JP2002255655A - セラミック成形体およびセラミック電子部品 - Google Patents

セラミック成形体およびセラミック電子部品

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JP2002255655A
JP2002255655A JP2001219964A JP2001219964A JP2002255655A JP 2002255655 A JP2002255655 A JP 2002255655A JP 2001219964 A JP2001219964 A JP 2001219964A JP 2001219964 A JP2001219964 A JP 2001219964A JP 2002255655 A JP2002255655 A JP 2002255655A
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ceramic
organic binder
polyurethane resin
molded body
ceramic molded
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Atsushi Hirano
篤 平野
Tomoya Yokoyama
智哉 横山
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機バインダの含有量が少なく、有機バイン
ダの加熱除去が短時間で済むセラミック成形体、および
これを用いたセラミック電子部品を提供する。 【解決手段】 セラミック粉末と、ポリウレタン樹脂か
らなる有機バインダと溶媒とからなるエマルジョンであ
る有機ビヒクルと、を含有してなるセラミックスラリー
を用いてセラミック成形体を作製する。水を含有する溶
媒を用いてセラミックスラリーを作製する場合、有機バ
インダとして、アニオン性のポリウレタン樹脂、また
は、ノニオン性のポリウレタン樹脂、あるいは、アニオ
ン/ノニオン性のポリウレタン樹脂を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック粉末
と、有機バインダと溶媒とからなる有機ビヒクルと、を
含有してなるセラミックスラリーを用いて成形されたセ
ラミック成形体、およびこれを用いたセラミック電子部
品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、セラミック成形体、特にセラミッ
クグリーンシートは、例えばセラミック粉末と、有機バ
インダと溶媒とからなる有機ビヒクルと、の混合物から
なるセラミックスラリーを、ドクターブレード法等の手
法を用いてキャリアテープ上に所定の厚さで塗布し、こ
れを乾燥させることで溶媒を揮発除去させて成形されて
いた。従来のセラミック成形体に用いられる有機バイン
ダとしては、例えば熱可塑性樹脂が挙げられ、代表的な
ものとしてアクリル樹脂やポリビニルアルコール(PV
A)が挙げられる。セラミック成形体の製造方法として
は、シート成形のほか、鋳込み成形、射出成形、押出し
成形、厚膜印刷成形等が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】セラミックスラリー中
の有機バインダは、セラミック粉末の表面に吸着し、シ
ート成形された後の乾燥時に凝集して保形性を与えるも
のであるが、目標とする強度や伸びを有するセラミック
成形体を得るため、すなわち十分な吸着ならびに凝集を
生じさせるために、一般にセラミック粉末100重量部
に対して10〜15重量部の有機バインダを必要とす
る。そのため、有機バインダを加熱除去するのに時間を
要するとともに、セラミック成形体の焼結に伴う収縮が
大きいため変形や反りが生じ易いという問題があった。
【0004】本発明の目的は、上述の問題点を解消すべ
くなされたもので、有機バインダの含有量が少なく、有
機バインダの加熱除去が短時間で済むセラミック成形
体、ならびにこれを用いたセラミック電子部品を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のセラミック成形体は、セラミック粉末と、
ポリウレタン樹脂からなる有機バインダと溶媒とからな
るエマルジョンである有機ビヒクルと、を含有してなる
セラミックスラリーを用いて成形されたことを特徴とす
る。
【0006】また、本発明のセラミック成形体は、上述
したセラミック成形体であって、有機バインダの平均粒
径は300nm以下であることを特徴とする。
【0007】また、本発明のセラミック成形体は、上述
