JP2002333063A - 変速比無限大無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

変速比無限大無段変速機の変速制御装置

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JP2002333063A
JP2002333063A JP2001138660A JP2001138660A JP2002333063A JP 2002333063 A JP2002333063 A JP 2002333063A JP 2001138660 A JP2001138660 A JP 2001138660A JP 2001138660 A JP2001138660 A JP 2001138660A JP 2002333063 A JP2002333063 A JP 2002333063A
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speed
target
torque
clutch
ratio
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JP2001138660A
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Shinichiro Jo
新一郎 城
Taketoshi Kawabe
武俊 川邊
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モード切換中に運転状態が変化しても変速シ
ョックが生じるのを防止する。 【解決手段】 総変速比変化方向と定常エンジントルク
の正負に基づいて、トルクフェーズとイナーシャフェー
ズの順序を設定するフェーズ順序設定手段と、CVT変
速比とエンジントルクと設定されたフェーズに基づい
て、動力循環クラッチと直結クラッチの伝達トルクの目
標値をそれぞれ算出するクラッチトルク目標値生成手段
133と、IVT変速比と目標IVT変速比から目標I
VT変速速度を算出する目標IVT変速速度算出手段1
22と、エンジントルクとクラッチ伝達トルク目標値と
目標IVT変速速度に基づいて、目標CVT変速速度を
算出する目標CVT変速速度算出手段123とを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両などに採用さ
れる変速比無限大無段変速機の変速制御装置の改良に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から車両の変速機として、ベルト式
やトロイダル型の無段変速機構が知られており、このよ
うな無段変速機構の変速領域をさらに拡大するために、
無段変速機構に一定変速機構と遊星歯車機構を組み合わ
せて変速比を無限大まで制御可能とする変速比無限大無
段変速機が知られている。
【0003】これは、エンジンに連結される変速比無限
大無段変速機のユニット入力軸に、変速比を連続的に変
更可能なハーフトロイダル型の無段変速機構と、一定変
速機構(減速機構)を並列的に連結するとともに、これ
らの出力軸を遊星歯車機構で結合したもので、無段変速
機構の出力を遊星歯車機構のサンギアに、一定変速機構
の出力軸は動力循環クラッチを介して遊星歯車機構のキ
ャリアに連結される。
【0004】サンギアと連結した無段変速機構の出力軸
は、直結クラッチを介して変速比無限大無段変速機の出
力軸であるユニット出力軸と選択的に結合される一方、
遊星歯車機構のリングギアはユニット出力軸に結合され
る。
【0005】このような変速比無限大無段変速機では、
図20に示すように、動力循環クラッチを締結する一
方、直結クラッチを解放することにより、無段変速機構
と一定変速機構の変速比の差に応じて、IVT変速比
(以下、IVT変速比iでユニット入力軸回転数/ユニ
ット出力軸回転数)を負の値から正の値まで無限大(1
/i=0でギアードニュートラルポイントGNPとい
う)を含んで連続的に変速制御を行う動力循環モード
と、動力循環クラッチを解放する一方、直結クラッチを
締結して無段変速機構の変速比icに応じて変速制御を
行う直結モードの2つの運転モードを選択的に使用する
ことができる。
【0006】なお、図20においては、縦軸をIVT変
速比iの逆数ii、横軸を無段変速機構の変速比icとし
て、無段変速機構の変速比icと前後進の関係を連続的
に表示した。
【0007】動力循環モードと直結モードの切り換え
は、動力循環モードと直結モードでCVT変速比ic
一致する回転同期点RSP(Revolution Synchronous
Point)で行えば、回転同期点RSPに対応するIVT
変速比ir(CVT変速比=ic r)を維持した状態で、
クラッチの切り換えを行うことで、動力循環モードと直
結モードの切り換え(モード切り換え)を行うことが可
能となるが、クラッチを切り換えている間は、CVT変
速比を固定する必要があり、IVT変速比の変化が一旦
停止して、変速の違和感が生じる。
【0008】これを解消すべく、特開2001−505
35号公報には、回転同期点RSPを通らずにモード切
換を行う技術が開示されている。
【0009】これは、クラッチの切り換えを行う際に、
動力循環クラッチと直結クラッチの油圧目標値をフィー
ドフォワードで与え、車両の運転状態で決定される変速
時間の下、それぞれの油圧がランプ関数で与えられると
ともに、CVT変速比は車両の運転状態により決定する
こと、動力循環モードモードと直結クラッチとは独立し
て、フィードフォワードによりCVT変速比が設定され
る。
【0010】つまり、図21に示す(a)から(b)の
ようなモード切換(動力循環モードから直結モードへの
アップシフト)を伴う変速が要求され、かつ速い変速が
要求されたときに、CVT変速比を一旦RSPに到達さ
せることなく、クラッチを滑らせながら(b)へ向かっ
て変速を行うものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例にあっては、モード切換時に操作する動力循環クラ
ッチと直結クラッチへの油圧と、CVT変速比は、車両
の運転状態によりフィードフォワードで設定されている
が、モード切換開始時とモード切換終了時の運転状態が
変化した場合では、モード切換終了時点におけるIVT
変速比と目標IVT変速比がずれる場合があり、このと
き変速ショックが生じる。
【0012】また、上記従来例では動力循環クラッチ、
直結クラッチ及びCVT変速比はそれぞれ独立して制御
されているので、運転状態が変化すると、クラッチ締結
タイミングまたは開放タイミングと、CVT変速タイミ
ングが合わない場合に変速ショックが生じてしまう。
【0013】また、変速ショックが少なくなるようにモ
ード切換時のCVT変速比とクラッチ伝達トルクとエン
ジントルクの目標値を設定するには、数多くの実験やシ
ミュレーションを行って各運転状態毎に設定する必要が
あるため、開発期間及び開発コストが増大するという問
題がある。
【0014】そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、モード切換中に運転状態が変化しても変速
ショックが生じるのを防止し、さらに、開発コストの増
大を抑制することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、変速比を
連続的に変更可能な無段変速機構と一定変速機構とをユ
ニット入力軸にそれぞれ連結するとともに、無段変速機
構と一定変速機構の出力軸を遊星歯車機構、動力循環ク
ラッチ及び直結クラッチを介してユニット出力軸に連結
した変速比無限大無段変速機と、前記動力循環クラッチ
を締結し、直結クラッチを解放して総変速比が無限大を
含んで動力を伝達する動力循環モードと、直結クラッチ
を締結し、動力循環クラッチを解放して無段変速機構に
応じて動力を伝達する直結モードとを切り換えるモード
切換制御手段とを備えた変速比無限大無段変速機の変速
制御装置において、前記無段変速機構の変速比を検出す
るCVT変速比検出手段と、前記変速比無限大無段変速
機の総変速比を検出するIVT変速比検出手段と、前記
ユニット出力軸の回転数を検出するIVT出力軸回転数
検出手段と、スロットル開度を検出するスロットル開度
検出手段と、前記出力軸回転数とスロットル開度とか
ら、到達総変速比を算出する到達IVT変速比生成手段
と、この到達総変速比に基づいて目標総変速比を算出す
る目標IVT変速比生成手段と、前記検出した総変速比
と目標総変速比から総変速比の変化方向を判断する変速
