JP2002295517A - クラッチの制御装置 - Google Patents

クラッチの制御装置

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JP2002295517A
JP2002295517A JP2001097110A JP2001097110A JP2002295517A JP 2002295517 A JP2002295517 A JP 2002295517A JP 2001097110 A JP2001097110 A JP 2001097110A JP 2001097110 A JP2001097110 A JP 2001097110A JP 2002295517 A JP2002295517 A JP 2002295517A
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clutch
diaphragm spring
pinion
pressure plate
axial direction
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JP2001097110A
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Naoyuki Maki
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Aisin Corp
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Aisin Seiki Co Ltd
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  • Mechanical Operated Clutches (AREA)
  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラッチフェーシングの摩耗を精度良く補償
することが可能なクラッチの制御装置を提供すること。 【解決手段】 フライホイール21とクラッチディスク
23との係合状態を変化させる車両用クラッチの制御装
置において、調整機構が、テーパ面81aを有するテー
パ部81と、ウェッジ側テーパ面82aを有するアジャ
ストウェッジ部材82と、プレッシャプレート24がク
ラッチカバー22に近づく方向への軸方向距離を規制す
るストッパ部82cと、第1ラック歯83aと第2ラッ
ク歯83bとを形成するアジャストラック83と、第1
ラック歯と噛合する第1ピニオン歯85aと第2ラック
歯と噛合する第2ピニオン歯85bを有するアジャスト
ピニオン85と、ダイアフラムスプリング25の外周端
部の軸方向の作動に追従してアジャストピニオン85を
軸方向に作動させるようにアジャストピニオン85を保
持する保持部材86とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関等の動力
源と変速機との間のトルク伝達を行なわせる車両用クラ
ッチの制御装置に関するものであり、特に、クラッチフ
ェーシングの摩耗による影響を可及的に少なくする摩耗
調整等を行なうクラッチの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種のクラッチの制御装置に
おいては、クラッチフェーシング(クラッチディスク)
の摩耗に伴ってダイアフラムスプリングの姿勢が変化す
るため、クラッチフェーシングが摩耗すると、クラッチ
を非係合状態とするのに必要な操作力、即ちクラッチカ
バーにかかる荷重が増大する。このため、例えば特開平
5−215150号公報に開示される装置では、クラッ
チの操作時におけるクラッチカバーにかかる荷重(クラ
ッチカバーに保持されるダイアフラムスプリングに対す
る荷重)に応じてダイアフラムスプリングの支点の高さ
を変更し、これによりダイアフラムスプリングの姿勢を
修正し、クラッチフェーシングの摩耗に伴うクラッチの
荷重特性の変化を補償するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術においては、車両の運転に伴う振動等によりク
ラッチカバーが共振し、クラッチカバーにかかる荷重が
変動することがあるため、クラッチフェーシングの摩耗
を精度良く補償できないという問題がある。
【0004】そこで本発明は、上記問題点を解決すべ
く、クラッチフェーシングの摩耗を精度良く補償するこ
とが可能なクラッチの制御装置を提供することを技術的
課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、駆動源の出力軸と一体的に回転するフライ
ホイールに対向するクラッチディスクをプレッシャプレ
ートとダイアフラムスプリングとを介して進退させ、ク
ラッチディスクの係合状態を変化させるための力をダイ
アフラムスプリングに付与するアクチュエータと、フラ
イホイールに固定されてクラッチディスクの係合状態が
変化するときのダイアフラムスプリングの作動支点を形
成するクラッチカバーと、プレッシャプレートとダイア
フラムスプリングとの間に配設されてプレッシャプレー
トとダイアフラムスプリングの間の力の伝達経路を形成
するとともにダイアフラムスプリングとプレッシャプレ
ートの軸方向の距離を変更し得るように構成された調整
機構と、アクチュエータの作動を制御する制御手段と、
を備えてフライホイールとクラッチディスクとの係合状
態を変化させる車両用クラッチの制御装置において、調
整機構は、クラッチカバーの内周側にてプレッシャプレ
ートに形成されてプレッシャプレートからダイアフラム
スプリングに向かうテーパ面を有するテーパ部と、クラ
ッチカバーの内周側にてテーパ部とダイアフラムスプリ
ングとの間に相対回転可能に配設され、テーパ面と当接
するウェッジ側テーパ面を有するアジャストウェッジ部
材と、プレッシャプレート或いはアジャストウェッジ部
材に形成されてプレッシャプレートがクラッチカバーに
近づく方向への軸方向距離を規制するストッパ部と、ア
ジャストウェッジ部材の外周面に固定され、軸方向の一
方に向かう第1ラック歯と軸方向の他方に向かうととも
に前記第1ラック歯と位相の異なる第2ラック歯とを形
成するアジャストラックと、プレッシャプレートの周方
向に関して移動不能且つ軸方向に関して移動可能に前記
プレッシャプレートとダイアフラムスプリングとの間に
配設され、アジャストラックの第1ラック歯と噛合可能
な第1ピニオン歯と第2ラック歯と噛合可能な第2ピニ
オン歯を有するアジャストピニオンと、ダイアフラムス
プリングの外周端部の軸方向の作動に追従してアジャス
トピニオンを軸方向に作動させるべくアジャストピニオ
ンをダイアフラムスプリングの外周端部に保持する保持
部材とを備え、制御手段は、所定の条件が成立していな
い場合には、ストッパ部がクラッチカバーに当接しない
範囲内でダイアフラムスプリングに力を付与してプレッ
シャプレートを進退させるようにアクチュエータの作動
を制御し、所定の条件が成立した場合には、ストッパ部
がクラッチカバーに当接してからもダイアフラムスプリ
ングに力を付与してアジャストピニオンをアジャストウ
ェッジ部材に対して軸方向に移動させて第1ラック歯と
第1ピニオン歯との噛合を解除するとともに第2ラック
歯と第2ピニオン歯とを噛合することで、ダイアフラム
スプリングとプレッシャプレートとの軸方向の距離を変
更するようにアクチュエータの作動を制御するクラッチ
の制御装置とした。
【0006】これによれば、所定の条件が成立した場合
にのみ、調整機構がダイアフラムスプリングとプレッシ
ャプレートとの距離を変更するので、所定の条件を例え
