法は、請求項1〜4
のいずれかに記載のAl−Si系合金ろう材を製造する
方法であって、該ろう材の製造に高純度地金を用い、ろ
う材中の不純物元素の合計量を0.24質量%以下に制
限することを特徴とする。
ウムブレージングシートのろう材の製造方法は、請求項
1〜4のいずれかに記載のAl−Si系合金ろう材を製
造する方法であって、ろう材の鋳造時に、鋳塊中心部に
おける液相線温度から凝固完了までの平均冷却速度を1
℃/s以上とすることを特徴とする。
る溶融穴が、ろう材中に存在する粗大Si粒に起因する
ことを見出し、溶融穴を無くしまたはその成長を抑制す
るために、共晶Siを微細化するのではなく、ろう材中
の粗大Si粒の発生を防止しあるいはその成長を抑制す
る手段を見出すために実験、検討を重ねた結果としてな
されたものである。
微細化することは、Al−Si系鋳造合金の改良処理と
して周知であり、Al−Siろう材についてもSrを3
000ppm未満含有させて共晶Siを微細化する手法
が提案されている(特開平10−230385号公報)
が、共晶Siを微細化しても溶融穴の発生を防止するこ
とはできない。共晶Siは層状あるいは針状の形態に生
成するが、その形状的な脆さから圧延時に容易に粉砕さ
れるため、溶融穴の発生には関係しない。一方、ろう材
中に晶出する粗大Siは、球状あるいは柱状の形態で生
成する場合が多く、圧延時に粉砕される可能性が低いた
め、溶融穴発生の要因となる。従って、溶融穴を無くし
またはその成長を抑制するためには、ろう材中のSi粒
の晶出または成長を抑制することが重要となる。
とは、例えばSi:5〜13%を含有し、フラックスろ
う付け、フッ化物系の非腐食性フラックスを使用するろ
う付けに使用するAl−Si合金ろう材(AA404
5、AA4343など)、これに、例えば2%以下のM
gが添加された真空ろう付け用のAl−Si−Mg合金
ろう材(BA4005など)などをいう。上記のAl−
Si系合金ろう材には、必要に応じて、少量のBi、I
n、Be、Ba、Zn、Cu、Fe、Ti、Bなどが添
加されていてもよい。
厚さと密接な関係があり、同等の粗大Si粒がろう材中
に存在しても、ろう材厚さが厚い場合には、粗大Si粒
の近傍にも大量のろうの融液が発生しているため、粗大
Si粒によって発生した融液が直ちに継ぎ手に流動する
ことはなく、その結果、粗大Si粒を取り囲むようにし
てろうの融液が残留するため、粗大Si粒は主としてろ
うの融液中への溶解によって消失していくことになる。
そのため、ろう材厚さが厚くなるほど溶融穴が深さ方向
に優先的に進行する危険性が少なくなる。局所的な溶融
穴は従来においても発生していたものと思われるが、溶
融穴が発生しても、貫通に至らなければ発見することは
極めて困難であるため、ろう材厚さが大きく、ブレージ
ングシートの厚さが比較的厚かった従来材においては、
溶融穴が問題視されることはなかったものと推定され
る。
共晶反応によって溶融したろうが継ぎ手に向けて流動し
た後、粗大Si粒と芯材との界面において共晶溶融が進
行する結果、優先的に深さ方向に穴が拡大していくもの
であり、ろう付け温度を低くして加熱しても溶融穴の進
展を完全に食い止めることは不可能である。溶融穴が発
生すれば、少なくともその穴の深さの分量だけ腐食寿命
が短くなることは明らかである。
の深さは芯材厚さの1/10が限度と考察され、薄肉化
されたブレージングシートのAl−Si系合金ろう材に
おいては、ろう材の共晶組織中に晶出する粗大Si粒の
最大径を20μm以下とするのが好ましく、10μm以
下とするのがさらに好ましい。本発明において、粗大S
i粒の最大径は、Si粒の最も長い寸法とする。例え
ば、粗大Si粒の断面形状は、図1にみられるように、
殆どの場合、長方形(または多角形)であるが、長方形
の場合には、対向する頂点間の距離を測定して最大径と
する。
越える粗大Si粒の晶出していなければ、ろう付け加熱
時に溶融穴が発生せずまたは溶融穴の発生が抑制され
て、ろう付け後の熱交換器において十分な耐食性が確保
される。本発明によるアルミニウムブレージングシート
