【発明の詳細な説明】
TRAILに結合するタンパク質
発明の背景
TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)として知られるタンパク質は、リ
ガンドの腫瘍壊死因子ファミリーのメンバーである(Wileyら,Immunity,3:673
-682,1995)。TRAILは、多くの異なる種類の癌細胞と共にウイルス感染細胞を
含む、特定の形質転換細胞のアポトーシスを誘導する能力を示している(PCT出
願第WO 97/01633号およびWileyら、上記)。TRAILに結合する細胞表面タンパク
質の同定は、TRAILの生物学的活性をさらに解明するのに有用であることが示さ
れるであろう。
発明の概要
本発明は、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)として知られるタンパ
ク質に結合し、そしてしたがってTRAIL結合タンパク質(TRAIL-BP)と称される
、新規タンパク質に向けられる。TRAIL-BPをコードするDNA、およびこうしたDNA
を含む発現ベクターが提供される。TRAIL-BPポリペプチドを産生する方法は、TR
AIL-BPをコードする組換え発現ベクターで形質転換した宿主細胞を、TRAIL-BPの
発現を促進する条件下で培養し、そして、発現されたTRAIL-BPポリペプチドを培
養から回収することを含む。TRAIL-BPと免疫反応性である抗体もまた提供される
。
図の簡単な説明
図1は、ヒトTRAIL結合タンパク質をコードするDNAのヌクレオチド配列と共に
、該配列にコードされるアミノ酸配列を示す。
発明の詳細な説明
TRAIL結合タンパク質(TRAIL-BP)と称される新規タンパク質が本明細書に提
供される。TRAIL-BPはTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)と称されるサ
イトカインに結合する。TRAIL-BPの特定の使用は、以下にさらに論じられるよう
に、TRAILに結合するこの能力から生じる。TRAIL-BPは、例えば、TRAILの生物学
的活性を阻害すること、またはアフィニティ・クロマトグラフィーによりTRAIL
を精製することに使用を見出す。
TRAIL-BPタンパク質またはその免疫原性断片を免疫原として使用し、これと免
疫反応性である抗体を生成してもよい。本発明の1つの態様において、該抗体は
モノクローナル抗体である。
ヒトTRAIL-BP cDNAのヌクレオチド配列(配列番号1)が、該cDNAにコードされ
るアミノ酸配列(配列番号2)と共に、図1に示される。図1(配列番号2)のTRAI
L-BPタンパク質は、シグナルペプチドとして機能するN末端疎水性領域、細胞外
ドメイン、およびC末端疎水性領域を含む。
コンピューター解析により、シグナルペプチドが図1(配列番号2)のアミノ酸
69の後で切断されることが予測される。したがって、シグナルペプチドの切断は
、図1(配列番号2)のアミノ酸70から299を含む成熟タンパク質を生じるであろ
う。次に最も可能性が高いコンピューターが予測するシグナルペプチド切断部位
は(降順に)、図1(配列番号2)のアミノ酸63または65の後で起こる。
図1(配列番号1)に示されるDNA配列のコード領域は、開始コドン(ATG)で始
まる。第二の潜在的な開始コドンは、図1(配列番号1)のヌクレオチド144−146
で見られる。第二の(下流)ATGは、シグナルペプチドをコードする領域内に見
られるため、該タンパク質の成熟型は、どちらのATGが開始コドンとして機能す
るかに関わらず、同一であろう。
シグナルペプチドに続く、細胞外ドメインは、図1(配列番号2)のアミノ酸27
8で終結する。TRAIL-BP細胞外ドメインのアミノ酸配列は、受容体の腫瘍壊死因
子受容体(TNF-R)ファミリーメンバーの細胞外ドメインと有意な相同性を示す
(Smithら,Cell 76:959-962,1994に概説される)。
C末端疎水性ドメインは、図1(配列番号2)のアミノ酸279から299を含む。本
疎水性ドメインを含むTRAIL-BPタンパク質は細胞表面に結合している。
本発明は、多様な型の、天然発生であってもまたは非天然発生であってもよい
TRAIL-BPを含む。天然発生でない型は、組換えDNA技術を含む方法など、多様な
技術を通じ、産生されてもよい。本明細書に提供されるTRAIL-BPの型には、限定
されるわけではないが、以下にさらに論じられるように、TRAIL-BPの断片、誘導
体、変異体、およびオリゴマーが含まれる。
TRAIL-BPは、グリコシル基、脂質、リン酸、アセチル基およびそれらに匹敵す
るものなどの他の化学部分と共有または凝集結合体を形成することにより、修飾
し、誘導体を生成してもよい。TRAIL-BPの共有結合誘導体は、化学部分を、TRAI
L-BPアミノ酸側鎖上の官能基に、またはTRAIL-BPポリペプチドのN末端またはC末
端で連結することにより、調製してもよい。TRAIL-BPに結合している診断用(検
出可能)または治療用の剤を含む結合体は、以下にさらに詳細に論じられるよう
に、本明細書に意図される。
本発明の範囲内であるTRAIL-BPの他の誘導体には、例えば、組換え培養内での
N末端またはC末端融合体としての合成によるなど、TRAIL-BPポリペプチドと他の
タンパク質またはポリペプチドの共有または凝集結合体が含まれる。融合タンパ
ク質の例は、TRAIL-BPオリゴマーと関連して、以下に論じられる。
さらに、TRAIL-BP含有融合タンパク質は、TRAIL-BPの精製および同定を容易に
するため付加されるペプチドを含んでもよい。こうしたペプチドには、例えば、
ポリHisまたは米国特許第5,011,912号およびHoppら,Bio/Technology 6:1204,1
988に記載される抗原性同定ペプチドが含まれる。1つのこうしたペプチドはFlag
(登録商標)ペプチド、Asp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys(配列番号3)であり
、該ペプチドは非常に抗原性で、そして特異的なモノクローナル抗体に可逆的に
結合されるエピトープを提供し、発現された組換えタンパク質の迅速な検定およ
び容易な精製を可能にする。4E11と称されるネズミハイブリドーマは、本明細書
に援用される米国特許第5,011,912号に記載されるように、特定の二価金属陽イ
オンの存在下で、Flag(登録商標)ペプチドと結合するモノクローナル抗体を産
生する。4E11ハイブリドーマ細胞株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレ
クション(American Type Culture Collection)に寄託番号HB 9259にて寄託
されている。Flag(登録商標)ペプチドに結合するモノクローナル抗体は、East
man Kodak Co.,Scientific Imaging Systems Division、コネチカット州ニュー
ヘブンから入手可能である。
TRAIL-BPの細胞膜結合および可溶性(分泌)型両方が本明細書に提供される。
可溶性TRAIL-BPは、TRAIL-BPポリペプチドを発現している損なわれていない(in
tact)細胞を、培地から、例えば遠心分離により分離し、そして望ましいタンパ
ク質の存在に関し、培地(上清)を検定することにより、同定し(そして非可溶
性膜結合同等物から区別し)てもよい。培地中のTRAIL-BPの存在は、該タンパク
質が細胞から分泌され、そしてしたがって、望ましいタンパク質の可溶性型であ
ることを示す。
TRAIL-BPはグリコシル・ホスファチジルイノシトール(GPI)連結を介し、細
胞表面に固定(anchor)されていると考えられている。GPI膜アンカーは、化学
構造およびそのプロセシングを含め、Ferguson、M.およびA.Williams,Ann.Re
v.Biochem.,57:285,1988に記載されている。最初に発現されるとき、特定の
タンパク質は、GPI固定のシグナルを含む、C末端疎水性ドメインを含む。切断部
位は上流に位置し、しばしば疎水性ドメインのN末端の約10−12アミノ酸上流に
ある。翻訳後プロセシングには、本切断部位でのタンパク質の切断が含まれる。
GPIアンカーは、プロセシングされた成熟タンパク質の新たに曝露されるC末端ア
ミノ酸に結合する。
TRAIL-BPの可溶性型は、典型的には、細胞表面上での該タンパク質の保持を引
き起こすであろうC末端疎水性領域を欠く。本発明の1つの態様において、可溶性
TRAIL-BPポリペプチドは該タンパク質の細胞外ドメインを含む。可溶性TRAIL-BP
の例には、限定されるわけではないが、図1(配列番号2)のアミノ酸xから278を
含み、ここでxは64から70まで(64及び70を含む)の整数を示す、成熟可溶性ヒ
トTRAIL-BPを含む。
TRAIL-BPの可溶性型は、該タンパク質の膜結合型と比べ、特定の利点を有する
。可溶性タンパク質は細胞から分泌されるため、組換え宿主細胞からの該タンパ
ク質の精製が容易である。さらに、可溶性タンパク質は、一般的に、静脈内投与
など、特定の適用により適している。
図1のTRAIL-BPタンパク質の天然発生変異体が本明細書に提供される。こうし
た変異体には、例えば、選択的mRNAスプライシング事象から、またはTRAIL-BPタ
ンパク質のタンパク質分解切断から生じるタンパク質が含まれる。mRNAの選択的
スプライシングは、例えば、一部切除されているが(truncated)、生物学的に
活性があるTRAIL-BPタンパク質、例えば該タンパク質の天然発生可溶性型を生じ
る。タンパク質分解に起因する変動には、例えば、異なる種類の宿主細胞で発現
する際の、TRAIL-BPタンパク質からの1つまたはそれ以上の末端アミノ酸(一般
的に1から5の末端アミノ酸)のタンパク質分解除去による、NまたはC末端の相違
が含まれる。アミノ酸配列の相違が遺伝子多型性(該タンパク質を産生する個人
間の対立遺伝子変動)に起因するTRAIL-BPタンパク質もまた、本明細書に意図さ
れる。
TRAIL-BPタンパク質の多様なドメインの本明細書の論議に関し、当業者は、該
タンパク質のこうした領域の上述の境界はおよそのものであることを認識するで
あろう。例えば、(この目的のため入手可能であるコンピュータープログラムを
用いることにより予測してもよい)C末端疎水性領域のN末端残基は、上述のもの
と異なる可能性がある。したがって、細胞外ドメインのC末端が上記に同定され
た残基と異なる可溶性TRAIL-BPポリペプチドは、本明細書に意図される。
当業者はまた、シグナルペプチドが切断される位置は、コンピュータープログ
ラムにより予測されるものと異なる可能性があり、そして組換えTRAIL-BPポリペ
プチドを発現するのに使用される宿主細胞の種類などの要因にしたがい、変化す
る可能性があることも認識するであろう。タンパク質調製には、1つ以上の部位
でのシグナルペプチド切断から生じる、異なるN末端アミノ酸を有するタンパク
質分子の混合物を含んでもよい。上に論じられるように、本明細書に提供される
成熟TRAIL-BPタンパク質の特定の態様には、限定されるわけではないが、N末端
アミノ酸として図1(配列番号2)の位64、66、または70の残基を有するタンパク
質が含まれる。
他の天然発生TRAIL-BP DNAおよびポリペプチドには、ヒトでない種由来のもの
が含まれる。例えば、他の哺乳動物種由来の、図1(配列番号1および2)のヒトT
RAIL-BPの相同体が、本明細書に意図される。図1(配列番号1)のヒト
DNA配列に基づくプローブを用い、慣用的種間ハイブリダイゼーション技術を用
い、他の哺乳動物種由来のcDNAライブラリーをスクリーニングしてもよい。
TRAIL-BP断片が本明細書に提供される。こうした断片は、N末端またはC末端で
一部切除されていてもよく、または例えば、全長天然タンパク質と比較するとき
、内部残基を欠いていてもよい。特定の断片は、望ましい生物学的活性、例えば
TRAIL結合に、必須でないアミノ酸残基を欠く。
TRAIL-BP断片は、多くの慣用技術のいずれにより調製してもよい。望ましいペ
プチド断片を化学的に合成してもよい。別のアプローチは、酵素消化により、例
えば特定のアミノ酸残基により規定される部位でタンパク質を切断することが知
られる酵素でタンパク質を処理することにより、またはDNAを適切な制限酵素で
消化し、そして望ましい断片を単離することにより、TRAIL-BP断片を生成するこ
とを含む。また別の適切な技術は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、望ま
しいポリペプチド断片をコードするDNA断片を単離し、そして増幅することを含
む。PCRにおいてDNA断片の望ましい末端を規定するオリゴヌクレオチドを、5'お
よび3'プライマーとして使用する。
TRAIL-BPポリペプチド断片を、抗体生成において免疫原として使用してもよい
。特定の態様は、望ましい生物学的活性、例えばTRAILに結合する能力を持つTRA
IL-BPポリペプチド断片に向けられる。こうした断片は、上述のように、可溶性T
RAIL-BPポリペプチドであってもよい。
