JP2002326450A - 被記録材及び被記録材形成用処理液 - Google Patents

被記録材及び被記録材形成用処理液

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JP2002326450A
JP2002326450A JP2001170250A JP2001170250A JP2002326450A JP 2002326450 A JP2002326450 A JP 2002326450A JP 2001170250 A JP2001170250 A JP 2001170250A JP 2001170250 A JP2001170250 A JP 2001170250A JP 2002326450 A JP2002326450 A JP 2002326450A
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organic polymer
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inorganic particles
recording
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JP2001170250A
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Kimihiko Oya
公彦 大屋
Seiji Kamamasu
誠二 釜増
Tatsuro Fukushima
達郎 福島
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Mikuni Color Ltd
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Mikuni Color Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インクを速やかに吸収し、インクが流れ出さず
インクドットの横方向への拡散が少なく滲みがなく、ま
た画像や文字の耐水性にも優れたインク受理層を形成し
得る記録材料形成用塗布液を提供する。 【解決手段】アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマー
とを反応させて析出させた有機高分子凝集体と、無機質
粒子とを含有する被記録材形成用処理液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット用
紙として好適な記録材、及びかかる記録材の形成に適し
た被記録材形成用塗布液を提供する新規且つ有用な有機
高分子凝集体に関する。
【0002】
【従来技術】近年、低コストフルカラーの印刷方法とし
てインクジェット方式のプリンターが普及しているが、
インクジェット法では、インクを噴射させるために孔径
が200μm以下のノズルが使用されている。このた
め、水に分散するが溶解しない着色剤は、該ノズルで目
詰まりを生じるおそれがあり、インクジェット法に適用
する着色剤としては主に溶解安全性に優れた水溶性染
料、とりわけアニオン性の直接染料や酸性染料が用いら
れている。
【0003】前記水溶性染料が用いられたインクを紙な
どの媒体に記録する際には、画像や文字の濃度が高く
色調が鮮やかに再現されること、インクが媒体に速や
かに吸収され、インクドットが流れ出さないこと、イ
ンクドットの横方向への拡散が少なく滲みがないこと、
画像や文字の耐水性の向上などの性能が要求されてい
る。これらの要求性能を満足させるべく、インクジェッ
ト用被記録媒体として各種のものが検討され提案されて
いる。
【0004】被記録材にインクジェットインクを受理す
る層を形成させる手段としては、(1)有機高分子を含
有する塗工液を用いるものと、(2)水、バインダーな
どを含む溶液にシリカ等の無機質粒子を分散させて調製
した塗工液を用いるものがある。(1)の方法として
は、例えばアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーを
含有する塗工液を用いるもの(特開昭62−183,7
94号公報、特開昭62−244,690号公報、特
3,015,739号公報)、ポリマーコンプレックス
を含有する塗工液を用いるもの(特開昭9−99,63
4号公報、特開昭62−122,781号公報)があ
る。
【0005】(2)の方法では、塗工液は無機質粒子
(シリカ、アルミナなど)とインク定着剤としてのカチ
オン剤、バインダー等の組成で構成されているが(特開
昭61−35,275号公報等)、無機質粒子とインク
定着剤とは、それぞれが物性アップの役割を持ってい
る。用いられる無機質粒子としては「ファインシール」
(沈殿法超微粉非晶質シリカ、トクヤマ(株)の登録商
標)、「ミズカシル」(湿式法微粉シリカ、水澤化学工
業(株)の登録商標)、その他紙用添加剤として知られ
る合成シリカ、水酸化アルミニウム、合成ゼオライト、
軽質炭酸カルシウム、カオリンの他、カチオン性ポリマ
ーで被覆したシリカ微粒子が提案されている(技術情報
協会発刊(2000年8月28日 第1刷発行)「イン
クジェット記録におけるインク・メディア・プリンター
の開発技術」の第2章「インクジェット用メディアの開
発」)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】(1)の方法のうち特
3,015,739号公報に記載の発明は特定のアニオ
ン性ポリマーとカチオン性ポリマーを含有する塗布液に
よりインクジェット受理層を形成するものであり、印字
濃度が高く色調の鮮明度及び再現性にも優れたものであ
る。しかしながら、前述の要求性能のうちインクが媒
体に速やかに吸収され、インキが流れ出さない事、イ
ンクドットの横方向への拡散が少なく滲みがない事、
画像や文字の耐水性といった性能は、更なる改良が望ま
れていた。上記(2)の方法でも、これらの性能の改善
は十分ではなかった。本発明は、これらの性能を改善さ
せることの出来る手段を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決しようとするための手段】本発明者らは上
