JP2002307149A - 連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造方法

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JP2002307149A JP2001112836A JP2001112836A JP2002307149A JP 2002307149 A JP2002307149 A JP 2002307149A JP 2001112836 A JP2001112836 A JP 2001112836A JP 2001112836 A JP2001112836 A JP 2001112836A JP 2002307149 A JP2002307149 A JP 2002307149A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】割れのない鋳片を安定して得ることができる連
続鋳造方法の提供。 【解決手段】横断面形状が矩形の鋳片を湾曲型または垂
直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳造する際に、鋳片を鋳
型から引き抜いた直後から鋳片の二次冷却を行い、鋳片
の表面温度をいったんAr 変態点より低い温度に冷
却した後に、Ar 変態点を超える温度に復熱させ、
その後に鋳片を矯正する際に、鋳片の表面温度をAr
変態点より低い温度に保持する時間t(s)とAr
変態点より低い温度である鋳片の表面温度が到達する
最低の表面温度Tmin (℃)とが、下記の(イ)式
および(ロ)式を満足するように鋳片の二次冷却を行
う。 50≦t(s)≦500 ・・・(イ) 0.13×t≦Tmin(℃)≦0.045×t・・・
(ロ)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二次冷却の条件に
特徴のある連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】厚鋼板には、その機械的特性の向上を目
的として、Nb、V、Ni、Cuなどの合金元素を含有
させた低合金鋼が多く用いられている。しかし、これら
低合金鋼を湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機を用い
て鋳造する際に、鋳片表面に横割れまたは横ひび割れ
(以下、単に割れと記す場合がある)が発生しやすい。
鋳片の矯正時に鋳片表面に働く応力が低合金鋼に固有の
限界応力を超えて、割れが発生するのである。これら鋳
片表面の割れは、その鋳片を素材として熱間圧延した厚
鋼板の表面疵の原因となる。
【0003】低合金鋼の鋳片の熱間延性は、鋳片の凝固
組織がオーステナイト(以下、γと記す場合がある)相
からフェライト(以下、αと記す場合がある)相に変態
するAr 変態点の温度近傍、すなわち600〜85
0℃の温度領域で著しく低下する。また、低合金鋼の鋳
片では、二次冷却される過程において、AlNやNbC
などがγ粒界に析出するので、γ粒界が脆化しやすい。
したがって、600〜850℃の温度領域でこれら低合
金鋼の鋳片を矯正すると、熱間延性の低下およびγ粒界
の脆化のために、鋳片表面に割れが発生しやすい。
【0004】そこで、矯正時の鋳片の表面温度を600
〜850℃の熱間延性の低下する温度領域(以下、脆化
温度域と記す)の低温側または高温側に回避して、鋳片
表面の割れの発生を防止する方法が一般的に採られてい
る。しかし、鋳片の二次冷却、鋳造速度などの条件が鋳
造中に変化するので、鋳片の表面温度は鋳造中に変化す
る。そのため、脆化温度域で鋳片が矯正される場合があ
り、その場合には、鋳片表面に割れが発生する。
【0005】特開平9−253814号公報には、鋳型
出口の下方で鋳片を強冷却し、鋳片の表面温度をいった
んAr 変態点より低い温度にした後、脆化温度域よ
りも高温側のAr 変態点を超える温度に復熱させ、
その後に鋳片を矯正することにより、鋳片表面の割れの
発生を防止する方法が提案されている。
【0006】この方法は、鋳片の表面温度をいったんA
変態点より低い温度にした後、Ar 変態点を
超える温度に復熱させて、鋳片の凝固組織を、γ粒界が
不明瞭であるフェライトとパーライトの混合組織とする
ことにより、鋳片の割れ感受性を低下させて、矯正時の
鋳片表面を割れの発生を防止する方法である。しかし、
この方法では、鋳片の二次冷却条件によっては、鋳片表
面に割れが発生する場合があり、さらなる改善が望まれ
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、横割れまた
は横ひび割れのない良好な表面品質を有する鋳片を、安
