JP2003024985A - 脱窒装置及び脱窒方法 - Google Patents

脱窒装置及び脱窒方法

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JP2003024985A
JP2003024985A JP2001218432A JP2001218432A JP2003024985A JP 2003024985 A JP2003024985 A JP 2003024985A JP 2001218432 A JP2001218432 A JP 2001218432A JP 2001218432 A JP2001218432 A JP 2001218432A JP 2003024985 A JP2003024985 A JP 2003024985A
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nitrogen
concentration
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JP2001218432A
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Akishi Hori
晃士 堀
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Kurita Water Industries Ltd
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Kurita Water Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素を含有する
原水を、アンモニア性窒素を電子供与体とし、亜硝酸性
窒素を電子受容体とする独立栄養性脱窒微生物のANA
MMOX菌により生物脱窒するに当たり、ANAMMO
X菌を効率的に増殖させ、増殖させたANAMMOX菌
を系内に高濃度で保持することにより、高負荷処理を行
う。 【解決手段】 ANAMMOX菌を保持する脱窒槽1の
脱窒処理液を膜分離装置3で膜分離して処理水を得る。
膜分離装置3で分離する脱窒処理液のアンモニア性窒素
濃度と亜硝酸性窒素濃度の両方又はいずれか一方を0〜
3mg/Lとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンモニア性窒素
と亜硝酸性窒素を含有する原水を、アンモニア性窒素を
電子供与体とし、亜硝酸性窒素を電子受容体とする独立
栄養性脱窒微生物の作用で生物脱窒する脱窒装置及び脱
窒方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水中の窒素除去方法として、硝化
細菌によりアンモニア性窒素を亜硝酸性窒素や硝酸性窒
素に酸化し、次にメタノール等の電子供与体を添加しつ
つ脱窒細菌により亜硝酸性窒素や硝酸性窒素を窒素ガス
に還元して、水中から窒素を除去する方法が知られてい
る。
【0003】この方法はアンモニア性窒素を窒素ガスに
酸化するために必要な酸化力よりも過剰の酸素を必要と
するため、酸素を多く必要とし、この酸素を微生物に供
給するためのエネルギーコストが高くつく。また、脱窒
反応のために電子供与体としてメタノール等の有機物を
添加するためのコストがかかり、またこの有機物を摂取
して増殖した脱窒細菌が余剰汚泥となるため、廃棄物の
処分コストも高くつくという問題がある。特に、硝酸性
窒素は亜硝酸性窒素に比べてより酸化された状態にある
ため、このための酸素供給コストも高く、また、これを
還元するための電子供与体もより多く必要であり、発生
する余剰汚泥量も多い。
【0004】これに対して、近年、無酸素条件下でアン
モニア性窒素を電子供与体、亜硝酸性窒素を電子受容体
として両者を反応させ、窒素ガスを生成することができ
る独立栄養性の脱窒微生物群を利用した脱窒方法が知ら
れるようになった(Microbiology 142(1996), p2187-21
96等)。以下ではこの反応をANAMMOX反応と呼
び、この独立栄養性脱窒微生物群をANAMMOX菌と
呼ぶ。この方法によれば、亜硝酸性窒素の持つ酸化力を
利用してアンモニア性窒素を酸化することができるた
め、理論量と同程度の酸素消費量で窒素除去を行うこと
ができ、エネルギーを節約することができる。また、メ
タノール等の有機物を添加する必要がないため、そのた
めのコストも節約できる。この微生物は独立栄養細菌で
あり、有機物を利用して脱窒を行う細菌に比べると、還
元する亜硝酸性窒素当たりに発生する余剰汚泥量が5分
の1以下であり、廃棄物の発生量を大幅に低減すること
ができるという利点もある。
【0005】この脱窒反応を行う際に、亜硝酸性窒素は
排水中のアンモニア性窒素の一部を酸化することにより
生成させても良く、また、亜硝酸性窒素を含む他の排水
を混合しても良い。
【0006】ANAMMOX菌による生物脱窒槽の形式
としては、砂や合成樹脂、ゲルなどの微生物の付着に適
した担体を充填したカラムに上向流で原水を通水し、担
体表面で窒素化合物と微生物を接触させて脱窒反応を進
行させる方式が用いられる。この場合、担体としては比
表面積が大きいものが好適であり、特に粒径0.1〜1
0mm程度の顆粒状、ひも状、筒状、歯車状などの形状
が知られている。担体は水中で緩やかに流動しているこ
とが好ましく、脱窒により発生するガスや、外部から注
入するガス、撹拌機などにより流動される。
【0007】一方、活性汚泥を用いて排水中の有機物や
窒素を除去し、この活性汚泥処理液からSSを殆ど含ま
ない処理水を取り出し、濃縮された微生物を反応槽に返
送するための手段の一つとして、膜分離法が知られてい
る。この方法は微生物と処理水との分離に精密濾過(M
F)膜や限外濾過(UF)膜を用いるもので、SSが0
〜2mg/L程度の清澄な処理水を取り出すことができ
るという利点を有する。また、反応槽内の微生物濃度を
通常5,000〜35,000mg/Lに高めて運転す
ることができるために、反応槽容積当りの負荷を大きく
取ることができるという利点もある。
【0008】膜分離法をBOD除去に採用した場合の反
応槽の容積負荷は、通常0.5〜2kg−BOD/m
/dayであり、硝化・脱窒法に採用した場合の硝化負
荷は0.1〜0.5kg−N/m/day、脱窒負荷
は0.1〜1.0kg−N/m/dayの範囲がよく
用いられる。また、反応槽内の汚泥の滞留時間(SR
T)は、負荷にもよるが、通常5〜100日、特に10
〜50日程度が採用される。
【0009】この場合、膜面の目詰まりを防止するため
に、通常膜面と平行な方向に5〜400cm/sec程
度の水流(クロスフロー)を与えることで、膜面に濃縮
される懸濁物質を拡散させ、連続的に濾過を行う。クロ
スフローを与えるための手段は、ポンプによるもの、曝
気により生起される水流を利用するもの、膜自身を移動
例えば回転させて相対的な水流を生じさせるもの等が知
られている。膜濾過の駆動力となる膜間差圧(以下「濾
過差圧」とも呼ぶ)を得るには、ポンプにより生起され
る正圧や負圧を利用したり、水頭差を利用したり、また
はその両方が利用される。
【0010】膜の種類によっては定期的に洗浄水又は空
気などのガスを逆流させることで膜面に付着した汚泥を
剥離する逆洗操作が行われる。また、膜濾過を継続する
ことで、クロスフローや逆洗では剥離しきれない膜汚染
が生じ、濾過抵抗が大きくなり、濾過差圧が増大するか
膜フラックス(透過流束)が低下して所定水量を得られ
なくなる。この場合には、スポンジボールやスプレーな
どで膜面の汚染物を物理的に剥離させる物理洗浄が行わ
れたり、苛性ソーダなどのアルカリや硫酸、蓚酸、クエ
ン酸などの酸、又は次亜塩素酸ソーダや過酸化水素水な
どの酸化剤を用いて膜面の汚染物質を溶解したり分解し
つつ除去する薬品洗浄が行われる。このような物理洗浄
又は薬品洗浄は通常2〜10ヶ月に1回程度の頻度で行
われる。
【0011】膜汚染の原因は、膜面に付着した汚泥が脱
水ケーキ状になって強固に付着するケーク汚染や、原水
から流入したり微生物が産出する高分子有機物のうち、
膜を透過しないものが膜面に濃縮されてゲル化するゲル
汚染や、膜面で微生物がスライム状に成長することによ
るスライム汚染などである。
【0012】また、分離膜は2〜10年程度で劣化して
所定の性能を発揮しなくなるために、定期的に交換する
必要がある。
【0013】ところで、ANAMMOX菌の比増殖速度
は、最大で約0.065day−1(1日当り1.06
5倍に増殖)と遅く、多量の菌体を確保することが非常
に困難である。一方で自然界に存在するANAMMOX
菌の量は非常に少ないため、ANAMMOX菌を利用し
た脱窒装置を立ち上げるためには、まず菌体を十分に増
殖させる必要があり、このためにはANAMMOX菌を
理想的な環境において最大増殖速度付近で増殖させ、な
おかつ増殖したANAMMOX菌を効率良く系内に留め
る必要がある。
【0014】ANAMMOX菌を最大速度で増殖させる
ためには、アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、炭酸根等
のこの菌の基質となる物質を十分に供給する必要がある
が、担体に付着させて増殖させた場合には、付着した生