方向判断手段と、実際のエンジントルクを検出または推
定する実エンジントルク検出手段と、エンジントルクの
変化開始時に変化終了後のエンジントルクの値を推定す
る定常エンジントルク推定手段と、この定常エンジント
ルクの正負を判断する定常エンジントルク正負判断手段
と、前記総変速比変化方向と定常エンジントルクの正負
に基づいて、前記動力循環クラッチと直結クラッチのう
ち締結される側の伝達トルクの絶対値を増大させるトル
クフェーズと、前記動力循環クラッチと直結クラッチの
滑りを抑制しながら締結される側の入出力回転数が等し
くなるように変化させるイナーシャフェーズのうち、い
ずれのフェーズから開始するかを設定するフェーズ順序
設定手段と、前記無段変速機構の変速比と実エンジント
ルクと設定された前記フェーズに基づいて、動力循環ク
ラッチと直結クラッチの伝達トルクの目標値をそれぞれ
算出するクラッチトルク目標値生成手段と、前記検出し
た総変速比と目標総変速比から総変速比の目標変速速度
を算出する目標IVT変速速度算出手段と、前記エンジ
ントルクと前記クラッチの伝達トルク目標値と総変速比
の目標変速速度に基づいて、無段変速機構の目標変速速
度を算出する目標CVT変速速度算出手段とを備える。
【0016】また、第2の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記目標CVT変速速度算出手段は、無段変速機
構の目標変速速度を算出する際に動力循環クラッチの伝
達トルク目標値に乗じた係数と、直結クラッチの伝達ト
ルク目標値に乗じた係数と、実エンジントルクに乗じた
係数と、総変速比の目標変速速度に乗じた係数とを、無
段変速機構の目標変速速度を積分して求めた目標変速比
または前記検出した無段変速機構の変速比に応じて補正
する。
【0017】また、第3の発明は、前記第1または第2
の発明において、前記目標CVT変速速度算出手段は、
前記遊星歯車機構のサンギア回転数とリングギア回転数
とを検出する回転数検出部を有し、無段変速機構の目標
変速速度を算出する際に、動力循環クラッチの伝達トル
ク目標値に乗じた係数と、直結クラッチの伝達トルク目
標値に乗じた係数と、実エンジントルクに乗じた係数
と、サンギア回転数とリングギア回転数の検出値に応じ
て補正する。
【0018】また、第4の発明は、前記第1ないし第3
の発明のいずれかひとつにおいて、前記目標CVT変速
速度算出手段は、走行負荷を検出する走行負荷検出手段
を有し、目標CVT変速速度を、走行負荷の検出値に基
づいて演算する。
【0019】
【発明の効果】したがって、第1の発明は、総変速比の
変化方向と定常エンジントルクの正負とから予め設定し
た運転モードの切換パターンに基づいて、トルクフェイ
ズとイナーシャフェイズとのフェーズ順序を、予め設定
したパターンで与える。動力循環クラッチ伝達トルク目
標値と直結クラッチ伝達トルク目標値は、フェーズ順番
と実エンジントルクと無段変速機構の変速比とから設定
する。目標総変速比と実際の総変速比の偏差の補償は、
総変速比の目標変速速度に基づく無段変速機構の目標変
速速度により行う。
【0020】そして、モード切換において目標総変速比
(IVT変速比)と総変速比(IVT変速比)との偏差
を補償する際に、クラッチを滑らせながら目標総変速比
と総変速比の偏差に基づく総変速比の目標変速速度と、
クラッチ伝達トルクとエンジントルクとの変化に合わせ
て無段変速機構の目標変速速度を設定するので、数多く
の実験やシミュレーションに基づいた目標値を与えるこ
となく、目標総変速比と総変速比との偏差を無段変速機
構で補正できるので、開発時間や開発コストの増大を招
くことなく、変速ショックを抑えた変速を行うことがで
きる。
【0021】また、第2の発明によれば、動力循環クラ
ッチ伝達トルクと直結クラッチ伝達トルクと実エンジン
トルクと無段変速機構の変速速度とが総変速比の変速速
度に影響する際の感度が、無段変速機構の変速比に応じ
て変化することを考慮して、目標変速速度算出の際に動
力循環クラッチ伝達トルク目標値に乗じた係数と、直結
クラッチ伝達トルク目標値に乗じた係数と、実エンジン
トルクに乗じた係数と、総変速比の目標変速速度に乗じ
た係数とを、無段変速機構の目標変速速度を積分して求
める目標変速比または検出した変速比に応じて補正する
ので、無段変速機構の変速比に応じて変化する感度に適
応した無段変速機構の目標変速速度を演算し、変速比無
限大無段変速機の運転状態をより確実に考慮しながらモ
ード切換を行うことができるため、目標総変速比に対す
る総変速比の応答がより所望の特性に近くなり、変速シ
ョックの発生を確実に抑制することができる。
【0022】第3の発明によれば、動力循環クラッチ伝
達トルクと直結クラッチ伝達トルクと実エンジントルク
と無段変速機構の変速速度とが総変速比の変速速度に影
響する際の感度が、サンギア回転数とリングギア回転数
に応じて変化することを考慮して、無段変速機構の目標
変速速度算出時に動力循環クラッチ伝達トルク目標値に
乗じた係数と、直結クラッチ伝達トルク目標値に乗じた
係数と、実エンジントルクに乗じた係数と、総変速比の
目標変速速度に乗じた係数とを、リングギアとサンギア
の回転数に応じて補正するので、サンギア回転数とリン
グギア回転数とに応じて変化する感度に適応した無段変
速機構の目標変速速度を演算し、変速比無限大無段変速
機の運転状態をより確実に考慮しながらモード切換を行
うことができるため、目標総変速比に対する総変速比の
応答がより所望の特性に近くなり、変速ショックの発生
を確実に抑えることができる。
【0023】また、第4の発明によれば、走行負荷に基
づいて、無段変速機構の目標変速速度を演算するので、
道路の勾配や路面状態の影響による走行負荷の変化に応
じた制御が可能となり、登坂路等の走行負荷が変化する
状況においても滑らかなモード切換が可能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0025】図1は、ハーフトロイダルで構成されたダ
ブルキャビティ式のトロイダル型無段変速機構2を用い
て変速比無限大無段変速機(IVT)を構成した一例を
示す。
【0026】図1において、変速比無限大無段変速機は
エンジンのクランクシャフト(図示せず)に連結される
ユニット入力軸1に、変速比を連続的に変更可能なトロ
イダル型の無段変速機構2と、ギア3a、ギア3bから
構成された一定変速機構3(減速機)とを並列的に連結
し、これらの出力軸4、3cをユニット出力軸6側へ配
設するとともに遊星歯車機構5で連結したものである。
【0027】無段変速機構出力軸4はユニット出力軸6
と同軸的かつ、相対回転自在に支持され、無段変速機構
2の出力スプロケット2a、チェーン4b及びスプロケ
ット4aを介して連結されており、無段変速機構出力軸
4の一端を遊星歯車機構5のサンギア5aに結合し、他
端を直結クラッチ10に結合する。
【0028】ギア3bと結合した一定変速機構3の出力
軸3cも、ユニット出力軸6と同軸的かつ、相対回転自
在に支持され、動力循環クラッチ9(第1クラッチ)を
介して遊星歯車機構5のキャリア5bに連結されてお
り、遊星歯車機構5のリングギア5cは、変速比無限大
無段変速機の出力軸であるユニット出力軸6に結合され
る。
【0029】そして、ユニット出力軸6の図中右側に
は、変速機出力ギア7が設けられ、この変速機出力ギア
7がディファレンシャルギア8のファイナルギア12と
歯合し、ディファレンシャルギア8に結合する駆動軸1
1は、無段変速機構2の変速比icと運転モードに応じ
たIVT変速比(ユニット入力軸回転数/ユニット出力
軸回転数=総変速比で、以下、iとする)で駆動力が伝
達される。
【0030】無段変速機構(CVT)2は、図1、図2
に示すように、2組の入力ディスク21、出力ディスク
22で、パワーローラ20、20をそれぞれ挟持、押圧
するダブルキャビティのトロイダル型で構成され、パワ
ーローラ20はピボットシャフト24を介して、トラニ
オン23により回転自在に支持されている。
【0031】そして、このトラニオン23の回転角を、
後述するように、ステップモータ52のステップ数に応
じて変化させることで、パワーローラ20の傾斜角(以
下、傾転角という)を変更して、無段変速機構2のCV
T変速比icと、IVT変速比iを無段階に変化させる
ことができる。
【0032】無段変速機構2の変速比icと、IVT変
速比iの逆数iiとの関係は、前記従来例の図20と同
様になる。
【0033】この図20において、動力循環クラッチ9
を締結する一方、直結クラッチ10を解放した動力循環
