JP2002256407A - 黒色を呈する溶融アルミニウムめっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents
黒色を呈する溶融アルミニウムめっき鋼板及びその製造方法Info
- Publication number
- JP2002256407A JP2002256407A JP2001061816A JP2001061816A JP2002256407A JP 2002256407 A JP2002256407 A JP 2002256407A JP 2001061816 A JP2001061816 A JP 2001061816A JP 2001061816 A JP2001061816 A JP 2001061816A JP 2002256407 A JP2002256407 A JP 2002256407A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hot
- steel sheet
- dip aluminum
- dip
- plated steel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Coating With Molten Metal (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 環境や周辺部材との調和性に優れ、熱吸収性
も良好な黒色色調が付与された溶融アルミニウムめっき
鋼板を提供する。 【構成】 Ｓｉ：３〜１５質量％，Ｆｅ：１．０〜５．
０質量％を含む溶融アルミニウムめっき層の上に明度Ｌ
値６０以下の黒色皮膜が設けられている。溶融アルミニ
ウムめっき鋼板を熱水に浸漬することにより、Ｓｉ及び
Ｆｅの化合物を含む皮膜が溶融アルミニウムめっき層の
表面に生成し、Ｌ値６０以下の黒色色調が溶融アルミニ
ウムめっき鋼板に付与される。
も良好な黒色色調が付与された溶融アルミニウムめっき
鋼板を提供する。 【構成】 Ｓｉ：３〜１５質量％，Ｆｅ：１．０〜５．
０質量％を含む溶融アルミニウムめっき層の上に明度Ｌ
値６０以下の黒色皮膜が設けられている。溶融アルミニ
ウムめっき鋼板を熱水に浸漬することにより、Ｓｉ及び
Ｆｅの化合物を含む皮膜が溶融アルミニウムめっき層の
表面に生成し、Ｌ値６０以下の黒色色調が溶融アルミニ
ウムめっき鋼板に付与される。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、環境や周囲の部材と調
和する黒色の色調が付与され、熱吸収性も良好な溶融ア
ルミニウムめっき鋼板及びその製造方法に関する。
和する黒色の色調が付与され、熱吸収性も良好な溶融ア
ルミニウムめっき鋼板及びその製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】溶融アルミニウムめっき鋼板は、耐食
性，耐熱性に優れた溶融アルミニウムめっき層の特性を
活用し、過酷な腐食雰囲気に曝される構造部材，建築用
部材，加熱機器構造材，燃焼ガス排気系等、広範な分野
で使用されている。溶融アルミニウムめっき鋼板は、工
場や倉庫の屋根材，壁材等に広く使用されている。しか
し、溶融めっきしたままの状態では金属光沢のある銀白
色を呈するため、一般住宅用途では高い金属光沢や銀白
色が環境との調和に欠けることが嫌われ、防眩性の点で
も問題視されることがある。調理器具等の加熱機器に使
用する用途では、溶融アルミニウムめっき層表面の熱反
射率が高いことから加熱効率を低下させる原因になる。
マフラー等の燃焼ガス排気系に使用すると、溶融アルミ
ニウムめっき鋼板製鋼管の金属光沢が強く、嗜好性が要
求される自動車やオートバイにあっては商品価値を損な
いかねない。
性，耐熱性に優れた溶融アルミニウムめっき層の特性を
活用し、過酷な腐食雰囲気に曝される構造部材，建築用
部材，加熱機器構造材，燃焼ガス排気系等、広範な分野
で使用されている。溶融アルミニウムめっき鋼板は、工
場や倉庫の屋根材，壁材等に広く使用されている。しか
し、溶融めっきしたままの状態では金属光沢のある銀白
色を呈するため、一般住宅用途では高い金属光沢や銀白
色が環境との調和に欠けることが嫌われ、防眩性の点で
も問題視されることがある。調理器具等の加熱機器に使
用する用途では、溶融アルミニウムめっき層表面の熱反
射率が高いことから加熱効率を低下させる原因になる。
マフラー等の燃焼ガス排気系に使用すると、溶融アルミ