ばクラッチが共振する可能性の少ない運転条件とするこ
とにより、クラッチの摩耗を精度良く補償することが可
能となる。
【0007】更に本発明によると、調整機構は、保持部
材にてアジャストピニオンをダイアフラムスプリングの
外周端部に保持するようにしたので、所定の条件が成立
して調整機構がダイアフラムスプリングとプレッシャプ
レートとの距離を変更する際には、ストッパ部がクラッ
チカバーに当接してからもダイアフラムスプリングの外
周端部の軸方向の作動に追従して確実にアジャストピニ
オンが作動する。従って、アジャストピニオンの第1ピ
ニオン歯とアジャストラックの第1ラック歯との噛合が
確実に解除されるとともに、第2ピニオン歯と第2ラッ
ク歯とが確実に噛合する。このように、保持部材によっ
てアジャストピニオンを強制的に軸方向に作動させ得る
ようにしたので、各構成が錆付いたり各構成間の摺動抵
抗が大きくなる場合であっても、アクチュエータの作動
に伴って確実にアジャストピニオンが軸方向に作動され
て、精度良くクラッチの摩耗を補償することが可能にな
る。
【0008】また、上記クラッチの制御装置は、前記調
整機構の保持部材が、前記アジャストピニオンの外周側
側面に固定される固定部と、固定部から前記クラッチカ
バー側に延在するとともクラッチディスクの内周側に向
かって湾曲する湾曲部とを有し、前記アジャストピニオ
ンの前記クラッチカバー側端面と前記湾曲部との間で前
記ダイアフラムスプリングの外周端部を保持するように
することが好適である。
【0009】これによれば、ダイアフラムスプリングの
外周端部の保持を容易に行なうことができる。更に、湾
曲部とアジャストピニオンの端面との間でダイアフラム
スプリングを保持しているので、クラッチカバーに形成
される作動支点を支点としてダイアフラムスプリングが
作動する際に、ダイアフラムスプリングの作動はアジャ
ストピニオンの軸方向への作動以外には干渉しないの
で、好適である。
【0010】更に、調整機構の保持部材が、軸方向に関
して弾性を奏するとともにアジャストピニオンのダイア
フラムスプリング外周端部側に延在する挟持部を備え、
挟持部と湾曲部との間でダイアフラムスプリングの外周
端部を保持するようにすると、ダイアフラムスプシング
の姿勢の変化にかかわらず湾曲部と挟持部との間で隙間
なくダイアフラムスプリングの外周端部を保持すること
ができるので、アジャストピニオンをダイアフラムに確
実に追従させることができる。特に、ストッパ部がクラ
ッチカバーに当接するまでの範囲内で、第1ラック歯と
第1ピニオン歯との噛合状態を維持することができ、ク
ラッチの摩耗を精度良く補償することができる。
【0011】また、プレッシャプレートが、その端面か
らダイアフラムスプリング側に向かう軸方向に突出する
ピンと外周側の端面に軸方向に貫通する貫通穴とを有
し、アジャストピニオンが、ピンに貫通する貫通部と貫
通穴を貫通する凸部とを一体的に備えるようにすると、
プレッシャプレートに対するアジャストピニオンの回転
が規制される。これにより、アジャストピニオンはプレ
ッシャプレートに対して回転することがなくなって、ラ
ック歯とピニオン歯とを噛合させたり噛合を解除させた
りする際に、アジャストピニオンが回転方向への不要な
動作を行なうことがないので、更にクラッチの摩耗を精
度良く補償することができ、好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明のクラッチの制御装
置の実施の形態について、図を参照して説明する。図1
に概略的に示されたクラッチの制御装置は、駆動源であ
るエンジン10と変速機11との間に配設される摩擦ク
ラッチ20の係合・非係合を制御するものであり、エン
ジン10の出力軸と一体的に回転するフライホイール2
1に対向するクラッチディスク23をプレッシャプレー
ト24とダイアフラムスプリング25とを介して進退さ
せ、クラッチディスク23の係合状態を変化させるため
の力をダイアフラムスプリング25に付与するアクチュ
エータ30と、フライホイール21に固定されるクラッ
チカバー22と、アクチュエータ30に駆動指令信号を
出力してアクチュエータ30の作動を制御する制御手段
であるクラッチ制御回路40と、プレッシャプレート2
4とダイアフラムスプリング25の間の力の伝達経路を
形成するとともにダイアフラムスプリング25とプレッ
シャプレート24の軸方向の距離を変更し得る調整機構
と、を含んで構成されている。
【0013】摩擦クラッチ20は、図2にその詳細を示
したように、フライホイール21、クラッチカバー2
2、クラッチディスク23、プレッシャプレート24、
ダイアフラムスプリング25、レリーズベアリング2
6、レリーズフォーク27、変速機ケース11aに固定
されたピボット支持部材28、及びアジャストウェッジ
部材82を主たる構成要素として備えている。尚、プレ
ッシャプレート24及びダイアフラムスプリング25等
はクラッチカバー22に一体的に組付けられるため、こ
れらをクラッチカバー組立体と称する。
【0014】フライホイール21は円板状を呈してお
り、エンジン10のクランクシャフト(駆動源の出力
軸)10aにボルト固定されていて、クランクシャフト
10aと一体回転する。
【0015】クラッチカバー22は、略円筒形状であっ
て、円筒部22aと、円筒部22aの内周側に形成され
たフランジ部22bと、円筒部22aの内周縁に周方向
に等間隔で形成された複数の支点形成部22cとを含ん
でなり、円筒部22aの外周部にてフライホイール21
にボルト固定されてフライホイール21と一体回転す
る。
【0016】クラッチディスク23は、エンジン10の
動力を変速機11に伝達する摩擦板であって、フライホ
イール21とプレッシャプレート24との間に配設さ
れ、中央部にて変速機11の入力軸とスプライン結合さ
れることにより軸方向に移動できるようになっている。
また、クラッチディスク23の外周部の両面には、摩擦
材からなるクラッチフェーシング23a、23bがリベ
ットにて固定されている。
【0017】プレッシャプレート24は、クラッチディ
スク23をフライホイール21側に押圧してフライホイ
ール21との間に挟み込み、クラッチディスク23をフ
ライホイール21と摩擦係合させて一体的に回転させる
ものである。このプレッシャプレート24は、クラッチ
カバー22の回転に伴って回転するように、ストラップ
24aによりクラッチカバー22と連結されている。
【0018】ストラップ24aは、積層された複数枚の
薄い板バネ材から構成されていて、図3にも示したよう
に、その一端がリベットR1にてクラッチカバー22の
外周部に固定されるとともに、他端がリベットR2にて
プレッシャプレート24の外周部に設けられた突起に固
定されている。これにより、ストラップ24aは、プレ
ッシャプレート24がフライホイール21から離間し得
るように、プレッシャプレート24に対して軸方向の付
勢力を付与している。
【0019】図2に示したように、プレッシャプレート
24の最外周部には、ダイアフラムスプリング25側に
向けてガイド部24cが立設されている。ガイド部24
cの内周側には、図7に示したように、鋸歯状のテーパ
面81aを有するテーパ部81がダイアフラムスプリン
グ25に向けて立設されるようにプレッシャプレート2
4に固定されている。
【0020】ダイアフラムスプリング25は、図3にも
示したように、クラッチカバー22の円筒部22aの内
周に沿って放射状に配置された12本の弾発性の板材2
5a(以下、レバー部材25aと称す)から構成されて
いる。各レバー部材25aは、図2に示したように、ク
ラッチカバー22の支点形成部22cに、各レバー部材
25aの軸方向両側に配置された一対のリング状の支点
部材25b、25cを介して挟持される。これにより、
