JP2002335021A - 薄膜熱電対集積型熱電変換デバイス - Google Patents

薄膜熱電対集積型熱電変換デバイス

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JP2002335021A JP2001138442A JP2001138442A JP2002335021A JP 2002335021 A JP2002335021 A JP 2002335021A JP 2001138442 A JP2001138442 A JP 2001138442A JP 2001138442 A JP2001138442 A JP 2001138442A JP 2002335021 A JP2002335021 A JP 2002335021A
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thin film
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜材料の種類を問わず、成膜でき、平板型
構造の両面で吸・放熱する形態の高熱電変換効率・低コ
ストの薄膜熱電対集積型熱電変換デバイスを提供する。 【解決手段】 P型熱電半導体薄膜27とN型熱電半導
体薄膜28とが一端部において電気的接合層29を介
し、残部において絶縁層31を介して積層されてなる薄
膜熱電対22を基板23上に配列形成する。各薄膜熱電
対22は導体32によって電気的に直列接続される。薄
膜熱電対22の電気的接合層29が位置する部分及びそ
れと反対側の導体32に、共に熱伝導体よりなる上板2
4及び底板25に設けた凸部35及び36をそれぞれ接
触させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は熱と電気とを相互
に変換することができる熱電変換材料を用いて構成され
る薄膜熱電対集積型の熱電変換デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】熱電変換デバイスは電子冷却・加熱器や
熱発電器として用いられている。図6Aは熱発電の原理
を示したものであり、P型半導体11とN型半導体12
とからなる半導体の対(熱電対)の一端を高温体13に
接触させ、他端を低温体14に接触させて、図に示した
ような回路を組むことにより、ゼーベック効果によって
電流が流れ、熱起電力が発生するものとなっている。図
中、15は接合用金属を示す。なお、高温体13及び低
温体14は接合用金属15と絶縁されている。
【0003】図6Bは従来実用化されている熱電変換デ
バイスの構成を示したものであり、図6Aに示した熱電
対が多数配列された構成となっている。これら熱電対は
温度差の方向に平行並列に並んだ構造となっており、電
極16により電気的には直列に接続されている。図中、
17は絶縁体を示す。この図6Bに示した熱電変換デバ
イスでは、熱電対をなすP型半導体11及びN型半導体
12は主に焼結等により生成された多結晶バルク材料を
切り出すことによって形成され、同一寸法でそれら半導
体11,12を多数切り出した後、組み立て、電極形
成、固定などの多くの工程を経て熱電変換デバイスが完
成するものとなっている。従って、半導体にバルク材料
を使用する従来の熱電変換デバイスは多くの異なる工程
を必要とするため、その点でコストがかかり、高価とな
って熱電変換デバイスの普及を妨げる一因となってい
た。
【0004】一方、半導体にバルク材料を使用するので
はなく、薄膜材料を使用して熱電変換デバイスを構成す
ることができる。この場合、膜厚方向に温度勾配を形成
して膜の表面及び裏面に吸熱部及び放熱部の各領域を配
置する形態と、薄膜面内の方向に温度勾配を形成して薄
膜面内に吸熱部及び放熱部の各領域を配置する形態とが
考えられる。前者の形態の場合は図6Bに示した従来の
バルク材料を用いる熱電変換デバイスと同様に、平板型
構造の両面でそれぞれ吸・放熱する形態の熱電変換デバ
イスを実現できるが、高温部と低温部の距離が数ミクロ
ン程度以下の距離しかないため、熱損失が生じやすく、
熱電変換効率が悪いという問題点がある。
【0005】これを一部解決するため、特開平6−13
664号公報記載の発明では各熱電半導体薄膜の隙間を
真空にして熱伝導を下げる工夫がなされている。しかし
ながら、この方法では熱電半導体薄膜自体を通じての熱
損失は防ぎようがないため、高効率の薄膜熱電変換デバ
イスを得るのは困難となっている。これに対し、後者の
薄膜面内に温度勾配をつける形態の場合は、膜自体への
