JP2002326310A - 樹脂塗装金属板 - Google Patents

樹脂塗装金属板

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JP2002326310A
JP2002326310A JP2001131219A JP2001131219A JP2002326310A JP 2002326310 A JP2002326310 A JP 2002326310A JP 2001131219 A JP2001131219 A JP 2001131219A JP 2001131219 A JP2001131219 A JP 2001131219A JP 2002326310 A JP2002326310 A JP 2002326310A
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mass
coated metal
ethylene
carboxylic acid
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English (en)
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Masashi Imahori
雅司 今堀
Tomio Kajita
富男 梶田
Takeshi Watase
岳史 渡瀬
Tadashige Nakamoto
忠繁 中元
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐食性を有するのみならず、塗装性、
潤滑性、加工性、アース性等の各種特性に優れ、かつこ
れらの性能のバランスが良好な樹脂皮膜を有する樹脂塗
装金属板を提供する。 【解決手段】 エチレン−不飽和カルボン酸共重合体
と、下記一般式(1)で表されるアミノアルコールをエ
チレン−不飽和カルボン酸共重合体に対して0.1〜1
0質量%含む乳化樹脂組成物から形成された樹脂皮膜を
備えることを特徴とする樹脂塗装金属板。 【化1】 (ただし、X、Y、Zのうちの1〜3個は、C2〜C4
のアルキレンオキサイドが1〜10モル連結し、かつ、
該アルキレンオキサイド残基を介して末端がヒドロキシ
ル基である基であり、残りの0〜2個は低級アルキル基
である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家庭用電気製品や
建材等の用途に好適に用いることができる耐食性に優れ
た樹脂塗装金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、家庭用電気製品や建材用途に用い
られる金属板としては、アルミニウム板やステンレス鋼
板のほか、電気亜鉛めっき鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板等
の表面処理鋼板が広く用いられている。その中でも、亜
鉛めっき系の表面処理鋼板については、従来クロメート
処理やリン酸塩処理を施したものや有機樹脂塗装鋼板等
が、家庭用電気製品を中心として、音響機器、コンピュ
ータ部品、電子レンジの底板等、種々の部材に広く用い
られている。しかし、近年、これらの表面処理鋼板に対
するユーザーニーズは益々高度化し、種々多様な皮膜性
能が要求されるに至っている。
【0003】例えば、表面処理鋼板が裸使用される場合
には、耐食性、アース性、指紋が付着しても目立ちにく
い耐指紋性、アルカリや溶剤等に対する耐薬品性、耐汚
染性等が要求される。また、プレス加工や打ち抜き加工
される場合には、潤滑性、耐疵付き性、深絞り加工性、
耐金型摩耗性、打ち抜き性、加工摺動面の耐黒化性、プ
レス油、速乾性油等の耐油性が要求される。
【0004】このような種々の要求特性を満足するた
め、下記に示すような有機樹脂皮膜を形成した樹脂塗装
鋼板が多く提案されている。例えば、特開昭62-50480号
公報には、亜鉛めっき系鋼板をクロメート処理した後、
その上にカルボキシル化ポリオレフィン系樹脂とエポキ
シ樹脂とからなり、コロイダルシリカを含む有機皮膜を
形成することによって、耐食性、塗装性、耐溶剤性、耐
アルカリ性および耐指紋性の改善を図った亜鉛めっき鋼
板が記載されている。また、特開昭64-73083号公報に
は、金属酸化物のコロイドゾルを含むエチレン‐α,β
‐不飽和カルボン酸共重合体の分散液中で、重合性エチ
レン系不飽和化合物を乳化重合させ、重合終了後、さら
にカルボキシル基を利用して重合体を架橋させた処理液
を調整し、これをクロメート処理した亜鉛めっき鋼板に
塗布して、密着性、耐指紋性、耐コインスクラッチ性、
耐食性等の向上を図った表面処理鋼板が記載されてい
る。
【0005】特公平5-54823号公報には、亜鉛めっき鋼
板をクロメート処理した後、コロイダルシリカを含むエ
チレン‐不飽和カルボン酸共重合体とアジリジニル基を
有する有機物からなる樹脂液を塗布し、乾燥させて、架
橋皮膜を形成することによって、塗装性、耐食性、耐薬
品性及び耐疵付き性を改善した樹脂塗装金属板を得るこ
とができることが記載されている。
【0006】特開平6-246229号公報には、亜鉛めっき鋼
板にクロメート処理を施し、その上にエチレンとα、β
-エチレン性不飽和カルボン酸を主鎖成分とし、カルボ
キシル基の60〜80質量%をナトリウムイオンで中和
したエチレン系アイオノマー樹脂からなる樹脂皮膜を形
成することによって、良好な耐食性を維持しつつ、耐黒
変性を改善した有機複合被覆鋼板を得ることが記載され
ている。
