JP2003003213A - 磁束密度の高い鏡面方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁束密度の高い鏡面方向性電磁鋼板の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温スラブ加熱プロセスによる鏡面方向性電
磁鋼板の製造において、一次再結晶集合組織とインヒビ
ターとを制御することによって磁束密度の高い電磁鋼板
を得る。 【解決手段】 酸可溶性Alの量:[Al]%に対応して、脱
炭焼鈍工程の昇温過程における鋼板温度が600℃以下
の領域から750〜900℃の範囲内の所定の温度まで
の加熱速度:HR℃/秒をHR≧−6250[Al]+200とすること
により、脱炭焼鈍後の集合組織におけるI[111]/I[411]
の比率を2.5以下に調整し、その後、[Al]に応じ
て窒素量:[N]が[N]/[Al]≧0.67を満足
する量となるように窒化処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶粒がミラー指
数で{110}<001>方位に集積した、いわゆる方
向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。この鋼板
は、軟磁性材料として変圧器等の電気機器の鉄芯として
用いられる。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、{110}<001
>方位(いわゆるゴス方位)に集積した結晶粒により構
成されたSiを4.8%以下含有した鋼板である。この
鋼板は磁気特性として励磁特性と鉄損得性が要求され
る。励磁特性を表す指標としては磁場の強さ800A/
mにおける磁束密度:B8が通常使用される。また、鉄
損特性を表す指標としては周波数50Hzで1.7Tま
で磁化した時の鋼板1kgあたりの鉄損:W17/50が用
いられる。磁束密度:B8は鉄損特性の最大の支配因子
であり、磁束密度:B8値が高いほど鉄損特性も良好に
なる。磁束密度:B8を高めるためには結晶方位を高度
に揃えることが重要である。この結晶方位の制御は二次
再結晶とよばれるカタストロフィックな粒成長現象を利
用して達成される。
【0003】この二次再結晶を制御するためには、二次
再結晶前の一次再結晶組織の調整と、インヒビタ−とよ
ばれる微細析出物の調整を行うことが必要である。この
インヒビタ−は、一次再結晶組織のなかで一般の粒の成
長を抑制し、特定の{110}<001>方位粒のみを
優先成長させる機能を持つ。析出物として代表的なもの
としては、M.F.Littmann(特公昭30−3
651号公報)及びJ.E.May&D.Turnbu
ll(Trans.Met.Soc.AIME212
(1958年)p769)等はMnSを、田口ら(特公
昭40−15644号公報)はAlNを、今中ら(特公
昭51−13469号公報)はMnSeを提示してい
る。
【0004】これらの析出物は熱間圧延前のスラブ加熱
時に完全固溶させた後に、熱間圧延及びその後の焼鈍工
程で微細析出させる方法がとられている。これらの析出
物を完全固溶させるためには1350℃ないし1400
℃以上の高温で加熱する必要があり、これは普通鋼のス
ラブ加熱温度に比べて約200℃高く次の問題点があ
る。(1)専用の加熱炉が必要。(2)加熱炉のエネル
ギ−原単位が高い。(3)溶融スケール量が多く、いわ
ゆるノロ出し等の操業管理が必要である。
【0005】そこで、低温スラブ加熱による研究開発が
進められ、低温スラブ加熱による製造方法として小松ら
(特公昭62−45285号公報)は窒化処理により形
成した(Al、Si)Nをインヒビターとして用いる方
法を開示している。この窒化処理の方法として、小林等
は脱炭焼鈍後にストリップ状で窒化する方法を開示(特
開平2-77525号公報)し、牛神等によりその窒化
物の挙動が報告されている(Materials Science Foru
m, 204-206 (1996),pp593-598)。
【0006】低温スラブ加熱による方向性電磁鋼板の製
造方法においては、脱炭焼鈍時にインヒビタ−が形成さ
れていないので、脱炭焼鈍における一次再結晶組織の調
整が二次再結晶を制御するうえで重要となる。従来の高
温スラブ加熱による方向性電磁鋼板の製造方法の研究に
おいては、二次再結晶前の一次再結晶組織調整に関する
知見は殆んどなく、本発明者らは、例えば、特公平8−
32929号公報、特開平9−256051号公報等に
その重要性を開示している。
【0007】特公平8−32929号公報において、一
次再結晶粒組織の粒径分布の変動係数が0.6より大き
くなり粒組織が不均一になると二次再結晶が不安定にな
ることを開示している。その後、さらに特開平9−25
6051号公報において、二次再結晶の制御因子である
一次再結晶組織とインヒビターに関する研究を行なった
結果、一次再結晶粒組織の粒組織として脱炭焼鈍後の集
合組織においてゴス方位粒の成長を促進すると考えられ
る{111}方位および{411}方位の粒の比率;I
{111}/I{411}を3以下に調整することによ
り製品の磁束密度が向上することを示した。ここで、I
{111}及びI{411}はそれぞれ{111}及び
{411}面が鋼板板面に平行である粒の割合であり、
X線回折測定により板厚1/10層において測定された
