JP2002320917A - 光触媒性塗膜の製造方法、および光触媒性部材 - Google Patents

光触媒性塗膜の製造方法、および光触媒性部材

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JP2002320917A
JP2002320917A JP2001131079A JP2001131079A JP2002320917A JP 2002320917 A JP2002320917 A JP 2002320917A JP 2001131079 A JP2001131079 A JP 2001131079A JP 2001131079 A JP2001131079 A JP 2001131079A JP 2002320917 A JP2002320917 A JP 2002320917A
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coating film
photocatalytic
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JP2001131079A
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Masahiro Shibato
雅博 柴戸
Yumiko Katsukawa
由美子 勝川
Mitsuhide Shimobukikoshi
光秀 下吹越
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湿式法にて基材表面に優れた硬度、耐摩耗性
と良好な光触媒活性を併せ持った光触媒性塗膜を形成さ
せる製造方法、およびそれを成膜し焼成させた塗膜を有
する光触媒性部材を提供すること。 【解決手段】 カルボン酸類に属する少なくとも1種以
上の物質を用いて予め表面修飾した結晶性酸化チタン
と、シリコン系バインダーと、溶媒とからなる光触媒性
塗膜形成組成物を、基材の表面に塗布し、300〜80
0℃の温度で焼成することにより基材表面に光触媒性塗
膜を形成させる製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒として使用
される酸化チタン含有塗膜を形成できる組成物を用いた
成膜体の製造方法、この成膜体をガラス、金属、セメン
ト、石膏ボード、石材、セラミックス、もしくは樹脂等
の表面に設けた部材に関する。
【0002】
【従来の技術】光触媒部材は、防曇、降雨によるセルフ
クリーニング、有害物質の分解などの機能を有するた
め、環境に優しい機能性塗膜被覆材料として活発に研究
開発が行われている。このような光触媒性部材の製造で
は、その部材本来の特性を損なわないために基材の上に
光触媒機能塗膜を形成させる手法を取ることが主流とな
っている。
【0003】この光触媒機能塗膜を形成させる方法とし
ては、乾式法、湿式法があるが、十分な光触媒活性を維
持しながら、広汎な使用条件に耐えるような優れた硬
度、耐摩耗性を有する光触媒膜を形成させるためには、
各々の方法で問題がある。スパッタ法、CVD法、プラ
ズマ法などで代表される乾式法では、コストが高くな
り、また基材の材質、形状によっては製膜出来ないとい
う問題点がある。
【0004】一方、コストが低く、多くの基材に適用可
能なゾルゲル法等の湿式法では、各種分散剤を添加した
酸化チタンゾルを利用する方法、酸化チタン前駆体を利
用する方法、酸化チタンゾルと結合剤(以下、バインダ
ー成分)を混合させたものを利用する方法など、これま
で様々な塗膜形成組成物が提案されているが、いずれも
優れた硬度、耐摩耗性と良好な光触媒活性を併せ持った
光触媒性塗膜を形成するとは言いきれない。
【0005】具体的には、各種添加剤を添加した酸化チ
タンゾルを利用する方法である、特開2000−119
019号によれば、酸性酸化チタンゾル、溶液中のTi
4+イオンの膠状水酸化チタン化により酸化チタン粒子
同士が結合し酸化チタンが凝集することを防ぐために添
加される錯化剤、pH調整のために添加されるアルカリ
成分からなるpHが5〜10である酸化チタンゾルがあ
るが、80℃で焼成した塗膜は光触媒活性による脂肪酸
の分解力を有するが、その硬度は弱く鉛筆硬度で2H以
下程度である。
【0006】また、酸化チタンの有機前駆体を利用する
方法である、特開2000−290533号によれば、
シュウ酸チタニル、pH調整のために添加されるアンモ
ニアからなるpHが3.8〜5であるシュウ酸チタニル
コーティング液があるが、600℃で焼成した塗膜は鉛
筆硬度9H以上の光触媒活性を有する塗膜であるが、そ
の光触媒活性は弱くNOガスの分解率は60%程度であ
る。
【0007】また、酸化チタンゾルとバインダー成分を
混合させたもの主成分として利用する方法では、特開2
000−273355号によれば、気相法で合成された
微粒子酸化チタンにβージケトン、Ti系又はAl系カ
ップリング剤、Tiアルコキシドバインダーを組み合わ
せた光触媒塗料があるが、125℃で焼成した塗膜は光
触媒活性によるアセトアルデヒドの分解力を有するが、
その鉛筆硬度は弱く3H程度である。また、特開平11
−323190号、特開平11−323257号によれ
ば、微粒子酸化チタンにβージケトン、Ti系又はAl
系カップリング剤、アルコキシシランオリゴマーバイン
ダーを組み合わせた光触媒塗料があるが、150℃で焼
成した塗膜は光触媒活性によるアセトアルデヒドの分解
力を有するが、その鉛筆硬度は弱く3H〜6H程度であ
る。また、特開平11−323191号によれば、微粒
子酸化チタンにβージケトン、Ti系又はAl系カップ
リング剤、フッ素系界面活性剤含有エチルシリケート加
水分解物バインダーを組み合わせた光触媒塗料がある
が、150℃で焼成した塗膜は光触媒活性によるアセト
アルデヒドの分解力を有するが、その鉛筆硬度は弱く3
H〜6H程度である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、湿式法に
て基材表面に優れた硬度、耐摩耗性と良好な光触媒活性
を併せ持った光触媒性塗膜を形成させる製造方法、およ
びそれを成膜し焼成させた塗膜を有する光触媒性部材を
提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記問題を
解決すべく、(A)カルボン酸類に属する少なくとも1
種以上の物質を用いて予め表面修飾した(B)結晶性酸
化チタンと、(C)シリコン系バインダーと、(D)溶
媒とからなる、光触媒性塗膜形成組成物を、基材の表面
に塗布し、(E)300〜800℃の温度で焼成するこ
とにより基材表面に光触媒性塗膜を形成させる製造方法
を提供する。尚、以下、特別に明記しない限り、(B)
結晶性酸化チタンを酸化チタン、(A)カルボン酸類で
表面修飾した(B)結晶性酸化チタンを表面修飾酸化チ
タンと呼ぶことにする。
【0010】本発明では、上記光触媒性塗膜形成組成物
を基材に成膜し300〜800℃で焼成することによっ
て、鉛筆硬度9H以上の非常に高い表面硬度と良好な光