レバー部材25aは、クラッチカバー22に対し支点部
材25b、25cを作動支点としたピボット運動をする
ことができる。
【0021】調整機構について説明する。上述したよう
にプレッシャプレート24の外周部にリング状のテーパ
部81が固定されていて、これにより、テーパ部81が
有する鋸歯状の複数のテーパ面81aがダイアフラムス
プリング25に向けて形成される。また、テーパ面81
aとダイアフラムスプリング25の外周部との間には、
アジャストウェッジ部材82が配設されている。このア
ジャストウェッジ部材82は、リング状の部材であっ
て、テーパ面81aと同一形状のウェッジ側テーパ面8
2aを有していて、ウェッジ側テーパ面82aとテーパ
面81aとは、図7に示すように互いに当接している。
また、アジャストウェッジ部材82のダイアフラムスプ
リング25側の端面には、クラッチカバー22側に向け
て突出するストッパ部82cが複数形成されている。こ
のストッパ部82cによりプレッシャプレート24がク
ラッチカバー22に近づく方向への軸方向距離が規制さ
れる。尚、アジャストウェッジ部材82のストッパ部8
2c以外のダイアフラムスプリング25側端面は平坦と
されている。
【0022】特に図7に示したように、アジャストウェ
ッジ部材82のダイアフラムスプリング25側の適宜の
位置には切り欠き82bが設けられ、プレッシャプレー
ト24に固定されたテーパ部81の適宜の位置には係止
部81bが設けられていて、切り欠き82bと係止部8
1bの各々には、引張されたコイルスプリングCSの各
端部が係止されている。これにより、プレッシャプレー
ト24(テーパ部81)とアジャストウェッジ部材82
は、テーパ面81aの各頂部とウェッジ側テーパ面82
aの各頂部が近づく方向に相対回転するように付勢され
ている。
【0023】図4〜図6及び図9に示したように、アジ
ャストウェッジ部材82の外周面には、リベット83c
にてアジャストラック83が固定されている。このアジ
ャストラック83には、プレッシャプレート24からダ
イアフラムスプリング25への軸方向に向けて起立する
第1ラック歯83aと、ダイアフラムスプリング25か
らプレッシャプレート24への軸方向に向けて起立する
とともに第1ラック歯83aと半ピッチだけ位相の異な
る(ずれた)第2ラック歯83bとが形成されている。
第1ラック歯83aと第2ラック歯83bとは、鋸歯形
状(又は等間隔に配置される三角形状)を呈している。
【0024】プレッシャプレート24の外周部における
アジャストラック83の外周面側には、プレッシャプレ
ート24の周方向に関して移動不能且つ軸方向に関して
移動可能なアジャストピニオン85が配設されている。
つまり、図4〜図6及び図9に示すように、アジャスト
ピニオン85は、プレッシャプレート24の外周部側の
端面からダイアフラムスプリング25側へ向かう軸方向
に突出するピン24dが貫通する貫通部85cと、同じ
くプレッシャプレート24の外周部に形成される軸方向
の貫通穴24eを貫通する凸部85dとを一体的に備え
ることで、プレッシャプレート24に対する軸方向への
移動のみを許容し、周方向への移動が許容されないよう
に構成されている。また、プレッシャプレート24に対
するアジャストピニオン85の回転が規制されるので、
アジャストピニオン85のプレッシャプレート24に対
する余分な動作が抑えられる。このアジャストピニオン
85は、ダイアフラムスプリング25からプレッシャプ
レート24への軸方向に向けて起立してアジャストラッ
ク83の第1ラック歯83aと噛合可能な第1ピニオン
歯85aと、プレッシャプレート24からダイアフラム
スプリング25への軸方向に向けて起立して第2ラック
歯83bと噛合可能な第2ピニオン歯85bが一体的に
形成されている。尚、第1ピニオン歯85aと第2ピニ
オン歯85bとの軸方向間隔は、第1ラック歯83aと
第2ラック歯83bの軸方向長さよりも若干長く設定さ
れており、第1ピニオン歯85aと第2ピニオン歯85
bの歯面は、第1ラック歯83aと第2ラック歯83b
に対応する鋸歯形状を呈している。
【0025】アジャストピニオン85には、ダイアフラ
ムスプリングの外周端部の軸方向の作動に追従してアジ
ャストピニオン85を軸方向に作動させるようにアジャ
ストピニオン85をダイアフラムスプリングの外周端部
に保持する保持部材86が取り付けられている。この保
持部材86は、スクリュネジ86dにてアジャストピニ
オン85の外周側面に固定される固定部86aと、固定
部86aからクラッチカバー側に延在するとともクラッ
チディスクの内周側に向かって湾曲する湾曲部86bと
を有する所謂リトラクトスプリングにて構成されてお
り、アジャストピニオン85のクラッチカバー側端面と
湾曲部86bとの間でダイアフラムスプリングの外周端
部が保持されている。更に、保持部材86には、アジャ
ストピニオン85のダイアフラムスプリング25外周端
部側に挟持部86cが延在している。この挟持部86c
は、軸方向に関して弾性力を備えた状態で保持部材86
と一体的に形成されており、湾曲部86bと挟持部86
cとの間でダイアフラムスプリングの外周端部を挟持し
ている。
【0026】レリーズベアリング26は、変速機11の
入力軸の外周を包囲するように変速機ケース11aに支
持された支持スリーブ11bに対して摺動可能に支持さ
れていて、レバー部材25aの内端部(ダイアフラムス
プリング25の中央側)をフライホイール21側に押動
するための力点部26aを構成している。
【0027】レリーズフォーク(フォーク部材)27
は、アクチュエータ30の作動に応じてレリーズベアリ
ング26を軸方向に摺動させるためのものであって、一
端がレリーズベアリング26と当接し、他端がアクチュ
エータ30のロッド31の先端部と当接部27aにて当
接している。また、レリーズフォーク27は、変速機ケ
ース11aに固定されたスプリング27cによりピボッ
ト支持部材28に組付けられていて、レリーズフォーク
27の略中央部27bにてピボット支持部材28を支点
として揺動するように構成されている。
【0028】アクチュエータ30は、前述したロッド3
1を進退移動させるためのものであって、直流電動モー
タ32と、電動モータ32を支持するとともに車両の適
宜箇所に固定されたハウジング33とを備えている。ハ
ウジング33内には、電動モータ32により回転駆動さ
れる回転軸34と、側面視にて扇形を呈しハウジング3
3内に揺動可能に支持されたセクタギア35と、アシス
トスプリング36とが収容されている。
【0029】回転軸34にはウォームが形成され、セク
タギア35の円弧部と噛合している。また、ロッド31
の基端部(レリーズフォーク27と当接している先端部
と反対側の端部)は、セクタギア35に回動可能に支持
されている。これらにより、電動モータ32が回転する
とセクタギア35が回転し、ロッド31がハウジング3
3に対して進退運動するようになっている。
【0030】アシストスプリング36は、セクタギア3
5の揺動範囲内において圧縮されている。アシストスプ
リング36の一端はハウジング33の後端部に係止さ
れ、他端はセクタギア35に係止されている。これによ
り、アイシストスプリング36は、セクタギア35が図
2において時計周りに所定角度以上回転すると、セクタ
ギア35を時計周りの方向に付勢し、これにより、ロッ
ド31を図2において右方向へ付勢して電動モータ32
によるロッド31の右方向への移動を補助している。
【0031】再び図1を参照すると、クラッチ制御回路
40は、マイクロコンピュータ(CPU)41、インタ
ーフェース42〜44、電源回路45、及び駆動回路4
6等から構成されている。CPU41は、後述するプロ
グラム及びマップ等を記憶したROM及びRAMを内蔵
している。
