JP2002524700A - ブレーキディスク及び対応するアクスルハブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ブレーキディスクは、ブリッジ片（２）を介して相互に結合され、両者間に少なくとも一つの空気通路（５）を形成する２枚の摩擦リング（３、４）と、（商用）車両の車軸に接するハブのカム内で係合すべく構成されて、ブレーキディスクの内周領域に接続形成された支持部材（６）とを有し、支持部材（６）は、ブレーキディスク（１）の内周でブリッジ状に空気通路（５）に跨り、且つ、摩擦リング（３，４）の外側面（３ａ，４ａ）を最大許容摩擦状態でも支持部材（６）の外側面（６ａ）に対して軸方向に離れるように、軸方向に摩擦リング（３，４）の領域内で突出する。アクスルハブ（２）とブレーキディスク（１）の穴（１１、１６、１７）は十分な冷却を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 この発明は、車両のディスクブレーキ用ブレーキディスクに関し、特に、複数
のブリッジ片を介して相互に結合され、間に空気通路が形成される２枚の摩擦リ
ングを有する商用車両の空気作動式ディスクブレーキ用ブレーキディスクであっ
て、ブレーキディスクの内周領域に商用車両の車軸に隣接するハブのカム内に係
合すべく支持部材が配置、形成されているブレーキディスクに関する。更に本発
明は、請求項７の前提部分によるアクスルハブに関する。

【０００２】 冒頭に掲げた特徴を有するブレーキディスク、従って「２部分」構造のブレー
キディスクは、ドイツ特許ＤＥ １９５ ４４ ５５９ C１によって知られている
。ブレーキディスクをハブと結合すべく、このブレーキディスクでは、例えばボ
ルトによってハブのカムに固定できる中間要素が、ハブのカムからディスクの支
持部材へ回転モーメントと力とを伝達するために具備されている。ここにおいて
、一方ではハブのカムは中間要素に係合し、他方で中間要素は支持部材に係合し
て、２つの回転方向においてブレーキディスクからハブへの確実なトルク伝達を
保証する。

【０００３】 しかし、ＤＥ １９５ ４４ ５５９ C１のブレーキディスクは、それ自体、高
負荷の場合にブレーキディスクの温度不感受性を更に小さくすることが望ましい
ことを示している。特に、ブレーキディスクの亀裂形成傾向を減少すべきである
。本発明は、この問題の低減を目的とする。場合によって、ブレーキディスクを
取り付けるためのアクスルハブの適切な形成も最適化すべきである。

【０００４】 本発明は、請求項１、２、及び７の主題によってこの目的を達するが、それら
の主題はそれぞれブレーキディスクの負荷容量を明らかに高め、且つそれらは、
特に有利で高い負荷容量のブレーキディスク（及びアクスルハブ）との組み合わ
せにおいて完全なものとする。

【０００５】 冒頭に掲げた技術水準に対して、請求項１の主題は、ブレーキディスクの内周
の支持部材が、ブリッジ片状に空気通路を跨いでおり、そこにおいて、特にその
最大許容摩耗状態においても摩擦リングの外側面が支持部材の外側面に対して軸
方向に離れているように摩擦リングの領域内で軸方向に突出することを特徴とし
ている。

【０００６】 この解決策は、従来の技術に対して、制動に際し高温負荷を受ける摩擦面が、
機械的に（制動力によって）強く作動される支持部材から分離されるという特別
な利点を有する。

【０００７】 軌道車両のブレーキディスク（ＤＥ ３８ １４ ６１４ Ａ１）の分野から、
支持部材（歯と呼ぶこともある。）を空気通路の領域内で軸方向に設置すること
は既に知られており、そこでは、支持部材は半径方向内向きに延びる「けば片」
として形成される。しかし、この解決策は、制動時に発生する非常に大きな力の
ために、商用車両用（特に７．５トン以上の重量の）のブレーキディスクへ適用
することは出来ない。従って、本発明は、支持部材を摩擦リング内に突出させる
ことによって機械的強さを高めるという点が有利である。

