JP4478055B2 - 樹脂塗装金属板 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂塗装金属板、より詳細には耐食性および他の特性(例えば耐テープ剥離性など)に優れたクロムフリーの樹脂塗装金属板に関するものである。
自動車、家電製品、建材に用いられる材料として、電気亜鉛めっき鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板等の亜鉛系めっき鋼板、またはより一層の耐食性の向上を目的として該亜鉛めっき鋼板上にクロメート処理を施した無機系表面処理鋼板が多く用いられている。しかしながら近年の環境意識への高まりから、クロメート処理を施さない鋼板の需要が増大している。
このようなクロメート処理に代わる耐食性向上の手段として、例えばタンニン酸を用いる方法が提案されている(例えば特許文献1および2)。しかしながらこれらの方法では、充分な耐食性を得ることができなかった。
そこで高分子量キレート剤を主成分とする皮膜を備えた表面処理鋼板が提案されている(特許文献3および4)。これらの文献では、皮膜の主成分として高分子量キレート剤を用いることが提案されており、これらと比較するために、低分子量キレート剤、例えばタンニン酸やエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が、不充分な耐食性しか示さない比較例として挙げられている。
しかしながら特許文献3および4に記載されている皮膜の特性は、主成分である高分子量キレート剤の種類に依存するため、該皮膜に耐食性以外のさらなる特性を付与することが難しい。さらに特許文献4では、高分子量キレート剤を製造するために有機高分子マトリックスにキレート形成基を付与することが提案されているが、このようなキレート形成基を付与するための高分子反応は一般に手間がかかり、その結果として表面処理鋼板の製造コストが高くなる。
特開昭51−71233号公報 特開2001−89868号公報 特開平11−158649号公報 特開平11−166151号公報
従って本発明の課題は、優れた耐食性を有し、さらなる他の特性、具体的には優れた耐テープ剥離性などを有する樹脂皮膜を備えた樹脂塗装金属板を提供することである。
前記課題を解決することができた本発明の樹脂塗装金属板とは、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含有するエマルジョン組成物から得られる樹脂皮膜を備えた樹脂塗装金属板であって、前記エマルジョン組成物は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、N,N,N’,N’−テトラキス(ホスホノメチル)エチレンジアミン(EDTMP)、ニトリロ三酢酸(NTA)およびヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸(HEDTA)、並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種またはそれ以上のキレート剤を、エマルジョン組成物の固形分100質量%中に占める比率で0.5〜10質量%含有することを特徴とする。
前記キレート剤の中で好ましいものは、(1)Naイオンを含む塩形態、(2)Naイオンを含み、かつMg、Ca、Co、Zn、MnおよびFeイオンから選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含む塩形態、(3)アミンのイオンまたはアンモニウムイオンを含む塩形態、あるいは(4)アミンのイオンまたはアンモニウムイオンを含み、かつNa、Mg、Ca、Co、Zn、MnおよびFeイオンから選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含む塩形態のEDTA、DTPA、HEDP、EDTMP、NTAまたはHEDTAである。
本発明の好ましい実施態様において、前記エマルジョン組成物は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体以外に、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基1モルに対して0.2〜0.8モルに相当する沸点100℃以下のアミンと、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基1モルに対して0.02〜0.4モルに相当する第1族元素の塩基性化合物とを含むと共に、カルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する架橋剤をエマルジョン組成物の固形分100質量%に対し1〜20質量%含み、沸点100℃超のアミンおよびアンモニアは実質的に含まないものである。
前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、該共重合体のモノマー全量を100質量%とした時に、不飽和カルボン酸が10〜40質量%共重合されているものであることが好ましく、15〜25質量%共重合されているものであることが最も好ましい。また、前記沸点100℃以下のアミンがトリエチルアミンであることも本発明の好ましい実施態様である。
前記エマルジョン組成物の固形分100質量%中に、平均粒子径1〜200nmのシリカ粒子が5〜40質量%含まれているとよく、球状のポリエチレンワックスが0.5〜20質量%含まれていることも好ましい。これにより、他の塗膜との密着性、潤滑性、加工性、アース性等の各種特性を備えることができ、さらに脱脂工程後の耐食性および耐テープ剥離性にも優れた樹脂皮膜となる。