触媒活性を併せ持った光触媒性塗膜を形成することがで
きる。本発明の組成物を製膜した塗膜が鉛筆硬度9H以
上の表面硬度と良好な光触媒活性の両立が実現した要因
は、常温〜300℃、300〜800℃の焼成領域にお
ける酸化チタンと基材、及び酸化チタン同士を強固に結
合させる働きをするシリコン系バインダーと、酸化チタ
ンの表面修飾に使われる物質カルボン酸の相互作用にあ
ることが考えられる。常温〜300℃の焼成領域におい
ては、カルボン酸の有機構造から内部欠陥、形状損壊な
どの欠陥が少ない塗膜が実現され、そして酸化チタン表
面に吸着したカルボン酸の残留水酸基(−OH)がシリ
コン系バインダーの反応末端に作用することで、酸化チ
タンをバインダーのネットワーク架橋に取り入れ高度に
緻密化、架橋化された塗膜が実現されると考えられる。
また、そのように欠陥が少なく高緻密化、高架橋化が達
成された塗膜を、酸化チタン表面に吸着したカルボン酸
が熱分解してしまうほどの高温300〜800℃でさら
に焼成処理した場合、カルボン酸が熱分解し消滅した酸
化チタン表面、そしてバインダー成分の反応性官能基の
反応性が高くなり、酸化チタンとバインダーの界面で強
固な結合が形成されると考えられる。また、酸化チタン
についても300〜800℃で高温処理することで、酸
化チタンは光触媒活性が高い結晶型を維持したままより
高結晶化が進み、光触媒活性がさらに強くなることが考
えられる。また、酸化チタン表面、塗膜内部において酸
化チタンの表面処理成分でありながら光触媒活性を阻害
するカルボン酸は、300〜800℃の高温処理で熱分
解消滅することで少なくなり、酸化チタン表面と外気と
の接触頻度が多くなるため光触媒活性がさらに向上する
ことが考えられる。そのため、非常に高い表面硬度、耐
摩耗性と優れた光触媒活性を併せ持った光触媒性塗膜を
実現できたと考えられる。
【0011】本発明の好ましい態様については、前記
(B)の材料は、結晶性酸化チタン粒子であり、その平
均粒径が1〜100nmであるようにする。酸化チタン
の平均粒径は、塗膜の光触媒活性と機械的強度のバラン
スを考慮して決める。酸化チタンは微粉状であり、その
粒径は光触媒活性が強いこと及び塗膜形成時に高充填さ
れ硬度、耐摩耗性が向上することから、平均粒径1〜1
00nm程度の微細なものが好ましい。この程度の大き
さになると、可視光に散乱効果が小さくなり透明性も高
くなる。また、セラミックス、ガラスなど特に硬度、耐
摩耗性が要求される部材に対しては、光触媒活性とのバ
ランスを考えて粒径30nm以下にすることが好まし
い。さらに高硬度、高耐摩耗性を実現したいときは、1
0nm以下にすることが好ましい。
【0012】本発明の好ましい態様については、前記
(B)結晶性酸化チタンの表面を修飾する前記(A)カ
ルボン酸1重量部に対して、前記(B)結晶性酸化チタ
ンが1〜1000重量部であるようにする。酸化チタン
とカルボン酸の割合は、本発明の組成物における分散、
粘性などの液の特性、塗膜の硬度、耐摩耗性などの機械
的強度とのバランスを考慮して決める。その割合は、カ
ルボン酸1重量部に対して、酸化チタンが二酸化チタン
換算で1〜1000重量部であることが好ましい。カル
ボン酸の量が少なすぎると、表面修飾酸化チタンとシリ
コン系バインダーの混合液を塗膜にした場合、硬度、耐
摩耗性の向上効果は小さくなりやすい。また、多すぎる
と表面修飾酸化チタン単独液、表面修飾酸化チタンとシ
リコン系バインダーの製造、調整、混合液に増粘効果が
起こりやすくなり、塗膜にした場合、塗膜面の外観不
良、硬度、耐摩耗性の低下などの課題が生じやすくな
る。
【0013】本発明の好ましい態様については、二酸化
チタン換算が100重量部となる前記(B)結晶性酸化
チタンの重量部に対して、前記(C)シリコン系バイン
ダーを二酸化ケイ素換算で10〜400重量部含有する
ようにする。酸化チタンとシリコン系バインダーの重量
割合は、塗膜の表面構造、内部構造に影響を与えること
から光触媒活性と塗膜硬度、耐摩耗性などの機械的強度
のバランスを考慮して決める。その割合は、二酸化チタ
ン換算が100重量部となる酸化チタンの重量部に対し
て、シリコン系バインダーを二酸化ケイ素換算で10〜
400重量部含有することが好ましい。シリコン系バイ
ンダーの割合が二酸化ケイ素換算で400重量部を超え
ると、シリコン系バインダーが酸化チタンを覆うため光
触媒機能が小さくなり、シリコン系バインダーの割合が
二酸化ケイ素換算で10重量部以下であると基材、およ
び酸化チタンとの接着強度が弱くなり、いずれにおいて
も実用性が乏しい。
【0014】本発明の好ましい態様については、前記
(B)結晶性酸化チタンの二酸化チタン換算、および前
記(C)シリコン系バインダーの二酸化ケイ素換算の合
計固形分濃度が20重量%以下であるようにする。合計
固形分濃度とは、全体組成分中に含まれる酸化チタンを
二酸化チタンに、シリコン系バインダーを二酸化ケイ素
に換算した値の合計であるが、それは液の安定性、成膜
方法、成膜体の特性などのバランスを考慮して決める。
その合計固形分濃度は、酸化チタンの二酸化チタン換
算、およびシリコン系バインダーの二酸化ケイ素換算の
合計固形分濃度を20重量%以下にすることが好まし
い。合計固形分濃度が20重量%以下の場合、各種仕様
(膜厚、成膜方法など)に合うように設定して良いが、
20重量%を超えると組成物中の固形物の分散性が悪く
なり、組成物の安定性が著しく低下しゲル化が生じ易く
なる。また、高濃度になると成膜性、組成物の成膜体と
基材との密着性が著しく低下するようになるので好まし
くない。
【0015】本発明の好ましい態様については、前記特
徴を有する組成物の(F)pHが2〜5であるようにす
る。本発明の組成物のpHは、塗膜形成要素であるシリ
コン系バインダー、表面修飾酸化チタンの製造、および
これら混合物の調合の際に液の安定性を考慮して決め
る。pHが2以下の強酸性側、またはpHが5以上の中
性側であると、シリコン系バインダーは不安定になる。
【0016】本発明では、上記光触媒性塗膜形成組成物
を基材の表面に塗布し、300〜800℃で加熱硬化さ
せる方法で光触媒性塗膜を設けた光触媒性部材を提供す
る。本発明によれば、本発明の組成物を基材に成膜し3
00〜800℃で加熱硬化させることで塗膜を基材上に
形成させた光触媒性部材を提供することができる。本発
明の組成物を塗布する基材としては、300〜800℃
の加熱処理条件において変色、退色、変形、物性変化な
どの不具合が発生しにくいものであれば何でも良い。ガ
ラス、金属、セメント、壁紙、石膏ボード、石材、セラ
ミックス、もしくは樹脂等の様々な形状を有する部材、
複合成形体が考えられる。これら基材に塗布する際に
は、組成物、基材に合わせて、必要に応じて前処理を行
ってもよい。
【0017】本発明の好ましい態様については、加熱処
理し硬化させた塗膜が鉛筆硬度9H以上の表面硬度を有
する光触媒性塗膜を設けた光触媒性部材であるようにす
る。本発明によれば、本発明の組成物を基材に成膜し加
熱処理した塗膜は鉛筆硬度9H以上の表面硬度を有する
ため、表面硬度を必要とされる部材に適用できる。本発
明の組成物を塗布する基材としては、ガラス、金属、セ