物膜の内側まで基質を浸透させることが難しく、従って
最大速度よりも遅い速度で増殖させることになり、効率
が悪い。また、生物膜の内側深くまで基質を浸透させる
ためには液中の基質濃度を高く保つ必要があるが、一方
で、基質、特に亜硝酸性窒素が高濃度に存在するとAN
AMMOX菌が阻害を受け、増殖しなくなったり死滅し
たりして逆効果となる問題もある。また、実際の脱窒装
置として稼動させる場合に、担体表面でANAMMOX
菌が十分増殖するまでには最大負荷をかけられないた
め、立ち上がりが遅い。これを回避するために予めAN
AMMOX菌が十分に付着した担体を脱窒槽に投入する
ことも可能であるが、このためには稼動させる脱窒装置
と同等の大きさの反応槽で、予めANAMMOX菌を培
養しておく必要があり、培養装置のコストがかかり、設
置スペースも必要となる。また、培養したANAMMO
X菌の運搬費用もかさむ。
【0015】更に担体表面でANAMMOX菌を増殖さ
せる際の問題点として、担体表面のANAMMOX菌の
一部は常に液中へ剥離し、処理水へ流出しているという
ことがある。特に、最終的には担体表面はANAMMO
X菌で飽和し、増殖するANAMMOX菌量と剥離する
ANAMMOX菌量はバランスすることとなるため、A
NAMMOX菌の付着量が増加するほど、剥離量も増加
し、ANAMMOX菌の増殖及びそれに伴う脱窒能力の
増加率は見掛け上、上述の0.065day よりも
低くなる。実際、本発明者がプラスチック製の担体や、
メタン生成細菌を主体としたグラニュールにANAMM
OX菌を付着させて増殖を試みたところ、増殖したAN
AMMOX菌が系内に留まる割合は10〜75%であ
り、ANAMMOX菌の増殖と共に系外へ流出する菌量
が増加した。
【0016】本発明者は、このような、担体を用いてA
NAMMOX菌を増殖させる場合の問題を解決するため
に検討した結果、ANAMMOX菌を懸濁状態で増殖さ
せて利用することも可能であることを知見した。この場
合には、菌体は粒径0.1mm以下の比較的小さなフロ
ックを形成しているため、基質の浸透が律速となって増
殖が妨げられることはなく、容易に最大能力を発揮して
脱窒を行うことができる。また、このようにして増殖し
た菌体は時間をかけて沈降させたり、機械的濃縮手段を
用いることにより、高濃度に濃縮して運転することがで
きるため、装置を立ち上げる際のANAMMOX菌の供
給も容易である。
【0017】このようにANAMMOX菌を懸濁状態で
増殖させ、窒素除去を行わせるためには、反応を終えた
後の菌体を処理水から分離し、濃縮された菌体を再び反
応槽へ戻す必要がある。このための分離・濃縮手段とし
ては、活性汚泥の場合と同様に、沈殿、遠心濃縮、濾
過、加圧浮上濃縮等が考えられるが、最も安価で操作も
簡単なのが沈殿による方法である。
【0018】図6は、ANAMMOX菌の分離に沈殿槽
を用いた脱窒装置を示す。この脱窒装置は脱窒槽1と沈
殿槽2とで主に構成され、脱窒槽1には撹拌機1Mが設
けられ、沈殿槽2には脱窒処理液が流入するフィードウ
ェル2Fと集泥用のレーキ2Mが設けられている。これ
ら脱窒槽1及び沈殿槽2は密閉構造とされており、各槽
1,2から脱窒ガスを排出する脱窒ガス排出管15A,
15B及び15が設けられている。
【0019】原水は原水流入管11より脱窒槽1に導入
され、脱窒処理された後、連通管12より沈殿槽2に移
送されて沈殿分離される。沈殿槽2で分離された分離液
は処理水流出管13より処理水として系外へ排出され、
分離汚泥はポンプPを備える汚泥返送管14により脱窒
槽1に返送される。
【0020】脱窒槽1は、アンモニア性窒素負荷が例え
ば0.1〜2kg−N/m/dayとなるように容積
が決定される。また、沈殿槽2は流入原水量に対して水
面積負荷が例えば1〜20m/dayとなるように面積
が決定される。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者が沈
殿によりANAMMOX菌を含むフロックの分離を試み
たところ、一部は沈殿したが、一部は浮上したために、
うまく分離を行えず、このため、ANAMMOX菌を系
内に高濃度に保持できず、脱窒槽の性能を高く維持し得
ないという問題が生じた。また、良好に分離が行える場
合であっても、見掛け上の比増殖速度は0.035〜
0.055day−1となり、増殖したANAMMOX
菌が系内に留まる割合は55〜85%であった。
【0022】ところで、ANAMMOX菌は亜硝酸性窒
素が高濃度に存在すると阻害されて活性を失う。この阻
害が始まる濃度は50〜200mg/Lであり、高濃度
であるほど阻害は激しくなる。このような亜硝酸性窒素
による阻害を受けた場合や、適正なpH範囲である6〜
9のpH範囲をはずれた場合、溶存酸素を含む水に触れ
た場合など、菌の生育に不適となる条件下では、生物膜
方式であればANAMMOX菌は剥離して流出しやすく
なり、また沈殿槽では通常よりも処理水への流出量が増
大する。一方、このような阻害環境から回復させるため
には、阻害の原因をできるだけ早く取り除くことが重要
であり、そのためには亜硝酸性窒素が200mg/L以
下、好ましくは50mg/L以下でpH6〜9、好まし
くは6.5〜8.5、溶存酸素0〜0.1mg/L、好
ましくは0〜0.05mg/Lの水でANAMMOX反
応槽内を置換し、ANAMMOX菌が阻害を受けない環
境とすることが望ましい。
【0023】しかし、従来の生物膜を利用した方法や沈
殿分離を利用した方法では、阻害を受けると同時に微生
物と処理水との分離が困難になるため、上述のような阻
害作用の無い水で置換しようとすると、ANAMMOX
菌が同時に流出してしまうため、速やかにANAMMO
X反応槽内の阻害物質を取り除けないという欠点があっ
た。
【0024】本発明は、このような問題を解決し、AN
AMMOX菌を懸濁状態で増殖させて生物脱窒を行い、
脱窒処理液からANAMMOX菌を効率的に分離して、
系内にANAMMOX菌を高濃度に保持することにより
効率的な生物脱窒を行うことができ、また、阻害物質が
系内に蓄積した場合でもこれを速やかに取り除くことが
できる脱窒装置及び脱窒方法を提供することを目的とす
る。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明の脱窒装置は、ア
ンモニア性窒素を含有する原水の流入口と処理液の流出
口とを有し、アンモニア性窒素を電子供与体とし、亜硝
酸性窒素を電子受容体とする脱窒微生物の作用により亜
硝酸性窒素の存在下に生物脱窒する脱窒槽と、該脱窒槽
の流出液又は該脱窒槽内の液を膜分離して前記脱窒微生
物と処理水とに分離する膜分離手段とを備えることを特
徴とする。
【0026】本発明の脱窒方法は、アンモニア性窒素を
含有する原水を、アンモニア性窒素を電子供与体とし、
亜硝酸性窒素を電子受容体とする脱窒微生物の作用によ
り亜硝酸性窒素の存在下に生物脱窒する脱窒工程と、該
脱窒工程の処理液を膜分離して前記脱窒微生物を含む汚
泥と処理水とに分離する膜分離工程とを有する脱窒方法
において前記膜分離工程で分離する脱窒工程の処理液中
のアンモニア性窒素濃度と亜硝酸性窒素濃度の両方又は
いずれか一方を0〜5mg/Lとすることを特徴とす
る。
【0027】本発明者は、ANAMMOX菌を脱窒処理
液から効率的に分離すべく検討を重ね、ANAMMOX
菌を含むフロックの分離に膜分離手段を用いたところ、
SSの流出は全く無くなり、比増殖速度として0.06
0〜0.065day−1という理想的な値が得られ、
また増殖したANAMMOX菌が系内に留まる割合は9
5%以上となることから、ANAMMOX菌を効率良く
増殖させるには膜分離手段を用いるのが最適であること
を見出し、本発明の脱窒装置に到達した。
【0028】即ち、沈殿槽を用いてANAMMOX菌を
固液分離した場合に、ANAMMOX菌の一部が処理水
中に流出してしまい、効果的にANAMMOX菌量を増
加させることができない理由は、ANAMMOX菌のフ
ロック形成能力が弱いためであり、フロックに取り込ま
れていない分散状の菌体の沈降速度が遅いために沈降分
離が困難であったと考えられる。
【0029】一方、フロック形成能力が弱いことは、菌
体外へのコロイド様物質の分泌が少ないためであると推
察された。そこで、本発明者はANAMMOX菌のこの
ような特性を利用することにより、活性汚泥等の膜分離
の際に問題となる高分子コロイド物質由来のゲル汚染
を、ANAMMOX菌の場合には低減でき、安定した膜
濾過を行えると考えた。
【0030】実際にANAMMOX菌の固液分離に膜分
離手段を用いて運転し、菌体外に産出されるコロイド物
質のうち膜分離により阻止される物質の量を、槽内液を
遠心分離した上澄み液と膜透過水とのTOC濃度の差で
評価したところ、この値は5mg/L以下になっている
ことがわかり、コロイド様物質の産出がわずかであるこ
とが確認された。通常の活性汚泥に膜分離法を適用した
場合、この値は20〜300mg/L程度であり、特に
100mg/L以上の時に膜面でのゲル汚染が激しく生
じる。
【0031】また、膜分離手段であれば、ANAMMO
X菌が失活するなどの原因により、沈降性が極度に悪化
した場合でも、ANAMMOX菌を流出させることなく
速やかに処理水のみを排出することができる。このた
め、阻害物質が槽内に蓄積した場合にも、阻害作用を持