回折強度値を表している。
【0008】この脱炭焼鈍後の一次再結晶組織に対して
は、脱炭焼鈍工程の加熱速度、均熱温度、均熱時間等の
脱炭焼鈍の焼鈍サイクルが影響するのは勿論のこと、熱
延板焼鈍の有無、冷間圧延の圧下率(冷延圧下率)等の
脱炭焼鈍前の製造工程も影響を与える。こうした一次再
結晶集合組織等を制御した二次再結晶制御以外にも、方
向性電磁鋼板の鉄損を、更に低減させる手段として、磁
区を細分化する技術が開発されている。積み鉄心の場
合、仕上げ焼鈍後の鋼板にレーザービームを照射して局
部的な微少歪を与えることにより磁区を細分化して鉄損
を低減させる方法が、例えば特開昭58−26405号
公報に開示されている。また、巻き鉄心の場合には、鉄
心に加工した後、歪取り焼鈍を施しても磁区細分化効果
の消失しない方法も、例えば特開昭62−8617号公
報に開示されている。これらの技術的手段により磁区を
細分化することにより鉄損は大きく低減されるようにな
ってきている。
【0009】しかしながら、これらの磁区の動きを観察
すると動かない磁区も存在していることが分かり、方向
性電磁鋼板の鉄損値を更に低減させるためには、磁区細
分化と合わせて磁区の動きを阻害する鋼板表面のグラス
皮膜による界面の凹凸からのピン止め効果をなくすこと
重要であることが分かった。そのためには、磁区の動き
を阻害する鋼板表面のグラス皮膜を形成させない事が有
効である。その手段として、焼鈍分離剤として粗大高純
アルミナを用いることによりグラス皮膜を形成させない
方法が、例えば、米国特許第3785882号公報に開
示されている。しかしながら、この方法では表面直下の
酸化物を主体とする介在物をなくすことができず、鉄損
の向上代はW15/60で高々2%に過ぎない。
【0010】この表面直下の介在物を低減し、かつ表面
の平滑化(平均粗度Ra:0.3μm以下)を達成する
方法として、仕上げ焼鈍後にグラス被膜を除去した後
に、化学研磨或いは電解研磨を行う方法が、例えば特開
昭64−83620号公報に開示されている。しかしな
がら、化学研磨・電解研磨等の方法は、研究室レベルで
の少試料の材料を加工することは可能であるが、工業的
規模で行うには薬液の濃度管理、温度管理、公害設備の
付与等の点で大きな問題があり、いまだ実用化されるに
至っていない。
【0011】この問題点を解消する方策として、本発明
者等は脱炭焼鈍の露点を制御し、脱炭焼鈍時に形成され
る酸化層においてFe系酸化物(Fe2SiO4、FeO
等)を形成させないこと、及び、焼鈍分離剤としてシリ
カと反応しないアルミナ等の物質を用いることにより仕
上げ焼鈍後に表面直下の介在物を低減し、かつ表面の平
滑化を達成することが可能であることを開示している
(特開平7−118750号公報)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、表面の平滑
性の良好な方向性電磁鋼板を低温スラブ加熱により製造
する方法において、酸可溶性Al量に応じて脱炭焼鈍条件
を制御することにより磁束密度の高い優れた磁気特性を
もつ鏡面方向性電磁鋼板を製造する方法を提供するもの
である。また、本発明は、表面の平滑性の良好な薄手方
向性電磁鋼板を低温スラブ加熱により製造する方法にお
いて、従来必須であった中間焼鈍を挟んだ二回以上の冷
延工程を、酸可溶性Al量および脱炭焼鈍条件を適切に制
御することにより一回のみの冷延によっても磁束密度の
高い優れた磁気特性をもつ方向性電磁鋼板を製造する方
法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは以下の通りである。 (1)質量%で、Si:0.8〜4.8%、C:0.0
85%以下、酸可溶性Al:0.01〜0.065%、
N:0.012%以下を含み、残部Fe及び不可避的不
純物からなる鋼を1280℃以下の温度で加熱した後、
熱間圧延により熱延板となし、次いで、一回もしくは中
間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延により最終板厚と
し、次いで、Fe系酸化物を形成させない雰囲気ガス中
で脱炭焼鈍し、その後増窒素処理を行った後、アルミナ
を主成分とする焼鈍分離剤を塗布することにより、仕上
げ焼鈍後の鋼板表面を鏡面状態にする鏡面方向性電磁鋼
板の製造方法において、酸可溶性Alの量:[Al]%に対応
して、脱炭焼鈍工程の昇温過程における鋼板温度が60
0℃以下の領域から750〜900℃の範囲内の所定の
温度までの加熱速度:HR℃/秒をHR≧−6250[Al]+200と
することにより、脱炭焼鈍後の集合組織におけるI[111]
/I[411]の比率を2.5以下に調整し、その後、鋼板の
酸可溶Alの量:[Al]に応じて窒素量:[N]が
[N]/[Al]≧0.67を満足する量となるように
窒化処理を施すことを特徴とする磁束密度の高い鏡面方
向性電磁鋼板の製造方法。
【0014】(2)前記冷間圧延において圧下率を90
%超とすることを特徴とする(1)記載の磁束密度の高
い鏡面方向性電磁鋼板の製造方法。 (3)前記熱延板に900〜1200℃の温度域で30
秒〜30分間の焼鈍を施す(1)または(2)記載の磁
束密度の高い鏡面方向性電磁鋼板の製造方法。 (4)前記脱炭焼鈍工程において770℃〜900℃の
温度域で雰囲気ガスの酸化度(PH2O/PH2):0.
