JP2002338327A - 調湿建材の製造方法 - Google Patents

調湿建材の製造方法

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JP2002338327A
JP2002338327A JP2001141824A JP2001141824A JP2002338327A JP 2002338327 A JP2002338327 A JP 2002338327A JP 2001141824 A JP2001141824 A JP 2001141824A JP 2001141824 A JP2001141824 A JP 2001141824A JP 2002338327 A JP2002338327 A JP 2002338327A
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blast furnace
building material
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Katsunori Takahashi
克則 高橋
Makiko Aikawa
真紀子 相川
Masato Takagi
正人 高木
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    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/02Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing hydraulic cements other than calcium sulfates
    • C04B28/08Slag cements

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、いままでの原料集荷の非安定性が解
消できるばかりでなく、比較的簡便な手段で材料強度を
高めることの可能な調湿材料の製造方法を提供すること
を目的としている。 【解決手段】高炉スラグ微粉末を10〜90mass
%、SiO2含有量が50mass%以上で、且つ平均
粒径が100μm以下である鉱物粒子を9〜75mas
s%、アルカリ性無機材料を1〜25mass%配合し
てなる混合原料を、水で混錬し、雰囲気の温度が0〜2
60℃及び圧力が大気圧〜2.5MPaの条件下で硬化
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調湿建材の製造方
法に係わり、特に、製鉄所から副次的に発生する高炉ス
ラグ微粉末を有効利用して、有用な調湿建材を製造する
技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギーや居住環境向上のた
め建築物の高気密化が指向されており、新建材や建築構
造を進歩させる技術の開発が進められている。ところ
が、建築物の高気密化は、一方で室内建材表面での結露
が増し、室内の居住性や建築物の耐久性が悪化する原因
になっている。また、結露により発生した水分がカビや
ダニの発生を促進し、それらの人体への悪影響も懸念さ
れる。
【0003】その対策の一つとして、屋内空調により室
内の雰囲気を制御することが考えられるが、空調の動力
として使用される電力のコストは比較的高いものであ
る。そのため、屋内空調は、人のいない部屋では使用さ
れず、また屋外への放熱等による環境悪化の問題もあ
り、最適な対策とは言えない。
【0004】そこで、動力を用いずに室内の湿度調整を
行ない、居住環境の悪化を防止する技術が求められてお
り、そのようなニーズから、調湿建材の開発が盛んにな
っている。ここで、調湿とは、湿っている環境では湿気
を材料の内部に吸い込み、乾燥した環境では湿気を内部
から吐き出し、快適な湿度の環境を実現させる機能をい
い、上記調湿建材は、そのもの自体がこの調湿作用を具
備しているものを言う。また、この調湿建材は、各種の
タイル、パネル、ボード、レンガ、ブロックあるいは土
間コンクリート等の形態で、家屋の内装材、床下材、天
井材、壁材等として使用されている。
【0005】かかる調湿建材の最も一般的な製造方法
は、微細な気孔を多数有する炭や珪藻土を他の素材に混
