JP2002365239A - コーンビームｃｔ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 データ収集後に速やかにＸ線条件などの設定
条件の適否を知ることができ、任意の被検査物に対し
て、より迅速に高画質のＣＴ像を得ることのできるコー
ンビームＣＴ装置を提供する。 【解決手段】 被検査物Ｗを回転させつつコーン状のＸ
線を照射して、各回転位置で２次元Ｘ線検出器２からの
画素データを収集した後、そのデータを用いてコーンビ
ームＣＴ像の再構成演算を実行する前に、収集したデー
タの一部を用いてＸ線断層像の再構成演算を行ってプレ
ビュー画像として表示器１２に表示することで、実際の
コーンビームＣＴ像の再構成演算により得られる画像が
出来上がるのを待つことなく、Ｘ線条件等の各種パラメ
ータの設定の適否を判定することを可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コーン状のＸ線ビ
ームを用いて被検査物の２次元Ｘ線透過情報を収集し、
その情報を用いて一度に多数のＸ線断層像を再構成す
る、いわゆるコーンビームＣＴ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】Ｘ線ＣＴ装置は、従来、図４（Ａ）に模
式的に示すように、Ｘ線源４１とＸ線検出器４２の間
に、被検査物Ｗを載せてＸ線光軸Ｌに直交する軸Ｒａの
回りに回転させるためのターンテーブル４３を配置し、
そのターンテーブル４３を回転させながらＸ線源４１か
らのファンビーム状のＸ線を被検査物Ｗに照射して、各
回転角度におけるＸ線透過情報をＸ線検出器４２の各画
素のうち、Ｘ線が入射する画素の出力から収集し、その
データを用いて、被検査物Ｗの回転軸Ｒａに直交する面
でスライスした、図４（Ｂ）に示すような断層像を演算
により再構成する。

【０００３】ところで、近年、計算機の性能向上に伴
い、以上のようなファンビームＣＴに代わって、コーン
ビームＣＴ技術が実用化されてきている。

【０００４】コーンビームＣＴにおいては、図５（Ａ）
に模式的に示すように、Ｘ線源５１と２次元Ｘ線検出器
５２の間に上記と同様のターンテーブル５３を配置して
被検査物Ｗに軸Ｒａの回りに回転させながら、Ｘ線源５
１からのコーン状のＸ線を被検査物Ｗに照射して、各回
転角度におけるＸ線透過情報を２次元Ｘ線検出器５２の
受光面全体の画素出力から収集し、一度の撮影により収
集したデータを用いて再構成演算を行うことによって、
被検査物Ｗの回転軸Ｒａに直交する面でスライスした、
図５（Ｂ）に示すような多数の、例えば数百枚の断層像
を得る。

【０００５】このようなコーンビームＣＴ技術を用いる
ことにより、ＣＴにより得られた断層像を数百枚積み重
ね、３次元的にデータを利用することが比較的に容易な
ことから盛んになってきつつあり、被検査物Ｗの３次元
情報を数十分程度で得ることが可能となる。

【０００６】ちなみに、従来のファンビームＣＴ技術に
よると、一度のデータ収集で１〜１０枚程度のＣＴ像し
か得られないため、被検査物Ｗの３次元情報を得るため
には、データ収集→ＣＴ再構成演算→ターンテーブル４
３を回転軸Ｒａ方向に移動させてずらせたうえでデータ
収集→ＣＴ再構成演算→ターンテーブル４３をずらせた
うえでデータ収集→ＣＴ再構成演算→・・・・を繰り返す必
要があり、ＣＴ再構成演算に要する時間は数秒〜３０秒
程度であるものの、一度のデータ収集に数分（通常は３
分程度）を要するため、３次元情報を得るためには全体
として数時間を要する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のよう
に被検査物の３次元情報を短時間のうちに得ることので
きるコーンビームＣＴにおいて問題となるのは、一枚目
のＣＴ像が出るまでの所要時間である。

【０００８】すなわち、コーンビームＣＴ装置において
は、データ収集に要する時間は数分（３分程度）である
が、数百枚のＣＴ像を再構成する必要があるため、通常
は２０〜３０分程度の計算時間が必要となる。ここで、
産業用ＣＴ装置においては、様々な種類の被検査物を対
象とする必要があるため、Ｘ線条件や、幾何条件などの
各種パラメータが適切でないと求める十分な画質を得る
ことができない。従って、コーンビームＣＴ撮像時に、
先に設定したこれらの条件が適切でなかった場合には、
数十分待って一枚目のＣＴ像が得られてからその像を見
て条件が不適切であったことを知り、そのうえで条件の
再設定を行う必要があり、極めて効率が悪いという問題
があった。