温度差が与えやすく、熱損失が小さく、熱電変換効率の
よい熱電変換デバイスが原理上、実現可能であるが、成
膜された基板を通じて熱損失が生じる点と、同一面内に
高温部と低温部があるため従来のバルク材料による熱電
変換デバイスと同様の平板型構造の両面でそれぞれ吸・
放熱する形態は実現できず、吸・放熱部に十分な面積を
もたせることができないといった問題がある。
【0006】そこで、薄膜面内に温度勾配を形成しなが
ら、かつ吸・放熱部に十分な面積を持たせることを試み
た発明が特開平10−303469号公報に提案されて
いる。しかしながら、この特開平10−303469号
公報記載の発明では、プラスチックなどで形成された凸
部の表面に熱電半導体薄膜を蒸着する手法が採られてお
り、例えば平坦度や格子定数あるいは表面処理や成膜温
度など特殊な基板や成膜条件を用いなければ成膜ができ
ない熱電半導体薄膜材料(例えばエピタキシャル成長さ
せる必要のある半導体超格子)には適用できないという
問題がある。
【0007】さらに具体的には、 ・プラスチックの凸部への成膜では高温の成膜は困難 ・プラスチックに密着しない(接合しない)膜には応用
できない ・上記2点を回避するために、仮りに半導体基板などで
凸部を形成して成膜した場合でも、凸部の斜面と頂部・
底部で同じ品質の膜が生成できない場合があるといった
欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、半導
体にバルク材料を使用する熱電変換デバイスはコストが
高いといった問題があり、これに対し、半導体に薄膜材
料を使用する熱電変換デバイスは低コスト化が可能であ
るものの、膜厚方向に温度勾配を形成する形態では熱電
変換効率の点で問題があるものとなっていた。一方、例
えば特開平10−303469号公報記載の発明のよう
に薄膜面内の方向に温度勾配を形成すれば、熱電変換効
率の点では有利となるものの、この公報記載の発明では
吸・放熱部に十分な面積を持たせられるように凸部上に
成膜するものとなっており、膜の品質上、問題が生じる
虞れがあり、また材料によっては成膜ができないという
問題がある。
【0009】特に、近年、熱電変換材料として高い性能
指数を示す可能性が指摘されている、 (1)半導体超格子(Sun,X.etal.,Mat.Res.Soc.Symp.P
roc.Vol.545,P369,1999 やVenkatasubramanian,R.eta
l.,Appl.Phys.Lett.Vol.75,No.8,P1104,1999などに記
載) (2)ナノワイヤ(10μm 厚の薄膜マイカの中にビス
マスのナノワイヤを作製する技術がDemske,D.L.etal.,M
at.Res.Soc.Symp.Proc.Vol.545,P209,1999に記載) (3)ナノ微粒子膜(本出願人が特願2000−267
328号にて提案)などの次世代材料の成膜(生成)に
は適用できないという問題がある。
【0010】この発明の目的はこれら問題に鑑み、高熱
電変換効率・低コストの熱電変換デバイスを提供するこ
とにあり、特に上記のような次世代材料でも成膜するこ
とができ、かつ平板型構造の両面で吸・放熱する形態の
薄膜熱電対集積型熱電変換デバイスを提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明によれ
ば、基板と、その基板上に配列形成され、P型熱電半導
体薄膜とN型熱電半導体薄膜とが一端部において電気的
接合層を介し、残部において絶縁層を介して積層されて
なる複数の薄膜熱電対と、それら薄膜熱電対の上記一端
部と反対の他端部に配置されて複数の薄膜熱電対を電気
的に直列に接続する導体と、薄膜熱電対の配列上に位置
され、その薄膜熱電対との対向面に突出形成された凸部
が上記一端部上において各薄膜熱電対と接触する構造と
された熱伝導体よりなる上板とを具備するものとされ
る。
【0012】請求項2の発明では請求項1の発明におい
て、隣接する薄膜熱電対を接続する導体は一端が一方の
薄膜熱電対の上に位置され、他端が他方の薄膜熱電対の
下に位置されており、その薄膜熱電対の下に位置する導
体は基板に埋め込まれて、その上面が基板表面とほぼ面
一とされる。請求項3の発明では請求項2の発明におい
て、各薄膜熱電対の下に位置する導体はその下面の少な
くとも一部が基板の裏面側に露出されており、上記裏面
と対向して熱伝導体よりなる底板が配置され、その底板
の上記裏面との対向面に突出形成された凸部が上記裏面
側に露出された導体と接触される。
【0013】請求項4の発明によれば、基板と、第1の
