JP2002337147A - タイヤ金型用サイプブレードの製造方法 - Google Patents

タイヤ金型用サイプブレードの製造方法

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JP2002337147A JP2001145367A JP2001145367A JP2002337147A JP 2002337147 A JP2002337147 A JP 2002337147A JP 2001145367 A JP2001145367 A JP 2001145367A JP 2001145367 A JP2001145367 A JP 2001145367A JP 2002337147 A JP2002337147 A JP 2002337147A
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    • B29D30/0601Vulcanising tyres; Vulcanising presses for tyres
    • B29D30/0606Vulcanising moulds not integral with vulcanising presses
    • B29D2030/0607Constructional features of the moulds
    • B29D2030/0613Means, e.g. sipes or blade-like elements, for forming narrow recesses in the tyres, e.g. cuts or incisions for winter tyres

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 複雑な形状を有するサイプブレード(サイプ
ブレード用素材をそのまま曲げ成形をすると鋳包み部側
とサイプ形成部側との縮み量(展開長)に差が生じて、
湾曲変形が発生するようなサイプブレード)を、簡易か
つ効率的に製造することができるタイヤ金型用サイプブ
レードの製造方法を提供する。 【解決手段】 タイヤのサイプを形成するためにタイヤ
成形用金型(タイヤ金型)にその一部(鋳包み部)1が
埋設されるとともに他の部分(サイプ形成部)2が突出
するように配設されるサイプブレード4において、サイ
プブレード用素材3の鋳包み部1となる側の端縁に、そ
の端縁と垂直な方向に延びる切り込み又は切り欠き5を
形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、タイヤ金型用サ
イプブレードの製造方法に関する。さらに詳しくは、複
雑な形状を有するサイプブレード(サイプブレード用素
材をそのまま曲げ成形すると鋳包み部側とサイプ形成部
側との縮み量(展開長)に差が生じて、湾曲変形が発生
するようなサイプブレード)を、簡易かつ効率的に製造
することができるタイヤ金型用サイプブレードの製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】 タイヤ成形用金型は、そのデザインが
シャープな凹形状コーナー部やアンダーカット形状等を
有する複雑なものであることから機械加工製法では作製
が困難な場合が多く、鋳造製法によることが一般的であ
り、中でも、アルミ合金、鋳鉄、鋳鋼製のものが一般的
によく使用されている。特に、タイヤのデザイン形状
に、「サイプ」と呼ばれる、幅が0.1〜3.0mm程
度の溝が多数形成されている場合(具体的には、スタッ
ドレスタイヤ等がこれに該当する)においては、機械加
工製法では対応することができないため、この傾向が顕
著なものとなる。
【0003】 ここで、「機械加工製法」とは、加工過
程で収縮を伴う鋳造加工等の加工法以外の方法を意味
し、ワイヤ放電加工、ボールエンドミル等を用いたNC
加工のほか、超音波加工、型放電加工等、直接的に金型
の形状を加工し得る種々の加工法を挙げることができ
る。
【0004】 図16に示すように、タイヤ101には
リブ等の太溝102、ラグ等の太溝103が形成されて
いるが、スタッドレスタイヤ等の特殊用途のタイヤにお
いては、グリップ力や排水性を向上させるために、リ
ブ、ラグに加えて幅0.1〜3.0mm程度の細溝であ
るサイプ104を形成する場合がある。
【0005】 サイプ104は、エッジ効果によるグリ
ップ力や排水性向上の効果を得るため、タイヤの接地面
(プロファイル面)における形状を波形、又はジグザグ
状等の2次元形状とするが、近年においては、タイヤ性
能のさらなる向上のため、プロファイル面のみならず、
タイヤの径方向の形状も同様の2次元形状(さらには3
次元形状等の複雑な曲面を有するもの)とすること、す
なわちサイプ形状の3次元化が求められている。
【0006】 図17に示すように、3次元形状サイプ
107bは、従来の3次元形状サイプ107aに比べ、
タイヤ106のブロック剛性を向上させることができる
ため、駆動、制動時においてもタイヤ106の腰が砕け
ることがなく、さらにグリップ力を向上させることがで
きる。
【0007】 また、3次元形状サイプのさらなる効果
として、サイプを介して隣接するゴム面同士が接触し、
ゴム間に「ズリ抵抗」が発生する時点でブロック変形は
停止すると考えられるが、タイヤの半径方向に対してサ
イプ形状が直線である場合、純粋にサイプ肉厚分だけの
距離のゴム変形が生じないとブロック変形は停止しない
が、半径方向にも曲げ形状を持ったサイプの場合は、ゴ
ム変形量のベクトル分解による影響で同じ肉厚のサイプ
であっても、小さい変形量でブロック変形を停止させる
ことができることになる。
【0008】 このようなサイプを有するタイヤの金型
の形状を、鋳造による鋳出しで作製すると、金型強度の
面で不十分になることがあり、このような場合には、特
に、アルミ合金製金型を用いた場合には、予め高強度材
料で作製しておいたサイプブレードを鋳包む製法が一般
的に用いられている。この場合、サイプを有するタイヤ
の成形用金型はデザインが複雑であるため、機械加工製