記課題に鑑みて鋭意検討を重ねた。その結果、特定の有
機高分子凝集体を含有する処理液を用いて基材を処理す
ることにより、優れた性能を有する被記録材を得ること
ができることを見出して本発明に到達した。すなわち本
発明は、(1)アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマ
ーを反応させて析出させた有機高分子凝集体と、無機質
粒子とを含有する被記録材、(2)アニオン性ポリマー
とカチオン性ポリマーを反応させて析出させた有機高分
子凝集体と、無機質粒子とを含有する被記録材形成用処
理液、
【0008】(3)内部に無機質領域を含有する有機高
分子凝集体、(4)無機質領域が有機高分子領域により
実質的に均一に覆われていることを特徴とする上記
(3)記載の有機高分子凝集体、(5)アニオン性ポリ
マーとカチオン性ポリマーとを無機質粒子の存在下で反
応させて有機高分子凝集体を析出させることを特徴とす
る、内部に無機質領域を含有する有機高分子凝集体の製
造方法、(6)アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマ
ーとを反応させて有機高分子凝集体を析出させ、さらに
無機質粒子を添加して混合することを特徴とする、内部
に無機質領域を含有する有機高分子凝集体の製造方法、
【0009】(7)上記(3)又は(4)記載の有機高
分子凝集体が分散されてなる分散液、(8)上記(5)
又は(6)記載の製造方法により得られた有機高分子凝
集体が分散されてなる分散液、(9)上記(3)又は
(4)記載の有機高分子凝集体を含有する被記録材形成
用処理液、(10)上記(5)又は(6)記載の製造方
法により得られた有機高分子凝集体を含有する被記録材
形成用処理液、(11)上記(2)、(9)又は(1
0)記載の被記録材形成用処理液を被塗物に塗工してな
る被記録材、
【0010】(12)上記(2)、(9)又は(10)
記載の被記録材形成用処理液を基材に含浸してなる被記
録材、(13)少なくとも片面に、上記(2)、(9)
又は(10)記載の被記録材形成用処理液で処理してイ
ンク受容層が形成されてなるシート状被記録材、(1
4)上記(2)、(9)又は(10)記載の被記録材形
成用処理液を被塗物に塗工してなる被記録材に、着色剤
を含有するインクで記録することを特徴とする被記録材
の記録方法、
【0011】(15)インクジェット記録方法に用いら
れる、上記(11)〜(13)のいずれかに記載の被記
録材、(16)無機質粒子が、合成シリカである上記
(5)又は(6)記載の有機高分子凝集体の製造方法、
(17)合成シリカの一次粒子径が0.003μm〜3
0μmである上記(16)記載の有機高分子凝集体の製
造方法、(18)合成シリカが、ゾル法によって合成さ
れたコロイダルシリカである上記(16)又は(17)
記載の有機高分子凝集体の製造方法、
【0012】(19)合成シリカが、気相法によって合
成された超微粒子シリカである上記(16)又は(1
7)に記載の有機高分子凝集体の製造方法、(20)合
成シリカが、湿式法によって合成された含水ケイ酸であ
る上記(16)又は(17)に記載の有機高分子凝集体
の製造方法、(21)無機質粒子が、珪酸塩である上記
(5)又は(6)記載の有機高分子凝集体の製造方法、
(22)無機質粒子が、酸化物である上記(5)又は
(6)記載の有機高分子凝集体の製造方法、
【0013】(23)無機質粒子が、水酸化物である上
記(5)又は(6)記載の有機高分子凝集体の製造方
法、(24)無機質粒子が、炭酸塩である上記(5)又
は(6)記載の有機高分子凝集体の製造方法、(25)
無機質粒子が、硫酸塩である上記(5)又は(6)記載
の有機高分子凝集体の製造方法、(26)無機質粒子
が、炭素である上記(5)又は(6)記載の有機高分子
凝集体の製造方法、
【0014】(27)上記(5)、(6)、(16)、
(17)、(18)、(19)、(20)、(21)、
(22)、(23)、(24)、(25)又は(26)
に記載の製造方法により得られた有機高分子凝集体を含
有する被記録材形成用処理液、(28)上記(27)に
記載の被記録材形成用処理液で基材を処理することを特
徴とする被記録材の製造方法、(29)上記(28)記
載の製造方法により得られた被記録材上に、着色剤を含
有するインク組成物で記録することを特徴とする被記録
材の記録方法、(30)インク組成物で記録する方法
が、インクジェット記録方法である上記(29)記載の
被記録材の記録方法、
【0015】(31)基材上の少なくとも片面にインク
受容層が設けられてなる被記録材であって、該インク受
容層が、アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーを反
応させて析出させた有機高分子凝集体と、無機質粒子と
を含有してなる被記録材、(32)インク受容層の厚さ
が2〜20μmである上記(31)記載の被記録材、に
存する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の被記録材形成用処理液は、アニオン性ポリマー
とカチオン性ポリマーとを反応させて析出させた有機高
分子凝集体と、無機質微粒子とを含有するものである。
また、本発明の被記録材は、アニオン性ポリマーとカチ
オン性ポリマーとを反応させた有機高分子凝集体と、無
機質粒子とを含有するものである。
【0017】〔アニオン性ポリマー〕本発明で用いられ
るアニオン性ポリマーとしては、たとえばスチレン−ア
クリル酸共重合体、ポリアクリル酸、スチレン−無水マ
レイン酸共重合体、アクリル酸エステル−アクリル酸共
重合体、それらの塩などがあげられる。これらのアニオ
ン性ポリマーは、単独でまたは二種以上を混合して用い
られる。
【0018】前記アニオン性ポリマーの中では、スチレ
ン−アクリル酸共重合体は、処理液の被塗物への塗布
性、特に含浸性および該被塗物にインクで記録するとき
の鮮明度および印字濃度の点から、本発明においてとく
に好適に使用しうるものである。前記スチレン−アクリ
ル酸共重合体としては、たとえばジョンクリル61J、
ジョンクリル62、該ジョンクリル62固形物であるジ