ニウムめっき鋼板製鋼管の金属光沢が強く、嗜好性が要
求される自動車やオートバイにあっては商品価値を損な
いかねない。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】黒色の塗膜を設けるこ
とによって溶融アルミニウムめっき鋼板の金属光沢及び
銀白色の色調を隠蔽できるが、紫外線照射等の環境に曝
されると塗膜の化学反応，光化学反応によって明度や色
調が劣化する。また、塗膜で色調を付与した溶融アルミ
ニウムめっき鋼板にあっては、塗膜の耐熱性から用途が
拘束される。塗膜によらず金属光沢を抑える方法として
サンドブラスト，ショットブラスト等があるが、これら
の方法では環境と調和しやすい色調を溶融アルミニウム
めっき鋼板に付与できない。基材がアルミニウムの場
合、沸騰水浸漬によって黒色色調を付与する方法も知ら
れているが、所定明度を得るために長時間の浸漬処理が
必要である。
とによって溶融アルミニウムめっき鋼板の金属光沢及び
銀白色の色調を隠蔽できるが、紫外線照射等の環境に曝
されると塗膜の化学反応，光化学反応によって明度や色
調が劣化する。また、塗膜で色調を付与した溶融アルミ
ニウムめっき鋼板にあっては、塗膜の耐熱性から用途が
拘束される。塗膜によらず金属光沢を抑える方法として
サンドブラスト，ショットブラスト等があるが、これら
の方法では環境と調和しやすい色調を溶融アルミニウム
めっき鋼板に付与できない。基材がアルミニウムの場
合、沸騰水浸漬によって黒色色調を付与する方法も知ら
れているが、所定明度を得るために長時間の浸漬処理が
必要である。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、溶融アルミニウ
ムめっき鋼板を熱水に浸漬するだけの簡単な処理で、明
度がＬ値６０以下と低く、環境や周辺部材との調和性に
優れ、塗装製品では得られない高級感，重厚感があり、
熱吸収性も良好な黒色溶融アルミニウムめっき鋼板を提
供することを目的とする。
題を解消すべく案出されたものであり、溶融アルミニウ
ムめっき鋼板を熱水に浸漬するだけの簡単な処理で、明
度がＬ値６０以下と低く、環境や周辺部材との調和性に
優れ、塗装製品では得られない高級感，重厚感があり、
熱吸収性も良好な黒色溶融アルミニウムめっき鋼板を提
供することを目的とする。
【０００５】本発明の溶融アルミニウムめっき鋼板は、
その目的を達成するため、Ｓｉ：３〜１５質量％，Ｆ
ｅ：１．０〜５．０質量％を含む溶融アルミニウムめっ
き層が鋼板表面に形成されており、熱水浸漬によって生
成した明度Ｌ値６０以下の黒色皮膜が溶融アルミニウム
めっき層の表層に設けられていることを特徴とする。溶
融アルミニウムめっき鋼板を熱水に浸漬すると、Ｓｉ及
びＦｅの化合物を含む皮膜を溶融アルミニウムめっき層
の表面に生成し、溶融アルミニウムめっき鋼板に黒色色
調が付与される。
その目的を達成するため、Ｓｉ：３〜１５質量％，Ｆ
ｅ：１．０〜５．０質量％を含む溶融アルミニウムめっ
き層が鋼板表面に形成されており、熱水浸漬によって生
成した明度Ｌ値６０以下の黒色皮膜が溶融アルミニウム
めっき層の表層に設けられていることを特徴とする。溶
融アルミニウムめっき鋼板を熱水に浸漬すると、Ｓｉ及
びＦｅの化合物を含む皮膜を溶融アルミニウムめっき層
の表面に生成し、溶融アルミニウムめっき鋼板に黒色色
調が付与される。
【０００６】
【作用】本発明が対象とする溶融アルミニウムめっき鋼
板は、Ｓｉ：３〜１５質量％，Ｆｅ：１．０〜５．０質
量％を含む溶融アルミニウムめっき層が鋼板表面に形成
されている。この溶融アルミニウムめっき鋼板を熱水に
浸漬すると、短時間で明度Ｌ値６０以下の黒色色調が付
与される。沸騰水浸漬処理でアルミニウム材料に黒色を
付与すること自体は、特公昭５５−３６２７１号公報，
特開平３−２３６１０９号公報等で知られているところ
であるが、何れもアルミニウム材料を基材としている。
そのため、溶融アルミニウムめっき鋼板を熱水浸漬する
場合に比較して、必要な明度の色調を得るため長時間の
浸漬処理が必要になる。因みに、特公昭５５−３６２７
１号公報では、Ｆｅイオンを含む沸騰水を使用すること
によってベーマイト（Ａｌ2Ｏ3・Ｈ2Ｏ）の生成を促進さ
せているが、この場合でも３０分程度の長時間浸漬が必
要とされている。
板は、Ｓｉ：３〜１５質量％，Ｆｅ：１．０〜５．０質
量％を含む溶融アルミニウムめっき層が鋼板表面に形成
されている。この溶融アルミニウムめっき鋼板を熱水に
