【発明の詳細な説明】
化合物発明の分野
本発明は新規な2-アルキルヘテロジヒドロピリミジン誘導体、それらの製造方
法、それらを含有する医薬組成物およびそれらの治療における使用に関する。さ
らに別の目的は、N型神経カルシウムチャンネルのための強力なリガンドである
化合物を提供することである。本発明の背景
生物物理学的性質および薬理学的性質に基づいて区別できるいくつかの相異な
る型の電位依存性カルシウムテャンネルが存在することは、よく知られている。
これらのカルシウムチャンネルは、α1サブユニットのアミノ酸配列(“Molecul
ar Determinants of Ca2+ Channel Function and Drug Action”TiPS 1995,16
,43-49)の相違および種々のリガンド(“Synthetic Organic Ligands Active
at Voltage-Gated Calcium Channels”,Ann.Y.cad.ci.,1991,635,123-13
8)に対する相異なる感受性によって定義される。これらの刊行物は、L型カル
シウムチャンネルがN型カルシウムチャンネルとはα1サブユニットのアミノ酸
配列並びにジヒドロピリミジンに対する感受性(L型チャンネルは感受性である
が、N型チャンネルはそうではない)およびω−コノトキシンGVIAおよびMVI
IAに対する感受性(N型チャンネルは感受性であるが、L型チャンネルはそう
ではない)に関して相違することを教示している。
L型カルシウムチャンネルアンタゴニストは、心血管疾患特に高血圧症の治療
について臨床的に証明された化合物である。
N型神経カルシウムチャンネルに結合する化合物の使用は、細胞中のカルシウ
ムの異常流出からなる一連の疾患例えば虚血、アルツハイマー病、
神経保護および痛覚脱失の治療に関して従来論議されてきた(“Neuronal Volta
ge-Sensitive Calcium Channnels”Drug News & Perspectives,1994,7,261-2
68)。また、N型神経カルシウムチャンネルは種々の神経伝達物質の放出中に包
含されることが見いだされ、そしてそれ故にN型カルシウムチャンネルに結合す
る化合物はまた、神経伝達物質の異常放出によって特徴づけられる種々の疾患状
態例えば不安症、精神***病、パーキンソン病および偏頭痛に有用であることも
ある。
特許出願EP 0 202 654号には、一般構造:
の5−カルボキシ−1,4−ジヒドロピリミジン誘導体が心血管剤、特にそれらの
血管拡張活性のために抗高血圧剤として開示されている。これらの化合物は基R2
の定義により、およびそれらの相異なる薬理活性により本出願の範囲と区別され
る。
特許出願JP 62-67272号には、一般構造:
のジヒドロピリミジン類が循環器疾患の治療剤として開示されている。これらの
化合物は基R3およびR4の定義により、およびそれらの相異なる薬理
活性により本出願の範囲と区別される。本発明の開示
本発明により、本発明者等は式(I)
[式中、R1はSR6、NR6R7またはOR6であり、
R2はOまたはSを場合により含有し、そしてフェニル環または単環式ヘテロア
リール環(その芳香族環は場合により、ハロゲン、C1 〜6アルキルまたはC1 〜6ア
ルコキシから独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている
)で置換されているC1 〜6アルキルまたはC2 〜6不飽和アルキルを示し、
R3はN、OまたはSから選択される1個のヘテロ原子を場合により含有し、ハ
ロゲン、C1 〜6アルキル、C1 〜6アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、アミ
ノ、ヒドロキシ、ニトロまたはカルボメトキシから独立して選択される1個また
はそれ以上の置換基で場合により置換されている単環式または二環式の芳香族環
を示し、
R4およびR5は独立して水素、C1 〜6アルキルまたはベンジルを示すか、または
基NR4R5は一緒になってピペリジニル、モルホリニル、3,4−デヒドロピペリジニ
ル、チオモルホリニル、ピロリジニル、N−メチルピペリジニウム、ピペラジニ
ルまたは、さらにN-4がC1 〜6アルキルで置換されているピペラジニルを示し、
R6およびR7は独立してC1 〜6アルキルもしくはC3 〜6シクロアルキルを示すか、
またはそのフェニル環がC1 〜6アルキル、C1 〜6アルコキシもしくはハロ
ゲンで場合により置換されているベンジルを示し、
XはO、SまたはNR8を示し、
R8は水素またはC1 〜6アルキルを示し、そして
nは整数2〜4を示す]
で表される化合物、その光学異性体およびラセミ体並びにその医薬的に許容し得
る塩を提供する。
前記の「N、OまたはSから選択される1個のヘテロ原子を場合により含有す
る単環式または二環式の芳香族環」の例としてはフェニル、1−および2−ナフ
チル、2−、3−および4−ピリジル、2−および3−チエニル、2−および3
−フリル、キノリル、イソキノリル、インドリル、ベンゾチェニルおよびベンゾ
フリルを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
特記しない限り、ここでの「C1 〜6アルキル」の用語は、炭素原子1〜6個を
有する直鎖または分枝状アルキル基または炭素原子3〜6個を有する環状アルキ
ル基を意味する。このような基の例としてはメチル、エチル、n−プロピル、i
−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、シクロペンチルおよびシク
ロヘキシルを挙げることができる。
特記しない限り、ここでの「C2 〜6不飽和アルキル」の用語は炭素原子2〜6
個を有しそして1個の二重結合または1個の三重結合を有する直鎖または分枝状
アルキル基並びに炭素原子3〜6個を有しそして1個の二重結合を有する環状ア
ルキル基を意味する。このような基の例としてはエテニル、エチニル、1−およ
び2−プロペニル、1−および2−プロピニル、2−メチル−2−プロペニル、
2−ブテニル、2−ブチニル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルを挙げ
ることができる。
特記しない限り、ここでの「C1 〜6アルコキシ」の用語は、炭素原子1〜
6個を有する直鎖または分枝状アルコキシ基を意味する。このような基の例とし
てはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i
−ブトキシ、s−ブトキシおよびt−ブトキシを挙げることができる。
特記しない限り、ここでの「ハロゲン」の用語はフッ素、塩素、臭素またはヨ
ウ素を意味する。
式(I)の化合物のような1,4−ジヒドロピリミジン類は多かれ少なかれ互変異
性体3,4−ジヒドロ形態(式Ia)
で存在することがある。
化合物が1,4−ジヒドロピリミジン類として示されるかまたは命名される場合
にはいつでも、1,4−ジヒドロと3,4−ジヒドロの両互変異性体およびそれらの混
合物が本発明の範囲内に包含されることを理解されたい。
本発明の好ましい化合物は式(I)において、
R1がSR6でありそしてR6がC1 〜6アルキルを示し、
R2が、そのフェニル環がハロゲンで場合により置換されている3−フェニルプ
ロピルまたは3−(1−フェノキシ)プロピルを示し、
R3が、2−または3−位が場合によりさらに置換されている4−置換フェニル
を示すか、または2−キノリルであり、
R4およびR5が独立してC1 〜6アルキルであるか、または基NR4R5が一緒になって
ピペリジニル、ピロリジニルまたは、さらにN-4がC1 〜6アルキルで置換されてい
るピペラジニルを示し、
XがOを示し、そして
nが2である化合物である。
本発明の特に好ましい化合物としては下記の化合物:
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メトキシ−6−[(
2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カ
ルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−エチルチオ−6−[
(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カ
ルボキシレート、
3−フェニルプロピル2−メチルチオ−4−(2−ナフチル)−6−[(2−(1
−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシ
レート、
3−フェニルプロピル2−メチルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキ
シ)メチル]−4−(2−キノリル)−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシ
レート、
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジヒドロフェニル)−2−メチルチオ−6−[
(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カ
ルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(3,5−ジヒドロフェニル)−2−メチルチオ−6−[