法ではなく、鋳造加工が用いられている。
【0009】 図18に示すように、従来のタイヤ成形
金型の製造方法では、モデル用ブレード502を原型
(マスターモデル)500に設置し、又は貼り付け(図
18(a))、原型(マスターモデル)500を反転し
(図18(b))、ゴム型506に金型用ブレード50
9を設置し(図18(c))、ゴム型506を石膏鋳型
507に反転するとともに、金型用ブレード509を石
膏鋳型507に移動し(図18(d))、石膏鋳型50
7から鋳造により金型508を形成するとともに、金型
用ブレード509を金型508に移動する(図18
(e))ことによって金型を製造している。この場合、
鋳型材としては、石膏だけではなく、セラミックスや金
属であってもよい。
【0010】 図19に示すように、上記の従来のタイ
ヤの製法に用いられるサイプブレード111は、コスト
と生産性とを同時に追求してきた結果、打ち抜き又はレ
ーザーカット(ワイヤ放電カット)した薄板素材121
を、ワイヤ放電加工等により作製した成形用金型10a
を用いて、プレス成形する方法によって主に作製されて
きた。
【0011】 しかし、図19(a)に示すように、成
形用金型10aをワイヤ放電加工で作製するため、2次
元形状、すなわち、ワイヤ117を直線的に移動させる
ことで形成される2次元形状を有する成形用金型10a
しか対応することができず、得られるサイプブレード1
11は、図19(b)、(c)に示すように、2次元形
状を有するものが限界であり、タイヤ性能を飛躍的に向
上させるサイプブレードを得ることは困難であった。な
お、図19(c)に示すサイプブレード111は、クロ
スベントホール122、ロッキングホール123、サイ
プ形成部124及び成形用金型への鋳包み部125から
構成されている。
【0012】 3次元形状のサイプブレードの作製方法
としては、成形用金型をボールエンドミル等を用いて3
次元NC加工し、これを用いて薄板素材をプレス成形す
る方法が知られているが、この方法は、コスト高になり
実用的ではなかった。
【0013】 これに対して、一枚のサイプブレードの
中に、3次元曲げ形状と2次元曲げ形状を混在させるこ
とで、サイプブレード製作上及び使用上におけるの不都
合の殆どすべてを克服した3次元形状サイプブレードの
製造方法及びその曲げ成形型の製造方法が提案されてい
る(特願2000−280751明細書参照)。しか
し、プレス曲げ成形時において縮み量の差によって湾曲
変形が発生するという問題が依然として解決されずに残
っている。
【0014】 すなわち、図20(a)に示すように、
実際のサイプブレードのプレス曲げ成形時においては、
形状が2次元形状153及び3次元形状154を有する
もののように複雑なものとなればなるほど、プレス成形
後のサイプブレードの抜き形状は、本来想定した形状1
51とは異なって、湾曲した形状のもの152となり、
その外周形状を所定の範囲内におさめることが困難にな
るという問題がある。このような問題に対しては、プレ
ス成形後にサイプブレードの外周形状を打ち抜く(ブラ
ンクする)方法を採用することによって対応することが
できるが、3次元形状のような微細で複雑な曲面に対応
する打ち抜き型(ブランク型)を作製することは、成形
型を作製する以上に困難なものであるため、現実的には
採用することができなかった。
【0015】 このような湾曲現象は、以下のような理
由で発生する。すなわち、成形による全長縮みを、成形
の最小単位でみると以下のようになる。
【0016】 図20(b)に示すように2次元形状の
もの155の成形の場合、全体に均一に全長縮み156
が発生する(厳密に言えば、展開長に変化はなく、弦寸
法評価となる分だけ長さが短くなるように見える)。
【0017】 また、図20(c)に示すように、3次
元形状のもの157の成形の場合、不均一に全長縮み1
58が発生する。このため、一区画当りの平均全長縮み
量は、成形凸形状(成形凸山又は成形凸ディンプル)の
振幅が同じ2次元成形形状の場合よりも少なくなる。従
って、2次元成形形状のピッチ、振幅を、凸ディンプル
のような3次元成形形状のピッチ及び最大振幅に合わせ
て設定すると、プレス成形時に2次元成形部の方が、よ
り多くの全長縮みを伴うこととなり、図に示すような、
湾曲変形が発生することになる。
【0018】 図21及び図22に示すように、このよ
うな問題に対処する方法としては、曲げ成形前の平面状
のサイプブレード素材の状態で、この湾曲変形分を予測
して形状補正をしておくか、一回り大きい素材を曲げ成
形した後、余分な外周形状をトリミング(例えば、前述
の、抜き型を用いて外周形状をせん断カットするブラン
クを挙げることができる)して除去する方法のいずれか
しかなかった。
【0019】 前者の場合、図21(a)に示すよう
に、サイプブレード素材3を、湾曲変形分の補正のため
成形後の湾曲変形方向と逆方向の湾曲変形を予め付与し
た抜き形状3aとしておくことによって、図21(b)
に示すように、曲げ成形後に所望の形状のサイプブレー
ド4を得ることができるが、経験値が存在しないと適確
なサイプブレード素材3の形状を定義することができな
いため、何回かの試行錯誤が必要となるという問題があ
り、また、後者の場合、図22(a)に示すように、サ
イプブレード素材3を、サイプブレード4の所望の形状
よりも一回り大きい抜き形状3bとしておくことによっ
て、図22(b)に示すように、サイプブレード4の所
望の形状よりも若干大きいサイプブレード4aを得、図
22(c)に示すように、外周部4bをトリミングして
所望の形状のサイプブレード4を得ることができるが、
材料ロスが増えることと、プレス曲げ成形後に外周をト
リミングする抜き型が余分に必要になるという問題があ
る。
【0020】 この問題をさらに複雑にするのは、実際
のプレス成形時には、成形用金型とサイプ材との摩擦抵
抗による「しごき」現象が発生することであり、サイプ
の肉厚減少による全長伸びも発生することである。
【0021】 従って、成形形状から解析的に全長縮み