浸漬すると、短時間で明度Ｌ値６０以下の黒色色調が付
与される。沸騰水浸漬処理でアルミニウム材料に黒色を
付与すること自体は、特公昭５５−３６２７１号公報，
特開平３−２３６１０９号公報等で知られているところ
であるが、何れもアルミニウム材料を基材としている。
そのため、溶融アルミニウムめっき鋼板を熱水浸漬する
場合に比較して、必要な明度の色調を得るため長時間の
浸漬処理が必要になる。因みに、特公昭５５−３６２７
１号公報では、Ｆｅイオンを含む沸騰水を使用すること
によってベーマイト（Ａｌ2Ｏ3・Ｈ2Ｏ）の生成を促進さ
せているが、この場合でも３０分程度の長時間浸漬が必
要とされている。
【０００７】これに対し、Ｓｉ及びＦｅを含む溶融アル
ミニウムめっき層が形成されている溶融アルミニウムめ
っき鋼板を熱水に浸漬すると、アルミニウム水和酸化物
皮膜がめっき層の表層に形成される。このアルミニウム
水和酸化物皮膜が短時間で黒色化する理由は次のように
推察される。めっき層にＳｉ及びＦｅを含む溶融アルミ
ニウムめっき鋼板は、めっき層の凝固過程でめっき浴と
の反応によって素地鋼板の表層部に形成されたＡｌ−Ｆ
ｅ−Ｓｉ系合金層の上層で核発生が生じ、α−Ａｌ相が
樹枝状に成長すると共にＦｅ系化合物も析出開始する。
更に凝固が進行すると、最終凝固部となるめっき層表層
部にＳｉが晶出し、Ｆｅ系化合物も表層部に押し出され
ながら凝固が完了する。したがって、めっき層表層部に
Ｓｉ及びＦｅ系の化合物が著しく濃化する。めっき層の
表層部に濃化している微細なＳｉ及びＦｅ系の化合物
は、水和酸化物皮膜の成長過程で皮膜に取り込まれる。
皮膜に取り込まれたＳｉ及びＦｅ系の化合物は、入射光
の散乱を促進させ、めっき層表層に黒色の色調を付与す
る。
ミニウムめっき層が形成されている溶融アルミニウムめ
っき鋼板を熱水に浸漬すると、アルミニウム水和酸化物
皮膜がめっき層の表層に形成される。このアルミニウム
水和酸化物皮膜が短時間で黒色化する理由は次のように
推察される。めっき層にＳｉ及びＦｅを含む溶融アルミ
ニウムめっき鋼板は、めっき層の凝固過程でめっき浴と
の反応によって素地鋼板の表層部に形成されたＡｌ−Ｆ
ｅ−Ｓｉ系合金層の上層で核発生が生じ、α−Ａｌ相が
樹枝状に成長すると共にＦｅ系化合物も析出開始する。
更に凝固が進行すると、最終凝固部となるめっき層表層
部にＳｉが晶出し、Ｆｅ系化合物も表層部に押し出され
ながら凝固が完了する。したがって、めっき層表層部に
Ｓｉ及びＦｅ系の化合物が著しく濃化する。めっき層の
表層部に濃化している微細なＳｉ及びＦｅ系の化合物
は、水和酸化物皮膜の成長過程で皮膜に取り込まれる。
皮膜に取り込まれたＳｉ及びＦｅ系の化合物は、入射光
の散乱を促進させ、めっき層表層に黒色の色調を付与す
る。
【０００８】
【実施の形態】溶融アルミニウムめっき層に含まれてい
るＳｉ及びＦｅ系化合物は、熱水浸漬によって形成され
るアルミニウム水和酸化物皮膜に混入し、皮膜の黒色度
を上げる。黒色度向上は、３質量％以上のＳｉ及び１．
０質量％以上のＦｅで顕著になる。しかし、１５質量％
を超える過剰量のＳｉが溶融アルミニウムめっき層に含
まれると、溶融状態の溶融めっき金属が凝固する際に粗
大な硬質の初晶Ｓｉが生成しやすく、溶融アルミニウム
めっき鋼板の加工性を著しく低下させる。黒色化に及ぼ
すＦｅの影響は、Ｆｅ含有量５．０質量％で飽和する。
５．０質量％を超える過剰量のＦｅを溶融アルミニウム
めっき層に含ませることは、却って溶融アルミニウムめ
っき鋼板自体の耐食性に悪影響を及ぼす。
るＳｉ及びＦｅ系化合物は、熱水浸漬によって形成され
るアルミニウム水和酸化物皮膜に混入し、皮膜の黒色度
を上げる。黒色度向上は、３質量％以上のＳｉ及び１．
０質量％以上のＦｅで顕著になる。しかし、１５質量％
を超える過剰量のＳｉが溶融アルミニウムめっき層に含
まれると、溶融状態の溶融めっき金属が凝固する際に粗
大な硬質の初晶Ｓｉが生成しやすく、溶融アルミニウム
めっき鋼板の加工性を著しく低下させる。黒色化に及ぼ
すＦｅの影響は、Ｆｅ含有量５．０質量％で飽和する。
５．０質量％を超える過剰量のＦｅを溶融アルミニウム
めっき層に含ませることは、却って溶融アルミニウムめ
っき鋼板自体の耐食性に悪影響を及ぼす。
【０００９】溶融アルミニウムめっき層は、Ｓｉ，Ｆｅ
以外にもＭｇ，Ｍｎ，Ｃｕ，Ｎｉ，Ｃｒ，Ｖ，Ｔｉ，Ｚ
ｒ，Ｐ，Ｎａ，Ｓｂ，Ｓｒ等を含んでも良い。所定量の
Ｓｉ及びＦｅを含む溶融アルミニウムめっき層を熱水に
浸漬処理するとき、Ｓｉ及びＦｅの化合物混入によって