01以上0.15以下の範囲内で焼鈍することを特徴と
する(1)乃至(3)のいずれかの項に記載の磁束密度
の高い鏡面方向性電磁鋼板の製造方法。
【0015】(5)質量%で、さらに、Sn:0.02〜
0.15%を添加することを特徴とする(1)乃至
(4)のいずれかの項に記載の磁束密度の高い鏡面方向
性電磁鋼板の製造方法。 (6)質量%で、さらに、Crを0.03〜0.2%を
添加することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか
の項に記載の磁束密度の高い鏡面方向性電磁鋼板の製造
方法。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、実験結果をもとに本発明を
説明する。図1は、sol-Al量、脱炭焼鈍加熱速度に対す
る鋼板の磁束密度B8の分布を示した図である。ここで用
いた試料は、質量%で、Si:3.3%、C:0.06
%、酸可溶性Al:0.020−0.038%、N:
0.008%、Mn:0.1%、S:0.007%含有
するスラブを1150℃の温度で加熱した後、2.0m
m厚に熱間圧延し、その後、1120℃で焼鈍した後、
0.22mm厚まで冷間圧延後、加熱速度15−100
℃/秒で加熱し、770〜950℃の温度で脱炭焼鈍し
た後、一部はそのまま、一部はアンモニア含有雰囲気で
焼鈍して鋼板中の窒素を0.02〜0.03%とし、次
いで、アルミナを主成分とする焼鈍分離剤を塗布した
後、仕上げ焼鈍を行った。これらの試料の脱炭焼鈍板の
一次再結晶集合組織を解析した結果、B8で1.94T以
上となった全ての試料においてI{111}/I{41
1}の値が2.5以下となっていることを確認してい
る。更に、全く同様に0.18mm厚まで冷延した実験で
も図1と同様の結果が得られた。
【0017】図1から明らかなように、1.94T以上
の高磁束密度が得られる脱炭焼鈍加熱速度の閾値が酸可
溶性Alの量:[Al]%が増加するに従って低下していくこ
とがわかる。即ち、脱炭焼鈍時の加熱速度を同じとし、
同じように一次再結晶集合組織を調整した場合であって
も、インヒビターを強くするように[Al]を高くしさえす
れば、一次再結晶集合組織制御による高磁束密度化の効
果を得ることができるということである。
【0018】また、こうした高B8効果が出現するため
の前提となるインヒビター強度の影響を、窒化処理後の
窒素量を0.01〜0.03%と変化させることにより
調べた。その結果を図2に示す。図2は上述の実験で使
用した試料のうち、[Al]が0.026%の脱炭焼鈍板
で、脱炭焼鈍時の加熱速度を60℃/秒(I{111}
/I{411}の値が2.3)とした試料および加熱速
度を15℃/秒(I{111}/I{411}の値が2.
