JP2003025127A - ドリル - Google Patents

ドリル

Info

Publication number
JP2003025127A
JP2003025127A JP2001209588A JP2001209588A JP2003025127A JP 2003025127 A JP2003025127 A JP 2003025127A JP 2001209588 A JP2001209588 A JP 2001209588A JP 2001209588 A JP2001209588 A JP 2001209588A JP 2003025127 A JP2003025127 A JP 2003025127A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drill
cutting edge
thinning
curved surface
tip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001209588A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuya Yanagida
一也 柳田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP2001209588A priority Critical patent/JP2003025127A/ja
Priority to EP07005036.4A priority patent/EP1923157B1/en
Priority to EP02006673A priority patent/EP1275458A1/en
Priority to EP10181031.5A priority patent/EP2366478B1/en
Priority to US10/105,411 priority patent/US6916139B2/en
Priority to CNB021198160A priority patent/CN1223428C/zh
Priority to KR1020020017632A priority patent/KR100643677B1/ko
Publication of JP2003025127A publication Critical patent/JP2003025127A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Drilling Tools (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速乾式切削等の過酷な加工条件でも工具寿
命の短縮を防ぐとともに優れた切屑処理性を奏して円滑
かつ安定した穴明け加工が可能なドリルを提供する。 【解決手段】 軸線O回りに回転されるドリル本体1の
先端部外周に後端側に向けて延びる切屑排出溝3を形成
し、この切屑排出溝3のドリル回転方向Tを向く内壁面
4とドリル本体1の先端逃げ面2との交差稜線部に切刃
5を形成し、切屑排出溝3の内壁面4,9の先端側に、
切刃5の内周端側に連なるシンニング部18を形成し、
このシンニング部18に、その谷底部21が凹曲面状を
なして内壁面4に対しドリル本体1の内周側に後退しつ
つ切刃5の内周端に向けて延びる谷形の第1シンニング
部20を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に高速乾式切削
のような過酷な加工条件下でも円滑かつ安定した穴明け
加工が可能なドリルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】このような乾式あるいは微量の切削油剤
しか用いない過酷な加工条件に対応することを目的とし
たドリルとしては、例えば特開2000−198011
号公報に記載されたようなものが提案されている。すな
わち、この公報記載のドリルは、ドリル本体先端のチゼ
ルの外方端部に連続する中心切刃と、この中心切刃の外
方に連続する主切刃と、この主切刃の中間部から角度を
つけてドリル回転方向に後退する外方コーナ切刃とを有
し、切屑排出溝とマージン部とから形成されるリーディ
ングエッジに、上記コーナ切刃に続く直線形状または曲
線形状の面取り部を設けたものであり、この面取り部と
マージン部とからなるリーディングエッジの角度を鈍角
にして、上述のような加工条件でも切刃の外周端に欠け
が生じたりするのを防ぐことが可能となる。また、この
ように切刃の外周端側をドリル回転方向後方側に折曲さ
せたドリルとしては、例えば特公平4−46690号公
報に記載のように切刃外周側の第1、第2次直線稜を略
V字状の凸形状としたものも提案されており、この公報
記載のドリルではさらに切刃の内周側でも、シンニング
によって形成された直線的なチゼルエッジおよびこれに
接続する直線的な接続稜によって切刃を略V字状の凸形
状とし、さらに上記第2次直線稜および内側稜を結ぶ部
分を丸味を伴った凹形状としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このように
シンニングによって切刃の内周端側にチゼルに連なるチ
ゼルエッジや中心切刃のようなシンニング切刃部を形成
した場合、このシンニング切刃部によって生成された切
屑は、切屑排出溝の内壁面の先端側に上記シンニングに
よって形成されるシンニング部の底面に沿って流出する
こととなるが、このシンニング部が、例えば上記特公平
4−46690号公報記載のドリルのように上記切屑排
出溝内壁面の先端側を断面V字の谷形に切り欠いただけ
のものであると、上記シンニング切刃部によって生成さ
れた切屑はこのV字谷の谷底部において詰まりを生じて
しまい、特に上述の高速乾式切削の場合などには、高速
で生成された切屑が詰まりを生じた上に冷却されなくな
る結果、溶着を引き起こすおそれがある。また、このシ
ンニング部がなす谷形の谷底部は、切屑排出溝の内壁面
に対してドリル本体の内周側に後退するように傾斜しつ
つ上記切刃の内周端に向けて延びるように形成される
が、このときの谷底部の傾斜が小さいと、上記シンニン
グ切刃部の内周端すなわち切刃の内周端が先端逃げ面の
中心から外周側に離れて位置してしまい、これによって
チゼルの幅が大きくなるため、ドリル先端部の加工物へ
の食い付きが悪くなるとともに、スラスト力の増大を招
いて加工時のドリル駆動力も大きくなる一方、この谷底
部の傾斜が大きいと、谷底部に沿った断面におけるドリ