モードでは、無段変速機構2と一定変速機構3の変速比
の差に応じて、IVT変速比iを前進側、後進側共に無
限大(図中ギアードニュートラルポイントGNPで1/
i=0)を含んで連続的に変化させることができる。
【0034】また、動力循環クラッチ9を解放する一
方、直結クラッチ10を締結する直結モードでは、無段
変速機構2の変速比icに応じた変速制御を行うことが
できる。
【0035】動力循環クラッチ9の締結力は第1の油圧
サーボ92へ第1ソレノイドバルブ91から供給される
油圧で決まり、直結クラッチ10の締結力は第2の油圧
サーボ102へ第2ソレノイドバルブ101から供給さ
れる油圧で決まる。
【0036】ここで、トロイダル型の無段変速機構2の
各パワーローラ20は、図2に示すように、下端を油圧
シリンダ50に結合して軸方向へ変位可能かつ軸まわり
に回転可能なトラニオン23(パワーローラ支持部材)
でそれぞれ軸支される。なお、パワーローラ20とトラ
ニオン23の間には、揺動自在なピボットシャフト24
が介装される。
【0037】油圧シリンダ50はピストン51によって
画成された上下の油室50a、50bを備えており、対
向配置されたトラニオン23、23の油圧シリンダ5
0、50は、油室50a、50bの配置が相互に逆転す
るように設定されて、トラニオン23、23は相互に逆
方向へ駆動される。なお、トラニオン23、23は、ピ
ボットシャフト24を挟んだ上下で、揺動自在なリンク
を介して連結され、トラニオン23、23は相互に逆方
向へ変位する。
【0038】このため、図2において、油室50bの油
圧を増大すると同時に油室50aの油圧を低減すると、
図中左側のトラニオン23が上昇する一方、図中右側の
トラニオン23は下降してパワーローラ20、20はL
o側(変速比ic=大側)へ傾転(トラニオン23の軸
回りに変位)して変速が行われる。
【0039】そして、複数のトラニオン23のうちの一
つには、トラニオン23の軸方向変位量と、パワーロー
ラ20の傾転角(トラニオン23の回転角≒実変速比)
を、シフトコントロールバルブ56にフィードバックす
るためのプリセスカム55が設けられる。
【0040】プリセスカム55は、円周方向に所定の傾
斜を備えたカム面またはカム溝を備えており、このカム
面またはカム溝には揺動自在なフィードバックリンク5
4(Lリンク)の一端が摺接する。
【0041】フィードバックリンク54は、例えば、L
字状に形成されて揺動自在に支持され、一端で上記カム
面またはカム溝と摺接する一方、他端で変速リンク53
(Iリンク)の一端と係合し、トラニオン23の軸方向
変位量及び回転量、すなわちパワーローラ20の傾転角
を変速リンク53の一端に伝達する。
【0042】変速リンク53は、ほぼ中央部でシフトコ
ントロールバルブ56のスプール56Sと連結する一
方、フィードバックリンク54と連結した変速リンク5
3の他端はステップモータ52と連結して、変速リンク
53はステップモータ52の駆動によってシフトコント
ロールバルブ56(変速制御弁)のスプール56Sを軸
方向に変位させるとともに、トラニオン23の回動と軸
方向変位に応じてスプール56Sを軸方向に変位させ
る。
【0043】そして、シフトコントロールバルブ56に
は、ライン圧PLが供給される供給ポート56Lと、油
圧シリンダ50の油室50bと連通したポート56Lo
wと、油圧シリンダ50の油室50aと連通したポート
56Hiと、この供給ポート56Lを挟んで一対のドレ
ーンポート56D、56Dが形成される。
【0044】変速リンク53によって駆動されるスプー
ル56Sが、供給ポート56Lをポート56Hi、56
Lowを介して油室50a、50bのうちの一方に接続
するとともに、他方の油室をドレーンポート56Dに接
続する。
【0045】こうして、ステップモータ52の変位(駆
動量)とプリセスカム55の変位に応じてスプール56
Sの位置が決まり、ライン圧PLが供給される油圧シリ
ンダ50の油室50a、50bが変更されて、ステップ
モータ52が指令した傾転角となるように油圧の制御が
行われる。
【0046】次に、図3はモード切換制御装置80を含
めた制御系の概略構成図である。
【0047】マイクロコンピュータを主体に構成された
モード切換制御装置80にはユニット入力軸1に取り付
けられたトルクセンサ88からの入力トルク、回転数検
出センサ81からのIVTユニット入力軸回転数、サン
ギアに取り付けられた回転数センサ82、リングギアに
取り付けられた回転数センサ83からの出力軸回転数、
キャリアに取り付けられた回転数センサ84からのキャ
リア回転数、動力循環クラッチ9に取付けられたトルク
センサ86からの伝達トルク、直結クラッチ10に取付
けられたトルクセンサ87からの伝達トルク、スロット
ル開度センサ85からのスロットル開度(スロットル開
度)TVOが入力され、これらの入力からモード切換制
御装置80は各ソレノイドバルブ、ステップモータの操
作量を計算し、指令値を第1ソレノイドバルブ91、第
2ソレノイドバルブ92、ステップモータ52ヘ出力す
る。
【0048】図4は、モード切換制御装置80の構成図
である。
【0049】運転状態検出手段100では、図3に示し
た各センサで検出した値を読み込み、IVT変速比i、
もしくはIVT変速比の逆数ii、CVT変速比ic、走
行負荷TRL、サンギア回転数ωs、リングギア回転数ω
r、IVTユニット入力軸回転数(=エンジン回転数)
ωe、キャリア回転数ωc、実エンジントルクTe、定
常エンジントルクTs、動力循環クラッチ伝達トルクT
LC、直結クラッチ伝達トルクTHC、スロットル開度TV
O、ユニット出力軸回転数ωioを出力する。
【0050】スロットル開度TVOは、上記スロットル
開度センサ85で検出した値とする。
【0051】定常エンジントルクTsは、ユニット入力
軸回転数ωe、とスロットル開度TVOとから、図示し
ないエンジン特性のマップを用いて算出する。
【0052】この定常エンジントルクTsは、エンジン
トルクの変化開始時、つまりユニット入力軸回転数ωe
やスロットル開度TVOが変化したときにおけるエンジ
ントルク変化終了後の値を示すものである。
【0053】実エンジントルクTeは、前記ユニット入
力軸1に取付けられたトルクセンサ88で検出した値を
用いるか、あるいは、次の(1)式から定常エンジント
ルクに対するエンジントルク動特性を示す式を用いて、
定常エンジントルクTsから算出してもよい。
【0054】
【数1】 ここで、Ceは、エンジンの特性から決まる、スロット
ル開度TVOとエンジン回転数ωe(ここではユニット
入力軸回転数と同値)に対するエンジントルクの遅れ特
性で決まる定数である。
【0055】IVT出力軸回転数ωioは、前記リングギ
ア回転数センサ83で検出した回転数ωrとする。
【0056】したがって、ωio=ωrとなる。
【0057】IVT変速比iは、IVT出力軸回転数ω
ioとユニット入力軸回転数ωeとから、次の(2)式に
示す関係を用いて算出する。
【0058】
【数2】 また、IVT変速比の逆数iiは、次の(3)式に示す
関係を用いて算出する。
【0059】
【数3】 CVT変速比icは、前記サンギア回転数センサで検出
したサンギア回転数ωsとユニット入力軸回転数ωeと
から、次の(4)式で示す関係を用いて算出する。
【0060】
【数4】 ここで、idはCVT出力側の一定減速ギア3のギア比
である。
【0061】サンギア回転数ωsは、前記サンギア回転
数検出センサ82で検出した値とする。動力循環クラッ
チ伝達トルクTLCは、前記動力循環クラッチ9に取付け
られたトルクセンサ86で検出した値とするか、後述す
るクラッチ制御手段の出力である動力循環クラッチ伝達
トルク目標値T* LCを入力とする。または、動力循環ク
ラッチ9の動特性をモデル化したローパスフィルタの出
力としてもよい。
【0062】直結クラッチ伝達トルクTHCは、前記直結
クラッチ10に取付けられたトルクセンサ87で検出し
た値とするか、後述するクラッチ制御手段の出力である
直結クラッチ伝達トルク目標値T* HCを入力とする。あ
るいは、直結クラッチ10の動特性をモデル化したロー
パスフィルタの出力としてもよい。
【0063】走行負荷TRLは、車速VSPから、図示し
ない走行負荷のマップを用いて推定する。
【0064】目標値(目標IVT変速比またはその逆
数)生成手段手段110では、スロットル開度TVOと
IVT出力軸回転数ωioとに基づいて、到達IVT変速
比itを求め、到達IVT変速比itから目標IVT変速
比i*(制御周期毎の目標値)もしくは目標IVT変速
比の逆数i* iとを演算する。
