JP2003034658A - 2−アダマンタノールの製造方法 - Google Patents

2−アダマンタノールの製造方法

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JP2003034658A
JP2003034658A JP2001217682A JP2001217682A JP2003034658A JP 2003034658 A JP2003034658 A JP 2003034658A JP 2001217682 A JP2001217682 A JP 2001217682A JP 2001217682 A JP2001217682 A JP 2001217682A JP 2003034658 A JP2003034658 A JP 2003034658A
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trichlorosilane
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Kenji Tanaka
健次 田中
Fumiaki Iwasaki
史哲 岩崎
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で取り扱いが容易な還元剤として用いて
2−アダマンタノンを還元し、収率良く2−アダマンタ
ノールを製造し得る方法を提供する。 【解決手段】 例えば、N,N−ジメチルホルムアミド;
1−ホルミルピロリジン、1−ホルミル−2−ヒドロキ
シメチルピロリジン等の環状アミンのホルミル化物;及
びN−ヘキシル−1−ホルミルプロリンアミド、N−ジフ
ェニルメチル−1−ホルミルプロリンアミド、1−ホル
ミルプロリンベンジルエステル等の窒素原子のβ位の炭
素にオキソ基を有するホルムアミド化合物からなる群よ
り選ばれた少なくとも1種の化合物からなる活性化剤と
トリクロロシランを予め混合した後に2−アダマンタノ
ンと接触させる等の方法により、トリクロロシランを用
いて2−アダマンタノンを還元して2−アダマンタノー
ルを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2−アダマンタノ
ンをトリクロロシランで還元し2−アダマンタノールを
製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】2−アダマンタノールは塗料、接着剤、
粘着剤、膜、吸着材などの材料の原料として工業上重要
な化合物である。従来、2−アダマンタノールの製造方
法としては、2−アダマンタノンをメタノール中で水素
化ホウ素ナトリウムにより還元する方法{ジャーナル・
オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ、594〜
603頁、1985年(Journal of Ame
rican Chemical Society,59
4〜603,1985)}や水素化リチウムアルミニウ
ムにより還元する方法{ヘルベティカ・キミーカ・アク
タ、1212〜1220頁、1982年(Helvet
ica Chimica Acta,1212〜122
0,1982)}が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとしている課題】しかし、水素化ホ
ウ素ナトリウムや水素化リチウムアルミニウムによる還
元方法では、還元反応中に水素ガスが発生するため排気
には細心の注意を払わなければならない上に、ホウ素あ
るいはアルミニウムを含む廃液を大量に発生させるた
め、環境の面からみても有用な方法とは言い難い。
【0004】そこで、本発明は、2−アダマンタノンを
取り扱いが容易な還元剤を用いて還元し2−アダマンタ
ノールを効率よく製造する方法を提供することを目的と
する。
【0005】なお、近年ケトン化合物をアルコール化合
物に還元する方法として、還元剤としてトリクロロシラ
ンを用い、活性化剤としてジメチルホルムアミド(以下
DMFと称す。)又はホルミルピロリジン誘導体を用いる
方法が報告されている{ケミストリー・レターズ、40
7〜408頁、1996年(Chemistry Le
tters,407〜408,1996)、テトラヒド
ロン・レターズ、7507〜7511頁、1999年
(Tetrahedron Letters,407〜
