JP2003022520A - 磁気テープ - Google Patents

磁気テープ

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JP2003022520A
JP2003022520A JP2001202490A JP2001202490A JP2003022520A JP 2003022520 A JP2003022520 A JP 2003022520A JP 2001202490 A JP2001202490 A JP 2001202490A JP 2001202490 A JP2001202490 A JP 2001202490A JP 2003022520 A JP2003022520 A JP 2003022520A
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JP2001202490A
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Tsuguhiro Doi
嗣裕 土井
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Maxell Holdings Ltd
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 優れたテープ直進性と良好な巻き姿が得ら
れ、記録トラック幅が25μm以下と狭い場合にもオフ
トラックの生じにくい磁気テープを提供する。 【解決手段】 磁性層またはバックコート層2にトラッ
キング制御用のサーボ信号が記録された磁気テープ1に
おいて、バックコート層2におけるテープ幅方向の両端
から中心に向かってテープ幅の20%に相当するテープ
幅方向両端部分2aの長手方向の動摩擦係数をμaと
し、テープ幅の60%に相当するテープ幅方向中央部分
2bの長手方向の動摩擦係数をμbとするとき、両者の
比(μa/μb)が1.1〜1.5となるように、バックコ
ート層表面の動動摩擦係数をテープ幅方向に異なったも
のとする。また、記録トラック幅が25μm以下で、か
つ、テープ走行時に走行基準側または反対側のテープエ
ッジに存在する周期50mm以下のエッジウィーブのエッ
ジウィーブ量を1.5μm以下にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、トラッ
クサーボ用の磁気信号または光学信号が記録され、磁気
抵抗効果素子を利用した再生ヘッド(以下、MRヘッ
ド)によって磁気記録信号が再生される磁気テープに関
する。
【0002】
【従来の技術】磁気テープは、オーディオテープ、ビデ
オテープ、コンピユータテープなど種々の用途がある
が、特にデータバックアップ用の磁気テープ(バックア
ップテープ)の分野ではバックアップ対象となるハード
ディスクの大容量化に伴い、1巻当たり数十GB以上の
記憶容量のものが商品化されており、今後ハードディス
クのさらなる大容量化に対応するためこの種のバックア
ップテープの高容量化は不可欠となっている。また、ア
クセス速度、転送速度を大きくするため、テープの送り
速度、テープとヘッド間の相対速度を高めることも必要
不可欠となっている。
【0003】バックアップテープ1巻当たりの高容量化
のためには、テープ全厚を薄くして1巻あたりのテープ
長さを長くすること、磁性層厚さを0.3μm以下と極め
て薄くすることで厚さ減磁を小さくして記録波長を短く
すること、記録トラック幅を25μm以下、特に15μ
m以下と狭くして幅方向の記録密度を高くすることが必
要である。
【0004】磁性層厚さを0.3μm以下と極めて薄くす
ると、耐久性が劣化するなどの問題が生じるので、これ
を防止するために非磁性支持体と磁性層との間に少なく
とも一層の下塗層を設ける必要がある。また、記録波長
を短くすると、磁性層と磁気ヘッドとのスペーシングの
影響が大きくなるので、磁性層の大きな突起やへこみが
あると、スペーシングロスによる出力の低下により、エ
ラーレートが高くなる。
【0005】記録トラック幅を25μm以下、特に10
μm以下と狭くしてテープ幅方向の記録密度を高くする
と磁気テープからの漏れ磁束が小さくなるため、再生ヘ
ッドに微小磁束でも高い出力が得られる磁気抵抗効果型
素子を使用したMRヘッドを使用する必要がある。
【0006】MRヘッド対応の磁気記録媒体には、例え
ば特開平11−238225号公報、特開2000−4
0217公報、特開2000−40218公報等に記載
されたものがある。これらの公報に記載された磁気記録
媒体では、その磁束(磁性層における残留磁束密度と厚
さとの積)を特定の値以下にしてMRヘッドの出力の歪
を防止したり、磁性層表面のへこみを特定の値以下にし
てMRヘッドのサーマル・アスペリティを低減させたり
している。
【0007】また、トラック幅を狭くすると、オフトラ
ックによる再生出力の低下が問題になるので、これを避
けるためにトラックサーボが必要になる。このようなト
ラックサーボ方式としては光学トラックサーボ方式(例
えば特開平11−213384号公報、特開平11−3
39254号公報、特開2000−293836公報参
照)や磁気サーボ方式があるが、いずれの方式を採用す
るにしても、箱状のケース本体の内部に磁気テープを収
めて磁気テープカートリッジ(カセットテープともい
う)とする場合には、磁気テープ巻装用のリールを一つ
しか持たない1リール型(単リール型)にして、その上
でカートリッジから引き出した磁気テープにトラックサ
ーボを行う必要がある。これは、デープ走行速度を高め
る(例えば2.5m/秒以上にする)と、テープ繰り出し
用とテープ巻き取り用の2つのリールを持った2リール
型では安定走行できないためである。また、2リール型
ではカートリッジサイズが大きくなり、体積当たりの記
憶容量が小さくなる。
【0008】先に述べたようにトラックサーボ方式には
磁気サーボ方式と光学サーボ方式があるが、前者は、後
述するようなサーボトラックバンドを磁気記録により磁
性層に形成し、これを磁気的に読取ってサーボトラッキ
ングを行うものであり、後者は、凹部アレイからなるサ
ーボトラックバンドをレーザー照射等でバックコート層
に形成し、これを光学的に読取ってサーボトラッキング
を行うものである。なお、磁気サーボ方式にはバックコ
ート層にも磁性を持たせ、このバックコート層に磁気サ
ーボ信号を記録する方式があり(例えば特開平11−1
26327号公報参照)、また光学サーボ方式にはバッ
クコート層に光を吸収する材料等で光学サーボ信号を記
録する方式もある(例えば特開平11−126328号
公報参照)。
【0009】ここで、前者の磁気サーボ方式を例にとっ
てトラックサーボの原理を簡単に説明する。磁気サーボ
方式を採用する磁気テープでは、磁性層にそれぞれテー
プ長手方向に沿って延びるトラックサーボ用のサーボバ
ンドとデータ記録用のデータトラックとが設けられる。
このうちサーボバンドは、各々サーボトラック番号を磁
気的に記録した複数のサーボ信号記録部からなる。磁気
テープに対してデータの記録・再生を行う磁気ヘッドア
レイは、1対(順走行用と逆走行用)のサーボトラック
用MRヘッドと、例えば8×2対の記録・再生用ヘッド
(記録ヘッドは磁気誘導型ヘッドで再生ヘッドはMRヘ
ッドで構成される)とを有しており、サーボ信号を読取
ったサーボトラック用MRヘッドからの信号に基づいて
磁気ヘッドアレイ全体が連動して動くことで、記録・再
生用ヘッドがテープ幅方向に移動してデータトラックに
到達する。
【0010】このとき例えば図7に示すように、磁気テ
ープ1は、その長手方向に沿った両端部(テープエッ
ジ)のうちの一方のテープエッジ1aが、磁気記録再生
装置(テープ駆動装置あるいはテープドライブともい
う)に備えられたガイドローラ70のフランジ71・7
2の内面によってテープ幅方向位置を規制された状態で
走行するが、図2に一部拡大して模式的に示したよう
に、磁気テープ1のテープエッジ1aには、通常、エッ
ジウィーブまたはエッジウェーブと呼ばれる波打ち状の
凹凸(テープ幅方向の端面がテープ長手方向に沿って波
打つことによってできた凹凸)が存在する。そのため、
磁気テープ1は上記の走行基準となるフランジ内面に沿
って走行していてもその幅方向の位置が微妙に変動す
る。しかし、上記のようなサーボ方式を採用すること
で、磁気テープの位置がその幅方向に微妙に変動しても
これに伴って磁気ヘッドアレイ全体がテープ幅方向に移
動して、記録・再生用ヘッドは絶えず正しいデータトラ
ックに到達する。
【0011】ところが、磁気テープにサーボ方式を適用
するに当たって、そのエッジウィーブとヘッド追随性と
の関係等について詳しく調べたところ、図2に示したよ
うにテープエッジに存在する周期fの短いエッジウィー
