JP2002298925A - リチウム二次電池のエージング処理方法およびそれを含むリチウム二次電池の製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池のエージング処理方法およびそれを含むリチウム二次電池の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極にダメージを与えることなく、個々の電
池の最適なエージング処理時間を簡単に決定できるエー
ジング処理方法を提供する。また、自己放電量の小さ
い、かつ内部抵抗の増加が抑制されたリチウム二次電池
を製造する方法を提供する。 【解決手段】 電池形成後、充放電を行うことにより電
池を実使用可能な状態に調製するコンディショニング処
理の直前までの間、電極体に非水電解液を浸潤させるた
めに行うエージング処理を、負極電位Vの経時変化をモ
ニターしながら行う。また、リチウム二次電池の製造方
法を、電池形成工程と、負極電位Vの経時変化をモニタ
ーしながら形成後の電池のエージングを行うエージング
処理工程と、エージング処理直後の電池に対し充放電を
行うことにより電池を実使用可能な状態に調製するコン
ディショニング処理工程とを含んで構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムの吸蔵・
脱離現象を利用したリチウム二次電池に対し、電池形成
後に電極体に非水電解液を浸潤させるために行うエージ
ング処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話、パソコン等の小型化に伴い、
通信機器、情報関連機器の分野では、これらの機器に用
いる電源として、高エネルギー密度であるという理由か
ら、リチウム二次電池が実用化され広く普及するに至っ
ている。また、自動車の分野においても、資源問題、環
境問題から電気自動車の開発が急がれており、この電気
自動車用の電源としても、リチウム二次電池が検討され
ている。
【0003】一般に、リチウム二次電池は、正極および
負極を備えてなる電極体を電池ケースに挿設し、非水電
解液を注入した後電池ケースを密閉して形成される。そ
して、電池形成後、そのまま所定の温度下で保存するい
わゆるエージング処理を行い、その後、充放電を行うこ
とにより電池を実使用可能な状態に調整するコンディシ
ョニング処理を行って製造される。
【0004】ここで、エージング処理は、電極体に非水
電解液を充分に浸潤させるために行う処理であり、電池
形成直後に開始し、次のコンディショニング処理を開始
する時、具体的には、初回の充電を開始する時に終了す
る。このエージング処理に必要な時間は、個々の電池の
形状、電極の大きさ、電極間の圧迫状態、セパレータへ
の電解液の浸透性、および電解液の注入時の温度、圧力
等によって種々異なるものである。そして、エージング
処理を行う時間は、製造した電池の自己放電のし易さ、
内部抵抗の大きさ等の電池特性に大きく影響することが
知られている。
【0005】例えば、エージング処理を行う時間が短す
ぎる場合には、電極体に非水電解液が充分浸潤しないた
め、電解液の不足によって活物質がダメージを受け、電
池の内部抵抗の増加を招く。また、局部的に充放電が不
足するために、電池の自己放電量が大きくなる原因とも
なる。すなわち、電極体に非水電解液を浸潤させるため
には、エージング処理の時間を充分に確保することが必
要となるが、エージング処理の時間を長くしすぎると、
製造した電池の自己放電量は大きくなってしまう。
【0006】一方、実際に電池を製造する際には、製造
する電池と同様の電池を予備的に作製し、その予備的に
作製した電池の特性を解析した結果をもとに、製造する
電池のエージング処理時間を一律に決定しているのが現
状である。しかしながら、この予備検討では充分ではな
い場合、あるいは、電池を保存する恒温槽の内部に温度
分布が存在する等の保存条件のばらつきが生じる場合が
ある。そのため、上記予備検討に基づいてエージング処
理を行った場合であっても、電池によって非水電解液の
浸潤状態が異なり、結果的に、製造された電池の自己放
電のし易さや内部抵抗の大きさ等の電池特性に大きなば
らつきが生じるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記問題に鑑み、個々
の電池について最適なエージング処理時間を見出すため
の試みとして、エージング中に正負極間のAC抵抗値を
測定し、その値から電解液の浸潤状態を判断して、個々
の電池のエージング終了時を決めるという方法を検討し
た。しかし、この方法は複雑な装置を必要とし、また、
全電池に交流電流を電極にダメージを与えない電圧振幅
範囲で長時間、あるいは適時流すことは困難であるため
実用的ではない。
【0008】本発明者は、エージング処理に関して幾多
の実験を行い、エージング処理時間と電池特性との関係
を調査した。その結果、エージング処理時間が長すぎる
と、負極の銅製集電体や銅製の負極端子等からCuイオ
ンが溶出し、溶出したCuイオンが、次のコンディショ
ニング処理である充放電の際に析出して、電池の微少短
絡(マイクロショート)を起こしたり、また、酸化還元
反応のシャトル物質となることによって、電池の自己放
電量を大きくすることがわかった。そして、エージング
中に負極電位は変化し、その負極電位の変化にCuイオ
ンの溶出反応が関係しているという知見を得た。
【0009】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
のであり、負極電位の経時変化に着目することで、電極
にダメージを与えることなく、個々の電池の最適なエー
ジング処理時間を簡単に決定できるエージング処理方法
を提供することを課題とする。
【0010】また、そのエージング処理方法を含んで構
成することにより、自己放電量の小さい、かつ内部抵抗
