JP2002264471A - 記録用シート及びその製造方法 - Google Patents

記録用シート及びその製造方法

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JP2002264471A
JP2002264471A JP2001065487A JP2001065487A JP2002264471A JP 2002264471 A JP2002264471 A JP 2002264471A JP 2001065487 A JP2001065487 A JP 2001065487A JP 2001065487 A JP2001065487 A JP 2001065487A JP 2002264471 A JP2002264471 A JP 2002264471A
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JP
Japan
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recording sheet
porous layer
ink
resin
pigment
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Application number
JP2001065487A
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English (en)
Inventor
Masaya Omura
雅也 大村
Naonobu Yanaishi
尚伸 柳石
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録画像の耐水性及び耐候性に優れるととも
に、インクの吸収性及び表面光沢に優れる記録用シート
を得る。 【解決手段】 基材の少なくとも一方の面に、樹脂で構
成され、かつ空孔率40〜80%で及び平均孔径0.0
05〜0.2μmの多孔質層を形成して、顔料インクジ
ェット記録用シートを調製する。前記顔料の平均粒径D
1と多孔質層の平均孔径D2とは、D1≧D2であり、前記
記録用シートは、75°の表面光沢が50〜90程度で
ある。前記多孔質層は、親水性樹脂、特にセルロース系
樹脂で構成されていてもよく、相転換法によるミクロ相
分離構造を有していてもよい。前記顔料インクは、油性
インク、特に沸点200℃以上の溶媒を含む油性インク
であってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料インクジェッ
ト記録方式に適した記録用シート及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、フルカラー
化が容易であり、低騒音で印字品質が良好で、かつ経済
性にも優れるので、近年急速に普及しつつあり、オフィ
スや一般家庭用プリンター、サインディスプレイ用プリ
ンター等の広範なプリンターに使用されている。インク
ジェット記録においては、インク噴射ノズルの詰まりを
防ぐために、乾燥性の低いインクが要求され、さらに安
全性、記録適性の点から、主に水性インクが一般的に使
用されている。また、水性インクは屋外での耐候性が充
分でないため、用途によっては、顔料を水に分散させた
顔料インクが使用されていた。
【0003】しかしながら、顔料を含む水性インクにお
いても、屋外における耐候性が充分ではなく、さらに、
乾燥によるインクジェットプリンターのノズル詰まりが
多い。そこで、近年、顔料インクの中でも、特に、顔料
及び高沸点溶媒を含む油性インクを用いたインクジェッ
ト記録方式が注目されている。
【0004】例えば、特開平8−324095号公報に
は、基材上に、非水系インク溶媒を保持し、親溶媒性の
高い多孔質部材層、及び非水系インク溶媒に溶解又は膨
潤する透明層が形成されたインクジェット記録媒体が開
示されている。しかし、この記録媒体では、インク吸収
性や記録画像の鮮明性が充分ではない。また、記録媒体
の表面に粘着性を発現し、ブロッキングや記録装置内で
の搬送不良を引き起こす。
【0005】特開平2000−238407号公報に
は、基材上に、無機又は有機フィラーがスチレン・ブタ
ジエンゴム中に分散された状態で構成されているインク
受像層が形成されたインクジェット記録媒体が、特開平
11−165460号公報には、基材上に、石油系高沸
点溶剤に溶解及び/又は膨潤する樹脂を含む中間層、及
びインク受理層が形成されたインクジェット記録用シー
トが開示されている。しかしながら、これらの記録用媒
体においても、表面光沢性や記録画像の鮮明性が充分で
はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、記録画像の耐水性及び耐候性に優れるとともに、イ
ンクの吸収性及び表面光沢に優れる記録用シート及びそ
の製造方法を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、記録画像の耐水性及
び耐候性に優れるとともに、記録画像の鮮明性に優れる
記録用シート及びその製造方法を提供することにある。
【0008】本発明の更に他の目的は、記録画像の耐水
性及び耐候性に優れるとともに、記録画像の色再現性に
優れる記録用シート及びその製造方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意検討の結果、基材上に特定の空孔
率及び平均孔径を有する多孔質層を設けると、顔料イン
クジェット記録方式に適し、インク吸収性及び表面光沢
に優れた記録用シートが得られることを見出し、本発明