(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カ
ルボキシレート、
3−フェニルプロピル2−メチルチオ−4−(4−ニトロフェニル)−6−[(2
−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カル
ボキシレート、
2−(4−クロロフェノキシ)エチル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2
−メチルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒド
ロピリミジン−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(4−クロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2
−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カル
ボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−2−
メチルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロ
ピリミジン−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(4−メチルフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2
−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カル
ボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(4−シアノフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2
−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カル
ボキシレート、
3−フェニルプロピル(+)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ
−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン
−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(4−メチル−3−ニトロフェニル)−2−メチルチ
オ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジ
ン−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(4−クロロ-3−ニトロフェニル)−2−メチルチ
オ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジ
ン−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(4−エチルフェニル)-2−メチルチオ−6−[(2
−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジ
ン−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(2−(N,N−ジエ
チルアミノ)エチルチオ)メチル]−2−メチルチオ−1,4−ジヒドロピリミジン−
5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(4−ヨードフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2
−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カル
ボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(4−ブロモフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2
−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カル
ボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(2−(N,N−ジエ
チルアミノ)エトキシ)メチル]−2−メチルチオ−1,4−ジヒドロピリミジン−5
−カルボキシレート、
3−フェノキシプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−6
−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5
−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(4−メトキシカルボニルフェニル)−2−メチルチ
オ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジ
ン−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(4−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−6−[(
2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カ
ルボキシレート、
3−フェニルプロピル2−メチルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキ
シ)メチル]−4−(2−チエニル)−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシ
レート、
3−フェニルプロピル2−メチルチオ−4−フェニル−6−[(2−(1−ピペ
リジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシレート
、
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−ジメチルアミノ−
6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−
5−カルボキシレート、
2−(3−メチルフェノキシ)エチル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチ
ルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリ
ミジン−5−カルボキシレート、
2−フェノキシエチル4−(3,4−ジクロロフェニル)-2−メチルチオ−6−[(
2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カ
ルボキシレート、
3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−
メチルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロ
ピリミジン−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(3−クロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2
−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カル
ボキシレート、
2−フェネチル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2−(
1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキ
シレート、
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−メトキシフェ
ニル)メチルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒ
ドロピリミジン−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルチ
オ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジ
ン−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[
(4−(1−ピペリジニル)ブチルオキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5
−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル2−メチルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキ
シ)メチル]−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−1,4−ジヒドロピリミジ
