JP2002371006A - 肺線維症予防および/または進行防止剤 - Google Patents

肺線維症予防および/または進行防止剤

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JP2002371006A JP2001175677A JP2001175677A JP2002371006A JP 2002371006 A JP2002371006 A JP 2002371006A JP 2001175677 A JP2001175677 A JP 2001175677A JP 2001175677 A JP2001175677 A JP 2001175677A JP 2002371006 A JP2002371006 A JP 2002371006A
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義隆 保坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】肺線維症、特に薬剤誘起性肺線維症の予防およ
び/または進行防止剤を提供することを課題とする。 【解決手段】トロンボモジュリン様蛋白質を有効成分と
して含有することを特徴とする肺線維症の予防および/
または進行防止剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、 トロンボモジュリ
ン(以下、「TM」と略記する)様蛋白質を含有するこ
とを特徴とする肺線維症の予防および/または進行防止
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】肺線維症は胞壁における慢性的な炎症と
膠原線維の増加により肺胞構造の破壊を来たし、終局的
には呼吸不全に至る疾患である。初期の肺胞障害を生じ
るトリガーとして、有毒ガスや各種薬剤等、100種類
以上の因子が明らかにされているが、その2/3の症例
は原因不明である(日本臨牀別冊、領域別症候群シリー
ズNo.3、呼吸器症候群(上巻)、591−594
頁、1994年)。近年、種々の疾患の診断、治療、予
防等のために用いられる薬剤の増加に伴い、薬剤誘起性
肺線維症も増加してきている。これまでに報告されてい
る薬剤誘起性肺線維症の原因薬剤は100種類を超えて
おり、その代表的な薬剤を表1に示した。 1980年〜
1989年の日本における185例の集計では、抗癌
剤、免疫抑制剤による肺線維症が最も多く50.3%、
次に抗生物質、化学療法剤による肺線維症の23.8
%、金製剤による肺線維症が15.7%と続くが、使用
される薬剤や副作用への対策の進歩によりその内容は時
代とともに変遷しており、最近では、抗不整脈薬である
アミオダロン、漢方薬の小柴胡湯、IFN−αやG−C
SF等のサイトカイン療法による肺線維症も報告されて
いる(最新医学、45巻、962−972頁、1990
年)。
【表1】
【0003】抗癌剤、免疫抑制剤による肺線維症は、1
979年までに21種類が原因薬剤として報告され、ブ
レオマイシン、ブスルファン、シクロフォスファミド、
カルムスチン、メトトレキサート、プロカルバジン等が
代表であった。なかでもブレオマイシンは薬剤誘起性肺
線維症の約半数を占め、また用量依存的に発症すること
が知られており、その発症頻度は10%前後で、しばし
ば致命的となるため、その使用の際には十分な注意が必
要とされている。それゆえ、最近ではブレオマイシンに
代わってペプロマイシンが使用されるようになったが、
今度はペプロマイシンによる肺線維症が増加してきてい
る(日本臨牀別冊、領域別症候群シリーズNo.4、呼
吸器症候群(下巻)825−827頁、1994年)。
【0004】抗生物質や化学療法剤による肺線維症は、
かつては少数で種類も限られていたが、1980年以
降、急速に種類も発生数も増加し、現在では30種類以
上の薬剤が肺線維症を誘発することが報告されている。
特に最近、ペニシリン系抗生物質、マクロライド系抗生