を完成した。
【0010】すなわち、本発明の記録用シートは、基材
の少なくとも一方の面に、樹脂で構成され、かつ空孔率
40〜80%で及び平均孔径0.005〜0.2μmの
多孔質層を有し、顔料インクにより画像を形成するため
のシートであって、顔料の平均粒径D1と多孔質層の平
均孔径D2とが、D1≧D2であり、かつ75°の表面光
沢が50〜90である。前記記録用シートは、顔料イン
クジェット記録方式での画像形成に用いられ、耐水性及
び耐候性に優れる。前記顔料の平均粒径D1と前記多孔
質層の平均孔径D2との比は、D1/D2=1/1〜10
/1、2/1〜8/1程度である。前記顔料の平均粒径
は0.02〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μm
であり、多孔質層の平均孔径は好ましくは0.01〜
0.2μm、さらに好ましくは0.01〜0.1μm程
度である。前記多孔質層の空孔率は、好ましくは40〜
70%、さらに好ましくは50〜70%程度である。前
記顔料インクは、油性インクであってもよく、インクの
溶媒の沸点は、200℃以上、好ましくは250〜40
0℃程度である。前記多孔質層は、親水性樹脂、特にセ
ルロース系樹脂で構成されていてもよく、相転換法によ
るミクロ相分離構造を有していてもよい。
【0011】本発明には、基材シートの少なくとも一方
の面に、樹脂、この樹脂の良溶媒及び貧溶媒を含む樹脂
溶液を塗布した後、相転換法により多孔質層を形成する
記録用シートの製造方法も含まれる。また、本発明に
は、前記記録用シートに、顔料インクを印字して画像を
形成する方法も含まれる。
【0012】
【発明の実施の形態】[基材]基材の材質は特に制限は
なく、例えば、紙、塗工紙、合成紙、不織布、又はプラ
スチックフィルムもしくはシート等が挙げられるが、強
度、実用上の点から、紙、塗工紙、プラスチックフィル
ムもしくはシートが好ましく使用できる。
【0013】紙、塗工紙としては、上質紙、ケント紙、
アート紙等が例示できる。
【0014】合成紙、プラスチックフィルムもしくはシ
ートを構成するポリマーとしては、オレフィン系重合体
(例えば、ポリプロピレン等)、ハロゲン系重合体(例
えば、ポリ塩化ビニルなど)、スチレン系樹脂(例え
ば、ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン、ABS樹脂
等)、セルロース系樹脂(セルロース誘導体)(例え
ば、セルロースアセテートなど)、ポリエステル系樹脂
(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチ
レンナフタレート等)、ポリカーボネート樹脂(例え
ば、ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリ
アミド系樹脂(例えば、ナイロン6などの脂肪族ポリア
ミドなど)等が例示できる。さらに、これらの共重合
体、ブレンド物、架橋物も使用することができる。これ
らのうち、機械的強度、作業性等の点から、ポリエステ
ル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレートなどのポリ
アルキレンアリレート系樹脂が好ましく使用できる。こ
れらの樹脂は単独で又は2種以上組み合わせて単層フィ
ルム又は積層フィルムとして使用できる。
【0015】プラスチックフィルムもしくはシートには
必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑材、顔料、紫
外線吸収剤等を添加してもよい。また、多孔質層との接
着性を向上させるため、多孔質層と基材との間にアンカ
ーコート層を設けてもよく、またコロナ放電処理やアン
ダーコート処理等の表面処理を行ってもよい。
【0016】基材の厚みは、通常、インクジェットプリ
ンターに挿入して画像を形成することを考慮すると、例
えば、20〜200μm程度、好ましくは50〜170
μm程度、さらに好ましくは80〜150μm程度であ
る。
【0017】[多孔質層]多孔質層を構成する重合体
は、特に制限されず、種々の樹脂(熱可塑性樹脂及び熱
硬化性樹脂)が使用でき、通常、熱可塑性樹脂が使用さ
れる。熱可塑性樹脂としては、以下の樹脂又は重合体等
が例示できる。
【0018】(1)セルロース系樹脂(セルロース誘導
体):セルロースエステル[例えば、セルロースアセテ
ート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、
セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオ
ネート、セルロースアセテートブチレート等の有機酸エ
ステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セル
ロース等の無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの
混酸エステル等] セルロースエーテル[例えば、メチルセルロース、エチ
ルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロ
ース、ベンジルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセ
ルロース、シアノエチルセルロース等]
【0019】(2)ビニル系重合体:オレフィン系重合
体[例えばオレフィン類の単独又は共重合体(ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリイソブテ
ン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリアレン、エ
チレン−プロピレン共重合体等)、オレフィン類と共重
合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、
変性ポリオレフィン等)] ハロゲン含有ビニル重合体[例えば、ハロゲン含有ビニ
ル単量体の単独又は共重合体(ポリビニルクロライドな
ど)、ハロゲン含有ビニル単量体と共重合性単量体との
共重合体(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
リデン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン−(メ
タ)アクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)ア
クリル酸エステル共重合体等)] ビニルエステル系重合体又はその誘導体[例えば、ポリ
酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル
アルコール共重合体、ポリビニルアセタール系重合体
(ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリ
ビニルブチラール等)] 複素環式ビニル系重合体[ポリビニルピロリドン、ポリ
ビニルピリジン等] 芳香族ビニル系重合体[例えば、スチレン系重合体(ポ
リスチレンなど)、芳香族ビニル単量体と共重合性単量
体との共重合体(スチレン−(メタ)アクリル酸C1-10
アルキルエステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸
共重合体、スチレン−マレイミド共重合体等)] アリルアルコール系重合体(例えば、アリルアルコール
−C1-6アルキルビニルエーテル共重合体) ポリビニルケトン類[例えば、ポリビニルメチルケト
ン、ポリビニルメチルイソブチルケトン、ポリメチルイ
ソプロペニルケトン等] ビニルエーテル系重合体[例えば、ポリメチルビニルエ
ーテル、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合
体等] (メタ)アクリル系重合体[例えば、(メタ)アクリル
系単量体((メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリ
ル酸エステル単量体等)の単独又は共重合体、(メタ)
アクリル系単量体と共重合性単量体(ビニルエステル系
単量体、ビニルピロリドンなどの複素環式ビニル系単量
体、芳香族ビニル単量体、重合性不飽和ジカルボン酸又
はその誘導体などのビニル系単量体)との共重合体]
【0020】(3)ポリスルホン系重合体:ポリスルホ
ン(例えば、ポリヘキサメチレンスルホンなど)、スル
ホン化ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等、その分
子中に結合基−SO2−を有する重合体
【0021】(4)ポリエステル系樹脂:ポリアルキレ
ンテレフタレート(例えば、1,4−シクロヘキサンジ
メチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート、ブ
チレンテレフタレートを含有するホモ又はコポリエステ
ル等)、ポリアルキレンナフタレート(例えば、エチレ
ンナフタレート、ブチレンナフタレートを含有するホモ
又はコポリエステル)等
【0022】(5)ポリアミド系樹脂:脂肪族ポリアミ
ド(例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン61
0、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12等)
【0023】(6)ポリカーボネート系樹脂:2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノ
ールA)などのジヒドロキシ化合物とホスゲン又はジメ
チルカーボネートなどの炭酸ジエステルとの反応により
得られる重合体
【0024】(7)ポリウレタン系樹脂:トリレンジイ
ソシアネートなどのポリエチレングリコールなどのポリ
イソシアネートとポリオールとの反応により得られる重
合体
【0025】(8)エポキシドから誘導される重合体:
ポリオキシアルキレングリコール(例えば、ポリエチレ
ングリコールやポリプロピレングリコール)やエポキシ
樹脂(例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラ
ック型エポキシ樹脂等のエーテル系エポキシ樹脂、アミ
ン系エポキシ樹脂) これらの重合体は単独で又は2種以上組み合わせて使用
できる。
【0026】多孔質層を構成する樹脂は、顔料を孔表面
に残存させ、溶媒のみ孔内に充填することができれば、
特に制限されず、対象となるインクの種類によって適宜
選択すればよい。特に、顔料インクとして油性インクを
使用する場合は、インクの溶媒に膨潤又は溶解せず、速
やかに孔内に溶媒を充填するためには、親油性の高い樹
脂よりも、ある程度親水性を有する樹脂が好ましい。特
に、親水性樹脂を用いることにより、インク溶媒として
高沸点の溶媒を使用した場合でも、速やかにインクが孔
内に吸収され、べたつかない。親水性樹脂とは、水に対
する接触角が80°未満(好ましくは0〜60°、特に
0〜40°程度)の樹脂を意味する。接触角とは、室温
で重合体の表面上に水滴を置いた時、水滴の広がりが停
止した時点で水滴の表面と樹脂の表面との交点におい
て、水滴に対する接線と重合体の表面との間の角のう
ち、水滴側の角度を指す。
