JP2003020527A - 炭素繊維とその製造方法及びその用途 - Google Patents

炭素繊維とその製造方法及びその用途

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JP2003020527A
JP2003020527A JP2001203402A JP2001203402A JP2003020527A JP 2003020527 A JP2003020527 A JP 2003020527A JP 2001203402 A JP2001203402 A JP 2001203402A JP 2001203402 A JP2001203402 A JP 2001203402A JP 2003020527 A JP2003020527 A JP 2003020527A
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boron
fine carbon
heat treatment
fiber
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Toshio Morita
利夫 森田
Tatsuyuki Yamamoto
竜之 山本
Toshiaki Miura
利明 三浦
Morihiko Yamada
守彦 山田
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Showa Denko KK
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高導電率の微細な炭素繊維、金属含有量の少な
い炭素繊維及びそれらの製造法を提供すること。 【解決手段】X線回折法で求めた層面間隔d002が0.
337nmを超え、繊維径1000nm以下、圧密比抵
抗が0.02Ω・cm以下の微細な炭素繊維及び金属含
有量が500質量ppm以下である微細な炭素繊維であ
る。この炭素繊維は気相法、アーク放電法、レーザー法
等で製造される微細な炭素繊維を原料とし、これにホウ
素またはホウ素化合物を炭素繊維に接触させることなく
共存し、これを2000℃以上の温度で熱処理すること
により製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属、樹脂、セラミ
ック他の各種の材料に添加して、導電性や熱伝導性を改
善するために使用するフィラー材として、またFED
(フィールドエミッションディスプレー)用の電子放出
素材として、更には各種電池の特性改善材料等のフィラ
ー材として用いられる微細な炭素繊維(繊維状炭素を含
む)及びその製造方法に関する。
【0002】また、この微細な炭素繊維を含む導電性組
成物を用いて得られる、例えば導電性膜、導電性フィル
ム、導電性シート等に関する。
【0003】また、乾電池、Pb蓄電池、キャパシタや
最近のLiイオン2次電池をはじめとする各種二次電池
の正極または負極にこの微細な炭素繊維を添加して充放
電容量の改善、極板の強度を改善した電池用電極に関す
る。
【0004】
【従来の技術】微細な炭素繊維は一般に炭化水素の熱分
解による気相法で製造されている(特開平7−1504
19号公報、特開平5−321039号公報、特開昭6
0−215816号公報、特開昭61−70014号公
報、特公平5−36521号公報、特公平3−6176
8号公報等)。その繊維は直径が通常10〜5000n
m程度である。また、径が10nm以上であれば、気相
法の炭素繊維と同様の同心円状、年輪状の構造を持つカ
ーボンナノチューブやカーボンナノファイバーも含まれ
る。
【0005】微細な炭素繊維は金属、樹脂、セラミック
等への充填材(フィラー)としての用途が提案されてい
る。特に近年小型の携帯電話、ビデオカメラ、ノート型
パソコン等のポータブル機器の発展が著しく、それに使
用する電源としてLiイオン2次電池(Li電池)をは
じめとする小型の2次電池の需要が急激に伸びており、
その電池のフィラーとしての用途が検討されている。
【0006】Li電池の電極に使用される負極用の炭素
材料は、通常各種のハードカーボン、メソフェーズカー
ボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチ
カーボンファイバー(MPCF)、人造黒鉛、各種コー
クス、それに天然黒鉛等である。またこれらの負極材に
ピッチ系等の炭素繊維や気相法炭素繊維を添加すること
も提案されている。また正極には導電性付与剤として、
黒鉛微粉やカーボンブラック等も用いられている。
【0007】Li電池の負極は充放電の際リチウムイオ
ンのインターカレーション(挿入)及びデインターカレ
ーション(放出)が行われる。黒鉛は層状構造をしてお
り、反応物質(例えばLi)が層間を押し拡げ挿入する
反応(インターカレーション)を生じやすい。その反応
物質が層間に入った生成物を層間化合物(Graphi
te Intercalation Compound
s)という。また、この層間化合物は反応物質を放出
(デインターカレーション)して容易に元の黒鉛に戻
る。微細な炭素繊維は導電性や、熱伝導性の優れた材料
であり、かつインターカレーション能力を有するので、
添加しても電池の容量を下げることはなく、負極材の添
加剤として注目されている。
【0008】Li電池の高容量化にはこのインターカレ
ーション能力を上げることが第一である。インターカレ
ーション能力を上げるには一般に炭素材料の黒鉛化度、
即ち結晶性を高めることが必要となり、微細な炭素繊維
についても同様である。
【0009】鉛蓄電池の負極は元来導電性の悪い物質で
構成されており、その負極の導電性を向上させるためカ