ョンクリル679(以上、ジョンソンポリマー(株)
製)などがあげられる。
【0019】〔カチオン性ポリマー〕本発明で用いられ
るカチオン性ポリマーは特に限定されず、例えば、ポリ
アミン、ポリアミンスルフォン、ポリビニルアミン、ポ
リビニルピリジン、ポリエチレンイミン、ポリエチレン
イミン−エピクロルヒドリン反応物、ポリアミドアミ
ン、ポリアクリルアミド、ポリジアリルジメチルアンモ
ニウムクロライド、ポリアミドアミン−エピクロロヒド
リン樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホ
ルムアルデヒド樹脂、ジシアンジアミド−ホルムアルデ
ヒド樹脂、ポリアミンとポリアミドとの混合樹脂などが
あげられる。これらのカチオン性ポリマーは、単独でま
たは二種以上を混合して用いられる。
【0020】前記カチオン性ポリマーのなかでは、ポリ
アミンが好ましく、該ポリアミンの中でも下記の一般
式:
【0021】
【化1】
【0022】で表されるポリアミンは、本発明において
好適に使用しうるものである。前記ポリアミンは、4級
アンモニウム塩に匹敵する塩基を有することに起因して
前記アニオン性ポリマーとの中和によって生成する複塩
を安定化させるものと考えられる。
【0023】前記ポリアミンとしては、例えば一般式
(I)を有するPAP−2、KZ−125K(以上、セ
ンカ(株)製)、モーリンフィックスコンク#300B
(モーリン化学工業(株)製)などのジシアンジアミド
ホルマリン縮合物;PAP−1、PAL−1(以上、セ
ンカ(株)製)などのグアニジン系縮合物ポリアミンな
どがあげられる。
【0024】〔カチオン性ポリマーとアニオン性ポリマ
ーの配合〕前記カチオン性ポリマーとアニオン性ポリマ
ーの使用割合(固形分量)は、印字濃度および鮮明度の
点から、カチオン性ポリマー100重量部に対してアニ
オン性ポリマーを300重量部以下、なかんづく200
重量部以下とすることが好ましく、また耐水性の点か
ら、カチオン性ポリマー100重量部に対してアニオン
性ポリマーを5重量部以上、なかんづく10重量部以上
とすることが好ましい。
【0025】また、本発明の被記録材形成用処理液に含
まれるカチオン性ポリマーとアニオン性ポリマーとの合
計量(固形分量)は、印字濃度、鮮明度および耐水性の
点から、1重量%以上、3重量%以上であることが好ま
しく、また塗布性の点から、50重量%以下、なかんづ
く30重量%以下であることが好ましい。
【0026】〔無機質粒子〕本発明で用いることのでき
る無機質粒子は特に限定されない。本発明の製造方法に
よれば有機高分子による凝集反応を利用して無機質粒子
を取り込むことができるため、無機物の種類によらず有
機−無機複合体を得ることができる。このため、所望の
物性に応じて、用いる無機質粒子を適宜選択することが
できる。
【0027】無機質粒子としては、例えば、カオリン、
クレー、マイカ、タルク、ウォラストナイト、石綿、ベ
ントナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、
ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩;シリカ、砂、珪藻
土、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウ
ム、酸化アンチモン、バリウム・フェライト、ストロン
チウム・フェライト、酸化ベリウム、軽石、酸化アルミ
ニウム等の酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミ
ニウム、塩基性炭酸マグネシウム等の水酸化物;炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム
等の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カ
ルシウム等の硫酸塩;カーボンブラック等の炭素、硫化
モリブデン、磁石粉、硫化カドミウム、ZrC、SiC
等が挙げられる。その他、無機質粒子として、例えば牛
骨リン酸カルシウムの粒子を用いれば、その吸湿性、イ
オン交換能を利用でき、さらに抗菌性機能を付与するこ
ともできる。
【0028】シリカとしては例えば、合成非晶質シリカ
等の合成シリカが挙げられ、合成非晶質シリカとして
は、乾式法、エアロゲル法、溶射法、湿式法による含水
ケイ酸、気相法による超微粒子シリカ、ゾル法によるコ
ロイダルシリカ、ゲル法、ゾルゲル法によるものがあ
る。ゾルゲル法によるものは大きさをコントロールでき
る点で望ましい。合成シリカの一次粒子径は0.003
〜30μm、好ましくは0.01μm〜30μmであ
る。無機質粒子の粒径は特に限定されず、一般には0.
003μm〜100μm、好ましくは0.01μm〜3
0μmである。無機質粒子の配合量は、所望の凝集体の
有機高分子領域と無機質領域の割合となる様、適宜選択
すればよい。
【0029】〔凝集体の生成及び分散液の調製〕上述し
たアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーとを、ポリ
マー混合物を溶解しない媒体中で混合すると、凝集反応
によりポリマー混合物が析出する。本発明では、この
際、無機質粒子を存在させることにより、無機質粒子が
内部に取り込まれた有機高分子の凝集体を得ることがで
きる。
【0030】具体的には、カチオン性ポリマーとアニオ
ン性ポリマーを混合する際に、カチオン性ポリマー、ア
ニオン性ポリマーの一方又は双方に無機質粒子を添加し
ておき、これらを混合して複塩生成反応を行い凝集物を
析出させればよい。凝集体は通常、ハードケーキ状で生
成し、これを分散処理により適宜細分化することにより
分散液を得ることができる。細分化の程度は、後述する
凝集体の望ましい粒径となるまで分散させればよい。反
応時に用いる溶媒としては本発明の有機高分子凝集体を
実質的に溶解しない溶媒であれば特に限定されない。例
えば、水、アルコール、エステル、炭化水素が挙げられ
る。水としては例えばイオン交換水、精製水など特に限
定されず用いることができる。環境上からは水が好まし
い。
【0031】〔凝集体及びその形成〕本発明における有