入して成形するものである。例えば、特開平11−17
1662号公報は、多孔質炭と無機質鉱物粉体とを原料
として断熱構造体を製造する技術を開示し、そこでは、
不燃性多孔質炭の作用により、通気性、吸気性、吸臭
性、吸湿性等を有する新しい建材を提案している。ま
た、特開平4−354514号公報は、稚内(北海道の
地名)珪藻土をセラミックス原料と配合して任意形状に
成形、焼成するか、あるいは該稚内珪藻土をフィラーと
してその他の素材と複合した不焼成の機能性建材を開示
している。さらに、特開平10−2044号公報及び特
開平11−315586号公報は、各地の火山軽石層や
珪藻土、ゼオライト等の調湿性原料と、粘土や長石等の
ガラス質成分等とを混合、成形後に焼成して、調湿建材
とする技術を開示している。加えて、特開平8−144
387号公報は、アロフェン又はイモゴライトを混合、
成形して調湿建材とする技術を開示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
11−171662号公報記載の断熱構造体は、吸湿性
は有するが、構造体としての強度が確保できないため、
成形用型枠内に収められた状態で使用する必要があっ
た。また、その原料として、不燃性炭化物となる被炭化
物に、食品類製造残渣、籾殻、剪定枝、動植物類の可燃
物質の原形、あるいは所望粒径に整形したものが挙げら
れているが、それらのものを安定して確実に集荷してく
るのはかなり困難である。そのため、製造する毎に原料
が変化してしまい、最終製品である断熱構造体の断熱効
果及び吸湿効果を一定以上の水準で維持することは、非
常に難しかった。
【0007】また、特開平4−354514号公報開示
の調湿建材は、稚内珪藻土という極めて優れた調湿性を
もつ材料を主原料とした建材であるが、単独で使用する
にはコストがかかり、また他の結合材と混ぜて建材化し
た時には、調湿効果も混合比率に相応して低下してしま
うという課題が残されていた。さらに、天然資源を採掘
することは、資源を有効利用する反面、一方で環境破壊
という面があることも否定できない。加えて、特開平1
0−2044号公報及び特開平8−144387号公報
記載の技術でも、上記と同様な問題があった。
【0008】そこで、これらの問題を解決するために、
化学反応等を利用して調湿性を発現させることが考えら
れた。例えば、特開平7−284628号公報は、セメ
ント系の硬化材料を炭酸化させて調湿性を発現させる技
術を開示している。これは、セメント系硬化物を炭酸化
させた際、選択的にCa成分が抜けるため、微細な気孔
を有するシリカゲルが残され、これが調湿性を発揮する
という技術である。この技術は、環境破壊等の問題もな
く、二酸化炭素を吸着させるという思想も注目される
が、一方で、セメント化合物を一度生成させた上で、破
砕、粒度調整、成形、炭酸化をしなければならず、プロ
セスが複雑化するという課題は残されている。
【0009】本発明は、かかる事情に鑑み、いままでの
原料集荷の非安定性が解消できるばかりでなく、比較的
簡便な手段で材料強度を高めることの可能な調湿材料の
製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため、調湿建材の原料となり得る新しい物質の発
見に鋭意努力し、製鉄所より副次的に発生する高炉スラ
グ微粉末に着眼した。高炉スラグ微粉末は、高炉セメン
ト原料、土壌改良材等に既に有効利用されており、品質
の安定した実績のある材料だからである。しかし、現在
まではセメントの代替あるいは補助的に用いられること
がほとんどであり、本来もっている特性を積極的に生か
しているとはいえない状態であった。そこで、発明者ら
は、CaOを主成分とし、それにSiO2、Al23
含まれていること及びアルカリ刺激によって水硬性を発
現するという高炉スラグ微粉末の性質に着目した。そし
て、高炉スラグ微粉末をベースとした硬化体の製造技術
を開発する途上で、SiO 2を主成分として含み、且つ
ある粒度範囲に調整した別の原料を、該高炉スラグ微粉
末に適正量で配合した後、ある雰囲気下で養生、保持す
れば、有用な調湿建材になることを見出し、本発明を完
成させたのである。
【0011】すなわち、本発明は、高炉スラグ微粉末を
10〜90mass%、SiO2含有量が50mass
%以上で、且つ平均粒径が100μm以下である鉱物粒