【0032】インターフェース42は、バスを介してC
PU41に接続されるとともに、変速機10のシフトレ
バー(図示せず)が運転者にて操作されたときに生じる
荷重(シフトレバー荷重)を検出するシフトレバー荷重
センサ51、車速Vを検出する車速センサ52、変速機
10の実際の変速段を検出するギア位置センサ53、変
速機11の入力軸11aの回転数を検出する変速機入力
軸回転数センサ54、及びアクチュエータ30に固定さ
れセクタギア35の揺動角度を検出することによりロッ
ド31のストロークSTを検出するストロークセンサ3
7と接続されていて、CPU41に対し各センサの検出
信号を供給するようになっている。
【0033】インターフェース43は、バスを介してC
PU41に接続されるとともに、エンジン制御装置60
と双方向の通信が可能となるように接続されている。こ
れにより、クラッチ制御回路40のCPU41は、エン
ジン制御装置60が入力しているスロットル開度センサ
55及びエンジン回転数センサ56の情報を取得し得る
ようになっている。
【0034】インターフェース44は、バスを介してC
PU41に接続されるとともに、電源回路45のOR回
路45aの入力端子と駆動回路46とに接続されてい
て、CPU41からの指令に基づきこれらに所定の信号
を送出するようになっている。
【0035】電源回路45は、OR回路45aと、OR
回路45aの出力端がベースに接続されたパワートラン
ジスタTrと、定電圧回路45bとを備えている。パワ
ートランジスタTrのコレクタは車両に搭載されたバッ
テリ70のプラス端子と接続され、エミッタは定電圧回
路45bと駆動回路46とに接続されていて、パワート
ランジスタTrがオン状態とされたとき、それぞれに電
源を供給するようになっている。定電圧回路45bは、
バッテリ電圧を所定の一定電圧(5V)に変換するもの
で、CPU41、及びインターフェース42〜44に接
続されていて、各々に電源を供給するようになってい
る。OR回路45aの他の入力端子には、運転者により
オン状態及びオフ状態に操作されるイグニッションスイ
ッチ71の一端が接続されている。このイグニッション
スイッチ71の他端はバッテリ70のプラス端子に接続
されている。また、イグニッションスイッチ71の一端
はインターフェース42にも接続されていて、CPU4
1はイグニッションスイッチ71の状態を検出し得るよ
うになっている。
【0036】駆動回路46は、インターフェース44か
らの指令信号によりオン又はオフする4個のスイッチン
グ素子(図示省略)を内蔵している。これらのスイッチ
ング素子は、周知のブリッジ回路を構成し、選択的に導
通状態とされるとともに導通時間が制御され、電動モー
タ32に所定方向及び所定方向と逆方向の任意の大きさ
の電流を供給するようになっている。
【0037】エンジン制御装置60は、図示しないマイ
クロコンピュータを主要件として構成され、エンジン1
0の燃料噴射量及び点火時期等を制御するものであり、
前述したようにエンジン10のスロットル開度TAを検
出するスロットル開度センサ55と、エンジン10の回
転数NEを検出するエンジン回転数センサ56等と接続
され、それぞれのセンサからの信号を入力・処理するよ
うになっている。
【0038】上記のように構成されたクラッチの制御装
置においては、運転者によるクラッチペダル操作に代わ
り、アクチュエータ30がクラッチの断接操作(係合・
非係合の操作)を自動的に行なう。即ち、断接操作は、
CPU41が、例えば(1)車両が走行している状態か
ら停止する状態に移行していることを検出した場合(変
速機入力軸回転数が所定値以下に低下した場合)、
(2)シフトレバー荷重センサ51の検出する荷重が所
定値以上となったことを検出した場合(ドライバーの変
速意志が確認された場合)、(3)車両が停止している
状態において、アクセルペダルが踏込まれたことを検出
した場合等において実行される。
【0039】このクラッチの制御装置において、クラッ
チ20を係合状態とし、エンジン10の動力を変速機1
1に伝達する場合の作動について説明すると、先ず、ク
ラッチ制御回路40からの指令信号により駆動回路46
が電動モータ32に所定の電流を流し、電動モータ32
を回転駆動する。これにより、セクタギア35が図2に
おいて反時計周り方向に回転し、ロッド31が左方向に
移動する。
【0040】一方、レリーズベアリング26は、ダイア
フラムスプリング25により、フライホイール21から
離間する方向(図2の右方向)に力を受けている。この
力は、レリーズベアリング26を介してレリーズフォー
ク27に伝達されるため、レリーズフォーク27は、ピ
ボット支持部材28を支点として図2において反時計周
り方向に揺動する力を受けている。従って、ロッド31
が図2において左方向に移動すると、レリーズフォーク
27は反時計周り方向に揺動するとともにダイアフラム
スプリング25の中央部はフライホイール21から離間
する方向に変位する。
【0041】このとき、ダイアフラムスプリング25は
支点部材25b、25cを中心として揺動(姿勢変化)
し、ダイアフラムスプリング25の外周部と当接するア
ジャストウェッジ部材82をフライホイール側に押動す
る。この結果、プレッシャプレート24はテーパ部81
を介してフライホイール21側へ向かう力を受け、クラ
ッチディスク23をフライホイール21との間で挟み込
む。これにより、クラッチディスク23がフライホイー
ル21と摩擦係合して一体的に回転するようになり、変
速機11にエンジン10の動力が伝達される。
【0042】この通常運転時のクラッチ係合状態におい
ては、図4及び図10(A)に示したように、ダイアフ
ラムスプリング25の外周端部が保持部材86の挟持部
86cを介してアジャストピニオン85をプレッシャプ
レート24側に押圧することによって、アジャストピニ
オン85の第1ピニオン歯85aとアジャストラック8
3の第1ラック歯83aとの噛合状態は維持され、アジ
ャストウェッジ部材82はプレッシャプレート24に対
し相対回転しない。
【0043】次に、クラッチを非係合状態とし、エンジ
ン10の動力を変速機11に伝達しない状態とする場合
について説明する。この場合には、電動モータ32を回
転駆動してセクタギア35を図2において時計周りに回
転させる。これによりロッド31が図2において右方向
に移動し、レリーズフォーク27に対して当接部27a
にて右方向の力を与えるため、レリーズフォーク27は
ピボット支持部材28を支点として図2において時計周
りに回動し、レリーズベアリング26をフライホイール
21側に押動する。
【0044】このため、ダイアフラムスプリング25は
力点部26aにてフライホイール21に向かう力を受
け、支点部材25b、25cを中心に揺動(姿勢変化)
するため、ダイアフラムスプリング25の外周端部はフ
ライホイール21から離間する方向に移動し、アジャス
トウェッジ部材82を介してプレッシャプレート24を
フライホイール21側に押圧していた力は減少する。一
方、プレッシャプレート24は、ストラップ24aによ
りクラッチカバー22と接続されていて、フライホイー
ル21から離間する方向に常に付勢されているため、こ
の付勢力によりクラッチディスク23から僅かに離れ
る。この結果、クラッチディスク23はフリー状態とな
って、エンジン10の動力が変速機11に伝達されない
状態となる。
【0045】この通常運転時のクラッチの非係合状態に
おいては、アジャストウェッジ部材82のストッパ部8
2cとクラッチカバー22とが当接しない範囲内でアク
チュエータ30のロッド31のストロークSTを制御し
ておく。これにより、図10(A)に概念的に示したよ
うに、アジャストピニオン85の第1ピニオン歯85a
とアジャストラック83の第1ラック歯83aとの噛合