ル本体の先端角度が小さくなり、やはり高速乾式切削の
場合などにはドリル本体先端部に欠損等が生じてしまう
おそれがある。
【0004】本発明は、このような背景の下になされた
もので、高速乾式切削等の過酷な加工条件でも工具寿命
の短縮を防ぐとともに優れた切屑処理性を奏して円滑か
つ安定した穴明け加工が可能なドリルを提供することを
目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決して、こ
のような目的を達成するために、本発明は、まず第1
に、軸線回りに回転されるドリル本体の先端部外周に後
端側に向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排
出溝のドリル回転方向を向く内壁面と上記ドリル本体の
先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成されてなるドリ
ルであって、上記切屑排出溝の内壁面の先端側に、上記
切刃の内周端側に連なるシンニング部を形成し、このシ
ンニング部に、その谷底部が凹曲面状をなして上記内壁
面に対して上記ドリル本体の内周側に後退しつつ上記切
刃の内周端に向けて延びる谷形の第1シンニング部を備
えたことを特徴とするものである。従って、このように
構成されたドリルにおいては、切屑排出溝の内壁面先端
側に形成されるシンニング部が第1シンニング部を備え
ていて、この第1シンニング部は、その谷底部が凹曲面
状をなして切刃の内周端に向けて延びるように形成され
ており、従ってこのシンニング部と先端逃げ面との交差
稜線部に形成されるシンニング切刃部によって生成され
た切屑は、この第1シンニング部の谷底部がなす凹曲面
によって滑らかにカールさせられ、詰まりを生じたりす
ることなく切屑排出溝内に送り出されて円滑に処理され
る。
【0006】ここで、上記第1シンニング部が切屑排出
溝の内壁面の先端側において先端逃げ面となす一対の交
差稜線部(このうち、切屑排出溝のドリル回転方向を向
く内壁面との交差稜線部はシンニング切刃部となる。)
の挟角、すなわちこの第1シンニング部の開角は、これ
が大きすぎるとシンニング切刃部によって生成されて第
1シンニング部の凹曲する谷底部でカールされた切屑を
円滑に切屑排出溝に送り出すことができなくなるおそれ
が生じる一方、逆にこの開角が小さすぎるとシンニング
切刃部で生成された切屑が十分にカールされないうちに
切屑排出溝に送り込まれてしまうおそれがあるので、9
5〜105°の範囲とされるの望ましい。また、この第
1シンニング部の谷底部がその断面においてなす凹曲線
の曲率半径自体も、これが小さすぎると切屑がこの谷底
部に強く押し付けられることになって大きな抵抗や谷底
部の著しい摩耗を招くおそれが生じる一方、逆に大きす
ぎるとやはり切屑を十分にカールさせることができなく
なるおそれがあるので、0.1〜0.5mmの範囲とされ
るのが望ましい。
【0007】また、本発明は、第2に、上記構成のドリ
ルにおいて、上記シンニング部に、上記第1シンニング
部の先端側に形成されて、上記谷底部に対してさらに内
周側に後退しつつ上記切刃の内周端に達する第2シンニ
ング部とを備えたことを特徴とする。従って、このよう
に第1シンニング部の先端側に、この第1シンニング部
の谷底部に対してさらにドリル本体の内周側に後退する
第2シンニング部を形成することにより、このシンニン
グ部の谷底部に沿った断面においては、第2シンニング
部の谷底部が第1シンニング部の谷底部よりも大きな角
度で傾斜させられることとなるので、第1シンニング部
の谷底部の傾斜が小さくても、この第2シンニング部の
谷底部先端の先端逃げ面との交差部分に形成されるチゼ
ルの幅は小さくすることができ、なおかつこの谷底部に
沿ったドリル本体の先端角度は大きくすることができ
る。
【0008】ただし、この第1シンニング部の先端側に
形成される上記第2シンニング部については、これを上
述のように第1シンニング部の上記谷底部に連続する谷
形をなすように形成した場合、その谷底部の断面がなす
曲率半径は、第1シンニング部の上記谷底部の曲率半径
よりも小さくされるのが望ましく、より具体的には0.
1mm未満とされるのが望ましい。これは、この第2シン
ニング部の谷底部の曲率半径が大きいと、その先端の先
端逃げ面との交差部分を先端逃げ面の中心にあまり近づ
けられずにチゼル幅を小さくすることができなくなっ
て、十分なスラスト力の低減が図られなくなるおそれが
あるからであり、このため、この第2シンニング部につ
いては、その谷底部の曲率半径が0、すなわち断面がV
字型に折曲する谷形とされていてもよい。また、このよ
うにスラスト力の低減を図りつつも、ドリル本体の剛性
を十分に確保するには、このドリル本体の芯厚を、上記
切刃の外径Dに対して0.15×D〜0.3×Dの範囲
に設定するのが望ましい。さらにまた、ドリル本体の少
なくとも先端部の表面に、TiN、TiCN、TiAl
N等の硬質皮膜を被覆すれば、このドリル本体先端部の
耐摩耗性の向上を図ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1ないし図3は、本発明の一実
施形態を示すものである。本実施形態においてドリル本
体1は、超硬合金等の硬質材料により軸線Oを中心とし
た略円柱状に形成されており、その先端部には、先端逃
げ面2から後端側に向かうに従い一定の捩れ角でドリル
回転方向Tの後方側に捩れる一対の切屑排出溝3,3が
軸線Oに対して対称に形成されていて、これらの切屑排
出溝3,3のドリル回転方向T側を向く内壁面4,4と
上記先端逃げ面2との交差稜線部にそれぞれ切刃5,5
が形成されている。なお、このドリル本体1先端部に
は、その外周面や先端逃げ面2、切屑排出溝3に、Ti
N、TiCN、TiAlN等の硬質皮膜が被覆されてい
る。
【0010】ここで、上記内壁面4は、その外周側に位
置してマージン部6に交差し、軸線Oに直交する断面に
おいて図2に示すようにドリル回転方向Tに凸となる凸
曲線をなす第1の凸曲面部7と、この第1凸曲面部7の
内周側に位置して、上記断面においてドリル回転方向T
の後方側に凹む凹曲線状をなす第1凹曲面部8とから構
成されており、これら第1の凸凹曲面部7,8の断面が
なす上記凸凹曲線は接点P1において滑らかに接するよ
うに連ねられている。また、本実施形態では切屑排出溝
3のドリル回転方向T後方側を向く内壁面9も、その外
周側に位置してヒール部10に達し、上記断面がドリル
回転方向T後方側に凸となる凸曲線をなす第2凸曲面部
11と、この第2凸曲面部11の内周側に位置してその