前記樹脂皮膜が金属板の片面または両面に備えられており、前記樹脂皮膜の付着量は乾燥重量で0.2〜2.5g/m2である樹脂塗装金属板は、本発明の好ましい実施態様である。
本発明によれば、耐食性に優れた樹脂塗装金属板が得られる。殊に、EDTAやその塩のような低分子量キレート剤を少量(組成物の固形分100質量%中に占める比率で0.5〜10質量%)含有するエマルジョン組成物から形成される皮膜を備えた樹脂塗装金属板が、優れた耐食性を示すことは驚くべきことである。なぜなら、従来このような低分子量キレート剤は、耐食性を向上させる効果が不充分であると考えられていたからである。
また耐食性付与のために好ましいと考えられていた高分子量キレート剤を、有機樹脂などを含むエマルジョン組成物と混合すると、ゲル化などの不具合を生じ得るが、本発明で用いられるEDTAやその塩などの低分子量キレート剤は、その他のエマルジョン組成物成分との相溶性が良好でゲル化を生ずることがなく、樹脂塗装金属板に良好な耐食性を付与することができる。
さらに本発明によれば、エマルジョン組成物中において、EDTAやその塩のようなキレート剤以外の成分およびその組成を、前記の好ましい実施態様のものに調整することにより、樹脂塗装金属板の皮膜にさらなる好ましい特性、即ち耐テープ剥離性などを与えることができる。また好ましい態様のエマルジョン組成物を用いることで、キレート剤によって実現された耐食性を、さらに向上させることができる。
発明を実施するための形態
本発明の樹脂塗装金属板は、金属板の少なくとも片面に、EDTA、DTPA、HEDP、EDTMP、NTAおよびHEDTA、並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種またはそれ以上のキレート剤を、エマルジョン組成物の固形分100質量%中に占める比率で0.5〜10質量%含有するエマルジョン組成物から形成された皮膜を備えたものである。本発明において固形分とは、エマルジョン組成物を加熱乾燥することにより揮発成分(例えば水または有機溶剤など)が蒸発した後に皮膜として金属板上にとどまる固形残分をいう。よって固形分の中には、樹脂(室温で固形状または液状のものを含む。)や無機固形物(例えばシリカ)などが含まれる。
本発明において用いられる低分子量キレート剤は、EDTA、DTPA、HEDP、EDTMP、NTAおよびHEDTA、並びにそれらの塩であり、これらの中でも塩形態のキレート剤を用いることが、水性エマルジョン組成物への溶解性の観点から好ましい。本発明における塩形態のキレート剤とは、キレート剤中に含まれる複数の酸官能基の一部または全部が中和されたものをいう。従って、例えばEDTA塩は、4つのカルボキシル基中の1つだけがNaOHなどの塩基により中和されたもの(例えば一ナトリウム塩:EDTA・Na)から、全てのカルボキシル基がNaOHなどの塩基により中和されたもの(例えば四ナトリウム塩:EDTA・4Na)を包含する。さらに塩形態のキレート剤には、その複数の酸官能基の一部がNaOHなどにより中和され、他の酸官能基がアミンにより中和されたNa・アミン塩(例えばキレスト(株)製のキレストM−50:EDTA・2Na・アミン塩)などが含まれる。
塩形態のキレート剤の中で好ましいものとしては、(1)Naイオンを含むもの(Na塩)、(2)Naイオンを含み、かつMg、Ca、Co、Zn、MnおよびFeイオンから選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含むもの(Na・他の金属の複合塩)、(3)アミンのイオンまたはアンモニウムイオンを含むもの(アミンまたはアンモニウム塩)、あるいは(4)アミンのイオンまたはアンモニウムイオンを含み、かつNa、Mg、Ca、Co、Zn、MnおよびFeイオンから選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含むもの(アミンまたはアンモニウム・金属の複合塩)が挙げられる。
キレート剤は、例えばキレスト株式会社から市販されており、そのキレスト株式会社製のEDTA系のキレート剤として、キレストMg−40、キレストM−50、キレストODなど;DTPA系としてキレストP、キレストPS、キレストPC−45など;HEDP系としてキレストPH−212、キレストPH−214など;EDTMP系としてキレストHP−540など;NTAとしてキレスト70、キレストNTAなど;HEDTAとしてキレストHなどを例示することができる。
ここで、EDTAやその塩のような低分子量キレート剤が耐食性の向上に寄与するメカニズムは必ずしも明確ではないが、例えば亜鉛系めっき鋼板の場合、これら低分子量キレート剤と、腐食環境下で溶出するZnイオンなどの金属イオンとが安定なキレート化合物を形成し、この安定なキレート化合物が腐食部分を覆うことなどにより、さらなる腐食を防ぐのではないかと考えられる。
本発明のエマルジョン組成物中のEDTAやその塩等の低分子量キレート剤の含有量は、エマルジョン組成物の固形分100質量%中に占める比率で0.5〜10質量%である。低分子量キレート剤の含有量が0.5質量%未満であると、安定なキレート化合物の生成が不充分であり、耐食性も不充分となる。一方、低分子量のキレート剤が10質量%を超えても耐食性は低下傾向となる。多量の低分子量キレート剤を配合することで耐食性が低下し得る理由は明らかではないが、キレート剤と、エマルジョン組成物中に含まれ得る有機樹脂、架橋剤またはシランカップリング剤などが反応することにより、皮膜の造膜性に影響を及ぼすことなどが考えられる。該皮膜の造膜性や他の塗膜との密着性の観点から、より好ましいキレート剤含有量の上限は、エマルジョン組成物の固形分100質量%中に占める比率で5質量%であり、さらに好ましい上限は3質量%であり、より好ましいキレート剤含有量の下限は1質量%である。