黒色度の高い皮膜が形成される。熱水としては、６０℃
〜沸騰点の温度域に保持した水道用水，工業用水等が使
用される。なかでも、リン酸イオンＰＯ4 3-やＣａ，Ｍ
ｇ，Ｆｅ等の金属イオンを含む熱水を使用すると、浸漬
処理中に熱水から金属イオンがアルミニウム水和酸化物
皮膜に取り込まれ、生成した皮膜の明度が一層低下す
る。これらイオンが黒色化に及ぼす影響は、１０ｐｐｍ
以上の濃度で顕著になる。
以外にもＭｇ，Ｍｎ，Ｃｕ，Ｎｉ，Ｃｒ，Ｖ，Ｔｉ，Ｚ
ｒ，Ｐ，Ｎａ，Ｓｂ，Ｓｒ等を含んでも良い。所定量の
Ｓｉ及びＦｅを含む溶融アルミニウムめっき層を熱水に
浸漬処理するとき、Ｓｉ及びＦｅの化合物混入によって
黒色度の高い皮膜が形成される。熱水としては、６０℃
〜沸騰点の温度域に保持した水道用水，工業用水等が使
用される。なかでも、リン酸イオンＰＯ4 3-やＣａ，Ｍ
ｇ，Ｆｅ等の金属イオンを含む熱水を使用すると、浸漬
処理中に熱水から金属イオンがアルミニウム水和酸化物
皮膜に取り込まれ、生成した皮膜の明度が一層低下す
る。これらイオンが黒色化に及ぼす影響は、１０ｐｐｍ
以上の濃度で顕著になる。
【００１０】熱水浸漬処理は、６０℃〜沸騰点の温度域
で実施することが好ましい。浸漬温度が６０℃を下回る
と、めっき層表層と熱水との反応が遅延し、必要な黒色
度をもつ皮膜の生成に長時間を要する。Ｌ値６０以下の
黒色皮膜は、溶融アルミニウムめっき鋼板を熱水に５分
以上浸漬することによって生成する。黒色皮膜は浸漬時
間が長くなるほど厚く成長し、Ｌ値も低下する。皮膜が
膜厚０．０５μｍ程度に成長すると、黒色色調が発現す
る。
で実施することが好ましい。浸漬温度が６０℃を下回る
と、めっき層表層と熱水との反応が遅延し、必要な黒色
度をもつ皮膜の生成に長時間を要する。Ｌ値６０以下の
黒色皮膜は、溶融アルミニウムめっき鋼板を熱水に５分
以上浸漬することによって生成する。黒色皮膜は浸漬時
間が長くなるほど厚く成長し、Ｌ値も低下する。皮膜が
膜厚０．０５μｍ程度に成長すると、黒色色調が発現す
る。
【００１１】黒色色調が付与された溶融アルミニウムめ
っき鋼板は、熱水浸漬処理後に乾燥される。乾燥条件
は、自然乾燥（換言すると、熱水から引き上げた溶融ア
ルミニウムめっき鋼板を放置）或いは温風を吹き付ける
強制乾燥の何れであってもよい。形成された黒色皮膜
は、通常の塗装製品と比較すると長期にわたってＬ値６
０以下の安定した黒色色調を維持する。熱水浸漬後の乾
燥だけで必要とする黒色色調が付与され、特公平５５−
３６２７１号公報のように沸騰水浸漬処理後の水蒸気雰
囲気下における加熱処理を必要としないことから、プロ
セス自体も簡略化される。
っき鋼板は、熱水浸漬処理後に乾燥される。乾燥条件
は、自然乾燥（換言すると、熱水から引き上げた溶融ア
ルミニウムめっき鋼板を放置）或いは温風を吹き付ける
強制乾燥の何れであってもよい。形成された黒色皮膜
は、通常の塗装製品と比較すると長期にわたってＬ値６
０以下の安定した黒色色調を維持する。熱水浸漬後の乾
燥だけで必要とする黒色色調が付与され、特公平５５−
３６２７１号公報のように沸騰水浸漬処理後の水蒸気雰
囲気下における加熱処理を必要としないことから、プロ
セス自体も簡略化される。
【００１２】
【実施例】Ｓｉ含有量及びＦｅ含有量が種々異なる膜厚
３０μｍの溶融アルミニウムめっき層を設けた溶融アル
ミニウムめっき鋼板を用意した。浸漬処理用の熱水とし
ては、６０〜１００℃に加熱保持した水道水を使用し
た。溶融アルミニウムめっき鋼板を熱水に５分間浸漬し
た後、熱水から引き上げ、自然乾燥させた。自然乾燥し
た溶融アルミニウムめっき鋼板の表面を観察し、色差計
を用いて明度Ｌ値を測定した。また、各溶融アルミニウ
ムめっき鋼板に曲げ角度１８０度の２ｔ曲げ試験を施し
た後、曲げ部外側のめっき層を観察し、クラックの発生
程度を調査した。僅かにクラックが発生したものを○，
クラックが発生したものを×として、溶融アルミニウム
めっき鋼板の加工性を評価した。
３０μｍの溶融アルミニウムめっき層を設けた溶融アル
ミニウムめっき鋼板を用意した。浸漬処理用の熱水とし
ては、６０〜１００℃に加熱保持した水道水を使用し
た。溶融アルミニウムめっき鋼板を熱水に５分間浸漬し
た後、熱水から引き上げ、自然乾燥させた。自然乾燥し
た溶融アルミニウムめっき鋼板の表面を観察し、色差計
を用いて明度Ｌ値を測定した。また、各溶融アルミニウ
ムめっき鋼板に曲げ角度１８０度の２ｔ曲げ試験を施し
た後、曲げ部外側のめっき層を観察し、クラックの発生