9)とした試料を窒化して得ることができた製品のB8
を、鋼板の酸可溶性Alの量[Al](%)に対する窒
化後の鋼板の窒素量[N](%)の比:[N]/[A
l]に対してプロットしたものである。図2より、脱炭
焼鈍加熱速度HR℃/秒が−6250[Al]+200=3
7.5以上であり、I{111}/I{411}の値が
2.5以下を満たしかつ[N]/[Al]≧0.67の
三つの条件を満たした場合にB8が1.94T以上とな
っていることがわかる。
【0019】これまで方向性電磁鋼板の脱炭焼鈍を急速
加熱で行うことは、例えば、特開平1−290716号
公報、特開平6−212262号公報等に開示されてい
る。しかしながら、これらの特許は高温スラブ加熱によ
る方向性電磁鋼板の製造方法に適用したものであり、そ
の効果も二次再結晶粒径が小さくなり鉄損特性が向上す
るというものである。
【0020】本発明の製品に及ぼす効果はこれらの結果
と異なり磁束密度(B8)の向上に大きな影響を及ぼす
ものである。また、集合組織制御の効果を酸可溶性Al量
や窒化量でインヒビターを制御することによって高磁束
密度を得るために必要な脱炭焼鈍時の加熱速度の下限値
が広がるというものである。上記の結果に対する理由に
ついて、本願発明者らは次のように考えている。本発明
における様な(Al、Si)N等の窒化物のように熱的
に安定な(強い)インヒビタ−を用いた場合には、粒界
移動の粒界性格依存性が高くなるために、ゴス方位粒の
数よりもゴス方位とΣ9対応方位関係にあるマトリック
ス粒(具体的には{111}<112>、{411}<
148>)の数および結晶方位分散がより重要となる
が、熱的に安定な(強い)インヒビタ−を増やすことに
よって、同様な結晶方位分散であっても高いB8が得られ
やすくなったということである。また、[Al]を増やすと
インヒビターへの影響の他に、一次再結晶集合組織への
効果もあり、このことも磁束密度を高くすることに対し
て相乗的に寄与したものと考えている。具体的には、実
施例1に示してあるように[Al]を増やすとI{111}
/I{411}の値が減少しており、このことは二次再
結晶粒となる一次再結晶組織中の[110]<001>方
位粒の成長を促進する{111}方位粒と{411}方
位粒のうち、結晶方位分散が小さい{411}方位粒の
発達が促されたことを意味している。その結果として、
二次再結晶粒(ゴス粒)の方位分散も小さくなり、高B
8が得られる。
【0021】本発明に使用する鋼の成分としては、質量
%で、Si:0.8〜4.8%、C:0.085%以
下、酸可溶性Al:0.01〜0.065%、N:0.
012%以下が必要である。Siは添加量を多くすると
電気抵抗が高くなり、鉄損特性が改善される。しかしな
がら、4.8%を超えると圧延時に割れやすくなってし
まう。また、0.8%より少ないと仕上げ焼鈍時にγ変
態が生じ結晶方位が損なわれてしまう。
【0022】Cは一次再結晶組織を制御するうえで有効
な元素であるが、磁気特性に悪影響を及ぼすので仕上げ
焼鈍前に脱炭する必要がある。Cが0.085%より多
いと脱炭焼鈍時間が長くなり生産性が損なわれてしま
う。酸可溶性Alは、本願発明においてNと結合して
(Al、Si)Nとしてインヒビターとしての機能をは
たすために必須の元素である。二次再結晶が安定する
0.01〜0.065%を限定範囲とする。
【0023】Nは0.012%をこえると冷延時にブリ
スターとよばれる鋼板中の空孔を生じる。その他、Sは
磁気特性に悪影響を及ぼすので0.015%以下とする
ことが望ましい。Snは脱炭焼鈍後の集合組織を改善
し、二次再結晶を安定化するため0.02〜0.15%
添加することが望ましい。Crは脱炭焼鈍の酸化層を改
善し、脱インヒビター挙動を制御するのに有効な元素で
あり、0.03〜0.2%添加することが望ましい。そ
の他、微量のCu、Sb、Mo、Bi、Ti等を鋼中に
含有することは、本発明の主旨を損なうものではない。
【0024】上記の組成を有する電磁鋼スラブは転炉、
または電気炉等により鋼を溶製し、必要に応じて溶鋼を
真空脱ガス処理し、次いで連続鋳造もしくは造塊後分塊
圧延することによって得られる。その後、熱間圧延に先
だってスラブ加熱がなされる。本発明においては、スラ
ブ加熱温度は1280℃以下として、先述の高温スラブ
加熱の諸問題を回避する。
【0025】上記熱間圧延板は、通常、磁気特性を高め
るために900〜1200℃で30秒〜30分間の短時
間焼鈍を施す。その後、一回もしくは焼鈍を挟んだ二回
以上の冷間圧延により最終板厚とする。冷間圧延として
は、特公昭40−15644号公報に示されるように最
終冷延圧下率を80%以上とすることが、{111}、
{411}等の一次再結晶方位を発達させるうえで必要
である。特に、最終冷延圧下率を85%以上とすること
が望ましい。またさらに、冷延圧下率が95%より大き
くなってしまうと冷延工程での負荷が大きくなり、実操
業の観点から95%以下が現実的である。また、本発明
のポイントは高B8を得るために、インヒビターの強さに
応じて脱炭焼鈍加熱速度を制御し、一次再結晶集合組織
を制御する点にあるが、この制御技術によって、従来、
冷延一回法においてはB8の劣化を招いていたような高冷
延圧下率の条件においても極めて良好な二次再結晶を実
現させることが可能となった。具体的には、例えば、中
島らの論文(鉄と鋼77(1991)p.1710)などには、冷延
圧下率の増加にともなってB8が向上し、圧下率が88%
で最高となり、90%程度になると急激にB8の劣化が起
こってしまうことが報告されているが、本発明では90
%超の圧下率においても高いB8が実現できる。このこと
は特に、従来二回冷延法でしか製造できなかった0.2
0mm以下の薄手高B8材製造において、冷延一回法で製造
することを可能とする。第5図にそれを導いた実験結果
を示す。実験は[Al]が0.030%である板厚1.6〜
2.8mmの熱延板から冷延した板厚0.20mmの冷延板
を60℃/秒の加熱速度で室温から800℃まで加熱し
た後、800〜850℃の所定の温度において雰囲気ガ
スの酸化度0.10で120秒焼鈍した。その後窒化処
理により窒素量を0.020〜0.030%としたのち
アルミナを主成分とする焼鈍分離剤を塗布して仕上げ焼
鈍を行った。図5から明らかなように90%超の圧下率
で特に高いB8を得ることができる。
【0026】冷間圧延後の鋼板は、鋼中に含まれるCを
除去するために湿潤雰囲気中で脱炭焼鈍を施す。その
際、脱炭焼鈍加熱速度および脱炭焼鈍均熱温度等を制御
し、脱炭焼鈍後の一次再結晶集合組織のI[111]/I[411]
の値を2.5以下に調整することが、磁気特性B8を1.