機高分子凝集体とは、例えば溶液状のアニオン性ポリマ
ーとカチオン性ポリマーとを混合していくと、ポリマー
同士の混合物であるポリマーコンプレックスが生成する
が、このポリマーコンプレックスが溶解せずに析出した
ものとして得ることができる。このように、液中におい
て溶解することなく、また水相と油相とに二相分離する
こともなくエマルジョン状態を形成して存在することが
できるものである。本発明においては、このようなポリ
マーコンプレックスの析出・凝集反応を利用することに
より、有機高分子の凝集体であって内部に無機質領域を
含有したものを得ることができる。内部に無機質領域を
含有する形態として特に、無機質領域が実質的に均一に
有機高分予領域により被覆されているものとすることが
できる。
【0032】図1は本発明の有機高分子凝集体の一例を
示す倍率10,000倍の電子顕微鏡写真である。無機
質粒子として粒径4.6〜5.4μmの球状の湿式法シ
リカを用いて作製したものであるが、配合した無機質粒
子の粒度分布が保たれ、また得られた凝集体の表面に一
様に有機高分子が付着していることが観察でき、無機質
領域が有機高分子領域で均一に覆われていることがわか
る。図2は、本発明の有機高分子凝集体の他の一例を示
す倍率15,000倍の電子顕微鏡写真である。粒径
0.01±0.03μmの球状のコロイダルシリカを用
いて作製したものであるが、無機質領域が有機高分子で
一様に覆われながら、配合した無機質粒子の形状が、ほ
ぼ保たれ粒度分布を維持していることが観察できる。
【0033】無機質粒子の表面のマイナス電荷を利用し
てカチオン性ポリマーで被覆したり、無機質粒子の表面
の官能基を利用した各種の有機高分子によるグラフト処
理、あるいは各種のカップリング剤での処理等、無機質
粒子を有機高分子で被覆して有機−無機複合体を作成す
る試みは、従来より様々な方法により行われている。し
かしながら本発明の有機高分子凝集体のように、無機質
粒子の表面を均一に、しかも無機質粒子の表面が露出す
ることなく被覆することは困難であった。
【0034】本発明の有機高分子凝集体は、このように
無機質領域が露出することなく有機質領域により実質的
に均一に覆われたものとすることができるため、配合し
た無機質粒子の粒度分布が凝集体の粒度分布として、ほ
ぼ維持される。と同時に、凝集体の表面状態が実質的に
一様なものとすることができ、無機質粒子の表面のうち
被覆されている部分と露出している部分が存在するとい
う不均一な状態を回避することができることから、凝集
体を分散媒中に均一に分散できる。これら作用の相乗効
果により、有機高分子凝集体を含有する分散液を基材に
塗布、硬化させて得られるインク受容層中に、無機質領
域を非常に均一に分散させることができ、受容層の表面
を均一な空隙率とすることができるため受容層の性能向
上に寄与していると考えられる。
【0035】すなわち、有機高分子の凝集物の領域と無
機質領域とが、以上のような状態で存在していることに
より、被記録材におけるインク受容層を形成した際に発
生する空隙と均一に存在する有機成分とが、インク受容
層において画像、文字等を印字した時のインクドットの
滲みや流れ出し防止による鮮映性、表面印字濃度のアッ
プ、フェザリング、印字耐水性を向上させる効果があ
る。
【0036】なお、内部に無機質領域を含有する有機高
分子凝集体を得るには上述のようにアニオン性ポリマー
とカチオン性ポリマーとを反応させて有機高分子凝集体
を析出させる際に無機質粒子を存在させれば、無機質領
域が有機質領域に実質的に均一に覆われたものとするこ
とができるが、それ以外に、予めアニオン性ポリマーと
カチオン性ポリマーとを反応させて有機高分子凝集体を
析出させておき、ここに更に無機質粒子を添加して混合
することもできる。しかしこの場合、元々の無機質粒子
の形状をほぼ維持し有機質領域で実質的に均一に覆うこ
とは困難であり、得られる有機高分子凝集体は、一般に
不均一な粒度分布及び形状となる。図3に、このような
有機高分子凝集体の一例の5,000倍の電子顕微鏡写
真を示す。無機質粒子として平均粒径1.8μmの湿式
法シリカを用いて得たものであるが、複数の粒子が凝着
したものを有機高分子が覆い、不均一な粒度分布となっ
ていることがわかる。
【0037】凝集体の形状は限定されず、微粒子状、無
定形状の析出物でもよく、固体、ゲル、あるいはコロイ
ドであるとを問わない。凝集体の粒径も限定されず、処
理液を調製した際に安定した分散状態を維持できれば足
りる。好ましくは1nm〜40μm程度、特に好ましく
は平均粒子径が20nm〜数μm程度である。
【0038】上述した有機高分子凝集体を水やその他各
種の溶媒に分散させた本発明の分散液を得ることができ
る。前述した有機高分子凝集体の生成反応を行った液を
そのまま用いてもよいし、溶媒、添加剤等をさらに加え
てもよい。凝集体の生成ないし分散液の調製に際し混
合、撹拌する方法には特に限定がなく、たとえばLM
Z、DCP、ZWM、ダイノミル、グレンミル、マイテ
ィーミル、スパイクミル、バスケットミル、セントリー
ミル、縦型サンドミル、振動ミル、ボールミル、アトラ
イザーミルなどのメデイァミル;超音波ホモジナイザ
ー、ナノマイザー、アルティマイザー、ジェットミル、
コロイドミル、高速ディゾルバー、ホモディスパーなど
のメディアレスミルなどの分散機などを用いる方法を採
用することができる。
【0039】このようにしてアニオン性ポリマーとカチ
オン性ポリマーを混合すると同時に、生成した凝集体の
粒径を所望の程度にまで細分化することができる。な
お、前述したように、被記録材用処理液に、アニオン性
ポリマーとカチオン性ポリマーとを併用することは従来
より知られている。また、アニオン性ポリマーとカチオ
ン性ポリマーの中和反応により複塩を形成することも従
来より知られている。このため、従来の被記録材用処理
液では、アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーとを
併用することにより、形成させる皮膜中で両者の中和が
進行し、複塩を形成するために耐水性が向上するものと
推測されている。
【0040】これに対し本発明では、処理液中に、アニ
オン性ポリマーとカチオン性ポリマーとの反応により凝