定して得ることができる連続鋳造方法を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、横断面
形状が矩形の鋳片を湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造
機を用いて鋳造する際に、鋳片を鋳型から引き抜いた直
後から鋳片の二次冷却を行い、鋳片の表面温度をいった
んAr 変態点より低い温度に冷却した後に、Ar
変態点を超える温度に復熱させ、その後に鋳片を矯正
する連続鋳造方法であって、鋳片の表面温度をAr
変態点より低い温度に保持する時間t(s)と、いった
んAr 変態点より低い温度に冷却した後にAr
変態点を超える温度に復熱させるまでの間で、鋳片の表
面温度が到達する最低の表面温度Tmin (℃)と
が、下記の(イ)式および(ロ)式を満足するように鋳
片の二次冷却を行う連続鋳造方法にある。 50≦t(s)≦500 ・・・(イ) 0.13×t+493≦Tmin(℃)≦0.045×t+798 ・・・(ロ ) 本発明で規定する「横断面形状が矩形の鋳片」とは、横
断面形状が長方形または正方形のスラブまたはブルーム
を意味する。
【0009】また、本発明で規定する「鋳片の表面温
度」とは、たとえば、放射温度計により測定することが
できる表面温度であり、また、凝固伝熱解析による計算
によっても求めることができる表面温度である。計算で
求める際、鋼の化学組成、鋳片のサイズ、鋳造速度、鋳
片の二次冷却条件などの条件が決まれば、鋳型内のメニ
スカスからの距離に応じた鋳片の表面温度を求めること
ができる。表面熱伝達係数を適切に選択することによ
り、この計算で求めた鋳片の表面温度を、実測した表面
温度とよく一致させることができる。
【0010】低合金鋼の脆化温度域である600〜85
0℃の温度領域を回避できずに鋳片を矯正しても、鋳片
表面から少なくとも深さ2mmまでの鋳片の凝固組織
を、γ粒界が不明瞭なフェライトおよびパーライトの混
合組織とすることにより、鋳片表面の横割れまたは横ひ
び割れの発生を安定して防止できる。その理由は、凝固
組織が、γ粒界が不明瞭なフェライトおよびパーライト
の混合組織となった鋳片表面では、割れに対する鋼に固
有の限界応力が大きくなるためである。
【0011】このようなγ粒界が不明瞭なフェライトお
よびパーライトの混合組織とは、高温側からAr
態点よりも低温側に鋳片が冷却される際に、フェライト
がγ粒界に粒状に生成した状態の凝固組織のことを意味
する。γ粒界に粒状にフェライトが生成するために、γ
粒界が不明瞭になる。これらの凝固組織は、鋳片の横断
面サンプルから、鋳片表面を含むように光学顕微鏡観察
用サンプルを切り出して研磨し、たとえば、5%ナイタ
ール腐食を行った後に10〜50倍程度の倍率で光学顕
微鏡観察することにより確認できる。
【0012】鋳片表面からの深さが2mmを超える鋳片
内部の凝固組織がγ粒界の明瞭な組織であって、鋳片の
矯正時に、たとえ、その深いγ粒界の明瞭な領域で割れ
が発生しても、その鋳片を素材として熱間圧延した厚鋼
板の表面には、表面疵は発生しない。鋳片の割れが存在
する領域が鋳片内部の深い位置であるので、圧延中にこ
れらの割れが圧着するからである。
【0013】前述の特開平9−253814号公報で提
案された、鋳片の表面温度をいったんAr 変態点よ
り低い温度にした後、Ar 変態点を超える温度に復
熱させることにより、鋳片の凝固組織を、γ粒界が不明
瞭なフェライトとパーライトの混合組織とする方法を採
っても、鋳片表面に割れが発生する場合がある。その理
由は、鋳片の表面温度がAr 変態点より低い温度で
保持される時間およびAr 変態点より低い温度であ
る鋳片の表面温度が到達する最低の表面温度の条件によ
っては、鋳片表面の凝固組織を目的のγ粒界が不明瞭な
凝固組織とすることが困難な場合があるからである。
【0014】図1は、γ粒界が不明瞭なフェライトおよ
びパーライトの混合組織の生成に及ぼす、鋳片の表面温
度がAr 変態点より低い温度で保持される時間t
(s)およびAr 変態点より低い温度である鋳片の
表面温度が到達する最低の表面温度Tmin (℃)の
影響を示す図である。
【0015】垂直曲げ型連続鋳造機を用い、C:0.0
5〜0.07質量%、Ni:0.6〜0.7質量%など
を含有する低合金鋼を、鋳造速度0.75〜1.2m/
分で厚さ230mm、幅2300mmのスラブに、また
は鋳造速度0.5m/分で厚さ300mm、幅650m
mのブルームに、それぞれ鋳片の二次冷却条件を変更し
て鋳造した際の鋳片表面の割れの発生有無の試験結果を
示す図である。
【0016】図1中に示す○印は、γ粒界の不明瞭なフ
ェライトとパーライトの混合組織となっている領域が、
鋳片表面から深さ2mm以上であり、鋳片表面には、横
