JP2002507185A - 改良された人工血液 - Google Patents

改良された人工血液

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Abstract

(57)【要約】 過ヨウ素酸酸化ATP(o-ATP)によって分子内架橋し、過ヨウ素酸酸化アデノシン(o-アデノシン)によって分子間架橋し、かつ、還元グルタチオン(GSH)と結合させ、所望によりマンニトール、非電解質及び/又は電解質を富化した精製ヘモグロビン(好ましくはウシヘモグロビン)からなる、改良された人工血液。この人工血液は長い血管内寿命を有し、血漿量を維持することができ、低い酸素親和性を有し、生理学的酸素運搬体として働くことができ、血管拡張活性を有し、出血後の血管収縮を弛緩させることができる。急性失血及び/又は鎌状赤血球化による鎌状赤血球貧血の発症を伴うヒトを処置する方法は、有効量の人工血液をヒトに静脈内投与することよりなる。

Description

【発明の詳細な説明】 改良された人工血液 発明の分野 本発明は人工血液及びその調製方法に関する。さらに詳しくは、本発明は様々 な種の動物の(ヒトを含む)重度の出血後に生命を維持する上で有効であり、か つ毒性及び血液伝染性疾病のない新規なヘモグロビン組成物に関する。 背景の説明 血液は多くの機能を有しており、これらはすべて生命に欠くべからざるもので ある。しかし重度の出血又は失血は次の2つの主な理由で生命を危機にさらす: 1)循環血液容量の低下は組織の潅流を減少させ、虚血を生じる;2)酸素運搬 量の減少によって組織で酸素が欠乏し、低酸素症を生じる。 循環系はこれらの変化に反応して血管収縮し、虚血と低酸素症をいっそう悪化 させる。最終的には細胞代謝が変化し、機能が低下して、ショックと死に至る。 本発明の状況においては、「人工血液」はすべての機能において血液と置き換 えられるような製剤ではなく、下記の機能を行うことのできる緊急蘇生用液体で ある。 血液量の回復、 酸素運搬、 血管収縮の減少。 ただし、この液体は毒性のある副作用があってはならず、また細菌やウィルス 等の病原体を有していてはならない。 50年以上の間、人工血液の開発はヘモグロビン(Hb)を中心に行われてきた。 これは、ヘモグロビンが大気中から十分な酸素を取り込み、生理学的酸素運搬体 として働くことのできる唯一の物質であるためである。さらにヘモグロビンは血 清アルブミンと同じコロイド浸透圧を有し、したがって血漿増量剤として役に立 つことができる。しかし現在まで、これらの開発の努力は、下記に概説するよう になかなか認識されずしかも解決の難しい多くの問題のために成功しなかった。 (1)環境の細菌性内毒素、ストローマ性リン脂質、ならびに非ヘム蛋白質及 びペプチドでヘモグロビンが汚染されることによる毒性。 (2)溶液中のヘモグロビンの酸素親和性が高いために、組織への酸素放出が 妨げられること。 (3)ヘモグロビン分子が不安定であり、溢出し、急速に腎臓から***される 傾向にあること。 (4)ヘモグロビンの自動酸化が起こり、機能を持たないメトヘモグロビン( Het−Hb)及び毒性のある酸素フリーラジカルを生成する傾向にあるこ と。 (5)天然ヘモグロビンが、肝炎、エイズ等の、血液に関連した疾病を伝染さ せること。 認識されるべき第1の問題は毒性であった。すなわち、ヘモグロビン溶液が血 管内での血液凝固を促進し、腎臓に障害を与える可能性があった。ラビナー(Ra biner)は、1960年代に、これらの毒性はヘモグロビンではなく、赤血球のスト ローマ(赤血球膜の断片)によるものであるという考えを発表した。彼は、無ス トローマ・ヘモグロビンの必要性を強調した。しかし、実際にはこの言葉に反し て、ストローマ性要素を全く含まないヘモグロビンは何年もの間製造されなかっ た。赤血球膜の毒性因子は、フォスファチジルエタノールアミン(PE)及びフ ォスファチジルセリン(PS)という、通常は細胞質側に存在するアミノリン脂 質であることが、本発明者らにより同定された。これらの化合物はヘモグロビン に対して特別の親和性を有しており、これらはその他のストローマ性成分と比べ て、ヘモグロビン溶液から除去するのが困難である。PE及びPSで汚染された ヘモグロビンを実験動物(ラビット及びサル)に有意量(たとえば、少なくとも 動物の計算上の血液量の1/3量)投与すると、血管内血液凝固及び捕体が活性化 され、白血球及び血小板が活性化され、生体器官に虚血性炎症障害が発生するこ とを特色とする、全身性炎症反応が引き起こされる。 最近になって初めて認識されるようになった問題は、環境の細菌性内毒素によ ってヘモグロビン溶液が容易に汚染されることである。リムルスのアメーバ血球 ラ イゼート試験法が開発されるまでは、米国薬局方は内毒素の検出法としては、ラ ビットによる発熱性物質試験法に頼っていた。しかし、発熱性を生じるレベルよ りはるかに低い濃度の内毒素で汚染されたヘモグロビンが、アミノリン脂質で汚 染されたヘモグロビンと同様の毒性を引き起こすことが報告されている。内毒素 の毒性物質は、実際には脂質(リピッドA)だからである。細菌性内毒素は、デ トキシゲル(Detoxi-Gel)カラム(Pierce Chemical Co.)等のアフィニティー ・クロマトグラフィーカラムを用いて生物性の溶液から除去することができる。 しかし、出発材料が2内毒素ユニット/ml(「定量的色原体リムルス試験(QCL-1 00O,Whittaker M.D.Bioproducts)」によって測定、IEUは0.1ngの細菌性リ ポ多糖類に相当)以上の内毒素を含む場合には、これらのカラムでは内毒素をす べて除去することはできない。 非ヘム蛋白質及びペプチドからヘモグロビンを精製しなくてはならない。毒性 はどの特定の蛋白質の存在とも無関係であるが、天然ヘモグロビン溶液の免疫原 性を低下させる必要があるため、精製を行わなくてはならない。また、ペプチド は単離された臓器(心臓及び腎臓)及び動脈において見られる、ヘモグロビン溶 液の血管収縮効果の原因となるという仮説もある。この精製については、下記を 含めて従来から様々な方法が当技術分野において知られている。 (1)遠心分離及び濾過、コクジ(Coczi)、米国特許第3,991,181号 (2)トルエン抽出、ボンセン(Bonsen)、米国特許第4,001,200号及び第4,0 01,401号) (3)限外濾過、コザ(Kothe)ら、米国特許第4,526,715号 (4)限外濾過及び酸沈殿、ボナード(Bonhard)ら、米国特許第4,136,093号及 び第4,336,248号 (5)イオン交換クロマトグラフィー、メイラー(Meiller)、米国特許第4,1 00,149号 (6)亜鉛沈殿、タイ(Tye)、米国特許第4,473,494号及び第4,529,719号 (7)結晶化、デヴェヌート(DeVenuto)ら、Journal of Laboratory and Cl inical Nedicine,89:pp.509-514,1977) これらの方法はいずれも満足すべきものではない。方法(1)〜(4)はヘモ グロビンを他の蛋白質から完全に分離する能力において本質的に限界があり、方 法(5)〜(7)は大量精製には適していない。 1970年代に認識された問題は、溶液中のヘモグロビンが酸素に対して高い親和 性を有することである。酸素親和性とは、肺で空気から酸素を取り込み、組織で これを放出するというヘモグロビンの能力を制御している特性である。この性質 はP50値、すなわちHbの酸素飽和度が50%となるときの酸素分圧で表わされる。 P50が低くなればなるほどヘモグロビンの酸素結合能力は大きくなり、組織中へ 酸素を放出する能力は低下する。ヒトの血液のP50は約28mmHgであるが、ヒトヘ モグロビンの溶液におけるP50は約13mmHgである。この差は、赤血球中において はヘモグロビンは2,3-ジフォスフォグリセリン酸(2,3-DPG)と反応し、酸素 に対する親和性が低下しているためである。赤血球の外では、この相互作用は失 われる。その結果、ヘモグロビンはO2と非常に強く結合し、O2運搬体としての 機能がなくなる。この問題を解決するために、ベネシュ(Benesch)らは、ヘモ グロビンとピリドキサール-5'-リン酸(2,3-DPGのアナログ)との共有結合反 応法を開発した。最初はこのような反応によって酸素親和性が低下し、かつヘモ グロビンの分子が4量体型で安定化されることが期待された。しかし、これは実 現しなかった。本発明者らは、ウシヘモグロビン溶液は、ヒト血液と同じP50値 を有し、その酸素親和性は2,3-DPGではなく塩化物によって制御されることを 示した。この好ましい性質に加えて、さらにウシ赤血球が大量に入手可能である と、及び純粋なヘモグロビンは哺乳類の中では免疫原性が低いことからみて、人 工血液の基礎としてウシヘモグロビンを用いることは有益である。 1970年代に認識されたもうひとつの問題点は、ヘモグロビンの血管内寿命が短 く、急速に溢出することである。これは一般的には、ヘモグロビン4量体(α2 β2)が、毛細血管を通過することのより容易な2量体(2αβ)に解離する傾 向があるためである。現在では、蛋白質の表面電荷もまた重要な役割を果たして いること、すなわち、長い血管内寿命のためには、負の電荷と低い等電点が好ま しいことが明らかになっている。ヘモグロビンの溢出は下記のようにいくつかの 望ましくない効果を有する。 (1)血漿増量効果の持続時間が短い。 (2)ヘモグロビンが腎臓の腎糸球体を通過すると、浸透圧利尿効果が生じ、 血漿量は維持されるよりむしろ減少する。 (3)ヘモグロビンが尿細管で再吸収されることによって、細管細胞に障害を もたらす。 (4)ヘモグロビンが組織間液中に移動するため、浮腫と細胞障害をもたらす 。 従来の技術は、ヘモグロビンの2量化を防ぐことにのみ焦点をあてていた。こ の目的のために、これまでに3種のヘモグロビン修飾法が開発されてきた。 (a)分子間架橋又は重合、 (b)ヘモグロビンと他の分子との結合、 (c)α鎖又はβ鎖の分子内架橋。 上記方法のうち最も広く用いられているものは、グルタルアルデヒドを用いた ヘモグロビンの分子間架橋である:ボンセン(Bonsen)ら、米国特許第4,001,20 0号、第4,001,401号および第4,053,590号;モリス(Morris)ら、米国特許第4,0 61,736号;ボナード(Bonhard)ら、米国特許第4,136,093号;これらの内容全体 をここに参考として引用する。分子間架橋法自体にも下記に挙げる種々の欠点が ある。 (1)グルタルアルデヒドは本来毒性があり、グルタルアルデヒドの代謝によ る副生物の潜在毒性については知られていない。 (2)グルタルアルデヒドは非常に反応性が高く、ヘモグロビン分子の様々な 部位、たとえばα−及びε−アミノ基及びスルフヒドリル基と、複数の 架橋を形成する傾向にある。このため予想できない数の分子種を形成す る。 (3)重合反応は制御が困難であり、4℃において保存している間にも反応が 続行しているように見え、このため高分子の分子量は増加しつづけ、粘 度と酸素親和性も増加する。 (4)架橋に特異性がないという性質のため、溶液中には依然としてヘモグロ ビンの2量体が残りうる。 他の方法として、デキストラン及びヒドロキシエチル・スターチ(米国特許第 4,064,118号)、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール(米国 特許第4,412,986号)、イヌリン(米国特許第4,377,512号)、ポリアルキレンオ キサイド(米国特許第4,670,417号)等の、大きな分子にヘモグロビンを結合さ せた。しかし、これらの結合したヘモグロビンは酸素親和性が増加しており、結 合に用いられた物質に特有の望ましくない性質を得る傾向にある。分子内架橋は 、「ジアスピリン」エステル(タイ(Tye)、米国特許第4,529,719号;ウォルダ ー(Walder)、米国特許第4,598,004号);及び「過ヨウ素酸酸化アデノシン三 リン酸」(o-ATP)(スキャノン(F.J.Scannon)、「ヘモグロビンの分子修 飾"Molecular modification of hemoglobin",Critical Care Hedicine 10:261- 265(1982)」;グリーンバーグ(A.G.Greenburg)及びマフイド(P.W.Naffuid) 、「ヘモグロビンの修飾−開環ジオール("Modification of hemoglobin-Ring op ened diols"),Advances in Blood Substitute Research,Alan R.Liss,New Yo rk,pp.9-17(1983)」)の使用により達成された。しかし、ジアスピリン・ヘモ グロビンは依然として血管内滞留時間が短く(半減期3〜4時間)、またATP ヘモグロビンはメトヘモグロビンが多く、かつ、酸素親和性が高く半減期が短い ために、満足できないことが見出された。 