本発明において金属板は、特に限定されないが、例えば、亜鉛または亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム板、アルミ系合金板またはチタン板等を挙げることができる。これらの金属板に、リン酸塩処理等の公知の防錆下地処理やその他の下地処理を施し、その上に樹脂皮膜を形成させてもよい。
本発明で用いるエマルジョン組成物は、固形分換算で50〜90質量%のエチレン−不飽和カルボン酸共重合体(中和状態も含む)を含有することが好ましい。本発明において好ましいエマルジョン組成物は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体以外に、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基1モルに対して0.2〜0.8モル(20〜80モル%)に相当する沸点100℃以下のアミンと、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基1モルに対して0.02〜0.4モル(2〜40モル%)に相当する第1族元素の塩基性化合物とを含むと共に、カルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する架橋剤をエマルジョン組成物の固形分100質量%に対し1〜20質量%含み、沸点100℃超のアミンおよびアンモニアは、実質的に含まない。
前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンとエチレン性不飽和カルボン
酸との共重合体である。不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられ、これらのうちの1種以上とエチレンとを公知の高温高圧重合法などで重合することにより、共重合体を得ることができる。共重合体としては、ランダム共重合体が最も好ましいが、ブロック共重合体や、不飽和カルボン酸部分がグラフトしたような共重合体でも良い。なお、不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸が好適である。またエチレンの一部に代えて、プロピレンまたは1−ブテンなどのオレフィン系モノマーを用いてもよく、さらに本発明の目的を阻害しない範囲であれば、他の公知のビニル系モノマーを一部共重合(10質量%程度以下)してもよい。
エチレンに対する不飽和カルボン酸の共重合比率は、該共重合体のモノマー全量を100質量%とした時に、不飽和カルボン酸が10〜40質量%であることが好ましい。不飽和カルボン酸が10質量%よりも少ないと、イオンクラスターによる分子間会合の基点、あるいは架橋剤との架橋点となるカルボキシル基が少ないため、皮膜強化効果が発揮されず、耐テープ剥離性や脱脂工程後の耐食性が低下することがある上に、エマルジョン組成物の乳化安定性に劣るため好ましくない。より好ましい不飽和カルボン酸の下限は15質量%である。一方、不飽和カルボン酸が40質量%を超えると、樹脂皮膜の耐食性や耐水性が低下し、やはり脱脂工程後の耐食性が低下するため好ましくない。より好ましい上限は25質量%である。
前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体はカルボキシル基を有しているので、有機塩基や金属イオンで中和することにより、エマルジョン化(水分散体化)することができる。本発明の好ましい実施態様では、有機塩基として沸点100℃以下のアミンを用いる。沸点が100℃を超えるアミン類は、樹脂皮膜を乾燥させたときに鋼板上に残存しやすく、樹脂皮膜の吸水性が増すため、耐食性の低下を招く。よって本発明で皮膜形成のために用いられるエマルジョン組成物中には、沸点100℃超のアミン類は含まれない。またアンモニアの添加効果も認められなかったため、アンモニアも含まれない。前記沸点は、大気圧下での沸点を採用する。
沸点100℃以下のアミンの具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N−メチルピロリジン、テトラメチルジアミノメタン、トリメチルアミンなどの3級アミン;N−メチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエチルアミンなどの2級アミン;プロピルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、イソブチルアミン、1,2−ジブチルプロピルアミン、3−ペンチルアミンなどの1級アミンなどが挙げられ、1種または2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも3級アミンが好ましく、最も好ましいものはトリエチルアミンである。
沸点100℃以下のアミンの量は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基1モルに対し、0.2〜0.8モル(20〜80モル%)の範囲とすることが好ましい。この範囲であれば、耐テープ剥離性が良好であり、耐食性がさらに向上するからである。沸点100℃以下のアミンが0.2モルより少ないと、エマルジョン中の樹脂粒子の粒径が大きくなり、耐食性などを向上させる効果が低下するものと考えられる。また0.8モルを超えて沸点100℃以下のアミンを用いると、エマルジョン組成物が増粘してゲル化することがあるため、好ましくない。より好ましい前記アミンの量の上限は0.6モル、さらに好ましくは0.5モルであり、より好ましい前記アミン量の下限は0.3モルである。