割れまたは横ひび割れが発生していないことを意味す
る。△印は、γ粒界の不明瞭なフェライトとパーライト
の混合組織となっている領域が、鋳片表面から深さ2m
m未満に存在することを意味する。また、×印は、少な
くとも鋳片表面から深さ2mmまでの領域が、γ粒界が
明瞭なフェライトとパーライトの混合組織となっている
ことを意味する。△印および×印で示した鋳片表面に
は、横割れまたは横ひび割れが発生しているのが確認で
きた。
【0017】図1から、鋳片の表面温度をAr 変態
点より低い温度に保持する時間t(s)と、前述の鋳片
の表面温度が到達する最低の表面温度Tmin (℃)
とが、前述の(イ)式および(ロ)式を満足するように
鋳片の二次冷却を行うことにより、鋳片表面から少なく
とも深さ2mmまでの鋳片の凝固組織を、安定してγ粒
界が不明瞭なフェライトおよびパーライトの混合組織と
することができることがわかった。さらに、このような
凝固組織とすることにより、鋳片表面の横割れまたは横
ひび割れの発生を安定して防止できることがわかった。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の方法では、横断面形状が
長方形または正方形であるスラブまたはブルームを、湾
曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳造する。
また、本発明の方法は、Nb、V、Ni、Cuなどの合
金元素を含有した低合金鋼を、厚さ150〜400mm
のスラブまたはブルームを鋳造することを対象とするの
に好適である。このような低合金鋼を上記厚さのスラブ
またはブルームに湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機
を用いて鋳造する際、鋳片の矯正時に、鋳片表面に横割
れまたは横ひび割れが発生しやすいからである。
【0019】図2は、本発明の連続鋳造方法を実施する
場合の連続鋳造装置の例を示す模式図である。垂直曲げ
型の連続鋳造機を用いる例を示す。鋳型1内に浸漬ノズ
ル(図示していない)などを介して、溶鋼8が供給さ
れ、その溶鋼は鋳型で冷却されて凝固殻2となる。鋳型
から引き抜かれた直後の凝固殻の厚さは薄いが、スプレ
ーノズル4により水などを噴霧されて冷却され、その厚
さが増す。未凝固の溶鋼を含む鋳片5および完全に凝固
した鋳片9は、ガイドロール対3により支持されてピン
チロール6により引き抜かれ、矯正位置にあるピンチロ
ール7で矯正される。
【0020】本発明の方法では、鋳片を鋳型から引き抜
いた直後から鋳片の二次冷却を行い、鋳片の表面温度を
いったんAr 変態点より低い温度に冷却した後に、
Ar 変態点を超える温度に復熱させ、その後に鋳片
を矯正する。その際、鋳片の表面温度をAr 変態点
より低い温度に保持する時間t(s)と、いったんAr
変態点より低い温度に冷却した後にAr 変態点
を超える温度に復熱させるまでの間で、鋳片の表面温度
が到達する最低の表面温度Tmin (℃)とが、前述
の(イ)式および(ロ)式を満足するように鋳片の二次
冷却を行う。
【0021】鋳片の表面温度をいったんAr 変態点
より低い温度に冷却した後に、Ar 変態点を超える
温度に復熱させるのは、鋳片の凝固組織を、γ粒界が不
明瞭なフェライトおよびパーライトの混合組織とするた
めである。
【0022】鋳片の表面温度をいったんAr 変態点
より低い温度に冷却した後に、Ar 変態点を超える
温度に復熱させ、その後に鋳片を矯正する際の鋳片の表
面温度は、低合金鋼に固有の脆化温度域よりも高温であ
ることが望ましいが、脆化温度域で矯正しても構わな
い。本発明の方法では、脆化温度域で矯正しても、鋳片
表面の割れの発生を防止できる。
【0023】鋳片の表面温度をAr 変態点より低い
温度に保持する時間tが50s未満では、保持時間が短
く、フェライトがγ粒界に粒状に十分生成できない。そ
の後、鋳片の表面温度をAr 変態点を超える温度に
復熱させた際に、γ粒界に粒状に析出したフェライトの
痕跡が残らないので、その後に鋳片の表面温度をAr
変態点より低い温度にした場合に、鋳片の凝固組織
は、γ粒界にフェライトがフィルム状に生成したフェラ
イトおよびパーライトの混合組織となり、γ粒界が明瞭
になる。この状態で鋳片を矯正すると、鋳片表面に割れ
が発生する。
【0024】また、Ar 変態点より低い温度に保持
する時間tが500sを超えると、保持時間が長いの
で、γ粒界へのフェライトの生成が促進され、フェライ
トがγ粒界にフィルム状に発達する。その後、鋳片の表
面温度をAr 変態点を超える温度に復熱させた際
に、γ粒界にフィルム状のフェライトの痕跡が残存す
る。その後に鋳片の表面温度をAr 変態点より低い