特定の態様において、TRAIL-BP断片には、細胞外ドメイン内に見られるシステ
イン・リッチ反復モチーフが含まれる。TNF-Rファミリーの多くの受容体は、そ
の細胞外ドメインにシステイン・リッチ反復モチーフを含む(Marstersら,J.B
iol.Chem.267:5747-5750,1992)。これらの反復は、リガンド結合に重要であ
ると考えられる。例えば、Marstersら、上記は、反復の1つを欠く可溶性I型TNF-
Rポリペプチドが、TNFαおよびTNFβへの結合親和性において10倍の減少を示し
;第二の反復を欠失させた結果、リガンドの検出可能な結合が完全に失われたこ
とを報告した。
図1(配列番号2)のヒトTRAIL-BPは、2つのこうしたシステイン・リッチ反復
を含み、第一の反復は図1(配列番号2)の残基108から149を含み、そして第
二の反復は残基150から190を含む。本明細書に提供されるTRAIL-BP断片には、限
定されるわけではないが、N末端および/またはC末端で一部切除されているが、
システイン・リッチ反復内に見られるシステイン残基を含むポリペプチドが含ま
れる。こうしたTRAIL-BP断片の例には、限定されるわけではないが、図1(配列
番号2)のアミノ酸yからzを含み、ここでyは64から109までの整数を表し、そし
てzは189から299までの整数を表す、ポリペプチドを含む。特定の態様において
、yは64、66、70、108、または109であり、そしてzは189、190、または278であ
る。本明細書に提供される可溶性TRAIL-BPポリペプチドは、限定されるわけでは
ないが、細胞外ドメインの断片であり、該断片はシステイン・リッチ反復中のシ
ステイン残基を含む。
2つの発現配列タグ(EST)は、図1(配列番号1)のDNA配列と同一の領域を含
む。寄託番号T71406を有するESTに関するコンピューター・データバンク記録は
、長さ352ヌクレオチドのDNA配列を示す。EST T71406配列を図1(配列番号1)の
TRAIL-BP DNA配列と整列させると、同一性領域が図1(配列番号1)のヌクレオチ
ド9および358の間に見られる。EST T71406の特定のヌクレオチドは同定されてい
ない(すなわち、その同一性が未知であるため、データバンク記録中に「N」と
示されている)。EST T71406データバンク配列はまた、図1(配列番号1)のヌク
レオチド配列の対応する領域と比較すると、挿入、ミスマッチ、および欠失も含
む。
寄託番号AA150849を有するESTに関するコンピューターデータバンク記録には
、長さ398ヌクレオチドのDNA配列が示される。EST AA150849配列を図1(配列番
号1)のTRAIL-BP DNA配列と整列させると、同一性領域が図1(配列番号1)のヌ
クレオチド10および409の間に見られる。しかしEST AA150849配列は、図1(配列
番号1)の対応するヌクレオチド配列と比較すると、欠失およびミスマッチを含
む。
EST T71406配列はEST AA150849の重なる領域と同一でない。これらの2つのEST
データバンク配列の整列により、挿入およびミスマッチが明らかになる。2つのE
STのどちらのデータバンクファイルにも、読み枠は同定されない。しかし、該コ
ンピューター・データバンクファイルに示されるDNA配列が、本明
細書に明らかにされる読み枠にしたがい、翻訳されたとしても、EST T71406もAA
150849もどちらもTRAILに結合すると期待されるTRAIL-BPをコードしないであろ
う。該翻訳物は、上に論じられる保存性システイン残基の大部分を欠く。
TRAIL-BP DNA配列は、本明細書に開示される天然配列と異なっていてもよい。
1つのコドン以上が同一のアミノ酸をコードすることが可能な、遺伝子コードの
既知の縮重により、DNA配列は図1(配列番号1)に示されるものと異なり、そし
てそれでも図1(配列番号2)のアミノ酸配列を有するTRAIL-BPタンパク質をコー
ドする可能性がある。こうした変異体DNA配列は、沈黙突然変異(例えば、PCR増
幅中に発生するもの)から生じてもよいし、または天然配列の計画的な突然変異
誘発の産物であってもよい。したがって、本明細書に提供されるDNA配列の中に
、天然TRAIL-BP配列(例えば、図1(配列番号1)に示されるヌクレオチド配列を
含むcDNA)および天然TRAIL-BP DNA配列に対し遺伝子コードの結果として縮重し
ているDNAがある。
本明細書に提供されるTRAIL-BPポリペプチドの中に、天然TRAIL-BPの生物学的
活性を保持する、天然TRAIL-BPポリペプチドの変異体がある。こうした変異体に
は、天然TRAIL-BPに実質的に相同であるが、1つまたはそれ以上の欠失、挿入ま
たは置換のため、天然TRAIL-BPのものと異なるアミノ酸配列を有するポリペプチ
ドが含まれる。特定の態様には、限定されるわけではないが、天然TRAIL-BP配列
と比較するとき、アミノ酸残基の1つから10個の欠失、挿入または置換を含むTRA
IL-BPポリペプチドがある。本発明のTRAIL-BPをコードするDNAには、1つまたは
それ以上の欠失、挿入または置換のため、天然TRAIL-BP DNA配列と異なるが、生
物学的に活性があるTRAIL-BPポリペプチドをコードする変異体が含まれる。TRAI
L-BPの1つの生物学的活性は、TRAILに結合する能力である。
図1(配列番号1)のDNAに、中程度に厳密な(moderately stringent)、また
は非常に厳密な(highly stringent)条件下でハイブリダイズすることが可能
であり、そして生物学的に活性があるTRAIL-BPをコードする核酸分子が、本明細
書に提供される。こうしたハイブリダイズする核酸に
は、限定されるわけではないが、変異体DNA配列および非ヒトの種、例えば非ヒ
トの哺乳動物由来のDNAが含まれる。
中程度に厳密な条件には、例えばSambrookら,Molecular Cloning:A Laborato
ry manual,2nd ed.,Vol.1,pp 1.101-104,Cold Spring Harbor Laboratory
Press,1989に記載される条件が含まれる。中程度に厳密な条件は、Sambrookら
に定義されるように、5 X SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の前洗浄溶液お
よび約55℃、5 X SSC、一晩のハイブリダイゼーション条件の使用を含む。非常
に厳密な条件には、より高温度のハイブリダイゼーションおよび洗浄が含まれる
。本発明の1つの態様は、図1(配列番号1)のDNAに、非常に厳密な条件下でハイ
ブリダイズするであろうDNA配列に向けられ、ここで前記条件は68℃でのハイブ
リダイゼーションの後、0.1 X SSC/0.1% SDSで63−68℃での洗浄を含む。
本明細書に提供される特定のDNAおよびポリペプチドは、それぞれ天然TRAIL-B
P配列に少なくとも80%同一である、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列を含む。や
はり意図されるのは、TRAIL-BP DNAまたはポリペプチドが天然TRAIL-BP配列に少
なくとも90%同一、少なくとも95%同一、または少なくとも98%同一である配列を
含む態様である。パーセント同一性を、例えば、Devereuxら(Nucl.Acids Res
.12:387,1984)に記載され、そしてウィスコンシン大学遺伝学コンピューター
グループ(UWGCG)より入手可能なGAPコンピュータープログラム、バージョン6.
0を用い配列情報を比較することにより、決定してもよい。GAPプログラムの好ま
しいデフォルトパラメーターには:(1)ヌクレオチドに関する単一(unary)比
較マトリックス(同一に対し1および非同一に対し0の値を含む)、およびSchwar
tzおよびDayhoff,監修,Atlas of Protein Sequence and Structure,National
Biomedical Research Foundation,pp.353-358,1979に記載されるような、Gr
iskovおよびBurgess,Nucl.Acids Res.14:6745,1986の加重比較マトリックス
;(2)各ギャップに対する3.0のペナルティおよび各ギャップ中の各記号に対し
さらに0.10のペナルティ;および(3)末端ギャップに対するペナルティなし、
が含まれる。断片に関し、パーセント同一性
を、断片配列と天然TRAIL-BPの対応する部分を比較することにより、計算する。
本発明の特定の態様において、変異体TRAIL-BPポリペプチドは、天然TRAIL-BP
とアミノ酸配列が異なるが、生物学的活性において、天然TRAIL-BPと実質的に同
等である。1つの例は、天然TRAIL-BPが結合するのと実質的に同じ結合親和性でT
RAILに結合する、変異体TRAIL-BPである。結合親和性は、慣用法により、例えば
米国特許第5,512,457号に記載されるように、測定してもよい。
変異体アミノ酸配列は保存的置換を含んでもよく、つまり天然TRAIL-BPの1つ
またはそれ以上のアミノ酸残基が異なる残基により置き換えられているが、保存
的に置換されたTRAIL-BPポリペプチドは天然タンパク質の望ましい生物学的活性
(例えば、TRAILに結合する能力)を保持する。既定のアミノ酸を、同様の物理
化学的特性を有する残基により置換してもよい。保存的置換の例には、Ile、Val
、Leu、またはAlaといった1つの脂肪族残基を、互いに置換するもの、またはLys
およびArg;GluおよびAsp;またはGlnおよびAsn間といった、1つの極性残基から
別のものへの置換が含まれる。他の保存的置換、例えば、同様の疎水性特性を有
する領域全体の置換を含むものが、よく知られている。
変異体のさらなる例において、生物学的活性に必須でないシステイン残基が、
欠失され、または他のアミノ酸で置換されるように、配列が改変されている。こ
うしたCys残基の欠失または置換は、発現されたタンパク質の再生中、誤った分
子内ジスルフィド架橋が形成されるのを減少させる可能性がある。1つの態様に
おいて、TRAIL-BP変異体における上述のシステイン・リッチドメイン内のCys残
基は、改変されない。
他の変異体は、KEX2プロテアーゼ活性が存在する酵母系における発現を亢進さ
せるため、隣接する二塩基性アミノ酸残基を修飾することにより、調製される。
EP 212,914は、タンパク質のKEX2プロテアーゼプロセシング部位を不活性化する
ための部位特異的突然変異誘発の使用を開示する。KEX2プロテアーゼプロセシン
グ部位は、Arg-Arg、Arg-Lys、およびLys-Arg対を改変し、こ
れらの隣接する二塩基性残基の発生を除去するため、残基を欠失、付加、または
置換することにより、不活性化される。図1(配列番号2)のヒトTRAIL-BPは、ア
ミノ酸166−167に、こうした隣接する塩基性残基対を1つ含む。Lys-Lys対はKEX2
切断にかなり感受性が低く、そしてArg-LysまたはLys-ArgのLys-Lysへの変換は
、KEX2部位を不活性化する保存性のそして好ましいアプローチを代表する。
さらに他の変異体において、天然TRAIL-BPのN糖鎖付加部位が不活性化されて
いる。N糖鎖付加部位を修飾し、糖鎖付加を妨げ、哺乳動物および酵母発現系に
おいて、より均一な、炭水化物が減少した類似体(analog)の発現を可能にして
もよい。真核ポリペプチドのN糖鎖付加部位はアミノ酸トリプレットAsn-X-Yによ
り特徴付けられ、ここでXはPro以外のいかなるアミノ酸でもよく、そしてYはSer
またはThrである。図1(配列番号2)のヒトTRAIL-BPの成熟型は、図1(配列番号
2)のアミノ酸117−119、180−182、196−198、209−211、および224−226にこ
うしたトリプレットを5つ含む。これらのトリプレットをコードするヌクレオチ
ド配列に対する適切な置換、付加または欠失は、Asn側鎖への炭水化物残基の結
合の防止を生じるであろう。例えば、Asnが異なるアミノ酸により置換されるよ
うに選択される、単一のヌクレオチドの改変は、N糖鎖付加部位を不活性化する
のに十分である。タンパク質のN糖鎖付加部位を不活性化する既知の方法には、
本明細書に援用される、米国特許第5,071,972号およびEP 276,846に記載される
ものが含まれる。
図1(配列番号2)の残基70から299を含む成熟タンパク質に関し計算される分
子量は、約24.3キロダルトンである。当業者は、TRAIL-BPタンパク質の特定の調
製の分子量が、糖鎖付加の度合いなどの要因にしたがい、異なる可能性があるこ
とを認識するであろう。TRAIL-BPの特定の調製の糖鎖付加パターンは、例えば、
該タンパク質が発現される細胞の種類にしたがい異なる可能性があり、そして既
定の調製は、該タンパク質の異なって糖鎖付加された多数の種を含む可能性があ
る。結合する天然パターン糖鎖付加を含むまたは含まないTRAIL-BPポリペプチド
が本明細書に提供される。細菌発現系、例えば大腸菌(E.coli)におけるTRAIL
-BPポリペプチドの発現は、非糖鎖付加分子を提供する。さら
に、天然タンパク質のN糖鎖付加部位は、上に論じられるように不活性化されて