状態は維持され、アジャストウェッジ部材82はプレッ
シャプレート24に対し相対回転しない。換言すれば、
アジャストピニオン85の第1ピニオン歯85aとアジ
ャストラック83の第1ラック歯83aとの噛合状態が
解除されない程度にロッド31のストロークSTを決定
しておく。
【0046】次に、クラッチフェーシング23a、23
bが摩耗した際に、これを補償するための作動につい
て、図11及び図12に示したフローチャートを参照し
つつ説明する。
【0047】先ず、後述するクラッチディスク23の摩
耗補償動作(アジャスト動作)がなされた直後、或いは
工場からの出荷時やクラッチディスク23の交換直後等
であってクラッチフェーシング23a、23bの摩耗が
進行していない場合から説明を開始すると、CPU41
は、電源供給がなされている限り、図11に示したアジ
ャスト要否判定ルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し
実行している。従って、CPU41は所定のタイミング
にて図11のルーチンをステップ600から開始し、ス
テップ605に進んでフラグFIGの値が「0」である
か否かを判定する。このフラグFIGは、イグニッショ
ンスイッチ71がオフ状態からオン状態へと変更された
ときに、CPU41が実行するイニシャルルーチン(図
示省略)により「0」に設定され、後述するように、1
0個のバッファA(1)〜A(10)の内容が更新され
たときに「1」に設定されるようになっている。
【0048】従って、イグニッションスイッチ71がオ
フ状態からオン状態に変更された以降において、バッフ
ァA(1)〜A(10)の内容が更新されていない場合
には、フラグFIGの値は「0」であるため、CPU4
1はステップ605にて「Yes」と判定してステップ
610に進む。一方、バッファA(1)〜A(10)の
内容の更新が実行された場合には、フラグFIGの値は
「1」となっているため、CPU41はステップ605
にて「No」と判定してステップ695に進み、本ルー
チンを一旦終了する。
【0049】ステップ610に進んだ場合には、CPU
41は、ステップ610にてエンジン10が停止してい
るか否かを判定する。具体的には、CPU41は、検出
されるエンジン回転数NEが「0」であると判定される
場合、又はイグニッションスイッチ71がオン状態から
オフ状態へと変更されてエンジン停止に充分な時間が経
過していると判定される場合には、エンジン10が停止
していると判断する。そして、CPU41は、エンジン
10が停止していると判定される場合にはステップ61
5に進み、エンジン10が停止していないと判定される
場合にはステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了
する。
【0050】CPU41は、ステップ615に進んだ場
合には、ステップ615にてクラッチ20を完全係合状
態とするため、電動モータ32に流すべき電流IMに完
全係合電流値IMKGOを設定する。これにより、電動
モータ32が回転し、ロッド31が図2において左方向
に移動するため、クラッチディスク23がフライホイー
ル21と次第に係合する。
【0051】次いで、CPU41はステップ620に進
み、クラッチ20が完全係合状態となったか否かを判定
する。具体的には、CPU41は、上記ステップ615
にて電動モータ32の電流値IMを変更した後に充分な
時間が経過しているか否か、又は、ストロークセンサ3
7の検出するストロークSTが所定時間以上に亘り変化
していない場合に、クラッチ20が完全係合状態に至っ
たものと判定する。そして、クラッチ20が未だ完全係
合状態となっていない場合には、CPU41はステップ
620にて「No」と判定し、ステップ695に進んで
本ルーチンを一旦終了する。
【0052】以降においても、所定時間の経過毎にステ
ップ605、610、及び620が繰り返し実行され
る。このため、フラグFIGの値が「0」であり、且つ
エンジン10が停止している状態がクラッチ20の係合
に要する時間だけ継続すると、CPU41はステップ6
20にて「Yes」と判定してステップ625に進む。
尚、ステップ620にて「Yes」と判定される前にエ
ンジン10が運転状態となると、図示しないルーチンの
実行によって各状態に応じた電流が電動モータ32に流
され、適切なクラッチの係合制御が実行される。
【0053】クラッチ20が完全係合状態となり、CP
U41が処理をステップ625に進めた場合には、9個
のバッファA(2)、A(3)、・・・A(9)、A
(10)の値が更新される。具体的には、「n」を1か
ら9までの自然数とするとき、バッファA(n)の内容
をバッファA(n+1)に順次移行(シフト)させる。
尚、更新前のバッファA(10)の内容は消去される。
【0054】次いで、CPU41はステップ630に進
み、ステップ630にてストロークセンサ37が検出す
る現在のストロークSTをバッファA(1)に書込む。
その後、CPU41は、ステップ635に進んで10個
のバッファA(1)〜A(10)内の単純平均値を求
め、その単純平均値を完全係合位置KKIとする。次
に、CPU41は、ステップ640に進んでフラグFI
Gの値を「1」に変更し、続くステップ645にてモー
タ電流IMを「0」として電動モータ32への通電を停
止する。
【0055】次いで、CPU41は、ステップ650に
進み、カウンタNの値が所定値T1(ここでは10)よ
り小さいか否かを判定する。このカウンタNは、後述す
るように、クラッチディスク23の摩耗補償動作がなさ
れたとき、或いは工場からの出荷時やクラッチディスク
23の交換時において「0」に設定されるようになって
いる。現段階ではこれらの何れかに該当するので、カウ
ンタNの値は「0」となっており、従って、CPU41
はステップ650にて「Yes」と判定してステップ6
55に進み、上記ステップ635にて求めた完全係合位
置KKIをアジャスト基準位置AKIとして設定する。
そして、CPU41はステップ660に進み、カウンタ
Nの値を「1」だけ増大し、ステップ695に進んで本
ルーチンを一旦終了する。
【0056】以降においても、CPU41は本ルーチン
を所定時間の経過毎に実行する。一方、イグニッション
スイッチ71がオフ状態からオン状態へと変更されない
限り、フラグFIGの値は「1」に維持される。このた
め、CPU41は、ステップ605にて「No」と判定
しステップ695に直接進むため、完全係合位置KKI
やアジャスト基準位置AKIは更新されない。
【0057】その後、イグニッションスイッチ71がオ
ン状態からオフ状態へと変更され、更にオフ状態からオ
ン状態へと変更されると、フラグFIGの値は「0」に
変更される。これにより、CPU41はステップ605
にて「Yes」と判定してステップ610以降に進むよ
うになるため、上述した処理が実行され、エンジン停止
且つクラッチ完全係合等の条件が成立すると、ステップ
655にてアジャスト基準位置AKIが更新されるとと
もに、ステップ660にてカウンタNの値が「1」だけ
増大する。
【0058】このような作動が繰り返し実行されること
により、バッファA(1)、A(2)、A(3)・・・
が順次更新され、アジャスト基準位置AKIも更新され
ていく。また、カウンタNの値は次第に増大する。この
ため、ステップ660にてカウンタNの値が所定値T1
(10)とされた後の運転において、再びステップ65
0が実行されると、CPU41は「No」と判定してス
テップ665に進み、アジャスト基準位置AKIと完全
係合位置KKIとの差(差の絶対値でもよい)が所定の
しきい値Lより小さく、従ってCPU41はステップ6
65にて「No」と判定し、ステップ695に進んで本
ルーチンを一旦終了する。