温度にした場合、γ粒界のフィルム状のフェライトの痕
跡上に、フェライトがフィルム状に生成するので、鋳片
の凝固組織は、γ粒界にフェライトがフィルム状に生成
したフェライトおよびパーライトの混合組織となり、γ
粒界が明瞭になる。この状態で鋳片を矯正すると、鋳片
表面に割れが発生する。
【0025】Ar 変態点より低い温度に保持する時
間tが前述の(イ)式を満足する条件において、鋳片の
表面温度をいったんAr 変態点より低い温度に冷却
する際の鋳片の表面温度が到達する最低の表面温度T
min が、前述の(ロ)式の左辺の値未満であると、
鋳片表面が過冷却されることを意味しており、鋳片表面
の復熱時に鋳片の表面温度がAr 変態点を超える温
度に復熱しにくくなる。この状態から鋳片表面がさらに
冷却されると、鋳片の凝固組織は、γ粒界にフェライト
がフィルム状に生成したフェライトおよびパーライトの
混合組織となり、γ粒界が明瞭になる。この状態で鋳片
を矯正すると、鋳片表面に割れが発生する。
【0026】また、Ar 変態点より低い温度に保持
する時間tが前述の(イ)式を満足する条件において、
鋳片の表面温度をいったんAr 変態点より低い温度
に冷却する際の鋳片の表面温度が到達する最低の表面温
度Tmin が、前述の(ロ)式の右辺の値を超える場
合で、Ar 変態点より低い温度に保持する時間tが
(イ)式を満足するなかで短い場合には、鋳片の凝固組
織は、γ粒界にフェライトが粒状に生成したフェライト
およびパーライトの混合組織となり、γ粒界が不明瞭に
なる。ただし、その不明瞭な領域の鋳片表面からの厚さ
方向の深さは2mm未満となる。この状態で鋳片を矯正
すると、鋳片表面に割れが発生する。
【0027】一方、最低の表面温度Tmin が、前述
の(ロ)式の右辺の値を超える場合で、Ar 変態点
より低い温度に保持する時間tが(イ)式を満足するな
かで長い場合には、鋳片の凝固組織は、γ粒界にフェラ
イトがフィルム状に生成したフェライトおよびパーライ
トの混合組織となり、γ粒界が明瞭になる。この状態で
鋳片を矯正すると、鋳片表面に割れが発生する。
【0028】厚さが150〜300mmのスラブの場合
に、鋳型出口から1mまでの間において、鋳片の二次冷
却の比水量を0.3〜0.65リットル/kg−鋼と
し、かつ、鋳型出口からの距離が、1mを超えて5mま
での任意の範囲において、鋳片の二次冷却の比水量を
0.25〜0.55リットル/kg−鋼として鋳片を二
次冷却するのが望ましく、また、厚さが150〜300
mmのブルームの場合に、鋳型出口から1mまでの間に
おいて、鋳片の二次冷却の比水量を1.05〜1.6リ
ットル/kg−鋼とし、かつ、鋳型出口からの距離が、
1mを超えて5mまでの任意の範囲において、鋳片の二
次冷却の比水量を0.65〜0.95リットル/kg−
鋼として鋳片を二次冷却するのが望ましい。
【0029】さらに、厚さが300mm超〜400mm
のスラブの場合に、鋳型出口から1mまでの間におい
て、鋳片の二次冷却の比水量を0.65〜1.0リット
ル/kg−鋼とし、かつ、鋳型出口からの距離が、1m
を超えて5mまでの任意の範囲において、鋳片の二次冷
却の比水量を0.55〜0.75リットル/kg−鋼と
して鋳片を二次冷却するのが望ましく、また、厚さが3
00mm超〜400mmのブルームの場合に、鋳型出口
から1mまでの間において、鋳片の二次冷却の比水量を
1.6〜1.95リットル/kg−鋼とし、かつ、鋳型
出口からの距離が、1mを超えて5mまでの任意の範囲
において、鋳片の二次冷却の比水量を0.95〜1.1
5リットル/kg−鋼として鋳片を二次冷却するのが望
ましい。
【0030】上記のスラブまたはブルームの場合に、上
記二次冷却の比水量とすることにより、表面から厚さ方
向に少なくとも深さ2mmまでの鋳片の凝固組織を、γ
粒界が不明瞭なフェライトおよびパーライトの混合組織
とすることができ、鋳片表面の割れの発生を安定して防
止できる。
【0031】鋳片の表面温度をいったんAr 変態点
より低い温度に冷却した後に、Ar 変態点を超える
温度に復熱させる際に、鋳片の表面温度をAr 変態
点より低い温度に保持する時間tと、いったんAr
変態点より低い温度に冷却した後にAr 変態点を超
える温度に復熱させるまでの間で、鋳片の表面温度が到
達する最低の表面温度Tmin とが、前述の(イ)式
および(ロ)式を満足するように鋳片の二次冷却を行う
ことを、鋳片を矯正する前までに、さらに1回以上繰り
返してもよい。γ粒界が不明瞭な凝固組織の存在する鋳
片表面からの深さが、より効果的に深くなる。
【0032】
【実施例】図2に示す装置構成で、垂直部の長さが3m
である垂直曲げ型連続鋳造機を用いて、鋳片の形状、鋳
造速度および鋳片の二次冷却の比水量の条件を変化させ
て、表1に示す化学組成のNb、CuおよびNiを含む