いてもよい。
変異体および断片を含むTRAIL-BPポリペプチドを、いかなる適切な検定におい
て生物学的活性に関し試験してもよい。TRAIL-BPポリペプチドがTRAILに結合す
る能力を慣用的結合検定において確認してもよく、これらの例は以下に記載され
る。
発現系
本発明はまた、TRAIL-BP DNAを含む組換えクローニングおよび発現ベクター、
さらに、該組換えベクターを含む宿主細胞も提供する。TRAIL-BP DNAを含む発現
ベクターを用い、該DNAにコードされるTRAIL-BPポリペプチドを調製してもよい
。TRAIL-BPポリペプチドを産生する方法は、TRAIL-BPをコードする組換え発現ベ
クターを含む宿主細胞を、TRAIL-BPの発現を可能にする条件下で培養し、そして
、培養から、発現されたTRAIL-BPポリペプチドを回収することを含む。当業者は
、発現されたTRAIL-BPを精製する方法は、使用される宿主細胞の種類、およびTR
AIL-BPが細胞膜結合または宿主細胞から分泌される可溶性型であるかどうかなど
の要因にしたがい、変化するであろうことを認識するであろう。
いかなる適切な発現系を使用してもよい。ベクターは、適切な転写または翻訳
制御ヌクレオチド配列、例えば、哺乳動物、微生物、ウイルスまたは昆虫遺伝子
由来のものなどに、機能可能であるように連結されている、TRAIL-BPポリペプチ
ドをコードするDNAを含む。制御配列の例には、転写プロモーター、オペレータ
ー、またはエンハンサー、mRNAリボソーム結合部位、および転写および翻訳開始
および終結を調節する適切な配列が含まれる。ヌクレオチド配列は、制御配列が
TRAIL-BP DNA配列に機能的に関連しているとき、機能可能であるように連結され
ている。したがって、プロモーターヌクレオチド配列は、該プロモーターヌクレ
オチド配列がTRAIL-BP DNA配列の転写を調節するならば、TRAIL-BP DNA配列に、
機能可能であるように連結されている。望ましい宿主細胞にお
いて複製する能力を与える複製起点、および形質転換体を同定する選択遺伝子が
、一般的に発現ベクターに取り込まれている。
さらに、適切なシグナルペプチド(天然または異種性)をコードする配列を、
発現ベクターに取り込んでもよい。シグナルペプチド(分泌リーダー)に対する
DNA配列を読み枠内でTRAIL-BP配列に融合させ、TRAIL-BPがまず、シグナルペプ
チドを含む融合タンパク質として翻訳されるようにしてもよい。意図される宿主
細胞で機能するシグナルペプチドは、TRAIL-BPポリペプチドの細胞外分泌を促進
する。シグナルペプチドは、TRAIL-BPの細胞からの分泌に際し、TRAIL-BPポリペ
プチドから切断される。
TRAIL-BPポリペプチドの発現に適した宿主細胞には、原核、酵母またはより高
次の真核細胞が含まれる。宿主細胞としての使用には、哺乳動物または昆虫細胞
が一般的に好ましい。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物細胞宿主に適したクロ
ーニングおよび発現ベクターは、例えば、Pouwelsら,Cloning Vectors:A Labor
atory Manual,ニューヨーク州エルセビア(1985)に記載されている。細胞不含
翻訳系もまた、本明細書に開示されるDNA構築物由来のRNAを用い、TRAIL-BPポリ
ペプチドを産生するのに使用してもよい。
原核生物には、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば大腸菌またはバチル
ス属(Bacilli)が含まれる。形質転換に適した原核宿主細胞には、例えば、大
腸菌、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimuriu
m)、並びにシュードモナス属(Pseudomonas)、ストレプトミセス属(Streptom
yces)、およびブドウ球菌属(Staphylococcus)内の多様な他の種が含まれる。
大腸菌などの原核宿主細胞において、組換えポリペプチドの該原核宿主細胞にお
ける発現を容易にするため、TRAIL-BPポリペプチドがN末端メチオニン残基を含
んでもよい。N末端Metは、発現された組換えTRAIL-BPポリペプチドから切断され
てもよい。
原核宿主細胞に用いるための発現ベクターは、一般的に、1つまたはそれ以上
の表現型選択可能マーカー遺伝子を含む。表現型選択可能マーカー遺伝子は、例
えば、抗生物質耐性を与える、または独立栄養必要条件を供給するタンパク質を
コードする遺伝子である。原核宿主細胞に有用な発現ベクターの例には、クロー
ニングベクターpBR322(ATCC 37017)など、商業的に入手可能なプラスミド由来
のものが含まれる。pBR322は、アンピシリンおよびテトラサイクリン耐性遺伝子
を含み、そしてしたがって、形質転換細胞を同定する簡単な手段を提供する。適
切なプロモーターおよびTRAIL-BP DNA配列をpBR322ベクター中に挿入する。他の
商業的に入手可能なベクターには、例えば、pKK223-3(Pharmacia Fine Chemica
ls、スウェーデン・ウプサラ)およびpGEM1(Promega Biotec、米国ウィスコン
シン州マディソン)が含まれる。
組換え原核宿主細胞発現ベクターに通常用いられるプロモーター配列には、β
ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースプロモーター系(Changら,Natur
e 275:615,1978;およびGoeddelら,Nature 281:544,1979)、トリプトファン
(trp)プロモーター系(Goeddelら,Nucl.Acids Res.8:4057,1980;およびEP
-A-36776)およびtacプロモーター(Maniatis,Molecular Cloning:A Laborator
y Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,p.412,1982)が含まれる。特に有
用な原核宿主細胞発現系は、ファージλPLプロモーターおよびcI857ts熱不安定
性リプレッサー配列を使用する。アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクショ
ンから入手可能な、λPLプロモーターの誘導体を組み込んだプラスミドベクター
には、プラスミドpHUB2(大腸菌株JMB9、ATCC 37092に常住)およびpPLc28(大
腸菌RR1、ATCC 53082に常住)が含まれる。
また別に、TRAIL-BPは、好ましくはサッカロミセス(Saccharomyces)属(例
えば、S.セレビシエ(S.cerevisiae))由来の、酵母宿主細胞において発現さ
れてもよい。酵母の他の属、例えばピキア属(Pichia)またはクロイベロミセス
属(Kluyveromyces)もまた使用してもよい。酵母ベクターは、しばしば、2μ酵
母プラスミド由来の複製起点配列、自律複製配列(ARS)、プロモーター領域、
ポリアデニル化のための配列、転写終結のための配列、および選択可能マーカー
遺伝子を含むであろう。酵母ベクターに適したプロモーター配列には、とりわけ
、メタロチオネイン、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzemanら,J.Biol.
Chem.255:2073,1980)あるいは、エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン
酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナー
ゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6
−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ
、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグル
コキナーゼなどの他の解糖酵素(Hessら、J.Adv.Enzyme Reg.7:149,1968;
およびHollandら,Biochem.17:4900,1978)のプロモーターが含まれる。酵母
発現に用いるのに適した他のベクターおよびプロモーターはHitzeman,EPA-73,6
57にさらに記載されている。他の代替物は、Russellら(J.Biol.Chem.258:26
74,1982)およびBeierら(Nature 300:24,1982)に記載されるグルコース抑制
可能ADH2プロモーターである。酵母および大腸菌両方において複製可能なシャト
ルベクターは、大腸菌での選択および複製のため、pBR322由来のDNA配列(Ampr
遺伝子および複製起点)を上述の酵母ベクターに挿入することにより構築しても
よい。
酵母α因子リーダー配列を使用し、TRAILポリペプチドを直接分泌させてもよ
い。α因子リーダー配列は、しばしば、プロモーター配列および構造遺伝子配列
の間に挿入される。例えば、Kurjanら,Cell 30:933,1982およびBitterら,Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 81:5330,1984を参照されたい。酵母宿主からの組換
えポリペプチドの分泌を容易にするのに適した他のリーダー配列が当業者に知ら
れる。リーダー配列を、その3'端近傍に、1つまたはそれ以上の制限部位を含む
よう修飾してもよい。これは、リーダー配列が構造遺伝子に融合するのを容易に
するであろう。
酵母形質転換プロトコルが当業者に知られる。こうしたプロトコルの1つがHin
nenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:1929,1978に記載される。Hinnenらの
プロトコルは、Trp+形質転換体を選択培地中で選択し、ここで該選択培地は0.67
%酵母窒素基剤、0.5%カザミノ酸、2%グルコース、10μg/mlアデニン、および
20μg/mlウラシルからなる。
ADH2プロモーター配列を含むベクターにより形質転換された酵母宿主細胞は、
発現を誘導するため「リッチ」培地中で増殖させてもよい。リッチ培地の例は、
80μg/mlアデニンおよび80μg/mlウラシルを補った、1%酵母エキス、
2%ペプトン、および1%グルコースからなるものである。ADH2プロモーターの抑
制解除(derepression)は、培地からグルコースが枯渇したとき起こる。
哺乳動物または昆虫宿主細胞培養系もまた、組換えTRAIL-BPポリペプチドを発
現するのに使用してもよい。昆虫細胞において異種タンパク質を産生するための
バキュロウイルス系がLuckowおよびSummers,Bio/Technology 6:47(1988)に概
説されている。哺乳動物起源の樹立細胞株もまた、使用してもよい。適切な哺乳
動物宿主細胞株の例には、サル腎臓細胞のCOS-7株(ATCC CRL 1651)(Gluzman
ら,Cell 23:175,1981)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャ
イニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞、お
よびMcMahanら(EMBO J.10:2821,1991)に記載されるようなアフリカミドリザ
ル(African green monkey)腎臓細胞株CVI(ATCC CCL 70)由来であったCV-I/E
BNA細胞株(ATCC CRL 10478)が含まれる。
哺乳動物宿主細胞発現ベクターのための転写および翻訳調節配列は、ウイルス
ゲノムより切り出されてもよい。通常用いられるプロモーター配列およびエンハ
ンサー配列は、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、シミアンウイルス40(S
V40)、およびヒト サイトメガロウイルス由来である。SV40ウイルスゲノム由
来のDNA配列、例えばSV40起点、初期および後期プロモーター、エンハンサー、
スプライシング、およびポリアデニル化部位を用い、哺乳動物宿主細胞における
構造遺伝子配列の発現のための他の遺伝要素を提供してもよい。ウイルス初期お
よび後期プロモーターは、どちらもウイルス複製起点をも含んでもよい断片とし
て容易にウイルスゲノムから得られるため、特に有用である(Fiersら,Nature
273:113,1978)。SV40ウイルス複製起点部位に位置するHind III部位からBgl I
部位まで伸長するおよそ250bpの配列が含まれていれば、より小さいまたはより
大きいSV40断片もまた用いてもよい。
哺乳動物宿主細胞において用いるのに適した発現ベクターを、例えば、Okayam
aおよびBerg(Mol.Cell.Biol.3:280,1983)に開示されるように構築しても
よい。C127ネズミ乳腺上皮細胞における哺乳動物cDNAの安定した高レベル発現に
有用な系を、実質的にCosmanら(Mol.Immunol.