【0007】これらの先行技術によって、耐食性、塗装
性、耐指紋性、耐薬品性、耐汚染性、潤滑性、耐疵付き
性、深絞り加工性、耐金型摩耗性、加工摺動面の耐黒化
性、耐油性、アース性等の各特性はある程度改善されて
きた。しかしながら、さらに最近になって、コストダウ
ンのために後塗装工程を省略したいという要望や、地球
環境保全のためのクロムフリー(クロメート処理を行わ
ないようにする)の動き等により、有機樹脂皮膜に対し
て今まで以上の耐食性が要求されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の樹脂
塗装金属板、特に樹脂塗装鋼板における上述したような
問題を解決するためになされたものであって、優れた耐
食性を有するのみならず、塗装性、潤滑性、加工性、ア
ース性等の各種特性に優れ、かつこれらの性能のバラン
スが良好な樹脂皮膜を有する樹脂塗装金属板の提供を課
題として掲げた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の樹脂塗装金属板
は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体と、下記一般
式(1)で表されるアミノアルコールをエチレン−不飽
和カルボン酸共重合体に対して0.1〜10質量%含む
乳化樹脂組成物から形成された樹脂皮膜を備えるところ
に要旨を有する。
【0010】
【化2】
【0011】(ただし、X、Y、Zのうちの1〜3個
は、C2〜C4のアルキレンオキサイドが1〜10モル
連結し、かつ、該アルキレンオキサイド残基を介して末
端がヒドロキシル基である基であり、残りの0〜2個は
低級アルキル基である。)
【0012】上記特定のアミノアルコールを特定量使用
して、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を乳化して
得られる乳化樹脂組成物を用いて金属板表面に樹脂皮膜
を形成することにより、耐食性を向上させることができ
た。
【0013】上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体
は、不飽和カルボン酸が1〜40質量%共重合されたも
のであることが好ましい。不飽和カルボン酸量がこの範
囲であれば、乳化分散性と耐食性が良好なためである。
【0014】上記乳化樹脂組成物が、さらに、カルボキ
シル変性ウレタン樹脂と、金属炭酸塩、金属水酸化物お
よび金属酸化物よりなる群から選択される1種以上の架
橋用金属化合物を含むものであることは、本発明の好ま
しい実施態様である。エチレン−不飽和カルボン酸共重
合体のカルボキシル基および/またはカルボキシル変性
ウレタン樹脂のカルボキシル基が架橋用金属化合物によ
って架橋され、良好な特性の樹脂皮膜が得られるからで
ある。この点で、カルボキシル変性ウレタン樹脂の酸価
は、3〜155が好ましく、また、架橋用金属化合物が
2価以上の金属元素の化合物であることが好ましい。上
記効果の発揮のためには、カルボキシル変性ウレタン樹
脂は、乳化樹脂組成物中、エチレン−不飽和カルボン酸
共重合体に対して5〜80%質量部含まれていることが
好ましい。
【0015】乳化樹脂組成物の固形分100質量%中
に、アジリジン化合物が1〜20質量%含まれている
と、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体やカルボキシ
ル基変性ウレタン樹脂のカルボキシル基と架橋を行うた
め、樹脂皮膜の物性が一層向上する。
【0016】耐食性および潤滑性向上のため、乳化樹脂
組成物の固形分100質量%中に、平均粒子径1〜20
0nmのシリカ粒子が5〜30質量%含まれていてもよ
い。また、乳化樹脂組成物の固形分100質量%中に、
ワックスが0.5〜10質量%含まれていると、一層潤
滑性が向上し、特に、平均粒子径が0.1〜3μmの実
質的に球状のポリエチレンワックスが好ましく使用でき
る。なお、耐食性やその他の特性を発揮させるために
は、樹脂皮膜の付着量が0.2〜2.5g/m2である
ことが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の樹脂塗装金属板は、金属
板の少なくとも片面に、特定の乳化樹脂組成物から形成
された樹脂皮膜を備えるものである。金属板としては、
特に限定されないが、例えば、亜鉛または亜鉛系めっき
鋼板、アルミニウム板、アルミ系合金板、チタン板等を
挙げることができる。また、これらの金属板に、リン酸
塩処理等の公知の防錆下地処理やその他の下地処理を施
し、その上に樹脂皮膜を形成させてもよい。環境問題の
観点からは、クロメート処理を施さないことが好まし
い。
【0018】樹脂皮膜形成のために本発明において用い
られる乳化樹脂組成物は、必須成分として、エチレン−
不飽和カルボン酸共重合体を含むものである。このエチ
レン−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと、エチ
レン性不飽和カルボン酸の共重合体である。不飽和カル
ボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イ
ソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が
挙げられ、これらのうちの1種以上と、エチレンとを、
乳化重合法や高温高圧重合法等で重合することにより、
共重合体を得ることができる。共重合体としては、ラン
ダムが最も好ましいが、ブロック共重合体や、不飽和カ
ルボン酸部分がグラフトしたような共重合体でも良い。