【0027】このような親水性樹脂としては、セルロー
ス系樹脂[例えば、酢酸セルロース(セルロースジアセ
テート、セルローストリアセテート等)、セルロースプ
ロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセ
テートプロピオネート、セルロースアセテートブチレー
ト、硝酸セルロース等のセルロースエステル類、エチル
セルロースなどのセルロースエーテル類]、ビニル系重
合体[例えば、(メタ)アクリル系重合体(ポリメタク
リル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、
ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ビニルピロ
リドン共重合体(例えば、アクリロニトリル含量50〜
99.9モル%程度の共重合体)、ポリアクリルアミ
ド、ポリ−N−メチルアクリルアミド等)、ポリビニル
ピロリドン、ビニルエーテル系重合体(ポリメチルビニ
ルエーテル、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共
重合体等)、酢酸ビニル系重合体又はその誘導体(ポリ
酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ポリビニルアルコー
ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその部分ケン化
物等)等]、ポリスルホン系重合体(例えば、ポリスル
ホン、ポリエーテルスルホン等)、ポリエチレングリコ
ール、ポリエチレンイミン、ポリアミド、スチレン−無
水マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、
セルロース系樹脂(例えば、酢酸セルロース、セルロー
スプロピオネート、セルロースブチレート、セルロース
アセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチ
レート等のセルロースエステル類)が特に好ましい。セ
ルロース系樹脂の重量平均分子量は、1万〜50万、好
ましくは2万〜30万、さらに好ましくは2万〜10万
程度である。
【0028】また、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ
エチレン、ポリスチレン等は上記定義においては疎水性
である樹脂であっても、界面活性剤、湿潤剤等の添加や
塗布、プラズマ処理等の方法により表面に親水性を付与
させることにより、本発明における親水性樹脂に含まれ
る。
【0029】多孔質層の表面及び内部での平均孔径は
0.005〜0.2μm(例えば、0.01〜0.2μ
m)、好ましくは0.01〜0.1μm、さらに好まし
くは0.02〜0.05μm程度の範囲から選択でき
る。平均孔径が0.005μm未満では、インクの溶媒
の吸収性が不充分な虞があり、平均孔径が0.2μmを
超えると印字品質が低下しやすい。なお、本発明の記録
用シートにおいて、多孔質層の孔径は表面でも内部でも
略同じである(孔径の厚み方向における分布が小さい)
ため、インク吸収性に優れる。
【0030】多孔質層の空孔率は40〜80%、好まし
くは40〜70%、さらに好ましくは50〜70%(特
に50〜65%)程度の範囲から選択できる。空孔率が
40%未満では、吸収面の表面積が少ないため、インク
の溶媒に対する吸収能が低く、80%を超えると、多孔
質層自体の強度が低下する虞がある。
【0031】本発明においては、多孔質層の平均孔径及
び空孔率を前記範囲にすることにより、記録用シートの
表面光沢に優れ、例えば、75°の表面光沢が50〜9
0、好ましくは60〜90、さらに好ましくは65〜9
0程度である。
【0032】本発明の記録用シートにおいては、顔料の
平均粒径D1と、多孔質層の平均孔径D2とが、D1≧D2
であり、顔料は多孔質層の孔内に吸収されずに、多孔質
層表面に残存するために、鮮明な記録画像を形成でき
る。また、多孔質層の平均孔径と空孔率が前記範囲にあ
るため、インクの溶媒のみを、孔内に速やかに確実に吸
収保持されるため、シート表面でインクが長時間べたつ
いたまま残留せず、インクの流れ出しや混合が生じず、
良好な画像を記録することができる。
【0033】多孔質層の厚さは、特に制限されず、用途
に応じて選択できるが、例えば1〜100μm程度、好
ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜40μm
程度の範囲から選択できる。多孔質層の厚さが1μm未
満では、耐水性が不充分であり、100μmを超える
と、インクの吸収性が低下する虞がある。
【0034】さらに、多孔質層は慣用の添加剤、例え
ば、架橋剤、硬化剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、
滑剤、安定剤(抗酸化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、耐
光安定剤等)、染料、顔料、帯電防止剤、アンチブロッ
キング剤、無機粒子、充填剤、ゲル化剤等を含んでいて
もよい。
【0035】[製造方法]本発明の記録用シートは、基
材シートの少なくとも片面に、多孔質層を形成すること
により製造することができる。
【0036】多孔質層は、良溶媒と貧溶媒とを用いて高
分子をミクロ相分離させる相分離法、高分子を発泡させ
て孔を形成する発泡法、高分子フィルムを延伸処理する
延伸法、放射線を高分子フィルムに照射して孔を形成す
る放射線照射法、溶媒に可溶な高分子又は無機塩類と前
記溶媒に不溶な高分子とからなるフィルムから、前記溶