93T以上の製品を得るためにまず必要である。さら
に、本発明のポイントである脱炭焼鈍工程の焼鈍サイク
ルにおける加熱速度:HR℃/秒を酸可溶性Alの量:[Al]
%に対してHR≧−6250[Al]+200をみたすように調整する
ことによってB8が1.94T以上の製品を得ることが
できる(即ち、[Al]を多くしていった場合のHRの下限値
は、HR≧−6250[Al]+200かつI[111]/I[411]の値を2.
5以下とするために必要な加熱速度ということにな
る)。また、この加熱速度で加熱する必要がある温度域
は少なくとも600℃から750〜900℃までの温度
域である。
【0027】図3、図4に上記の結論を導いた実験結果
を示す。[Al]が0.026%である冷延板を50℃/秒
の加熱速度で室温から600℃〜1000℃の温度域の
所定の温度まで加熱した後、窒素ガスで室温まで冷却し
た。その後20℃/秒の加熱速度で850℃まで加熱
し、雰囲気ガスの酸化度0.10で120秒焼鈍した。
その後窒化処理により窒素量を0.021%としたのち
アルミナを主成分とする焼鈍分離剤を塗布して仕上げ焼
鈍を行った。図3に示すように、50℃/秒の加熱速度
での到達温度が750℃以上、900℃以下の範囲で磁
束密度が向上していることが分かる。750℃未満で効
果が発揮されないのは、750℃未満では一次再結晶が
十分に進行しておらず、一次再結晶集合組織を変えるた
めには再結晶を十分に進行させる必要があるためであ
る。また、900℃超の温度まで加熱すると、試料の一
部に変態組織が生じ、その後の脱炭焼鈍完了時点での組
織が混粒組織になるためであると考えられる。
【0028】次いで、上記冷延板を加熱速度20℃/秒
で300℃から750℃の温度域の所定の温度まで加熱
し、その温度から加熱速度50℃/秒で850℃まで加
熱した後、窒素ガスで室温まで冷却した。その後50℃
/秒の加熱速度で850℃まで加熱し、雰囲気ガスの酸
化度0.10で120秒焼鈍した。その後窒化処理によ
り窒素量を0.021%としたのちアルミナを主成分と
する焼鈍分離剤を塗布して仕上げ焼鈍を行った。第4図
に示すように加熱速度50℃/秒の加熱開始温度が60
0℃超では磁束密度向上効果が無いことが分かる。
【0029】これらの結果から、加熱速度50℃/秒以
上で加熱する必要がある温度域は少なくとも600℃か
ら750〜900℃までの温度域であることが分かる。
従って、脱炭焼鈍工程の昇温過程において鋼板温度が6
00℃以下の温度域から50℃/秒以上で加熱すること
が必要となる。また、上記のような脱炭焼鈍工程の昇温
過程での加熱は冷延工程から脱炭焼鈍工程の間に加熱焼
鈍を行ったとしても本発明の趣旨を損なうものではな
い。
【0030】急速加熱の方法は特に限定するものではな
く、40〜100℃/秒程度の加熱速度に対しては、従
来の通常輻射熱を利用したラジアントチューブや発熱体
による脱炭焼鈍設備を改造した設備、また100℃/秒
以上の加熱速度に対しては、新たなレーザー、プラズマ
等の高エネルギー熱源を利用する方法、誘導加熱、通電
加熱装置等を適用することができる。また、従来の通常
輻射熱を利用したラジアントチューブや発熱体による脱
炭焼鈍設備に新たなレーザー、プラズマ等の高エネルギ
ー熱源を利用する方法、誘導加熱、通電加熱装置等を適
用する方法等を組み合わせることも有効である。その
後、Fe系の酸化物(Fe2SiO4、FeO等)を形成
させない酸化度で焼鈍を行う。例えば、通常脱炭焼鈍が
行われる800℃程度の温度では、雰囲気ガスの酸化
度:PH2O/PH2を0.15以下に調整することによ
り、Fe系酸化物の生成を抑制することができる。但
し、あまりに酸化度をさげると脱炭速度が遅くなってし
まう。この両者を勘案すると、この温度域においては雰
囲気ガスの酸化度:PH2O/PH2を0.01〜0.15
の範囲とすることが好ましい。均熱温度と時間に関して
は、例えば特開平2−182866号公報に示されるよ
うな一次再結晶粒組織の調整を勘案して設定する。通常
は770〜900℃の範囲で行う。また、均熱の前段で
脱炭した後に、粒調整のために均熱の後段の温度を高め
ることや後段の雰囲気ガスの酸化度を下げて均熱時間を
のばすことも有効である。