物質、セフェム系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物
質、アミノ配糖体、抗結核薬、その他抗菌剤において薬
剤誘起性肺線維症が報告されている(日本臨牀別冊、領
域別症候群シリーズNo.4、呼吸器症候群(下巻)、
825−827頁、1994年)。
【0005】薬剤誘起性肺線維症の診断で重要な点は、
咳嗽、呼吸困難、発熱等の症状発現と薬剤投与の因果関
係が疑われ、しかも、胸部X線写真上びまん性に間質性
陰影が同時あるいは少し遅れて出現し、検査所見として
白血球の増加、好酸球の増加等がみられることである。
すなわち、肺線維症を誘起する可能性のある薬剤を投与
中に、咳嗽、発熱、呼吸困難等の症状が現れた場合に
は、薬剤誘起性肺線維症を疑い、胸部X線写真、CT、
動脈血ガス分析を含む肺機能、気管支肺胞洗浄(BA
L)等の検査を行い診断する。なお、IV型アレルギー
反応で発症したと推定される場合には、患者の末梢リン
パ球の中に原因薬剤に対する十分な数の感作リンパ球が
存在することを証明する必要がある。また、リンパ球培
養上清中のマクロファージ遊走阻止因子を証明すること
や、リンパ球の刺激試験が試験管内検査法として実施さ
れる。
【0006】現在、薬剤誘起性肺線維症に対してはステ
ロイド療法が用いられている。しかしながら、ステロイ
ド療法を行っても病変が残存することが多い。また、ス
テロイド剤の副作用や減量・中止による急性増悪もしば
しば見られ、臨床において決して満足できるレベルでは
ない。また、薬剤誘起性肺線維症が疑われた場合、ま
ず、使用薬剤の投与を中止する必要があり、基礎疾患の
充分な治療が期待できなくなる。そのため、これら薬剤
による肺線維症を予防あるいは進行防止し、少しでも理
想的な投薬を行い、基礎疾患への治療を継続し治療効果
を高めることが望まれている。最近の知見では、ピルフ
ェニドンが特発性肺線維症に対して投与効果があること
が米国での臨床第2相試験において報告されている(ア
メリカン ジャーナルオブ レスピラトリー アンド
クリティカル ケア メディソン(American
journal of respiratory an
d critical care medicin
e)、159巻、1061−1069頁、1999
年)。しかしながらピルフェニドンによる治療が無効な
症例も多く、今後新たな治療薬の開発が望まれている
(内科、84巻、858−863頁、1999年)。
【0007】ところで、TMは、1981年にエズモン
らにより血管内皮細胞表面上に存在する抗凝固物質とし
て発見され、 その後1987年に鈴木らによりその全一
次構造が明らかにされた糖蛋白質である。TMはトロン
ビンと結合してトロンビンの凝固促進作用を抑制すると
ともに、トロンビンによるプロテインCの活性化を著し
く促進させることにより、抗凝固作用を発揮する。した
がってTMは全身性の凝固亢進性疾患(DIC)や各種
血栓症等の予防や治療に有効であることが証明または示
唆されている。しかしながら、やはりTMまたはTM様
蛋白質が肺線維症に対し予防、進行防止作用を示すこと
はまったく知られてなく、示唆さえされていない。
【0008】血液凝固阻害物質である活性化プロテイン
C(以下、「APC」と略記する)の経気管投与でマウ
スブレオマイシン惹起肺線維症モデルにおいて有効性を
示すことが示唆されている(日本呼吸器学会雑誌、37
巻増刊、177頁、抄録番号4FB−45、1999
年)。しかしながら、活性化プロテインCは炎症反応時
に上昇するとされるα1−アンチトリプシン(ジ イン
ターナショナル ジャーナル オブ バイオケミストリ
ー アンド セル バイオロジー(The inter
national journal of bioch
emistry& cell biology)、29
巻、1501−1511頁、1997年)により不活性
化されることが知られており(スロンボーシス アンド
ヘモスタシス(Thrombosis and Ha
emostasis)、62巻、756−762頁、1