【0065】クラッチ制御手段130では、定常エンジ
ントルクTsとCVT変速比icと実エンジントルクT
eと到達IVT変速比itと、IVT変速比iもしくは
IVT変速比の逆数iiとに基づいて、動力循環クラッ
チ伝達トルク目標値T* LCと直結クラッチ伝達トルク目
標値T* HCとを設定する。
【0066】CVT制御手段120では、目標IVT変
速比i*もしくは目標IVT変速比の逆数i* iと、IV
T変速比iもしくはIVT変速比の逆数iiと、CVT
変速比icと実エンジントルクTeと走行負荷TRLとサ
ンギア回転数ωs、とリングギア回転数ωr、と、動力
循環クラッチ伝達トルクTLCもしくは動力循環クラッチ
伝達トルク目標値T* LCと、直結クラッチ伝達トルクT
HCもしくは直結クラッチ伝達トルク目標値T* HCとに基
づいて、目標CVT変速比i* cもしくは目標CVT変速
速度di* c/dtに応じてステップモータ52を制御す
る。
【0067】CVT変速比制御手段140では、目標C
VT変速比ic *もしくは目標CVT変速速度di* c/d
tに応じて、ステップモータ52を制御する。
【0068】動力循環クラッチ制御手段141では、動
力循環クラッチ9が動力循環クラッチ伝達トルク目標値
のトルクを発生するように、第1ソレノイドバルブ91
の電流(またはデューティ比)を制御して、第1の油圧
サーボ92の油圧を制御する。
【0069】直結クラッチ制御手段142では直結クラ
ッチ10が直結クラッチ伝達トルク目標値のトルクを発
生するように、第2ソレノイドバルブ101の電流(ま
たはデューティ比)を制御して、第2の油圧サーボ10
2の油圧を制御する。
【0070】図5は、図4に示すモード切換制御手段8
0における、目標値生成手段110とクラッチ制御手段
130とCVT制御手段120との、より詳細な構成を
示した図である。
【0071】到達IVT変速比生成手段111では、車
速VSPとスロットル開度TVOとから到達エンジン回
転数ωteを求め、到達エンジン回転数ωteとIVT出力
軸回転数ωioとから到達IVT変速比itを算出する。
【0072】まず、車速VSPとスロットル開度TVO
とから、図7を用いて到達エンジン回転数ωteを求め
る。ここで、車速VSPは、IVT出力軸回転数ωio
車速VSPとの関係を示す次の(5)式を用いて、IV
T出力軸回転数ωioから算出する。
【0073】VSP=κv×ωio ………(5) ここで、kvはファイナルギア比やタイヤ半径から決ま
る定数である。
【0074】次に、到達エンジン回転数ωteとIVT出
力軸回転数ωioとから次の(6)式に示す関係を用いて
到達IVT変速比itを算出する。
【0075】
【数5】 目標IVT変速比生成手段112では、到達IVT変速
比itから、例えば次の(7)式に示すローパスフィル
タを用いて目標IVT変速比i*を算出するか、もしく
は(8)式に示すローパスフィルタを用いて目標IVT
変速比の逆数i * iを到達IVT変速比itの逆数である
Utiから算出する。
【0076】
【数6】 ここで、crとCriは変速の味付けで決まる所定の時
定数に相当する定数である。
【0077】変速方向判断手段131では、例えば、I
VT変速比iもしくはIVT変速比の逆数iiと到達I
VT変速比itを入力し、IVT変速比iを用いる場合
では、 i<it ………(9) を満たすときをアップシフトとし、IVT変速比の逆数
iを用いる場合は、 ii>Uti ………(10) を満たすときをアップシフトとし、満たさないときをダ
ウンシフトと判断する。
【0078】目標エンジントルク正負判断手段132で
は、定常エンジントルクの正負を判断する。
【0079】クラッチトルク目標値生成手段133で
は、まず、上記変速方向判断手段131で求めたIVT
の変速方向と、前記エンジントルク正負判断手段110
で求めた定常エンジントルクの正負とから、次の表1の
ように、4つの変速モードを設定する。
【0080】ここで、表1において、変速モードが負ト
ルクアップシフトとは、定常エンジントルクが負でモー
ド切換を伴うアップシフトの変速モードとし、正トルク
アップシフトは定常エンジントルクが正のモード切換を
伴うアップシフトの変速モードとし、正トルクダウンシ
フトは定常エンジントルクが正でモード切換を伴うダウ
ンシフトの変速モードとし、負トルクダウンシフトは定
常エンジントルクが負のモード切換を伴うダウンシフト
の変速モードとする。
【0081】
【表1】 次に、ここで求めた変速モードに応じて、トルクフェイ
ズとイナーシャフェイズとを行う順番を、次の表2に従
って求める。
【0082】
【表2】 トルクフェイズの時間は、例えばクラッチの特性からト
ルクフェイズを行うのに必要な最小時間ttfとするとよ
い。
【0083】また、CVT変速比icと実エンジントル
クTeとから、図8に示すマップを用いて動力循環モー
ドのときに動力循環クラッチ9が伝達するトルクTLC0
を求める。同様に、CVT変速比icと実エンジントル
クTeとから、図9に示すマップを用いて直結モードの
ときに直結クラッチが伝達するトルクTHC0を求める。
【0084】このとき、伝達トルクTLC0と動力循環ク
ラッチ伝達トルク目標値T* LCとの関係を、次の(1
1)式とし、伝達トルクTHC0と直結クラッチ伝達トル
ク目標値T* HCとの関係を(12)式とする。
【0085】
【数7】 ここで、時変の係数であるiLCとiHCは、前記フェイズ
順番とトルクフェイズの時間ttfとから、例えば図10
のタイムチャートに示すように設定するとよい。
【0086】図10において、(a)は負トルクアップ
シフトの、(b)は正トルクアップシフトの、(c)は
正トルクダウンシフトの、(d)は負トルクダウンシフ
トのタイムチャートである。
【0087】図10(a)の負トルクアップシフトで
は、定常エンジントルクが負のエンジンブレーキ状態で
あるので、エンジンは車輌の慣性で回されようとする
が、両方のクラッチの伝達トルクの合計が伝達すべきト
ルクに達していない場合、クラッチの滑りは増大してエ
ンジン回転数が落ちようとし、IVTの入出力回転数の
比であるIVT変速比は増速側(Hi側)へ行こうとす
る。
【0088】そこで、表2で設定したように、始めにイ
ナーシャフェイズを行う。
【0089】イナーシャフェイズは図10(a)に示す
ように時刻T0で開始する。このイナーシャフェイズで
は、時変の係数iLCを1より小さい値に設定すること
で、IVT変速比を自然に増速側に向わせる。ここで
は、イナーシャフェイズ中の係数iLCを、例えば0.8
とするとよい。
【0090】そして、直結クラッチ10の入出力回転差
がゼロとなる時刻Tcで、表2で設定したようにイナー
シャフェイズからトルクフェイズに移行する。
【0091】これは、イナーシャフェイズが終了する前
に直結クラッチ10の締結を開始すると、ただでさえI
VT変速比は増速側に行こうとするのに、より直結モー
ド、すなわちIVT変速比の増速側に変速させようとす
るため、急激にアップシフトして変速のショックが発生
するためである。
【0092】トルクフェイズでは、例えば、時変係数i
LCを1から0へ時刻に対して傾き−1/ttfで減少させ
る一方、係数iHCを0から1へ時刻に対して傾き1/t
tfで増加させるとよい。このトルクフェイズは、時刻T
cから時間ttf後の時刻T1で終了する。
【0093】図10(b)の正トルクアップシフトで
は、定常エンジントルクが正の駆動状態であるため、両
方のクラッチの伝達トルクの合計が伝達すべきトルクに
達していない場合、クラッチの滑りは増大して、エンジ
ン回転は上昇しようとし、IVT変速比は減速側(Lo
側)へ行こうとする。
【0094】このとき、負トルクアップシフトと同様
に、最初にイナーシャフェイズを行うのでは、係数iLC
を1より小さくすると、IVT変速比はアップシフトの
要求に反してダウンシフトする一方、係数iLCを1より
大きくすると、より動力循環クラッチ9の入出力回転差
をゼロに保とうとするので、クラッチを滑らせながらの
速いモード切換ができない。
【0095】そこで、表2で設定したように、最初にト
ルクフェイズを行う。
【0096】トルクフェイズでは、例えば係数iLCを1
から0へ時刻に対して傾き−1/t tfで減少させる一
方、係数iHCを0から1へ時刻に対して傾き1/ttf
で増加させるとよい。トルクフェイズは、時刻T0から
時間ttf後の時刻Tcで終了する。
【0097】そして時刻Tc以降でイナーシャフェイズ
を行い、係数iHCを1より大きく設定することで、IV
T変速比を増速側に引き上げる。ここでは、イナーシャ