ヒトヘモグロビンをピリドキサール-5'-リン酸及びグルタルアルデヒドと反応 させて、重合したピリドキサール化ヘモグロビン(ポリ−PLP−ヘモグロビン )を得ることによる著しい進歩が報告されている、すなわち、このヘモグロビン が低い酸素親和性とより長い血管内滞留時間とを合わせ持つと主張されている( モス(G.S.Noss)ら、「ヘモグロビン溶液−4量体から高分子へ("Hemoglobin solution-From tetramer to polymer",Biomaterials,Artificial Cells and A rtificial Organs 16(1-3):57-69(1988))」;デヴェヌート(F.DeVenuto)とゼ グナ(A.Zegna)、「ピリドキサール化、重合ヒトヘモグロビンの調製及び評価 ("Preparation and evaluation of pyridoxalated-polymerized human hemoglo bin",Journal of Surgical Research 34:205-212(1983))」)。しかし、ピリ ドキサール化は重合を阻害し、このためピリドキサール化ヘモグロビンの多くは 依然として重合されておらず、これに対し重合したヘモグロビンがピリドキサー ル化されていないことが見出された。その結果、溶液を注入したのち、良好な酸 素運搬機能を有するヘモグロビンは腎臓から急速に排出され、これに対し循環系 に残存するヘモグロビンは高い酸素親和性を有している。 ここ数年の間、ヘモグロビンの本質的な毒性に関する疑問が提示されてきた。 一方では血管収縮効果を観察した実験結果が報告されている。他方ではヘモグロ ビンが自動酸化によりメトヘモグロビンになる傾向があり、すなわち、ヘム鉄が +2価の鉄から+3価の鉄に酸化され、この反応から毒性のある酸素フリーラジ カルが生じる。このことから見て、循環系に注入された場合にヘモグロビンがプ ロオキシダントとして作用すると推測されている。この結果、細胞膜の脂質過酸 化反応が生じ、細胞構造に障害がもたらされる。血管収縮と酸素フリーラジカル の生成という両方の効果によって、出血によって生じる虚血性・低酸素性障害は 緩和されるよりむしろ悪化する。本発明者らによる先の実験は、血管収縮とラシ カルの生成は両方とも次の3段階の実施により制御しうることを示している。 (1)ヘモグロビンの完全な精製 (2)メトヘモグロビンの形成の少ないヘモグロビン分子の調製と安定化 (3)酸素ラジカル捕捉剤の添加 最後に、天然ヘモグロビン溶液の投与は血液製剤伝染性疾病の危険を伴う。細 菌及び寄生虫は濾過や限外濾過によって容易に除去できるが、ウィルスはより深 刻な問題を提起する。従来、ウィルスの不活性化の方法としては、2つの方法が 知られている。ひとつは物理的方法であって、デオキシ型のヘモグロビンを60℃ 、pH7.5で10時間低温殺菌することよりなる。この方法は、モデルウィルス(シ ンドビス、ポリオ、シュードレビー)及びヒト免疫不全ウィルス(HIV)を不 活性化させることがわかっている。もうひとつの方法は化学的方法であり、クロ ロホルムで処理するというものである。しかし、どちらの方法も、特殊な方法を 用いない限り、ヘモグロビンを著しく変性させる。 したがって、安定であり、酸素親和性が低く、毒性がなく、かつ血液伝染性病 原性粒子を含まない改良された人工血液が依然として求められている。 本発明の概要 本発明は、精製した哺乳類ヘモグロビン(Hb)(好ましくはウシHb)からなり 、ATP(o-ATP)(たとえは過ヨウ素酸酸化ATP)と分子内架橋し、かつ アデノシン(o-アデノシン)(たとえば過ヨウ素酸酸化アデノシン)と分子間架 橋し、還元グルタチオン(GSH)と反応し、所望により非電解質水溶液に溶解 し、使用直前にたとえばマンニトール、電解質及び所望により他の薬剤学的に受 容しうる添加物を富化した人工血液に関する。 また本発明は人工血液として適した組成物を調製するための下記よりなる方法 に関する: ヘモグロビンを細菌性内毒素、ストローマ・リン脂質及び/又は非ヘム蛋白質 ならびにペプチドから分離し; ヘモグロビンを溶液中においてカルボキシヘモグロビンに変換し; カルボキシヘモグロビンをo-ATPと反応させて、主としてヘモグロビンを分 子内架橋し; カルボキシヘモグロビンをo-アデノシンと反応させて、主としてヘモグロビン を分子間架橋し; 溶液にグルタチオン、たとえば還元グルタチオンを添加して、o-アデノシン架 橋反応を停止し、かつヘモグロビンの等電点を低下させ; 架橋したカルボキシヘモグロビンを架橋したオキシヘモグロビンに変換し;そ して所望により 薬剤学的に受容しうる架橋ヘモグロビン溶液を調製する。 得られる生成物は安定であり、約24時間の循環系内半減期を有し、低い酸素 親和性及び血液のものに類似するP50値を有し、かつ毒性及び血液伝染性疾病を 伴わない。 また本発明は、赤血球鎌状化の発症による鎌状赤血球貧血を伴うヒトを処置す る方法であって、ヒトに赤血球鎌状化症状を改善するために有効な容量の本発明 の人工血液を静脈内投与することよりなる方法に関する。 また本発明は、血液置換を必要とするヒトを処置する方法であって、ヒトに血 液の容量及び/又は機能を補足するために有効な容量の本発明の人工血液を静脈 内投与することよりなる方法に関する。 本発明のより完全な認識及びそれに付随する多くの利点は、下記の図面と関連 づけて考慮する場合に以下の詳細な記述を参照することによって本発明がより良 く理解されるのに伴って認められるであろう。 図面の簡単な説明 図1は、サイズ除去カラムを装着したHPLCによって得られた純粋ウシヘモ グロビンのスペクトル分析を示す。クロマトグラムは、9.4分のところに単一ピ ークを示し、これは4量体ヘモグロビン(64,000ダルトン)と同定された。 図2は、DEAEカラムを装着したHPLCによって得られた純粋ウシヘモグ ロビンのスペクトル分析を示す。クロマトグラムは、20から36分の間に複数のピ ークを示し、これは等電点の異なる様々なヘモグロビン成分に対応する。 図3A及び3Bは、低温殺菌による精製の前(3A)及び後(3B)のウシヘ モグロビンのスペクトルインデックスを示す(DEAEカラム付きHPLC、ス ペクトル波長230〜599nm)。図3Aにおいては、保持時間17分と51分に、非ヘム 蛋白質が見られる。図3Bにおいては、非ヘム蛋白質はもはや見られない。 図4は、o-ATPで分子内架橋し、o-アデノシンで分子間架橋し、還元グルタ チオンと結合させたウシヘモグロビンの、HPLCサイズ除去カラムによるスペ クトル分析を示す。クロマトグラムは、凝集ヘモグロビンの6つのピークを示す 。 図5は、図4と同様に修飾したウシヘモグロビンの、HPLC−DEAEカラ ムによるスペクトル分析を示す。クロマトグラムは、保持時間51分のところに単 一ピークを示す。ヘモグロビンの等電点は、表面の負電荷の増加によってシフト (修飾していないヘモグロビンと比べて)している。 図6は、等電点電気泳動(IEF-Pharmacia)による実験を示す。 図7は、セファデックス(Sephadex)カラムから水で溶出された、o-ATP及び 過ヨウ素酸ナトリウムの反応混合物の連続分画の、258nmにおける吸光度を示す 。 図8は、陰イオン交換カラムから溶出剤Aで溶出された、o-アデノシン及び過 ヨウ素酸ナトリウムの反応混合物の連続分画の、258nm及び232nmにおける吸光度 を示す。 本発明の他の目的、利点及び特色は以下の考察から当業者に明らかになるであ ろう。 好ましい具体例の説明 本発明は人工血液の置換を伴う先行技術の処置を改善するという本発明者らの 願望に由来する。本発明の技術により、急激な血液損失に際して、及び症状の発 症を阻止及び/又は軽減するためにそれらの血液容量の少なくとも一部を迅速か つ効果的に置換することが要求される血液疾患を伴う患者を処置するために、安 全かつ効果的な血液置換法を提供する。このような状況の一例は、鎌状赤血球貧 血を伴う患者の場合である。これらの患者が赤血球鎌状化を発症した場合、患者 に本発明の人工血液を静脈内投与することができ、これにより発症によって生じ た症状が予想外に著しく軽減される。 本発明は、実質的に発熱性物質を含ます、微生物を含まない、o-ATP及びo- アデノシンと反応した活性ヘモグロビンを含む組成物を提供する。 本発明の特に好ましい1形態においては、本発明はウシヘモグロビンを用いる 。しかし他のヘモグロビン源も本発明に利用しうる。 他の好ましい形態においては、o-アデノシンとの架橋を停止するために、本発 明の架橋ヘモグロビンをさらに還元グルタチオンと反応させる。これはヘモグロ ビンの等電点を低下させる効果をも有する。さらに他の好ましい形態においては 、o-ATPは過ヨウ素酸酸化ATPからなり、o-アデノシンは過ヨウ素酸酸化ア デノシンからなり、ヘモグロビンは過ヨウ素酸酸化ATPと分子内架橋し、過ヨ ウ素酸酸化アデノシンと分子間架橋して、ポリヘモグロビンを形成する。 o-ATP及びo-アデノシンは2つのプリン(P)を有する誘導体であるため、生 成物はここではHb−PP−GSHと表示する。 本発明の他の好ましい形態においては、組成物はヘモグロビン、o-ATP、 o-アデノシン及びグルタチオンを約1:3:10:20のモル比で含む。本発明の架橋 ヘモグロビンは、好ましくは約130〜390キロダルトンの分子量、より好ましくは 約190〜260キロダルトンの分子量を有する。組成物のさらに好ましい形態は、ヘ モグロビンが約5%未満のメトヘモグロビンを含む。 極めて好ましい形態においては、本発明のヘモグロビンはウシヘモグロビンか らなる。 本発明のヘモグロビン(Hb)製剤は、その成分の好ましい性質を合わせ持つ。 (1)効果的な酸素運搬体。ウシヘモグロビンは特に本来酸素結合性が低く( P50値は28mmHgである)、この値は様々な化学反応によっては影響され ない。 (2)有効な血漿増量剤。ヘモグロビンは分子内及び分子間の両方で架橋して おり、したがって長い血管内寿命(半減期24時間)を有している。 (3)血管拡張性。ヘモグロビンと結合した両方のプリン誘導体が、ノルエピ ネフリン誘導血管収縮を弛緩させる。 (4)還元グルタチオンとマンニトールが存在するため、プロオキシダント効 果を示さない。 ウシヘモグロビンの好ましい性質については、フェオラ(M.Feola)らの、「 人工血液としてのウシ無ストローマ・ヘモグロビン溶液の開発("Development o f a bovine stroma-free hemoglobin solution as a blood substitute",Surge ry,Gynecology and Obstetrics 157:399-408(1983))」に述べられている。大 量に入手できること、及びヒト血液特有の伝染性疾病、特にエイズを回避できる ことに加え、生理食塩水に溶解したウシヘモグロビンはヒトヘモグロビンの2倍 以上のP50値を有しており(13mmHgに対して28mmHg)、2,3-DPGによる調節を 必要としない。 また本発明は、実質的に発熱性物質を含まず、微生物を含まない、o-ATP及 びo-アデノシンにより架橋した本発明の活性ヘモグロビン(Hb)、ならびに薬剤 学的に受容しうる液体キャリヤーを含む人工血液を提供する。極めて好ましい形 態においては、キャリヤーは薬剤学的に受容しうる溶液、より好ましくは水溶液 である。ヘモグロビンの機能特性を妨害しないこのような溶液はいずれも本発 明において用いるのに適している。水溶液はさらに非電解質及び/又は電解質を 含みうる。 本発明の1形態によれば、非電解質水溶液である溶液が提供される。この形態 は例1に示される。本発明の架橋ヘモグロビンの水溶液に添加しうる非電解質の 例は、ヒトアルブミン、種々の血漿画分、及び血漿である。しかし、薬剤学的に 受容でき、本発明の架橋ヘモグロビンの酸素運搬機能を妨害しない非電解質、た とえばデキストラン及びヒドキシエチル・スターチはいずれも使用しうる。 他の形態においては、キャリヤーは電解質を含有する薬剤学的に受容しうる水 溶液である。これは例2〜4に示される。一般に本発明の人工血液に使用しうる 電解質の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムカチオン、 ならびにクロリド、バイカーボネート、グルコネート及びスルフェートアニオン である。以下は一例にすぎず、他も用いられる。特に注射用(無菌無発熱性物質 )水、pH約8.1〜8.2、無菌無発熱性物質の緩衝剤の添加により調整、サム(THAM )溶液(トロメタミン(Tromethamine)注射用;Abbott Labaratories,North Ch icago,II);注射用水−サム溶液プラス電解質添加、たとえば113meq/l塩化ナト リウム、27meq/l炭酸水素ナトリウム、4meq/l塩化カリウム、5meq/lグルコン 酸カルシウム、3.5meq/l硫酸マグネシウム;電解質平衡食塩溶液(ノルモゾル(N ormosol)R、pH7.4、140meq/lナトリウム、5meq/lカリウム、3meq/lマグネシ ウム、98meq/l塩素、27meq/l酢酸、及び23meq/lグルコン酸を含む、;Abbott La baratories);ならびに乳酸加リンゲル液、130meq/lナトリウム、4meq/lカリウ ム、3meq/lカルシウム、109meq/l塩素、及び28meq/l乳酸を含む(Abbott Labara tories)。 