ーボンブラック、黒鉛微粒子、炭素繊維等の炭素材料を
添加することができ、この場合も導電性の高いものが望
まれている。このような炭素材料の結晶性を向上させる
ためには、通常、高温で処理する黒鉛化方法が用いられ
ている。
【0010】粉末炭素材料として、例えば、特開平8−
31422号公報には、ピッチから得た炭素粉末にホウ
素化合物を混合して熱処理し黒鉛化した、放電容量と充
放電効率に優れた炭素粉末が提案されている。また、特
開平2001−106518号公報には、ホウ素含有炭
素材を黒鉛化熱処理し、さらにホウ素を固溶させるため
の熱処理を行った放電容量と充放電効率に優れた黒鉛粉
末を提案されている。これらは炭素質粉末とホウ素化合
物粉末との混合に際して、両者の接触面積が大きくなる
ように均一に分散させるためには粒度の調整、混合方法
の選択等を行っている。
【0011】一方、平均繊維径が小さい、特に1000
nm以下のような微細な炭素繊維は、嵩密度が小さく充
填性が上らないので、電極中にこの炭素繊維を大量に添
加すると、電極密度が低下する。従って通常は20質量
%以下、好ましくは10質量%以下しか添加されていな
い。そのために、このような微細な炭素繊維の結晶性を
向上させようとする提案がある。
【0012】また、高容量化の要求に伴い、大量の電流
を充放電するため電極の電気抵抗の低い材料が要求され
ている。
【0013】電極の抵抗値を下げるために、各種の導電
付与材の添加が検討されているが、気相法炭素繊維を主
とする繊維状物質のフィラーが有効であることが知られ
ている。その理由は、 1)微細な繊維物質は100以上のアスペクト比を持
ち、導電パスが長いこと。 2)気相法炭素繊維は結晶性が良く、導電性に優れてい
ること。 3)気相法炭素繊維自身も充放電能力を持ち、添加して
もLi電池の容量の低下を起こさない。等である。
【0014】本発明者らは、黒鉛化触媒を用いて径が1
000nm以下の微細な炭素繊維の物性を制御する試み
を行い、微細な炭素繊維にホウ素またはホウ素化合物を
添加し、2000℃以上の温度で熱処理することで炭素
繊維の結晶性を高めることを提案したが、電池特性、導
電体特性に影響を与える炭素繊維に含まれる金属成分の
含有量を効率良く減少させる課題については十分でなか
った。また、ホウ素またはホウ素化合物を微細な炭素繊
維に添加して均一に分散させている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を鑑み、導電性のよい、金属成分の含有量が少ない微細
な炭素繊維を開発すること及びその繊維を含む導電体組
成物、該組成物を用いた導電体、その繊維をフィラーと
して、より性能の高い電池用電極、該電極を備えた二次
電池を提供することを目的とする。
【0016】また、導電性のよい、金属成分の含有量が
少ない微細な炭素繊維の製造方法を提供することを目的
とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するために先ず黒鉛化触媒であるホウ素またはホウ素
化合物の添加方法を鋭意検討した結果、微細な炭素繊維
にホウ素またはホウ素化合物を均一に分散させ混合させ
る方法ではなく、微細な炭素繊維に接触させることなく
ホウ素またはホウ素化合物を共存させる方法を見出し
た。
【0018】また、このような特殊な結晶構造を持つ微
細な炭素繊維が、ホウ素またはホウ素化合物を接触させ
ることなく共存させた方法で、炭素繊維の結晶性、導電
性、熱伝導性、炭素繊維に含まれる金属成分の含有量等
が改善できることを見出した。
【0019】すなわち、本発明によれば以下の微細な炭
素繊維、その製造方法、その用途が提供される。 1)微細な炭素繊維にホウ素またはホウ素化合物を熱処
理前に接触させることなく共存させ、2000℃以上の
温度で熱処理することを特徴とする微細な炭素繊維の製
造方法。 2)微細な炭素繊維にホウ素またはホウ素化合物を熱処
理前に接触させることなく共存させ、その微細な炭素繊
維の嵩密度を0.03g/cm3以上にし、該嵩密度を
維持しながら炭素繊維を2000℃以上の温度で熱処理
することを特徴とする微細な炭素繊維の製造方法。 3)ホウ素またはホウ素化合物の共存量がホウ素原子と
して炭素繊維に対し、0.1〜20質量%である上記
1)または2)記載の微細な炭素繊維の製造方法。 4)ホウ素またはホウ素化合物を熱処理前に接触させる
ことなく共存させる熱処理前の微細な炭素繊維が、未焼
成品である上記1)乃至3)のいずれか1つに記載の微
細な炭素繊維の製造方法。 5)ホウ素またはホウ素化合物を熱処理前に接触させる
ことなく共存させる熱処理前の微細な炭素繊維が、直径
1〜1000nm、アスペクト比10以上の炭素繊維で
ある上記1)乃至4)のいずれか1つに記載の微細な炭
素繊維の製造方法。 6)ホウ素またはホウ素化合物を熱処理前に接触させる
ことなく共存させる熱処理前の微細な炭素繊維が、シー
ドとなる遷移金属またはその化合物を用いた気相法によ
り製造された炭素繊維である上記5)に記載の微細な炭
素繊維の製造方法。 7)シードとなる遷移金属またはその化合物が、Fe、
Ni、Co、Moからなる群から選ばれた少なくとも1
種を含む遷移金属またはその化合物である気相法により
製造された炭素繊維である上記6)に記載の微細な炭素
繊維の製造方法。 8)繊維径が1〜1000nm、アスペクト比が10〜
15000、X線回折法で求めた炭素の層面間隔d002
が0.337nmを超え、圧密比抵抗が0.02Ω・c
m以下の微細な炭素繊維。 9)Feの含有量が、500質量ppm以下である上記
8)に記載の微細な炭素繊維。 10)Fe、Ni、Co、Moのそれぞれが50質量p
pm以下である上記8)に記載の微細な炭素繊維。 11)ホウ素(ボロン、B)を炭素繊維の結晶内に0.