フェイズ中の係数iHCを、例えば1.2とするとよい。
イナーシャフェイズは直結クラッチ10の入出力回転差
がゼロとなる時刻T1で終了する。
【0098】図10(c)の正トルクダウンシフトで
は、定常エンジントルクが正の駆動状態であるため、両
方のクラッチの伝達トルクの合計が伝達すべきトルクに
達していない場合、クラッチの滑りは増大して、エンジ
ン回転は上昇しようとし、IVT変速比で減速側へ行こ
うとする。
【0099】そこで、負トルクアップシフト(a)と同
じ理由により、表2で設定したように、最初イナーシャ
フェイズを行う。
【0100】イナーシャフェイズは図10(c)に示す
ように時刻T0で開始する。このイナーシャフェイズで
は、係数iHCを1より小さい値に設定することで、IV
T変速比を自然と減速側に向わせる。ここでは、イナー
シャフェイズ中の係数iHCを、例えば0.8とするとよ
い。そして、動力循環クラッチ9の入出力回転差がゼロ
となる時刻Tcで、イナーシャフェイズからトルクフェ
イズに移行する。
【0101】トルクフェイズでは、例えば係数iLCを0
から1へ向けて時刻に対して傾き1/ttfで増加させる
一方、係数iHCを1から0へ時刻に対して傾き−1/t
tfげで減少させるとよい。トルクフェイズは、時刻Tc
から時間ttf後の時刻T1で終了する。
【0102】図10(d)の負トルクダウンシフトで
は、定常エンジントルクが負の(エンジンブレーキ状
態)であるため、両方のクラッチの伝達トルクの合計が
伝達すべきトルクに達していない場合、クラッチの滑り
は増大して、エンジン回転はアイドル回転まで落ちよう
とし、IVTの入出力回転数の比であるIVT変速比は
増速側へ行こうとする。このとき、正トルクアップシフ
ト(b)と同様の理由で、最初にイナーシャフェイズを
行うのでは、係数iHCを1より小さくすると、IVT変
速比はダウンシフトの要求に反してアップシフトする一
方、係数iHCを1より大きくすると、より直結クラッチ
の入出力回転差をゼロに保とうとするので、クラッチを
滑らせながらの速いモード切換ができない。
【0103】そこで、表2で設定したように、最初にト
ルクフェイズを行う。
【0104】トルクフェイズでは、例えば係数iLCを0
から1へ時刻に対して傾き1/ttfで増加させる一方、
係数iHCを1から0へ向けて時刻に対して傾き−1/t
tfで減少させるとよい。トルクフェイズは、時刻T0か
ら時間ttf後の時刻Tcで終了する。
【0105】そして時刻Tc以降でイナーシャフェイズ
を行い、係数iLCを1より大きく設定することで、IV
T変速比を増速側に引き上げる。ここでは、イナーシャ
フェイズ中の係数iLCを、例えば1.2とする。イナー
シャフェイズは動力循環クラッチの入出力回転数がゼロ
となる時刻T1で終了する。
【0106】偏差算出手段121及び目標IVT速度算
出手段122では、目標IVT変速比i*もしくは目標
IVT変速比の逆数i* iと、IVT変速比iもしくはI
VT変速比の逆数iiとを入力して、次の(13)式に
示す目標IVT変速比i*とIVT変速比iとの偏差e
1に基づいた目標IVT変速速度v1を、次の(1
3’)式で、もしくは、次の(14)式に示す目標IV
T変速比の逆数i* iとIVT変速比の逆数iiとの偏差
e2に基づいた目標IVT変速速度v2を、次の(1
4’)式より算出する。
【0107】
【数8】 ここで、cは目標IVT変速比i*に対してIVT変速
比iが1次遅れで応答するとしたときの遅れを示す定数
であり、ciは目標IVT変速比の逆数i* iに対してI
VT変速比の逆数iiが1次遅れで応答するとしたとき
の遅れを示す定数である。これら常数c、ciは大きく
すると、遅れが小さくなる。
【0108】目標CVT変速速度算出手段123では、
目標IVT変速速度v1もしくはv2と実エンジントル
クTeと動力循環クラッチ伝達トルクTLCと直結クラッ
チ伝達トルクTHCとサンギア回転数ωsとリングギア回
転数ωrと走行負荷TRLと、CVT変速比icとを入力
して、目標CVT変速速度di* c/dtを、次の(1
5)式のように算出する。
【0109】また、CVT変速比icの代わりに後述す
る目標CVT変速比算出部124で算出する目標CVT
変速比ic *を用いてもよく、動力循環クラッチ伝達トル
クT LCの代わりに動力循環クラッチ伝達トルク目標値T
* LCを、直結クラッチ伝達トルクTLCの代わりに直結ク
ラッチ伝達トルク目標値T* HCを用いてもよい。目標I
VT変速比i*とIVT変速比iに基づく偏差を補償す
るように目標IVT変速速度v1を算出した場合、目標
CVT変速速度は次の(15)式で算出する。
【0110】
【数9】 であり、上記添字付きのcとid、igとI1とはIV
Tの構造から決まる定数である。そして、上記dLC、d
HC、dRL、de、dv1は、実用的なIVTの運転状
態において、
【0111】
【数10】 となる。
【0112】また、目標IVT変速比の逆数i* iとIV
T変速比の逆数iiに基づいて目標IVT変速速度v2
を算出した場合、目標CVT変速速度は、次の(16)
式で算出する。
【0113】
【数11】 ここで、この(16)式は上記(15)式と異なり、d
v1がdv2となった点で相違し、このdv2は次式で
表される。
【0114】
【数12】 そして、このdv2は実用的なIVTの運転状態におい
て、
【0115】
【数13】 となる。
【0116】以上の、dv1、dLC、dHC、de、dR
L、dv2の正負から、後述のように、動力循環クラッ
チ伝達トルクTLCと直結クラッチ伝達トルクTLCと実エ
ンジントルクTeと目標IVT変速速度v1もしくはv
2の変化に応じた目標CVT変速速度di* c/dtの動
かし方が決まる。
【0117】このように、実用的なIVTの運転状態に
おいて、dLC、dHC、de、dv1、dv2の符号は固
定なので、例えば、IVTのモード切換の運転状態にお
けるdLC、dHC、de、dv1、dv2の中央値を、d
LC、dHC、de、dv1、dv2として定数で設定する
と、目標IVT変速比i*に対するIVT変速比iの応
答を一定の時定数の応答に近づけることができるととも
に、計算負荷が軽くなる。ただし上記のように、dLC
HC、de、dv1、dv2とをCVT変速比ic、サ
ンギア回転数ωs、リングギア回転数ωrで補正した場
合の方が、目標IVT変速比i*に対するIVT変速比
iの応答を精度よく一定の時定数の応答に近づけること
ができるので、例えば、制御装置のマイクロコンピュー
タの性能と、変速精度の要求とにより補正を行うか否か
を決めるとよい。
【0118】目標CVT変速比算出部124では目標C
VT変速速度di* c/dtを積分して目標CVT変速比
* cを算出する。なお、目標CVT変速速度に応じてス
テップモータ52を制御する場合には、図6において、
この算出部124は不要となって図5で示すような構成
となる。
【0119】以上の操作により、目標IVT変速速度に
対するIVT変速比もしくはIVT変速比の逆数の動特
性が1次の積分関係となり、偏差と目標IVT変速速度
の算出式である上記(13)式と(13’)式、もしく
は(14)式と(14’)式と合わせて、目標IVT変
速比i*に対するIVT変速比i、もしくは目標IVT
変速比の逆数i* iに対するIVT変速比の逆数iiの動
特性を、時定数1/cの1次遅れ特性とすることができ
る。
【0120】次に、モード切換制御装置80で行われる
変速制御の一例を、図11から図18に示すフローチャ
ートを参照しながら詳述する。なお、以下のフローチャ
ートでは、偏差を補償するとしての目標IVT変速速度
は目標IVT変速比とIVT変速比との偏差に基づいて
算出する場合を示す。このモード切換制御処理は、ある
所定の制御周期、例えば10ms毎に実行されるもの
で、図11がメインルーチンのフローチャートである。
【0121】ステップS1では、図3に示したセンサの
各値を読み込む。
【0122】ステップS2では、車速VSPとスロット
ル開度TVOとから、図7に示す変速マップを用いて到
達エンジン回転数ωteを求め、上記(6)式を用いて、
到達エンジン回転数ωteとIVT出力軸回転数ωioとか
ら、到達IVT変速比itを算出する。
【0123】ステップS3では、(7)式を離散化した
次の(17)式で、目標IVT変速速度di*を算出
し、さらに(18)式を用いて目標IVT変速速度di
*を積分して目標IVT変速比i*を算出する。
【0124】
【数14】 ここで、nは現在のサンプル値を示し、(n−1)は前
回値を示す。また、Tはサンプル周期であり、ここでは
サンプル周期を10msとしたので、T=0.01であ