子を9〜75mass%、アルカリ性無機材料を1〜2
5mass%配合してなる混合原料を、水で混錬し、雰
囲気の温度が0〜260℃及び圧力が大気圧〜2.5M
Paの条件下で硬化させることを特徴とする調湿建材の
製造方法である。
【0012】その場合、前記SiO2含有量が50ma
ss%以上で、且つ平均粒径が100μm以下の鉱物粒
子が、白土、珪砂、シリカヒュームから選ばれた1種又
は2種以上であったり、あるいは前記アルカリ性無機材
料が、Ca(OH)2、CaO、Mg(OH)2、NaO
H、KOH、消石灰、生石灰、ポルトランドセメント、
高炉セメントから選ばれた1種又は2種以上であること
が好ましい。また、前記混合原料に、外掛けでさらに骨
材を0〜70mass%及び/又は繊維状物質を0〜3
0mass%配合するようにしても良い。ただし、この
場合には、0は含まないものとする。
【0013】本発明では、主原料の高炉スラグ部粉末
に、粒度を調整したSiO2成分を含む鉱物粒子及びア
ルカリ性を呈する材料(Ca含有物質)を添加して、S
i−Ca水和物相の生成を促進するばかりでなく、得ら
れる水和物相をセメント等で知られるCaO−SiO2
−H2Oゲルだけにとどまらず、ゼオライト系化合物、
トバマライト等としたので、良好な調湿建材ができるよ
うになる。また、調湿性は、構造に内在する微細な気孔
への水分の吸着現象の反映であるため、微細気孔が存在
することによって生じる現象は、当然に発現するように
なる。従って、本発明に係る製造方法で得た調湿材料
は、脱臭やシックハウスの原因となる化学物質の吸着等
にも利用できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、発明をなすに至った経緯に
沿い、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】一般に、高炉スラグは、CaO、Si
2、Al23を主成分としている。これにアルカリ刺
激剤を添加したり、あるいはセメントを加えることによ
って硬化させると、セメントで出現するCaO−SiO
2−H2Oゲル及びCaO−Al23−H2O系の相が形
成される。しかし、このような系では、調湿建材に利用
できるような特性は得られない。
【0016】発明者は、このような系でも調湿性を発現
できる方法がないか鋭意検討し、まず、SiO2分を高
めることが有効ではないかと考えた。その理由は、従来
から存在し、十分ではないものの調湿性を保持している
ALCや珪酸カルシウム板といった材料においては、ト
バマライト相(5CaO・6SiO2・5H2O)を発現
させることで、十分な調湿性を得ていると推定できるか
らである。ただし、これらの材料は、成分としては、石
灰や珪砂といった純粋なCaOとSiO2であり、Al2
3を含まないのが一般的である。また、トバマライト
を形成させるには、オートクレーブを用いた処理が必要
であつた。ここで、オートクレーブとは、水を入れて温
度を上昇させると、密閉系のために自動的に内部雰囲気
の圧力が増加する圧力容器のことである。従って、水を
入れた状態で容器の温度を上昇させると、100℃では
蒸気圧(飽和圧力)は1気圧であるが、それ以上に温度
を上昇させると、蒸気圧がさらに増加する。このような
高圧水蒸気下での加熱は、物質の反応速度を著しく大き
くする。
【0017】上記したような既存の調湿材料や知見を配
慮しても、単純に原料を混合しただけでの反応では、調
湿性の発現はもとより、硬化体として十分な強度も発現
しないと考えられた。そこで、発明者は、引き続き研究
を重ね、調湿性を発現させるための重要なポイントは、
SiO2分をいかに速やかに反応に寄与させられるかに
あると結論した。そして、高SiO2含有原料を粒径1
00μm以下に粉砕し、それを高炉スラグ微粉末とアル
カリ刺激剤との混合物に混ぜて水の存在下で反応させる
実験を行い、トバモライト相(5CaO・6SiO2
5H2O)をはじめとするSi−Ca水和物相が安定し
て形成されることを見出した。さらに、正確な構造は不
明であるが、CaO−SiO2−Al23−H2O系の化
合物が出来ることも見出した。従来のような高炉スラグ
と、アルカリ刺激剤あるいはセメントとの反応だけで
は、SiO2量が不十分であったため、このような化合
物が形成し難かったが、別途SiO2源を供給すること