たない水を供給する手段を設けて膜分離手段と共に稼動
させることにより、系内の阻害物質を迅速に洗い出し、
ANAMMOX反応槽内を速やかに阻害のない環境に戻
すことができる。
【0032】しかし、膜分離手段を用いた場合、運転を
継続するに従って、膜面に付着物の存在が認められるよ
うになった。この付着物はANAMMOX菌と同様の赤
色を呈していたことから、浮遊しているANAMMOX
菌が膜面に濃縮されてケーク化したか、或いは膜面でA
NAMMOX菌がスライム状に増殖したものと推定され
た。
【0033】一方で、濾過差圧は急速な上昇を見せたた
め、安定した膜濾過を行うためには2〜4週間に1回の
頻度で薬品洗浄を行う必要が生じた。
【0034】しかし、このように頻繁に薬品洗浄を行う
ことは、手間とコストがかかるだけでなく、膜の劣化を
早め、膜交換コストの増大を招く。即ち、膜が劣化する
主要因の一つは洗浄薬液と接触することによる化学反応
であり、洗浄頻度が増加すればするほど膜の寿命は短く
なる。また、薬品洗浄頻度の増加は、膜洗浄で発生する
廃薬品の処理においても問題である。この廃薬品は膜面
から溶解した有機物を多量に含んでおり、また次亜塩素
酸ソーダなどの酸化剤が残留している。また、蓚酸、ク
エン酸等の酸は有機物そのものである。
【0035】活性汚泥に対して膜濾過手段を適用した場
合には、これらの廃薬品は活性汚泥で処理することが容
易であった。即ち、膜面から溶出した有機物や蓚酸、ク
エン酸等の有機酸は、活性汚泥の有機物除去能力によっ
て容易に除去することができ、また、次亜塩素酸ソーダ
などの酸化剤も活性汚泥に投入すれば、一部の菌体と反
応して容易にその酸化力を失い中和される。しかし、A
NAMMOX菌は有機物の除去能力を持たないために廃
薬品を処理することができないだけでなく、仮にこのよ
うな多量の有機物を投入すればANAMMOX菌に阻害
作用を示し、脱窒能力を失わせる。また、次亜塩素酸ソ
ーダのような酸化剤もANAMMOX菌に対して強力な
阻害作用を示す。ANAMMOX菌を殺菌することで次
亜塩素酸ソーダの酸化力は失われるが、活性汚泥と異な
りANAMMOX菌は増殖に多大の時間を要するため
に、次亜塩素酸ソーダにより失活したANAMMOX菌
の活性は容易に回復されない。このように、ANAMM
OX菌の膜分離では、膜の薬品洗浄で発生した廃薬品
は、活性汚泥の場合のように系内で処理をすることがで
きず、系外に排出して廃棄処理を行う必要があるため、
一層の手間とコストがかかるという問題がある。
【0036】また、膜分離装置は高価であるために、こ
れを採用することはコスト的な観点からは有利とは言え
ないが、これに加えて更に上述のように頻繁な薬品洗浄
の手間とコスト、高い膜交換コストを考慮すると、AN
AMMOX菌を利用することによるコスト削減効果は低
いものとなる。
【0037】ANAMMOX菌を膜分離した際の膜汚染
は、ANAMMOX菌が膜面で増殖し、スライムを形成
するためと考えられる。本発明者の観察によれば、AN
AMMOX菌は特に流速の速いところで付着しやすく、
膜面に限らず水槽壁面や膜分離装置への導水パイプ壁面
等にも多量のANAMMOXスライムが付着した。
【0038】しかし、本発明者は、アンモニア性窒素濃
度と亜硝酸性窒素濃度の少なくとも一方の濃度が低いと
きには、このスライム汚染が生じにくいことを発見し
た。
【0039】即ち、ANAMMOX菌の付着力が強い理
由は、自然界中でのANAMMOX菌の生息環境が限ら
れているために、水流により他の場所へ移動することは
最適な生息環境から流されることを意味する場合が多
く、これに抵抗して増殖に適した環境に留まる必要が特
に強いためであると思われる。一方で、基質のないとこ
ろに留まることはむしろANAMMOX菌にとって不利
に働くために、このようなところでは付着現象が起こら
ず、むしろ積極的に剥離していると考えられる。従っ
て、基質であるアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素のいず
れか一方が少なければ、ANAMMOX菌が膜面で増殖
することによるスライムの付着は防止される。そして、
本発明者は更に検討を重ね、膜汚染を防止し得る基質の
濃度を特定したところ、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒
素のいずれか一方の濃度が0〜5mg/L、好ましくは
0〜2mg/Lであれば、ANAMMOXスライムによ
る膜汚染を防止して、薬品洗浄頻度を低減できることを
見出し、本発明の脱窒方法に到達した。
【0040】本発明の脱窒方法により、膜汚染を軽減す
ることにより、膜の薬品洗浄にかかるコストや、膜の交
換費用が低減されるため、膜分離方式を実用的なコスト
で採用することが可能となる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下に本発明の脱窒装置及び脱窒
方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0042】本発明の脱窒装置は、ANAMMOX菌を
保持する脱窒槽とこの脱窒槽の脱窒処理液を膜処理する
膜分離装置とで主に構成される。
【0043】本発明に係る脱窒槽は、亜硝酸性窒素を含
む排水又は溶液とアンモニア性窒素を含む排水又は溶液
を供給する手段、或いはアンモニア性窒素と亜硝酸性窒
素とを含む排水又は溶液を供給する手段を備え、好まし
くは脱窒槽内を緩やかに撹拌するための撹拌手段、例え
ば撹拌機や水中ポンプ、ガスの吹き込み手段を備えるこ
とが好ましい。
【0044】脱窒槽内にはpHの検知手段を設け、必要
に応じて酸又はアルカリ剤、或いはその両方を供給する
手段を備えることが好ましい。用いる酸としては塩酸、
硫酸、炭酸などが好ましく、アルカリとしては水酸化ナ
トリウム溶液などが好ましい。
【0045】また、脱窒槽は空気が混入しないよう通常
は密閉構造とし、脱窒反応で発生する脱窒ガスは外部か
ら空気が逆流するのを防ぐためにチャッキ弁や水封部を
通じて外部に排出される。
【0046】更に脱窒槽上部にはスカムが発生すること
が多いために、スカムの破砕手段を設けることが好まし
く、浮上したスカムを破砕するための泡切り用カッター
を水面付近に備えたり、水面付近を撹拌羽で撹拌するこ
とで水面を波立たせたり、また水槽に旋回流を引き起こ
して水面付近に浮上濃縮される汚泥を十分に脱窒槽内部
に巻き込むことが有効である。特に、旋回流を引き起こ
す手段としては嫌気性のガスを吹き込むことがよく、こ
の場合、脱窒槽上部の脱窒ガスをブロワやコンプレッサ
により昇圧して、脱窒槽内に吹き込むことが簡便であ
る。ガスの吹き込み量は脱窒槽の底面積に対して1〜5
0Nm−ガス/m−底面/hr程度が好ましく、更
に好ましくは2〜20Nm−ガス/m−底面/hr
程度が良い。ガス吹き込みは連続でも良く間欠でも良い
が、スカムが発生したときのみ間欠的に1日1〜50回
程度、より好ましくは4〜20回程度、1回当りの吹き
込み時間は1〜60分間、好ましくは3〜30分間程度
で行うのが好ましい。ガスの吹き込み部はバッフル板な
どにより仕切り、上昇部と下降部を仕切る方が、撹拌効
果や消泡作用の面から好ましい。
【0047】この際に生ずるガスリフト作用による上昇
水流の中に浸漬膜を設置して膜分離を行うことは特に動
力の節約になり好ましい。また、脱窒槽内液を外部に取
り出して槽外に設置した膜分離装置に循環通水して膜分
離を行う場合において、反応槽内に戻される濃縮液で水
面のスカムを破砕したり、この濃縮液を水面上に横向き
又は下向きに吹き込むことでスカムを脱窒槽内に巻き込
んで撹拌することも動力の節約になり好ましい。
【0048】一方、脱窒槽の脱窒処理液を膜分離する膜
分離装置の分離膜の材質としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリオレフィン、ポリスルフォン、ポリエ
ーテルスルフォン、ポリアミド、PVDF(ポリフッ化
ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレ
ン)、セラミック、不織布など特に材質を問わずに使用
することができるが、特に親水性の素材がANAMMO
X菌の付着による膜汚染を防止するのに好適である。
【0049】分離膜の形式は中空糸膜、チューブラ膜、
平膜などいずれの形式でも良い。
【0050】膜分離方式はデッドエンド濾過方式、クロ
スフロー濾過方式、浸漬膜方式、ダイナミック濾過方式
などのいずれでもよいが、特にクロスフロー濾過方式
と、浸漬膜方式は、上述の如く脱窒槽内の撹拌やスカム
破砕手段と兼用することができるために好適である。
【0051】膜分離のための圧力はポンプや水圧を利用
した正圧と負圧の両方を利用することができるが、膜面
において透過液が負圧になると透過液から脱窒ガスが発
生し、流路に気泡が溜ることで透過液流路の圧力が不均
一になったり、また透過液をポンプで排出する場合には
ポンプがエアを巻き込むことによる膜分離効率の低下が
起こり、また透過液をサイフォンで排出する場合にはサ
イフォンがブレークするなどの障害を生じやすい。この
ため、透過液側は正圧として運転することが好ましい。
【0052】膜の薬品洗浄には、水酸化ナトリウム溶液
などのアルカリ液、次亜塩素酸ソーダや過酸化水素など