集体を形成させ析出させたものを分散させていることを
特徴とする。さらに、この凝集体と無機質粒子とを共存
させることを特徴とする。このような凝集体と無機質粒
子とを含有する分散液を塗布液として用いることによ
り、インクジェット用被記録材として従来にない優れた
性能を有するものを得ることができる。これは、本発明
では有機高分子の凝集体を形成させ、これを分散させて
なる分散液とすることにより、塗布性の良好な処理液と
することができ、さらに、これを塗布してなるインク受
容層は、この凝集体を含有する液が硬化して形成される
ことから、表面に凝集体由来の微細なひび割れが適度に
形成され、さらに無機質粒子との共存により形成される
表面のミクロ構造が、インクの吸収に際し優れた機能を
発揮し、印字特性の著しい向上につながっていると推測
される。
【0041】なお、塩基性ポリマーとスチレン/(メ
タ)アクリル酸共重合体とのポリマーコンプレックス
等、複数のポリマーの混合物を用いて被記録材のインク
受容層を形成することは従来より知られている(特開昭
62−122,781号公報、特開平9−99,634
号公報)。しかし、本発明は単に複数のポリマーの混合
物を用いるのではなく、ポリマー混合物を凝集体として
析出させたものを用い、さらに無機質粒子と共存させて
いる点に特徴がある。このような構成をとることによ
り、上述のように従来にない優れた特性のインク受容層
を有する被記録材を得ることができるのである。
【0042】さらに、ポリマー混合物の凝集体を析出さ
せる際に無機質粒子を存在させて反応を行うことによ
り、有機高分子凝集体の中に無機質領域が取り込まれた
ものとすることができる。この様にする事で、ただ単に
凝集体と無機質粒子とをそれぞれ液中に配合した不均一
な状態ではなく、それぞれが、粒子中にほぼ均一に点在
する有機−無機複合体を形成することができ、有機質領
域・無機質領域それぞれの持つ機能を受容層中に、均一
に展開できるため、より安定した要求性能が得られると
考えられる。
【0043】なお、従来よりシリカ等の無機酸化物粒子
にカチオン性ポリマーを添着したもの等、有機化合物で
表面処理した無機物粒子が知られているが、このような
従来の方法では無機質粒子に添着できる有機化合物の量
に限りがある。また、無機物粒子の表面に均一に有機物
を添着することも、無機物粒子を有機物中に均一に分散
させることも困難である。これに対し、本発明の凝集体
は、有機物の量が制限されず、無機物を均一に分散で
き、しかも有機物自体も凝集体として被記録材の性能向
上に寄与するという優れた特徴を有するものである。
【0044】有機高分子凝集体からなる領域と、無機質
領域との割合も特に限定されず所望の物性に応じて適宜
選択することができる。通常、有機高分子領域:無機質
領域の重量比は、好ましくは99.9:0.1〜2:9
5、特に好ましくは95:5〜5:95から選択でき
る。この範囲において、得られる分散液の流動性が特に
優れている。
【0045】〔被記録材用処理液の調製〕以上説明した
本発明の分散液を、被記録材形成用処理液として用いる
ことができる。本発明の被記録材形成用処理液の溶媒と
しては、本発明の有機高分子凝集体を実質的に溶解しな
い溶媒であれば特に限定されない。例えば、水、アルコ
ール、エステル、炭化水素が挙げられる。水としては例
えばイオン交換水、精製水など特に限定されず用いるこ
とができる。環境上からは水が好ましい。上述した方法
で本発明の有機高分子凝集体を作成した分散液をそのま
ま用いてもよいし、濃度調整したり各種の添加剤を配合
してもよい。 被記録材処理液中の固形分濃度は限定さ
れないが、通常、0.15〜80重量%、好ましくは
5.5〜40重量%、特に好ましくは15〜30重量%
である。
【0046】本発明の被記録材形成用処理液には、必要
により、本発明の目的が阻害されない範囲内で、たとえ
ば流動性を向上させるために、ポリビニルピロリドン、
ポリビニルアルコールなどの粘度調整剤、スチレン−無
水マレイン酸エチレンオキサイド付加物などの安定化剤
などの添加物を配合してもよい。また、これらの他に
も、たとえば表面サイズ剤、ゼラチン、カゼイン、デン
プン、変性デンプン、デンプン誘導体、にかわ、カルボ
キシルメチルセルロースなどの繊維素誘導体、アルギン
などの表面サイズ剤、スチレン−ブタジエンゴムハ、ア
クリロニトリル−ブタジエンゴムなどの合成ゴム乳剤、
スチレン−マレイン酸共重合体、ケテンダイマー、コロ
イド状ケイ酸、メラミン樹脂、尿素樹脂、ケイ素樹脂、
ポリウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリ
ビニルブチラート、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、顔
料分散剤、増粘剤、流動性変性剤、消泡剤、抑泡剤、離
型剤、発泡剤、浸透剤、耐水化剤、保湿剤、防腐剤、酸
化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、着色染料、酸化
チタン、炭酸カルシウム、サチンホワイト、硫酸バリウ
ム、タルク、シリカ、酸化亜鉛、水酸化アルミニウムな
どの白色顔料などの着色顔料などの添加剤を、必要に応
じて、本発明の被記録材用処理液に適宜配合することが
できる。
【0047】かくして得られる本発明の被記録材形成用
処理液は、記録画像に優れた耐水性を付与し、ドットの
周辺の鮮明度およびドット濃度を向上させるという優れ
た性質を有するものである。
【0048】〔被記録材の製造〕以上説明した被記録材
形成用処理液で被塗物を処理することによって、アニオ
ン性ポリマーとカチオン性ポリマーを反応させて析出さ
せた有機高分子凝集体と、無機質粒子とを含有する本発
明の被記録材を得ることができる。前記被塗物として
は、たとえば非木材繊維または木材繊維である植物繊維
を主原料とする紙、ユポ(王子製紙(株)性)などで代
表される合成紙などの普通紙;木綿、麻、ポリエステル
繊維などの素材からなる織布;木製薄板;ポリエステ
ル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポ
リカーボネート、ポリメチルメタクリレート、酢酸セル
ロースなどの透明または不透明の樹脂シートないしフィ