本発明によれば、ウシヘモグロビンの酸素親和性は、人工血液中の塩素イオン の濃度を増加させることによってさらに低下させることができる。これは約10〜 25meq塩素/l人工血液、より好ましくは約15meq塩素/l人工血液の添加により達成 される。 潜在的な免疫学的問題に関しては、異なった種の哺乳類間における、ヘモグロ ビン輸血の実施可能性は当技術分野において十分に示されている。実際には、計 算された血液量の1/3から1/2量の純粋ウシヘモグロビンを6回まで繰り返しラビ ットやサルに与えた場合、反応の臨床的形跡はなく、オクタロニーテストによっ て検出できる抗体の生成も認められなかった(フェオラ(M.Feola)ら、「ヘモグ ロビン溶液の免疫学的生体適合性(”Immunologic biocompatibillty of hemogl obin solutions",Trasfusione del sangue(Italian)33:121-128(1988))」)。 細菌性内毒素のないヘモグロビン溶液を製造するために、本調製法において用 いられる方法は、一般に汚染を中和するよりもむしろ防止するものである。内毒 素のヘモグロビンに対する親和性のため、いったん著しい汚染が生じると、精製 は不可能ではないが非常に困難になる。汚染の実質的防止には次のことが必要で ある。 (1)出発物質の汚染が最低限であること。 (2)調製工程が閉鎖系で行われること。 (3)ヘモグロビンと接触するすべての表面が滅菌されており、発熱性物質が ないこと。 (4)すべての試薬が精製されていること。 (5)すべての溶液が滅菌されており、発熱性物質がないこと。 (6)すべての工程において、品質管理が行われること。 内毒素の最も高感度な検出方法は、「定量的色原体リムルステスト(QCL-1000 、Whittaker Bioproducts)」である。出発材料あるいはいずれかの調製段階の ヘモグロビンが、2EU/ml以上の内毒素を含むことを発見した場合には、これを廃 棄する。すべての工程において、汚染レベルを低く保ち、最後に溶液をデトキシ ゲル(Detoxi-Gel,Pierce Chemical Company)等のアフィニティー・クロマト グラフィーカラムに通すことによって、完全な精製が達成される。 最終精製における全体の汚染の回避と同じ原理を、ストローマ性リン脂質、特 にアミノリン脂質の除去にも適用する。ストローマ性の汚染を避けるために本発 明方法は、赤血球(RBC)の透析と限外濾過のための既知の技術を採用する( デローチ(J.R.DeLoach)ら,Analytical Biochemistry 157:191-198(1986))。 デローチ法によれば、まずトラベノール(Travenol)人工腎臓を用いて、赤血球 を リン酸低張液に対して、懸濁液が約150〜200mOsm/l、より好ましくは約160mOsm/ lの浸透圧になるまで透析する。このとき、赤血球は球形を示し、細胞膜の孔は 引き伸ばされる。次に細胞を孔径0.1μmのアミコン(Amicon)フィルターを用い て約5〜15psi(0.35〜1.05kg/cm2)、より好ましくは約10psi(0.70kg/cm2)の カラム圧で限外濾過する。したがって、ヘモグロビンは細胞膜を破壊することな く細胞から「絞り出される」。本発明によれば、ひとつの閉鎖系工程を用いて赤 血球の透析と限外濾過の両方を行うことができる。この工程は無菌無発熱性物質 の、使い捨ての工程である。さらに、透析液は、無菌無発熱性物質脱イオン水か らなり、リン酸溶液ではなくヘモグロビンの酸化の少ないサム溶液によって約pH 8..0〜8.4、より好ましくは約pH8.2に調製される。ただし他の非電解質も使用で きる。この工程の結果、ヘモグロビン溶液は「リン脂質テストセット(Boeringe r-Mannheim Diagnostics,Indianapolis,Indiana)」を用いて測定して約3〜 5mg/dlのリン脂質と、薄層クロマトグラフィーによって測定して痕跡量のアミ ノリン脂質PE及びPSを含む。これらの残存リン脂質は、クロロホルム抽出に よって除去できる。リン脂質存在量が少ないため、この工程は、低濃度クロロホ ルムを用い、短時間の遠心分離によって行うことができる。したがって、ヘモグ ロビンの変性を防ぐことができる。ただし、蛋白質の変性を避け、又は最小限に 抑えるべく注意する限り、リン脂質の除去を他の手段で行うことができる。 同じ原理を用いて、ヘモグロビンを、非ヘム蛋白質及びペプチドから精製する ことができる。この場合には、最初の工程は赤血球を「精製」することによって すべての血漿蛋白質を除去することよりなる。この場合、赤血球膜を大きく破壊 することなく赤血球からヘモグロビンを抽出し、したがってストローマ性蛋白質 による汚染を防止することができる。次いで、選択的熱沈殿(ベルター(P.A.Be lter)、クスラー(E.L.Cussler)、フー(W.S.Hu)編、「バイオ分離("Biosep arations"」,John Wiley & Sons,New York,pp.227-229(1988))を行う。この 方法においては、蛋白質の変性及び沈殿は温度を約56〜72℃、より好ましくは約 56〜72℃に高めることにより達成される。この蛋白質の処理はアレニウスの温度 依存性の1次化学反応速度式に従う。したがってここでPは溶解蛋白質の濃度である。速度定数κは次の式で与えられる。 式中、κ0は特性定数であり、E/Tは変性の活性化エネルギーであり、Tは温 度である。変性のエネルギーは、蛋白質の種類によって異なる。等式においてE が指数として表わされているため、温度がわずかに変動するだけでも大きな影響 を有する。このエネルギーはまた、pHの変化によっても影響される。我々はまた 、一酸化炭素で飽和したヘモグロビン(HbCO)がpH7.6〜7.8において温度誘導性 沈殿に耐性であることを見出した。我々は、HbCO溶液の低温殺菌を約56〜64℃、 より好ましくは60℃の温度で9時間、続いて約68〜74℃、より好ましくは約70℃ で約0.45〜1.15時間、より好ましくは約1時間、約pH7.6〜7.8において、約8〜 12g/dl、より好ましくは約10g/dlの濃度で実施することができる。これらの条件 は、ヘモグロビンをほとんど変性させずに、すべての非ヘム蛋白質を沈殿させる 。この方法によって調製された溶液に非ヘム蛋白質が含まれていないことを、等 電点電気泳動(IEF)及びサイズ除去陰イオン交換高圧液体クロマトグラフィ ー(HPLC)を用いて確認した。IEFの集束バンドの「にじみ」がないこと 、及び酸素運搬機能が保存されていること(酸素解離曲線、P50、ボーア効果) から、回収されたヘモグロビンが変性していないことが示される。 ウィルスの不活性化も、この精製工程の副産物である。実際、クロロホルム抽 出によって血漿及び血清中の多くの脂質外被ウィルス、例えばB型及び非A非B 型肝炎ウィルス、バクシニアウィルス、ポックスウィルスが不活性化しているこ とが見出されている(フェインストン(S.M.Feinston)ら、「クロロホルムによ るB型及び非A非B型肝炎ウィルスの不活性化(”Inactivation of Hepatitis B virus,and non-A,non-B hepatitis by chloroform”,Infection and Immunity 41:816-821(1983))」)。脂質を持たないウィルス(レオウィルス)もまた、ク ロロホルムによって一部不活性化される。一方、約56〜64℃、より好ましくは約 60℃で、約9〜12時間、より好ましくは約10時間の低温殺菌によって、多くの非 脂質外被ウィルス及びヒト免疫不全ウィルス(HIV)が不活性化される(エス テップ(T.N.Estep)ら、「熱によるヘモグロビン溶液中のウィルスの不活性化( "Virus Inactivation in Hemoglobin Solutions by Heat".Biomaterials.Artifi cial Cells,and Artificial Organs 16(1-3):129-1343(1988))」)。 グルタルアルデヒドによる重合は望ましくない効果を有することが知られてい るため、本方法においてはアデノシン5'-三リン酸のジアルデヒド誘導体(o-AT P)を用いて、ヘモグロビン分子を4量体の形で「安定化」させる。ATP分子 は、下記に示したものからわかるように、プリン塩基(アデニン)、糖(D-リ ボース)及び三リン酸鎖の3つの基本的な成分からなる。 ATPを過ヨウ素酸ナトリウムで酸化すると、下記に示したようにリボース環 が2',3'シス位で開環し、2',3'ジオールが対応するジアルデヒドに変換される( ロア(P.N.Lowe)ら、「過ヨウ素酸酸化アデノシン三リン酸及び関連化合物の調 製とその化学的性質("Preparation and chemical properties of periodate-oxi dized adenosine triphosphate and some related compounds",Biochem.Soc. Transact.7:1131-1133(1979))」)。 o-ATPのそれぞれのアルデヒド基はリジンのε-アミノ基と反応し、下記化 学式のシッフ塩基付加化合物が生成する。 (Hb)−NH2+OCH−ATP→(Hb)−N=CH−ATP ヘモグロビンの2,3-DPGポケットは、ヘモグロビン分子の、2,3-DPGと結 合する領域である。この領域が2つのリジンを含むため、o-ATPを用いてこれ らの基を架橋させ、分子を4量体の形で安定化することができる。三リン酸鎖が 存在するためこの反応の特異性が増加する。このような特性はピリドキサール− 5'−リン酸等の、他のポリリン酸についても見られる。他の化合物と比べてAT Pの利点はアデニン部分にある。インビボにおいて、ATPはADP、AMP、 最終的にはアデノシンに加水分解される。この加水分解は、たとえば全身及び肺 の両方の循環における血管拡張という有益な薬理学的効果を生じることが見出さ れている。さらに、ATPを塩化マグネシウム(MgCl2)と組み合わせて投与す ると、出血ショック状態においてさらに有益な効果が示される。これらの有益な 効果としては、微小循環の改善、細胞膜機能の改善、及び細胞内アデニンヌクレ オチドの回復における「プライミング」効果などがある(チャウドリー(I.H.Ch audry)、バウ(A.E.Baue)、「溶血ショックの概要("Overview of hemorrhagic shock",Pathophysiology of Shock,Anoxia and Ischemia,R.A.Cowley and B .F.Trump,editors,Williams and Wilkins,Baltimore,Maryland,pp.203-219( 1982))」)。 上述のように、ヘモグロビンとo-ATPとを架橋させるというこれまでの試み は、化学反応によって許容されないレベルのメトヘモグロビン(30%まで)が生 じること、及びo-ATP修飾ヘモグロビンが依然として短い血管内寿命しか有し ていないために成功しなかった。 しかし、o-ATPのオキシダント効果は化合物中に存在するヨウ化物(IO4 及びIO3 -)の痕跡によるものである。実際、o-ATPを完全に精製すると(例 10を参照のこと)、この問題は実質的に解決する。さらに、以前に行われていた ようなo-ATPとデオキシ-Hbとの反応ではなく、むしろo-ATPとカルボキシ- Hb(一酸化炭素飽和Hb)との反応によって、メトヘモグロビンの生成を最小限に することができる。溶液のpHが約7.25〜7.15まで下がると、さらに特に約7.20ま で下がるとo-ATPとHbCOとの反応が起こる。 しかし、短い血管内寿命という問題はまだ残っている。我々は分子内架橋した 4量体ヘモグロビンは、依然として腎臓の腎糸球体を通り抜け、腎管に障害を与 えることを見出した。したがって、適当な血管内保持時間を達成し、かつ腎障害 を避けるためには、ヘモグロビンを分子内架橋とともに分子間架橋させることが 必要である。 本発明においては、第2プリン誘導体、アデノシンのジアルデヒド誘導体、ま たは過ヨウ素酸酸化アデノシン(o-アデノシン)を第2架橋剤として用いる。ヘ モグロビン分子はその表面にリジンのアミノ基を44個有している。したがって、 o-アデノシンを用いて2以上のこれらの基を架橋し、2以上のヘモグロビン4量 体を架橋することができる。他の化合物に対するアデノシンの利点はいくつかあ る。