低合金鋼を鋳造した。この鋼のAr 変態点は892
℃で、脆化温度域は720〜850℃である。
【0033】
【表1】 厚さ300mm、幅2300mmのスラブでは、鋳造速
度を0.75〜1.2m/分とし、また厚さ300m
m、幅650mmのブルームでは、鋳造速度を0.5m
/分とした。
【0034】スラブおよびブルームの二次冷却の条件
は、後述する表2に詳細を示すが、概略つぎのとおりと
した。すなわち、鋳型出口から1.0mまでの間では、
スラブおよびブルームともに、鋳片の二次冷却を行い、
鋳片の表面温度をAr 変態点より低い温度に低下さ
せ、また、鋳片の表面温度が到達する最低の表面温度T
min (℃)を変化させた。また、鋳型出口からの距
離が、1.0mを超えて5mまでの間では、1.0mか
ら任意のXmまでの間で鋳片の二次冷却を行い、鋳片の
表面温度をAr 変態点より低い温度に保持する時間
t(s)を変化させ、また、鋳片の表面温度が到達する
最低の表面温度Tmin (℃)を変化させた。上記二
次冷却の条件は、鋳型出口から最長Xmまで鋳片の二次
冷却を行ったことを意味する。
【0035】ただし、一部のスラブを鋳造する試験で
は、鋳型出口からの距離が、1.0mを超えて5mまで
の間で、鋳片の二次冷却を行わなかった。また、後述す
る試験No.2では、上記の二次冷却の領域の下流側
で、さらに追加で鋳片の二次冷却を行い、矯正位置にお
ける鋳片の表面温度を調整した。
【0036】各試験では、連続して3ヒートの鋳造を行
った。その際、鋳造中に放射温度計により、鋳型出口か
ら矯正位置までの領域において鋳片の表面温度を測定し
た。これらの測定結果から、鋳片の表面温度がAr
変態点より低い温度になったかどうかを確認するととも
に、鋳片の表面温度がAr 変態点より低い温度に保
持された時間t(s)、いったんAr 変態点より低
い温度に冷却した後にAr 変態点を超える温度に復
熱させるまでの間で、鋳片の表面温度が到達する最低の
表面温度Tmin (℃)、および矯正位置における鋳
片の表面温度を求めた。
【0037】また、一部の試験では、二次冷却直後の鋳
片表面に熱電対を噛み込ませる方法で鋳片の表面温度を
測定し、さらに、鋳片のサイズ、鋳造速度、鋳片の二次
冷却条件などに対応した鋳片の表面温度を凝固伝熱解析
による計算で求めた。これら放射温度計、熱電対および
凝固伝熱解析による計算でそれぞれ求めた鋳片の表面温
度が精度良く一致しているのが確認できた。
【0038】各試験では、鋳造方向の長さ1mの鋳片サ
ンプルを採取し、鋳片表面の割れの観察を容易にするた
め、その表面をスカーフィングして鋳片表面の酸化物を
取り除いた。その後にダイチェック(染色浸透探傷試
験)を行って鋳片表面の横割れまたは横ひび割れの発生
の状況を目視で観察し、割れの状況を評価した。評価A
は、これら割れが発生していない状態、評価Bは、その
鋳片を熱間で圧延する前に、鋳片表面の手入れが必要な
程度に割れが発生している状態、評価Cは、手入れによ
っても除去が困難な程度に、著しい割れが発生している
状態をそれぞれ意味する。
【0039】また、鋳片サンプルをスカーフィングする
前に、切断面端部で幅中央部から、鋳片表面(鋳造中に
上側の面に相当)の鋳造方向に10mm、幅方向に20
mm、鋳片表面を含めて厚さ方向に20mmの光学顕微
鏡観察用サンプルを切り出した。鋳片サンプルの横断面
に相当する面を研磨した後、5%ナイタール腐食を行
い、倍率30倍で光学顕微鏡観察を行って、凝固組織、
γ粒界におけるフィルム状のフェライトの生成の有無、
不明瞭なγ粒界の鋳片表面からの深さなどを確認した。
表2に試験条件と試験結果を示す。
【0040】
【表2】 本発明例の試験No.1では、鋳型出口から最長2.5
mまでの間で鋳片を二次冷却しつつ、速度0.8m/分
でスラブを鋳造した。二次冷却の比水量は、鋳型出口か
ら1mまでの間では0.6リットル/kg−鋼、鋳型出
口からの距離が、1mを超えて2.5mまでの間では
0.3リットル/kg−鋼とした。上記条件で鋳片を二
次冷却することにより、鋳片の表面温度をいったんAr
変態点より低い温度に冷却した後に、Ar 変態
点を超える温度に復熱させ、その後に鋳片を矯正するこ
とができた。いったんAr 変態点より低い温度に冷
却した後にAr 変態点を超える温度に復熱させるま
での間で、鋳片の表面温度が到達した最低の表面温度T
min は710℃であった。また、鋳片の表面温度を
Ar 変態点より低い温度に保持する時間tは155
sであった。上記鋳片の表面温度が到達した最低の表面
温度Tmin 、Ar 変態点より低い温度に保持す
る時間tの条件は、本発明の方法で規定する条件の範囲
内である。また、矯正位置での鋳片の表面温度は、この
鋼の脆化温度域よりも高い886℃であった。
