JP2003024042A - 食酢、その製造方法、及び該食酢を含有する飲食品 - Google Patents
食酢、その製造方法、及び該食酢を含有する飲食品Info
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Abstract
食酢、その製造方法及び該食酢を含有する飲食品を提供
する。 【解決手段】 酢酸発酵前の食酢醪、酢酸発酵中の発酵
醪、又は酢酸発酵終了後の醪のいずれかに、茶材に酒類
及び酸発酵乳を混和し、熟成して得られる熟成茶材から
得られた水抽出液を添加して、該水抽出液を含有する食
酢を製造する。前記水抽出液は、ブリックス0.15〜
2.4であることが好ましい。また、前記水溶液を最終
製品に対して5〜80容量%となるように添加すること
が好ましい。本発明の食酢は、ドレッシング類、ソース
類、スープ類、惣菜、飲料等の飲食品に好適に用いられ
る。
Description
た食酢、その製造方法及び該食酢を含有する飲食品に関
する。
林規格(JAS)によれば、醸造酢と合成酢に大別され
ている。
含む)もしくは果実(果汁・果実酒等の加工品を含む)
を原料とした醪、又はこれらにアルコールもしくは糖類
を加えたものを酢酸発酵させた液体調味料であり、酢酸
を使用しないもの、(2)アルコール又はこれらに穀類
を糖化させたもの、もしくは果実を加えたものを酢酸発
酵させた液体調味料であり、酢酸を使用しないもの、
(3)上記(1)と(2)とを混合したもの、(4)上
記(1)〜(3)に糖類、酸味料(酢酸を除く)、化学
調味料、食塩等(香辛料を除く)を加えたもの、に分け
られている。
類、酸味料、化学調味料、食塩等を加えたもの、(6)
上記(5)又は酢酸の希釈液に醸造酢を混合したもの、
に分けられる。
持ち向上剤としても様々な飲食品に用いられているが、
食酢特有のツンとする刺激臭や酸味(以下、酢カドとい
う)は強すぎると飲食品の風味を損ねてしまうため、あ
まり好ましいものとはいえなかった。
かさを与えるために、醸造酢においては、1〜3カ月の
熟成期間をおくことが行われている。また、酢カドを低
減させた食酢又は食酢の製造方法として、例えば、特
開平7−203942号公報には、酢酸発酵により作ら
れた食酢もしくは合成酢に、穀物または乳タンパク等の
食品原料を発酵させた物質を1種もしくは2種以上混合
および/または併用することを特徴とする食品用加工
酢、特開平7−51047号公報、特開平7−825
9号公報には、分岐オリゴ糖含有糖類をアルコール発酵
と酢酸発酵することにより得られる高脂血症改善食酢、
特開平6−22741号公報には、食酢醪に、酢酸耐
性を有する酵母および酢酸菌を接種し、好気的培養条件
下で酢酸発酵を行うことを特徴とする食酢の製造方法、
特開平5−137561号公報には、酢酸発酵調製時
の食酢醪もしくは酢酸発酵中の発酵醪に脂肪酸エチルエ
ステルを含有させて酢酸発酵を行うか、もしくは酢酸発
酵終了後、脂肪酸エチルエステルを添加することを特徴
とする食酢の製造法等が開示されている。
間をおく方法では、製造に時間がかかり過ぎて生産性が
低くなるという問題点があった。一方、上記〜に記
載された食酢は、ある程度の酢カドは和らげられている
ものの、充分満足できるレベルのものではなかった。
を和らげるために、食酢を一端火にかけてボイルするこ
とも行われているが、他の好ましいフレーバーもなくな
ってしまい、更に、この方法を工業規模で行うことは困
難であった。
れ、まろやかな風味を有する食酢、その製造方法及び該