408,1999)}。これら方法で使用されているト
リクロロシランは前記のような課題を持たない極めてユ
ニークな還元剤ではあるものの、アダマンタン骨格を有
する立体障害が大きくかつ剛直なアルキルケトン化合物
の還元反応に適用した例は報告されていない。例えば、
前記のDMFを活性化剤として用いる方法が適用されてい
るのはアラルキルケトン化合物やアリールケトン化合物
の還元に関してであり、ホルミルピロリジン誘導体を活
性化剤として用いる方法が適用されているのは、2−ブ
タノン、2−ヘキサノン等の立体障害の少ないアルキル
ケトン化合物の還元反応についてである。トリクロロシ
ランは、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤と比べて分
子サイズが大きいため、一般的には立体障害の大きな化
合物の還元には適さないといわれており、トリクロロシ
ランを2−アダマンタノンの還元に用いた例は知られて
いない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、トリクロ
ロシランによる2−アダマンタノンの還元反応に成功す
れば産業上の極めて有効な手段になると考え、種々の活
性化剤を用いて上記反応を試みた。その結果、DMF、環
状アミンのホルミル化物、及び窒素原子のβ位の炭素に
オキソ基を有するホルムアミド化合物の少なくとも1種
の化合物を活性化剤として用いた場合には、立体障害の
大きい2−アダマンタノンについてもトリクロロシラン
によって効率的に還元反応が進行することを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明はDMF、環状アミンのホルミ
ル化物、及び窒素原子のβ位の炭素にオキソ基を有する
ホルムアミド化合物からなる群より選ばれる少なくとも
1種の化合物の存在下に、2−アダマンタノンをトリク
ロロシランで還元することを特徴とする2−アダマンタ
ノールの製造方法である。
【0008】本発明の製造方法においては上記のような
特定の活性化剤とトリクロロシランとが接触して、珪素
原子の配位数が5又は6である単核又は複核の珪素錯体
が形成され、該錯体が反応試剤の立体障害を受け難い高
い還元能を有する還元剤として作用しているものと思わ
れる。本発明の製造方法においては、トリクロロシラン
とN,N−ジメチルホルムアミド、環状アミンのホルミル
化物、及び窒素原子のβ位の炭素にオキソ基を有するホ
ルムアミド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1
種の化合物(活性化剤)を溶媒中で接触させた後、得ら
れた溶液と2−アダマンタノンとを混合すると上記のよ
うな還元剤の形成が起こり易いためと思われるが特に効
率よく反応が進行する。また、N,N−ジメチルホルムア
ミド、環状アミンのホルミル化物、及び窒素原子のβ位
の炭素にオキソ基を有するホルムアミド化合物からなる
群より選ばれる少なくとも1種の化合物として、N,N−
ジメチルホルムアミド、プロリノール誘導体、プロリン
アミド誘導体、プロリンエステル誘導体、及びN−ホル
ミル−N−メチルグリシンベンジルエステルからなる群
より選ばれる少なくとも1種の化合物を使用した場合に
は、反応収率が特に高いという特徴がある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法で原料として使
用される2−アダマンタノンとしては、試薬或いは入手
容易な工業原料を何等制限無く用いられる。また、工業
原料として或いは試薬として入手容易なアダマンタンを
原料にして、硫酸を用いて酸化して得た2−アダマンタ
ノン(例えば特開平11−189564号公報)を使用
することもできる。この場合には、単離したものは勿
論、反応液から有機溶媒を用いて2−アダマンタノンを
抽出した有機溶媒溶液を共沸脱水などによって脱水した
2−アダマンタノンの無水溶液も本発明の原料として使
用することができる。
【0010】本発明の製造方法で還元剤として使用され
るトリクロロシランとしては、試薬或いは工業原料とし
て市販されているものが何等制限無く使用できる。トリ
クロロシランは、一般に高純度シリコンの原料として使
用されるため、極めて純度の高いものが市販されてお
り、特に精製などを行うことなくこれらを使用すること
ができる。本発明におけるトリクロロシランの使用量
