JP2002320860A - 部分酸化触媒及びその製造方法 - Google Patents

部分酸化触媒及びその製造方法

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JP2002320860A
JP2002320860A JP2001133018A JP2001133018A JP2002320860A JP 2002320860 A JP2002320860 A JP 2002320860A JP 2001133018 A JP2001133018 A JP 2001133018A JP 2001133018 A JP2001133018 A JP 2001133018A JP 2002320860 A JP2002320860 A JP 2002320860A
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partial oxidation
oxidation catalyst
organic group
porous body
silicon
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JP2001133018A
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Shinji Inagaki
伸二 稲垣
Baumikku Ashimu
バウミック アシム
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分子サイズが大きい有機化合物に対しても高
い触媒活性及び選択性を発揮する部分酸化触媒及びその
製造方法を提供すること。 【解決手段】 有機基を含む金属酸化物の多孔体からな
る部分酸化触媒であって、前記金属酸化物は、ケイ素原
子及びチタン原子を金属原子とする金属酸化物であり、
前記ケイ素原子の少なくとも一部は前記有機基の2箇所
以上で炭素−ケイ素結合を形成しており、更に、前記多
孔体は1.5〜30nmの中心細孔直径を有することを
特徴とする部分酸化触媒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部分酸化触媒及び
その製造方法に関し、より詳しくは、有機基とケイ素原
子とチタン原子とを含有する金属酸化物の多孔体からな
る部分酸化触媒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機化合物の部分酸化反応に優れた触媒
活性を示す固体触媒として、ミクロポーラスなチタノシ
リケート(TS−1)が知られている(米国特許4,4
10,501号公報)。かかる固体触媒は、反応後の容
易が分離であり、副生成物も少なく反応容器の腐食も少
ないため、従来の均一系触媒に対して多くの利点を有す
る。かかるTS−1は、ZSM−5として知られる多孔
体(米国特許3,702,886号公報)と同様のMF
I構造を有しており、アルミニウムの代わりにチタンを
骨格に含むゼオライトである。また、その細孔直径は1
nm以下である。
【0003】TS−1は、過酸化水素によるアルケンの
エポキシ化、アルコールの酸化、ケトンのアンモキシメ
ーション反応等の部分酸化反応に高い触媒活性と反応選
択性を示す。例えば、TS−1を用いたシクロヘキサン
のアンモキシメーションによるオキシム合成は工業化さ
れており、従来の硫安を副生するオキシム合成法に比較
して高い触媒活性を有している。また、TS−1は鎖状
アルカンをエポキシ化するが環状アルケンは全くエポキ
シ化しないという特異な形状選択性を発揮し、更に、ア
ルカンの水酸化にも活性であり、シクロヘキサンと比べ
てヘキサンの酸化速度が40倍も大きく高い形状選択性
が見られる。
【0004】一方、細孔直径が1.5nm以上の細孔
(いわゆるメソ孔)を有するチタノシリケート(Ti−
MCM−41)の合成が近年報告され(P. T. Tanev,
M. Chibwe, T. J. Pinnavaia, Nature, 368, 321-324,
1994)、t−ブチルハイドロパーオキサイド(TBH
P)によるエポキシ化反応に高い活性を発揮することが
示された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記T
S−1等のチタノシリケートは、分子サイズの大きい有
機化合物の部分酸化触媒として用いた場合に、細孔直径
が小さい(1nm以下)ために有機化合物が細孔内に侵
入できず、又侵入できても速く拡散できないため、触媒
活性が不充分であった。
【0006】一方、Ti−MCM−41は分子サイズの
大きい有機化合物を取り込むことができるものの、有機
化合物の部分酸化触媒活性が低いという問題があった。
更に、Ti−MCM−41は、過酸化水素による酸化活
性をほとんど示さないので、TBHPのように反応後に
副生物を生成する酸化剤を使用することが必須となるた
め、環境負荷が大きいという問題も有していた。かかる
現象はTi−MCM−41の細孔表面の疎水性がTS−
1ほど強くないためであると考えられており、表面シラ
ノール基に有機基を結合させて疎水性の向上を図る試み
もなされているが、充分な効果が得られていないのが現
状である。
【0007】本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み
てなされたものであり、分子サイズが大きい有機化合物
に対しても高い触媒活性及び選択性を発揮し、反応プロ
