JP2003027376A - エチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着物及びこれを用いた伝動ベルト - Google Patents

エチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着物及びこれを用いた伝動ベルト

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JP2003027376A
JP2003027376A JP2001216182A JP2001216182A JP2003027376A JP 2003027376 A JP2003027376 A JP 2003027376A JP 2001216182 A JP2001216182 A JP 2001216182A JP 2001216182 A JP2001216182 A JP 2001216182A JP 2003027376 A JP2003027376 A JP 2003027376A
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ethylene
olefin
rubber
rubber composition
fiber
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JP2001216182A
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English (en)
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Hitoshi Hanesaka
仁志 羽坂
Keiji Takano
啓二 高野
Sumiko Takeuchi
寿美子 竹内
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Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エチレン・α−オレフィンゴム組成物と伝動
ベルトの心線となる繊維コードやカバー帆布のような織
物等とを良好に接着することができるエチレン・α−オ
レフィンゴム組成物と繊維との接着物及びこの接着物を
接着ゴム層に用いた伝動ベルトを提供する。 【解決手段】 ベルト長さ方向に沿って繊維コードをエ
チレン・α−オレフィンゴム組成物に埋設した接着ゴム
層3と、エチレン・α−オレフィンゴム組成物からなる
圧縮ゴム層4とからなるVリブドベルト1であり、上記
接着ゴム層3が繊維をエチレン−α−オレフィン−ジエ
ン共重合体ゴムラテックスからなるレゾルシン−ホルマ
リン−ゴムラテックス液に加硫促進剤を添加したRFL
処理液で付着処理した後、エチレン・α−オレフィンゴ
ムの未加硫ゴム組成物と密着加硫せしめた接着物からな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエチレン・α−オレ
フィンゴム組成物と繊維との接着物及び伝動ベルトに係
り、詳しくはエチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊
維コード等とを良好に接着することができるエチレン・
α−オレフィンゴム組成物と繊維コードとの接着物及び
この接着物を伝動ベルトの接着ゴム層に用いた伝動ベル
トに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギー化、コンパクト化の
社会的要請を背景に、自動車のエンジンルーム周辺の雰
囲気温度は従来に比べて上昇してきている。これにとも
ない伝動ベルトの使用環境温度も高くなってきた。従
来、伝動ベルトは主として天然ゴム、スチレン−ブタジ
エンゴム、クロロプレンゴムが使用されてきたが、高温
雰囲気下では、硬化した圧縮ゴム層で早期にクラックを
生じるという問題が発生した。
【0003】このようなベルトの早期破壊現象に対し、
従来からクロロプレンゴムの耐熱性の改善が検討されて
きたが、これに代わり最近ではエチレン−プロピレン系
ゴム(EPR)あるいはエチレン−プロピレン−ジエン
共重合体ゴム(EPDM)等のエチレン−α−オレフィ
ンエラストマーが優れた耐熱性、耐寒性を有し、比較的
に安価なポリマーであり、伝動ベルトへの使用も検討さ
れつつあり、例えば特開平6−345948号公報に開
示されている。
【0004】しかしながら、エチレン−プロピレン系ゴ