したセラミック成形体であって、セラミックスラリー中
における有機バインダの含有量は、セラミック粉末10
0重量部に対して8重量部以下であることを特徴とす
る。
【0008】また、本発明のセラミック成形体は、上述
したセラミック成形体であって、セラミックスラリー
は、さらに架橋剤を含有することを特徴とする。
【0009】また、本発明のセラミック成形体は、上述
したセラミック成形体であって、セラミックスラリー中
における溶媒は水を含有することを特徴とする。
【0010】さらに、水を含有する溶媒を用いる場合、
有機バインダは、アニオン性のポリウレタン樹脂、また
は、ノニオン性のポリウレタン樹脂、あるいは、アニオ
ン/ノニオン性のポリウレタン樹脂の何れかからなるこ
とを特徴とする。
【0011】また、本発明のセラミック成形体は、上述
したセラミック成形体であって、セラミックスラリーを
用いてシート成形されたセラミックグリーンシートであ
ることを特徴とする。
【0012】本発明のセラミック電子部品は、セラミッ
ク素体と、セラミック素体に接するように形成された外
部電極と、を備え、セラミック素体は、上述した本発明
のセラミック成形体が焼成されてなることを特徴とす
る。
【0013】また、本発明のセラミック電子部品は、複
数のセラミック層が積層されてなるセラミック素体と、
前記セラミック素体に接するように形成された外部電極
と、を備え、セラミック層は、上述した本発明のセラミ
ック成形体が焼成されてなることを特徴とする。
【0014】本発明のセラミック成形体は、セラミック
粉末と、ポリウレタン樹脂からなる有機バインダと溶媒
とからなるエマルジョンである有機ビヒクルと、を含有
してなるセラミックスラリーを用いて成形されたもので
あり、セラミックスラリー中の有機バインダの含有量を
少量化することができ、余剰の有機バインダが凝集した
塊状物が少なく、なおかつ優れた引張り強度および伸び
を備えている。このセラミック成形体を焼成してセラミ
ック電子部品を製造する場合に、有機バインダの加熱除
去が短時間で済む。また、セラミック成形体の焼結に伴
う収縮が小さくなり、変形や反りの少ないセラミック電
子部品を提供することができる。
【0015】また、本発明のセラミック成形体は、上述
のセラミックスラリー中における有機バインダの平均粒
径が、300nm以下であることにより、従来より優れ
た引張り強度ならびに伸びを備え、なおかつ有機バイン
ダ含有量をより少量化することができる。
【0016】また、本発明のセラミック成形体は、上述
のセラミックスラリー中における有機バインダの含有量
が、セラミック粉末100重量部に対して8重量部以下
であることにより、従来より少ない有機バインダ含有量
でありながら、優れた引張り強度ならびに伸びを備え
る。
【0017】また、本発明のセラミック成形体は、上述
のセラミックスラリーがさらに架橋剤を含有することに
より、従来より少ない有機バインダ含有量でありなが
ら、さらに優れた引張り強度ならびに伸びを備える。
【0018】また、上述のセラミックスラリー中におけ
る溶媒として、水を含有するものを用いる場合、有機バ
インダとして、アニオン性のポリウレタン樹脂、また
は、ノニオン性のポリウレタン樹脂、あるいは、アニオ
ン/ノニオン性のポリウレタン樹脂を用いることができ
る。
【0019】このうち、アニオン性のポリウレタン樹脂
は、ノニオン性またはアニオン/ノニオン性のポリウレ
タン樹脂に比べて、多数の種類があるので、バインダと
して採用するポリウレタン樹脂を選定する際の自由度が
高い。そして、作製するセラミック成形体の伸び、引張
り強度等の特性を所望の値にするため、最適なポリウレ
タン樹脂を選定することができる。
【0020】また、ノニオン性のポリウレタン樹脂を用
いた場合、セラミックスラリー中のセラミック粉末から
溶出する金属イオンと親水基とが反応することはない。
また、アニオン/ノニオン性のポリウレタン樹脂を用い
た場合、溶出する金属イオンと親水基との反応の程度は
低い。したがって、ノニオン性のポリウレタン樹脂、ま
たは、アニオン/ノニオン性のポリウレタン樹脂を用い
た場合には、溶出する金属イオンと親水基との反応を防
ぐための添加剤を加える必要がない。また、強度を得る
ために有機バインダを過剰に添加する必要がない。これ
により、セラミック成形体の密度低下を防止することが
できる。さらに、セラミック成形体を焼成して得られる
セラミック素体のポアの増加,ポア径の拡大を防止する
ことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明のセラミック成形体は、ポ