の酸化剤、塩酸、硫酸、クエン酸、蓚酸などの酸、各種
の界面活性剤など、通常、膜の洗浄に用いられる各種の
薬剤が使用可能である。特にANAMMOX菌は酸素の
存在に対して弱いため、膜に付着して膜汚染原因となっ
たANAMMOX菌を効率良く剥離するためには、洗浄
薬液が溶存酸素を1mg/L以上含むことが好ましく、
より好ましくは溶存酸素を3mg/L以上含むものが良
い。また、酸素含有気体でバブリングしたり空気逆洗す
ることも効果的である。溶存酸素は他の薬剤と併用する
と最も有効であるが、溶存酸素単独でも膜汚染回復効果
がある。
【0053】本発明は特にANAMMOX菌を効率的に
増殖させる点で優れており、この装置で増殖させたAN
AMMOX菌を含む汚泥を他の装置で利用することで、
他の装置の立ち上げ時間を短縮したり、また他の装置で
一時的に処理能力を増殖させる場合や、トラブルなどで
劣化した処理能力を回復させることに役立てることもで
きる。
【0054】この目的に対しては、ANAMMOX菌を
含む汚泥を保管する装置を備えることが好ましい。この
保管装置としては、無酸素環境を保つ密閉構造であり、
好ましくは撹拌機やガス撹拌などの撹拌手段を持ち、ま
た保管中のpH変動を調整するためのpH調製手段を備
えることがより好ましい。更に、保管中にANAMMO
X菌の活性を保つためにアンモニア性窒素、亜硝酸性窒
素を補給する手段を備えることも有効である。また、こ
の汚泥を搬出する際には濃縮して濃度を高めることがよ
り好ましいため、濃縮手段を備えることがより有効であ
る。濃縮手段としては、汚泥を沈降させた後の上澄み液
を排出する手段や、下方に濃縮された汚泥を排出する手
段、汚泥を浮上濃縮するための微細気泡を発生させる手
段、膜分離や遠心分離等の機械的濃縮手段が挙げられる
が、本発明の脱窒装置の構成要素としての膜分離手段を
利用できる構造としても良い。必要に応じて水温を調節
することも好ましく、適切な水温は5〜40℃、より好
ましくは10〜25℃である。
【0055】また、汚泥を保管する容器として本発明の
脱窒装置の構成要素としての脱窒槽で兼用させることも
でき、この場合には本発明の脱窒方法の膜分離手段に、
汚泥濃度上昇に対する余裕率を10〜200%、より好
ましくは20〜100%持たせることが好ましい。膜分
離手段に余裕率を取る方法としては、膜面積を増加させ
る方法、膜面の循環流速や気泡流を速める方法、予備の
膜分離装置を稼働させる方法、予備の脱窒槽を利用する
方法などが挙げられる。
【0056】このような手段は汚泥を搬出する必要があ
る時に用いる臨時手段としても良い。
【0057】本発明の装置には、脱窒槽内に高濃度の亜
硝酸性窒素などの阻害物質が蓄積した場合には、これを
速やかに洗い流せるように、好ましくは滞留時間0.5
〜12時間、更に好ましくは1〜6時間で溶存酸素を除
去した水を供給できる手段を設けることが好ましい。こ
の水には亜硝酸性窒素濃度200mg/L以下、好まし
くは50mg/L以下のものを用いる必要がある。溶存
酸素の除去手段としては、脱酸素剤の投入や、嫌気性ガ
スによるバブリングなどを用いることができ、ANAM
MOX脱窒槽内に連通した気密式の水槽でこれらの手段
を使用することができる。この気密式水槽の大きさは上
述の水量に対して滞留時間が好ましくは1〜60分間、
更に好ましくは5〜30分間あれば良いが、他の目的の
ために設置された水槽を流用したためにこの範囲を超え
て滞留時間が長いことは特に本発明の実施を妨げるもの
ではない。またこの脱酸素手段は原水の脱酸素手段と共
用することもできる。
【0058】本発明の脱窒方法では、膜分離手段に供給
される脱窒処理液のアンモニア性窒素濃度及び亜硝酸性
窒素濃度のいずれか一方又は双方を0〜5mg/L、特
に好ましくは0〜2mg/Lとして膜分離を行う。
【0059】なお、ANAMMOX菌による脱窒処理で
は、硝酸性窒素が生成するため、通常の場合、本発明に
係る生物脱窒装置の後段には硝酸性窒素を除去するため
の脱窒装置が設けられ、膜分離装置からの処理水は更に
脱窒処理される。この脱窒処理においては、亜硝酸性窒
素も同時に除去される。従って、処理水中に亜硝酸性窒
素が残留しても後段の脱窒装置で除去できるが、アンモ
ニア性窒素が残留した場合には、更に残留するアンモニ
ア性窒素を除去するための硝化脱窒装置を設ける必要が
生じることから、本発明では、亜硝酸性窒素よりもアン
モニア性窒素を低濃度に維持することが後段での処理水
質の向上や装置構成の簡略化の面で好ましい。従って、
一般的には、膜分離する脱窒処理液のアンモニア性窒素
濃度が0〜5mg/L、好ましくは0〜2mg/Lとな
るように処理を行うのが好ましい。
【0060】このような本発明の方法を効果的に実施す
るためには、膜分離装置への供給水中のアンモニア性窒
素濃度及び/又は亜硝酸性窒素濃度を監視し、アンモニ
ア性窒素濃度を低く保つ場合において、該供給水のアン
モニア性窒素濃度が高いようであれば、この脱窒装置に
流入するアンモニア性窒素負荷を下げるか亜硝酸性窒素
負荷を上げる操作を行い、亜硝酸性窒素濃度を低く保つ
場合において、該供給水の亜硝酸性窒素濃度が高いよう
であれば、この脱窒装置に流入する亜硝酸性窒素負荷を
下げるかアンモニア性窒素負荷を上げる操作を行えば良
い。
【0061】なお、膜分離装置への供給水中のアンモニ
ア性窒素濃度及び亜硝酸性窒素濃度のいずれか一方が十
分に低い場合でも他方の残留濃度が大きく、全窒素濃度
が高い場合には、不足している側の窒素負荷を上げる
か、過剰となっている側の窒素負荷を下げることにより
全窒素濃度を下げることが望ましい。
【0062】このような濃度の監視は、脱窒装置の膜分
離装置が脱窒槽内に浸漬された浸漬型膜分離装置である
場合には、膜分離装置を浸漬した脱窒槽内液の濃度を監
視すれば良い。また、脱窒槽の脱窒処理液を脱窒槽外の
膜分離装置で膜分離する場合には、例えば脱窒槽から膜
分離装置への脱窒処理液の移送配管や、脱窒槽内におい
て濃度を監視すれば良い。膜面に供給される汚泥中のア
ンモニア性窒素濃度や亜硝酸性窒素濃度は、膜透過水の
それとほぼ同等と見なすことができるから、膜透過水の
濃度を監視することで代用しても良い。
【0063】このような負荷調整は、脱窒槽におけるA
NAMMOX反応速度や流入する原水のアンモニア性窒
素と亜硝酸性窒素との比率が既知であるか、容易に推測
できる場合には、このような濃度測定を行わずに机上計
算のみで対応することもできる。
【0064】また、上記の濃度の監視は一定時間毎に手
動又は自動の水質分析、好ましくは自動の水質分析によ
り行われる。このための測定手段としては、特に制限は
なく、フローインジェクション法による測定手段、イオ
ン電極による測定手段、紫外線分析計による測定手段、
水質試験紙などの簡易分析手段、その他従来公知の測定
手段をいずれも用いることができる。
【0065】原水の水質や脱窒槽の運転条件が安定して
いる場合には、一旦アンモニア性窒素濃度及び/又は亜
硝酸性窒素濃度を調整した後は、通常一定期間は同様の
状態を維持できるため、負荷調整は必ずしも毎日行う必
要はなく、半年程度調整が不要な場合もある。
【0066】本発明の脱窒方法において、膜分離供給水
のアンモニア性窒素濃度及び/又は亜硝酸性窒素濃度を
安定して保つには、脱窒槽を2槽以上直列に配置するの
が特に好ましく、この場合、最低1槽には膜分離装置へ
の給泥槽又は膜浸漬槽よりも高い汚泥負荷をかけると良
い。この場合には、この高負荷とする脱窒槽における処
理水質から、現在のANAMMOX菌の持つANAMM
OX反応速度を算出することができ、この値から膜分離
装置への給泥槽又は膜浸漬槽における処理水質を予測す
ることができ、好ましい。特に、膜分離装置への給泥槽
又は膜浸漬槽における汚泥負荷よりも高い汚泥負荷をか
けている脱窒槽において、脱窒処理液のアンモニア性窒
素濃度及び亜硝酸性窒素濃度のいずれかが3mg/L以
下となっていれば、膜分離装置への給泥槽又は膜浸漬槽
におけるこれらの窒素濃度も3mg/L以下になってい
ることが期待できる。ただし、他の栄養塩や炭酸根、p
H、温度等の条件はこれらの脱窒槽間で一定であるか、
膜分離装置への給泥槽又は膜浸漬槽の環境がよりANA
MMOX反応に適した環境である方が良い。
【0067】また、本発明の脱窒方法における窒素濃度
を維持した上で、窒素の除去能力を高く保つために、系
外へ排出する汚泥量を少なく保つことが重要であり、系
内の汚泥保持量から1日当たりの汚泥排出量を割った値
である汚泥滞留時間(SRT)が16日以上、好ましく
は20日以上、特に好ましくは30〜300日とするこ
とが望ましい。例えば、SRTが18日では1割程度の
負荷変動により容易に本発明の窒素の濃度範囲を超える
おそれがあり、綿密な濃度監視と負荷調整が必要であ
る。これに対して、SRTを例えば30日とした場合に
は、4割程度の負荷変動を許容することができ、SRT
を100日とすれば2倍程度の負荷変動を許容すること
ができる。
【0068】本発明では脱窒槽内の汚泥濃度は、懸濁物
質濃度(SS)として1〜40kg/m、特に3〜2
0kg/mが好適である。特に、汚泥濃度を3〜10
kg−SS/mとして運転すれば、膜の汚染をさらに
軽減することができ、膜の薬品洗浄頻度が少なくなり、
膜の寿命が長くなり、膜交換コストが安くなる上に、膜
