JP2002503274A - ポリエステルおよびコポリエステルの製造方法 - Google Patents
ポリエステルおよびコポリエステルの製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
ポリエステルおよびコポリエステルを製造するために、重縮合触媒として、チタン化合物と、IA、IIA、VIIIA、IB、IIB、IIIBおよびIVBの群から選択された金属の金属化合物との同時的な加水分解による沈殿により製造された共沈物を単独で、または混合物にして使用し、その際、チタン化合物および金属化合物は相互に無関係にチタンもしくは金属のアルキラート、アルコラートまたはカルボキシラートであり、かつチタン化合物対金属化合物のモル比は≧50:50である。該共沈物は、Sb2O3よりも高い触媒活性を有しているので、有利な使用量は、重縮合するべきエステルまたはオリゴエステルに対してわずか10〜100ppmである。
Description
【発明の詳細な説明】
ポリエステルおよびコポリエステルの製造方法
ポリエステルおよびコポリエステルは、脂肪族から完全芳香族の数多くの可能
なバリエーションに広がるそれらの構造とは無関係に、一般に2工程法により製
造される。第1工程で特にジカルボン酸エステルのエステル交換または過剰量の
ジアルコールを用いたジカルボン酸のエステル化により、重縮合させるべきエス
テルまたはオリゴエステルの混合物からなるポリエステル初期縮合物を製造し、
出発化合物のモル比に応じたその平均的な相対分子量は、通例100〜2000
であってもよい。場合により所望の分枝鎖の変性のために、限定的な量の比較的
官能性の高い出発成分、例えばグリセリン、ペンタエリトリトールおよびトリメ
リト酸を使用することができる。この第1工程に相当する工程は、ジカルボン酸
塩化物とジオールとの反応、ジカルボン酸へのエチレンオキシドの付加、ジアル
コールを用いた酸無水物のエステル化、酸無水物とエポキシドとの反応およびジ
カルボン酸またはジカルボン酸エステルとジオールのジアセタートとの反応であ
る。第2の反応工程は本来の重縮合であり、その際にアルコールおよび/または
水を分離しながらポリエステルまたはコポリエステルの所望の高い分子量を達成
しなくてはならない。真空を施し、不活性ガスを導通し、かつ反応温度を上昇さ
せる以外に、重縮合は、特に特殊な重縮合触媒により促進される。
フィルムおよび繊維を形成するポリエステルの製造に関して、重縮合反応の促
進のために、すでに多数の重縮合触媒が提案されている。数多くの特許で挙げら
れている主要な化合物の大多数は、不十分な触媒活性またはその他の欠点を有し
ており、従来技術ではほとんどSb含有化合物のみが重縮合触媒として使用され
ている。残念ながら該触媒は、最近では環境政策上の懸念に衝突するので、その
代替品が一般に望ましいと思われる。
Sb2O3の代替触媒を提供するという試みは繰り返し着手されてきた。特にす
でにアルコキシチタネート、特にテトラブチルチタネートが提案されており、そ
の際、この化合物はエステル交換のためのみに(JA−PS7411474号)
、エステル交換および重縮合のために(JA−OS7786496号)または重
縮合のためのみ(JA−OS8023136号)に使用されている。というのも
該化合物は両工程に対して触媒効果があるからである。チタン化合物の使用は、
重縮合したポリエステルに変色を引き起こすので、JA−OS78106792
号によれば、チタン化合物を種々の有機物質、例えばアミンで予備処理するか、
またはその他の重縮合触媒、特にSb2O3と組み合わ
せることが必要である(JA−OS78109597号)。
DE特許第947517号から、ポリエチレンテレフタレートの製造のために
、金属酸化物、例えば酸化亜鉛、三酸化ホウ素、酸化鉛および二酸化チタンを重
縮合触媒として使用することが公知である。しかしこれらの金属酸化物を用いた
重縮合時間は、非常に長く、かつ該文献の例によれば7〜14時間であることが
実証されている。この理由によりBE特許第619210号では、該文献のポリ
エステルを製造するためにTiO2の使用の際に別の重縮合触媒としてSb2O3
を使用しており(例1を参照のこと)、該触媒により重縮合の速度が著しく向上
する。この状況から、重縮合触媒としてSb2O3またはチタンテトラブチレート
のみを用いて作業するという有効性が生じることは自明である(BE特許第61
9210号のその他の例を参照のこと)。
DE−A14400300号およびDE−A14443648号は、重縮合触
媒としてTiO2/SiO2−およびTiO2/ZrO2−共沈物を開示している。
本発明の課題は、ポリエステルおよびコポリエステルの一般的な合成に関して
、更なる新規の重縮合触媒を、Sb2O3の代替物として提供することであり、こ