食酢を含有する飲食品を提供することにある。
め、本発明の一つは、茶材に酒類及び酸発酵乳を混和
し、熟成して得られる熟成茶材から得られた水抽出液を
含有することを特徴とする食酢である。
液を食酢に含有させることにより、理由はよく分からな
いが、酢カドが低減された、まろやかな風味を有する食
酢を提供できる。
が、ブリックス0.15〜2.4であることが好まし
い。また、前記水抽出液を、最終製品に対して5〜80
容量%添加して得られるものであることが好ましい。
ことを特徴とする飲食品である。また、前記飲食品が、
ドレッシング類、ソース類、スープ類、惣菜、飲料から
選ばれた一つであることが好ましい。
まろやかな風味を有する食酢を含有する飲食品を提供で
きる。
せる食酢の製造方法において、酢酸発酵前の食酢醪、酢
酸発酵中の発酵醪、又は酢酸発酵終了後の醪のいずれか
に、茶材に酒類及び酸発酵乳を混和し、熟成して得られ
る熟成茶材から得られた水抽出液を添加することを特徴
とする、食酢の製造方法である。
酸発酵終了後のいずれかの段階で、上記熟成茶材の水抽
出液を添加することにより、熟成期間をおくことなく、
酢カドが低減された、まろやかな風味を有する食酢を得
ることができる。
水抽出液が、ブリックス0.15〜2.4であることが
好ましい。また、前記水抽出液を、酢酸発酵前の食酢
醪、酢酸発酵中の発酵醪、又は酢酸発酵終了後の醪に、
最終製品に対して5〜80容量%となるように添加する
ことが好ましい。
に制限はなく、日本農林規格(JAS)で記すところ
の、醸造酢(穀物酢、果実酢、米酢、林檎酢、葡萄酢、
アルコール酢等)、合成酢等の使用が可能である。本発
明においては、風味の点から、醸造酢が好ましく用いら
れる。
熟成して得られる熟成茶材から得られた水抽出液とは、
本出願人による特開平11−127783号公報に記載
された飲用茶類と同様のものである。すなわち、緑茶
類、中国茶類、紅茶類、麦茶から選ばれた1種又は2種
以上の茶材に、日本酒、ワイン、ウイスキー、ブランデ
ー、ウォッカ、紹興酒、焼酎等の酒類と、乳酸菌で発酵
した半ゲル状ないし液状の乳製品(例えばヨーグルト、
酸乳飲料、乳酸菌飲料等、具体的には「ヤクルト」(商
品名、株式会社ヤクルト本社製)や「カルピス」(商品
名、カルピス食品工業株式会社製)等が挙げられる)と
を加えて混和し、該飲用茶材を膨潤させ、好ましくは3
0〜70℃で4時間〜7日間熟成させて得られる熟成茶
材を、水、好ましくはお湯で抽出して得られる水抽出液
(以下、単に水抽出液という)である。上記水抽出液
は、具体的には、質量比で上記茶材1に対して、上記酒
類0.3〜2(好ましくは0.5〜1)、上記酸発酵乳
(含水物)0.05〜0.5(好ましくは0.05〜
0.2)の割合で添加し、混和させて、茶材を膨潤さ
せ、密封後、30〜70℃の一定温度下で4時間〜7日
間熟成させて得られた熟成茶材を、水で抽出することに
より得ることができる。本発明において、上記水抽出液
は、ブリックス(Brix)0.15〜2.4の濃度と
なるように調整したものが好ましい。なお、このような
水抽出液として、「発酵茶」(商品名、長崎飲料株式会
社製)を用いることもできる。
糖類、酸味料、化学調味料、食塩、有機酸、香料等を適
宜含むことができる。
れるものではなく、例えば、一般家庭用では1〜6%、
業務用では4〜15%に調整すればよい。
醪、酢酸発酵中の発酵醪、又は酢酸発酵終了後の醪のい
ずれかに、上記水抽出液を添加し、後は常法に従って製
造することができる。
る際に用いられる少なくともアルコールと酢酸菌を含む