電気的接合部を挟んでP型熱電半導体薄膜とN型熱電半
導体薄膜とが平面配置されてなり、基板上に電気的に直
列構成をなすように配列形成された複数の薄膜熱電対
と、それら各薄膜熱電対間に配置されて複数の薄膜熱電
対を電気的に直列に接続する第2の電気的接合部と、薄
膜熱電対の配列上に位置され、その薄膜熱電対との対向
面に突出形成された凸部が上記第1もしくは第2の電気
的接合部のいずれか一方と接触する構造とされた熱伝導
体よりなる上板とを具備するものとされる。
【0014】請求項5の発明では請求項4の発明におい
て、上板の凸部が接触されない方の電気的接合部の各位
置と対応して基板に金属が埋め込まれ、その金属は上面
が基板の表面とほぼ面一とされ、下面の少なくとも一部
が基板の裏面側に露出されており、上記裏面と対向して
熱伝導体よりなる底板が配置され、その底板の上記裏面
との対向面に突出形成された凸部が上記裏面側に露出さ
れた金属と接触される。請求項6の発明では請求項3も
しくは5のいずれかの発明において、上板の周縁部と底
板の周縁部とが枠体を介して互いに連結固定される。
【0015】請求項7の発明では請求項6の発明におい
て、上板と底板と枠体とによって囲まれた内部空間が真
空とされる。請求項8の発明では請求項1乃至7のいず
れかの発明において、P型熱電半導体薄膜とN型熱電半
導体薄膜とが方形形状とされ、かつ同一形状とされ、複
数の薄膜熱電対は基板上に縦横に配列される。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を図面を参
照して実施例により説明する。図1はこの発明の一実施
例を示したものであり、この例では熱電変換デバイス2
1は複数の薄膜熱電対22が形成された基板23が上板
24と底板25と枠体26とによって囲まれた内部空間
に収容されているものとされる。図2は薄膜熱電対22
が形成された基板23を示したものであり、先ず図2を
参照して薄膜熱電対22及び基板23の構造について説
明する。
【0017】薄膜熱電対22はP型熱電半導体薄膜27
とN型熱電半導体薄膜28とが一端部において電気的接
合層29を介し、残部において絶縁層31を介して積層
されてなるものとされ、この例ではこれらP型熱電半導
体薄膜27及びN型熱電半導体薄膜28は方形形状とさ
れ、かつ同一形状とされている。薄膜熱電対22は基板
23上に縦横に配列されて形成され、この例では縦・横
各4個、計16個の薄膜熱電対22が形成されている。
各列の薄膜熱電対22の電気的接合層29は図2Aに示
したように一列上に位置するように揃えられており、図
において左から数えて奇数列の薄膜熱電対22の電気的
接合層29は方形の左辺に、偶数列の薄膜熱電対22の
電気的接合層29は方形の右辺に位置されている。
【0018】薄膜熱電対22の電気的接合層29が形成
されている一端部と反対の他端部には導体32が配置さ
れ、16個の薄膜熱電対22は導体32によって電気的
に直列に接続されている。導体32は図2Aに示したよ
うに奇数列の薄膜熱電対22に対しては方形の右辺に、
偶数列の薄膜熱電対22に対しては方形の左辺に位置さ
れるものとなる。隣接する薄膜熱電対22を接続する導
体32は図2Bに示したように、一端が一方の薄膜熱電
対22の上に位置され、つまりN型熱電半導体薄膜28
上に配設され、他端が他方の薄膜熱電対22の下に位置
され、つまりP型熱電半導体薄膜27の下に配設されて
いる。
【0019】各薄膜熱電対22の下に位置する導体32
はこの例では基板23に埋め込まれたものとなってお
り、その上面は基板23の表面とほぼ面一とされてい
る。なお、導体32によって直列接続された16個の薄
膜熱電対22の両端からは導体32が基板23の端縁に
導出されて一対の端子部32aが形成されており、これ
ら端子部32aにリード線33が例えば半田付けされて
接続されるものとなる。基板23には2つの細長い溝3
4が裏面側から形成されており、各薄膜熱電対22の下
に位置する導体32はこれら溝34を介して、その下面
の少なくとも一部が基板23の裏面側に露出されてい
る。
【0020】上記のような構成を有する薄膜熱電対22
はマスクを用いた成膜プロセスによって作製され、予め
導体32を埋め込んだ基板23上にP型熱電半導体薄膜
27,電気的接合層29,絶縁層31,N型熱電半導体
薄膜28及び埋め込まれている導体32からN型熱電半
導体薄膜28上に至る導体32を順次成膜することによ
って作製される。なお、図示はないが、埋め込まれてい
る導体32からN型熱電半導体薄膜28上に至る導体3