【0041】この試験No.1で得られた鋳片表面の凝
固組織は、γ粒界に粒状のフェライトが生成したフェラ
イトおよびパーライトの混合組織であり、γ粒界の不明
瞭な凝固組織であった。また、それらγ粒界が不明瞭な
深さは、鋳片表面から深さ3.7mmまでの領域であっ
た。鋳片表面の割れ発生の評価は評価Aで、横割れなど
の割れは発生しなかった。
【0042】本発明例の試験No.2では、鋳型出口か
ら最長4.5mまでの間で鋳片を二次冷却しつつ、速度
1.0m/分でスラブを鋳造した。二次冷却の比水量
は、鋳型出口から1mまでの間では0.4リットル/k
g−鋼、鋳型出口からの距離が、1mを超えて4.5m
までの間では0.5リットル/kg−鋼とした。上記条
件で鋳片を二次冷却することにより、鋳片の表面温度を
いったんAr 変態点より低い温度に冷却した後に、
Ar 変態点を超える温度に復熱させることができ
た。その際、鋳片の表面温度が到達した最低の表面温度
min は770℃であった。また、鋳片の表面温度
をAr 変態点より低い温度に保持する時間tは21
0sであった。上記鋳片の表面温度が到達した最低の表
面温度Tmi 、Ar 変態点より低い温度に保持
する時間tの条件は、本発明の方法で規定する条件の範
囲内である。また、鋳片の表面温度をAr 変態点を
超える温度に復熱させた後、さらに鋳片の二次冷却を行
ない、矯正位置での鋳片の表面温度を、この鋼の脆化温
度域である821℃とした。
【0043】この試験No.2で得られた鋳片表面の凝
固組織は、γ粒界に粒状のフェライトが生成したフェラ
イトおよびパーライトの混合組織であり、γ粒界の不明
瞭な凝固組織であった。また、それらγ粒界が不明瞭な
深さは、鋳片表面から深さ2.3mmまでの領域であっ
た。矯正時の鋳片の表面温度を脆化温度域としたにもか
かわらず、鋳片表面の割れ発生の評価は評価Aで、横割
れなどの割れは発生しなかった。
【0044】本発明例の試験No.3では、鋳型出口か
ら最長2.0mまでの間で鋳片を二次冷却しつつ、速度
0.5m/分でブルームを鋳造した。二次冷却の比水量
は、鋳型出口から1mまでの間では1.3リットル/k
g−鋼、鋳型出口からの距離が、1mを超えて2.0m
までの間では0.7リットル/kg−鋼とした。上記条
件で鋳片を二次冷却することにより、鋳片の表面温度を
いったんAr 変態点より低い温度に冷却した後に、
Ar 変態点を超える温度に復熱させることができ
た。その際、鋳片の表面温度が到達した最低の表面温度
min は610℃であった。また、鋳片の表面温度
をAr 変態点より低い温度に保持する時間tは19
0sであった。上記鋳片の表面温度が到達した最低の表
面温度T in 、Ar 変態点より低い温度に保持
する時間tの条件は、本発明の方法で規定する条件の範
囲内である。また、矯正位置での鋳片の表面温度は、こ
の鋼の脆化温度域よりも高い870℃であった。
【0045】この試験No.3で得られた鋳片表面の凝
固組織は、γ粒界に粒状のフェライトが生成したフェラ
イトおよびパーライトの混合組織であり、γ粒界の不明
瞭な凝固組織であった。また、それらγ粒界が不明瞭な
深さは、鋳片表面から深さ5.1mmまでの領域であっ
た。鋳片表面の割れ発生の評価は評価Aで、横割れなど
の割れは発生しなかった。
【0046】比較例の試験No.4では、鋳型出口から
最長1.0mまでの間でのみ、鋳片を二次冷却しつつ、
速度1.2m/分でスラブを鋳造した。その間の二次冷
却の比水量は0.4リットル/kg−鋼とした。上記条
件で鋳片を二次冷却することにより、鋳片の表面温度を
いったんAr 変態点より低い温度に冷却した後に、
Ar 変態点を超える温度に復熱させることができ
た。その際、鋳片の表面温度が到達した最低の表面温度
min は790℃であった。この最低の表面温度T
min の条件は、本発明の方法で規定する条件の範囲
内である。しかし、二次冷却を行う領域およびそのとき
の比水量が少ないため、鋳片の表面温度をAr 変態
点より低い温度に保持する時間tは40sと短かった。
このAr変態点より低い温度に保持する時間tの条件
は、本発明の方法で規定する条件を外れて短い時間であ
る。矯正位置での鋳片の表面温度は、この鋼の脆化温度
域よりも高い935℃であった。
【0047】この試験No.4で得られた鋳片表面の凝
固組織は、フェライトおよびパーライトの混合組織であ
ったが、γ粒界にフェライトがフィルム状に生成して、
明瞭なγ粒界が認められた。鋳片の表面温度をAr
変態点より低い温度に保持する時間が短かいので、フェ
ライトをγ粒界に粒状に十分生成させることができず、
鋳片の表面温度をAr 変態点を超える温度に復熱さ
せた際に、γ粒界に粒状に析出したフェライトの痕跡が
残らなかった。そのため、その後に鋳片の表面温度がA