ン−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル2−メチルチオ−4−(3−ニトロフェニル)−6−[(2
−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カル
ボキシレート、
3−(4−メトキシフェニル)プロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メ
チルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピ
リミジン−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(2−(N,N−ジメ
チルアミノ)エトキシ)メチル]−2−メチルチオ−1,4−ジヒドロピリミジン−5
−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル6−(2−アミノエトキシメチル)−4−(3,4−ジクロロ
フェニル)−2−メチルチオ−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシレート
、
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[
(2−(4−モルホリニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カ
ルボキシレート、
3−フェニルプロピル(−)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ
−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒド
ロピリミジン−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(2−(N,N−ジエ
チルアミノ)エチルアミノ)メチル]−2−メチルチオ−1,4−ジヒドロピリミジン
−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(3−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル)−2−メチ
ルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリ
ミジン−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−2−メチ
ルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリ
ミジン−5−カルボキシレート、
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[
(2−(1−N−メチルピペリジニウム)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミ
ジン−5−カルボキシレートクロリド、
並びにそれらの互変異性体およびそれらの医薬的に許容し得る塩がある。
本発明は塩、特に酸付加塩の形態で式(I)の化合物を包含する。適当な塩と
しては有機酸および無機酸の両方で形成される塩がある。非医薬的に許容し得る
酸の塩は本発明化合物の製造および精製に有用であることがあるけれども、上記
のような酸付加塩は通常、医薬的に許容し得るものである。したがって、好まし
い塩としては塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピル
ビン酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸およびベン
ゼンスルホン酸から形成される塩を挙げることができる。
本発明により、本発明者等はさらに式(I)の化合物、その光学異性体および
ラセミ体並びにその医薬的に許容し得る塩の製造方法を提供する。その方法は、
(a)式(II)
(式中、R2、R4、R5、Xおよびnは前述の定義を有する)の対応する化合物を式
(III)
(式中、R1は前述の定義を有する)の化合物またはその酸付加塩および式(IV)(式中、R3は前述の定義を有する)の化合物と反応させることにより式(I)の
化合物を製造するか、または
(b)式(V)
(式中、R2、R3、R4、R5、Xおよびnは前述の定義を有する)の対応する化合物
を式(III)
(式中、R1は前述の定義を有する)の化合物またはその酸付加塩と反応させるこ
とにより式(I)の化合物を製造するか、または
(c)式(VI)
(式中、R1、R2およびR3は前述の定義を有する)の対応する化合物を式(VII)
(式中、R4、R5、Xおよびnは前述の定義を有する)の化合物と反応させること
により式(I)の化合物を製造し、
そこで所望または必要により、得られた式(I)の化合物またはその別の塩をそ
れの医薬的に許容し得る塩に変換するか、または逆に操作することからなる。
方法(a)では、その反応を式(II)、(III)および(IV)の化合物の混合
物を適当な溶媒中において15〜150℃好ましくは25〜75℃で、酸または塩基を添
加するかまたは添加せずに撹拌しながら行う。適当な溶媒としては例えばテトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、エ
タノールまたはイソプロパノールがあるが、好ましくはN,N−ジメチルホルムア
ミド、エタノールまたはイソプロパノールである。酢酸ナトリウム、炭酸カリウ
ムおよび炭酸水素ナトリウムは好ましい塩基である。反応時間はとりわけ使用す
る溶媒および温度に左右され、数日までであることもある。
方法(b)では、その反応を式(III)および(V)の化合物の混合物を適当な
溶媒中において15〜150℃好ましくは25〜75℃で、酸または塩基を添加するかま
たは添加せずに撹拌しながら行う。適当な溶媒としては例えばテトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、エタノールま
たはイソプロパノールがあるが、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、エタ
ノールまたはイソプロパノールである。反応時間はとりわけ使用する溶媒および
温度に左右され、数日までであることもある。
方法(c)では、その反応を式(VI)および(VII)の化合物の混合物を適当な
不活性溶媒例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、N,N−ジ
メチルホルムアミド、エタノールまたはイソプロパノール中で撹拌しながら行う
。
式(I)の化合物の塩はその遊離塩基もしくは塩、鏡像異性体、互変異性体ま
たはそれらの保護された誘導体を1またはそれ以上の当量の適当な酸と反応させ
ることにより形成することができる。その反応は、その塩が不溶性である溶媒ま
たは媒体、またはその塩が可溶性である溶媒中で実施することができ、その後引
き続きその溶媒を真空中で除去するかまたは凍結乾燥する。適当な溶媒の例とし
ては水、ジオキサン、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランまた
はジエチルエーテルまたはそれらの混合物を挙げることができる。その反応は複
分解法であることもあるし、またはイオン交換樹脂上で実施することもできる。
式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)で表されるある種の新規中
間体は本発明の別の特徴を形成する。
式(II)の化合物は、式(VIII)
(式中、R2は前述の定義を有する)の化合物を適当な溶媒中で塩基を添加するか
または添加しないで、式(VII)の化合物と反応させることにより得ることがで
きる。その溶媒および塩基の選択はとりわけ基Xの性質に左右される。適当な溶
媒としてはエーテル、テトラヒドロフランまたはN,N−ジメチルホルムアミドを
挙げることができる。適当な塩基としては金属水素化物例えば水素化ナトリウム
または水素化カリウム、炭酸塩例えば炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム、第3
級アミン例えばトリエチルアミンまたは1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク
−7−エンがあるが、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムが好ましい。
式(VIII)の化合物は式(IX)
R2−OH (IX)
(式中、R2は前述の定義を有する)の化合物をトルエン、ベンゼンまたはジクロ
ロメタンのような不活性溶媒中で式(X)
の化合物とともに加熱することにより製造することができる。エタノールの共沸
除去とともに溶媒としてトルエンを使用するのが好ましい操作である。
あるいはまた、式(X)の化合物を式(VII)の化合物と反応させ、次い
でそれより得られた反応生成物を式(IX)の化合物と反応させることにより式(
II)の化合物を得るように、前記工程の順序を変更してもよい。
式(V)の化合物は、式(II)の化合物を当業者に知られた標準的条件の下で
式(IV)の化合物と反応させることにより得ることができる。
式(VI)の化合物は当業者によく知られた方法を用いて式(XI)
の化合物を臭素化することにより製造することができる。