【0031】窒化処理としては、アンモニア等の窒化能
のあるガスを含有する雰囲気中で焼鈍する方法、MnN
等の窒化能のある粉末を焼鈍分離剤中に添加して仕上げ
焼鈍中に行う方法等がある。窒化処理後の窒素量として
は[N]/[Al]≧0.67となるように窒化処理を
施すことが本発明の特徴である一次再結晶集合組織の制
御効果を発現させるためのポイントである。
【0032】脱炭焼鈍板はアルミナを主成分とする焼鈍
分離剤を水スラリ−もしくは静電塗布法等によりドライ
・コ−トしたのち積層しコイルとする。この積層した板
を仕上げ焼鈍して、二次再結晶と窒化物の純化を行う。
二次再結晶を特開平2−258929に開示される様に
一定の温度で保持する等の手段により所定の温度域で行
うことは磁束密度を上げるうえで有効である。
【0033】二次再結晶完了後、窒化物の純化と表面の
平滑化をおこなうために、水素雰囲気中で1100℃以
上の温度で焼鈍する。仕上げ焼鈍後、表面は既に平滑化
されているので、張力コーテイング処理を行い、必要に
応じてレーザー照射等の磁区細分化処理を施せば良い。
【0034】
【実施例】<実施例1>質量%で、Si:3.3%、
C:0.06%、酸可溶性Al:0.020%、0.0
26%、0.031%、N:0.008%、Mn:0.
1%、S:0.007%含有するスラブを1150℃の
温度で加熱した後、2.0mm厚に熱間圧延した。その
後、1120℃で焼鈍した後、0.22mm厚まで冷間
圧延後、脱炭焼鈍の加熱速度を15〜100℃/秒と
し、830〜860℃の温度で脱炭焼鈍した後、アンモ
ニア含有雰囲気で焼鈍して鋼板中の窒素を0.02〜
0.03%とした。ついでアルミナ(Al23)を主成
分とする焼鈍分離剤を塗布した後、仕上げ焼鈍を行っ
た。
【0035】得られた製品の特性値を表1に示す。一次
再結晶集合組織に関してI[111]/I[411]の値が2.5以
下であり、脱炭焼鈍工程の加熱速度:HRが酸可溶性Alの
量:[Al]%に対してHR≧−6250[Al]+200を満足している
場合、B8が1.94T以上の高い磁束密度を得られて
いることが分かる。言い換えれば、[Al]を増加させた場
合、同じ脱炭焼鈍加熱速度に対するB8が向上し、高いB8
を得られる脱炭焼鈍加熱速度の領域が小さな加熱速度の
領域まで広がっていることがわかる。
【0036】
【表1】
【0037】<実施例2>質量%で、Si:3.3%、
C:0.05%、酸可溶性Al:0.026%、0.0
31%、N:0.007%、Cr:0.1%、Sn:
0.05%、Mn:0.1%、S:0.008%含有す
るスラブを1150℃の温度で加熱した後、熱間圧延に
よって、2.0 mm厚にし、この熱間圧延板を1120
℃で焼鈍し、その後、0.22mm厚に冷間圧延した。
この冷延板を10〜600℃/秒の加熱速度で800℃
に加熱した後、800〜890℃で120秒間、雰囲気
ガス酸化度0.12で脱炭焼鈍し、一次再結晶集合組織
を図1で示した高B8が得られる領域に調整した。その
後、750℃で30秒間アンモニア含有雰囲気中で焼鈍
し、アンモニア含有量を変えることにより鋼板中の窒素
量を0.025〜0.035%とした。その後、アルミ
ナを主成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、1200℃
で20時間仕上げ焼鈍を施した。
【0038】これらの試料に張力コーテイング処理を施
した後、レーザー照射して磁区細分化した。得られた製
品の特性を表2に示す。表2より、一次再結晶集合組織
に関してI[111]/I[411]の値が2.5以下であり、脱炭
焼鈍工程の加熱速度:HRが酸可溶性Alの量:[Al]%に対
してHR≧−6250[Al]+200を満足している場合、B8が
1.94T以上の高い磁束密度を得られていることが分
かる。また特に、HRが75℃/秒〜140℃/秒で特に
B8が高く、その高B8の領域が[Al]を高めると低速側に
広がることがわかる。
【0039】
【表2】
【0040】<実施例3>質量%で、Si:3.2%、
Mn:0.1%、C:0.05%、S:0.008%、
酸可溶性Al:0.024%、N:0.008%、S
n:0.1%を含む板厚2.3mm珪素鋼熱延板を最終
板厚0.25mmに冷延した。この冷延板を酸化度0.