【0019】エチレンと不飽和カルボン酸との好ましい
共重合体比率は、エチレン60〜99質量%、不飽和カ
ルボン酸1〜40質量%である。1質量%よりも不飽和
カルボン酸が少ないと、官能基が少な過ぎて、本発明の
目的を達成することができず、また、環境保護のための
乳化安定性が良くない。より好ましい不飽和カルボン酸
の下限は8質量%である。一方、不飽和カルボン酸が4
0質量%を超えると、樹脂皮膜の耐食性や耐水性が劣
り、またブロッキング性が強くなって取扱いが難しくな
るため、好ましくない。より好ましい上限は30質量%
である。なお、不飽和カルボン酸としては(メタ)アク
リル酸が最も好ましい。また、エチレンの一部に変えて
プロピレンまたは1−ブテン等のオレフィン系モノマー
を用いてもよく、さらに本発明の目的を阻害しない範囲
であれば、他の公知のビニル系モノマーを一部共重合し
てもよい。
【0020】本発明の乳化樹脂組成物には、さらに、必
須成分として下記一般式(1)で示されるアミノアルコ
ールが含まれている。
【0021】
【化3】
【0022】(ただし、X、Y、Zのうちの1〜3個
は、C2〜C4のアルキレンオキサイドが1〜10モル
連結し、かつ、該アルキレンオキサイド残基を介して末
端がヒドロキシル基である基であり、残りの0〜2個は
低級アルキル基である。)
【0023】上記アミノアルコールは、アルキルアミン
に、C2〜C4のアルキレンオキサイド、すなわち、エ
チレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオ
キサイドのうちの1種以上を反応させて得られるもので
あり、これによりアルキレンオキサイド残基を介して末
端がヒドロキシル基となる基が形成される。X、Y、Z
のうちの少なくとも1個は、このような長い側鎖を有す
る末端ヒドロキシル基でなければならず、2個あるいは
3個全てがこの基であっても良い。この基の存在によっ
て、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を5nm〜
0.5μmレベルの微粒子に乳化することができ、乳化
樹脂組成物の乾燥性・造膜性を向上させることができ
た。さらに、樹脂皮膜の耐食性や潤滑性もバランス良く
向上させることができた。
【0024】なお、アルキレンオキサイドの付加モル数
は平均で1〜10モルであり、10モルを超えて付加さ
せると微粒子化が不充分となり、上記効果が発揮されな
い。より好ましいアルキレンオキサイドの付加モル数は
2〜10モル以上である。アルキレンオキサイド残基を
介して末端がヒドロキシル基となる基が、X、Y、Zの
うちの1個または2個の場合、この基以外の基は、アル
キルアミンのアルキル基に由来する炭素数1〜6個の低
級アルキル基である。
【0025】上記一般式(1)で表されるアミノアルコ
ールの具体例としては、トリエタノールアミン、N−メ
チルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノール
アミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−
ジブチルエタノールアミン、N−メチルポリアルカノー
ルアミン、N−エチルポリアルカノールアミン、N,N
−ジメチルポリアルカノールアミン、N,N−ジエチル
ポリアルカノールアミン等が挙げられる。なお、(アル
キル)ポリアルカノールアミンの「ポリアルカノール」
とは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブ
チレンオキサイドの1種または2種以上が、アルキルア
ミンに対し、合計3〜10モル以上付加されていること
を意味する。上記アミノアルコールの中でも、N−メチ
ルジエタノールアミンや(アルキル)ポリアルカノール
アミンが、微粒子化の観点から好ましい。
【0026】上記アミノアルコールは、エチレン−不飽
和カルボン酸共重合体を100質量%としたときに、
0.1〜10質量%使用することが、共重合体の微粒子
化、造膜性、得られる樹脂皮膜の耐食性、耐水性、密着
性等をバランスよく得られるため好ましい。0.1質量
%より少ないと微粒子化が不充分となり、造膜性や密着
性が低下して耐食性向上効果が発揮されず、10質量%
を超えると、耐水性等が低下するため好ましくない。
【0027】エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカ
ルボキシル基量が少なかったり、分子量が高いなどで、
上記アミノアルコールだけでは乳化安定性が不充分な場
合には、公知の界面活性剤、水酸化ナトリウム等の公知
のアルカリ類、アンモニアやトリエチルアミン等のアミ
ン類等を併用してもよい。樹脂皮膜の耐水性の観点から
は、界面活性剤よりは、アルカリおよび/またはアンモ
ニア・アミン類が好ましい。
【0028】本発明で用いられる乳化樹脂組成物には、
さらに、カルボキシル変性ウレタン樹脂が乳化状態で含
まれていることが好ましい。カルボキシル変性ウレタン
樹脂を併用することが好ましいのは、エチレン−不飽和
カルボン酸共重合体との相溶性に優れ、これらのブレン
ド物からなる樹脂皮膜は、エチレン−不飽和カルボン酸
共重合体の有する耐水性、耐薬品性、潤滑性等の性能を
損なうことなく、ウレタン樹脂の有する耐食性や加工
性、耐疵付き性等が良好となるからである。またウレタ
ン樹脂は様々な分子設計ができ、幅広い物性の調整が可
能というメリットも有する。カルボキシル変性を行うの
は、乳化能を与えるためと、後述する金属化合物によ