式(XI)の化合物は式(III)、(IV)および(XII)
(式中、R2は前述の定義を有する)の化合物の混合物を、前記方法(a)による式
(I)の化合物の製造に使用したのと同様の条件下で縮合することにより製造す
ることができる。
式(III)、(IV)、(VII)、(IX)、(X)および(XII)の化合物は商業
的に入手可能であるか、または当業者に知られた方法で製造できる。
中間体化合物はそのままで、または保護された形態で製造され得る。特にアミ
ン基は保護するのがよい。適当な保護基は標準的な教科書、Greene and Wuts,
“Protective Groups in Organic Synthesis”,2nd Edition(1991)に記載され
ている。アミン保護基としてはアルキルオキシカルボニル例えばt−ブチルオキ
シカルボニル、フェニルアルキルオキシカルボニル例えばベンジルオキシカルボ
ニル、トリフルオロアセテートまたはフタ
ロイルを挙げることができる。脱保護は通常、塩基水溶液または酸水溶液での処
理、またはフタロイルの場合にはヒドラジンでの処理により行う。
式(II)、(V)、(VI)および(XI)の化合物のその他の合成は当業者には
容易に自明である。
本発明化合物および中間体はそれらの反応混合物から単離することができ、必
要によっては、標準的手法でさらに精製することができる。
式(I)の化合物は互変異性体、鏡像異性体またはジアステレオ異性体で存在
することができ、それらの全ては本発明の範囲内に包含される。種々の光学異性
体は、分別結晶化またはHPLCのような常套手法を用いて、各化合物のラセミ混合
物を分離することにより単離することができる。あるいはまた、個々の鏡像異性
体は、ラセミ化を起こさない反応条件下での適当な光学活性出発物質の反応によ
り製造することができる。
中間体化合物もまた鏡像異性体または互変異性体で存在することができ、その
精製された鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体、互助異性体またはそれ
らの混合物として使用できる。
式(I)の化合物はN型神経カルシウムチャンネルのブロッカーであり、その
ままでN型神経カルシウムチャンネルの障害で惹起する疾患の治療または予防に
有用である。理論により限定される訳ではないが、N型神経カルシウムチャンネ
ルのブロッカーはCNS疾患の治療または予防に有用であると信じられている。
すなわち、本発明化合物の有用性は卒中、頭部外傷、心臓停止、脊髄障害、無酸
素症、低酸素症および心臓手術特に冠状動脈バイパス手術のような状態による脳
血管性虚血;アルツハイマー病、パーキンソン病およびAIDS関連の知的障害のよ
うな神経変性疾患;障害受容性および神経障害性の疼痛症候群のような疼痛;認
識または注意力関連の疾患;精神疾患特に精神***病;不安症および鬱病のよう
な感情の疾患並
びに偏頭痛の治療または予防にある。
式(I)の化合物は脳血管性虚血、卒中、頭部外傷、疼痛、アルツハイマー病お
よび精神***病の治療または予防に特に有用であると予想される。
予防は、問題の疾患または状態の以前からの症状発現に悩んでいるか、あるい
はまたその疾患または状態の危険が増加していると考えられる人々の治療に特に
関係していると思われる。一般的に、個々の疾患または状態の発現の危険に瀕し
ている人々とは、その疾患または状態の家族性病歴を有する人または遺伝子的試
験またはスクリーニングによりその疾患または状態を特に発現し易いと確認され
ている人である。
したがって、本発明のさらに別の特徴によれば、本発明者等は医薬として使用
するための式(I)の化合物、その光学異性体もしくはラセミ体またはその医薬
的に許容し得る塩を提供する。
本発明のさらに別の特徴によれば、本発明者等は前記疾患または状態の治療ま
たは予防用医薬の製造における式(I)の化合物、その光学異性体、ラセミ体も
しくは互変異性体またはその医薬的に許容し得る塩の使用を提供し、さらに前記
疾患または状態に罹患しているかまたは罹患し易い人に治療的に有効な量の式(
I)の化合物、その光学異性体、ラセミ体もしくは互変異性体またはその医薬的
に許容し得る塩を投与することからなるこのような疾患または状態の一種を治療
するかまたはその危険を減少させる方法を提供する。
前記の治療適応症に関して、投与する用量は勿論、用いる化合物、投与方法お
よび所望される治療によって変化する。しかし一般に、満足できる結果は、それ
らの化合物を1日当たり0.5mg〜2000mg(活性成分として測定して)の用量、特
に好ましくは1日当たり2mg〜500mgの用量でヒトに投与する場合に得られると
思われる。
式(I)の化合物、その光学異性体もしくはラセミ体並びにその医薬的に許容
し得る塩はそれら自体で、または適当な医薬製剤の形態で使用できる。投与は経
腸(例えば経口、舌下または直腸)、鼻内、局所または非経口の各経路によって
なされるが、これらに限定されるものではない。適当な製剤の選択および調製に
関する常套手段は例えば“Pharmaceuticals-The Science of Dosage Form Desig
ns”,M.E.Aulton,Churchill Livingstone,1988に記載されている。
本発明によれば、好ましくは99重量%より少ない、より好ましくは80重量%よ
り少ない、さらにより好ましくは50重量%より少ない式(I)の化合物、その光
学異性体もしくはラセミ体またはその医薬的に許容し得る塩を医薬的に許容し得
る希釈剤または担体との混合物で含有する製剤が提供される。
本発明者等はまた、各成分を混合することからなるこのような製剤の調製方法
も提供する。
このような希釈剤および担体の例としては錠剤および糖衣錠の場合にはラクト
ース、デンプン、タルク、ステアリン酸:カプセル剤の場合には酒石酸またラク
トース;注射液の場合には水、アルコール、グリセリン、植物油;坐薬の場合に
は天然油、硬化油またワックスがある。
経口すなわち食道投与に適した形態の組成物としては錠剤、カプセル剤および
糖衣錠があり、持続放出性組成物は活性成分がその中でイオン交換樹脂に結合し
ているものからなり、そこでその樹脂はそれの放出性を調整できる拡散バリヤー
で場合によりコーティングされている。
本発明化合物の薬理活性は一種またはそれ以上の下記検定を使用して評価する
ことができる。
1)N型カルシウムチャンネルでのアフィニティー検定−ラットシナプス膜への
[125I]−MVIIAの結合シナプス膜の調製
小脳を除いたラット脳を、プロテアーゼ阻害剤(SPI:1μMのロイペプチン、
2μMのペプスタチン、1.0mMのEGTA、1mMのEDTA)を含有する氷冷した0.32Mス
クロース中でホモジナイズした。そのホモジネートを4℃で15分間1000gで遠心
分離した。得られた上澄み液を4℃で15分間12,000gで遠心分離した。ペレット
を再遠心分離により洗浄し、SPIバッファー中に再懸濁し、Beckman製の超透明性
超遠心機(Ultraclear Ultracentrifuge)の管中で不連続(0.6M/0.8M/1.2M
)スクロース勾配で層状にした。4℃で75分間140,000gで遠心分離した後に、0
.8/1.2M界面を含有する0.8M層を集め、プールし次いでプロテアーゼ阻害剤を
含有する氷冷水で希釈して0.32Mスクロースにした。この懸濁液を4℃で15分間
15,000gで遠心分離した。ペレットをプロテアーゼ阻害剤含有の氷冷水中に再懸
濁し次いで−140℃で凍結した。解凍した懸濁液から、プロテアーゼ阻害剤含有
の氷冷水での3倍希釈、ポリトロンホモジナイゼーションおよび4℃で20分間の
41,000gでの遠心分離を行って膜を収穫した。ペレットをプロテアーゼ阻害剤含
有のリン酸バッファー塩水中に再懸濁し、使用するまで−70℃でアリコート中に
保存した。検定
20μlのDMSO中の化合物を、18pMの[125I]−MVIIAを含有する100μlバッファ
ー(75mMのNaCl、0.1mMのEDTA、0.1mMのEGTA、0.1%牛血清アルブミン、100μg
/mlのキモスタチン、0.35μg/mlのアプロチニン、10μg/mlのロイペプチン、
20mMのHEPES、pH7.0)に加えた。2μgのシナプス膜蛋白質含有の380μlバッフ
ァーを加えることによりその反応を開始した。
室温で1時間インキュベーションした後に、結合した放射能をPackard GF/C Uni
filterプレート(100μMネオマイシン硫酸塩含有の0.3%ポリエチレンイミン中
にあらかじめ浸された)上でのろ過により回収した。洗浄後、25μlのMicroScin
tシンチレーション液を各フィルターウエルに加え、放射能をPackard TopCount
シンチレーションカウンター中で測定した。非特異的結合は100μMネオマイシン
硫酸塩の存在下で測定した。
N型カルシウムチャンネルのアフィニティーについてのスクリーにおいて、化
合物活性はIC50(その検定で50%結合阻害を与える薬物物質の濃度)として表され
る。各試験化合物のIC50値は、最初にその化合物の1、10および100μMの各溶液
の阻害活性から評価した。10μMで少なくとも50%その結合を阻害した化合物を
、一つのIC50値が決定され得るようなさらに適当な濃度を用いて再試験した。
2)N型電位依存性カルシウムチャンネルの拮抗作用に関するインビトロ検定方
法
ヒト神経芽細胞腫系のSHSY5Y細胞を96ウエルのマイクロプレート中で培養し、
