JP2002348612A - 脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JP2002348612A JP2002348612A JP2001154424A JP2001154424A JP2002348612A JP 2002348612 A JP2002348612 A JP 2002348612A JP 2001154424 A JP2001154424 A JP 2001154424A JP 2001154424 A JP2001154424 A JP 2001154424A JP 2002348612 A JP2002348612 A JP 2002348612A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- annealing
- rolling
- steel sheet
- grain
- finish
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 脱炭焼鈍を必要とせずに良好な磁気特性と皮
膜特性を有する一方向性電磁鋼板の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 質量で、C≦0.005%、Si:2.5〜4.5%、酸
可溶性Al:0.020〜0.040%、N:0.0030〜0.010%、0.003%≦
(S+0.405Se)≦0.014%、Mn:0.05〜0.14%を含有するスラ
ブを1280℃未満の温度域に加熱し、熱間圧延し、熱延板
焼鈍を施しもしくは施さず、85%以上の圧下率の最終冷
間圧延し、脱炭することなく一次再結晶焼鈍を施し、Mg
Oを主体とする焼鈍分離剤を塗布し仕上焼鈍を施すに際
し、熱間仕上げ圧延開始温度を975℃超とし、かつ仕上
げ最終スタンドの圧下率R2、および一つ前の圧下率R1に
ついて、以下のどちらかを満たし、二次再結晶後の鋼板
の全酸化物質量を1.0超〜4.0g/m2とする。0.3≦R1の時
は、0.1<R2(条件1)、0.3≦R2の時は、0.1<R1(条件2)
膜特性を有する一方向性電磁鋼板の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 質量で、C≦0.005%、Si:2.5〜4.5%、酸
可溶性Al:0.020〜0.040%、N:0.0030〜0.010%、0.003%≦
(S+0.405Se)≦0.014%、Mn:0.05〜0.14%を含有するスラ
ブを1280℃未満の温度域に加熱し、熱間圧延し、熱延板
焼鈍を施しもしくは施さず、85%以上の圧下率の最終冷
間圧延し、脱炭することなく一次再結晶焼鈍を施し、Mg
Oを主体とする焼鈍分離剤を塗布し仕上焼鈍を施すに際
し、熱間仕上げ圧延開始温度を975℃超とし、かつ仕上
げ最終スタンドの圧下率R2、および一つ前の圧下率R1に
ついて、以下のどちらかを満たし、二次再結晶後の鋼板
の全酸化物質量を1.0超〜4.0g/m2とする。0.3≦R1の時
は、0.1<R2(条件1)、0.3≦R2の時は、0.1<R1(条件2)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変圧器等の鉄芯と
して使用される一方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
して使用される一方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、主として変圧器そ
の他の電気機器の鉄芯材料として使用され、磁性特性、
鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求される。
一方向性電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工程において二次再
結晶を生成させ、鋼板面に{110}面を、圧延方向に
<001>軸を有する、所謂Goss組織を発達させる
ことによって製造される。良好な磁気特性をもつ一方向
性電磁鋼板を得るためには、磁化容易軸である<001
>軸を圧延方向に高度に揃えることが必要である。
の他の電気機器の鉄芯材料として使用され、磁性特性、
鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求される。
一方向性電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工程において二次再
結晶を生成させ、鋼板面に{110}面を、圧延方向に
<001>軸を有する、所謂Goss組織を発達させる
ことによって製造される。良好な磁気特性をもつ一方向
性電磁鋼板を得るためには、磁化容易軸である<001
>軸を圧延方向に高度に揃えることが必要である。
【0003】高い磁束密度を有する一方向性電磁鋼板の
製造技術の代表的なものとして、田口らによって特公昭
40−15644号公報に開示された技術、或は今中ら
によって特公昭51−13469号公報に開示された技
術がある。前者においてはAlNおよびMnSを、後者
においてMnS,MnSe,Sbを主なインヒビターと
して機能させている。これらいずれの技術も、MnSを
インヒビターとして用いるが、二次再結晶時にインヒビ
ターとして機能するに必要な量のMnSを完全に固溶さ
せるためには、熱間圧延においてスラブを1400℃程
度の高温に加熱しなければならない。このスラブ加熱温
度は、普通鋼スラブの加熱温度よりも200℃以上も高
く、このことに起因して設備費やエネルギーコストが増
大し、また品質面でも、鋼板端部の耳割れや、高温スラ
ブ加熱時の結晶粒粗大化に起因する線状二次再結晶不良
が発生しやすいと言う問題がある。
製造技術の代表的なものとして、田口らによって特公昭
40−15644号公報に開示された技術、或は今中ら
によって特公昭51−13469号公報に開示された技
術がある。前者においてはAlNおよびMnSを、後者
においてMnS,MnSe,Sbを主なインヒビターと
して機能させている。これらいずれの技術も、MnSを
インヒビターとして用いるが、二次再結晶時にインヒビ
ターとして機能するに必要な量のMnSを完全に固溶さ
せるためには、熱間圧延においてスラブを1400℃程
度の高温に加熱しなければならない。このスラブ加熱温
度は、普通鋼スラブの加熱温度よりも200℃以上も高
く、このことに起因して設備費やエネルギーコストが増
大し、また品質面でも、鋼板端部の耳割れや、高温スラ
ブ加熱時の結晶粒粗大化に起因する線状二次再結晶不良
が発生しやすいと言う問題がある。
【0004】以上のような技術に対し、特開昭59−5
6522号公報において、Mnを0.08〜0.45
%、Sを0.007%以下とし、MnSをインヒビター
として用いないようにすることによって、低温スラブ加
熱を可能にする方向性珪素鋼板の製造方法が開示され
た。ところで、工業化された従来の一方向性電磁鋼板の
製造においては、前記のいずれのインヒビターを用いる
場合でも、製造過程で炭素を0.04質量%を超えて含
むことが必須であった。CとともにSi:3〜4質量%
程度を含有する通常の方向性電磁鋼は、鋳造から熱間圧
延までの熱履歴を受ける過程でγ−α変態を生ずるが、
この変態による組織の微細化、均質化が成品板の二次再
結晶を安定して生成させる上に有効と考えられている。
6522号公報において、Mnを0.08〜0.45
%、Sを0.007%以下とし、MnSをインヒビター
として用いないようにすることによって、低温スラブ加
熱を可能にする方向性珪素鋼板の製造方法が開示され
た。ところで、工業化された従来の一方向性電磁鋼板の
製造においては、前記のいずれのインヒビターを用いる
場合でも、製造過程で炭素を0.04質量%を超えて含
むことが必須であった。CとともにSi:3〜4質量%
程度を含有する通常の方向性電磁鋼は、鋳造から熱間圧
延までの熱履歴を受ける過程でγ−α変態を生ずるが、
この変態による組織の微細化、均質化が成品板の二次再
結晶を安定して生成させる上に有効と考えられている。
【0005】一方、製品においては非磁気時効性確保の
ため、炭素を0.0050質量%以下まで低下させる必
要があることから、脱炭焼鈍が必須であった。脱炭焼鈍
は通常、湿潤含水素雰囲気でおよそ800〜900℃で
焼鈍を行う。脱炭に必要な焼鈍時間は鋼中炭素量と雰囲
気の酸化度(PH2O/PH2)で決まるが、さらに鋼板厚
みの2乗に比例する。更に一方向性電磁鋼板はSiを3
質量%前後含むため、脱炭焼鈍雰囲気では表層の酸化に
より益々脱炭し難くなる。特に、製品厚みが0.35m
mを超える一方向性電磁鋼板の製造においては、酸洗を
挟んでの二度以上の脱炭焼鈍または極めて長時間の脱炭
焼鈍を行う必要があり、コストが非常に高くなり現実的
でなかった。
ため、炭素を0.0050質量%以下まで低下させる必
要があることから、脱炭焼鈍が必須であった。脱炭焼鈍
は通常、湿潤含水素雰囲気でおよそ800〜900℃で
焼鈍を行う。脱炭に必要な焼鈍時間は鋼中炭素量と雰囲
気の酸化度(PH2O/PH2)で決まるが、さらに鋼板厚
みの2乗に比例する。更に一方向性電磁鋼板はSiを3