【0059】その後においては、ステップ610〜63
5の実行により、完全係合位置KKIがクラッチフェー
シング23a、23bの摩耗進行程度に応じた値に更新
されていく。一方、カウンタNの値は所定値T1より大
きい値に維持されるため、CPU41はステップ650
にて「No」と判定してステップ665以降に進む。従
って、ステップ655が実行されることはなく、アジャ
スト基準位置AKIは、アジャスト動作実行直後の値、
工場からの出荷直後、又はクラッチディスク23の交換
直後の値に維持される。
【0060】その後、車両が長期間に亘り運転され、ク
ラッチ20の係合・非係合の動作が繰り返し行なわれる
ことでクラッチフェーシング23a、23bが摩耗する
と、アジャスト基準位置AKIと完全係合位置KKIと
の差が所定のしきい値Lより大きくなる。このようにな
ると、CPU41はステップ665の実行時において
「Yes」と判定してステップ670に進み、アジャス
ト動作要求フラグFADJの値を「1」に設定する。こ
のアジャスト動作要求フラグFADJは、その値「1」
により、アジャスト動作を実行すべきことを示すフラグ
である。
【0061】次いで、CPU41はステップ675に進
み、アジャスト基準位置AKIと完全係合位置KKIと
の差をクラッチフェーシング23a、23bの摩耗量X
(アジャスト必要量)として設定し、ステップ695に
進んで本ルーチンを一旦終了する。以上のようにして、
摩耗の程度が進行した場合に、アジャスト動作要求フラ
グFADJの値が「1」に設定される。
【0062】尚、上記において、エンジン10が停止し
ている場合にのみ完全係合位置KKI等の更新をするよ
うにしたのは、エンジン10の停止状態であればクラッ
チ20にエンジンの振動が及ばず、精度良く完全係合位
置KKI等を決定できるからである。また、バッファA
(1)〜A(10)を用いて、完全係合位置を10回分
のクラッチ完全係合時におけるストロークの平均値とし
たのは、より精度良く完全係合位置KKI等を決定する
ためである。
【0063】次に、図12に示したルーチンを参照しつ
つ、アジャスト動作を実際に実行するための作動につい
て説明する。先ず、アジャスト動作の実行条件(ステッ
プ715〜730)が全て成立しているものと仮定して
説明を開始すると、CPU41は、図12に示したルー
チンを所定時間の経過毎に実行している。従って、CP
U41は、所定のタイミングにてステップ700から処
理を開始してステップ715に進み、前述したアジャス
ト動作要求フラグFADJの値が「1」か否かを判定す
る。これは、アジャスト動作を実行すべき要求がある場
合にのみ、アジャスト動作を実行するように構成するた
めのステップである。
【0064】前述の仮定に従えば、アジャスト動作要求
フラグFADJの値は「1」になっているので、CPU
41はステップ715にて「Yes」と判定してステッ
プ720に進み、クラッチディスク23が非係合状態に
あるか否かを判定する。これは、運転状態によりクラッ
チ20が係合状態に維持されている場合には、アジャス
ト動作を実行できないからである。
【0065】前述の仮定に従えば、クラッチディスク2
3は非係合であるので、CPU41はステップ720に
て「Yes」と判定してステップ725に進み、エンジ
ン回転数NEが所定の低速側回転数α(例えば、エンジ
ン作動に最低限必要な400rpm)より大きく、且つ
所定の高速側回転数β(例えば、エンジン10の振動が
大きくなり始める回転数である2000rpm)より小
さいか否かを判定する。
【0066】これは、できるだけエンジン回転数が小さ
く、クラッチ20が共振等しない場合にアジャスト動作
を行なうことにより、誤調整することがないようにする
ためである。また、回転数αよりも大きい状態において
のみ、アジャスト動作を行なうこととしたのは、所定の
変速ギアが係合されている状態にて車両を駐車する「ギ
ア駐車」時に、クラッチディスク23を非係合状態にす
るアジャスト動作を行なうのは好ましくないためであ
り、エンジン回転数NEが所定回転数α以上であれば、
ギア駐車時ではないものと判断できるためである。
【0067】前述の仮定に従えば、エンジン回転数NE
が低速側回転数αより大きく、高速側回転数βより小さ
いので、CPU41はステップ725にて「Yes」と
判定してステップ730に進み、車速Vが「0」である
か否かを判定する。これは、車両の走行に伴う振動によ
り誤調整することがないようにするためである。前述の
仮定に従えば、車両は停止していて、車速Vは「0」と
なっているので、CPU41はステップ730にて「Y
es」と判定してステップ735に進む。以上のステッ
プ715〜730は、実際にアジャスト動作の実行を開
始すべき条件が成立しているか否かを判定するステップ
である。
【0068】次いで、CPU41はステップ735に進
み、ストロークSTが、摩耗量Xに所定距離Y及び所定
距離Zを加えた値に達しているか否かを判定する。尚、
は、図4を参照して説明したように、。所定距離Yは、
クラッチディスク23のアジャスト動作がなされた直
後、或いは工場からの出荷時やクラッチディスク23の
交換直後等であってクラッチフェーシング23a、23
bの摩耗が進行していない場合においてクラッチ20が
係合状態とされている場合に、アジャストウェッジ部材
82のストッパ部82cとクラッチカバーの内周面との
軸方向に関する距離であって、通常の運転時においてク
ラッチ20を非係合状態とする際のストロークSTであ
るストロークST0の最大値と略等しい距離である。ま
た、所定距離Zは、アジャストラック83の第1ラック
歯83aとアジャストピニオン85の第1ピニオン歯8
5aとが噛合している状態から、第1ラック歯83aと
第1ピニオン歯85aとの噛合が解除されて第2ラック
歯83bと第2ピニオン歯85bとが噛合するまでにア
ジャストピニオン85がアジャストラック83に対して
相対的に移動する軸方向の距離である。
【0069】現段階においては、クラッチ20が通常の
係合状態にあるので、ストロークSTはST0と等し
く、従ってCPU41はステップ735にて「No」と
判定してステップ740に進み、電動モータ32の電流
値IMをアジャスト用電流値IMADJとする。これに
より、ストロークSTは、ステップ735の判定値(X
+Y+Z)に次第に近づきはじめる。その後、CPU4
1はステップ795に進み、本ルーチンを一旦終了す
る。
【0070】以降においても、CPU41は本ルーチン
を所定時間の経過毎に実行しているので、ステップ71
5〜730にてアジャスト実行条件が成立しているかを
モニタし、ステップ735にてストロークSTが判定値
(X+Y+Z)に達したか否かをモニタすることとな
る。
【0071】その後、所定時間が経過すると、ダイアフ
ラムスプリング25は、図4に示した状態から図5に示
した状態へと姿勢変化する。即ち、ダイアフラムスプリ
ング25は力点部26aにてフライホイールその中央部
がフライホイール21へ向かう力を受け、支点部材25
b、25cを中心に揺動し、アジャストウェッジ部材8
2のストッパ部82cとクラッチカバー22の内周面と
が当接する。この時点では、ダイアフラムスプリング2
5の外周端部は湾曲部86bと挟持部86cとの間で挟
持されている。挟持部86cは軸方向に弾性を奏するの
で、図5の状態で、挟持部86cがアジャストピニオン
85をプレッシャプレート24に向かう軸方向へと押圧
する。これにより、第1ピニオン歯85aと第1ラック
歯83aとの噛合状態が維持される。図5は、挟持部8
6cを示すため図4及び図6と異なる部分で切った断面
図である。
【0072】この時点においては、ストロークSTは、
判定値よりも小さな値(X+Y)であるので、CPU4