メント、壁紙、石膏ボード、石材、セラミックス、もし
くは樹脂等の様々な形状を有する部材、複合成形体が考
えられる。これら基材に塗布する際には、組成物、基材
に合わせて、必要に応じて前処理を行ってもよい。
【0018】本発明の好ましい態様については、光触媒
性塗膜を形成させる基材がセラミック、ガラスである光
触媒性部材であるようにする。本発明によれば、本発明
の組成物を基材に成膜し加熱処理すると、鉛筆硬度9H
以上の表面硬度を有する光触媒性塗膜を有する部材とな
るため、光触媒活性および表面硬度を必要とされる部
材、用途に適用できる。これら基材に塗布する際には、
組成物、基材に合わせて、必要に応じて前処理を行って
もよい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について順次説明
する。
【0020】前記(A)カルボン酸類としては、マレイ
ン酸、マロン酸、フマル酸、しゅう酸、コハク酸などの
1分子の構造中にカルボニル基を2個以上有するカルボ
ン酸、またはリンゴ酸、グリコール酸、乳酸、酒石酸、
クエン酸、グルコン酸などのヒドロキシカルボン酸から
選択される化学物質であることが好ましい。前記化学物
資には、1分子構造中に水酸基が2個以上存在する。水
酸基が2個以上存在しなければ、酸化チタン表面に修飾
したカルボン酸の残留水酸基が少なくシリコン系バイン
ダーとの作用が小さくなるため、塗膜の高度な緻密化、
架橋化が達成されにくくなると考えられる。また、水酸
基が多すぎれば、表面修飾酸化チタン単独液、表面修飾
酸化チタンとシリコン系バインダーの製造、調整、混合
液に凝集、増粘などの課題が生じると考えられる。
【0021】前記組成物の(B)結晶性酸化チタンにつ
いては、特定値(約3.2eV)以上のエネルギーを持
つ光を照射することで、励起された電子と電子が飛び出
して生じた正孔により、それぞれ有機物の酸化分解作
用、水分子の吸着による親水作用を示す光触媒作用を有
する結晶性酸化チタンである。結晶性二酸化チタン粒子
については、アナターゼ型、ブルッカイト型、ルチル型
があるが、特に好ましくはアナターゼ型、ブルッカイト
型である。また、それらが混合されたものであってもか
まわない。なお、他の酸化チタンとして、高温加熱で結
晶化が急速に進み光触媒作用を有するようになるアモル
ファス酸化チタン、またはヒドロキシチタネート、有機
チタネートなどの酸化チタン前駆体があるが、加熱処理
時に基材内部から成膜表面に移動する元素成分(基材が
ソーダライムガラスの場合、Na元素。ステンレス鋼板
の場合、Fe元素など。)と反応し結晶性二酸化チタン
になりにくく塗膜の光触媒活性が低下しやすくなると考
えられる。
【0022】表面修飾酸化チタンの製造では、結晶性或
いはアモルファスの酸化チタン粒子を分散媒に分散させ
たゾルを利用するか、分散溶媒中にチタンアルコキシ
ド、硫酸チタニル、四塩化チタンなどの酸化チタンの前
駆体を混入させ中和、加水分解、脱酸処理、脱アルカリ
処理などの処理を行うことでゾルを形成するという方法
が好適に用いられる。例えば、出発原料として硫酸チタ
ニルを用いる場合、まず常温よりも高温で加水分解して
濾過洗浄したゾルを溶媒に再分散させる、あるいは加水
分解時に発生する陰イオンをイオン交換樹脂により処理
するなどして、カルボン酸、必要に応じて無機酸などの
酸を加えるという方法、また結晶性を向上させるために
さらに水熱処理を行うという方法が好適に用いられる。
また、出発原料として四塩化チタンを用いる場合、常温
よりも高温で加水分解した後、または加水分解しながら
発生した塩素イオンを電気透析、イオン交換樹脂、電気
分解などの脱塩素処理により処理し塩素イオン濃度、p
Hを制御しカルボン酸、必要に応じて無機酸などの酸を
加えるという方法、カルボン酸を用いて前記加水分解、
脱塩素処理により塩素イオン濃度、pHを制御するとい
う方法などが好適に用いられる。また、酸化チタンゾル
にカルボン酸を添加するという方法も好適に用いられ
る。
【0023】前記組成物の(C)シリコン系バインダー
は、塗膜硬化において酸化チタンと基材、かつ酸化チタ
ン同士を強固に結合させ、かつ酸化チタンの光触媒活性
を半永久的に発揮させる働きをする。また、表面修飾酸
化チタンと安定に調合できるpH値を有するバインダー
である。本発明のバインダーは、酸化チタンと基材を、
かつ酸化チタン同士を強固に結合させ、かつ酸化チタン
の光触媒活性を半永久的に発揮させる役割を持ち、表面
修飾酸化チタンゾルと安定に調合できるpH値に調合さ
れた未硬化シロキサンポリマーであることが好ましい。
その未硬化シロキサンポリマーは、 一般式 R1(n1)SiX(4−n1)…(1) (式中、n1は0または1の整数。R1は炭素数1〜18
の一価の有機基であり、その中における一つの炭素原子
はケイ素原子と結合している。Xは塩素、臭素、又は炭
素数1〜4のアルコキシ基である。以下同様) で表される加水分解性3官能シリコン化合物と加水分解
性4官能シリコン化合物の混合物、または加水分解性4
官能シリコン化合物を酸性下で加水分解・縮重合させた
ものが好ましい。より好ましくは加水分解性4官能シリ
コン化合物の加水分解・縮重合させた未硬化シロキサン
ポリマーである。 また、好ましくは一般式 Si(n2)O(n2−1)OR2(2n2+2)… (2) (式中、n2は2から6の整数。R2は炭素数1〜4のア
ルコキシ基である。以下同様) で表される加水分解性4官能シリコン化合物の縮重合物
を酸性下で加水分解・縮重合させた未硬化シロキサンポ
リマーである。 また、一般式 M(n3)O・(n4)SiO2 …(3) (式中、Mはアルカリ金属類に属する元素。n3はMの
価数によって決まる数値。n4は1〜8の数値。以下同
様)で表される、MがFr、Cs、Rb、K、Na、L
iなど少なくとも1種類以上のアルカリ金属類に属する
元素を含むシリコン化合物、ケイ酸アルカリ金属塩溶液
(以下、アルカリシリケートと呼ぶ)を、中和したり、
電気透析、イオン交換樹脂、電気分解などで脱アルカリ
処理したりするなど好適に用いられる方法を施して得ら
れる酸性の未硬化シロキサンポリマーであってもかまわ
ない。また、前記未硬化シロキサンポリマーにシリカ微
粒子を加えたもの、また一般式(1)、または一般式
(2)、または一般式(3)で表されるシリコン化合物
とシリカ微粒子を反応させたものを用いてもかまわな
い。
【0024】一般式(1)で表されるシリコン化合物で
は、加水分解性3官能シリコン化合物としては、メチル
トリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルト
リメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチル
トリイソプロポキシラン、メチルトリt−ブトキシシラ
ン、エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、エチルトリイソプロポキシラン、ビニルトリクロ
ルシシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリクロルヒ
ドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒ
ドロシラン、トリエトキシヒドロシランを挙げることが
できる。加水分解性4官能シリコン化合物には、テトラ
クロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、
ジメトキシジエトキシシランがある。好ましくは、入手
し易く乾燥時に高硬度体を得やすいテトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシランである。また、一般式(2)
で表されるシリコン化合物としては、入手し易く乾燥時
に高硬度体を得やすいテトラメトキシシランの平均3量
体縮重合物であるメチルシリケート51、テトラエトキ
シシランの平均5量体縮重合物であるエチルシリケート
40が好ましい。また、一般式(3)で表されるシリコ
ン化合物としては、1号ケイ酸ナトリウム水溶液、2号
ケイ酸ナトリウム水溶液、3号ケイ酸ナトリウム水溶
液、4号ケイ酸ナトリウム水溶液、1Kケイ酸カリウム
水溶液、Bケイ酸カリウム水溶液、各種ケイ酸リチウム
水溶液などがある。また、それ以外のアルカリシリケー
トとして、アルカリ金属を極力少なくし、有機アミン類
(ホルムアルデヒド、エチルアミン、エタノールアミン
などの短鎖アミン)で安定化させたアンモニウムシリケ
ートなども挙げられる。
【0025】本発明の(C)シリコン系バインダーは、
一般式(1)で表される加水分解性4官能シリコン化合
物、または一般式(2)で表される加水分解性4官能シ
リコン化合物の縮重合物を酸性下で加水分解・縮重合さ
せた未硬化シロキサンポリマーであることがより好まし
い。
【0026】加水分解性シリコン化合物の加水分解で
は、触媒として酸、アルカリのいずれもが利用できる
が、加水分解したバインダー成分、表面処理酸化チタン
ゾル、およびこれら混合物の安定性を考えると、水と接
触すると(F)pHが2〜5である酸性を示すものであ
ることが望ましい。特に酸性のハロゲン化水素、カルボ
ン酸、スルホン酸、酸性あるいは弱酸性の無機塩、イオ
ン交換樹脂などの固体酸などが好ましい。好適な例とし
ては、フッ化水素、塩酸、硝酸、硫酸;酢酸、マレイン
酸に代表される有機酸;メチルスルホン酸、表面にスル
ホン酸基、又はカルボン酸基を有するカチオン交換樹脂
などが挙げられる。加水分解触媒の量は、ケイ素原子上
の加水分解性基1モルに対して0.001〜5モルの範
囲内であることが好ましい。なお、pHが2以下の強酸
性側、またはpHが5以上の中性側であると、加水分解
したバインダー成分は不安定になりゲル化しやすくな
る。
【0027】加水分解に使用する水の量は、塗膜の硬化
性、得られた塗膜の機械的強度、外観、表面処理酸化チ
タンゾルとの混合など液の安定性等から考慮すると、ケ
イ素原子上の加水分解性基1モルに対して0.001〜
500モル、好ましくは0.05〜100モルの範囲内
であることが好ましい。加水分解反応には、アルコー
ル、ケトン、エステル等の極性溶剤、或いはトルエン、
ヘキサン等の非極性溶剤を溶媒として用いるのが好まし
い。これら溶剤は、本発明の(D)溶媒に用いてもかま
わない。なお、ハロゲノシランを原料として使用する場
合、加水分解後、十分水洗してハロゲン成分を除去する
必要がある。
【0028】このようにして加水分解性シリコン化合物
モノマーを部分的に加水分解・縮重合させることにより
形成された未硬化のシロキサンポリマーからなるシロキ
サン化合物の分子量は、塗膜物性に影響を与える。分子
量が小さすぎる場合、乾燥硬化の際に欠陥、形状損壊が
生じやすくなり、塗膜硬度、耐摩耗性が低下することが
考えられる。分子量が大きい方が透明性、光沢、平滑性
の良好な被膜を形成することができる。シロキサン化合
物はポリスチレンを標準物質としたGPC(ゲル濾過クロ
マトグラフィー)測定により求めた数平均分子量が80
〜20000であるものが好ましい。
【0029】表面修飾酸化チタンとシリコン系バインダ
ーとの混合は、適宜に出来るが、一例を示すと酸性下に
ある所定量の表面修飾酸化チタン水性分散液を10〜5
0℃の液温に保持し、これに秤量したシリコン系バイン
ダーを一定時間かけて滴下添加する。滴下終了後、1〜
5時間撹拌下に反応させて組成物液を調製する。シリコ
ン系バインダーは、事前に前記加水分解性シリコン化合
物をpH調整下で加水分解・縮重合させた未硬化シロキ
サンポリマーであることが好ましく、これを表面修飾酸
化チタンゾルに撹拌下に混合して本発明の組成物を得る
ことができる。また、加水分解性シリコン化合物と加水
分解触媒を表面修飾酸化チタンゾルに同時に加えるとい
う方法、また表面修飾酸化チタン分散液中に存在する酸
分を利用して加水分解を進めるという方法が好適に用い
られる。また、アルカリシリケートを利用する場合、前
記した方法で事前にpH調整したもので調合するという
方法が好適に用いられる。
【0030】前記組成物の(D)溶媒は、塗膜形成要素
である表面修飾酸化チタン、シリコン系バインダーを均
質に分散させることが可能な物質である。例えば、水あ
るい低級アルコールであるメタノール、エタノール、イ
ソプロピルアルコール、n−プロパノール、n−ブタノ
ール、イソブタノール、あるいはケトン類であるメチル
エチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(M
IBK)がある。好ましくは、水あるいは前記低級アル
コール類である。また、組成物を希釈する希釈剤には、
水、及び有機溶剤を使用することができる。有機溶剤と
してはアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル
類が適する。
【0031】前記組成物の(F)pHは2〜5領域であ
ることが好ましい。そのpH領域であることが、塗膜形
成要素各成分を製造、調合した際の安定性の向上に有利
に働く。pHが2以下の強酸性側、またはpHが5以上
の中性側であると、シリコン系バインダーは不安定にな
りゲル化しやすくなる。
【0032】本発明では、(A)カルボン酸類に属する
少なくとも1種以上の物質を用いて予め表面修飾した
(B)結晶性酸化チタンと(C)シリコン系バインダー
の塗膜構成組成物を300〜800℃で加熱処理し硬化
させることで、優れた硬度、耐摩耗性と良好な光触媒活
性を有する光触媒性塗膜を実現できた。本発明の光触媒
性塗膜形成方法によって得た光触媒性塗膜が優れた硬
度、耐摩耗性と高い光触媒活性を有するようになるメカ
ニズムは必ずしも詳らかでない。しかし、高い硬度、高
い耐摩耗性を実現している作用としては、乾燥・高温焼
成時に従来の無機強酸分散酸化チタンゾルとバインダー
を混合した湿式法において弱点であった酸化チタンとバ
インダーの結合界面の弱さを強化する作用、それに加え
て光触媒性塗膜形成組成物の乾燥時に内部欠陥、形状損
壊を少なくさせる作用が、カルボン酸の化学構造から期
待できるためであると考えられる。また、酸化チタン単
独、またはバインダー成分との混合、製造においても、
酸化チタンの凝集・沈殿を低減させる、分散剤としての