989年)、患者によっては経肺投与されたAPCの効
果が期待できないケースも想定される。また、APCは
血中半減期が短かく静脈内投与する場合は持続投与が必
要と考えられる。生体内にはプロテインCインヒビター
(以下、「PCI」と略記する)やα1−アンチトリプ
シン等、APCの中和物質が存在するため、効果発現の
ためには多量のAPC投与が必要と考えられること、P
CIが抗凝固作用を有することが報告されており(スロ
ンボーシス アンド ヘモスタシス(Thrombos
is and Haemostasis)、84巻、5
4−58頁、2000年)、多量のAPC投与はPCI
の低下を引き起こし、凝固の異常を招く恐れがあるこ
と、さらには、多量の蛋白質をヒトに投与することによ
り抗体産生が惹起されることが危惧されること等から、
APCが臨床上使用し得るかは全く不明である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】肺線維症の予防および
/または進行防止、特に薬剤誘起性肺線維症の予防およ
び/または進行防止は、薬剤による基礎疾患に対する治
療を継続し、治療効果を高める点から極めて重要な問題
である。そこで、本発明は、肺線維症、特に薬剤誘起性
肺線維症の予防および/または進行防止剤を提供するこ
とを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、 肺線維症
の予防および進行防止に対するTM様蛋白質の有用性が
未知であるという状況下において、 動物モデル系を用い
てTM様蛋白質の肺線維症の予防および進行防止作用を
鋭意研究した結果、 驚くべきことに、 TM様蛋白質に強
い肺線維症の予防および進行防止作用を見出し、 本発明
を完成した。
【0011】すなわち本発明は、1)TM様蛋白質を有
効成分として含有することを特徴とする肺線維症の予防
および/または進行防止剤を提供する。
【0012】また、本発明は、2)前記肺線維症が薬剤
誘起性である1)に記載の肺線維症の予防および/また
は進行防止剤を提供する。
【0013】さらに、本発明は、3)前記薬剤が抗癌剤
である2)に記載の肺線維症の予防および/または進行
防止剤を提供する。
【0014】本発明のTM様蛋白質を含有する薬剤は、
マウスブレオマイシン惹起肺線維症モデルにおいて、肺
の線維化を抑制する作用を有する。TM様蛋白質は生体
内半減期が長く、 生体内で安定であり、 持続的な効果を
発揮するという、医薬品として好ましい体内動態を示す
ことが確認されている(スロンボーシス アンド ヘモ
スタシス(Thrombosis and Haemo
stasis)、73巻、805−811ページ、19
95年)。また、トロンビンはそのレセプターを介し
て、線維化に重要なコラーゲン等の線維を産生する線維
芽細胞の増殖を促進することが知られているが、TM様
蛋白質はトロンビンとそのレセプターの結合を阻害する
ことにより細胞増殖を抑制することが知られている(バ
イオキミカ エト バイオフィジカ アクタ(Bioc
himica et biophysica act
a)、1451巻、173−186頁、1999年)。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】本発明の肺線維症の予防および/または進
行防止剤に含有する有効成分は、TM様蛋白質である。
本発明において、 「TM様蛋白質」の語は、 TMおよび
TMの生物学的に必要な一部分のアミノ酸配列を有する
ペプチドまたはそれらの類似物を意味する。すなわち、
本発明に用いるTM様蛋白質は、トロンビンと結合して
トロンビンの凝固促進作用を抑制するとともにトロンビ
ンによるプロテインC活性化を著しく促進させる蛋白性
物質をすべて含む。従って、 天然物から精製されたもの
(以下「天然由来」と略記する)あるいは遺伝子工学的
に生産されたいずれでもよく、遺伝子工学手法により得
られる改変型あるいはキメラ型であってもよい。本発明
に用いるTM様蛋白質は、該特徴を有するものであれば