セスを簡素化してコスト低下を可能ならしめるのみなら
ず、環境負荷の低減も図ることが可能な部分酸化触媒及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、有機基、ケイ素
原子及びチタン原子を含む金属酸化物からなる特定サイ
ズの細孔径を有した多孔体であって、有機基が金属酸化
物の骨格に取り込まれていることを特徴とする部分酸化
触媒により、上記目的が達成可能であることを見出し
た。
【0009】また、有機基が骨格に取り込まれたケイ素
原料と、チタニア原料とを、界面活性剤が含まれた溶媒
中で分散させつつ反応させた後に、界面活性剤を除去す
ることにより、上記部分酸化触媒が得られることを見出
し、本発明を完成させた。
【0010】すなわち、本発明の部分酸化触媒は、有機
基を含む金属酸化物の多孔体からなる部分酸化触媒であ
って、前記金属酸化物は、ケイ素原子及びチタン原子を
金属原子とする金属酸化物であり、前記ケイ素原子の少
なくとも一部は前記有機基の2箇所以上で炭素−ケイ素
結合を形成しており、更に、前記多孔体は1.5〜30
nmの中心細孔直径を有することを特徴とするものであ
る。
【0011】また、本発明の部分酸化触媒の製造方法
は、有機基とケイ素原子を含有し該有機基の2箇所以上
で炭素−ケイ素結合を形成しているケイ素化合物を少な
くとも含むシリカ原料と、チタニア原料とを、界面活性
剤と溶媒とを含む溶液中で反応させて、前記界面活性剤
を含有した多孔体を得る反応工程と、前記多孔体から前
記界面活性剤を除去する除去工程と、を含むことを特徴
とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】上述のように、本発明の部分酸化
触媒は有機基を含む金属酸化物の多孔体からなるもので
あって、以下の特徴を具備するものである。 (1)金属原子としてケイ素原子及びチタン原子を含
む。 (2)ケイ素原子の少なくとも一部は有機基の2箇所以
上で炭素−ケイ素結合を形成している。 (3)1.5〜30nmの中心細孔直径を有している。
【0013】したがって、本発明の部分酸化触媒は、以
下の(a)単位及び(b)単位が酸素原子を介して結合
した骨格(ケイ素原子の全部が有機基の2箇所以上で炭
素−ケイ素結合を形成している場合)、若しくは、以下
の(a)単位、(b)単位及び(c)単位が酸素原子を
介して結合した骨格(ケイ素原子の一部が有機基の2箇
所以上で炭素−ケイ素結合を形成している場合)を有し
ている。
【0014】なお、(b)単位におけるRはn価有機基
であり、nは2以上の整数を表す。また、以下の(a)
単位、(b)単位及び(c)単位におけるチタン原子及
びケイ素原子には1価の有機基や水酸基等が結合してい
てもよい(すなわち、チタン原子及びケイ素原子の全て
が酸素原子と結合していなくてもよい)。更に、(a)
単位、(b)単位及び(c)単位それぞれは、酸素原子
を介してランダムに結合していてもよく、同一の単位が
酸素原子を介してある程度連続して結合していてもよ
い。この場合において、複数存在する(a)単位、
(b)単位及び(c)単位のそれぞれは、全てが同一の
構造を有していなくてもよい。
【化2】
【化3】
【化4】
【0015】(b)単位におけるRとしては、例えば、
アルカン、アルケン、アルキン、ベンゼン、シクロアル
カン等の炭化水素から2以上の水素がとれて生じる2価
以上の有機基が挙げられるが、これらに限定されるもの
ではなく、有機基は、アミド基、アミノ基、イミノ基、
メルカプト基、スルフォン基、カルボキシル基、エーテ
ル基、アシル基、ビニル基等を有したものであってもよ
い。
【0016】Rの価数は、適度な架橋度の部分酸化触媒
が得られることから、2価であることが好ましい。した
がって、本発明の部分酸化触媒は、上記(a)単位及び
下記(b1)単位が酸素原子を介して結合した骨格、又
は上記(a)単位、下記(b1)単位及び上記(c)単
位が酸素原子を介して結合した骨格を有していることが
好ましい。本発明においては、後者の骨格を有しケイ素
原子及びチタン原子の実質的に全てが酸素原子を介して
結合した部分酸化触媒が特に好ましい。なお、、下記
(b1)単位においてR0は2価の有機基である。
【化5】
【0017】R0としては、メチレン基(−CH2−)、
エチレン基(−CH2CH2−)、トリメチレン基(−C
2CH2CH2−)、テトラメチレン基(−CH2CH2
CH2CH2−)、1,2−ブチレン基(−CH(C
25)CH−)、1,3−ブチレン基(−CH(C
3)CH2CH2−)、フェニレン基(−C64−)、
ジエチルフェニレン基(−C24−C64−C2
4−)、ビニレン基(−CH=CH−)、プロペニレン
基(−CH2−CH=CH2−)、ブテニレン基(−CH
2−CH=CH−CH2−)、アミド基(−CO−NH
−)、ジメチルアミノ基(−CH2−NH−CH2−)、
トリメチルアミン基(−CH2−N(CH3)−CH
2−)等が挙げられる。これらのなかでは、メチレン
基、エチレン基、フェニレン基が好ましい。
【0018】本発明の部分酸化触媒における、上記
(a)単位、(b)単位及び(c)単位の比率は特に制
限されないが、部分酸化触媒中のケイ素原子とチタン原
子の比率(モル比)については、ケイ素原子/チタン原
子=10〜500が好ましい。この比率は10〜100
がより好ましく、10〜60が更に好ましい。部分酸化
触媒中の有機基とケイ素原子の比率(モル比)について
は、有機基/ケイ素原子=0.01〜0.5が好まし
い。この比率は、0.1〜0.5がより好ましく、0.