効果もあると思われる。そして、高い光触媒活性を実現
している作用としては、高温処理による酸化チタン、カ
ルボン酸の熱変化作用が考えられる。酸化チタンについ
ては、光触媒活性が高い結晶型を有する結晶性酸化チタ
ンは高温処理によってその型を維持したまま高結晶化す
る作用があると考えられる。また、カルボン酸について
は、酸化チタンの表面処理成分でありながら、光触媒活
性を阻害するカルボン酸が高温処理によって減少、消滅
する作用があると考えられる。
【0033】前記、酸化チタンとバインダーの結合界面
の弱さを強化する作用としては、常温〜300℃の焼成
領域においては塗膜の乾燥硬化時に酸化チタン粒子の表
面を被覆したカルボン酸の残留水酸基(−OH)がシリ
コン系バインダーの反応性官能基に作用することで、酸
化チタンをカルボン酸を介してバインダーのネットワー
ク架橋の一部として積極的に取り入れる作用が考えられ
る。そのために、低温乾燥で処理した塗膜であっても高
度な緻密化、架橋化が達成されたと考えられる。
【0034】また、常温〜300℃の焼成領域において
は、同時に前記、内部欠陥、形状損壊を少なくさせるよ
うな作用が働くと考えられる。その作用としては、有機
構造を持つカルボン酸が存在することで組成物に可撓性
が付与され、乾燥硬化時に無理なく、かつ欠陥が少なく
塗膜を形成させるような一種の成形助剤としての作用が
考えられる。そのため、より欠陥が少なく高度に緻密化
された塗膜が実現したと考えられる。
【0035】そして、そのように欠陥が少なく高緻密
化、高架橋化が達成された塗膜をさらに高温300〜8
00℃で焼成処理した場合、酸化チタン表面に吸着した
カルボン酸が熱分解し消滅し、酸化チタン表面、そして
バインダー成分の反応性官能基の反応性が高くなり、酸
化チタンとバインダーの界面で強固な結合が形成される
と考えられる。そのため、より欠陥が少なく高度に緻密
化、架橋化された塗膜が実現したと考えられる。
【0036】また、前記分散剤としての作用は、酸化チ
タンの凝集・沈殿などが原因で生じる、塗膜形成時の成
膜ムラ、それに起因する機械的強度不良、外観不良など
を低減させる作用が考えられる。
【0037】また、前記高温処理による光触媒活性の向
上作用としては、酸化チタン、カルボン酸の熱変化作用
が考えられる。酸化チタンについては、は300〜80
0℃で高温処理することで結晶性酸化チタンには光触媒
活性が高い結晶型を維持したまま高結晶化が進む作用が
あることが考えられる。また、酸化チタンの表面処理成
分でありながら、光触媒活性を阻害するカルボン酸は、
酸化チタン表面、塗膜内部に存在するが、高温処理によ
って残存量が減少、または消滅する作用があることが考
えられる。
【0038】以上のような効果により、非常に高い表面
硬度、耐摩耗性だけでなく、良好な光触媒活性も備えた
塗膜を実現できたと考えられる。これらの挙げた効果が
期待できない、表面修飾を施していない酸化チタンとシ
リコン系バインダーから成る光触媒性塗膜では、優れた
硬度、耐摩耗性と良好な光触媒活性の両立は実現できな
い。
【0039】本発明では、これまで説明してきた各種特
徴を有するものであることがより好ましい。また、所望
により各種添加剤を適宜加えても良い。具体的には、硬
化触媒、各種界面活性剤、増粘剤、分散剤、発砲剤、シ
ラン或いはチタンカップリング剤、染料などである。
【0040】本発明では、塗布方法は塗布すべき基材の
形状と寸法に適した方法が適宜使用される。例えば、ハ
ケ塗り、スプレー法、バーコーター法、アプリケーター
法、スピンコーティング法、ディッピング法、カーテン
ウォール法などがある。一般的に基材への付着量が多い
成膜法ほど、組成物の合計固形分濃度は低く設定する方
が好ましいが、成膜体の仕様によって適宜変更しても良
い。
【0041】本発明では、組成物を基材に塗布し硬化さ
せて極めて高い表面硬度、耐摩耗性だけでなく、良好な
光触媒活性も備えた塗膜を実現するために必要な加熱処
理条件は、(E)300℃〜800℃である。好ましく
は350〜700℃、より好ましくは400〜600℃
である。低温領域で達成された高度な緻密化、高架橋化
を達成された塗膜を高温300℃以上で加熱処理する
と、酸化チタン表面に吸着したカルボン酸が熱分解し消
滅し、酸化チタン表面、そしてバインダー成分の反応性
官能基の反応性が高くなり、酸化チタンとバインダーの
界面で強固な結合が形成されると考えられる。また、酸
化チタン表面、塗膜内部においては、酸化チタンの表面
処理成分でありながら、光触媒活性を阻害するカルボン
酸の残存量が熱分解、消滅することで少なくなり、酸化
チタン表面と外気との接触頻度が多くなるため、光触媒
活性がさらに向上することが考えられる。また、酸化チ
タンについても、300℃以上で高温処理することで、
酸化チタンは光触媒活性が高い結晶型を維持したままよ
り高結晶化が進み、光触媒活性がさらに強くなることが
考えられる。これらの効果は高い焼成温度であるほど顕
著になる。しかし、800℃以上の焼成では、酸化チタ
ンの結晶構造が光触媒活性が高いアナターゼ型から低い
ルチル型に変移して光触媒活性が低下する要因になる。
【0042】本発明の成膜では、塗膜硬度、耐摩耗性、
光触媒活性、外観をバランス良く発現させるためには、
前述した二酸化チタンおよび二酸化珪素の酸化物換算値
の重量比だけではなく、塗膜厚さも重要な因子となる。
本発明の組成物では、膜厚は10〜1000nmが好ま
しい。透明性も重視する仕様では、10〜300nmが
好ましい膜厚である。
【0043】本発明では、同じ高温焼成条件で形成され
た従来の酸やアルカリで邂逅した酸化チタンとシリコン
系バインダーのコート剤よりも優れた、鉛筆硬度9H以
上の表面硬度、耐摩耗性を有する光触媒性塗膜を形成す
ることができる。また、従来の酸化チタン前駆体のコー
ト剤よりも、優れた光触媒活性を有する鉛筆硬度9H以
上の高硬度光触媒性塗膜を形成することができる。そし
て、より軽い焼成処理条件で塗膜の硬化を促進させた
り、または塗膜の硬化時間を短縮することが可能となる
ため、加熱処理の懸念項目、例えば基材自体特性が損な
われる、コストなどの不具合を低減できる。また、加熱
処理が充分にできない建造物等の部材にも、優れた硬
度、耐摩耗性と良好な光触媒活性を有する光触媒性塗膜
を形成することが可能となる。そのため、これまで表面
硬度不足、耐摩耗性不足が原因で適用できなかった部材
にも用途が広がる。
【0044】上記方法で部材表面に薄膜を形成すると、
部材表面は光半導体である酸化チタンの光励起に応じ
て、分解性を呈するようになる。ここで、光半導体の光
励起により、基材表面が高度に親水化されるためには、
励起光の照度は0.001mW/cm2以上あればよい
が、0.01mW/cm2以上だと好ましく、0.1m
W/cm2以上だとより好ましい。光源としては、太陽
光、室内照明、蛍光灯、水銀灯、白熱電灯、キセノンラ
ンプ、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ、
BLBランプ、殺菌灯等が好適に利用できる。但し膜厚
100nm以下の薄膜にした場合には、薄膜においても