特に限定されず、ヒト由来TMまたはTM様蛋白質、ウ
シ由来TMまたはTM様蛋白質等を挙げることができ、
天然由来または遺伝子組換え型であってもよい。医薬品
とする場合、好ましくはヒト由来のTM様蛋白質(以
下、 「ヒトTM様蛋白質」と略記する)が望まれる。ま
た、溶解性の高い可溶性TM様蛋白質がより好ましく、
例えば、 天然由来のヒト可溶性のTM様蛋白質もしくは
遺伝子組換えによるヒト可溶性のTM様蛋白質である。
特に好ましくは、ヒト尿由来の可溶性のTM様蛋白質で
ある。なお、遺伝子組換え技術等を利用して産生された
TMのアミノ酸配列の部分構造を有する様々なTM様蛋
白質も、肺線維症の予防または進行防止作用を有するも
のは本発明に含まれる。該TM様蛋白質は、現在臨床開
発中のDIC治療薬であり、ヘパリンに付随するような
出血傾向等の副作用も少なく、 医薬品として安全性が高
いことが期待されている(スロンボーシス アンド ヘ
モスタシス(Thrombosis and Haem
ostasis)77巻、789−795ページ、19
97年)。
【0017】このようなTM様蛋白質は、天然由来につ
いては、例えば、特開昭60−199819号公報に開
示されているヒト胎盤由来のTM、ヒト尿由来の可溶性
のTM様蛋白質として、特開平3−86900号公報に
開示されている非還元状態での分子量が55,000〜
58,000および60,000〜65,000の可溶
性のTM様蛋白質および特開平3−218399号公報
に開示されている非還元状態での分子量が72,000
±3,000および79,000±3,000の可溶性
のTM様蛋白質、ジャーナル オブ バイオケミストリ
ー(Journal of Biochemistr
y)、113巻、433−440頁、1993年に記載
されている非還元状態での分子量が55,000及び6
0,000の可溶性のTM様蛋白質およびヨーロピアン
ジャーナル オブ バイオケミストリー(Europ
ean Journal of Biochemist
ry)、221巻、1079−1087頁、1994年
に記載されている非還元状態での分子量が57,000
および63,000の可溶性のTM様蛋白質が挙げられ
る。
【0018】遺伝子組換え型については、例えば、遺伝
子組換えヒト可溶性のTM様蛋白質として、特開平1−
6219号公報に開示されている少なくともアミノ末端
から345−462番目のアミノ酸配列を含む可溶性の
TM様蛋白質およびWO92/00325号公報に開示
されている少なくともアミノ末端から4−446番目の
アミノ酸配列を含む可溶性TM様蛋白質が挙げられる。
【0019】また、特開平2−255699号公報、特
開平3−259084号公報あるいは特開平5−213
998号公報に開示されているTMの構成アミノ酸が一
部欠如しているTM様蛋白質、特表平5−508150
号公報、WO93/15755号公報、WO93/25
675号公報あるいは特開平5−310787号公報に
開示されている一部が他のアミノ酸に置換されたTM様
蛋白質が挙げられる。例えば、メチオニンを他のアミノ
酸に置換することによって酸化を防止したもの(特表平
5−508150号公報)、あるいはアミノ酸配列を修
飾することによって蛋白分解酵素による分解を防止した
もの(WO93/15755号公報)等が挙げられる。
【0020】また、WO91/04276号公報、WO
91/05803号公報、あるいは特開平3−1333
80号公報に開示されているコンドロイチンおよび/又
はコンドロイチン硫酸を含む糖鎖を有するTM様蛋白
質、特開平6−279497号公報に開示されているウ
シTM由来の酸性アミノ酸配列を含むO−グリコシド糖
鎖結合部位を付加し、コンドロイチン硫酸糖鎖を結合さ
せたTM様蛋白質、あるいは、WO92/03149号
公報に開示されているO−グリコシル化部位領域の糖鎖
を修飾あるいはO−グリコシル化部位領域を欠失させた
TM様蛋白質、特開平4−210700号公報に開示さ
れているコンドロイチンおよび/またはコンドロイチン
硫酸を含まないTM様蛋白質等が挙げられる。さらに、