る。
【0125】ステップS4では、IVT変速比iを、I
VT出力軸回転数ωioとユニット入力軸回転数ωeとか
ら、上記(2)式に示す関係を用いて算出する。
【0126】ステップS5では、CVT変速比icを、
サンギア回転数ωsとユニット入力軸回転数ωeとか
ら、上記(4)式で示す関係を用いて算出する。
【0127】ステップS6では、定常エンジントルク4
を、ユニット入力軸の回転数ωeとスロットル開度TV
Oとから、図示しないエンジン特性のマップを用いて算
出する。
【0128】そして、ステップS100で後述のモード
切換制御サブルーチンを実行する。
【0129】図12は、モード切換制御サブルーチンの
フローチャートである。
【0130】ステップS101では、モード切換制御フ
ラグFmcを参照し、Fmc=1ならばモード切換中で
あり、ステップS200に進み、ステップS200でク
ラッチ制御サブルーチン、ステップS300でモード切
換終了判断サブルーチンをそれぞれ実行して、ステップ
S400へ進む。
【0131】一方、Fmc=0ならばモード切換ではな
いので、ステップS102に進む。
【0132】ステップS102では、到達IVT変速比
tにおける運転モードを求める。
【0133】すなわち、到達IVT変速比itが、回転
同期点RSPにおけるIVT変速比irより増速側であ
るならば、直結モードを示すtmode=1とし、到達
IVT変速比itが、回転同期点RSPにおけるIVT
変速比ir、より減速側であるならば、動力循環モード
を示すtmode=0とする。
【0134】ステップS103では、現在の運転モード
modeと到達運転モードtmodeとから、mode
≠tmodeなならばモード切換を要求しているとし
て、ステップS104でモード切換制御フラグFmcを
1に立てて、ステップS500のモード切換制御準備サ
ブルーチンを実行してからステップS105に進む。一
方、mode=tmodeならばモード切換は要求して
いないとして、ステップS105に進む。
【0135】ステップS105では、現在の運転モード
modeを参照して、tmode=0であるならば動力
循環モードであるので、ステップS106へ進み、tm
ode=1であるならば直結モードであるので、ステッ
プS107へ進んでクラッチの油圧指令値を設定した後
で、ステップS400に進む。
【0136】ステップS106では、動力循環モードを
成立させるために、動力循環クラッチ油圧指令値圧PLC
と、直結クラッチ油圧指令値PHCとを次のように設定す
る。
【0137】PLC=PMAXHC=0 ここでPMAXはクラッチに供給する最大油圧であり、例
えばライン圧と同じ値とする。
【0138】ステップS107では、直結モードを成立
させるために、動力循環クラッチ油圧指令値PLCと、直
結クラッチ油圧指令値PHCとを次のように設定する。
【0139】PLC=0 PHC=PMAX 次に、ステップS400では、CVT変速比制御サブル
ーチンを実行して、モード切換制御サブルーチンを抜け
る。
【0140】図13は、モード切換準備サブルーチンの
フローチャートである。
【0141】図13のステップS501では、現在の運
転モードmodeを参照し、mode=1ならば現在直
結モードであり、ダウンシフトを設定するためにステッ
プS502に進み、mode=0ならば現在動力循環モ
ードであり、アップシフトを設定するためにステップS
505に進む。
【0142】ステップS502では、定常エンジントル
クTsの正負を判断し、Ts<0ならば負トルクダウン
シフトであるとしてステップS503に進み、そうでな
ければ正トルクダウンシフトであるのでステップS50
4に進む。
【0143】ステップS503では、変速パターンを示
す変数patを負トルクダウンシフトを示す0に設定
し、負トルクダウンシフトでは、トルクフェイズを先に
行うのでFfを0に設定する。
【0144】ステップS504では、変速パターンを示
す変数patを正トルクダウンシフトを示す1に設定
し、正トルクダウンシフトでは、イナーシャフェイズを
先に行うのでFfを1に設定する。
【0145】ステップS505では、定常エンジントル
クTsの正負を判断し、Ts<0ならば負トルクアップ
シフトであるとしてステップS506に進み、そうでな
ければ正トルクアップシフトであるのでステップS50
7に進む。
【0146】ステップS506では、変速パターンを示
す変数patを負トルクアップシフトを示す2に設定
し、負トルクアップシフトでは、イナーシャフェイズを
先に行うのでFfを1に設定する。
【0147】ステップS507では、変速パターンを示
す変数patを正トルクアップシフトを示す3に設定
し、正トルクアップシフトでは、トルクフェイズを先に
行うのでFfを0に設定する。
【0148】ステップS508では、トルクフェイズを
管理するタイマカウントtを0にリセットして、サブル
ーチンを抜ける。
【0149】図14は、クラッチ制御サブルーチンのフ
ローチャートである。
【0150】図14のステップS201では、CVT変
速比icと実エンジントルクTeとから、図8に示した
マップを用いて動力循環モードのときに動力循環クラッ
チ9が伝達するトルクTLC0を求める。
【0151】ステップS202では、CVT変速比ic
と実エンジントルクTeとから、図9に示すマップを用
いて直結モードのときに直結クラッチ10が伝達するト
ルクTHC0を求める。
【0152】ステップS203では、動力循環クラッチ
9の入出力回転数差dLCを、ユニット入力軸回転数ωe
とキャリア回転数ωcとから、次の(19)式を用いて
算出する。
【0153】
【数15】 ステップS204では、直結クラッチ9の入出力回転数
差dHCを、サンギア回転数ωsとリングギア回転数ωc
とから次の(20)式を用いて算出する。
【0154】
【数16】 ステップS205からS207では、変数patから変
速パターンを判断し、負トルクダウンシフトならばステ
ップS600で負トルクダウンシフト制御サブルーチン
を実行し、正トルクダウンシフトならばステップS61
0で正トルクダウンシフト制御サブルーチンを実行し、
負トルクアップシフトならばステップS620で負トル
クアップシフト制御サブルーチンを実行し、正トルクア
ップシフトならばステップS630で正トルクアップシ
フト制御サブルーチンを実行し、iLCとiHCとを設定す
る。
【0155】ステップS208では、動力循環クラッチ
伝達トルク目標値T* LCを、前記TL C0とiLCとから上記
(11)式で算出し、直結クラッチ伝達トルク目標値T
* HC、前記THC0とiHCとから上記(12)式で算出す
る。
【0156】ステップS209では、動力循環クラッチ
伝達トルク目標値T* LCから次の(21)式を用いて、
モード切換中の動力循環クラッチ油圧指令値PLCを算出
する。
【0157】
【数17】 ここで、kPLCは動力循環クラッチ9の構造や摩擦係数
から決まる定数である。
【0158】また、直結クラッチ伝達トルク目標値T*
HCから次の(22)式を用いて、モード切換中の直結ク
ラッチ油圧指令値PHCを算出する。
【0159】
【数18】 ここで、kPHCは直結クラッチ10の構造や摩擦係数か
ら決まる定数である。
【0160】ステップS210では、トルクフェイズを
管理するタイマカウンタtをカウントアップし、サブル
ーチンを抜ける。
【0161】図15(a)が、負トルクダウンシフト制
御サブルーチンのフローチャートである。
【0162】この図15(a)において、ステップS6
01では、フラグFfを参照して、Ff=0でトルクフ
ェイズならばステップS602に進み、そうでなければ
ステップS603に進む。
【0163】ステップS602では、トルクフェイズで
のiLCとiHCとを次のように設定し、ステップS604
に進む。
【0164】
【数19】 ここでtfは、トルクフェイズに要する時間である。
【0165】ステップS603では、イナーシャフェイ
ズでのiLCとiHCとを次のように設定し、サブルーチン
を抜ける。
【0166】iLC=1.2 iHC=0 ステップS604では、タイムカウンタtとttfとを比
較して、 t>ttf ならば、ステップS605で、Ffに1を立ててイナー
シャフェイズに移行してサブルーチンを抜ける。
【0167】図15(b)が、正トルクダウンシフト制
御サブルーチンのフローチャートである。
【0168】この図15(b)において。ステップS6
11では、フラグFfを参照して、Ff=0でトルクフ
ェイズならばステップS612に進み、そうでなければ
ステップS615に進む。