【０００９】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
もので、データ収集後に速やかにＸ線条件などの設定条
件の適否を知ることができ、もって従来のコーンビーム
ＣＴ装置に比して任意の被検査物に対してより迅速に高
画質のＣＴ像を得ることのできるコーンビームＣＴ装置
の提供を目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のコーンビームＣＴ装置は、コーン状のＸ線
ビームを出力するＸ線源と、そのＸ線源に対向配置され
た２次元Ｘ線検出器と、これらの間に配置され、被検査
物を搭載してＸ線光軸に直交する軸の回りに回転させる
ターンテーブルと、そのターンテーブルを回転させつつ
上記Ｘ線源からのＸ線を照射して収集した２次元Ｘ線検
出器からの各回転位置での画素データを用いて、上記タ
ーンテーブルの回転軸に直交する面で切断した被検査物
の複数のＸ線断層像を再構成するための演算を行う再構
成演算手段と、その再構成演算により得られたＸ線断層
像を表示する表示器を備えたコーンビームＣＴ装置にお
いて、上記画素データの収集後、上記再構成演算手段に
よる再構成演算の実行前に、収集した画素データのうち
の一部を用いてＸ線断層像の再構成演算を行って上記表
示器にプレビュー画像として表示するプレビュー用画像
再構成演算手段を備えていることによって特徴づけられ
る（請求項１）。

【００１１】ここで、本発明におけるプレビュー用画像
再構成演算手段により再構成するプレビュー画像の具体
的な例としては、上記再構成演算手段による再構成演算
よりもデータ量を少なくしたコーンビームＣＴ像（請求
項２）、あるいは、コーンビーム状のＸ線内の所定のフ
ァンビーム領域における画素データを用いたファンビー
ムＣＴ像（請求項３）を挙げることができる。また、デ
ータ量を少なく下コーンビームＣＴ像としては、画素デ
ータを適宜に間引いてコーンビームＣＴ像を再構成する
方法と、あるいは、ＣＴ像の一部分、例えば中心部分の
所定領域、のみに対応するデータを用いてコーンビーム
ＣＴ像を再構成する方法、のいずれをも採用することが
できる。

【００１２】本発明は、コーンビームＣＴ装置において
一枚目のＣＴ像が得られるまでにかかる時間が、再構成
演算に要する時間が支配的であることに勘案して、実際
にコーンビームＣＴ像の再構成演算を実行する前に、撮
影により収集したデータの一部を用いてプレビュー画像
を再構成して表示し、Ｘ線条件をはじめとする各種パラ
メータの設定の適否をそのプレビュー画像から判断でき
るようにすることで、所期の目的を達成しようとするも
のである。

【００１３】すなわち、撮影により収集したデータのう
ちの一部を用いた再構成演算によるプレビュー画像、例
えばデータ量を少なくしたコーンビームＣＴ像、あるい
は収集したデータのうちの特定のファンビーム領域（ス
ライス面に沿った略一次元領域）のデータを用いたファ
ンビームＣＴ像の再構成に要する演算は、収集した全デ
ータを用いた数百枚に及ぶコーンビームＣＴ像の再構成
演算に要する時間に比して大幅に短く、例えば数秒程度
で済むために、そのプレビュー画像により速やかに設定
されたパラメータの適否を判別することができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施の形態について説明する。図１は本発明の実施の形
態の構成図であり、機械的構成を表す模式図と電気的構
成を表すブロック図とを併記して示す図である。

【００１５】コーンビーム状のＸ線を出力するＸ線源１
に対向して、そのＸ線光軸Ｌ上に、例えばイメージイン
テンシファイアとＣＣＤカメラを組み合わせてなる２次
元Ｘ線検出器２が配設されており、その間にターンテー
ブル３が設けられている。ターンテーブル３は、Ｘ線光
軸Ｌに直交する方向（ｚ方向）に沿った回転軸Ｒａを中
心として回転するものであり、このターンテーブル３
は、ｚ方向と、Ｘ線光軸Ｌに沿った水平面上で互いに直
交するｘ，ｙ方向にそれぞれ独立的に移動可能なテーブ
ル移動機構４上に載せられている。また、前記した２次
元Ｘ線検出器２についても、Ｘ線光軸Ｌに沿う方向（ｘ
方向）に移動可能な検出器移動機構５上に載せられてい
る。