断面がドリル回転方向T側に凹む凹曲線状をなす第2凹
曲面部12とから構成され、これら第2の凸凹曲面部1
1,12がなす上記凸凹曲線も接点P2において滑らか
に接するように連ねられるとともに、両内壁面4,9の
第1、第2凹曲面部8,12同士も、その断面がなす凹
曲線が接点P3において滑らかに接して連なるようにさ
れている。なお、上記マージン部6からドリル回転方向
T後方側に上記ヒール部10に至るランド部の外周面
は、マージン部6から一段内周側に後退した円筒面状に
形成されている。
【0011】さらに、本実施形態では、上記断面におい
て、第1、第2の凸凹曲面部7,8,11,12がなす
凸凹曲線がそれぞれ点C1〜C4を中心とした半径R1
〜R4の円弧となるようにされており、このうち第1凸
曲面部7がなす凸円弧の中心C1は、この第1凸曲面部
7とマージン部6との交点すなわち上記内壁面4の外周
端13において該マージン部6に接する直線Q1よりも
内周側に位置させられるとともに、第2凸曲面部11が
なす円弧の中心C3は、上記外周端13が軸線O回りに
なす円と第2凸曲面部11がなす円弧の延長線との交点
14において上記円に接する直線Q2よりもやはり内周
側に位置させられている。従って、上記第1凸曲面部7
は、軸線Oと内壁面4の外周端13とを結ぶ第1仮想直
線S1よりもドリル回転方向T側に凸となって、この外
周端13における第1凸曲面部7の接線は、外周側に向
かうに従いドリル回転方向T後方側に延びるように第1
仮想直線S1に対して傾斜させられるとともに、この第
1仮想直線S1と直交する上記直線Q1とは鈍角をなし
て交差させられる。また、第2凸曲面部11も、ヒール
部10との交点と軸線Oとを結ぶ直線よりもドリル回転
方向T後方側に凸となるようにされている。一方、第
1、第2凹曲面部8,12がなす円弧の中心C2,C4
は、これらの円弧が接点P3で接していることから、両
者とも軸線Oからこの接点P3を通る直線の延長線上に
位置することとなる。さらに、この接点P3が切屑排出
溝3の溝底となることから、本実施形態では軸線Oを中
心としてこの接点P3を通る円がドリル本体1の芯厚円
となり、この芯厚円の直径すなわちドリル本体1の芯厚
dは、上記切刃5の外周端15が軸線O回りになす円の
直径すなわち切刃5の外径Dに対し、0.15×D〜
0.3×Dの範囲に設定されている。
【0012】なお、第1凸凹曲面部7,8がなす凸凹曲
線の接点P1は、軸線Oを中心として上記切刃5の外径
Dの2/3の直径を有する円よりも外周側に位置させら
れており、より望ましくは軸線Oを中心として外径Dの
5/6の直径を有する円よりも外周側に位置させられ
る。また、第1凹曲面部8のドリル回転方向T後方側へ
の凹みの大きさは、上記第1仮想直線S1からの凹み量
L1が切刃5の外径Dに対して−0.06×D〜0の範
囲に設定されるとともに、第2凹曲面部12のドリル回
転方向T側への凹みの大きさは、上記断面において第1
仮想直線S1に軸線Oで直交する第2仮想直線S2から
の凹み量L2が−0.06×D〜0.06×Dの範囲と
なるように設定されている。ただし、これらの凹み量L
1,L2は、それぞれ上記断面において第1、第2仮想
直線S1,S2に平行で第1、第2凹曲面部8,12が
なす凹曲線に接する直線と第1、第2仮想直線S1,S
2との間の距離とされており、かつ図2に示すように、
第1凹曲面部8の凹み量L1については第1仮想直線S
1からドリル回転方向T側を正、後方側を負とし、逆に
第2凹曲面部12の凹み量L2については第2仮想直線
S2からドリル回転方向T側を負、後方側を正としてい
る。従って、本実施形態においては、第1凹曲面部8の
全体が上記第1仮想直線S1よりもドリル回転方向T側
に位置することはない。
【0013】さらに、上記断面において第1、第2凸凹
曲面部7,8,11,12がなす円弧の半径R1〜R4
は、切刃5の外径Dに対し、第1凸曲面部7の半径R1
が0.1〜0.8×Dの範囲に、第1凹曲面部8の半径
R2が0.18〜0.35×Dの範囲に、第2凸曲面部
11の半径R3が0.1〜0.8×Dの範囲に、第2凹
曲面部12の半径R4が0.2〜0.5×Dの範囲に、
それぞれ設定されている。さらに、本実施形態では、こ
のうち第2凹曲面部12の半径R4が、第1凹曲面部8
の半径R2よりも大きくされている。なお、こうして形
成された切屑排出溝3の溝幅比は、本実施形態では0.
8〜1.2:1の範囲とされている。
【0014】このような切屑排出溝3の上記内壁面4と
先端逃げ面2との交差稜線部に形成される切刃5におい
ては、この内壁面4が上記第1凸凹曲面部7,8によっ
て形成されることにより、その外周端15側には、ドリ
ル回転方向Tに凸となる曲線状をなす凸曲線状切刃部1
6が形成されてその後端側に上記第1凸曲面部7が連な
るとともに、この凸曲線状切刃部16の内周側には、ド
リル回転方向Tの後方側に凹となる曲線状をなして凸曲
線状切刃部16に滑らかに接して連なる凹曲線状切刃部
17が形成され、その後端側に上記第1凹曲面部8が連
なることになって、これら凸凹曲線状切刃部16,17
間で切刃5は軸線O方向先端視に緩やかに湾曲するS字
状を呈することとなる。ただし、この切刃5には、先端
逃げ面2が内周側から外周側に向かうに従いドリル本体
1の後端側に向けて傾斜させられることにより先端角が
付されており、これと切屑排出溝3が螺旋状に捩れてい
ることとから、この切刃5の凸凹曲線状切刃部16,1
7が軸線O方向先端視においてなす上記S字状の凸凹曲
線は、内壁面4の第1凸凹曲面部7,8が軸線Oに直交
する断面においてなす凸凹曲線が、内周側に向かうに従
いドリル回転方向T側に漸次ずれたような形状をなすこ
ととなる。従って、この軸線O方向先端視において上記
凸曲線状切刃部16は、その外周端15における接線
が、上記断面において第1凸曲面部7がなす凸曲線の外
周端13における接線よりも大きな傾斜で外周側に向か
うに従いドリル回転方向T後方側に延びるようにされる
とともに、マージン部6との交差角も第1凸曲面部7が
なす鈍角より大きくされ、これにより切刃5が上記外周
端15においてなす径方向すくい角αは負角側に設定さ
れる。
【0015】そして、切屑排出溝3の内壁面4,9の先
端側には、上記第1凹曲面部8の内周側から第2凹曲面
部12および第2凸曲面部11までの先端逃げ面2との
交差稜線部分を、ドリル本体1の後端側に向かうに従い
切屑排出溝3の内側に向けて切り欠くようにして、ヒー
ル部10に達するシンニング部18が形成されており、
従って切刃5の内周端側は、このシンニング部18と先