り、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシ
ル基と架橋させて、樹脂皮膜の強度、耐食性等を一層向
上させるためである。
【0029】カルボキシル変性度合いとしては、酸価が
3〜155mgKOH/gであることが好ましい。酸価
が3mgKOH/g以下では乳化安定性に劣り、目的と
する改質効果が不充分となることがある。また、155
mgKOHを超えると、得られる樹脂皮膜の耐水性や耐
薬品性が劣る結果となる。
【0030】本発明で用いられる乳化樹脂組成物中、カ
ルボキシル変性ウレタン樹脂は、エチレン−不飽和カル
ボン酸共重合体100質量%に対して、5〜80質量%
含まれていることが好ましい。5質量%より少ないと、
目的とする改質効果が得にくく、加工性、耐食性が充分
に発揮できないことがある。また80質量%を超えて添
加すると、乳化樹脂組成物全体の粒子径分布が広くな
り、前記アミノアルコールの使用による微粒子化および
造膜性改善効果が際立たなくなるため好ましくない。
【0031】カルボキシル変性ウレタン樹脂は、公知の
ポリオール成分とポリイソシアネート成分から末端イソ
シアネートのウレタンプレポリマーを得て、これに、ヒ
ドロキシル基とカルボキシル基とを併せ持つ化合物、例
えば、ジメチロールプロピオン酸等のジメチロールを反
応させることにより、カルボキシル基を有するプレポリ
マーを得て、そのまま、またはアミン等で鎖延長を行
い、乳化することにより、カルボキシル変性ウレタン樹
脂エマルションとして得ることができる。
【0032】なお、本発明の目的を阻害しない範囲内で
あれば、ウレタン樹脂の一部に変えて、合成ゴム系、ア
クリル系、スチレン系等の他の樹脂エマルションを併用
することができる。この場合、これらの他の樹脂エマル
ションもカルボキシル基を有する方が好ましい。
【0033】エチレン−不飽和カルボン酸共重合体とカ
ルボキシル変性ウレタン樹脂は、いずれもカルボキシル
基を有しているので、金属イオンによって架橋するた
め、乳化樹脂組成物に、金属炭酸塩、金属水酸化物およ
び金属酸化物よりなる群から選択される1種以上を添加
しておくことが好ましい。イオン架橋によって、樹脂皮
膜の耐食性、耐疵付き性等の諸特性を向上させることが
できる。また、カルボキシル変性ウレタン樹脂を併用し
ない場合でも、これらの金属化合物を使用することでエ
チレン−不飽和カルボン酸共重合体がアイオノマー化す
るため好ましい。架橋用金属化合物の量としては、エチ
レン−不飽和カルボン酸共重合体とカルボキシル変性ウ
レタン樹脂とが有するカルボキシル基1当量に対し、金
属原子が0.01〜0.10当量となるように添加する
ことが好ましい。0.01当量以下では、カルボキシル
基との架橋反応が不充分となり、樹脂皮膜の耐水性を低
下させることとなる。また、後塗装のための脱脂工程で
使用されるアルカリ化合物中のNaイオンやKイオン等
の一価金属によって樹脂皮膜が親水化して、耐食性や塗
装性を低下させるという不都合も生じる。一方、0.1
当量を超えて配合すると、樹脂皮膜の架橋密度が過度に
高くなりすぎて硬度が上昇し、プレス加工時の変形に追
従できなくなることからクラックが発生することがあり
好ましくない。
【0034】具体的には、Ba,Fe,Ca,Mg,C
u,Zn,Mn等の二価の金属を基にして作られた、B
aCO3、FeCO3、CaCO3、MgCO3、CuCO
3、ZnCO3等の金属炭酸塩、さらにBa(OH)2
Fe(OH)2、Fe(OH)3、Ca(OH)2、Mg
(OH)2、Zn(OH)2等の金属水酸化物、CaO、
MgO、ZnO等の金属酸化物が挙げられる。これらは
必要に応じて選定し使用され、また混合して使用され
る。
【0035】この他、カルシウム化合物で例示すると、
乳酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、カルボキシ
メチルセルロースカルシウム、ステアロイル乳酸カルシ
ウム、プロピオン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、
グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ピ
ロリン酸二水素カルシウム、リン酸一水素カルシウム、
リン酸二水素カルシウム、リン酸三カルシウム等の有機
酸カルシウム塩も必要に応じ併用することができ、他の
金属系についても同様である。
【0036】乳化樹脂組成物中には、カルボキシル基と
反応し得る官能基であるアジリジニル基を有する架橋剤
を添加してもよい。架橋剤として働くためには、分子中
に平均で1.5〜3.5個のアジリジニル基を有してい
ることが好ましく、具体的には、N,N’−ヘキサメチ
レン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミ
ド)、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス
(1−アジリジンカルボキシアミド)、トルエンビスア
ジリジンカルボキシアミド等の2官能アジリジン化合
物;トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、ト
リメチロールプロパントリ(β−アジリジニルプロピオ
ネート)、テトラメチルプロパンテトラアジリジニルプ
ロピオネート等の3官能以上のアジリジン化合物あるい
はこれらの誘導体等が挙げられる。これらの多官能アジ
リジンと、1官能アジリジン(エチレンイミン等)を併
用してもよい。
【0037】アジリジン化合物は、乳化樹脂組成物の固