2〜0.5が更に好ましい。また、本発明の部分酸化触
媒は、ケイ素原子及びチタン原子のいずれもが4配位型
構造を有していることが好ましい。
【0019】本発明の部分酸化触媒は、上述した成分か
らなる金属酸化物の多孔体であり、その中心細孔直径は
1.5〜30nmである。ここで、中心細孔直径とは、
多孔体の細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値
(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした
曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径
を意味する。
【0020】なお、細孔径分布曲線は、以下に述べる方
法により求めることができる。すなわち、多孔体を液体
窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、
定容量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒
素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素
ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。細孔径
分布曲線は、この吸着等温線を用いてBJH法により求
めることが可能である。本発明において、多孔体の中心
細孔直径が1.5nm未満の場合は分子サイズが大きい
有機化合物に対する触媒活性及び選択性が不充分にな
る。一方、30nmを超える場合は、反応の選択性が不
充分になる。本発明においては中心細孔直径は、1.5
〜10nmがより好ましく、2〜5nmが更に好まし
い。
【0021】本発明の部分酸化触媒は、全細孔容積に占
める、中心細孔直径の±40%の範囲内の直径を有する
細孔の全容積の割合が60%以上の多孔体であることが
好ましい。ここで、「全細孔容積に占める、中心細孔直
径の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割
合が60%以上」とは、例えば、中心細孔直径が3.0
0nmである場合、この3.00nmの±40%、すな
わち1.80〜4.20nmの範囲にある細孔の容積の
合計が、全細孔容積の60%以上を占めていることを意
味する。この条件を満たす多孔体は、細孔の直径が非常
に均一である。このように非常に規則的な細孔配列構造
を有する多孔体からなる部分酸化触媒を用いることによ
り、分子サイズが大きい有機化合物に対しても触媒活性
及び選択性を更に向上させることが可能になる。
【0022】本発明の部分酸化触媒は、1nm以上のd
値に相当する回折角度に1本以上のピークを有するX線
回折パターンを示す多孔体であることが好ましい。X線
回折パターンでピークが現われる場合は、そのピーク角
度に相当するd値の周期構造がシリカ系多孔体中にある
ことを意味する。したがって、1nm以上のd値に相当
する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が
1nm以上の間隔で規則的に配列していることになる。
このように非常に規則的な細孔配列構造を有する多孔体
からなる部分酸化触媒を用いることにより、分子サイズ
が大きい有機化合物に対しても触媒活性及び選択性を更
に向上させることが可能になる。
【0023】次に、本発明の部分酸化触媒の製造方法に
ついて説明する。本発明の部分酸化触媒の製造方法にお
いては、上述のようにシリカ原料、チタニア原料、界面
活性剤、溶媒を用いる。なお、シリカ原料は、有機基と
ケイ素原子を含有し該有機基の2箇所以上で炭素−ケイ
素結合を形成しているケイ素化合物を必須成分として含
んでいる。
【0024】ここで、シリカ原料及びチタニア原料は、
それぞれ、本発明における反応工程において−Si−O
−結合及び−Ti−O−結合を形成しうる化合物であれ
ばよい。有機基とケイ素原子を含有し該有機基の2箇所
以上で炭素−ケイ素結合を形成しているケイ素化合物と
しては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げら
れ、かかるケイ素化合物以外のシリカ原料としては、下
記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。また、
チタニア原料としては下記一般式(3)で表される化合
物が挙げられる。
【0025】反応工程において、下記一般式(1)及び
(3)で表される化合物を用いた場合は、ケイ素原子の
全部が有機基の2箇所以上で炭素−ケイ素結合を形成し
ている部分酸化触媒が得られ、下記一般式(1)、
(2)及び(3)で表される化合物を用いた場合は、ケ
イ素原子の一部が有機基の2箇所以上で炭素−ケイ素結
合を形成している部分酸化触媒が得られる。
【化6】
【化7】
【化8】
【0026】なお、上記一般式(1)〜(3)におい
て、Rはn価有機基であり(上記Rと同義)、nは2以
上の整数(上記nと同義)である。X1、X2、X3は同
一でも異なってもよく、それぞれ水酸基又は加水分解性
基を示し;R11、R12、R13は同一でも異なってもよ
く、それぞれ1価有機基を示し;pは1〜3の整数を示
し;q、rは同一でも異なっていてもよく、それぞれ2
〜4の整数を示す。なお、X1、X2、X3、R11、R12
及びR13が複数存在するときは、当該X1、X2、X3
11、R12及びR13はそれぞれ同一でも異なっていても
よい。
【0027】上記加水分解性基としては、例えば、ハロ
ゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルケニル
オキシ基、メルカプト基等が挙げられるが、本発明にお
いてはアルコキシ基が好ましい。上記1価有機基として