の増加が抑制されたリチウム二次電池を製造する方法を
提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】(1)本発明のリチウム
二次電池のエージング処理方法は、リチウムを吸蔵・脱
離可能な物質を正極活物質とする正極および負極活物質
を含む負極合材が銅製集電体の表面に層状に形成されて
なる負極を備えてなる電極体と、リチウム塩を有機溶媒
に溶解した非水電解液とを電池ケースに収納して形成さ
れるリチウム二次電池に対し、電池形成後、充放電を行
うことにより電池を実使用可能な状態に調整するコンデ
ィショニング処理の直前までの間、前記電極体に前記非
水電解液を浸潤させるために行うエージング処理方法で
あって、負極電位Vの経時変化をモニターしながらエー
ジングを行うことを特徴とする。
【0012】つまり、本発明のリチウム二次電池のエー
ジング処理方法は、エージング中の負極電位の経時変化
に着目し、負極電位の経時変化をモニターしながらエー
ジングを行うものである。
【0013】上述したように、負極電位はエージング中
に変化する。後に詳しく説明するが、エージング開始
後、負極電位は上昇を続け、ある時点で最大となった後
やや下降して、その後は略一定の値に安定する。つま
り、負極電位の経時変化は、上昇領域と安定領域との大
きく2つに分けることができる。負極等からのCuイオ
ンの溶出は、負極電位の上昇が終わった後、すなわち負
極電位が下降に転じ、その後安定する領域において生じ
ると考えられる。なお、予備的検討において、負極電位
が安定領域に至った電池を解体して、電解液の電極体へ
の浸潤状態を調べたところ、電極全体が電解液に濡れて
いた。すなわち、電極が電解液と良く馴染み、安定な電
位を示したと考えられる。よって、負極電位が最大とな
った時点では、すでに電解液は電極体に充分浸潤してい
ると考えられる。したがって、Cuイオンの溶出を抑制
し、かつ電解液を電極体に充分浸潤させるためには、上
昇した負極電位が低下する直前にエージングを終了させ
ればよいことになる。
【0014】このように、負極電位の経時変化をモニタ
ーしながらエージングを行うことで、本発明のエージン
グ処理方法は、個々の電池のエージング終了のタイミン
グが簡単にわかり、各電池の最適なエージング処理時間
を確保できる方法となる。
【0015】また、負極電位の経時変化は、エージング
を行う温度によって挙動が異なる。例えば、高温下でエ
ージングを行うと、負極電位の上昇は早くなり、反対
に、室温程度の温度下では、負極電位の上昇はゆっくり
したものとなる。したがって、例えばエージングを早く
終わらせたい場合には、高温下でエージングを行う等、
本発明のエージング処理方法は、エージング処理時間の
コントロールを自在に行うことができる方法となる。
【0016】(2)上記エージング処理方法を含む本発
明のリチウム二次電池の製造方法は、リチウムを吸蔵・
脱離可能な物質を正極活物質とする正極および負極活物
質を含む負極合材が銅製集電体の表面に層状に形成され
てなる負極を備えてなる電極体と、リチウム塩を有機溶
媒に溶解した非水電解液とを電池ケースに収納して形成
されるリチウム二次電池の製造方法であって、前記電極
体を前記非水電解液とともに前記電池ケースに収納して
電池を形成する電池形成工程と、負極電位Vの経時変化
をモニターしながら前記電極体に前記非水電解液を浸潤
させて形成した前記電池のエージングを行うエージング
処理工程と、エージング処理直後の前記電池に対し充放
電を行うことにより電池を実使用可能な状態に調整する
コンディショニング処理工程とを含んで構成される。
【0017】つまり、本発明のリチウム二次電池の製造
方法は、電池形成工程とコンディショニング処理工程と
の間に上記エージング処理方法を含んで構成される。本
発明のリチウム二次電池の製造方法は、個々の電池につ
いてのエージング処理時間を最適なものとすることがで
きるため、自己放電量の小さい、かつ内部抵抗の増加が
抑制されたリチウム二次電池を簡単に製造する方法とな
る。
【0018】(3)以下に、エージング処理における電
池内の反応と負極電位との関係を説明する。
【0019】一般に、電極には不可避的な水分が吸着し
ており、この水分が非水電解液中の電解質と反応して、
HFやH3PO4等の酸成分を生成する。例えば、電解質
にLiPF6を用いた場合の反応式を(式1)、(式
2)に示す。
【0020】 LiPF6+H2O→LiF+2HF+POF3 ・・・(式1) POF3+3H2O→H3PO4+3HF ・・・(式2) 一方、負極を構成する銅製集電体の表面は、大気中で生
成したCu2Oで覆われている。したがって、負極と電
解液との界面では、上記酸成分のH+イオン濃度に対応
した金属/酸化物の平衡電位となる。Cu/Cu2Oの
平衡反応の反応式を(式3)に示す。また、その時の電
位E0も併せて示す。
【0021】 2Cu+H2O→Cu2O+2H++2e ・・・(式3) E0=0.471−0.059pH (H/H+基準) また、pHが大きく低下すると、銅製集電体のCuがC
2+イオンとなって溶出し(アノード反応)、H+イオ
ン濃度に関係なくCu/Cu2+の平衡電位となる。この
反応式を(式4)に示す。また、その時の電位E0も併
せて示す。
【0022】Cu→Cu2++2e ・・・(式4) E0=0.337−0.0295Log[Cu2+
(H/H+基準) 他方、カソード反応としては、上記酸成分のH+からの
2発生反応、および非水電解液中の溶存酸素と電極に
付着した水分との反応が考えられる。各反応式を(式
5)、(式6)に示す。また、その時の電位E0も併せ
て示す。
【0023】2H++2e→H2 ・・・(式5) E0=0.059Log[H+]−0.0296p
[H2] (H/H+基準、p[H2]は水素分圧) O2+2H2O+4e→4OH- ・・・(式6) E0=0.401−0.0147Log[OH-]+0.