特表平4−505554号公報に開示されているヒト組
織プラスミノーゲンアクチベーター等のアミノ酸配列の
一部を含んでいてもよいTM様蛋白質が挙げられる。
【0021】本発明の予防および/または進行防止剤が
有効な肺線維症としては、特に限定されず、薬剤誘起性
肺線維症が好ましい。薬剤誘起性肺線維症としては、特
に限定されず、例えば、抗癌剤・免疫抑制剤、抗生物質
・化学療法薬、降圧・利尿薬、金製剤、抗炎・鎮痛薬、
抗不整脈薬、漢方薬、サイトカイン等により誘起される
肺線維症が挙げられる。より詳しくは、表1にまとめた
すべての薬剤により誘起される肺線維症が挙げられる。
これらの肺線維症のうち、好ましくは、抗癌剤・免疫抑
制剤、抗生物質、化学療法剤により誘起される肺線維症
であり、さらに好ましくは抗癌剤、特にブレオマイシン
により誘起される肺線維症である。
【0022】本発明の製剤は有効成分としてTM様蛋白
質を含有していればよく、 公知のいかなる製剤学的製造
法によっても製造することができる。当該TM様蛋白質
は、薬剤として一般に用いられる適当な担体または溶
媒、例えば滅菌水や生理食塩水、 植物油、鉱油、高級ア
ルコール、高級脂肪酸、 無害性有機溶媒等、さらには必
要に応じて精製あるいは遺伝子工学的に製造したヒト血
清アルブミン、賦形剤、着色剤、 乳化剤、 懸濁剤、 界面
活性剤、 溶解補助剤、 吸着防止剤、安定化剤、 保存剤、
保湿剤、 酸化防止剤、緩衝剤、張化剤、無痛化剤等の任
意成分と適宜組み合わせて、生態に効果的に投与するの
に適した注射剤、 経口吸入剤、 点眼剤、 経鼻吸収剤、経
口剤等の医薬品製剤、 好ましくは経口吸入剤あるいは注
射剤、さらに好ましくは注射剤に調製することができ
る。注射剤の製剤形態としては、例えば凍結乾燥品、あ
るいは注射用水剤等で提供でき、 特に、 凍結乾燥品で提
供することが望ましい。経口吸入剤の製剤形態として
は、例えばエアロゾル製剤等として、TM様蛋白質ある
いはTM様蛋白質と製剤上好ましい添加剤とを微粒子粉
末としたもの、TM様蛋白質を適当な担体または溶媒に
溶解または懸濁させたもの、あるいは、TM様蛋白質の
凍結乾燥品と溶解用または縣濁用溶液を同一包装内に含
み、投与時に溶液または縣濁液を調製するもので提供で
きる。
【0023】本発明の薬剤による肺線維症の予防および
/または進行防止のための投与方法としては、 動脈内注
射、 静脈内注射、皮下注射、筋肉注射、経肺投与等とす
ることができ、経肺投与、静脈内注射あるいは静脈内持
続投与が好ましい。また、必要に応じて皮下投与、 腹腔
内投与、 経口投与、経鼻投与とすることもできる。1日
投与量としては、 患者個々の体重、具体的症状、投与経
路、肺線維症を誘起する薬剤の種類または投与量および
後述する所見等に応じて決定(増減)されるため、特に
限定されないが、 例えば、 静脈内投与あるいは経肺投与
の場合、TM様蛋白質の蛋白量として1日0.01〜1
000μg/kg、好ましくは、0.1〜500μg/
kg、より好ましくは1〜200μg/kg、さらに好
ましくは5〜100μg/kgとすることができる。T
M様蛋白質は、上記投与液を、1 回の静脈内注射あるい
は数時間以内に静脈内投与することが望ましい。また、
24時間かけて静脈内に持続投与してもよい。また、上
記投与量を1日1回または数回に分けて経肺投与するこ
とが望ましい。TM様蛋白質が固体状の場合には、定量
噴霧装置、ジェット・ミリング装置やボール・ミリング
装置等を用いて固体の微粒子粉末(例えば粉末エアロゾ
ル)として投与する方法が好ましい。また、TM様蛋白
質が溶液または縣濁液の場合は、ジェット・ネブライザ
ーや超音波式ネブライザー等を用いることにより水溶性
の微粒子(例えば加圧エアロゾル)として投与する方法
が好ましい。TM様蛋白質の投与タイミングとしては、
例えば、肺線維症を誘起する可能性の高い薬剤の投与
前、同時(肺線維症を誘起する薬剤と、TM様蛋白質と
を一剤の形に製剤した場合および別々に製剤した場合の
双方を含む)、直後、投与中に持続してもしくは間欠的