01〜3質量%含有する上記8)乃至10)のいずれか
1つに記載の微細な炭素繊維。 12)上記1)乃至7)のいずれか1つに記載の微細な
炭素繊維の製造方法で得られた炭素繊維を含む導電性組
成物。 13)上記8)乃至11)のいずれか1つに記載の微細
な炭素繊維を含む導電性組成物。 14)上記12)または13)に記載の導電性組成物に
よって形成された導電体。 15)導電体が塗膜、吹き付け膜、フィルム、またはシ
ートである上記14)の導電体。 16)上記8)乃至11)のいずれか1つに記載の微細
な炭素繊維を含む電池用電極。 17)微細な炭素繊維の含有量が、0.1〜20質量%
である上記16)に記載の電池用電極。 18)上記16)に記載の電池用電極を備えた、二次電
池。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の微細な炭素繊維は、X線
回折用で求めた層面間隔d002値が限定されるものでは
ないが、望ましくはホウ素を含有し、かつd002の値が
0.337nmを超えるものである。これらの繊維は径
(直径)が好ましくは1〜1000nm、アスペクト比
は繊維としての機能をもたせるために10以上が好まし
く、さらに好ましくは50以上である。
【0021】繊維径が10nm未満では、繊維の強度に
関して、電池用の電極や樹脂等のフィラーとして使用し
た場合に繊維の切断等が多くなり、繊維としての機能が
損なわれ易い。一方繊維は、フィラーとしての添加率
(質量%)を一定とした場合、太くなるとそれだけ繊維
の本数が減ることになり、フィラーとしての繊維の機能
が十分発揮されない。また例えば電池用の負極材として
の炭素電極には黒鉛の粒が含まれているが、繊維が太い
と、この粒子間に繊維が入りにくい。また繊維径が10
00nmより太くなると繊維自体の生産性が低下するの
で、工業的にコストが高くなる。これらのことから繊維
径は1000nm以下が好ましい。
【0022】繊維の長さは特に制限なく、その下限はア
スペクト比(繊維長さ/繊維の直径)の下限から定まる
長さが好ましい。繊維の長さは、長すぎると繊維の絡み
合い等によりフィラーとしての分散性に問題が生じるの
で、従って例えばアスペクト比が50以上の場合、繊維
径が10nmでは繊維長さは500nm以上、径が10
0nmでは長さは5000nm以上が好ましい。その上
限はいずれも好ましくは400000nm、さらに好ま
しくは100000nmである。
【0023】本発明の上記した微細な炭素繊維はホウ素
を繊維の結晶構造の中に取り込み、その触媒的な作用に
より製造することができる。効果的なホウ素の含有量は
一般的には0.01〜3質量%、好ましくは0.1〜3
質量%である。
【0024】次に本発明の微細な炭素繊維の製造法につ
いて説明する。
【0025】(出発原料としての炭素繊維)本発明の製
造法において出発原料とする炭素繊維はベンゼン等の有
機化合物の熱分解により気相で成長させた微細な炭素繊
維を用いることができる。例えば前記した特開平7−1
50419号公報、特開平5−321039号公報、特
開昭60−215816号公報、特開昭61−7001
4号公報、特公平5−36521号公報、特公平3−6
1768号後方等の方法で製造することができる。ま
た、繊維径が2nm以上であれば、同じ年輪構造をもつ
カーボンナノチューブやカーボンナノファイバーと呼ば
れる微細な繊維状物質も使用できる。従って、アーク放
電法やレーザー法等によって製造される多重構造のカー
ボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等について
も使用できる。
【0026】この微細な炭素繊維は熱処理だけでは充分
な結晶性の向上が望めず、黒鉛化触媒としてはホウ素
(B)が特に有効であった。通常の炭素材についてはホ
ウ素を添加して熱処理し、結晶性を高めることは種々検
討されている。
【0027】(特開平8−31422号公報、特開平8
−306359号公報、特開2001−106518号
公報)。
【0028】しかし、径が1000nm以下の微細な気
相法炭素繊維に対して、気相法炭素繊維は繊維の切断面
の結晶構造が年輪状に発達した長葱状の繊維である。繊
維の長さは、製造条件によって異なるが、例えば10〜
1000nm程度の径の繊維では単繊維だけでなく枝別
れした繊維も多く存在するので明確には規定し難いが、
直線部分を走査型電子顕微鏡で測定した限りでは、平均
が少なくとも5000nm以上あるものがほとんどであ
る。また、この繊維は長繊維に加えて枝分れした微細な
繊維を含むために、長い繊維はもちろんのこと、500
0nm程度の短い繊維であっても、少なくとも大きさが
10000nm以上、場合によっては100000nm
以上の大きなフロック状になり易い。従って、集合体と
しての嵩密度は小さく0.05g/cm3以下、通常は
0.01g/cm3以下である。しかもフロック状の立
体構造を持っているので、黒鉛化触媒との接触が難し
く、均一にホウ素化し難いと考えられる。
【0029】従って、ホウ素をドーピングするために
は、原料の微細な炭素繊維としてドーピングしやすい、