アデニンが存在するため、アデノシンはATPと同様な血管拡張効果を有す る(スー(C.Su)、「心臓及び血管におけるヌクレオチドの細胞外機能("Extra cellular functions of nucleotides in heart and blood vessels",Annual Re view of Physiology 47:665-676(1985))」)。さらに、アデノシンは血小板凝集 を阻害し、かつ、腎臓における腎糸球体濾過を改良する。これら2つの効果は出 血後及び再潅流後に有益である(バーン(R.M.Berne)、「アデノシンの制御機 能(Regulatory Functions of Adenosine,Martin Nijhoff Publisher,Boston, Nassachusettes(1983))」)。 ヘモグロビンとo-アデノシンの反応は本発明以前は知られていなかった。メト ヘモグロビンの生成を抑制するために、カルボキシ形のヘモグロビン(HbCO)を 用いて反応させることが重要である。最後に、反応は温度が低いほど、たとえ ば約25〜10℃低速で進行し、約4℃においては非常にゆっくりと進行する。これ らの条件は、これによって所望の分子凝集体が生成した後いつでも反応を停上さ せることができるので重要である。この性質によって、異なる分子量のヘモグロ ビンポリマーを計画通りに、再現性よく調製することが可能になる。これはグル タルアルデヒド等の他の架橋剤を用いた場合には達成できない。ヘモグロビンと o-アデノシンの架橋反応は、リジンのようにε-アミノ基を有する還元グルタチ オン(GSH)を添加することによって停止させることができる。GSHは、こ の反応に入ることによって、ヘモグロビン組成物の一部になる。 GSHが好ましいのは、これが赤血球中に大量に存在し、かつ、赤血球中にお けるその第1の機能が「オキシダント・トラップ」として働き、ヘモグロビンを オキシダントの刺激から保護することたからである(ラーソン(A.Larsson)、 「グルタチオンの機能(Functions of Glutathione:Biochemical,Physiologica l,Toxicological and Clinical Aspects,Raven Press,New York(1983))」。 GSHは溶液中と同様に赤血球環境においてもヘモグロビンを保護する。ヘモグ ロビンをo-アデノシンにより架橋した後にGSHと反応させることによって、ヘ モグロビン分子の表面の電気的陰性度が増加し、ヘモグロビンの等電点が6.8か ら6.1〜6.2に減少する。このことによってヘモグロビンの安定性が高まり、腎臓 からのその濾過が防止されることによりその血管内寿命が長くなる。 o-ATPとo-アデノシンは市販されており(Sigma Chemical Co.,St.Louis ,Missouri)、又は下記に例10及び11として述べる方法によって調製してもよい 。還元グルタチオンは市販されている。 これらの反応及びカルボキシヘモグロビンからオキシヘモグロビンへの再変換 の後、得られた化合物(Hb−PP−GSH)を保存の必要性に応して各種の媒質 に溶解する。溶液を数カ月間、さらには数年間保存したい場合、(Hb−PP−G SH)を20mMサム溶液の添加により約pH8.1〜8.2に調整された「注射用」の無菌 無発熱性物質の水に溶解しておくことができる。本発明者らは、アルカリ性pHで あるpH8.1〜8.2の水に溶解したヘモグロビンは自動酸化を受けることがより少な く、約pH7.4の電解質溶液に溶解したヘモグロビンより長期間保存でき ることを見出した。この場合、使用直前に溶液に電解質を添加することができる (前記の例を参照)。これに対し溶液を数時間又は数日以内に用いる場合、(Hb −PP−GSH)を電解質平衡生理食塩水、たとえばノルマル(Normal)Rに直 接溶解することができる(前記の例を参照)。あるいはこの化合物を乳酸加リン ゲル液(前記の例を参照)、又は特に低張もしくは等張の塩化ナトリウム溶液に 溶解してもよい。本発明の人工血液を出血性ショックの処置に用いる場合、塩化 マグネシウム(MgCl2)を、好ましくは使用直前に、組成物中のATP含量とほ ぼ等モル量で添加することができる。このことは微小循環におけるATPの有益 な効果を補完し、過剰の塩素イオンを供給してヘモグロビンの酸素親和性を下方 調節し、より良好な組織酸素供給をもたらすことが見出された。マンニトールを 、好ましくは使用直前に添加してもよい。これはOH・ラジカル(最も毒性の高 い酸素由来のフリーラジカル)及び、おそらくは他のラジカルに対しても捕捉剤 として働くことが知られているからである(フリーマン(B.A.Freeman)、クラポ (J.D.Crapo)、「フリーラジカルと組織障害("Free radicals and tissueinjur y",Laboratory Investigation 47:412-426(1982))」)。一般にマンニトールは 約0.5〜2.0mg/ml、好ましくは約0.8mg/mlの量で添加することができる。 したがって本発明は、人工血液として有用な、すなわち、 (a)血漿量を維持、回復することができ、 (b)生体器官に酸素を供給することができ、かつ (c)出血後の血管収縮を弛緩させることのできる、 組成物を提供する。 本発明の組成物は、哺乳類(ヒトを含む)に投与した場合に毒性のない、かつ 血液伝染性病原性粒子を含まない人工血液を提供する。 本発明のその他の目的、特色及び利点は、ヘモグロビンから人工血液を調製す る方法を提供することにある。 本発明のその他の目的、特徴、及び利点は、後述する本発明の好ましい具体例 の詳細な説明によって明らかとなるであろう。実施例 本発明による複合製品の好ましい調製工程は、次の5段階からなる。 (A)赤血球の精製 (B)ヘモグロビンの抽出 (C)ヘモグロビンの精製 (D)o-ATP、o-アデノシン、及びグルタチオンとの反応によるヘモグロビ ンの修飾 (E)最終生成物(Hb−PP−GSH)nの調製例1 :赤血球(RBC)の精製 上述のように、本発明の組成物の好ましい出発材料はウシ血液である。しかし 本発明による組成物の調製方法は、ほかの哺乳類(ヒトも含む)の血液を出発物 質とした場合にも利用することができる。ウシ血液は、多数の健康なドナーから 、または屠殺場に出された個々の動物から得ることができた。前者の場合には、 雌牛成体を拘束して首の毛を剃り、防腐性石鹸で皮膚を処理する。血液は無菌条 件下で外頸静脈に穿刺して吸引した。1頭の動物から約1,500mlの血液が得られ 、これをACD抗凝集剤200ml(Virbac.Inc.Lenexa,Kansas)の入った無菌無 発熱性物質の、21の空の瓶に集めた。後者の場合には、動物を屠殺する前に気 絶させ、首の片側を速やかに「用意」し、頸動脈にトローカーを経皮的に挿入し た。それぞれの雌牛成体から約10lの血液を採取することができた。異なる動物 から得た血液は混合しない。実験室までの運搬中、瓶は氷中に保った。 特にウシ血液から出発する場合に重要なことは、赤血球(エリスロサイト)を 白血球(ロイコサイト)、血小板及び血漿から完全に分離することである。この 工程によって、最終的にヘモグロビンの精製のために除去する必要のある非ヘム 蛋白質及びその他の物質の負荷を減少させることができる。また、すべての白血 球を除去することによって、白血球、特にリンパ球に付随するウィルス、たとえ はサイトメガロウィルス、ヒト免疫不全ウィルス、その他を除去することができ る。 赤血球は「スピン・クール・フィルター」法によって精製される。「スピン」 工程は、閉鎖系においてDIDECOシステム(Electromedics Inc.,Englewood.Col orado)等の血液銀行用細胞分離機を用いた多段階の遠心分離からなり、次のよ うな方法で行った。 1,100rpm、15℃、20分の遠心分離によって、血小板と血漿とを除去した。 4,500rpm、15℃、10分の遠心分離によって、血漿をさらに完全に除去した。 等張生理食塩水(赤血球:生食=1.4)で、4,100rpm,4℃、10分間洗浄し た(4回)。 等張サム溶液、pH8.1〜8.2(Tham USP,Abbott Laboratories,North Chicago ,Illinois)を用いて最終洗浄を行った。この工程によって、洗浄赤血球の懸 濁液はヘモグロビンを酸化から保護する無電解質高pH溶液となった。 「冷却」工程においては、赤血球は「トランスファーパック(無菌無発熱性物 質のプラスチック容器(Fenwal Laboratories,Deerfield,Illinois社製)」に おいて、4℃で一晩もしくは18時間、放置した。低温において、白血球は凝集し て小さな固まりを形成する傾向にある。「濾過」工程においては、20μmの「高 容量輸血フィルター(high capacity transfusion filter,Fenwal社製)」等の セルロースフィルターに細胞を通して、白血球凝塊を除去した。 白血球と血小板がないことを確認するために、コールター(Coulter)細胞計 数器を用いて細胞数を計測し、通常の化学的方法によって、懸濁液に蛋白質が存 在しないことを確認した。細菌性内毒素の存在は、「定量的色原体リムルステス ト(QCL-1000,Whittaker Bioproducts,Walkersville,Maryland)」を用いて 検出した。例2 :ヘモグロビンの抽出 赤血球からのヘモグロビンの抽出は、2段階で行った。最初に等張サム溶液( pH8.1〜8.2)に20%の濃度で(ヘマトクリット0.20)懸濁した赤血球1lを、「 クロスフロII(Krosflo II Filtration Module with 10 Ft2 Surface Area.Mic rogon,Inc.,Laguna Hills,Califormia)」等の、孔径0.20μmの人工腎臓を用 いて、10lの低張(230mOsm/L)サム溶液に対して透析した。透析は透析液が赤い 色(ヘモグロビン色)を呈するようになるまで行った。このとき、赤血球は球形 に膨潤し、細胞膜が引き伸ばされてヘモグロビンが透過できるようになった。第 2段階として、人工腎臓に10psi(0.7kg/cm2)の圧力をかけ、細胞膜を破壊する ことなくヘモグロビンを細胞から絞り出した。「ゴースト」膜は、1工程を終え た後、廃棄した。ヘモグロビンが低張溶液リサーバーに入るため、230mOsm/Lの サム溶液を加えることによって赤血球リザーバーの容量を維持した。抽出された ヘモグロビンは、「ポジダインIVフィルター(Posidyne I.V.Filter,PALL Biomedical Inc.,Fajardo,Puerto Rico)」等の0.20μmのフィルターを用いて 濾過して残った粒子残骸と汚染微生物を除去し、「トランスファーパック」にお いて、4℃で保存した。 この工程の結果、ヘモグロビン溶液は3〜5mg/dlのリン脂質(リン脂質テス トキット(Boeringer-Nanheim Diagnostics,Indianapolis,Indiana)を用いて 測定)と、痕跡量のアミノリン脂質PE及びPS(薄層クロマトグラフィーを用 いて測定)を含んでいた。ヘモグロビンの精製 ヘモグロビンの精製は、次の4段階で行った。例3 :カルボキシ型ヘモグロビン(HbCO)の低温殺菌 この工程は「マイクロリフト・バイオリアクター(Microlift-15 liter steri lizable-in-place bioreactor with NBS Model ML-4100 control system,New B runswick Scientific Co.,Edison,New Jersey)」等の、予め殺菌された無発 熱性物質の生物反応層の中で行った。これは気体と液体の入り口が複数あり、サ ンプリング用の口と撹拌器を有し、温度制御のできる閉鎖系容器である。このバ イオリアクターを、排気「ヒュームフード」の下に設置した。ゆっくりと撹拌し ながら無菌ガスを760mmHg、4℃で連続フラッシングすることによって、ヘモグ ロビンを一酸化炭素(純度99.99%、Criogenic Rare Gas Co.,Hanahan,South Carolina)で飽和させた。総飽和度はコオキシメーター(Nodel 282,Instrumen tation Laboratories,Lexington,Massachusetts)を用いて確認した。この工 程には約15分間を要した。溶液は、760mmHgのCO中に放置した。次に、バイオ リアクター内の温度を4℃から60℃へと徐々に昇温し、その温度において9時間 放置し、その後1時間かけて70℃に昇温することによって、低温殺菌を行った。 その後、温度を徐々に4℃まで下げた。