ムは引き裂き力が低く、パーオキサイド架橋系を用いる
と、更に引き裂き力が低下して、走行時に心線がポップ
アウトしやすいという問題があった。一方、硫黄架橋系
を用いたものは、加硫度を十分に上げるのが困難である
ため、走行時に摩耗が多くなり、特にVリブドベルトで
は、摩耗紛がリブ部間の底部で蓄積され粘着摩耗を起こ
しやすく、これが発音を引き起こす大きな問題になって
いた。また、加硫度を上げるために、分子内の二重結合
量の極めて多いEPDMを用いると、粘着摩耗はある程
度改善できるが、耐熱性が低下するという不具合が発生
した。
【0005】更に、問題になる点は、エチレン−α−オ
レフィンエラストマーと繊維コードとの接着方法にあ
る。具体的には、繊維材料をレゾルシン−ホルマリン−
スチレン−ブタジエン−ビニルピリジンラテックスとを
含有するディップ液に浸漬処理した後、EPDMゴム組
成物と加硫接着する方法(特開平8−113657号公
報)、またレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス接
着液で接着処理した繊維材料と、メチレン供与体、メチ
レン受容体及び珪酸化合物と配合したEPDMゴム組成
物と加硫接着する方法(特開平8−113656号公
報)などが試みられてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、レゾルシン−
ホルマリン−スチレン−ブタジエン−ビニルピリジンラ
テックスを含有するディップ液で処理する場合には、接
着力が改善されても、これを伝動ベルトの心線のような
繰り返し屈曲疲労をうける部位に使用した場合には、心
線と接着ゴム層とが早期に剥離することがあった。
【0007】また、メチレン供与体、メチレン受容体及
び珪酸化合物と配合したEPDMゴム組成物を使用した
場合でも、同様に繰り返し屈曲疲労をうける部位に使用
すると、心線と接着ゴム層とが早期に剥離することがあ
った。
【0008】本発明は、これらの点を考慮し、エチレン
・α−オレフィンゴム組成物と伝動ベルトの心線となる
繊維コードやカバー帆布のような織物等とを良好に接着
することができるエチレン・α−オレフィンゴム組成物
と繊維との接着物及びこの接着物を接着ゴム層に用いた
伝動ベルトを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本願請求項1記載
の発明は、エチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維
との接着物において、上記繊維をエチレン−α−オレフ
ィン−ジエン共重合体ゴムラテックスからなるレゾルシ
ン−ホルマリン−ゴムラテックス液に加硫促進剤を添加
したRFL処理液で付着処理した後、エチレン・α−オ
レフィンゴムの未加硫ゴム組成物と密着加硫せしめたエ
チレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着物に
あり、RFL処理液に加硫促進剤を添加することによっ
て繊維とエチレン・α−オレフィンゴム組成物との加硫
接着力を高めることができる。
【0010】本願請求項2記載の発明は、エチレン・α
−オレフィンゴム組成物と繊維との接着物において、上
記繊維をイソシアネート化合物又は/及びエポキシ化合
物からなるプレディップ処理液で付着処理し、次いでエ
チレン−α−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテック
スからなるレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス液
に加硫促進剤を添加したRFL処理液で付着処理した
後、エチレン・α−オレフィンゴムの未加硫ゴム組成物
と密着加硫せしめたエチレン・α−オレフィンゴム組成
物と繊維との接着物にある。
【0011】本願請求項3記載の発明は、エチレン−α
−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテックスからなる
レゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス液に加硫促進
剤を添加したRFL処理液で付着処理し、更にエチレン
・α−オレフィンゴム組成物を溶剤に溶かしたゴム糊を
オーバーコート処理した後、エチレン・α−オレフィン
ゴムの未加硫ゴム組成物と密着加硫せしめたエチレン・
α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着物にある。