質量%前後含むため、脱炭焼鈍雰囲気では表層の酸化に
より益々脱炭し難くなる。特に、製品厚みが0.35m
mを超える一方向性電磁鋼板の製造においては、酸洗を
挟んでの二度以上の脱炭焼鈍または極めて長時間の脱炭
焼鈍を行う必要があり、コストが非常に高くなり現実的
でなかった。
【0006】また、特に、後天的にインヒビターを形成
させる低温スラブ加熱を用いる一方向性電磁鋼板の製造
では、一次再結晶粒径を一定範囲に制御するために、焼
鈍温度を成分により変化させる必要があり、脱炭および
表層酸化層生成と併せて制御せねばならず、実操業では
大変な注意と監視を必要とする。脱炭焼鈍を行わない一
方向性電磁鋼板の製造方法については、すでに数多くの
技術が開示されている。特開昭55−73818号公報
には、Cを0.02質量%とし、一回目の冷延圧下率を
50%以上にする二回冷延法で最終板厚にした後、脱炭
焼鈍を省略して、通常の箱焼鈍もしくはオープンコイル
焼鈍する方法を開示している。しかしながら、この方法
では、一次再結晶を二次再結晶と合わせてコイルの形で
焼鈍するため、コイル位置による温度偏差の影響が大き
く、工業的に実施するのは困難である。
させる低温スラブ加熱を用いる一方向性電磁鋼板の製造
では、一次再結晶粒径を一定範囲に制御するために、焼
鈍温度を成分により変化させる必要があり、脱炭および
表層酸化層生成と併せて制御せねばならず、実操業では
大変な注意と監視を必要とする。脱炭焼鈍を行わない一
方向性電磁鋼板の製造方法については、すでに数多くの
技術が開示されている。特開昭55−73818号公報
には、Cを0.02質量%とし、一回目の冷延圧下率を
50%以上にする二回冷延法で最終板厚にした後、脱炭
焼鈍を省略して、通常の箱焼鈍もしくはオープンコイル
焼鈍する方法を開示している。しかしながら、この方法
では、一次再結晶を二次再結晶と合わせてコイルの形で
焼鈍するため、コイル位置による温度偏差の影響が大き
く、工業的に実施するのは困難である。
【0007】また、特開昭57−114614号公報に
は、含Al一方向性珪素鋼板スラブを、1250℃以下
の低温で粗圧延を開始し、900℃以上で累積圧下率8
0%以上で少なくとも1パスを35%以上、かつ900
℃以下で累積圧下率40%以上の歪蓄積圧延を行うこと
で、低温スラブ加熱と脱炭焼鈍省略する方法が開示され
ている。しかしながら、このような熱間圧延における9
00℃以下という低温域での高圧下では、集合組織の状
態が異なると考えられ、製品の磁束密度B8は最高でも
1.90以下とやや低い。
は、含Al一方向性珪素鋼板スラブを、1250℃以下
の低温で粗圧延を開始し、900℃以上で累積圧下率8
0%以上で少なくとも1パスを35%以上、かつ900
℃以下で累積圧下率40%以上の歪蓄積圧延を行うこと
で、低温スラブ加熱と脱炭焼鈍省略する方法が開示され
ている。しかしながら、このような熱間圧延における9
00℃以下という低温域での高圧下では、集合組織の状
態が異なると考えられ、製品の磁束密度B8は最高でも
1.90以下とやや低い。
【0008】更に、特開平6−346147号公報や特
開平7−26328号公報には、Cu:0.05〜2.
00%やSb:0.010〜0.100%をインヒビタ
ー成分として添加する方法が開示されているが、十分な
成果が得られていない。
開平7−26328号公報には、Cu:0.05〜2.
00%やSb:0.010〜0.100%をインヒビタ
ー成分として添加する方法が開示されているが、十分な
成果が得られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低温スラブ
加熱を前提として、脱炭焼鈍の必要がないほど溶鋼での
C含有量を減じて、磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板
を安定して製造する方法を提供することを目的とする。
加熱を前提として、脱炭焼鈍の必要がないほど溶鋼での
C含有量を減じて、磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板
を安定して製造する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために示されたものであり、その要旨とするところ
は下記のとおりである。 (1) 質量%で、 C≦0.005%、 Si:2.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.020〜
0.040%、N:0.0030〜0.010%、0.
003%≦(S+0.405Se)≦0.014%、M
n:0.05〜0.14%を含有し、残部Feおよび不
可避的不純物からなるスラブを、1280℃未満の温度
域に加熱し、熱間圧延し、熱延板焼鈍を施しもしくは施
さず、85%以上の圧下率を適用する最終冷間圧延によ
って最終板厚とした後、脱炭することなく一次再結晶焼
鈍を施し、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し仕上
焼鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法において、熱間
圧延における仕上げ圧延の開始温度を975℃超とし、
かつ仕上げ圧延の仕上げ最終スタンドの圧下率R2、お
よび最終スタンドの一つ前の圧下率R1について、以下
に規定する条件1、条件2のいずれかを満足することを
特徴とする脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板の
製造方法。
するために示されたものであり、その要旨とするところ
は下記のとおりである。 (1) 質量%で、 C≦0.005%、 Si:2.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.020〜
0.040%、N:0.0030〜0.010%、0.
003%≦(S+0.405Se)≦0.014%、M
n:0.05〜0.14%を含有し、残部Feおよび不
可避的不純物からなるスラブを、1280℃未満の温度
域に加熱し、熱間圧延し、熱延板焼鈍を施しもしくは施
さず、85%以上の圧下率を適用する最終冷間圧延によ
って最終板厚とした後、脱炭することなく一次再結晶焼
鈍を施し、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し仕上
焼鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法において、熱間
圧延における仕上げ圧延の開始温度を975℃超とし、
かつ仕上げ圧延の仕上げ最終スタンドの圧下率R2、お
よび最終スタンドの一つ前の圧下率R1について、以下
に規定する条件1、条件2のいずれかを満足することを
特徴とする脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板の
製造方法。
【0011】 0.3≦R1 の時は 0.1<R2 ……… (条件1) 0.3≦R2 の時は 0.1<R1 ……… (条件2) ただし、 R1=(tf2−tf1)/tf2 R2=(tf1−tf)/tf1 tf:仕上げ厚み(mm) tf1:仕上げス最終タンド入り口厚み(mm) tf2:仕上げ最終スタンドの一つ前の入り口厚み(m
m) (2) 熱間圧延の仕上げ圧延の仕上げ最終スタンドの
圧下率R2、および最終スタンドの一つ前の圧下率R1
をいずれも0.3以上とすることを特徴とする(1)の
脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板の製造方法。 (3) 一次再結晶焼鈍後二次再結晶焼鈍までの間に走
行するストリップ状態でアンモニアガスを用いて前記ス
トップを窒化することを特徴とする(1)または(2)
の脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板の製造方
法。 (4) 二次再結晶後の鋼板の全酸化物質量を1.0超
〜4.0g/m2とすることを特徴とする(1)〜
(3)のいずれかの項に記載の脱炭焼鈍を必要としない
一方向性電磁鋼板の製造方法。 (5) 一次再結晶焼鈍時の雰囲気を PH2O/PH2<
0.20 とし、焼鈍温度を800〜920℃で均熱時
間30秒〜200秒とすることを特徴とする(1)〜
(4)のいずれかの項に記載の脱炭焼鈍を必要としない
一方向性電磁鋼板の製造方法。 (6) 焼鈍分離剤として、MgO:100質量部に対
して、珪素、チタン、燐、クロム、鉄、マンガン、バナ
ジウムの酸化物を単独または複合で3.0〜10.0質
量部含有した焼鈍分離剤を塗布することを特徴とする
(1)〜(5)のいずれかの項に記載の脱炭焼鈍を必要
としない一方向性電磁鋼板の製造方法。 (7) MgOを主体とする焼鈍分離剤の水和水分を
2.0〜7.0%とすることを特徴とする(1)〜
(6)のいずれかの項に記載の脱炭焼鈍を必要としない
一方向性電磁鋼板の製造方法。 (8) 二次再結晶仕上げ焼鈍の昇温加熱時の800℃
までの雰囲気酸化度(P H2O/PH2)を0.02〜0.
30とすることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか
の項に記載の脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板
の製造方法。
m) (2) 熱間圧延の仕上げ圧延の仕上げ最終スタンドの
圧下率R2、および最終スタンドの一つ前の圧下率R1
をいずれも0.3以上とすることを特徴とする(1)の
脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板の製造方法。 (3) 一次再結晶焼鈍後二次再結晶焼鈍までの間に走
行するストリップ状態でアンモニアガスを用いて前記ス
トップを窒化することを特徴とする(1)または(2)
の脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板の製造方
法。 (4) 二次再結晶後の鋼板の全酸化物質量を1.0超
〜4.0g/m2とすることを特徴とする(1)〜
(3)のいずれかの項に記載の脱炭焼鈍を必要としない
一方向性電磁鋼板の製造方法。 (5) 一次再結晶焼鈍時の雰囲気を PH2O/PH2<
0.20 とし、焼鈍温度を800〜920℃で均熱時
間30秒〜200秒とすることを特徴とする(1)〜
(4)のいずれかの項に記載の脱炭焼鈍を必要としない
一方向性電磁鋼板の製造方法。 (6) 焼鈍分離剤として、MgO:100質量部に対
して、珪素、チタン、燐、クロム、鉄、マンガン、バナ
ジウムの酸化物を単独または複合で3.0〜10.0質
量部含有した焼鈍分離剤を塗布することを特徴とする
(1)〜(5)のいずれかの項に記載の脱炭焼鈍を必要
としない一方向性電磁鋼板の製造方法。 (7) MgOを主体とする焼鈍分離剤の水和水分を
2.0〜7.0%とすることを特徴とする(1)〜
(6)のいずれかの項に記載の脱炭焼鈍を必要としない
一方向性電磁鋼板の製造方法。 (8) 二次再結晶仕上げ焼鈍の昇温加熱時の800℃
までの雰囲気酸化度(P H2O/PH2)を0.02〜0.
30とすることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか
の項に記載の脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板
の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は、従来注目されていなかった、仕上熱間圧
延の後段最終2パス後の圧下率に着目し、この現象を利
用して、低温スラブ加熱を前提とする、85%以上の圧
下率を適用する最終強圧下冷間圧延による製造プロセス
によって製造される磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板
を、脱炭焼鈍することなく安定して製造する方法を確立
すべく研究を重ね、本発明を完成するに至ったものであ
る。
本発明者等は、従来注目されていなかった、仕上熱間圧
延の後段最終2パス後の圧下率に着目し、この現象を利
用して、低温スラブ加熱を前提とする、85%以上の圧
下率を適用する最終強圧下冷間圧延による製造プロセス
によって製造される磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板
を、脱炭焼鈍することなく安定して製造する方法を確立
すべく研究を重ね、本発明を完成するに至ったものであ
る。
【0013】本発明が対象とする一方向性電磁鋼板は、
従来用いられている製鋼法によって得られる溶鋼を、連
続鋳造して直接にスラブとするか、或は溶鋼を鋳型に注
入し、凝固させて鋼塊とし、これを分塊圧延してスラブ
とし、次いで熱間圧延して熱延板とした後、必要に応じ
て焼鈍を施し、次いで85%超の圧下率を適用する1回
の冷間圧延工程或は85%超の圧下率を適用する最終冷
間圧延工程を含む中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延に
よって最終板厚とした後、一次再結晶焼鈍、窒化、焼鈍
分離剤の塗布、最終仕上焼鈍を施すプロセスによって製
造される。
従来用いられている製鋼法によって得られる溶鋼を、連
続鋳造して直接にスラブとするか、或は溶鋼を鋳型に注
入し、凝固させて鋼塊とし、これを分塊圧延してスラブ
とし、次いで熱間圧延して熱延板とした後、必要に応じ
て焼鈍を施し、次いで85%超の圧下率を適用する1回
の冷間圧延工程或は85%超の圧下率を適用する最終冷
間圧延工程を含む中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延に
よって最終板厚とした後、一次再結晶焼鈍、窒化、焼鈍
分離剤の塗布、最終仕上焼鈍を施すプロセスによって製
造される。
【0014】本発明者等は、熱間圧延における仕上げ圧
延(以下単に仕上げ圧延という)の最終2パス後の材料
の圧下率に注目して、種々の観点から広範囲にわたって
研究を進めた結果、仕上げ圧延の最終2パス後の材料の
歪み蓄積現象と製品の磁気特性が密接に関係しているこ
とを知見した。以下に、熱間圧延仕上げ最終スタンドと
その一つ前のスタンドにおける圧下率配分と磁気特性の
関係について、実験をもとに詳細に説明する。
延(以下単に仕上げ圧延という)の最終2パス後の材料
の圧下率に注目して、種々の観点から広範囲にわたって
研究を進めた結果、仕上げ圧延の最終2パス後の材料の
歪み蓄積現象と製品の磁気特性が密接に関係しているこ
とを知見した。以下に、熱間圧延仕上げ最終スタンドと
その一つ前のスタンドにおける圧下率配分と磁気特性の
関係について、実験をもとに詳細に説明する。
【0015】C=0.003質量%、Si=3.15〜
3.35質量%、Al=0.025〜0.027質量
%、N=0.0078〜0.0083質量%を含有する
スラブを1150℃でスラブ加熱して熱間圧延し、熱間
圧延仕上げ温度を1000〜1050℃とし、仕上げ圧
延の最終パスの圧下率(R2)及びその1つ前のパスの
圧下率(R1)をそれぞれ種々変更して、様々な板厚の
熱間圧延鋼帯を得た。
3.35質量%、Al=0.025〜0.027質量
%、N=0.0078〜0.0083質量%を含有する
スラブを1150℃でスラブ加熱して熱間圧延し、熱間
圧延仕上げ温度を1000〜1050℃とし、仕上げ圧
延の最終パスの圧下率(R2)及びその1つ前のパスの
圧下率(R1)をそれぞれ種々変更して、様々な板厚の
熱間圧延鋼帯を得た。
【0016】それら熱間圧延鋼板は、その後1120℃
で3分間の熱延板焼鈍を施し、酸洗を行った後、200
〜250℃の温間圧延で、最終冷間圧延率を90%一定
として、圧延最終製品厚みを0.22〜0.50mmと
した。その後、体積率でN2:H2=45:55、露点+
20℃の非脱炭雰囲気で820〜860℃90秒の一次
再結晶焼鈍を施し、一次再結晶粒径を21〜24μmと
した。その後、走行するストリップ状態でアンモニアを
含む雰囲気を用いて、鋼中全Nとして200〜220p
pmとなるようにストリップへの窒化処理を行った。そ
の後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布して、12
00℃まで体積率でN2:H2=25:75の雰囲気で昇
温速度15℃/時間の二次再結晶焼鈍と、引き続き
H2:100%雰囲気で、1200℃×30時間の純化
処理を行った。次いで、燐酸アルミニウムとクロム酸を
主成分とする絶縁張力皮膜を塗布焼付した。
で3分間の熱延板焼鈍を施し、酸洗を行った後、200