れは特にそれぞれ同一の濃度でSb2O3、TiO2およびチタンテトラブチレー
トが有しているよりも高い触
媒活性により優れている。
本発明の対象は、第一の反応工程でエステルまたはオリゴエステルを製造し、
これを第二の反応工程でチタン触媒の存在下に重縮合する、ポリエステル形成性
出発成分の重縮合によりポリエステルおよびコポリエステルを製造するための方
法であり、該方法の特徴は、エステルまたはオリゴエステルの重縮合のための重
縮合工程で重縮合触媒として、チタン化合物と、IA、IIA、VIIIA、I
B、IIB、IIIBおよびIVBの群から選択された金属の金属化合物との同
時的な加水分解による沈殿により製造される共沈物を単独で、または混合物とし
て使用することであり、その際、チタン化合物および金属化合物は相互に無関係
にチタンもしくは金属のアルキラート、アルコラートまたはカルボキシラートで
あり、かつチタン化合物対金属化合物のモル比は、≧50:50モル/モルであ
る。
金属化合物中で有利な金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシ
ウム、鉄、コバルト、銅、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウムおよびスズである
。
チタン化合物対金属化合物の有利なモル比は、≧80:20モル/モルである
。
チタンもしくは金属のアルキラート基、アルコラート基またはカルボキシラー
ト基は、例えば1〜6個の
炭素原子を有する化合物であり、その際、アルキラートとしてブチル基、アルコ
ラートとしてメチラート基、エチラート基またはi−プロピラート基およびカル
ボキシラートとしてアセタート基またはオキサラート基が特に有利である。
モル比90:10モル/モルのチタン(IV)−テトライソプロピラートとス
ズ(IV)−ジオキサラートとからなる本発明による共沈物が、特に高い触媒活
性を示す。
一般に本発明による共沈物は、カール・フィシャー滴定で測定し、かつ水和し
た共沈物に対して含水率0〜15質量%を有する。15質量%を上回る含水率の
場合、貯蔵安定性が低下する。というのも該触媒は、貯蔵後に著しくわずかな活
性を示すからである。
TiO2がポリエステルの合成のために不良な重縮合触媒であるという事実に
基づいて(比較例3aおよび3bを参照のこと)、請求項1の記載により使用さ
れる共沈物は、特に糸を形成する高分子ポリエステルおよびコポリエステルの製
造にとって実に効果の高い重縮合触媒であり、さらにそれどころか有利に使用さ
れる極めてわずかな使用量において意外である。
アルコラートからの本発明により使用される共沈物の製造は、原則として公知
である(例えばB.E.Yoldes,J.Non-Cryst.Solids,38および39,81(1980);E.A.
Barringer,H.K.Bowen,J.Am.Ceram.Soc.,65C199(
1982);E.A.Barringer,Ph.D.Thesis,MIT(1982);B.Fegley jr.,E.A.Barringe
r,H.K.Bowen,J.Am.Ceram,Soc.,67,C113(1984)を参照のこと)。式M(O
R)mの金属アルコキシドから出発し、その際、Mは、その都度所望される共沈
物に応じて、Tiと、IA、IIA、VIIIA、IB、IIB、IIIBおよ
びIVBの群から選択された金属とを表し、mは金属の最も安定した原子価段階
を表す。アルコキシドを加水分解し、その際、重縮合反応により架橋が形成され
る。
自体公知の方法により金属アルコキシドを製造するために適切なアルコールは
、例えば一価のアルコール、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロ
ピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコ
ール、n−アミルアルコール、3−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール
、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、n−オクタノールおよびn−デカノー
ルであり、これらは単独で、または混合物で使用することができる。しかしまた
多価のアルコール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1
,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール
、グリセリン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールも、場合に