10の窒素と水素の混合ガス中において、加熱速度
(1)20℃/秒(2)100℃/秒で840℃まで加
熱し840℃で150秒焼鈍し一次再結晶させた。その
後、750℃で30秒間アンモニア含有雰囲気中で焼鈍
し、アンモニア含有量を変えることにより鋼板中の窒素
量を0.02〜0.03%とした。
【0041】これらの鋼板にアルミナを主成分とする焼
鈍分離剤を塗布した後、仕上げ焼鈍を施した。仕上げ焼
鈍は1200℃まではN2:25%+H2:75%の雰囲
気ガス中で15℃/hrの加熱速度で行い、1200℃
でH2:100%に切りかえ20時間焼鈍を行った。こ
れらの試料を張力コーテイング処理を施した。得られた
製品の磁気特性を表3に示す。実施例1、2と比較する
と、冷延前の焼鈍を行っていないので全体の磁束密度は
低いが、本発明の磁束密度向上効果が確認できる。
【0042】
【表3】
【0043】<実施例4>質量%で、Si:3.3%、
C:0.06%、酸可溶性Al:0.020、0.02
6、0.031%、N:0.008%、Mn:0.1
%、S:0.007%含有するスラブを1150℃の温
度で加熱した後、2.0mm厚に熱間圧延した。その熱延
板を、前段1120℃、後段900℃で焼鈍した後、
0.15mm厚まで冷間圧延後、脱炭焼鈍の加熱速度を1
5〜100℃/秒とし、810〜860℃の温度で脱炭
焼鈍した後、アンモニア含有雰囲気で焼鈍して鋼板中の
窒素を0.02〜0.03%とした。ついでアルミナ
(Al23)を主成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、
仕上げ焼鈍を行った。製品の特性値を表4に示す。脱炭
焼鈍工程の加熱速度:HRが酸可溶性Alの量:[Al]%に対
してHR≧-6250[Al]+200となっている場合、B8が1.9
4T以上の高い磁束密度を得られていることが分かる。
【0044】
【表4】
【0045】<実施例5>質量%で、Si:3.3%、
C:0.05%、酸可溶性Al:0.025%、0.0
35%、N:0.007%、Cr:0.1%、Sn:
0.05%、Mn:0.1%、S:0.008%含有す
るスラブを1150℃の温度で加熱した後、熱間圧延に
よって、2.3mm厚にし、この熱間圧延板を1120℃
で焼鈍し、その後、0.18mm厚に冷間圧延した。この
冷延板を5〜600℃/秒の加熱速度で800℃に加熱
した後、800〜890℃で120秒間、雰囲気酸化度
0.12で脱炭焼鈍し、一次再結晶集合組織を図1で示
した高B8が得られる領域に調整した。その後、750℃
で30秒間アンモニア含有雰囲気中で焼鈍し、アンモニ
ア含有量を変えることにより鋼板中の窒素量を0.02
5〜0.035%とした。その後、アルミナを主成分と
する焼鈍分離剤を塗布した後、1200℃で20時間仕
上げ焼鈍を施した。これらの試料に張力コーティング処
理を施した後、レーザー照射して磁区細分化した。得ら
れた製品の特性を表5に示す。表2より、脱炭焼鈍工程
の加熱速度:HRが酸可溶性Alの量:[Al]%に対してHR≧
-6250[Al]+200となっている場合、B8が1.94T以上
の高い磁束密度を得られていることが分かる。特に、[A
l]を増加させた場合、冷延一回法による高B8効果がより
顕著に見られ、脱炭焼鈍加熱速度が小さくても高B8効果
が得られると共に、より高いB8をえることができる。
【0046】
【表5】
【0047】<実施例6>質量%で、Si:3.5%、
Mn:0.1%、C:0.05%、S:0.008%、
酸可溶性Al:0.030%、N:0.008%、S
n:0.1%を含む板厚2.3mm珪素鋼熱延板を最終板
厚0.18mmに冷延した。この冷延板を酸化度0.10
の窒素と水素の混合ガス中において、加熱速度(1)1
0℃/秒(2)40℃/秒で840℃まで加熱し840
℃で150秒焼鈍し一次再結晶させた。その後、750
℃で30秒間アンモニア含有雰囲気中で焼鈍し、アンモ
ニア含有量を変えることにより鋼板中の窒素量を0.0
2〜0.03%とした。これらの鋼板にアルミナを主成
分とする焼鈍分離剤を塗布した後、仕上げ焼鈍を施し
た。仕上げ焼鈍は1200℃まではN2 :25%+H
2 :75%の雰囲気ガス中で15℃/hrの加熱速度で行
い、1200℃でH2 :100%に切りかえ20時間焼
鈍を行った。これらの試料を張力コーティング処理を施
した。得られた製品の磁気特性を表6に示す。実施例
1、2と比較すると、冷延前の焼鈍を行っていないので
磁束密度は低いが、本発明の磁束密度向上効果が確認で
きる。
【0048】
【表6】
【0049】
【発明の効果】本発明により、従来の高温スラブ加熱に
起因する諸問題の無い低温スラブ加熱による方向性電磁
鋼板の製造方法を基に、一次再結晶組織、酸可溶性Alに
対する脱炭焼鈍条件及び窒化量を規定することにより、
磁束密度の高い優れた磁気特性をもつ鏡面方向性電磁鋼
板を工業的に安定して製造することができる。特に、一
回冷延法を前提とした製造方法において、酸可溶性Alに
対する脱炭焼鈍条件及び窒化量を規定することにより、