によって、高炉スラグのもつAl23成分と反応し、こ
のような化合物が出来たものと推定される。この系の化
合物は、天然鉱物の沸石に近いものであり、これが調湿
性の発現に有効となったと考えられる。
【0018】そこで、発明者は、さらに研究を続け、こ
れらの複合した水和物相を生成させるには、高炉スラグ
微粉末と、SiO2を50mass%以上含有し、且つ
平均粒径が100μm以下の鉱物粒子と、水溶時にアル
カリを呈するアルカリ金属又はアルカリ土類金属が陽イ
オン成分の50mass%以上を占める材料とを混合
し、その混合物を水の存在のもとで所定形状に成形し、
0〜260℃、常圧又は高圧で養生すれば良いことを見
出し、これを本発明としたのである。なお、常温−常圧
に近い条件では、トバモライト相は生成しないが、Ca
O−SiO2−Al23−H2O系化合物の発現によっ
て、調湿性が得られたと考えられる。また、この化合物
を温度を高めて処理すると、調湿効果は、一層大きくな
ることもわかった。さらに、より高温−高圧下で処理す
れば、トバマライト相も併せて形成され、最も有効な調
湿性能が発現した。
【0019】具体的な加熱手段としては、本発明では、
オートクレーブを用いるのが好ましく、その場合の高圧
処理は、処理温度が120〜260℃、処理時間が1〜
48時間以下の条件で行うのが良い。さらに好ましく
は、処理温度が160〜230℃、処理時間が1〜24
時間以下が推奨される。処理温度が上記の下限温度(1
20℃)に満たない場合には、トバモライト相の生成反
応が遅滞して、十分な量のトバモライト相が生成され
ず、処理温度が上記の上限温度(260℃)を超える
と、反応が促進され過ぎて、ゾノトライト相(CaO・
SiO2・H2O)が生成してしまうからである。ゾノト
ライト相は、調湿効果はあると言われているが、簡便な
流し込みや押出し成形では、この相を生成させても十分
な硬化体の強度が得られない。また、処理時間について
も、処理温度と同様な挙動が現れる。すなわち、上記の
下限時間(1時間)に満たない場合には、トバモライト
相の生成反応が遅滞して、十分な量のトバモライト相が
生成されず、それ以外のSi−Ca水和物相の生成も十
分でなく、一方、処理時間が上限時間(48時間)を超
えると、反応が促進され過ぎて、ゾノトライト相が生成
し、いずれも十分な硬化体の強度が得られない。
【0020】次に、発明者の研究によれば、上記のよう
な硬化に適正な水和物相を生成する上で好適な原料の配
合量は、高炉スラグ微粉末の量が混合(配合)原料全体
の10〜90mass%で、より好ましい配合量は、全
体の30〜80mass%であった。また、SiO2
50mass%以上含有し、且つ平均粒径が100μm
以下の鉱物粒子の配合量は、10〜75mass%であ
り、より好ましくは30〜60mass%であった。ま
た、水に溶解したときにアルカリを呈する材料の配合量
は、1〜25mass%であり、より好ましくは5〜2
0mass%であった。
【0021】高炉スラグ微粉末としては、JIS A
6206で規定されるものを使用すれば良いが、その使
用量が上記の上限(90mass%)を超えると、十分
な調湿性が得られず、下限を下回ると、十分な硬化体強
度が得られない。また、SiO2を50mass%以上
含有し、且つ平均粒径が100μm以下の鉱物粒子は、
その配合量の上限(75mass%)を超えると、十分
な硬化体強度が得られず、下限(9mass%)を下回
ると、調湿性が得られない。このSiO2を50mas
s%以上含有し、且つ平均粒径が100μm以下の鉱物
粒子としては、火力発電所から発生するフライアッシュ
や白土、火山灰、シリカフユームが使用でき、成分と粒
径を満足すれば、一般の土でも使用可能である。これら
のうち、より望ましくは、フライアッシュや白土であ
る。SiO2が主成分であることに加え、副生分の多く
がCaO,Al23で形成されているため、生成される
複合水和物を損なわないこと、また、比較的組成が安定
しており、得られる硬化体の品質安定化が図れるからで
ある。さらに、アルカリを呈する材料は、上記配合の上
限(25mass%)を超えると,一般的なCaO−S
iO2系の反応とCaO−Al23の反応がトバモライ
ト相の生成反応を上回り、複合水和相の発現による調湿
性の発現が期待できなくなり、下限(1mass%)を
下回ると、十分な硬化体強度が得られない。このアルカ