より一価のアルコールとの混合物として使用することができる。
共沈物の製造のために、同様にしてアルキラート、例えばブチラートから、ま
たはカルボキシラート、例えばアセタートまたはオキサラートから出発すること
ができる。
有機金属化合物、例えばチタン−テトライソプロピラートおよびSn(IV)
ジオキサラートの加水分解は、多種多様な方法で実行することができる。例えば
無水アルコール、例えばエタノール中に溶解したチタン化合物および金属化合物
を水または水性アルコールの添加により、約20分〜2時間の時間以内に、0〜
50℃で加水分解することができる。しかしまた加水分解は、チタン化合物およ
び金属化合物の非溶解混合物に、前記の条件下で水または水性アルコール溶液を
添加しても実施することができる。しかし加水分解のために必要な水はまた、例
えばチタン化合物および金属化合物の混合物に0〜50℃で3〜30時間、湿っ
た窒素を導通することにより、気相中の湿分として含有されていても良い。有利
には反応器中での使用に適切な、グリコール中の共沈物の分散液のいわゆる「現
場での形成(in situ-Bildung)」であってもよい。この場合、チタン化合物およ
び金属化合物の非溶解混合物を、加水分解のために必要な水分を含有しているグ
リコールの添加により、前記の条件下で共沈物として沈殿させることができる。
グリコールが少量の水を含有している場合には、加水分解を付加的に、例えば湿
っ
た窒素を反応容器に導通することにより実施することができる。
本発明により使用される共−沈殿物の室温での製造の有利な実施態様は、実験
の部において例1〜13で記載する。ここで加水分解条件とは、回避するべきゲ
ル形成は排除するものとし、かつそれぞれの共沈物の均一な沈殿を行うものであ
る。
本発明による、重縮合触媒として使用される沈殿物および共沈物の添加量は、
広い範囲で変化しても良く、かつ重縮合させるべきエステルまたはオリゴエステ
ルに対して約5〜500ppmの全量を含む。従ってその量は原則的にSb2O3
の適用の場合と同様の範囲であってもよく、これは通例、重縮合触媒として約3
00〜600ppmの量で使用する。
しかし、製造されるポリエステルおよびコポリエステルの特定の適用分野にお
いて、良好な色数の達成に注意しなくてはならない場合、共沈物を、重縮合する
べきエステルまたはオリゴエステルに対してわずか10〜100ppmの全量で
使用する。本発明により使用される共沈物の高められた触媒活性により、Sb2
O3を適用する場合よりも著しくわずかな添加量の適用が可能になり、この場合
、次いでこのようにして製造したポリエステルの場合、同一の重縮合時間、およ
び、少なくともチタン(IV)−テトライソプロピラートおよびスズ(IV)−
ジオキサラートから製造さ
れた共沈物を使用する場合には、完全に認容可能なb*値3.0〜8.0が達成
される。このb*値範囲は特に、重縮合触媒としてSb2O3 400ppmの使
用下でのポリエチレンテレフタレートの製造の際に同様にして得られる値に相当
する。
本発明により使用される共沈物の添加は有利には、第一の反応工程で合成され
たエステルまたはオリゴエステル、例えば重縮合するべきジカルボン酸のビスグ
リコールエステルおよび/またはこのようなビスグリコールエステル1種以上の
初期縮合物に、その重縮合前に、5〜20%のグリコール性懸濁液の形で添加し
て行う。しかし原則として、場合によりエステル交換触媒1種以上を一緒に用い
てエステル交換を行う場合には、共沈物を任意の時点で第一の反応工程中に添加
することも可能である。第一の反応工程におけるエステル交換の場合、場合によ
りエステル交換触媒をエステル交換後に自体公知の方法でリン化合物の添加によ
りブロックすることが有利な場合もある。適切なリン化合物は、例えばカルボエ
トキシ−メチル−ジエチルホスホネート、ジ(ポリオキシエチレン)ヒドロキシ
メチルホスホネート、テトライソプロピル−メチレン−ジホスホネートおよびH3
PO4であり、その場合、一般に添加されるP濃度は30〜50ppmで十分で
ある。
本発明により使用される共沈物は、従来重縮合触媒
としてSb2O3を、場合によりその他の重縮合触媒1種以上と組み合わせて使用
していた通常の反応条件下で原則として、種々のポリエステルおよびコポリエス
テルを製造するための重縮合触媒として適切である。異なった適用分野はまた、
ポリエステルおよびコポリエステルの異なった種類に相当する。
本発明により使用される共沈物を用いて、相対分子量<10000を有する飽
和ポリエステル樹脂(ヒドロキシポリエステル)およびアルキド樹脂を製造する
限り、これをラッカーおよび塗料中のバインダーとして使用することができる。
ここでアルキド樹脂とは、今日の言語の慣用によれば、ポリカルボン酸およびポ
リアルコールとからなる油脂変性ポリエステルならびに例えばビニル化合物、エ