【0012】本願請求項4記載の発明は、RFL処理液
が加硫剤と加硫促進剤を含んでいるエチレン・α−オレ
フィンゴム組成物と繊維との接着物にあり、この方法で
は加硫剤と加硫促進剤を添加することによって繊維とエ
チレン・α−オレフィンゴム組成物との加硫接着力を高
めることができる。
【0013】本願請求項5記載の発明は、ベルト長さ方
向に沿って繊維コードをエチレン・α−オレフィンゴム
組成物に埋設した接着ゴム層と、エチレン・α−オレフ
ィンゴム組成物からなる圧縮ゴム層とからなる伝動ベル
トであり、ベルト初期接着力、ベルト残存接着力が向上
し、ベルト走行寿命が長くなることが期待できる。
【0014】本願請求項6記載の発明は、伝動ベルトが
ベルト長さ方向に沿って繊維コードをエチレン・α−オ
レフィンゴム組成物中に埋設した接着ゴム層と、エチレ
ン・α−オレフィンゴム組成物からなるベルト長さ方向
に延びる複数のリブ部を積層したVリブドベルトであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明で使用するエチレン・α−
オレフィンゴムとしては、エチレンとα−オレフィン
(プロピレン、ブテン、ヘキセン、あるいはオクテン)
の共重合体、あるいは、エチレンと上記α−オレフィン
と非共役ジエンの共重合体であり、具体的にはエチレン
−プロピレンゴム(EPM)やエチレン−プロピレン−
ジエンターポリマー(EPDM)からなるゴムをいう。
上記ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン、ジ
シクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオ
クタジエン、メチレンノルボルネンなどの炭素原子数5
〜15の非共役ジエンが挙げられる。
【0016】上記ゴムの架橋には、硫黄や有機過酸化物
が使用される。有機過酸化物としては、例えばジクミル
パーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−
ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイ
ド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピ
ル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−
2,5−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−
ジメチル−2,5−モノ(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
サン等を挙げることができる。この有機過酸化物は、単
独もしくは混合物として、通常エチレン−α−オレフィ
ンエラストマー100gに対して0.005〜0.02
モルgの範囲で使用される。
【0017】また、架橋助剤(co−agent)を配
合することによって、架橋度を上げて粘着摩耗等の問題
を防止することができる。架橋助剤として挙げられるも
のとしては、TIAC、TAC、1,2ポリブタジエ
ン、不飽和カルボン酸の金属塩、オキシム類、グアニジ
ン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、N−N‘−m−フェ
ニレンビスマレイミド、硫黄など通常パーオキサイド架
橋に用いるものである。
【0018】そして、それ以外に必要に応じてカーボン
ブラック、シリカのような増強剤、炭酸カルシウム、タ
ルクのような充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色
剤のような通常のゴム配合物に使用されるものが使用さ
れる。
【0019】本発明で使用する繊維は、アラミド繊維、
ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)、ポリ
エチレンナフタレート繊維(PEN繊維)のようなポリ
エステル繊維であり、その形態としてのコード、織物が
使用される。
【0020】使用する繊維の場合には、下記3種の方法
によって処理される。 (イ)繊維をエチレン−α−オレフィン−ジエン共重合
体ゴムラテックスからなるレゾルシン−ホルマリン−ゴ
ムラテックス液に加硫促進剤を添加したRFL処理液で
付着処理した後、エチレン・α−オレフィンゴムの未加
硫ゴム組成物と密着加硫する。このRFL処理液には、
加硫剤を添加してもよい。
【0021】(ロ)繊維をイソシアネート化合物又は/