媒により可溶な成分を抽出除去して孔を形成する抽出
法、高分子粒子を部分融着したりバインダーなどで固め
て粒子間の間隙を孔として利用する焼結法等により製造
することができる。
【0037】これらの方法のうち、良溶媒と貧溶媒とを
用いて高分子をミクロ相分離させる相分離法が好ましく
使用され、ミクロ層分離法には、例えば、乾式相転換法
(主として重合体、この重合体に対する良溶媒、及びこ
の重合体に対する貧溶媒でかつ前記良溶媒よりも高沸点
である溶媒で構成されている塗布液を塗布後、乾燥する
ことにより多孔質層を得る方法)や、湿式相転換法(少
なくとも前記重合体に対する良溶媒を含む塗布液を流延
又は塗布し、前記重合体に対する貧溶媒に浸漬して、相
分離を生じさせて多孔質層を形成得る方法)等が含まれ
るが、乾式相転換法が量産性に優れているので、特に好
ましく使用される。
【0038】乾式相転換法による多孔質層の製造方法
は、より詳細には、次の通りである。重合体、この重合
体に対する良溶媒、及びこのこの重合体に対する貧溶媒
でかつ前記良溶媒よりも高沸点である溶媒で構成されて
いる塗布液を基材上に塗布し、乾燥を行うと沸点の低い
良溶媒が先に蒸発する。その際に、この良溶媒の蒸発の
進行に伴い、重合体の溶解性は低下し、重合体はミセル
を形成し貧溶媒相と相分離する。さらに、貧溶媒の蒸発
が進むと、ミセル同士が接触して網目構造が形成され、
貧溶媒の蒸発の完了により、多孔質層が形成される。
【0039】良溶媒は、高分子の種類などに応じて選択
でき、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン等のC3-6ジアルキルケトン、シク
ロヘキサノンなど)、エステル類(ギ酸エチルなどのギ
酸C1-4アルキルエステル、酢酸メチル、酢酸エチル、
酢酸ブチル等の酢酸C1-4アルキルエステル、プロピオ
ン酸エチル、乳酸エチル等)、エーテル類(1,4−ジ
オキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキ
シエタン等の環状又は鎖状C4-6エーテル)、セロソル
ブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセ
ロソルブ等のC1-4アルキルセロソルブ)、セロソルブ
アセテート類(メチルセロソルブアセテート、エチルセ
ロソルブアセテート等のC1-4アルキルセロソルブアセ
テート)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キ
シレン等)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、塩
化エチレン等)、アミド類(ホルムアミド、アセトアミ
ド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキ
シドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニ
トリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル等)、有機酸
類(ギ酸、酢酸、プロピオン酸等)、有機酸無水物(無
水マレイン酸、無水酢酸等)、及びこれらの混合物等が
例示できる。なお、良溶媒[例えば、低級アルコール類
(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパ
ノール、ブタノール等のC1-4アルキルアルコール、ジ
アセトンアルコール等)、シクロアルカノール(シクロ
ペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキ
サノール、ジメチルシクロヘキサノール等のC1-4アル
キル基が置換していてもよいC4-8シクロアルカノー
ル)等]は、樹脂の種類によっては、貧溶媒となる場合
がある。良溶媒は、ニトロ化合物(ニトロメタン、ニト
ロエタン、ニトロプロパン等ど)などを含んでいてもよ
い。
【0040】より具体的には、重合体としてセルロース
系誘導体を用いる場合、好ましい良溶媒には、C3-6
アルキルケトン(アセトン、メチルエチルケトン等)、
酢酸C1-4アルキルエステル(酢酸エチル、酢酸ブチル
等)、環状又は鎖状C4-6エーテル(ジオキサン、ジメ
トキシエタン等)、C1-4アルキルセロソルブ類(メチ
ルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート等)、又は
これらの混合物、特にアセトンなどのC3-6ジアルキル
ケトンが好ましい。
【0041】貧溶媒とは、使用する重合体に対する溶解
性がないか、又は溶解性の低い溶媒を意味し、種類は、
上記良溶媒よりも沸点が高ければ、特に制限されない。
貧溶媒としては、例えば、水、エステル類(ギ酸アミ
ル、ギ酸イソアミル等のギ酸C 5-8アルキルエステル、
酢酸アミル、酢酸へキシル、酢酸オクチル、酢酸3−メ
トキシブチル、酢酸3−エトキシブチル、プロピオン酸
ブチル、プロピオン酸3−メトキシブチル等のC1-4
ルコキシル基を有してもよいC2-4脂肪族カルボン酸C
6-10アルキルエステル、安息香酸メチル、安息香酸エチ
ル、安息香酸プロピル等の安息香酸C1-4アルキルエス
テル類)、アルコール類(アミルアルコールなどのC
6-10アルコール類、複素環式アルコール等)、脂肪族多
価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、グリセリン等)、及びこれらの混合物などが例示で
きる。
【0042】より具体的には、重合体としてセルロース
系誘導体を用いる場合、好ましい貧溶媒には、水、低級
アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、ブタノール等のC1-4アルキル
アルコール等)、ギ酸C5-8アルキルエステル(ギ酸ア
ミルなど)、シクロアルカノール(シクロペンタノー
ル、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、
ジメチルシクロヘキサノール等のC1-4アルキル基が置
換していてもよいC4-8シクロアルカノール)、安息香
酸C1-4アルキルエステル類(安息香酸エチル、安息香
酸エチル等)、又はこれらの混合物、特に水、又は水と
他の貧溶媒(プロパノールなどの低級アルコール類や、
シクロヘキサノールなどのシクロアルカノール等)との
混合物が好ましい。
【0043】塗布液中の良溶媒と貧溶媒との割合は、重
合体の均一溶液を形成できる限り特に制限されず、目的
とする多孔質層の空孔率などによって適宜選択すればよ
いが、通常、良溶媒100重量部に対して、貧溶媒0〜
300重量部程度、好ましくは3〜250重量部程度、
さらに好ましくは5〜250重量部程度の範囲から選択
できる。
【0044】塗布液中の重合体の含有量は、重合体の重
合度などに応じて選択でき、例えば、1〜30重量%、
好ましくは1〜25重量%、特に3〜20重量%(例え
ば、3〜15重量%)程度の範囲から選択できる。
【0045】塗布液中には、本発明の特性を損なわない
範囲で慣用の添加剤、例えば、消泡剤、塗布性改良剤、
増粘剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、
アンチブロッキング剤等を添加してもよい。
【0046】前記重合体、良溶媒及び貧溶媒の混合方法
は、常法により、重合体を良溶媒に添加して溶解し、貧
溶媒を添加して攪拌混合するなどの方法で行うことがで
きる。
【0047】多孔質層の塗布方法は、特に限定されず、
ロールコーティング、エアナイフコーティング、ブレー
ドコーティング、ロッドコーティング、バーコーティン
グ、コンマコーティング、グラビアコーティング法等の
公知の方法を適用することができる。
【0048】多孔質層の乾燥方法は、特に限定されず、
乾式相転換法を用いる場合には、まず、良溶媒が蒸発し
て重合体がミセル化し、続いて貧溶媒の蒸発によりその
重合体のミセル同士が接触して網目構造を形成するよう
に、温度、蒸気圧等を制御する必要がある。
【0049】本発明の記録用シートにおいて、多孔質層
は基材の片面のみに形成されていてもよく、両面に形成
されていてもよい。多孔質層の形成は、基材の上に重合
体を含む塗布液を塗布し、成膜工程で多孔質層の孔を形
成してもよく、また、基材の上に、例えば、乾式相転換
法などで別途調製した多孔質層を積層してもよい。
【0050】[記録用シート]本発明の記録用シート
は、顔料インクの小滴を吐出させて記録するインクジェ
ット方式の記録用シートとして用いられる。顔料として
は、有機顔料[アゾ顔料(ピグメントイエロー、ハンザ
イエロー、ベンジジンイエロー、パーマネントレッド、
ブリリアントカーミン6B等)、フタロシアニン顔料
(フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン
等)、レーキ顔料(レーキレッド、ウォッチャンレッド
等)等]、無機顔料[カーボンブラック(例えば、アセ
チレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、
ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェン
ブラック等)などの黒色顔料、酸化チタンなどの白色顔
料、クロムエローなどの黄色顔料、酸化鉄赤などの赤色
顔料、モリブデートオレンジなどの橙色顔料、クロムグ
リーンなどの緑色顔料、紺青などの青色顔料、マンガン
バイオレットなどの紫色顔料等]等が例示できる。
【0051】顔料の平均粒径は、0.02〜1μm、好
ましくは0.05〜0.5μm、さらに好ましくは0.
1〜0.25μm程度の範囲から選択できる。顔料の平
均粒径D1と多孔質層の平均孔径D2との比は、D1/D2
=1/1〜10/1、好ましくは2/1〜8/1、さら
に好ましくは3/1〜7/1程度である。
【0052】顔料インクは、水性でも油性でもよいが、
耐候性及び耐水性の点から、油性が好ましい。油性イン
クの溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素類(直鎖又
は分岐鎖パラフィン、シクロパラフィン等)、エステル
類[酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル等の酢酸
アルキルエステル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシ
ル)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジノニル等のフタル
酸ジアルキルエステル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキ
シル)、アジピン酸ジブチル等のアジピン酸ジアルキル
エステル、セバシン酸酸ジ(2−エチルヘキシル)、セ
バシン酸ジブチル等のセバシン酸ジアルキルエステル
等]、エーテル類(ジイソプロピルエーテルなどのジア
ルキルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレン
グリコールモノフェニルエーテル等のセロソルブ類
等)、ケトン類(イソブチルメチルケトン、シクロヘキ
サノン等)等が例示できる。溶媒の沸点は、200℃以