2を成膜する際にP型熱電半導体薄膜27の側面に直接
成膜が及ばないように、あらかじめこの側面をも絶縁層
31により保護しておく。必要があれば、さらにこの上
に保護層を成膜してもよい。なお、基板23に導体32
を埋め込むには、例えばイオンミリングで基板表面の対
象部分を削った後、導体32を例えば蒸着してこれを得
ることが出来る。溝34は基板23に導体32を埋め込
んだ後、例えばウエットエッチング等で基板23をくり
ぬくことによって形成され、この溝34を形成した後、
上記成膜プロセスが実行される。
【0021】基板23は絶縁基板とされ、例えばガラス
基板などが用いられる。薄膜熱電対22は上述したよう
に基板23の平面上に形成され、つまり熱電半導体薄膜
27,28を形成する上で最も適した平面基板上に薄膜
熱電対22を形成することができるため、熱電半導体薄
膜27,28にはいかなる薄膜材料をも用いることがで
きる。例えば薄膜の形態で高い性能指数が期待されるス
クッテルダイト系材料や半導体超格子、ナノワイヤ膜、
ナノ微粒子膜等の次世代材料を用いることができる。な
お、従来のビスマステルル等の熱電変換材料も用いるこ
とができる。
【0022】絶縁層31は例えば酸化シリコン或いは窒
化シリコンによって構成され、電気的接合層29及び導
体32は例えば金や銅で形成される。なお、電気的接合
層29はP型熱電半導体薄膜27の上面に電気的接合層
29に見合う分の段部を形成してP型熱電半導体薄膜2
7自体で構成することもできる。次に、この薄膜熱電対
22が配列形成された基板23に対して組み合わされる
上板24及び底板25の配設構造について図1を参照し
て説明する。上板24及び底板25はいずれも熱伝導体
よりなるものとされ、これら上板24と底板25とによ
って基板23は挟み込まれる構造とされる。
【0023】薄膜熱電対22の配列上に位置する上板2
4は、その薄膜熱電対22との対向面にこの例では3つ
の細長い凸部35が突出形成されているものとされ、こ
れら凸部35が薄膜熱電対22の電気的接合層29が形
成されている一端部上において各薄膜熱電対22と、つ
まりN型熱電半導体薄膜28と接触する構造とされる。
図1B中、二点鎖線は凸部35の平面形状を示す。一
方、基板23の裏面側に配置される底板25には基板2
3との対向面に2つの細長い凸部36が突出形成されて
おり、これら凸部36が基板23に形成されている溝3
4にそれぞれ嵌め込まれて溝34底面に露出されている
導体32と接触される。なお、基板23と底板25とは
図に示したように板面が互いに当接される。
【0024】上板24と底板25とは共に熱伝導率の良
い電気絶縁性の材料によって形成され、材料としては例
えばアルミナが使用される。また、薄膜熱電対22や導
体32に接触する面に例えばアルミナを表面コーティン
グして電気絶縁を確保した銅などの金属も好適である。
上板24と底板25とはそれらの周縁部が枠体26を介
して互いに連結固定され、薄膜熱電対22が配列形成さ
れた基板23がこれら上板24と底板25とに挟持され
て薄膜熱電対集積型の熱電変換デバイス21が完成す
る。
【0025】なお、上板24及び底板25はそれぞれ熱
伝導率が低く、電気絶縁性で弾性のある例えばプラスチ
ック等の材料からなる枠体26に接着して固定する。こ
のように弾性のある材料で固定することにより熱変形な
どに対して機械的強度の高い熱電変換デバイス21を構
成することができる。また、上板24と底板25と枠体
26とを接着固定する際、例えば真空中で接着して内部
空間を真空とすることにより熱損失をより小さくするこ
とができる。上記のような構成とされた熱電変換デバイ
ス21によれば、平板型構造の両面で、つまり上板24
と底板25で吸・放熱する形態となり、図6Bに示した
従来のバルク材料を使用した熱電変換デバイスと同様の
構造が実現できる。
【0026】熱発電器として用いる場合は例えば上板2
4を通じて薄膜熱電対22の電気的接合部29が位置す
る一端部に熱を供給することにより熱発電が可能とな
る。この際、温度差を高く保つためには、底板25を低
温に保つようにすればよく、これにより底板25及び基
板23に埋め込まれた導体32を通じて薄膜熱電対22
の一端部と反対の他端部が低温に保たれる。この熱電変
換デバイス21は熱発電器や電子冷却・加熱器として用
いることができ、上板24及び底板25の外面形状は平
面に限らず、例えば相手方高温体・低温体あるいは相手
方被冷却体・被加熱体の形状に合わせた形状とすること
ができる。
【0027】なお、P型熱電半導体薄膜27とN型熱電
半導体薄膜28の積層順はこの例と逆であってもよい。