レチノン酸で分化した。それらの細胞にカルシウム蛍光指示薬のFluo-3/AMを加
え、1μMのニフェジピンの存在下で30分間、適当な濃度の試験化合物で処理し
た。KC1(最終濃度75mM)の添加で細胞を脱分極することによりカルシウムチャン
ネルを活性化した。増加した細胞内カルシウムレベルから生じたピーク蛍光強度
をFluorescence Imaging Plate Readerを用いて全ウエル中において同時に測定
した。未処理の対照細胞を基準としたピーク蛍光強度の減少を用いて、カルシウ
ムチャンネル拮抗作用を測定した。IC50値は、試験化合物に関してアンタゴニス
ト効力の指数として得られた。
3)N型カルシウムチャンネル電流の電気生理学的検定
上位頚部神経節細胞をK.J.Swartz,Neuron,1993,11,305-320に記載の方
法の変法を用いて、2週令のラットの子から単離した。それらの細胞を氷上のLe
ibovitz L-15バッファー中に維持し、8時間までの間に酸素(気泡なし)を加えた
。
ホールセルパッチクランプの記録を浴バッファー(115mMのNaCl、10mMのD−
グルコース、10mMのHEPES、4.9mMのKC1、2.5mlのMgCl2、10mMのTEAC1、0.5μMの
TTX、10mMのBaCl2、pH7.4)中でピペットバッファー(130mMのCsCl、10mMのEGTA
、20mMのHEPES、5mMのD−グルコース、3mMのATP-Na2、5mMのMgCl2-ATP、0.25m
MのGTP-Li;CsOHでpH7.1にする)を用いて行った。−80mVの保持電位から0mVへ
の電位パルスによりチャンネルを顕在化して開口させた。各試験化合物をそれら
の最終濃度の1000倍でDMSO中に溶解し、次いで浴バッファー中に希釈した。試験
化合物適用の前と後に、チャンバーを通過する流れの中で電流を測定した。これ
ら2つの測定値の差から阻害%を計算した。
下記実施例1〜44の化合物は、一種またはそれ以上の上記検定で試験した場合
に有意な活性を示した。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はそれらに限定されるもので
はない。製造例1
3−フェニルプロピル4−クロロアセトアセテート
エチル4−クロロアセトアセテート(134g、815mmol)および3-フェニル−1−
プロパノール(111ml、821mmol)の溶液を、エタノールの共沸除去をしながら4時
間加熱した。溶液を18時間撹拌しながらそのまま冷却し、次いで濃縮して標題化
合物(214g)を得た。Electrospray MS m/z 219[M-Cl+H]+。製造例2
3−フェニルプロピル4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)アセトアセテート
THF(50ml)中の2−(1−ピペリジニル)エタノール(15ml、113mmol)を0℃でTH
F(200ml)中の水素化ナトリウム(7g、175mmol)の懸濁液に滴加した。次いで混
合物を1時間室温で撹拌し、0℃に冷却し、THF(50m1)中の3−フェニルプロピ
ル4−クロロアセテート(22ml、103mmol)を滴加し次いで反応混合物を室温に加
温しながら18時間撹拌した。1N塩酸を混合物が酸性になるまで添加し、次いで
水溶液層を分離した。有機層を1N塩酸で2回以上抽出した。一緒にした酸層を
炭酸水素ナトリウムで塩基性にしてpH8とし、クロロホルムで抽出した。一緒に
した抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し次いで蒸発させて標題化合物(24g)を油
状物として得た。Electrospray MS m/z348[M+H]+。
4−(1−ピペリジニル)ブタノールを用いた以外は製造例2の一般的操作に従
って、3−フェニルプロピル4−(4−(1−ピペリジニル)ブチルオキシ)アセト
アセテートを合成した。Electrospray MS m/z 376[M+H]+。製造例3
3−フェニルプロピル4−(2−(N,N−ジエチルアミノ)エトキシ)アセトアセテ
ート
THF(25ml)中のN,N−ジエチルアミノエタノール(7.49ml、56.6mmol)を0℃でTH
F(100ml)中の水素化ナトリウム(3.5g、87.5mmol)の懸濁液に滴加した。次いで
混合物を30分間室温で撹拌し、0℃に冷却し、THF(25ml)中の3−フェニルプロ
ピル4−クロロアセトアセテート(11.10ml、51.5mmol)を滴加し、次いで反応混
合物を室温に加温しながら18時間撹拌した。
1N塩酸を混合物が酸性になるまで添加し、次いで水溶液層を分離した。有機層
を1N塩酸で2回以上抽出した。一緒にした酸層を酢酸エチルで2回洗浄し次い
で炭酸水素ナトリウムで酸性にしてpH8とし、クロロホルムで3回抽出した。一
緒にした抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて標題化合物(16.3g)を
油状物として得た。Electrospray MS m/z 336[M+H]+。
製造例3の一般的操作に従って下記の化合物を合成した。
3−フェニルプロピル4−(2−(N,N−ジメチルアミノ)エトキシ)アセトアセ
テート、Electrospray MS m/z 308[M+H]+;
3−フェニルプロピル4−(2−(1−モルホリニル)エトキシ)アセトアセテー
ト、Electrospray MS m/z 350[M+H]+。製造例4
3−フェニルプロピル4−(2−(2−(1,3−ジヒドロ-1,3-ジオキソ−2H−イソ
インドリル)エトキシ)アセトアセテート
2−(2−(1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドリル)エタノール(
7.1g、37.5mmol)を撹拌しながら窒素雰囲気下でTHF中の水素化ナトリウム(1.5
g、37.5mmol)の懸濁液に滴加した。混合物を1時間室温で撹拌し、0℃に冷却
し、THF中のエチル4−クロロアセトアセテート(2.5ml、18.7mmol)を滴加し、反
応混合物を室温に加温しながら48時間撹拌した。1N塩酸を混合物が酸性になる
まで添加し、水溶液層を分離し、有機相を1N塩酸で2回以上抽出した。一緒に
した酸層を炭酸水素ナトリウムで塩基性にしてpH8とし、クロロホルムで抽出し
た。一緒にした抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させてエチル4−(2
−(2−(1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキシ-2H-イソインドリル)エトキシ)アセトア
セテート(3g)を油状物として得た。Electrospray MS m/z 320[M+H]+。
この油状物を3-フェニル-1−プロパノール(1.35ml、10mmol)と一緒にし、エ
タノールの共沸除去をしながら4時間トルエン中で加熱した。その溶液を18時間
撹拌しながらそのまま冷却し、次いで濃縮して標題化合物を明褐色の油状物とし
て得た。Electrospray MS m/z 410[M+H]+。
製造例4の一般的操作に従って下記の化合物を合成した。
2−(3−メチルフェノキシ)エチル4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)ア
セトアセテート、Electrospray MS m/z 364[M+H]+;
2−(4−クロロフェノキシ)エチル4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)ア
セトアセテート、Electrospray MS m/z 384[M+H]+;
2−フェノキシエチル4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)アセトアセテー
ト、Electrospray MS m/z 350[M+H]+;
2−フェニルエチル4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)アセトアセテート
、Electrospray MS m/z334[M+H]+;
3−(4−メトキシフェニル)プロピル4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)
アセトアセテート、Electrospray MS m/z 378[M+H]+;
3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピル4−(2−(1−ピペリジニル)エトキ
シ)アセトアセテート、Electrospray MS m/z 408[M+H]+。製造例5
2−(4−メトキシベンジル)イソチオ尿素
テトラヒドロフラン(30ml)中のチオ尿素(3.8g、50.0mmol)の混合物に4−メ
トキシベンジルクロリド(8.0g、51.1mmol)を滴加し、反応混合物を室温で2時
間撹拌し次いで4時間加熱還流した。反応混合物を室温で18時間撹拌した後に生
成物をエーテルから単離して標題化合物(11.46g)を得た。Electrospray MS m/z
197[M+H]+。製造例6
3−フェニルプロピル4−(2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルチオ)アセトアセ