上が好ましく、さらに好ましくは250〜400℃(特
に270〜350℃)程度である。これらの溶媒のう
ち、C10 -20パラフィン、特にC15-20パラフィンが好ま
しい。高沸点の溶媒を用いると、インクジェットプリン
ターのノズルにおける詰まりが少なくなると共に、溶媒
が蒸発せずに、速やかに多孔質層の孔内に吸収される。
【0053】顔料インクは、その他、分散剤(ノニオン
界面活性剤、アニオン界面活性剤等の界面活性剤など)
や樹脂等を含有してもよい。
【0054】本発明の記録用シートは、屋内及び屋外で
使用することができるが、表面光沢に優れるとともに、
顔料インクを用い、耐候性及び耐水性に優れるため、特
に、屋外で使用されるサインディスプレイ、標識、ポス
ター、旗等に使用するのが好ましい。
【0055】
【発明の効果】本発明では、耐水性及び耐候性に優れる
とともに、インクの吸収性及び表面光沢に優れる記録用
シートを製造できる。また、記録画像の鮮明性に優れ、
かつ記録画像の色再現性にも優れる記録用シートを製造
できる。
【0056】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0057】実施例及び比較例で得られた記録用シート
について、インク吸収性、記録画像の鮮明性、表面光
沢、色濃度を以下のように評価した。尚、重量平均分子
量は、Mwと略する。
【0058】[インク吸収性]インクジェットプリンタ
ー(セイコーインスツルメンツ(株)製、IP−400
0)を使用し、実施例及び比較例で得られた記録用シー
トに、顔料タイプ油性インク[シアン、イエロー、マゼ
ンタ、ブラックの各色の顔料粉(平均孔径0.15μ
m)及びC16-17パラフィンを含む]を印刷し、記録画
像を形成した。印刷後、印刷面上にPPC用紙(富士ゼ
ロックス(株)製)を載せ、コピー用紙の上から荷重2
50g/cm2(2450Pa)を10秒間かけた後、
PPC用紙を剥がし、インクの裏移りの程度を目視で判
断し、裏移りが認められなくなるまでの時間を測定し、
以下の基準で評価した。
【0059】○:10秒以内で乾燥する △:5分以内で乾燥する ×:5分を超えても乾燥しない。
【0060】[画像の鮮明性]インク吸収性試験と同様
のインク及びインクジェットプリンターを使用し、実施
例及び比較例で得られた記録用シートに、イエロー、マ
ゼンタ、シアン、ブラックの各色に、1ptの前記4色
のラインがそれぞれ重なるようなカラーパターンで印字
した後、滲みの程度を目視で観察し、以下の基準で評価
した。
【0061】○:滲みなし △:若干滲みあり ×:激しく滲み、実用に耐えない。
【0062】[表面光沢]実施例及び比較例で得られた
記録用シートの75°の光沢度を光沢度計で測定した。
【0063】[色濃度]インク吸収性試験と同様のイン
ク及びインクジェットプリンターを使用し、実施例及び
比較例で得られた記録用シートに、イエロー、マゼン
タ、シアン、ブラックの各色をべたで印刷し、マクベス
色濃度計でブラックの測定した。測定結果としては、ブ
ラックの色濃度を示した。
【0064】実施例1 厚さ100μmのコロナ処理されたポリエチレンテレフ
タレートフィルム(三菱ポリエステルフィルム(株)
製、ダイヤホイルW200)の片面上に、以下に示す樹
脂組成物aを乾燥後の厚みが30μmになるように塗布
した後、30℃で7分間乾燥し、次いで70℃の乾燥機
内で1分間乾燥した。得られた記録用シートは、表面に
平均孔径0.07μmの孔が高密度に存在し、空孔率5
2%であった。この記録用シートの評価結果を表1に示
す。
【0065】[樹脂組成物a] セルロースアセテートプロピオネート(Mw7.5
万):6重量部 メチルエチルケトン:34重量部 1−プロパノール:40重量部 水:20重量部。
【0066】実施例2 樹脂組成物aを以下に示す樹脂組成物bに変更する以外
は実施例1と同様にして記録用シートを得た。得られた
記録用シートは、表面に平均孔径0.03μmの孔が高
密度に存在し、空孔率46%であった。この記録用シー
トの評価結果を表1に示す。
【0067】[樹脂組成物b] セルロースアセテートブチレート(Mw5万):12重
量部 アセトン:35重量部 2−プロパノール:35重量部 水:18重量部。
【0068】実施例3 樹脂組成物aを以下に示す樹脂組成物cに変更する以外
は実施例1と同様にして記録用シートを得た。得られた
記録用シートは、表面に平均孔径0.08μmの孔が高
密度に存在し、空孔率49%であった。この記録用シー
トの評価結果を表1に示す。
【0069】[樹脂組成物c] 酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−7
0):12重量部 アセトン:30重量部 1−プロパノール:40重量部 水:18重量部。
【0070】比較例1 厚さ100μmのコロナ処理されたポリエチレンテレフ
タレートフィルム(三菱ポリエステルフィルム(株)
製、ダイヤホイルW200)の片面上に、以下に示す樹
脂組成物dを乾燥後の厚みが30μmになるように塗布
した後、100℃の乾燥機内で3分間乾燥した。得られ
た記録用シートの表面に孔は存在しなかった。この記録
用シートの評価結果を表1に示す。
【0071】[樹脂組成物d] スチレン−ブタジエンゴム(日本ゼオン(株)製、15
02):10重量部 トルエン:90重量部。
【0072】比較例2 樹脂組成物dを以下に示す樹脂組成物eに変更する以外
は比較例1と同様にして記録用シートを得た。得られた
記録用シートは、表面に平均孔径12μmの孔が高密度
に存在し、空孔率22%であった。この記録用シートの
評価結果を表1に示す。