〜250℃の温間圧延で、最終冷間圧延率を90%一定
として、圧延最終製品厚みを0.22〜0.50mmと
した。その後、体積率でN2:H2=45:55、露点+
20℃の非脱炭雰囲気で820〜860℃90秒の一次
再結晶焼鈍を施し、一次再結晶粒径を21〜24μmと
した。その後、走行するストリップ状態でアンモニアを
含む雰囲気を用いて、鋼中全Nとして200〜220p
pmとなるようにストリップへの窒化処理を行った。そ
の後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布して、12
00℃まで体積率でN2:H2=25:75の雰囲気で昇
温速度15℃/時間の二次再結晶焼鈍と、引き続き
H2:100%雰囲気で、1200℃×30時間の純化
処理を行った。次いで、燐酸アルミニウムとクロム酸を
主成分とする絶縁張力皮膜を塗布焼付した。
【0017】その結果の磁気特性(磁束密度B8
(T))を図1に示す。図1から明らかなように、仕上
げ圧延の最終2パスのうち、少なくとも一方の圧下率が
0.3以上で、かつ他方も0.1以上の場合に、B8は
1.84Tを超えて一方向性電磁鋼板の規格を満たすこ
とがわかる。さらに最終2パスの圧下率がともに30%
以上の場合に、B8≧1.90Tの高い磁束密度を有す
る製品が得られている。
(T))を図1に示す。図1から明らかなように、仕上
げ圧延の最終2パスのうち、少なくとも一方の圧下率が
0.3以上で、かつ他方も0.1以上の場合に、B8は
1.84Tを超えて一方向性電磁鋼板の規格を満たすこ
とがわかる。さらに最終2パスの圧下率がともに30%
以上の場合に、B8≧1.90Tの高い磁束密度を有す
る製品が得られている。
【0018】また、同じ素材及び製法で熱間圧延仕上げ
圧延率をR1=R2=0.32とR1=R2=0.5の
2種類とし、冷間圧延率を種々変更した場合の、磁気特
性(磁束密度B8(T))を図2に示す。最終冷間圧延
率を85%以上とすると、B8≧1.90Tの高い磁束
密度を有する製品が得られている。本発明の学術的理由
については必ずしも明らかではないが、本発明者等は次
のように推察している。新井らによると(“Materials S
cience Forum”Vols.204-206(1996)pp.617-622)、冷間
圧延率が95%になるとGoss方位からのずれが大き
くなり磁束密度は低下している。この場合はS=3.3
質量%、C=0.05質量%であり、熱間圧延時にはγ
相が存在する。
圧延率をR1=R2=0.32とR1=R2=0.5の
2種類とし、冷間圧延率を種々変更した場合の、磁気特
性(磁束密度B8(T))を図2に示す。最終冷間圧延
率を85%以上とすると、B8≧1.90Tの高い磁束
密度を有する製品が得られている。本発明の学術的理由
については必ずしも明らかではないが、本発明者等は次
のように推察している。新井らによると(“Materials S
cience Forum”Vols.204-206(1996)pp.617-622)、冷間
圧延率が95%になるとGoss方位からのずれが大き
くなり磁束密度は低下している。この場合はS=3.3
質量%、C=0.05質量%であり、熱間圧延時にはγ
相が存在する。
【0019】一方、岩永らによると(“Journal of Mate
rials Engineering and Performance”Volume 3(2) Apr
il 1994 p223)、95%の冷間圧延率でも良好な磁束密
度が得られている。この場合は熱延板に相当する段階で
の集合組織が通常と異なるため、高冷間圧延率で磁気特
性が良好になると述べられている。本発明では、C含有
量が少ないため全工程でγ相を有することはなくα単相
である。従って、岩永らの場合に対応していて、高冷間
圧延率で良好な磁気特性が得られると考える。このとき
一次再結晶集合組織でGossのΣ9対応方位が強くな
るのである。α単相材では、熱間圧延での終わりの方の
スタンドでの比較的高圧下率で歪みが蓄積され、続く熱
延板焼鈍で再結晶が各部位で起こり冷間圧延前粒径が比
較的小さくなるため、種々の方位が存在し、続く冷間圧
延での高圧延率で適切な集合組織となると推定する。
rials Engineering and Performance”Volume 3(2) Apr
il 1994 p223)、95%の冷間圧延率でも良好な磁束密
度が得られている。この場合は熱延板に相当する段階で
の集合組織が通常と異なるため、高冷間圧延率で磁気特
性が良好になると述べられている。本発明では、C含有
量が少ないため全工程でγ相を有することはなくα単相
である。従って、岩永らの場合に対応していて、高冷間
圧延率で良好な磁気特性が得られると考える。このとき
一次再結晶集合組織でGossのΣ9対応方位が強くな
るのである。α単相材では、熱間圧延での終わりの方の
スタンドでの比較的高圧下率で歪みが蓄積され、続く熱
延板焼鈍で再結晶が各部位で起こり冷間圧延前粒径が比
較的小さくなるため、種々の方位が存在し、続く冷間圧
延での高圧延率で適切な集合組織となると推定する。
【0020】以下に本発明の限定理由を説明する。ま
ず、本発明に関してその成分組成をあげると次のとおり
である。なお、以下の説明における量は全て質量%であ
る。 C:0.0050%以下;Cは最終製品に0.0050
%を超えて含有すると所謂トランス等電気機器にて用い
られているときに磁気時効を起こし機器特性が劣化する
ので従来一方向性電磁鋼板製造の途中工程での脱炭焼鈍
が必須である.しかし、本発明では脱炭焼鈍を必要とし
ないために0.0050%以下とする.このことが本発
明の大きなの特徴の一つである. Si:2.5〜4.5%;Siは、鋼板の比抵抗を高
め、鉄損の低減に寄与する。Si含有量が、2.5%未
満では鉄損低減効果が十分ではなく、また、純化と2次
再結晶のため行われる高温での仕上げ焼鈍において、α
−γ変態による結晶方位のランダム化が生じ十分な磁気
特性が得られない。一方、4.5%を超えると冷間圧延
性が損なわれ、製造が困難となる。したがって、Si含
有量は、2.5〜4.5%とする。なお、好ましくは
3.0〜3.7%の範囲とする。
ず、本発明に関してその成分組成をあげると次のとおり
である。なお、以下の説明における量は全て質量%であ
る。 C:0.0050%以下;Cは最終製品に0.0050
%を超えて含有すると所謂トランス等電気機器にて用い
られているときに磁気時効を起こし機器特性が劣化する
ので従来一方向性電磁鋼板製造の途中工程での脱炭焼鈍
が必須である.しかし、本発明では脱炭焼鈍を必要とし
ないために0.0050%以下とする.このことが本発
明の大きなの特徴の一つである. Si:2.5〜4.5%;Siは、鋼板の比抵抗を高
め、鉄損の低減に寄与する。Si含有量が、2.5%未
満では鉄損低減効果が十分ではなく、また、純化と2次
再結晶のため行われる高温での仕上げ焼鈍において、α
−γ変態による結晶方位のランダム化が生じ十分な磁気
特性が得られない。一方、4.5%を超えると冷間圧延
性が損なわれ、製造が困難となる。したがって、Si含
有量は、2.5〜4.5%とする。なお、好ましくは
3.0〜3.7%の範囲とする。
【0021】Mn:0.05〜0.14%;不可避的に
溶鋼に存在するものであるが、窒化するためインヒビタ
ー元素としては必須でない。しかし、Mnは熱間脆性に
よる熱間圧延時の割れを防止するのに有効な元素であ
り、その効果は0.05%未満では得られない。一方、
0.14%を超えて添加すると熱間圧延加熱時にMn