テート
2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルチオール(2.80g、16.5mmol)および炭酸カ
リウム(4.56g、33.0mmol)を室温でTHF(50ml)中において1時間撹拌した。次い
で混合物を0℃に冷却し、THF(15ml)中の3−フェニルプロピル4−クロロアセ
トアセテート(3.23ml、15.0mmol)を滴加し、次いで反応混合物を室温に加温しな
がら18時間撹拌した。炭酸カリウムを濾過により除去し、濾液を蒸発させて標題
化合物(5.71g)を油状物として得た。Electrospray MS m/z 352[M+H]+。実施例1
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)-2-メチルチオ−6−[(2−
(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボ
キシレート
3−フェニルプロピル4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)アセトアセテー
ト(10.6g、30.6mmol)、3,4−ジクロロベンズアルデヒド(5.9g、34.0mmol)、2
−メチル−2−チオプソイド尿素硫酸塩(6.15g、22.1mmol)および酢酸ナトリウ
ム(2.78g、34.0mmol)の混合物をN,N−ジメチルホルムアミド(50ml)中室温で4
日間撹拌し、次いで24時間60℃に加熱した。DMFを真空で除去し、酢酸エチルを
残留物に添加した。沈殿を濾過により除去し、濾液を水、炭酸水素ナトリウム溶
液およびブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて油状物を得た。この油状物をフ
ラッシュクロマトグラフィーにより更に精製して標題化合物(1.3g)を油状物と
して得た。この油状物をエーテルに溶解し、1または2当量の塩化水素を添加す
るとモノまたはジ塩酸塩に変換することができる。Electrospray MS m/z 576/57
8[M+H]+。
適当な芳香族アルデヒドを用いた以外は実施例1の一般的操作従って、実施例
2〜24の化合物を合成した。実施例2
3−フェニルプロピル4−(4−メトキシカルボニルフェニル)−2−メチルチオ
−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン
−5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 566[M+H]+。実施例3
3−フェニルプロピル2−メチルチオ−4−(2−ナフチル)−6−[(2−(1−
ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシレ
ート
Electrospray MS m/z 558[M+H]+。実施例4
3−フェニルプロピル2−メチルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ
)メチル]−4−(2−キノリル)−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシレ
ート
Electrospray MS m/z 559[M+H]+。実施例5
3−フェニルプロピル4−(4−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2
−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カル
ボキシレート
Electrospray MS m/z 538[M+H]+。実施例6
3−フェニルプロピル2−メチルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ
)メチル]−4−(2−チエニル)−1,4−ジヒドロピリミジン−5
−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 514[M+H]+。実施例7
3−フェニルプロピル2−メチルチオ−4−フェニル−6−[(2−(1−ピペリ
ジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 508[M+H]+。実施例8
3−フェニルプロピル4−(3,5−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[(
2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カ
ルボキシレート
ElectrosprayM Sm/z 576/578[M+H]+。実施例9
3−フェニルプロピル2−メチルチオ−4−(4−ニトロフェニル)−6−[(2−
(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボ
キシレート
Electrospray MS m/z 553[M+H]+。実施例10
3−フェニルプロピル4−(4−クロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2−
(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボ
キシレート
ElectrosprayM Sm/z 542[M+H]+。実施例11
3−フェニルプロピル4−(3−クロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2−
(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジ
ン−5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 542[M+H]+。実施例12
3−フェニルプロピル4−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−2−メチルチオ−
6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−
5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 644[M+H]+。実施例13
3−フェニルプロピル4−(4−メチルフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2−
(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボ
キシレート
Electrospray MS m/z 522[M+H]+。実施例14
3−フェニルプロピル4−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルチオ−6−
[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−
カルボキシレート
Electrospray MS m/z 550[M+H]+。実施例15
3−フェニルプロピル4−(3−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル)−2−メチル
チオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミ
ジン−5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z569[M+H]+。実施例16
3−フェニルプロピル2−メチルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ
)メチル]−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−1,4−ジヒド
ロピリミジン−5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 546[M+H]+。実施例17
3−フェニルプロピル2−メチルチオ−4−(3−ニトロフェニル)−6−[(2−
(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボ
キシレート
Electrospray MS m/z 587[M+H]+。実施例18
3−フェニルプロピル4−(4−シアノフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2−
(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボ
キシレート
Electrospray MS m/z 553[M+H]+。実施例19
3−フェニルプロピル4−(4−メチル-3-ニトロフェニル)−2−メチルチオ−
6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−
5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 576[M+H]+。実施例20
3−フェニルプロピル4−(4−クロロ-3-ニトロフェニル)−2−メチルチオ−
6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−