の差を予測し、計算しておくことができたとしても、そ
の通りの成形挙動を示さないというところに問題の複雑
さがある。なお、このほかにも、サイプ材質、成形用金
型材質、表面性状、潤滑条件、プレス加圧条件等のすべ
ての影響を受けることになり、問題はさらに複雑化す
る。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は、上述の問
題に鑑みてなされたものであり、複雑な形状を有するサ
イプブレード(サイプブレード用素材をそのまま曲げ成
形すると鋳包み部側とサイプ形成部側との縮み量(展開
長)に差が生じて、湾曲変形が発生するようなサイプブ
レード)を、簡易かつ効率的に製造することができるタ
イヤ金型用サイプブレードの製造方法を提供することを
目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】 本発明者等は、上述の
目的を達成するため鋭意研究した結果、サイプブレード
が、サイプブレード用素材をそのまま曲げ成形すると鋳
包み部側とサイプ形成部側との縮み量(展開長)に差が
生じて、湾曲変形が発生する曲げ形状を有するものであ
る場合に対応して、サイプブレード用素材の鋳包み部と
なる側の端縁に、その端縁で開口し、その端縁と垂直な
方向に延びる切り込み又は切り欠きを形成し、切り込み
又は切り欠きに、サイプブレード用素材の曲げ成形時に
生じる縮み量(展開長)の差を、自ら拡大又は縮小する
ことによって吸収させることによって、上記目的を達成
することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によって、下記のタイヤ金型用サイプ
ブレードの製造方法が提供される。
【0024】[1] タイヤのサイプを形成するために
タイヤ成形用金型(タイヤ金型)にその一部(鋳包み
部)が埋設されるとともに他の部分(サイプ形成部)が
突出するように配設されるサイプブレードを、曲げ金型
の間にサイプブレード用素材を挟持、押圧して所定形状
に曲げ成形することによって製造するタイヤ金型用サイ
プブレードの製造方法であって、曲げ成形後の前記サイ
プブレードが、前記サイプブレード用素材をそのまま曲
げ成形すると前記鋳包み部側と前記サイプ形成部側との
縮み量(展開長)に差が生じて、湾曲変形が発生する曲
げ形状を有するものである場合に対応して、前記サイプ
ブレード用素材の前記鋳包み部となる側の端縁に、その
端縁と垂直な方向に延びる切り込み又は切り欠きを形成
し、前記切り込み又は切り欠きに、前記サイプブレード
用素材の曲げ成形時に生じる縮み量(展開長)の差を、
自ら拡大又は縮小することによって吸収させ、前記湾曲
変形の発生を未然に防止することを特徴とするタイヤ金
型用サイプブレードの製造方法。
【0025】 このように構成することによって、複雑
な形状を有するサイプブレード(サイプブレード用素材
をそのまま曲げ成形すると鋳包み部側とサイプ形成部側
との縮み量(展開長)に差が生じて、湾曲変形が発生す
るようなサイプブレード)を、簡易かつ効率的に製造す
ることができる。
【0026】[2] 前記切り込み又は切り欠きの形状
が、前記サイプブレード用素材の曲げ成形時に生じる縮
み量(展開長)の差を、自ら拡大することによって吸収
する場合、スリット状、長方形状、楔型形状又は逆台形
状であり、前記サイプブレード用素材の曲げ成形時に生
じる縮み量(展開長)の差を、自ら縮小することによっ
て吸収する場合、三角形状又は四角形状である前記
[1]に記載のタイヤ金型用サイプブレードの製造方
法。
【0027】[3] 前記切り込み又は切り欠きの、前
記サイプブレード用素材の前記鋳包み部となる側の端縁
とは反対側の先端部分に連接させた状態で、ロッキング
ホールを配設して、前記サイプブレード用素材の曲げ成
形時に、前記切り込み又は切り欠きの先端部分における
割れ(クラック)の発生を未然に防止する前記[1]又
は[2]に記載のタイヤ金型用サイプブレードの製造方
法。
【0028】[4] 前記切り込み又は切り欠きの形状
を、ロッキングホール又はベントホールの機能を兼用し
得る形状に構成してなる前記[1]又は[2]に記載の
タイヤ金型用サイプブレードの製造方法。
【0029】 このように、前述の切り込み又は切り欠
きを、サイプ内に設置するロッキングホール(金型本体
にサイプブレードを埋設、設置する際のアンダーカット
形状)やベントホール(タイヤ成形時にサイプブレード
間と成形ゴム間にできた閉塞空間内の残留空気をサイプ
間で逃がすために設置する空気抜き孔)として積極的に
利用することによって、実用上の工数増分を押さえるこ
とができる。
【0030】[5] 前記[1]〜[4]のいずれかに
記載の方法を用いて製造されることを特徴とするタイヤ
成形金型用サイプブレード。
【0031】[6] 前記[5]に記載のタイヤ成形金
型用サイプブレードを用いることを特徴とするタイヤ成
形金型の製造方法。
【0032】[7] 前記[6]に記載の方法を用いて
製造されることを特徴とするタイヤ成形金型。
【0033】
【発明の実施の形態】 以下、本発明のタイヤ成形金型
用サイプブレードの製造方法の実施の形態を図面を参照
しつつ、具体的に説明する。
【0034】 図1は、本発明のタイヤ成形金型用サイ
プブレードの製造方法の一の実施の形態を模式的に示す
説明図で、(a)は、サイプブレード用素材の抜き形状
を、(b)は、曲げ成形後のサイプブレードの形状をそ
れぞれ示す。
【0035】 図1に示すように、本発明のタイヤ金型
用サイプブレードの製造方法は、タイヤのサイプ104
(図16参照)を形成するためにタイヤ成形用金型(タ
イヤ金型)にその一部(鋳包み部)1が埋設されるとと
もに他の部分(サイプ形成部)2が突出するように配設
されるサイプブレード4を、曲げ金型の間にサイプブレ
ード用素材3を挟持、押圧して所定形状に曲げ成形する
ことによって製造するタイヤ金型用サイプブレード4の
製造方法であって、曲げ成形後のサイプブレード4が、
サイプブレード用素材3をそのまま曲げ成形すると鋳包
み部1側とサイプ形成部2側との縮み量(展開長)に差