あまり結晶の発達していない、低温熱処理品例えば15
00℃以下で熱処理された繊維をもちいるか、好ましく
は熱処理していない(アズグロウン)状態の炭素繊維を
用いる。熱処理していない繊維であってもホウ素の触媒
を用いた処理(ホウ素化処理)の時に、最終的には黒鉛
化温度まで加熱処理されるので、結晶の未発達のもので
も十分使用できる。2000℃以上、好ましくは230
0℃以上の温度で黒鉛化処理された繊維を用いることも
できなくはないが、エネルギーの削減の面から考えれば
何ら前もって黒鉛化しておく必要はなく、むしろ熱処理
していないものを用いて黒鉛化と同時に触媒作用を働か
せる方が好ましい。
【0030】原料の微細な繊維としては取扱いやすくす
るため、あらかじめ解砕、粉砕したものを用いることは
できるが、ホウ素またはホウ素化合物を接触させずに共
存させて熱処理した後でも最終的には解砕、粉砕、分級
等のフィラー化処理をするので、熱処理の前にフィラー
等としての適正な長さにしなくても良い。気相成長法で
一般的に得られる太さ(径)1〜1000nm程度、長
さ500〜400000nm程度の炭素繊維をそのまま
用いることができる。これらはフロック状になっていて
もよい。また原料繊維は熱処理したものでもよいが、熱
処理温度は1500℃以下とすることが好ましい。
【0031】(ホウ素またはホウ素化合物)熱処理に使
用するホウ素またはホウ素化合物は次のような物性のも
のが適する。熱処理は2000℃以上の温度で行われる
ので、少なくとも2000℃に達する前に分解等によっ
ても蒸発しない物質、例えば、元素状ホウ素、B22
23、B43、B45等のホウ素酸化物、オルトホウ
酸、メタホウ酸、四ホウ酸等のホウ素オキソ酸やその
塩、B4C、B6C等のホウ素炭化物、BNその他のホウ
素化合物を使用する。好ましくは、B4C、B6C等のホ
ウ素炭化物、元素状ホウ素がよい。
【0032】炭素にホウ素をドーピングできる量は、一
般的には3質量%以下である。従ってホウ素またはホウ
素化合物を炭素繊維に接触させることなく共存させると
きのホウ素またはホウ素化合物の使用量は反応率を考慮
して炭素量に対してホウ素原子換算で5質量%以上存在
していればよい。ホウ素の使用量が少ないと十分な効果
が得られない。
【0033】また、従来の添加、混合による方法では過
剰のホウ素またはホウ素化合物が、熱処理の段階で、溶
融燒結し易く、固まったり、繊維表面を被覆し、電気抵
抗を上昇させるなどフィラー特性が失われること、ま
た、製造時に使用するシードとなる遷移金属またはその
化合物由来の金属成分が繊維の結晶内、表面で液化した
ホウ素と反応し易くホウ化物(ホウ化金属)になる場合
があったが、本発明の方法では炭素繊維にホウ素または
ホウ素化合物を接触させないので、これらの問題点は改
善されている。
【0034】微細な炭素繊維は3次元の立体構造を持
ち、フロック状を形成し易いだけでなく、嵩密度が極め
て小さく空隙率が非常に大きい。しかも添加するホウ素
量は少量なので、単に両者を混合しただけでは両者を均
一に接触させることは難しい。
【0035】ホウ素の導入反応を効率よく行うには繊維
とホウ素またはホウ素化合物をよく混合し、できるだけ
均一に接触させる。そのためには、ホウ素またはホウ素
化合物の粒子はできるだけ粒径の小さいものを使用する
必要があったが、本発明の方法では、炭素繊維の粒径の
制限はなく、粒子が大きくても部分的に高濃度領域が発
生することがなく、固結化も発生しにくい。
【0036】気相法による微細な炭素繊維は先に述べた
ように、嵩密度が小さく、製造されたままの集合体では
約0.01g/cm3以下、またこれを熱処理し解砕粉
砕分級した通常品でも0.02〜0.08g/cm3
度である。従って本微細な炭素繊維は多くの空隙率を持
つので、これを熱処理するには非常に容量の大きな熱処
理炉が必要で設備コストが高くなるだけでなく、生産性
も悪い。従って、通常の炭素材料の場合と異なり、効率
的な方法でホウ素を導入する方法を開発する必要があ
る。
【0037】また、ホウ素の導入反応を効率よく反応さ
せるには炭素の周囲のホウ素濃度を十分に保持する必要
がある。そのためには、両者を直接接触させたいが、触
媒金属とホウ素が反応したホウ化物が過剰に残る場合が
あり、直接接触させることなく、また熱処理の過程で、
濃度のかたよりがおきないようにしなければならない。
【0038】そのため、熱処理前に繊維とホウ素または
ホウ素化合物が固体同士で直接接触しないように、例え
ば別々の容器(ルツボ等)に入れたり、ホウ素またはホ
ウ素化合物を炭素繊維布で包むなどして、共存させ熱処
理することもできるが、好ましくは高密度化し、且つそ
の状態をできるだけ維持(固定化)して熱処理する。そ
の好ましい方法として、本発明では熱処理前に、炭素繊
維を充填した容器の中に、ホウ素またはホウ素化合物を
入れた容器を入れた後、圧力を加えて圧縮し、高密度化
して固定化した。
【0039】使用する原料繊維は先に述べたように製造
されたままのものでも、その繊維の1500℃以下の温
度での処理品でもよい。ただ、経済的にも、性能的にも
製造されたままのものを混合する方法が好ましい。