0591p[O2] (H/H+基準、p[O2]は酸素分圧) 負極の電解液浸潤状態での電極反応は、上述の種々の反
応がアノード反応とカソード反応の総和として釣り合っ
たものであり、負極電位は、いわゆるアノード/カソー
ド混成電位としての自然浸漬電位となっている。
【0024】エージング処理を開始すると、例えば、
(式1)、(式2)に示した反応により酸成分(HF、
3PO4等)が生成し、そのH+イオンの作用により
(式3)に示す平衡反応は左方向に進行し、Cu2Oは
還元除去される。このCu2Oの還元反応は、負極の電
位変化として現れ、反応の進行とともに、負極電位は上
昇する。 図1に、エージング処理における負極電位の
経時変化を示す。図1中、実線は温度25℃下でエージ
ングを行った結果を、また、破線は温度60℃下でエー
ジングを行った結果を示す。Cu2Oの還元反応は、図
1に示す負極電位の経時変化において、電位の上昇領域
(a)として現れる。なお、この反応は、高温下では比
較的短時間で終了するため、高温下でエージングを行う
と、破線で示すように、負極の電位は急激に上昇する。
反対に、室温程度の温度では、電極内部に吸着した水分
が除々に反応するため、実線で示すように、負極の電位
上昇は緩慢なものとなる。そして、Cu2Oの還元反応
は、電極の大きさ、電極間の圧迫状態、セパレータへの
電解液の浸透性、電極からの気泡の脱離し易さ等のいわ
ゆる電解液の電極体への浸潤し易さと関係するため、負
極の電位変化は、電解液の浸潤の程度を判断する有効な
パラメータとなる。
【0025】負極の集電体表面におけるCu2Oが無く
なると、上記Cu2Oの還元反応は終了する。一方、酸
成分の存在により負極近傍のpHは低下するため、(式
4)に示す反応が進行し、銅製集電体からCuイオンが
溶出する。そして、Cuイオンの溶出反応の進行によ
り、アノード反応の分極抵抗が小さくなり、負極電位は
低下する。つまり、上記図1に示す負極電位の経時変化
では、Cuイオンの溶出反応は、電位の下降を含む安定
領域(b)として現れる。したがって、負極電位が低下
する直前にエージングを終了すれば、Cuイオンの溶出
を抑制することができる。
【0026】以上説明したように、負極電位をモニター
することで、過剰なエージングを抑制することができ、
Cuイオンの溶出を抑制しつつ、電解液を電極体に充分
浸潤させるエージング処理が可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のリチウム二次電
池のエージング処理方法の実施形態について詳しく説明
する。まず、本発明のエージング処理方法が適用される
リチウム二次電池の構成および構造を説明し、次いで、
本発明のエージング処理方法を含んで構成されるリチウ
ム二次電池の製造方法の実施形態について説明する。
【0028】〈リチウム二次電池の構成〉一般にリチウ
ム二次電池は、リチウムを吸蔵・脱離する正極および負
極と、この正極と負極との間に挟装されるセパレータ
と、正極と負極との間にリチウムを移動させる非水電解
液とから構成され、本発明のエージング処理方法が適用
できるリチウム二次電池もこの構成に従うものである。
以下、各構成要素について説明する。
【0029】正極は、正極活物質に導電材および結着剤
を混合し、必要に応じ適当な溶剤を加えて、ペースト状
の正極合材としたものを、アルミニウム等の金属箔製の
集電体表面に塗布、乾燥し、その後プレスによって活物
質密度を高めることによって形成することができる。
【0030】正極活物質には、リチウムを吸蔵・脱離可
能な物質を採用する。例えば、4V級の二次電池を構成
できるという観点から、基本組成をLiCoO2、Li
NiO2、LiMnO2等とする層状岩塩構造のリチウム
遷移金属複合酸化物、基本組成をLiMn24等とする
スピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物を用いるこ
とができる。なかでも、基本組成をLiNiO2とする
層状岩塩構造のリチウム遷移金属複合酸化物は、Coを
中心金属としたリチウム遷移金属複合酸化物より低価格
であり、単位重量あたりの放電容量が大きい二次電池を
構成できることから好適である。
【0031】なお、基本組成とは、上記各複合酸化物の
代表的な組成という意味であり、上記組成式で表される
ものの他、例えば、リチウムサイトや遷移金属サイトを
他の1種または2種以上の元素で一部置換したもの等の
組成をも含む。また、必ずしも化学量論組成のものに限
定されるわけではなく、例えば、製造上不可避的に生じ
るLi、Ni等の陽イオン元素が欠損した、あるいは酸
素原素が欠損した非化学量論組成のもの等をも含む。さ
らに、リチウム遷移金属複合酸化物のうち1種類のもの
を用いることも、また、2種類以上のものを混合して用
いることもできる。
【0032】正極に用いる導電材は、正極活物質層の電
子伝導性を確保するためのものであり、カーボンブラッ
ク、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質紛状体の1