【0073】[樹脂組成物e] スチレン−ブタジエンゴム(日本ゼオン(株)製、15
02):10重量部 シリカ粒子(富士シリシア化学(株)、サイリシア43
0):30重量部 トルエン:90重量部。
【0074】比較例3 樹脂組成物dを以下に示す樹脂組成物fに変更する以外
は比較例1と同様にして記録用シートを得た。得られた
記録用シートの表面に孔は存在しなかった。この記録用
シートの評価結果を表1に示す。
【0075】[樹脂組成物f] セルロースアセテートプロピオネート(Mw7.5
万):15重量部 アセトン:85重量部。
【0076】比較例4 厚さ100μmのコロナ処理されたポリエチレンテレフ
タレートフィルム(三菱ポリエステルフィルム(株)
製、ダイヤホイルW200)の片面上に、以下に示す樹
脂組成物gを乾燥後の厚みが30μmになるように塗布
した後、30℃で7分間乾燥し、次いで70℃の乾燥機
内で1分間乾燥した。得られた記録用シートは、表面に
平均孔径1.4μmの孔が高密度に存在し、空孔率56
%であった。この記録用シートの評価結果を表1に示
す。
【0077】[樹脂組成物g] 酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−7
0):10重量部 アセトン:60重量部 1−プロパノール:40重量部。
【0078】
【表1】
【0079】表1の結果から明らかなように、実施例の
記録用シートは、インク吸収性、画像鮮明性、表面光沢
及び色濃度が良好である。これに対して、比較例1の記
録用シートは、油性インクで膨潤する樹脂なので、イン
ク吸収性が不充分である。比較例2の記録用シートは、
無機粒子を含有しているため、表面光沢が著しく低い。
比較例3の記録用シートは、孔が形成されていないの
で、インク吸収性、画像鮮明性及び色濃度が不充分であ
る。比較例4の記録用シートは、孔径が大きすぎるの
で、画像鮮明性、表面光沢及び色濃度が不充分である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FC06 2H086 BA15 BA34 BA41 BA52 BA55 BA60 4F100 AJ04B AK01B AK41A AK42 AT00A BA02 DJ00B EH462 EJ862 JB05B JD14 YY00B

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の少なくとも一方の面に、樹脂で構
    成され、かつ空孔率40〜80%で及び平均孔径0.0
    05〜0.2μmの多孔質層を有し、顔料インクにより
    画像を形成するためのシートであって、顔料の平均粒径
    1と多孔質層の平均孔径D2とが、D1≧D2であり、か
    つ75°の表面光沢が50〜90である顔料インクジェ
    ット記録用シート。
  2. 【請求項2】 顔料の平均粒径D1と多孔質層の平均孔
    径D2との比が、D1/D2=1/1〜10/1である請
    求項1記載の記録用シート。
  3. 【請求項3】 顔料の平均粒径が0.02〜1μmであ
    り、多孔質層の平均孔径が0.01〜0.2μmである
    請求項1記載の記録用シート。
  4. 【請求項4】 多孔質層の空孔率が40〜70%である
    請求項1記載の記録用シート。
  5. 【請求項5】 多孔質層が親水性樹脂で構成されている
    請求項1記載の記録用シート。
  6. 【請求項6】 多孔質層がセルロース系樹脂で構成され
    ている請求項1記載の記録用シート。
  7. 【請求項7】 多孔質層が、相転換法によるミクロ相分
    離構造を有している請求項1記載の記録用シート。
  8. 【請求項8】 顔料インクが油性インクである請求項1
    記載の記録用シート。
  9. 【請求項9】 顔料インクの溶媒の沸点が200℃以上
    である請求項1記載の記録用シート。
  10. 【請求項10】 基材の少なくとも一方の面に、セルロ
    ース系樹脂で構成され、かつ空孔率50〜70%及び平
    均孔径0.01〜0.1μmの多孔質層を有し、顔料イ
    ンクにより画像を形成するためのシートであって、顔料
    の平均粒径D 1と多孔質層の平均孔径D2との比が、D1
    /D2=2/1〜8/1であり、75°の表面光沢が6
    0〜90であり、かつ平均粒径0.05〜0.5μmの
    顔料及び沸点250〜400℃の溶媒で構成された油性
    インクを用いるインクジェット記録用シート。
  11. 【請求項11】 基材シートの少なくとも一方の面に、
    樹脂、この樹脂の良溶媒及び貧溶媒を含む樹脂溶液を塗
    布した後、相転換法により多孔質層を形成する記録用シ
    ートの製造方法。
  12. 【請求項12】 樹脂がセルロース系樹脂であり、かつ
    樹脂の貧溶媒が、水、又は水と他の貧溶媒との混合物で
    ある請求項8記載の方法。
  13. 【請求項13】 請求項1記載の記録用シートに、顔料
    インクを印字して画像を形成する方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2004030072A1 (ja) * 2002-09-25 2006-01-26 コニカミノルタホールディングス株式会社 電気回路、薄膜トランジスタ、電気回路の製造方法及び薄膜トランジスタの製造方法
WO2007055347A1 (ja) * 2005-11-08 2007-05-18 Zeon Kasei Co., Ltd. インクジェット被記録材料

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