JP2002504562A - 腫瘍関連抗原791Tgp72 - Google Patents

腫瘍関連抗原791Tgp72

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デゥラント、リンダ、ジリアン
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Abstract

(57)【要約】 CD55ファミリーのポリペプチド、またはCD55ファミリーのポリペプチドの断片もしくは誘導体を含んでなる癌ワクチン。好適なポリペプチドは791Tgp72抗原である。また、単離精製された791Tgp72抗原も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】技術分野 本発明は、腫瘍関連抗原791Tgp72、その単離方法、791Tgp72および/またはCD
55の使用、ならびに治療方法で特に癌のワクチンにおける関連物質に関する。
【0002】発明の背景 マウスモノクローナル抗体791T/36は、骨肉種細胞系791Tに対して産生される
(Embletonら、1981)。この抗体を発現する細胞系は、寄託番号HB9173にてATCC
に寄託されている。791T/36が分子量72,000の膜糖タンパク質を認識することは 、免疫沈降研究により明らかにされた(Priceら、1984)。同様の抗原は、活性 化したヒトTリンパ球からも沈降させることができる。広範囲にわたる研究によ り、791T/36が骨肉種の大半に結合し、また結腸直腸、胃、および卵巣の腫瘍に
も結合することがわかっている(Durrantら、1986;Durrantら、1989;Durrant ら、1989)。791Tgp72の腫瘍特異性はまた、放射性同位元素で標識した791T/36
を使った画像化による、原発性および転移性の結腸直腸癌、骨肉種、乳癌ならび
に卵巣癌の検出についての広範囲にわたる臨床試験によっても確認されている。
該抗体はまた、リシンA鎖に結合された際、791Tgp72抗原を発現する腫瘍細胞に 対して優れた細胞傷害性を示した。ある臨床試験のフェーズIにおいては、投与 毒性限界が弁漏出症候群やリシンの神経毒性によるものであって、抗体の結合と
は無関係であることが示された。
【0003】 791T/36を用いた臨床試験における画像化や毒性に照準をあわせた試験の過程
において、ヒトの抗マウス抗体応答(HAMA)(Durrantら、1989)の誘導が一つ の限界であることが明らかになった。この抗マウス抗体応答が、該モノクローナ
ル抗体を用いたその後の療法の有効性を制限し得るためである。このHAMA応答の
大半は791T/36のイディオタイプに向けられていた。すなわち被験患者のほとん
どが非常に強力な抗イディオタイプの応答を示したことから、腫瘍が発現した79
1Tgp72抗原に対する既存のヘルパーT細胞応答が、抗イディオタイプの応答を優 先させたことが示唆された。実際、転移性の結腸癌を患って3年になる患者につ
いて、放射性標識をした791T/36を投与して腫瘍を画像化したところ、この患者
は、後にアナフィラキシーショックをおこしたほどの非常に強いイディオタイプ
の応答を示した。このことから、791Tgp72に対する既存のヘルパー応答がこの患
者の疾患を成立させ、791T/36の投与で追加免疫されたことが示唆された。この
患者は、回復し、最期に骨組織への転移に倒れるまでさらに4年間生存した。791
T/36の抗原結合部位に結合するヒトモノクローナル抗イディオタイプ抗体が、 この患者から産生された(Austinら、1989およびWO90/04415)。同様にリシン を連結させた791T/36で免疫したマウスは、強い抗イディオタイプの応答を誘導
し、791T/36に対するマウスモノクローナル抗イディオタイプ抗体が産生された
【0004】 ヒト抗イディオタイプ抗体の臨床ならびに研究所での試験により、この抗体が
抗腫瘍T細胞性免疫を刺激するのに優れた免疫原であることが明らかとなった。1
05AD7は、ラットやマウスにおける、791Tgp72抗原を発現するヒトの腫瘍細胞に 対する遅延型過敏症応答を下準備できる。105AD7を用いた臨床試験のフェーズI
、IIに入った患者164例のいずれにおいても抗イディオタイプ免疫に関連した 毒性は見られなかった。臨床試験フェーズIの患者は、免疫原105AD7と標的抗
原791Tgp72の両方に対して、生存に関わるT細胞増殖応答を示した。その毒性の
無いことと優れた免疫応答に注目し、我々は、原発性結腸直腸癌の患者において
試験を行い、その結果、手術前に105AD7で免疫した患者において自己由来の抗
腫瘍細胞傷害の証拠が確認された。CTLエピトープワクチン単独では、標的抗
原を欠いた腫瘍細胞ほど有効ではないかもしれない。このことは、異なるエフェ
クター機構によるヘルパーT細胞応答を刺激する場合には問題ではない。抗原刺
激とホーミングは同様の機構によってCTLに起こる。ただし、腫瘍部位におい
ては、ヘルパーT細胞はサイトカインを放出し、このサイトカインがカスケード
型の炎症を引き起こし、さらにこれがその抗原状態とは別個の、腫瘍細胞を傷害
できるエフェクター細胞のリクルートにつながる。この種の浸潤プロフィールは
105AD7で免疫した患者の腫瘍において見られた。CD4およびCD8T細胞なら
びにナチュラルキラー細胞数は、非免疫患者と比べて、免疫した患者においてよ
り上昇した。さらに、免疫した患者では、ナチュラルキラー細胞の活性が増強さ
れていた。このことは、結腸直腸の腫瘍がMHC細胞の発現を失うことが多く、
NK傷害に対する感受性につながることから意義深い。
【0005】発明の概要 免疫沈降とアフィニティークロマトグラフィーの両者を使用して791Tgp72抗原
を精製および同定する従前の試みは、収率に乏しく、かつ抗原との結合に際して
791T/36がコンフォメーション依存性を示すため失敗に終わっている。今回、791
Tgp72をアフィニティー精製する改良法を開発し、この抗原の単離に始めて成功 した。細胞膜をビオチン化することにより、精製プロトコールを最適化すること
ができ、精製画分の効率的な追跡が可能となった。作用の穏やかな界面活性剤で
あるオクチル-グルコシドを使用し、超遠心分離工程を導入することで、精製が5
0〜100倍に向上した。アフィニティークロマトグラフィーは、捕捉抗体(791T/36
)をプロテインAセファロースへ共有結合させることで著しく改善された。本発 明者らは抗原を100μg以上精製し、N末端配列決定によって抗原分子をCD55/DAF
ファミリーのメンバーであると同定した。
【0006】 さらに配列決定を行ったところ、791Tgp72のcDNAのコード領域が既知のCD55タ
ンパク質(本発明では「CD55」として既知)のコード領域と同一であることが判明し
た。従って、791Tgp72とCD55のアミノ酸配列も同一である。しかしながら、791T
gp72タンパク質とCD55タンパク質とでは、例えば、分子のグリコシル化パターン
に違いがある。
【0007】 従って、第1の態様では、本発明は単離精製された791Tgp72抗原を提供する。
【0008】 さらなる態様では、本発明は、 (a)791T細胞を、1%オクチル-B-グルコシドを含む溶解バッファー(pH8.5)中 で1時間4℃にて可溶化し、 (b)溶解物を13000rpmで10分間、次いで100,000gで30分間遠心分離し、 (c)清澄化した溶解物を、791T/36アフィニティーカラムに結合したプロテイン
Aセファロースへ添加し、 (d)0.3〜0.4ml/分にて上清をカラムへ循環させ、 (e)0.3M NaClと0.1%NP-40を含む20mlの20mM Tris-HCl(pH8.0)でカラムを洗 浄し、 (f)カラム容量の5倍の0.5%NP-40含有ジエチルアミン(pH11.5)で791Tgp72を カラムから溶離させ、溶離液を1MTrisで中和する ことによって得られる、単離精製された791Tgp72抗原を提供する。
【0009】 さらなる態様では、本発明は、791Tgp72を製薬上許容される担体と共に含んで
なる医薬組成物を提供する。
【0010】 さらなる態様では、本発明は、薬物療法(medical treatment)に使用するため の791Tgp72を提供する。
【0011】 さらなる態様では、本発明は、791Tgp72を発現する細胞から791Tgp72抗原を単
離する方法を提供する。この方法には、オクチル-グルコシドを含む溶解バッフ ァーで細胞を可溶化する工程、および溶解物を超遠心分離を用いて処理する工程
が含まれる。
【0012】 本発明者らは、これらの工程の働きによって、驚くべきことに抗原の精製が50
〜100倍にも向上することを見出した。
【0013】 本発明において初めて行われた791Tgp72の単離および特性決定によって、この
抗原は、CD55または崩壊促進因子(DAF)ファミリーのメンバーとして同定された 。従って、本発明で提案する791Tgp72の癌ワクチンとしての使用は、先行技術に
おいて多様な形態で単離されている他のCD55ポリペプチドや、これらの分子の断
片および誘導体へも拡張することができる。同様に、791Tgp72またはその断片お
よび誘導体をコードする核酸配列の使用も、他のCD55ファミリーメンバーをコー
ドする核酸配列や、その断片および誘導体へ拡張することができる。
【0014】 従って、さらなる態様では、本発明は、791Tgp72抗原もしくはCD55ファミリー
のポリペプチド、またはT791Tgp72もしくはCD55ファミリーのポリペプチドの断 片もしくは誘導体を含んでなる癌ワクチンを提供する。この癌ワクチンは、患者
における免疫応答を誘導し得るものである。免疫応答は、Tヘルパー細胞応答、
細胞傷害性T細胞応答、NK細胞応答および/または免疫応答のうちの1種以上で
あってよい。
【0015】 さらなる態様では、本発明は、791Tgp72および/もしくはCD55ファミリーのポ
リペプチド、またはT791Tgp72もしくはCD55ファミリーのポリペプチドの断片も しくは誘導体をコードする核酸を含んでなる癌ワクチンを提供する。この癌ワク
チンは、患者における免疫応答を誘導し得るものである。同様に、免疫応答は、
Tヘルパー細胞応答、細胞傷害性T細胞応答、NK細胞応答および/または免疫応
答のうちの1種以上であってよい。
【0016】 さらなる態様では、本発明は、癌治療用医薬品の製造における、791Tgp72抗原
もしくはCD55ファミリーのポリペプチド、またはT791Tgp72もしくはCD55ファミ リーのポリペプチドの断片もしくは誘導体の使用を提供する。
【0017】 さらなる態様では、本発明は、癌治療用医薬品の製造における、791Tgp72抗原
もしくはCD55ファミリーのポリペプチド、またはT791Tgp72もしくはCD55ファミ リーのポリペプチドの断片もしくは誘導体をコードする核酸の使用を提供する。
【0018】 さらなる態様では、本発明は癌患者の治療方法を提供する。この方法は、患者
に上記癌ワクチンの1種を治療上有効な量で投与することを含んでなるものであ
る。
【0019】 791Tgp72を有する癌細胞に対するT細胞応答を刺激するために791Tgp72を用い