端逃げ面2との交差稜線部に形成されて、上記凹曲面状
切刃部17の内周端から先端逃げ面2の中心の上記軸線
Oに向けて延びるシンニング切刃部19とされている。
なお、切刃5においてこのシンニング切刃部19と上記
凹曲線状切刃部17とが交差する部分は、軸線O方向先
端視にドリル回転方向Tに凸となる曲線または直線によ
って滑らかに接続されている。
【0016】このシンニング部18のうち、切屑排出溝
3の内壁面4,9に交差して先端側に延びる部分は第1
シンニング部20とされており、この第1シンニング部
20は、ドリル回転方向T後方側を向く切屑排出溝3の
内壁面9と交差してヒール部10側に延びる部分におい
ては平面状に形成される一方、この内壁面9とドリル回
転方向T側を向く内壁面4とが交差する部分、すなわち
上記第1、第2凹曲面部8,12の接点P3部分から、
先端逃げ面2の中心に向けて延びる部分は、図3に示す
ようにこの先端逃げ面2の中心に向かう方向から見た場
合に凹曲面状の谷形をなすように形成されており、その
凹曲する谷底部21は、上記内壁面4,9に対してドリ
ル本体1の内周側に後退するように傾斜しつつ、切刃5
の内周端すなわちシンニング切刃部19の内周端に向け
て先端側に延びるように形成されている。なお、この第
1シンニング部20の凹曲する谷底部21がその断面に
おいてなす凹曲線の曲率半径は0.1〜0.5mmの範囲
とされている。また、この第1シンニング部20が切屑
排出溝3のドリル回転方向T後方側を向く内壁面9の先
端側において先端逃げ面2と交差する交差稜線部22
と、ドリル回転方向T側を向く内壁面4の先端側におい
て先端逃げ面2と交差する交差稜線部すなわち上記シン
ニング切刃部19とが、軸線O方向先端視になす交差
角、すなわちこの第1シンニング部20の開角βは、9
5〜105°の範囲に設定されている。
【0017】さらに、この第1シンニング部20の最先
端の上記谷底部21が切刃5の内周端に達しようとする
部分には、この谷底部21に対してさらにドリル本体1
の内周側に後退するように一段傾斜しつつ切刃5内周端
側に向けて延びる谷形の第2シンニング部23が、第1
シンニング部20よりも極短い長さで形成されており、
先端逃げ面2の中心の軸線O近傍においてはこの第2シ
ンニング部23が先端逃げ面2に交差してその交差稜線
部上に切刃5の内周端が形成される。ここで、この第2
シンニング部23の谷底部の曲率半径は第1シンニング
部20の谷底部21の曲率半径よりも小さく、0.1mm
未満とされており、場合によっては曲率半径が0、すな
わちこの谷底部が凹湾曲しないV字谷状に形成されてい
てもよい。また、このように第1シンニング部20より
もさらに一段傾斜する第2シンニング部23と先端逃げ
面2との交差稜線部に切刃5の内周端が形成されること
により、ドリル本体1先端の一対の切刃5,5の内周端
同士の間の間隔すなわち先端逃げ面2の中心に画成され
るチゼルの幅は、第1シンニング部20をそのまま先端
逃げ面2に交差させて切刃5の内周端を形成するのに比
べて狭くなり、このチゼル幅は本実施形態では0〜0.
2mmの範囲とされている。従って、これら切刃5,5の
内周端は軸線O上で一致するようにされていてもよい。
【0018】従って、かかる構成のドリルにおいては、
このように切屑排出溝3の内壁面4,9の先端側にシン
ニング部18が形成されていて、これにより切刃5の内
周端側は先端逃げ面2の中心に向かうシンニング切刃部
19とされており、このシンニング切刃部19に連なる
第1シンニング部20は谷底部21が凹曲した谷形とさ
れているので、シンニング切刃部19によって生成され
た切屑の内周側部分は、図3に黒塗り矢線で示すように
第1シンニング部20の谷底部21断面がなす凹曲線に
沿って内周側に巻き込まれるようにしてカールさせられ
る。このため、高速乾式切削となるような過酷な加工条
件の場合でも、この切刃5の内周端側のシンニング切刃
部9で生成された切屑が該シンニング部18内において
詰まりを生じたりすることがなく、従って詰まった切屑
によって溶着が生じたりすることもなく、この内周側で
生成された切屑を、シンニング切刃部19よりも外周側
の凹凸曲線状切刃部17,16で生成された切屑ととも
に円滑に切屑排出溝3内に送り出して排出することがで
きる。これは、特に加工物が難削材である場合に効果的
である。
【0019】また、このシンニング部18の先端には、
第1シンニング部20の上記谷底部21からさらに一段
傾斜して先端逃げ面2に達する第2シンニング部23が
形成されていて、この第2シンニング部23と先端逃げ
面2との交差稜線部上に切刃5の内周端が形成されてお
り、しかもこの第2シンニング部23の溝底の曲率半径
が0.1mm未満と上記谷底部21よりも小さくされてい
ることから、この切刃5の内周端は、より内周側すなわ
ち先端逃げ面2に軸線Oが交差するその中心に近接した
位置に配置されることとなり、これによってチゼルの幅
が0〜0.2mmと極短い幅とされている。このため、当
該ドリルが加工物に食い付く際の食い付き性や直進安定
性の向上を図って安定かつ高精度の加工を行うことがで
きるとともに、ドリル本体1にその軸線方向に作用する
スラスト力を抑えることことができて、ドリル駆動力の
軽減を促すことが可能となる。しかも、このようにシン
ニング部18が切刃5の内周端に向けて傾斜の大きくな
る第1、第2の複数のシンニング部20,23によって
形成されることにより、先端の第2シンニング部23の
溝底に沿った断面におけるドリル本体1の先端角度は、
単一のシンニング部の溝底を同じチゼル幅となるように
傾斜させた場合に比べて大きくなるので、このドリル本
体1先端の回転中心周辺における強度も十分に確保する
ことができ、例えば加工物への食い付き時における衝撃
的負荷などによってドリル本体1の先端に損傷が生じた
りして寿命が費えたりするような事態も防止することが
可能となる。ただし、第1シンニング部20だけでドリ
ル本体1の食い付き性や直進安定性と強度とが十分に確
保できるような場合には、このような第2シンニング部
23を設けない構成としてもよい。
【0020】なお、本実施形態では、上記第1シンニン
グ部20の谷底部21がなす凹曲線の曲率半径を0.1
〜0.5mmとしているが、これは、この曲率半径がこれ
よりも大きいと上記切屑の内周側部分を十分に巻き込ん
でカールさせることができなくなるおそれがある一方、
逆にこれよりも小さいとこの切屑の内周側部分がシンニ
ング部18内において詰まりを生じるおそれがあり、す
なわちいずれの場合も上述の効果が十分に奏功されなく