形分100質量%中、1〜20質量%含まれていること
が好ましい。1質量%以下では、カルボキシル基との架
橋反応が不充分となり、前記金属化合物を併用しない場
合は特にカルボキシル基が樹脂皮膜の耐水性を低下させ
ることとなる。また、前記したように、後塗装のための
脱脂工程で使用されるアルカリ化合物中のNaイオンや
Kイオンによって樹脂皮膜を親水化させ、耐食性や塗装
性を低下させるという不都合も生じる。一方、20質量
%を超えて配合すると、樹脂皮膜の架橋密度が過度に高
くなりすぎて硬度が上昇し、プレス加工時の変形に追従
できなくなることからクラックが発生し、その結果耐食
性や塗装性を低下させるため好ましくない。
【0038】本発明で用いられる乳化樹脂組成物には、
固形分換算で5〜30質量%のシリカ粒子を含有させて
もよい。耐食性、塗装性、耐疵付き性等の向上に効果的
である。5質量%より少ないとこれらの効果が発現しに
くいが、30質量%を超えると、シリカ粒子の割合が過
度に高くなって造膜性が低下し、乾燥工程の際に樹脂皮
膜塗膜にクラックが入ることがあり、耐食性低下につな
がるため好ましくない。さらには、シリカ粒子が増磨剤
として作用するようになり、皮膜の潤滑性を高め、摩擦
係数を低下させて、加工時における金型の摩耗を生じ、
金型の寿命を縮めることとなる。より好ましいシリカ粒
子の上限は20質量%である。
【0039】上記のようなシリカ粒子の効果を最大限に
得るには、シリカ粒子の平均粒子径が1〜200nmの
範囲にあることが好ましい。シリカ粒子の粒子径が小さ
くなるほど皮膜の耐食性が向上する。これは、樹脂皮膜
を緻密化し、密着性を向上させるため、耐食性を一層高
めると考えられる。このような観点からはシリカ粒子の
粒子径は小さいほど良いが、極端に微少な粒子となる
と、上記効果が飽和してしまうため、粒子径の下限は1
nmが好ましい。一方、シリカ粒子の粒子径が200n
mを超えると、樹脂皮膜の表面を粗くして、緻密な樹脂
皮膜を形成することができず、さらに、シリカ粒子が増
磨剤としても作用するので、加工性の劣化につながるた
め好ましくない。特に耐食性を重視する場合は、シリカ
粒子の平均粒子径を4〜100nmの範囲とすることが
好ましい。
【0040】このようなシリカ粒子は、通常、コロイダ
ルシリカとして知られており、本発明においては、例え
ば、「スノーテックス」シリーズ(日産化学工業社製の
コロイダルシリカ)の「XS」、「SS」、「40」、
「N」、「UP」等を好適に用いることができる。
【0041】本発明の乳化樹脂組成物には、ワックスが
固形分換算で0.5〜20質量%の範囲で含まれていて
もよい。ワックスは、得られる樹脂皮膜の潤滑性および
耐疵付き性の向上に効果がある。さらに、プレス加工や
打ち抜き加工の際に必要な深絞り性および打ち抜き性、
耐金型摩耗性、加工時における摺動面の耐黒化性を向上
させ、優れた加工性を付与するために好ましく使用され
るものである。
【0042】ワックスの量が固形分換算で0.5質量%
より少ない時には、得られる樹脂皮膜の潤滑性が不充分
となり、耐疵付き性の向上や、満足すべき加工性を得る
ことができない。他方、20質量%を超える場合は、得
られる樹脂皮膜の潤滑性は充分であるが、電着塗装や粉
体塗装、またはシルク印刷による後塗装が施された際の
塗膜密着性(塗装性)に劣る。この原因の一つとして、
後塗装工程での加熱によって、ワックスが軟化・液化
し、樹脂皮膜と後塗装の塗膜の界面に濃化するので、後
塗装の塗膜の密着性が悪くなるためと考えられる。より
好ましいワックスの上限値は10質量%であり、さらに
好ましい上限値は5.0質量%である。
【0043】ワックスとしては特に限定されず、天然ワ
ックス、合成ワックスこれらの混合物等が使用可能であ
る。天然ワックスとしては、例えば、カルナバワック
ス、ライスワックス、キャンデリラワックス、モンタン
系ワックス及びその誘導体、鉱油系ワックス、マイクロ
クリスタリンワックス、パラフィンワックス等の他、こ
れらにカルボキシル基を付与した誘導体も使用すること
ができる。
【0044】合成ワックスとしては、ポリエチレン、酸
化ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレ
ン共重合系ワックス、エチレンと他のモノマーとの共重
合ワックスの酸化ワックスがある。この系統は共重合相
手の変化でターポリマー系も含め多種使用することがで
きる。さらにマレイン酸の付加ワックス、脂肪酸エステ
ル系等が挙げられる。また、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、四フッ
化エチレン等のフッ素系樹脂のワックスも使用可能であ
る。
【0045】ワックスとしては、上記例示したもののう
ち、軟化点が80〜140℃のものを選択することが好
ましい。軟化点が80℃よりも低い時は、プレス加工や
打ち抜き加工の際に金型温度の上昇に伴ってワックス粒
子が軟化・液化してしまい、樹脂塗装鋼板と金型の摺動
面において、液化したワックスの液切れ現象が発生し、
加工性が低下して、擦り疵や金型との焼き付きが生じる
ため好ましくない。さらに、摺動部に黒化物が付着し
て、製品外観を著しく劣化させることがある。他方、軟
化点が140℃を超える時には、ワックスによる潤滑性
が不充分となって、打ち抜き性、耐金型摩耗性、深絞り
性等において向上が認められず、優れた加工性を得るこ
とができない。
【0046】ワックスとしては、球形ポリエチレンワッ
クスが最も好適であり、その際に、球形ポリエチレンワ