1はステップ735にて「No」と判定してステップ7
40を実行する。このため、電動モータ32には電流値
IMADJが継続して流れるため、ダイアフラムスプリ
ング25の姿勢は更に変化する。このとき、アジャスト
ウェッジ部材82のストッパ部82cはクラッチカバー
22の内周面に当接しているため、アジャストウェッジ
部材82及びプレッシャプレート24は、それ以上の軸
方向への移動が規制される。しかしながら、ダイアフラ
ムスプリング25の姿勢の変化が継続することで、ダイ
アフラムスプリング25は、その外周端部がフライホイ
ール21から離間するように姿勢が変化する。その結
果、保持部材86の湾曲部86bがダイアフラムスプリ
ング25の外周端部が移動する力を直接受けることで、
図6に示すように、保持部材86に固定されているアジ
ャストピニオン85のみがダイアフラムスプリング25
の外周端部に追従して軸方向へ移動する。これにより、
第1ラック歯83aと第1ピニオン歯85aとの噛合が
解除され、噛合状態は図10(A)の状態から図10
(B)の状態へと移行する。更に電流値IMADJが継
続して流れることで、ダイアフラムスプリング25の姿
勢が更に変化して、アジャストピニオン85が軸方向に
移動すると、アジャストラック83の第2ラック歯83
bと第2ピニオン歯85bとが噛合し始める。ここで、
前述したように第1ラック歯83aと第2ラック歯83
bとはその位相が半ピッチだけずれているので、第2ラ
ック歯83bと第2ピニオン歯85bとが噛合し始める
と、アジャストウェッジ部材82は、第2ラック歯83
bと第2ピニオン歯85bとが噛合する際に両歯の歯面
に係る周方向の力とコイルスプリングCSの付勢力によ
り、プレッシャプレート24(テーパ面81a)に対し
て回転する。但し、この状態においては、第2ラック歯
83bと第2ピニオン歯85bとが噛合する位置関係で
あるため、アジャストウェッジ部材82の回転は、図1
0(C)に示す第2ラック歯83bと第2ピニオン歯8
5bとが噛合した時点で規制される。以上の動作によ
り、テーパ面81aとウェッジ側テーパ面82aとの当
接位置が第1ラック歯83aの半ピッチ分だけ変化す
る。尚、アジャストウェッジ部材82はストッパ部82
cにて軸方向の移動が規制されているので、ストッパ部
82cがクラッチカバー22に当接したままの状態で、
アジャストウェッジ部材82はプレッシャプレート24
に対して回転することとなる。上述した噛合状態の変化
に際して、アジャストウェッジ部材82が周方向に回転
すると、アジャストウェッジ部材82のストッパ部82
cとプレッシャプレート24との距離が大きくなるよう
に、各ラック歯83a、83b及び各ピニオン歯85
a、85bの鋸歯形状が設定されている。
【0073】その後、所定の時間が経過してストローク
STが判定値(X+Y+Z)に達すると、CPU41は
ステップ735にて「Yes」と判定してステップ74
5に進んでアジャスト動作要求フラグFADJの値を
「0」に設定する。また、この段階で、CPU41は、
新たなアジャスト基準位置AKIを更新するように、ス
テップ755にて前述のカウンタNの値を「0」に設定
し、ステップ795にて本ルーチンを一旦終了する。
尚、以降においては、各種運転状態に応じた電流が電動
モータ32に通電され、適切なクラッチ制御が実行され
るようになる。その後、図示しない他のルーチンの実行
により、クラッチディスク23が通常の非係合位置(ス
トロークST<ST0の範囲内)へと戻されると、アジ
ャストウェッジ部材82のストッパ部82cとクラッチ
カバー22との当接が解除され、アジャストラック83
とアジャストピニオン85の相対位置の変化がなくな
る。クラッチディスク23が通常の非係合位置へと戻る
とき(ストロークSTがX+Y+ZからYに変化すると
き)に、保持部材86の挟持部86cがダイアフラムス
プリング25の外周端部がフライホイール21側へ移動
する際の力を直接受けて、アジャストピニオン85がダ
イアフラムスプリング25の外周端部に追従してアジャ
ストラック83に対して軸方向に相対移動する。これに
より、第2ラック歯83bと第2ピニオン歯85bとの
噛合が解除されるとともにストロークSTがYになった
時点で再び第1ラック歯83aと第1ピニオン歯85a
とが噛合するため、アジャストウェッジ部材82は、第
1ラック歯83aと第1ピニオン歯85aとが噛合する
際に両歯の歯面に係る周方向の力とコイルスプリングC
Sの付勢力により、プレッシャプレート24(テーパ面
81a)に対して再び回転する。この回転は、第1ラッ
ク歯83aと第1ピニオン歯85aとが噛合した時点で
規制されるため、テーパ面81aとウェッジ側テーパ面
82aとの当接位置が第1ラック歯83aの半ピッチ分
だけ更に変化する。以上により、通常運転時におけるダ
イアフラムスプリング25の姿勢が修正される。
【0074】以上説明したように、クラッチディスク2
3の摩耗量が所定量以上となって、且つアジャスト動作
しても誤調整が発生する可能性の小さい運転状態が検出
されたとき、1度のアジャスト動作で第1ラック歯83
aの1ピッチ分に応じた量(1ピッチの距離に応じたテ
ーパ面81aの高さ分)だけ摩耗補償がなされる。ま
た、保持部材86により、アジャストピニオン85をダ
イアフラムスプリング25の外周端部に追従させ得るよ
うに構成したので、アジャストウェッジ部材82とテー
パ部81との間や各ラック歯83a、83bと各ピニオ
ン歯85a、85bとの間に、錆付きが生じたり摺動抵
抗が大きくなる場合であっても、アクチュエータの作動
に伴って確実にアジャストピニオン85を軸方向に作動
するので、精度良くクラッチの摩耗を補償することが可
能になる。更に、ダイアフラムスプリング25を揺動さ
せる際に、ダイアフラムスプリング25の作動はアジャ
ストピニオン85の軸方向への作動以外には干渉しない
ので、これもまたクラッチの摩耗を精度良く補償するの
に好適である。
【0075】尚、上記の実施の形態においては、摩耗量
Xを、図8(A)に示すように、アジャスト基準位置A
KI(図8(A)のA点)と完全係合位置KKI(図8
(A)のB点)との差(図8(A)の距離C)として求
めていたが、図8(B)に示すように、クラッチディス
ク23の係合開始点の摩耗に伴う初期位置Dからの摩耗
時Eへの変化量Fを直接検出する方法、或いは図8
(C)に示すように、初期(摩耗量がない場合又はアジ
ャスト動作直後)の完全係合点Aとクラッチカバー22
のストローク上に任意に固定された規定位置Jまでのス
トローク量Gと、摩耗時完全係合点Bから規定位置Jま
でのストローク量Hとの差Kを検出する方法により求め
ることもできる。
【0076】尚、本発明の範囲内において種々の変形例
が採用可能であり、例えば、上記電動モータ32を使用
したアクチュエータ30に代えて、電磁バルブ等を使用
して油圧を制御し、この油圧によりロッド31を進退さ
せる油圧式のアクチュエータを採用することもできる。
また、上記実施の形態では、車両の振動によりクラッチ
カバーが共振する可能性が小さい場合にのみ、アクチュ
エータ30を作動させ、ダイアフラムスプリング25の
姿勢を補正してアジャスト動作を実行するようにした
が、他の任意の条件が成立したときに、必要に応じてダ
イアフラムスプリング25の姿勢を制御するようにして
もよい。更に、クラッチ制御回路40はアクチュエータ
30と一体或いは別体のどちらであってもよい。
【0077】
【発明の効果】本発明によると、所定の条件が成立した
場合にのみ、調整機構がダイアフラムスプリングとプレ
ッシャプレートとの距離を変更するので、所定の条件を
例えばクラッチが共振する可能性の少ない運転条件とす
ることにより、クラッチの摩耗を精度良く補償すること
が可能となる。
【0078】更に本発明によると、調整機構は、保持部