【0169】ステップS612では、トルクフェイズで
のiLCとiHCとを次のように設定し、ステップS613
に進む。
【0170】
【数20】 ステップS613では、タイムカウンタtとttfとを比
較して、 t>ttf でトルクフェイズが終了しているならば、ステップS6
14で、iLCとiHCとを、 iLC=1 iHC=0 に保持してサブルーチンを抜ける。
【0171】ステップS615では、イナーシャフェイ
ズでのiLCとiHCとを次のように設定し、ステップS6
16に進む。
【0172】iLC=0 iHC=0.8 ステップS616では、動力循環クラッチ9の入出力回
転差dLCがゼロでイナーシャフェイズが終了したかを判
断し、ゼロであればステップS617でFf=0として
トルクフェイズに移行して、ステップS618でタイマ
カウンタtをゼロにリセットしてサブルーチンを抜け
る。
【0173】図16(a)が、負トルクアップシフト制
御サブルーチンのフローチャートである。
【0174】図16(a)において、ステップS621
では、フラグFfを参照して、Ff=0でトルクフェイ
ズならばステップS622に進み、そうでなければステ
ップS625に進む。
【0175】ステップS622では、トルクフェイズで
のiLCとiHCとを次のように設定し、ステップS623
に進む。
【0176】
【数21】 ステップS623では、タイムカウンタtとttfとを比
較して、 t>ttf でトルクフェイズが終了しているならば、ステップS6
24で、iLCとiHCとを、 iLC=0 iHC=1 に保持してサブルーチンを抜ける。
【0177】ステップS625では、イナーシャフェイ
ズでのiLCとiHCとを次のように設定し、ステップS6
26に進む。
【0178】iLC=0.8 iHC=0 ステップS626では、直結クラッチ10の入出力回転
差dHCがゼロでイナーシャフェイズが終了したかを判断
し、ゼロであればステップS627でFf=0としてト
ルクフェイズに移行して、ステップS628でタイマカ
ウンタtをゼロにリセットしてサブルーチンを抜ける。
【0179】図15(b)は、正トルクアップシフト制
御サブルーチンのフローチャートである。
【0180】図15(b)のステップS631では、フ
ラグFfを参照して、Ff=0でトルクフェイズならば
ステップS632に進み、そうでなければステップS6
33に進む。ステップS632では、トルクフェイズで
のiLCとiHCとを次のように設定し、ステップS634
に進む。
【0181】
【数22】 ステップS633では、イナーシャフェイズでのiLC
HCとを次のように設定し、サブルーチンを抜ける。
【0182】iLC=0 iHC=1.2 ステップS634では、タイムカウンタtとttfとを比
較して、 t>ttf ならばステップS635で、Ffに1を立ててイナーシ
ャフェイズに移行してサブルーチンを抜ける。
【0183】図17が、CVT変速比制御サブルーチン
のフローチャートである。
【0184】まず、ステップS401では、上記(1
3)式を用いて目標IVT変速比i*とIVT変速比偏
差e1を算出する。
【0185】次に、ステップS401’では、目標IV
T変速速度v1とIVT変速比iから上記(13’)式
を用いて算出する。
【0186】ステップS402では、目標CVT変速速
度di* c/dtを、ここでは上記(15)式を用いて算
出する。
【0187】ステップS403では、目標CVT変速比
* cを次式を用いて算出してサブルーチンを抜ける。
【0188】
【数23】 図18が、モード切換終了判定サブルーチンのフローチ
ャートである。
【0189】図18において、ステップS301では、
変速パターンを表す変数patを参照して、アップシフ
トかダウンシフトかを判断する。変数patが2または
3でアップシフトならばステップS302へ進んでアッ
プシフトの終了判定を行い、そうでなければステップS
305へ進んでダウンシフトの終了判定を行う。
【0190】ステップS302では直結クラッチの入出
力回転差dHCがゼロであるかを判断し、ステップS30
3では動力循環クラッチ油圧指令値PLCがゼロであるか
を判断し、これらを共に満たせば、ステップS304で
modeを直結モードの1に設定してステップS308
に進み、そうでなければサブルーチンを抜ける。
【0191】ステップS305では動力循環クラッチの
入出力回転差dLCがゼロであるかを判断し、ステップS
306では直結クラッチ油圧指令値PHCがゼロであるか
を判断し、これらを共に満たせば、ステップS307で
modeを動力循環モードの0に設定してステップS3
08に進み、そうでなければサブルーチンを抜ける。
【0192】ステップS308では、モード切換フラグ
Fmcをゼロに設計としてモード切換を終了し、サブル
ーチンを抜ける。
【0193】以上により、図21の(a)から(b)へ
モード切換を伴って変速する場合の変速例を図19に示
す。
【0194】図19は正トルクアップシフトの一例であ
る。図18から、モード切換時に変速比が回転同期点R
SPで一旦停止することなく、出力軸トルクとIVT変
速比が滑らかに変化する。
【0195】このように、本発明によれば、IVT変速
比の変化方向と定常エンジントルクの正負とから予め設
定した運転モードの切換パターンに基づいて、トルクフ
ェイズとイナーシャフェイズとのフェイズ順番を、予め
設定したパターンで与えるので、動力循環クラッチ伝達
トルク目標値と直結クラッチ伝達トルク目標値は、これ
らフェイズ順番と実エンジントルクとCVT変速比とか
ら設定する。偏差を補償する目標IVT変速速度v1
は、目標IVT変速比とIVT変速比との偏差、もしく
は目標IVT変速比の逆数とIVT変速比の逆数との偏
差に基づいて算出する。そして、目標CVT変速速度
を、偏差と動力循環クラッチ伝達トルク目標値と直結ク
ラッチ伝達トルク目標値とエンジントルクとから算出す
る。目標CVT変速速度は、次の表3に示すように、動
力循環クラッチ伝達トルク目標値と直結クラッチ伝達ト
ルク目標値とエンジントルクとの変化に応じて増減させ
る。
【0196】
【表3】 そして、モード切換において目標IVT変速比とIVT
変速比との偏差を補償する際に、クラッチを滑らせなが
ら目標IVT変速比とIVT変速比との偏差に基づく目
標IVT変速速度とクラッチ伝達トルクとエンジントル
クとの変化に合わせて目標CVT変速速度を設定するの
で、数多くの実験やシミュレーションに基づいた目標値
を与えることなく、目標IVT変速比とIVT変速比と
の偏差をCVTで補正できるので、開発時間や開発コス
トの増大を招くことなく、変速ショックを抑えた変速を
行うことができる。
【0197】また、動力循環クラッチ伝達トルクと直結
クラッチ伝達トルクとエンジントルクとCVT変速速度
とがIVT変速速度に影響する際の感度が、CVT変速
比に応じて変化することを考慮して、目標CVT変速速
度算出時に動力循環クラッチ伝達トルク目標値に乗じた
係数と、直結クラッチ伝達トルク目標値に乗じた係数
と、エンジントルクに乗じた係数と、目標IVT変速速
度に乗じた係数とを、目標CVT変速速度を積分して求
める目標CVT変速比もしくは前記CVT変速比検出手
段で検出したCVT変速比に応じて補正するので、CV
T変速比に応じて変化する感度に適応した目標CVT変
速速度を演算し、IVTの運転状態をより確実に考慮し
ながらモード切換を行うことができるため、目標IVT
変速比に対するIVT変速比の応答がより所望の特性に
近くなり、変速ショックの発生を確実に抑制することが
できる。
【0198】また、動力循環クラッチ伝達トルクと直結
クラッチ伝達トルクとエンジントルクとCVT変速速度
とがIVT変速速度に影響する際の感度が、サンギア回
転数とリングギア回転数に応じて変化することを考慮し
て、目標CVT変速速度算出時に動力循環クラッチ伝達
トルク目標値に乗じた係数と、直結クラッチ伝達トルク
目標値に乗じた係数と、エンジントルクに乗じた係数
と、目標IVT変速速度に乗じた係数とを、リングギア
とサンギアの回転数に応じて補正するので、サンギア回
転数とリングギア回転数とに応じて変化する感度に適応
した目標CVT変速速度を演算し、IVTの運転状態を
より確実に考慮しながらモード切換を行うことができる
ため、目標IVT変速比に対するIVT変速比の応答が
より所望の特性に近くなり、変速ショックの発生を確実
に抑えることができる。
【0199】また、目標CVT変速速度は、目標IVT
変速速度の変化に応じても増減させ、目標IVT変速速
度を目標IVT変速比とIVT変速比との偏差に基づい
て算出した場合は、次表に示すように目標CVT変速速