ックスの効果を最大限に得るには、ワックス粒子の粒子
径が0.1〜3μmであることが好ましい。ワックス粒
子の粒子径が0.1μmより小さいと、潤滑性、打ち抜
き性、耐金型摩耗性および深絞り性の顕著な向上を図る
ことが難しい。他方、ワックス粒子の粒子径が3μmを
超える場合には、微粒子化されている乳化樹脂組成物中
に均一に分散させることが難しいため、樹脂皮膜の金属
板への密着性が低下することがある。より好ましい球形
ポリエチレンワックスの粒子径は0.3〜1.0μmで
ある。
【0047】上述のような球形ポリエチレンワックスと
しては、例えば、「ダイジェットE−17」(互応化学
社製)、「KUE−1」、「KUE−5」、「KUE−
8」(三洋化成工業社製)、「ケミパール」シリーズ
(三井化学社製)の「W−100」、「W−200」、
「W−300」、「W−400」、「W−500」、
「W−640」、「W−700」等や、「エレポンE−
20」(日華化学社製)等のような市販品を好適に用い
ることができる。
【0048】本発明で用いられる乳化樹脂組成物は、必
須成分であるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体およ
びアミノアルコール、さらに必要に応じて用いられる界
面活性剤またはアルカリ・アミン類、カルボキシル変性
ウレタン樹脂、架橋用金属化合物、アジリジン化合物、
シリカ粒子、ワックス等を含む。エチレン−不飽和カル
ボン酸共重合体とカルボキシル変性ウレタン樹脂を樹脂
成分として用いる場合は、これらの樹脂成分が乳化樹脂
組成物の固形分の50質量%以上となるように、アジリ
ジン化合物、シリカ粒子、ワックス等の量を調整するこ
とが望ましい。
【0049】乳化樹脂組成物の調製方法は、まず、必須
成分であるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体および
アミノアルコールを水と共に、例えば、ホモジナイザー
装置等に投入し、必要により70〜250℃の加熱下で
高剪断力で撹拌することにより、必須成分のみの乳化樹
脂組成物が得られる。このとき、アルカリやアミン類
を添加して乳化を促進してもよい。カルボキシル変性ウ
レタン樹脂を添加する場合は、60℃〜室温で、乳化樹
脂組成物に、カルボキシル変性ウレタン樹脂エマルシ
ョンと架橋用金属化合物を添加し、撹拌混合すること
で、乳化樹脂組成物が得られる。適温に昇温して架橋
反応させることが好ましいが、樹脂皮膜の乾燥時にも加
熱されるため、その際に架橋反応を起こさせてもよい。
シリカ粒子、ワックス、アジリジン化合物は乳化樹脂組
成物とのいずれの段階で添加してもよい。
【0050】上記乳化樹脂組成物には、本発明の目的を
阻害しない範囲で、希釈溶媒、皮張り防止剤、レベリン
グ剤、消泡剤、浸透剤、乳化剤、造膜助剤、着色顔料、
増粘剤、シランカップリング剤、官能基や活性水素を持
たない他の樹脂等を適宜添加してもよい。
【0051】金属板上に樹脂皮膜を形成するには、上記
乳化樹脂組成物を、公知の塗布方法、すなわち、ロール
コーター法、スプレー法、カーテンフローコーター法等
を用いて、金属板表面の片面または両面に塗布して加熱
乾燥すればよい。加熱乾燥温度は、アジリジン化合物を
添加する場合は、アジリジン化合物とカルボキシル基の
架橋反応が進行する温度で行うことが好ましい。また、
潤滑剤として、球形のポリエチレンワックスを用いる場
合は、球形を維持しておく方が後の加工工程での加工性
が良好となるので、70〜130℃の範囲で乾燥を行う
ことが望ましい。
【0052】樹脂皮膜の付着量(厚み)は、乾燥後にお
いて、0.2〜2.5g/m2が好ましい。薄すぎる
と、金属板への均一塗工が難しく、加工性、耐食性、塗
装性等、目的とするバランスのとれた皮膜特性を得るこ
とができない。しかし、付着量が2.5g/m2を超え
ると、コンピュータハウジング等におけるアース性、す
なわち導電性が低下するため好ましくない。さらに、プ
レス加工の際に樹脂皮膜の剥離量が多くなって、金型へ
の剥離皮膜の付着蓄積が起こり、プレス成形に支障を生
じる上、製造コスト的にも無駄である。より好ましい樹
脂皮膜付着量の下限は0.3g/m2であり、上限は
1.0g/m2である。
【0053】樹脂皮膜を形成することによって本発明の
樹脂塗装金属板が得られる。この樹脂塗装金属板は、用
途に応じて加工工程を経た後このまま用いたり、あるい
は従来条件による電着塗装・粉体塗装・シルク印刷(1
30〜160℃、20〜30分程度)を施して用いても
よい。
【0054】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発
明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは、全て
本発明に含まれる。
【0055】〔試験方法〕下記実施例で用いた試験方法
は下記の通りである。なお、5段階評価の場合、5が最
も優れ、1が最も悪いことを示す。
【0056】(1)耐食性 樹脂塗装鋼板を用い、エッジシールした平板材とエリク
セン加工材を作製し、それぞれについて塩水噴霧試験を
JIS Z2371に従って実施して、白錆が1%発生
するまでの時間を測定した。なお、エリクセン加工材の
エリクセン押し出し高さは6mmとした。
【0057】(2)塗装性 得られた樹脂塗装鋼板に、メラミン系塗料を、乾燥後の
塗膜厚が20μmになるようにスプレー塗布して150
℃で30分間焼き付けて後塗装を行った。続いて、この
供試材を沸騰水に1時間浸漬した後、取出し、1時間経過
後にカッターナイフで1mm枡目の碁盤目を100枡刻