【0040】繊維とホウ素またはホウ素化合物を高密度
化し、固定化する方法としては、成形法、造粒法、ある
いは、混合物をルツボにいれて一定の形状に圧縮して、
詰め込む方法等何れの方法でも良い。また成形法の場
合、成形体の形状は円柱状、板状や直方体等何れの形状
でもよい。
【0041】圧縮して成形体とした後、圧力を開放する
と多少容積が膨らみ、嵩密度が下がることもあるが、そ
の場合は圧縮時の嵩密度を圧力開放後の固定化の嵩密度
が0.03g/cm3以上になるようにする。また繊維
を容器に入れる場合も、処理効率を上げるために、加圧
板等を用いて嵩密度が0.03g/cm3以上になるよ
うに圧縮したり、また圧縮したまま熱処理することもで
きる。
【0042】(熱処理方法)このようにしてホウ素また
はホウ素化合物を熱処理前に接触させることなく共存さ
せた繊維を熱処理する。
【0043】ホウ素を炭素の結晶内に導入するために必
要な処理温度は2000℃以上、好ましくは2300℃
以上である。処理温度が2000℃に満たないとホウ素
と炭素との反応性が悪く、ホウ素の導入が難しい。ま
た、ホウ素の導入を一層促進し、かつ炭素の結晶性を向
上させ、特に径が約100nm程度の繊維でd002
0.3385nm以下にする必要がある場合には230
0℃以上に保つことが好ましい。熱処理温度の上限は特
に制限はないが、装置等の制限から3200℃程度であ
る。
【0044】使用する熱処理炉は2000℃以上、好ま
しくは2300℃以上の目的とする温度が保持できる炉
であればよく、通常の、アチソン炉、抵抗炉、高周波炉
他の何れの装置でもよい。また、場合によっては、粉体
または成形体に直接通電して加熱する方法も使用でき
る。
【0045】熱処理の雰囲気は非酸化性の雰囲気、好ま
しくはアルゴン、ヘリウム、ネオン等の1種もしくは2
種以上の希ガス雰囲気でよい。熱処理の時間は、生産性
の面からは出来るだけ、短い方が好ましい。特に長時間
加熱していると、燒結し固まってくるので、製品収率も
悪化する。従って、成形体等の中心部の温度が目標温度
に達した後、1時間以下の保持時間で十分である。
【0046】得られたファイバーの粉体抵抗を測定し
た。測定方法は次に示す方法である。
【0047】本測定セルは、図1に示すように10mm
×50mm角で深さが100mmのセル4と押し込みの
ための圧縮ロッド2及び受け器3からなる。セルに一定
量の粉体を入れ、上部から圧縮ロッド2に圧力をかけ粉
体を圧縮していく。
【0048】そして、圧力と体積を測定しながら、順次
加圧方向と垂直の方向に設置された電極1から電流10
0mAを流し、受け器から出た2つの測定端子6の10
mm間の電圧(E)Vを読み、以下の式から抵抗値
(R)Ω・cmを計算する。
【0049】R=E/100 (Ω・cm)
【0050】粉体抵抗は密度によって異なるので、その
評価は一定密度の値で比較する。本測定では、粉体密度
が0.8g/cm3の時の値で比較する。本発明の微細
な炭素繊維では、導電性の向上が見られ、0.02Ω・
cm以下、具体的には概ね0.005Ω・cmの圧密比
抵抗値が得られた。従来の微細な炭素繊維とホウ素また
はホウ素化合物を均一に混合して熱処理を行う方法で得
られた繊維には、例えば気相法炭素繊維では製造時に使
用するシードとなる遷移金属またはその化合物由来の金
属成分が繊維の結晶内、表面で液化したホウ素と反応し
易くホウ化金属になる場合がある。そのため、熱処理後
の微細な炭素繊維に金属成分が不純物として残る。用途
に応じて、この金属成分を減少させる必要があるが、本
発明の微細な炭素繊維では、ホウ素またはホウ素化合物
が炭素繊維に接触した状態でなく、例えばホウ素または
ホウ素化合物を入れた容器の周囲に炭素繊維を充填して
非接触状態で共存させて熱処理を行っている。そのた
め、遷移金属またはその化合物由来の金属成分が繊維の
結晶内、表面でホウ素と反応するよりはホウ素濃度が高
いホウ素またはホウ素化合物を入れた容器内、その周辺
で気化した金属蒸気が反応して、そこでホウ化金属とな
ると考えられる。その結果、本発明の微細な炭素繊維は
金属成分含有量が極めて少なく、例えばFe含有量が従
来では約700質量ppm以上であったが、500質量
ppm以下、具体的には50質量ppm以下、さらには
10質量ppm以下にすることが可能である。金属成分
としては、実質的にホウ素またはホウ素化合物と反応が
起これば特に制限されないが、Fe、Ni、Co、Mo
が好ましく、さらにFeが好ましい。
【0051】さて繊維は熱処理すると一部分が燒結し、
通常品と同様にブロック状になっている。従って、その
ままでは電極等に添加したり、電子放出能材に使用する
ことは出来ないので成形体を解砕し、フィラー材として
適する形態にしなければならない。
【0052】そのため、このブロックを、解砕、粉砕、
分級してフィラー材として適するように処理をすると同
時に、非繊維物を分離する。その際に粉砕し過ぎるとフ
ィラー性能が低下し、また粉砕が不十分だと電極材との
混合がうまくいかず、添加効果が出ない。
【0053】フィラーとして望ましい形態にするために
は、熱処理後のブロック状のものを先ず、2mm以下の