リウレタン樹脂からなる有機バインダと溶媒とからなる
エマルジョンである有機ビヒクルを用いることを要す
る。なお、本発明において、「エマルジョン」とは、
「液体の中に、それに溶けない別の液体が細かい滴にな
って分散したもの」全般をさすものと定義し、いわゆる
コロイダルディスパーションを含むものとする。
【0022】本発明のセラミック成形体における有機ビ
ヒクルとしてポリウレタン樹脂エマルジョンを選択した
理由は、大別して以下の3点が挙げられる。第1に、ポ
リウレタン樹脂はウレタン結合を有し、ウレタン結合部
のN−HとC=Oとの間、ならびにウレタン結合部のN
−Hとポリオール部のOの間で水素結合するため、分子
凝集力が優れる。
【0023】第2に、ポリウレタン樹脂はセグメント構
造を有し、ハードセグメント部で強度を発現し、ソフト
セグメント部で柔軟性を発現しており、これらの組み合
わせにより、目的とする強度と伸びを満足するセラミッ
ク成形体が得られる。
【0024】第3に、エマルジョンは分子量が大きく、
溶液型の有機バインダよりも造膜性に優れ、粘度も低く
分散性に優れる。このようなポリウレタン樹脂エマルジ
ョンが備える特徴により、セラミックスラリー中の含有
量が少量であっても、加工性に富む強度ならびに伸びを
備えるセラミック成形体が得られる。
【0025】また、有機バインダとして、アニオン性の
ポリウレタン樹脂、または、ノニオン性のポリウレタン
樹脂、あるいは、アニオン/ノニオン性のポリウレタン
樹脂を用いることができる。ここで、本発明において、
「アニオン/ノニオン性」のポリウレタン樹脂とは、ア
ニオン性の親水基およびノニオン性の親水基の双方が付
与されたポリウレタン樹脂である。
【0026】アニオン性のポリウレタン樹脂を用いた場
合、この樹脂と溶媒とからなるポリウレタン樹脂エマル
ジョンが凝集し、セラミックスラリーのゲル化または高
粘度化が生じる場合がある。これは、セラミックスラリ
ー中のセラミック粉末から溶出する金属イオンとアニオ
ン性のポリウレタン樹脂中のアニオン性基が反応するた
めと考えられる。このような反応を防ぐには、セラミッ
クスラリー中に3級アミン,炭酸アルカリ,炭酸水素ア
ルカリ等の添加剤を添加すればよい。
【0027】また、ノニオン性のポリウレタン樹脂を用
いた場合は、ノニオン性の親水基が付与されており、セ
ラミック粉末から溶出する金属イオンと反応しない。さ
らに、アニオン/ノニオン性のポリウレタン樹脂を用い
た場合は、アニオン性の親水基とノニオン性の親水基の
双方が付与されており、アニオン性のポリウレタン樹脂
と比べて反応の程度が低い。
【0028】また、本発明のセラミック成形体における
有機バインダ、すなわちポリウレタン樹脂の平均粒径は
300nm以下であることが好ましい。有機バインダの
平均粒径が小さいほど、同じ重量含有してなるセラミッ
ク成形体の相対密度,引張り強度,伸びは高くなるが、
有機バインダの平均粒径が300nm以下である場合、
同じ含有量あたりの引張り強度ならびに伸びの改善効果
が顕著となる。なお、より好ましくは、有機バインダの
平均粒径は200nm以下であり、特に好ましくは10
0nm以下である。
【0029】また、従来の有機バインダであるアクリル
樹脂等を用いた場合に10〜15重量部必要であるのに
対して、本発明のセラミック成形体の場合は、有機バイ
ンダの含有量を減らしても同等あるいはそれ以上の相対
密度,引張り強度,伸びが得られることから、本発明の
セラミック成形体のセラミックスラリー中における有機
バインダの含有量は、セラミック粉末100重量部に対
して8重量部以下であることが好ましい。ここで、有機
バインダの含有量とセラミック成形体の引張り強度,伸
びは略比例関係にある。
【0030】また、上述したように有機バインダの平均
粒径が小さいほど、セラミック成形体の相対密度,引張
り強度,伸びが高くなる。例えば、セラミック成形体の
厚みが0.2mm前後と比較的厚い単板型のセラミック
電子部品の場合、有機バインダの平均粒径が300nm
前後であれば有機バインダの含有量は5〜7重量部が好
ましく、平均粒径が200nm前後であれば含有量は4
〜6重量部が好ましく、平均粒径が100nm前後であ
れば含有量は3〜5重量部が好ましく、平均粒径が10
0nmを下回る場合であれば含有量は、1〜3重量部が
好ましい。
【0031】また、本発明のセラミック成形体の製造方
法において、セラミックスラリー中の有機バインダ含有
量を増加させずにセラミック成形体の強度を向上させる
ために、セラミックスラリー中にさらに架橋剤を含有さ
せることが好ましい。ポリウレタン樹脂からなる有機バ
インダと溶媒とからなるエマルジョンである有機ビヒク