ブにおけるエッジウィーブ量(当該テープエッジのテー
プ幅方向(図2のY−Y’方向)の変位量)αが特定値
を超えると、PES(positioning error signal、位置
ずれ量のばらつきを表す数値、標準偏差1σの値)が大
きくなり、トラッキングエラーを引き起こすことが明ら
かになった。この傾向はテープ走行速度が大きくなるほ
ど、またトラック幅が狭くなるほど顕著になる。これ
は、磁気ヘッドアレイ全体は大きい質量を有しているの
で、走行時にテープ幅方向の位置が規制されるテープエ
ッジ(図2に示す片側のテープエッジ1aのみならず、
直ぐ後で述べるように両側のテープエッジ1a・1a’
のときもある)において短い周期のエッジウィーブによ
る位置変動があると、これに伴って生じる磁気テープの
幅方向の動きに磁気ヘッドアレイの動きが追随できなく
なるためと推定される。なお、上述のように磁気記録再
生装置では、通常、ガイドローラ70の溝73の幅(そ
の両端部に設けられている一対のフランジ71・72の
内面間の間隔H、図7参照)は磁気テープの幅Lよりも
数10μm大きな寸法に設定されているので、走行基準
側のエッジウィーブ量が支配的であるが、サーボ信号を
記録する装置(サーボライタ)ではガイドローラの溝幅
は磁気テープの幅とほぼ等しい寸法に設定されていてク
リアランスが殆どないので、両側のテープエッジ1a・
1a’がともに走行基準側になり、両側のテープエッジ
1a・1a’のエッジウィーブ量がともにサーボ信号の
直線性を支配する。したがって、両側のテープエッジ1
a・1a’のエッジウィーブ量をともに特定値以下に規
制する必要がある。
【0012】PESが大きくなると、記録トラック幅が
25μm以下、特に15μm以下と狭い場合には、オフ
トラックエラーが発生し、正常なサーボを行うことがで
きなくなる。このような問題は、磁気サーボ方式および
光学サーボ方式の両者に共通して生じるものであるが、
光学サーボ方式の方が、用いられる磁気ヘッドアレイ全
体の質量が磁気サーボ方式のものに比べて大きいために
一層顕著である。
【0013】上記のようにサーボ方式を採用した磁気テ
ープにおいて、データの記録・再生やサーボ信号の書き
込み・読み取りが正しく行われるためには、テープが幅
方向になるべく変動することなく真っ直ぐに走行するこ
と、すなわち直進性(走行安定性)を有することが必要
である。また、磁気テープが走行時にテープ幅方向に変
動すると、テープエッジが損傷しやすくなるのみなら
ず、テープがリールに巻き取られるときにテープの幅方
向の端部が揃わず、テープの巻き姿が乱れることにな
る。そして、この巻き姿の乱れが、リールから引き出さ
れたテープの幅方向の変動の原因になるという悪循環に
陥る。このため、上述したように磁気記録再生装置に
は、テープを所定方向に案内するガイドに、テープの幅
方向の両端位置を規制する一対のフランジが設けられて
いるが、これらのフランジのみでは、両フランジ間でテ
ープが幅方向に変動することまで防止することはできな
い。
【0014】そこで、従来においては、磁気テープ自体
の構造を改善することで、テープの巻き姿が良くなるよ
うにしたり、あるいはテープの直進性を確保したりする
ことが試みられている。その一例として、特開2000
−187831公報では、良好な巻き姿を得るために、
磁気テープにおけるバックコート層の表面に凹状の溝を
形成し、この溝によりテープ巻き取り時にテープに同伴
するエアーを逃がすようにした技術が提案されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしなから、一般
に、磁気テープにおけるバックコート層の厚さは通常1
μm以下であり、このような薄いバックコート層に、機
械的切削手段を用いて前記公報に記載されているような
所定の凹状の溝を形成するのは容易ではない。このた
め、前記公報では、凹状の溝は主としてレーザー照射に
より形成することが記載されているが、レーザー照射を
行うには機械的切削手段に比べて高価なレーザー照射装
置が必要となる。また、バックコート層へのレーザー照
射により燃えかすが生じるが、この種の燃えかすがテー
プ面に付着して結果的にドロップアウトの原因になるな
ど、信頼性の面で問題がある。さらに、前記公報記載の
技術は、先に述べたようなテープエッジに存在する短い
周期のエッジウィーブによる位置変動までを防止するも
のではないから、この種の位置変動によるオフトラック
の発生を前記溝の形成のみにより防止あるいは低減する
のは難しい。
【0016】本発明の目的は、上記のような問題点がな
く、テープの直進性と良好な巻き姿が得られる磁気テー
プを提供することにある。また、本発明の目的は、PE
Sが小さく、記録トラック幅が25μm以下、特に15
μm以下と狭い場合にも、オフトラックの生じにくい磁
気テープを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、鋭意検討した結果、本発明者は、バックコート層表
面の動摩擦係数をテープ幅方向の中央部よりも両端部で
相対的に大きくすることでテープの直進性と良好な巻き
姿が得られることを見出した。
【0018】すなわち、本発明は、図1に示すように、
非磁性支持体上の一面に、少なくとも一層の下塗層と、
磁性層とがこの順に形成され、反対面にバックコート層
2が形成されており、前記磁性層またはバックコート層
にトラッキング制御用のサーボ信号が記録された磁気テ
ープ1において、バックコート層2におけるテープ幅方
向の両端から中心に向かってそれぞれテープ幅の20%
に相当するテープ幅方向両端部分2a・2aの長手方向
の動摩擦係数をμaとし、テープ幅Lの60%に相当す
るテープ幅方向中央部分2bの長手方向の動摩擦係数を
μbとしたときに、後者に対する前者の比(μa/μ
b)を1.1〜1.5としたことを特徴とする。なお、本発
明でいう動摩擦係数は、後述するSUSに対するもので
ある。
【0019】また、本発明では、このような磁気テープ
1において、PESが小さく、記録トラック幅が25μ
m以下と狭い場合にも、オフトラックが生じにくくなる
ようにするため、記録トラック幅が25μm以下(好ま
しくは21μm、特に15μm以下)で、かつ、テープ
走行時に走行基準側となるテープエッジ1aまたはその
反対側となるテープエッジ1a’に存在する周期fが5
0mm以下のエッジウィーブのエッジウィーブ量αを1.5
μm以下(好ましくは1μm以下)に設定する(符号に
ついては図2参照)。
【0020】以上の場合において、サーボ信号は磁気テ
ープの磁性層またはバックコート層に磁気信号として記
録したものであってもよいし、磁気テープのバックコー
ト層に凹部や光を吸収する材料で光学信号を形成したも
のであってもよい。つまり、本発明の磁気テープカート
リッジ(およびこれに備えられる磁気テープ)は、磁気
サーボ方式および光学サーボ方式のいずれにも適用でき
るものである。
【0021】また、高記録密度化のためには、本発明の
磁気テープは、磁気抵抗効果型素子を利用した再生ヘッ
ド(MRヘッド)によって磁気記録信号が再生されるも
のであることが好ましい。さらに、磁気サーボ方式のも
のでは、サーボ信号もMRヘッドによって再生されるも
のであることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0023】<バックコート層の動摩擦係数>上述した
ように本発明の磁気テープ1では、バックコート層2に
おけるテープ幅方向の両端から中心に向かってそれぞれ
テープ幅の20%に相当するテープ幅方向両端部分2a
・2aの長手方向の動摩擦係数をμaとし、残りのテー
プ幅の60%に相当するテープ幅方向中央部分2bの長
手方向の動摩擦係数をμbとしたときに、後者に対する
前者の比(μa/μb)が1.1〜1.5となるように設定
する。この比(μa/μb)が1.1未満だと、テープ走
行および巻き取り時に空気のかみ込みなどで生ずる横す
べりのような幅方向への動きを抑えることができない。
そのため、良好な直進性が得られない。加えて、リール
に巻き取られた後の巻き姿も悪くなる。また1.5を超え
ると、テープ幅方向への動きを抑える力が強くなりす
ぎ、テープ走行時に中心部でしわが発生したり、巻き取
り時にかみ込んだ空気の抜けが悪くなり、テープ巻き取
り上面にしわが発生しやすい。好ましくは(μa/μ
b)=1.2〜1.4である。
【0024】バックコート層2において、テープ幅方向
中央部分2bに比べて動摩擦係数を高くするテープ幅方
向両端部分2a・2aの幅をテープ幅の20%と規定し
たのは、20%より小さい場合、幅方向への動きを抑え
る効果が得られず、20%大きい場合、幅方向への動き
をおこえる力が強くなりすぎ、テープ中心部にしわが発
生しやすくなるからである。
【0025】テープ幅方向中央部分の動摩擦係数は、0.