5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 587[M+H]+。実施例21
3−フェニルプロピル4−(4−エチルフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2−
(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジ
ン−5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 536[M+H]+。実施例22
3−フェニルプロピル4−(4−ヨードフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2−
(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボ
キシレート
Electrospray MS m/z 634[M+H]+。実施例23
3−フェニルプロピル4−(4−ブロモフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2−
(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボ
キシレート
Electrospray MS m/z 586/588[M+H]+。実施例24
3−フェニルプロピル4−(4−ヒドロキシ-3-ニトロフェニル)−2−メチルチ
オ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジ
ン−5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 569[M+H]+。実施例25
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メトキシ−6−[(2
−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カル
ボキシレート
3−フェニルプロピル4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)アセトアセテー
ト(1.0g、2.88mmol)、3,4−ジクロロベンズアルデヒド(0.60g、3.45mmol)、2
−メチル−2−プソイド尿素硫酸塩(0.89g、5.17mmol)および炭酸水素ナトリウ
ム(1.16g、13.8mmol)の混合物をN,N−ジメチルホ
ルムアミド(10ml)中において室温で8日間撹拌した。DMFを真空で除去し、酢酸
エチルを残留物に添加した。沈殿を濾過により除去し、濾液を水、炭酸水素ナト
リウム溶液およびブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて油状物を得た。この油
状物をフラッシュクロマトグラフィーにより更に精製して標題化合物(57.2mg)を
油状物として得た。Electrospray MS m/z 560/562[M+H]+。
適当なアセトアセテートエステルを用いた以外は実施例1の一般的操作に従っ
て実施例26〜33の化合物を合成した。実施例26
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[(
4−(1−ピペリジニル)ブチルオキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5
−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 604/606[M+H]+。実施例27
3−フェノキシプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[
(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カ
ルボキシレート
Electrospray MS m/z 592/594[M+H]+。実施例28
2−(3−メチルフェノキシ)エチル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチル
チオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミ
ジン−5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 592/594[M+H]+。実施例29
2−フェノキシエチル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−
6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−
5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 578/580[M+H]+。実施例30
3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メ
チルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピ
リミジン−5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 636/638[M+H]+。実施例31
2−(4−クロロフェノキシ)エチル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチル
チオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミ
ジン−5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 612/614[M+H]+。実施例32
2−フェネチル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2−(1
−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシ
レート
Electrospray MS m/z 562/564[M+H]+。実施例33
3−(4−メトキシフェニル)プロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチ
ルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリ
ミジン−5−カルボキシレート
Electrospray MS m/z 606/608[M+H]+。
適当なチオ尿素誘導体を用いた以外は実施例1の一般的操作に従って実施例34
の化合物を合成した。実施例34
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−エチルチオ−6−[(
2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カ
ルボキシレート
Electrospray MS m/z 590/592[M+H]+。実施例35
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−メトキシフェニ
ル)メチルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒド
ロピリミジン−5−カルボキシレート
3−フェニルプロピル4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)アセトアセテー
ト(1.0g、2.88mmol)、3,4−ジクロロベンズアルデヒド(0.60g、3.45mmol)、2
−(4−メトキシベンジル)イソチオ尿素(0.80g、3.45mmol)および炭酸水素ナト
リウム(0.29g、3.45mmol)の混合物をN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)中にお
いて室温で6日間撹拌し、次いで7日間50℃に加熱した。DMFを真空で除去し、
酢酸エチルを残留物に添加した。沈殿を濾過により除去し、濾液を水、炭酸水素
ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて油状物を得た。こ
の油状物をフラッシュクロマトグラフィーにより更に精製して標題化合物(0.50
g)を油状物として得た。この油状物をエーテルに溶解し、1または2当量の塩
化水素を添加してモノまたはジ塩酸塩に変換することができる。Electrospray M
S m/z 682/684[M+H]+。実施例36
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−ジメチルアミノ−6
−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5
−カルボキシレート
3−フェニルプロピル4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)アセトアセテー
ト(0.83g、2.4mmol)、3,4−ジクロロベンズアルデヒド(0.63g、3.6mmol)、1,1
−ジメチルグアニジン硫酸塩(0.65g、2.4mmol)およびナトリウムメトキシド(0.