のろう材は、さらに、ろう材の共晶組織中に晶出する粗
大Si粒の粒径の正規分布における平均値をμ、標準偏
差をσとしたとき、(μ+3σ)の値が10μm以下で
あることが好ましい。
グシートにおいては、ろう材の共晶組織中に晶出する粗
大Si粒の最大径がろう材の厚さの2/3以下、すなわ
ち、20μm以下であるのが好ましく、1/3以下であ
ることがさらに好ましい。
中に晶出する粗大Si粒の粒径の正規分布における平均
値をμ、標準偏差をσとしたとき、(μ+3σ)の値が
ろう材の厚さの1/3以下であることが好ましい。
ートのろう材の製造方法について説明すると、まず、ろ
う材に重量比率で10〜200ppmのNa、20〜4
00ppmのSr、500〜4000ppmのSbのう
ちの1種以上を含有させる手段がある。それぞれ下限未
満では効果が小さく、それぞれ上限を越えて含有される
と、ろう材の流動性が低下して接合部におけるフィレッ
ト形成が不安定となる易い。上記元素を複合して添加す
る場合には、Naは100ppm、Srは300pp
m、Sbは3000ppmに限定するのが好ましい。
ろう材中の不純物元素の合計量を0.24質量%以下に
制限する手段がある。不純物元素の総量が0.24質量
%以下の場合に、粗大Si粒の晶出抑制あるいは成長抑
制の効果が認められ、不純物元素の総量が少なくなるほ
ど、粗大Si粒の晶出抑制あるいは成長抑制の効果が顕
著となる。
における表面から10mm内側部の液相線温度から凝固
完了までの平均冷却速度を1℃/s以上とする手段を採
用することもできる。この手段において、鋳塊の寸法、
冷却方法などは、粗大Si粒の成長抑制に影響を与える
ことはない。上記の各手段は単独で実施してもよく、各
手段の1つまたは2つ以上を併用することもできる。
して説明する。なお、これらの実施例は本発明の一実施
態様を示すものであり、本発明はこれに限定されるもの
ではない。
合金ろう材をクラッドした片面ブレージングシートを常
法に従って作製した。代表的な寸法仕様としては、ブレ
ージングシートの厚さを0.2mm、ろう材厚さを30
μmとし、一部の材料については、ブレージングシート
の厚さが0.3mm、0.1mmおよび0.07mmに
なるまで圧延し、それぞれ、ろう材厚さが45μm、1
5μm、および10μmになるようにした。
元素の効果を調査するために、Al−10%Si合金の
溶湯にNaを5〜300ppm、Srを10〜700p
pm、Sbを400〜6000ppmの範囲でそれぞれ
添加し、一部については、Na、Sr、Sbを複合添加
して鋳造した。地金は普通純度のものを使用し、鋳塊中
心部における液相線温度から凝固完了までの平均冷却速
度を0.5℃/sとした。
種類の高純度地金を用いてAl−10%Si合金中の不
純物の総量が0.24質量%以下および0.02質量%
以下となるように鋳造した。鋳造時の前記平均冷却速度
は0.5℃/sとした。
地金を用いたAl−10%Si合金の溶湯を、鋳造時の
前記平均冷却速度を1℃/s、2℃/sおよび5℃/s
として鋳造した。
−10%Si合金溶湯を、鋳造時の前記平均冷却速度を
0.5℃/sとして鋳造した。比較材の不純物元素の総
量は0.34質量%であった。なお、作製されたいずれ
のブレージングシート(試験材、比較材)についても、
最終圧延後に360℃で3hの軟化処理を施した。
シート(試験材)について、以下の示す方法で、最大S
i粒径、Si粒径分布、ろう付け性、溶融穴の深さを測
定、評価した。 (1)最大Si粒径:各試験材について、それぞれ10
箇所の任意断面を観察し、前記の測定基準に従って、ろ
う材層中の最大Si粒径を測定した。
いて、ろう材層中のSi粒径分布を測定した。なお、こ
の場合のSi粒径としては、前記の測定基準ではなく、
円相当直径を採用し、円相当直径の対数を正規分布に近
似して、正規分布の平均をμ、標準偏差をσとしたとき
の評価としてμ+3σを求めた。
シートを20mm×20mmの寸法に切断して、溶剤脱
脂後のろう材面に5g/m2 のフッ化物系フラックスを