程度を調査した。僅かにクラックが発生したものを○，
クラックが発生したものを×として、溶融アルミニウム
めっき鋼板の加工性を評価した。
【００１３】表１の調査結果にみられるように、本発明
で規定した範囲でＳｉ及びＦｅを含む溶融アルミニウム
めっき層が形成されている溶融アルミニウムめっき鋼板
を熱水浸漬処理したものでは、何れもＬ値が６０以下と
黒色度の高い色調が付与されていた。また、曲げ試験の
結果から、加工性も良好なことが判った。なお、めっき
層の組成は、ＮａＯＨ水溶液を用いてめっき層を溶解
し、ＩＣＰ発光分光法で測定した。これに対し、Ｆｅ含
有量が少ない溶融アルミニウムめっき層に形成された皮
膜（試験番号１，５，９，１３）は、Ｌ値が６０を下回
らず、明度低下が不充分な皮膜が形成されていた。
で規定した範囲でＳｉ及びＦｅを含む溶融アルミニウム
めっき層が形成されている溶融アルミニウムめっき鋼板
を熱水浸漬処理したものでは、何れもＬ値が６０以下と
黒色度の高い色調が付与されていた。また、曲げ試験の
結果から、加工性も良好なことが判った。なお、めっき
層の組成は、ＮａＯＨ水溶液を用いてめっき層を溶解
し、ＩＣＰ発光分光法で測定した。これに対し、Ｆｅ含
有量が少ない溶融アルミニウムめっき層に形成された皮
膜（試験番号１，５，９，１３）は、Ｌ値が６０を下回
らず、明度低下が不充分な皮膜が形成されていた。
【００１４】Ｓｉ含有量が少ない溶融アルミニウムめっ
き層に形成された皮膜（試験番号１７〜２４）も、Ｌ値
が６０を下回らず、明度低下が不充分な皮膜が形成され
ていた。また、Ｓｉ含有量の低下に伴って下地鋼／溶融
アルミニウムめっき層の界面にＡｌ−Ｆｅ−Ｓｉの合金
層が厚く成長したため、曲げ加工部に大きなクラックが
生じていた。逆にＳｉ含有量が１７．０質量％と多い試
験番号２５では、粗大な硬質の初晶Ｓｉが溶融アルミニ
ウムめっき層に晶出したため、Ｌ値＝５６と明度は低い
ものの、加工性に劣っていた。
き層に形成された皮膜（試験番号１７〜２４）も、Ｌ値
が６０を下回らず、明度低下が不充分な皮膜が形成され
ていた。また、Ｓｉ含有量の低下に伴って下地鋼／溶融
アルミニウムめっき層の界面にＡｌ−Ｆｅ−Ｓｉの合金
層が厚く成長したため、曲げ加工部に大きなクラックが
生じていた。逆にＳｉ含有量が１７．０質量％と多い試
験番号２５では、粗大な硬質の初晶Ｓｉが溶融アルミニ
ウムめっき層に晶出したため、Ｌ値＝５６と明度は低い
ものの、加工性に劣っていた。
【００１５】
【００１６】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の溶融ア
ルミニウムめっき鋼板は、熱水浸漬処理でめっき層表層
に生成する皮膜にＳｉ及びＦｅの化合物が混入している
ため、Ｌ値６０以下の黒色色調を呈する。しかも、熱水
浸漬した後、放置しておくだけの簡単な操作によって黒
色色調が付与される。黒色色調が付与された溶融アルミ
ニウムめっき鋼板は、アルミニウムめっき本来の優れた
耐食性及び耐熱性に加えて環境や周辺部材との調和性に
優れ、熱吸収にも好適な皮膜をもっているので、各種構
造部材，建材，加熱機器部材，ガス排気系部材等として
広範な分野で使用される。
ルミニウムめっき鋼板は、熱水浸漬処理でめっき層表層
に生成する皮膜にＳｉ及びＦｅの化合物が混入している
ため、Ｌ値６０以下の黒色色調を呈する。しかも、熱水
浸漬した後、放置しておくだけの簡単な操作によって黒
色色調が付与される。黒色色調が付与された溶融アルミ
ニウムめっき鋼板は、アルミニウムめっき本来の優れた
耐食性及び耐熱性に加えて環境や周辺部材との調和性に
優れ、熱吸収にも好適な皮膜をもっているので、各種構
造部材，建材，加熱機器部材，ガス排気系部材等として
広範な分野で使用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉崎 布貴男 大阪府堺市石津西町５番地 日新製鋼株式 会社技術研究所内 Ｆターム(参考） 4K027 AA05 AA22 AB48 AC82 4K044 AA06 AB02 BA10 BA13 BB01 BC09 CA11 CA62
Claims (2)
- 【請求項１】 Ｓｉ：３〜１５質量％，Ｆｅ：１．０〜
５．０質量％を含む溶融アルミニウムめっき層が鋼板表
面に形成されており、熱水浸漬によって生成した明度Ｌ
値６０以下の黒色皮膜が溶融アルミニウムめっき層の表
層に設けられていることを特徴とする黒色を呈する溶融
アルミニウムめっき鋼板。 - 【請求項２】 Ｓｉ：３〜１５質量％，Ｆｅ：１．０〜