のフラックスを高く設定することができるために、必要
な膜面積が少なくなり、膜コストを安価にすることがで
きる。
【0069】なお、脱窒槽への懸濁物質の流入量が多い
場合は、ANAMMOX菌以外の懸濁物質が増加し、S
S当たりのANAMMOX反応速度が低下するため、そ
の分SS濃度を高く保つ必要がある。この問題を回避す
るためには脱窒槽の上流側で固液分離を行ってSSを除
去したり、BOD除去を行って脱窒槽内で増殖する従属
栄養細菌量を減少させたりする方法が効果的である。た
だし、これらの前処理装置を設置するためのスペースが
なかったり、技術的・経済的理由によりこれらの前処理
が困難である場合などには、SS濃度上昇による膜分離
能力の低下を、膜分離装置の能力を通常よりも増大させ
ることで補うことができる。
【0070】また、ANAMMOX菌の搬出に備えて菌
体量を多く保持しておきたい場合にも、脱窒槽内のSS
濃度を高く保持しておくことが望ましい。SS濃度が高
くなったことにより膜分離能力が不足する場合には、予
備の膜分離装置を稼働したり仮設の膜分離装置を設置す
ることが好ましい。また、流入排水のうち比較的濃度の
低いものの流入を停止し、高濃度の排水を選択して通水
することも効果的である。また、汚泥中のANAMMO
X菌の割合を特に高めるために、比較的濃度の高いアン
モニア性窒素と亜硝酸性窒素を含む溶液を添加して、脱
窒槽内のANAMMOX菌濃度を高めることも効果的で
ある。
【0071】本発明の脱窒槽では、ANAMMOX菌以
外の硝酸性窒素の脱窒能力を持つ脱窒細菌を共存させる
こともでき、この場合、残留する硝酸性窒素濃度を低下
させることができ、窒素除去率が向上する。このため、
後段の脱窒の処理プロセスを小型化したり、省略したり
することができる。この脱窒反応を行わせるために添加
する電子供与体の量は、有機物の場合には原水から流入
する硝酸性窒素と系内で生成する硝酸性窒素の和に対し
てCODCrとして0.5〜3倍量、より好ましくは
1.5〜2.5倍量を加えるのがよく、硫化物の場合に
は同様に硝酸性窒素の和に対して0.5〜1.7倍、硫
黄の場合には0.8〜2.2倍が好適である。このよう
に外部から電子供与体を添加すると槽内ではANAMM
OX菌以外の菌体が増加し、汚泥濃度が増加するか、ま
たは汚泥濃度が増加しないように汚泥を引き抜いた場合
にはANAMMOX菌の濃度が低くなりANAMMOX
反応速度が低下する。
【0072】ただし、汚泥の分離に膜分離手段を用いて
いるため、汚泥濃度が増加しても膜面積を増やしたり、
膜面流速を高めたり、膜面のガススクラビング量を増や
したり、膜フラックスを下げたり、逆洗頻度を上げた
り、薬品洗浄頻度を増加することにより、これにより膜
分離装置に係わるコストは増大するものの、汚泥濃度の
増加に対応することが可能であり、場合によっては後処
理として別途脱窒槽を設けるよりも有利である場合があ
る。
【0073】これらの脱窒菌はANAMMOX菌の基質
である亜硝酸性窒素も脱窒することがあるため、ANA
MMOX反応が終了後に電子供与体を添加して脱窒させ
るのが良い。このためには、亜硝酸性窒素を主に与える
期間と硝酸性窒素を脱窒するために与える電子供与体を
主に与える期間を時間的に区分するか、または別々の脱
窒槽に添加するのが良い。
【0074】この場合、膜分離装置への給泥槽又は膜浸
漬槽における硝酸性窒素濃度は1〜10,000mg/
Lであることが好ましく、更に好ましくは5〜2,00
0mg/Lであることが好ましい。硝酸性窒素濃度がこ
の範囲よりも低い場合には、膜汚染が激しくなり、処理
水のCOD濃度悪化、悪臭発生が生ずる。これは、従属
栄養細菌と液中の有機物が腐敗を開始して、硫化物イオ
ンや有機酸を生ずることにより、これらの腐敗産物によ
りANAMMOX菌の一部が死滅し、更に腐敗を進行さ
せ、この腐敗産物が膜の目詰まりを引き起こしたり、処
理水の悪化を引き起こすためであると推定される。硝酸
性窒素濃度を増加させるためには、流入する電子供与体
を減らすか、流入する脱窒菌の量を減らすか、槽内の脱
窒菌を排出して濃度を低減するか、ANAMMOX菌に
対して負荷を増加して生成する硝酸性窒素の量を増加さ
せるか、硝酸性窒素を含む液を流入させる等の手段を取
ることができる。最も望ましい手段は流入する電子供与
体の量を減らすことであり、脱窒のために電子供与体を
添加している場合は添加している有機物量を減らせばよ
く、排水中に有機物等の電子供与体が含まれている場合
には生物処理装置、濾過装置、凝集分離装置、活性炭吸
着塔等を利用して有機物を減らすのが望ましい。硝酸性
窒素濃度を増加させるために、次に好ましい手段は、流
入する脱窒菌量を減らすことであり、このためには生物
処理装置や濾過装置や凝集分離装置などのSS除去能力
を有する装置を利用することができる。
【0075】なお、本発明の脱窒装置はANAMMOX
菌を増殖させることに特に優れているため、排水中の窒
素除去装置として機能させつつ、他の装置のANAMM
OX活性を持つ汚泥を供給する供給源としても有用であ
る。他の装置のANAMMOX汚泥を供給するために特
に汚泥量を増加させたい場合は、一時的に膜汚染が促進
されることを犠牲にして、膜分離に供する脱窒処理液の
亜硝酸性窒素とアンモニア性窒素のいずれも5〜3,0
00mg/L、特に好ましくは10〜1,000mg/
Lとすることで、ANAMMOX菌の増殖を促進するこ
ともできる。但し、高濃度の亜硝酸性窒素はANAMM
OX菌に対して阻害作用を持つため、亜硝酸性窒素濃度
の上限は好ましくは200mg/L以下、更に好ましく
は50mg/L以下とする。
【0076】本発明において、処理対象となる原水は、
アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含む水であり、有
機物及び有機性窒素を含むものであっても良いが、これ
らは脱窒処理前に予めアンモニア性窒素になる程度まで
分解しておくことが好ましく、また、溶存酸素濃度が高
い場合には、必要に応じて溶存酸素を除去しておくこと
が好ましい。また、原水はアンモニア性窒素を含む液と
亜硝酸性窒素を含む液を混合したものであっても良い。
例えば、アンモニア性窒素を含む排水を硝化細菌の存在
下に好気性処理を行い、アンモニア性窒素の一部、好ま
しくはその50〜70%を亜硝酸に部分酸化したものを
原水とすることができる。更には、アンモニア性窒素を
含む排水の一部を硝化細菌の存在下に好気性処理を行
い、アンモニア性窒素を亜硝酸に酸化し、アンモニア性
窒素を含む排水の残部と混合したものを原水としても良
い。
【0077】一般的には、下水、し尿、汚泥消化脱離
液、その他工場排水、埋立浸出水等のアンモニア性窒
素、有機性窒素及び有機物を含む排水が処理対象となる
場合が多いが、この場合、これらを好気性又は嫌気性処
理して有機物を分解し、有機性窒素をアンモニア性窒素
に分解し、さらに部分亜硝酸化或いは、一部についての
亜硝酸化を行った液を原水とすることが好ましい。
【0078】以下に図面を参照して本発明の脱窒装置の
具体的な構成を説明する。
【0079】図1〜3は本発明の脱窒装置の実施の形態
を示す系統図である。
【0080】図1の脱窒装置は、脱窒槽1と膜分離装置
3とで主に構成される。原水は、流量計21F及び流量
調整弁21Vを備える原水流入管21より脱窒槽1に導
入される。脱窒槽1には撹拌機1Mが設けられ、また、
槽下部の壁面には下方からの脱窒ガスの巻き込みを防止
するバッフル板1Bが設けられている。そして、このバ
ッフル板1Bに囲われた部分から、給泥ポンプPによ
り、脱窒処理液が取り出され、給泥管22を経て膜分離
装置3に供給される。この給泥ポンプPとしては、ス
ネークポンプや渦巻きポンプなど、汚泥の移送に適した
ポンプが用いられるが、汚泥に対する機械的衝撃の少な
さからスネークポンプが好適である。給泥ポンプP
は変速機が装備されるか、吐出側に流量調整弁が設けら
れ、吐出能力を調整できるようになっている。給泥管2
2には流量計22Fと圧力計22Pが設けられている。
【0081】脱窒槽1にはレベルスイッチ1Lが設けら
れ、水位が低いときには原水や希釈水の投入量を多くし
たり、膜濾過される流量が少なくなるような操作、例え
ば透過液の流量をバルブで絞ったり、給泥する流量及び
/又は圧力を低下させて透過液量を少なくしたりし、逆
に水位が高いときには原水や希釈水の投入量を少なくし
たり、膜濾過される流量が多くなるような操作、例えば
透過液側のバルブの開度を大きくしたり、給泥する流量
及び/又は圧力を増加させて透過液量を多くしたりする
ように構成されている。原水の供給や膜分離装置3の運
転を間欠的に行うことで水位調整しても良い。また、水
位と連動して間欠運転の間隔を変えても良い。
【0082】脱窒槽1は、空気の混入を避けるために気
密構造とされ、脱窒反応で生成した脱窒ガスは脱窒ガス
排出管25より系外へ排出される。この脱窒ガス排出管
25には逆止弁25Vや水封等の逆流防止手段が設けら
れている。脱窒槽1を完全に気密に保つことは困難であ
る場合があるため、脱窒槽内の圧力は大気圧よりも高
め、例えば1〜10kPaに保つことにより、空気の混
入を防止しても良い。脱窒槽1にはpH調整手段と、必
要に応じて温度調整手段が設けられる。
【0083】膜分離装置3の透過液は処理水流出管23