【０００８】 更に、支持部材を空気通路を超えて軸方向に摩擦リングの外側面まで導くこと
も考えられる。しかし、この解決策の持つ欠点として、支持部材の「脚部」内に
高い温度及び機械的負荷が重なり、このことはブレーキディスクの亀裂発生傾向
を非常に高める。ここで、発明は、摩擦面を支持部材の外側面から局部的に分離
することによって明らかな改善を生じる。

【０００９】 請求項２の実施例は、支持部材が空気通路内への冷却空気のため導路を備える
ことを更に特徴とする。この実施例も、半径方向に噛み合うブレーキディスクに
対し、明瞭に改良された温度特性を齎す。ブレーキディスクは、二つの摩擦リン
グの間にリブ又はけば片から形成される空気通路を備えるが、これは冒頭に掲げ
る技術水準からそれ自体知られている。発明のこの変形例によって、二次的な冷
却空気が支持部材を通って流れ、且つそれによって冷却空気通路の冷却作用を明
らかに高める。この方策も、従来の技術に対してブレーキディスクの改良された
温度特性を齎す。合目的的に、導路は、ほぼ半径方向にブレーキディスクへ延び
る穴として形成される。

【００１０】 ブレーキディスクは、好ましく、アクスルハブ及び／又はアクスルハブとブレ
ーキディスクの間に挿入可能なアダプタを、半径方向内向きに、又は側面で軸方
向外向きに開放したハブ穴と共に形成して、支持部材の穴内に、及び／又は摩擦
リングの間に形成される空気通路内に直接、冷却空気を案内することを特徴とす
る先行請求項の一に従って、ブレーキディスクを装着するためのアクスルハブに
よって全うされる。

【００１１】 発明の別の有利な変形例は、残りの従属請求項から読み取られる。

【００１２】 以下に発明を、添付の実施例の図面に関してより詳細に説明する。

【００１３】 図１、２、及び３は商用車両のディスクブレーキ用ブレーキディスク１の平面
図を示す。ブレーキディスク１は、数個の同心リングをなして配置されたブリッ
ジ片２を介して相互に結合される２枚の摩擦リング３、４を有しており、摩擦リ
ング３、４の間に通気路５（空気通路）が形成されている。ブレーキディスク１
の内周領域に支持部材６が成形されており、該支持部材（図６と図７参照）はア
クスルハブ８のカム７にかみ合うように配置され、クリップ状のＵ形且つ軸方向
にオーバーラップ可能な、ボルト１０によって固定される中間要素９が、ハブ７
へのブレーキディスク１の安定した軸方向（及び半径方向）着座を実現にする。

【００１４】 特に図４と図５に認められるように、支持部材６はブレーキディスク１の内周
でブリッジ状に通気路５を跨いでおり、且つここで摩擦リング３、４の領域内で
軸方向に突出し、又はこれに一体的に内部で接続形成され、摩擦リング３、４の
外側面３ａ，４ａはそれの最大許容摩耗状態でも支持部材６の外側面６ａから軸
方向に離れたままであるから、最大摩耗状態でも最大熱負荷の場所と最大機械負
荷の場所の間に確実な分離が付与されたままである（このことは、図２によるブ
レーキディスク１の中央断面も示す）。支持部材６の外側面６ａに対する外側面
３ａ、４ａの間隔はｓで示され、且つ、ディスク厚さｂｓ＝４５ｍｍの場合、１
０ｍｍである。好ましく、３＜＝ｂｓ／ｓ＜＝６の関係が成り立つ。