本発明の好ましい実施態様では、第1族元素の塩基性化合物も中和のために用いる。これは、耐溶剤性や皮膜硬度の向上に効果的である。従ってエマルジョン組成物には、第1族元素の塩基性化合物が添加されている。第1族元素の塩基性化合物として、ナトリウム、カリウム、リチウムから選ばれる1種または2種以上の金属を含むことが好ましく、これらの金属の水酸化物、炭酸塩または酸化物が好ましい。中でも、NaOH、KOH、LiOHなどが好ましく、NaOHが最も性能が良く好ましい。また、第2族またはそれ以上の元素の塩基性化合物は添加することによる効果が認められないため、本発明で皮膜形成のために用いられるエマルジョン組成物には、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の反応相手のための第2族またはそれ以上の元素の塩基性化合物は含まれないことが好ましい。
この第1族元素の塩基性化合物の量は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基1モルに対して、0.02〜0.4モル(2〜40モル%)の範囲とすることが好ましい。前記第1族元素の塩基性化合物量が0.02モルより少ないと乳化安定性が不充分となり、逆に0.4モルを超えると、得られる樹脂皮膜の吸湿性(特にアルカリ性溶液に対して)が増大し、脱脂工程後の耐食性が低下するため好ましくない。より好ましい第1族元素の塩基性化合物量の下限は0.03モル、さらに好ましい下限は0.1モルであり、より好ましい第1族元素の塩基性化合物量の上限は0.3モル、さらに好ましい上限は0.2モルである。
前記沸点100℃以下のアミンと前記第1族元素の塩基性化合物のそれぞれの使用量の好ましい範囲は前記したとおりであるが、これらはいずれも、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基を中和してエマルジョン化するために用いられる。従ってこれらの合計量(中和量)が多すぎると、エマルジョン組成物の粘度が急激に上昇して固化することがある上に、耐食性低下の原因となり得る過剰なアルカリ分を揮発させるために多大なエネルギーが必要となるので、好ましくない。しかし中和量が少なすぎると乳化性に劣るため、やはり好ましくない。従って沸点100℃以下のアミンと前記第1族元素の塩基性化合物との合計使用量は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基1モルに対し、0.3〜1.0モルの範囲とすることが好ましい。
本発明の好ましい実施態様で用いられるエマルジョン組成物は、沸点100℃以下のアミンと第1族元素の塩基性化合物とを併用して乳化したことにより、組成物中の樹脂粒子が5〜50nmという極めて小さな微粒子(油滴)状態で水性媒体中に安定に存在している。このため、得られる樹脂皮膜の造膜性、金属板への密着性、皮膜の緻密化が達成され、耐食性や耐テープ剥離性が向上するのではないかと推定される。前記水性媒体には、水の他に、アルコールやエーテルなどの親水性溶媒が含まれていても良い。なお、エマルジョン中の樹脂粒子の粒子径は、例えば光散乱光度計(大塚電子社製等)を用いたレーザー回折法によって測定することができる。
沸点100℃以下のアミンと第1族元素の塩基性化合物によるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和工程(エマルジョン化工程)では、沸点100℃以下のアミンと第1族元素の塩基性化合物とを共重合体に、略同時に添加するか、あるいは沸点100℃以下のアミンを先に添加することが望ましい。理由は定かではないが、沸点100℃以下のアミンを後添加すると、耐食性・耐テープ剥離性の向上効果が不充分となることがあるためである。
前記沸点100℃以下のアミンおよび第1族元素の塩基性化合物によって中和されたカルボキシル基を有するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、イオンクラスターによる分子間会合を形成し(アイオノマー化)、耐食性や耐テープ剥離性に優れた樹脂皮膜を形成する。しかし、より強靱な皮膜を形成するためには、官能基間反応を利用した化学結合によってポリマー鎖同士を架橋させることが望ましい。そこで本発明の好ましいエマルジョン組成物は、カルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する架橋剤を含有する。その好ましい量は、エマルジョン組成物の固形分100質量%に対し、1〜20質量%である。1質量%より少ないと、化学結合による架橋の効果が不充分となり、耐食性・耐テープ剥離性の向上効果が発揮されにくい。一方、20質量%を超えて配合すると、樹脂皮膜の架橋密度が過度に高くなりすぎて硬度が上昇し、プレス加工時の変形に追従できなくなることからクラックが発生し、その結果として耐食性や塗装性を低下させるため好ましくない。より好ましい架橋剤量は、エマルジョン組成物の固形分100質量%に対し、5〜10質量%である。なおエチレン−不飽和カルボン酸共重合体に対する架橋剤量の比率としては、共重合体中のカルボキシル基量に応じて架橋剤量を適宜変更することが望まれるが、通常、共重合体100質量部に対し、架橋剤を0.5〜50質量部(より好ましくは5〜20質量部)とすることが好ましい。