種または2種以上を混合したものを用いることができ
る。結着剤は、活物質粒子を繋ぎ止める役割を果たすも
ので、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリ
デン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、
ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
これら活物質、導電材、結着剤を分散させる溶剤として
は、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いる
ことができる。
【0033】負極は、リチウムを吸蔵・脱離できる負極
活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト
状にした負極合材を集電体の表面に層状に積層して形成
することができる。ここで、集電体には比較的貴な金属
である銅を用いることとし、「銅製」とは、純銅の他、
他の元素が若干添加されているような銅合金等をも含む
概念である。例えば、銅箔製の集電体の表面に負極合材
を塗布、乾燥、プレスして負極を形成すればよい。負極
活物質として、例えば、天然黒鉛、球状あるいは繊維状
の人造黒鉛、コークス等の易黒鉛化性炭素、フェノール
樹脂焼成体等の難黒鉛化性炭素等を用いることができ
る。なお、正極同様、負極結着剤としてはポリフッ化ビ
ニリデン等の含フッ素樹脂等を、溶剤としてはN−メチ
ル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができ
る。
【0034】正極と負極の間に挟装されるセパレータ
は、正極と負極とを隔離しつつ電解液を保持してイオン
を通過させるものであり、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等の薄い微多孔膜を用いることができる。
【0035】非水電解液は、有機溶媒に電解質を溶解さ
せたもので、有機溶媒としては、非プロトン性有機溶
媒、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネ
ート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、
γブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン
等の1種またはこれらの2種以上の混合液を用いること
ができる。また、溶解させる電解質としては、溶解させ
ることによりリチウムイオンを生じるLiI、LiCl
4、LiAsF6、LiBF4、LiPF6等を用いるこ
とができる。
【0036】〈リチウム二次電池の構造〉上記構成要素
を有する本発明のエージング処理方法が適用できるリチ
ウム二次電池の一例として、図2に円筒型のリチウム二
次電池の断面を示す。本リチウム二次電池1は、電極体
10と、電極体10を非水電解液とともに密封する電池
ケース20と、電池容器20に付設され電極体10に導
通する正極端子30および負極端子40とから構成され
ている。
【0037】電極体10は、シート状の正極11とシー
ト状の負極12とをセパレータ13を挟装し捲回芯14
を中心に捲回したロール状のものとなっている。ちなみ
に、正極11は、アルミニウム箔集電体の両面に活物質
としてリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極合材層を
形成してなり、負極12は、銅箔集電体の両面に活物質
として炭素物質を含む負極合材層を形成してなり、そし
て、セパレータ13は、多孔質ポリエチレン製シートか
らなる。捲回芯14は、正極端子側に位置するアルミニ
ウム合金製のアルミ捲回芯部14aと、アルミ捲回芯部
14aに同軸的に螺合連結され負極端子側に位置する樹
脂製の樹脂捲回芯部14bとからなる。電池容器20
は、ステンレス製の円筒状の外装缶21と、外装缶21
の両開口端にそれぞれ接合されるステンレス製の円盤状
の正極側蓋板22および負極側蓋板23とからなる。正
極側蓋板22および負極側蓋板23にはそれぞれ電池ケ
ース20の内部圧力が所定圧を超える場合に開弁する安
全弁24が付設されており(正極側は図示していな
い)、また、負極側蓋板23には、さらに電解液注入口
25が設けられ、電解液注入口25を封口する注入孔栓
26が螺合して取付けられている。
【0038】正極端子30は、アルミニウム製で、集電
部30aと、ボルト状の外部端子部30bとからなり、
集電部30aは、捲回芯14のアルミ捲回芯部14aに
螺合連結され、また、外部端子部30bは、先端を電池
外部に突出する状態で電池ケース20の正極側蓋板22
に設けられた正極端子取付穴22aに、ガスケット31
を介し、ワッシャ32、ナット33によって付設されて
おり、電池容器20とは絶縁されている。集電部30a
には正極11より延出する帯状のアルミニウム製正極リ
ード11aがその周囲に接合され、正極端子30と電極