【００１６】Ｘ線源１は、Ｘ線コントローラ１ａから供
給される管電圧および管電流により駆動制御され、この
Ｘ線コントローラ１ａには、キーボード６等を介して設
定されたＸ線条件が制御部７を通じて供給される。ま
た、ターンテーブル３とテーブル移動機構４、および検
出器移動機構５の駆動源である各モータ（図示せず）に
は、それぞれのモータに対応するドライバを備えたモー
タコントロール回路８から駆動制御信号が供給され、こ
のモータコントロール回路８についても制御部７の制御
下に置かれている。

【００１７】さて、ＣＴ撮影時における２次元Ｘ線検出
器２の各画素出力は、ターンテーブル３の各回転位置に
おいてＡ−Ｄ変換器を含むデータサンプリング回路９を
介してメモリ１０内に取り込まれる。コーンビームＣＴ
画像再構成演算部１１は、そのメモリ１０内に取り込ま
れた全ての画素データを用いて公知のコーンビームＣＴ
像の再構成演算を行って多数のＣＴ像を構築し、表示器
１２に表示することができる。

【００１８】一方、プレビュー画像再構成演算部１３
は、メモリ１０内に取り込まれた画素データのうち、図
２に模式的に示すように、２次元Ｘ線検出器２の全有効
画素領域Ｅのうち、Ｘ線光軸Ｌを含んでｙ方向に伸び、
かつ、ｚ方向に僅かな広がりのみを持つ領域Ｆ内の画素
のデータ、つまりファンビームを用いたＣＴ撮影時に収
集されるものと同等の領域の画素データのみを用いて、
従来の通常のファンビームＣＴ像の再構成演算を行って
１〜数枚程度のＣＴ像を構築し、プレビュー画像として
表示器１２に表示することができる。また、このプレビ
ュー画像再構成演算部１３および上記したコーンビーム
ＣＴ画像再構成演算部１１およびデータサンプリング回
路９についても、制御部７の制御下に置かれている。

【００１９】ここで、図１においては、コーンビームＣ
Ｔ画像再構成演算部１１、プレビュー画像再構成演算部
１３、および制御部７をそれぞれにブロックによって表
しているが、これらは実際にはコンピュータとその周辺
機器によって構成され、コンピュータにインストールさ
れているプログラムの内容に従って動作するものであっ
て、図１ではそのプログラムが有する主たる機能ごとに
ブロック図で示している。

【００２０】次に、以上の実施の形態の動作について説
明する。図３はその動作手順を表すフローチャートであ
る。

【００２１】ＣＴ撮影に先立ち、ターンテーブル３上に
被検査物Ｗを載せた状態でＸ線を照射して透視像を表示
器１１に表示させ、テーブル駆動機構４をｙ，ｚ方向に
駆動して２次元Ｘ線検出器２の視野中で被検査物Ｗの位
置決めを行うとともに、テーブル駆動機構４および／ま
たは検出器駆動機構５をｘ方向に駆動して撮影倍率を設
定し、更にＸ線条件や幾何条件などの各種パラメータを
設定し、その上で撮影の開始を指令する。

【００２２】撮影指令を与えると、ターンテーブル３が
回転しつつ、２次元Ｘ線検出器２の各画素データをメモ
リ１０内に取り込んでデータ収集を行う。全てのデータ
を収集すると、プレビュー画像再構成演算部１２が自動
的に動作して、ファンビームＣＴ像を再構成して表示器
１３に表示する。

【００２３】操作者は、このプレビュー画像の画質か
ら、先に設定した各種パラメータの適否を判定し、良け
ればその旨の指令を与えることにより、コーンビームＣ
Ｔ再構成演算部１１が起動してコーンビームＣＴ像の再
構成演算を実行する。画質が悪ければパラメータの設定
変更を行ったうえで、再度ＣＴ撮影を実行する旨の指令
を与える。これにより、変更後の条件で再度ＣＴ撮影が
行われてデータが収集され、プレビュー画像が再び表示
されるので、再び画質の良否を判定して上記と同等の操
作を行う。

【００２４】以上の本発明の実施の形態によると、被検
査物Ｗが未知の材質や内部構造のものであっても、図３
のフローチャートに各工程の所要時間を併記するよう
に、ＣＴ撮影（データ収集）に要する時間が数分、例え
ば３分程度で、プレビュー画像の再構成に要する時間が
数秒、例えば８秒程度であるため、２５分程度も要する
コーンビームＣＴ像の再構成演算の前に、数分のうち最
適な撮影条件を設定することができる。