吸収性のよい250〜350nm程度(好ましくは30
0〜350nm程度)の短波長光が多く含まれるのが好
ましい。
【0045】本発明の組成物を塗布する基材としては、
300〜800℃の加熱処理条件において変色、退色、
変形、物性変化などの不具合が発生しにくいものであれ
ば何でも良い。例えば、ガラス、金属、セメント、壁
紙、石膏ボード、石材、セラミックス、もしくは樹脂等
の様々な形状を有する部材、複合成形体が考えられる。
特に、高温処理に耐えられるガラス、セラミックスであ
ることが好ましい。これら基材に塗布する際には、組成
物はもちろん基材に合わせた前処理を行うことが必要と
なる。
【0046】本発明が適用可能な基材としては、防曇、
防滴効果を期待する場合には透明な部材であり、その材
質はガラス、プラスチック等が好適に利用できる。適用
可能な基材を用途でいえば、車両用後方確認ミラ−、浴
室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡のような鏡;眼
鏡レンズ、光学レンズ、照明用レンズ、半導体用レン
ズ、複写機用レンズ、車両用後方確認カメラレンズのよ
うなレンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガラス;自動
車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロ−プ
ウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような
乗物の窓ガラス;自動車、オ−トバイ、鉄道車両、航空
機、船舶、潜水艇、雪上車、スノ−モ−ビル、ロ−プウ
エイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗
物の風防ガラス;防護用ゴ−グル、スポ−ツ用ゴ−グ
ル、防護用マスクのシ−ルド、スポ−ツ用マスクのシ−
ルド、ヘルメットのシ−ルド、冷凍食品陳列ケ−スのガ
ラス、中華饅頭等の保温食品の陳列ケ−スのガラス;計
測機器のカバ−、車両用後方確認カメラレンズのカバ
−、レ−ザ−歯科治療器等の集束レンズ、車間距離セン
サ−等のレ−ザ−光検知用センサ−のカバ−、赤外線セ
ンサ−のカバ−;カメラ用フィルタ−、及び上記物品表
面に貼着させるためのフィルム、シ−ト、シ−ル、ワッ
ペン等が挙げられる。
【0047】本発明が適用可能な基材としては、表面清
浄化効果を期待する場合にはその材質は、例えば、金
属、セラミック、ガラス、プラスチック、木、石、セメ
ント、コンクリ−ト、繊維、布帛、それらの組合せ、そ
れらの積層体が好適に利用できる。適用可能な基材を用
途でいえば、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラ
ス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の
外装、防塵カバ−及び塗装、交通標識、各種表示装置、
広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガ−ドレ
−ルの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太
陽電池カバ−、太陽熱温水器集熱カバ−、ビニ−ルハウ
ス、車両用照明灯のカバ−、住宅設備、便器、浴槽、洗
面台、照明器具、照明カバ−、台所用品、食器、食器洗
浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフ−
ド、換気扇、及び上記物品表面に貼着させるためのフィ
ルム、シ−ト、シ−ル、ワッペン等が挙げられる。
【0048】本発明が適用可能な基材としては、乾燥促
進効果を期待する場合には、その材質は、例えば、金
属、セラミック、ガラス、プラスチック、木、石、セメ
ント、コンクリ−ト、繊維、布帛、それらの組合せ、そ
れらの積層体が好適に利用できる。適用可能な基材を用
途でいえば、自動車車体、窓、舗道及び上記物品表面に
貼着させるためのフィルム、シ−ト、シ−ル、ワッペン
等が挙げられる。
【0049】本発明が適用可能な基材としては、脱臭、
殺菌効果を期待する場合には、その材質は、例えば、金
属、セラミック、ガラス、プラスチック、木、石、セメ
ント、コンクリ−ト、繊維、布帛、それらの組合せ、そ
れらの積層体が好適に利用できる。適用可能な基材を用
途でいえば、タイル、壁紙、床材などの内装建材、外装
建材、日用雑貨全般、老人ホームや病院等で使用する器
具や衣服、およびその表面に接着するフィルム、シ−
ト、シ−ル、ワッペン等が挙げられる。
【0050】
【実施例】以下に実施例によって本発明をより具体的に
説明する。尚、本発明の実施の形態はこれらに限定され
るものではない。
【0051】[実施例1]エタノール29.75g、エ
チルシリケート40(エチルシリケート5量体、コルコ
ート(株)社製)3.75g、2重量%硝酸水溶液5.8
0gを蓋付き容器に入れ、30℃の湯浴中で攪拌しなが
ら5時間加水分解を行ない、シリコン系バインダーを得
た。
【0052】リンゴ酸を1〜1.5重量%、酸化チタン
単独固形分濃度を6重量%含有する平均粒径6nmの酸
化チタンゾルM−6(多木化学(株)社製)17.5
g、上記シリコン系バインダー11.25g、希釈溶媒
として蒸留水21.25gを加えて攪拌し、チクソ性が
ある光触媒性酸化チタン塗膜形成組成物を得た。この組
成物は、酸化チタンを二酸化チタン、シリコン系バイン
ダーを二酸化ケイ素の重量にそれぞれ換算した重量比が
71:29であり、全組成物中の合計固形分濃度が3重
量%、pHは2.54であった。
【0053】この組成物を、回転条件500rpm×2
0秒、1000rpm×20秒で速やかにガラス基板上
にスピンコートし、300℃で1時間保持して硬化させ
てサンプルを得た。このサンプル基材上に形成された光
触媒性塗膜の膜厚は、SEM電子顕微鏡((株)島津製
作所製)観察で70〜80nmであった。このサンプル
を実施例1とした。
【0054】[実施例2]焼成温度を500℃に変更す
る以外は、実施例1を同じ方法で製膜したサンプルを実
施例2とした。この膜厚は70〜80nmであった。
【0055】[比較例1]酸化チタン前駆体のコート剤
の代表として有機チタン化合物をコート剤とした、TK
C305(テイカ(株)社製)を用いた。製膜では、界面
活性剤A1225(テイカ(株)社製)を添加したTKC
305を用いて、なるべく同じ程度の膜厚となるように
固形分濃度を調整して実施例2と同様な成膜方法、焼成
条件を用いて塗膜を形成させた。なお、得られた塗膜の
膜厚は80〜100nmであり、このサンプルを比較例
1とした。
【0056】[比較例2]無機強酸解膠酸化チタンゾル
にエチルシリケート縮合物の酸性加水分解物を混合した
コート剤の中で表面硬度が高いものの代表として、ST
−K03(石原産業(株)社製)を用いた。製膜では、
希釈溶媒をエタノールとした以外は、なるべく同じ程度
の膜厚となるように固形分濃度を調整して実施例2と同
様な成膜方法、焼成条件を用いて塗膜を形成させた。な