は、2−アダマンタノン1モルに対して1モル以上使用
すれば特に制限は無いが、あまり量が多いと、後処理の
中和工程において副生するシリカの除去操作が煩雑とな
るため、通常、2−アダマンタノン1モルに対して1〜
5モル、好ましくは1〜3モルの範囲から採用するのが
好ましい。
【0011】本発明においてはDMF、環状アミンのホル
ミル化物、及び窒素原子のβ位の炭素にオキソ基を有す
るホルムアミド化合物からなる群より選ばれた少なくと
も1種の化合物の存在下に、2−アダマンタノンをトリ
クロロシランで還元する。これら化合物(以下、本活性
化剤ともいう。)は、所謂活性化剤として作用し、トリ
クロロシランに配位して高い2−アダマンタンのような
立体障害の大きいケトン化合物に対しても高い還元能を
有する珪素錯体(該珪素錯体が実際の還元剤となる)が
形成されるものと思われる。
【0012】本活性化剤として使用されるDMFとして
は、試薬或いは入手容易な工業原料を何等制限無く用い
られる。また、環状アミンのホルミル化物、及び窒素原
子のβ位の炭素にオキソ基を有するホルムアミド化合物
としては2級アミンから誘導できる化合物が何等制限無
く使用できる。本発明で好適に使用できるこれら化合物
を具体的に例示すると、環状アミンのホルミル化物とし
ては、1−ホルミルピロリジン、1−ホルミルピペリジ
ン、1−ホルミルメキサメチレンイミン、1−ホルミル
ヘプタメチレンイミン、1−ホルミルピロール、1−ホ
ルミルイミダゾール、1−ホルミルピラゾール等の環に
置換基を有しない環状アミンのホルミル化物;1−ホル
ミル−2−ヒドロキシメチルピロリジン、1−ホルミル
−2−ベンジルオキシメチルピロリジン、1−ホルミル
−2−ジフェニルヒドロキシメチルピロリジン等のプロ
リノール誘導体等が挙げられる。これらの中でも、高い
収率が期待できるという観点から1−ホルミルピロリジ
ン、1−ホルミルピペリジン、1−ホルミルメキサメチ
レンイミン、1−ホルミルヘプタメチレンイミン、1−
ホルミル−2−ヒドロキシメチルピロリジン等のプロリ
ノール誘導体を使用するのが好適である。また、窒素原
子のβ位の炭素にオキソ基を有するホルムアミド化合物
としては、N−フェニル−1−ホルミルプロリンアミ
ド、N−ベンジル−1−ホルミルプロリンアミド、N−ジ
フェニル−1−ホルミルプロリンアミド、N−ジフェニ
ルメチル−1−ホルミルプロリンアミド、N−(1−ナ
フチル)−1−ホルミルプロリンアミド、N−tert
−ブチル−1−ホルミルプロリンアミド等のプロリンア
ミド誘導体;1−ホルミルプロリンベンジルエステル、
1−ホルミルプロリンtert−ブチルエステル、1−
ホルミルプロリンヘキシルエステル、1−ホルミルプロ
リンフェニルエステル、1−ホルミルプロリンメチルエ
ステル、1−ホルミルプロリンエチルエステル等のプロ
リンエステル誘導体;及びN−ホルミル−N−メチルグリ
シンベンジルエステル等が挙げられる。
【0013】本発明の製造方法においては、反応収率が
特に高く、約90%以上の収率が得られるという観点か
ら本活性化剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド;
1−ホルミルピロリジン、1−ホルミル−2−ヒドロキ
シメチルピロリジン(何れもプロリノール誘導体);N
−ヘキシル−1−ホルミルプロリンアミド、N−ジフェニ
ルメチル−1−ホルミルプロリンアミド、N−(1−ナ
フチル)−1−ホルミルプロリンアミド、N−tert
−ブチル−1−ホルミルプロリンアミド(何れもプロリ
ンアミド誘導体);1−ホルミルプロリンベンジルエス
テル、1−ホルミルプロリンtert−ブチルエステ
ル、1−ホルミルプロリンフェニルエステル、1−ホル
ミルプロリンエチルエステル(何れもプロリンエステル
誘導体)、及びN−ホルミル−N−メチルグリシンベンジ
ルエステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の化
合物を使用するのが特に好適である。
【0014】上記環状アミンのホルミル化物、及び窒素
原子のβ位の炭素にオキソ基を有するホルムアミド化合
物は、多くのものが試薬等として市販されており入手は
容易であるが、例えば、次のような方法により簡単に合
成することもできる。即ち、環に置換基を有しない環状
アミンのホルミル化物については、工業原料として或い
は試薬として入手容易な環状アミンと、ぎ酸メチル、ぎ