大きさに解砕し、更に粉砕機で粉砕する。解砕機として
は通常使用されるアイスクラッシャーやロートプレック
ス等の解砕機が使用できる。粉砕機としては、衝撃型の
粉砕機のパルペライザーや自由粉砕機、また、ミクロジ
ェット等の粉砕機が使用出来る。非繊維物を分離する分
級は気流分級等で行うことが出来る。粉砕分級条件は、
粉砕機の種類や、操作条件によって異なるが、フィラー
特性を発揮させるためには、繊維の長さが5000〜4
00000nmの範囲にするのが好ましい。アスペクト
比は好ましくは10以上、さらに好ましくは50以上で
ある。この繊維を粉砕分級後の嵩密度で表すと0.00
1g/cm3以上で0.2g/cm3以下、好ましくは、
0.005g/cm3以上で0.15g/cm3以下、更
に好ましくは0.01g/cm3以上で0.1g/cm3
以下である。嵩密度が0.2g/cm3以上になると、
太さによっては繊維の長さが5000nm以下のように
短くなりフィラー効果が低下する。また0.001g/
cm3より小さいと繊維が径によっては400000n
mを超えるような長いものとなり、フィラーとしての詰
まりが悪くなる。嵩密度は容器に繊維を充填し、振動さ
せ、体積がほぼ一定に達したときの体積と質量から求め
たタッピング嵩密度である。
【0054】本発明の微細な炭素繊維は電池用電極に添
加し、電池の性能を向上することが出来る。電池として
は、リチウム電池、鉛蓄電池、ポリマー電池、乾電池等
の電極板の導電性を向上したり、インターカレーション
能力を必要とする電池を上げることが出来る。本発明の
微細な炭素繊維は、導電性が良いので、これらの電池の
導電性を高めることが出来るばかりでなく、リチウム電
池では負極用炭素材料としてのインターカレーション能
力が大きいので充放電容量を増加することが出来る。特
にd002が0.3420nm以下の微細な炭素繊維は上
記の効果が大きいが、ホウ素含有の炭素繊維はd002
値が上記の範囲外であっても、ホウ素を含有しない微細
な炭素繊維に比べて導電性が高いので、上記の用途に使
用することができる。
【0055】電極中への微細な炭素繊維の添加量は、
0.1質量%以上で20質量%以下の範囲が好ましい。
添加量が20質量%より大きくなると電極中の炭素の充
填密度が小さくなり、電池にしたときの充放電容量が低
下する。また、0.1質量%より少なくなると添加効果
が少ない。
【0056】微細な炭素繊維を添加して電極とするに
は、例えばリチウム電池の負極は、黒鉛粉末やメソフュ
ーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)等が用いられ
るが、これに微細な炭素繊維及びバインダーを添加し、
充分に混練して繊維が出来るだけ均一に分散するように
する。
【0057】
【実施例】以下実施例により具体的に説明し、また電極
のフィラーとしての効果を明らかにする。
【0058】(実施例1)出発原料である微細な炭素繊
維は、遷移金属を含有する有機化合物の存在のもとにベ
ンゼンを熱分解する公知の方法(例えば特開平7−15
0419号公報)で得た気相法炭素繊維をさらに120
0℃で熱処理した。このフロック状に集合した繊維を解
砕し、嵩密度を0.02g/cm3、繊維の長さを10
00〜50000nmとした。繊維の太さ(径)は大部
分が500nm以下(SEM写真で観察した平均的な径
は100〜200nm)である。この繊維のX線回折に
よる層面間隔d002は0.3407nmで、Fe含有量
は19300質量ppmである。
【0059】図2に示すように、この繊維245gを黒
鉛製(ルツボ)容器7(内径140mm×高さ160m
m)に充填し、その中にB4C粉末(電気化学(株)
製)5gを充填した黒鉛製(ルツボ)容器8(内径30
mm×高さ35mm)の蓋(密閉するのではなく)をし
て、詰め込み、圧縮して嵩密度を0.075g/cm3
とした。黒鉛製の加圧板で圧縮したまま蓋をし、アルゴ
ン雰囲気下、高周波炉に入れて加熱処理をした。このと
きの温度は2800℃であり、2800℃になってから
の加熱時間は、60分間である。
【0060】加熱処理後冷却し、ルツボ内の上部9、中
部10、下部11よりそれぞれ繊維を取り出し、約2m
m程度に荒解砕した後バンタムミルで粉砕し、その後非
繊維状物を気流分級で分離した。
【0061】得られた繊維の太さは変わらないが、長さ
は5000〜30000nmであった。この繊維の嵩密
度、X線回折によるd002値、圧密比抵抗値、蛍光X線
によるFe含有量を表1に示す。
【0062】また、B4C粉末(電気化学(株)製)5
gを充填した黒鉛製(ルツボ)容器8は内容物が金属光
沢を示していて、EPMA(電子プローブX線マイクロ
アナライザー:加速電圧20kV、電子線入射角度60
度、X線取出し角度39度、プローブ電流0.1nA、
ZAF補正法スタンダードレス)で分析した結果、図3
に示すようにFe元素が検出された。
【0063】(実施例2)出発原料である微細な炭素繊
維は、実施例1同様遷移金属を含有する有機化合物の存
在のもとにベンゼンを熱分解する公知の方法で得た、こ
の炭素繊維を熱処理せずそのまま解砕し、嵩密度を0.