体10の正極11との電気的導通が確保されている。
【0039】負極端子40は、銅製で、集電部40a
と、ボルト状の外部端子部40bとからなり、集電部4
0aは、捲回芯14の樹脂捲回芯部14bに螺合連結さ
れ、また、外部端子部40bは、先端を電池外部に突出
する状態で電池ケース20の負極側蓋板23に設けられ
た負極端子取付穴23aに、ガスケット41を介し、ワ
ッシャ42、ナット43によって付設されており、電池
容器20とは絶縁されている。集電部40aには負極1
2より延出する帯状の銅製負極リード12aがその周囲
に接合され、負極端子40と電極体10の負極12との
電気的導通が確保されている。
【0040】〈リチウム二次電池の製造方法〉本発明の
エージング処理方法が適用できるリチウム二次電池の一
例として、上記構造を有するリチウム二次電池の製造方
法を、電池形成工程、エージング処理工程、コンディシ
ョニング処理工程の順に説明する。
【0041】(1)電池形成工程 本工程は、電極体を非水電解液とともに電池ケースに収
納して、上記図2に示したように電池を形成する工程で
ある。まず、上述のように形成した正極および負極をセ
パレータを介して積層させて電極体とし、正極集電体お
よび負極集電体から外部に通ずる正極端子および負極端
子までの間を集電用リード等を用いて接続し、電池ケー
スに挿設する。そして、非水電解液を電解液注入口から
注入し、電池ケースを密閉して電池を形成する。
【0042】(2)エージング処理工程 本工程は、負極電位Vの経時変化をモニターしながら電
極体に非水電解液を浸潤させて電池のエージングを行う
工程である。エージング処理は、上記電池形成工程にお
いて非水電解液を電池ケースに注入した直後に開始し、
本工程の後に行われるコンディショニング処理工程にお
いて初回の充電を開始する時に終了する。
【0043】エージングは、電池形成後の電池を負極電
位Vの経時変化をモニターしながら所定の温度下で保存
することにより行う。負極電位のモニター方法は、特に
制限するものではない。例えば、正負極以外の第3極
(参照極)を電池ケースに挿入することのできるような
構造の電池を形成して、その参照極を基準とした負極電
位を測定すればよい。負極電位は、例えば、入力抵抗の
大きい(≧1010Ω電圧計であるエレクトロメータ等を
用いて測定すればよい。
【0044】なお、端子間電圧(正負極間電圧)は、
(式7)に示すように、正極電位と負極電位との差で表
される。端子間電圧=正極電位−負極電位 ・・・(式
7)ここで、正極電位はエージング中略一定であるとみ
なすことができるため、負極の電位変化はそのまま端子
間電圧の変化に反映される。したがって、より実用的な
方法として、エージング中の負極電位を測定する代わり
に、端子間電圧を電圧計等で測定して、端子間電圧の経
時変化をモニターしながらエージングを行う態様を採用
することができる。
【0045】また、電池を保存する温度を特に制限する
ものではなく、例えば、室温程度等、適宜保存温度を決
定すればよい。特に、エージングを早く終わらせたい場
合には、上述したように、例えば60℃程度の高温下で
保存することが望ましい。なお、保存方法も、特に制限
するものではなく、例えば、電池を恒温槽に入れて保存
することができる。
【0046】上述の通り、負極電位は、エージング開始
後上昇を続け、ある時点で最大となった後やや下降し
て、その後は略一定の値となる。したがって、負極から
のCuイオンの溶出を抑制しつつ、電解液を電極体に充
分浸潤させるためには、エージングを負極電位の変曲点
近傍で終了させればよい。より具体的には、負極電位V
の時間変化率が|dV/dt|≦10(mV/hr)と
なった時点で終了させることが望ましい。なお、エージ
ングを続けると、最終的に負極電位は略一定値をとり安
定するため、その安定領域においても|dV/dt|≦
10(mV/hr)を満たす場合が生じるが、エージン
グの終了時はその時を意図するものではない。エージン
グの望ましい終了時は、あくまでも負極電位の変曲点近
傍である。エージングを終了するためには、次のコンデ
ィショニング処理工程における充電を開始すればよい。
【0047】(3)コンディショニング処理工程 本工程は、前のエージング処理直後の電池に対し、充放
電を行うことにより電池を実使用可能な状態に調整する
工程である。充放電は、通常、コンディショニング処理
として行われている方法で行えばよく、所定の温度下
で、できるだけ小さな電流密度で所定の電圧まで充電
し、同様に、できるだけ小さな電流密度で所定の電圧ま
で放電を行えばよい。例えば、4V級の電池であれば、
電流密度0.2〜2mA/cm2の定電流で、電池電圧
約4Vまで充電を行い、次いで、電流密度1〜2mA/
cm2の定電流で電池電圧約3Vまで放電を行えばよ
い。充放電の回数は、特に制限するものではなく、1回
のみならず複数回行うものであってもよい。
【0048】〈他の実施形態の許容〉以上、本発明のリ
チウム二次電池のエージング処理方法およびそれを含む
リチウム二次電池の製造方法の実施形態について説明し