カルボキシル基と反応し得る官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤は、特に限定されないが、ソルビトールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのポリグリシジルエーテル類や、ポリグリシジルアミン類などのグリシジル基含有架橋剤;4,4’−ビス(エチレンイミンカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トルエンビスアジリジンカルボキシアミドなどの2官能アジリジン化合物;トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、トリス〔1−(2−メチル)アジリジニル〕ホスフィンオキサイド、トリメチロールプロパントリス(β−アジリジニルプロピオネート)、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、テトラメチルプロパンテトラアジリジニルプロピオネートなどの3官能以上のアジリジン化合物あるいはこれらの誘導体などのアジリジニル基含有架橋剤が好適例として挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。中でも、アジリジニル基含有架橋剤が好ましい。なお多官能アジリジンと、1官能アジリジン(エチレンイミンなど)とを併用してもよい。
本発明で用いられるエマルジョン組成物には、固形分換算で5〜40質量%のシリカ粒子を含有させてもよい。これは、耐食性、塗装性、耐疵付き性などの向上に効果的であると共に、脱脂後の耐食性および耐テープ剥離性の改善にも有効である。シリカ粒子の量が5質量%より少ないと、これらの効果が発現しにくい。逆にシリカ粒子の量が40質量%を超えると、シリカ粒子の割合が過度に高くなって造膜性が低下し、乾燥工程の際に樹脂皮膜にクラックが入ることがあり、耐食性低下につながるため好ましくなく、さらにシリカ粒子が増磨剤として作用するようになり、皮膜の潤滑性を高め、摩擦係数を低下させて、加工時における金型の摩耗を生じ、金型の寿命を縮めることとなる。より好ましいシリカ粒子量の下限は20質量%、上限は30質量%である。
前記のようなシリカ粒子の効果を最大限に得るには、シリカ粒子の平均粒子径が1〜200nmの範囲にあることが好ましい。シリカ粒子の粒子径が小さくなるほど皮膜の耐食性が向上する。これは、樹脂皮膜が緻密化し、密着性が向上することにより、耐食性を一層高めると考えられる。このような観点からはシリカ粒子の粒子径は小さいほど良いが、極端に微少な粒子となると、前記効果が飽和してしまうため、粒子径の下限は1nmが好ましい。一方、シリカ粒子の粒子径が200nmを超えると、樹脂皮膜の表面を粗くして、緻密な樹脂皮膜を形成することができず、さらにシリカ粒子が増磨剤として作用して、加工性の劣化につながるため好ましくない。特に、脱脂後の耐食性を重視する場合は、シリカ粒子の平均粒子径を4〜20nmの範囲とすることが好ましい。
このようなシリカ粒子は、通常、コロイダルシリカとして知られており、本発明においては、例えば、「スノーテックス」シリーズ(日産化学工業社製のコロイダルシリカ)の「XS」、「SS」、「40」、「N」、「UP」などを好適に用いることができる。
本発明のエマルジョン組成物には、ワックスが固形分換算で0.5〜20質量%の範囲で含まれていてもよい。ワックスは、得られる樹脂皮膜の潤滑性および耐疵付き性の向上に効果がある。さらに、プレス加工や打ち抜き加工の際に必要な深絞り性および打ち抜き
性、耐金型摩耗性、加工時における摺動面の耐黒化性を向上させ、優れた加工性を付与するために好ましく使用されるものである。
ワックスの量が固形分換算で0.5質量%より少ない時には、得られる樹脂皮膜の潤滑性が不充分となり、耐疵付き性の向上や、満足すべき加工性を得ることができない。他方、20質量%を超える場合は、得られる樹脂皮膜の潤滑性は充分であるが、電着塗装や粉体塗装、またはシルク印刷による後塗装が施された際における他の塗膜との密着性に劣る。また、脱脂後の耐食性および耐テープ剥離性も低下する。これは、後塗装工程での加熱や、経時的な変化によって、ワックスが軟化・液化あるいはブルーミングして、樹脂皮膜と後塗装の塗膜との界面や、金属板と樹脂皮膜との界面に濃化するので、後塗装の他の塗膜との密着性や金属板との密着性が悪くなるためと考えられる。より好ましいワックスの上限値は10質量%であり、さらに好ましい上限値は5.0質量%である。
ワックスは特に限定されず、天然ワックス、合成ワックスこれらの混合物などを使用することができる。天然ワックスとして、例えば、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、モンタン系ワックス及びその誘導体、鉱油系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの他、これらにカルボキシル基を付与した誘導体も使用することができる。
合成ワックスとしては、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレン共重合系ワックス、エチレンと他のモノマーとの共重合ワックスの酸化ワックスがある。この系統は共重合相手の変化でターポリマー系も含め多種使用することができる。さらにマレイン酸の付加ワックス、脂肪酸エステル系などが挙げられる。また、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、四フッ化エチレンなどのフッ素系樹脂のワックスも使用可能である。