S,MnSeの固溶が不均一になり磁気特性の変動の要
因となり品質が安定しない。従って、Mn含有量は、
0.05〜0.14%とする。なお、好ましくは0.0
8〜0.11%の範囲とする。
溶鋼に存在するものであるが、窒化するためインヒビタ
ー元素としては必須でない。しかし、Mnは熱間脆性に
よる熱間圧延時の割れを防止するのに有効な元素であ
り、その効果は0.05%未満では得られない。一方、
0.14%を超えて添加すると熱間圧延加熱時にMn
S,MnSeの固溶が不均一になり磁気特性の変動の要
因となり品質が安定しない。従って、Mn含有量は、
0.05〜0.14%とする。なお、好ましくは0.0
8〜0.11%の範囲とする。
【0022】Al:0.020〜0.040%;Al
は、AlNを形成してインヒビターとして作用する元素
である。Al含有量が、0.020%未満では抑制力の
確保が十分ではなく、一方、0.040%を超えるとそ
の効果が損なわれるので、0.020〜0.040%と
する。なお、好ましい範囲は0.024〜0.030%
である。
は、AlNを形成してインヒビターとして作用する元素
である。Al含有量が、0.020%未満では抑制力の
確保が十分ではなく、一方、0.040%を超えるとそ
の効果が損なわれるので、0.020〜0.040%と
する。なお、好ましい範囲は0.024〜0.030%
である。
【0023】N:0.003〜0.010%;Nは、A
lNを形成してインヒビターとして作用する元素であ
る。本発明ではAlNは熱間圧延加熱時にはほぼ完全に
析出させるのでAlとのバランスで制限を受ける。N含
有量が、0.003%未満では抑制力の確保が十分では
なく二次再結晶不良で磁気特性が劣り、一方、0.01
%を超えるとブリスターなる欠陥(膨れ)が生じる.好
ましい範囲は0.006〜0.008%である。
lNを形成してインヒビターとして作用する元素であ
る。本発明ではAlNは熱間圧延加熱時にはほぼ完全に
析出させるのでAlとのバランスで制限を受ける。N含
有量が、0.003%未満では抑制力の確保が十分では
なく二次再結晶不良で磁気特性が劣り、一方、0.01
%を超えるとブリスターなる欠陥(膨れ)が生じる.好
ましい範囲は0.006〜0.008%である。
【0024】SeとS: 0.003%≦S+0.40
5Se≦0.014%;高温度熱間圧延加熱で完全固溶
させる一方向性電磁鋼板の製造ではSとSeは、Mnと
MnSとMnSe形成してインヒビターとして作用する
有力な元素である。しかし、本発明では1200℃以下
の比較的低温でのスラブ加熱であるため,両元素の含有
量は少ない方が良い。また、本発明では低温スラブ加熱
であるため、鋳造時の析出物分布がそのまま残存するの
で、含有量が多いと熱間圧延加熱時に温度不均一での析
出物の不均一性が発生して二次再結晶後での磁性変動
(所謂スキッドマーク)生じる。このため上限はS+
0.405Se≦0.014%とする。また少なすぎる
と二次再結晶が不安定になるので、下限を0.003%
以上とする.なお、本発明においては、インヒビター成
分として上記した元素のほかに、Sn、Sb、P、C
r、Cuも有利に作用するのでそれぞれ前記成分に併せ
て含有させることもできる。これらの成分の好適添加範
囲はそれぞれ、0.02〜0.3%である。更に、Ni
は0.03〜0.3%、Mo,Cdは0.005〜0.
3%の添加で効果がある。
5Se≦0.014%;高温度熱間圧延加熱で完全固溶
させる一方向性電磁鋼板の製造ではSとSeは、Mnと
MnSとMnSe形成してインヒビターとして作用する
有力な元素である。しかし、本発明では1200℃以下
の比較的低温でのスラブ加熱であるため,両元素の含有
量は少ない方が良い。また、本発明では低温スラブ加熱
であるため、鋳造時の析出物分布がそのまま残存するの
で、含有量が多いと熱間圧延加熱時に温度不均一での析
出物の不均一性が発生して二次再結晶後での磁性変動
(所謂スキッドマーク)生じる。このため上限はS+
0.405Se≦0.014%とする。また少なすぎる
と二次再結晶が不安定になるので、下限を0.003%
以上とする.なお、本発明においては、インヒビター成
分として上記した元素のほかに、Sn、Sb、P、C
r、Cuも有利に作用するのでそれぞれ前記成分に併せ
て含有させることもできる。これらの成分の好適添加範
囲はそれぞれ、0.02〜0.3%である。更に、Ni
は0.03〜0.3%、Mo,Cdは0.005〜0.
3%の添加で効果がある。
【0025】次に本発明の製造工程について説明する。
前記の成分からなる溶鋼を連続鋳造により直接スラブと
するか、或は溶鋼を鋳型に注入し、凝固させて鋼塊と
し、これを分塊圧延してスラブとした後、1280℃未
満の温度域に加熱した後、熱間圧延を施す。または近年
普及され始めている、鋳造厚みが30〜75mmの所謂
薄スラブ鋳造を用い、粗圧延を省略して仕上げ圧延を行
う方法を用いても良い。
前記の成分からなる溶鋼を連続鋳造により直接スラブと
するか、或は溶鋼を鋳型に注入し、凝固させて鋼塊と
し、これを分塊圧延してスラブとした後、1280℃未
満の温度域に加熱した後、熱間圧延を施す。または近年
普及され始めている、鋳造厚みが30〜75mmの所謂
薄スラブ鋳造を用い、粗圧延を省略して仕上げ圧延を行
う方法を用いても良い。
【0026】この熱間圧延における仕上げ圧延の最終ス
タンドの圧下率R2、および最終スタンドの一つ前の圧
下率R1について、以下の条件のうちいずれかを満たす
ようにすることが、本発明の最大の特徴である。 0.3≦R1 の時は 0.1<R2 ……… (条件1) 0.3≦R2 の時は 0.1<R1 ……… (条件2) ただし、 R1=(tf2−tf1)/tf2 R2=(tf1−tf)/tf1 tf:仕上げ厚み(mm) tf1:仕上げス最終タンド入り口厚み(mm) tf2:仕上げ最終スタンドの一つ前の入り口厚み(m
m) 以上の温度、圧下率条件を満たすようにすることで、鋳
造、熱間圧延時にCを有さずとも、良好な磁気特性を有
する一方向性電磁鋼板を製造することができる。さらに
R1,R2ともに0.3以上であれば、より良好な磁気
特性を得ることができる。圧下率の上限は磁気特性の点
からは特に規定しないが、通常の熱間圧延設備の能力で
は、1パス当たりの圧下率は0.6位までが限界であ
る。
タンドの圧下率R2、および最終スタンドの一つ前の圧
下率R1について、以下の条件のうちいずれかを満たす
ようにすることが、本発明の最大の特徴である。 0.3≦R1 の時は 0.1<R2 ……… (条件1) 0.3≦R2 の時は 0.1<R1 ……… (条件2) ただし、 R1=(tf2−tf1)/tf2 R2=(tf1−tf)/tf1 tf:仕上げ厚み(mm) tf1:仕上げス最終タンド入り口厚み(mm) tf2:仕上げ最終スタンドの一つ前の入り口厚み(m
m) 以上の温度、圧下率条件を満たすようにすることで、鋳
造、熱間圧延時にCを有さずとも、良好な磁気特性を有
する一方向性電磁鋼板を製造することができる。さらに
R1,R2ともに0.3以上であれば、より良好な磁気
特性を得ることができる。圧下率の上限は磁気特性の点
からは特に規定しないが、通常の熱間圧延設備の能力で
は、1パス当たりの圧下率は0.6位までが限界であ
る。
【0027】また、仕上げ圧延の開始温度は975℃超
とする必要がある。975℃以下では強圧下による集合
組織の改善効果がない。上限については特に規定しない
が、本発明のスラブ加熱温度は1280℃未満であるた
め、通常は1150℃以下となる。熱間圧延により1.