お、得られた塗膜の膜厚は100〜130nmであり、
このサンプルを比較例2とした。
【0057】まず、実施例1,2、比較例1,2で得ら
れた塗膜の初期外観、表面硬度、耐摩耗性に関する特性
を調べた。
【0058】(初期外観)初期外観の評価では、目視観
測、及びヘイズ率の測定を行った。目視観測では、無色
透明である場合「問題なし」、また変色、膜切れなどの
不具合がある外観を、「悪い」と2段階に分けて評価し
た。また、ヘイズ率の測定には、ヘイズメーターhaze-G
uard PLUS (BYK-Gardner社製)を用いた。
【0059】実施例1,2の外観は、焼成温度の影響も
少なくヘイズ率値が0.2であり目視外観でも特に問題
が無く透明性が高い外観であった。また、比較例と比較
してもほとんど変わらない外観であった。
【0060】(表面硬度)表面硬度の評価では、JIS
K5400による鉛筆硬度の測定を行った。なお、測定
には、鉛筆引掻塗膜硬さ試験機型式P((株)東洋精機製
作所製)を用いた。
【0061】鉛筆硬度の評価では、比較例1で9H、比
較例2で6Hであるのに対して、比較例と同じ加熱処理
条件の実施例2は9H以上という明らかに優れた鉛筆硬
度を有することを確認した。また、比較例よりも200
℃も低い300℃の加熱処理条件で焼成した実施例1に
おいても、鉛筆硬度が9H以上であることを確認した。
本発明の塗膜が、明らかに優れた鉛筆硬度を有すること
を確認した。
【0062】(耐摩耗性)耐摩耗性の評価では、テーバ
ー摩耗試験前後のサンプル外観の目視観測、ヘイズ率の
測定を行った。具体的には、摩耗装置ロータリーアブレ
ージョンテスタ5130ABRAZER((株)東洋精機製作所
製)を用いて、摩耗輪CS-17、荷重250g、100回
転の条件で摩耗試験を行ない、試験前後のサンプル外観
を目視観測、ヘイズ率の変化を上記ヘイズメーターで測
定した。目視観測では、キズの付き具合で「キズが少な
い」、「キズが多い」と2段階に分けて評価した。ま
た、ヘイズ率では、試験前後のヘイズ率の差をヘイズ変
化ΔHとして表し、耐摩耗性の示標とした。
【0063】テーパー摩耗の評価では、ΔH値が比較例
1で+1.6、比較例2で+2.5であるのに対して、
同じ焼成条件である実施例2は+0.5、焼成温度が低
い条件である実施例1であっても+1.1という明らか
に優れた耐摩耗性を有することを確認した。また、目視
観察においても、実施例1、2のキズの付き具合は比較
例1、2よりも少なかった。また、実施例の結果から、
焼成温度が高くなるほどΔH値が低くなり耐摩耗性が向
上することを確認した。本発明の塗膜が、明らかに優れ
た耐摩耗性を有することを確認した。
【0064】以上から、本発明の組成物から得られた塗
膜が、優れた表面硬度、耐摩耗性を有することが分かっ
たので、次に親水性、光触媒活性に関する特性を調べ
た。なお、この評価では鉛筆硬度が9Hという優れた表
面硬度を有する塗膜であったサンプル比較例1と比較し
た。
【0065】(親水性)親水性の評価では、ブラックラ
イトブルーランプ(以下、BLBと呼ぶ)を照射し水接
触角の測定を行った。この評価では、紫外線強度を屋外
と同程度の強度、0.5mW/cm2とした。そして、照
射0時間、照射24時間後の水との接触角値を測定し
た。なお、装置については、自動接触角計CA−Z(協
和界面科学社製)を用いた。
【0066】親水性評価では、BLB照射0時間におけ
る実施例1の水接触角は43°、実施例2は2°であっ
たが、BLB照射24時間後には実施例1で13°、実
施例2で1°まで下がった。BLB照射によって親水性
を示すことから、光触媒活性による親水性能を有する塗
膜であることを確認した。また、低い焼成温度の実施例
1が高い焼成温度の実施例2よりも疎水性を示す(水接
触角が大きい)ことから、焼成温度が高くなるほど親水
性阻害成分でもある表面処理成分カルボン酸が減少、ま
た消滅することによって親水性能が向上することが予測
できた。また、焼成条件が同じである比較例1と実施例
2では、BLB照射24時間後の水接触角はそれぞれ3
°、1°まで低下することから親水性能は同程度である
ことを確認した。
【0067】(光触媒活性)光触媒活性の評価では、硝
酸銀呈色試験を行なった。1mW/cm2の紫外線を24時
間照射しあらかじめ親水化させたサンプルの表面に2重
量%の硝酸銀水溶液を刷毛で塗布し、1.2mW/cm2の
紫外線を10分間照射した後、サンプル表面の色差ΔE
*を測定した。
【0068】光触媒活性の評価では、実施例1のΔE*
は8.3、実施例2は8.4になった。BLB照射によ
って硝酸銀呈色反応を示すことから、光触媒活性を有す
る塗膜であることを確認した。また、比較例1のΔE*
が4.2であることから、実施例の光触媒活性が約2倍
以上優れていることを確認した。本発明の塗膜が、明ら
かに優れた光触媒活性を有することを確認した。なお、
光触媒活性への焼成温度の影響については、実施例で示
した焼成温度ではほとんど影響がなかった。
【0069】このように評価した結果を表1に示す。表
1から、本発明が極めて優れた硬度、耐摩耗性と良好な
光触媒活性を有する光触媒性塗膜であることが分かる。
【0070】
【表1】
【0071】[酸化チタンゾルの分析]従来の光触媒性
形成組成物では得られないほどの優れた塗膜硬度、耐摩
耗性を実現した原因を調べるため、リンゴ酸を1〜1.
5重量%含み、酸化チタン単独固形分濃度が6重量%で
ある酸化チタンゾルM−6(多木化学(株)社製)の分
析を行った。
【0072】[酸化チタン表面に吸着したリンゴ酸の絶
対量の分析]リンゴ酸が酸化チタン表面に吸着している
ことを確認するために分析を行った。今回使用した酸化
チタンゾルの液中には全体で1〜1.5重量%のリンゴ
酸が含まれ、その状態は酸化チタン粒子表面に吸着し固
定されている状態のリンゴ酸(以下、吸着リンゴ酸とす
る)、吸着せず溶媒中に溶解し自由に移動している状態
のリンゴ酸(以下、遊離リンゴ酸とする)の2種類で存
在することが予想された。そのため、遊離リンゴ酸の定
量化にはそのままのゾルを、吸着リンゴ酸の定量化には
アルカリ処理したゾルを、それぞれ限外濾過し採取した
ろ液をキャピラリー電気泳動法で分析した。
【0073】遊離リンゴ酸を定量評価するため、酸化チ
タンゾルを超純水で100倍に希釈し、酸化チタンがろ
液に混入せず、吸着リンゴ酸が酸化チタン表面から外れ
ない程度の条件で分画分子量50,000の限外濾過フ
ィルターUFV2 BQK40(日本ミリポア(株)
製)を用いて限外濾過し、酸化チタン粒子が存在せず、
遊離リンゴ酸のみが含まれるろ液を得た。
【0074】吸着リンゴ酸を定量評価するため、酸化チ
タンゾルを0.1N水酸化ナトリウム水溶液で10倍に
希釈したサンプルを密閉ガラス瓶中で60℃×4日加熱
後、さらに超純水で10倍に希釈し、遊離リンゴ酸のろ
液を得たときと同様な濾過条件で限外濾過し、酸化チタ
ン粒子表面から外れた吸着リンゴ酸と遊離リンゴ酸の両
方が含まれるろ液を得た。
【0075】得られたろ液をキャピラリー電気泳動法に
より分析した。具体的には、内径50μm×長さ104
cmのキャピラリーと有機酸分析用バッファ(pH5.