及びエポキシ化合物からなる前処理液で付着処理し、上
記RFL処理液で付着処理した後、エチレン・α−オレ
フィンゴムの未加硫ゴム組成物と密着加硫する。
【0022】(ハ)繊維をイソシアネート化合物又は/
及びエポキシ化合物からなる前処理液で付着処理し、エ
チレン−α−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテック
スからなるレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス液
に加硫促進剤を添加したRFL処理液で付着処理し、更
にエチレン・α−オレフィンゴム組成物を溶剤に溶かし
たゴム糊もしくは上記RFL処理液中に5〜30質量%
のカーボンブラックを含んだ液をオーバーコート処理す
る。
【0023】この場合の処理液の温度は5〜40℃に調
節し、また浸漬時間は0.5〜30秒であり、200〜
250℃に調節したオーブンに1〜3分間通して熱処理
される。
【0024】RFL液はレゾルシンとホルマリンの初期
縮合物をエチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体ゴ
ムラテックスと混合したものであり、この場合レゾルシ
ンとホルマリンのモル比は1:2〜2:1にすることが
接着力を高める上で好適である。モル比が1/2未満で
は、レゾルシン−ホルマリン樹脂の三次元化反応が進み
過ぎてゲル化し、一方2/1を超えると、逆にレゾルシ
ンとホルマリンの反応があまり進まないため、接着力が
低下する。そして、上記RFL液に加硫促進剤もしくは
加硫促進剤と加硫剤を添加する。
【0025】エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合
体ゴムラテックスとして、その代表的なものとしてエチ
レン−プロピレン−ジエンモノマーラテックスゴムがあ
り、ジエンモノマーの例としては、ジシクロペンタジエ
ン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、
1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどがあげ
られる。
【0026】上記ゴムラテックスの製造方法としては、
以下の2種類あり、一つは、固形ポリマーを溶剤に溶か
した後、相変化させて水に乳化分散させ、ラテックスと
する方法で、もう一つは、乳化させたモノマーを重合し
てそのままラテックスとする方法である。後述の実施例
では前者の方法で製造したエチレン−プロピレン−ジエ
ンモノマーラテックスを用いているが、いずれの方法で
製造したものでもよい。
【0027】また、レゾルシン−ホルマリンの初期縮合
物と上記ゴムラテックスの固形分質量比は1:2〜1:
8が好ましく、この範囲を維持すれば接着力を高める上
で好適である。上記の比が1/2未満の場合には、レゾ
ルシン−ホルマリンの樹脂分が多くなり、RFL皮膜が
固くなり動的な接着が悪くなり、他方1/8を超える
と、レゾルシン−ホルマリンの樹脂分が少なくなるた
め、RFL皮膜が柔らかくなり、接着力が低下する。
【0028】更に、上記RFL液に添加する加硫促進剤
は、含硫黄加硫促進剤であり、具体的には2−メルカプ
トベンゾチアゾール(M)やその塩類(例えば、亜鉛
塩、ナトリウム塩、シクロヘキシルアミン塩等)ジベン
ゾチアジルジスルフィド(DM)等のチアゾール類、N
−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミ
ド(CZ)等のスルフェンアミド類、テトラメチルチウ
ラムモノスルフィド(TS)、テトラメチルチウラムジ
スルフィド(TT)、ジペンタメチレンチウラムテトラ
スルフィド(TRA)等のチウラム類、ジ−n−ブチル
ジチオカルバミン酸ナトリウム(TP)、ジメチルジチ
オカルバミン酸亜鉛(PZ)ジエチルジメチルジチオカ
ルバミン酸亜鉛(EZ)等のジチオカルバミン酸塩類等
がある。また、加硫剤としては、硫黄、金属酸化物(酸
化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛)、過酸化物等があ
り、上記加硫促進剤と併用する。
【0029】上記加硫促進剤はRFL液のエチレン−α
−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテックス固形分量
100質量部に対して1〜20であり、加硫剤は1〜1
0質量部が使用される。
【0030】また前処理では、未処理の繊維をイソシア