塗布し、これを、同じく20mm×20mmに切断し、
溶剤脱脂した厚さ0.05mmの3003フィン材の上
下面に、ろう材面が内側になるように組み付け、ステン
レス製の治具で軽く固定して試験片とする。この試験片
を窒素ガス雰囲気炉で平均昇温速度30℃/分で昇温
し、595℃に達したところで直ちに冷却し、ろう付け
を完了させ、ろう付け後のフィン接合部の断面を観察し
て、形成されたフィレットの大きさからろう付け性を判
定した。フィレットの大きさが十分でろう付け性に優れ
ているものを○、フィレットの大きさがやや小さくろう
付け性に若干劣るものを△とする。
たブレージングシートのろう材面を光学顕微鏡観察し、
発見された微***を大きいものから順に5箇所ずつ選別
し、樹脂に埋め込んで断面を観察し、溶融穴の深さを測
定した。なお、ろう材表面の観察から微***が発見され
なかった試験片については、5箇所の任意断面を観察
し、溶融穴が認められた場合にその深さを測定するもの
とした。
元素の影響を表3に、鋳造時の冷却速度の影響を表4
に、ろう材厚さの影響を表5に示す。
は、表1〜2に示すように、添加元素のNaが10pp
m以上、Srが20ppm以上、Sbが500ppm以
上添加されたときに、最大Si粒径が小さくなり溶融穴
抑制の効果が認められた。Naが300ppm、Srが
700ppm、Sbが6000ppmでは、流動性が劣
ってフィレット形成が不安定となった。Srは500p
pm以上、Sbは5000ppm以上の添加でフィレッ
ト形成が不安定となり易い。上記3元素を複合添加した
場合にも効果は認められたが、Na、SrおよびSbを
それぞれ200ppm以上、500ppm以上および4
000ppm以上複合添加すると流動性が劣る傾向にあ
る。
0.21質量%で最大Si粒径が小さくなって溶融穴形
成が抑制される効果が認められた。不純物元素の総量が
少なくなるほどSi粒の晶出抑制あるいは成長抑制の効
果が顕著となり、良好な結果を得られる。
1.0℃/s以上で最大Si粒径が小さくなって溶融穴
形成が抑制される効果が認められる。冷却速度が大きい
ほど、Si粒の成長抑制の効果が顕著となり良好な結果
を得られる。
るためには、ろう材層厚さが薄くなるのに対応して、S
i粒径を小さくする必要のあることが確認された。表1
〜5の結果から総合的に判断して、ろう材層厚さが30
μm以下の場合は、Si粒径をろう材厚さの2/3以下
にすることによって、溶融穴の進展を問題のないレベル
(芯材厚さの1/10以下)に抑えるることができる。
う材中の最大Si粒径が22μm(試験材No.26)
と、ろう材層厚さの2/3以下であっても、深さ35μ
mの溶融穴が発生している。この結果から、ろう材層厚
さが厚い場合においても、ろう材中の最大Si粒径を2
0μm以下に抑えるることが、所望の耐食性を確保する
上で必要と考えられる。
i粒径は、十分に広い範囲の観察視野から求めたもので
あるが、確率論的にみれば、良好な結果が得られた試験
材においても、表1〜5に示す最大Si粒径より大きい
粒径のSi粒が存在するかもしれない。そこで、本発明
においては、Si粒径微細化の評価基準をより明確にす
るために、Si粒径に基づいた正規分布から得られる値
(μ+3σ)を求めることとした。一例として、Srを
20ppm含有する試験材No.7と比較材No.11
におけるSi粒径分布を測定した結果を、それぞれ図5
および図6に示す。
規分布に近似し、平均値をμ、標準偏差をσとしてμ+
3σを求める。これらの分布を、まず粒径を対数とした
正規分布に近似し、平均値をμ、標準偏差をσとして、
μ+3σを求めた結果を表1〜6に示す。表1〜6よ
り、μ+3σは最大Si粒径の略1/2の値となること
が認められ、ろう材層厚さが30μmを越えるものにつ
いては、μ+3σを10μm以下に、ろう材層厚さが3
0μm以下のものについては、μ+3σをブレージング
シート板厚の1/3以下に制限することにより溶融穴形
成を抑制する効果を上げることができるものと判断され
る。
粗大Si粒径を小さくなるように制御することにより、