は、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロア
ルキル基等が挙げられるが、本発明においてはアルキル
基が好ましい。また、上記化合物において、pは3が好
ましく、q、rは3〜4がより好ましく4が更に好まし
い。一般式(1)で表される化合物におけるnは2であ
ることが好ましく、したがってRは上述したR0である
ことが好ましい。すなわち、本発明における反応工程に
おいては、下記一般式(1a)で表される化合物及び上
記一般式(3)で表される化合物を用いるか、若しく
は、下記一般式(1a)で表される化合物及び上記一般
式(2)、(3)で表される化合物を用いることが好適
である。本発明においては、後者がより好ましい。
【化9】
【0028】一般式(1a)で表される化合物として
は、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン等の
1,2−ビス(トリアルコキシシリル)アルカンが挙げ
らる。また、一般式(2)で表される化合物としては、
テトラエチルオルトシリケート(テトラエトキシシラ
ン)等のテトラアルコキシシランが挙げられ、一般式
(3)で表される化合物としては、テトラブチルオルト
チタネート(テトラブトキシチタン)等のテトラアルコ
キシチタンが挙げられる。
【0029】反応工程において用いる界面活性剤は、溶
媒中でシリカ原料とチタニア原料を分散可能なものであ
ればよく、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、
ノニオン界面活性剤のいずれも適用可能であるが、中心
細孔直径が1.5〜30nmの多孔体を作製しやすいこ
とから、界面活性剤は下記一般式(4)で表される界面
活性剤(アンモニウム塩)であることが好ましい。
【化10】
【0030】上記式中、R1、R2およびR3は、同一で
も異なっていてもよい炭素数1〜4の直鎖状または分岐
状1価有機基、R4は炭素数5以上の直鎖状または分岐
状1価有機基、Xはハロゲン原子または水酸基をそれぞ
れ示す。
【0031】一般式(4)で表される界面活性剤におい
ては、R1、R2、R3のうち少なくとも1つはメチル基
であることが好ましく、R1、R2、R3の全てがメチル
基であることがより好ましい。更に、R4は炭素数5〜
30の直鎖状または分岐状アルキル基であることが好ま
しく、当該アルキル基は偶数の炭素原子を有することが
より好ましい。又、Xはハロゲン原子が好ましい。
【0032】したがって、一般式(4)で表される界面
活性剤としては、R1、R2、R3の全てがメチル基であ
りR4がアルキル基でありXがハロゲン原子である、ア
ルキルトリメチルアンモニウムハライドが特に好まし
い。アルキルトリメチルアンモニウムハライドとして
は、オクチルトリメチルアンモニウムハライド、デシル
トリメチルアンモニウムハライド、ドデシルトリメチル
アンモニウムハライド、テトラデシルトリメチルアンモ
ニウムハライド、ヘキサデシルアンモニウムハライド、
オクタデシルアンモニウムハライドが好ましい。上記ハ
ライドは、クロリドまたはブロミドであることが好まし
い。
【0033】また、反応工程において用いられる溶媒は
脱イオン水や蒸留水等の水であることが好ましい。水に
は必要に応じて少量のアルコール等の有機溶剤を添加し
てもよい。
【0034】上述したシリカ原料、チタニア原料、界面
活性剤を、上記溶媒に添加した溶液を攪拌することによ
り反応が進行し、ケイ素原子及びチタン原子を金属原子
とする金属酸化物が得られる。かかる金属酸化物におい
ては、ケイ素原子の少なくとも一部が有機基の2箇所以
上で炭素−ケイ素結合を形成し、その形状は、1.5〜
30nmの中心細孔直径を有する多孔体となる。上記攪
拌は溶媒が流動性を有している温度であれば実施可能で
あるが、溶媒が水の場合は10〜90℃が好ましく、2
5〜80℃がより好ましい。
【0035】反応工程においては、上記多孔体が溶媒に
分散された反応生成物が得られるので、除去工程に移行
する前に濾過等により溶媒を除去することが好ましい。
このようにして得られた多孔体は、その細孔内部に界面
活性剤を含有したものとなる。このように細孔内部に界
面活性剤を含む多孔体が得られるのは、シリカ原料及び
チタニア原料が溶媒中に形成された界面活性剤ミセル周
囲で反応する(シリカ原料及びチタニア原料として上記
一般式(1)〜(3)で表される化合物を用いた場合は
加水分解・縮合反応が生じる。)ためであると考えられ
る。
【0036】反応工程において用いるシリカ原料とチタ
ニア原料の比率は、ケイ素原子とチタン原子の比率(モ
ル比)に換算した場合に、ケイ素原子/チタン原子=1
0〜500が好ましく、10〜100がより好ましく、
10〜60が更に好ましい。また、シリカ原料中、有機
基とケイ素原子を含有し該有機基の2箇所以上で炭素−
ケイ素結合を形成しているケイ素化合物の含有量は、有
機基とケイ素原子の比率(モル比)に換算した場合に、
有機基/ケイ素原子=0.01〜0.5が好ましく、
0.1〜0.5がより好ましく、0.2〜0.5が更に
好ましい。
【0037】本発明の反応工程においては、シリカ原料
を界面活性剤と溶媒とを含む溶液中で反応させ反応溶液
を得た後に、該反応溶液にチタニア原料を添加して更に
反応させることが好ましい。チタニア原料は一般にシリ
カ原料に比べて反応速度が大きいため、シリカ原料の反
応を先行させる上記方法を採用することにより、より均
一な組成を有した部分酸化触媒を得ることができる。
【0038】反応工程においてシリカ原料とチタニア原
料とを反応させる際のpHは特に制限されないが、かか
る反応は塩基性条件で実施することが好ましく、pH
8.5〜10で実施することが更に好ましい。したがっ
て、反応工程においては塩基性物質を更に添加して反応
させることが好ましい。反応を塩基性条件で行うことに
より反応速度を向上させることができ、又、得られる多