ワックスとして、前記例示したもののうち、軟化点が80〜140℃のものを選択することが好ましい。軟化点が80℃よりも低い時は、プレス加工や打ち抜き加工の際に金型温度の上昇に伴ってワックス粒子が軟化または液化してしまい、樹脂塗装鋼板と金型の摺動面において、液化したワックスの液切れ現象が発生し、加工性が低下して、擦り疵や金型との焼き付きが生じるため好ましくない。また、摺動部に黒化物が付着して、製品外観を著しく劣化させることがある。さらに脱脂工程後の耐食性や耐テープ剥離性の観点からも、軟化点が低すぎると好ましくないことが分かった。他方、軟化点が140℃を超える時には、ワックスによる潤滑性が不充分となって、打ち抜き性、耐金型摩耗性、深絞り性などにおいて向上が認められず、脱脂後の耐食性も若干低下する傾向が見られた。
ワックスとしては、球形ポリエチレンワックスが最も好適であり、その際に、球形ポリエチレンワックスの効果を最大限に得るには、ワックス粒子の粒子径が0.1〜3μmであることが好ましい。ワックス粒子の粒子径が0.1μmより小さいと、潤滑性、打ち抜き性、耐金型摩耗性および深絞り性の顕著な向上を図ることが難しい。他方、ワックス粒子の粒子径が3μmを超える場合には、微粒子化されているエマルジョン組成物中に均一に分散させることが難しいため、樹脂皮膜の金属板への密着性が低下することがある。より好ましい球形ポリエチレンワックスの粒子径は0.3〜1.0μmである。
上述のような球形ポリエチレンワックスとしては、例えば、「ダイジェットE−17」(互応化学社製)、「KUE−1」、「KUE−5」、「KUE−8」(三洋化成工業社製)、「ケミパール」シリーズ(三井化学社製)の「W−100」、「W−200」、「W−300」、「W−400」、「W−500」、「W−640」、「W−700」などや、「エレポンE−20」(日華化学社製)などのような市販品を好適に用いることができる。
本発明の好ましい実施態様におけるエマルジョン組成物は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、沸点100℃以下のアミン、第1族元素の塩基性化合物、アジリジン化合物などの架橋剤、さらに必要に応じて用いられるシリカ粒子、ワックスなどを含む。エチレン−不飽和カルボン酸共重合体(即ちこの樹脂成分)が、エマルジョン組成物の固形分の50質量%以上となるように、架橋剤、シリカ粒子、ワックスなどの量を調整することが望ましい。
エマルジョン組成物の調製方法は、まず、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を水性媒体と共に、例えば、ホモジナイザー装置等に投入し、必要により70〜250℃に加熱し、沸点100℃以下のアミンと第1族元素の塩基性化合物とを適宜水溶液などの形態で添加して(沸点100℃以下のアミンを先に添加するか、沸点100℃以下のアミンと第1族元素の塩基性化合物とを略同時に添加する)、高剪断力で撹拌する。シリカ粒子、ワックス、架橋剤などはいずれの段階で添加してもよいが、架橋剤の添加後は、架橋反応の進行によりゲル化することがない様、熱を極力かけないようにすることが望ましい。
前記エマルジョン組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、希釈剤、皮張り防止剤、レベリング剤、消泡剤、浸透剤、乳化剤、造膜助剤、着色顔料、増粘剤、シランカップリング剤、他の樹脂などを適宜添加してもよい。
金属板上に樹脂皮膜を形成するには、前記エマルジョン組成物を、公知の塗布方法、すなわち、ロールコーター法、スプレー法、カーテンフローコーター法などを用いて、金属板表面の片面または両面に塗布して加熱乾燥すればよい。加熱乾燥温度は、架橋剤を用いる場合、架橋剤とカルボキシル基との架橋反応が進行する温度で行うことが好ましい。また、潤滑剤として球形のポリエチレンワックスを用いる場合は、該ワックスの球形を維持して後の加工工程における加工性を良好にするために、該ワックスの軟化点未満の温度、例えば70〜130℃の範囲で加熱乾燥を行うことが望ましい。
樹脂皮膜の付着量(厚み)は、乾燥後において、0.2〜2.5g/m2が好ましい。
薄すぎると、金属板への均一塗工が難しく、加工性、耐食性、塗装性など、目的とするバランスのとれた皮膜特性を得難い。しかし、付着量が2.5g/m2を超えると、コンピュータハウジングなどに用いる場合のアース性、すなわち導電性が低下するため好ましくない。さらに、プレス加工の際に樹脂皮膜の剥離量が多くなって、金型への剥離皮膜の付着蓄積が起こり、プレス成形に支障を生じる上、製造コスト的にも無駄である。より好ましい樹脂皮膜付着量の下限は0.5g/m2であり、上限は2.0g/m2である。
樹脂皮膜を形成することによって本発明の樹脂塗装金属板が得られる。この樹脂塗装金属板は、用途に応じて加工工程を経た後このまま用いたり、あるいは従来条件による電着塗装、粉体塗装またはシルク印刷(130〜160℃、20〜30分程度)を施して用いてもよい。
[評価方法]
(1)耐食性
得られた樹脂塗装金属板(鋼板)について、塩水噴霧試験をJIS−Z2371に従って実施して、白錆が1%発生するまでの時間を測定した。
(表1および2の評価基準)
◎:264時間以上
○:240時間以上〜264時間未満
△:168時間以上〜240時間未満
×:168時間未満
(表3〜6の評価基準)
◎:288時間以上
○:264時間以上〜288時間未満
△:240時間以上〜264時間未満
×:240時間未満
(2)耐テープ剥離性
得られた樹脂塗装金属板(鋼板)に、粘着テープ(スリオンテック社製:フィラメンテープNo.9510、ゴム系粘着剤)を貼付し、恒温恒湿装置で40℃、98%RHの雰囲気下で24時間保存した後、JIS−K5400に準じてテープを剥離し、皮膜の残存面積率を測定した。