ルムなどがあげられるが、本発明はかかる例示のみに限
定されるものではない。
【0049】被記録材を形成する基材としては、紙、繊
維、フィルム、ポリエステル等の布、レーヨン、絹等の
繊維、木片、石膏ボード等、種々の材料が挙げられ、こ
れら基材を本発明の被記録材形成用処理液で処理して被
記録材を得ることができる。前記被記録材形成用処理液
で基材を処理する方法としては、たとえば塗工方法、含
浸方法などの塗装法によって前記被記録材形成用処理液
を基材に適用する方法などがあげられる。
【0050】前記塗工方法としては、たとえばホリゾン
タルサイズプレス法、ロールコーター法、カレンダーサ
イズプレス法などで代表されるサイズプレス法;エアー
ナイフコーター法などで代表されるサイズプレス法;エ
アーナイフコーター法などで代表されるナイフコーター
法;ゲートロールコーター法などのトランスファーロー
ルコーター法、ダイレクトロールコーター法、リバース
ロールコーター法、スクイズロールコーター法などで代
表されるロールコーター法;ビルブレードコーター法、
ショートデュエルコーター法;ツーストリームコーター
法などで代表されるブレードコーター法;ロッドバーコ
ーター法などで代表されるバーコーター法;ロッドバー
コーター法などで代表されるバーコーター法;キャスト
コーター法;グラビアコーター法;カーテンコーター
法;ダイコーター法;ブラシコーター法;転写法などが
あげられる。前記含浸方法としては、たとえばプレウェ
ット法、フロート法、ドクタバー法などが挙げられる。
【0051】前記被記録材形成用処理液の塗布量は、被
塗物の種類によって異なり、一概には決定することがで
きないが、通常、固形分量で0.1〜5g/m程度で
あればよい。前記被記録材形成用処理液で被塗物を処理
した後は、前記被塗物を乾燥させればよい。基材の少な
くとも片面にインク受容層を設ければよく、インク受容
層の厚さも一概には決定できないが、通常、2〜20μ
m、より好ましくは3〜10μm程度であればよい。か
くしてえられる被記録材は、前記被記録材形成用処理液
で処理されたものであるので、記録画像にすぐれた耐水
性を付与し、ドットの周辺の鮮明度およびドット濃度を
向上させるというすぐれた性質を有するものである。
【0052】〔被記録材の記録方法〕本発明の被記録材
の記録方法によれば、前記被記録材に、着色剤を含有す
るインクで記録することにより、前記記録材に記録する
ことができる。前記インクに用いられる着色剤として
は、染料及び顔料が挙げられる。前記染料としては、た
とえばアニオン性染料、カチオン性染料があげられる。
前記アニオン性染料の代表例としては、たとえば酸性染
料、直接染料、反応性染料、食品用色素、蛍光増白剤な
どがあげられる。
【0053】また、前記カチオン性染料の代表例として
は、たとえば塩基性染料などがあげられる。前記顔料と
しては、有機顔料および無機顔料があげられる。前記有
機顔料の代表例としては、たとえばモノアゾ系顔料、ジ
スアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系
顔料などがあげられる。また、前記無機顔料の代表例と
しては、たとえばカーボンブラック、酸化チタン、酸化
亜鉛、硫化亜鉛などがあげられる。
【0054】前記着色剤は、一種類を単独で、または二
種類以上を組み合わせて混合して用いることができる。
前記インクに含まれる着色剤の量は、着色性の点から、
0.1重量%以上、なかんづく1重量%以上であること
が好ましく、また印字適性の点から、10重量%以下、
なかんづく5重量%以下であることが好ましい。前記イ
ンクに用いられる水性媒体には、主として水が用いられ
る。かかる水としては、とくに限定がなく、たとえばイ
オン交換水、精製水などがあげられる。
【0055】前記水性媒体には、必要により、メタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコールなどの1価の
アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、グリセリンなどの多価ア
ルコールなどのアルコールを廃合することができる。ま
た、前記インクには、さらに、必要により、たとえばp
H調整剤、金属封鎖剤、防黴剤、粘度調整剤、湿潤剤、
界面活性剤、防錆剤などの添加剤を配合してもよい。前
記被記録材に、着色剤を含有するインクで記録する方法
としては、本発明においては、インクジェット記録方法
が好適に使用しうる。
【0056】本発明の被記録材の記録方法によれば、イ
ンクは、アニオン性またはカチオン性を呈するものであ
るため、前記被記録材用処理液に含有されたカチオン性
ポリマーとアニオン性ポリマーとからなる複塩に取り込
まれるようになるため、記録画像の耐水性、ドットの周
辺の鮮明度およびドット濃度を改善させることができる
と考えられる。また、本発明の凝集体分散液は、例えば
建材塗料用としてのアニオン成分(たばこ、ケチャッ
プ,木質ヤニ等)の泣き出し防止プライマー、木工用の
パテ、粒子を利用した研磨剤、印刷物用紙の印刷濃度向
上剤、繊維関係の均染化、濃染化剤として用いることも
できる。
【0057】〔実施例〕以下に本発明を実施例により更
に具体的に説明する。なお、部及び%は特にことわりの
ない限り重量部及び重量%を示す。
【0058】(実施例1〜43) (被記録材形成用処理液の調製)表−1〜5に示す割合
でアニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、水(イオ
ン交換水)、無機質粒子及び添加剤を混合して、内部に
無機質粒子を含有するポリマー凝集体を析出させた。混
合方法は予め添加剤、無機質粒子、水及びアニオン性ポ
リマーを混合した液を調製しておき、そこにカチオン性
ポリマーを滴下しながら撹拌した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】表−1〜5中、アニオン性ポリマーはスチ
レンアクリル酸共重合体(ジョンソンポリマー(株)
製、「ジョンクリル70」(固形分30%))、カチオ
ンポリマーはポリアミン(センカ(株)製、「KZ−1
25K」(固形分50%))である。添加剤はスチレン