５．０質量％を含む溶融アルミニウムめっき層が鋼板表
面に形成されている溶融アルミニウムめっき鋼板を熱水
に浸漬し、溶融アルミニウムめっき層に含まれているＳ
ｉ及びＦｅの化合物が混入した明度Ｌ値６０以下の黒色
皮膜を溶融アルミニウムめっき層の表面に生成すること
を特徴とする黒色を呈する溶融アルミニウムめっき鋼板
の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001061816A JP2002256407A (ja) | 2001-03-06 | 2001-03-06 | 黒色を呈する溶融アルミニウムめっき鋼板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001061816A JP2002256407A (ja) | 2001-03-06 | 2001-03-06 | 黒色を呈する溶融アルミニウムめっき鋼板及びその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2002256407A true JP2002256407A (ja) | 2002-09-11 |
Family
ID=18921045
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001061816A Withdrawn JP2002256407A (ja) | 2001-03-06 | 2001-03-06 | 黒色を呈する溶融アルミニウムめっき鋼板及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2002256407A (ja) |
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2004143506A (ja) * | 2002-10-23 | 2004-05-20 | Nippon Steel Corp | 外観品位に優れた溶融めっき鋼板および溶融めっき鋼板の製造方法 |
| WO2005030424A1 (ja) * | 2003-09-29 | 2005-04-07 | Nisshin Steel Co., Ltd. | 鋼／アルミニウムの接合構造体 |
| US8614008B2 (en) | 2006-04-19 | 2013-12-24 | Arcelormittal France | Plate |
| US9289855B2 (en) | 2012-05-25 | 2016-03-22 | Shiloh Industries, Inc. | Sheet metal piece having weld notch and method of forming the same |
| US9604311B2 (en) | 2012-06-29 | 2017-03-28 | Shiloh Industries, Inc. | Welded blank assembly and method |
| US9956636B2 (en) | 2013-03-14 | 2018-05-01 | Shiloh Industries, Inc. | Welded blank assembly and method |
| US10821546B2 (en) | 2012-11-30 | 2020-11-03 | Shiloh Industries, Inc. | Method of forming a weld notch in a sheet metal piece |
-
2001
- 2001-03-06 JP JP2001061816A patent/JP2002256407A/ja not_active Withdrawn
Cited By (24)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2004143506A (ja) * | 2002-10-23 | 2004-05-20 | Nippon Steel Corp | 外観品位に優れた溶融めっき鋼板および溶融めっき鋼板の製造方法 |
| WO2005030424A1 (ja) * | 2003-09-29 | 2005-04-07 | Nisshin Steel Co., Ltd. | 鋼／アルミニウムの接合構造体 |
| KR100757322B1 (ko) * | 2003-09-29 | 2007-09-11 | 닛신 세이코 가부시키가이샤 | 강/알루미늄의 접합구조체 |