01g/cm3、繊維の長さを1000〜50000n
mとした。繊維の太さ(径)は大部分が500nm以下
(SEM写真で観察した平均的な径は100〜200n
m)である。
【0064】この繊維240gを黒鉛製(ルツボ)容器
7(内径140mm×高さ160mm)に充填し、その
中にB4C粉末(電気化学(株)製)10gを充填した
黒鉛製(ルツボ)容器8(内径30mm×高さ35m
m)の蓋(密閉するのではなく)をして、詰め込み、黒
鉛製の加圧板で蓋をし、アルゴン雰囲気下、高周波炉に
入れて加熱処理をした。このときの温度は2800℃で
あり、2800℃になってからの加熱時間は、60分間
である。
【0065】加熱処理後冷却し、ルツボ内の上部9、中
部10、下部11よりそれぞれ繊維を取り出し、約2m
m程度に荒解砕した後バンタムミルで粉砕し、その後非
繊維状物を気流分級で分離した。
【0066】得られた繊維の太さは変わらないが、長さ
は5000〜30000nmであった。この繊維の嵩密
度、X線回折によるd002値、圧密比抵抗値、蛍光X線
によるFe含有量を表1に示す。
【0067】(実施例3)出発原料である微細な炭素繊
維は、実施例1同様遷移金属を含有する有機化合物の存
在のもとにベンゼンを熱分解する公知の方法で得た、こ
の炭素繊維を熱処理せずそのまま解砕し、嵩密度を0.
01g/cm3、繊維の長さを1000〜50000n
mとした。繊維の太さ(径)は大部分が500nm以下
(SEM写真で観察した平均的な径は100〜200n
m)である。
【0068】この繊維225gを黒鉛製(ルツボ)容器
7(内径140mm×高さ160mm)に充填し、その
中にB4C粉末(電気化学(株)製)25gを充填した
黒鉛製(ルツボ)容器8(内径30mm×高さ35m
m)の蓋(密閉するのではなく)をして、詰め込み、黒
鉛製の加圧板で蓋をし、アルゴン雰囲気下、高周波炉に
入れて加熱処理をした。このときの温度は2800℃で
あり、2800℃になってからの加熱時間は、60分間
である。
【0069】加熱処理後冷却し、ルツボ内の上部9、中
部10、下部11よりそれぞれ繊維を取り出し、約2m
m程度に荒解砕した後バンタムミルで粉砕し、その後非
繊維状物を気流分級で分離した。
【0070】得られた繊維の太さは変わらないが、長さ
は5000〜30000nmであった。この繊維の嵩密
度、X線回折によるd002値、圧密比抵抗値、蛍光X線
によるFe含有量を表1に示す。
【0071】(比較例1)出発原料である微細な炭素繊
維は、遷移金属を含有する有機化合物の存在のもとにベ
ンゼンを熱分解する公知の方法(例えば特開平7−15
0419)で得た気相法炭素繊維をさらに1200℃で
熱処理した。このフロック状に集合した繊維を解砕し、
嵩密度を0.02g/cm3、繊維の長さを1000〜
50000nmとした。繊維の太さ(径)は大部分が5
00nm以下(SEM写真で観察した平均的な径は10
0〜200nm)である。この繊維のX線回折による層
面間隔d002は0.3407nmである。
【0072】この繊維2.94kgに平均粒径15μm
のB4C粉末を60g添加し、ヘンシェルミキサーで充
分に混合した。この混合物を容量50リットルの円筒状
の黒鉛ルツボに詰め込み、圧縮して嵩密度を0.075
g/cm3とした。黒鉛製の加圧板で圧縮したまま蓋を
し、アチソン炉に入れて加熱処理をした。このときの温
度は2900℃であり、2900℃になってからの加熱
時間は、60分間である。
【0073】加熱処理後冷却し、坩堝より繊維を取り出
し、約2mm程度に荒解砕した後バンタムミルで粉砕
し、その後非繊維状物を気流分級で分離した。
【0074】得られた繊維の太さは変わらないが、長さ
は5000〜30000nmであった。この繊維の嵩密
度、X線回折によるd002、圧密比抵抗値、蛍光X線に
よるFe含有量を表1に示す。また、X線回折によりF
eBのピークが検出され、FeはFeBの形で存在する
ことがわかった。
【0075】(比較例2)炭素繊維2.94kgに平均
粒径15μmのB4C粉末を60g添加する代わりに、
炭素繊維2.88kgに平均粒径15μmのB4C粉末
を120g添加した以外は比較例1と同様にして炭素繊
維を得た。この繊維の嵩密度、X線回折によるd
002値、圧密比抵抗値、蛍光X線によるFe含有量を表
1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】本発明は微細な炭素繊維であって、従来得
られなかった高結晶性の炭素繊維及びホウ素を含有し、
金属成分含有量の少ない炭素繊維である。高結晶性であ
るために導電性や熱伝導性に優れ、樹脂、セラミック
ス、金属等のフィラーとして優れたものである。
【0078】特に電池やキャパシタの電極のフィラーと
して添加すると微細であるために添加量が少なくても分
散効率が高く、大きな効果が得られる。また、本発明の
微細な炭素繊維はリチウムイオンのインターカレーショ
ン能力が大きく、少ない添加量でも放電容量を高めるこ
とができる。
【0079】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の粉体抵抗を測定する装置の断面図で
ある。
【図2】 容器7と容器8の関係、サンプル採取位置を
示す説明図である。
【図3】 黒鉛製容器8内容物のEPMAスペクトルの
1例である。
【符号の説明】