ネート化合物又は/及びエポキシ樹脂で室温に設定した
処理液に0.5〜30秒間浸漬した後、150〜190
℃に調節したオーブンに2〜5分間通して乾燥される。
【0031】この前処理液で使用するイソシアネート化
合物としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、トリレン2,4−ジイソシアネート、ポ
リメチレンポリフェニルジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、ポリアリールポリイソシアネー
ト(例えば商品名としてPAPIがある)等がある。こ
のイソシアネート化合物もトルエン、メチルエチルケト
ン等の有機溶剤に混合して使用される。
【0032】また、上記イソシアネート化合物にフェノ
ール類、第3級アルコール類、第2級アルコール類等の
ブロック化剤を反応させてポリイソシアネートのイソシ
アネート基をブロック化したブロック化ポリイソシアネ
ートも使用可能である。
【0033】前処理液で使用するエポキシ化合物として
は、例えばエチレングリコール、グリセリン、ペンタエ
リスリトール等の多価アルコールや、ポリエチレングリ
コール等のポリアルキレングリコールとエピクロルヒド
リンのようなハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成
物や、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジ
メチルメタン、フェノール.ホルムアルデヒド樹脂、レ
ゾルシン.ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノール類
やハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物などであ
る。上記エポキシ化合物はトルエン、メチルエチルケト
ン等の有機溶剤に混合して使用される。
【0034】オーバーコート処理では、エチレン・α−
オレフィンゴム組成物を溶剤に溶かしたゴム糊やエチレ
ン−α−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテックスか
らなるRFL液中に5〜30質量%のカーボンブラック
を含んだ液が使用される。これにより、エチレン・α−
オレフィンゴム組成物と繊維との接着力が向上する。
【0035】上記接着処理をした繊維の用途として、例
えば図1に示すVリブドベルトの心線に使用される。こ
のVリブドベルト1によると、接着ゴム層3中の撚糸コ
ードを素材とする高強度で低伸度のコードよりなる心線
2を接着ゴム層3中に埋設し、その下側に弾性体層であ
る圧縮ゴム層4を有している。この圧縮ゴム層4にはベ
ルト長手方向にのびる断面略三角形の複数のリブ7が設
けられている。また、ベルト表面にはゴム付帆布5を設
けてもよいが、設ける必要もない。
【0036】前記圧縮ゴム層4に使用されるゴム組成物
は、エチレン・α−オレフィンゴム100質量部に対し
て、アラミド、ナイロン、ポリステル、ビニロン、綿な
ど短繊維を1〜50質量部、好ましくは5〜25質量部
含有してもよい。
【0037】一方、接着ゴム層3には耐熱性を有し、そ
して心線との接着を良好にするためにも、上記エチレン
・α−オレフィンゴム組成物であって硫黄により架橋で
きるものを使用する。そして、それ以外に必要に応じて
カーボンブラック、シリカのような増強剤、炭酸カルシ
ウム、タルクのような充填剤、可塑剤、安定剤、加工助
剤、着色剤のような通常のゴム配合に用いるものが使用
される。
【0038】上記接着ゴム層3における硫黄の添加量
は、エチレン・α−オレフィンゴム100質量部に対し
て0.5〜3.0質量部である。
【0039】尚、この接着ゴム層3に使用するエチレン
・α−オレフィンゴムのうちEPDMは、ヨウ素価が4
以上で40未満であり、4未満であるとゴム組成物の硫
黄による架橋が充分でなく、心線のポップアウトの問題
が発生する。一方、40を超えると、ゴム組成物のスコ
ーチが短くなって取扱にくくなり、また耐熱性が悪くな
る。
【0040】Vリブドベルトの製造方法の一例は以下の
通りである。まず、円筒状の成形ドラムの周面に1〜複
数枚のカバー帆布と接着ゴム層とを巻き付けた後、この
上にロープからなる心線を螺旋状にスピニングし、更に
圧縮ゴム層を順次巻きつけて積層体を得た後、これを硫
黄や有機過酸化物により架橋して架橋スリーブを得る。
【0041】次に、架橋スリーブを駆動ロールと従動ロ