10〜0.30が好ましい。この動摩擦係数が0.10より
小さい場合、走行時にバックコート層が接するガイドロ
ールや、巻き取り時に接する磁性層に対して、滑りやす
くなり、直進性や整巻性が悪くなる。また、0.30より
大きい場合、バックコート層が削れやすくなり、ガイド
ロールを汚し直進性が悪くなるだけでなく、ドロップア
ウトの発生、エラーレートの上昇を招く。
【0026】上記の両端部分2a・2aの動摩擦係数
は、0.10〜0.30が好ましい。この動摩擦係数が0.1
0より小さい場合、バックコート層が接するガイドロー
ルや磁性層側に対して、滑りやすくなり、直進性や整巻
性が悪くなる。また、0.30より大きい場合、バックコ
ート層が削れやすくなり、ガイドロールを汚し、直進性
が悪くなる。加えて、ドロップアウトの発生、エラーレ
ートの上昇を招く。
【0027】バックコート層表面の動摩擦係数を上記の
ようにテープ幅方向位置に応じて異なったものとするに
は、例えば図3および図4に示すように磁気テープ1の
走行面に対して研磨用のブレード(例えばサファイヤブ
レード)10・10を所定角度θだけ傾けた状態で、バ
ックコート層2の表面におけるテープ幅方向の各テープ
端から所定幅の領域に当該ブレード10・10を接触さ
せ、この状態で磁気テープ1を所定方向(図3では矢印
X方向、図4では紙面を裏から表に貫く方向)に所定の
送り速度で走行させればよい。このようにすると、バッ
クコート層2におけるテープ幅方向両側部分2a・2a
がブレード10・10によって鏡面化処理されるので、
その動摩擦係数がテープ幅方向中央部分2bの動摩擦係
数に比べて大きくなる。このとき、例えば、磁気テープ
1に加える張力や走行速度、あるいは磁気テープ1とブ
レード10・10との接触状態を調節すれば、前記の比
(μa/μb)が1.1〜1.5となるようにすることがで
きる。なお、図3中の符号11・12は、磁気テープ1
を所定の経路に沿って走行させるためのガイドロールを
示す。
【0028】<テープエッジ構造>本発明の磁気テープ
1では、図2に示したように、テープエッジ部1aまた
は1a’に存在する周期fのエッジウィーブによるテー
プ幅方向(図2のY−Y’方向)の変位量、つまりエッ
ジウィーブ量αを先に述べた特定値に設定する。なお、
図2では磁気テープ1の走行方向をX−X’で示してあ
る。磁気テープ1の走行速度V(m/秒)とすると、磁
気テープ1のオフトラックに影響を及ぼすエッジウィー
ブの周期fは、f/V≦0.0125[単位:秒(s)]
である。特に、f/V≦0.005[単位:秒(s)]の
周期fのエッジウィーブがあるとオフトラック量が大き
くなる。これは、通常、磁気記録再生装置に備えられる
磁気ヘッドアレイは全体として大きい質量を有している
ので、テープ走行速度Vが大きくなるほど、長い周期の
エッジウィーブ量でも磁気ヘッドアレイの動きが追随で
きなくなるためである。
【0029】磁気テープの走行速度Vが4m/秒の時、
オフトラックに影響するエッジウィーブの周期fは50
mm以下である。この周期のエッジウィーブ量αを1.5μ
m以下(好ましくは1μm以下)に設定するとオフトラ
ック量が小さく、良好なサーボトラック特性が得られ
る。特に、テープエッジに存在する周期fが20mm以下
のエッジウィーブのテープ幅方向変位量、つまりエッジ
ウィーブ量αを1μm以下に設定すると、さらに良好な
サーボトラック特性が得られる。
【0030】テープエッジに存在する短周期(周期fが
50mm以下)のエッジウィーブのエッジウィーブ量を1.