ることは、このような癌細胞が、補体介在型の攻撃から身を守るためにこれらの
抗原を発現するよう進化したと考えられるため、予想外のことである。従って、
このような腫瘍細胞の防御機構から、これらの抗原を高レベルに発現する癌細胞
に対して選択的にT細胞応答を仕向ける方法が得られることは、驚くべきことで
ある。例えば、このワクチンを用いて結腸直腸癌、骨肉腫、乳癌および卵巣癌を
治療することができる。これらの癌は全て791Tgp72の過剰発現に関与している。
【0020】 791Tgp72抗原とCD55は広範囲にわたる固形癌で過剰発現されることが知られて
いる一方、正常な赤血球、白血球、内皮細胞および胚上皮細胞(surface epithel
ial cell)でも発現される。しかしながら、これらのポリペプチドに基づくワク チンを用いることで誘導されるT細胞応答は、正常細胞での低レベル発現と腫瘍
細胞での高レベル発現を識別できるものでなければならない。このことは、赤血
球を腫瘍中へ通過させた場合に791T/36モノクローナル抗体が腫瘍細胞へ移行し た実験から、791T/36の腫瘍細胞への結合が赤血球への結合よりも高い親和性を 示すという観察に基づいている。従って、このことから、T細胞応答を腫瘍へ仕
向ければ、免疫クリアランスが回避されることが示唆される。
【0021】 結腸直腸腫瘍関連抗原791Tgp72を模倣したヒト・モノクローナル抗体105AD7を
用いた臨床研究からは、免疫感作した患者が、抗原特異的増殖応答、IL-2産生の
亢進、CD45RO細胞の誘導、免疫感作患者の腫瘍内へのCD4、CD8およびCD56細胞の
浸潤、ナチュラルキラー活性の亢進、並びにNKキラー活性(NK killing)には関連
しない自己腫瘍キラー活性(autologous tumour killing)等のある範囲の抗腫瘍 T細胞応答を示すことが判明している。105AD7抗体ワクチンは毒性を伴うことな
く現在164人の患者へ投与されているが、この特性は791Tgp72またはCD55に基づ くワクチンにも共通していると考えられる。
【0022】 以下、CD55ファミリーのポリペプチドを791Tgp72と同様に用いること裏付ける
結果を列挙する。
【0023】 (a)791Tgp72とCD55との配列同一性。
【0024】 (b)CD55に特異的なモノクローナル抗体は、精製791Tgp72抗原へ結合する。
【0025】 (c)791T/36は、CD55でトランスフェクトした細胞へ結合する。
【0026】 (d)791T/36は、CD55 SUSHIドメイン2を含むCD55/C46キメラ構築物でトランス
フェクトした細胞へ結合する。
【0027】 (e)791T/36およびCD55に特異的なモノクローナル抗体は、791T骨肉腫細胞系か
ら72kDaおよび66kDaの2つのタンパク質を免疫沈降させる。しかしながら、二量
体の収率は、791T/36を用いた場合の方が抗CD55モノクローナル抗体を用いた場 合よりも遥かに高い。
【0028】 (f)791T/36およびCD55に特異的なモノクローナル抗体は、正常な赤血球から72
kDaの単一バンドを免疫沈降させる。
【0029】 (g)791T/36は、骨肉腫細胞によって発現される791Tgp72のエピトープを認識す
るものの、赤血球に対しては弱い結合しか示さない。対照的に、赤血球によって
発現されるCD55を認識するモノクローナル抗体であるBRIC 216 (Blood Group Re
ference Laboratory, Bristol, UK)は、791T/36に比べて骨肉腫腫瘍細胞系への 結合性に劣る。
【0030】 (h)791Tgp72は、ホスホリパーゼC処理によって放出されるGPI結合型タンパク
質である。
【0031】 (i)放射性標識した791T/36は、卵巣腫瘍および結腸直腸腫瘍に局在化し、赤血
球または白血球に対しては検出し得る結合を示さなかった。
【0032】 (j)791Tgp72を模倣した抗イディオタイプ抗体である105AD7は、CD55のSCR2ド メイン(SUSHIドメイン2としても知られている)に対してアミノ酸相同性を有す る。
【0033】 (k)791Tgp72を模倣した抗イディオタイプ抗体である730は、CD55のSCR2ドメイ
ンに対してアミノ酸相同性を有する。
【0034】 (l)ヒトまたはマウス抗イディオタイプによって誘導されるAb3応答は、活性化
T細胞上のCD55へ結合し、増殖を促進させると考えられる。
【0035】 さらに、CD55/791Tgp72のアミノ酸配列の分析からは、105AD7および730抗イデ
ィオタイプ抗体の模倣対象となったエピトープとは区別される他のT細胞エピト
ープが含まれる可能性が明らかになっている。このことから、これらの他のエピ
トープを含んでなるワクチンが、抗イディオタイプ抗体から製造されるワクチン
よりも広範囲にわたる患者において免疫応答を誘導し得ることが示唆される。
【0036】 以下、図面を参照しながら例を挙げて本発明を説明するが、限定を意図したも
のではない。
【0037】発明の詳細な説明 CD55、DAFおよび791Tgp72ポリペプチド 「791Tgp72」とは、ここに述べる操作の結果、791T/36抗体が結合する791T細
胞から単離した腫瘍関連抗原をさす(Embletonら、1981)。この抗原は、CD55フ
ァミリーに属し、この既知のポリペプチドと、アミノ酸配列に高い相同性を有す
る。しかし、791Tgp72とその他CD55ポリペプチドとの間には、例えば分子のグリ
コシル化パターンなどに違いがある。また以下に記載する研究では異なる複数の
RNAが791Tgp72抗原をコードすることが確認された。これらのRNAはCD55と比べて
、いろいろな種類のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードできる。
【0038】 「CD55」は、特に図10に示す配列を有するポリペプチドである。CD55はまた、
崩壊促進因子(DAF)としても知られており、各種の代替型ポリペプチドが知ら れている。
【0039】 ここで述べる「CD55ファミリー」には、例えば先述したポリペプチドの代替型
(例えばあらかじめ同定してあるC55-A,CD55-B及びCD55-U2)のように、CD55と 十分な相同性を有する配列であって患者の癌細胞で発現されたCD55および/また
は791Tgp72に対して免疫応答を誘発できるようなものがあげられる。CD55とCD55
ファミリーの別のタンパク質間との好ましい相同性の程度は、少なくとも60%、
好ましくは70%、さらに好ましくは80%、またさらに好ましくは90%、最も好ま
しくは95%である。
【0040】 CD55は最初、モルモットとヒトの赤血球からNicholson-Wellerらによって精製
された(Nicholson-Wellerら、1981、1982を参照)。精製したCD55は、単鎖の糖
タンパク質で、そのSDS-PAGEによる分子量は60,000(モルモット)または70,000
(ヒト)である。CD55はまず46kDaの前駆体として生成され、細胞表面上に、グ
リコシル化の不均一性によって分子量70,000から80,000の成熟CD55を生じる。CD
55の構造は生化学的研究とcDNAの分子クローニングとの組み合わせにより解明 されてきた。ヒトCD55のcDNAはタンパク質の34-アミノ酸シグナルペプチド、続
いて347-アミノ酸配列をコードする。該タンパク質のアミノ末端は4つのCCPRド メインからなる(SUSHIまたはSCRドメインとしても知られる)。CD55は、共有結
合によってGPIアンカーに固定されている。
【0041】 図10に示すとおり、791Tgp72抗原はCD55と同一のアミノ酸配列を有する。下記
の結果により、CD55および791Tgp72、ならびに断片とその誘導体が、抗腫瘍T細 胞応答、例えば抗原特異的増殖応答、Tヘルパー細胞応答、細胞傷害T細胞応答、
IL-2産生の増強、CD45RO細胞の誘導、免疫した患者の腫瘍内CD4、CD8、CD56細胞
の浸潤、ナチュラルキラー活性の増強および/またはNK細胞傷害とは無関係の自
己腫瘍細胞傷害のような、免疫応答を誘発する癌ワクチンとして利用できること
が示唆された。さらに、該ペプチドは、CD55を中和して補体による溶菌を起こさ
せるCTL抗体を増すように作用できる。
【0042】 したがって、本発明はさらにポリペプチドの全長よりは短いが、1つ又はそれ
以上の上記指示薬により確認される抗腫瘍免疫(特にT細胞)応答を誘発できる 、791Tgp72又はCD55ファミリーのその他ポリペプチドのどちらかの「断片」また
は「誘導体」の利用を含む。断片のグループには、好ましくはCD55全長のアミノ
酸97から159の間に伸びるCD55のSUSHI2ドメインの全部または一部が含まれる。
【0043】 791Tgp72あるいはCD55ファミリーのポリペプチドの「断片」とは、アミノ酸残
基の伸長部分であって、少なくとも約5個から7個のアミノ酸が隣接し、多くは少
なくとも約7個から9個のアミノ酸が隣接し、一般的には少なくとも約9個から13
個のアミノ酸が隣接し、より好ましくは、少なくとも約20個から30個以上のアミ
ノ酸が隣接し、最も好ましくは少なくとも約30個から40個以上のアミノ酸が隣接
する。
【0044】 791Tgp72もしくはCD55ファミリーのポリペプチドの「誘導体」、または791Tgp
72もしくはCD55ファミリーのポリペプチドの断片とは、例えば該タンパク質をコ
ードする核酸を操作したり、該タンパク質自体を変性させることによって、該タ
ンパク質のアミノ酸配列を変えて改変されたポリペプチドを意味する。このよう
な天然のアミノ酸配列の誘導体は、抗腫瘍T細胞応答を誘導できるペプチドを供 給するものであれば、1個又はそれ以上のアミノ酸の挿入、付加、欠失、および /または置換を含んでもよい。
【0045】 こうした誘導体は、好ましくは25個又はそれ以下のアミノ酸、より好ましくは
15個又はそれ以下のアミノ酸、さらに好ましくは10個又はそれ以下のアミノ酸、
またさらに好ましくは5個又はそれ以下のアミノ酸、最も好ましくは1個又は2個 のアミノ酸のみの挿入、付加、欠失および/または置換を含む。
【0046】 本発明はさらに、例えばエフェクター分子、標識、薬物、毒素、および/また
は担体もしくは輸送分子などの結合パートナーに結合させるペプチドを含む、上
記ペプチドの誘導体をも含む。本発明のペプチドをペプチジルと非ペプチジル結
合パートナーの両方に結合させる技術は、当業者に周知である。ある実施例では
、担体分子がAntennapedia(例えば「Penetratin」の名前で販売)のホメオドメ
イン由来の16個のアミノ酸のペプチドであり、これは末端Cys残基を経てペプチ ドに結合できる。この「Penetratin」分子とその特性についてはWO91/18981に 記載されている。
【0047】 ペプチドはその全体または一部を化学的合成によって生成できる。本発明の化
合物は、きちんと確立した標準溶液、又は、好ましくは固相ペプチド合成法、広
く入手可能な刊行物にある記載(例えばJ.M.StewartとJ.D.Young、固相ペプチド