より系外へ排出される。この処理水流出管23には流量
調整弁23Vと流量計23Fが設けられている。また、
処理水流出管23に分岐して開閉弁26Vを有するサン
プリング管26が設けられており、必要に応じて、サン
プリング水が水質管理のためのアンモニア性窒素濃度及
び亜硝酸性窒素濃度測定装置に送給され、濃度測定が行
われる。この濃度測定手段としては、脱窒処理液の濃度
監視のための手段として前述したものを用いることがで
きる。膜分離装置3の透過液はSSを含まないことか
ら、この測定に当たり、予めSSの除去操作を行う必要
はなく、容易かつ簡便に分析を行える。
【0084】膜分離装置の濃縮液(濃縮汚泥)は、濃縮
汚泥返送管24により脱窒槽1に返送される。この濃縮
汚泥返送管24には流量調整弁24V、圧力計24P、
流量計24Fが設けられている。
【0085】この濃縮液は、脱窒槽1の水面付近に横向
き、斜め下向き又は下向きに吐き出される。これにより
脱窒槽1の水面付近の撹拌状態が良くなり、スカムの浮
上が防止される。
【0086】図2の脱窒装置は、膜分離装置が2機設け
られ、また、ANAMMOX汚泥を貯留するための汚泥
貯留槽4が設けられたものである。図2において、図1
に示す部材と同一機能を奏する部材には同一符号を付
し、その説明を省略する。
【0087】第2の膜分離装置としての膜分離装置5に
は、給泥管22から分岐する第2の給泥管32を経て第
2の給泥ポンプPにより脱窒槽1の脱窒処理液が導入
され、第2の処理水流出管33から膜分離装置3の透過
液を取り出すと共に濃縮液を第2の濃縮汚泥返送管34
を経て脱窒槽1に返送することができるように構成され
ている。22V,32Vは開閉弁であり、33V,34
Vは流量調整弁である。32F,33F,34Fは流量
計、32P,34Pは圧力計である。
【0088】この脱窒装置では、膜分離装置3と第2の
膜分離装置5とのいずれか一方を運転し、例えば、一方
の膜分離装置の薬品洗浄時や膜交換時に他方の膜分離装
置を運転するようにすることもでき、また、両方を運転
して、脱窒槽1の脱窒処理液を2機の膜分離装置3,5
で膜分離処理することもできる。
【0089】汚泥貯留槽4は脱窒槽1と同様に撹拌機4
Mとバッフル板4Bを備え、また、気密構造とされてお
り、脱窒槽1から配管31よりANAMMOX菌を含む
汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を適宜撹拌しながら貯
留するように構成されている。Pは汚泥引き抜きポン
プ、31Fは流量計、31Vは流量調整弁である。汚泥
貯留槽4のバッフル板4Bに囲われた部分には、開閉弁
35Vを有する汚泥引き抜き管35が設けられ、この汚
泥引き抜き管35は第2の膜分離装置5への給泥配管に
連結されている。また、第2の膜分離装置5の濃縮汚泥
返送管34から分岐する配管36が設けられている。3
6Vは流量調整弁である。37はガス抜き配管であり、
逆止弁37Vを備えている。汚泥貯留槽4には必要に応
じてpH調整手段、温度調整手段を設けることができ
る。
【0090】汚泥貯留槽4に貯留されている汚泥は、更
に多量の汚泥を貯留する目的で、或いは多量の汚泥を運
搬する目的で、或いは汚泥を廃棄する際の処分業者の引
き取り費用を低減するなどの目的で、濃縮を行うことが
できる。
【0091】汚泥の濃縮を行う場合には、汚泥貯留槽4
内の撹拌を停止して汚泥を自然沈降させた後に上部の上
澄み液を排出するか、下部に沈降した濃縮汚泥を取り出
す。また、汚泥の濃縮を第2の膜分離装置5を用いて行
うこともでき、この場合には、配管35,32を経て汚
泥貯留槽4内の汚泥を第2の膜分離装置5に送給して膜
分離処理し、透過液を配管33より系外へ排出すると共
に濃縮汚泥を配管34,36を経て汚泥貯留槽4に返送
して槽内の汚泥を濃縮すれば良い。
【0092】汚泥貯留槽4にはレベルスイッチ4Lが設
けられているが、このような汚泥の濃縮を行うために、
レベルスイッチ4Lに例えば2点以上の水位制御点を設
けることが好ましい。この場合には、自動制御にて、上
方の水位制御点に達したときに濃縮操作を開始し、下方
の水位制御点に達したときに濃縮操作を停止することが
できる。
【0093】図3の脱窒装置は、膜分離装置として浸漬
型膜分離装置を用いたものである。この膜浸漬脱窒槽6
内は、バッフル板6Bで仕切られ、バッフル板6Bで仕
切られた領域内に平膜型又は外圧型中空糸膜等の浸漬膜
7が設けられ、この下方に散気管8が設けられている。
6Lはレベルスイッチである。
【0094】膜浸漬脱窒槽6は空気が混入しないように
気密構造とされており、脱窒反応で発生した脱窒ガスは
配管42を経て排出される。この配管42には、配管4
3が分岐しており、脱窒ガスの一部がガス吹き込みブロ
ワ43Bにより散気管8に送給されて、浸漬膜7の下方
から散気されるように構成されている。42V,42
は開閉弁、43Vはガス流量調整弁、43Fは吹き
込みガス流量計である。
【0095】原水は、原水ポンプPにより配管41を
経て膜浸漬脱窒槽6に導入されて脱窒処理される。膜浸
漬脱窒槽6内の脱窒処理液は浸漬膜7で膜分離処理さ
れ、透過液は処理水ポンプPにより配管44を経て処
理水として取り出される。44Pは圧力計、44Vは流
量調整弁、44Fは流量計である。
【0096】膜浸漬脱窒槽6内で濃縮された汚泥は、必
要に応じて汚泥引き抜きポンプPにより、配管45か
ら系外へ引き抜かれる。
【0097】この脱窒装置は、散気管8からの散気によ
るガス流で浸漬膜7の膜面への汚泥の蓄積が防止され
る。また、浸漬膜7の透過液側を処理水ポンプPで吸
引することで処理水が取り出されるが、この際、膜浸漬
脱窒槽6内に旋回流が発生するため、水面付近のスカム
様汚泥は、この旋回流に巻き込まれ、槽内に均一に分散
し、効率良くANAMMOX反応に寄与するようにな
る。また、このように処理水の取り出しで生じる旋回流
で槽内が効果的に撹拌されるために、他の撹拌手段を必
要としない場合も多い。
【0098】
【実施例】以下に比較例及び実施例を挙げて、本発明を
より具体的に説明する。
【0099】比較例1 内径0.3mの円筒形USB反応槽に約20Lのメタン
細菌を主体とするグラニュールを充填すると共に、別途
フィル&ドロー方式で培養したANAMMOX菌約5g
を投入した。この反応槽に原水として、アンモニア性窒
素200mg/L、亜硝酸性窒素280mg/L、重炭
酸ナトリウム300mg/L及び微量のカルシウムイオ
ン、マグネシウムイオンその他の微量元素を含有する合
成排水を予め窒素ガスで脱酸素した水を通水した。この
原水からは無酸素環境下でANAMMOX菌がVSSと
して約22mg/L生成し、他の菌体は殆ど無視できる
程度しか生成しない。
【0100】このUSB反応槽の下部から原水を通水し
てANAMMOX菌を増殖させ、窒素除去を行った。反
応槽は30℃の恒温室内に設置した。USB反応槽上部
にはガスの分離とグラニュールの沈降分離を目的とした
分離器であるGSS(気固液分離器;Gas Solid Separa
tor)を取り付け、GSSの沈殿部から処理水を循環
し、原水と合流させてUSB反応槽内部の上昇流速が1
m/hr(1.7m/day)となるように通水し
た。原水の導入量は当初5L/dayから開始し、その
後は常時アンモニア性窒素が5mg/L以上残留するよ
うに原水の導入量を増加した。なお、原水と循環水は合
流後にpH調整槽でpHを7.5に調整して反応槽下部
へ導いた。また、反応槽上部は密閉し、脱窒ガスは外部
へ排出し、空気が逆流しないように水封した。
【0101】この結果、アンモニア性窒素の容積負荷
1.5kg/m/day(原水150L/day)ま
では処理水に流出するVSS濃度は2〜8mg/Lであ
った。また、容積負荷3kg/m/day付近となっ
たときには流出するVSSは14〜17mg/Lとなっ
た。
【0102】即ち、生成する菌体量に対する流出する菌
体量の割合は、比較的負荷が低い立ち上げ初期で1〜4
割、負荷が高くなると8割程度に達することが明らかと
なった。
【0103】比較例2 図6に示すような脱窒槽容積1L、沈殿槽容積0.5
L、沈殿槽面積50cm の装置を用い、別途フィル&
ドロー方式で培養したANAMMOX菌を主体とする汚
泥をVSS1000mg/Lとなるように脱窒槽に投入
し、アンモニア性窒素濃度100mg/L、亜硝酸性窒
素濃度140mg/L、重炭酸ナトリウム200mg/
L及び微量のカルシウムイオン、マグネシウムイオンそ
の他の微量元素を含有する合成排水を予め窒素ガスで脱
酸素した水を原水として通水した。この原水からは無酸
素環境下でANAMMOX菌がVSSとして約11mg
/L生成し、他の菌体は殆ど無視できる程度しか生成し
ない。
【0104】脱窒槽と沈殿槽はそれぞれ密閉し、上部の
気相を連通し、脱窒ガスは外部へ導いて、空気が逆流し
ないように水封した。
【0105】脱窒槽内はpH計を設置し、pHの上昇と
共に炭酸ガスを導入することによりpH7.5にpH調
整した。
【0106】原水は2L/dayの流量で通水し、返送
汚泥量も2L/dayとして運転した。
【0107】その後、脱窒槽内の汚泥濃度の上昇と共に
徐々に通水量を増加したところ、約3ヶ月後には汚泥濃
度2000mg−VSS/Lまで増加し、原水通水量も
4L/dayまで増加した。
【0108】この結果、アンモニア性窒素容積負荷0.
