JP2002256389A - 高張力熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
高張力熱延鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
的安価な高張力熱延鋼板を提供する。 【解決手段】 質量%で、C:0.05〜0.25%、
Si:0.5〜3.0%、Mn:0.8〜2.5%、s
ol.Al:0.020〜1.5%、B:0.0002
〜0.0050%を含有し、残部がFeおよび不可避的
不純物からなり、かつ(Si+sol.Al+255
B)値が1.2〜3.5であり、さらに体積率で5%以
上の残留オーステナイトを含んだポリゴナルフェライト
主体の組織からなる高張力熱延鋼板。前記鋼板は、前記
化学組成を有する鋼に、Ac3点以上の温度域から開始
して780〜840℃で終了する熱間圧延を施し、次い
で10〜50℃/sの冷却速度で300〜500℃まで
冷却して巻き取ることによって製造することができる。
Description
等に用いられる高強度部材用鋼板として好適な高張力熱
延鋼板およびその製造方法に関する。特に、本発明に係
る高張力熱延鋼板は、延性や穴広げ性を要求される高強
度部材用鋼板として好適である。
熱延鋼板は、比較的安価な構造材料として各種分野で広
く用いられるようになっている。そして、それらはプレ
ス加工等で成形される部材へ適用されることが多いこと
から、強度と加工性の両面に対する要求が高い材料であ
る。
あり、鋼板の強度を増加させると加工性は低下し、強度
と加工性とを両立することは一般に困難である。高強度
と高延性とを具備する鋼板として、例えば特開昭55−
44551号公報に記載されているようなDual P
hase鋼(以下、「DP鋼」という。)が知られてい
る。DP鋼は、フェライト相とマルテンサイト相とから
なる2相組織鋼であり、降伏比が低く延性が高いという
特徴を有している。
鋼であっても、590MPa級高張力鋼板(引張強さ
(TS):590MPa)においては、伸び(El)が
約30%で「TS×El」の値が20000未満、78
0MPa級高張力鋼板(引張強さ(TS):780MP
a)においては、伸び(El)が約20%で「TS×E
l」の値が18000未満というのが限界であり、DP
鋼についてはこれ以上の高延性化は望めない。
を大幅に向上させる手段として、残留オーステナイトの
変態誘起塑性(TRIP)を利用した鋼(以下、この種
の鋼を「残留オーステナイト鋼」という。)が開発され
ており、例えば特開昭55−145121号公報にその
製造方法が開示されている。上記公報に開示されている
製造方法によれば、引張強さ(TS):1080MPa
以上、伸び(El):22%以上を示し、「TS×E
l」の値が24000を超す高延性高張力鋼板の製造が
可能であると考えられる。しかしながら、上記方法で
は、C含有量を0.40〜0.85重量%と高くする必
要があることから、得られる鋼板は溶接性に劣り、溶接
性が要求される用途へ適用することができず、例えば自
動車の部材に対して上記鋼板を適用し得る範囲は限られ
たものであった。
開昭63−4017号公報には、重量%でC:0.2
%、Si:1.5%、Mn:1.5%を含有した鋼を熱
間圧延し、Ar3点近傍で仕上圧延を行った後、40℃
/s以上の冷却速度で冷却してから400℃近傍で巻き
取ることにより、低いC含有量の下で残留オーステナイ
トを確保して鋼を高延性化する方法が開示されている。
しかし、上記公報に開示されている製造方法により得ら
れる熱延鋼板は、DP鋼に比べて高い伸び(El)を有
するものの、加工性の重要な指標の1つである穴拡げ性
(HEL)は改善されず、その値はDP鋼板なみの30
%程度である。したがって、伸びフランジ性が要求され
る部材に対して適用することが困難であった。