リを呈する材料としては、アルカリ金属又はアルカリ土
類金属が陽イオン成分の50%以上を占めるものであれ
ば何でも良く、Ca(OH)2,CaO,Mg(O
H)2,NaOH,KOHや、ポルトランドセメント、
消石灰、生石灰、高炉セメント等が使用できる。
【0022】本発明では、製造される硬化体の用途によ
って、以上述べた基本的な混合原料に、骨材に相当する
材料や繊維を添加して硬化体の曲げ強度を補強すること
も考えた。例えば、硬化体を、土間コンクリートのよう
な調湿性のあるコンクリート代替材料として使用するに
は、大きな施工範囲の容積安定性が必要となるため、骨
材を入れることが望ましいからである。骨材の使用量
は、随意ではあるが、70mass%以上を超えると、
全体積に対する混合原料の占める割合が低くなり、表面
を覆いきれなくなるため、この値を上限とする。骨材と
しては、通常使用されているものでも良いが、より望ま
しくは、転炉スラグ、溶融還元炉スラグ、電気炉スラ
グ、高炉徐冷スラグ及びステンレス精錬スラグの使用が
望ましい。本発明に係る原料の配合では、通常のコンク
リート原料に比べて粉体部分の比重が軽いため、硬化体
はコンクリートに比べてやや軽量になってしまう。転炉
スラグ、溶融還元炉スラグ、電気炉スラグ、高炉徐冷ス
ラグ及びステンレス精錬スラグを使用すれば、これらは
通常の骨材に比べて比重が重いため、硬化体は総合的に
通常のコンクリートと同等の重さ(作業性に関係する)
を確保できるからである。さらに、本発明では、Ca化
合物を骨材とすれば、Ca化合物周辺の密着性の改良や
ペースト部の反応促進が期待され、一層好ましい。
【0023】一方、硬化体を壁材や天井材に適用するに
は、硬化体を肉厚の薄いボード状にする必要がある。そ
の場合、十分な曲げ強度を確保する必要があるので、前
記混合原料に繊維状物質を添加するのが望ましい。繊維
状物質の量としては、ボードのハンドリングや成形性能
を確保するために、25mass%以下に抑えるのが良
い。これを超えて含有しても成形は可能で、70mas
s%までは調湿性も大幅に低下しないが、混合原料との
混練が難くなり、均質化に時間やエネルギーがかかる
等、実作業上のデメリットが発生するからである。この
繊維状物質の種類は、本発明では特に限定せず、一般的
なグラスウール、ロックウールといった人造無機繊
維、.ワラストナイト、セピオライトといった天然無機
繊維、セルロース、パルプ、ビニロン等といった有機繊
維のいずれもが使用できる。
【0024】上記のような本発明に係る方法で製造した
硬化体は、適当な強度を有すると共に、調湿作用も併せ
持つために、調湿建材として有効に利用できる。また、
脱臭やシックハウスの原因となる化学物質の吸着等にも
利用できる。特に、混合原料を水で混練して型枠に流し
込むことで、種々の形状に容易に成形できるため、各種
のタイル、パネル、ボード、レンガ、ブロック等の多様
な用途の建材として成形し、利用できる。また、施工現
場において流し込み成形をすれば、土間コンクリート等
のような用途にも好適に使用できる。
【0025】
【実施例】(実施例1)表1に示す成分組成からなる各
種原料をそれぞれ所定量だけ秤量し、水を加えて混合
し、ステンレス製の容器(型枠)の中に流し込み成形し
た後、種々の処理温度及び処理時間で養生を行った。混
合原料に加えた水の量は、水量/原料量=0・45で一
定とした。養生時間は、各温度で6時間とし、その後、
20℃で28日間保持したものを評価した。
【0026】
【表1】
【0027】これらの養生処理で得られた硬化体は、そ
の曲げ強度をJIS R 2553に準拠した方法で測
定し、また、該硬化体の調湿性能は、20℃、50RH
(相対湿度の略)%に保った槽内の湿度を90RH%ま
で上昇させ、その時の重量変化を測定し、表面積あたり
の吸湿量を算出し、さらに、90RH%で24時間保っ
た後、槽内の湿度を50RH%に再び戻し、同様に重量
変化を測定して評価した。なお、比較として市販の調湿
タイルについても同様の測定を行った。それらの結果を
一括して表1に、また一部の抜粋した硬化体についての
吸湿量の経時変化を図1に示す。
【0028】表1より、本発明に係る製造方法に従い、
混合原料を高圧水蒸気下で加熱養生した硬化体、とりわ
け、混合原料の配合比、養生処理時間、オートクレーブ