23:935,1986)に記載されるように構築してもよい。Cosmanら,Nature 312:768
,1984に記載される高発現ベクター、PMLSV N1/N4はATCC 39890として寄託され
ている。さらなる哺乳動物発現ベクターは、EP-A-0367566、およびWO 91/18982
に記載されている。1つの代替物として、ベクターは、レトロウイルス由来であ
ってもよい。
TRAIL-BPを産生するのに使用してもよいシグナルペプチドに関し、望ましいな
らば、TRAIL-BPの天然シグナルペプチドを異種シグナルペプチドまたはリーダー
配列に置き換えてもよい。シグナルペプチドまたはリーダーの選択は、組換えTR
AIL-BPが産生されるべき宿主細胞の種類などの要因に依存する可能性がある。例
えば、哺乳動物宿主細胞で機能する異種シグナルペプチドの例には、米国特許第
4,965,195号に記載されるインターロイキン-7(IL-7)のシグナル配列;Cosman
ら,Nature 312:768(1984)に記載されるインターロイキン-2受容体のシグナル
配列;EP 367,566に記載されるインターロイキン-4受容体シグナルペプチド;米
国特許第4,968,607号に記載されるI型インターロイキン-1受容体シグナルペプチ
ド;およびEP 460,846に記載されるII型インターロイキン-1受容体シグナルペプ
チドが含まれる。精製タンパク質
本発明のTRAIL-BPポリペプチドは、上述のように組換え発現系により産生して
もよいし、または天然発生細胞から精製してもよい。TRAIL-BPは、慣用的タンパ
ク質精製技術を使用してもよい、多くの適切な方法のいずれにより精製してもよ
い。当業者に知られるように、既定のタンパク質を精製する方法は、除去される
べき汚染物質の種類などの要因にしたがい選択され、これはTRAIL-BPが産生され
る特定の細胞にしたがい変化する可能性がある。組換えタンパク質に関する他の
考慮には、使用される特定の発現系および望ましいタンパク質が培地中に分泌さ
れるかどうかが含まれる。
1つの方法において、タンパク質を発現する細胞を、凍結融解サイクル、超音
波、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用によるものを含む、多くの既知の技術
いずれかにより破壊する。あるいは、可溶性TRAIL-BPを発現させ、そして細胞
から分泌させてもよい。続く精製過程は、例えばTRAILを含むクロマトグラフィ
ー・マトリックスを使用する、アフィニティ・クロマトグラフィーを含んでもよ
い。クロマトグラフィー・マトリックスは、代わりに、TRAIL-BPに結合する抗体
を含んでもよい。TRAIL-BPポリペプチドは慣用技術(例えば、高塩緩衝液におけ
る溶出)を用い、アフィニティ・クロマトグラフィーカラムから回収し、そして
、使用のため低塩緩衝液中に透析してもよい。
1つのアプローチにおいて、組換えタンパク質を分泌する発現系を使用する場
合、培地をまず、商業的に入手可能なタンパク質濃縮フィルター、例えば、Amic
onまたはMillipore Pellicon限外濾過装置を用い、濃縮してもよい。濃縮段階に
続き、濃縮物をゲル濾過マトリックスなどの精製マトリックスに適用してもよい
。あるいは、陰イオン交換樹脂、例えばジエチルアミノエチル(DEAE)側鎖を有
するマトリックスまたは支持体を使用してもよい。マトリックスは、アクリルア
ミド、アガロース、デキストラン、セルロースまたはタンパク質精製に通常使用
される他の種類の支持物質であってもよい。あるいは、陽イオン交換段階を用い
てもよい。適切な陽イオン交換体には、スルホプロピルまたはカルボキシメチル
基を含む多様な不溶性マトリックスが含まれる。スルホプロピル基が好ましい。
さらに、疎水性逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)媒体(例えば、
側鎖メチルまたは他の脂肪族基を有するシリカゲル)を使用する1つまたはそれ
以上の逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)段階を使用してもよい。
前記の精製段階のいくつかまたはすべてを、多様な組み合わせで使用してもよい
。
細菌培養において産生される組換えタンパク質を、最初に宿主細胞を破壊し、
遠心分離し、不溶性ポリペプチドであれば細胞沈澱から、または可溶性ポリペプ
チドであれば上清流体から抽出し、その後1つまたはそれ以上の濃縮、塩析、イ
オン交換、アフィニティー精製またはサイズ排除クロマトグラフィー段階を行う
ことにより単離してもよい。最後に、最終精製段階に、RP-HPLCを使用してもよ
い。微生物細胞を、凍結融解サイクル、超音波、機械的破壊、または細胞溶解剤
の使用を含む、いかなる簡便な方法によって破壊してもよい。
酵母宿主細胞において、TRAIL-BPは、好ましくは、精製を単純にするため、分
泌ポリペプチドとして発現される。酵母宿主細胞発酵から分泌される組換えポリ
ペプチドは、Urdalら(J.Chromatog.296:171,1984)に開示されるものと類似
の方法により精製してもよい。Urdalらは、分離用HPLCカラム上での組換えヒトI
L-2精製のための、2つの連続する逆相HPLC段階を記載する。
望ましい純度は、タンパク質の意図される使用に依存する。例えば、タンパク
質がin vivoで投与されるとき、比較的高い純度が望ましい。好都合には、TRAIL
-BPポリペプチドは、SDS・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)による
解析に際し、他の(非TRAIL-BP)タンパク質に対応するタンパク質バンドが検出
不能であるように精製される。当業者は、異なる糖鎖付加、異なる翻訳後プロセ
シング、およびそれらに匹敵するもののため、TRAIL-BPタンパク質に対応する多
数のバンドがSDS-PAGEにより視覚化される可能性があることを認識するであろう
。最も好ましくは、TRAIL-BPは、SDS-PAGEによる解析の際、単一のタンパク質バ
ンドにより示されるように、実質的に均一に精製される。タンパク質バンドは銀
染色、クーマシーブルー染色により、または(タンパク質が放射標識されている
場合は)オートラジオグラフィーにより、視覚化してもよい。TRAIL-BP のオリゴマー型
本発明に含まれるのはTRAIL-BPポリペプチドを含むオリゴマーである。TRAIL-
BPオリゴマーは、共有結合若しくは非共有結合している二量体、三量体またはよ
り高次のオリゴマー型であってもよい。
本発明の1つの態様は、TRAIL-BPポリペプチドに融合するペプチド部分間の共
有または非共有相互作用を介し結合している、多数のTRAIL-BPポリペプチドを含
むオリゴマーに向けられる。こうしたペプチドはペプチドリンカー(スペーサー
)、またはオリゴマー化を促進する特性を有するペプチドであってもよい。以下
により詳細に記載されるように、結合するTRAIL-BPポリペプチドのオリゴマー化
を促進することが可能なペプチドの中には、ロイシンジッパーおよび抗体由来の
特定のポリペプチドがある。
特定の態様において、オリゴマーは、2つから4つのTRAIL-BPポリペプチドを含
む。オリゴマーのTRAIL-BP部分は、上述のように、可溶性ポリペプチドであって
もよい。
1つの代替物として、TRAIL-BPオリゴマーは免疫グロブリン由来のポリペプチ
ドを用い調製される。抗体由来ポリペプチドの多様な部分(Fcドメインを含む)
に融合している特定の異種ポリペプチドを含む融合タンパク質の調製は、例えば
Ashkenaziら(PNAS USA 88:10535,1991);Byrnら(Nature 344:677,1990);
およびHollenbaughおよびAruffo("Construction of Immunoglobulin Fusion Pr
oteins",Current Protocols in Immunology中,Suppl.4,p.10.19.1-10.19.11
,1992)に記載されている。
本発明の1つの態様は、TRAIL-BPを抗体のFc領域に融合させることにより生成
される融合タンパク質を2つ含むTRAIL-BP二量体に向けられる。該TRAIL-BP部分
は、好ましくは可溶性ポリペプチドである。TRAIL-BP/Fc融合タンパク質をコー
ドする遺伝子融合体を適切な発現ベクターに挿入する。TRAIL-BP/Fc融合タンパ
ク質を、該組換え発現ベクターで形質転換した宿主細胞で発現させ、そして抗体
分子によく似た形で集合するのを可能にし、その結果、鎖間ジスルフィド結合が
Fc部分間に形成され、二価TRAIL-BPを生じる。
本明細書に提供されるのは、抗体由来のFcポリペプチドに融合しているTRAIL-
BPポリペプチドを含む融合タンパク質である。こうした融合タンパク質をコード
するDNAもまた、Fc部分間のジスルフィド結合を介し結合している2つの融合タン
パク質を含む二量体と共に、提供される。「Fcポリペプチド」という用語は、本
明細書に用いられる際、抗体のFc領域由来のポリペプチドの天然および突然変異
タンパク質(mutein)型を含む。二量体化を促進するヒンジ領域を含むこうした
ポリペプチドの一部切除型もまた含まれる。
PCT出願第WO 93/10151号(本明細書に援用される)に記載される、1つの適切
なFCポリペプチドは、ヒトIgG1抗体のFc領域のN末端ヒンジ領域から天然C末端ま
で伸長する一本鎖ポリペプチドである。別の有用なFcポリペプチドは、米国特許
第5,457,035号およびBaumら(EMBO J.13:3992-4001,
1994)に記載されるFc突然変異タンパク質である。本突然変異タンパク質のアミ
ノ酸配列は、アミノ酸19がLeuからAlaに改変されており、アミノ酸20がLeuからG
luに改変されており、そしてアミノ酸22がGlyからAlaに改変されている以外は、
WO 93/10151に示される天然Fc配列のものと同一である。該突然変異タンパク質
は、Fc受容体に対し、減少した親和性を示す。
他の態様において、TRAIL-BPは抗体の重鎖または軽鎖の可変部分に対し置き換
えられている。融合タンパク質が抗体の重鎖および軽鎖両方で作成されている場
合、最大4つのTRAIL-BP細胞外領域を持つTRAIL-BPオリゴマーを形成することが
可能である。
あるいは、オリゴマーは、ペプチドリンカー(スペーサーペプチド)を含み、
または含まず、多数のTRAIL-BPポリペプチドを含む融合タンパク質である。適切
なペプチドリンカーの中には、本明細書に援用される米国特許第4,751,180号お
よび第4,935,233号に記載されるものがある。望ましいペプチドリンカーをコー
ドするDNA配列を、いかなる適切な慣用技術を用い、TRAIL-BPをコードするDNA配
列の間に、そして同じ読み枠で挿入してもよい。1つのアプローチにおいて、リ
ンカーをコードする、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドを、TRAIL-BPをコ
ードする配列の間に連結する。特定の態様において、融合タンパク質は、ペプチ
ドリンカーにより分離される、2つないし4つの可溶性TRAIL-BPポリペプチドを含
む。
オリゴマーTRAIL-BPを調製する別の方法は、ロイシンジッパーの使用を伴う。
ロイシンジッパードメインは、それらが見出されるタンパク質のオリゴマー化を
促進するペプチドである。ロイシンジッパーは、元々、いくつかのDNA結合タン
パク質で同定され(Landschulzら,Science 240:1759,1988)、そして以来、多
様な異なるタンパク質で見出されてきている。既知のロイシンジッパーの中に、
二量体化または三量体化する天然発生ペプチドおよびその誘導体がある。可溶性
オリゴマータンパク質を産生するのに適したロイシンジッパードメインの例は、
PCT出願第WO 94/10308号(本明細書に援用される)に記載されており、そして肺
界面活性物質プロテインD(SPD)由来のロイシンジッパードメインが、本明細書
に援用されるHoppeら(FEBS Letters 344:191,
1994)に記載される。修飾ロイシンジッパーに融合している異種タンパク質の安