| CN100434223C (zh) * | 2003-09-29 | 2008-11-19 | 日新制钢株式会社 | 钢/铝焊接构件 |
| US7906220B2 (en) | 2003-09-29 | 2011-03-15 | Nisshin Steel Co., Ltd. | Steel/aluminum welded structure |
| JP4911977B2 (ja) * | 2003-09-29 | 2012-04-04 | 日新製鋼株式会社 | 鋼／アルミニウムの接合構造体 |
| US9669491B2 (en) | 2006-04-19 | 2017-06-06 | Arcelormittal France | Method of forming a steel part and steel part |
| US10626902B2 (en) | 2006-04-19 | 2020-04-21 | Arcelormittal France | Steel part |
| US9375809B2 (en) | 2006-04-19 | 2016-06-28 | Arcelormittal France | Method of butt-welding a coated steel plate |
| US9597750B2 (en) | 2006-04-19 | 2017-03-21 | Arcelormittal France | Method for manufacturing a welded component with very high mechanical characteristics from a coated lamination sheet |
| US11154950B2 (en) | 2006-04-19 | 2021-10-26 | Arcelormittal France | Method for creating a welded steel part with uniform microstructure |
| US9669490B2 (en) | 2006-04-19 | 2017-06-06 | Arcelormittal France | Precoated steel plate, welded blank, part and methods |
| US8614008B2 (en) | 2006-04-19 | 2013-12-24 | Arcelormittal France | Plate |
| US9676061B2 (en) | 2006-04-19 | 2017-06-13 | Arcelormittal France | Methods of fabricating a precoated steel plate |
| US9682443B2 (en) | 2006-04-19 | 2017-06-20 | Arcelormittal France | Welded blank and part |
| US10626903B2 (en) | 2006-04-19 | 2020-04-21 | Arceloemittal France | Steel part |
| US10352342B2 (en) | 2006-04-19 | 2019-07-16 | Arcelormittl France | Steel part |
| US10473130B2 (en) | 2006-04-19 | 2019-11-12 | Arcelormittal France | Steel part |
| US10480554B2 (en) | 2006-04-19 | 2019-11-19 | Arcelormittal France | Steel part |
| US9289855B2 (en) | 2012-05-25 | 2016-03-22 | Shiloh Industries, Inc. | Sheet metal piece having weld notch and method of forming the same |
| US9604311B2 (en) | 2012-06-29 | 2017-03-28 | Shiloh Industries, Inc. | Welded blank assembly and method |