以下のような顕著な効果がもたらされた。 (1)Al−Si合金ろう材やAl−Si−Mg合金ろ
う材を片面あるいは両面にクラッドしたブレージングシ
ートを使用した熱交換器をろう付けする工程において、
ろう材の共晶組織中の粗大Si粒による板厚方向への溶
融穴の発生あるいは進展を防止することが可能となり、
信頼性の高い耐食性を確保することができる。
のブレージングシートにおいては、従来のブレージング
シートにおいて、度々発生していた早期腐食貫通、ある
いはろう付け後の微小洩れが著しく改善され、確度の高
い腐食寿命予測を行うことが可能となる。
中に晶出した粗大Si粒を示す顕微鏡写真である。
ニウムブレージングシートのろう材中に晶出している粗
大Si粒を示す断面顕微鏡写真である。
ニウムブレージングシートのろう付け時に形成される溶
融穴を示す断面顕微鏡写真である。
ニウムブレージングシートを用いるろう付け工程におい
て、溶融穴が生じる過程を示す説明図である。
けるSi粒径分布の測定結果を示すグラフである。
結果を示すグラフである。
Claims (7)
- 【請求項1】 アルミニウムブレージングシートにクラ
ッドされ、ろう付け加熱時に溶融するAl−Si系合金
ろう材において、該ろう材中の粗大Si粒の最大径が2
0μm以下であることを特徴とする、ろう付け加熱時に
溶融穴を発生させないまたは溶融穴の発生を抑制する熱
交換器用アルミニウムブレージングシートのろう材。 - 【請求項2】 アルミニウムブレージングシートにクラ
ッドされ、ろう付け加熱時に溶融するAl−Si系合金
ろう材において、該ろう材中の粗大Si粒の粒径の正規
分布における平均値をμ、標準偏差をσとしたとき、
(μ+3σ)の値が10μm以下であることを特徴とす
る、ろう付け加熱時に溶融穴を発生させないまたは溶融
穴の発生を抑制する熱交換器用アルミニウムブレージン
グシートのろう材。 - 【請求項3】 アルミニウムブレージングシートにクラ
ッドされ、ろう付け加熱時に溶融するAl−Si系合金
ろう材において、該ろう材の厚さが30μm以下であ
り、ろう材中の粗大Si粒の最大径がろう材の厚さの2
/3以下であることを特徴とする、ろう付け加熱時に溶
融穴を発生させないまたは溶融穴の発生を抑制する熱交
換器用アルミニウムブレージングシートのろう材。 - 【請求項4】 アルミニウムブレージングシートにクラ
ッドされ、ろう付け加熱時に溶融するAl−Si系合金
ろう材において、該ろう材の厚さが30μm以下であ
り、ろう材中の粗大Si粒の粒径の正規分布における平
均値をμ、標準偏差をσとしたとき、(μ+3σ)の値
がろう材の厚さの1/3以下であることを特徴とする、
ろう付け加熱時に溶融穴を発生させないまたは溶融穴の
発生を抑制する熱交換器用アルミニウムブレージングシ
ートのろう材。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のAl−
Si系合金ろう材を製造する方法であって、該ろう材に
重量比率で10〜200ppmのNa、20〜400p
pmのSr、500〜4000ppmのSbのうちの1
種以上を含有させることを特徴とする熱交換器用アルミ
ニウムブレージングシートのろう材の製造方法。 - 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載のAl−
Si系合金ろう材を製造する方法であって、該ろう材の
製造に高純度地金を用い、ろう材中の不純物元素の合計
量を0.24質量%以下に制限することを特徴とする熱
交換器用アルミニウムブレージングシートのろう材の製
造方法。 - 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかに記載のAl−
Si系合金ろう材を製造する方法であって、ろう材の鋳
造時に、鋳塊中心部における液相線温度から凝固完了ま
での平均冷却速度を1℃/s以上とすることを特徴とす
る熱交換器用アルミニウムブレージングシートのろう材
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