例4 :クロロホルムとともに遠心分離 この工程のために、バイオリアクターから取り出したヘモグロビン溶液を0.20 μmのフィルターを用いて濾過し、250mlの無菌無発熱性物質の、適当な蓋でシー ルされた遠心管(クロロホルム、蛋白質、アルコールに耐性の「ポリアロマー」 遠心管(Sorvall Division,Du Pont Co.,Wilmington,Delaware)に入れた。 ソルボール遠心分離機(Sorvall,Model OTD75B)により、TFA20.250のロータ ーを用いて、以下のようにして3回の遠心分離を行った。 15:1の割合(遠心管1本あたり、ヘモグロビン232ml、クロロホルム18ml) でヘモグロビンとクロロホルムを混合し、760×g、4℃、30分の遠心分離を 行った。上清を、層流フードにおいて、無菌無発熱性物質の管とペリスタポン プを用いて次の遠心管に移した。 16:1で混合したヘモグロビンとクロロホルムを、1,600×g、4℃、15分間 、つづいて3,800×gで15分間、遠心分離した。上清を第3の遠心管に移し た。クロロホルムを加えずに、61,400×gで60分間遠心分離した。 3回目の遠心の後、ヘモグロビン溶液を1,000mlの、無菌無発熱性物質の、撹 拌子の入った減圧排気した管(Abbott Laboratories)に移した。ゆっくりと撹 拌しながら4℃、2時間、無菌COガスをフラッシングすることによって、残っ ている痕跡量のクロロホルムを溶液から除去した。 この工程に用いたクロロホルムは、UVカットオフ244nmのHPLCグレード のもの(Fisher Scientitic Co.,Fair Lawn,New Jersey)であった。遠心管は 次の処理を施すことによって再使用できる:(a)E-TOXAクリーン石鹸(E-TOXA -Clean soap,Sigma Chemicals);(b)190プルーフ(95%)のエタノール; (c)120℃、80分間の滅菌。 この一連の遠心分離によって、すべてのリン脂質のみならず、前工程の低温殺 菌において変性して沈殿した非ヘム蛋白質をも、精製ヘモグロビンから除去する ことができた。例5 :内毒素アフィニティ・クロマトグラフィー・カラムによる濾過 ヘモグロビン溶液を、デトキシゲルカラム(Detoxl-Gel colulnn,Pierce Che mical Co.,Rockford,Illinois)等のアフィニティ・クロマトグラフィー・カ ラムを用い、入り口と出口に「トランスファーパック」とペリスタポンプを用い て閉鎖系を形成したカラムで濾過した。この工程はクラス100の層流フードにお いて行った。 この工程によって、内毒素の濃度を、2.0〜2.5EU/mlから0.10EU/ml未満に減少 させることができた。例6 :透析 ヘモグロビン溶液を、サム溶液によってpH7.20に調整した無菌無発熱性物質の 脱イオン水に対して1:10の割合で透析した。透析は、「90SCE-人工腎臓(C-DA K Co.,Niami Lakes,Florida)」等の、6,000ダルトンの孔径を有する人工腎臓 を用いて行った。この工程によって、小さい分子が除去され、ヘモグロビンの濃 度は10g/dlとなり、ヘモグロビン溶液のpHが約8.2から約7.2に下がった。 工程中のこの時点において、「純粋な」ヘモグロビンが生成し、すなわち、細 菌性内毒素、ストローマ性脂質とリン脂質、及び非ヘム蛋白質を全く含まないヘ モグロビンが得られた。また、工程の様々な点で、0.20μmのフィルターを用い た濾過を繰り返すことによって、汚染微生物をすべて除去したことが期待され、 一方、低温殺菌とクロロホルム処理によって、非脂質及び脂質外被ウィルスを不 活性化させたことが期待される。さらに、ヘモグロビンをカルボキシ型で用いる ことにより、酸化を低く抑えた精製(1〜2.5%のメトヘモグロビンが生成)が 可能になった。例7 :ヘモグロビンの修飾 ヘモグロビンとo-ATP、o-アデノシン、及び還元型グルタチオンとの反応は 、以下のようなバイオリアクターを用いて行った。サム溶液でpHを7.20に調整し た水に、カルボキシ型のヘモグロビンを10g/dlとなるように懸濁し、これを再び バイオリアクターに導入して、1気圧の一酸化炭素下で、ゆっくりと撹拌しなが ら4℃に保った。 例10に従ってo-ATPを調製し、粉体形で保存した。pHを7.20に調整した無菌 無発熱性物質水にこれを溶解し、これをただちに、Hb:o-ATPのモル比が1: 3となるようにヘモグロビン溶液に加えた。4℃、CO存在下で、150rpmで撹拌 しながら24時間反応させた。溶液のサンプルを6時間ごとに採取し、ヘモグロビ ンの分子量の増加をサイズ除去カラムを装着したHPLCによって、電荷の変化 を陰イオン交換カラムを装着したHPLCによって、それぞれ測定した。測定に は、ウォーターズ(Waters)のHPLCシステム(Waters 600E System Control ler、Waters 712 injector、Waters 990 Photodiode Detector及びNEC Power Ma te 2 computerからなる)を用いた。サイズ除去カラム(Protein Pak 300 SW) 及び陰イオン交換カラム(DEAE-5 PW)もまたウォーターズ(Waters Chromatogr aphy Division,Nillipore Co.,Milford,Massatusetts)より入手した。架橋 の理想的な条件は約24時間後に生じ、このとき陰イオン交換HPLCの実験によ って90〜95%のo-ATPが化学反応に用いられたことが示された。この結果、表 に示す次の各成分からなる分子凝集体が生成した。 すなわち、この反応の条件下では、o-ATPは主に分子内架橋を生成するが、 一部に分子間架橋も生成する。しかし、このことによって以下の反応は阻害され なかった。 24時間後、例11に従って調製し、粉体形で保存したo-アデノシンを、サム溶液 によってpH7.20に調整し、エタノール数滴を加えた滅菌水に溶解した。この化 合物をヘモグロビン溶液にHb:o-アデノシンのモル比が1:5になるように加え 、同じ条件下でさらに24時間反応を続けた。この時点で、第2回分のo-アデノシ ンを同じモル比1:5で加え、さらに24時間反応させた。HPLCを用いてサン プルを測定し、ヘモグロビン4量体のレベルが70から30%に低下した時に反応を 停止させた。反応がこの点をはるかに越えて進行すると、サイズの大きすぎるポ リマーが生成する。次に、サムを加えた水(pH7.20)に溶解したGSHをヘモグ ロビン溶液に、Hb:GSHのモル比が1:20となるように加え、16時間反応させ た。この時点で、ヘモグロビンの分子凝集体は、次表に示す下記の形態を含むも のであった。 この凝集体は、HPLC−DEAEにおいて50-51分に単一ピークを示した。 これらの化学反応の最後に、4℃で、穏やかに撹拌しながら、滅菌した酸素を 35psi(2.5kg/cm2)で繰り返しフラッシングし、同時に「タイプ4051モルクォー ツ("molequarts",Mole-Richardson Co.,Hollywood,Califormia)」と接続し た「クォーツライン・ランプ("quartzline lamp",DWY,120V,650W,General Electric Co.,Cleavland,Ohio)」を用いて、強い光を20秒のパルスで照射し 、ヘモグロビンをカルボキシ型からオキシ型へ再変換させた。このヘモグロビン の再酸化反応はILコオキシメーターを用いて確認した。例8 :本発明組成物の調製及び保存 最終工程においては、ヘモグロビン溶液を50mHのサム溶液(pH8.1)に対して 、分子量カットオフ約65〜85キロダルトンの人工腎臓(「デュオ−フラックス(" Duo-Flux";C-DAK,Miami Lakes,Florida)」)を用いて、ヘモグロビン4量体の %が30%から約5%に低下するまで透析した。最終的なヘモグロビン凝集体の分子 量分布を次表に示す したがって、最も多い分子種は、4つのヘモグロビン4量体からなり、分子量 260,000ダルトンのものであった。この凝集体は、HPLC−DEAEにおいて 50〜51分に単一ピークを示し、これは等電点が6.8から6.1に変化したことを示す 。 廃棄されたヘモグロビンを含む透析液は、6,000ダルトンの人工腎臓(90 SCEa rtificial kidney,C-DAK Co.)を用いて透析することによって、ヘモグロビン 濃度を10g/dlまで濃縮し、o-アデノシンとの分子間架橋に再利用することができ る。 このヘモグロビン溶液を数時間又は数日以内に用いる場合は、50mMサム溶液に 対する1回目の透析後に、電解質平衡生理食塩水(ノルモゾール(Normosol)R, pH7.4,140meq/lナトリウム、5meq/lカリウム、3meq/lマグネシウム、98meq/l 塩素、27meq/l酢酸、及び23meq/lグルコン酸を含む;Abbott Laboratories)に 対して透析した。 本発明の修飾したヘモグロビン(Hb−PP−GSH)は、長期保存のためには 約10g/dlの濃度で水−サム溶液(約pH8.1〜8.2)中に、又は大幅な遅滞なしに用 いるためには電解質平衡生理食塩水(約pH7.4)中に溶解することができる。 長期保存のためには、水−サム溶液に溶解したヘモグロビンを600mlのフエン ウォール・プラスチックバッグ(無菌無発熱性物質のバッグ;Baxter Healthcar e Co,Fenwal Division,Deerfield,Illinois)に入れ、約−90℃で凍結保存する ことができる。これらの条件下では約1年間まで、ヘモグロビンの自動酸化が起 こらないことが見出された。この期間中、HPLC及び等電点電気泳動により調 べたヘモグロビンの重合度は変化しなかった。中間的な期間、たとえば1〜6カ 月間の保存のためには、水−サム溶液に溶解したヘモグロビンをガラス瓶(無菌 無発熱性物質の「空の排気した容器」;Abbott Laboratories)中に、液状で約 4℃に保存することができる。これらの条件下でヘモグロビンの自動酸化が起こ るのは約1%/月の速度であることが見出された。6カ月間にわたって重合度は ごくわずか変化し、大型ポリマーが約5〜7%減少し、同時に8量体及び4量体 が増加することが見出された。 短期間、たとえば1カ月以下の保存のためには、ヘモグロビンを電解質平衡生 理食塩水に溶解し、ガラス瓶(「空の排気した容器」;Abbott Laboratories) 中に、液状で約4℃に保存することができる。これらの条件下では約3〜5%/ 月の速度でヘモグロビンの自動酸化が起こることが見出された。例9 :本発明組成物の特性解明 この新規製品の特性は次のようにして測定した。ヘモグロビン、メトヘモグロ ビン、及びカルボキシヘモグロビンの濃度は、コオキシメーター(Model 282 Co oximeter,Instrumentation Laboratories,Lexington,Nassachusetts)によっ て測定した。溶液の電解質濃度及び浸透圧は、ASTRA装置(Beckman Co.,P alo Alto,California)を用いて測定した。膠質浸透圧はウェイルオンコメータ ー(Weil oncometer,Instrumentation Laboratories)を用いて測定した。粘度 は、ブルックフィールド粘度計(Brookfield Engineering Laboratories,Stoug hton,Nassachusetts)を用いて、37℃において、剪断速度100/sで測定した。 その他の蛋白質、リン脂質、細菌性内毒素に対するヘモグロビンの純度は、前 述のようにして評価した。酸素結合容量は、ヘモグロビン濃度とコオキシメータ ーによる酸素容積から計算した。ヘモグロビン・酸素解離曲線は、ヘム-O-スキ ャン装置(Hem-O-Scan,SLM Amico,American Instruments,Silver Spring,Ma ryland)によって得た。P50値は、標準的な条件(温度37℃、pH7.40、pCO2 40t orr)における解離曲線から求めた。 リン酸含量の分析は、フィスケ(Fiske)とスバロウ(Subbarow)の方法(Jou rnal of Biological Chemistry,66:375-380(1925))に従って行った。GSH 含量は、リード(Reed)らの方法(Analytical Biochemistry,106:55-62,(1980) )に従って決定した。 アデノシンはHPLCを用い、258nmで吸光度を測定し、入光量とヘモグロビ ンに取り込まれた光量から計算した。ATPは、リン酸の測定から計算した。 ここで特性を測定した製品は、(Hb−PP−GSH)n、(ただし、Hbは精製ウ シヘモグロビン、PPは2つのプリン誘導体、すなわち、o-ATP及びo-アデノ シンであり、GSHは還元グルタチオンである。)と同定された。基本分子は図 1及び図2に示すヘモグロビン4量体である。図3に、他の蛋白質からの精製を 示す。この化合物には、ヘモグロビン1mMに対し、ATP約3mM、アデノシン約 1-0mM、GSH約20mMが含まれていた。