が生じて、湾曲変形が発生する曲げ形状を有するもので
ある場合に対応して、図1(a)に示すように、サイプ
ブレード用素材3の鋳包み部1となる側の端縁に、その
端縁と垂直な方向に延びる切り込み又は切り欠き5を形
成し、図1(b)に示すように、切り込み又は切り欠き
5に、サイプブレード用素材3の曲げ成形時に生じる縮
み量(展開長)の差を、自ら拡大又は縮小することによ
って吸収させ、湾曲変形の発生を未然に防止することを
特徴とする。
【0036】 なお、図1は、サイプブレード4の鋳包
み部1の方がサイプ形成部2よりも曲げ形状の展開長が
長い(縮み量が多い)場合、すなわち、鋳包み部1を含
む2次元曲げ部6の方がサイプ形成部2を含む3次元曲
げ部7よりも展開長が長い場合で、縮み量が多い鋳包み
部1側に切り込み又は切り欠き5を形成し、切り込み又
は切り欠き5が自ら拡大して展開長の差を吸収する場合
を示すが、一枚のサイプブレード4内に展開長の異なる
二種類の曲げ形状を有する場合で、二種類の曲げ形状の
境界線を介して、片側が金型本体に鋳包まれること(展
開長の差分を吸収する切り込み又は切り欠き形状が、製
品形状に現われないようにすること)が可能な場合に
は、所定の端縁に展開長の差を吸収又は縮小する切り込
み又は切り欠き5を形成することによって、同様に、湾
曲変形の発生を未然に防止することができる。
【0037】 図1に示す場合、サイプブレード素材3
の抜き形状寸法は、基本的に、縮み量の少ない3次元曲
げ部7側に合わせて初期設定しておくことが好ましい。
【0038】 切り込み又は切り欠き5の数、間隔につ
いては、成形するサイプブレード4の材質特性(破断伸
び特性、深絞り特性(n値、r値)及びサイプブレード
4の板厚等)に依存するため、一概に特定することはで
きないが、破断伸びの大きい材料(例えば、SUS30
4:ステンレス鋼)の場合には、切り込み又は切り欠き
5の一本当り1〜3mm程度の縮み量(展開長)の差分
を吸収又は縮小させるように構成することが好ましい。
【0039】 具体的には、破断伸びの小さい高強度材
料の場合に、2〜5mm程度の間隔で、また、破断伸び
の大きい低強度材料の場合に、4〜10mm程度の間隔
で切り込み又は切り欠き5を形成することが好ましい。
この場合、これらの数値は2次元曲げ部6と、3次元曲
げ部7とにおける縮み量の差の絶対量そのものにも大き
く依存する。この縮み量の差が小さい場合には、少ない
数の切り込み又は切り欠き5で湾曲変形防止対応が可能
であるが、多めの切り込み又は切り欠き5を形成するこ
とが、安全上好ましい。形成する切り込み又は切り欠き
5の本数が少な過ぎると、成形後のサイプブレード4に
湾曲変形が発生したり、切り込み又は切り欠き5の先端
部にクラックが発生したり、板厚方向に局部クビレが発
生するという不具合が生じることがあり、切り込み又は
切り欠き5の本数を多くし過ぎると、切り込み又は切り
欠き5の形成工数分のコスト上昇を招きやすい上に、サ
イプブレード4の金型本体への植え込み固定力が不足す
るという不具合を生じることがある。
【0040】 図2に示すように、切り込み又は切り欠
き5の形状としては、一本当り1〜3mm程度の縮み量
(展開長)の差分を自ら拡大又は縮小して吸収すること
ができるものであれば特に制限はないが、自ら拡大する
場合、例えば、スリット状、長方形状、楔型形状又は逆
台形状等(図2(a))、自ら縮小する場合、例えば、
三角形状又は四角形状等(図2(b))を挙げることが
できる。
【0041】 切り込み又は切り欠き5の形成方法とし
ては特に制限はないが、例えば、レーザーカット、ワイ
ヤ放電カット、リファインカッター等による切断等のい
ずれを用いたものであってもよいが、形成する切り込み
又は切り欠き5の幅に応じた最小値が得られる方法を用
いることが、その最小値近傍の数値で切り欠き5の幅を
設定することができるため好ましい。
【0042】 また、サイプブレード4の材料として
は、多数回のタイヤ成形に耐え得る機械的強度、耐久性
を備えた金属、例えば、SUS420J2、SUS63
1等の高強度材からなる薄板を好適例として挙げること
ができる。その厚さは、サイプ幅により異なるが、通
常、0.1〜2.0mm程度のものが用いられる。形状
としては特に制限はないが、通常、略長方形状のものが
用いられ、前述のように、2次元曲げ部6や3次元曲げ
部7を含む凹凸形状のような複雑な形状を有するものの
需要が高まっている。
【0043】 図3は、本発明のタイヤ成形金型用サイ
プブレードの製造方法の他の実施の形態を模式的に示す
説明図で、(a)は、サイプブレード用素材の抜き形状
を、(b)は、曲げ成形後のサイプブレードの形状をそ
れぞれ示す。
【0044】 図3に示すように、本発明のタイヤ金型
用サイプブレードの製造方法は、切り込み又は切り欠き
5の、サイプブレード用素材の鋳包み部となる側の端縁
とは反対側の先端部分に連接させた状態で、ロッキング
ホール8を配設して、サイプブレード用素材3の曲げ成
形時に、切り込み又は切り欠き5における割れ(クラッ
ク)の発生や板厚局部のクビレの発生を未然に防止する
ことができるものであることが好ましい。
【0045】 図3に示すように、切り込み又は切り欠
き5の先端部分に丸形状(ロッキングホール8)の切り
欠きを連接することによって、切り込み又は切り欠き5
の先端部分に、応力や歪みが集中するのを緩和すること
できる。また、切り込み又は切り欠き5の形成本数を減
少させることができる。
【0046】 この場合、切り込み又は切り欠き5の形
成の条件は、基本的には前述の場合と同様にすることが
できる。
【0047】 また、ロッキングホール8の開口位置
は、上記のような効果を最大限に発揮させ、かつ、曲げ
成形後の湾曲変形の発生を防止する上からも、鋳包み部
1の上端近傍までシフトさせて配設することが好まし
い。このように、二次元曲げ形状6と三次元曲げ形状7
の境界近傍まで、切り込み又は切り欠き5を形成するこ
とによって、さらに効果的に湾曲変形を防止することが
できる。
【0048】 また、ベントホール9は、必然的にタイ