ポキシド樹脂、シリコーン、ジイソシアネートおよび有機金属化合物とこれらと
の反応生成物(変性されたアルキド樹脂)と解釈する。アルキド樹脂のためのポ
リカルボン酸として実質的に、フタル酸、イソフタル酸、マロン酸、コハク酸、
アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、二量化された脂肪酸、
ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マレイン酸、フマル酸を使
用し、かつ難燃性のためにハロゲン含有ジカルボン酸、例えばテトラクロロフタ
ル酸無水物を使用する。ポリオールとして、一般にグリセリン、ペンタエリトリ
トール、ジペンタエリトリトール、トリメチロールプ
ロパン、トリメチロールエタン、ソルビトールおよび二官能性ポリオール、例え
ばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオー
ルおよび1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコ
ールおよびネオペンチルグリコールを使用する。アルキド樹脂を製造するための
第三の成分は、長鎖の脂肪酸であり、これは合成脂肪酸、例えば、ペラルゴン酸
、アビエチン酸および合成脂肪酸混合物(C7〜C9)、あるいはもっぱらその脂
肪および油の形で使用される天然の脂肪酸、例えば亜麻仁油、ヒマシ油、ココナ
ッツ油、大豆油および綿実油である。これに対してDIN55945に定義され
ている飽和ポリエステル樹脂を製造するためには、重縮合の際に長鎖の脂肪酸を
使用しないが、その一方でその他においては使用される飽和ポリカルボン酸およ
びポリアルコールは実質的にアルキド樹脂を製造する際に使用するものと同一で
ある。
本発明による共沈物を用いて相対分子量<10000を有するポリウレタンの
ための初期生成物として(コ)ポリエステルを合成する場合、これは公知の方法
に基づいたその後の加工に応じてポリウレタン塗料のみではなく、多種多様の様
々な貴重な使用特性を有するプラスチックタイプ(ジュロマー、熱可塑性プラス
チック、鋳型エラストマー、硬質および軟質発泡材料、プレス成形材料、硬質お
よび柔軟性の被覆、接着剤
)につながる。ポリウレタンのための前駆体としての低分子量ポリエステルおよ
びコポリエステルは、一般に飽和の脂肪族または芳香族ジカルボン酸と、二官能
性または三官能性および四官能性のアルコールとから製造され、かつ直鎖状であ
るか、あるいはわずかに、ないし強く分枝している。本発明により使用される共
沈物で、このために公知の、ヒドロキシル価KOH28〜300mg/gおよび
多くの場合、酸価KOH1mg/g未満を有する全ての広い範囲のヒドロキシポ
リエステルの製造が可能である。主として芳香族またはヒドロ芳香族ジカルボン
酸をベースとして得られたポリエステルの中で、強く分枝したポリエステルを、
主としてポリウレタン塗料のためのバインダーとして使用する。
本発明により使用される共沈物は、通常の反応条件下で特に、公知の高温溶融
性の繊維およびフィルム形成性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタリン−ジカ
ルボキシラート)、ポリ(ブチレン−2,6−ナフタリン−ジカルボキシラート
)、ポリ(1,4−ジメチレンシクロヘキサンテレフタレート)および熱可塑性
ポリエステルの種類に属する、少なくとも80モル%の高いホモポリエステル割
合を基礎とするこれらの混合ポリエステルの製造のための重縮合触媒として適切
である。この種のポリエス
テルおよびコポリエステルは、基本的に>10000の分子量を有する。共沈物
を用いて有利に重縮合されたポリアルキレンテレフタレート、特にポリエチレン
テレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートは、混合ポリエステルとして
20モル%まで、少なくとも1つの別のポリエステル形成性の成分から誘導され
る単位からなっていてもよい。その他においてはもちろん、本発明による重縮合
触媒の適用にとって、重縮合させるべきジカルボン酸のビスグリコールエステル
および/またはそのようなビスグリコールエステル1種以上からなる初期縮合物
が、エステル交換法により、あるいは直接エステル化法により製造されているか
は重要ではない。
例えば本発明による重縮合触媒は、通常テキスタイルの目的のためのスフに加
工される、極限粘度数[η]0.65〜0.75を有する繊維形成性ポリエチレ
ンテレフタレートの製造のためにも、またここから工業的な目的のためのフィラ
メント糸を製造する、極限粘度数[η]0.75〜0.80および0.95〜1