5〜20mmの板厚とした鋼板は、所望とする磁気特性
に応じて熱延板焼鈍を施しもしくは省略し、続いて冷間
圧延を施す。このとき最終冷間圧延の圧下率は85%以
上とする必要がある。これ未満では二次再結晶が十分に
進行せず、磁気特性が劣化する。上限は特に規定しない
が、通常の冷間圧延機で圧下率96%以上とするには、
熱間圧延の板厚を非常に厚くせねばならず、現実的では
ない。
とする必要がある。975℃以下では強圧下による集合
組織の改善効果がない。上限については特に規定しない
が、本発明のスラブ加熱温度は1280℃未満であるた
め、通常は1150℃以下となる。熱間圧延により1.
5〜20mmの板厚とした鋼板は、所望とする磁気特性
に応じて熱延板焼鈍を施しもしくは省略し、続いて冷間
圧延を施す。このとき最終冷間圧延の圧下率は85%以
上とする必要がある。これ未満では二次再結晶が十分に
進行せず、磁気特性が劣化する。上限は特に規定しない
が、通常の冷間圧延機で圧下率96%以上とするには、
熱間圧延の板厚を非常に厚くせねばならず、現実的では
ない。
【0028】冷間圧延により0.15〜0.50mmの
板厚とした鋼板は、続いて一次再結晶焼鈍を施す。この
ときの焼鈍温度は800〜920℃とするのが好まし
く、さらに一次再結晶粒径を適正な範囲にするよう、焼
鈍温度を適宜調整するのが好ましい。本発明はフォルス
テライトを主とするグラス皮膜を有する一方向性電磁鋼
板の製造方法であるが、グラス皮膜を鋼板表面に均一に
安定的に形成させるためには、その原料であるSiO2
とMgOが必要である。本発明では脱炭しないため鋼板
表面にはSiO2は形成され難いが、成分としてSiを
多く含むので、実際の工業生産での一次再結晶焼鈍では
最低限のSiO2は形成され、グラス皮膜は形成されう
る。しかし更に品質の安定したグラス皮膜形成のために
は、1)一次再結晶焼鈍時の雰囲気によるSiO2の確
保、2)MgOの水和水分の確保による二次再結晶焼鈍
時のSiO2形成、3)MgOへの酸素源物質の添加に
よるSiO2形成、4)二次再結晶仕上げ焼鈍での雰囲
気調整によるSiO2形成、などの手段の1つ以上を用
いることが好ましい。これらにより、二次再結晶後の鋼
板の全酸化物質量を1.0超〜4.0g/m2となるよ
うにする。以下に前記1)〜4)の手段について詳細に
説明する。
板厚とした鋼板は、続いて一次再結晶焼鈍を施す。この
ときの焼鈍温度は800〜920℃とするのが好まし
く、さらに一次再結晶粒径を適正な範囲にするよう、焼
鈍温度を適宜調整するのが好ましい。本発明はフォルス
テライトを主とするグラス皮膜を有する一方向性電磁鋼
板の製造方法であるが、グラス皮膜を鋼板表面に均一に
安定的に形成させるためには、その原料であるSiO2
とMgOが必要である。本発明では脱炭しないため鋼板
表面にはSiO2は形成され難いが、成分としてSiを
多く含むので、実際の工業生産での一次再結晶焼鈍では
最低限のSiO2は形成され、グラス皮膜は形成されう
る。しかし更に品質の安定したグラス皮膜形成のために
は、1)一次再結晶焼鈍時の雰囲気によるSiO2の確
保、2)MgOの水和水分の確保による二次再結晶焼鈍
時のSiO2形成、3)MgOへの酸素源物質の添加に
よるSiO2形成、4)二次再結晶仕上げ焼鈍での雰囲
気調整によるSiO2形成、などの手段の1つ以上を用
いることが好ましい。これらにより、二次再結晶後の鋼
板の全酸化物質量を1.0超〜4.0g/m2となるよ
うにする。以下に前記1)〜4)の手段について詳細に
説明する。
【0029】1)一次再結晶焼鈍時の雰囲気酸化度を用
いる場合は、本発明においては鋼中に炭素を殆ど含有し
ないことから、雰囲気酸化度が高すぎると、グラス皮膜
形成に好ましくない酸化層が形成されやすいため、P
H2O/PH2の上限は0.20に制限するのが好ましい。
下限は特に規定しないが、およそ0.002が工業生産
上の達成限界である。
いる場合は、本発明においては鋼中に炭素を殆ど含有し
ないことから、雰囲気酸化度が高すぎると、グラス皮膜
形成に好ましくない酸化層が形成されやすいため、P
H2O/PH2の上限は0.20に制限するのが好ましい。
下限は特に規定しないが、およそ0.002が工業生産
上の達成限界である。
【0030】2)MgOの水和水分による方法を用いる
場合は、2.0〜7.0質量%の範囲とするのが好まし
い。2.0%未満では酸化層形成には不十分であり、
7.0%を超えるとインヒビター元素であるAlが酸化
され、インヒビター強度が低下して磁気特性が劣化す
る。 3)MgOに酸素源物質を添加する場合は、MgO:1
00質量部に対し、3.0〜10.0質量部を添加する
のが適切である。3.0質量部未満では酸化層形成の効
果がなく、10.0質量部を超えると斑点状の金属光沢
をしたグラス皮膜欠陥が生じ易い。添加物としては珪
素、チタン、燐、クロム、鉄、マンガン、バナジウムの
1種または2種以上を用いることが好ましい。
場合は、2.0〜7.0質量%の範囲とするのが好まし
い。2.0%未満では酸化層形成には不十分であり、
7.0%を超えるとインヒビター元素であるAlが酸化
され、インヒビター強度が低下して磁気特性が劣化す
る。 3)MgOに酸素源物質を添加する場合は、MgO:1
00質量部に対し、3.0〜10.0質量部を添加する
のが適切である。3.0質量部未満では酸化層形成の効
果がなく、10.0質量部を超えると斑点状の金属光沢
をしたグラス皮膜欠陥が生じ易い。添加物としては珪
素、チタン、燐、クロム、鉄、マンガン、バナジウムの
1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0031】4)二次再結晶仕上げ焼鈍での雰囲気調整
では、その昇温加熱時の800℃までにおいて、PH2O
/PH2を0.02〜0.30とすることが好ましい。
0.02より低いと酸化層形成の効果がなく、0.30
を超えるとインヒビター元素であるAlが酸化されイン
ヒビター強度が低下して磁気特性が劣化する。この雰囲
気酸化度の調整方法としては、水分を適当量混合する
か、H2%の混合率を変える方法が好ましい。
では、その昇温加熱時の800℃までにおいて、PH2O
/PH2を0.02〜0.30とすることが好ましい。
0.02より低いと酸化層形成の効果がなく、0.30
を超えるとインヒビター元素であるAlが酸化されイン
ヒビター強度が低下して磁気特性が劣化する。この雰囲
気酸化度の調整方法としては、水分を適当量混合する
か、H2%の混合率を変える方法が好ましい。
【0032】一次再結晶焼鈍後の鋼板には、インヒビタ
ー強化のため窒化処理が施される。窒化増量としては、
0.0050%未満ではインヒビターの強化にほとんど
寄与せず、0.0150%を超えるとグラス皮膜を破壊
するため制限される。窒化処理は走行するストリップ状
態でアンモニアガスを用いるのが好ましい。また、一次
再結晶焼鈍後、二次再結晶仕上げ焼鈍までの間に、Mg
Oを主体とする焼鈍分離剤を塗布し、コイルの形に巻き
取る。この焼鈍分離剤には、皮膜や磁性の向上を目的と
して、塩化物などを添加してもよい。
ー強化のため窒化処理が施される。窒化増量としては、
0.0050%未満ではインヒビターの強化にほとんど
寄与せず、0.0150%を超えるとグラス皮膜を破壊
するため制限される。窒化処理は走行するストリップ状
態でアンモニアガスを用いるのが好ましい。また、一次
再結晶焼鈍後、二次再結晶仕上げ焼鈍までの間に、Mg
Oを主体とする焼鈍分離剤を塗布し、コイルの形に巻き
取る。この焼鈍分離剤には、皮膜や磁性の向上を目的と
して、塩化物などを添加してもよい。
【0033】コイルは引き続き二次再結晶仕上げ焼鈍を
施す。二次再結晶仕上げ焼鈍は5〜30℃/時の昇温速
度で1100℃以上まで昇温した後、H2:100%の
雰囲気で10時間以上の純化を施す。二次再結晶後の鋼
板は焼鈍分離剤を洗浄除去後、絶縁皮膜を塗布焼き付け
て、製品とする。さらに磁気特性を向上させるため、公
知の磁区細分化処理を施しても良い。
施す。二次再結晶仕上げ焼鈍は5〜30℃/時の昇温速
度で1100℃以上まで昇温した後、H2:100%の
雰囲気で10時間以上の純化を施す。二次再結晶後の鋼
板は焼鈍分離剤を洗浄除去後、絶縁皮膜を塗布焼き付け
て、製品とする。さらに磁気特性を向上させるため、公
知の磁区細分化処理を施しても良い。
【0034】
【実施例】以下実施例について説明する。 (熱間圧延鋼帯準備)質量で、C:0.003%、S
i:3.20%、Mn:0.10%、S:0.0078
%、酸可溶性Al:0.027%、N:0.0075%
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる25
2mm厚のスラブを、1150℃の温度で加熱した後、
まず粗圧延し、続いて仕上げ熱間圧延を、入り口温度を
1025〜1050℃で開始し、6つの仕上げスタンド
で以下の板厚条件で4.0mmと2.5mmの熱間圧延
鋼帯を準備した。巻き取り温度は530〜600℃であ
った。
i:3.20%、Mn:0.10%、S:0.0078
%、酸可溶性Al:0.027%、N:0.0075%