2846号公報において、鋼にAlとSiとを適量含有
させ、体積率で5%以上の残留オーステナイトを含んだ
ポリゴナルフェライト主体の組織とすることにより、残
留オーステナイト鋼の穴拡げ性を改善する方法を開示し
ている。上記公報において開示した熱延鋼板は、強度、
延性、溶接性、穴拡げ性の点において優れた特性を有す
るものの、多量のAlを含有させる必要があるため、経
済性の面においては改善の余地がある。
性を確保し得るC含有量の範囲内において、TRIP効
果による高延性が得られるだけの充分なオーステナイト
量を含有し、良好な穴拡げ性を有し、さらに経済性にも
優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法を提供するこ
とにある。
達成すべく、特開平5−112846号公報に開示した
残留オーステナイト鋼の経済性を改善することについて
詳細に検討を行った。その結果、以下の新たな知見を得
た。
有しフェライト生成を抑制することから、残留オーステ
ナイト鋼に要求されるオーステナイト安定化の観点にお
いて好ましくない元素であると考えられたが、鋼に適量
のBを含有させることにより、SiとAlとによるポリ
ゴナルフェライト生成促進作用が助長され、オーステナ
イトの残留が促進されて延性が向上するうえに、第2相
が均一に分散されて穴拡げ性が向上する。
よるポリゴナルフェライト生成促進作用が助長される機
構は明らかではないが、仕上圧延過程におけるオーステ
ナイトの再結晶が抑制され、歪の蓄積が促進されて、仕
上圧延後の冷却過程におけるフェライト変態が歪誘起に
よって促進されることによると考えられる。
ステナイトの安定化が促進されて延性が向上する。Bの
添加によりオーステナイトが安定化される機構は明らか
でないが、上述したポリゴナルフェライト生成促進作用
の他に、巻取後の冷却過程においてベイナイト変態が促
進されることによりオーステナイトの安定化が促進され
ると考えられる。
囲内のC含有量の鋼に、適量のSi、Al、Bを複合含
有させることにより、特開平5−112846号公報に
開示した残留オーステナイト鋼よりも低いAl含有量
で、体積率で5%以上の残留オーステナイトを含むポリ
ゴナルフェライトを主体の組織とすることができ、強
度、延性、溶接性、穴拡げ性に優れた高張力熱延鋼板を
より安価なコストで得ることができる。
定の化学組成の鋼片を特定の条件にしたがって圧延する
ことにより、再現良く安定して製造することが可能であ
る。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたもので
あり、その要旨は下記(1)〜(4)項に記載の高張力
熱延鋼板と、(5)項および(6)項に記載の高張力熱
延鋼板の製造方法にある。
%、Si:0.50〜3.0%、Mn:0.8〜2.5
%、sol.Al:0.020〜1.5%、B:0.0
002〜0.0050%を含有し、かつ下記(i)式に
規定されるa値が1.2〜3.5である化学組成を有
し、さらに体積率で5%以上の残留オーステナイトを含
んだポリゴナルフェライト主体の組織からなることを特
徴とする高張力熱延鋼板。 a値=Si+sol.Al+255B (i) ここで、Si、sol.Al、Bはそれぞれの化学組成
を質量%で表したときの数値である。
02〜0.010%、Zr:0.01〜0.10%、R
EM:0.002〜0.10%の1種または2種以上を
含有する化学組成であることを特徴とする上記(1)項
に記載の高張力熱延鋼板。
0〜0.10%、Ti:0.005〜0.10%、V:
0.005〜0.20%の1種または2種以上を含有す
る化学組成であることを特徴とする上記(1)項または
(2)項に記載の高張力熱延鋼板。
〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%の1種または2