.05を有する繊維形成性ポリエチレンテレフタレートの製造のためにも適切で
ある。高められた分子量は、直紡を用いた連続的な重縮合により、または有利に
は固相中での後縮合により達成することができる。固相中での後縮合のためには
、場合により存在するエステル交換触媒を自体公知の方法でリン化合物によりブ
ロックすることが有利である。このために適切なリン化合物は、例えばジ(ポリ
オキシエチレン)ヒドロキシメチルホスホネート、テトライソプロピル−メチレ
ン−ジホスホネートおよびH3PO4であり、その際、添加されるP濃度は30〜
50ppmで十分である。
本発明による重縮合触媒を用いて製造される繊維およびフィルム形成性熱可塑
性ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタ
レートは、例えばもちろん射出成形および押出によりあらゆる種類の成形体およ
びプロフィールに加工することができる。例えば本発明による重縮合触媒を用い
て製造したポリエチレンテレフタレートをPETボトルに加工する場合、該ボト
ルは高い透明度を有する。
繊維およびフィルム形成性コポリエステルのためのその他のポリエステル形成
性成分は、脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール
、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリ(テト
ラヒドロフラン)ジオール、芳香族ジオール、例えばピロカテキン、レゾルシン
およびヒドロキノン、脂環式ジオール、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールおよびシクロヘキサンジオール、脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、
セバシン酸およびデカンジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル
酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホテレフタル酸および
2,6−ナフタリンジカルボン酸、および脂環式ジカルボン酸、例えばヘキサヒ
ドロテレフタル酸および1,3−シクロヘキサンジカルボン酸であってもよい。
混合ポリエステル形成のための類似のポリエステル形成性成分は、一部、上記の
繊維形成性ホモポリエステルが該当するが、これはポリアルキレンテレフタレー
トの種類には属していない。
もちろんフィルムおよび繊維形成性ポリエステルは通例の変性剤として、公知
の分枝剤、例えばペンタエリトリトール、トリメリト酸、ピロメリト酸およびト
リメシン酸またはこれらのエステルであってもよく、このためにその中にポリマ
ー1gあたり通例の少量、例えば1〜15マイクロ当量が含有されており、これ
は3000〜4000m/分以上の高速紡糸、あるいはまた少なくとも1000
m/分の速度での緊張紡糸を保証する。これらの分枝剤は有利にはエチレングリ
コール中の溶液として、重合するべきジカルボン酸のビスグリコールエステルに
添加する。
コポリエステルという術語は、同様にポリエーテルエステルの広範なクラスを
包含する。熱可塑性ポリエーテルエステルは、ブロックコポリマーが公知であり
、これは交互に相容性のない堅い結晶質のセグメントと柔らかい非晶質のセグメ
ントとから合成される。こ
の堅くて短鎖の断片は一般に主として芳香族ポリエステル、例えばエチレンテレ
フタレート単位またはブチレンテレフタレート単位とからなり、他方で柔らかく
長鎖のセグメントは特に脂肪族ポリエーテル、例えばポリ(ブチレングリコール
)またはポリ(エチレングリコール)と、脂肪族、環式脂肪族または芳香族ジカ
ルボン酸とからの反応生成物からなる。長鎖のエステル単位も短鎖のエステル単
位もしばしばコポリエステルであり、これは1種または複数のその他のジカルボ
ン酸成分とグリコール成分との限定的な併用の結果である。本発明により重縮合
触媒として使用される共沈物がその製造にとって適切である熱可塑性ポリエーテ
ルエステルは、例えばUS−PS3023192号、GB−PS682866号
、DE−PS2352584号、EP−A−0051220号およびEP−A−
0109123号に記載されている。
本発明により使用される共沈物は、これを通例の重縮合触媒、例えばSb2O3
およびチタンアルコキシドベースとして行う場合には、完全芳香族もしくは液晶
ポリエステルの製造のためにも適切である。従って例えばUS−PS44219
08号によれば、ヒドロキシ−ナフタリン−カルボン酸10〜90モル%、少な
くとも1種の別の芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸5〜45モル%およ