図3は図1に示した構成に対し、基板23を薄くした熱
電変換デバイス37の断面構造を示したものである。こ
の例ではあらかじめ数100μm厚の基板表面に導体3
2を埋め込んだ後、基板表面を例えば研磨により削るこ
とで薄い基板23を得ており、導体32はその全体が基
板23の裏面側に露出されている。この構成によれば、
底板25に設けた凸部36が導体32と基板23の表面
のごく一部分にのみ接触するため、図1の例と比較して
底板25から供給される熱の基板23を通じた損失が抑
えられ、熱電変換効率のさらなる向上をはかることがで
きる。
【0028】図4は上板24の周縁部を枠体26を介し
て基板23に固定し、つまり底板25のない構成とした
熱電変換デバイス38を示したものである。このような
構成も使用条件あるいは用途に応じて採用することがで
きる。また、薄膜熱電対22の下に配設する導体32を
この例では基板23に埋め込むものとしているが、例え
ば基板23上に成膜形成する構成とすることもできる。
但し、熱電半導体薄膜27,28の成膜の点では埋め込
んで成膜面のより平坦化を図る方が好ましい。図5は薄
膜熱電対22を構成するP型熱電半導体薄膜27とN型
熱電半導体薄膜28とを積層構造とするのではなく、基
板23上にそれらを平面配置して薄膜熱電対22を構成
した例を示したものである。
【0029】この熱電変換デバイス41では方形の同一
形状をなすP型熱電半導体薄膜27とN型熱電半導体薄
膜28とが第1の電気的接合部42を挟んで配置されて
薄膜熱電対22が形成され、それら薄膜熱電対22が電
気的に直列構成をなすように基板23上に配列形成され
たものとなっている。薄膜熱電対22はこの例では8個
配列されており、各薄膜熱電対22間は第2の電気的接
合部43で接続されて8個の薄膜熱電対22が電気的に
直列接続されている。
【0030】熱伝導体よりなる上板24に設けられてい
る凸部35はこの例では第2の電気的接合部43に接触
する構造とされている。一方、上板24の凸部35が接
触されない方の第1の電気的接合部42の各位置と対応
して基板23に例えば金や銅などの金属44が埋め込ま
れており、これら金属44と熱伝導体よりなる底板25
の凸部36とが接触される。なお、この例では基板23
は図3に示した熱電変換デバイス37と同様、その厚さ
が薄いものとされている。
【0031】第1の電気的接合部42と第2の電気的接
合部43とは共に例えば金や銅などの金属薄膜を成膜す
ることによって形成される。図中、32aは端子部を示
す。この図5に示した構造においても、平板型構造の両
面で吸・放熱する形態となり、また熱電半導体薄膜2
7,28を基板23の平面上に成膜することができるも
のとなっている。但し、薄膜熱電対22の集積度の点で
は前述した熱電変換デバイス21や37に比し、劣るも
のとなる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば
図6Bに示した従来のバルク材料を用いた熱電変換デバ
イスと同様に、平板型構造の両面で吸・放熱する形態を
有し、かつ薄膜材料によって熱電半導体が形成された熱
電変換デバイスを得ることができる。そして、成膜プロ
セスによって多数の薄膜熱電対を一括して形成すること
ができるため、その点でバルク材料を用いた熱電変換デ
バイスに比べて、低コスト化を図ることができるものと
なっている。
【0033】なお、熱電半導体薄膜を平面基板上に成膜
でき、かつ基板材料も適宜選定できるため、基板の種類
や平坦度、成膜時の温度、雰囲気ガス、真空度など特定
の生成条件でなければ高い性能指数を有する熱電半導体
薄膜が得られないような材料であっても用いることがで
き、つまりスクッテルダイト系材料や半導体超格子、ナ
ノワイヤ膜、ナノ微粒子膜なども薄膜熱電対の材料とし
て用いることができる。従って、そのような材料によっ
て薄膜熱電対を形成することにより、極めて高い熱電変
換効率を有する熱電変換デバイスが得られるものとな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】Aは請求項3の発明の一実施例を示す断面図、
Bはその薄膜熱電対が配列形成された基板の平面図。
【図2】図1における薄膜熱電対が配列形成された基板
の詳細を説明するための図、Aは平面図、BはそのDD
断面図、CはそのEE断面図。
【図3】請求項3の発明の他の実施例を示す断面図。
【図4】請求項1の発明の一実施例を示す断面図。
【図5】Aは請求項5の発明の一実施例を示す断面図、
Bはその薄膜熱電対が配列形成された基板の平面図。