【００１５】 同じく図４と図５に良好に認められるように、支持部材６は空気通路５内への
冷却空気（流れＬ）のための有利な導路１１を備えている。支持部材６（図４も
参照）は合体してＴ形状を又形成する二つのＬ状部品１２、１３から実質的に成
り、その際、Ｔ状ブリッジ片又は両Ｌ状部分１２、１３の基礎側面１２ａ、１３
ａは半径方向に空気通路５内に突出し、かつＬ状部品１２，１３の長脚部１２ｂ
、１３ｂはそれぞれ半径方向内向きに摩擦リング３、４の内周の向うに突出する
。二つのＬ状部品１２、１３はそれぞれ、お互いに離れるように方向付けされ、
かつ摩擦リング３、４内に大面積の力の導入を保証する。

【００１６】 なべ状アクスルハブ８即ちハブ部分へブレーキディスク１の組立状態でも通気
がアクスルハブ８によって覆い隠されないように、アクスルハブ又は（図示しな
い）オプションのアダプタが、ほぼ半径方向に延びるハブ穴１４（図６と７参照
）又は側面の軸方向ハブ穴１５（図８と図９参照）を備え、これらの穴はハブ内
周から半径方向又は軸方向に導路１１へ通じ、かつその際、半径方向案内穴１１
と、場合によって車両ハブ内の別の穴と協働して、つねに良好な冷却作業を保証
する。

【００１７】 図１０乃至図１４は、ハブ８のカム７内でオプションの側面カム穴１６を通り
、且つハブ８のＬ状部分１２、１３とハブ８の間でハブ８とブレーキディスク１
との組立に際して残存する側面穴１７を通る冷却案内穴の組み合わせを示す。従
って、空気通路５内でハブ８を通り空気を直接にカム７の側面カム穴１６を通し
て、且つ穴１７と導路１１とを通して、付加的空気を空気通路５に案内する。カ
ム穴１６はカム７の軸方向外側面から穴状に空気通路５内に延び、かつブレーキ
ディスク面へ傾斜して延びる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図１は、発明の第１実施例の側面図を示す。

【図２】 図２は、図１の断面Ａ-Ａを示す。

【図３】 図３は、図２の断面Ｂ-Ｂを示す。

【図４】 図４は、図３の部分拡大図を示す。

【図５】 図５は、図２の部分拡大図である。

【図６】 図６は、アクスルハブへ取り付けられた本発明の他の実施例のブレーキディス
クの側面図を示す。

【図７】 図７は、図８の断面Ａ-Ａを示す。

【図８】 図８は、アクスルハブへ取り付けられた本発明の第３実施例のブレーキディス
クの側面図を示す。

【図９】 図９は、図８の断面Ａ-Ａを示す。

【図１０】 図１０は、発明の第４実施例の斜視図を示す。

【図１１】 図１１は、摩擦リングの部分領域を取り去った図１０の実施例の別の斜視図を
示す。

【図１２】 図１２は、図１０の実施例の側面図を示す。

【図１３】 図１３は、図１２の断面Ａ-Ａを示す。

【図１４】 図１４は、図１０-１２の実施例の背面図を示す。

【符号の説明】

１ ブレーキディスク ２ ブリッジ片 ３、４ 摩擦リング ５ 空気通路 ６ 支持部材 ７ カム ８ アクスルハブ ９ 中間要素 １０ ボルト １１ 導路 １２、１３ 部分 １２ａ、１３ａ 基礎側面 １２ｂ、１３ｂ 長脚部 １４ 穴 １５ ハブ穴 １６ カム穴 １７ 穴

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，Ｅ Ａ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ， ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，Ｇ Ｅ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ， ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，Ｍ Ｎ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ， ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，Ｚ Ａ，ＺＷ (71)出願人 Ｍｏｏｓａｃｈｅｒ Ｓｔｒａｓｓｅ 80， 80809 Ｍｕｅｎｃｈｅｎ， Ｇｅ ｒｍａｎｙ (72)発明者 パーレ、ヴォルフガング ドイツ連邦共和国、74080 ハイルブロン、 プラターネンストラーセ 35 Ｆターム(参考） 3J058 AA48 AA53 AA62 BA37 CB14 CB23 DD02 DE02 FA01