4kg−N/m/day、亜硝酸性窒素0.52kg
−N/m/dayまで除去されることが確認できた。
一方、硝酸性窒素は0.1kg−N/m/dayで増
加したため、窒素の除去速度としては0.82kg−N
/m/dayとなった。
【0109】この間の処理水のVSS濃度は2〜5mg
/Lであり、流出する菌体量は生成する菌体量の2〜5
割になることが明らかとなった。
【0110】このときの沈殿槽における水面積負荷は、
実装置で用いられるような1〜30m/dayよりも十
分低かったために、ANAMMOX菌の流出は沈殿槽の
問題ではなく、浮遊増殖するANAMMOX菌に特有の
性質であることが確認された。
【0111】実施例1 図4に示す脱窒装置を用いて脱窒処理を行った。ただ
し、脱窒槽1にバッフル板1Bは設けず、また、脱窒槽
1から脱窒処理液を取り出して膜分離装置3に送給する
給泥管22の取り付け位置は、脱窒槽1の高さ方向の中
間位置とした。また、膜分離装置3の濃縮液を返送する
濃縮汚泥返送管24は、脱窒槽1内の槽内液中に、濃縮
液の吹き出し方向を下方に向けて設けた。脱窒槽1の外
側はウォータージャケットで覆い、30〜35℃の温水
を循環することで脱窒槽内の液温を30〜35℃に保っ
た。
【0112】この脱窒装置は、脱窒槽1と膜分離装置3
とで主に構成される点において、図1に示した脱窒装置
と同様の構成とされており、同一機能を奏する部材に同
一符号を付してその説明を省略する。
【0113】図4の脱窒装置では膜分離装置3の透過液
を透過液ポンプPで処理水流出管23より取り出す
が、この処理水流出管23に分岐して処理水返送管27
が設けられており、必要に応じて処理水が脱窒槽1に返
送されるように構成されている。23S,27Sは電磁
弁である。即ち、この脱窒装置では、膜分離装置3の膜
フラックスを一定に保つために透過液流量を比較的定量
性のあるチューブポンプPで制御する。また、原水投
入量及び膜フラックスを一定としながら、脱窒槽1内の
液面を一定に保つために、脱窒槽1の水位が低いときは
レベルスイッチ1Lで検知し、処理水返送電磁弁27S
を用いて透過液を自動的に脱窒槽1内へ返送する。脱窒
槽1の水位が上昇すると、処理水は処理水排出電磁弁2
3Sより排出される。
【0114】脱窒槽1の容積は5Lであり、膜分離装置
3は平膜型膜分離装置であり、使用した平膜は公称孔径
0.4μmの塩素化ポリエチレン製のMF膜である。
【0115】脱窒槽1の槽内液は変速機付きのスネーク
ポンプPにより膜分離装置3に供給され膜分離処理さ
れる。膜分離装置3では、一次側の出口をボールバルブ
24Vで絞ることにより、膜の一次側(原水側)の平均
圧力を100〜150MPaとし、膜の二次側(透過液
側)をチューブポンプPで定量的に吸引することによ
り処理水を得た。
【0116】脱窒槽1は撹拌機1Mで撹拌し、脱窒槽1
内部のpHをpH計(図示せず)で測定し、pHの上昇
と共に炭酸ガスを導入してpH調整を行い、pH7.5
に調整した。脱窒槽1は密閉し、脱窒ガスは外部へ導い
て、空気が逆流しないように水封した。
【0117】次に、図5を参照して本実施例で用いた膜
分離装置の平膜セルの構造を説明する。図5(a)はこ
の平膜セル50の平面図であり、図5(b)は図5
(a)のB−B線に沿う断面の拡大図である。
【0118】ボルト50B及びナット50Nによって連
結された上側ハウジング51と下側ハウジング52とに
よって外殻が構成されている。この平膜セル50の内部
には多孔質金属焼結板56が水平に配置され、該多孔質
金属焼結板56の上面に平膜53が配置されている。こ
の平膜53の上側が被処理液流路54となっており、多
孔質金属焼結板56の下側が透過液集水路55となって
いる。被処理液は、平膜セル50の長手方向の一端側の
入口57から被処理液流路54に導入され、他端側の濃
縮液出口58から濃縮水として流出する。被処理液が、
平膜53に沿って濃縮液出口58側へ流れる間に、平膜
53で膜分離処理され、透過液は多孔質金属焼結板56
の透過液流路から透過液集水路55及び透過液出口59
を経て取り出される。濃縮液は濃縮液出口58から取り
出される。
【0119】膜分離装置3の有効膜面は流路幅40mm
×流路長860mm、膜面積3.44×10−2
した。一次側の流路高さは4mmであり、流路断面積は
1.6×10−4である。この膜分離装置3では、
脱窒槽1からの脱窒処理液通水量を5〜19L/min
とすることで、膜面流速0.5〜2m/secを確保す
ることができ、また、透過液の流量を10〜69L/d
ayとすることで、膜フラックス0.3〜2m/m
/dayとすることができる。前述の如く、透過液は脱
窒槽1内の水位をレベルスイッチ1Lで検知し、水位が
所定より低い時は脱窒槽1へ返送して槽内の水量低下を
防ぎ、水位が所定量より高い時は系外へ排出して処理水
とした。膜分離装置は同様のものを最大2系列、並列に
用いた。
【0120】原水としては、比較例1で用いたものと同
一組成の合成排水を予め窒素ガスで脱酸素したものを脱
窒槽1に導入した。
【0121】脱窒装置の運転開始時には別途培養したA
NAMMOX菌を含む汚泥をVSS400mg/Lとな
るよう脱窒槽1に投入し、原水流量を4L/dayとし
て通水を開始した。膜面流速は1m/sec、膜フラッ
クスは1m/m/dayとし、処理水のアンモニア
性窒素が20mg/L以下となるのを待って通水量を増
加した。
【0122】この結果、1ヶ月後には脱窒槽1内の汚泥
はVSS2,500mg/Lに達し、原水通水量は30
L/day、アンモニア性窒素の容積負荷は1.2kg
/m /dayに達した。処理水のVSSは1mg/L
以下であり、増殖したANAMMOX菌の95%以上が
脱窒槽1内に留まっていることが確認された。この期
間、膜分離装置3に流入する脱窒処理液のアンモニア性
窒素濃度は10mg/L以上で推移し、亜硝酸性窒素濃
度は20mg/L以上で推移した。なお、処理水のアン
モニア性窒素濃度は12〜30mg/L、亜硝酸性窒素
濃度は25〜55mg/Lで、硝酸性窒素濃度は40〜
50mg/Lであった。
【0123】一方、濾過差圧は当初10kPa以下で推
移したが、約1週間経過後から急速に濾過差圧が上昇
し、1ヶ月後には100kPaとなった。この値はVS
S10,000〜15,000mg/Lの活性汚泥を膜
濾過する場合よりも2〜3倍程度高い膜汚染速度であ
り、特にANAMMOX菌がより高濃度になれば更に汚
染速度が増加する。このようなクロスフロー濾過方式を
適用する場合、濾過差圧の上限は100〜150kPa
程度が普通であり、この値に達するまでに薬品洗浄など
を行って膜汚染を回復する必要がある。また、濾過差圧
が100kPaを超えてからは処理水排出管23内に気
泡が観察されるようになり、このために排出される処理
水量の定量性を保つことが困難になり、頻繁にチューブ
ポンプPの流量を調整する必要が生じた。このように
透過液が気液混層流となった場合、透過液ポンプが例え
ば渦巻きポンプであれば、ポンプの吐出能力、吐出揚程
が低下するなどの問題が生ずる場合が多い。
【0124】以上の要素を考慮すると、本実施例1の運
転条件では、実用規模の膜濾過を行う場合に薬品洗浄頻
度が2〜4週間に1回と評価された。
【0125】この膜分離装置3の一次側に、0.2重量
%の水酸化ナトリウム水溶液を溶存酸素濃度1mg/L
以上となるよう維持して循環通液したところ、12時間
の薬品洗浄で9割以上の膜汚染が剥離し、性能を回復す
ることが確認された。一方、活性汚泥で汚染された膜の
場合、この条件での回復率は3〜7割程度である。この
ように効果的にANAMMOX菌による膜汚染が回復で
きた理由は、溶存酸素の存在により膜面に付着したAN
AMMOX菌が効率良く分解され、剥離が促進したため
と思われる。
【0126】実施例2 実施例1の条件から、原水流量を落として25L/da
yとしたこと以外は実施例1と同様にして運転を行った
ところ、膜分離装置3に流入する脱窒処理液のアンモニ