合成、第2版、Pierce Chemical Company、Rockford、Illinois(1984); M.B
odanzskyとA.Bodanzsky、The Practice of Peptide Synthesis、 Springer Verl
ag、 New York (1984); Applied Biosystems 430A Users Manual、ABI Inc
., Foster City、 Carliforniaを参照)に従い簡単に調製できる。あるいはさら
に、液相法により、又は固相、液相及び溶液化学を自由に組み合わせることによ
り、溶液中に調製できる。例えばまずそれぞれのペプチド部分を完成し、必要か
つ適当であれば、存在する保護基をいずれも除去した後、それぞれの炭素、スル
ホン酸、またはその反応性の誘導体の反応によって残基Xを導入する。
【0048】 本発明に従いペプチジル分子を生成するのに(ペプチドまたはポリペプチド)
また別の便利な方法としては、発現系の核酸を用いて、該分子をコードする核酸
を発現させる方法があげられる。
【0049】 このように本発明は、様々な態様で本発明のポリペプチドおよびペプチドをコ
ードする核酸を提供する。
【0050】 通常、本発明による核酸は、単離および/または精製した形態で、または、お
そらく一つ若しくはそれ以上の発現調節配列を除き、それが自然に結合(会合)
している物質と遊離若しくは実質的に遊離した形態で(例えばヒトゲノムにおい
て遺伝子に隣接する核酸と遊離又は実質的に遊離した形態で)、単離物として提
供される。核酸はその全体または一部が合成であってもよく、またゲノムDNA、 cDNAもしくはRNAを含んでよい。本発明よる核酸がRNAを含む場合、ここに記載 のRNAを参照する際、UはTに置換してあるものと解釈すること。
【0051】 本発明によるポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸配列は、該核酸配
列とクローンが入手できれば、ここに記載する情報ならびに参照や、当業者に周
知の技術(例えば、Sambrook、FritschとManiatis、Molecular Cloning、A Labo
ratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989およびAusubelら 、Short Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、1992)に従 い、熟練者により簡単に調整できる。 こうした技術には、(i)たとえばゲノムソ
ースからこの核酸のサンプルを増幅するPCR、(ii)化学的合成、または(iii)cDN
A配列の調整、が含まれる。791Tgp72またはCD55の断片をコードするDNAを生成し
てもよいし、また当業者に周知の適当な方法、例えばコードDNAを取得し、発現 させる部分のどちらかの側の適切な制限酵素認識部位を同定し、DNAからその部 分を切り出すような方法を用いてよい。該部分は、一般的な市販の発現系で適切
なプロモーターに機能し得る形で連結させる。別の組換え方法として、DNAの関 連部分を適当なPCRプライマーで増幅させる方法があげられる。例えば部位特異 的突然変異誘発法を用いて配列を改変し、改変したペプチドを発現させるか、ま
たは核酸の発現に用いる宿主細胞におけるコドン頻度を考慮することもできる。
【0052】 核酸配列を発現させるため、この配列を、その発現を制御するように核酸に機
能し得る形で連結させたひとつ又はそれ以上の対照配列を有するベクターに組み
込むこともできる。このベクターは、挿入した核酸(核酸配列)を発現させるプ
ロモーターまたはエンハンサーのような、その他の配列を含んでもよく、その結
果、ポリペプチドまたはペプチドが融合体および/または分泌シグナルをコード
する核酸として産生される。こうして宿主細胞に産生されたポリペプチドは、こ
の細胞から分泌される。ポリペプチドは次いで、ベクターをこのベクターがその
中で機能できる宿主細胞に形質転換させ、宿主細胞を培養し、産生されたポリペ
プチドを宿主細胞または周囲の培地から回収して得ることができる。当業界では
この目的に真核細胞または原核細胞を用い、これにはE.coli菌株、酵母、及びCO
SやCHO細胞などの真核細胞が含まれる。
【0053】 従って、本発明にはまた、ポリペプチドまたはペプチド(開示のとおり)の生
成方法、すなわちポリペプチドまたはペプチド(通常、本発明による核酸)をコ
ードする核酸による発現を含む方法が含まれる。この方法は、培養で上記のよう
なベクターを含む宿主細胞を、ポリペプチドを発現させるかまたは発現を可能に
するような、適当な条件下で増殖させることでうまく行える。ポリペプチドおよ
びペプチドはまた、網状赤血球ライセートのような、in vitro系で発現させても
よい。
【0054】 きわめて多種におよぶ宿主細胞での、ポリペプチドのクローニングや発現に関
するしくみについてはよく知られている。適当な宿主細胞としては、細菌、哺乳
動物や酵母菌等の真核細胞、及びバキュロウイルス系などを例示することができ
る。異種ポリペプチド発現技術に利用できる哺乳動物細胞系としては、チャイニ
ーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、子ハムスター腎臓細胞、COS細胞、さらに 他にも多くを例示することができる。共通の好ましい細菌宿主としては、大腸菌
が挙げられる。
【0055】 プロモーター配列、ターミネーター断片、ポリアデニレーション配列、エンハ
ンサー配列、マーカー遺伝子、さらに適宜その他の配列等の、適切な調節配列を
含む適当なベクターを選択もしくは構築することが可能である。ベクターは、適
宜、プラスミド、ウイルス性「ファージ」、もしくはファージミドなどであって
もよい。さらに詳細に関しては、例えば、Molecular Cloning: a Laboratory Ma
nual: 2nd edition, Sambrook et al., 1989, Cold Spring Harbor Laboratory
Pressに記載されている。核酸の操作に関する多くの公知の技術やプロトコルに 関して、例えば核酸構築物の作製、突然変異誘発、シークエンシング、DNAの細 胞内導入と遺伝子発現、及びタンパク質の分析などに関しては、Current Protoc
ols in Molecular Biology, Ausubel et al., eds., John Wiley & Sons, 1
992に詳細が記載されている。
【0056】 このように、本発明のさらなる態様では、ここに開示するとおり、異種核酸を
含む宿主細胞が提供される。
【0057】 本発明の核酸は、宿主細胞のゲノム(染色体等)に組み込むこともできる。組
込みは、定法にしたがって、ゲノムと共に、組換えを助長する配列の封入によっ
て促進してもよい。核酸は、細胞内の染色体外ベクター上、または、細胞にとっ
て同定し得る異種もしくは外来のベクター上に存在することもある。
【0058】 またさらなる別の態様では、核酸を宿主細胞に導入することも含めた方法が提
供される。この際の導入とは、(特にインビトロ導入に関する場合は)一般的に
「形質転換」と限定されている以外のことに言及してもよく、利用可能なあらゆ
る技術を利用してもよい。真核細胞に関しては、適当な技術として、リン酸カル
シウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン、電気穿孔法、リポソーム媒
介トランスフェクション、およびレトロウイルス、もしくは例えばワクシニアウ
イルスや昆虫細胞であればバキュロウイルス等のその他のウイルスを使用する形
質導入などを例示することができる。また細菌細胞に関しては、適当な技術とし
て、塩化カルシウム形質転換、電気穿孔法、およびバクテリオファージを使用す
るトランスフェクション等を例示することができる。また代替方法として、核酸
の直接注入を行なうこともできる。
【0059】 当技術分野で周知のとおり、目的の核酸を含有しているクローンを同定する際
には、抗生物質耐性遺伝子もしくは感応遺伝子といったマーカー遺伝子を使用し
てもよい。
【0060】 導入に引き続いては、遺伝子発現の条件下で(形質転換細胞から派生した細胞
であることが多いが、実際にそれ自体が形質転換された細胞を含んでもよい)宿
主細胞を培養すること等によって、核酸からの発現が引き起こされたりもしくは
発現が生じてもよく、その結果、コードされるポリペプチド(もしくはペプチド
)が生成される。ポリペプチドが適切なシグナルリーダーペプチドに結合して発
現する場合は、ポリペプチドが細胞から培地へと分泌されてもよい。発現により
ポリペプチドもしくはペプチドが生成された後、これらが宿主細胞および/また
は培地から単離および/または精製されてもよく、いずれにしても、引き続いて
、1または2以上の薬学的に受容可能な賦形剤、ビヒクルもしくは担体(以下参
照のこと)を含む医薬組成物等の、1または2以上の追加成分を含む組成物の調
製などといった望ましい目的に使用される。
【0061】製薬調合物 本発明におけるポリペプチド、誘導体および断片は、医薬組成物の中で、特に
ワクチン組成物として調合されることが可能である。こうした組成物は、上記の
物質の1つに、薬学的に受容可能な賦形剤、担体、バッファー、安定剤もしくは
当業者に周知のその他の製剤などを加えて構成されてもよい。この際の製剤は、
無毒かつ活性成分の効果を阻害しないものでなければならない。担体もしくはそ
の他の製剤の特性は、投薬の経路、すなわち、経口、静脈内、皮膚上もしくは皮
下、鼻内、筋肉内、腹膜内のそれぞれの経路に依ることがある。本調合物は、液
体であることが好ましく、通常はpH6.8〜7.6の無リンバッファーを含む生理的食
塩水であるか、もしくは凍結乾燥粉末であってもよい。
【0062】 791Tgp72および/またはCD55ポリペプチドを含む組成物、又はこれらの送達を
行なう組成物は、「発病の予防上効果的な量」又は「治療上効果的な量」を個人
に投与することが好ましく(いずれにせよ、予防は治療とみなされるものである
が)、個人に効果をもたらすにはこれで充分である。実際の投薬量、並びに投与
の比率及び回数は、被治療者の体質や重篤度に依るものである。治療法の処方、
すなわち投薬量の判断などは、一般開業医やその他の臨床医の責任にゆだねられ
るものであり、通常は、治療の対象となる疾患、個々の患者の状態、薬の送達部
位、投薬の方法、および開業医に公知のその他の要素を考慮に入れている。本発
明のワクチンは、既存の癌の治療、及び初期治療又は手術の後の癌の再発防止に
特に関する。前述した技術及びプロトコルの例は、RemingtonのPharmaceutical
Sciences, 16th edition, Oslo, A. (ed), 1980に記載されている。
【0063】 791Tgp72抗原および/またはCD55ファミリーのポリペプチド、および/または
それらの断片および/または誘導体は、これらを望ましい純度で、アジュバント
もしくは薬学的に受容可能な担体、つまりその投与量や使用濃度が被投与者にと