5μm以下とするには、磁気テープの製造工程において
磁気テープ原反をスリッティングする際の当該テープ原
反のばたつきによる短周期テンション変動を抑制すれば
よい。具体的には例えば図5に示すようなスリッティン
グシステム(磁気テープ原反Gを所定幅の磁気テープ1
にスリッティングするためのシステム)100に備えら
れるテンションカットローラ50において以下で述べる
ような構成を採用することによって、短周期のエッジウ
ィーブによるテープ幅方向の変動を抑制することができ
る。
【0031】図5に示した刃物駆動部60においては、
互いに反対方向に回転駆動される上下の刃物群61・6
2が備えられている。これらは、別途備えられた動力伝
達装置を介して図示しない駆動モータに連結されてお
り、この駆動モータによって回転駆動されるようになっ
ている。その場合、駆動モータの動力を刃物駆動部60
に伝達する動力伝達装置を、平ベルトとゴムカップリン
グとを組み合わせたもので構成すると、タイミングベル
トとゴムカップリングとを組み合わせた場合や、平ベル
トと金属カップリングとを組み合わせた場合や、タイミ
ングベルトと金属カップリングとを組み合わせた場合に
比べて、スリッティング後に得られる磁気テープ1のテ
ープエッジにおいて、テープ幅方向の位置変動の周期は
変化しないないが、エッジウィーブ量は減少する。な
お、図5中の符号90・91は、磁気シート原反Gの走
行経路に沿って配置したガイドを示す。
【0032】テンションカットローラ50の吸引力を通
常の1.33×104 Pa(100mmHg)から、テンシ
ョンカットができる下限の1.33×103 Pa(10mm
Hg)に減少させると、短い周期のエッジウィーブによ
るテープ幅方向の変動量は殆どなくなる。しかし、この
方法では、生産の安定性に欠ける心配がある。また、テ
ンションカットローラ50の吸引力を1.33×102
a(1mmHg)以下にしても、スリッティング速度を遅
くすれば、短い周期のエッジウィーブによるテープ幅方
向の位置変動が殆どない磁気テープが得られるが、生産
性が極端に悪くなる。
【0033】図6に示すように、先のスリッティングシ
ステムで用いられるテンションカットローラ50には、
これの外周に沿って一定間隔ごとにサクション吸引部5
1が設けられている。従来においては、この部分が、当
該ローラ50の軸方向(図6において紙面と直交する方
向)に一定間隔を開けて配置された複数の孔で形成され
ていたため、磁気テープ原反に対して吸引状態と非吸引
状態を繰り返したときに磁気テープ原反が比較的大きく
ばたつき、その結果、上述したような短周期のエッジウ
ィーブにおいてテープ幅方向変位量(エッジウィーブ量
α)が比較的大きなものとなっていた。そこで、先に述
べたエッジ構造を有する本発明の磁気テープを得るにあ
たっては、上記のサクション吸引部51をメッシュある
いは多孔質材料で形成してメッシュサクションとしたテ
ンションカットローラ50を使用する。これにより、テ
ンションカットローラ50の吸引力を1.33×104
a(100mmHg)とし且つスリッティング速度を速く
しても50mm以下の短い周期のエッジウィーブにおける
エッジウィーブ量αを従来よりも小さなものとすること
ができる。つまり、本発明で特定したテープエッジ構造
を有する磁気テープを作ることができる。なお、図6中
の符号52はテンションカットローラ50におけるテー
プ接触部を示し、符号T1はサクション吸引部51によ
る吸引の1周期を示す(1/2幅の磁気テープでは例え
ばT=13.5mmである)。
【0034】以下に、各構成要素毎の好ましい形態をさ
らに詳しく述べる。
【0035】<バックコート層>走行性向上を目的に、
厚さ0.2〜0.8μmの従来公知のバックコート層を使用
できる。この範囲が良いのは、0.2μm未満では、走行
性向上効果が不充分で、0.8μmを越えるとテープ全厚
が厚くなり、1巻当たりの記憶容量が小さくなるためで
ある。
【0036】バックコート層に添加するカーボンブラッ
クとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラッ
ク、サーマルブラック等を使用できる。通常、小粒径カ
ーボンブラックと大粒径カーボンブラックを使用する。
小粒径カーボンブラックには、粒子径が5nm〜100
nmのものが使用されるが、粒径10nm〜100nm
のものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、
粒径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が
難しく、粒径が100nm以上では多量のカーボンブラ
ックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が
粗くなり、磁性層への裏移り(エンボス)原因になるた
めである。大粒径カーボンブラックとして、小粒径カー
ボンブラックの5〜15重量%、粒径250〜400n
mの大粒径カーボンブラックを使用すると、表面も粗く
ならず、走行性向上効果も大きくなる。小粒径カーボン
ブラックと大粒径カーボンブラック合計の添加量は無機
粉体重量を基準にして60〜98重量%が好ましく、7
0〜95重量%がより好ましい。バックコート層の中心
線平均表面粗さRaは3〜15nmが好ましく、4〜1
0nmがより好ましい。
【0037】また、バックコート層には、強度向上を目
的に、粒子径が0.1μm〜0.6μmの酸化鉄、アルミナ
を添加するのが好ましく、0.2μm〜0.5μmがより好
ましい。酸化鉄、アルミナを合わせた添加量は無機粉体
重量を基準にして2〜40重量%が好ましく、5〜30
重量%がより好ましい。
【0038】バックコート層には結合剤として、前述し
た磁性層や下塗層に用いるのと同じ樹脂を用いることが
できるが、これらの中でも動摩擦係数を低減し走行性を
向上するため、セルロース系樹脂とポリウレタン樹脂を
複合して併用することが好ましい。結合剤の含有量は通
常、カ−ボンブラックと前記無機非磁性粉末との合計量
100重量部に対して40〜150重量部で、50〜1
20重量部が好ましく、60〜110重量部がより好ま
しく、70〜110重量部がさらに好ましい。この範囲
が好ましいのは、50重量部未満では、バックコート層
の強度が不十分で、120重量部を越えると動摩擦係数
が高くなりやすいためである。セルロース系樹脂を30
〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜50重量部
使用することが好ましい。また、さらに結合剤を硬化す
るために、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を用
いることが好ましい。
【0039】バックコート層には架橋剤として、前述し
た磁性層や下塗層に用いる架橋剤を使用する。架橋剤の
量は、結合剤100重量部に対して、通常10〜50重
量部の割合で用いられる。好ましくは10〜35重量
部、より好ましくは10〜30重量部である。この範囲
が好ましいのは、10重量部未満では、バックコート層
の塗膜強度が弱くなりやすく、35重量部を越えるとS
USに対する動摩擦係数が大きくなるためである。
【0040】磁気サーボ信号が記録される特殊用途のバ
ックコート層には、磁性層に使用する上述の強磁性粉末
を30〜60重量部、バックコート層に使用する上述の
カーボンブラックを40〜70重量部、必要に応じて、
バックコート層に使用する上述の酸化鉄、アルミナを2
〜15重量部添加する。また、結合剤には、強磁性粉
末、カーボンブラック、無機非磁性粉末との合計量10
0重量部に対して、上記バックコート層に用いる樹脂を
通常、40〜150重量部、好ましくは50〜120重
量部使用する。また、架橋剤には、上述の架橋剤を結合
剤100重量部に対して、通常10〜50重量部の割合
で用いられる。後述の磁性層で述べるのと同じ理由で、
保磁力は120〜320kA/m、残留磁束密度Brと
膜厚の積は、0.018〜0.06μTmが好ましい。
【0041】<非磁性支持体>非磁性支持体の厚さは、
7.0μm以下が好ましく、2.0〜7.0μmがより好まし
い。この範囲の厚さの非磁性支持体がより好ましいの
は、2μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小
さくなり、7.0μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、
テープ1巻当りの記憶容量が小さくなるためである。
【0042】非磁性支持体の長手方向のヤング率Eは、
非磁性支持体の厚さによって異なるが、通常5.07GP
a(500kg/mm2 )以上のものが使用される。6.08
GPa(600kg/mm2 )以上が好ましく、7.09GP
a(700kg/mm2 )以上がさらに好ましい。この範囲
のヤング率の非磁性支持体が好ましいのは、6.08GP
a(600kg/mm2 )未満では、磁気テープの強度が弱
くなったり、磁気テープの走行が不安定になるためであ
る。また、非磁性支持体の厚さTが、5.0μmと薄くな
ると剛性(E・T3 )が小さくなりテープ強度が弱くな
るので、7.09GPa(700kg/mm2 )以上のヤング
率のものが好ましく使用される。
【0043】長手方向のヤング率をMD、幅方向のヤン
グ率をTDとした時の比(MD/TD)は、本願発明の
ようなリニアレコーディングタイプでは、1.0〜1.8が
好ましく、1.1〜1.7がより好ましく、1.2〜1.6がさ
らに好ましい。この範囲が好ましいのは、ヘッドタッチ
が良くなるためである。このような非磁性支持体には、
ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナ
フタレートフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、芳香
族ポリイミドフィルム等があるが、ポリエチレンテレフ
タレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム
が安価なのでより好まれる。
【0044】非磁性支持体には、通常、磁性層形成面、
バックコート層形成面共に、中心線平均表面粗さRaが
5.0〜10nmのものが使用されるが、磁性層の表面粗
さRaを小さくしてスペーシングロスを小さくする目的
で、磁性層形成面のRaを1.0〜5.0nmとした非磁性
支持体(バックコート層形成面のRaは5.0〜10n
m)が使用される場合がある。このような非磁性支持体
はデュアルタイプと呼ばれ、2種の非磁性支持体を貼り
合わせて作製される。
【0045】<磁性層>磁気テープの磁性層とMRヘッ
ドのスライダ(材料:ALTIC;アルミナ/チタニア
/カーバイド)との動摩擦係数はPESを小さくするた
め0.35以下にする必要がある。より好ましくは0.1〜
0.3、さらに好ましくは0.1〜0.25である。この範囲
がより好ましいのは、0.30を越えると、スライダ汚れ
によるスペーシングロスが起こりやすいためである。ま
た、磁気ヘッドアレイの磁気テープ幅方向に移動する際
に、磁気テープも幅方向に動くために、オフトラック量
が大きくなる。なお、0.10未満は実現が困難である。
通常、磁気テープ磁性層とSUSとの動摩擦係数は0.1
〜0.3で、0.10〜0.25が好ましく、0.12〜0.20
がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.25を越
えるとガイドローラ(材質:アルミニウム)が汚れやす
くなるためである。なお、動摩擦係数を0.10未満にす
ることは難しい。また、磁性層とスライダ材料との動摩
擦係数をμms l 、磁性層とSUSとの動摩擦係数をμ
msusとした時の[(μmsl )/(μmsus)]は0.7〜1.