なるおそれが生じるからである。また、第2シンニング
部23の谷底部についても、その凹曲の曲率半径が第1
シンニング部20の谷底部21の曲率半径を上回った
り、0.1mm以上となったりすると、やはり上述の効果
を得られなくなるおそれがある。これは、上記チゼル幅
についても同様である。さらに、第1シンニング部20
の開角βについても、これが105°を上回るほど大き
すぎると、シンニング切刃部19によって生成された切
屑の内周側部分が、第1シンニング部20の谷底部21
でカールされた後に、この第1シンニング部20の内壁
面9の先端側の部分に谷面に沿って外周側に大きく流さ
れてしまい、円滑に切屑排出溝3内に送り出すことがで
きなくなる一方、逆にこの開角βが95°を下回るほど
小さすぎると、シンニング切刃部19で生成された切屑
が十分にカールされないうちに切屑排出溝3に送り込ま
れてしまうおそれがある。
【0021】一方、本実施形態のドリルでは、このシン
ニング切刃部19よりも外周側の切刃5において、その
外周端15側に、ドリル回転方向Tに凸となる凸曲線状
切刃部16が形成され、従って軸線O方向先端視の外周
端15における凸曲線状切刃部16とマージン部6との
交差角を上述のように大きな角度に、しかもこの凸曲線
状切刃16の後端側に連なる第1凸曲面部7との交差角
よりも大きな角度にすることができ、この切刃5の外周
端15近傍におけるドリル本体1の強度を十分に確保す
ることができる。このため、ドリル本体1外周に位置す
るために切削速度が最も高く、しかも切屑生成量も最も
多くなるために過大な負荷が生じやすいこの切刃5の外
周端15に欠けやチッピングなどが発生するのを防止す
ることができ、高速乾式切削等の加工条件下における工
具寿命の一層の延長を図ることができる。しかも、本実
施形態ではこの凸曲線状切刃部16が軸線O方向先端視
に切刃5の外周端15と軸線Oとを結ぶ直線よりもドリ
ル回転方向Tに凸となるように形成されていて、これに
より上述のようにその径方向すくい角αが負角とされて
いるので、マージン部6との上記交差角は鈍角になり、
より確実にこの外周端15周辺におけるドリル本体1の
強度を確保することが可能となる。
【0022】また、この凸曲線状切刃部16は、このよ
うにドリル回転方向Tに凸となる曲線状をなしていて、
上述した従来の特開2000−198011号公報や特
公平4−46690号公報に記載のドリルのように切刃
が角度をもって凸V字状に折れ曲がっているために切刃
上に折曲点が形成されたりすることがなく、これはシン
ニング切刃部19と凹曲線状切刃部17とが交差する部
分も同じであり、従って切刃5により生成される切屑
は、このような折曲点で分断されたりすることなく、該
切刃5の全長に亙って連続して生成される。そして、こ
の凸曲線状切刃部16の内周側にはドリル回転方向T後
方側に凹となる凹曲線状切刃部17が滑らかに連なるよ
うに形成されるとともに、この凹曲線状切刃部17のド
リル本体1後端側には切屑排出溝3の内壁面4の第1凹
曲面部12が連ねられており、従って上述のように切刃
5の全長に亙って連続して生成された切屑は、この凹曲
線状切刃部17によって生成された部分が内周側に向け
て流れ出るのに伴い、その外周側の凸曲線状切刃部16
で生成された部分も内周側に引っ張られて、これらの部
分が全体的に内周側に巻き込まれるように上記第1凹曲
面部8に摺接させられてカールさせられる。このため、
この凹曲線状切刃部17の内周側のシンニング切刃部1
9で生成された切屑部分も上述したように第1シンニン
グ部20の谷底部21に摺接してカールさせられること
と合わせて、切屑はその全体が内周側に巻き込まれるよ
うにして円滑にカールさせられ、切屑排出溝3に送り出
されて排出されるので、本実施形態によれば、従来のよ
うに切刃上の折曲点で分断された切屑が絡まり合って切
屑詰まりを生じたり、あるいは切屑が外周側に流れてそ
の処理が阻害されることにより抵抗を増大させたりドリ
ル本体の摩耗を速めたりするようなこともなく、一層円
滑かつ安定した切屑処理を促して穴明け加工時のドリル
回転駆動力の低減を図るとともに、摩耗を抑えて工具寿
命を延長させることが可能となる。また、この切刃5を
含めたドリル本体1の先端部には、TiN、TiCN、
TiAlN等の硬質皮膜が被覆されているので、ドリル
本体1の耐摩耗性の一層の向上を図ることができる。
【0023】さらに、上記第1凹曲面部7の内周側に
は、ドリル回転方向T後方側を向く切屑排出溝3の内壁
面9の第2凹曲面部12が、この第1凹曲面部7と滑ら
かに連なるように形成されており、この第2凹曲面部1
2は第1凹曲面部8とは逆にドリル回転方向Tに凹むよ
うに形成されているので、上述のように第1凹曲面部8
によって小さくカールされた切屑の流れを阻害すること
なく、より円滑な切屑の排出を図ることができる。しか
も、本実施形態ではこの第2凹曲面部12の外周側にや
はり滑らかに連なるように第2凸曲面部11が形成され
ており、従って切屑の流れがヒール部10側で阻害され
ることもなく、またこのヒール部10におけるドリル本
体1の強度も確保することができる。
【0024】また、本実施形態では、これら第1、第2
凹曲面部8,12の凹み量L1,L2を、第1凹曲面部
8については軸線Oと内壁面4の外周端13とを結ぶ第
1仮想直線S1から切刃5の外径Dに対して−0.06
×D〜0の範囲となるように(ただし、ドリル回転方向
T後方側が負)、また第2凹曲面部12については軸線
Oにおいて上記第1仮想直線S1と直交する第2仮想直
線S2から−0.06×D〜0.06×Dの範囲となる
ように(ただし、ドリル回転方向T側が負)それぞれ設
定されており、これにより切屑を強すぎず弱すぎずに第
1、第2凹曲面部8,12に摺接させて、適度なブレー
キング作用を与えることができる。このため、過大なブ
レーキング作用によって切屑が潰れて円滑な排出性が損
なわれたりドリル回転駆動力の増大を招いたりすること
なく、しかしながら確実に切屑をカールさせて処理する
ことができる。なお、このような作用効果をより確実に
奏功せしめるには、本実施形態のように軸線Oに直交す
る断面において、第1凹曲面部8がなす凹曲線(凹円
弧)の曲率半径R2は切刃5の外径Dに対して0.18
〜0.35×Dの範囲に、また第2凹曲面部12の曲率
半径R4は0.2〜0.5×Dの範囲に、それぞれ設定
されるのが望ましい。
【0025】さらに、本実施形態では、これら第1、第
2凹曲面部8,12間においても、軸線Oに直交する断
面において第2凹曲面部12がなす凹曲線の曲率半径す