って無毒である担体と混合することによって調製される。アジュバント及び担体
は、それ自体が目的の抗原と免疫エピトープを共有することは一切ないが、目的
の抗原に対する免疫応答を刺激するものである。このためアジュバントや担体に
とっては、通常、活性成分が、バッファー、低分子量ポリペプチド(約10残基未
満)、タンパク質、アミノ酸、グルコースもしくはデキストラン等の炭水化物、
EDTA等のキレート剤、およびその他の賦形剤などと結合する必要がある。こうし
た目的のために、通常はフロイントのアジュバント(鉱油乳濁液)が使用されて
きた。また、マイコバクテリウム抽出液等のさまざまな有毒微生物物質、並びに
腫瘍壊死因子及びインターフェロンガンマ等のサイトカインなども使用されてき
た。予防接種に関するその他のアジュバントについては、EP-A-0745388、WO97/0
1330およびEP-A-0781559に開示されている。担体もまたアジュバントとして機能
できるが、担体は抗原を凝集する不溶性の高分子微粒子構造を含んでいるため、
通常はアジュバントとは区別して考えられている。典型的な担体としては、水酸
化アルミニウム、ラテックス粒子、ベントナイト、リポソームが挙げられる。
【0064】 組成物は、単独で投与されても、あるいは他の治療法と組み合わせて投与され
てもよく、また、同時に服用するか、もしくは逐次服用するかは被治療者側の状
態に依るものである。その他の癌治療法としては、前述した105AD7抗体、その他
の化学療法剤、その他の放射線療法、もしくは当業界に公知のその他の癌ワクチ
ンなどを例示することができる。本発明の組成物に関する特殊な用途の1つが、
外科手術の補助剤としての使用であり、すなわち、腫瘍摘出後の癌再発の危険を
軽減するのに役立つ。
【0065】 本発明のワクチンを治療上投与する主な経路は、(筋肉もしくは皮下)注射で
あると思われるが、静脈注射による送達や、カテーテルその他の外科用チューブ
などによる送達もまた使用される。粉末製剤から再組成した後で、液体製剤を利
用することもできる。
【0066】 またポリペプチドも、ミクロスフェア、リポソーム、その他の微粒子送達系、
あるいは血液を含む一定の組織に配置される徐放性製剤などを経由して投与でき
る。徐放性担体の適当な例としては、成型物の形をなした半透過性のポリマーマ
トリックス、すなわち坐薬やマイクロカプセルなどを挙げることができる。移植
可能なもしくはマイクロカプセル型の徐放性マトリックスとしては、ポリラクチ
ド(米国特許第3,773,919号、EP-A-0058481)、L-グルタミン酸とガンマエチル-
L-グルタミン塩酸との共重合体 (Sidman et al., Biopolymers 22(1): 547-556,
1985)、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリル酸エステル)、もしくはエチレ ンビニルアセテート(Langer et al., J. Biomed. Mater. Res. 15:167-277, 19
81, and Langer, Chem. Tech. 12:98-105, 1982)を挙げることができる。この ようなポリペプチドを含むリポソームは、周知の方法で作製される。: DE3,21
8,121A; Epstein et al., PNAS USA, 82:3688-3692, 1985; Hwang et al., PNA
S USA, 77:4030-4034, 1980; EP-A-0052522; E-A-0036676; EP-A-0088046; EP-A
-0143949; EP-A-0142541; JP-A-83-11808; 米国特許第4,485,045号 及び第4,544
,545号。通常、リポソームは小さい(約200〜800オングストローム)単一ラメラ
形をしており、その中の脂質含有量は、ポリペプチドの最適漏出率に合わせて調
節されている選択比率、約30モルパーセントコレステロールを超えている。
【0067】 791Tgp72および/またはCD55ファミリーのペプチドは、腫瘍部位やその他の投
与が望ましいとされる部位に局部集中的に投与されても、もしくは腫瘍やその他
の細胞を標的にして送達してもよい。
【0068】 ある一定の種類の細胞により特異的に活性剤を送達するのには、抗体又は細胞
特異的リガンドなどのターゲティング系を使用する、ターゲティング療法を利用
してもよい。ターゲティングは、薬剤が受容不可能な有毒なものであったり、過
度に多量な服用が必要であったり、もしくは目的の細胞に侵入不可能であるなど
の種々の理由において利用されることが望ましいものである。
【0069】 このように薬剤を直接投与する代わりに、ウイルスベクター等の細胞内に導入
されたコード化遺伝子からの発現により(VDEPT技術の応用、下記参照)、目的 細胞内に薬剤を生成することもできる。ベクターは、治療される特定の細胞を標
的とすることができ、あるいは標的細胞によりある程度選択的に効果を発揮する
ような調節要素を含んでいてもよい。
【0070】 薬剤は、治療目的の細胞内で生成される活性剤か、その細胞を目的とした活性
剤により活性形体へと変換されるように前駆体の形をとって投与されてもよい。
この種の方法は、時としてADEPTもしくはVDEPTとして知られており、ADEPTは細 胞特異的抗体に結合することによって、細胞に活性剤をターゲティングすること
に関しており、一方VDEPTは、ウイルスベクター内のコード化DNAからの発現によ
り、酵素などの活性剤をベクター内に生成することに関するものである(例とし
てEP-A-415731およびWO90/07936を参照のこと)。
【0071】 ウイルスベクター等のベクターは、先行技術の中で核酸を多種多様の目的細胞
内に導入するのに使用されてきた。通常、ベクターは目的細胞に向けられており
、その結果細胞の十分な部分でトランスフェクションが起こることが可能となり
、望ましいポリペプチドの発現から、治療上もしくは予防上の有意な効果を提供
する。
【0072】 米国特許第5,252,479号およびWO93/07282をご参照いただくとおり、先行技術 においては、種々のベクター、すなわちウイルスベクターとプラスミドベクター
の両方が知られている。特に、SV40、牛痘ウイルス、ヘルペスウイルス等のパポ
バウイルス、HSVやEBV、およびレトロウイルスなどのいくつかのウイルスが、遺
伝子導入ベクターとして使用されてきた。先行技術における多くのプロトコルで
は、無毒化マウスレトロウイルスが使用されてきた。
【0073】 ウイルスベクターの使用に代わる、核酸を細胞内に導入するその他の公知の方
法としては、電気穿孔法やリン酸カルシウム共沈、またマイクロインジェクショ
ン、リポソームを媒介とした導入、DNAの直接取り込み等の機械的技術、そして 受容体を媒介としたDNA導入などを例示することができる。
【0074】 受容体を媒体とした遺伝子導入は、核酸がポリリジン経由でタンパク質リガン
ドに結合するもので、このリガンドは目的細胞の表面に存在する受容体に特異的
なものであり、核酸を特定の細胞に特異的にターゲティングする技術の一例であ
る。
【0075】 791Tgp72および/またはCD55ファミリーのポリペプチドのワクチン接種量は、
接種するワクチンの性質、すなわちワクチンの結合活性やインビボでの血漿半減
期、調合物中のポリペプチド濃度、投与経路、服用部位や比率、対象患者の臨床
耐性、患者に影響する病理学的条件等に依るものであり、医師の技術の範囲内で
定められるものである。例えば、患者一人に対し一回の投与で300μgのポリペプ
チドを接種させることが好ましいが、こうした接種量は、約10μg〜1mgまで幅 を持たせることもできる。一連の連続接種の間に、接種量を変えて投与すること
も可能であり、医師は、当初の一定量のワクチン接種から、その後ワクチンの量
を相対的に減らして追加接種してもよい。
【0076】 本発明のワクチン組成物は、さまざまな方法で、種々の段階にある受容者に投
与することが可能である。本ワクチンをもって治療にあたることのできる癌の種
類としては、直腸癌、骨肉腫、乳癌、卵巣癌などが例として挙げられる。
【0077】 また本発明は、癌に対する防御免疫応答を向上させるための最適免疫計画にも
関するものである。例を挙げると、791Tgp72および/またはCD55ファミリーのポ
リペプチドを投与するには、まず少なくとも3回の独立した接種を行ない、次に
最初の接種から2週間を超えて、好ましくは3〜8週間の間に、さらに好ましく
は約4週間後に2度目の接種を行なう。3度目の接種は、2度目の「追加」接種
から数週間後に行ない、好ましくは最初の接種からは少なくとも5ヶ月を超えて
、より好ましくは最初の接種から6ヶ月〜2年の間に、さらにいっそう好ましく
は最初の接種から8ヶ月〜1年の間に行なう。また患者の「免疫記憶」を高める
ためには、3度目以降も定期的な接種を行なうことが望ましい。これに関しては
、Anderson et al., J Infectious Diseases 160 (6): 960-969, Dec. 1989およ
びそこに記載されている引用文献を参照されたい。一般的に、比較的長い間隔を
おき頻度を減らして行なうポリペプチドの免疫化は、最大限の抗体産生応答を導
き出し、また防御効果を引き出す点から、頻繁に行なう免疫化よりも好ましいと
されている。
【0078】 以上述べてきたことは、それがワクチン組成物や核酸組成物の作製に関するこ
とである限り、そうしたワクチンに特に関する以下の記述に従うことによって、
一般的に本発明の核酸ワクチンにも応用できるものである。
【0079】 核酸の免疫化には、核酸、通常はDNA、目的の遺伝子をコードするベクターを 使用する。好ましいベクターとしてはpcDNA3(インビトロゲン、グローニンゲン
、オランダ)がある。目的の遺伝子をコードするDNA配列は、典型的には、対象 となる哺乳動物細胞の発現を促す真核細胞プロモーターの制御下に置かれている
。さまざまな公知の配列タグを封入することにより、コードされる遺伝子産物が
、細胞内のさまざまな区画へと誘導されることもある。これが、免疫応答の発達
の方向性に、例えば有利なCTLもしくは抗体産生応答の発達に影響をあたえるべ く利用されることがある。
【0080】 ベクターは、いくつかの可能な経路によって哺乳動物体に導入される。たとえ
ば、裸のDNAベクターの筋肉注射もしくは皮内経路によって、免疫応答の確立に 成功した例があり、代表的なプロトコルとしては、50μgのDNAを3回、2つの筋
肉に筋肉注射するというものがある。その他の可能な経路としては、抗原提示細
胞にとり込まれる粒子内に、核酸ベクターをカプセル化して封じ込めるというも
のがある。ポリ(ラクチド−コグリコリドcoglycolide)PLG微粒子は、当微粒子
をマウスに与えることで免疫応答を高めるのにうまく利用されている。
【0081】 核酸による免疫化の主な利点は、ウイルス感染症における免疫原生成と類似し
た方法で、免疫された哺乳動物の細胞内から長期にわたり免疫原を生成できる点
である。ベクター核酸もまた、効率的かつ持続的な免疫応答を確立するための適