3が好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。この範囲が
好ましいのは、磁気テープの走行異常による、トラッキ
ングずれ(オフトラック)が小さくなるためである。
【0046】磁性層の厚さは、通常0.3μm以下で、0.
01〜0.3μmが好ましく、0.01〜0.20μmがより
好ましく、0.01〜0.15μmがさらに好ましく、0.0
1〜0.10μmがいっそう好ましい。この範囲がより好
ましいのは、0.01μm未満では均一な磁性層が得にく
く、0.3μmを越えると厚さ損失により、再生出力が小
さくなったり、当該磁性層における残留磁束密度(B
r)と厚さ(δ)との積(Brδ)が大きくなり過ぎ
て、MRヘッドの飽和による再生出力の歪が起こりやす
くなるためである。
【0047】長手方向の残留磁束密度と厚さの積は0.0
018μTm〜0.06μTmが好ましく、0.0036〜
0.050μTmがより好ましい。この範囲が好ましいの
は、0.0018μTm未満では、MRヘッドによる再生
出力が小さく、0.06μTmを越えるとMRヘッドによ
る再生出力が歪みやすいからである。このような磁性層
からなる磁気記録媒体は、記録波長を短くでき、しか
も、MRヘッドで再生した時の再生出力を大きくでき、
しかも再生出力の歪が小さく出力対ノイズ比を大きくで
きるので好ましい。
【0048】磁性層の保磁力は、120〜320kA/
mが好ましく、140〜320kA/mがより好まし
く、160〜320kA/mがさらに好ましい。この範
囲が好ましいのは、120kA/m未満では記録波長を
短くすると反磁界減磁で出力低下が起こり、320kA
/mを越えると磁気ヘッドによる記録が困難になるため
である。
【0049】磁性層の中心線平均表面粗さRaは、3.2
nm以下が好ましく、0.5〜3.2nmがより好ましく、
0.7〜3.2nmがさらに好ましく、0.7〜2.9nmがい
っそう好ましい。この範囲がより好ましいのは、0.5n
m未満では磁気テープの走行が不安定になり、Raが3.
2nmを越えると、スペーシングロスにより、PW50
(再生出力の半値幅)が広くなったり出力が低下したり
して、エラーレートが高くなるためである。
【0050】磁性層に添加する磁性粉には、Fe粉末、
Fe−Co粉末やFe−Nd−B粉末等のような強磁性
鉄系金属粉末、六方晶バリウムフェライト粉末が使用さ
れる。強磁性鉄系金属粉末、六方晶バリウムフェライト
粉末の保磁力は、120〜320kA/mが好ましく、
飽和磁化量は、強磁性鉄系金属粉末では、120〜20
0A・m2 /kg(120〜200emu/g)が好まし
く、130〜180A・m2 /kg(130〜180em
u/g)がより好ましい。六方晶バリウムフェライト粉
末では、50〜70A・m2 /kg(50〜70emu/
g)が好ましい。なお、この磁性層の磁気特性と、強磁
性粉末の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部
磁場1.28MA/m(16kOe)での測定値をいうも
のである。
【0051】本発明の磁気テープにおいて使用するFe
粉末、Fe−Co粉末等の針状の強磁性鉄系金属粉末の
平均長軸長としては、0.03〜0.2μmが好ましく、0.