磁束密度が高い優れた磁気特性をもつ薄手鏡面方向性電
磁鋼板を工業的に安定して製造することができる。この
ことにより、熱延に負荷が少なく、中間焼鈍を省略し、
従来よりも安価かつ鉄損に優れた方向性電磁鋼板を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製品の磁束密度(B8)に及ぼす酸可溶性Alと
脱炭焼鈍加熱速度の影響を示した図である。
【図2】窒化量及び一次再結晶集合組織:I{111}
/I{411}が磁束密度に及ぼす影響を示した図であ
る。
【図3】磁束密度に及ぼす脱炭焼鈍の急速加熱完了温度
の影響を示した図である。
【図4】磁束密度に及ぼす脱炭焼鈍の急速加熱開始温度
の影響を示した図である。
【図5】磁束密度に及ぼす冷延圧下率の影響を示した図
である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 1/16 H01F 1/16 B (72)発明者 村上 健一 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 藤井 浩康 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 山本 紀宏 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 Fターム(参考) 4K033 AA03 CA02 CA07 CA09 CA10 FA00 FA01 FA12 FA13 FA14 HA03 JA04 LA01 MA04 PA11 RA02 RA04 SA01 SA02 SA03 TA01 TA02 5E041 AA02 CA02 HB11 NN01 NN18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、Si:0.8〜4.8%、
    C:0.085%以下、酸可溶性Al:0.01〜0.
    065%、N:0.012%以下を含み、残部Fe及び
    不可避的不純物からなる鋼を1280℃以下の温度で加
    熱した後、熱間圧延により熱延板となし、次いで一回も
    しくは中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延により最終
    板厚とし、次いで、Fe系酸化物を形成させない雰囲気
    ガス中で脱炭焼鈍し、その後増窒素処理を行った後、ア
    ルミナを主成分とする焼鈍分離剤を塗布することによ
    り、仕上げ焼鈍後の鋼板表面を鏡面状態にする鏡面方向
    性電磁鋼板の製造方法において、酸可溶性Alの量:[Al]
    %に対応して、脱炭焼鈍工程の昇温過程における鋼板温
    度が600℃以下の領域から750〜900℃の範囲内
    の所定の温度までの加熱速度:HR℃/秒をHR≧−6250[A
    l]+200とすることにより、脱炭焼鈍後の集合組織におけ
    るI[111]/I[411]の比率を2.5以下に調整し、その
    後、鋼板の酸可溶Alの量:[Al]に応じて窒素量:
    [N]が[N]/[Al]≧0.67を満足する量とな
    るように窒化処理を施すことを特徴とする磁束密度の高
    い鏡面方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記冷間圧延において圧下率を90%超
    とすることを特徴とする請求項1に記載の磁束密度の高
    い鏡面方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記熱延板に900〜1200℃の温度
    域で30秒〜30分間の焼鈍を施す請求項1または2記
    載の磁束密度の高い鏡面方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記脱炭焼鈍工程において、770℃〜
    900℃の温度域で雰囲気ガスの酸化度(PH2O/P
    2):0.01以上0.15以下の範囲内で焼鈍する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載
    の磁束密度の高い鏡面方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 質量%で、さらに、Sn:0.02〜
    0.15%を添加することを特徴とする請求項1乃至4
    のいずれかの項に記載の磁束密度の高い鏡面方向性電磁
    鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 質量%で、さらに、Cr:0.03〜
    0.2%を添加することを特徴とする請求項1乃至5の
    いずれかの項に記載の磁束密度の高い鏡面方向性電磁鋼
    板の製造方法。
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