定した三量体化を可能にする、該修飾ロイシンジッパーの使用が、Fanslowら(S
emin.Immunol.6:267-278,1994)に記載されている。ロイシンジッパーペプチ
ドに融合している可溶性TRAIL-BPポリペプチドを含む組換え融合タンパク質を適
切な宿主細胞で発現し、そして形成される可溶性オリゴマーTRAIL-BPを培養上清
から回収する。
オリゴマーTRAIL-BPは、TRAILへの二価、三価などの結合部位特性を有する。F
c部分を含む上述の融合タンパク質(およびそれらから形成されるオリゴマー)
は、プロテインAまたはプロテインGカラム上のアフィニティ・クロマトグラフィ
ーによる容易な精製という利点を提供する。オリゴマーTRAIL-BPをコードする、
またはTRAIL-BPオリゴマーを調製するのに有用な融合タンパク質をコードするDN
A配列が、本明細書に提供される。検定
TRAIL-BPタンパク質(TRAIL-BPの断片、変異体、オリゴマー、および他の型を
含む)を、いかなる適切な検定、例えば慣用的な結合検定において、TRAILに結
合する能力に関し、試験してもよい。例えば、可溶性TRAIL-BPを検出可能な試薬
(例えば、放射性核種、発色団、比色または蛍光反応を触媒する酵素、およびそ
れらに匹敵するもの)で標識してもよい。標識TRAIL-BPを、TRAILを発現する細
胞と接触させる。その後、該細胞を洗浄し、未結合標識TRAIL-BPを除去し、そし
て細胞結合標識の存在を、標識の性質にしたがい選択される、適切な技術により
決定する。
結合検定法の1つの例は以下の通りである。TRAIL cDNAを含む組換え発現ベク
ターを、例えば本明細書に援用されるPCT出願第WO 97/01633号に記載されるよう
に構築する。ヒトおよびマウスTRAILに関するDNAおよびアミノ酸配列情報はWO 9
7/01633に示されている。TRAILはN末端細胞質ドメイン、膜貫通領域、およびC末
端細胞外ドメインを含む。10cm2プレート中のCV1-EBNA-1細胞を組換え発現ベク
ターでトランスフェクションする。CV-1/EBNA-1細胞(ATCC CRL 10478)はCMV極
初期エンハンサー/プロモーターから誘導され
るEBV核抗原1を恒常的に発現する。CV-I-EBNA-1は、McMahanら(EMBO J.10:282
1,1991)に記載されるように、アフリカミドリザル腎臓細胞株CVI(ATCC CCL 7
0)由来であった。
トランスフェクション細胞を24時間培養し、そして各プレート中の細胞をその
後、24ウェルプレートに分ける。さらに48時間培養した後、トランスフェクショ
ン細胞(約4x104細胞/ウェル)をBM-NFDMで洗浄する。BM-NFDMは50mg/ml脱脂粉
乳が添加されている結合培地(25mg/mlウシ血清アルブミン、2mg/mlアジ化ナト
リウム、20mM Hepes pH7.2を含むRPMI 1640)である。該細胞をその後、多様な
濃度の可溶性TRAIL-BP/Fc融合タンパク質と、37℃で1時間インキュベーションす
る。細胞をその後、洗浄し、そして結合培地中で、125Iマウス抗ヒトIgGの一定
の飽和濃度で、穏やかに攪拌しながら37℃で1時間インキュベーションする。徹
底した洗浄の後、トリプシン処理を介し細胞を解離させる。
上記に使用されたマウス抗ヒトIgGは、ヒトIgGのFc領域に対して向けられ、そ
してJackson Immunoresearch Laboratories,Inc.、ペンシルバニア州ウェスト
グローブから得ることが可能である。抗体は標準的クロラミン−T法を用い、放
射ヨウ素標識される。該抗体は、細胞に結合しているいかなるTRAIL-BP/FCタン
パク質のFc部分にも結合するであろう。すべての検定において、125I抗体の非特
異的結合をTRAIL-BP/Fcの非存在下で検定すると共に、TRAIL-BP/Fcおよび200倍
のモル過剰の非標識マウス抗ヒトIgG抗体の存在下でも検定した。
細胞結合125I抗体は、Packard Autogammaカウンターで定量化した。親和性計
算(Scatchard,Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660,1949)はMicrovaxコンピュー
ター上で実行されるRS/1(BBN Software、マサチューセッツ州ボストン)上で生
み出される。
別の種類の適切な結合検定は、競合結合検定である。例えば、TRAIL-BP変異体
の生物学的活性は、該変異体がTRAILへの結合に関し天然TRAIL-BPと競合する能
力を検定することにより、決定してもよい。
競合結合検定は、慣用的方法論により行ってもよい。競合結合検定に使用して
もよい試薬には、放射標識TRAIL-BP並びにTRAIL(内因性または組換え)を細胞
表面に発現する損なわれていない細胞が含まれる。例えば、放射標識可溶性TRAI
L-BP断片を用い、細胞表面TRAILへの結合に関し、可溶性TRAIL-BP変異体と競合
させてもよい。損なわれていない細胞の代わりに、(固相上の)プロテインAま
たはプロテインGのFc部分との相互作用を通じ、固相に結合している可溶性TRAIL
/Fc融合タンパク質で置換してもよい。プロテインAおよびプロテインGを含むク
ロマトグラフィーカラムには、Pharmacia Biotech,Inc.、ニュージャージー州
ピスカタウェイより入手可能なものが含まれる。1つの代替物において、LZ-TRAI
L(可溶性TRAILポリペプチドに融合しているロイシンジッパーペプチドを含む融
合タンパク質;実施例1を参照されたい)をTRAIL/Fcの代わりに使用する。該ロ
イシンジッパーペプチドに特異的なモノクローナル抗体を介し、LZ-TRAILをプロ
テインAまたはプロテインGカラムに結合させてもよい。
別の種類の競合結合検定は、放射標識可溶性TRAIL、例えば可溶性TRAIL/Fc融
合タンパク質、およびTRAIL-BPを発現する損なわれていない細胞を利用する。可
溶性ロイシンジッパー/TRAIL融合タンパク質を、TRAIL/Fcの代わりに使用して
もよい。定性的結果は、競合オートラジオグラフプレート結合検定により得ても
よく、一方、定量的結果を得るのにScatchardプロット(Scatchard,Ann.N.Y
.Acad.Sci.51:660,1949)を利用してもよい。
別の種類の生物学的活性に関する検定は、TRAIL-BPポリペプチド(好ましくは
可溶性TRAIL-BP)が標的細胞、例えばJurkat細胞として知られるヒト白血病T細
胞株などの、TRAIL媒介アポトーシスを遮断する能力に関し試験することを含む
。JurkatクローンE6-1(ATCC TIB 152)と称される細胞株のTRAIL媒介アポトー
シスは、本明細書に援用されるPCT出願第WO 97/01633号に記載される検定法に示
されている。TRAIL-BP の使用
TRAIL-BPの使用には、限定されるわけではないが、以下のものが含まれる。こ
れらのTRAIL-BPの特定の使用は、そのTRAILに結合する能力から生じる。
TRAIL-BPはタンパク質精製試薬としての使用を見出す。TRAIL-BPポリペプチド
を適切な支持物質(一般的に不溶性マトリックス)に結合させ、そしてアフィニ
ティ・クロマトグラフィーによりTRAILタンパク質を精製するのに用いてもよい
。特定の態様において、TRAIL-BPポリペプチド(TRAILに結合することが可能な
本明細書に記載されるいずれの型であってもよい)を、慣用法により固体支持体
に結合させる。1つの例として、タンパク質のアミノ酸側鎖上の官能基と反応す
るであろう官能基を含むクロマトグラフィーカラムが入手可能である(Pharmaci
a Biotech,Inc.、ニュージャージー州ピスカタウェイ)。代替物において、TRA
IL-BP/Fcタンパク質を、Fc部分との相互作用を通じ、プロテインAまたはプロテ
インG含有クロマトグラフィーカラムに結合させる。
TRAIL-BPタンパク質はまた、TRAIL-BPへのその結合親和性に関しTRAILタンパ
ク質の生物学的活性を測定するのにも使用を見出す。したがって、例えば異なる
条件下でのTRAILタンパク質の貯蔵寿命および安定性をモニターするための、「
品質保証」研究を行うものにより、TRAIL-BPタンパク質を使用してもよい。例え
ば、TRAIL-BPを結合親和性研究に使用し、異なる温度で保存されている、または
異なる細胞種で産生されたTRAILタンパク質の生物学的活性を測定してもよい。T
RAIL-BPをまた、TRAILタンパク質の修飾(例えば、化学修飾、一部切除、突然変
異など)後、生物学的活性が保持されているかどうか決定するのに用いてもよい
。TRAIL-BPに対する修飾TRAILタンパク質の結合親和性を、修飾されていないTRA
ILタンパク質のものと比較し、TRAILの生物学的活性に対する修飾のいかなる不
都合な影響も検出する。したがって、例えばTRAILタンパク質調製の生物学的活
性を、調査研究において用いる前に確認することが可能である。
TRAIL-BPはまた、細胞表面上にTRAILを発現する細胞を精製し、または同定す
るのに使用を見出す。TRAIL-BPポリペプチドを、カラムクロマトグラフィー・マ
トリックスまたは同様の適切な支持体などの固相に結合させる。例えば、磁気微
小球体をTRAIL-BPでコーティングし、そして磁気場を通じインキュベー
ション容器に保持してもよい。TRAIL発現細胞を含む細胞混合物の懸濁物を、TRA
IL-BPをその上に有する固相と接触させる。細胞表面上にTRAILを発現する細胞が
固定TRAIL-BPに結合し、そしてその後非結合細胞を洗い流す。
また別に、TRAIL-BPを検出可能な部分に結合させ、その後TRAIL発現に関し試
験されるべき細胞とインキュベーションしてもよい。インキュベーション後、非
結合標識TRAIL-BPを除去し、そして細胞上の検出可能部分の存在または非存在を
決定する。
さらに別の代替物において、TRAIL+細胞を含むと疑われる細胞混合物をビオチ
ン化TRAIL-BPとインキュベーションする。インキュベーション時間は、十分な結
合を確実にするため、典型的には少なくとも連続1時間である。生じた混合物を
その後、アビジン・コーティングビーズを詰めたカラムを通過させ、これにより
ビオチンのアビジンに対する高い親和性が、望ましい細胞のビーズへの結合を促
進する。アビジン・コーティングビーズを用いる方法が知られる(Berensonら,
J.Cell.Biochem.,10D:239,1986を参照されたい)。非結合成分を除去するた
めの洗浄、および結合細胞の放出は、慣用法を用い行う。
TRAIL-BPポリペプチドはまた、該ポリペプチドに結合している剤をTRAILを持
つ細胞に搬送するためのキャリアーとしても使用を見出す。TRAIL発現細胞には
、Wileyら(Immunity 3:673-682,1995)に同定されるものが含まれる。したが
って、in vitroまたはin vivo方法において、TRAIL-BPタンパク質を用い、こう
した細胞(またはTRAILを細胞表面上に発現することが見出される他の細胞種)
に、診断または治療剤を搬送してもよい。
TRAIL-BPポリペプチドに結合させてもよい検出可能(診断)および治療剤には
、限定されるわけではないが、毒素、他の細胞毒性剤、薬剤、放射性核種、発色
団、比色若しくは蛍光反応を触媒する酵素、およびそれらに匹敵するものが、意
図される適用にしたがって選択される特定の剤と共に含まれる。毒素の中には、
リシン、アブリン、ジフテリア毒素、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素
A、リボソーム不活性化タンパク質、トリコセシンなどのマイコトキシン、並び
にそれらの誘導体および断片(例えば一本鎖)がある。診
断使用に適した放射性核種には、限定されるわけではないが、123I、131I、99mT
c、111In、および76Brがある。治療使用に適した放射性核種の例には、131I、21 1
At、77Br、186Re、188Re、212Pb、212Bi、109Pd、64Cu、および67Cuがある。
こうした剤は、いかなる適切な慣用法により、TRAIL-BPに結合させてもよい。
TRAIL-BPはタンパク質であり、例えば、望ましい剤の官能基と反応し、共有結合