にてアジャストピニオンをダイアフラムスプリングの外
周端部に保持するようにしたので、所定の条件が成立し
て調整機構がダイアフラムスプリングとプレッシャプレ
ートとの距離を変更する際には、アジャストウェッジ部
材のストッパ部がクラッチカバーに当接してからもダイ
アフラムスプリングの外周端部の軸方向の作動に追従し
て確実にアジャストピニオンが作動する。従って、アジ
ャストピニオンの第1ピニオン歯とアジャストラックの
第1ラック歯との噛合が確実に解除されるとともに、第
2ピニオン歯と第2ラック歯とが確実に噛合する。この
ように、保持部によってアジャストピニオンを強制的に
作動させ得るようにしたので、各構成が錆付いたり各構
成間の摺動抵抗が大きくなる場合であっても、精度良く
クラッチの摩耗を補償することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるクラッチの制御装置の概略を示す
全体図である。
【図2】図1に示したクラッチの断面図である。
【図3】図1に示したクラッチの一部切り欠いた正面図
である。
【図4】図1に示したクラッチの調整機構の作動を説明
するための図である。
【図5】図1に示したクラッチの調整機構の作動を説明
するための図である。
【図6】図1に示したクラッチの調整機構の作動を説明
するための図である。
【図7】図1に示したクラッチの調整機構の作動を説明
するための図である。
【図8】摩耗量を検出する原理を説明するための図であ
る。
【図9】図1に示したクラッチの調整機構の側面図であ
る。
【図10】図1に示したクラッチの調整機構の作動を説
明するための図である。
【図11】図1に示したCPUが実行するプログラムを
示したフローチャートである。
【図12】図1に示したCPUが実行するプログラムを
示したフローチャートである。
【符号の説明】
10・・・エンジン、11・・・変速機、20・・・摩
擦クラッチ、21・・・フライホイール、22・・・ク
ラッチカバー、23・・・クラッチディスク、24・・
・プレッシャプレート、25・・・ダイアフラムスプリ
ング、26・・・レリーズベアリング、27・・・レリ
ーズフォーク、30・・・アクチュエータ、82・・・
アジャストウェッジ部材、82a・・・ウェッジ側テー
パ面、82c・・・ストッパ部、81・・・テーパ部、
81a・・・テーパ面、83・・・アジャストラック、
83a・・・第1ラック歯、83b・・・第2ラック
歯、85・・・アジャストピニオン、85a・・・第1
ピニオン歯、85b・・・第2ピニオン歯、86・・・
保持部材、86a・・・固定部、86b・・・湾曲部、
86c・・・挟持部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動源の出力軸と一体的に回転するフラ
    イホイールに対向するクラッチディスクをプレッシャプ
    レートとダイアフラムスプリングとを介して進退させ、
    前記クラッチディスクの係合状態を変化させるための力
    を前記ダイアフラムスプリングに付与するアクチュエー
    タと、前記フライホイールに固定されて前記クラッチデ
    ィスクの係合状態が変化するときの前記ダイアフラムス
    プリングの作動支点を形成するクラッチカバーと、前記
    プレッシャプレートと前記ダイアフラムスプリングとの
    間に配設されて前記プレッシャプレートと前記ダイアフ
    ラムスプリングの間の力の伝達経路を形成するとともに
    前記ダイアフラムスプリングと前記プレッシャプレート
    の軸方向の距離を変更し得るように構成された調整機構
    と、前記アクチュエータの作動を制御する制御手段と、
    を備えて前記フライホイールと前記クラッチディスクと
    の係合状態を変化させる車両用クラッチの制御装置にお
    いて、 前記調整機構は、前記クラッチカバーの内周側にて前記
    プレッシャプレートに形成されて前記プレッシャプレー
    トから前記ダイアフラムスプリングに向かうテーパ面を
    有するテーパ部と、 前記クラッチカバーの内周側にて前記テーパ部と前記ダ
    イアフラムスプリングとの間に相対回転可能に配設さ
    れ、前記テーパ面と当接するウェッジ側テーパ面を有す
    るアジャストウェッジ部材と、 前記プレッシャプレート或いは前記アジャストウェッジ
    部材に形成されて前記プレッシャプレートが前記クラッ
    チカバーに近づく方向への軸方向距離を規制するストッ
    パ部と、 前記アジャストウェッジ部材の外周面に固定され、軸方
    向の一方に向かう第1ラック歯と軸方向の他方に向かう
    とともに前記第1ラック歯と位相の異なる第2ラック歯
    とを形成するアジャストラックと、 前記プレッシャプレートの周方向に関して移動不能且つ
    軸方向に関して移動可能に前記プレッシャプレートと前
    記ダイアフラムスプリングとの間に配設され、前記アジ
    ャストラックの第1ラック歯と噛合可能な第1ピニオン
    歯と前記第2ラック歯と噛合可能な第2ピニオン歯を有
    するアジャストピニオンと、 前記ダイアフラムスプリングの外周端部の軸方向の作動
    に追従して前記アジャストピニオンを軸方向に作動させ
    るべく前記アジャストピニオンを前記ダイアフラムスプ
    リングの外周端部に保持する保持部材とを備え、 前記制御手段は、所定の条件が成立していない場合に
    は、前記ストッパ部が前記クラッチカバーに当接しない
    範囲内で前記ダイアフラムスプリングに力を付与して前
    記プレッシャプレートを進退させるように前記アクチュ
    エータの作動を制御し、 前記所定の条件が成立した場合には、前記ストッパ部が
    前記クラッチカバーに当接してからも前記ダイアフラム
    スプリングに力を付与して前記アジャストピニオンを前
    記アジャストウェッジ部材に対して軸方向に移動させて
    第1ラック歯と第1ピニオン歯との噛合を解除するとと
    もに前記第2ラック歯と第2ピニオン歯とを噛合するこ
    とで、前記ダイアフラムスプリングと前記プレッシャプ
    レートとの軸方向の距離を変更するように前記アクチュ
    エータの作動を制御することを特徴とするクラッチの制
    御装置。
  2. 【請求項2】 前記調整機構の保持部材は、前記アジャ
    ストピニオンの外周側面に固定される固定部と、固定部
    から前記クラッチカバー側に延在するとともにクラッチ
    ディスクの内周側に向かって湾曲する湾曲部とを有し、
    前記アジャストピニオンの前記クラッチカバー側端面と
    前記湾曲部との間で前記ダイアフラムスプリングの外周
    端部を保持することを特徴とする、請求項1に記載のク
    ラッチの制御装置。
  3. 【請求項3】 前記調整機構の保持部材は、軸方向に関
    して弾性を奏するとともに前記アジャストピニオンの前
    記ダイアフラムスプリング外周端部側に延在する挟持部
    を備え、前記挟持部と前記湾曲部との間で前記ダイアフ
    ラムスプリングの外周端部を保持することを特徴とす
    る、請求項2に記載のクラッチの制御装置。
  4. 【請求項4】 前記プレッシャプレートは、その端面か
    ら前記ダイアフラムスプリング側に向かう軸方向に突出
    するピンと、外周側の端面に軸方向に貫通する貫通穴と
    を有し、 前記アジャストピニオンは、前記ピンに貫通する貫通部
    と、前記貫通穴を貫通する凸部とを一体的に備えること
    を特徴とする、請求項1に記載のクラッチの制御装置。
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