原料液をいい、通常の酢酸発酵に用いられるものであれ
ば特に制限なく使用できる。例えば、米、麦芽等を糖化
した後アルコール発酵した液、果汁をアルコール発酵し
た液、変性アルコール等の含アルコール液に、酢酸菌、
あるいは種酢(酢酸菌を含む酢酸発酵液)、さらにはア
ルコール濃度、酸度を調整するための水、その他風味を
調整するための補助原料、もしくは酢酸菌のための栄養
成分を任意に混合したもの等が用いられる。
に所定量の水で熟成茶材を抽出して得られた水抽出液が
好ましく用いられ、最終製品(仕上がり量)に対して5
〜80容量%となるように添加することが好ましい。上
記水抽出液の添加量が上記範囲外であると、充分に酢カ
ドを取ることができなかったり、過度の着色や茶の風味
が強くでるため好ましくない。
えば、静置発酵法、通気撹拌発酵法、連続発酵法、ジェ
ネレーターを用いた流下発酵法等を採用でき、通常、培
養温度25〜40℃(好ましくは30〜35℃)で、1
〜14日間(好ましくは3〜7日間)行えばよい。
抽出液を添加して酢酸発酵を行う、もしくは酢酸発酵途
中の発酵醪に上記水抽出液を添加して更に酢酸発酵を行
う、もしくは酢酸発酵終了後の醪に上記水抽出液を添加
することにより、理由はよく分からないが、酢カドの低
減された、まろやかな風味を有する食酢を得ることがで
きる。本発明においては、酢カドの低減及び風味の点か
ら、酢酸発酵前の食酢醪に上記水抽出液を添加して酢酸
発酵を行うことが特に好ましい。
に、上記水抽出液を添加することにより得ることもでき
る。なお、上記水抽出液を添加した際に、オリが発生す
るため、濾過してオリを除去することが好ましい。
はなく、市販品や酸度を調整する前のものを用いること
ができる。また、上記水抽出液としては、上記(1)と
同様のものが好ましく用いられ、最終製品(仕上がり
量)に対して5〜80容量%となるように添加すること
が好ましい。上記水抽出液の添加量が上記範囲外である
と、充分に酢カドを取ることができなかったり、過度の
着色や茶の風味が強くでるため好ましくない。
食酢として利用できる他、ポン酢、すし酢、サラダ酢、
ラッキョウ酢及びその他の野菜酢漬類、海産酢漬類等の
加工酢としても利用できる。また、ドレッシング類、ソ
ース類等の調味料の副原料、更に、飲料、スープ類、乳
製品や畜肉加工品、魚肉加工品、珍味類、ジャム、惣菜
(酢のもの、サラダ、マリネ等)、調理済食品や即席飲
食品等の調味料として用いることができる。
ス類、スープ類、惣菜、飲料から選ばれた飲食品に好適
に用いられる。
ネーズ、タルタルソース、サラダドレッシング、フレン
チドレッシング、サンドイッチスプレッド、チーズドレ
ッシング、サウザンアイランドドレッシング、イタリア
ンドレッシング、セパレートドレッシング、中華ドレッ
シング等が挙げられる。
ス、中濃ソース、濃厚ソース、トマトケチャップ等が挙
げられる。
系スープ、例えばラーメンスープ、ゴマスープ、ワンタ
ンスープ等が挙げられる。
は、特に制限はなく、各飲食品の風味に悪影響がでない
範囲内で用いることができる。
やかな風味を有しており、従来の食酢に比べてその使用
量を増やしても飲食品の風味に悪影響を与えにくいの
で、飲食品の保存性の向上を図ることができ、また、食
酢の有する生理活性効果を充分に付与することができ
る。
る。なお、以下の実施例において、熟成茶材の水抽出液
として「発酵茶」(商品名、長崎飲料株式会社製)を用
いた。
てアルコール濃度12%に調整し、酵母エキス、リン酸
1カリウム、リン酸2アンモニウム、及び種酢を加え