種以上を含有する化学組成であることを特徴とする上記
(1)項、(2)項または(3)項に記載の高張力熱延
鋼板。
か1項に記載の化学組成に構成された鋼に、Ac3点以
上の温度域から開始して780〜840℃で終了する熱
間圧延を施し、次いで10〜50℃/sの冷却速度で3
00〜500℃まで冷却して巻き取ることを特徴とする
高張力熱延鋼板の製造方法。
か1項に記載の化学組成に構成された鋼に、Ac3点以
上の温度域から開始して780〜940℃で終了する熱
間圧延を施し、次いで10℃/s以上の冷却速度で60
0〜700℃の温度域まで冷却し、その温度域で2〜1
0秒間空冷し、さらに20℃/s以上の冷却速度で30
0〜500℃まで冷却して巻き取ることを特徴とする高
張力熱延鋼板の製造方法。
織」とは、残留オーステナイト以外の組織(例えばベイ
ナイト)がポリゴナルフェライトの性質に格別な影響を
及ぼさない程度に止まる、「実質的にポリゴナルフェラ
イトからなる組織」を意味する。
て具体的に説明する。なお、以下に述べる化学組成の%
表示は質量%を意味する。
態の進行に伴い未変態オーステナイト中に濃縮してオー
ステナイトを安定化させるとともに、鋼板の強度を高め
るのに有効な元素である。C含有量が0.05%未満で
は、鋼板の強度向上効果とオーステナイトの安定化効果
が充分ではない。一方、C含有量が0.25%超では、
溶接性が劣化するうえに、ポリゴナルフェライト量が減
少してベイナイト量が過剰に増加するために穴拡げ性も
劣化する。したがって、C含有量は0.05〜0.25
%とする。好ましくは0.08〜0.20%である。
てCの未変態オーステナイトへの濃縮を助けるとともに
セメンタイトの析出を遅らせる作用を有しているので、
オーステナイトを残留させるのに極めて有効な元素であ
る。さらに、ポリゴナルフェライトを固溶強化して鋼板
の強度を高めるのに有効な元素である。Si含有量が
0.5%未満では、上記作用による効果が不充分とな
る。また、Si含有量が3.0%超では、前記作用によ
る効果が飽和するうえに、硬質なマルテンサイトが生成
して穴拡げ性の劣化を招く。したがって、Si含有量は
0.5%〜3.0%の範囲とする。好ましくは1.0〜
2.5%である。
様にフェライト安定化元素であり、ポリゴナルフェライ
トの生成を促進してCの未変態オーステナイトへの濃縮
を助けるとともにセメンタイトの析出を遅らせる作用を
有しているので、オーステナイトを残留させるのに極め
て有効な元素である。sol.Al含有量が0.020
%未満では、上記作用による効果が不充分となる。so
l.Al含有量が1.5%超では、前記作用による効果
が飽和し経済性を損なう。したがって、sol.Al含
有量を0.020〜1.5%とする。好ましくは0.1
〜1.0%である。
成促進作用を助長するとともにオーステナイトを安定化
させる作用を有する。B含有量が0.0002%未満で
は、上記作用による効果が不充分となる。B含有量が
0.0050%超では、前記作用による効果が飽和する
うえに、Fe3(C,B)などの炭硼化物の生成により
オーステナイトの残留を阻害する。したがって、B含有
量を0.0002〜0.0050%とする。好ましくは
0.0005%超0.0035%以下である。
は、オーステナイトの残留を促進する作用を有し、B
は、前記作用を助長し、さらにオーステナイトを安定化
させる作用を有する。これらの作用を効果的に発揮せし
めるために、下記(i)式で規定されるa値を1.2以
上とする。一方、a値を3.5超とすると、上記作用の
効果が飽和し経済性が損なわれる。したがって、a値の
上限を3.5とする。a値=Si+sol.Al+25
5B (i)ここで、Si、sol.Al、Bはそ
れぞれの化学組成を質量%で表したときの数値である。
加工性を向上させるには、Si含有量を1.0%以上と
するのが好ましく、経済性を向上させるには、sol.