調製の過程において様々な間隔でこの化 学組成とHPLC分析を行ったところ、o-ATPは主としてヘモグロビンの分子 内架橋に関与し、一方、o-アデノシンは分子間架橋を形成していることが示され た。さらに、o-アデノシンはGSH分子をヘモグロビンに繋ぐアンカーとなった 。この化合物を図4及び図5に示す。HPLCサイズ除去によるスペクトル分析 (図4)によって、この化合物が次表に示す6つの分子種からなることが示され た。 これらのうちで、(Hb)4、すなわち4量体4つの凝集体が主要分子種であっ た。HPLC−DEAEカラムによる分析(図5)は、50〜51分に単一ピークを 示し、このことは、この化合物が均一な、還元型の(修飾していないヘモグロビ ンに対して)等電点を有していることを示している。等電点電気泳動による分析 (図6)は、これらのヘモグロビン修飾を別の観点から示している。 化合物(Hb−PP−GSH)を水−サム溶液中に保存する場合、下記の電解質 を使用前に添加することができる。 塩化ナトリウム、たとえば25meq/ml 113meq/ml 注射用、米国薬局方NaCl(Abbott Lab.) 炭酸水素ナトリウム、たとえば1.0meq/ml 27meq/ml 注射用、米国薬局方NaHCO3(Abbott Lab.) 塩化カリウム、たとえば20meq/ml 4meq/ml 注射用、米国薬局方KCl(Abbott Lab.) グルコン酸カルシウム、たとえば0.465meq/ml 5meq/ml 注射用、米国薬局方(American Reagent Lab.) 硫酸マグネシウム、たとえば0.8meq/ml 3.5meq/ml 注射用、米国薬局方MgSO4(ANTRA Pharmaceutical) さらにマンニトールを約0.8mg/ml(溶液)の量で添加することができる。これ らの溶液を用いた場合、最終的なヘモグロビン溶液は次表に示す組成を有する。 化合物(Hb−PP−GSH)をノルモゾール(Normosol)R中に溶解して保存 する場合、使用前に上記と同量のマンニトールのみを添加した。最終製品の特性 は、ノルモゾールRがグルコン酸カルシウムを含有しない点以外は上記の表に示 したものと同様であった。 大気に接触したヘモグロビン溶液は、10g/dlの濃度において13容量%の酸素を 運搬し、このことは酸素結合容量がほぼ100%(ヘモグロビン1gあたり1.3容量 の酸素)であることを示した。高い塩素濃度による重合にもかかわらず、この溶 液のP50値は高かった(〜28mmHg)。浸透圧は、血漿のものより高く、粘度は全 血のものより低かった。ヘモグロビンの濃度が高い(アルブミンと比較して)に もかかわらずコロイド浸透圧は血漿のものより低かった。これはヘモグロビンが 重合しており、「ヘモグロビン粒子」の数が減少しているという事実のためであ る。例10 :o-ATPの大量調製 o-ATPの基本的調製法は従来から知られている(イースターブルック・スミ ス(S.B.Easterbrook-Smith)ら、「ピルビン酸カルボキシラーゼ("Pyruvate Ca rboxylase:Affinity Labelling of the magnesium adenosine triphosphate bin ding site",European Journal of Biochemistry,62:125-130(1976))」を参照の こと)。 大量の材料を製造し、ヘモグロビンとの十分な化学反応を確実にするために修 飾を行った。 アデノシン-5'-三リン酸二ナトリウム塩水和物(ATP、F.W.551.15)及び過 ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4、純度99%、F.W.213.89)はアルドリッチ社(Aldri ch Chemical Company,Milwaukee,Wisconsin)より入手した。10本の120mlセフ ァデックスG-10カラムはファルマシア社(Pharmacia Fine Chemicals,Piscata way,New Jersey)より入手した。1本のカラムにつき、サム溶液を用いてpH7.0 (0℃)に調整した無菌無発熱性物質の水(注射用水、Abbott Laboratories)1 5mlに、550mgのATPを溶解して用いた。過ヨウ素酸ナトリウムをATP:NaIO4 のモル比が1:1.1となるように加え、溶液を4℃で暗所に1時間放 置した。エチレングリコールをATP:エチレングリコールのモル比が2:1と なるように、15分間かけて加えることによって、反応を停止させた。反応混合物 を4℃において、あらかじめ注射用水で平衡化したセファデックスG−10カラム にかけた。カラムは200mlの水で溶出した。ヌクレオチドのピークの前半(図7 の分画20から30)を集め、ただちにラブコンコ凍結乾燥システム(Labconco Fre eze-Dry System with Stoppering Tray Dryer,Labconco Co.,Kansas City,Mi ssouri)を用いて、-40℃、<10μHgの真空で凍結乾燥した。得られた粉体は、 使用するまで-90℃において褐色瓶にて保存した。 o-ATPの濃度は、258nmの吸光度を測定して求め、過ヨウ素酸の存在は、232 nmの吸光度を測定して求めた。カラムは再使用の前に、注射用水を用いて4℃で 30時間洗浄し、流出物が232nmにおいて0.043未満の値を示すまで、すなわちすべ ての過ヨウ素酸が流出するまで、洗浄した。 本発明においては、次の2つの処置が重要である。(1)o-ATPを含み過ヨ ウ素酸の痕跡を含まない分画のみを集めること、(2)これらの分画をただちに 凍結乾燥し、-90℃で凍結すること。これらの処置によって、化学反応によるヘ モグロビンの酸化を防止することができる。例11 :o-アデノシンの大量調製 o-アデノシンの基本的調製方法は、従来から知られている(キム(J.X.Khym) 及びコーン(W.E.Cohn)、「過ヨウ素酸酸化ヌクレオチドの特性化といくつかの 化学反応("Characterizations and some chemical reactions of periodate-ox idized nucleotides",Journal of American Chemical Society 82:6380-6386(1 960))」を参照のこと)。大量の材料を製造し、ヘモグロビンとの十分な化学反 応を確実にするために修飾を行った。 純度98%のアデノシンはシグマ社(Sigma Chemical Co.)、過ヨウ素酸ナトリ ウムはアルドリッチ社(Aldrich Chemical Co.)より入手した。6gのアデノシ ンを室温で30分間、150mNのNaIO4水溶液200mlに溶解した。この溶液を、あらか じめ20mN酢酸(Fisher Scientifuc Co.より入手)(溶出液A)で平衡化した300 mlの陰イオン交換樹脂(AG1-X-8、100-200メッシュ、酢酸形)のカラム(Bio- Rad Laboratories,Richmond,California)に通した。このカラムを21の溶出 液Aを用い、流速15ml/min、温度4℃で溶出し、150mlの分画を得た。分画2〜1 5のみを集め(図8に示す)、o-ATPと同様にただちに凍結乾燥し、凍結した。 再使用の前には、61の100mM塩化アンモニウム(溶出液B)をカラムに通し 、すべての過ヨウ素酸を解離させた。分画中の過ヨウ素酸の濃度は、232nmの吸 光度を測定して求めた。この後、カラムを61の注射用水で洗浄し、20mHの酢酸 で再び平衡化した。 本発明の目的には、次の2つの処置が重要である。すなわちo-アデノシンを含 み、過ヨウ素酸の痕跡を含まない分画のみを集めること、及びこれらの分画をた だちに凍結乾燥し、-90℃で凍結することである。これらの処置によって、化学 反応によるヘモグロビンの酸化を防止することができる。 本発明の応用の説明 例12 :ラビットにおける毒性 本発明組成物(Hb−PP−GSH)の毒性を、科学文献に報告されている方法 (フェオラ(M.Feola)ら、「高分子化ヘモグロビン溶液の毒性("Toxicity of p olymerized hemoglobin solutions",Surgery,Gynecology and Obstetrics 166 :211-222(1988))」)に従って、ラビットで試験した。 体重4.0kgのニュージーランド・ラビット12匹に、1%のリドカインによる局 部麻酔下で、滅菌したカニューレを片方の耳の中心動脈及び他方の耳の縁静脈内 に挿入した。滅菌したカテーテルを膀胱に挿入した。サーミスタプローブ及びE CG針電極を局部麻酔下で四肢に挿入した。心電図(ECG)、血圧、体温及び 排出尿を3時間連続してモニターした。その後カテーテルと電極を取り除き、動 物をケージに戻した。30分間の定常状態(ベースライン)の後、血液量の1/3に あたる(ラビットの血液量をkgで表わした体重の6%として計算)80mlの血液 を5分間かけて動脈系から除去した。電解質溶液に溶解した等量のHb−PP−G SHを30分間かけて静脈系から輸血した。この量は、約2gのヘモグロビンに相 当する。血液を除去すると、血圧が低下し、心拍数が増加した。これらの変化は すみやかにもとに戻った。さらに、出血後細くなった脈圧(収縮期血圧と拡張 期血圧の差)は、まず正常値に戻り、次にベースラインより大きくなった。この ことは、ヘモグロビン溶液の血管拡張効果を示す。この効果は、3時間の観察の 間ずっと見られた。***尿は正常な状態を維持し、ヘモグロビンの尿への溢出は 見られなかった。 血液交換の後30分、1、3、及び24時間後に血液をサンプリングしたところ、 下記のことが明らかになった。 (1)血液希釈効果を越えた、白血球及び血小板の減少は見られなかった。 (2)血清フィブリノーゲン、プロトロンビン時間及びフィブリン分解生成物 を測定したところ、血管内血液凝固及びフィブリン溶解の活性化は見ら れなかった。 (3)脳又は心筋の障害を示唆する、クレアチニンフォスフォキナーゼ脳アイ ソザイム(CPK−BB)又は心筋アイソザイム(CPK−MB)の上 昇は見られなかった。 (4)肝臓障害を示唆する、血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ (SGPT)の上昇は見られなかった。 (5)動脈血液ガスは正常であって、肺機能が正常であることを示した。 (6)血清クレアチニンは正常であって、腎機能が正常であることを示した。 3時間後と24時間後の、血液と尿のサンプルの組み合わせは、正常なクレアチ ニン・クリアランスを有し、腎機能が正常であることを示した。全血の酸素解離 曲線は、P50値が変化していないこと、すなわち、ヘモグロビンによる酸素親和 性の増加がないことを示した。24時間後における血漿ヘモグロビンのレベルは、 最初のレベルの約50%であり、このことは、ヘモグロビンの半減期が24時間であ ることを示唆した。 24時間の間、動物は、外観、振る舞いとも正常であった。この時点で実験動物 を殺し、生体器官を組織学的に研究した。これまで科学文献に報告されている病 理学的変化は、(a)心臓、(b)肺、(c)肝臓、(d)腎臓のいずれにも観 察されなかった。これらの発見は、これまで報告されてきた純粋でないヘモグロ ビンをグルタルアルデヒドによって架橋したものを用いた場合(上述の参考文献 を参照のこと)と鋭い対比を示している。例13 :ラビットにおける薬効 この製品の人工血液としての薬効をラビットで試験した。上記の例で述べた方 法と同様に、対照群として、体重4.0kgのニュージーランド・ラビット10匹から1 /3量の血液(血液量はkgで表わした体重の6%として計算)を除去し、15分後に さらに1/3量を除去した。処置を行わない場合には、これらの動物すべてが1時 間以内に死亡した。実験群として、10匹のラビットに同じ実験を行い、ただし電 解質溶液に溶解したHb−PP−GSHを、失われた血液の総量と等しい量で輸血 した。これらの動物はすべて生存し、7日以内にヘマトクリット値(赤血球の濃 度)はベースラインまで戻った。例14 :ラットにおける血液交換後の血管拡張 体重350〜450gのスプラグ・ドーリー(Sprague-Dawley)ラット12匹に、45mg /Kgのペントバルビタールナトリウムを腹腔内に注入して麻酔し、手術台に仰向 けに寝かせた。右の大腿部動脈、頸動脈、及び外頸静脈を外科的に開き、ポリエ チレンカテーテル(モデルPE50、Intramedic,New York)を挿入した。外頸静脈 カテーテルを右心房の中に進め、一方、サーミスタプローブ(モデルIF、Colu mbus Instruments,Columbus,Ohio)を頸動脈を通して上行大動脈中に進めた。 それぞれのカテーテルをウシヘパリン5IU/mlを含む生理食塩水で満たした。大 腿部動脈と頸静脈系を血圧変換器に接続した。針電極を四肢内に皮下挿入し、心 電図(ECG)のモニターに使用した。