03〜0.18μmがより好ましく、0.04〜0.15μm
がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、平均長軸
長が0.03μm未満となると、磁性粉の凝集力が増大す
るため塗料中への分散が困難になり、0.2μmより大き
いと、保磁力が低下し、また粒子の大きさに基づく粒子
ノイズが大きくなる。また、Fe−Nd−B粉末のよう
な粒状の強磁性鉄系金属粉末では、同様な理由により、
粒径10〜100nmが好ましい。さらに、六方晶バリ
ウムフェライト粉末では、同様な理由により、板径5〜
200nmが好ましい。なお、上記の平均長軸長、粒径
は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した写真の粒
子サイズを実測し、100個の平均値により求めたもの
である。また、この強磁性鉄系金属粉末のBET比表面
積は、35m2 /g以上が好ましく、40m2 /g以上
がより好ましく、50m2/g以上が最も好ましい。六
方晶バリウムフェライト粉末のBET比表面積は、1〜
100m2 /gが好ましい。
【0052】磁性層には、導電性向上と表面潤滑性向上
を目的に従来公知のカーボンブラック(CB)を添加す
る。これらのカーボンブラックとしては、アセチレンブ
ラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使
用できる。粒子径が5nm〜100nmのものが使用さ
れるが、粒径10nm〜100nmのものが好ましい。
この範囲が好ましいのは、粒径が5nm以下になるとカ
ーボンブラックの分散が難しく、100nm以上では多
量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何
れの場合も表面が粗くなり、出力低下の原因になるため
である。カーボンブラックの添加量は強磁性粉末に対し
て0.2〜5重量%が好ましく、0.5〜4重量%がより好
ましく、0.5〜3.5重量%がさらに好ましく、0.5〜3
重量%がいっそう好ましい。この範囲が好ましいのは、
0.2重量%未満では効果が小さく、5重量%を越える
と、磁性層表面が粗くなりやすいからである。
【0053】磁性層用および下塗層用の結合剤として
は、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹
脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化
ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合樹脂、塩化
ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂、
ニトロセルロース(セルロ−ス系樹脂)などの中から選
ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂との組み合わ
せを用いることができる。中でも、塩化ビニル−水酸基
含有アルキルアクリレート共重合樹脂とポリウレタン樹
脂を併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポ
リエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、
ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネ
ートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリ
ウレタンなどがある。
【0054】官能基としてCOOH、SO3 M、OSO
2 M、P=O(OM)3 、O−P=O(OM)2 [Mは
水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩]、OH、N
R'R''、N+ R''' R''''R''''' [R' 、R''、
R''' 、R''''、R''''' は水素または炭化水素基]、
エポキシ基を有する高分子からなるウレタン樹脂等の結
合剤が使用される。このような結合剤を使用するのは、
上述のように磁性粉等の分散性が向上するためである。
2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一
致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基どうしの組
み合わせが好ましい。
【0055】これらの結合剤は、磁性層では強磁性粉末
100重量部に対して、下塗層ではカーボンブラックと
非磁性粉末との合計量100重量部に対して、7〜50
重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用いられ
る。特に、結合剤として、塩化ビニル系樹脂5〜30重
量部と、ポリウレタン樹脂2〜20重量部とを、複合し
て用いるのが最も好ましい。
【0056】これらの結合剤とともに、結合剤中に含ま
れる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤
を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソ
シアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を
複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート
類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ま
しい。これらの架橋剤は、結合剤100重量部に対し
て、通常5〜50重量部の割合で用いられる。より好ま
しくは7〜35重量部である。なお、磁性層に使用する
架橋剤の量を、下塗層に使用する量の1/2程度(30
%〜60%)にすれば、MRヘッドのスライダに対する
動摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲が好ま
しいのは、30%未満では、磁性層の塗膜強度が弱くな
りやすく、60%を越えるとスライダに対する動摩擦係
数が小さくするために、後述するLRT処理条件を強く
する必要があり、コストアップにつながるためである。
【0057】<下塗層>下塗層の厚さは、0.3〜3.0μ
mが好ましく、0.5〜2.5μmがより好ましい。この範
囲が好ましいのは、0.3μm未満では磁気記録媒体の耐
久性が悪くなる場合があり、3.0μmを越えると磁気記
録媒体の耐久性向上効果が飽和するばかりでなく、磁気
テープの場合は全厚が厚くなって、1巻当りのテープ長
さが短くなり、記憶容量が小さくなるためである。
【0058】下塗層には、導電性改良の目的でカーボン
ブラック(CB)、塗料粘度やテープ剛性の制御を目的
に非磁性粒子を添加する。下塗層に使用する非磁性粒子
としては、酸化チタン、酸化鉄、アルミナ等があるが、
酸化鉄単独または酸化鉄とアルミナの混合系が使用され
る。下塗層に、下塗層中の全無機粉体の重量を基準にし
て、粒径10〜100nmのカーボンブラックを15〜
35重量%、長軸長0.05〜0.20μm、短軸長5〜2
00nmの非磁性の酸化鉄を35〜83重量%、必要に
応じて粒径10〜100nmのアルミナを0〜20重量
%含有させると、ウエット・オン・ウエットで、その上
に形成した磁性層の表面粗さが小さくなるので好まし
い。なお、非磁性酸化鉄は通常針状であるが、粒状また
は無定形の非磁性酸化鉄を使用する場合には粒径5〜2
00nmの酸化鉄が好ましい。さらに、表面の平滑性を
損なわない範囲で100nm以上の大粒径カーボンブラ
ックを添加することを排除するものではない。その場合
のカーボンブラック量は、小粒径CBと大粒径CBの和
を上記範囲内にすることが好ましい。
【0059】下塗層に添加するカーボンブラックとして
は、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマ
ルブラックなどを使用できる。通常、粒径が5nm〜2
00nmのものが使用されるが、粒径10〜100nm
のものが好ましい。この範囲が好ましいのは、カーボン
ブラックがストラクチャーを持っているため、粒径が1
0nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、
100nm以上では平滑性が悪くなるためである。カー
ボンブラック添加量は、カーボンブラックの粒子径によ
って異なるが、15〜35重量%が好ましい。この範囲
が好ましいのは、15重量%未満では導電性向上効果が
乏しく、35重量%を越えると効果が飽和するためであ
る。粒径15nm〜80nmのカーボンブラックを15
〜35重量%使用するのがより好ましく、粒径20nm
〜50nmのカーボンブラックを20〜30重量%用い
るのがさらに好ましい。このような粒径・量のカーボン
ブラックを添加することにより電気抵抗が低減され、か
つ走行むらが小さくなる。
【0060】下塗層に添加する非磁性の酸化鉄として
は、針状の場合、長軸長0.05〜0.20μm、短軸長
(粒径)5〜200nmのものが好ましく、粒状または
無定形のものでは、粒径5〜200nmが好ましい。粒
径0.05〜150nmがより好ましく、粒径0.05〜1
00nmがさらに好ましい。なお、針状のものが磁性層
の配向がよくなるのでより好ましい。添加量は、35〜
83重量%が好ましく、40〜80重量%がより好まし
く、50〜75重量%がさらに好ましい。この範囲の粒
径(針状の場合は短軸長)が好ましいのは、粒径5nm
未満では均一分散が難しく、200nmを越えると下塗
層と磁性層の界面の凹凸が増加するためである。この範
囲の添加量が好ましいのは、35重量%未満では塗膜強
度向上効果が小さく、83重量%を越えると反って塗膜
強度が低下するためである。
【0061】下塗層には酸化鉄に加えてアルミナを添加
してもよい。アルミナの粒径は、10〜100nmが好
ましく、20〜100nmがより好ましく、30〜10
0nmがさらに好ましい。この範囲の粒径が好ましいの
は、粒径10nm未満では均一分散が難しく、100n
mを越えると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加するた
めである。アルミナの添加量は、通常0〜20重量%で
あるが、2〜10重量%がより好ましく、4〜8重量%
がさらに好ましい。
【0062】<潤滑剤>下塗層と磁性層からなる塗布層
に、役割の異なる潤滑剤を使用する。下塗層には全粉体
に対して0.5〜4.0重量%の高級脂肪酸を含有させ、0.
2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させる
と、磁気テープと走行系のガイドやMRヘッドのスライ
ダ等との動摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範
囲の高級脂肪酸添加が好ましいのは、0.5重量%未満で
は、動摩擦係数低減効果が小さく、4.0重量%を越える
と下塗層が可塑化してしまい強靭性が失われる。また、
この範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、
0.5重量%未満では、動摩擦係数低減効果が小さく、3.