酸エチル、又はぎ酸及び酢酸からなる混合酸無水物等の
ホルミル化剤とを反応させることによって合成すること
が可能である。また、プロリンアミド誘導体に関しては
プロリンと塩化チオニルから酸クロライドを調整し、所
定のアミン化合物を反応させてアミド体とした後、上記
ホルミル化剤によって窒素原子をホルミル化することに
よって合成することができる。さらに、プロリンエステ
ル誘導体に関しては、同様に酸クロライドと所定のアル
コール化合物を反応してエステル体にした後、上記ホル
ミル化剤を用いてホルミル化することによって合成が可
能であり、プロリノール誘導体に関しては、上記方法で
得られるプロリンエステルを水素化ホウ素ナトリウムに
よって還元し、必要と有れば、水酸基をエーテル化し、
ホルミル化剤でホルミル化を行うか、プロリンメチルエ
ステルを過剰のグリニャール試薬と反応させることで合
成可能である。さらにまた、N−ホルミル−N−メチルグ
リシンベンジルエステルに関しては、入手可能なN−ホ
ルミル−N−メチルグリシンをベンジルエステル化した
後、ホルミル化することによって合成が可能である。な
お、前記ホルミル化物及び/又は窒素原子のβ位の炭素
にオキソ基を有するホルムアミド化合物のうち、プロリ
ノール及びプロリンアミド及びプロリンエステルから誘
導される化合物については、ピロリジン環の2位に不斉
炭素を有するため、S体、R体の異性体が存在するが、本
発明においては、どちらの異性体も全く問題なく使用で
きるし、ラセミ体でも一向に差し支えない。
【0015】本発明における、DMF、環状アミンのホル
ミル化物、及び窒素原子のβ位の炭素にオキソ基を有す
るホルムアミド化合物の使用量としては特に制限は無い
が、あまり量が少ないと反応速度が著しく小さくなり、
あまり量が多いと、後処理工程での除去操作が煩雑とな
る上に、経済的にも不利になることから、通常、2−ア
ダマンタノン1モルに対して、0.01モル〜50モ
ル、好ましくは0.05モル〜30モルの範囲から選択
するのがよい。
【0016】本発明の製造方法では、DMF、環状アミン
のホルミル化物、及び窒素原子のβ位の炭素にオキソ基
を有するホルムアミド化合物からなる群より選ばれた少
なくとも1種の化合物からなる活性化剤の存在下に、2
−アダマンタノンをトリクロロシランで還元するが、該
還元は溶媒中で上記活性化剤、トリクロロシラン、及び
2−アダマンタノンを混合することにより好適に行なう
ことができる。このとき、溶媒としては、還元反応を阻
害しない有機溶媒が何等制限無く使用できる。これらの
有機溶媒を具体的に例示すると、塩化メチレン、クロロ
ホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;
テトラハイドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロ
ピルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類;酢
酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、
アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ベ
ンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ヘ
キサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ジメチルカー
ボネート等のカーボネート類、クロロベンゼン等のハロ
ゲン化芳香族炭化水素類;等を挙げる事ができる。これ
らの中でも、特に高い収率が期待できる、ハロゲン化脂
肪族炭化水素類、エーテル類、エステル類、芳香族炭化
水素類、カーボネート類等が好適に採用される。
【0017】なお、本発明においては、水は反応阻害因
子として作用するため、上記溶媒は乾燥して用いるのが
好適である。溶媒の乾燥方法としては、溶媒によって最
適な方法が異なるため一概には言えないが、塩化カルシ
ウム、ゼオライト、硫酸マグネシウム等の脱水剤或いは
カルシウムハイドライド等の水素化物と溶媒を接触させ
た後、蒸留等の操作によって、乾燥溶媒を調整すること
ができる。
【0018】本発明におけるこれらの有機溶媒の使用量
は、特に制限は無いが、あまり量が多いと、一バッチあ
たりの収量が小さくなるため経済的ではなく、あまり量