ア性窒素を1mg/Lに落とすことができた。以降は1
週間ごとに3割通水量を増加し、その都度、アンモニア
性窒素濃度を測定したところ、期間を通じてアンモニア
性窒素濃度を3mg/L以下に保つことができた。特
に、通水量を上げる前の数日間は1mg/L以下のアン
モニア性窒素濃度であった。この結果、40日後には槽
内VSS濃度が10,000mg/Lを超え、アンモニ
ア性窒素の容積負荷は3kg/m/dayに達した。
【0127】このとき、濾過差圧の上昇速度は2kPa
/day以下であり、概ね0.2〜1kPa/dayで
あったことから、膜汚染が効果的に抑制されていること
が確認できた。そして、必要な膜洗浄頻度は3ヶ月〜1
年に1回であると評価された。
【0128】一方、このとき、脱窒槽1内の水面近くに
はスカム様の汚染が溜まり始めた。スカムの発生は、脱
窒槽1内の汚泥分布を不均一にし、被処理液と汚泥の接
触効率を低下させて反応効率を低下させたり、脱窒ガス
と共に汚泥が外部へ流出する危険がある。このため、膜
分離装置3から返送される濃縮液流を脱窒槽1の水面付
近に水平に吹き出すように改良し、水面付近の撹拌力を
高めたところ、スカム様汚泥の量が減少した。
【0129】また、発生した脱窒ガスを抱き込んで浮上
するフロックの他に、膜分離装置3からの濃縮液中に微
細な気泡の発生が多くみられた。この現象を解析したと
ころ、膜分離装置3に供給する脱窒槽1内の脱窒処理液
の取り出し口が、脱窒槽1の壁面の中間の高さにあった
ために、容積負荷の増大と共に増加した脱窒ガスが膜分
離装置3への供給液に巻き込まれ、このガスが膜分離装
置3への給泥ポンプP により微細化されると同時に加
圧され、液中に脱窒ガスが再溶解し、この液が脱窒槽1
に返送されて圧力が常圧に戻ったときに、加圧環境下で
溶解した脱窒ガスが微細気泡となることによるものと推
定された。この気泡は、フロックに浮力を与えて水面付
近に浮上させるため、スカムの増加につながる。
【0130】このため、膜分離装置3に供給する脱窒処
理液の取り出し口を脱窒槽1の下部に変更し、図4に示
す如く、バッフル板1Bを設けたところ、脱窒ガスの巻
き込みは軽減され、同時にスカム様汚泥の発生も軽減し
た。
【0131】この結果から、膜分離装置へ供給する脱窒
処理液は、脱窒ガスの発生の少ない部分から採取すると
良く、特に採取口付近には下方から発生した脱窒ガスの
巻き込みを防止するバッフル板などを設けると良いこと
が分かった。また、膜分離装置に供給する脱窒処理液の
供給元となる脱窒槽は容積負荷を低く取り、脱窒ガスの
発生を極力抑制することがより好ましい。
【0132】この脱窒槽の望ましい容積負荷は、反応槽
形状や汚泥濃度、ポンプ形式や管内流速等によるために
一概には言えないが、例えば亜硝酸性窒素と硝酸性窒素
が還元される速度として0〜1.5kg−N/m/d
ay、より好ましくは0.1〜0.8kg−N/m
dayとするのが良い。
【0133】実施例3 実施例2において、VSS濃度が10,000mg/L
に達した後、脱窒槽1内の汚泥濃度が10,000mg
/Lを保つように脱窒槽1から汚泥の引き抜きを行った
こと以外は同様にして運転を行ったところ、平均140
mL/dayの汚泥の引き抜きが必要であった。このと
き、SRTは36日と計算される。この状態で原水濃度
を変動させたところ、約1日間の負荷上昇であれば最大
5割の負荷を許容できることが分かったが、徐々にアン
モニア性窒素濃度が上昇する傾向を見せた。1日間の内
にアンモニア性窒素濃度が3mg/Lを超えない実用的
な負荷変動は4割程度であった。
【0134】また、引き抜いた汚泥を別の密閉式の反応
槽に満たし、緩やかに撹拌し、pHを6.5〜9.0の
範囲に適宜調節し、水温を15〜20℃としながら保管
したところ、1ヶ月間でVSSとして40gの菌体を得
ることができた。更に汚泥を供給しつつ、20時間静置
することにより、60%程度が上澄みとして現れたた
め、これを静かに排出したところ、VSSとして約2
0,000mg/Lの汚泥が得られた。この汚泥のAN
AMMOX活性を調べたところ、アンモニア性窒素の除
去速度として0.2kg−N/kg−VSS/day以
上の値であり、他の装置に供給しても十分実用となる速
度を保持することが確認された。
【0135】ここで蓄積・濃縮した汚泥は、同一組成の
原水67L/dayを処理する反応槽を即座に立ち上げ
ることが可能であった。
【0136】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の脱窒装置及
び脱窒方法によれば、ANAMMOX菌を含む汚泥の分
離に膜分離手段を採用することにより、ANAMMOX
菌をほぼ最大速度で増殖させることができ、また増殖し
たANAMMOX菌の95%以上を系内に留めることが
できるため、立ち上がりが速く、負荷変動に強く、安定
した脱窒処理を行うことが可能となる。また、増殖した
ANAMMOX菌は高濃度で運搬することができ、他の
ANAMMOX反応槽の立ち上げに利用することができ
る。
【0137】特に、本発明の脱窒方法では、ANAMM
OX菌の膜面への付着による膜汚染を効果的に防止する
ことができ、薬品洗浄頻度を減らすことにより薬品洗浄
にかかる手間及びコストと洗浄薬品の廃棄処理を軽減
し、また、膜の寿命を延長して膜の交換コストを低減す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱窒装置の実施の形態を示す系統図で
ある。
【図2】本発明の脱窒装置の別の実施の形態を示す系統
図である。
【図3】本発明の脱窒装置の他の実施の形態を示す系統
図である。
【図4】実施例1〜3で用いた脱窒装置を示す系統図で
ある。
【図5】実施例1〜3で用いた膜分離装置の平膜セルの
構成を示す図であって、図5(a)は平面図、図5
(b)は図5(a)のB−B線に沿う断面の拡大図であ
る。
【図6】固液分離手段として沈殿槽を用いた脱窒装置を
示す系統図である。
【符号の説明】
1 脱窒槽 2 沈殿槽 3 膜分離装置 4 汚泥貯留槽 5 第2の膜分離装置 6 膜浸漬脱窒槽 7 浸漬膜 8 散気管 50 平膜セル 53 平膜
フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 HA93 KA12 KA43 KA72 KB23 KC03 KC14 KC16 KD01 KD11 KD12 KD15 KD16 MA01 MA02 MA03 MC03 MC22 MC23 MC29 MC30 MC54 MC62 PA01 PB08 PC64 4D040 AA24 AA55 AA61 BB91

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンモニア性窒素を含有する原水の流入
    口と処理液の流出口とを有し、アンモニア性窒素を電子
    供与体とし、亜硝酸性窒素を電子受容体とする脱窒微生
    物の作用により亜硝酸性窒素の存在下に生物脱窒する脱
    窒槽と、 該脱窒槽の流出液又は該脱窒槽内の液を膜分離して前記
    脱窒微生物と処理水とに分離する膜分離手段とを備える
    ことを特徴とする脱窒装置。
  2. 【請求項2】 アンモニア性窒素を含有する原水を、ア
    ンモニア性窒素を電子供与体とし、亜硝酸性窒素を電子
    受容体とする脱窒微生物の作用により亜硝酸性窒素の存
    在下に生物脱窒する脱窒工程と、 該脱窒工程の処理液を膜分離して前記脱窒微生物を含む
    汚泥と処理水とに分離する膜分離工程とを有する脱窒方
    法において前記膜分離工程で分離する脱窒工程の処理液
    中のアンモニア性窒素濃度と亜硝酸性窒素濃度の両方又
    はいずれか一方を0〜5mg/Lとすることを特徴とす
    る脱窒方法。
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