なわち上記半径R4が、第1凹曲面部8がなす凹曲線の
曲率半径すなわち上記半径R2よりも大きくなるように
されており、従って切刃5によって生成された切屑を、
まず比較的小さな半径R2の第1凹曲面部8に摺接させ
ることにより、この切屑に十分な巻き癖をつけてカール
させるとともに、こうしてカールされた切屑を比較的大
きな半径R4の第2凹曲面部12側に流出させることに
より、この第2凹曲面部12においては切屑があまり強
く押し付けられることがなくなり、より円滑な排出を促
すとともにドリル回転駆動力の一層の軽減を図ることが
できる。しかも、これら第1、第2凹曲面部8,12が
なす凹曲線が、本実施形態では1の上記接点P3で接し
て連続する凹曲線を描くようにされており、第1凹曲面
部8から第2凹曲面部12への切屑の流れをよりスムー
ズにして、一層円滑な切屑排出を促すことが可能とな
る。
【0026】ただし、このように第1、第2凹曲面部
8,12を、その断面がなす凹曲線が1の接点P3で接
して滑らかに連なるように形成する代わりに、例えば図
4に示すように、これら第1、第2凹曲面部8,12の
間に、軸線Oに直交する断面において第1凹曲面部8が
なす凹曲線と第2凹曲面部12がなす凹曲線との双方に
接点P4,P5で接する接線状をなす接続面24を形成
して、この接続面24を介して両凹曲面部8,12が滑
らかに連なるようにしてもよい。この場合にも、第1凹
曲面部8によって巻き癖がつけられた切屑を、その流れ
を損なうことなく、しかもこの接続面24に強く押し付
けてドリル回転駆動力の増大を招いたりすることもな
く、第2凹曲面部12側に送り出して円滑に排出するこ
とが可能となる。また、その一方で、このような接続面
24を第1、第2凹曲面部8,12間に介在させた場合
には、これら第1、第2凹曲面部8,12の曲率半径R
2,R4に制限されることなく切屑排出溝3の溝幅を設
定することができるので、例えば上記とは逆に加工物の
材質などに応じて第2凹曲面部12にも切屑を十分に摺
接させてカールさせなければならない場合にその曲率半
径R4を小さくしたとしても、切屑排出溝3の溝幅は十
分大きく確保して円滑な排出性を維持することも可能と
なる。
【0027】さらに、本実施形態では、上記第1、第2
凸曲面部7,11が上記断面においてなす凸曲線(凸円
弧)の曲率半径R1,R3が、切刃5の外径Dに対して
それぞれ0.1〜0.8×Dの範囲に設定されており、
これにより、ドリル本体1の内壁面4や切刃5の外周端
13,15におけるマージン部6周辺の強度やヒール部
10周辺における強度を十分に確保しつつ、第1、第2
凹曲面部8,12の径方向の幅が小さくなりすぎるのを
防いで、確実な切屑処理性の向上を図ることができる。
なお、高速乾式切削のような条件下でも、このようにド
リル本体1の強度確保と切屑処理性の向上とをより確実
に両立させるには、本実施形態のように上記断面におい
て第1凸凹曲面部7,8がなす凸凹曲線の接点P1を、
軸線Oから切刃5の外径Dの2/3の直径の円より外周
側に、より望ましくは外径Dの5/6の直径の円よりも
外周側に位置させ、また切屑排出溝3の溝幅比を0.8
〜1.2:1の範囲とするのが望ましい。
【0028】さらにまた、本実施形態ではこのように切
屑処理性の向上が図られてドリル回転駆動力の低減が図
られるのに伴い、加工時にドリル本体1自体が受ける負
荷も小さくなり、これによってその芯厚dも切刃5の外
径Dに対して0.15×D〜0.3×Dと比較的小さな
範囲に設定することができる。このため、上記シンニン
グ部18の第2シンニング部23によってチゼル幅を小
さくすることができるのとも相俟って、上記ドリル本体
1が受ける負荷のうち特にスラスト力を一層軽減させる
ことができるとともに、切屑排出溝3の断面積を大きく
してさらに円滑な切屑排出を促し、これらによって穴明
け加工時の動力の一層の軽減を図ることができる。その
一方で、ドリル本体1の断面積は、上記曲率半径R1〜
R4が上述のように適当な範囲に設定されることと、特
に第1、第2凸曲面部7,11によって外周側で大きく
なることとにより、必要かつ十分に確保することがで
き、従ってドリル本体1の剛性も維持することができる
ので、上述のように加工動力の一層の軽減が図られるこ
ととも相俟って、加工時に折損等が生じてドリル寿命が
費えてしまうような事態をも防止することが可能とな
る。
【0029】ここで、次表1は、図1〜図3に示した実
施形態のドリルと、それぞれ第1凸曲面部7の半径R1
の大きさと第1、第2凹曲面部8,12の大小、および
芯厚dの大きさが異なる以外はこの実施形態と同様とさ
れた比較ドリル1〜5とで、切削速度を変化させ、かつ
乾式で穴明け加工試験を行ったときの結果を示すもので
あり、加工条件や評価は表下に示した通りである。
【0030】
【表1】
【0031】この表1の結果より、まず第1凸曲面部7
の半径R1が切刃5の外径Dに対して0.1×Dを下回
る比較ドリル1では、この第1凸曲面部7の幅が小さく
なるのに伴い先端の凸曲線状切刃部16の幅も小さくな
って、この凸曲線状切刃部16ごと切刃5の肩すなわち
上記外周端15部分にチッピングが生じ、またこれとは
逆に半径R1が0.8×Dを上回る比較ドリル2では、
これら第1凸曲面部7および凸曲線状切刃部16が幅広
となって、相対的に第1凹曲面部8および凹曲線状切刃
部17が幅狭となり、これにより切屑のカーリング性が
損なわれて切屑排出溝3の内壁面4,9に切屑が強く押
し付けられ、大きな摩耗を生じる結果となった。また、
上記実施形態とは逆に第1凹曲面部8の半径R2を第2
凹曲面部12の半径R4よりも大きくした比較ドリル3
では、切屑が第2凹曲面部12に強く押し付けられるこ
とによって図5(ロ)に示すように潰れを生じ、またこ
の第2凹曲面部12の摩耗も著しかった。さらに、芯厚
dを0.3×Dよりも大きくした比較ドリル4では、切
屑排出溝3の断面積が小さくなってやはり切屑の擦過に
よる摩耗が大きく、しかもスラスト力が増大してドリル
駆動力も大きくなったのに対し、逆に芯厚dを0.15
×Dより小さくした比較ドリル5では、スラスト力は小
さくなったものの、剛性不足によって折損が生じてしま
った。
【0032】これらの比較ドリル1〜5に対して、上記
実施形態のドリル1〜3では、いずれも排出された切屑
が図5(イ)に示すように潰れを生じたりすることなく
小さくカールさせられていて、切屑排出溝3の内壁面
4,9等における工具摩耗も正常なものであり、特に芯
厚dを0.23×Dとした実施形態ドリル2ではスラス
ト力、水平分力とも小さく、より安定した穴明け加工を