び少なくとも1種の芳香族ジオール、例えばヒドロキノン5〜40モル%からな
る完全芳香族ポリエステルが公知である。EP−A−0472366号によれば
、(A)イソフタル酸、(B)ヒドロキノン、(C)4,4−ジヒドロキシジフ
ェニルおよび/またはp−ヒドロキシ安息香酸および/または2−ヒドロキシ−
6−ナフタリン−カルボン酸および(D)フェノールから完全芳香族ポリエステ
ルが製造される。またEP−A−0496404号には、完全芳香族ポリエステ
ルが記載されており、これは少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸のジアルキル
エステル、例えばDMTと、少なくとも1種の芳香族ポリカーボネート、例えば
ポリ(4,4’−イソプロピリデン−ジフェニレン−カーボネート)および/ま
たは芳香族ジアルキル−ジカーボネートとの反応により得られる。この例示的に
挙げられている完全芳香族の製造のための方法で、その中で使用される重縮合触
媒、例えばSb2O3、チタンアルコキシドおよびジルコニウムアルコキシドは、
すでに第一の反応工程で添加するか、またはその後に続く実際の重縮合工程で添
加するかどうかに関わらず、有利には本発明による特殊な共沈物で全く同様に代
用することができる。
本発明を以下の実施例に基づいて詳細に説明する。実施例中に記載されている
相対的な溶液粘度は25℃でm−クレゾール中の1%溶液として測定した。カル
ボキシル基の数は、カルボキシル基当量/106gまたはmmol/kg(ポリ
マー)として記載した。この
大きさはo−クレゾール中のポリマーの滴定により水酸化カリウムを用いて決定
した。
ポリエステルの色の評価は、La*b*カラーシステムに基づく。これは色の測
定の統一のためのカラーシステムであり、かつ比較的高い正確さで認識可能な色
および色の差の表示で、CIE委員会(Commision Internationale de l'Eclaira
ge)により1976年に推奨された。このシステムでLは明度ファクターであり
、かつa*もしくはb*は色測定数である。本発明の場合では、黄色/青色のバラ
ンスを表示するb*値が重要である。ポジティブなb*値は、黄色の着色を意味し
、ネガティブなb*値は、青色の着色を意味する。これまで三酸化アンチモンで
製造されていたポリエステルは、着色剤(例えばコバルト塩)を添加しない場合
、3〜8のb*値を有する。色が重要ではない製品にとってはより高い値もまた
認容される。
例1〜13:触媒効果のある共沈物の製造
第1表には、例1〜13による触媒効果のある共沈物を製造するために使用さ
れるチタン化合物および金属化合物がまとめられている。
チタン(IV)−テトライソプロピラート(0.18モル)および相応する金
属化合物(0.02モル)を、無水エタノール100mlを用いて溶解させた(
溶液A)。蒸留したH2O 10.27g(0.57モル)を無水エタノール1
00mlと混合した(溶液B
)。溶液Aを装入し、かつ30分以内に22℃で溶液Bを滴加した。白色の沈殿
物が沈殿した。1時間撹拌後に、該混合物を遠心分離し、かつ残留物を蒸留水で
3回洗浄した。得られた共沈物を真空下に70℃で乾燥させた。例14〜26および比較例1:
2工程法でポリエチレンテレフタレートを製造した。第1工程のエステル交換
で、モル比2.5:1でのエチレングリコールとジメチルテレフタレート(DM
T)との反応を、DMTに対してZnAc2・2H2O(Ac=アセタート)10
0ppmおよびMnAc2・4H2O 150ppmの存在下に、175〜250
℃の範囲の温度で行い、その際、DMTの昇華を回避するために、175℃から
250℃への連続的な温度の上昇をそれほど急激に行わなかった。エステル交換
触媒以外に、DMTに対して10ppmの消泡剤M10を添加した。エステル交
換の際に遊離するメタノールをカラムを介して留去した。240℃の反応温度に
達したら、使用したDMTに対してリン50ppmをホスホノ酢酸エチルエステ
ルとしてエステル交換触媒のブロッキングのために添加した。
反応温度が250℃に達したらすぐに、例1〜12により製造した共沈物の1
種を、例14〜25中で、存在するビス−(2−ヒドロキシエチル)−テレフタ
レートに対して100ppmをグリコール中の10質量%溶液の形で添加した。
例26では存在するビス−(2−ヒドロキシエチル)−テレフタレートに対して
例13により製造された共沈物をわずか50ppm使用した。重縮合反応は、2
90℃で1.3ミリバールの真空下で行った。
第2表には添加された触媒量、重縮合時間、相対溶液粘度および例1〜13の
記載により製造した共沈物で達成されたb*値およびさらに比較例1においてS
b2O3を用いて得られた結果がまとめられている。本発明による共沈物触媒の重