が少ないと攪拌等に支障をきたすため、通常2−アダマ
ンタノンの濃度が0.1〜60重量%、好ましくは1〜
50重量%となるように有機溶媒を使用することが好ま
しい。
【0019】本発明の溶媒中で各反応試剤を混合する順
序は特に制限はないが、反応容器中にN,N−ジメチルホ
ルムアミド或いは環状アミンのホルミル化物或いは窒素
原子のβ位の炭素にオキソ基を有するホルムアミド化合
物及び上記したような有機溶媒を加えた後、所定の温度
でトリクロロシランを添加して還元剤溶液を調製し、こ
の還元剤溶液を2−アダマンタンノンの有機溶媒溶液に
所定の温度で添加するのが好適である。この時、2−ア
ダマンタノンを溶解する有機溶媒としては還元剤溶液の
有機溶媒と同じものを用いるのが好適である。
【0020】本発明における反応温度としては特に制限
は無いが、あまり温度が高いと副反応を助長し、あまり
温度が低いと反応速度が著しく小さくなるため、通常、
−70℃〜50℃、特に−30℃〜40℃の範囲で行う
のが好適である。また、本発明おける反応時間は特に制
限は無いが、使用する環状アミンのホルミル化物或いは
ホルムアミド化合物により異なるため一概には言えない
が、通常0.5〜30時間あれば十分である。本発明の
還元反応は、常圧、減圧、加圧のいずれの状態でも実行
可能である。また、上記反応においては、水が反応阻害
因子として作用するため、反応は、窒素、ヘリウム、ア
ルゴン等の不活性気体雰囲気下、或いは乾燥空気雰囲気
下で行うのが好ましい。
【0021】このようにして得られた、2−アダマンタ
ノールの単離精製方法としては特に制限は無く公知の方
法が採用される。例えば、反応液に、炭酸水素ナトリウ
ム水溶液を加えて完全に反応系を中和し、水に相溶しな
い有機溶媒を加えて抽出し、得られた有機溶媒を乾燥
し、溶媒を減圧留去した後、残さをシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーによって分離精製できる。
【0022】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらによって何等制限されるもので
はない。
【0023】尚、実施例で使用する各環状アミンのホル
ミル化物、及び窒素原子のβ位の炭素にオキソ基を有す
るアミド化合物(以下、総称して本ホルムアミド化合物
ともいう。)は以下の方法で製造した。
【0024】即ち、環に置換基を有しない環状アミンの
ホルミル化物については、環状アミンとぎ酸メチルを反
応させて製造した。プロリンアミド誘導体については、
プロリンと塩化チオニルを反応させて酸クロライド調整
した後、この化合物に所定のアミンを反応させてプロリ
ンアミド誘導体に変換し、ぎ酸メチルを反応させて製造
した。プロリンエステル誘導体については、上記酸クロ
ライドに所定のアルコールを反応させて、プロリンエス
テル誘導体に変換した後、ぎ酸メチルを反応させて製造
した。
【0025】また、プロリノール誘導体に関しては、上
記プロリンエステル誘導体を水素化ホウ素ナトリムでプ
ロリノール誘導体に変換した後、ぎ酸メチルを反応させ
ることによって製造した。尚、必要に応じて上記プロリ
ノール誘導体をベンジルクロリドを用いて水酸基をエー
テル化を行った。さらには、上記プロリンエステル誘導
体に過剰のフェニルマグネシウムブロミドを反応させて
製造した。
【0026】また、N−ホルミル−N−メチルグリシンエ
ステルに関しては、N−メチルグリシンを上記と同様の
方法でエステル化した後、ぎ酸メチルを用いてホルミル
化することによって合成した。
【0027】実施例1 窒素雰囲気下、50mlの茄子型フラスコに、N,N−
ジメチルホルムアミド9.14g(125mmol)、
溶媒として塩化メチレン5ml加え、0℃に冷却する。
この溶液にトリクロロシラン1.35g(10mmo
l)を滴下し、還元液を調整した。この溶液を0℃に冷
却した2−アダマンタノン0.75g(5mmol)を
含む塩化メチレン溶液5mlに滴下し、室温に戻した
後、24時間反応させた。
【0028】反応終了後、反応溶液を10mlのメチル
アルコールと20mlの水の混合溶液に注いだ後、析出
物をセライトろ過し、50mlの塩化メチレンで3回抽
出操作を行った。得られた塩化メチレン溶液を硫酸マグ
ネシウムで乾燥し、濃縮を行い、残さをシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーで分離精製したところ、2−アダ