孔体の細孔配列構造をより均一にすることが可能にな
る。特にpHを8.5〜10にして反応させた場合にお
いては、上記が可能になるだけでなく、最終的に得られ
る多孔体(部分酸化触媒)の比表面積等の特性が、除去
工程における界面活性剤の除去方法に大きく依存しない
ようになる。
【0039】反応工程により得られた多孔体は、上述の
ように細孔内に界面活性剤を含有するため、除去工程に
おいてその界面活性剤を除去する。界面活性剤の除去方
法としては、界面活性剤の良溶媒で抽出する方法、界面
活性剤を加熱溶融する方法、界面活性剤を焼成する方法
等が挙げられる。界面活性剤が極性を有するものである
場合は、極性溶媒による抽出または焼成が好ましい。
【0040】界面活性剤として上記一般式(4)で表さ
れる界面活性剤を用いた場合は、焼成法、有機溶媒によ
る抽出法、イオン交換法等により添加剤を除去すること
が好ましい。焼成法においては、反応工程で得られた多
孔体を300〜1000℃(好ましくは400〜700
℃)で加熱する。加熱時間は30分程度でもよいが、完
全に界面活性剤を除去するには1時間以上加熱すること
が好ましい。焼成は空気中で行うことが可能であるが、
多量の燃焼ガスが発生するため、窒素等の不活性ガスを
導入して行ってもよい。
【0041】有機溶媒による抽出法を適用する場合は、
用いた界面活性剤の良溶媒中に多孔体を浸漬して抽出を
行う。イオン交換法においては反応工程で得られた多孔
体を酸性溶液(少量の塩酸を含むエタノール等)等に浸
漬し、例えば室温〜70℃で加熱しながら攪拌を行う。
これにより、多孔体の細孔中に存在する界面活性剤がイ
オン交換され抽出される。
【0042】本発明においては、除去工程における界面
活性剤の除去を焼成により実施した場合、細孔内の界面
活性剤が焼失するが、シリカ原料として用いる有機基を
有するケイ素化合物の種類によっては、含有する有機基
の少なくとも一部が焼成により焼失する。このような条
件で焼成を行った場合であっても、得られる部分酸化触
媒は疎水性を保つことができ、優れた触媒活性と選択性
を発揮する。
【0043】以上説明したように、上記方法によれば本
発明の部分酸化触媒が得られるが、本発明の製造方法に
おける大きな特徴は、従来技術に比べて、部分酸化触媒
におけるチタン原子の比率(ケイ素原子に対する比率)
を非常に高くすることが可能なことである。上述したT
anevらによるTi−MCM−41では、触媒活性が
認められる組成のうち、チタン原子の含有量の最大は、
ケイ素原子/チタン原子(モル比)で68であった。こ
れに対して、本発明の方法によれば、ケイ素原子/チタ
ン原子(モル比)が68未満のもの(典型的には25〜
35であり、10〜60にすることが可能)であって、
細孔配列の秩序性が高く細孔径分布も非常に狭い、いわ
ゆるメソ孔(中心細孔直径1.5〜30nm)を有する
多孔体(部分酸化触媒)を得ることが可能である。チタ
ン原子の含有量の向上は、部分酸化触媒の触媒活性及び
選択性の向上に大きく寄与していると考えられる。
【0044】また、本発明の方法においては、有機基と
ケイ素原子を含有し該有機基の2箇所以上で炭素−ケイ
素結合を形成しているケイ素化合物を必須成分として用
いることを特徴としているが、かかる成分は、ケイ素原
子に対するチタン原子の比率の向上のために大きな役割
を果たしていると考えられる。すなわち、かかるケイ素
化合物を含有しない場合は、チタン原子の含有量の向上
が極めて困難である。例えば、上記ケイ素化合物として
1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタンを用い、ケ
イ素原子/チタン原子=30(モル比)になるようにし
て、テトラエチルオルトシリケート及びテトラブチルオ
ルトチタネートとともに反応させた場合には、上述の特
徴を具備した部分酸化触媒が得られるのに対して、同様
のケイ素原子/チタン原子比で、テトラエチルオルトシ
リケート及びテトラブチルオルトチタネートのみを反応
させても規則的細孔構造を有した部分酸化触媒を得るこ
とができない。
【0045】本発明者らはいかなる理論にも制約される
ことを望むものではないが、上記ケイ素化合物は、更
に、規則的構造の発現及び触媒活性についても大きな影
響を与えるものと推察している。上記の例においては、
テトラエチルオルトシリケート及びテトラブチルオルト
チタネートに、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エ
タンを添加することにより無機成分が相対的に減少する
が、この無機成分の減少が、より活性なチタン原子の4
配位型構造の形成促進に影響を与えていると考えられ、
このために活性なチタン原子が細孔内部よりも細孔入口
付近により多く形成され易くなり、触媒活性が向上する
ものと考えられる。
【0046】本発明の部分酸化触媒は上述したような特
徴を有することから、シクロヘキセンやシクロドデセン
等の大きな有機化合物の部分酸化(エポキシデーション
等)や、シクロヘキサノンやシクロドケカノン等の大き
な有機化合物の部分酸化(アンモキシメーション等のオ
キシム化)等に特に効果的に用いることができる。ま
た、エポキシデーションやアンモキシメーションにおけ
る収率がTi−MCM−41等の触媒を用いた場合に比
較して非常に高く、反応の選択性にも優れるため(シク
ロヘキサノンやシクロドケカノンのアンモキシメーショ
ンにおいては100%に近い選択性が得られる。)、反
応プロセスを簡素化してコストを低下させることがで
き、環境負荷の低減も図ることも可能になる。
【0047】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例についてさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
【0048】(実施例1)180gの水に17.5gの
オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活
性剤、以下「ODTMACl」という。)を溶解させた
溶液に対して、33.6gのテトラエチルオルトシリケ
ート(以下「TEOS」という。)及び7.2gの1,
2−ビス(トリメトキシシリル)エタン(以下「BTM
E」という。)を添加した。この場合において、界面活
性剤/ケイ素原子のモル比は0.28であった。
【0049】次いで、得られた溶液に対して、36.0
gの塩化テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液
(25重量%水溶液、以下「TMAOH」という。)を
添加し、室温(298K)で激しく攪拌した。15分攪
拌後、5mLのイソプロパノールに溶解させた2.3g
のテトラブチルオルトチタネート(以下「TBOT」と
いう。)を更に添加して室温で24時間反応させた(反
応工程)。反応終了後、溶液中の白色の沈殿を濾過によ
り回収し、水洗した後、風乾し多孔体前駆物質を得た。
【0050】次いで、得られた多孔体前駆物質を空気中
で550℃にて4時間加熱し部分酸化触媒を得た(除去
工程)。なお、除去工程により界面活性剤が除去された
が、それとともに多孔体における1,2−ビス(トリメ
トキシシリル)エタン由来の有機基(エチレン基)の少
なくとも一部が除去された。
【0051】(実施例2)実施例1と同様にして反応工
程を実施して多孔体前駆物質を得た後、この多孔体前駆
物質1gに対して、3.8gの36%塩酸水溶液と15
0mLのエタノールとの混合溶液を加え、50℃(32
3K)で6時間攪拌した。次いで、塩酸水溶液とエタノ
ールの混合溶液中から固形分を取り出し、塩酸水溶液と
エタノールの混合溶液で同じ処理をもう1度行った後
で、室温で乾燥し部分酸化触媒を得た(除去工程)。
【0052】(実施例3)TEOSを用いず、BTME
の量を29.2gとし、TMAOHの量を18.0gと
した他は実施例1と同様にして反応工程を実施し多孔体
前駆物質を得た。更に、この多孔体前駆物質に対して実
施例1と同様に除去工程を実施し、部分酸化触媒を得
た。なお、除去工程により界面活性剤が除去されたが、
それとともに多孔体における1,2−ビス(トリメトキ
シシリル)エタン由来の有機基(エチレン基)の少なく
とも一部が除去された。
【0053】(実施例4)実施例3と同様にして反応工
程を実施して多孔体前駆物質を得た後、実施例2と同様
にして除去工程を実施し部分酸化触媒を得た。
【0054】(実施例5)TMAOHの量を9.0gと
し、反応工程の温度を353Kとした他は実施例1と同
様にして反応工程を実施し多孔体前駆物質を得た。更
に、この多孔体前駆物質に対して実施例1と同様に除去
工程を実施し、部分酸化触媒を得た。なお、除去工程に
より界面活性剤が除去されたが、それとともに多孔体に
おける1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン由来
の有機基(エチレン基)の少なくとも一部が除去され
た。
【0055】(実施例6)実施例5と同様にして反応工
程を実施して多孔体前駆物質を得た後、実施例2と同様
にして除去工程を実施し部分酸化触媒を得た。
【0056】実施例1〜6で得られた部分酸化触媒のB
ET比表面積、中心細孔直径、細孔容量、細孔壁(細孔
を仕切る壁)の厚さ、及び、実施例1〜6におけるSi
/TMAOH(モル比)、反応工程のpH、BTME/
TEOS(モル比)、Si/Ti(モル比)、反応工程
の温度を以下の表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】更に、実施例1〜6で得られた多孔体前駆
物質(除去工程前のもの)と部分酸化触媒(除去工程後
のもの)を用いて、X線回折、窒素の吸着、29Si M
ASNMRスペクトルの測定、赤外線吸収スペクトル
(FT−IR)の測定、紫外/可視吸収スペクトル(U
V−Vis)の測定を行った結果を以下に示す。
【0059】(X線回折)RAD−B(理学社製、X
線:CuKα線)を用いて、実施例1〜6の粉末X線回
折を行った。この結果、実施例のいずれにおいても1n
m以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを
有するX線回折パターンが得られた。実施例1及び実施
例5における、多孔体前駆物質(除去工程前のもの)及
び部分酸化触媒(除去工程後のもの)の粉末X線回折の
結果を図1に示す。図1のa、b、c、dで示すパター
ンは、それぞれ実施例1の多孔体前駆物質、実施例1の
部分酸化触媒、実施例5の多孔体前駆物質、実施例5の
部分酸化触媒に該当する。
【0060】(窒素の吸着)実施例1〜6で得られた部
分酸化触媒を、液体窒素温度(−196℃)に冷却して
窒素ガスを導入し、容量法によりその吸着量を求めた。
次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各
平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、窒素の
吸着等温線を得た。この吸着等温線からBJH法(Barr
et-Joyner-Halenda法)により細孔径分布曲線を得て、
その最大ピークにおける細孔直径を中心細孔直径とし
た。この結果、実施例1〜6で得られた部分酸化触媒の
中心細孔直径はすべて、1.5〜30nmの範囲内にあ
ることがわかった。また、実施例1〜6で得られた部分
酸化触媒はすべて、全細孔容積に占める、中心細孔直径
の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割合
が60%以上の多孔体であった。
【0061】実施例1、5及び6の部分酸化触媒の窒素
吸着/脱着等温線を図2に示す。なお、図2のa、b、
cは、それぞれ実施例1、5、6に対応し、吸着等温線