(評価基準)
◎:皮膜残存率100%
○:皮膜残存率90〜99%
△:皮膜残存率89〜70%
×:皮膜残存率70%未満
(3)動摩擦係数
得られた樹脂塗装金属板(鋼板)の潤滑性を評価するため、摺動試験装置を用いて、加圧力5.4MPa、引き抜き速度300mm/minとしたときの摺動による荷重を測定して、動摩擦係数を算出した。
(4)塗装性(塗膜密着性)
得られた樹脂塗装金属板(鋼板)に、メラミンアルキッド系塗料を塗膜厚が約20μmになるようにバーコート塗装し、温度130℃で20分間焼き付けて後塗装を行った。続いて、この供試鋼板を沸騰水に1時間浸漬した後、取り出し、1時間放置した後にカッターナイフで1mm角の碁盤目を100升刻み、これにテープ剥離試験を実施して、塗膜の残存升目数により塗膜密着性を5段階で評価した。
(評価基準)
5:塗膜残存率100%
4:塗膜残存率90〜99%
3:塗膜残存率80〜89%
2:塗膜残存率70〜79%
1:塗膜残存率70%未満
実施例1(アミンおよび第1族元素の塩基性化合物の種類および量の影響)
(エマルジョン組成物の調製)
エマルジョン組成物を調製するため、オートクレーブに水626質量部(以下、単に「部」とする)と、エチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸20質量%、メルトインデックス(MI)300)160部とを加え、さらに表1に示した量のアミンまたはアンモニアと第1族元素の塩基性化合物とを添加して、150℃、5Paの雰囲気下で高速撹拌し、エチレン−アクリル酸共重合体のエマルジョンを得た。続いて前記エマルジョンに、内部架橋剤として、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン(「ケミタイト(登録商標)DZ−22E」;日本触媒化学社製)を固形分で5質量%(エマルジョン組成物の固形分100質量%に対する値:以下同じ)添加した。
前記組成物に、さらに外部架橋剤としてグリシジル基含有化合物(「エピクロン(登録商標)CR5L」;以下CR5Lと略す;大日本インキ化学工業社製)を固形分で10質量%添加し、実施例1と同様に撹拌し、さらにキレート剤含有量がエマルジョン組成物の固形分100質量%中に5質量%となるようにキレストM−50(EDTA・2Na・アミン塩)を添加して、エマルジョン組成物を調製した。
(樹脂塗装金属板(鋼板)の作製および特性評価)
金属板として電気亜鉛めっき鋼板を用い、その表面に前記エマルジョン組成物をバーコートで塗布し、板温90℃で1分加熱乾燥して、付着量1.0g/m2の樹脂皮膜を備えた樹脂塗装金属板を作製し、特性を評価した。結果を表1に示した。
Figure 0004478055
実施例2(内部架橋剤量の影響)
トリエチルアミンの使用量を40モル%(エチレン−アクリル酸共重合体中におけるカルボキシル基のモル数に対する割合:以下同じ)、NaOHの使用量を15モル%と一定にし、前記「ケミタイトDZ−22E」(DZ−22E)の量を表2に示したように変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂塗装金属板(鋼板)を得て、特性を評価した。結果を表2に示した。
Figure 0004478055
実施例3(キレート剤の種類および量の影響)
トリエチルアミンの使用量を40モル%、NaOHの使用量を15モル%、および「ケミタイトDZ−22E」(DZ−22E)の使用量を10質量%と一定にし、キレート剤の種類および量を表3に示したように変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂塗装金属板(鋼板)を得て、特性を評価した。結果を表3に示した。
Figure 0004478055
Figure 0004478055
実施例4(シリカの粒子径および量の影響)
トリエチルアミンの使用量を40モル%、NaOHの使用量を15モル%、および「ケミタイトDZ−22E」(DZ−22E)の使用量を10質量%とし、外部架橋剤としてグリシジル基含有化合物(CR5L)を固形分で5質量%添加し、実施例1と同様に撹拌した。さらにキレート剤含有量がエマルジョン組成物の固形分100質量%中に5質量%となるようにキレストM−50(EDTA・2Na・アミン塩)を添加した。この組成物中で、シリカ粒子の粒子径および量を表4に示したように変化させて樹脂塗装金属板(鋼板)を得て、特性を評価した。結果を表4に示した。
Figure 0004478055
実施例5(ワックスの影響)
トリエチルアミンの使用量を40モル%、NaOHの使用量を15モル%、および「ケミタイトDZ−22E」(DZ−22E)の使用量を10質量%とし、外部架橋剤としてグリシジル基含有化合物(CR5L)を固形分で5質量%添加し、実施例1と同様に撹拌した。さらにキレート剤含有量がエマルジョン組成物の固形分100質量%中に5質量%となるようにキレストM−50(EDTA・2Na・アミン塩)を添加し、シリカ粒子含有量が30質量%となるように粒子径4〜6nmのシリカ粒子を添加した。この組成物中で、球形ポリエチレンワックスの粒子径、量および軟化温度を表5に示したように変化させて樹脂塗装金属板(鋼板)を得て、特性を評価した。結果を表5に示した。
Figure 0004478055
実施例6(皮膜付着量の影響)