ヤ金型製品面部に配置されるため、二次元曲げ形状6と
三次元曲げ形状7のほぼ境界近傍に位置することにな
り、上述のような配慮は不要となるが、プレス曲げ成形
後の切り込み又は切り欠き5の開口幅が大きくなりすぎ
ると、タイヤ成形品の外観品質上問題を生じる可能性が
高いため、最低限ベントホール直径(φ0.6mm〜φ
1.2mm)の半分程度の開口幅に抑えるようにして、
切り込み又は切り欠き5の形成本数を設定することが好
ましい。
【0049】 図4は、本発明のタイヤ成形金型用サイ
プブレードの製造方法の、さらに他の実施の形態を模式
的に示す説明図で、(a)は、サイプブレード用素材の
抜き形状を、(b)は、曲げ成形後のサイプブレードの
形状をそれぞれ示す。
【0050】 図4に示すように、本発明のタイヤ金型
用サイプブレードの製造方法は、切り込み又は切り欠き
5の形状を、ロッキングホール8又はベントホール9の
機能を兼用し得る形状に構成してなるものであってもよ
い。図4においては、切り込み又は切り欠き5がロッキ
ングホール8を兼用する場合を示す。
【0051】 具体的には、切り込み又は切り欠き5と
して、鋳包み部1に形成する楔形の開口形状のアンダー
カット形状を利用することで、切り込み又は切り欠き5
にロッキングホール8を兼用させつつ、プレス曲げ成形
時の湾曲変形発生を防止することができる。
【0052】 図4に示すように、鋳包み部1のアンダ
ーカット形状を工夫することによって、より多くの歪み
を吸収することができる。この場合、開口面積を多くし
過ぎると、サイプブレード4をタイヤ金型本体に対して
直立に保持する力(曲げ抗力)が小さくなってしまうこ
とから、目安として鋳包み部1の面積に対して、20〜
50%程度の開口面積となるように抑えることが好まし
い。この場合、開口面積を複数に分配する(全体では所
定の開口面積を保持する)ことが好ましい。
【0053】 また、切り込み又は切り欠き5の開口形
状は、図4に示す形状に限らず、例えば、図5(a)、
(b)に示すような中庭形状であってもよい。
【0054】 図5(a)において、矢印Xの方向に伸
びが生じることとなるため、切り込み又は切り欠き5の
開口形状は、この方向の伸びに対して、応力や歪みの集
中が小さくなり、かつアンダーカットを構築できる形状
であれば特に制限はない。なお、図5において、丸で囲
んだ部位Pは、応力や歪みの集中を緩和させる意味か
ら、R面取りしておくことが好ましい。
【0055】 図3に示す実施の形態の場合、切り込み
又は切り欠き5の先端部分にロッキングホール(丸形
状)8を形成していたため、この半径により決定される
応力や歪みの集中係数を小さくすることには限界があっ
たが、図5に示す実施の形態の場合は、この点を切り込
み又は切り欠き5の開口形状を変更することによって、
高い自由度で対応することができる。この場合も、切り
込み又は切り欠き5を鋳包み部1の上端部直近まで接近
させることが好ましい。
【0056】 図6は、本発明のタイヤ成形金型用サイ
プブレードの製造方法の、さらに他の実施の形態を模式
的に示す説明図で、(a)は、サイプブレード用素材の
抜き形状を、(b)は、曲げ成形後のサイプブレードの
形状をそれぞれ示す。
【0057】 なお、図6は、サイプブレード4の鋳包
み部1の方がサイプ形成部2よりも曲げ形状の展開長が
短い(縮み量が少ない)場合、すなわち、鋳包み部1を
含む2次元曲げ部6の方がサイプ形成部2を含む3次元
曲げ部7より展開長が短い場合で、縮み量が少ない鋳包
み部1側に切り込み又は切り欠き5を形成し、切り込み
又は切り欠き5が自ら縮小して展開長の差を吸収する場
合を示す。
【0058】 この場合の切り込み又は切り欠き5の形
状としては、自ら縮小して展開長の差を吸収することが
できるものであれば特に制限はない。例えば、図6に示
すような三角形状を挙げることができるが四角形状等で
あってもよい。
【0059】 図6に示す実施の形態の場合は、「圧
縮」側の変形により、切り込み又は切り欠き5で展開長
の差(歪み)を吸収させるため(圧縮変形の場合は、板
厚局部クビレや割れの発生の心配をする必要性が薄れ
る)、切り込み又は切り欠き5の形成条件は、図1に示
す場合等よりは緩やかなものとすることができる。
【0060】 具体的には、2次元曲げ部6と3次元曲
げ部7における縮み量(展開長)の差の絶対量や、サイ
プブレード4の材質や板厚にも依存するが、図6に示す
ような三角形状の切り込み又は切り欠き5の場合(四角
形の場合も同様)、4〜10mmの間隔で、三角形の底
辺にあたる部分の長さを、0.5〜3mm程度とするこ
とを挙げることができる。
【0061】 図6に示す実施の形態の場合において
も、図3に示すような切り込み又は切り欠き5の先端部
分に連接してロッキングホールを形成してもよく、ま
た、図4に示すようなロッキングホールを兼用させても
よい。
【0062】 上述の実施の形態のいずれの場合も、図
7(a)に示すように、サイプブレード4の金型プロフ
ァイル面11側への鋳包み部1の面基準において湾曲変
形が生じる場合(サイプブレードの曲げ形状によって展
開長に差の生じる境界線が金型プロファイル面11に平
行して存在する場合)であったが、図7(b)に示すよ
うに、鋳出し骨12面側への埋設面1側における場合
(境界線が、金型プロファイル面11とほぼ垂直にな
り、かつその部位の一部が金型の鋳出し骨12に鋳包ま
れる場合)についても、同様にして湾曲変形を防止する
ことができる。
【0063】 また、本発明のタイヤ成形金型用サイプ
ブレードは、前述の方法を用いて製造されることを特徴
とする。具体的には、所望のサイプブレードをプレス成
形するための曲げ金型を鋳造法等を用いて予め作製して
おき、所定の板厚の鋼板を製品面側基準で設定した寸法
で外周形状を決定した後、鋳包み面側に先述のような製
品面側との展開長の差分を吸収させる切り込み又は切り
欠き形状を適宜設定して、サイプブレードのプレス曲げ
成形用平面素材を作製し、これを曲げ金型でプレス曲げ
成形することによって、湾曲変形を発生させることな
く、二次元及び三次元の融合形状等の複雑な曲面を有す