Al含有量を0.8%未満とするのが好ましい。
あって、未変態オーステナイトのMs点を低下させると
ともに焼入れ性を向上させ、未変態オーステナイトがパ
ーライト変態するのを抑制する作用を有する。しかし、
Mn含有量が0.8%未満では前記作用による効果が充
分に得られない場合がある。また、2.5%を超えて含
有させると、熱延後の冷却過程でポリゴナルフェライト
を充分に生成させることが困難となり、そのため未変態
オーステナイト中へのCの濃縮が不充分となってオース
テナイトを安定化させることができない場合がある。し
たがって、Mnの含有量は0.8〜2.5%とする。よ
り好ましくは0.8〜2.0%である。
述べるように、Ca:0.0002〜0.01%、Z
r:0.01〜0.10%、希土類元素(REM):
0.002〜0.10%、Ti:0.005〜0.10
%、Nb:0.005〜0.10%、V:0.005〜
0.20%、Cr:0.05〜1.0%、Mo:0.0
5〜1.0%の1種又は2種以上を必要に応じて含有さ
せてもよい。
らの成分は、何れも介在物の形状を調整して冷間加工性
を改善する作用を有しているため、必要に応じて1種又
は2種以上の含有させるとよい。Caの場合ではその含
有量が0.0002%未満、Zrの場合ではその含有量
が0.01%未満、希土類元素の場合ではその含有量が
0.01%未満であると前記作用による効果が充分に得
られない場合がある。一方、Ca含有量を0.01%
超、Zr含有量を0.10%超、もしくは希土類元素を
0.10%超とすると、鋼中の介在物が過剰となり逆に
加工性が劣化する。したがって、含有させる場合には、
Ca含有量を0.0002〜0.01%、Zr含有量を
0.01〜0.10%、希土類元素含有量を0.01〜
0.10%とするとよい。
もフェライト地に炭窒化物として析出し、鋼板の更なる
高強度化に有効な元素である。したがって、必要に応じ
て1種又は2種以上を含有させるとよい。何れの元素も
その含有量が0.005%未満では前記作用による効果
が充分に得られない場合がある。また、NbやTiにつ
いてはそれぞれ0.10%を超えて、Vについては0.
20%を超えて含有させても、上記効果が飽和してしま
い経済的でない。したがって、含有させる場合には、T
i含有量を0.005〜0.10%、Nb含有量を0.
005〜0.10%、V含有量を0.005〜0.20
%とするとよい。
上させてオーステナイトを残留させる効果を有する。し
たがって、必要に応じて1種又は2種を含有させるとよ
い。何れの元素もその含有量が0.05%未満では前記
作用による効果が充分に得られない場合がある。また、
1.0%を超えて含有させても、前記作用による効果が
飽和し経済性を損なう。したがって、Cr、Moの含有
量を夫々0.05〜1.0%とするとよい。
なお、不可避的不純物としては、P、S、N、Cu、N
i、Sn等が挙げられるが、例えばP、S、Nについて
は、その含有量を以下のようにするのが望ましい。
素であるため、その含有量は0.05%以下に抑えるの
が望ましく、ポリゴナルフェライトをさらに均一に分散
させる場合には0.010%以下とすることがより望ま
しい。
を低下させる不純物元素であるため、その含有量は0.
05%以下に抑えるのが望ましく、一段と優れた加工性
が要求される場合には0.003%以下とすることがよ
り望ましい。
あるため、その含有量は0.01%以下に抑えるのが望
ましい。上述の化学組成の鋼は、例えば転炉、電気炉、
又は平炉等により溶製される。鋼種としては、リムド
鋼、キャップド鋼、セミキルド鋼又はキルド鋼の何れで
もよい。また、鋼片の製造についても、造塊−分塊圧延
あるいは連続鋳造の何れの手段によっても構わない。
留オーステナイトを含んだポリゴナルフェライト主体の
組織に構成された本発明の熱延鋼板は、上記化学組成の
鋼に、Ac3点の温度域から開始して780〜840℃