13g、2.4mmol)の混合物をN,N−ジメチルホルムアミド(25ml)中において室温で2
4時間撹拌した。DMFを真空で除去し、RP-HPLCで残留物を精製して油状固形物(22
0mg)を得た。油状固形物をエーテルに溶解し、1または2当量の塩化水素を添加
してモノまたはジ塩酸塩に変換することができる。Electrospray MS m/z 573/57
5[M+H]+。実施例37
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(2−(N,N−ジエチ
ルアミノ)エチルチオ)メチル]−2−メチルチオ−1,4−ジヒドロピリミジン−5
−カルボキシレート
3−フェニルプロピル4−(2−(N,N−ジエチルアミノエチルチオ)メチル)ア
セトアセテート(5.71g、16.24mmol)、3,4−ジクロロベンズアルデヒド(3.13g
、17.86mmol)、2−メチル−2−チオプソイド尿素塩酸塩(2.49g、8.93mmol)お
よび酢酸ナトリウム(0.733g、8.93mmol)の混合物をN,N−ジメチルホルムアミド
(25ml)中において室温で3日間撹拌し、次いで3日間60℃に加熱した。DMFを真
空で除去し、酢酸エチルを残留物に添加した。沈殿を濾過により除去し、濾液を
水、炭酸水素ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて油状
物を得た。この油状物をフラッシュクロマトグラフィーにより更に精製して標題
化合物(0.026g)を油状物として得た。Electrospray MS m/z 580/582[M+H]+。実施例38
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(2−(N,N−ジエチ
ルアミノ)エトキシ)メチル]−2−メチルチオ−1,4−ジヒドロピリ
ミジン−5−カルボキシレート
3−フェニルプロピル4−(2−(N,N−ジエチルアミノ)エトキシ)アセトアセ
テート(2.0g、5.96mmol)、3,4−ジクロロベンズアルデヒド(1.15g、6.56mmol)
、2−メチル−2−チオプソイド尿素硫酸塩(0.913g、3.28mmol)および酢酸ナ
トリウム(0.27g、3.28mmol)の混合物をN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)中に
おいて室温で24時間撹拌し、次いで5日間60℃に加熱した。DMFを真空で除去し
、酢酸エチルを残留物に添加した。沈殿を濾過により除去し、濾液を水、炭酸水
素ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて油状物を得た。
この油状物をフラッシュクロマトグラフィーおよびRP-HPLCにより更に精製して
標題化合物(114mg)を油状物として得た。この油状物をエーテルに溶解し、1ま
たは2当量の塩化水素を添加してモノまたはジ塩酸塩に変換することができる。
Electrospray MS m/z 564/566[M+H]+。
適当なアセトアセテート誘導体を用いた以外は実施例38の一般的操作に従って
実施例39〜41の化合物を合成した。実施例39
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(2−(N,N−ジメチ
ルアミノ)エトキシ)メチル]−2−メチルチオ−1,4−ジヒドロピリミジン−5−
カルボキシレート
Electrospray MS m/z 536/538[M+H]+。実施例40
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[(
2−(4−モルホリニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カ
ルボキシレート
Electrospray MS m/z 578/580[M+H]+。実施例41
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(2−(N,N−ジエチ
ルアミノ)エチルアミノ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシレ
ート
Electrospray MS m/z 529[M+H]+。実施例42
3−フェニルプロピル6−(2−アミノエトキシメチル)−4−(3,4−ジクロロフ
ェニル)−2−メチルチオ−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシレート
3−フェニルプロピル4−(2−(2−(1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−
イソインドリル)エトキシ)アセトアセテート(2.25g、5.50mmol)、3,4−ジクロ
ロベンズアルデヒド(1.16g、6.60mmol)、2−メチル−2−チオプソイド尿素硫
酸塩(0.919g、3.30mmol)および酢酸ナトリウム(0.27g、3.30mmol)の混合物をN
,N−ジメチルホルムアミド(10ml)中において室温で4日間撹拌し、次いで5日間
60℃に加熱した。DMFを真空で除去し、酢酸エチルを残留物に添加した。沈殿を
濾過により除去し、濾液を水、炭酸水素ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し
、乾燥し、蒸発させて油状物を得た。この油状物をフラッシュクロマトグラフィ
ーにより更に精製して、3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−
6−[(2−(1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−イル)エトキシ)メチル]
−2−チオメチル−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシレート(1.31g)
を油状物として得、次いでこれを結晶化させた。Electrospray MS m/z 638/640[
M+H]+。この化合物(800mg、1.2mmol)をメタノール(2ml)およびクロロホルム(2
ml)に溶解した。ヒドラジン水和物(80μl)を加え、混合物を室温で72時間撹拌し
た。混合物を蒸発させ、残留物を酢酸エチルに
溶解し、重炭酸ナトリウム溶液、次いで水で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。標題
化合物(126mg)を分取逆相HPLCにより油状物として単離した。Electrospray MS m
/z 508/510[M+H]+。実施例43
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[(
2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カ
ルボキシレートの分割
温酢酸エチル中のラセミ体の3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニ
ル)−2−メチルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)メチル]−1,4−
ジヒドロピリミジン−5−カルボキシレート(実施例1、1.30g、2.25mmol)を、
温酢酸エチル中のD-DOBT(0.727g、2.03mmol)に加えた。混合物を5日間放置し
次いで沈殿を濾過により収集した。この固形物を飽和重炭酸ナトリウム溶液と酢
酸エチルの間に分配した。有機層を合わせ、乾燥し、蒸発させて遊離塩基(0.340
g、0.59mmol)を得た。塩化水素のエタノール溶液(2.0当量)を遊離塩基のエー
テル溶液に加え、得られた固形物を濾過により収集して3−フェニルプロピル(
+)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2−(1−ピペリ
ジニル)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシレートジ
塩酸塩(208mg)を得た。17.5%CH3CN-50mM燐酸二水素カリウムバッファー、pH4.3
73中のキラルHPLCは、この物質が98.6%の1つの鏡像異性体であることを示した
。旋光度[α]D+59.8°(c=0.48、EtOH)。Electrospray MS m/z576/578[M+H]+。
L-DOBITを用いた以外は同じ操作により、3−フェニルプロピル(-)−4−(3,4−
ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)
メチル]−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシレートジ塩酸塩を得た。17
.5%CH3CN-50mM燐酸二水素カ
リウムバッファー、pH4.373中のキラルHPLCは、この物質が99.8%の1つの鏡像
異性体であることを示した。旋光度[α]D−64.4°(c=0.39、MeOH)。Electrosp
ray MS m/z 576/578[M+H]+。実施例44
3−フェニルプロピル4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチルチオ−6−[(
2−(1−N−メチルピペリジニウム)エトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリミ
ジン−5−カルボキシレート塩酸塩
実施例1の化合物をヨウ化メチル(2当量)で処理した。得られたピペリジニ
ウムの四級ヨウ化物塩を、調整剤としてトリフルオロ酢酸を含有する水/アセト
ニトリル勾配を用いてのRP-HPLCにより単離し、エーテル中の塩化水素に繰り返
し暴露して対応する塩化物に変換した。Electrospray MS m/z 590/592。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 25/04 A61P 25/04
25/06 25/06
25/18 25/18
25/28 25/28
43/00 111 43/00 111
C07D 401/04 C07D 401/04
409/04 409/04
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY,
DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I
T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ
,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,
NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L
S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ
,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL
,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,
BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E
E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU
,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,
KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M
D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL
,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,
SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,U
Z,VN,YU,ZW
(72)発明者 ピアーソン,エム・エドワード・ジュニア
アメリカ合衆国ニューヨーク州14603.ロ
チェスター.ピー・オー・ボックス20890.
アストラ・アーカス・ユー・エス・エイ・
インコーポレイテッド