み、これにテープ剥離試験を実施して、塗膜の残存枡目
数によって塗膜密着性を5段階評価した。
【0058】(3)動摩擦係数 樹脂塗装鋼板の潤滑性を評価するため、摺動試験装置を
用いて、加圧力150kgとしたときの摺動による荷重
を測定して、動摩擦係数を算出した。
【0059】(4)加工性 樹脂塗装鋼板の深絞り性等のプレス加工性を評価するた
め、80トンのクランクプレス装置を用いて、単発のプ
レス試験を実施し、成形後の成形品の摺動面の擦り疵、
型かじり、耐黒化性を目視で評価し、総合点を5段階評
価した。
【0060】(5)アース性 得られた樹脂塗装鋼板の表面にテスターの端子(+、
−)を軽く置き、摺動させたときの表面の抵抗値を測定
して、アース性を5段階評価した。
【0061】実験例1 金属板素材として、電気亜鉛めっき鋼板(Zn付着量2
0g/m2、板厚0.8mm)にクロメート処理(Cr
付着量20mg/m2)を施したものを用いた。なお本
発明では、クロメート処理を施さなくても耐食性に優れ
ている樹脂塗装金属板を得ることが目的であり、クロメ
ート処理は実質的に必要ないが、各実験例間の相対評価
を行うため、クロメート処理を行った。
【0062】乳化樹脂組成物を調製するため、オートク
レーブに、水280質量部(以下、単に「部」とする)
に対し、エチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸2
0質量%、メルトインデックス(MI)300)100
部と、アミノアルコールとして、N−メチルジエタノー
ルアミン(エチレンオキサイドが平均2モル付加)を表
1に示した量を混合して、180℃、7気圧で5時間高
速撹拌して乳化させた。以下、この乳化物をEAAエマ
ルションという。
【0063】別途、ポリカーボネート系ジオール80g
とネオペンチルグリコール3.0g、ジメチロールプロ
ピオン酸50gとMDI70gとからなるプレポリマー
に、トリエチルアミン8gと水470gを加え、2時間
高速撹拌して乳化させながら鎖延長し、酸価80mgK
OH/g、固形分約30%ののカルボキシル変性ウレタ
ン樹脂エマルションを得た。
【0064】前記EAAエマルション中のEAA100
質量%に対し、上記カルボキシル変性ウレタン樹脂エマ
ルション中のウレタン樹脂が25質量%になるように、
両者を混合し、さらに水酸化カルシウムを、EAA中の
カルボキシル基とカルボキシル変性ウレタン樹脂中のカ
ルボキシル基の合計当量に対し、0.05当量となるよ
うに添加して、よく混合した。
【0065】続いて、トリメチロールプロパントリ(β
−アジリジニルプロピオネート)を固形分換算で10質
量%添加して、粒子径15nmのシリカ粒子(「スノー
テックス40」;日産化学工業社製)を固形分換算で1
0質量%と、軟化点100℃、平均粒径0.6μmの球
形ポリエチレンワックスを固形分中5質量%となるよう
に配合し、乳化樹脂組成物を調製した。
【0066】前記電気亜鉛めっき鋼板の片面に各組成物
をロールで塗布し、板温90℃で1分、加熱乾燥させ
て、付着量0.7g/m2の樹脂皮膜が形成された樹脂
塗装鋼板を得た。各評価結果を表1に示した。
【0067】
【表1】
【0068】実験例2 N−メチルジエタノールアミンの量をエチレン−アクリ
ル酸共重合体に対し4質量%と一定にし、カルボキシル
変性ウレタン樹脂エマルション中のカルボキシル変性ウ
レタン樹脂の量がEAAに対して表2に示した量になる
ように変更した以外は、実験例1と同様にして樹脂塗装
鋼板を得て、特性評価した。結果を表2に示した。
【0069】
【表2】
【0070】実験例3 N−メチルジエタノールアミンの量をエチレン−アクリ
ル酸共重合体に対し4質量%と一定にし、表3に示した
ように酸価の異なるカルボキシル変性ウレタン樹脂エマ
ルションを用いた以外は、実験例1と同様にして樹脂塗
装鋼板を得て、特性評価した。結果を表3に示した。
【0071】
【表3】
【0072】実験例4 N−メチルジエタノールアミンの量をエチレン−アクリ
ル酸共重合体に対し4質量%と一定にし、トリメチロー
ルプロパントリ(β−アジリジニルプロピオネート)の
量を表4に示したように変更した以外は、実験例1と同
様にして樹脂塗装鋼板を得て、特性評価した。結果を表
4に示した。
【0073】
【表4】
【0074】実験例5 N−メチルジエタノールアミンの量をエチレン−アクリ
ル酸共重合体に対し4質量%と一定にし、シリカ粒子の
量を表5に示したように変更した以外は、実験例1と同
様にして樹脂塗装鋼板を得て、特性評価した。結果を表
5に示した。
【0075】
【表5】
【0076】実験例6 N−メチルジエタノールアミンの量をエチレン−アクリ
ル酸共重合体に対し4質量%とし、シリカ粒子の平均粒
子径を表6に示したように変更した以外は、実験例1と
同様にして樹脂塗装鋼板を得て、特性評価した。結果を
表6に示した。
【0077】
【表6】
【0078】実験例7 N−メチルジエタノールアミンの量をエチレン−アクリ
ル酸共重合体に対し4質量%とし、球形ポリエチレンワ
ックス(一例のみカルナバワックスを使用)の量を表7
に示したように変更した以外は、実験例1と同様にして
樹脂塗装鋼板を得て、特性評価した。結果を表7に示し
た。
【0079】
【表7】
【0080】実験例8 N−メチルジエタノールアミンの量をエチレン−アクリ
ル酸共重合体に対し4質量%とし、球形ポリエチレンワ
ックスの粒子径を表8に示したように変更した以外は、
実験例1と同様にして樹脂塗装鋼板を得て、特性評価し
た。結果を表8に示した。
【0081】
【表8】