たが、上述した実施形態は一実施形態にすぎず、本発明
のリチウム二次電池のエージング処理方法およびそれを
含むリチウム二次電池の製造方法は、上記実施形態を始
めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を
施した種々の形態で実施することができる。
【0049】
【実施例】上記実施形態に基づいて、実際にリチウム二
次電池を形成後、エージング処理、コンディショニング
処理を行って、種々の電池を作製した。そして、それら
の電池の放電容量および内部抵抗を測定し、電池特性を
評価した。以下、これらの内容について説明する。
【0050】〈実験1〉 (1)リチウム二次電池の作製 (a)電池の形成 本実験1では、上述した図2に示す構造のリチウム二次
電池を複数個作製した。正極11は、正極活物質として
LiNiO2を用いて形成した。まず、活物質であるL
iNiO285重量部に、導電材としてカーボンブラッ
クを10重量部、および結着剤としてポリフッ化ビニリ
デンを5重量部混合し、溶剤としてN−メチル−2−ピ
ロリドンを添加して、混練してペースト状の正極合材を
調整した。次に、この正極合材を厚さ15μmのアルミ
ニウム箔集電体の両面に塗布し、乾燥し、ロールプレス
を施してシート状の正極11とした。正極11の大きさ
は124mm×3050mmで、正極合材の乾燥プレス
後の塗膜厚は片側当たり70μmとした。
【0051】負極12は、負極活物質として黒鉛化メソ
カーボンマイクロビーズ(MCMB)を用いて形成し
た。まず、活物質であるMCMB90重量部に、結着剤
としてポリフッ化ビニリデンを10重量部混合し、溶剤
としてN−メチル−2−ピロリドンを添加して、混練し
てペースト状の負極合材を調整した。次に、この負極合
材を厚さ10μmの銅箔集電体の両面に塗布し、乾燥
し、ロールプレスを施してシート状の負極12とした。
負極12の大きさは128mm×3200mmで、負極
合材の乾燥プレス後の塗膜厚は片側当たり75μmとし
た。
【0052】上記正極11および負極12を、その間に
厚さ25μm、幅132mmのポリエチレン製のセパレ
ータ13を挟装して倦回し、ロール状の電極体10とし
た。電極体10をSUS304製の円筒状の電池ケース
20に挿設し、非水電解液を電解液注入口25より50
cc注入し、電池ケース20を密閉して電池を形成し
た。非水電解液は、エチレンカーボネートとジエチルカ
ーボネートとを体積比3:7に混合した混合溶媒にLi
PF6を1Mの濃度で溶解したものを用いた。なお、電
池ケース20の外装缶21は、板厚0.3mm、外径3
3mm、長さ150mmとし、正極側蓋板22、負極側
蓋板23は、板厚が0.5mmであり、外装缶21の内
径に略等しい外径の円盤形状を成している。
【0053】(b)エージング処理 形成した二次電池を、各々10個ずつ、3つのグループ
(#1〜#3)に分けてエージングを行った。エージン
グは、各グループの電池を20℃の恒温槽に入れ、所定
の時間保存することにより行った。
【0054】#1グループの電池は、エージング時間を
すべて10時間とした。これは、予備的に、形成した電
池を用いて端子間電圧の経時変化をモニターしながらエ
ージングを行った結果、端子間電圧が安定するまでの時
間が10時間であったため、その時間をエージング時間
として一律に採用したものである。#2グループの電池
は、個々の電池について端子間電圧を電圧計でモニター
しながらエージングを行い、|dV/dt|≦5(mV
/hr)となった時点でそれぞれエージングを終了し
た。#3グループの電池はエージング時間を一律に72
時間とした。
【0055】(c)コンディショニング処理 上記所定のエージング時間経過後、#1〜#3の各グル
ープの電池についてコンディショニング処理を行った。
充放電は25℃の温度下で行い、まず、電流密度0.2
5mA/cm2の定電流で電池電圧4.2Vまで充電を
行い、さらにその電池電圧で定電圧充電を行い(充電合
計時間6時間)、次いで、電流密度1mA/cm2の定
電流で電池電圧3.0Vまで放電を行うものを1サイク
ルとして、合計4サイクル行った。そして4回目のサイ
クルの放電容量をもって、この容量をそれぞれのリチウ
ム二次電池の初期放電容量とした。
【0056】(2)電池特性の評価 作製した上記#1〜#3グループの各電池を、保存温度
25℃の恒温槽に1ヶ月間保存し、保存後の放電容量を
測定した。そして、式[(1−放電容量/初期放電容
量)×100](%)を用いて、自己放電率を計算し
た。各グループの自己放電率を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】表1から明らかなように、#1および#2
グループの電池は自己放電率が小さく、自己放電率が5
0%以上である不良電池の発生は認められなかった。一
方、#3グループの電池は、自己放電率が大きく、自己
放電率が50%以上である不良電池は10個中2個認め
られた。したがって、端子間電圧、すなわち負極電位を
モニターしながらエージングを行うエージング処理工程