るサイプブレードを簡易に成形することができる。
【0064】 得られるタイヤ成形金型用サイプブレー
ドは、上記のようにプレス曲げ工程での不具合を簡易に
回避して製造されることとなり、従来製法、例えば、前
述の特願2000−280751明細書に記載された方
法や、サイプブレード成形時にプレス成形圧を受ける部
位のみ曲げ金型に所定の形状を付与しておき、その他の
部位は逃げ形状とする内容の特願2001−91447
明細書に記載された方法を併用することによって、より
安価で、従来製法では対応困難であった複雑な曲面形状
を有するものとなる。このため、従来製法のサイプブレ
ードに比べて、大幅なコストアップや工期増を伴うこと
なく、タイヤの高性能化をもたらすことができる。
【0065】 また、本発明のタイヤ成形金型の製造方
法は、前述のタイヤ成形金型用サイプブレードを用いて
タイヤ成形金型を製造することを特徴とする。具体的に
は、図14に示す工程において前述のタイヤ成形金型用
サイプブレードを用いることによって、タイヤ成形金型
を製造することができる。
【0066】 また、本発明のタイヤ成形金型は、前述
のタイヤ成形金型の方法を用いて製造されることを特徴
とする。得られるタイヤ成形金型は、従来の二次元曲げ
形状サイプブレードを用いたものに比べて、成形された
タイヤの高速走行性能、偏摩耗特性等を大幅に改善させ
ることができる。また、金型製作コストの上でも、従来
の方法、例えば、複数の鋳型ブロックを組み立てる際の
接合線を、タイヤデザインを構成する太溝の内部を通る
ようにすることで、接合線上で後から鋳型にサイプブレ
ードを打ち込む手間を省くという内容の特許第3165
137号公報等に記載されたタイヤ成形金型の製造方法
を併用することによって、三次元曲げ形状サイプブレー
ドを採用した際の、鋳型加工、組立て上の問題点を効果
的に回避することができる。このため、従来製法によっ
て得られるものとほぼ同等レベルの対応が可能となる。
従って、前述のタイヤ成形金型の製造方法を採用するこ
とで、真の意味で三次元曲げサイプブレードを採用した
タイヤ成形金型を実用レベルで製作することが可能にな
るといえ、この意味で、大幅なコストアップを伴うこと
なく、高性能タイヤの製造に寄与することができる。
【0067】
【実施例】 以下、本発明を実施例によりさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例によっていかな
る制限を受けるものではない。
【0068】 図8に、実施例1〜3で製造するサイプ
ブレードの曲げ成形後の予定形状を示す。
【0069】 このサイプブレード40の形状は、図8
(a)〜(b)にその断面形状を示す三角曲げ形状(2
次元曲げ)(図8(a))とディンプル曲げ形状(3次
元曲げ)(図8(b))との融合形状(図8(c):平
面図)とした。図8(c)においては、長手方向の長さ
が30mm、ブレード全高が11mm、ブレード鋳包み
部1が4mm、ブレード肉厚が0.3mm、ブレード材
質がSUS304(Cr 18%、Ni 8%、残りF
e)。また、凸ディンプル41、凹ディンプル42、三
角曲げ山部43、直径が2mmのロッキングホール44
及び直径が1mmのクロスベントホール45をそれぞれ
配設した例を示す。
【0070】 また、サイプ曲げ金型としては、BeA
275C(ベリリウム銅)製鋳造金型を、サイプブレー
ド素材の抜き形状を製作する方法としてレーザーカット
法を、プレス曲げ荷重として最大10トンの油圧プレス
負荷をそれぞれ用いた。
【0071】 実施例1 図9に示すような打ち抜き形状のサイプブレード素材3
1を作製し、幅が0.4mmの長手方向スリット50を
四本、短手方向スリット51を一本それぞれ形成した。
このサイプブレード素材31には、直径が2mmのロッ
キングホール用穴46、及び直径が1mmのクロスベン
トホール用穴47をそれぞれ三個形成した。このサイプ
ブレード素材31からプレス曲げ成形したサイプブレー
ドは、図8に示すサイプブレード40の曲げ成形後の予
定形状に誤差±0.1以内の寸法精度で、湾曲変形も生
じないものであった。なお、スリット50、51の開口
端部はそれぞれ0.7〜0.9mmの開口量となってい
た。
【0072】 実施例2 図10に示すように、直径が1mmのクロスベントホー
ル用穴47及び直径が2mmのロッキングホール用穴4
6をそれぞれ三個形成し、ロッキングホール用穴46の
下に、幅0.4mmの長手方向スリット52を各一個ず
つ連接して形成し、幅0.4mmの短手方向スリット5
3を一個形成したサイプブレード素材31を作製し、こ
のサイプブレード素材31をプレス曲げ成形してサイプ
ブレードを得た。得られたサイプブレードは、鋳包み部
1側が0.07mm程凹形状となる湾曲変形を伴った
が、全体的に実施例1の場合と同様に、予定の寸法形状
に対して誤差±0.1mm以内の精度で製作することが
できた。
【0073】 実施例3 図11に示すように、長手方向の楔形形状アンダーカッ
ト部54を三個、及び短手方向の楔形形状アンダーカッ
ト部55を一箇所形成したサイプブレード素材31を作
製し、このサイプブレード素材31をプレス曲げ成形し
てサイプブレードを得た。得られたサイプブレードは、
予定の寸法形状に対して誤差±0.1mm以内の精度で
製作することができた。また、湾曲変形も殆ど生じなか
った。
【0074】 比較例1 図12(a)に示すように、湾曲変形対策を施さないサ
イプブレード素材31aを、実施例1と同様にしてプレ
ス曲げ成形したところ、図12(b)に示すように、得
られたサイプブレード40aは、鋳包み部1側が0.6
mm程凹形状となる湾曲変形が発生した。このサイプブ
レード40aは、許容寸法公差範囲を外れたため、不良
と判定された。
【0075】 実施例4 図13(a)、(b)に、実施例4で製造するサイプブ
レードの曲げ成形後の予定形状を示す。
【0076】 このサイプブレード40の形状は、図1
3(a)にその断面形状を示すディンプル曲げ形状(3
次元曲げ)と平面形状との融合形状(図13(b):平