については黒丸、黒三角及び黒四角で、脱着等温線につ
いては白丸、白三角及び白四角で示した。また、図2に
おいてc、bはそれぞれ、原点をY軸方向に400cc
/g、600cc/gだけシフトしてある。図2に示す
等温線はタイプIVの窒素吸着等温線であり、これは実
施例で得られた部分酸化触媒がメソ孔を有することを示
すものである。なお、Belsorp−18を用いた2
98Kでの水蒸気吸着等温線では、タイプIVの吸着等
温線(及び良好な脱着ヒステリシス)が観察され、相対
蒸気圧(P/P0)が0.3までは吸着量が少なく、こ
れにより部分酸化触媒は疎水性であることが考察され
た。
【0062】(29Si MAS NMRスペクトルの測
定)固体NMR装置(ブルッカー社製)を用いて実施例
1〜6で得られたテンプレート含有多孔性物質の29Si
MAS NMRスペクトル(マジック角回転法による29
Si NMRスペクトル)を測定した。その結果、実施
例1〜6で得られた部分酸化触媒はいずれも、ケイ素原
子とチタン原子が酸素を介して結合した骨格を有してい
ることがわかった。
【0063】図3に実施例1における多孔体前駆物質
(除去工程前のもの)と部分酸化触媒(除去工程後のも
の)の29Si MAS NMRスペクトルを示す。なお、
図3においてaは多孔体前駆物質についてのスペクト
ル、bは部分酸化触媒についてのスペクトルである。図
3に示されるように、実施例1の多孔体前駆物質に関し
ては、T2−T3に対応する−58〜−67ppmのピー
ク、及びQ3−Q4に対応する−98〜−111ppmの
ピークが観察された。一方、実施例1の部分酸化触媒に
ついては−118ppmにブロードなピークが観察され
た。これはQ4タイプシリケートに対応している(Ti
の存在によりケミカルシフトが多少移動)と考えられ
る。このことから、実施例1の部分酸化触媒には、有機
基がほとんど含まれていないことが確認された。
【0064】同様の測定を実施例3及び5についても行
ったところ、実施例5は実施例1と同様の結果が得られ
た。また、実施例3についてはT2−T3に対応するピー
クが観察された。
【0065】(赤外線吸収スペクトルの測定)FT/I
R−5M(日本分光社製)を用いて実施例1〜6で得ら
れた部分酸化触媒の赤外線吸収スペクトルを測定した。
この結果、実施例1、3、5については960cm-1
強い吸収が見られ、実施例4については910cm-1
強い吸収が観察された。実施例4の吸収の波数が実施例
3と異なるのはエチレン基が残存していることに基づく
ものである。なお、上記領域における吸収はTiの4配
位型構造を示すものである。測定した赤外線吸収スペク
トルのうち、実施例1及び実施例4のスペクトルを図4
に示す(図4におけるa、bがそれぞれ実施例1、実施
例4に該当する)。なお、図4には、テトラブチルオル
トチタネートを用いなかった他は実施例4と同様にして
得られた多孔体(HMM−1)の赤外線吸収スペクトル
も示した(図4におけるcに該当する。)。
【0066】(紫外/可視吸収スペクトルの測定)分光
光度計330(日立社製)を用いて、実施例1〜6の部
分酸化触媒の紫外/可視吸収スペクトルを測定した。こ
れらの部分酸化触媒は、240〜260nmにおいて吸
収を示すことから、Tiがシリケートの骨格中に均一に
分散し4配位型構造を有していることがわかった。
【0067】次いで、実施例で得られた部分酸化触媒を
用いて部分酸化反応を行った。すなわち、実施例で得ら
れた部分酸化触媒によるシクロアルケン(シクロヘキセ
ン及びシクロドデセン)のエポキシデーション、及び実
施例で得られた部分酸化触媒によるシクロアルカノン
(シクロヘキサノン及びシクロドデカノン)のアンモキ
シメーションを行った。詳細を以下に示す。
【0068】シクロアルケンのエポキシデーション (実施例7)0.01モルのシクロヘキセンを10.0
mLのアセトンに溶解した溶液と、0.5mLのn−ヘ
プタン(内部標準)を冷却管付きの丸底フラスコ導入し
た。これに実施例1の部分酸化触媒を添加し(シクロア
ルケン100重量部に対する部分酸化触媒の重量は20
重量部)、マグネチックスターラーで攪拌して、オイル
バスにより333Kに予備加熱した。フラスコ中に過酸
化水素水(30%水溶液、和光純薬工業社製)1.2g
をさらに加え、333Kで8時間エポキシデーション反
応を行った。還流終了後、ガスクロマトグラフィー(島
津製作所社製、R−14A)を用いて生成物の分析を行
った。
【0069】(実施例8)過酸化水素水1.2gに代え
て同量gのt−ブチルハイドロパーオキサイド(TBH
P)(80%t−ブチルエーテル溶液)を用い、反応温
度時間を12時間にした他は実施例7と同様にしてエポ
キシデーションを行い、生成物の分析を行った。
【0070】(比較例1)実施例1の部分酸化触媒に代
えて、同量のTi−MCM−41(P. T. Tanev,M. Chi
bwe, T. J. Pinnavaia, Nature, 368, 321-324, 1994)
を用いた他は実施例8と同様にしてエポキシデーション
を行い、生成物の分析を行った。
【0071】実施例7〜8及び比較例1における反応式
を以下に示す。
【化11】
【0072】(実施例9)シクロヘキセンに代えて同一
モル数のシクロドデセンを用い、反応時間を12時間に
した他は、実施例8と同様にしてエポキシデーションを
行い、生成物の分析を行った。
【0073】実施例9における反応式を以下に示す。
【化12】
【0074】実施例7〜9及び比較例1の反応におけ
る、シクロアルケンの種類、生成物、反応時間/温度、
反応収率、生成物の比(エポキサイド/ジオール)をま
とめて以下の表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】シクロアルカノンのアンモキシメーション (実施例10)0.01モルのシクロヘキサノンを1
0.0mLのイソプロパノールに溶解した溶液と、0.