変態点より低い温度になる過程で、γ粒界にフェ
ライトがフィルム状に生成したため、γ粒界が明瞭にな
った。したがって、脆化温度域より高温の935℃で矯
正したにもかかわらず、鋳片表面の割れ発生の評価は評
価Cで、γ粒界に沿って著しい横割れが発生した。
【0048】比較例の試験No.5では、鋳型出口から
最長1.0mまでの間でのみ、鋳片を二次冷却しつつ、
速度0.75m/分でスラブを鋳造した。その間の二次
冷却の比水量は0.2リットル/kg−鋼とした。上記
条件で鋳片を二次冷却することにより、鋳片の表面温度
をいったんAr 変態点より低い温度に冷却した後
に、Ar 変態点を超える温度に復熱させることがで
きた。その際、鋳片の表面温度が到達した最低の表面温
度Tmin は815℃であった。しかし、この最低の
表面温度Tmin の条件は、本発明の方法で規定する
条件を外れて高い温度である。二次冷却を行う領域が短
く、かつ、そのときの比水量が少ないためである。鋳片
の表面温度をAr 変態点より低い温度に保持する時
間tは200sであり、この保持する時間tの条件は、
本発明の方法で規定する条件の範囲内の時間である。矯
正位置での鋳片の表面温度は、この鋼の脆化温度域より
も高い880℃であった。
【0049】この試験No.5で得られた鋳片表面の凝
固組織は、γ粒界に粒状のフェライトが生成したフェラ
イトおよびパーライトの混合組織であり、γ粒界の不明
瞭な凝固組織であった。しかし、それらγ粒界が不明瞭
な厚さは、鋳片表面から深さ1.1mmまでの浅い領域
であった。鋳片の到達する最低の表面温度Tminが高
く、Ar 変態点より低い温度に保持する時間tが前
述の(イ)式を満足するなかで短いので、不明瞭なγ粒
界の存在する鋳片表面からの厚さ方向の深さが浅くなっ
た。そのため、矯正位置での鋳片の表面温度は脆化温度
域より高温であるものの、鋳片表面の割れ発生の評価は
評価Bで、横割れなどの割れが発生した。γ粒界が不明
瞭な鋳片表面からの厚さが薄いために、γ粒界が不明瞭
な凝固組織よりも深い領域の鋳片の内部に発生した横割
れなどの割れが、鋳片を矯正する際に鋳片表面に露出し
た。
【0050】比較例の試験No.6では、鋳型出口から
最長5.0mまでの間で鋳片を二次冷却しつつ、速度
0.75m/分でスラブを鋳造した。二次冷却の比水量
は、鋳型出口から1mまでの間では0.1リットル/k
g−鋼、鋳型出口からの距離が、1mを超えて5.0m
までの間では0.4リットル/kg−鋼とした。上記条
件で鋳片を二次冷却することにより、鋳片の表面温度を
いったんAr 変態点より低い温度に冷却した後に、
Ar 変態点を超える温度に復熱させ、その後に鋳片
を矯正することができた。いったんAr 変態点より
低い温度に冷却した後にAr 変態点を超える温度に
復熱させるまでの間で、鋳片の表面温度が到達した最低
の表面温度Tmin は830℃であった。しかし、こ
の最低の表面温度の条件は、本発明の方法で規定する条
件を外れて高い温度である。二次冷却の比水量が少ない
ためである。鋳片の表面温度をAr 変態点より低い
温度に保持する時間tは400sであり、この保持する
時間tは、本発明の方法で規定する条件の範囲内の時間
である。矯正位置での鋳片の表面温度は、この鋼の脆化
温度域よりも高い861℃であった。
【0051】この試験No.6で得られた鋳片表面の凝
固組織は、フェライトおよびパーライトの混合組織であ
ったが、γ粒界にフェライトがフィルム状に生成して、
明瞭なγ粒界が認められた。鋳片の到達する最低の表面
温度Tmin が高く、Ar 変態点より低い温度に
保持する時間tが前述の(イ)式を満足するなかで長目
であったので、γ粒界にフェライトがフィルム状に生成
した。したがって、脆化温度域より高温の861℃で矯
正したにもかかわらず、鋳片表面の割れ発生の評価は評
価Cで、γ粒界に沿って著しい横割れが発生した。
【0052】比較例の試験No.7では、鋳型出口から
最長5.0mまでの間で鋳片を二次冷却しつつ、速度
0.5m/分でブルームを鋳造した。二次冷却の比水量
は、鋳型出口から1mまでの間では1.3リットル/k
g−鋼、鋳型出口からの距離が、1mを超えて5.0m
までの間では2.0リットル/kg−鋼とした。鋳片の
表面温度が到達した最低の表面温度Tmin は605
℃と低く、しかも、鋳片の表面温度をAr 変態点よ
り低い温度に保持する時間tは520sと長くなった。
上記最低の表面温度の条件は、本発明の方法で規定する
条件の範囲内であるが、上記Ar 変態点より低い温
度に保持する時間tの条件は、本発明の方法で規定する
条件を外れて、時間が長い。その後、鋳片の表面温度は
復熱したが、Ar 変態点を超えなかった。このAr
変態点を超える温度に復熱しなかったことは、本発