ールに掛架され所定の張力下で走行させ、更に回転させ
た研削ホイールを走行中の架橋スリーブに当接するよう
に移動して架橋スリーブの圧縮ゴム層表面に3〜100
個の複数の溝状部を一度に研磨する。
【0042】このようにして得られた架橋スリーブを駆
動ロールと従動ロールから取り外し、該架橋スリーブを
他の駆動ロールと従動ロールに掛架して走行させ、カッ
ターによって所定の幅に切断して個々のVリブドベルト
に仕上げる。
【0043】また、本発明においては、上記のVリブド
ベルト以外にも、図2に示すようにベルトの上下表面の
みにゴム付帆布22を付着したVベルト21も含む。こ
のVベルト21は、心線23を接着ゴム層24中に埋設
し、その下側に弾性体層である圧縮ゴム層26を有して
いる。この圧縮ゴム層26には、コグを長手方向に沿っ
て所定間隔で設けてもよい。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。 実施例1〜4、比較例1 1220dtex/1×5のポリエチレンテレフタレー
ト(PET)の未処理撚糸コードを準備し、表1に示す
プレディップ液に浸漬した後、180℃で4分間熱処理
した。次に、表2に示すRFL液に浸漬し、230℃で
2分間熱処理した。更に、オーバーコート処理液に浸漬
し、150℃で4分間熱処理した。オーバーコート処理
液は、表3の配合ゴムをトルエンに溶解して、作製した
ものである。得られたコードを表4に示す配合をもつ厚
さ4mmのゴムシートの上に25mm幅に並べ、プレス
板で0.2MPaの圧力をかけ、163℃で30分間加
硫し、剥離試験用の試料を作製した。そして、JISK
6256に従い平剥離力を測定した。その結果を表5に
示す。
【0045】得られた処理コードを心線とし、接着ゴム
層として表4のゴム配合、また圧縮ゴム層として表4の
ゴム配合にナイロンカット糸20質量部を添加したもの
を用意した。そして、円筒状の成型ドラムの周面にゴム
付綿帆布を2プライと接着ゴム層を積層し、上記心線を
ピッチ1.03mm、張力50Nでピニングした後に圧
縮ゴム層を積層し、この積層物を加硫した。加硫スリー
ブを駆動ロールと従動ロールに掛架して所定の張力下で
走行させながら、回転中の研削ホイールを圧縮ゴム層表
面に当てて複数の溝状部を研磨加工し、そして所定幅に
切断してVリブドベルトを得た。
【0046】得られたVリブドベルトはRMA規格によ
る長さ975mmのK型3リブドベルトであり、リブピ
ッチ3.56mm、リブ高さ2.0mm、ベルト厚さ
4.3mm、リブ角度40°である。得られたベルト初
期接着力と走行後のベルト残存接着力を以下の方法で求
めた。その結果を表5に併記する。
【0047】(1)ベルト初期接着力 ベルト周方向に埋設した心線を2本引き起こし、50m
m/分の速度で剥離したときの応力である。 (2)ベルト残存接着力 ベルトを駆動プーリ(直径120mm)、従動プーリ
(直径120mm)、テンションプーリ(直径45m
m)の各プーリに掛架した。テンションプーリ上でのベ
ルトの曲げ角度は約90°Cである。そして、雰囲気温
度100℃、駆動プーリの回転数4900rpm、従動
プーリの負荷8.8kwとし、テンションプーリに83
4Nの初張力をかけて100時間ベルトを走行させた
後、ベルト周方向に埋設した心線を2本引き起こし、5
0mm/分の速度で剥離したときの応力である。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】この結果、RFL液に加硫促進剤を添加す
ることによって、コードとゴムとの平剥離力、そしてベ
ルト初期接着力、ベルト残存接着力が向上し、ベルト走
行寿命が長くなることが期待できる。
【0054】実施例5〜8 実施例1と同様の手順により表6に示すRFL液を用い
て心線処理を行った。得られたコードを25mm幅に並
べ表4の配合ゴムとプレス加硫し、剥離力を測定した。
その結果を表7に示す。また、実施例1と同様の方法で
Vリブドベルトを作製し、ベルトから心線2本を引き起
こしたときの接着力を測定した。その結果を表7に示
す。
【0055】
【表6】
【0056】
【表7】
【0057】その結果、RFL液に加硫剤、加硫促進剤
を添加することで接着力が高くなり、またベルト初期接
着力、ベルト残存接着力も改良され、ベルト走行寿命も
長くなると期待できる。
【0058】
【発明の効果】以上のように本願請求項記載の発明で
は、繊維をエチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体
ゴムラテックスからなるレゾルシン−ホルマリン−ゴム