1 電極 2 圧縮ロッド 3 受け器 4 セル 5 測定物質 6 測定端子 7 容器(炭素繊維用) 8 容器(ホウ素またはホウ素化合物用) 9 採取部位(上部) 10 採取部位(中部) 11 採取部位(下部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 10/40 H01M 10/40 Z (72)発明者 三浦 利明 神奈川県川崎市川崎区大川町5−1 昭和 電工株式会社生産技術センター内 (72)発明者 山田 守彦 東京都港区芝大門一丁目13番9号 昭和電 工株式会社 Fターム(参考) 4L037 AT05 CS03 CS04 CS38 CT05 FA02 FA05 FA12 FA20 PA06 PA11 PC11 PG04 UA02 UA20 5G301 BA01 BE01 5H029 AJ03 AJ11 AL06 CJ02 DJ08 DJ15 HJ05 HJ08 HJ13 HJ14 5H050 AA08 AA14 BA17 CB07 DA10 FA16 GA02 HA01 HA05 HA08 HA13 HA14

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微細な炭素繊維にホウ素またはホウ素化合
    物を熱処理前に接触させることなく共存させ、2000
    ℃以上の温度で熱処理することを特徴とする微細な炭素
    繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】微細な炭素繊維にホウ素またはホウ素化合
    物を熱処理前に接触させることなく共存させ、その微細
    な炭素繊維の嵩密度を0.03g/cm3以上にし、該
    嵩密度を維持しながら炭素繊維を2000℃以上の温度
    で熱処理することを特徴とする微細な炭素繊維の製造方
    法。
  3. 【請求項3】ホウ素またはホウ素化合物の共存量がホウ
    素原子として炭素繊維に対し、0.1〜20質量%であ
    る請求項1または2記載の微細な炭素繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】ホウ素またはホウ素化合物を熱処理前に接
    触させることなく共存させる熱処理前の微細な炭素繊維
    が、未焼成品である請求項1乃至3のいずれか1つに記
    載の微細な炭素繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】ホウ素またはホウ素化合物を熱処理前に接
    触させることなく共存させる熱処理前の微細な炭素繊維
    が、直径1〜1000nm、アスペクト比10以上の炭
    素繊維である請求項1乃至4のいずれか1つに記載の微
    細な炭素繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】ホウ素またはホウ素化合物を熱処理前に接
    触させることなく共存させる熱処理前の微細な炭素繊維
    が、シードとなる遷移金属またはその化合物を用いた気
    相法により製造された炭素繊維である請求項5に記載の
    微細な炭素繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】シードとなる遷移金属またはその化合物
    が、Fe、Ni、Co、Moからなる群から選ばれた少
    なくとも1種を含む遷移金属またはその化合物である気
    相法により製造された炭素繊維である請求項6に記載の
    微細な炭素繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】繊維径が1〜1000nm、アスペクト比
    が10〜15000、X線回折法で求めた炭素の層面間
    隔d002が0.337nmを超え、圧密比抵抗が0.0
    2Ω・cm以下の微細な炭素繊維。
  9. 【請求項9】Feの含有量が、500質量ppm以下で
    ある請求項8に記載の微細な炭素繊維。
  10. 【請求項10】Fe、Ni、Co、Moのそれぞれが5
    0質量ppm以下である請求項8に記載の微細な炭素繊
    維。
  11. 【請求項11】ホウ素(ボロン、B)を炭素繊維の結晶
    内に0.01〜3質量%含有する請求項8乃至10のい
    ずれか1つに記載の微細な炭素繊維。
  12. 【請求項12】請求項1乃至7のいずれか1つに記載の
    微細な炭素繊維の製造方法で得られた炭素繊維を含む導
    電性組成物。
  13. 【請求項13】請求項8乃至11のいずれか1つに記載
    の微細な炭素繊維を含む導電性組成物。
  14. 【請求項14】請求項12または13に記載の導電性組
    成物によって形成された導電体。
  15. 【請求項15】導電体が塗膜、吹き付け膜、フィルム、
    またはシートである請求項14の導電体。
  16. 【請求項16】請求項8乃至11のいずれか1つに記載
    の微細な炭素繊維を含む電池用電極。
  17. 【請求項17】微細な炭素繊維の含有量が、0.1〜2
    0質量%である請求項16に記載の電池用電極。
  18. 【請求項18】請求項16に記載の電池用電極を備え
    た、二次電池。
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