を含む本発明のリチウム二次電池の製造方法によれば、
自己放電量の小さい二次電池を製造することができるこ
とが確認できた。
【0059】〈実験2〉 (1)リチウム二次電池の作製 (a)電池の形成 本実験2では、参照極を挿入できる構造の二次電池を複
数個作製した。正極は、正極活物質としてLiNi0.8
Co0.15Al0.052を用いて形成した。まず、活物質
であるLiNi0.8Co0.15Al0.05285重量部に、
導電材としてカーボンブラックを10重量部、および結
着剤としてポリフッ化ビニリデンを5重量部混合し、溶
剤としてN−メチル−2−ピロリドンを添加して、混練
してペースト状の正極合材を調整した。次に、この正極
合材を厚さ15μmのアルミニウム箔集電体の両面に塗
布し、乾燥し、ロールプレスを施してシート状の正極と
した。正極の大きさは77mm×3750mmで、正極
合材の乾燥プレス後の塗膜厚は片側当たり52μmとし
た。
【0060】負極は、負極活物質として天然黒鉛を用い
て形成した。まず、活物質である天然黒鉛92.5重量
部に、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを7.5重量
部混合し、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを添
加して、混練してペースト状の負極合材を調整した。次
に、この負極合材を厚さ10μmの銅箔集電体の両面に
塗布し、乾燥し、ロールプレスを施してシート状の負極
とした。負極の大きさは81mm×4650mmで、負
極合材の乾燥プレス後の塗膜厚は片側当たり58μmと
した。
【0061】上記正極および負極を、その間に厚さ25
μm、幅85mmのポリエチレン製のセパレータを挟装
して倦回し、ロール状の電極体とした。なお、参照極に
は金属Li片を用いた。電極体および参照極を、外径3
5mm、長さ12mmのガラスセルに挿設し、非水電解
液を40cc注入し、密閉して電池を形成した。非水電
解液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート
とを体積比3:7に混合した混合溶媒にLiPF6を1
Mの濃度で溶解したものを用いた。
【0062】(b)エージング処理 形成した二次電池を2つのグループに分けて、一方を2
5℃の恒温槽に入れ、他方を60℃の恒温槽に入れて、
負極電位の経時変化をそれぞれモニターしながらエージ
ングを開始した。
【0063】図3に、25℃の恒温槽に入れてエージン
グを行った電池の負極電位および端子間電圧の経時変化
の一例を示す。また、図4に、60℃の恒温槽に入れて
エージングを行った電池の負極電位および端子間電圧の
経時変化の一例を示す。図3および図4から、負極電位
の経時変化と端子間電圧の経時変化とは略対称的な挙動
を示すことがわかり、負極電位の経時変化は端子間電圧
の経時変化に反映されることが確認できる。また、高温
下でエージングを行うほど、負極電位の上昇、は速いこ
とも確認できる。
【0064】上記各恒温槽における電池を、さらに2つ
のグループに分け、それぞれエージング時間を変えてエ
ージングを行った。すなわち、図3において、負極電位
に着目した場合、負極電位の変曲点近傍(図中A)でエ
ージングを終了させた電池を#4グループの電池とし、
また、負極電位の安定領域(図中B)でエージングを終
了させた電池を#5グループの電池とした。同様に、図
4において、負極電位の変曲点近傍(図中C)でエージ
ングを終了させた電池を#6グループの電池とし、ま
た、負極電位の安定領域(図中D)でエージングを終了
させた電池を#7グループの電池とした。
【0065】(c)コンディショニング処理 上記所定のエージング時間経過後、#4〜#7の各グル
ープの電池についてコンディショニング処理を行った。
充放電は25℃の温度下で行い、まず、電流密度0.2
5mA/cm2の定電流で電池電圧4.2Vまで充電を
行い、さらにその電池電圧で定電圧充電を行い(充電合
計時間6時間)、次いで、電流密度1mA/cm2の定
電流で電池電圧3.0Vまで放電を行うものを1サイク
ルとして、合計4サイクル行った。そして4回目のサイ
クルの放電容量をもって、この容量をそれぞれのリチウ
ム二次電池の初期放電容量とした。
【0066】(2)電池特性の評価 作製した上記#4〜#7グループの各電池を、実験1と
同様に、保存温度25℃の恒温槽に1ヶ月間保存して、
保存後の放電容量を測定し、その保存後の放電容量と初
期放電容量の値から自己放電率を計算した。そして、自
己放電率が50%以上である電池を不良電池としてその
発生割合を調査した。
【0067】また、保存後の内部抵抗を測定した。以下
に内部抵抗の測定方法を説明する。各グループの電池
を、その容量の50%まで充電した状態(SOC50
%)で、0.1Cで10秒間放電させ、10秒目の電圧
を測定した。次いで0.3Cで10秒間、1Cで10秒
間、3Cで10秒間、10Cで10秒間放電させ、各1
0秒目の電圧を測定した。同様の手順で充電も行い、各
10秒目の電圧を測定した。そして、電圧の電流依存性