縮合時間と、Sb2O3の重縮合時間との比較は、本発明による共沈物触媒を、4
分の1もしくはそれどころか8分の1の量で使用しても、明らかにより短い重縮
合時間をもたらすことを示している(例14〜25もしくは例26と比較例1と
を参照のこと)。比較例2:触媒としてジブチルスズオキシドを用いた
マロネート樹脂の製造
この例のための装置として、金属撹拌機、滴下漏斗、窒素導入管、内部温度の
ための熱センサ、長さ300mmのVigreux−シルバージャケットカラムおよび
蒸留塔頭頂部を備えた2000mlの5口フラスコを使用した。反応バッチは以
下の成分からなっていた:
成分Aとして1,5−ペンタンジオール 312.45g(3モル)、
成分Bとしてジエチルマロネート 560.60g(3.5モル)、
成分Cとしてジブチルスズオキシド 0.87g(=A+Bに対して0.1質
量%)、
成分Dとしてm−キシレン 43.5g(A+Bに対して15質量%)、
成分Eとしてm−キシレン 130.5g(A+Bに対して15質量%)。
触媒としてこの反応のために通例のジブチルスズオキシドを使用した。成分A
、B、CおよびDをフラスコ中に秤量し、かつ窒素で洗浄した。該混合物を次い
で徐々に加熱し、かつ内部温度115℃でエタノールの最初の滴を留去した。蒸
留速度が低下したら、内部温度を200℃に上昇させる。その後、成分Eを補足
的に蒸留のための共留剤として滴加し、さらにエタノール/m−キシレン留出液
を除去した。反応率99.5%が達成されたら重縮合を中断した。この反応率は
16時間後に達成された。
留出液の全量はこの時点で378.03gであった。エタノールの留去量は、
274.92gであった(エタノールの全量の理論値=276.42g)。ガー
ドナーによる色数は13であった。
例27:例13による本発明による共沈物触媒を用いたマロネート樹脂の製造
比較例2の試験をTi(IV)−テトライソプロピラートとスズ(IV)−ジ
オキサラートとから製造された例13による共沈物触媒を用いて繰り返した。反
応バッチは以下の成分からなっていた:
成分Aとして1,5−ペンタンジオール 312.45g(3モル)、
成分Bとしてジエチルマロネート 560.60g(3.5モル)、
成分Cとして例13による共沈物触媒 0.87g(=A+Bに対して0.1
質量%)、
成分Dとしてm−キシレン 43.5g(A+Bに対して5質量%)、
成分Eとしてm−キシレン 87.0g(A+Bに対して10質量%)。
成分A、B、CおよびDをフラスコ中に秤量し、かつ窒素で洗浄した。該混合
物を次いで徐々に加熱し、かつ内部温度142℃でm−キシレンを有する混合物
中のエタノールの最初の滴を留去した。蒸留速度が低
下したら、内部温度を200℃に上昇させる。その後、成分Eを補足的に蒸留の
ための共留剤として滴加し、さらにエタノール/m−キシレン留出液を除去した
。反応率99.6%が達成されたら重縮合を中断した。この反応率すでに7時間
後に達成された。
留出液の全量はこの時点で342.28gであった。エタノールの留去量は、
276.04gであった(エタノールの全量の理論値=276.42g)。ガー
ドナーによる色数は10であった。
市販の二酸化チタンを用いた比較例3aおよび3b
a)例14〜26と同様に実施し、ポリエチレンテレフタレートを製造し、そ
の際、市販の二酸化チタンを重縮合触媒として作用させた。この目的のために、
例14〜26で実施したようなエステル交換後およびエステル交換触媒のブロッ
キング後、反応温度が250℃に達成したら、反応バッチに、存在するビス−(
2−ヒドロキシ−エチル)−テレフタレートに対してHombitec KO3TiO2(
Sachtleben社の二酸化チタン)500ppmを、グリコール中10質量%の懸濁
液の形で重縮合触媒として添加した。重縮合反応を1.3ミリバールの真空下に
290℃で行った。反応時間180分の後に試験を中断した。というのも重縮合
生成物の分子量が低すぎて十分な溶融粘度ひいては十分な相対粘度が調整されな
かったからである。
b)同一の反応条件下で実施した第二の試験は同一
の否定的な結果に終わったが、この場合、存在するビス−(2−ヒドロキシエチ
ル)−テレフタレートに対して重縮合触媒としてTilcomHPT3 TiO2(Tio
xide社の二酸化チタン)500ppmをグリコール中10質量%の懸濁液の形で
重縮合触媒として添加した。
比較例4
例14〜26においてと同様に実施した重縮合で、存在するビス−(2−ヒド
ロキシエチル)−テレフタレートに対してチタンテトラブチレート 213pp
mをグリコール中5質量%の懸濁液の形で重縮合触媒として250℃で添加した
。重縮合反応を3.5ミリバールの真空下に290℃で行った。134分の反応
時間後に、相対溶液粘度1633を有するポリマーが得られた。b*値は15.