0重量%を越えると磁性層への移入量が多すぎるため、
磁気テープと走行系のガイド等が貼り付く等の副作用が
あるためである。
【0063】磁性層には強磁性粉末に対して0.2〜3.0
重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.2〜3.0重量%の
高級脂肪酸のエステルを含有させると、磁気テープと走
行系のガイドローラやMRヘッドのスライダ等との動摩
擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の脂肪酸ア
ミドが好ましいのは、0.2重量%未満ではヘッドスライ
ダ/磁性層の動摩擦係数が大きくなりやすく、3.0重量
%を越えるとブリードアウトしてしまいドロップアウト
などの欠陥が発生する。脂肪酸アミドとしてはパルミチ
ン酸、ステアリン酸等のアミドが使用可能である。ま
た、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいの
は、0.2重量%未満では動摩擦係数低減効果が小さく、
3.0重量%を越えると磁気テープと走行系のガイド等が
貼り付く等の副作用があるためである。なお、磁性層の
潤滑剤と下塗層の潤滑剤の相互移動を排除するものでは
ない。
【0064】<LRT処理(ラッピング/ロータリー/
ティッシュ処理)>磁気テープを製造するに当たって
は、磁性層に対し、次に述べるラッピング、ロータリー
およびティッシュの各処理からなるLRT処理を施す。
これにより、表面の平滑性、MRヘッドのスライダ材料
やシリンダ材料との動摩擦係数や表面粗さ、表面形状が
最適化され、磁気テープの走行性の向上、スペーシング
ロスの低減、MR再生出力の向上を図ることができる。
【0065】(1)ラッピング処理: 研磨テープ(ラ
ッピングテープ)を、回転ロールによってテープ送り
(標準:400m/分)と反対方向に一定の速さ(標
準:14.4cm/分)で移動させ、上部からガイドブロッ
クによって押さえることによってテープ磁性層表面と接
触させる。この時の磁気テープ巻き出しテンションおよ
びラッピングテープのテンションを一定(標準:各10
0g、250g)として磁気テープに対する研磨処理を
行う。この工程で使用する研磨テープ(ラッピングテー
プ)は、例えば、M20000番、WA10000番あ
るいはK10000番のような研磨砥粒の細かい研磨テ
ープ(ラッピングテープ)である。なお、研磨ホイール
(ラッピングホイール)を研磨テープ(ラッピングテー
プ)の代りにまたは併用して使用することを排除するも
のではないが、頻繁に交換を要する場合は、研磨テープ
(ラッピングテープ)のみを使用する。
【0066】(2)ロータリー処理: 空気抜き用溝付
ホイール[標準:幅1インチ(25.4mm)、直径60m
m、空気抜き用溝2mm幅、溝の角度45度、協和精工株
式会社製]と磁性層とを、一定の接触角度(標準:90
度)でテープと反対方向に一定の回転速度(通常:20
0〜3000rpm、標準:1100rpm)で接触さ
せて処理を行う。
【0067】(3)ティッシュ処理: ティッシュ[例
えば東レ株式会社製の織布トレシー]を回転棒で各々バ
ックコート層および磁気層面をテープ送りと反対方向に
一定の速度(標準:14.0mm/分)で送り、磁気テープ
に対するクリーニング処理を行う。
【0068】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下
の実施例および比較例の部は重量部を示す。
【0069】実施例1: 《下塗層用塗料成分》 (1) ・酸化鉄粉末(粒径:0.11×0.02μm) 68部 ・アルミナ(α化率:50%、粒径:0.07μm) 8部 ・カーボンブラック(粒径:25nm) 24部 ・ステアリン酸 2.0部 ・塩化ビニル共重合体 10部 (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g) ・ポリエステルポリウレタン樹脂 4.5部 (Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g) ・シクロヘキサノン 25部 ・メチルエチルケトン 40部 ・トルエン 10部 (2) ・ステアリン酸ブチル 1部 ・シクロヘキサノン 70部 ・メチルエチルケトン 50部 ・トルエン 20部 (3) ・ポリイソシアネート 4.5部 ・シクロヘキサノン 10部 ・メチルエチルケトン 15部 ・トルエン 10部
【0070】 《磁性層用塗料成分》 (1) ・強磁性鉄系金属粉 100部 〔Co/Fe:25wt%、 Y/Fe :9.3wt%、 Al/Fe:3.5wt%、 Ca/Fe:0wt%、 σs :155A・m2 /kg、 Hc:188.2kA/m、 pH:9.4、 長軸長:0.10μm〕 ・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 11部 (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g) ・ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 (含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g) ・α−アルミナ(平均粒径:0.2μm) 15部 ・カーボンブラック 2.0部 (平均粒径:75nm、DBP吸油量:72cc/100g) ・メタルアシッドホスフェート 2部 ・パルミチン酸アミド 1.5部 ・ステアリン酸n−ブチル 1.0部 ・テトラヒドロフラン 65部 ・メチルエチルケトン 245部 ・トルエン 85部 (2) ・ポリイソシアネート 4部 ・シクロヘキサノン 167部
【0071】上記の下塗層用塗料成分において(1)を
ニーダで混練したのち、(2)を加えて撹拌し、さらに
サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、
これに(3)を加えて撹拌濾過したのち、下塗層用塗料
とした。これとは別に、上記の磁性層用塗料成分(1)
をニーダで混練したのち、サンドミルで滞留時間を45
分として分散し、これに磁性層用塗料成分(2)を加え
攪拌・濾過後、磁性塗料とした。上記の下塗層用塗料
を、ポリエチレンナフタレートフイルム〔厚さ4.5μ
m、MD=6.08GPa、(MD/TD)=1.3、帝人
製〕からなる非磁性支持体上に、乾燥、カレンダ後の厚
さが0.8μmとなるように塗布し、この下塗層上に、さ
らに上記の磁性塗料を磁場配向処理、乾燥、カレンダー
処理後の磁性層の厚さが0.15μmとなるようにウエッ
ト・オン・ウエット方式で塗布し、磁場配向処理後、ド
ライヤを用いて乾燥し、磁気シートを得た。なお、磁場
配向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(5kG)を
設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75
cmからN−N対抗磁石(5kG)を2基50cm間隔で設
置して行った。塗布速度は100m/分とした。
【0072】 《バックコート層用塗料成分》 ・カーボンブラック(粒径:25nm) 80部 ・カーボンブラック(粒径:370nm) 10部 ・酸化鉄(粒径:0.4μm) 10部 ・ニトロセルロース 45部 ・ポリウレタン樹脂(SO3 Na基含有) 30部 ・シクロヘキサノン 260部 ・トルエン 260部 ・メチルエチルケトン 525部
【0073】上記バックコート層用塗料成分をサンドミ
ルで滞留時間45分として分散したのち、ポリイソシア
ネート15部を加えてバックコート層用塗料を調整し濾
過し、次いで、上記で作製した磁気シートの磁性層の反
対面に、乾燥、カレンダ後の厚みが0.5μmとなるよう
に塗布し、乾燥した。このようにして得られた磁気シー
トを金属ロールからなる7段カレンダで、温度100
℃、線圧150kg/cmの条件で鏡面化処理し、磁気シー
トをコアに巻いた状態で70℃で72時間エージングし
たのち、1/2インチ幅に裁断して表面研磨前の磁気テ
ープとした。
【0074】次に、得られた磁気テープを200m/分
で走行させながら磁性層表面をラッピング処理、ロータ
リー処理、そして表面拭き取りのティッシュ処理を行
い、表面研磨済みの磁気テープを作製した。ラッピング
テープにはM20000、ロータリーにはAlホイル、
表面拭き取りには東レ製のトレシーを用い、走行テンシ
ョン50N/mで処理を行った。
【0075】次いで、図3および図4に示すように、こ
の実施例では、先端(刃先)の角度が60度のサファイ