て、酸度3%に調整して、常法にしたがって酢酸発酵を
行った。発酵終了後、濾過して菌体を除去して原酢を得
た。この原酢1質量部に、「発酵茶」(商品名、長崎飲
料株式会社製)1質量部、及び水若干量を加えて均一に
混合し、濾過した後、加熱殺菌して、アルコール酢1
(酸度6%)を得た。
に、「発酵茶」(商品名、長崎飲料株式会社製)10質
量部、及び水78質量部を加えて均一に混合してアルコ
ール濃度12%に調整し、酵母エキス、リン酸1カリウ
ム、リン酸2アンモニウム、及び種酢を加えて、酸度3
%に調整して、常法にしたがって酢酸発酵を行った。発
酵終了後、濾過して菌体を除去して原酢を得た。この原
酢に水を加えて均一に混合し、濾過した後、加熱殺菌し
て、アルコール酢2(酸度6%)を得た。
た原酢に水を加えて均一に混合した後、加熱殺菌して、
アルコール酢3(酸度6%)を得た。
水で希釈して酸度4.0%に調整したものを用いて、5
名のパネラーによる官能評価を行った。その結果を表1
に示す。
製造した。なお、醸造酢として、実施例3ではアルコー
ル酢1を、実施例4ではアルコール酢2を、比較例2で
はアルコール酢3を用いた。
ネラーによる官能評価を行った。その結果を表3に示
す。
シングを製造した。なお、醸造酢として、実施例5では
アルコール酢1を、実施例6ではアルコール酢2を用い
た。
5名のパネラーによる官能評価を行ったところ、いずれ
のトマトドレッシングも、明らかに酢カドが取れ、味も
マイルドであるとの評価であった。特に実施例6のトマ
トドレッシングは、実施例5のトマトドレッシングに比
べて、より酢カドが低減されており、非常に風味のバラ
ンスがよいとの評価であった。
酢に、熟成茶材から得られた水抽出液を含有させること
により、酸カドが低減され、まろやかな風味を有し、様
々な料理や飲食品に用いることのできる食酢を提供でき
る。
使用量を増やしても飲食品の風味に悪影響を与えにくい
ので、飲食品の保存性の向上を図ることができ、また、
食酢の有する生理活性効果を充分に付与することができ
る。
Claims (8)
- 【請求項1】 茶材に酒類及び酸発酵乳を混和し、熟成
して得られる熟成茶材から得られた水抽出液を含有する
ことを特徴とする食酢。 - 【請求項2】 前記水抽出液が、ブリックス0.15〜
2.4である、請求項1に記載の食酢。 - 【請求項3】 前記水抽出液を、最終製品に対して5〜
80容量%添加して得られるものである、請求項2に記
載の食酢。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一つに記載の食
酢を含有することを特徴とする飲食品。 - 【請求項5】 前記飲食品が、ドレッシング類、ソース
類、スープ類、惣菜、飲料から選ばれた一つである、請
求項4に記載の飲食品。 - 【請求項6】 食酢醪を酢酸発酵させる食酢の製造方法
において、酢酸発酵前の食酢醪、酢酸発酵中の発酵醪、
又は酢酸発酵終了後の醪のいずれかに、茶材に酒類及び
酸発酵乳を混和し、熟成して得られる熟成茶材から得ら
れた水抽出液を添加することを特徴とする、食酢の製造
方法。 - 【請求項7】 前記水抽出液が、ブリックス0.15〜
2.4である、請求項6に記載の食酢の製造方法。 - 【請求項8】 前記水抽出液を、酢酸発酵前の食酢醪、
酢酸発酵中の発酵醪又は酢酸発酵終了後の醪に、最終製
品に対して5〜80容量%となるように添加する、請求
項7に記載の食酢の製造方法。
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