無水マレイン酸エチレンオキサイド付加物(分散剤)、
アセチレングリコール系消泡剤、防腐剤である。
【0065】また表−1〜5中の無機質粒子のメーカー
名、品名及び物性(平均粒子径、比表面積、吸油量)
を、表−6に示す。撹拌を続けるとアニオン性ポリマー
とカチオン性ポリマーの複塩生成反応により凝集物が生
成し白濁し粘稠な液となった。析出した複塩凝集物をペ
イントシェーカーで分散し、被記録材用処理液を得た。
【0066】
【表6】
【0067】(凝集体の観察)実施例1、実施例18及
び実施例41で得られた被記録材用処理液を電子顕微鏡
で観察した。得られた電子顕微鏡写真(各々、10,0
00倍、15,000倍及び10,000倍)を各々、
図1、図2及び図3に示す。凝集体が形成されており、
内部に無機質粒子が取り込まれ、無機質領域が実質的に
均一に有機高分子領域で覆われていることがわかる。
【0068】(塗工及び印字テスト)得られた被記録材
用処理液を用い、コクヨKB−OA用紙に各被記録材用
処理液の原液をバーコーター#22で塗工し被記録材を
得た。得られた被記録材に、セイコーエプソン(株)製
「PM800C」を使用して画像、文字、ベタ印刷、細
線を印字して、評価用の記録画像印刷物を得た。
【0069】インクとしては、インクA(アニオン性染
料含有、BK(ブラック)、M(マゼンタ)、Y(イエ
ロー)およびC(シアン)の4色)またはインクB(カ
チオン性染料含有、BK(ブラック)、M(マゼン
タ)、Y(イエロー)およびC(シアン)の4色)を用
いた。記録画像の耐水性、ドット周辺の鮮明度及びドッ
ト印字濃度を調べた。比較対象物として、以下の2つを
対象物とした。 比較対象物1:未処理のコクヨKB−OA用紙 比較対象物2:以下の方法で処理したコクヨKB−OA
用紙
【0070】(比較対象物2の作成)無機質粒子を用い
ない以外は実施例1と同様にして被記録材用処理液を
得、実施例1と同様にして被記録材を得、これを比較対
象物2とした。
【0071】(試験方法)耐水性の評価は、被記録材上
に印字した記録画像上に、水滴をスポイドで1滴落と
し、乾燥するまで放置した後、その滲み状態を、比較対
象物におけるものと比較して評価した。ドットの周辺の
鮮明度及びドット印字濃度は、各実施例の被記録材上に
印字された記録画像を、目視観察により比較対象物上に
印字された記録画像と比較して評価した。評価基準は以
下の通りである。
【0072】(評価基準) S 比較対象物と比較して著しく改善している A 比較対象物と比較して改善している B 比較対象物と比較して同等 C 比較対象物と比較して劣る
【0073】評価結果を表−8〜11に示す。表−8、
9は、比較対象物1との比較による評価結果であり、表
−10、11は、比較対象物2との比較による評価結果
である。
【0074】
【表7】
【0075】
【表8】
【0076】
【表9】
【0077】
【表10】
【0078】
【表11】
【0079】(実施例44〜50)表−7に示す割合で
アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、水(イオン
交換水)、及び添加剤を混合して撹拌して複塩生成反応
を行った。凝集物が生成し白濁し粘稠な液となった。析
出した複塩凝集物をペイントシェーカーで分散した。さ
らに、表−7に示す割合で無機質粒子を後添加して処理
液とした。実施例45で得られた処理液を電子顕微鏡で
観察した。図3に電視顕微鏡写真を示す(5,000
倍)。無機質粒子同士が集合してより大きな粒子を形成
しているものがあり、不均一な粒度分布となっているこ
とがわかる。実施例44〜50で得られた処理液につい
ても、実施例と同様の方法によりコクヨKB−OA用紙
に塗布して被記録材を作成し、印字テストを行った。結
果を表−8〜11に示す。
【0080】表−8、9に示すように、各実施例で得ら
れた被記録材の、比較対象物1との比較によるの評価結
果から、本発明の被記録材形成用処理液で処理して得ら
れた被記録材を用いれば、未処理の記録材に比較して著
しく印字特性が向上することがわかる。また、表−1
0、11に示すように、各実施例で得られた被記録材
の、比較対象物2との比較により、本発明の被記録材形
成用処理液で処理して得られた被記録材を用いれば、無
機質粒子を含有しない被記録材形成用処理液で処理した
ものに比較しても大幅に印字特性が向上することがわか
る。
【0081】なお、実施例1〜43及び実施例44〜5
0の結果より、無機質領域が実質的に均一に有機高分子
領域で被覆されてなる有機高分子凝集体を含有する被記
録材形成用処理液で処理して得られた被記録材を用いれ
ば、有機高分子凝集体を析出させてから無機質粒子を添
加して得られた処理液で処理したものに比較して、より
一層優れた印字特性を得ることができることがわかる。
【0082】
【発明の効果】本発明の被記録材形成用処理液を用いて
被記録材を作製すれば、インクジェット印刷時にインク
が媒体に速やかに吸収されインキが流れ出さず、インク
ドットの横方向への拡散が少なく滲みがなく、画像や文
字の耐水性の性能に優れた被記録材を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた凝集体の電視顕微鏡写真
(10,000倍)を示す図
【図2】実施例18で得られた凝集体の電視顕微鏡写真
(15,000倍)を示す図
【図3】実施例41で得られた凝集体の電視顕微鏡写真
(10,000倍)を示す図
【図4】実施例45で得られた塗布液中の生成物の電視
顕微鏡写真(5,000倍)を示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 201/02 C08L 101:00 // C08L 101:00 B41J 3/04 101Y Fターム(参考) 2C056 EA13 FC06 2H086 BA01 BA15 BA33 BA35 BA37 BA46 4F070 AA18 AA29 AA57 AA72 AC04 AC13 AC16 AC20 AC22 AC23 AD01 AE01 AE04 4J038 CC021 CC022 CG031 CG032 CG141 CG142 CG171 CG172 CK041 CK042 CR071 CR072 DA141 DA142 DA161 DA162 DF021 DF022 DH021 DH022 DJ011 DJ012 DK011 DK012 EA011 EA012 GA06 HA026 HA166 HA266 HA376 HA446 HA456 HA506 KA08 KA20 PB11