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる25
2mm厚のスラブを、1150℃の温度で加熱した後、
まず粗圧延し、続いて仕上げ熱間圧延を、入り口温度を
1025〜1050℃で開始し、6つの仕上げスタンド
で以下の板厚条件で4.0mmと2.5mmの熱間圧延
鋼帯を準備した。巻き取り温度は530〜600℃であ
った。
【0035】条件1 : 93→65→50→30→1
6.0→6.7→4.0(mm) 条件2: 80→55→30→15→ 5.5→4.7
→4.0(mm) 条件3: 93→65→50→20→ 7.0→4.2
→2.5(mm) 条件4: 80→55→30→15→ 3.4→2.9
→2.5(mm) (実施例1)この熱延板に、1100℃に30秒保持
し、900℃に30秒保持して急冷する熱延板焼鈍と酸
洗を行い、次いで、パス間の温度を175〜225℃と
して冷間圧延し、0.285mm、0.335mm、
0.40mmの板厚とした。その後835℃で90秒の
均熱の一次再結晶焼鈍をN2:25%、H2:75%、D
p=30℃(PH2O/PH2:0.058)の雰囲気ガス
中で行った。その後走行するストリップ状態下でアンモ
ニアガスで窒化し、195〜225ppmの窒素含有量
とした。次いでMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布
して、1200℃までN2=25%、H2=75%雰囲
気、15℃/時間の昇温速度の二次再結晶焼鈍を施し
た。その後H2=100%での1200℃×30時間の
純化処理を行い、平坦化処理で燐酸アルミニウムを主成
分とする張力絶縁皮膜を塗布し、磁気特性を測定した。
この結果を表1、表2に示す。
6.0→6.7→4.0(mm) 条件2: 80→55→30→15→ 5.5→4.7
→4.0(mm) 条件3: 93→65→50→20→ 7.0→4.2
→2.5(mm) 条件4: 80→55→30→15→ 3.4→2.9
→2.5(mm) (実施例1)この熱延板に、1100℃に30秒保持
し、900℃に30秒保持して急冷する熱延板焼鈍と酸
洗を行い、次いで、パス間の温度を175〜225℃と
して冷間圧延し、0.285mm、0.335mm、
0.40mmの板厚とした。その後835℃で90秒の
均熱の一次再結晶焼鈍をN2:25%、H2:75%、D
p=30℃(PH2O/PH2:0.058)の雰囲気ガス
中で行った。その後走行するストリップ状態下でアンモ
ニアガスで窒化し、195〜225ppmの窒素含有量
とした。次いでMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布
して、1200℃までN2=25%、H2=75%雰囲
気、15℃/時間の昇温速度の二次再結晶焼鈍を施し
た。その後H2=100%での1200℃×30時間の
純化処理を行い、平坦化処理で燐酸アルミニウムを主成
分とする張力絶縁皮膜を塗布し、磁気特性を測定した。
この結果を表1、表2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】表1、表2から、本発明の熱間圧延仕上げ
圧延の圧下率R1,R2がともに30%以上の場合に
は、いずれの板厚においても良好な磁気特性が得られた
のに対し、比較例で圧下率がいずれも30%未満の場
合、磁気特性が劣る結果となった。また表2から、冷間
圧延の圧下率が85%未満の場合には、やや磁気特性が
劣る結果となった。 (実施例2)熱間圧延条件3の熱間圧延鋼帯が2.5m
mの場合について、二次再結晶焼鈍時の焼鈍分離剤Mg
Oの水和水分を1.0%と3.5%、5.3%として、
実施例1と同様の条件で製造し、得られた製品のグラス
皮膜外観を目視で観察し、不良部の面積率を皮膜欠陥率
として求めた。その結果を表3に示す。
圧延の圧下率R1,R2がともに30%以上の場合に
は、いずれの板厚においても良好な磁気特性が得られた
のに対し、比較例で圧下率がいずれも30%未満の場
合、磁気特性が劣る結果となった。また表2から、冷間
圧延の圧下率が85%未満の場合には、やや磁気特性が
劣る結果となった。 (実施例2)熱間圧延条件3の熱間圧延鋼帯が2.5m
mの場合について、二次再結晶焼鈍時の焼鈍分離剤Mg
Oの水和水分を1.0%と3.5%、5.3%として、
実施例1と同様の条件で製造し、得られた製品のグラス
皮膜外観を目視で観察し、不良部の面積率を皮膜欠陥率
として求めた。その結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】このように、MgOの水和水分が本発明の範
囲とするとかなり良好な皮膜欠陥率となる。 (実施例3)熱間圧延条件1の熱間圧延鋼帯が4.0mm
の場合について、二次再結晶焼鈍時の焼鈍分離剤MgO
の水和水分を3.5%として、二次再結晶焼鈍の800
℃までの雰囲気を表4のように変更した。その他の条件
は実施例1の通りである。因みに炉内雰囲気650℃時
点での露点は40℃であった。
囲とするとかなり良好な皮膜欠陥率となる。 (実施例3)熱間圧延条件1の熱間圧延鋼帯が4.0mm
の場合について、二次再結晶焼鈍時の焼鈍分離剤MgO
の水和水分を3.5%として、二次再結晶焼鈍の800
℃までの雰囲気を表4のように変更した。その他の条件
は実施例1の通りである。因みに炉内雰囲気650℃時
点での露点は40℃であった。
【0041】得られた製品の皮膜欠陥率を表4に示す。
また磁気特性(鉄損:W17/50)を表5に示す。
また磁気特性(鉄損:W17/50)を表5に示す。
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】このように、二次再結晶焼鈍の800℃ま
での雰囲気を本発明の範囲に制御するとかなり良好な皮
膜欠陥率、磁気特性となる。
での雰囲気を本発明の範囲に制御するとかなり良好な皮
膜欠陥率、磁気特性となる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、熱間圧延仕上げ入り口温度,熱間圧延最終2パスの
圧下率、および冷間圧延率を規定することにより、脱炭
すること無く低温スラブ加熱を前提とする製造方法で良
好な磁気特性を安定して得ることができる。
は、熱間圧延仕上げ入り口温度,熱間圧延最終2パスの
圧下率、および冷間圧延率を規定することにより、脱炭
すること無く低温スラブ加熱を前提とする製造方法で良
好な磁気特性を安定して得ることができる。
【図1】熱間圧延最終2パスの圧下率と磁気特性(磁束
密度B8(T))との関係を示すグラフ。
密度B8(T))との関係を示すグラフ。
【図2】冷間圧延の圧下率と磁気特性(磁束密度B8
(T))との関係を示すグラフ。
(T))との関係を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B21B 3/00 B21B 3/00 A (72)発明者 藤井 宣憲 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 大畑 喜史 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 田中 收 福岡県北九州市戸畑区大字中原46番地の59 日鐵プラント設計株式会社内 Fターム(参考) 4K033 AA02 CA09 CA10 FA01 FA03 FA05 FA13 FA14 LA01 MA02 MA03 RA04 SA03 TA02
Claims (8)
- 【請求項1】 質量%で、C≦0.005%、Si:
2.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.020〜0.0
40%、N:0.0030〜0.010%、0.003
%≦(S+0.405Se)≦0.014%、Mn:
0.05〜0.14%を含有し、残部Feおよび不可避
的不純物からなるスラブを、1280℃未満の温度域に
加熱し、熱間圧延し、熱延板焼鈍を施しもしくは施さ
ず、85%以上の圧下率を適用する最終冷間圧延によっ
て最終板厚とした後、脱炭することなく一次再結晶焼鈍
を施し、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し仕上焼
鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法において、熱間圧
延における仕上げ圧延の開始温度を975℃超とし、か
つ仕上げ圧延の仕上げ最終スタンドの圧下率R2、およ
び最終スタンドの一つ前の圧下率R1について、以下に
規定する条件1、条件2のいずれかを満足することを特
徴とする脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板の製
造方法。 0.3≦R1 の時は 0.1<R2 ……… (条件1) 0.3≦R2 の時は 0.1<R1 ……… (条件2) ただし、 R1=(tf2−tf1)/tf2 R2=(tf1−tf)/tf1 tf:仕上げ厚み(mm) tf1:仕上げス最終タンド入り口厚み(mm) tf2:仕上げ最終スタンドの一つ前の入り口厚み(m
m) - 【請求項2】 熱間圧延の仕上げ圧延の仕上げ最終スタ