で終了する熱間圧延を施し、次いで10〜50℃/sの
冷却速度にて300〜500℃まで冷却して巻き取るこ
とによって製造することが可能である。
ト中に固溶させた状態から行うために、Ac3点以上の
温度域から熱間圧延を開始する。なお、鋼をAc3点以
上の温度域とするために加熱炉で加熱を行う場合には、
加熱炉に装入する鋼は、鋳造後の高温のままでのスラブ
であっても、室温で放置されたスラブであっても構わな
い。
することにより、オーステナイトを微細化するとともに
オーステナイトに加工硬化を起こさせてポリゴナルフェ
ライトの生成を促進することができるので、10〜50
℃/sの冷却速度で仕上圧延後に冷却する間に充分な量
のポリゴナルフェライトを生成させることができる。
「熱間圧延終了温度」ともいう。)が780℃未満であ
ると、熱間圧延中にフェライトが生成して加工フェライ
トとなるため、熱延鋼板の加工性が劣化する。一方、熱
間圧延終了温度が840℃を超えると、オーステナイト
の加工硬化が不充分となってポリゴナルフェライトが充
分に生成せず、残留オーステナイトが減少する。
未満では、冷却中にパーライトが生成し、オーステナイ
トが残留しない。一方、該冷却速度が50℃/sを超え
ると充分な量のポリゴナルフェライトが生成せず、オー
ステナイトが残留しない。
ーライトが生成し、オーステナイトが充分に残留しな
い。一方、300℃を下回る温度域で巻取を行うと、マ
ルテンサイトの生成が促進されて延性と穴拡げ性が劣化
する。
板は、上記方法以外にも、前記所定化学組成の鋼片に、
Ac3点以上の温度域から開始して780〜940℃で
終了する熱間圧延を行い、次いで10℃/s以上の冷却
速度で600〜700℃の温度域まで冷却し、その温度
域で2〜10秒間空冷し、さらに20℃/s以上の冷却
速度で300〜500℃まで冷却して巻き取ることによ
っても製造することができる。
終了することでオーステナイトを微細化することがで
き、その後600〜700℃の温度域まで冷却し、その
温度域にて2〜10秒間空冷すると、ポリゴナルフェラ
イトの生成が促進されて未変態オーステナイトへのCの
濃縮が促され、充分な量のオーステナイトを残留させる
ことができる。
温度」ともいう。)が600℃未満であったり、空冷を
行う時間(以下、「空冷時間」ともいう。)が2秒未満
であったりするとポリゴナルフェライトの生成が不充分
であり、一方、空冷温度が700℃を上回ったり空冷時
間が10秒を超えたりするとパーライトが生成してオー
ステナイトが残留しなくなる。
速度で冷却するのは、限られたホットランテ−ブル上で
2〜10秒の空冷時間を確保するためである。また、前
記空冷後に20℃/s以上で冷却するのは、パーライト
の生成を抑制するために必要だからである。
合と同様に、500℃を超えるとパーライトが生成し、
オーステナイトが充分に残留せず、一方、300℃を下
回る温度域で巻取を行うと、マルテンサイトの生成が促
進されて延性と穴拡げ性が劣化する。
が0.05〜0.25%であるために高強度部材用鋼板
として要求されるレベルの溶接性を具備し、さらにTR
IPを利用するに充分な量のオーステナイトを含有す
る。また、穴拡げ性も充分に改善される。しかも、適量
のBを含有させることにより、従来よりもAl含有量を
抑制することができるので、経済性にも優れている。
低下の抑制等を目的として、粗バー加熱装置や保温カバ
ー等により粗バー全体を再加熱または温度保持するよう
にしてもよい。
融亜鉛メッキ、合金化溶融亜鉛メッキ、電気メッキ等の
表面処理を施すことで、優れた延性,穴拡げ性を備えた
表面処理鋼板を得ることができる。
スラブを、表2および表3に示す条件で加熱、熱間圧
延、制御冷却及び巻取を行い、板厚:2.3mmの熱延鋼
板を得た。次に、得られた鋼板からJIS5号引張試験
片を採取し、機械的性質を調査した。また、寸法が2.