行うことが可能であった。なお、これに対して芯厚dを
0.20×Dとやや小さめにした実施形態ドリル3で
は、その分剛性も小さくなったため水平分力が大きくな
る傾向となったが、比較ドリル5のように折損に至るよ
うなことはなく、実用上十分な寿命を得ることができ
た。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
第1に、切刃の内周端側に連なるように切屑排出溝の内
壁面の先端側に形成したシンニング部に、谷底部が凹曲
面状をなしてドリル本体の内周側に後退しつつ延びる谷
形の第1シンニング部を設けることにより、切屑の内周
側部分をこの第1シンニング部の谷底部がなす凹曲面に
摺接させて円滑にカールさせることができ、シンニング
部で切屑が詰まりを生じたりするのを防いで、円滑な切
屑処理を図ることができる。また、第2に、この第1シ
ンニング部の先端側に、上記谷底部に対しさらに内周側
に後退しつつ切刃内周端に達する第2シンニング部を設
けることにより、チゼル幅を短くして食い付き性の向上
やスラスト力の低減を促すとともに、この第2シンニン
グ部の谷底に沿ったドリル本体の先端角度は大きく確保
してその強度の向上を図ることができ、これらによっ
て、たとえ乾式でしかも高速切削となるような過酷な加
工条件においても、ドリルの寿命の延長を図って円滑か
つ安定した穴明け加工を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す軸線O方向先端視
の正面図である。
【図2】 図1に示す実施形態の軸線Oに直交する断面
図である。
【図3】 図1に示す実施形態のシンニング部18を示
すドリル本体1先端部の斜視図である。
【図4】 第1、第2凹曲面部8,12間に接続面24
を形成した場合を示す断面図である。
【図5】 (イ)は本発明の実施形態によるドリルによ
って生成された切屑を示す図であり、(ロ)は実施形態
とは第1、第2凹曲面部8,12の半径R2,R4の大
小が反対とされた比較ドリル3による切屑を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 ドリル本体 2 先端逃げ面 3 切屑排出溝 4,9 切屑排出溝3の内壁面 5 切刃 7 第1凸曲面部 8 第1凹曲面部 11 第2凸曲面部 12 第2凹曲面部 13 内壁面4の外周端 15 切刃5の外周端 16 凸曲線状切刃部 17 凹曲線状切刃部 18 シンニング部 19 シンニング切刃部 20 第1シンニング部 21 第1シンニング部20の谷底部 23 第2シンニング部 24 接続面 O ドリル本体1の軸線 T ドリル回転方向 R1〜R4 第1、第2凸凹曲面部7,8,11,12
が軸線Oに直交する断面においてなす曲線の曲率半径 S1,S2 第1、第2仮想直線 L1,L2 第1、第2凹曲面部8,12の凹み量 d ドリル本体1の芯厚 β 第1シンニング部20の開角

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線回りに回転されるドリル本体の先端
    部外周に後端側に向けて延びる切屑排出溝が形成され、
    この切屑排出溝のドリル回転方向を向く内壁面と上記ド
    リル本体の先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成され
    てなるドリルであって、上記切屑排出溝の内壁面の先端
    側には、上記切刃の内周端側に連なるシンニング部が形
    成されており、このシンニング部は、その谷底部が凹曲
    面状をなして上記内壁面に対して上記ドリル本体の内周
    側に後退しつつ上記切刃の内周端に向けて延びる谷形の
    第1シンニング部を備えていることを特徴とするドリ
    ル。
  2. 【請求項2】 上記第1シンニング部の開角が95〜1
    05°の範囲とされていることを特徴とする請求項1に
    記載のドリル。
  3. 【請求項3】 上記第1シンニング部の谷底部がその断
    面においてなす凹曲線の曲率半径が0.1〜0.5mmの
    範囲とされていることを特徴とする請求項1または請求
    項2に記載のドリル。
  4. 【請求項4】 上記シンニング部は、上記第1シンニン
    グ部の先端側に形成されて、上記谷底部に対してさらに
    内周側に後退しつつ上記切刃の内周端に達する第2シン
    ニング部を備えていることを特徴とする請求項1ないし
    請求項3のいずれかに記載のドリル。
  5. 【請求項5】 上記第2シンニング部が谷形をなし、そ
    の谷底部の断面がなす曲率半径が第1シンニング部の上
    記谷底部の曲率半径よりも小さくされていることを特徴
    とする請求項4に記載のドリル。
  6. 【請求項6】 上記第2シンニング部が谷形をなし、そ
    の谷底部の断面がなす曲率半径が0.1mm未満とされて
    いることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の
    ドリル。
  7. 【請求項7】 上記ドリル本体の芯厚が、上記切刃の外
    径Dに対して0.15×D〜0.3×Dの範囲に設定さ
    れていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のい
    ずれかに記載のドリル。
  8. 【請求項8】 上記ドリル本体の少なくとも先端部の表
    面には、硬質皮膜が被覆されていることを特徴とする請
    求項1ないし請求項7のいずれかに記載のドリル。
JP2001209588A 2001-07-10 2001-07-10 ドリル Pending JP2003025127A (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001209588A JP2003025127A (ja) 2001-07-10 2001-07-10 ドリル
EP07005036.4A EP1923157B1 (en) 2001-07-10 2002-03-26 Drill
EP02006673A EP1275458A1 (en) 2001-07-10 2002-03-26 Drill
EP10181031.5A EP2366478B1 (en) 2001-07-10 2002-03-26 Drill
US10/105,411 US6916139B2 (en) 2001-07-10 2002-03-26 Drill