面図)とした。図13においては、長手方向の長さが3
0mm、ブレード全高が11mm、ブレード鋳包み部1
が4mm、ブレード肉厚が0.3mm、ブレード材質が
SUS304(Cr 18%、Ni 8%、残りFe)。
また、凸ディンプル41、凹ディンプル42、直径が2
mmのロッキングホール44及び直径が1mmのクロス
ベントホール45をそれぞれ二個配設した例を示す。
【0077】 図14に示すような打ち抜き形状のサイ
プブレード素材31を、実施例1と同様にして作製し、
三角形状で、底辺に相当する部分の長さが0.6mmの
長手方向切り欠き56を三本、短手方向切り欠き57を
一本それぞれ形成した。このサイプブレード素材31に
は、直径が2mmのロッキングホール用穴46a、及び
直径が1mmのクロスベントホール用穴47aをそれぞ
れ二個形成した。このサイプブレード素材31からプレ
ス曲げ成形したサイプブレードは、図13に示すサイプ
ブレード40の曲げ成形後の予定形状に誤差±0.1以
内の寸法精度で、湾曲変形も生じないものであった。
【0078】 比較例2 実施例4において歪み吸収用の切り欠き56、57(図
14参照)を形成しなかったこと以外は実施例4と同様
にして、図15(a)に示すサイプブレード素材31a
を作製し、このサイプブレード素材31をプレス成形し
て図15(b)に示すサイプブレード40aを作製した
ところ、鋳包み部1側が、0.3mmほど凸形状となる
湾曲変形が発生してしまった。このサイプブレード40
aは、許容寸法公差範囲を外れたため、不良と判定され
た。
【0079】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明によっ
て、複雑な形状を有するサイプブレード(サイプブレー
ド用素材をそのまま曲げ成形すると鋳包み部側とサイプ
形成部側との縮み量(展開長)に差が生じて、湾曲変形
が発生するようなサイプブレード)を、簡易かつ効率的
に製造することができるタイヤ金型用サイプブレードの
製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のタイヤ成形金型用サイプブレードの
製造方法の一の実施の形態を模式的に示す説明図で、
(a)は、サイプブレード用素材の抜き形状を、(b)
は、曲げ成形後のサイプブレードの形状をそれぞれ示
す。
【図2】 本発明に用いられる切り込み又は切り欠きの
形状を模式的に示す説明図であり、(a)は、自ら拡大
する場合、(b)は自ら縮小する場合に用いられる形状
をそれぞれ示す。
【図3】 本発明のタイヤ成形金型用サイプブレードの
製造方法の他の実施の形態を模式的に示す説明図で、
(a)は、サイプブレード用素材の抜き形状を、(b)
は、曲げ成形後のサイプブレードの形状をそれぞれ示
す。
【図4】 本発明のタイヤ成形金型用サイプブレードの
製造方法の、さらに他の実施の形態を模式的に示す説明
図で、(a)は、サイプブレード用素材の抜き形状を、
(b)は、曲げ成形後のサイプブレードの形状をそれぞ
れ示す。
【図5】 図4に示すロッキングホールを兼用する場合
の切り込み又は切り欠きの、他の形状(中庭形状)を模
式的に示す説明図である。
【図6】 本発明のタイヤ成形金型用サイプブレードの
製造方法の、さらに他の実施の形態を模式的に示す説明
図で、(a)は、サイプブレード用素材の抜き形状を、
(b)は、曲げ成形後のサイプブレードの形状をそれぞ
れ示す。
【図7】 本発明のタイヤ成形金型用サイプブレードの
製造方法が、サイプブレードの湾曲変形を防止すること
ができる場合を模式的に示す説明図で、(a)は、サイ
プブレードの金型プロファイル面側への鋳包み部の面基
準において湾曲変形が生じる場合、(b)は、鋳出し骨
面側への埋設面1側において湾曲変形が生じる場合、そ
れぞれ湾曲変形を防止することができることを示す。
【図8】 本発明の実施例1〜3で製造するサイプブレ
ードの曲げ成形後の予定形状を模式的に示す説明図で、
(a)は、三角曲げ形状(2次元曲げ)を示す断面図、
(b)は、ディンプル曲げ形状(3次元曲げ)を示す断
面図、(c)は、融合形状を示す平面図である。
【図9】 本発明の実施例1におけるサイプブレード素
材の打ち抜き形状を模式的に示す説明図である。
【図10】 本発明の実施例2におけるサイプブレード
素材の打ち抜き形状を模式的に示す説明図である。
【図11】 本発明の実施例3におけるサイプブレード
素材の打ち抜き形状を模式的に示す説明図である。
【図12】 本発明の比較例1におけるサイプブレード
素材の打ち抜き形状(a)及び得られたサイプブレード
の形状(b)をそれぞれ模式的に示す説明図である。
【図13】 本発明の実施例4で製造するサイプブレー
ドの曲げ成形後の予定形状を模式的に示す説明図で、
(a)は、ディンプル曲げ形状(3次元曲げ)を示す断
面図、(b)は、平面形状とディンプル曲げ形状(3次
元曲げ)との融合形状を示す平面図である。
【図14】 本発明の実施例4におけるサイプブレード
素材の打ち抜き形状を模式的に示す説明図である。
【図15】 本発明の比較例2におけるサイプブレード
素材の打ち抜き形状(a)及び得られたサイプブレード
の形状(b)をそれぞれ模式的に示す説明図である。
【図16】 タイヤに配設される各種の溝のそれぞれの
形状を模式的に示す斜視図である。
【図17】 タイヤに配設されるサイプの形状の相違に
よってブロック剛性に相違が生じ、例えば、3次元形状
とすることによってグリップ力を向上させることができ
ることを模式的に示す平面図及び断面図である。
【図18】 サイプブレードを鋳包む方法を用いたタイ
ヤ成形用金型の製造方法を模式的に示す断面図である。
【図19】 図18に示すタイヤ成形用金型の製造方法
において、サイプブレードを作製する方法及び得られた
サイプブレードの一例を模式的に示す断面図及び斜視図
である。
【図20】 従来のサイプブレードの製造方法におい
て、サイプブレードに湾曲現象が発生する理由を模式的
に示す平面図である。
【図21】 湾曲変形の問題に対処するための一の方法
(形状補正)を模式的に示す説明図である。