3mm厚×120mm幅×120mm長の鋼板試験片に14mm
φの孔をクリアランス:15%で打ち抜いたのち、円錐
ポンチを用いて穴拡げ性を調査した。さらに、鋼板中央
部よりX線試験用の試験片を採取し、残留オーステナイ
ト量を調査した。これらの結果を表2および表4に併せ
て示す。
造方法により製造した熱延鋼板は、引張強さ(TS):
490MPa以上の高い強度と、伸び(El):30%
以上の優れた延性を備えると同時に、穴拡げ率(HE
L):80%以上の優れた伸びフランジ性を示し、高強
度かつ高加工性を同時に満足している。
る鋼種Vを用いた試験番号26及び60では、伸びは比
較的高いものの穴拡げ性が劣る。Si、sol.Al、
B含有量が本発明の規定範囲を外れる鋼種W、Z、A
A、ABを用いた試験番号27、30〜32、61、6
4〜66では、伸びまたは穴拡げ性が劣る。C含有量が
本発明の規定範囲を下回る鋼種Xを用いた試験番号28
及び62では、伸びは比較的高いものの強度−伸びバラ
ンスが劣る。Mn含有量が本発明の規定範囲を下回る鋼
種Yを用いた試験番号29及び63では、強度と伸びが
ともに劣る。
の試験番号22及び59や、熱間圧延終了温度、熱延後
冷却速度、空冷温度、空冷時間、空冷後冷却速度が本発
明で規定する範囲外の試験番号23〜25、54〜58
で得られた鋼板は、何れも残留オーステナイトが充分に
生成せず、伸びが低く、また穴拡げ性も良好でない。
並びに溶接性に優れる高張力熱延鋼板を比較的安価な鋼
材コストで得ることができる。また、本発明に係る高張
力熱延鋼板を自動車足廻り部品等の産業機器部材に適用
することにより、それら製品の性能の改善を図ることが
できる。
Claims (6)
- 【請求項1】 質量%で、C:0.05〜0.25%、
Si:0.50〜3.0%、Mn:0.8〜2.5%、
sol.Al:0.020〜1.5%、B:0.000
2〜0.0050%を含有し、かつ下記(i)式に規定
されるa値が1.2〜3.5である化学組成を有し、さ
らに体積率で5%以上の残留オーステナイトを含んだポ
リゴナルフェライト主体の組織からなることを特徴とす
る高張力熱延鋼板。 a値=Si+sol.Al+255B (i) ここで、Si、sol.Al、Bはそれぞれの化学組成
を質量%で表したときの数値である。 - 【請求項2】 さらに、質量%で、Ca:0.0002
〜0.010%、Zr:0.01〜0.10%、RE
M:0.002〜0.10%の1種または2種以上を含
有する化学組成であることを特徴とする請求項1に記載
の高張力熱延鋼板。 - 【請求項3】 さらに、質量%で、Nb:0.050〜
0.10%、Ti:0.005〜0.10%、V:0.
005〜0.20%の1種または2種以上を含有する化
学組成であることを特徴とする請求項1または請求項2
に記載の高張力熱延鋼板。 - 【請求項4】 さらに、質量%で、Cr:0.05〜
1.0%、Mo:0.05〜1.0%の1種または2種
以上を含有する化学組成であることを特徴とする請求項
1、請求項2または請求項3に記載の高張力熱延鋼板。 - 【請求項5】 請求項1ないし請求項4の何れか1項に
記載の化学組成に構成された鋼に、Ac3点以上の温度
域から開始して780〜840℃で終了する熱間圧延を
施し、次いで10〜50℃/sの冷却速度で300〜5
00℃まで冷却して巻き取ることを特徴とする高張力熱
延鋼板の製造方法。 - 【請求項6】 請求項1ないし請求項4の何れか1項に
記載の化学組成に構成された鋼に、Ac3点以上の温度
域から開始して780〜940℃で終了する熱間圧延を
施し、次いで10℃/s以上の冷却速度で600〜70
0℃の温度域まで冷却し、その温度域で2〜10秒間空
冷し、さらに20℃/s以上の冷却速度で300〜50
0℃まで冷却して巻き取ることを特徴とする高張力熱延
鋼板の製造方法。
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JP2001052454A JP4953514B2 (ja) | 2001-02-27 | 2001-02-27 | 高張力熱延鋼板およびその製造方法 |
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