トリエチルアミンの使用量を40モル%、NaOHの使用量を15モル%、および「ケミタイトDZ−22E」(DZ−22E)の使用量を10質量%とし、外部架橋剤としてグリシジル基含有化合物(CR5L)を固形分で5質量%添加し、実施例1と同様に撹拌した。さらにキレート剤含有量がエマルジョン組成物の固形分100質量%中に5質量%となるようにキレストM−50(EDTA・2Na・アミン塩)を添加し、シリカ粒子含有量が30質量%となるように粒子径4〜6nmのシリカ粒子を添加し、ワックス含有量が3.5質量%となるように平均粒子径1μmの球形ポリエチレンワックスを添加した。この組成物を用いて、表6に示したように皮膜付着量を変化させて樹脂塗装金属板(鋼板)を得て、特性を評価した。結果を表6に示した。
Figure 0004478055

Claims (11)

  1. エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含有するエマルジョン組成物から得られる樹脂皮膜を備えた樹脂塗装金属板であって、前記エマルジョン組成物は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、N,N,N’,N’−テトラキス(ホスホノメチル)エチレンジアミン(EDTMP)、ニトリロ三酢酸(NTA)およびヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸(HEDTA)、並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種またはそれ以上のキレート剤を、エマルジョン組成物の固形分100質量%中に占める比率で0.5〜10質量%含有し、かつ、前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基の中和に用いられた沸点100℃以下のアミンと第1族元素の塩基性化合物とを含有することを特徴とする樹脂塗装金属板。
  2. 前記エマルジョン組成物は、Naイオンを含むEDTA塩、DTPA塩、HEDP塩、EDTMP塩、NTA塩およびHEDTA塩よりなる群から選ばれる1種またはそれ以上のキレート剤を含有するものである請求項1に記載の樹脂塗装金属板。
  3. 前記エマルジョン組成物は、Naイオンを含み、かつMg、Ca、Co、Zn、MnおよびFeイオンから選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含むEDTA塩、DTPA塩、HEDP塩、EDTMP塩、NTA塩およびHEDTA塩よりなる群から選ばれる1種またはそれ以上のキレート剤を含有するものである請求項1に記載の樹脂塗装金属板。
  4. 前記エマルジョン組成物は、アミンのイオンまたはアンモニウムイオンを含むEDTA塩、DTPA塩、HEDP塩、EDTMP塩、NTA塩およびHEDTA塩よりなる群から選ばれる1種またはそれ以上のキレート剤を含有するものである請求項1に記載の樹脂塗装金属板。
  5. 前記エマルジョン組成物は、アミンのイオンまたはアンモニウムイオンを含み、かつNa、Mg、Ca、Co、Zn、MnおよびFeイオンから選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含むEDTA塩、DTPA塩、HEDP塩、EDTMP塩、NTA塩およびHEDTA塩よりなる群から選ばれる1種またはそれ以上のキレート剤を含有するものである請求項1に記載の樹脂塗装金属板。
  6. 前記エマルジョン組成物は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体以外に、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基1モルに対して0.2〜0.8モルに相当する沸点100℃以下のアミンと、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基1モルに対して0.02〜0.4モルに相当する第1族元素の塩基性化合物とを含むと共に、カルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する架橋剤を、エマルジョン組成物の固形分100質量%に対し1〜20質量%含み、沸点100℃超のアミンおよびアンモニアは実質的に含まない請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  7. 前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、該共重合体のモノマー全量を100質量%とした時に、不飽和カルボン酸が10〜40質量%共重合されている請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  8. 前記沸点100℃以下のアミンは、トリエチルアミンである請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  9. 前記エマルジョン組成物の固形分100質量%中に、平均粒子径1〜200nmのシリカ粒子が5〜40質量%含まれている請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  10. 前記エマルジョン組成物の固形分100質量%中に、球状のポリエチレンワックスが0.5〜20質量%含まれている請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  11. 前記樹脂皮膜が金属板の片面または両面に備えられており、前記樹脂皮膜の付着量は乾燥重量で0.2〜2.5g/m2である請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。

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