【００２５】なお、以上の実施の形態においては、プレ
ビュー画像として、収集したデータのうちファンビーム
領域のデータのみを用いて再構成したファンビームＣＴ
像を採用したが、画素データを適宜に間引いた状態で再
構成したコーンビームＣＴ像を採用したり、あるいは、
画素データのうちの例えば２次元Ｘ線検出器２の視野中
心近傍の一部領域の画素データのみを用いて再構成した
コーンビームＣＴ像を用いてもよい。

【００２６】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、被検査
物を回転させつつコーン状のＸ線ビームを照射して２次
元のＸ線透過情報を収集して、実際のコーンビームＣＴ
像の再構成演算を実行する前に、収集したデータのう
ち、ファンビーム領域のデータのみを用いて再構成した
ファンビームＣＴ像（請求項２）や、収集したデータを
間引くか、あるいは一部領域のみを用いて再構成したコ
ーンビームＣＴ像（請求項３）などの、数秒程度で再構
成演算が可能なプレビュー画像を自動的に表示するの
で、操作者はＣＴ撮影の後に直ちにそのプレビュー画像
からＸ線条件や幾何条件などの各種パラメータの設定の
適否を判定することができ、従来のコーンビームＣＴ装
置のように、２０〜３０分も要するコーンビームＣＴ像
を再構成演算後に各種パラメータの適否を判定する場合
に比して、高画質のコーンビームＣＴ像をより迅速に得
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の構成図で、機械的構成を
表す模式図と電気的構成を表すブロック図とを併記して
示す図である。

【図２】本発明の実施の形態におけるプレビュー画像再
構成演算部１３が用いるデータ領域の説明図である。

【図３】本発明の実施の形態の動作手順を示すフローチ
ャートである。

【図４】従来のファンビームＣＴ技術の説明図で、
（Ａ）はその装置構成例を示す模式図で、（Ｂ）は得ら
れるＣＴ像の模式図である。

【図５】コーンビームＣＴ技術の説明図で、（Ａ）はそ
の装置構成例を示す模式図で、（Ｂ）は得られるＣＴ像
の模式図である。

【符号の説明】

１ Ｘ線源 １ａ Ｘ線コントローラ ２ ２次元Ｘ線検出器 ３ ターンテーブル ４ テーブル駆動機構 ５ 検出器駆動機構 ６ キーボード ７ 制御部 ８ モータコントロール回路 ９ データサンプリング回路 １０ メモリ １１ コーンビームＣＴ再構成演算部 １２ 表示器 １３ プレビュー画像再構成演算部 Ｗ 被検査物

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コーン状のＸ線ビームを出力するＸ線源
   と、そのＸ線源に対向配置された２次元Ｘ線検出器と、
   これらの間に配置され、被検査物を搭載してＸ線光軸に
   直交する軸の回りに回転させるターンテーブルと、その
   ターンテーブルを回転させつつ上記Ｘ線源からのＸ線を
   照射して収集した２次元Ｘ線検出器からの各回転位置で
   の画素データを用いて、上記ターンテーブルの回転軸に
   直交する面で切断した被検査物の複数のＸ線断層像を再
   構成するための演算を行う再構成演算手段と、その再構
   成演算により得られたＸ線断層像を表示する表示器を備
   えたコーンビームＣＴ装置において、 上記画素データの収集後、上記再構成演算手段による再
   構成演算の実行前に、収集した画素データのうちの一部
   を用いてＸ線断層像の再構成演算を行って上記表示器に
   プレビュー画像として表示するプレビュー用画像再構成
   演算手段を備えていることを特徴とするコーンビームＣ
   Ｔ装置。
2. 【請求項２】 上記プレビュー用画像再構成演算手段に
   よるプレビュー画像が、上記演算手段による再構成演算
   よりもデータ量を少なくしたコーンビームＣＴ像である
   ことを特徴とする請求項１に記載のコーンビームＣＴ装
   置。
3. 【請求項３】 上記プレビュー演算手段によるプレビュ
   ー画像が、コーンビーム状のＸ線内の所定のファンビー
   ム領域における画素データを用いたファンビームＣＴ像
   であることを特徴とする請求項１に記載のコーンビーム
   ＣＴ装置。