【図6】Aは熱発電の原理を示す模式図、Bは従来のバ
ルク材料を用いた熱電変換デバイスの模式図。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、 その基板上に配列形成され、P型熱電半導体薄膜とN型
    熱電半導体薄膜とが一端部において電気的接合層を介
    し、残部において絶縁層を介して積層されてなる複数の
    薄膜熱電対と、 それら薄膜熱電対の上記一端部と反対の他端部に配置さ
    れて上記複数の薄膜熱電対を電気的に直列に接続する導
    体と、 上記の薄膜熱電対の配列上に位置され、その薄膜熱電対
    との対向面に突出形成された凸部が上記一端部上におい
    て各薄膜熱電対と接触する構造とされた熱伝導体よりな
    る上板とを具備することを特徴とする薄膜熱電対集積型
    熱電変換デバイス。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の薄膜熱電対集積型熱電変
    換デバイスにおいて、 隣接する上記薄膜熱電対を接続する上記導体は一端が一
    方の薄膜熱電対の上に位置され、他端が他方の薄膜熱電
    対の下に位置されており、 その薄膜熱電対の下に位置する導体は上記基板に埋め込
    まれて、その上面が基板表面とほぼ面一とされているこ
    とを特徴とする薄膜熱電対集積型熱電変換デバイス。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の薄膜熱電対集積型熱電変
    換デバイスにおいて、 各薄膜熱電対の下に位置する上記導体はその下面の少な
    くとも一部が上記基板の裏面側に露出されており、 上記裏面と対向して熱伝導体よりなる底板が配置され、 その底板の上記裏面との対向面に突出形成された凸部が
    上記裏面側に露出された導体と接触されていることを特
    徴とする薄膜熱電対集積型熱電変換デバイス。
  4. 【請求項4】 基板と、 第1の電気的接合部を挟んでP型熱電半導体薄膜とN型
    熱電半導体薄膜とが平面配置されてなり、上記基板上に
    電気的に直列構成をなすように配列形成された複数の薄
    膜熱電対と、 それら各薄膜熱電対間に配置されて上記複数の薄膜熱電
    対を電気的に直列に接続する第2の電気的接合部と、 上記薄膜熱電対の配列上に位置され、その薄膜熱電対と
    の対向面に突出形成された凸部が上記第1もしくは第2
    の電気的接合部のいずれか一方と接触する構造とされた
    熱伝導体よりなる上板とを具備することを特徴とする薄
    膜熱電対集積型熱電変換デバイス。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の薄膜熱電対集積型熱電変
    換デバイスにおいて、 上記上板の凸部が接触されない方の電気的接合部の各位
    置と対応して上記基板に金属が埋め込まれ、 その金属は上面が上記基板の表面とほぼ面一とされ、下
    面の少なくとも一部が上記基板の裏面側に露出されてお
    り、 上記裏面と対向して熱伝導体よりなる底板が配置され、 その底板の上記裏面との対向面に突出形成された凸部が
    上記裏面側に露出された金属と接触されていることを特
    徴とする薄膜熱電対集積型熱電変換デバイス。
  6. 【請求項6】 請求項3もしくは5記載のいずれかの薄
    膜熱電対集積型熱電変換デバイスにおいて、 上記上板の周縁部と底板の周縁部とが枠体を介して互い
    に連結固定されていることを特徴とする薄膜熱電対集積
    型熱電変換デバイス。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の薄膜熱電対集積型熱電変
    換デバイスにおいて、 上記上板と底板と枠体とによって囲まれた内部空間が真
    空とされていることを特徴とする薄膜熱電対集積型熱電
    変換デバイス。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7記載のいずれかの薄膜熱
    電対集積型熱電変換デバイスにおいて、 上記P型熱電半導体薄膜とN型熱電半導体薄膜とは方形
    形状とされ、かつ同一形状とされており、 上記複数の薄膜熱電対は上記基板上に縦横に配列されて
    いることを特徴とする薄膜熱電対集積型熱電変換デバイ
    ス。
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