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両のディスクブレーキ用の、特に商用車両の空気作動式ディスクブレーキ用
   のブレーキディスクであって、 それらの間に少なくとも一つの空気通路（５）を形成して、ブリッジ片（２）
   を介して相互に結合される二枚の摩擦リング（３、４）と、 （商用）車両の車軸のハブのカム内で係合すべく構成されて、ブレーキディス
   クの内周領域に接続形成された支持部材（６）とを有し、 支持部材（６）がブレーキディスク（１）の内周でブリッジ片状に空気通路（
   ５）を跨り、そこで、摩擦リング（３、４）の外側面（３ａ、４ａ）を、支持部
   材（６）の外側面（６ａ）に対して軸方向に離しているブレーキディスク。
2. 【請求項２】 支持部材（６）が空気通路（５）内への冷却空気用の導路（１１）を備えるこ
   とを特徴とする、特に請求項１の前提部分によるブレーキディスク。
3. 【請求項３】 該導路を、該ブレーキディスクに対してほぼ半径方向に延びる穴（１１）とし
   て形成することを特徴とする請求項２のブレーキディスク。
4. 【請求項４】 支持部材（６）がほぼＴ状を呈し、Ｔのブリッジ片はそれぞれ半径方向に延び
   る穴（１１）を冷却空気用に備えることを特徴とする請求項１乃至請求項３の一
   のブレーキディスク。
5. 【請求項５】 該Ｔ状支持部材（６）をそれぞれ二つのＬ状部分（１２、１３）から形成し、
   両Ｌ状部分（１２、１３）の基礎側面（１２ａ、１３ａ）は相互に隣接し、半径
   方向に空気通路（５）内に突出し、Ｌ状部分（１２、１３）の長脚部（１２ｂ、
   １３ｂ）が、それぞれ半径方向内向きに摩擦リング（３、４）の内周に亘って突
   出していることを特徴とする前記請求項の一のブレーキディスク。
6. 【請求項６】 該Ｌ状部分（１２、１３）の双方の長脚部（１２ｂ、１３ｂ）の間に、導路（
   １１）内で合流し、及び／又は該導路（１１）の部分を形成する軸穴（１７）が
   形成されていることを特徴とする請求項５のブレーキディスク。
7. 【請求項７】 該カムと該支持部材の間に設置可能な、ハブ（８）のカム（７）にブレーキデ
   ィスク（１）を軸方向に固定すべく中間要素（９）を備えることを特徴とする前
   記請求項の一のブレーキディスク。
8. 【請求項８】 該支持部材（６）の外側面（６ａ）に対する摩擦リング（３、４）の外側面（
   ３ａ、４ａ）の間隔が ３＜＝ｂｓ／ｓ＜＝６ の条件を満足することを特徴とす
   る前記請求項の一のブレーキディスク。
9. 【請求項９】 アクスルハブ（８）及び／又はアクスルハブとブレーキディスクの間に挿入可
   能なアダプタを、半径方向内向きに、又は側面で軸方向外向きに開放したハブ穴
   （１５）又はハブ穴（１４）と共に形成して、支持部材（６）の穴内に、及び／
   又は摩擦リングの間に形成される空気通路（５）内に直接、冷却空気を案内する
   ことを特徴とする前記請求項の一のブレーキディスクを受容するアクスルハブ。
10. 【請求項１０】 カム（７）がカム穴（１６）を備え、該カム穴は該カム（７）の軸方向外側面
    を穴状に延びて空気通路（５）内に導かれることを特徴とする請求項９のアクス
    ルハブ。
11. 【請求項１１】 カム穴（１６）がブレーキディスク面に対し傾斜して延びることを特徴とする
    請求項１０のアクスルハブ。