ヤブレード(幅5mm、長さ20mm)10を磁気テープ1
の走行面に対してθ=5度傾け、このサファイヤブレー
ド10に、テープ幅方向の各テープ端から2.5mm幅領域
(それぞれテープ幅の約20%)のバックコート層表面
を接触させ、この状態で、張力50N/m、テープ送り
速度200m/分で磁気テープ1を所定方向(図3の矢
印X方向、図4で紙面を裏から表に貫く方向)に走行さ
せることにより、バックコート層2の表面における前記
2.5mm幅領域の長手方向の動摩擦係数がテープ幅方向の
中央部分2b(幅7.5mm)の長手方向の動摩擦係数より
も大きくなるように処理した。こうして得られた磁気テ
ープを図示しないカートリッジのケース本体内に組み込
んで、コンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製
した。
【0076】実施例2:バックコート層の両端処理工程
で用いるサファイヤブレード10の代わりに、表面粗さ
0.1S、φ5mmのステンレススティール棒(SUS31
4製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、磁気テ
ープおよび磁気テープカートリッジを作製した。
【0077】実施例3:バックコート層の両端表面処理
工程において、張力を10kg/m(約100N/m)に
した以外は、実施例1と同様にして、磁気テープおよび
磁気テープカートリッジを作製した。
【0078】比較例1:バックコート層の両端表面処理
工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、磁
気テープおよび磁気テープカートリッジを作製した。
【0079】比較例2:バックコート層の両端表面処理
工程において、サファイヤブレード10の代わりに、φ
5mmのスレンレススティール棒に巻き付け、送り速度1
4.4cm/分で走行させたラッピングテープK10000
で表面処理した以外は、実施例1と同様にして、磁気テ
ープおよび磁気テープカートリッジを作製した。
【0080】〔評価〕各実施例および比較例で最終的に
得られた磁気テープおよび磁気テープカートリッジにつ
いて、以下の測定を行って性能を評価した。
【0081】<バックコート層とSUSとの動摩擦係数
の測定>磁気テープの幅方向の両端部分と中央部分につ
いて、それぞれSUSとの動摩擦係数を調べるため、磁
気テープのテープエッジから2.5mmの幅に裁断したテー
プ(A)と、テープ幅の中央部2.5mm幅に裁断したテー
プ(B)を作製した。これらを、それぞれ、外径5mmの
SUSピン(SUS304)に角度90°、荷重0.64
Nで掛け、テープ(A)およびテープ(B)の同一箇所
を送り速度20mm/秒で繰り返し10回摺動させたとき
の動摩擦係数を測定し、テープ(A)について得られた
動摩擦係数をμa、テープ(B)について得られた動摩
擦係数をμbとした。
【0082】<エッジウィーブ量およびテープ長手方向
周期の測定>走行基準側となるテープエッジのエッジウ
ィーブ量は、サーボライタ(日立マクセル社製)にテー
プ幅方向変位測定装置(日立マクセル社製)を取り付
け、テープ長さ50mにわたって行った。次いで、得ら
れたテープ幅方向変位量のフーリエ解析を行い、エッジ
ウィーブ量およびテープ長手方向周期の測定を行った。
【0083】<PESおよびオフトラック量の測定>P
ESおよびオフトラック量は、改造したLTOドライブ
(記録トラック幅:20.6μm、再生トラック幅:12
μm)を用いて記録(記録波長0.37μm)・再生した
時の再生出力変動から求めた。
【0084】<テープの巻き姿>長さ85mの磁気テー
プをリールに巻き取り、LTOドライブで100回全長
繰り返し走行させ、テープの巻き姿を目視で5段階評価
した(巻き姿が最も良好なものを5、最も悪いものを1
とした)。
【0085】以上の測定結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】表1に示したように、比較例1・2ではテ
ープがリールに巻き取られる際にテープ幅方向に変動し
た結果、巻き姿が良好とは言えなかったのに対し、本発
明の実施例1〜3では、テープが真っ直ぐに走行したた
めにテープエッジが揃った状態でリールに巻き取られた
結果、良好な巻き姿が得られた。また、記録トラック幅
が21μmと狭いにもかかわらず、実施例1〜3の磁気
テープに係るPESおよびオフトラックの値は、比較例
1・2のものに比べて一桁も小さかった。こうして、本
発明の各実施例に係る磁気テープによれば、良好な直進
性と巻き姿が得られるとともに、PESが小さく、記録
トラック幅が約21μm以下と狭い場合にも、オフトラ
ックの生じにくいことが確認できた。
【0088】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、優れた
直進性と良好な巻き姿が得られるとともに、PESが小
さく、記録トラック幅が25μm以下、特に15μm以
下と狭い場合にも、オフトラックの生じにくい磁気テー
プが得られる。言い換えれば、エラーレートの低いサー
ボ特性に優れた磁気テープが得られ、したがって例えば
コンピュータ用のバックアップテープとして好適な信頼
性の高い磁気テープが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明磁気テープのバックコート層において長
手方向の動摩擦係数を異ならせる領域を説明するために
使用したもので、磁気テープをバックコート層側からみ
た斜視図である。
【図2】磁気テープに存在するエッジウィーブを説明す
るために使用したもので、磁気テープをその一部拡大図
ととともに示す平面図である。
【図3】本発明の実施例において、バックコート層表面
のテープ幅方向両端部分の動摩擦係数をテープ幅方向中
央部分のそれに比べて大きくするために採用した処理工
程を説明するために使用したもので、バックコート層の
テープ幅方向両端部分にブレードを接触させて磁気テー
プを走行させる状態を示す側面図である。
【図4】図3のテープ走行方向側からみた一部省略正面
図である。
【図5】本発明の実施例において、磁気テープ原反をス
リッティングする際に使用したスリッティングシステム
の一部簡略化した構成図である。
【図6】スリッティングシステムに備えられるテンショ
ンカットローラのサクション吸引部を一部簡略化して示
す部分断面図である。
【図7】磁気記録再生装置に備えられるガイドローラに
沿って磁気テープが走行する状態を説明するために使用
したもので、ガイドローラの周面近傍をその外方側から
みた図である。
【符号の説明】
1 磁気テープ 1a・1a’ テープエッジ 2 バックコート層 2a・2a バックコート層表面のテープ幅方向両端部
分 2b バックコート層表面のテープ幅方向中央部分 L 磁気テープ幅 f エッジウィーブの周期 α エッジウィーブ量

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上の一面に、少なくとも一
    層の下塗層と、磁性層とがこの順に形成され、反対面に
    バックコート層が形成されており、前記磁性層またはバ
    ックコート層にトラッキング制御用のサーボ信号が記録
    された磁気テープであって、前記バックコート層におけ
    るテープ幅方向の両端から中心に向かってそれぞれテー
    プ幅の20%に相当するテープ幅方向両端部分の長手方
    向の動摩擦係数をμaとし、テープ幅の60%に相当す
    るテープ幅方向中央部分の長手方向の動摩擦係数をμb
    としたときに、後者に対する前者の比(μa/μb)が
    1.1〜1.5であることを特徴とする磁気テープ。
  2. 【請求項2】 記録トラック幅が25μm以下で、か
    つ、テープ走行時に走行基準側となるテープエッジまた
    はその反対側となるテープエッジに存在する周期50mm
    以下のエッジウィーブのエッジウィーブ量が1.5μm以
    下である請求項1記載の磁気テープ。
  3. 【請求項3】 サーボ信号は磁気テープの磁性層または
    バックコート層に磁気信号として記録されている請求項
    1または2記載の磁気テープ。
  4. 【請求項4】 サーボ信号は磁気テープのバックコート
    層に光学信号として記録されている請求項1ないし3の
    いずれかに記載の磁気テープ。
  5. 【請求項5】 磁気抵抗効果型素子を利用した再生ヘッ
    ドによって磁気記録信号が再生される請求項1ないし4
    のいずれかに記載の磁気テープ。
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