温熱ランプを調整して一定の体温を維持 した。 心拍数をECGトレースから決定し、心拍出量は熱希釈、すなわち、室温(20 〜22℃)に保持した200μlの生理食塩水を右心房に注入し、大動脈サーミスタか らの熱希釈曲線を記録することによって測定した。全身血管抵抗は平均動脈圧か ら右心房圧を差し引き、これを心拍出量で割って求めた。 血行動態データのベースラインを記録した後、計算された血液量(ラットの血 液量はkgで表わした体重の7%として計算)の1/3量を動脈系から5分間かけて 除去した。15分後、電解質溶液に溶解した同量のHb−PP−GSHを静脈系か ら輸血した。ベースライン(T1)、血液除去15分後(T2)、ヘモグロビン輸血 15分後(T3)において、心拍数、平均動脈血圧、及び心拍出量を測定し、全身 血管抵抗を計算した。データの統計学的分析は、対データについてスチューデン トt検定を用いて行った。 下記にその結果を示すが、全身血管抵抗は血液除去後に増加し、血液交換の後 正常値に戻り、ベースラインに対しても、血管拡張が起こった。 例15:ラビットにおける酸素フリーラジカルの生成 体重4.0kgのニュージーランド・ラビット12匹をクロルプロマジン(5mg/kg、 筋注)で沈静させ、限定された測定を行った。滅菌したプラスチックカニューレ を中心動脈及び片方の耳の縁静脈内に挿入し、サーミスタブローブと針電極を四 肢に皮下挿入した。計算された血液量(kgで表わされた体重の2%)の1/3量を 5分間かけて動脈系から除去し、同量のヘモグロビン溶液を30分間かけて静脈系 から輸血した。ラビット6匹の対照群には未修飾ヘモグロビンを、実験群(6匹 )には電解質溶液に溶解したHb−PP−GSHを投与した。血漿中の過酸化水素 (H22)及び脂質過酸化物レベルについて、ベースライン、ヘモグロビン輸血 の15分、1時間、3時間、及び24時間後において、輸血の効果を検討した。血 漿中のヘモグロビン及びメトヘモグロビンもまた同じ間隔で測定した。 未修飾ヘモグロビンを投与した群では、H22が1時間後に2±2から70±5 μmol/mlに増加し、3時間後には50±5μmol/ml、24時間後には10±5μmol/ml に減少した。実験群では、H22が1時間後に2±2から10±2μmol/mlに増加 しただけであり、3時間後にはベースラインにまで戻った。同様に、脂質過酸化 物については、対照群ではベースライン1.5±0.9nmol/mlから、1時間後には4.0 ±1.0nmol/mlに増加した。実験群については、有意の増加は起こらなかった。血 漿中のメトヘモグロビンは、未修飾ヘモグロビンを投与した群では、1時間後に 0%から15%に増加し、Hb−PP−GSHを投与した群では、0%から5%に増 加した。2つの群におけるこれらの変数の差は、統計学的分析、すなわち、非対 及び対サンプルのスチューデントt検定及び分散分析(ANOVA)によって有 意であることが示された。 上述の特定の具体例によって本発明を説明してきたが、多くの変更、応用、修 正が可能であることが、当業者には理解されるであろう。これらの変更、応用及 び修正は、添付した特許請求の範囲の趣旨及び目的の範囲の中に含まれる。例16 :電解質の不在下でのHb−PP−GSHの配合物 Hb−PP−GSHの調製は例1〜9に示したものにしたがって実施された。修 飾されたヘモグロビンを50mMサム溶液(トロメタミン(Tromethamine)、注射用 、Abbott Laboratories,N.Chicago,Illinois)(pH8.1)のみに対して透析した 。Hb−PP−GSH製剤はその最終形態において、水+サム溶液(pH8.1)中に1 0g/lの濃度で含まれていた。この配合物は電解質を含まなかったが、あらかじめ 0.8mg/ml(溶液)の量で添加されたマンニトールを含んでいた。一般にこの溶液 はそれぞれ100mlの水につき6.66mlのサムを含んでいた。例17 :電解質を含まないHb−PP−GSH製剤の特性解明 インビトロの観察において、Hb−PP−GSHは生理食塩水に溶解した場合よ り、非電解質溶液、たとえばサム溶液に溶解した場合の方が長期間、4℃で冷蔵 庫内に保存できることが示された。 3カ月間にわたって、ヘモグロビンからメトヘモグロビンへの自動酸化は電解 質を含む配合物については3〜5%/月の速度で起こり、これに対し電解質を含 まない溶液については1%/月の速度で起こることが観察された。これは生理食 塩水中に存在する塩素イオンがヘモグロビンの酸素親和性を低下させ、酸素の放 出及び自動酸化を促進することに基づいて説明することができる。例18 :電解質無添加Hb−PP−GSHのインビボ効果 Hb−PP−GSHをサム溶液に10%の濃度で溶解した。マンニトールを0.8mg/ mlの量で添加したが、電解質を添加しなかった。計算された血液量の1/3に等し い容量を、30分間かけて9匹のラット(350〜400g体重)の群に静脈内注入した 。動物は実験の前は飼料及び水を普通に摂取しており、45mg/Kgのペントバルビ タールナトリウムを腹腔内注入することにより麻酔され、前記の例14に報告した と同様に取り扱われた。 体温、呼吸数、心電図、動脈血圧、及び心拍出量を2時間モニターした。尿排 出量をヘモグロビン溶液の投与前1時間、及び投与後2時間記録し、尿をヘモグ ロビンにつき検査した。血清中のイオン化−及び全−カルシウムレベルの測定の ために、Hb−PP−GSH投与の前、及び投与後2時間の間15分間隔で、血 液試料を採取した。 いずれの動物も急性毒性の徴候を発現しなかった。一過性の心拍数減少が起こ ったが、不整脈又は心電図の変化は生じなかった。呼吸数、血圧、及び心拍出量 は有意に一定に維持された。動物の尿排出量は約0.6±0.3ml/時から約1.6±0.3m l/時に増加し(P<0.05)、血色素尿症は生じなかった。全血清カルシウムは実 質的に一定であり、これに対しイオン化カルシウムは約0.85±0.05mMから約0.62 ±0.03mMに減少した。しかしこれは十分に有意ではなく、数分間続いたにすぎな い。イオン化カルシウムレベルの変化は、カルシウム2mg/体重100gの量において 2分間隔で注入されたグルコン酸カルシウム(注射用10%グルコン酸カルシウム、 W.A.Butler,Cincinati,Ohio)の静脈内投与によって戻った。 この実験は、たとえば注入すべき量が計算された血液量の1/3未満に相当する 場合には、電解質を添加しなくてもHb−GSHを投与できることを証明する。例19 :Hb−PP−GSHの臨床試験 Hb−PP−GSHをヒトにおいて(Kanshasa、ザイール共和国、アフリカ)、 同国政府(Department of Education and Scientific Research)の許可を得た のち試験した。1990年8月15日から9月15日までの期間、1グループ9人の患者 を処置した(Center for Sickle Cell Anemia,Kanshasa)。年齢4〜13歳の男子 5人及び女子4人がいた。5人の子供が重度の貧血を呈し、血液ヘモグロビンレ ベルが5g/dl以下であった。4人の子供がより軽度の貧血を示し、ヘモグロビン レベルが約8g/dlであったが、「鎌状赤血球貧血の発症」、すなわち手足(2人 )、左肺(1人)、及び脾臓(1人)の微小血管閉塞を伴っていた。患者は痛み 、発熱ならびに汎化した倦怠感及び脱力感を示した。 重度の貧血を伴う患者のグループは輸血が必要であると医学的に判定され、こ れに対し第2グループは静脈内液、血管拡張薬、及び鎮痛抗炎症薬で処置すべき ものであった。ヘモグロビン(Hb−PP−GSH)を両グループの処置に処方す ることを考慮した。ヘモグロビンは赤血球(RBC)の代替を提供し、かつ下記の 2メカニズムにより循環系及び組織の酸素付加を改善することが期待された。 循環血液量の増加 酸素供給の増加 さらにヘモグロビンが、血管拡張薬であるATP、ならびに血管拡張薬であり かつ抗炎症薬であるアデノシンの誘導体で架橋されているので、この溶液は「鎌 伏赤血球化」の発症を伴う患者が患っている微小血管閉塞を軽減すると期待され た。 輸血に優る他の利点として、本発明のHb−PP−GSHによる処置は血液伝染 性疾病、たとえばマラリア、細菌性疾患及びエイズの危険性をもたない。 本発明のHb−PP−GSHを、それぞれ水−サム溶液中の10%ヘモグロビン2 50mlを入れたフェンウォール(Fenwal)バッグ内に保存した。バッグは使用時ま で凍結状態(ゲルアイス中にパック)に保持された。投与の2時間前にフェンウ ォールバッグを室温に置き、ヘモグロビン溶液を融解させた。電解質及びマンニ トールを前記にしたがって添加した。各バッグの全量を約30滴/分の速度で静 脈内投与した。この量は血液量の約12〜23%(各患者につきkgで表した体重の7 %として計算)に相当する。 重度の貧血を伴う1患者に、ヘモグロビン3.5g/dlを連続2日間、2回注入し た。 生徴候である体温、脈拍、呼吸数及び血圧をヘモグロビン投与中及びその後2 時間、15分毎に測定した。この期間中、起こる可能性のあるアレルギー反応、 たとえば蕁麻疹、皮疹、気管支痙攣及び吐き気の発現にも注目した。尿排出量を Hb−PP−GSH投与前2時間、及び投与後2時間、測定した。尿をヘモグロビ ンの存在につき検査し、沈降物を鏡検により検査した。血液試料をHb−PP−G SH投与の前、直後、その後2時間、及び5日間毎日1回採取した。患者の血液 を血漿ヘモグロビン(注入したヘモグロビン)、全ヘモグロビン(注入したヘモ グロビン+赤血球に含まれていたもの)及び網状赤血球(幼若赤血球)につき検 査した。 アレルギー反応を発現した患者はなく、全員が全般的に改善されたと感じた。 「鎌状赤血球化」の発症を伴う者は、鎮痛剤を使用しなくても痛みが軽減したと 報告した。発熱は低下し、脈拍はより低速となり、血圧は若干の脈圧の上昇を伴 っ て(血管拡張を示唆する)安定に維持され、呼吸数は変化しなかった。尿排出量 はグループ全員につき、Hb−PP−GSH投与前2時間の50±7mlからHb−PP −GSH投与後2時間の130±15mlに増加した。尿は血色素尿症を示さず、沈降 物中に血球円柱(cast)は見られなかった。最も印象的な所見は、全ヘモグロビ ン量が5日間にわたってグループ全員についての平均値約6.39±2.12g/dlから約 10.5±1.13g/dlに徐々に改善され、網状赤血球が約11.2±7.6から約44.2±12/10 0に著しく増加したことである。 これは、このヘモグロビン溶液が赤血球の直接的代替を供給しただけでなく、 自身の新しい赤血球を産生する骨髄を模したことを示唆する。この刺激は5日間 につき報告したにすぎないが、それより長期間持続したと思われる。 結論として、鎌状赤血球貧血を患う9人の子供に投与された有意量のHb−PP −GSHは、毒性反応又はアレルギー反応を起こさず、彼らの全般的状態を改善 し、骨髄に対して新しい赤血球を産生するという長期的な有益な効果をもたらし た。 以上、本発明を十分に説明したが、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することな く多くの変更及び修正をなしうることは、当業者には自明であろう。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】平成5年2月22日(1993.2.22) 【補正内容】 請求の範囲 1.o-ATP及びo-アデノシンと反応させて架橋ヘモグロビンを形成し、さらに 還元グルタチオンと反応させた、実質的に発熱性物質を含まず、微生物を含まな い活性ヘモグロビンからなる組成物であって; o-ATPが過ヨウ素酸酸化ATPからなり、o-アデノシンが過ヨウ素酸酸化ア デノシンからなり; ヘモグロビンが該o-ATPによって分子内架橋し、かつ、該o-アデノシンによ って分子間架橋し; ヘモグロビン、o-ATP、o-アデノシン及びグルタチオンが約1:3:10:20の モル比で反応している 組成物。 4.溶液がさらに非電解質を含む、請求項1記載の改良された人工血液。 6.架橋ヘモグロビンが約130から約390キロダルトンの分子量を有する、請求項 1記載の組成物。 7.約5%未満のヘモグロビンがメトヘモグロビンからなる、請求項1記載の組 成物。 8.ヘモグロビンがウシヘモグロビンからなる、請求項1記載の組成物。 9.下記よりなる方法により調製された、請求項1記載の組成物 ヘモグロビンを溶液中でカルボキシヘモグロビンに変換する; ヘモグロビン溶液を低温殺菌し、非ヘム蛋白質を変性させて沈殿させる; 溶液からリン脂質及び沈殿した非ヘム蛋白質を除去する; ヘモグロビン溶液から内毒素を除去する; 溶液を濃縮する; カルボキシヘモグロビンを濃厚溶液中でo-ATPにより、主として分子内架橋 させる; カルボキシヘモグロビンをo-アデノシンにより、主として分子間架橋させる; 架橋ヘモグロビン溶液にグルタチオンを添加し、o-アデノシン架橋反応を停止 させる;そして 架橋カルボキシヘモグロビンを溶液中で架橋オキシヘモグロビンに変換する。 