を求め、電流−電圧直線の勾配を内部抵抗とした。な
お、1Cは、電池を1時間で放電するために必要な電流
である。各グループの不良電池の発生割合および内部抵
抗の平均値を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】表2から明らかなように、負極電位の変曲
点近傍でエージングを終了した#4および#6グループ
の電池では、自己放電率が50%以上である不良電池の
発生は認められなかった。一方、負極電位の安定領域で
エージングを終了した#5および#7グループの電池で
は、不良電池がそれぞれ10個中4個認められた。ま
た、内部抵抗の値も、#4および#6グループの電池
は、#5および#7グループの電池と比較して小さい値
となっており、そのばらつきも小さい。
【0070】したがって、負極電位の経時変化をモニタ
ーしながらエージングを行い、負極電位の変曲点近傍で
エージングを終了した電池は、自己放電量が小さく、か
つ内部抵抗も小さい電池であることが確認できた。
【0071】
【発明の効果】本発明のエージング処理方法によれば、
電極にダメージを与えることなく、個々の電池の最適な
エージング処理時間を簡単に決定することができる。ま
た、そのエージング処理方法を含んで構成される本発明
のリチウム二次電池の製造方法によれば、自己放電量の
小さい、かつ内部抵抗の増加が抑制されたリチウム二次
電池を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エージング処理における負極電位の経時変化
を示す。
【図2】 本発明のエージング処理方法が適用できる電
池の一例である円筒型のリチウム二次電池の断面を示
す。
【図3】 25℃下でエージングを行った電池の負極電
位および端子間電圧の経時変化を示す。
【図4】 60℃下でエージングを行った電池の負極電
位および端子間電圧の経時変化を示す。
【符号の説明】
1:円筒型リチウム二次電池(密閉型電池) 10:電極体 11:正極 12:負極 13:セパレータ 20:電池ケース 21:外装缶 22:正極側蓋板 23:負極側蓋板 30:正極端子 40:負極端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐伯 徹 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 伊藤 明生 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 5H029 AJ04 AJ06 AJ14 AK03 AK18 AL06 AL07 AM03 AM04 AM05 AM07 BJ02 BJ14 BJ27 CJ16 CJ28 HJ18 5H030 AA01 AA09 AS08 AS11 BB01 FF41

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムを吸蔵・脱離可能な物質を正極
    活物質とする正極および負極活物質を含む負極合材が銅
    製集電体の表面に層状に形成されてなる負極を備えてな
    る電極体と、リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解
    液とを電池ケースに収納して形成されるリチウム二次電
    池に対し、 電池形成後、充放電を行うことにより電池を実使用可能
    な状態に調整するコンディショニング処理の直前までの
    間、前記電極体に前記非水電解液を浸潤させるために行
    うエージング処理方法であって、 負極電位Vの経時変化をモニターしながらエージングを
    行うリチウム二次電池のエージング処理方法。
  2. 【請求項2】 前記負極電位Vの経時変化が|dV/d
    t|≦10(mV/hr)となった時に前記エージング
    を終了する請求項1に記載のリチウム二次電池のエージ
    ング処理方法。
  3. 【請求項3】 リチウムを吸蔵・脱離可能な物質を正極
    活物質とする正極および負極活物質を含む負極合材が銅
    製集電体の表面に層状に形成されてなる負極を備えてな
    る電極体と、リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解
    液とを電池ケースに収納して形成されるリチウム二次電
    池の製造方法であって、 前記電極体を前記非水電解液とともに前記電池ケースに
    収納して電池を形成する電池形成工程と、 負極電位Vの経時変化をモニターしながら前記電極体に
    前記非水電解液を浸潤させて形成した前記電池のエージ
    ングを行うエージング処理工程と、 エージング処理直後の前記電池に対し充放電を行うこと
    により電池を実使用可能な状態に調整するコンディショ
    ニング処理工程と、 を含んで構成されるリチウム二次電池の製造方法。
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