の処理温度を適正範囲として処理したものでは、良好な
硬化状態(曲げ強度9MPa以上)及び調湿性能(市販
の調湿タイルと同等以上)を有することが明らかであ
る。また、繊維を入れた配合7〜9では、繊維の無い、
類似配合のものに比べて曲げ強度がさらに高くなってお
り、薄肉建材化するときには繊維化が有効と判断され
る。
【0029】(実施例2)実施例1で示した配合のうち
の配合14をベースに、骨材を所定量添加した上で流し
込み成形し、20℃で28日間養生した。骨材を入れた
ものについては、コンクリートやインターロッキングブ
ロックと同様な使用方法となるため、硬化体の強度は圧
縮強度で評価した。配合及び圧縮強度、調湿性能の測定
結果を表2に示す。骨材をいれても硬化体の強度の問題
はなく、その調湿性能は、骨材量が増えるにつれてやや
低下するものの、十分な特性が得られた。
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により、高
炉スラグを主原料として、いままでの原料集荷の非安定
性が解消できるばかりでなく、強度の高い調湿材料の製
造が可能になる。その結果、従来は、比較的補助材料的
に用いられていた高炉スラグ、付加価値の比較的低かっ
たフライアッシュや各種スラグを調湿性能を備えた建材
土木用材等として利用できるようになり、本発明は、資
源の再利用、環境の向上等に寄与するところが極めて大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法で得た調湿建材の吸湿量
の経時変化を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04B 1/64 E04B 1/64 D E04C 2/04 E04C 2/04 F //(C04B 28/08 C04B 28/08 14:06 14:06 Z 14:10 14:10 Z 18:14 18:14 Z 7:02 7:02 7:14) 7:14 111:00 111:00 (72)発明者 高木 正人 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 2E001 DB03 FA03 FA10 FA11 FA14 GA11 HA01 JA06 2E162 CA01 FA00 4G012 MA00 MA02 PA00 PA03 PA04 PA05 PA28 PB03 PC11 PE07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉スラグ微粉末を10〜90mass
    %、SiO2含有量が50mass%以上で、且つ平均
    粒径が100μm以下である鉱物粒子を9〜75mas
    s%、アルカリ性無機材料を1〜25mass%配合し
    てなる混合原料を、水で混錬し、雰囲気の温度が0〜2
    60℃及び圧力が大気圧〜2.5MPaの条件下で硬化
    させることを特徴とする調湿建材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記SiO2含有量が50mass%以
    上で、且つ平均粒径が100μm以下の鉱物粒子が、白
    土、珪砂、シリカヒュームから選ばれた1種又は2種以
    上であることを特徴とする請求項1に記載の調湿建材の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記アルカリ性無機材料が、Ca(O
    H)2、CaO、Mg(OH)2、NaOH、KOH、消
    石灰、生石灰、ポルトランドセメント、高炉セメントか
    ら選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請
    求項1又は2記載の調湿建材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記混合原料に、外掛けでさらに骨材を
    0〜70mass%及び/又は繊維状物質を0〜30m
    ass%配合することを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の調湿建材の製造方法。
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