明の方法で規定する条件を外れている。また、矯正位置
での鋳片の表面温度は、この鋼の脆化温度域よりも高い
860℃であった。
【0053】この試験No.7では、得られた鋳片表面
の凝固組織はフェライトおよびパーライトの混合組織で
あり、γ粒界にはフェライトがフィルム状に生成してい
た。Ar 変態点より低い温度に保持する時間tが長
いため、γ粒界へのフェライトの生成が促進され、フェ
ライトがγ粒界にフィルム状に発達し、さらに、Ar
変態点を超える温度に復熱しなかったため、さらにフ
ェライトがγ粒界にフィルム状に発達した。そのため、
脆化温度域より高温の860℃で矯正したにもかかわら
ず、鋳片表面の割れ発生の評価は評価Cで、γ粒界に沿
って著しい横割れが発生した。
【0054】比較例の試験No.8では、鋳型出口から
最長2.0mまでの間を二次冷却しつつ、速度0.5m
/分でブルームを鋳造した。二次冷却の比水量は、鋳型
出口から1mまでの間では2.0リットル/kg−鋼、
鋳型出口からの距離が、1mを超えて5.0mまでの間
では0.7リットル/kg−鋼とした。鋳片の表面温度
が到達した最低の表面温度Tmin は480℃と低
く、鋳片の表面温度をAr 変態点より低い温度に保
持する時間tは190sであった。上記最低の表面温度
の条件は、本発明の方法で規定する条件を外れて低い温
度である。とくに、鋳型出口からの距離が、1mを超え
て5.0mまでの間における二次冷却の比水量が多いた
めである。また、上記Ar 変態点より低い温度に保
持する時間tの条件は、本発明の方法で規定する条件の
範囲内である。その後、鋳片の表面温度は復熱したが、
Ar 変態点を超えなかった。このAr 変態点を
超える温度に復熱しなかったことは、本発明の方法で規
定する条件を外れている。また、矯正位置での鋳片の表
面温度は、この鋼の脆化温度域よりも高い852℃であ
った。
【0055】この試験No.8では、得られた鋳片表面
の凝固組織はフェライトおよびパーライトの混合組織で
あり、γ粒界にはフェライトがフィルム状に生成してい
た。鋳片表面が過冷却され、復熱時に鋳片の表面温度が
Ar 変態点を超える温度に復熱しなかったため、鋳
片の冷却過程で、γ粒界にフェライトがフィルム状に生
成し、明瞭なγ粒界が認められた。そのため、脆化温度
域より高温の852℃で矯正したにもかかわらず、鋳片
表面の割れ発生の評価は評価Cで、γ粒界に沿って著し
い横割れが発生した。
【0056】
【発明の効果】本発明の連続鋳造方法の適用により、横
割れ、横ひび割れなどの割れのない良好な表面品質を有
する鋳片を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】γ粒界が不明瞭なフェライトおよびパーライト
の混合組織の生成に及ぼす、鋳片の表面温度がAr
変態点より低い温度で保持される時間およびAr
態点より低い温度である鋳片の表面温度が到達する最低
の表面温度の影響を示す図である。
【図2】本発明の連続鋳造方法を実施する場合の連続鋳
造装置の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1:鋳型 2:凝固殻 3:ガイドロール対 4:スプレー
ノズル 5:未凝固の溶鋼を含む鋳片 6:ピンチロ
ール 7:矯正位置のピンチロール 8:溶鋼 9:完全に凝固した鋳片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4E004 MC02 NB01 NC04

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】横断面形状が矩形の鋳片を湾曲型または垂
    直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳造する際に、鋳片を鋳
    型から引き抜いた直後から鋳片の二次冷却を行い、鋳片
    の表面温度をいったんAr 変態点より低い温度に冷
    却した後に、Ar 変態点を超える温度に復熱させ、
    その後に鋳片を矯正する連続鋳造方法であって、鋳片の
    表面温度をAr 変態点より低い温度に保持する時間
    t(s)と、いったんAr 変態点より低い温度に冷
    却した後にAr 変態点を超える温度に復熱させるま
    での間で、鋳片の表面温度が到達する最低の表面温度T
    min (℃)とが、下記の(イ)式および(ロ)式を
    満足するように鋳片の二次冷却を行うことを特徴とする
    連続鋳造方法。 50≦t(s)≦500 ・・・(イ) 0.13×t+493≦Tmin(℃)≦0.045×t+798 ・・・(ロ )
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