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマー
    を反応させて析出させた有機高分子凝集体と、無機質粒
    子とを含有する被記録材。
  2. 【請求項2】アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマー
    を反応させて析出させた有機高分子凝集体と、無機質粒
    子とを含有する被記録材形成用処理液。
  3. 【請求項3】内部に無機質領域を含有する有機高分子凝
    集体。
  4. 【請求項4】無機質領域が有機高分子領域により実質的
    に均一に覆われていることを特徴とする請求項3記載の
    有機高分子凝集体。
  5. 【請求項5】アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマー
    とを無機質粒子の存在下で反応させて有機高分子凝集体
    を析出させることを特徴とする、内部に無機質領域を含
    有する有機高分子凝集体の製造方法。
  6. 【請求項6】アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマー
    とを反応させて有機高分子凝集体を析出させ、さらに無
    機質粒子を添加して混合することを特徴とする、内部に
    無機質領域を含有する有機高分子凝集体の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項3又は4記載の有機高分子凝集体が
    分散されてなる分散液。
  8. 【請求項8】請求項5又は6記載の製造方法により得ら
    れた有機高分子凝集体が分散されてなる分散液。
  9. 【請求項9】請求項3又は4記載の有機高分子凝集体を
    含有する被記録材形成用処理液。
  10. 【請求項10】請求項5又は6記載の製造方法により得
    られた有機高分子凝集体を含有する被記録材形成用処理
    液。
  11. 【請求項11】請求項2、9又は10記載の被記録材形
    成用処理液を被塗物に塗工してなる被記録材。
  12. 【請求項12】請求項2、9又は10記載の被記録材形
    成用処理液を基材に含浸してなる被記録材。
  13. 【請求項13】少なくとも片面に、請求項2、9又は1
    0記載の被記録材形成用処理液で処理してインク受容層
    が形成されてなるシート状被記録材。
  14. 【請求項14】請求項2、9又は10記載の被記録材形
    成用処理液を被塗物に塗工してなる被記録材に、着色剤
    を含有するインクで記録することを特徴とする被記録材
    の記録方法。
  15. 【請求項15】インクジェット記録方法に用いられる、
    請求項11〜13のいずれかに記載の被記録材。
  16. 【請求項16】無機質粒子が、合成シリカである請求項
    5又は6記載の有機高分子凝集体の製造方法。
  17. 【請求項17】合成シリカの一次粒子径が0.003μ
    m〜30μmである請求項16記載の有機高分子凝集体
    の製造方法。
  18. 【請求項18】合成シリカが、ゾル法によって合成され
    たコロイダルシリカである請求項16又は17記載の有
    機高分子凝集体の製造方法。
  19. 【請求項19】合成シリカが、気相法によって合成され
    た超微粒子シリカである請求項16又は17に記載の有
    機高分子凝集体の製造方法。
  20. 【請求項20】合成シリカが、湿式法によって合成され
    た含水ケイ酸である請求項16又は17に記載の有機高
    分子凝集体の製造方法。
  21. 【請求項21】無機質粒子が、珪酸塩である請求項5又
    は6記載の有機高分子凝集体の製造方法。
  22. 【請求項22】無機質粒子が、酸化物である請求項5又
    は6記載の有機高分子凝集体の製造方法。
  23. 【請求項23】無機質粒子が、水酸化物である請求項5
    又は6記載の有機高分子凝集体の製造方法。
  24. 【請求項24】無機質粒子が、炭酸塩である請求項5又
    は6記載の有機高分子凝集体の製造方法。
  25. 【請求項25】無機質粒子が、硫酸塩である請求項5又
    は6記載の有機高分子凝集体の製造方法。
  26. 【請求項26】無機質粒子が、炭素である請求項5又は
    6記載の有機高分子凝集体の製造方法。
  27. 【請求項27】請求項5、6、16、17、18、1
    9、20、21、22、23、24、25又は26に記
    載の製造方法により得られた有機高分子凝集体を含有す
    る被記録材形成用処理液。
  28. 【請求項28】請求項27に記載の被記録材形成用処理
    液で基材を処理することを特徴とする被記録材の製造方
    法。
  29. 【請求項29】請求項28記載の製造方法により得られ
    た被記録材上に、着色剤を含有するインク組成物で記録
    することを特徴とする被記録材の記録方法。
  30. 【請求項30】インク組成物で記録する方法が、インク
    ジェット記録方法である請求項29記載の被記録材の記
    録方法。
  31. 【請求項31】基材上の少なくとも片面にインク受容層
    が設けられてなる被記録材であって、該インク受容層
    が、アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーを反応さ
    せて析出させた有機高分子凝集体と、無機質粒子とを含
    有してなる被記録材。
  32. 【請求項32】インク受容層の厚さが2〜20μmであ
    る請求項31記載の被記録材。
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