5、C00H末端基含有率は20.2当量/106g(ポリマー)であった。
この比較例は特に、チタンテトラブチラートは確かにSb2O3よりも明らかに
より劣ったb*値でより高い触媒活性を有しているが、しかし比較的短い重縮合
時間を達成するためには、本発明により使用される触媒よりも高い濃度で使用し
なくてはならないことを示している。
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Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.第一の反応工程でエステルまたはオリゴエステルを製造し、該エステルを 第二の反応工程でチタン触媒の存在下に重縮合させる、ポリエステル形成性の出 発成分の重縮合によりポリエステルおよびコポリエステルを製造するための方法 において、エステルまたはオリゴエステルの重縮合のための重縮合工程において 、重縮合触媒として、チタン化合物と、IA、IIA、VIIIA、IB、II B、IIIBおよびIVBの群から選択された金属の金属化合物との同時的な加 水分解による沈殿により製造された共沈物を単独で、または混合物として使用し 、その際、チタン化合物と金属化合物は相互に無関係にチタンもしくは金属のア ルキラート、アルコラートまたはカルボキシラートであり、かつチタン化合物対 金属化合物のモル比は≧50:50モル/モルであることを特徴とする、ポリエ ステルおよびコポリエステルの製造方法。 2.金属化合物の金属が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム 、鉄、コバルト、銅、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウムおよびスズである、請 求項1記載の方法。 3.チタン化合物対金属化合物のモル比が、≧80:20モル/モルである、 請求項1または2記載の方法。 4.チタンもしくは金属のアルキラート基、アルコラート基またはカルボキシ ラート基が、1〜6個の炭素原子を有する化合物である、請求項1から3までの いずれか1項記載の方法。 5.アルキル基が、ブチル基であり、アルコラート基がメチラート基、エチラ ート基またはi−プロピラート基であり、かつカルボキシラート基がアセタート 基またはオキサラート基である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法 。 6.モル比90:10モル/モルでチタン(IV)−テトライソプロピラート とスズ(IV)−ジオキサラートとからなる共沈物を製造する、請求項1から5 までのいずれか1項記載の方法。 7.共沈物が、水和した共沈物に対して0〜15質量%の含水率を有する、請 求項1から6までのいずれか1項記載の方法。 8.重縮合するべきエステルまたはオリゴエステルに対して共沈物を5〜50 0ppmの全量で使用する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。 9.重縮合するべきエステルまたはオリゴエステルに対して共沈物を10〜1 00ppmの全量で使用する、請求項8記載の方法。 10.共沈物を、重縮合するべきエステルまたはオリゴエステルに対して、そ の重縮合前に5〜20質量%のグリコール懸濁液の形で添加する、請求項1から 9までのいずれか1項記載の方法。 11.第一の反応工程からの場合により存在する反応触媒を、1種以上の燐化 合物の添加によりブロックする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方 法。 12.ブロッキング剤として、カルボエトキシ−メチル−ジエチルホスホネー ト、ジ(ポリオキシエチレン)ヒドロキシ−メチルホスホネート、テトライソプ ロピルメチレン−ジホスホネートおよび/またはH3PO4を使用する、請求項1 1記載の方法。 13.相対分子量<10000を有するアルキド樹脂を製造するための請求項 1から9までのいずれか1項記載の重縮合触媒の使用。 14.相対分子量<10000を有する飽和ポリエステル樹脂を製造するため の請求項1から9までのいずれか1項記載の重縮合触媒の使用。 15.相対分子量<10000を有するポリウレタンのための初期生成物とし てのポリエステルおよびコポリエステルを製造するための請求項1から9までの いずれか1項記載の重縮合触媒の使用。 16.相対分子量<10000を有する熱可塑性ポリエステルおよびコポリエ ステルを製造するための請求項1から12までのいずれか1項記載の重縮合触媒 の使用。 17.ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン テレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタリン−ジカルボキシラート) 、ポリ(ブチレン−2,6−ナフタリン−ジカルボキシラート)、ポリ(1,4 −ジメチレンシクロヘキサンテレフタレート)および少なくとも80モル%の高 いホモポリエステル割合を基礎とするこれらの混合ポリエステルを製造するため の、請求項16記載の重縮合触媒の使用。 18.ポリエーテルエステルを製造するための請求項16記載の重縮合触媒の 使用。 19.完全芳香族もしくは液晶ポリエステルを製造するための、請求項1から 9までのいずれか1項記載の重縮合触媒の使用。
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