を形成することが可能なアミノ酸側鎖上の官能基を含む。あるいは、タンパク質
または剤を誘導体化し、望ましい反応性官能基を生成し、または結合させてもよ
い。誘導体化は、タンパク質に多様な分子を結合させるのに入手可能な二官能性
カップリング試薬の1つ(Pierce Chemical Company、イリノイ州ロックフォード
)の結合を伴ってもよい。タンパク質を放射標識する多くの技術が知られている
。放射性核種金属を、例えば適切な二官能性キレート剤を用いることにより、TR
AIL-BPに結合させてもよい。
TRAIL-BPおよび適切な診断または治療剤を含む(好ましくは共有結合している
)結合体をこのように調製する。該結合体を投与するか、またはそうでなければ
特定の適用に適切な量で使用する。
本発明のTRAIL-BP DNAおよびポリペプチドを、不全なTRAIL-BP、またはTRAIL-
BPの不充分な量により(直接または間接的に)媒介されるいかなる疾患の治療を
開発するのに用いてもよい。TRAIL-BPポリペプチドをこうした障害に罹患した哺
乳動物に投与してもよい。あるいは、遺伝子治療アプローチを取ってもよい。天
然TRAIL-BPヌクレオチド配列の本明細書における開示により、不全なTRAIL-BP遺
伝子の検出、および正常TRAIL-BPをコードする遺伝子でのその置換が可能になる
。不全遺伝子を、in vitro診断検定において、そして本明細書に開示される天然
TRAIL-BPヌクレオチド配列と本遺伝子に不全を持つと疑われるヒト由来のTRAIL-
BP遺伝子のものとの比較により、検出してもよい。
本発明のタンパク質の別の使用は、異なる細胞種上でTRAIL/TRAIL-BP相互作
用を阻害することにより生じる生物学的影響を研究する研究ツールとしてのもの
である。TRAIL-BPポリペプチドはまた、TRAILまたはTRAIL-BP、またはそれらの
相互作用を検出するin vitro検定に使用してもよい。
精製TRAIL-BPポリペプチドを用い、TRAILの内因性細胞表面TRAIL受容体への結
合を阻害してもよい。(TRAILがメンバーである)TNFファミリーの特定のリガン
ドが、1つ以上の異なる細胞表面受容体タンパク質に結合することが報告されて
いる。TRAILは同様に、多数の細胞表面タンパク質に結合する可能性がある。報
告によればTRAILに結合するが本発明のTRAIL-BPとは異なる、DR4と称される受容
体タンパク質がPanら(Science 276:111-113,1997;本明細書に援用される)に
記載されている。本発明の可溶性TRAIL-BPポリペプチドを使用し、TRAILに結合
することにより、細胞表面TRAIL-BPだけでなく、TRAIL-BPと異なるTRAIL受容体
タンパク質へのTRAILの結合を阻害してもよい。
TRAIL-BPを用い、in vitroまたはin vivo法において、TRAILの生物学的活性を
阻害してもよい。細胞表面受容体へのTRAILの結合を阻害することにより、TRAIL
-BPはまた、内因性受容体へのTRAILの結合から生じる生物学的影響も阻害する。
多様な型のTRAIL-BPを使用してもよく、例えば、上述の、TRAILに結合すること
が可能なTRAIL-BP断片、オリゴマー、誘導体、および変異体が含まれる。好まし
い態様において、TRAILの生物学的活性を阻害するのに、例えば、TRAIL媒介アポ
トーシスに感受性である細胞のこうしたアポトーシスを阻害するのに、可溶性TR
AIL-BPを使用する。
TRAIL-BPを哺乳動物に投与し、TRAIL媒介障害を治療してもよい。こうしたTRA
IL媒介障害には、TRAILにより(直接または間接的に)引き起こされるまたは悪
化させられる異常が含まれる。
TRAIL-BPは、血栓微小血管症の治療に有用である。1つのこうした障害は、血
栓性血小板減少性紫斑病(TTP)(Kwaan,H.C.,Semin.Hematol.,24:71,1987
;Thompsonら,Blood,80:1890,1992)である。TTP関連死亡率の増加が、米国
疾病対策センター(U.S.Centers for Disease Control)により報告されている
(Torokら,Am.J.Hematol.50:84,1995)。
TTPに罹患した患者(HIV+およびHIV-患者を含む)由来の血漿は、皮膚微小血
管起源のヒト内皮細胞のアポトーシスを誘導するが、大血管起源のものでは誘
導しない(Laurenceら,Blood,87:3245,April 15,1996)。TTP患者の血漿は
したがって、直接または間接的にアポトーシスを誘導する1つまたはそれ以上の
因子を含むと考えられている。PCT出願第WO 97/01633号(本明細書に援用される
)に記載されるように、TRAILはTTP患者の血清に存在し、そして微小血管内皮細
胞のアポトーシスを誘導するのに役割を果たしている可能性がある。
別の血栓微小血管症は、溶血***症候群(HUS)である(Moake,J.L.,Lanc
et,343:393,1994;Melnykら,Arch.Intern.Med.,155:2077,1995;Thompso
nら、上記)。本発明の1つの態様は、「成人HUS」(子供も襲われる可能性があ
るが)としばしば称される異常を治療するためのTRAIL-BPの使用に向けられる。
小児期/下痢関連HUSとして知られる障害は、成人HUSの病因とは異なる。
小血管の凝固により特徴付けられるその他の異常を、TRAIL-BPを用い治療して
もよい。こうした異常には、限定されるわけではないが、以下が含まれる。小児
AIDS患者の約5−10%に見られる心臓の問題は、小血管の凝固を伴うと考えられて
いる。多発性硬化症の患者で心臓の微小血管系の損傷が報告されている。さらな
る例として、全身性エリテマトーデス(SLE)の治療が意図される。
1つの態様において、患者血液または血漿をTAIL-BPとex vivoで接触させる。T
RAIL-BPは慣用法により、適切なクロマトグラフィー・マトリックスに結合して
いてもよい。患者血液または血漿は、マトリックスに結合しているTRAIL-BPを含
むクロマトグラフィーカラムを通じて流れた後、患者に戻される。固定TRAIL-BP
はTRAILに結合し、したがって患者血液からTRAILタンパク質が除去される。
あるいは、TRAIL-BPを血栓微小血管症に罹患した患者にin vivoで投与しても
よい。1つの態様において、TRAIL-BPの可溶性型を患者に投与する。
このように、本発明は有効量のTRAIL-BPの使用を含む、血栓微小血管症を治療
する方法を提供する。TRAIL-BPポリペプチドをin vivoまたはex vivo法において
使用し、微小血管内皮細胞へのTRAIL媒介損傷(例えば該細胞のアポトーシス)
を阻害してもよい。
TRAIL-BPを、特定の障害を治療するのに有用な他の剤と組み合わせて使用して
もよい。Laurenceら(Blood 87:3245,1996)に報告されたin vitro研究におい
て、抗Fas遮断抗体、オーリントリカルボン酸、または寒冷沈降物が枯渇した正
常血漿を用いることにより、微小血管内皮細胞のTTP血漿媒介アポトーシスのい
くらかの減少が達成された。
したがって、内皮細胞のFasリガンド媒介アポトーシスを阻害する剤を、内皮
細胞のTRAIL媒介アポトーシスを阻害する剤と組み合わせて、患者を治療しても
よい。1つの態様において、TTPまたはHUSなどの、血栓微小血管症により特徴付
けられる障害に罹患した患者に、TRAIL-BPおよび抗FAS遮断抗体を両方投与する
。Fas抗原(CD95)に対して向けられる遮断モノクローナル抗体の例は、本明細
書に援用される、PCT出願第WO 95/10540号に記載される。
本発明の別の態様は、HIV感染患者におけるTRAIL媒介T細胞死を減少させるた
めのTRAIL-BPの使用に向けられる。AIDSの発展におけるT細胞アポトーシスの役
割は多くの研究の対象となっている(例えば、Meyaardら,Science 257:217-219
,1992;Grouxら,J.Exp.Med.,175:331,1992;およびOyaizuら,Cell Activ
ation and Apoptosis in HIV infection中,AndrieuおよびLu監修,Plenum Pres
s,ニューヨーク,1995,pp.101-114を参照されたい)。ある研究者はFas媒介
アポトーシスの役割を研究しており;インターロイキン1β変換酵素(ICE)の関
与もまた調べられている(Estaquierら,Blood 87:4959-4966,1996;Mitraら,
Immunology 87:581-585,1996;Katsikisら,J.Exp.Med.181:2029-2036,199
5)。T細胞アポトーシスが多数の機構を通じて起こる可能性がある。
HIV+患者に見られるT細胞死の少なくともいくらかは、TRAILに媒介されると考
えられている。理論により結び付けようと望むのではないが、こうしたTRAIL媒
介T細胞死は、活性化誘導細胞死(AICD)として知られる機構を通じて起こると
考えられる。
活性化ヒトT細胞は、CD3/T細胞受容体複合体を通じて誘発される際、プログ
ラム細胞死(アポトーシス)を経るよう誘導され、この過程は活性化誘導細胞
死(AICD)と称される。HIV感染無症候の個人から単離されたCD4+T細胞のAICDが
報告されている(Grouxら、上記)。したがって、AICDは、HIV感染個人における
CD4+T細胞の枯渇およびAIDSの進行に役割を果たしている可能性がある。
本発明は、TRAIL-BP(好ましくは可溶性TRAIL-BPポリペプチド)を患者に投与
することを含む、HIV+患者におけるTRAIL媒介T細胞死を阻害する方法を提供する
。1つの態様において、患者はTRAIL-BPでの治療を始めるとき、無症候である。
望ましい場合、治療の前に、末梢血T細胞をHIV+患者から抽出し、そして慣用法
によりTRAIL媒介細胞死への感受性を試験してもよい。
1つの態様において、患者血液または血漿をex vivoでTRAIL-BPと接触させる。
TRAIL-BPは慣用法により、適切なクロマトグラフィー・マトリックスに結合して
いてもよい。患者血液または血漿は、マトリックスに結合しているTRAIL-BPを含
むクロマトグラフィーカラムを通じて流れた後、患者に戻される。固定TRAIL-BP
はTRAILに結合し、したがって患者血液からTRAILタンパク質が除去される。
HIV+患者の治療において、TRAIL-BPをT細胞アポトーシスの他の阻害剤と組み
合わせて使用してもよい。Fas媒介アポトーシスもまた、HIV+個人のT細胞の欠失
に結び付けられている(Katsikisら,J.Exp.Med.181:2029-2036,1995)。し
たがって、Fasリガンド(Fas-L)媒介およびTRAIL媒介T細胞死の両方に感受性で
ある患者を、TRAIL/TRAIL-R相互作用を遮断する剤およびFas-L/Fas相互作用を
遮断する剤両方で治療してもよい。Fas-LのFasへの結合を遮断するのに適した剤
には、限定されるわけではないが、可溶性Fasポリペプチド;可溶性Fasポリペプ
チドのオリゴマー型(例えばsFas/Fcの二量体);アポトーシスを生じる生物学
的シグナルを伝達せずにFasに結合する抗Fas抗体;Fas-LのFasへの結合を遮断す
る抗Fas-L抗体;およびFasに結合するがアポトーシスを生じる生物学的シグナル
を伝達しないFas-Lの突然変異タンパク質が含まれる。好ましくは、本方法に使
用される抗体は、モノクローナル抗体である。抗Fasモノクローナル抗体の遮断
を含む、Fas-L/Fas相互作用を遮断する適切な剤の例は、本明細書に援用される
WO 95/10540に記載される。
本発明のTRAIL-BPポリペプチドの有効量を、生理学的に許容される希釈剤、キ
ャリアー、または賦形剤(excipient)などの他の構成要素と組み合わせて含む
組成物が、本明細書に提供される。TRAIL-BPは、薬学的に有用な組成物を調製す
るのに用いられる既知の方法にしたがい、処方してもよい。TRAIL-BPは、単一の
活性成分として、または既定の適応症に適した他の既知の活性成分と、薬学的に
許容される希釈剤(例えば、生理食塩水、Tris-HCl、酢酸、およびリン酸緩衝溶