6、Agilent Technologies(株)社製)を用い、泳動
電圧25kV(Negative)、検出波長(Signal 350n
m、reference 200nm)で測定した。その結果、ゾルに
は吸着リンゴ酸が0.7重量%、遊離リンゴ酸が0.3
重量%であることが分り、酸化チタン粒子表面にはリン
ゴ酸が吸着していることを確認した。
【0076】[酸化チタン表面に吸着したリンゴ酸の結
合形態分析]酸化チタンゾル表面に吸着したリンゴ酸の
結合形態を分析するために、DL-リンゴ酸、表面処理酸
化チタンゾル、表面処理酸化チタンゾルにDL-リンゴ酸
を添加した3種類をSpectrum 2000 FTIR(PERKIN EL
MER社製)を用いて、高速フーリエ変換型赤外吸収スペ
クトル分析した。その結果、表面処理酸化チタンゾルに
おいて、DL-リンゴ酸の構造内に存在する炭素と酸素の
二重結合C=Oに由来する1720cm-1の吸収ピークに
ずれが生じる現象が観測された。文献S.Doeuff et a
l.、「Hydrolysis of titanium alkoxides:modifica
tion of themolecular percursor by acetic aci
d 」(p206〜216、89、1987、Journal
of Non-Crystalline Solids)によれば酢酸とチタン
アルコキシドの結合形態の一つに酢酸の構造内に存在す
るC=Oに由来する1720cm-1の吸収ピークにずれを
生じさせるモノデンテート(Monodentate)型が存在す
ることを示唆しているが、この分析結果からリンゴ酸と
酸化チタンゾル表面の結合形態はモノデンテート(Mono
dentate)型と類似した形態をしていると考えられる。
【0077】[酸化チタン表面に付着したリンゴ酸の熱
重量・示差熱(以下、TG/DTAと呼ぶ)同時分析]
酸化チタンゾル表面に付着したリンゴ酸の加熱処理時の
TG/DTA特性を把握するために、TG/DTA同時
測定装置TG/DTA320(セイコー電子工業(株)
社製)を用いた。その結果、280℃近傍において約1
重量%の重量減少と発熱現象を伴ったTG/DTA現象
を確認した。この現象は、有機チタン化合物チタンアセ
チルアセトネートを加熱処理し酸化チタンを得る際に観
測される現象と類似していることから、リンゴ酸表面処
理酸化チタンゾルのTG/DTA分析結果は300℃近
傍で酸化チタン表面に吸着したリンゴ酸が熱分解し燃焼
消滅するような現象を示唆していると考えられる。一
方、表面修飾していない無機強酸解膠型二酸化チタンゾ
ルSTS−01(石原産業(株)社製)を加熱処理した
際には、350℃近傍で吸熱反応が観測されたが、リン
ゴ酸が付着した場合の発熱反応とは異なる。また、山根
正之編・著「ゾルゲル法の技術的課題とその対策」(p
9〜10、1990、(株)アイシーピー発行)に記載
のテトラエトキシシラン加水分解物の温度変化状態を水
酸基のIR吸収変化で分析した結果によれば、330℃
近傍で水素結合した水酸基が消滅する現象が発生するこ
とを指摘している。このことから、STS−01の吸熱
反応は、例えば二酸化チタン表面と水素結合した水など
の燃焼性がない物質が消滅したときの吸熱反応と考えら
れる。
【0078】[酸化チタンゾルの結晶性に関する高温X
線回折分析(以下、高温XRD分析と呼ぶ)]該酸化チ
タンゾルの結晶状態を調べるために、X線回折分析装置
MXP−18((株)マック・サイエンス社製)を用い
て100℃昇温毎に高温XRD分析を行った。その結
果、常温では結晶性が低いものの、加熱温度350℃近
傍〜450℃から急激に結晶化が進み、さらに高温では
さらに高い結晶性を示すことを確認した。また、その結
晶構造は750℃近傍まではアナターゼ型、750℃〜
850℃まではルチル型になることを確認した。500
℃までの結晶化現象は、前述したTG/DTA現象と連
動しているように考えられる。
【0079】
【本発明の効果】本発明によれば、湿式法にて基材表面
に優れた硬度、耐摩耗性と良好な光触媒活性を併せ持っ
た光触媒性塗膜を形成させる製造方法を提供することが
可能となった。また、それを成膜し焼成させた塗膜を有
する光触媒性部材を提供することも可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B05D 3/02 B05D 3/02 Z C04B 41/87 C04B 41/87 A C09D 5/00 C09D 5/00 Z 183/02 183/02 183/04 183/04 (72)発明者 勝川 由美子 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 下吹越 光秀 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 4D075 BB28Z BB93Z CA02 CA13 CA34 CA37 CA39 CA45 CB06 DA04 DA06 DB01 DB12 DB13 DB14 DB18 DB20 DB21 DB31 DB63 DC01 DC05 DC08 DC11 DC15 DC18 DC24 DC30 DC38 EB02 EB43 EB47 EB51 EB56 EC02 EC07 EC53 EC54 4G069 AA03 AA08 BA02A BA02B BA02C BA04A BA04B BA13A BA14A BA14B BA17 BA21C BA22C BA29A BA48A BE08C BE32C CA01 CA11 CD10 EA09 EA11 EB15Y ED02 ED03 ED10 FA03 FB15 FB23 FB24 FB30 FC02 FC04 FC07 FC08 FC09 4J038 DL021 DL031 DL111 HA216 KA06 NA00 NA01 NA11 NA27 PA19 PB01 PB02 PB05 PB06 PB07 PB08 PB11 PC03 PC04 PC08 PC10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)カルボン酸類に属する少なくとも1
    種以上の物質を用いて予め表面修飾した(B)結晶性酸
    化チタンと、(C)シリコン系バインダーと、(D)溶
    媒とからなる、光触媒性塗膜形成組成物を、基材の表面
    に塗布し、(E)300〜800℃の温度で焼成するこ
    とにより基材表面に光触媒性塗膜を形成させる製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記(B)の材料は、結晶性酸化チタン
    粒子であり、その平均粒径が1〜100nmであること
    を特徴とする請求項1に記載の光触媒性塗膜の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記(B)結晶性酸化チタンの表面を修
    飾する前記(A)カルボン酸1重量部に対して、前記
    (B)結晶性酸化チタンが1〜1000重量部であるこ
    とを特徴とする請求項1〜2に記載の光触媒性塗膜の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 二酸化チタン換算が100重量部となる
    前記(B)結晶性酸化チタンの重量部に対して、前記
    (C)シリコン系バインダーを二酸化ケイ素換算で10
    〜400重量部含有することを特徴とする、請求項1〜
    3に記載の光触媒性塗膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記(B)結晶性酸化チタンの二酸化チ
    タン換算、および前記(C)シリコン系バインダーの二
    酸化ケイ素換算の合計固形分濃度が20重量%以下であ
    ることを特徴とする、請求項1〜4に記載の光触媒性塗
    膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記塗膜形成組成物の(F)pHが2〜
    5であることを特徴とする請求項1〜5に記載の光触媒
    性塗膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の光触媒
    性塗膜の製造方法により、光触媒性塗膜を設けた光触媒
    性部材。
  8. 【請求項8】 前記乾燥硬化させて得た塗膜が鉛筆硬度
    9H以上の表面硬度を有する請求項7に記載の光触媒性
    部材。
  9. 【請求項9】 基材がセラミック、ガラスである請求項
    7〜8に記載の光触媒性部材。
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