切な環境を提供し、生得的免疫を刺激するものとみなされてきた。
【0082】実施例1 免疫沈降による791Tgp72抗原の同定 791Tgp72抗原の収量を改善するために、細胞膜の免疫沈降反応およびアフィニ
ティークロマトグラフィービオチン化の両方を使用して精製プロトコルを最適化
し、精製分画の効率的な追跡を可能にした。細胞培養および表面ビオチン化は、
Altinら、1994により記載されたように行った。細胞系791Tを熱不活性化10%ウシ
胎仔血清(FCS)を補充したRPMI 1640培地で培養した。細胞をトリプシン/EDTA で回収し、氷冷PBS-C/Mで3回洗浄し、その後0.5 mg/ml スルホ-NHSビオチン(Pi
erce)と4℃で30分間反応させた。いくつかの実験では、ビオチン化は化学架橋 剤3,3-ジチオ-ビス(スルホ-スクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP; Pierc
e)の存在下で行い、関連分子を共有結合させた。これらの研究のために、製造 者(PIERCE)の推奨に従い、細胞をCaCl2/MgCl2を除いたリン酸緩衝生理食塩水 (PBS-C/M, pH 7.6)に懸濁し、ビオチン化し、その後穏やかに混合しながら1時
間室温で架橋させた。最初の沈降はビオチン化したサンプルについて行った。抗
体(791T/36)を完全な細胞または細胞溶解物に加えた。これらの実験には1143/
B7 Mabを陰性対照抗体として使用した。
【0083】 細胞(2〜5 x 107)を4℃で2時間溶解し、細胞溶解物を13000 rpmで15分遠心 分離して清澄化した。そしてプロテインAセファロース(Sigma)を使用して4℃
で30分間免疫複合体を形成させた。この基本的なプロトコルにより界面活性剤及
びその濃度、洗浄条件及びインキュベーション時間を変化させ、精製プロトコル
を最適化することができた。試験した界面活性剤は、0.5、1.0及び1.5%; Nonide
t P-40、Tween-20及びオクチルグルコシドであった。これらをTNE(20 mMトリス
、pH 8.0、140 mM NaCl、5 mM EDTA)中において使用した。洗浄は(20 mMトリ ス pH 8.0、100 mM NaCl、1 mM EDTA、0.1 mM PMSF + 0.25%の界面活性剤)で行
った。洗浄したプロテインAセファロースビーズを、サンプルバッファー(+/- )メルカプトエタノール中、還元または非還元条件で煮沸した。サンプルをSDS-
PAGEにより分析し、ニトロセルロース膜(Hybond(登録商標)-C; Amersham)上に
ウェスタンブロットし、ビオチン化タンパク質の検出はLaemmli (1970), Stern
(1993)及びDunbar(1994)に記載されたように行った。
【0084】 転写後、膜をPBSで手短に洗浄し、室温で30分間乾燥し、その後0.1% Tween-20
及び1% BSAを含むPBSでブロックした。その後膜を0.1% Tween-20を含むPBSによ り5分間2回洗浄し、その後ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRPO)-スト レプトアビジン(1:1500; GIBCOBRL)とともに室温で1時間インキュベートした 。膜をその後3回洗浄し(上記と同様)、タンパク質を強化化学発光(ECL)タン
パク質検出系(Amersham)を使用し、化学発光ブロットをX-OGRAPHフィルムに露
出することにより検出した。非ビオチン化タンパク質の検出は銀染色により行っ
た。
【0085】 図1は791T細胞からのmAb 791/36による免疫沈降反応の結果を示す。全細胞を1
%のNP-40を含むTNENバッファー中で可溶化した。結合反応は、細胞可溶化の前(
レーン1〜4)または後(レーン5〜8)に行った。架橋剤(DTSSP)を一部の反応 で使用し(レーン3、4、7及び8)、沈降は79T/36(奇数レーン番号)または1143
/B7対照抗体(偶数レーン番号)を使用して行った。細胞表面に抗体を架橋する と(レーン3)、精製抗原の量が架橋なしに可溶化された細胞と比較して改善さ れたことが判る。抗原を添加する前に可溶化した細胞によっても同等な結果が得
られた(レーン5及び7)。
【0086】実施例2 抗原の精製のための条件のチェック 多量の791Tgp72の精製の条件を最適化するために、ビオチン化タンパク質の精
製に関して条件を変化させた。初めに、CNBr-活性化セファロース4Bを使用して7
91T/36 Mabによるアフィニティーカラムを作成したが(Holeら、1988; Holeら、1
990; Goding, 1996参照)、これは非常に効率が悪いことが判明した。プロテイン
Aセファロースを使用するこの手順の改変を導入した(Scneiderら、1982)。1〜
2 x 109の791T細胞を、攪拌を続けながらトリスバッファー(20 mMトリス-HCl,
pH 8.5、150 mM NaCI、25 mM ベンズアミジン、5 mM EGTA、10 μg/ml ロイペプ
チン、0.1 mM PMSF)中の1%オクチルグルコシドの100 ml中に4℃で1時間可溶化 した。非可溶化物質は13000 rpmで10分間の遠心分離の後に捨て、その後上清を1
00,000 gで30分間遠心分離した。可溶化物質を0.3〜0.4 ml/分の流量で、プロテ
インAセファロース-791T/36の架橋アフィニティーカラムにかけた。その後カラ
ムを0.1% NP-40を含む0.3 M NaCl含有の50 mM トリス-HCl pH 8.0の20 mlで洗浄
した。791Tgp72抗原を、0.5%のNP-40を含む50 mMのジエチルアミンpH 11.5の5カ
ラム容量で溶離させた。1 M トリス-HCl pH 8.0の200 μlを加えることによりサ
ンプルを直ちに中和した。当初のサンプルを上記のようにしてさらに2〜3回カラ
ムにリサイクルさせ、非精製抗原を全て再捕獲した。画分をSDS-PAGEおよび銀染
色法により調べた。
【0087】 図2は、精製効率に対する種々の条件の効果を示す。レーン2〜4は、異なる非 イオン性界面活性剤により可溶化された3つの細胞溶解物を示す。オクチル-B-グ
ルコシドがより多くの沈殿物を生成し(レーン2)、超遠心分離法を使用した場 合、バックグラウンドのタンパク質夾雑物混入の減少において有意な改善が得ら
れた。791T36-プロテインAセファロースカラム及び同様の条件を用いると、抗 原の収量を有意に改善することができた(図3、レーン10)。しかし、最も温和 な洗浄条件でも抗原が溶出されることが示された(図3、レーン3〜9)。
【0088】 精製手順の分析の後、アフィニティクロマトグラフィーのための最終的な条件
を選択した。 (1) 1% オクチル-Bグルコシドを含む溶解バッファー、pH 8.5で4℃において1時 間。 (2) 溶解物遠心分離:13000 rpm×10分、その後100,000 g×30分。 (3) 791T/36アフィニティーカラムに結合したプロテインAセファロースへの清 澄化した溶解物の添加。 (4) 0.3〜0.4 ml/分でのカラムへの上清の循環。 (5) 0.3 M NaCl及び0.1% NP-40を含む20 mMトリス-HCI pH 8.0の20 mlでのカラ ムの洗浄。 (6) カラム容量の5倍の0.5% NP-40含有ジエチルアミンpH 11.5でサンプルを溶離
させ、1 Mトリスで中和した。 (7) サンプル溶液を3〜4回リサイクルしてできるだけ多くの抗原を回収した。
【0089】実施例3 配列分析 N末端アミノ酸配列を決定するために、アフィニティ精製791Tgp72/66をビバ スピン遠心分離カラムを使用して濃縮した。製造者の推奨に従い、0.1%のSDSを 添加する改変を加えて約10μgのタンパク質をSDS-PAGEにより分析し、PVDF膜(P
ROBLOT, ABI)へウェスタンブロットした。1〜2時間転写した後、ブロットをク マシーブルーで30秒間染色し、10%メタノール20%酢酸中でリンスした。染色され
た66及び72 KDaのバンドをブロットから切り出し、ABI XXXシーケンサ上で16回 の自動化タンパク質配列決定にかけた。
【0090】 図4は、プロテインAカラムの画分からの銀染色の結果を示す。791Tgp72及びp
66の抗原は、2〜3の画分に溶出された。
【0091】 N末端配列分析により、以下の配列「DCGLPPDVPNAQPALE」が得られ、これは崩
壊促進因子(DAF, CD55)の配列と100%の同一性を示すものであった。
【0092】実施例4 CHO細胞へのCD55のトランスフェクション 791T/36 MabによるCD55の認識をチェックするために、CHO細胞をCD55 cDNAク ローンでトランスフェクトした。該クローンは、Dr. Dale Christiansen (Austi
n Research Institute, Victoria 3084, Australia)から得た。該クローンでト ランスフェクトした細胞は、抗-CD55抗体、110及びBRIC 216の結合、さらに791T
/36の結合についてFACS分析によりアッセイした。これらの抗体はいずれもCD55 でトランスフェクトされたCHO細胞に対して良好な結合を示したが、トランスフ ェクトされていない細胞には結合しなかった。表1を参照されたい。
【0093】
【表1】
【0094】実施例5 フローサイトメトリー抗-CD55結合アッセイ 腫瘍及び初代細胞系における791Tgp72及びCD55の発現を測定するため、2 x 10 5 の791T、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)及び赤血球を、冷却抗CD55 110、BRIC
216、220、791T/36及び対照mAB 708(0.1 μg)と別々に37℃で1時間混合した 。その後、ウサギ抗マウスFITC(1:100、DAKO、Denmark)を各チューブに加え、
さらに1時間インキュベートした。791T細胞への791T/36 FITC(0.1 μg)の直接
の結合を1時間後37℃で測定した。細胞をRPMI 1640培地で2回洗浄し、固定し、 フローサイトフルオロメトリーにより測定した。
【0095】 表2は、種々の細胞系への抗体の結合の結果を示す。データは、抗-CD55及び79
1T/36 mabの両者が赤血球、HUVEC細胞、及び骨肉腫細胞系791Tに結合することを
示している。抗-CD55抗体BRIC 216は赤血球及びHUVEC細胞に最も強く結合したの
に対し、791T/36は791T細胞に最も強く結合し、これは正常な細胞よりも約2桁高
い強さであった。これらの結果は、791Tgp72がCD55に密接に関連しているが、若
干の相違があることを示唆している。これらの相違は、異なるグリコシル化また
は翻訳後修飾(例えば点突然変異)であり得る。
【0096】
【表2】
【0097】実施例6 種々の抗-CD55抗体による免疫沈降 抗-CD55モノクローナル抗体が、腫瘍細胞からの抗原を沈降させることができ るかどうかを確認するため、先に記載したものと同じ免疫沈降プロトコールを使