液)、保存剤(例えば、チメロサル、ベンジルアルコール、パラベン類)、乳化
剤、可溶化剤、アジュバントおよび/またはキャリアーと混合して組み合わせて
もよい。薬学組成物の適切な処方は、Remington's Pharmaceutical Sciences,1
6th ed.,1980,Mack Publishing Company、ペンシルバニア州イーストンに記載
されるものが含まれる。
さらに、こうした組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)、金属イオンと
複合体化している、またはポリ酢酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル、デキスト
ランなどのポリマー化合物に取り込まれている、またはリポソーム、微小乳剤、
ミセル、単層若しくは多層小胞、赤血球ゴースト若しくはスフェロブラストに取
り込まれているTRAIL-BPを含んでもよい。こうした組成物は、TRAIL-BPの物理的
状態、可溶性、安定性、in vivo放出速度、およびin vivoクリアランス速度に影
響するであろうし、そしてしたがって、意図される適用にしたがい選択される。
細胞表面上に発現しているTRAIL-BPもまた用途を見出す可能性がある。
本発明の組成物は、天然タンパク質、変異体、誘導体、オリゴマー、および生
物学的活性断片など、本明細書に記載されるいかなる型のTRAIL-BPポリペプチド
を含んでもよい。特定の態様において、該組成物は可溶性TRAIL-BPポリペプチド
または可溶性TRAIL-BPを含むオリゴマーを含む。上述の付加的な遮断剤をTRAIL-
BP組成物に含んでもよいし、または別個に処方してもよい。
TRAIL-BPは、例えば、局所、非経口、または吸入によるなど、いかなる適切な
様式により投与してもよい。「非経口」という用語には、例えば皮下、静脈内、
または筋内経路による注射を含み、また例えば疾患または損傷の部位での局所投
与も含む。移植物からの維持放出(sustained release)もまた意図さ
れる。当業者は、適切な投薬量は、治療されるべき障害の性質、患者の体重、年
齢、および全身状態、および投与経路などの要因に依存して変化するであろうこ
とを認識するであろう。動物試験にしたがい、予備投薬量を決定してもよく、そ
してヒト投与のための投薬量の決定を、当業に認められる実施にしたがい、行っ
てもよい。
TRAIL-BP核酸を生理学的に許容される処方に含む組成物もまた、意図される。
TRAIL-BP DNAを例えば、注射のため処方してもよい。抗体
TRAIL-BPポリペプチドと免疫反応性である抗体が、本明細書に提供される。こ
うした抗体は、TRAIL-BPに特異的に結合し、ここで抗体はTRAIL-BPに、(非特異
的結合と対照的に)抗体の抗原結合部位を介し結合する。
図1(配列番号2)のTRAIL-BPタンパク質は、それと免疫反応性である抗体を産
生するのに、免疫原として使用してもよい。あるいは、TRAIL-BPの別の型、例え
ば断片または融合タンパク質を免疫原として使用してもよい。このように、本発
明は、図1のTRAIL-BP、またはその免疫原性断片で動物を免疫することにより得
られる抗体を提供する。抗体を産生する方法には、TRAIL-BPポリペプチドで動物
を免疫することを含み、これによりTRAIL-BPに対して向けられる抗体が、前記動
物において生成される。望ましい抗体を、例えば動物の血清から、慣用法により
精製してもよい。
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を調製する方法の中に、Monoclonal
Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses.Kennetら
(監修),Plenum Press,New York(1980);およびAntibodies:A Laboratory
Manual,HarlowおよびLand(監修),Cold Spring Harbor Laboratory Press,
ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1988)に記載されるものがある。
TRAIL-BPに対して向けられるモノクローナル抗体の産生は、実施例4にさらに例
示される。
TRAIL-BPに対して向けられる抗体の抗原結合断片を、周知の方法により産生し
てもよく、そして該断片は本発明に含まれる。こうした断片の例には、限定され
るわけではないが、FabおよびF(abr)2断片が含まれる。遺伝子工学技術により産
生される抗体断片および誘導体もまた、提供される。
本発明のモノクローナル抗体には、キメラ抗体、例えば、ネズミモノクローナ
ル抗体のヒト化(humanized)型が含まれる。こうしたヒト化抗体を既知の技術
により調製し、そして抗体がヒトに投与されるとき、免疫原性の減少という利点
を提供してもよい。1つの態様において、ヒト化モノクローナル抗体は、ネズミ
抗体の可変部(またはその抗原結合部位のみ)およびヒト抗体由来の定常部を含
む。あるいは、ヒト化抗体断片は、ネズミモノクローナル抗体の抗原結合部位お
よびヒト抗体由来の可変部断片(抗原結合部位を欠く)を含んでもよい。キメラ
および工学技術で作成されるさらなるモノクローナル抗体の産生法には、Riechm
annら(Nature 332:232,1988)、Liuら(PNAS 84:3439,1987)、Larrickら(B
io/Technology 7:934,1989)、およびWinterおよびHaris(TIPS 14:139,May,
1993)に記載されるものが含まれる。
1つの態様において、抗体はTRAIL-BPに特異的であり、そして他の(非TRAIL-B
P)タンパク質と交差反応しない。こうした抗体を同定することが可能なスクリ
ーニング法がよく知られており、そして例えば、免疫アフィニティ・クロマトグ
ラフィーを伴ってもよい。
TRAIL-BPに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株もま
た、本明細書に意図される。こうしたハイブリドーマを産生し、そして慣用法に
より同定してもよい。こうしたハイブリドーマ細胞株を産生する1つの方法は、
動物をTRAIL-BPで免疫し;免疫された動物から脾臓細胞を採取し;前記脾臓細胞
を骨髄腫細胞株と融合させ、それによりハイブリドーマ細胞を生成し;そしてTR
AIL-BPに結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定す
ることを含む。モノクローナル抗体を、慣用法により回収してもよい。
抗体の使用の中に、in vitroまたはin vivoでのTRAIL-BPポリペプチドの存在
を検出する検定における使用がある。抗体はまた、免疫アフィニティ・クロマト
グラフィーによるTRAIL-BPタンパク質の精製に使用してもよい。
1つの態様において、抗体はさらに、TRAILのTRAIL-BPへの結合を遮断すること
が可能である。こうした抗体を使用し、例えば、細胞表面TRAIL-BPへのTRAILの
結合を阻害してもよい。遮断抗体は、慣用検定法を用い、同定してもよい。
こうした抗体をin vitro法において使用し、またはin vivoで投与し、TRAIL-B
P媒介生物学的活性を阻害してもよい。細胞表面TRAIL-BPとTRAILとの相互作用に
より(直接または間接的に)引き起こされるまたは悪化させられる障害を、この
ように治療してもよい。治療法は、TRAIL媒介生物学的活性を阻害するのに有効
な量で、哺乳動物へ遮断抗体をin vivo投与することを含む。TRAIL-BPとTRAILと
の相互作用により、直接または間接的に引き起こされるまたは悪化させられる障
害を、このように治療する。モノクローナル抗体が、一般的に、こうした治療法
での使用には好ましい。1つの態様において、抗原結合抗体断片を使用する。
TRAIL-BPに対して作成された抗体をアゴニスト性(すなわちリガンド模倣)特
性に関し、スクリーニングしてもよい。こうした抗体を、細胞表面TRAIL-BPに結
合する際、特定の生物学的影響を誘導する能力に関し、試験してもよい。アゴニ
スト性抗体を、特定の癌細胞(例えば、白血病、リンパ腫、および黒色腫細胞)
またはウイルス感染細胞のアポトーシスを誘導する能力など、TRAILに関し報告
されている活性に関し、スクリーニングしてもよい(Wileyら,Immunity 3:673-
682,1995;およびPCT出願第WO 97/01633号を参照されたい)。
TRAIL-BPに対して向けられる抗体、および生理学的に許容される希釈剤、賦形
剤、またはキャリアーを含む組成物が本明細書に提供される。こうした組成物に
適した成分は、TRAIL-BPタンパク質を含む組成物に関し、上述された通りである
。
やはり本明細書に提供されるのは、TRAIL-BPに対して向けられる抗体に結合し
ている、検出可能(例えば診断)または治療剤を含む結合体である。こうした剤
の例は、上に示されている。該結合体は、in vitroまたはin vivo法に使用を見
出す。核酸
本発明はTRAIL-BP核酸を提供する。こうした核酸の例には、限定されるわけで
はないが、図1(配列番号1)に示されるヌクレオチド配列を含む単離DNA、その
コード領域、またはその断片が含まれる。
本発明は、例えば上に論じられた組換え発現系における、TRAIL-BPポリペプチ
ドの産生に有用な単離核酸を提供する。こうした核酸には、限定されるわけでは
ないが、図1(配列番号1)のヒトTRAIL-BP DNAが含まれる。本発明の核酸分子は
、一本鎖および二本鎖型のTRAIL-BP DNAを、そのRNA相補体と共に含む。TRAIL-
BP DNAは、例えば、cDNA、ゲノムDNA、化学的に合成されたDNA、PCRにより増幅
されたDNA、およびそれらの組み合わせを含む。ゲノムDNAは、例えば図1(配列
番号1)のDNA、またはその適切な断片をプローブとして用い、慣用法により単離
してもよい。
本明細書に意図されるいかなる型のTRAIL-BPをコードするDNA(例えば全長TRA
IL-BPまたはその断片)も提供される。TRAIL-BPをコードするDNAの特定の態様に
は、図1および配列番号2(N末端シグナルペプチドを含む)の全長ヒトTRAIL-BP
をコードするDNA、および全長成熟ヒトTRAIL-BPをコードするDNAが含まれる。他
の態様には、可溶性TRAIL-BPをコードする(例えば、シグナルペプチドを含み、
または含まず、図1および配列番号2のタンパク質の細胞外ドメインをコードする
)DNAが含まれる。
特定の態様には、上に論じられた開始コドンのいずれかを含むTRAIL-BPをコー
ドするDNAが含まれる。したがって、こうしたDNAの例には、コード領域が図1(
配列番号1)のヌクレオチド24−26として示される開始コドン(ATG)で始まるも
のが含まれ;あるいは、DNAは、コード領域が図1(配列番号1)のヌク
レオチド144−146として示されるATGで始まるように、5'端で一部切除されてい
てもよい。
少なくとも約17ヌクレオチドを含むTRAIL-BPヌクレオチド配列断片は、例えば
プローブまたはプライマーとしての使用を見出す。こうしたオリゴヌクレオチド
を、TRAIL-BP DNA断片が単離され、そして増幅されるポリメラーゼ連鎖反応(PC
R)においてプライマーとして使用してもよい。あるいはDNA断片は、TRAIL-BP D
NA配列の少なくとも30、または少なくとも60の連続するヌクレオチドを含んでも
よい。例えば、図1(配列番号1)のDNAの断片由来のプローブを用い、適切なcD
NAライブラリーをスクリーニングし、TRAIL-BPクローンを同定してもよい。使用
しうるヒトcDNAライブラリーの例には、胎児肝臓および脾臓、妊娠子宮組織、包
皮繊維芽細胞、および末梢血白血球由来のライブラリーが含まれる。
TRAIL-BP核酸の他の有用な断片には、標的TRAIL-BP mRNA(センス)またはTRA
IL-BP DNA(アンチセンス)配列に結合することが可能な一本鎖核酸配列(RNAま
たはDNA)を含む、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。
アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、本発明にしたがい、TRAIL-BP
DNAのコード領域の断片を含む。こうした断片は一般的に、少なくとも約14ヌク
レオチド、好ましくは約14から約30ヌクレオチドを含む。既定のタンパク質をコ
ードするcDNA配列に基づき、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを得
る能力は、例えば、SteinおよびCohen(Cancer Res.48:2659,1988)およびvan
der Krolら(BioTechniques 6:958,1988)に記載されている。
アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドの標的核酸配列への結合は、二
重鎖の亢進した分解、転写または翻訳の未成熟な終結、または他の手段によるも
のを含む、いくつかの手段の1つにより、標的配列の転写または翻訳を遮断する
二重鎖の形成を生じる。このように、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用い、
TRAIL-BPタンパク質の発現を遮断してもよい。アンチセンスまたはセンスオリゴ
ヌクレオチドはさらに、修飾糖・ホスホジエステル骨格(または、WO 91/06629
に記載されるものなど、他の糖結合)を有するオリゴヌクレオチドを
含み、そしてこうした糖結合は内因性ヌクレアーゼに耐性である。こうした耐性
糖結合を持つオリゴヌクレオチドは、in vivoで安定である(すなわち酵素分解
に抵抗することが可能である)が、標的ヌクレオチド配列に結合することが可能
な配列特異性を保持する。
センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドの他の例には、WO 90/10448に
記載されるものなど、有機部分、そしてポリ(L−リジン)など、標的核酸配列
に対するオリゴヌクレオチドの親和性を増加させる他の部分に共有結合するオリ
ゴヌクレオチドが含まれる。さらに、エリプチシンなどの挿入剤(intercalatin
g agent)、およびアルキル化剤または金属錯体がセンスまたはアンチセンスオ
リゴヌクレオチドに結合し、標的ヌクレオチド配列へのアンチセンスまたはセン
スオリゴヌクレオチドの結合特異性を修飾してもよい。
アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、CaPO4媒介DNAトラ
ンスフェクション、エレクトロポレーションを含む、いかなる遺伝子トランスフ
ァー法により、またはエプスタイン・バーウイルスなどの遺伝子トランスファー
ベクターを用いることにより、標的核酸配列を含む細胞に導入されてもよい。好
ましい方法において、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、適切な
レトロウイルスベクターに挿入される。標的核酸配列を含む細胞をin vivoまた
はex vivoで該組換えレトロウイルスベクターと接触させる。適切なレトロウイ
ルスベクターには、限定されるわけではないが、ネズミレトロウイルスM-MuLV、
N2(M-MuLV由来のレトロウイルス)由来のもの、またはDCT5A、DCT5BおよびDCT5
Cと称される二重コピーベクター(WO 90/13641を参照されたい)が含まれる。
センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、WO 91/04753に記載さ
れるように、リガンド結合分子との結合体の形成により、標的ヌクレオチド配列
を含む細胞に導入されてもよい。適切なリガンド結合分子には、限定されるわけ
ではないが、細胞表面受容体、増殖因子、他のサイトカイン、または細胞表面受
容体に結合する他のリガンドが含まれる。好ましくは、リガンド結合分子の結合
体は、実質的にリガンド結合分子がその対応する分子または受容体に結合する
能力に干渉せず、またはセンスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはそ
の結合体型が細胞内に入るのを遮断しない。
あるいは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、WO 90/10448に
記載されるように、オリゴヌクレオチド・脂質複合体の形成により、標的核酸配
列を含む細胞に導入されてもよい。センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチ
ド・脂質複合体は、好ましくは、内因性リパーゼにより、細胞内で分離される。
以下の例は、本発明の特定の態様をさらに例示するため提供され、そして本発
明の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。
実施例1:TRAIL-BPの発現および結合検定
ヒトTRAIL-BPは以下の方法により発現された。発現されたタンパク質は、TRAI
Lに結合する能力に関し試験された。
図1(配列番号1)のヌクレオチド144から923を含むDNA(配列番号2のアミノ酸
41から299をコードする)をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。本DN
Aのコード領域は、上に論じられたように図1(配列番号1)の配列の第二の(下
流)開始コドンで始まる。単離され、そして増幅されたDNAを、発現ベクターpDC
409に挿入し、pDC409-TRAIL-BPと称される構築物を生じた。
pDC409と称される発現ベクターは、McMahanら(EMBO J.10:2821-2832,1991
;本明細書に援用される)に記載されるpDC406ベクター由来の哺乳動物発現ベク
ターである。(pDC406と比較して)pDC409に加えられた特徴には、マルチクロー
ニングサイト(mcs)におけるさらなる唯一の制限部位;mcsの下流に位置する3
つの終止コドン(各読み枠に1つ);およびmcsに挿入されたDNAの配列決定を容
易にする、mcsの下流のT7ポリメラーゼプロモーターが含まれる。
TRAIL-BPは、スライド結合検定で、TRAILに結合する能力に関し試験した。こ
うした検定は、本明細書に援用されるGearingら(EMBO J.8:3667,1987);McM
ahanら(EMBO J.10:2821,1991)およびGoodwinら(Eur.J.Immunol.23:2631
,1993)に記載される。
検定は以下のように行った。CV-1/EBNA細胞をpDC409-TRAIL-BPでトランスフェ
クションした。トランスフェクションした細胞を10%ウシ胎児血清、ペニシリン
、ストレプトマイシン、およびグルタミンを補ったDMEM中でガラススライド上で
培養した。トランスフェクション48時間後、細胞を以下に記載されるLZ-TRAIL融
合タンパク質(1μg/ml)と、結合培地(25mg/mlウシ血清アルブミン、2mg/mlア
ジ化ナトリウム、20mM Hepes(pH7.2)および50mg/ml脱脂粉乳を含むRPMI 1640
)1ml中でインキュベーションした。30分インキュベーションした後、スライド
を1度結合培地で洗浄した。その後、融合タンパク質のロイシンジッパー(LZ)
部分に特異的な125I標識抗体を添加した(結合培地1ml中1nM)。30分インキュベ
ーションした後、スライドを洗浄し、固定し、そして写真感光乳剤に浸した。
pDC409-TRAIL-BP発現ベクターでトランスフェクションされたCV-1/EBNA細胞は
、空のpDC409ベクターのみでトランスフェクションされた細胞(対照)と比較し
、LZ-TRAIL結合の有意な亢進を示した。
前記の結合検定に使用されたLZ-TRAILタンパク質は、可溶性TRAILポリペプチ
ドのN末端に融合しているロイシンジッパーペプチドを含む融合タンパク質であ
る。発現構築物を、Flag(登録商標)ペプチドをコードするDNAを、三量体化を
可能にする修飾ロイシンジッパーをコードする配列と置き換えた以外は、実質的
にFlag(登録商標)−TRAIL発現構築物の調製に関しWileyら(Immunity,3:673-
682,1995;本明細書に援用される)に記載されるように調製した。発現ベクタ
ーpDC409中の構築物は、ヒトサイトメガロウイルス由来のリーダー配列、続いて
可溶性TRAILポリペプチドのN末端に融合しているロイシンジッパーをコードした
。TRAILポリペプチドは、Wileyら(上記)に記載されるように、ヒトTRAILのア
ミノ酸95−281(細胞外ドメイン断片)を含んだ。LZ-TRAILをCHO細胞で発現させ
、そして細胞上清から精製した。
実施例2:TRAIL-BPに結合するモノクローナル抗体
本実施例は、TRAIL-BPに結合するモノクローナル抗体を調製する方法を例示す
る。こうした抗体を生成するのに使用してもよい適切な免疫原には、限定され
るわけではないが、精製TRAIL-BPタンパク質または細胞外ドメインなどのその免
疫原性断片、またはTRAIL-BPを含む融合タンパク質(例えば可溶性TRAIL-BP/Fc
融合タンパク質)が含まれる。
精製TRAIL-BPを用い、米国特許第4,411,993号に記載されるものなど、慣用的
技術を用い、それと免疫反応性であるモノクローナル抗体を生成してもよい。簡
潔には、マウスを完全フロイントアジュバント中で乳化し、そして10−100μgの
範囲の量で皮下または腹腔内に注射したTRAIL-BP免疫原で免疫する。10から12日
後、免疫された動物を不完全フロイントアジュバント中で乳化したさらなるTRAI
L-BPで追加免疫する。マウスをその後、毎週または2週毎の免疫計画で、定期的
に追加免疫する。血清試料を、後眼窩(retro-orbital)出血または尾先端切除
により定期的に採取し、ドットブロット検定、ELISA(酵素結合免疫吸着検定)
またはTRAIL結合の阻害によりTRAIL-BP抗体に関し試験する。
適切な抗体力価の検出後、陽性動物に最後に生理食塩水中のTRAIL-BPを静脈内
注射する。3から4日後、動物を屠殺し、脾臓細胞を採取し、そして脾臓細胞をネ
ズミ骨髄腫細胞株、例えばNS1または好ましくはp3x63Ag8.653(ATCC CRL 1580)
に融合させる。融合によりハイブリドーマ細胞が生成され、これを非融合細胞、
骨髄腫ハイブリッド、および脾臓細胞ハイブリッドの増殖を阻害するため、HAT
(ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン)選択培地中の多重マイク
ロタイタープレート上に蒔く。
ハイブリドーマ細胞をEngvallら,Immunochem.8:871(1971)、および米国特許
第4,703,004号に開示される技術を適合させることにより、精製TRAIL-BPに対す
る反応性に関し、ELISAによりスクリーニングする。好ましいスクリーニング技
術はBeckmannら(J.Immunol.144:4212,1990)に記載される抗体捕捉技術であ
る。陽性ハイブリドーマ細胞を、同系BALB/cマウスに腹腔内注射し、高濃度の抗
TRAIL-BPモノクローナル抗体を含む腹水を産生してもよい。あるいは、ハイブリ
ドーマ細胞を、多様な技術によりフラスコまたは回転ビン(roller bottle)中
でin vitroで増殖させてもよい。マウス腹水中に産生されたモノクローナル抗体
を、硫酸アンモニウム沈澱に続くゲル排除クロマトグラ
フィーにより精製してもよい。また別に、抗体がプロテインAまたはプロテインG
に結合することに基づくアフィニティ・クロマトグラフィーも用いてもよく、TR
AIL-BPに結合することに基づくアフィニティ・クロマトグラフィーも用いてもよ
い。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C07K 16/28 C12P 21/08
C12P 21/02 (C12P 21/08
21/08 C12R 1:91)
//(C12P 21/08 C12N 15/00 A
C12R 1:91) A61K 37/02