度を増減させる。
【0200】
【表4】 また、目標IVT変速速度を目標IVT変速比の逆数と
IVT変速比の逆数との偏差に基づいて算出した場合
は、次表のように目標CVT変速速度を増減させる。
【0201】
【表5】 さらに、走行負荷に基づいて、目標CVT変速速度を演
算するので、道路の勾配や路面状態の影響による走行負
荷の変化に応じた制御が可能となり、登坂路等の走行負
荷が変化する状況においても滑らかなモード切換が可能
になるのである。
【0202】なお、上記実施形態において、スロットル
開度に代わってスロットル開度を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す変速比無限大無段変
速機の概略構成図。
【図2】トロイダル型無段変速機の変速機構を示す概念
図。
【図3】変速比無限大無段変速機の制御系を示す概略構
成図。
【図4】モード切換制御装置の概念図。
【図5】同じく、クラッチ制御手段とCVT制御手段の
概念図
【図6】クラッチ制御手段とCVT制御手段の他の一例
を示す概念図
【図7】車速とスロットル開度に対応した到達エンジン
回転数のマップ。
【図8】動力循環モードにおけるCVT変速比とエンジ
ントルクに応じた動力循環クラッチ伝達トルクマップ。
【図9】直結モードにおけるCVT変速比とエンジント
ルクに応じた直結クラッチ伝達トルクマップ。
【図10】時変係数iLC、iHCの変速パターン毎のタイ
ムチャートで、(a)は負トルクアップシフトの、
(b)は正トルクアップシフトの、(c)は正トルクダ
ウンシフトの、(d)は負トルクダウンシフトを示す。
【図11】モード切換制御のメインルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【図12】モード切換制御サブルーチンのフローチャー
トである。
【図13】モード切換準備サブルーチンのフローチャー
トである。
【図14】クラッチ制御サブルーチンのフローチャート
である。
【図15】(a)は負トルクダウンシフト制御サブルー
チンのフローチャートで、(b)正トルクダウンシフト
制御サブルーチンである。
【図16】(a)は負トルクアップシフト制御サブルー
チンのフローチャートで、(b)正トルクアップシフト
制御サブルーチンのフローチャートである。
【図17】CVT変速比制御サブルーチンのフローチャ
ートである。
【図18】モード切換終了判定サブルーチンのフローチ
ャートである。
【図19】正トルクアップシフトの一例を示すタイムチ
ャートで、IVT変速比、偏差、クラッチ伝達トルク、
エンジントルク、CVT変速速度、CVT変速比、出力
軸トルクと時刻の関係を示す。
【図20】IVT変速比の逆数iiと無段変速機構のC
VT変速比icの関係を示すマップ。
【図21】同じく、IVT変速比の逆数iiと無段変速
機構のCVT変速比icの関係を示すマップで、モード
切り換えの様子を示す。
【符号の説明】
1 ユニット入力軸 2 無段変速機構 3 一定変速機構 5 遊星歯車機構 9 動力循環クラッチ 10 直結クラッチ 52 ステップモータ 80 モード切換制御装置 81 入力軸回転数センサ 82 サンギア回転数センサ 83 ユニット出力軸回転数センサ 84 キャリア回転数センサ 85 スロットル開度センサ 87 出力軸回転数センサ 91 第1ソレノイド 92 第2ソレノイド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J552 MA09 MA13 MA30 NB01 PA02 RA18 TA10 TB18 VA34W VA74W VB09W VC01W VC02W VC03W

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】変速比を連続的に変更可能な無段変速機構
    と一定変速機構とをユニット入力軸にそれぞれ連結する
    とともに、無段変速機構と一定変速機構の出力軸を遊星
    歯車機構、動力循環クラッチ及び直結クラッチを介して
    ユニット出力軸に連結した変速比無限大無段変速機と、 前記動力循環クラッチを締結し、直結クラッチを解放し
    て総変速比が無限大を含んで動力を伝達する動力循環モ
    ードと、直結クラッチを締結し、動力循環クラッチを解
    放して無段変速機構に応じて動力を伝達する直結モード
    とを切り換えるモード切換制御手段とを備えた変速比無
    限大無段変速機の変速制御装置において、 前記無段変速機構の変速比を検出するCVT変速比検出
    手段と、 前記変速比無限大無段変速機の総変速比を検出するIV
    T変速比検出手段と、 前記ユニット出力軸の回転数を検出するIVT出力軸回
    転数検出手段と、 スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段と、 前記出力軸回転数とスロットル開度とから、到達総変速
    比を算出する到達IVT変速比生成手段と、 この到達総変速比に基づいて目標総変速比を算出する目
    標IVT変速比生成手段と、 前記検出した総変速比と目標総変速比から総変速比の変
    化方向を判断する変速方向判断手段と、 実際のエンジントルクを検出または推定する実エンジン
    トルク検出手段と、 エンジントルクの変化開始時に変化終了後のエンジント
    ルクの値を推定する定常エンジントルク推定手段と、 この定常エンジントルクの正負を判断する定常エンジン
    トルク正負判断手段と、 前記総変速比変化方向と定常エンジントルクの正負に基
    づいて、前記動力循環クラッチと直結クラッチのうち締
    結される側の伝達トルクの絶対値を増大させるトルクフ
    ェーズと、前記動力循環クラッチと直結クラッチの滑り
    を抑制しながら締結される側の入出力回転数が等しくな
    るように変化させるイナーシャフェーズのうち、いずれ
    のフェーズから開始するかを設定するフェーズ順序設定
    手段と、 前記無段変速機構の変速比と実エンジントルクと前記設
    定されたフェーズに基づいて、動力循環クラッチと直結
    クラッチの伝達トルクの目標値をそれぞれ算出するクラ
    ッチトルク目標値生成手段と、 前記検出した総変速比と目標総変速比から総変速比の目
    標変速速度を算出する目標IVT変速速度算出手段と、 前記実エンジントルクと前記クラッチの伝達トルク目標
    値と総変速比の目標変速速度に基づいて、無段変速機構
    の目標変速速度を算出する目標CVT変速速度算出手段
    とを備えたことを特徴とする変速比無限大無段変速機の
    変速制御装置。
  2. 【請求項2】前記目標CVT変速速度算出手段は、無段
    変速機構の目標変速速度を算出する際に動力循環クラッ
    チの伝達トルク目標値に乗じた係数と、直結クラッチの
    伝達トルク目標値に乗じた係数と、実エンジントルクに
    乗じた係数と、総変速比の目標変速速度に乗じた係数と
    を、無段変速機構の目標変速速度を積分して求めた目標
    変速比または前記検出した無段変速機構の変速比に応じ
    て補正することを特徴とする請求項1に記載の変速比無
    限大無段変速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】前記目標CVT変速速度算出手段は、前記
    遊星歯車機構のサンギア回転数とリングギア回転数とを
    検出する回転数検出部を有し、無段変速機構の目標変速
    速度を算出する際に、動力循環クラッチの伝達トルク目
    標値に乗じた係数と、直結クラッチの伝達トルク目標値
    に乗じた係数と、実エンジントルクに乗じた係数と、サ
    ンギア回転数とリングギア回転数の検出値に応じて補正
    することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
    変速比無限大無段変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】前記目標CVT変速速度算出手段は、走行
    負荷を検出する走行負荷検出手段を有し、目標CVT変
    速速度を、走行負荷の検出値に基づいて演算することを
    特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかひとつに
    記載の変速比無限大無段変速機の変速制御装置。
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