5mLのn−ヘプタン(内部標準)を冷却管付きの丸底
フラスコ導入した。これに実施例1の部分酸化触媒を添
加し(シクロヘキサノン100重量部に対する部分酸化
触媒の重量は20重量部)、マグネチックスターラーで
攪拌して、オイルバスにより353Kに予備加熱した。
フラスコ中に過酸化水素水(30%水溶液、和光純薬工
業社製)1.2g及びアンモニア水(27%水溶液)
1.6gを同時に加え、353Kで8時間還流させアン
モキシメーションを行った。なお、イソプロパノール及
びシクロヘキサノン/過酸化水素/アンモニアのモル比
は、1/1.2/2.5であった。還流終了後、冷却し
て遠心分離により部分酸化触媒を除去して、ガスクロマ
トグラフィー(島津製作所社製、R−14A)を用いて
生成物の分析を行った。
【0077】(実施例11)イソプロパノールに代えて
同量のn−ブタノールを用いた他は実施例10と同様に
して、アンモキシメーションを行い、生成物の分析を行
った。
【0078】実施例10〜11における反応式を以下に
示す。
【化13】
【0079】(実施例12)シクロヘキサノンに代えて
同量のシクロドデカノンを用いた他は実施例10と同様
にしてアンモキシメーションを行い、生成物の分析を行
った。
【0080】(実施例13)実施例1の部分酸化触媒に
代えて実施例6の部分酸化触媒を用いた他は実施例12
と同様にしてアンモキシメーションを行い、生成物の分
析を行った。
【0081】実施例12〜13における反応式を以下に
示す。
【化14】
【0082】実施例10〜13の反応における、シクロ
アルカノンの種類、生成物、反応時間/温度、反応収
率、オキシムの生成率をまとめて以下の表3に示す。
【0083】
【表3】
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
分子サイズが大きい有機化合物に対しても高い触媒活性
及び選択性を発揮し、反応プロセスを簡素化してコスト
低下を可能ならしめるのみならず、環境負荷の低減も図
ることが可能な部分酸化触媒及びその製造方法を提供す
ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び実施例5における、多孔体前駆物
質及び部分酸化触媒のX線回折パターンを示す図であ
る。
【図2】実施例1、5及び6の部分酸化触媒の窒素吸着
/脱着等温線を示す図である。
【図3】実施例1における多孔体前駆物質及び部分酸化
触媒の29Si MAS NMRスペクトルを示す図であ
る。
【図4】実施例1、実施例4、及びHMM−1の赤外線
吸収スペクトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 249/04 C07C 249/04 251/44 251/44 C07D 301/12 C07D 301/12 303/06 303/06 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4C048 AA02 AA04 BB01 BC01 CC01 UU03 XX05 4G069 AA02 BA27A BA27B BB06A BB06B BC50A BC50B BD05A BD05B BE01A BE01B BE05A BE05B CB07 CB73 DA05 EC04Y EC05Y EC06Y EC07Y EC14X EC14Y FB08 4H006 AC41 AC59 BA10 BA30 BA32 BA33 BA81 BA85 BC32 BE14 BE32 4H039 CA60 CA63 CA72 CC30 CC40 CD40

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機基を含む金属酸化物の多孔体からな
    る部分酸化触媒であって、 前記金属酸化物は、ケイ素原子及びチタン原子を金属原
    子とする金属酸化物であり、前記ケイ素原子の少なくと
    も一部は前記有機基の2箇所以上で炭素−ケイ素結合を
    形成しており、更に、前記多孔体は1.5〜30nmの
    中心細孔直径を有することを特徴とする部分酸化触媒。
  2. 【請求項2】 前記ケイ素原子と前記チタン原子とのモ
    ル比(ケイ素原子/チタン原子)が、10〜60である
    ことを特徴とする請求項1記載の部分酸化触媒。
  3. 【請求項3】 前記多孔体は、全細孔容積に占める、中
    心細孔直径の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全
    容積の割合が60%以上の多孔体であることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の部分酸化触媒。
  4. 【請求項4】 前記多孔体は、1nm以上のd値に相当
    する回折角度に1本以上のピークを有するX線回折パタ
    ーンを示す多孔体であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか一項に記載の部分酸化触媒。
  5. 【請求項5】 有機基とケイ素原子を含有し該有機基の
    2箇所以上で炭素−ケイ素結合を形成しているケイ素化
    合物を少なくとも含むシリカ原料と、チタニア原料と
    を、界面活性剤と溶媒とを含む溶液中で反応させて、前
    記界面活性剤を含有した多孔体を得る反応工程と、 前記多孔体から前記界面活性剤を除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする部分酸化触媒の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記反応工程において、前記シリカ原料
    を前記界面活性剤と前記溶媒とを含む溶液中で反応させ
    反応溶液を得た後に、該反応溶液に前記チタニア原料を
    添加して更に反応させることを特徴とする請求項5記載
    の部分酸化触媒の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記反応工程における前記反応をpH
    8.5〜10で実施することを特徴とする請求項5又は
    6記載の部分酸化触媒の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記除去工程における前記界面活性剤の
    除去を焼成により実施することを特徴とする請求項5〜
    7のいずれか一項に記載の部分酸化触媒の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ケイ素化合物が、下記一般式(1)
    で表されるケイ素化合物であることを特徴とする請求項
    5〜8のいずれか一項に記載の部分酸化触媒の製造方
    法。 【化1】 [式中、Rはn価有機基、X1は水酸基又は加水分解性
    基、R11は1価有機基、pは1〜3の整数、nは2以上
    の整数、をそれぞれ示す。]
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JP2011021006A (ja) * 2009-06-18 2011-02-03 Sumitomo Chemical Co Ltd オキシムの製造方法
CN107249732A (zh) * 2015-02-17 2017-10-13 利安德化学技术有限公司 基于金属醇盐预处理载体的环氧化催化剂

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