【図22】 湾曲変形の問題に対処するための他の方法
(トリミング)を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1…サイプブレードの鋳包み部、2…サイプブレードの
サイプ形成部、3…サイプブレード用素材、3a…湾曲
変形分の補正のため成形後の湾曲変形方向と逆方向の湾
曲変形を予め付与したサイプブレード素材の抜き形状、
3b…所望の形状よりも一回り大きいサイプブレード素
材の抜き形状、4…サイプブレード、4a…所望の形状
よりも若干大きいサイプブレード、4b…トリミングさ
れる外周部、5…切り込み又は切り欠き、6…2次元曲
げ部、7…3次元曲げ部、8…ロッキングホール、9…
ベントホール、10a…サイプブレード成形用金型、1
1…金型プロファイル面、12…鋳出し骨面、31…サ
イプブレード用素材、31a…サイプブレード用素材、
40…サイプブレード、40a…サイプブレード、41
…凸ディンプル、42…凹ディンプル、43…三角曲げ
山部、44…ロッキングホール、45…クロスベントホ
ール、46…ロッキングホール用穴、47…クロスベン
トホール用穴、50…長手方向スリット、51…短手方
向スリット、52…ロッキングホール用穴下に連接した
長手方向スリット、53…短手方向スリット、54…長
手方向の楔形形状アンダーカット部、55…短手方向の
楔形形状アンダーカット部、56…長手方向の三角形状
切り欠き、57…短手方向の三角形状切り欠き、101
…タイヤ、102…リブ等の太溝、103…ラグ等の太
溝、104…サイプ、106…タイヤ、107…サイ
プ、107a…従来の2次元形状サイプ、107b…3
次元形状サイプ、500…原型(マスターモデル)、5
02…モデル用ブレード、506…ゴム型、507…石
膏鋳型、508…金型、509…金型用ブレード、11
1…サイプブレード、117…ワイヤ、121…薄板素
材、122…クロスベントホール、123…ロッキング
ホール、124…サイプ形成部、125…鋳包み部、1
51…本来想定した抜き形状、152…湾曲した形状の
サイプブレード、153…2次元形状、154…3次元
形状、155…2次元形状のサイプブレード抜き形状素
材、156…全長縮み、157…3次元形状のサイプブ
レード抜き形状素材、158…全長縮み、X…伸びが生
じる方向を示す矢印、P…応力や歪みの集中を緩和させ
る意味からR面取りすることが好ましい部位。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タイヤのサイプを形成するためにタイヤ
    成形用金型(タイヤ金型)にその一部(鋳包み部)が埋
    設されるとともに他の部分(サイプ形成部)が突出する
    ように配設されるサイプブレードを、曲げ金型の間にサ
    イプブレード用素材を挟持、押圧して所定形状に曲げ成
    形することによって製造するタイヤ金型用サイプブレー
    ドの製造方法であって、 曲げ成形後の前記サイプブレードが、前記サイプブレー
    ド用素材をそのまま曲げ成形すると前記鋳包み部側と前
    記サイプ形成部側との縮み量(展開長)に差が生じて、
    湾曲変形が発生する曲げ形状を有するものである場合に
    対応して、 前記サイプブレード用素材の前記鋳包み部となる側の端
    縁に、その端縁と垂直な方向に延びる切り込み又は切り
    欠きを形成し、 前記切り込み又は切り欠きに、前記サイプブレード用素
    材の曲げ成形時に生じる縮み量(展開長)の差を、自ら
    拡大又は縮小することによって吸収させ、前記湾曲変形
    の発生を未然に防止することを特徴とするタイヤ金型用
    サイプブレードの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記切り込み又は切り欠きの形状が、前
    記サイプブレード用素材の曲げ成形時に生じる縮み量
    (展開長)の差を、自ら拡大することによって吸収する
    場合、スリット状、長方形状、楔型形状又は逆台形状で
    あり、前記サイプブレード用素材の曲げ成形時に生じる
    縮み量(展開長)の差を、自ら縮小することによって吸
    収する場合、三角形状又は四角形状である請求項1に記
    載のタイヤ金型用サイプブレードの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記切り込み又は切り欠きの、前記サイ
    プブレード用素材の前記鋳包み部となる側の端縁とは反
    対側の先端部分に連接させた状態で、ロッキングホール
    を配設して、前記サイプブレード用素材の曲げ成形時
    に、前記切り込み又は切り欠きの先端部分における割れ
    (クラック)の発生を未然に防止する請求項1又は2に
    記載のタイヤ金型用サイプブレードの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記切り込み又は切り欠きの形状を、ロ
    ッキングホール又はベントホールの機能を兼用し得る形
    状に構成してなる請求項1又は2に記載のタイヤ金型用
    サイプブレードの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の方法を
    用いて製造されることを特徴とするタイヤ成形金型用サ
    イプブレード。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のタイヤ成形金型用サイ
    プブレードを用いることを特徴とするタイヤ成形金型の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の方法を用いて製造され
    ることを特徴とするタイヤ成形金型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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