【0082】実験例9 N−メチルジエタノールアミンの量をエチレン−アクリ
ル酸共重合体に対し4質量%とし、樹脂皮膜の付着量を
表9に示したように変更した以外は、実験例1と同様に
して樹脂塗装鋼板を得て、特性評価した。結果を表9に
示した。
【0083】
【表9】
【0084】実験例10 N−メチルジエタノールアミンの量をエチレン−アクリ
ル酸共重合体に対し4質量%とし、クロメート処理を行
っていない電気亜鉛めっき鋼板を用いた以外は、実験例
1と同様にして樹脂塗装鋼板を得て、特性評価した。結
果を表10に示した。また、本発明の乳化樹脂組成物で
はなく、「ケミパールS−650」(登録商標;三井化
学社製)をロールで電気亜鉛めっき鋼板に付着量0.7
g/m2となるように塗工し、比較材とした。それぞれ
について特性を評価し、結果を表10に示した。
【0085】
【表10】
【0086】
【発明の効果】本発明の樹脂塗装金属板は、微粒子化さ
れた特定の乳化樹脂組成物からなる樹脂皮膜を有してい
るため、特に耐食性に優れるのみならず、塗装性、加工
性、潤滑性、耐疵付き性、アース性等の特性のバランス
が良好なものとなった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 175/04 C09D 175/04 C23C 22/00 C23C 22/00 Z (72)発明者 渡瀬 岳史 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 中元 忠繁 東京都品川区北品川5丁目9番12号 株式 会社神戸製鋼所東京本社内 Fターム(参考) 4F100 AA08A AA08H AA17A AA17H AA20A AA20H AB01B AB03 AB17 AH02A AH02H AH03 AH03H AJ11A AJ11H AK45 AK51A AK71A AL05A AL07A BA02 EH46 EH462 EH71 EH711 EJ05A EJ42 EJ422 EJ69 EJ691 EJ86 EJ862 GB08 GB41 JB02 JM02A YY00A 4J038 BA212 CB022 CB061 CG011 CG061 CJ011 CP04 DF022 DG32 DJ01 GA03 GA06 HA446 JB02 JB09 KA08 NA03 PB06 PB09 PC02 4K026 AA07 AA08 AA09 AA11 AA12 AA22 BA01 BA03 BA12 BB08 CA16 CA38 CA39 DA02 DA09 DA11

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン−不飽和カルボン酸共重合体
    と、下記一般式(1)で表されるアミノアルコールをエ
    チレン−不飽和カルボン酸共重合体に対して0.1〜1
    0質量%含む乳化樹脂組成物から形成された樹脂皮膜を
    備えることを特徴とする樹脂塗装金属板。 【化1】 (ただし、X、Y、Zのうちの1〜3個は、C2〜C4
    のアルキレンオキサイドが1〜10モル連結し、かつ、
    該アルキレンオキサイド残基を介して末端がヒドロキシ
    ル基である基であり、残りの0〜2個は低級アルキル基
    である。)
  2. 【請求項2】 エチレン−不飽和カルボン酸共重合体
    は、不飽和カルボン酸が1〜40質量%共重合されたも
    のである請求項1に記載の樹脂塗装金属板。
  3. 【請求項3】 上記乳化樹脂組成物が、さらに、カルボ
    キシル変性ウレタン樹脂と、金属炭酸塩、金属水酸化物
    および金属酸化物よりなる群から選択される1種以上の
    架橋用金属化合物を含むものである請求項1または2に
    記載の樹脂塗装金属板。
  4. 【請求項4】 乳化樹脂組成物中に、上記カルボキシル
    変性ウレタン樹脂が、エチレン−不飽和カルボン酸共重
    合体に対して5〜80質量%含まれている請求項3に記
    載の樹脂塗装金属板。
  5. 【請求項5】 上記カルボキシル変性ウレタン樹脂の酸
    価が3〜155である請求項3または4に記載の樹脂塗
    装金属板。
  6. 【請求項6】 上記架橋用金属化合物が2価以上の金属
    元素の化合物である請求項3〜5のいずれかに記載の樹
    脂塗装金属板。
  7. 【請求項7】 乳化樹脂組成物の固形分100質量%中
    に、アジリジン化合物が1〜20質量%含まれている請
    求項1〜6のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  8. 【請求項8】 乳化樹脂組成物の固形分100質量%中
    に、平均粒子径1〜200nmのシリカ粒子が5〜30
    質量%含まれている請求項1〜7のいずれかに記載の樹
    脂塗装金属板。
  9. 【請求項9】 乳化樹脂組成物の固形分100質量%中
    に、ワックスが0.5〜10質量%含まれている請求項
    1〜8のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  10. 【請求項10】 上記ワックスが、平均粒子径が0.1
    〜3μmの実質的に球状のポリエチレンワックスである
    請求項9に記載の樹脂塗装金属板。
  11. 【請求項11】 樹脂皮膜の付着量が、0.2〜2.5
    g/m2である請求項1〜10に記載の樹脂塗装金属
    板。
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