ラテックス液に加硫促進剤もしくは加硫剤と加硫促進剤
を添加したRFL処理液で付着処理した後、エチレン・
α−オレフィンゴムの未加硫ゴム組成物と密着加硫せし
めたエチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接
着物にあり、RFL処理液に加硫促進剤を添加すること
によって繊維とエチレン・α−オレフィンゴム組成物と
の加硫接着力を高めることができる。また、ベルト長さ
方向に沿って繊維コードをエチレン・α−オレフィンゴ
ム組成物に埋設した接着ゴム層と、エチレン・α−オレ
フィンゴム組成物からなる圧縮ゴム層とからなる伝動ベ
ルトであり、ベルト初期接着力、ベルト残存接着力が向
上し、ベルト走行寿命が長くなる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】Vリブドベルトの断面図である。
【図2】Vベルトの断面図である。
【符号の説明】
1 Vリブドベルト 2 心線 3 接着ゴム層 4 圧縮ゴム層 5 ゴム付帆布 7 リブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16G 1/08 F16G 1/08 A 5/06 5/06 A Fターム(参考) 4L033 AA07 AA08 AB03 AB05 AC11 AC15 BA08 BA23 BA69 CA34 CA49 CA50 CA68

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン・α−オレフィンゴム組成物と
    繊維との接着物において、上記繊維をエチレン−α−オ
    レフィン−ジエン共重合体ゴムラテックスからなるレゾ
    ルシン−ホルマリン−ゴムラテックス液に加硫促進剤を
    添加したRFL処理液で付着処理した後、エチレン・α
    −オレフィンゴムの未加硫ゴム組成物と密着加硫せしめ
    たことを特徴とするエチレン・α−オレフィンゴム組成
    物と繊維との接着物。
  2. 【請求項2】 エチレン・α−オレフィンゴム組成物と
    繊維との接着物において、上記繊維をイソシアネート化
    合物又は/及びエポキシ化合物からなるプレディップ処
    理液で付着処理し、次いでエチレン−α−オレフィン−
    ジエン共重合体ゴムラテックスからなるレゾルシン−ホ
    ルマリン−ゴムラテックス液に加硫促進剤を添加したR
    FL処理液で付着処理した後、エチレン・α−オレフィ
    ンゴムの未加硫ゴム組成物と密着加硫せしめたことを特
    徴とするエチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維と
    の接着物。
  3. 【請求項3】 エチレン−α−オレフィン−ジエン共重
    合体ゴムラテックスからなるレゾルシン−ホルマリン−
    ゴムラテックス液に加硫促進剤を添加したRFL処理液
    で付着処理し、更にエチレン・α−オレフィンゴム組成
    物を溶剤に溶かしたゴム糊をオーバーコート処理した
    後、エチレン・α−オレフィンゴムの未加硫ゴム組成物
    と密着加硫せしめた請求項1または2記載のエチレン・
    α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着物。
  4. 【請求項4】 RFL処理液が加硫剤と加硫促進剤を含
    んでいる請求項1〜3の何れかに記載のエチレン・α−
    オレフィンゴム組成物と繊維との接着物。
  5. 【請求項5】 ベルト長さ方向に沿って繊維コードをエ
    チレン・α−オレフィンゴム組成物に埋設した接着ゴム
    層と、エチレン・α−オレフィンゴム組成物からなる圧
    縮ゴム層とからなる伝動ベルトであり、上記接着ゴム層
    が請求項1〜4記載記載の接着物からなることを特徴と
    する伝動ベルト。
  6. 【請求項6】 伝動ベルトがベルト長さ方向に沿って繊
    維コードをエチレン・α−オレフィンゴム組成物中に埋
    設した接着ゴム層と、エチレン・α−オレフィンゴム組
    成物からなるベルト長さ方向に延びる複数のリブ部を積
    層したVリブドベルトである請求項5記載の伝動ベル
    ト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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