マンタノールを0.74gで取得した。(収率97%) 実施例2〜5 表1に示した溶媒に代えて用いた以外は実施例1と同様
の操作を行った。その結果を表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】実施例6 窒素雰囲気下、50mlの茄子型フラスコに、N−ホル
ミルピロリジン0.99g(10mmol)、溶媒とし
て塩化メチレン5ml加え、0℃に冷却する。この溶液
にトリクロロシラン1.35g(10mmol)を滴下
し、還元液を調整した。この溶液を0℃に冷却した2−
アダマンタノン0.75g(5mmol)を含む塩化メ
チレン溶液5mlに滴下し、室温に戻した後、8時間反
応させた。
【0031】反応終了後、反応溶液を10mlのメチル
アルコールと20mlの水の混合溶液に注いだ後、析出
物をセライトろ過し、50mlの塩化メチレンで3回抽
出操作を行った。得られた塩化メチレン溶液を硫酸マグ
ネシウムで乾燥し、濃縮を行い、残さをシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーで分離精製したところ、2−アダ
マンタノールを0.69gで取得した。(収率91%) 実施例7〜23 1−ホルミルピロリジンに代えて表2に示した本ホルム
アミド化合物として環状アミンのホルミル化物および窒
素原子のβ位の炭素にオキソ機を有するアミド化合物
(実施例7〜23)を用い、反応時間を12時間とした
以外は実施例4と同様の操作を行った。その結果を表2
に示した。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、N,N−ジメチルホルム
アミド、環状アミンのホルミル化物、及び窒素原子のβ
位の炭素にオキソ基を有するホルムアミド化合物を反応
助剤として用いることにより、工業的に安価で取り扱い
が容易なトリクロロシランを還元剤として2−アダマン
タノンから2−アダマンタノールが約70%(用いる活
性剤の種類によっては約90%以上)という高い収率で
製造できるため、工業的に極めて重要であるといえる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N,N−ジメチルホルムアミド、環状アミ
    ンのホルミル化物、及び窒素原子のβ位の炭素にオキソ
    基を有するホルムアミド化合物からなる群より選ばれる
    少なくとも1種の化合物の存在下に、2−アダマンタノ
    ンをトリクロロシランで還元することを特徴とする2−
    アダマンタノールの製造方法。
  2. 【請求項2】 トリクロロシランとN,N−ジメチルホル
    ムアミド、環状アミンのホルミル化物、及び窒素原子の
    β位の炭素にオキソ基を有するホルムアミド化合物から
    なる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を溶媒中で
    接触させた後、得られた溶液と2−アダマンタノンとを
    混合して、2−アダマンタノンを還元することを特徴と
    する請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 N,N−ジメチルホルムアミド、環状アミ
    ンのホルミル化物、及び窒素原子のβ位の炭素にオキソ
    基を有するホルムアミド化合物からなる群より選ばれる
    少なくとも1種の化合物が、N,N−ジメチルホルムアミ
    ド、プロリノール誘導体、プロリンアミド誘導体、プロ
    リンエステル誘導体、及びN−ホルミル−N−メチルグリ
    シンベンジルエステルからなる群より選ばれる少なくと
    も1種の化合物である請求項1又は2に記載の製造方
    法。
JP2001217682A 2001-07-18 2001-07-18 2−アダマンタノールの製造方法 Pending JP2003034658A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006151856A (ja) * 2004-11-29 2006-06-15 Tokuyama Corp 新規プロリン誘導体、その製造方法、及びそれを用いた光学活性二級アルコール化合物の製造方法
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