用した。40μgの抗-CD55 110、BRIC 216及び抗-791Tgp72、91T/36をそれぞれ使 用して2 x 1O7個の791T細胞から抗原を沈降させた。
【0098】 抗-CD55モノクローナル抗体、110、BRIC 216及び791T36はともに同様な分子量
の抗原を免疫沈降させたが、収量は791T/36によるものが抗-CD55抗体によるもの
よりもはるかに高いものであった(図5)。これらの結果も同様に、類似した抗 原が抗-CD55抗体及び791T/36の両者により沈降されるが、後者のMabが791Tgp72 に対してより接近しやすいかより高い親和性を有していることを示唆している。
【0099】実施例7 ホスファチジルイノシトールホスホリパーゼC(PI-PLC)処理 CD55はGPI結合タンパク質である。791Tgp72が同様にGPI結合するかどうか確認
するため、791T細胞をホスファチジルイノシトールホスホリパーゼC(PI-PLC; B
oehringer Mannheim, Germany)で処理し、GPI結合抗原を放出させた。細胞(5
x 105)をPI-PLC(l U/ml)とともに37℃で1時間インキュベートした。細胞をPBS により2回洗浄し、モノクローナル抗体との間接免疫蛍光結合及びフローサイト メトリー分析によりCD55及び/または791Tgp72の発現を測定した。
【0100】 表3に示すように、抗-CD55モノクローナル抗体及び791T/36の結合は、PI-PLC と1時間インキュベートした後減少し、約85〜90%の表面発現の最大の減少が見ら
れた。PI-PLCなしに平行してインキュベートした細胞は、その791Tgp72抗原の表
面発現を維持していた。これらの結果は、791Tgp72もGPI結合することを明らか に示している。
【0101】
【表3】
【0102】実施例8 精製791Tgp72抗原 抗-CD55 mabが791Tgp72に結合することができることを確認するために、精製 抗原(50 ng)または抗原放出形態PI-PLC処理791T細胞を可撓性のマイクロ試験 プレート(Falcon, Becton Dickinson, CA, USA)に別々に加え、乾燥するまで37 ℃で放置した。0.05% Tween-20を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS-Tween)によ りプレートを3回洗浄し、室温でBSA(1%)により1時間ブロックした。プレート を3回洗浄し、その後PBS中の抗-CD55抗体(500 ng)を加えた。室温で1時間の後
、プレートをPBS-Tween中で3回洗浄し、1:1000に希釈したコンジュゲートウサギ
抗マウスホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRPO)をさらに1時間加えた。 さらに、十分に洗浄した後、プレートを展開し、405 nmで読み取った。
【0103】 791Tgp72抗原のmAb 791T/36及びその他の抗-CD55抗体への結合はELISAにより 示した。精製791Tgp72抗原に対する791T/36及び抗-CD55抗体の両者の結合が明ら
かに観察された。791T/36もPI-PLC処理791T細胞から放出された791Tgp72抗原に 有意な結合を示した(図6)。精製791Tgp72に対する抗-CD55 mAbの結合は、この
抗原がCD55に対してかなりの相同性を有することを確認するものである。
【0104】実施例9 791T/36エピトープのマッピング DAF(CD55)は、4つのSUSHIドメイン、C-末端O-グリコシル化テール及びGPIア
ンカーからなる。精製791Tgp72をサンドイッチELISAに使用して、どのドメイン に791T/36が結合するかを決定した。抗-CD55 Mabまたは791T/36のいずれかによ り抗原を捕捉し、その後791T/36で検出した。このように、捕獲抗体としての同 じ抗体による抗原の認識は、前記抗体が精製791Tgp72上の2つの部位に結合する ことができることを示すものである。逆に、結合の欠如は抗体が抗原上に1つの 結合部位のみを有することを示すことになる。このように、抗体をCD55の異なる
ドメインにマップすることができる。プレートを抗-CD55抗体220(SUSHIドメイ ン1)、110(SUSHIドメイン2)、BRIC 216(SUSHIドメイン3)で被覆し、4℃で 一晩放置した。プレートをPBS-Tweenにより3回洗浄し、室温で1時間BSA(1%)によ
りブロックした。プレートを3回洗浄し、精製791Tgp72抗原(25 ng)を加えた。
室温での1時間の後、プレートを3回洗浄し、ビオチン化mAb 791T/36(ウェルあ たり500 ng)を加えた。室温で1時間のインキュベートの後、3回洗浄し、1:1000
に希釈したストレプトアビジン-HRPOをさらに1時間加えた。さらに6回洗浄した 後、プレートを展開して405 nmで読み取った。
【0105】 図7は、SUSHIドメイン1および3に結合するモノクローナル抗体により捕捉され
た791Tgp72抗原が791T/36ビオチンにより検出できたことを示している。興味深 いことに、SUSHIドメイン2に対して生成されたmAb 110、または791T/36による79
1Tgp72の捕捉は791T/36ビオチンにより検出できず、791T/36がSUSHIドメイン2の
近傍に結合するに違いないことが示唆された。
【0106】 791T細胞への791T/36の結合を阻害する能力について抗-CD55抗体を競合アッセ
イにおいて試験した。791T/36結合の阻害は、791Tgp72分子上の類似のあるいは 共有される抗原部位に競合抗体が結合したことを示すものである。
【0107】 791T細胞(2 x 105)を種々の量の冷却抗-CD55モノクローナル抗体と37℃で30
分間混合し、その後mAb 791T/36 FITC(0.1 μg)を加えた。37℃で1時間の後、
細胞をRPMI 1640培地により2回洗浄し、固定し、フローサイトフルオロメトリー
により測定した。
【0108】 表4は、791T/36 FITCによる抗-CD55の競合結合アッセイにおいて、非標識mAb
791T/36のみが標識791T/36の結合を阻害したことを示している。これらの結果は
、791T/36がSUSHIドメイン2あるいはその近傍に結合するが、別の部位でモノク ローナル抗体110に結合すること示唆している。
【0109】
【表4】
【0110】実施例10 CD55/CD46キメラタンパク質によるCHOトランスフェクション 791T/36が結合するドメインを確認するために、CD55に類似した構造を有する 膜結合補体制御タンパク質、CD46、すなわち4つのSUSHIドメインを含むがそのド
メインはCD55のものとは異なるものを含むいくつかのキメラ構築物を製造した。
これらの構築物は、Dr. Dale Cristiansen (Austin Research Centre, Victoria
, Australia)により製造されたものである。試験した構築物は以下の通りである
。 (1) CD46(CD55 3); CD55のものにより置換したSUSHIドメイン3を有するCD46。 (2) CD46(CD55 4); CD55のものにより置換したSUSHIドメイン4を有するCD46。 (3) CD46(CD55 3/4); CD55のものにより置換したSUSHIドメイン3/4を有するCD
46。 (4) CD46(CD55 1/2); CD55のものにより置換したSUSHIドメイン1/2を有するCD
46。
【0111】 CD55 SUSHI2を含む構築物でトランスフェクトされたCHO細胞のみが791T/36モ ノクローナル抗体に対して有意な結合を示した(表1)。
【0112】実施例11 抗イディオタイプ抗体 791T/36の抗原結合部位に結合するヒト(105AD7)及びマウス(730)抗イディ
オタイプ抗体を製造した。競合アッセイを使用してこれらの抗イディオタイプ抗
体が他の抗-CD55抗体に結合することができるかどうかを調べた。791T細胞(2 x
105)を、抗-CD55(0.1 μg)及び様々な量の105AD7または730と37℃で1時間混
合した。細胞をRPMI 1640培地で2回洗浄し、その後さらに1時間ウサギ抗マウスF
ITC(1:100)を添加した。細胞をRPMI 1640培地により2回洗浄し、固定し、フロ
ーサイトフルオロメトリーにより測定した。
【0113】 表5及び6の結果は、mAb 105AD7または730の添加濃度が増加すると、791T細胞 に対する791T/36の結合が減少したことを示す。これに対し、いずれの抗イディ オタイプの存在下においてもその他の抗-CD55の結合の減少は見られなかった。 これらの結果は、791T/36がユニークな抗-CD55モノクローナル抗体であるという
結論をさらに支持するものである。
【0114】
【表5】
【0115】
【表6】
【0116】 抗イディオタイプ抗体は、791Tgp72抗原を発現する細胞に対する体液性及び細
胞性の両方の応答を刺激するものであり、それらが前記抗原を模倣し得るもので
あることを示唆している。両方の抗イディオタイプのアミノ酸配列のCD55との比
較により、抗体のCDRH3領域とSUSHIドメイン2の別の領域の両方に相同性を有す る領域が示される。
【0117】 105AD7について: CDR L1 - SUSHII 83〜93との相同性7/9アミノ酸。 CDH H3 - SUSHI2 151〜158との相同性5/7アミノ酸。
【0118】 730について: CDR L1 - SUSHII 83〜93との相同性6/9アミノ酸。 CDH H3 - SUSHI2 121〜128との相同性5/7アミノ酸。
【0119】実施例12 ウェスタンブロッティング 791T/36が正常な細胞からのCD55を免疫沈降させることができるかどうか確認 するため、赤血球(2 x 109)をPBSで2回洗浄し、NP-40(1%, 10 ml)で可溶化し た。3000 rpmで10分間の遠心分離の後、上清を清潔なチューブに移し、遠心分離
した(100,OOO g × 30分)。10μlの赤血球上清(2 x 106の赤血球に相当する )および精製791Tgp72抗原(200 ng)を上述のように非還元条件下でSDS-PAGEに
かけた。タンパク質をニトロセルロース膜に移し、BSA(1%)を含むPBSにより室
温(RT)で1時間ブロックした。PBS-Tween(0.1%)により2回洗浄した後、一次 抗体をRTで1時間加えた。ブロットを2回洗浄し、1:1000に希釈したウサギ抗マウ
スコンジュゲートを加えた。1時間のインキュベートと十分な洗浄の後、ブロッ トをECL系により展開した。
【0120】 赤血球及び791T細胞からウェスタンブロッティングにより791Tgp72抗原を検出
したところ、相違が示された。72 kDaで1つのバンドのみが赤血球で見出された が、791T細胞においては72及び66 kDaの2つのバンドが存在する(図8)。
【0121】 72 kDa及び66 kDaのバンドをノイラミニダーゼ(糖タンパク質からシアル酸残