ンドの圧下率R2、および最終スタンドの一つ前の圧下
率R1をいずれも0.3以上とすることを特徴とする請
求項1記載の脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板
の製造方法。 - 【請求項3】 一次再結晶焼鈍後二次再結晶焼鈍までの
間に走行するストリップ状態でアンモニアガスを用いて
前記ストリップを窒化することを特徴とする請求項1ま
たは2記載の脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板
の製造方法。 - 【請求項4】 二次再結晶後の鋼板の全酸化物質量を
1.0超〜4.0g/m2とすることを特徴とする請求
項1〜3のいずれかの項に記載の脱炭焼鈍を必要としな
い一方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項5】 一次再結晶焼鈍時の雰囲気を PH2O/
PH2<0.20 とし、焼鈍温度を800〜920℃で
均熱時間30秒〜200秒とすることを特徴とする請求
項1〜4のいずれかの項に記載の脱炭焼鈍を必要としな
い一方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項6】 焼鈍分離剤として、MgO:100質量
部に対して、珪素、チタン、燐、クロム、鉄、マンガ
ン、バナジウムの酸化物を単独または複合で3.0〜1
0.0質量部含有した焼鈍分離剤を塗布することを特徴
とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の脱炭焼鈍を
必要としない一方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項7】 MgOを主体とする焼鈍分離剤の水和水
分を2.0〜7.0%とすることを特徴とする請求項1
〜6のいずれかの項に記載の脱炭焼鈍を必要としない一
方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項8】 二次再結晶仕上げ焼鈍の昇温加熱時の8
00℃までの雰囲気酸化度(PH2O/PH2)を0.02
〜0.30とすることを特徴とする請求項1〜7のいず
れかの項に記載の脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁
鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001154424A JP2002348612A (ja) | 2001-05-23 | 2001-05-23 | 脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001154424A JP2002348612A (ja) | 2001-05-23 | 2001-05-23 | 脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002348612A true JP2002348612A (ja) | 2002-12-04 |
Family
ID=18998767
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001154424A Withdrawn JP2002348612A (ja) | 2001-05-23 | 2001-05-23 | 脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002348612A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101130724B1 (ko) | 2004-12-28 | 2012-03-28 | 주식회사 포스코 | 자기적 성질이 균일한 방향성 전기강판의 제조방법 |
CN109072332A (zh) * | 2016-03-30 | 2018-12-21 | 达泰豪化学工业株式会社 | 退火分离剂用氧化镁及取向性电工钢 |
-
2001
- 2001-05-23 JP JP2001154424A patent/JP2002348612A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101130724B1 (ko) | 2004-12-28 | 2012-03-28 | 주식회사 포스코 | 자기적 성질이 균일한 방향성 전기강판의 제조방법 |
CN109072332A (zh) * | 2016-03-30 | 2018-12-21 | 达泰豪化学工业株式会社 | 退火分离剂用氧化镁及取向性电工钢 |
CN109072332B (zh) * | 2016-03-30 | 2023-05-30 | 达泰豪化学工业株式会社 | 退火分离剂用氧化镁及取向性电工钢 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4272557B2 (ja) | 磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH10152724A (ja) | 極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3359449B2 (ja) | 超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
KR100293140B1 (ko) | 일방향성 전자강판 및 그 제조방법 | |
JP2002348613A (ja) | 脱炭焼鈍を必要としない打ち抜き性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4608467B2 (ja) | 電磁鋼板の製造方法 | |
JP2009209428A (ja) | 著しく磁束密度が高い方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3056970B2 (ja) | 磁気特性が優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2002348612A (ja) | 脱炭焼鈍を必要としない一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2001049351A (ja) | 磁束密度の高い一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4119689B2 (ja) | 二方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2002363646A (ja) | 脱炭焼鈍を必要としない鏡面を有する一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP7486436B2 (ja) | 一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH06256847A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3397293B2 (ja) | 超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4261633B2 (ja) | 一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH06287639A (ja) | 全周磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH11241120A (ja) | 均質なフォルステライト質被膜を有する方向性けい素鋼板の製造方法 | |
JP3311021B2 (ja) | 鉄損の低い高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH07305116A (ja) | 高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3061515B2 (ja) | 極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2000038618A (ja) | 磁気特性が良好な一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4213784B2 (ja) | 一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH09118920A (ja) | 磁気特性が優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JPH07166241A (ja) | 超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20080805 |