に、または投与後に持続してもしくは間欠的に投与する
ことが好ましく、これら投与タイミングを組み合わせて
投与することもでき、肺線維症を誘起する薬剤と同時に
投与するのがより好ましい。また、肺線維症を誘起する
薬剤と、別々に投与しても、混合して投与してもよい。
抗癌剤誘起性肺線維症等の場合は、抗癌剤等の投与期間
中毎日あるいは間欠的に、TM様蛋白質等を単独で投与
してもよい。また、1日投与量、投与経路、投与頻度あ
るいは投与タイミングは、咳嗽、呼吸困難、発熱等の症
状発現や胸部X線写真、CT、動脈血ガス分析を含む肺
機能、気管支肺胞洗浄(BAL)等の検査あるいは白血
球の増加、好酸球の増加等の臨床検査所見等による肺線
維症の診断を行いながら適宜決定することができる。
【0024】
【実施例】以下に本発明を実験例、 実施例等によって説
明するが、 本発明はこれらの例に限られるものではな
い。
【0025】取得例1(ヒト尿由来可溶性のTM様蛋白
質の取得) 特許平3−218399号公報に記載された方法に準じ
て調製した。すなわちヒトの原尿100Lをアクリル繊
維で濾過して尿中のウロキナーゼを吸着除去し、通過尿
を限外濾過膜を使用して脱塩濃縮した。次いで、 DEA
Dセルロース(ワットマン社製)カラム、 DIP−トロ
ンビン−アガロースクロマトグラフィーおよびセファク
リルS−300(ファルマシアファインケミカル社製)
カラムを用いて順次精製し、 活性画分を採取した(以
下、 「UTM」と略記する)。この画分は一晩蒸留水に
対して透析した後凍結乾燥した。
【0026】実験例1(TM様蛋白質のマウスブレオマ
イシン惹起肺線維症モデルに対する影響) 雄性ICRマウス(日本エスエルシー、12〜13週
齢)にブレオマイシンを150mg/kgで尾静脈より
急速静脈内投与し、マウスブレオマイシン惹起肺線維症
モデルを作成した。UTM投与群には、 ブレオマイシン
投与直前、ブレオマイシン投与後1、2、3および4日
後に尾静脈よりUTMを3000TMU/kgあるいは
10000TMU/kgで急速静脈内投与した。正常群
および対照群には、UTMの代わりに生理食塩液を急速
静脈内投与した。ブレオマイシン投与より21日後に肺
を摘出し、ハイドロキシプロリン量をケアン エム ピ
ー(Keane MP)等の方法(ザ ジャーナル オ
ブ イムノロジー(TheJournal of Im
munology)、153巻、 4704−4712
頁、1994年)に準じて測定した。
【0027】正常群に対する各群のハイドロキシプロリ
ンの平均増加量(各群の平均ハイドロキシプロリン量か
ら正常群の平均ハイドロキシプロリン量を差し引いた
値)を図1に示した。UTMは、ブレオマイシン投与に
よる肺中のハイドロキシプロリンの増加を抑制した。
【0028】
【発明の効果】TM様蛋白質は、 安全性が高くかつ血中
半減期が長く、 生体内で安定であり、持続的な効果を示
すため、 急速静脈内投与により薬効が持続的に発揮され
るという臨床上の有用性を有する。また、TM様蛋白質
は、 肺線維症の予防および/または進行防止作用を有
し、特に薬剤誘起性肺線維症の予防および/または進行
防止剤として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いるマウスブレオマイシン惹起肺
線維症モデルにおいて、マウスのハイドロキシプロリン
の増加量を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トロンボモジュリン様蛋白質を有効成分と
    して含有することを特徴とする肺線維症の予防および/
    または進行防止剤。
  2. 【請求項2】前記肺線維症が薬剤誘起性である請求項1
    に記載の肺線維症の予防および/または進行防止剤。
  3. 【請求項3】前記薬剤が抗癌剤である請求項2に記載の
    肺線維症の予防および/または進行防止剤。
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