基を除去する)で処理するとそれぞれ55 kDaのバンドが生成し、72 kDa及び66 k
Daタンパク質が互いのグリコシル化変異体であることが示唆された。
【0122】実施例13 クローン及びDNA配列 791Tgp72の正体を確認するために、このタンパク質をコードしている遺伝子を
クローン化し、配列決定した。グアニジンイソチオシアネート法により単層とし
て増殖させた791T細胞(4 x 107)から全細胞RNAを単離した。第1鎖cDNA合成は 、Ready-To-Go First-Strand Kit(Pharmacia Biotech, UK)を使用して行った 。72及び66 KDaのバンドから得たN末端タンパク質配列に基づいてプライマーを 作製した。
【0123】 Pep 5': GACTGTGGCCTTCCCCCAG C-CD55-5': AAAATGACCGTCGCGCGGCCG C-CD55-3': CTAAGTCAGCAAGCCCATGGT B-CD55-5': GAATACTGCAGATGACCGTCGCGCGGCCG B-CD55-3': CCTACGAATTCTAAGTCAGCAAGCCCATGG FL-CD55-3': ATGTGATTCCAGGACTGCC FL-CD55-5': TGGGCGTAGCTGCGACTCG これらのプライマーは下記のもののために設計した。
【0124】 C-CD55: 認識された開始コドンから本来のCD55の終止コドンまでの真核細胞 中でのクローニングと発現。
【0125】 B-CD55: 精製用のタンパク質を生成するための細菌発現ベクターへのクロー ニングと発現。該配列は付加された5' EcoRI部位及び3' PstI部位を含む。
【0126】 FL-CD55:はCD55の認識されたコード領域及び200 bpの3'非翻訳領域のクロー ニングのために設計された。これは前記抗原の3'末端に生じる可能性のあるスプ
ライシング変異体をクローニングすることを可能にする。
【0127】 791Tgp72 PCRは第1鎖cDNAで行い、使用したプライマーは上に示したプライマ ーセットの混合物であった。サンプルをサーマルサイクラーに置き、以下のプロ
フィールを使用した(94℃で2分のホットスタート、94℃で30秒の変性、55℃で4
5秒、72℃で90秒、全部で30サイクル反復)。PCR産物を改変したpBluescript SK
-ベクター中にクローン化した。ベクター特異的プライマーを使用するPCRにより
陽性クローンを調べ、陽性DNAプラスミドをABI自動シーケンサにより配列決定し
た。
【0128】 最初のクローニング実験によりPEP5'及びCCD553'、BCD553'またはFLCD553'の いずれかから生成された産物が得られた。この配列決定の結果により、クローン
化産物とCD55の報告された全配列との間に差異がないことが示された(図9)。C
D55の翻訳アミノ酸配列を図10に示す。
【0129】 最近、PCRにより生成されたCD55産物の完全長のものがFLCD555'及びFLCD553' 、CCD553'またはBCD553'のいずれかを使用してクローン化されている。
【0130】考察 免疫療法の標的としての791Tgp72の使用に対する関心は初め、この抗原が骨肉
腫、結腸直腸癌、胃癌及び卵巣癌の大部分で発現されていることが示されること
により生じた。また791Tgp72の腫瘍特異性は、原発性及び転移性結腸直腸癌、骨
肉腫、乳癌及び卵巣癌の検出における、放射性標識抗791Tgp72モノクローナル抗
体791T/36を使用した広範な臨床学的イメージング研究によっても強調されてい る。本明細書に示した結果は、791Tgp72の最初の単離、及びこの抗原または関連
するファミリーメンバーCD55の癌ワクチンとしての使用に関連する。
【0131】 先行技術から、CD55は、実質的に全ての造血細胞、並びに血管内皮、胃腸管、
尿生殖路、中枢神経系及び細胞外マトリックスを含む内皮組織及び上皮組織にお
いて発現されることから、T細胞免疫に対して標的となることは非常に驚くべき ことである。791T/36は赤血球に弱く結合し、これは臨床学的イメージング研究 に有利である可能性がある。791T/36抗体は赤血球に弱く結合し、赤血球が腫瘍 中を通過する際に、より高い親和性で結合する791Tgp72への、抗体の移動を可能
としうる。CD55は最初、古典的経路C3コンベルターゼ(C4b2a)の減衰を促進す る能力に基づいて精製された。代替経路C3コンベルターゼ(C3bBb)に関して同 じ機能を発揮するが、C3bまたはC4bのI因子により媒介されるタンパク質分解的
な分解のコファクター活性は有していない。従って、CD55はC3コンベルターゼ段
階において補体により媒介される溶解から細胞を保護する。
【0132】 正常なヒト組織は、膜結合補体抑制性タンパク質を発現し、このタンパク質は
それらの組織を自己由来補体による傷害から保護する。新生細胞もまたこれらの
タンパク質を発現するかどうかを確認するため、これまでの研究者は、ヒト乳癌
、結腸癌、腎臓癌及び肺癌並びに隣接する非新生細胞組織の凍結サンプルにおけ
るCD55(DAF)、CD59(プロテクチン)及びCD46(膜コファクタータンパク質) の分布を調べた。正常組織と対応する新生細胞の間の相違が観察され、1種以上 のインヒビターの発現の喪失または獲得が見られた。いくつかの腫瘍は1種のみ のインヒビターを発現し、その他のものは2または3種のインヒビターを種々の組
合せで発現した。これに対し、結腸癌は全てのインヒビターを発現した。この結
果は、肺小細胞癌を除いて殆どの癌が、補体媒介細胞傷害を阻害し得るレベルで
1種以上の補体インヒビターを発現することを示している。卵巣腫瘍細胞、胃腸 管腫瘍細胞のようなその他の腫瘍組織もチェックした。CD55の表面発現レベルは
変化し、C-媒介型細胞溶解への細胞の受攻性と相関していた。すなわち、悪性細
胞のCレギュレーターの発現は腫瘍逃避機序(tumour escape mechanism)を構成
し得、mAb療法を考慮する場合、調べるべき重要なパラメーターである。さらに 、標的細胞上のCD55の発現は、それらをナチュラルキラー細胞による細胞溶解に
対して耐性にする。多くの腫瘍はMHC分子を喪失していることによりT細胞認識を
逃れるが、このことはそれらをNK傷害に対して感受性とする。従って、NK溶解を
阻害するCD55の過剰発現は明らかな利点である。
【0133】 補体溶解及びNK溶解からの細胞の保護における役割をする、正常細胞における
CD55の大量発現は、T細胞免疫療法のほとんど可能性のない標的となる。しかし 、CD55のエピトープを模倣する105AD7による臨床試験によれば、それが優れたT 細胞応答を刺激しうることが示されている。しかし791Tgp72はCD55とは若干異な
っている。腫瘍細胞からは2つのバンドが沈降されるのに対し、赤血球では1つの
バンドだけが見られる。抗CD55抗体は腫瘍細胞から791Tgp72を沈降させることが
できるが、収量は791T/36で見られるものよりも非常に低い。これは、791T/36が
腫瘍細胞に最も強い結合を示すが、抗CD55モノクローナル抗体BRIC 216は赤血球
によりよく結合する細胞結合アッセイに反映されている。CD55の異なる形態が、
赤血球のような組織、尿及び涙から単離されている(Nakano ら, 1991; Sugitaら
, 1988; Seyaら, 1995)。赤血球からのCD55-A(63 kDa)及びCD55-B(55 kDa) は、GPIアンカーを有しないようである。尿中のCD55-U2(60〜8O kDa)は不活性
であると思われる。CD55のヒトスプライス変異体の存在が提唱されているが、推
定タンパク質はこれまで単離されていない。さらに、補体減衰以外の新たな機能
も提唱されている。抗CD55モノクローナル抗体で架橋された活性化T細胞は、T細
胞増殖及びシグナル伝達を誘発することができる。これが、CD55が活性化T細胞 上で発現されるCD97受容体のリガンドであるという最近の観察と関連があるかど
うかは不明である。
【0134】 腫瘍細胞においてCD55あるいは種々の形態のCD55/791Tgp72に異なる役割があ るのかどうか、あるいはディファレンシャル(differential)であるかどうか、
腫瘍が過剰発現する分子を使用して、癌ワクチンとして免疫攻撃からそれら自体
を保護するという興味深い期待を与えるものである。細胞がそのような分子を発
現しなかった場合は、補体媒介溶解及びNK溶解に感受性となり、細胞が抗原を発
現する場合は、CD55特異的T細胞に傷害されるという二つの場合に分けられる。
【0135】参考文献 本明細書に挙げた文献は全て引用により本明細書の一部とすることを明記する
【0136】 Embletonら, Br. J. Cancer 1981; 43: 582-587. Priceら, Br. J. Cancer 1984; 49: 809-812. Durrantら, Cancer Res. 1986; 46: 3543-3549. Durrantら, J. Natl. Cancer Inst. 1989; 81: 688-695. Durrantら, British Journal Of Cancer 1989; 60: 855-860. Durrantら, Clinical and Experimental Immunology 1989; 75: 258-264. Austinら, Immunol 1989; 67:印刷中 Altinら, Immunol., Cell Biol. 1994; 72: 87-96. Laemmli, Nature 1970; 227: 680-685. Stern, Immunocytochemistry of Embryonic Material(胎児を材料とした免疫細
胞化学)Oxford: IRL press, 1993. Dunbar, Protein Blotting: A Practical Approach(タンパク質ブロッティング
:実用的方法)Oxford: IRL Press, 1994. Holeら. Br. J. Cancer 1988; 57: 239-246. Holeら, Int. J. Cancer 1990; 45: 179-184. Goding, Monoclonal antibody: Principles and Practice(モノクローナル抗体
:原理と実施)London: Academic Press, 1996. Schneiderら, J. Biol. Chem. 1982; 257: 10766-10769. Nicholson-Wellerら, J. Immunol., 1981; 127: 2035-2039. Nicholson-Wellerら, J. Immunol., 1982; 129: 184-189. Seyaら, International Immunology 1995; 7: 727-736. Nakanoら, Biochem. Biophys. Acta. 1991; 1074: 326-330. Sugitaら, J. Biochem. 1988; 104: 633-637.