22.人工血液として用いるのに適した組成物を調製するための、下記よりなる 方法 ヘモグロビンを溶液中でカルボキシヘモグロビンに変換する; カルボキシヘモグロビン溶液を濃縮する; カルボキシヘモグロビンを濃厚溶液中でo-ATPにより、主として分子内架橋 させる; カルボキシヘモグロビンを溶液中でo-アデノシンにより、主として分子間架橋 させる; カルボキシヘモグロビン/o-アデノシン溶液にグルタチオンを添加し、o-アデ ノシン架橋反応を停止させる; 架橋カルボキシヘモグロビンを架橋オキシヘモグロビンに変換する;そして 電解質の不在下で、薬剤学的に受容しうる架橋オキシヘモグロビンの架橋水溶 液を調製する。 23.さらに水溶液に電解質及び/又はマンニトールを添加することよりなる、 請求項22記載の方法。 24.精製ヘモグロビン溶液が全血から下記により得られる、請求項22記載の 方法: 全血を白血球と赤血球の混合物、血小板、及び血漿に分離する; こうして得られた白血球と赤血球の混合物を水溶液中に懸濁する; 白血球と赤血球の溶液を冷却して白血球を凝集させる; 白血球凝集体を除去する; 実質的に白血球を含まない赤血球懸濁液を低張溶液に対して透析し、赤血球か らヘモグロビンを抽出し、ヘモグロビン溶液を得る; 高静水圧下で限外濾過することによって、ヘモグロビン溶液から赤血球を分離 する; 抽出したヘモグロビンを溶液中でカルボキシヘモグロビンに変換する; ヘモグロビン溶液を低温殺菌し、非ヘム蛋白質を変性させて沈殿させる; 溶液からリン脂質及び沈殿した非ヘム蛋白質を除去する;そして ヘモグロビン溶液からアフィニティー・クロマトグラフィーにより内毒素を除 去する。 25.ヘモグロビンを得る全血がウシ血液からなる、請求項22記載の方法。 【手続補正書】 【提出日】平成10年12月11日(1998.12.11) 【補正内容】 請求の範囲 1. o−ATP及びo−アデノシンと反応させて架橋ヘモグロビンを形成し、 さらに還元グルタチオンと反応させた、実質的に発熱性物質を含まず、微生物を 含まない活性ヘモグロビンからなる組成物であって; o−ATPが過ヨウ素酸酸化ATPからなり、o−アデノシンが過ヨウ素酸酸 化アデノシンからなり; ヘモグロビンが該o−ATPによって分子内架橋し、かつ、該o−アデノシン によって分子間架橋し; ヘモグロビン、o−ATP、o−アデノシン及びグルタチオンが約1:3:1 0:20のモル比で反応している 組成物。 2. 溶液がさらに非電解質を含む、請求項1記載の改良された人工血液。 3.架橋ヘモグロビンが約130から約390キロダルトンの分子量を有する、 請求項1記載の組成物。 4. 約5%未満のヘモグロビンがメトヘモグロビンからなる、請求項1記載の 組成物。 5. ヘモグロビンがウシヘモグロビンからなる、請求項1記載の組成物。 6. 下記よりなる方法により調製された、請求項1記載の組成物: ヘモグロビンを溶液中でカルボキシヘモグロビンに変換する; ヘモグロビン溶液を低温殺菌し、非ヘム蛋白質を変性させて沈殿させる; 溶液からリン脂質及び沈殿した非ヘム蛋白質を除去する; ヘモグロビン溶液から内毒素を除去する; 溶液を濃縮する; カルボキシヘモグロビンを濃厚溶液中でo−ATPにより、主として分子内架 橋させる; カルボキシヘモグロビンをo−アデノシンにより、主として分子間架橋させる ; 架橋ヘモグロビン溶液にグルタチオンを添加し、o−アデノシン架橋反応を停 止させる;そして 架橋カルボキシヘモグロビンを溶液中で架橋オキシヘモグロビンに変換する。 7. ヘモグロビン溶液が下記により得られる、請求項6記載の組成物: 全血を白血球と赤血球の混合物、血小板、及び血漿に分離する; こうして得られた白血球と赤血球の混合物を水溶液中に懸濁する; 白血球と赤血球の溶液を冷却して白血球を凝集させ、そして白血球凝集体を除 去する; 実質的に白血球を含まない赤血球懸濁液を低張溶液に対して透析し、赤血球か らヘモグロビンを抽出し、ヘモグロビン溶液を得る;そして 高静水圧下で限外濾過することによって、ヘモグロビン溶液から赤血球を分離 する。 8. 請求項1記載の組成物;及び 薬剤学的に受容しうる水溶液 を含む人工血液。 9. 溶液が非電解質水溶液である、請求項8記載の人工血液。 10. 架橋ヘモグロビンが水溶液に溶解される、請求項8記載の人工血液。 11. 溶液のデシリットル当たり約7.5〜15gの請求項1記載の組成物を 含む、請求項8記載の人工血液。 12. 血液交換を必要とするヒトを処置するための医薬組成物であって、目的 とする効果を達成するのに有効な量の請求項9記載の組成物を含む組成物。 13. ヒトが急性失血を伴う、請求項12記載の組成物。 14. ヒトが鎌状赤血球化による鎌状赤血球貧血の発症を伴う、請求項12記 載の組成物。 15. 人工血液の投与量がヒトの全血液量の約33〜100%である、請求項 12記載の組成物。 16. 血液量の回復を必要とするヒトの血液量を回復するための医薬組成物で あって、目的とする効果を達成するのに有効な量の請求項9記載の組成物を含む 組成物。 17. ヒトが鎌状赤血球貧血の発症を伴う、請求項16記載の組成物。 18. ヒトが急性失血を伴う、請求項16記載の組成物。 19. 人工血液として用いるのに適した組成物を調製するための、下記よりな る方法: ヘモグロビンを溶液中でカルボキシヘモグロビンに変換する; カルボキシヘモグロビン溶液を濃縮する; カルボキシヘモグロビンを濃厚溶液中でo−ATPにより、主として分子内架 橋させる; カルボキシヘモグロビンを溶液中でo−アデノシンにより、主として分子間架 橋させる; カルボキシヘモグロビン/o−アデノシン溶液にグルタチオンを添加し、o− アデノシン架橋反応を停止させる; 架橋カルボキシヘモグロビンを架橋オキシヘモグロビンに変換する;そして 電解質の不在下で、薬剤学的に受容しうる架橋オキシヘモグロビンの架橋水溶 液を調製する。 20. さらに、水溶液の形成中またはその後に水溶液に電解質及び/又はマン ニトールを添加することよりなる、請求項19記載の方法。 21. 精製ヘモグロビンが全血から下記により得られる、請求項19記載の方 法: 全血を白血球と赤血球の混合物、血小板、及び血漿に分離する; こうして得られた白血球と赤血球の混合物を水溶液中に懸濁する; 白血球と赤血球の溶液を冷却して白血球を凝集させる; 白血球凝集体を除去する; 実質的に白血球を含まない赤血球懸濁液を低張溶液に対して透析し、赤血球か らヘモグロビンを抽出し、ヘモグロビン溶液を得る; 高静水圧下で限外濾過することによって、ヘモグロビン溶液から赤血球を分離 する; 抽出したヘモグロビンを溶液中でカルボキシヘモグロビンに変換する; ヘモグロビン溶液を低温殺菌し、非ヘム蛋白質を変性させて沈殿させる; 溶液からリン脂質及び沈殿した非ヘム蛋白質を除去する;そして ヘモグロビン溶液からアフィニティー・クロマトグラフィーにより内毒素を除 去する。 22. ヘモグロビンを得る全血がウシ血液からなる、請求項19記載の方法。 23. 請求項22記載の方法により調製された、精製ヘモグロビン組成物。 24. 鎌状赤血球化による鎌状赤血球貧血の発症を伴うヒトの処置のための医 薬組成物であって、症状を軽減するのに有効な量の請求項6記載の人工血液を含 む組成物。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.o-ATP及びo-アデノシンと反応させて架橋ヘモグロビンを形成した、実質 的に発熱性物質を含まず、微生物を含まない活性ヘモグロビンからなる組成物。 2.架橋ヘモグロビンをさらに還元グルタチオンと反応させた、請求項1記載の 組成物。 3.o-ATPが過ヨウ素酸酸化ATPからなり、o-アデノシンが過ヨウ素酸酸化ア デノシンからなり; ヘモグロビンが過ヨウ素酸酸化ATPによって分子内架橋し、かつ、過ヨウ 素酸酸化アデノシンによって分子間架橋し、ポリヘモグロビンを形成している、 請求項1記載の組成物。 4.溶液がさらに非電解質を含む、請求項3記載の改良された人工血液。 5.ヘモグロビン、o-ATP、o-アデノシン及びグルタチオンが約1:3:10:20 のモル比で反応している、請求項1記載の組成物。 6.架橋ヘモグロビンが約130から約390キロダルトンの分子量を有する、請求項 1記載の組成物。 7.約5%未満のヘモグロビンがメトヘモグロビンからなる、請求項1記載の組 成物。 8.ヘモグロビンがウシヘモグロビンからなる、請求項1記載の組成物。 9.下記よりなる方法により調製された、請求項1記載の組成物: ヘモグロビンを溶液中でカルボキシヘモグロビンに変換する; ヘモグロビン溶液を低温殺菌し、非ヘム蛋白質を変性させて沈殿させる; 溶液からリン脂質及び沈殿した非ヘム蛋白質を除去する; ヘモグロビン溶液から内毒素を除去する; 溶液を濃縮する; カルボキシヘモグロビンを濃厚溶液中でo-ATPにより、主として分子内架橋 させる; カルボキシヘモグロビンをo-アデノシンにより、主として分子間架橋させる; 架橋ヘモグロビン溶液にグルタチオンを添加し、o-アデノシン架橋反応を停止 させる;そして 架橋カルボキシヘモグロビンを溶液中で架橋オキシヘモグロビンに変換する。 10.ヘモグロビン溶液が下記により得られる、請求項9記載の組成物: 全血を白血球と赤血球の混合物、血小板、及び血漿に分離する; こうして得られた白血球と赤血球の混合物を水溶液中に懸濁する; 白血球と赤血球の溶液を冷却して白血球を凝集させ、そして白血球凝集体を除 去する; 実質的に白血球を含まない赤血球懸濁液を低張溶液に対して透析し、赤血球か らヘモグロビンを抽出し、ヘモグロビン溶液を得る;そして 高静水圧下で限外濾過することによって、ヘモグロビン溶液から赤血球を分離 する。 11.請求項1記載の組成物;及び 薬剤学的に受容しうる水溶液 を含む人工血液。 12.溶液が非電解質水溶液である、請求項11記載の人工血液。 13.架橋ヘモグロビンが水溶液に溶解される、請求項11記載の人工血液。 14.溶液のリットル当たり約7.5〜15gの請求項1記載の組成物を含む、請求項 11記載の人工血液。 15.血液交換を必要とするヒトを処置する方法であって、目的とする効果を達 成するのに有効な量の請求項12記載の組成物をヒトに静脈内投与することより なる方法。 16.ヒトが急性失血を伴う、請求項15記載の方法。 17.ヒトが鎌状赤血球化による鎌状赤血球貧血の発症を伴う、請求項15記載 の方法。 18.人工血液の投与量がヒトの全血液量の約33〜100%である、請求項15記 載の方法。 19.血液量の回復を必要とするヒトの血液量を回復する方法であって、目的と する効果を達成するのに有効な量の請求項12記載の組成物をヒトに静脈内投与 することよりなる方法。 20.ヒトが鎌状赤血球貧血の発症を伴う、請求項19記載の方法。 21.ヒトが急性失血を伴う、請求項19記載の方法。 22.人工血液として用いるのに適した組成物を調製するための、下記よりなる 方法: ヘモグロビンを溶液中でカルボキシヘモグロビンに変換する; カルボキシヘモグロビン溶液を濃縮する; カルボキシヘモグロビンを濃厚溶液中でo-ATPにより、主として分子内架橋さ せる; カルボキシヘモグロビンを溶液中でo-アデノシンにより、主として分子間架橋 させる; カルボキシヘモグロビン/o-アデノシン溶液にグルタチオンを添加し、o-アデ ノシン架橋反応を停止させる; 架橋カルボキシヘモグロビンを架橋オキシヘモグロビンに変換する;そして 電解質の不在下で、薬剤学的に受容しうる架橋オキシヘモグロビンの架橋水溶 液を調製する。 23.さらに水溶液に電解質及び/又はマンニトールを添加することよりなる、 請求項22記載の方法。 24.精製ヘモグロビン溶液が全血から下記により得られる、請求項22記載の 方法: 全血を白血球と赤血球の混合物、血小板、及び血漿に分離する; こうして得られた白血球と赤血球の混合物を水溶液中に懸濁する; 白血球と赤血球の溶液を冷却して白血球を凝集させる; 白血球凝集体を除去する; 実質的に白血球を含まない赤血球懸濁液を低張溶液に対して透析し、赤血球か らヘモグロビンを抽出し、ヘモグロビン溶液を得る; 高静水圧下で限外濾過することによって、ヘモグロビン溶液から赤血球を分離 する; 抽出したヘモグロビンを溶液中でカルボキシヘモグロビンに変換する; ヘモグロビン溶液を低温殺菌し、非ヘム蛋白質を変性させて沈殿させる; 溶液からリン脂質及び沈殿した非ヘム蛋白質を除去する;そして ヘモグロビン溶液からアフィニティー・クロマトグラフィーにより内毒素を除 去する。 25.ヘモグロビンを得る全血がウシ血液からなる、請求項22記載の方法。 26.請求項25記載の方法により調製された、精製ヘモグロビン組成物。 27.鎌状赤血球化による鎌状赤血球貧血の発症を伴うヒトを処置する方法であ って、症状を軽減するのに有効な量の請求項9記載の人工血液をヒトに静脈内投 与することよりなる方法。
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