CNB021198160A CN1223428C (zh) 2001-07-10 2002-03-30 钻头
KR1020020017632A KR100643677B1 (ko) 2001-07-10 2002-03-30 드릴

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001209588A JP2003025127A (ja) 2001-07-10 2001-07-10 ドリル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003025127A true JP2003025127A (ja) 2003-01-29

Family

ID=19045217

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001209588A Pending JP2003025127A (ja) 2001-07-10 2001-07-10 ドリル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003025127A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005001082A (ja) * 2003-06-13 2005-01-06 Mitsubishi Materials Corp ドリル
JP2007229900A (ja) * 2006-03-03 2007-09-13 Mitsubishi Materials Corp ドリル
JP2008296313A (ja) * 2007-05-30 2008-12-11 Sumitomo Electric Hardmetal Corp ツイストドリル
CN101678474B (zh) * 2007-05-29 2012-03-21 山特维克知识产权股份有限公司 用于去屑加工的钻体
WO2018079489A1 (ja) * 2016-10-26 2018-05-03 京セラ株式会社 切削工具及び切削加工物の製造方法
CN114453606A (zh) * 2021-12-13 2022-05-10 浙江欣兴工具股份有限公司 一种刀头及分体式孔加工刀具
JP7456565B1 (ja) 2023-01-12 2024-03-27 住友電工ハードメタル株式会社 ドリル

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005001082A (ja) * 2003-06-13 2005-01-06 Mitsubishi Materials Corp ドリル
JP4529383B2 (ja) * 2003-06-13 2010-08-25 三菱マテリアル株式会社 ドリル
JP2007229900A (ja) * 2006-03-03 2007-09-13 Mitsubishi Materials Corp ドリル
CN101678474B (zh) * 2007-05-29 2012-03-21 山特维克知识产权股份有限公司 用于去屑加工的钻体
JP2008296313A (ja) * 2007-05-30 2008-12-11 Sumitomo Electric Hardmetal Corp ツイストドリル
WO2018079489A1 (ja) * 2016-10-26 2018-05-03 京セラ株式会社 切削工具及び切削加工物の製造方法
JP2021059010A (ja) * 2016-10-26 2021-04-15 京セラ株式会社 切削工具及び切削加工物の製造方法
CN114453606A (zh) * 2021-12-13 2022-05-10 浙江欣兴工具股份有限公司 一种刀头及分体式孔加工刀具
CN114453606B (zh) * 2021-12-13 2023-12-29 浙江欣兴工具股份有限公司 一种刀头及分体式孔加工刀具
JP7456565B1 (ja) 2023-01-12 2024-03-27 住友電工ハードメタル株式会社 ドリル

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5719938B2 (ja) ドリル
JP5013435B2 (ja) ボールエンドミル
JP5762547B2 (ja) ドリル
EP0532802B1 (en) Improved cutting tool
US8579556B2 (en) Insert for drill, drill and method of cutting work material
WO2010146839A1 (ja) クーラント穴付きドリル
JP4120185B2 (ja) ドリル
JP6268809B2 (ja) ドリル
US20200108449A1 (en) Cutting head having tip portion with radially extending front cutting edges provided with both negative and positive rake angles, and rotary cutting tool
JP2017202541A (ja) ドリルリーマ
JP4529383B2 (ja) ドリル
JPS625726B2 (ja)
JP2003025127A (ja) ドリル
JP3988659B2 (ja) ドリル
JP3933044B2 (ja) ドリル
JP3783629B2 (ja) ドリル
JPH10156613A (ja) チゼル付き巴型シンニングドリル
JP4120186B2 (ja) ドリル
JP4120187B2 (ja) ドリル
JP3795278B2 (ja) エンドミル
JPH0532164B2 (ja)
JP2004261930A (ja) ドリル
JP3318020B2 (ja) ボールエンドミル
JP2003275909A (ja) ドリル
JP2003285211A (ja) ツイストドリル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050817

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070522

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070723

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070904