【図面の簡単な説明】
【図1】 SDS−PAGEとウェスタンブロッティングによるビオチン化したタンパク 質の検出結果を示す。791T細胞をビオチン化し、抗DAF抗体(791T/36)ま
たは対照抗体(1143/B7)を1%NP-40で可溶化する前と後のどちらかに加え た。沈殿物への架橋剤の効果について評価した。X=細胞とモノクローナル抗体
を1時間インキュベーションした後の可溶化。0=抗体添加前の細胞の可溶化。
【図2】 細胞表面をビオチン化した791T細胞からの791T/gp72免疫沈降物をSDS-PAGE
分析した結果を示す。サンプルは、ウェスタンブロットしたゲルにECL試薬を用 いて検出した。ゲルは、サンプル精製に用いた各種洗浄剤ならびに遠心分離プロ
トコールの影響を表す。
【図3】 タンパク質精製中のサンプルのSDS−PAGE分析ならびに銀染色結果を示す。1レ
ーンは、タンパク質マーカー;2レーンは細胞溶解物;3レーンはカラム通塔後
の未結合サンプル;4から7レーンは、5mlカラムの連続洗浄4回からのサンプル
;レーン8は濃縮洗浄;レーン9はカラム溶出液のサンプル;10レーンは濃縮カ
ラム溶出液。ゲルにかけたサンプルの容積はそれぞれ25μlであった。洗浄・溶
出量は5mlであった。
【図4】 7%SDS-PAGEでアフィニティー精製し、銀染色によって検出した791T/gp72の 分析結果を示す。1から5レーンは、プロテイン-Aアフィニティーカラムからの1.
2mlのジエチルアミン溶出液からの逐次サンプル25μl。6から10レーンは、精
製したBSAの各種濃度。
【図5】 DAF(110、BRIC216)抗791T/gp72(791T/36)と抗EGFレセプターモノクロー
ナル抗体(340)への、細胞表面をビオチン化した791T細胞の免疫沈降を示す。 同量の抗体を用い、SDS-PAGEとウェスタンブロッティングで分析し、ECLシステ ムで検出する試験を行った。1レーンは、精製した791T/gp72を示す。4から7レ ーンは、それぞれモノクローナル抗体110、BRIC216、791T/36および340を用い た沈降を示す。抗DAF抗体よりも、791T/36によって沈降した抗原の方が有意に 多かった。
【図6】 抗DAF抗体(110、BRIC216)および791T/36の、アフィニティ精製した791Tgp7
2抗原およびPI-PLCで処理した791T細胞から放出された抗原の結合を示す。
【図7】 791T/36と抗DAF抗体が、異なるドメインに結合していることを検出したサン ドイッチELISAの結果を示す。791T/36、対照抗体708(IgG2b)または抗DAF抗体
がプレートに塗布してある。すなわち、220(SUSHIドメイン1)、110(SUSHIド
メイン2)、BRIC216(SUSHIドメイン3)である。791Tgp72の結合はFITC−791T /36で検出された。
【図8】 赤血球および791T細胞膜由来のタンパク質の非還元SDS-PAGE結果を示す。ゲル
をウェスタンブロットし、レーンに切り分け、適当な抗体でプローブし、ECLシ ステムを用いて現像した。
【図9】 CD55と791T細胞からのクローン生成物とのクラスターのアライメント(clusta
l alignment)を示す。5/P5は、プライマー配列P5から配列決定したクローン
5つを表す。B/C DAFのRCは、プライマーB DAF 3’とC DAF
3’から配列決定したクローン5つを示す。CDAF.seqはGENBANKから取得 したCD55配列の全長である。
【図10】 CD55のアミノ酸配列全長とこれをコードするcDNA配列を示す。
【図11】 791Tgp72のcDNA配列全長とその推定アミノ酸配列を示す。791Tgp72は、CD
55と同一のアミノ酸配列を有し、かつ5’と3’の非コード領域に違いはあるもの
のコード領域全体がCD55をコードするcDNAと同一であるcDNAによってコードさ
れることが示された。この5’と3’の非コード領域における相違は、異なるプラ
イマーを用いたためと考えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE,G H,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 デゥラント、リンダ、ジリアン イギリス国 エヌジー5 1ピービー ノ ッティンガム、ハックナール ロード、デ パートメント オブ クリニカル オンコ ロジー、シーアールシー テクノロジー リミテッド、シティー ホスピタル、ユニ バーシティー オブ ノッティンガム (72)発明者 スペンドラブ、イアン イギリス国 エヌジー5 1ピービー ノ ッティンガム、ハックナール ロード、デ パートメント オブ クリニカル オンコ ロジー、シーアールシー テクノロジー リミテッド、シティー ホスピタル、ユニ バーシティー オブ ノッティンガム Fターム(参考) 4B024 AA01 AA12 BA36 CA04 DA02 GA11 GA18 HA01 HA12 HA15 4C084 AA02 AA03 BA01 BA02 BA20 BA22 CA53 NA14 ZB262 4C085 AA03 CC21 EE01 4H045 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 CA42 DA86 EA28 FA74 GA26 HA06

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CD55ファミリーのポリペプチド、またはCD55ファミリーのポ
    リペプチドの断片もしくは誘導体を含んでなる癌ワクチンであって、患者におけ
    る免疫応答を誘導し得る前記癌ワクチン。
  2. 【請求項2】 CD55ファミリーのポリペプチドまたはその断片もしくは誘導
    体が、791Tgp72抗原またはその断片もしくは誘導体である、請求項1記載の癌ワ
    クチン。
  3. 【請求項3】 完全長の791Tgp72抗原またはCD55ポリペプチドを含んでなる
    、請求項1または2記載の癌ワクチン。
  4. 【請求項4】 抗原、ポリペプチド、断片または誘導体が、図10に記載のア
    ミノ酸配列の一部または全部を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の癌
    ワクチン。
  5. 【請求項5】 抗原、ポリペプチド、断片または誘導体が、図10に記載のア
    ミノ酸97〜159からなるアミノ酸配列の一部または全部を含む、請求項1〜4の いずれか一項に記載の癌ワクチン。
  6. 【請求項6】 抗原、ポリペプチド、断片または誘導体が、図10に記載のア
    ミノ酸121〜128または151〜158内に含まれる7個のアミノ酸からなる連続領域に
    対応するアミノ酸と同一な少なくとも5個のアミノ酸を有する配列を含む、請求
    項5に記載の癌ワクチン。
  7. 【請求項7】 抗原、ポリペプチド、断片または誘導体が、図10に記載のア
    ミノ酸83〜93内に含まれる9個のアミノ酸からなる連続領域に対応するアミノ酸
    と同一な少なくとも6個のアミノ酸を有する配列を含む、請求項1〜6のいずれ
    か一項に記載の癌ワクチン。
  8. 【請求項8】 CD55ファミリーのポリペプチドに由来する少なくとも5個の
    連続アミノ酸からなる断片を含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の
    癌ワクチン。
  9. 【請求項9】 図10に記載のアミノ酸配列に由来する少なくとも5個の連続
    アミノ酸からなる断片を含んでなる、請求項8記載の癌ワクチン。
  10. 【請求項10】 断片が、少なくとも7個の連続アミノ酸からなる、請求項
    8または9記載の癌ワクチン。
  11. 【請求項11】 断片が、少なくとも9個の連続アミノ酸からなる、請求項
    10記載の癌ワクチン。
  12. 【請求項12】 断片が、少なくとも13個の連続アミノ酸からなる、請求項
    11記載の癌ワクチン。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれか一項に記載の抗原、ポリペプチ
    ド、断片または誘導体をコードする核酸分子を含んでなる癌ワクチンであって、
    患者における免疫応答を誘導し得る前記癌ワクチン。
  14. 【請求項14】 図10または図11に記載の核酸配列の一部または全部を有す
    る、請求項13記載の癌ワクチン。
  15. 【請求項15】 免疫応答が、Tヘルパー細胞応答、細胞傷害性T細胞応答
    およびNK細胞応答のうちの1種以上である、請求項1〜14のいずれか一項に記
    載の癌ワクチン。
  16. 【請求項16】 癌細胞によって発現されるCD55または791gp72に対する免 疫応答を誘導し得る、請求項1〜15のいずれか一項に記載の癌ワクチン。
  17. 【請求項17】 免疫応答が、癌ではない細胞よりも癌細胞に対して強い親
    和性を示す、請求項16記載の癌ワクチン。
  18. 【請求項18】 癌治療用医薬品の製造における、請求項1〜17のいずれ
    か一項に記載の抗原、ポリペプチド、断片、誘導体または核酸分子の使用。
  19. 【請求項19】 癌患者の治療方法であって、患者に請求項1〜17のいず
    れか一項に記載の癌ワクチンを治療上有効な量で投与することを含んでなる、前
    記方法。
  20. 【請求項20】 単離精製された791Tgp72抗原。
  21. 【請求項21】 図10に記載のアミノ酸配列を有し、分子量が約66kDである
    、請求項20記載の単離精製791Tgp72抗原。
  22. 【請求項22】 791Tgp72抗原に対する抗体結合の特異性が、ヒト赤血球お
    よび/またはHUVEC細胞で発現されるCD55抗原に対する抗体結合に比べ、抗CD55 抗体BRIC 216の場合よりも791T/36の場合の方が高い、請求項20または21記 載の単離精製791Tgp72抗原。
  23. 【請求項23】 (a)791T細胞を、1%オクチル-B-グルコシドを含む溶解バッファー(pH8.5)中 で1時間4℃にて可溶化し、 (b)溶解物を13000rpmで10分間、次いで100,000gで30分間遠心分離し、 (c)清澄化した溶解物を、791T/36アフィニティーカラムに結合したプロテイン
    Aセファロースへ添加し、 (d)0.3〜0.4ml/分にて上清をカラムへ循環させ、 (e)0.3M NaClと0.1%NP-40を含む20mlの20mM Tris-HCl(pH8.0)でカラムを洗 浄し、 (f)カラム容量の5倍の0.5%NP-40含有ジエチルアミン(pH11.5)で791Tgp72を カラムから溶離させ、溶離液を1MTrisで中和する ことによって得られる、請求項20〜22のいずれか一項に記載の単離精製791T
    gp72抗原。
  24. 【請求項24】 請求項20〜23のいずれか一項に記載の791Tgp72を、製
    薬上許容される担体と共に含んでなる医薬組成物。
  25. 【請求項25】 薬物療法に使用するための、請求項20〜23のいずれか
    一項に記載の791Tgp72。
  26. 【請求項26】 791Tgp72を発現する細胞から791Tgp72抗原を単離する方法
    であって、 オクチル-グルコシドを含む溶解バッファーで細胞を可溶化し、 溶解物を超遠心分離を用いて処理する 工程を含んでなる前記方法。
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