| US11198195B2 (en) | 2012-06-29 | 2021-12-14 | TWB Company, LLC | Welded blank assembly and method |
| US10821546B2 (en) | 2012-11-30 | 2020-11-03 | Shiloh Industries, Inc. | Method of forming a weld notch in a sheet metal piece |
| US9956636B2 (en) | 2013-03-14 | 2018-05-01 | Shiloh Industries, Inc. | Welded blank assembly and method |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP4644314B2 (ja) | 耐食性に優れる溶融Ｚｎ−Ａｌ−Ｍｇ−Ｓｉ−Ｃｒ合金めっき鋼材 | |
| KR101308168B1 (ko) | 도금 조성물, 이를 이용한 도금 강재의 제조방법 및 도금 조성물이 코팅된 도금 강재 | |
| JP2021508779A (ja) | 耐食性及び表面平滑性に優れた亜鉛合金めっき鋼材及びその製造方法 | |
| JP4919427B2 (ja) | 溶融めっき鋼板の温間加工方法 | |
| JP2001316791A (ja) | 耐食性、外観に優れた溶融亜鉛−アルミ系めっき鋼板 | |
| JP2000328214A (ja) | 表面外観の良好な高耐食性Ｍｇ含有溶融Ｚｎ−Ａｌ系合金めっき鋼板 | |
| JP2017066459A (ja) | めっき鋼材 | |
| JP2001234391A (ja) | Ｚｎ−Ｍｇ系電気めっき金属板およびその製造方法 | |
| JP2002256407A (ja) | 黒色を呈する溶融アルミニウムめっき鋼板及びその製造方法 | |
| JP6744413B2 (ja) | 合金コーティング鋼板およびその製造方法 | |
| AU2015362106B2 (en) | Plating composition, method for manufacturing plated steel material by using same, and plated steel material coated with plating composition | |
| JP4412037B2 (ja) | 溶融Ｚｎ−Ａｌ系合金めっき鋼板の製造方法 | |
| JP2002322527A (ja) | Ａｌ−Ｚｎ−Ｍｇ系合金めっき鉄鋼製品 | |
| KR20090020751A (ko) | 알루미늄-실리콘-마그네슘계 용융합금도금욕과합금도금강판 및 합금도금강판의 제조방법 | |
| JPH03138389A (ja) | めっき密着性および耐食性に優れたＺｎ―Ｍｇ合金めっき鋼板およびその製造方法 | |
| KR101945378B1 (ko) | 합금 코팅 강판 및 이의 제조방법 | |
| JP2005272922A (ja) | 耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Ｚｎ−Ａｌ系合金めっき鋼板およびその製造方法 | |
| JP2004360056A (ja) | 黒色化溶融Ｚｎ−Ａｌ−Ｍｇ系合金めっき鋼板及びその製造方法 | |
| CN116685706B (zh) | 镀覆钢材 | |
| JP7497339B2 (ja) | 溶融めっき鋼板及びその製造方法 | |
| JPH03277761A (ja) | 耐食性の優れたエンジン排ガス系材料用アルミめっき鋼板 | |
| JPH11279734A (ja) | 表面性状の優れたＡｌ−Ｓｉ−Ｍｇ系溶融Ａｌ基めっき鋼板 | |
| US20090129969A1 (en) | Wire based on zinc and aluminum and its use in thermal spraying for corrosion protection | |
| JP7417103B2 (ja) | 溶融Ｚｎ－Ａｌ－Ｍｇ系めっき鋼材 | |
| JP2020007585A (ja) | 溶融Ａｌ−Ｓｉ系めっき鋼板及びその製造方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20070313 |
|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20080513 |