ルを用いる本発明の場合、ポリウレタン樹脂エマルジョ
ン中の官能基間で架橋構造が形成されるため、セラミッ
ク成形体の強度が向上する。架橋剤としては、特に限定
はしないが、ポリイソシアネートが好ましく、特に溶媒
として水溶液を用いる場合、水分散性ポリイソシアネー
トが好ましい。
【0032】また、本発明のセラミック成形体として
は、セラミックスラリーを用いてシート成形したセラミ
ックグリーンシートが挙げられるが、本発明はこれに限
定されることなく、例えば、鋳込み成形、射出成形、押
出し成形、厚膜印刷成形などによって成形されたセラミ
ック成形体であっても構わない。
【0033】本発明のセラミック電子部品の実施形態に
ついて、図1に基づいて詳細に説明する。すなわち、セ
ラミック電子部品1は、セラミック素体2と、電極3,
3と、はんだ4,4と、リード端子5,5と、外装樹脂
6とから構成される。
【0034】セラミック素体2は、セラミックスラリー
をシート成形した本発明のセラミック成形体を焼成した
円板型の焼結体からなる。電極3,3は、セラミック素
体2の両主面に形成された一対の電極膜からなる。はん
だ4,4は、電極3,3とリード端子5,5をそれぞれ
電気的かつ機械的に接合するように電極3,3上に形成
されている。外装樹脂6は、セラミック素体2と電極
3,3とはんだ4,4を覆うように形成されている。
【0035】セラミック素体2は、例えば誘電体、絶縁
体、半導体、圧電体、磁性体として機能する材料からな
るものを適宜用いることができる。なお、図1に示した
セラミック素体2の形状は円板型であるが、セラミック
素体2の形状は特に円板型に限定されることなく、電極
3,3を形成するのに十分な面を備えるのであれば、例
えば角板型等を適宜用いることができる。
【0036】電極3,3は、セラミック素体2の両主面
に形成された電極膜であり、例えば、無電解Niメッキ
により形成される場合、メッキ浴中の還元剤成分の種類
によりNi/P,Ni/BあるいはNi/Ag合金等の
層として膜形成されている。なお、外部電極の形状なら
びに大きさは、本発明の実施形態に限定されることな
く、例えば、セラミック素体2の両主面の全体に形成、
あるいは任意の形状のギャップ幅を取って形成すること
ができ、何れの場合においても本発明の効果が得られ
る。また、外部電極の層数は、本発明の実施形態に限定
されることなく、例えば、第1層の外部電極上にさらに
第2層の外部電極を形成してもよく、さらには、その上
に電極を適宜形成しても構わない。
【0037】はんだ4,4の材質、形状ならびに大きさ
は、本発明の実施形態に限定されることなく、例えば、
電極3,3の全体に形成、または電極3,3上の任意の
一部分であってもよく、何れの場合であっても構わな
い。
【0038】リード端子5,5の材質、形状ならびに大
きさは、本発明の実施形態に限定されることなく、例え
ば、Cu、Fe、Ni、Au等からなる金属線を芯材と
して、必要に応じて金属線の表面にSn、Cu、Pd、
Au、Sn−Cu、Sn−Ag、Sn−Ag−Cuメッ
キを施したリード端子等を適宜用いることができる。
【0039】外装樹脂6は、例えば、エポキシ樹脂、シ
リコン樹脂等が挙げられるが、特にこれらに限定される
ことなく、絶縁性、耐湿性、耐衝撃性、耐熱性等に優れ
るものであれば代表的な樹脂を適宜用いることができ
る。なお、外装樹脂6は必ずしも備えている必要はな
く、また何層形成されていても構わない。
【0040】本発明のセラミック電子部品の他の実施形
態について、図2に基づいて詳細に説明する。すなわ
ち、セラミック電子部品11は、セラミック素体12
と、内部電極13,13と、外部電極14,14と、め
っき膜15,15とから構成される。
【0041】セラミック素体12は、BaTiO3を主
成分とする誘電体材料からなるセラミックスラリーをシ
ート成形した本発明のセラミック成形体を所定のサイズ
にカットした生のセラミック層が複数積層された生のセ
ラミック素体が焼成されてなる。
【0042】内部電極13,13は、セラミック素体1
2内のセラミック層12a間にあって、複数の生のセラ
ミック層上に導電性ペーストが印刷され、生のセラミッ
ク層とともに積層されてなる生のセラミック素体と同時
焼成されてなり、内部電極13,13のそれぞれの端縁
は、セラミック素体12の何れかの端面に露出するよう
に形成されている。
【0043】外部電極14,14は、セラミック素体1
2の端面に露出した内部電極13,13の一端と電気的
かつ機械的に接合されるように、導電性ペーストがセラ
ミック素体12の端面に塗布され焼付けられてなる。
【0044】めっき膜15,15は、例えば、SnやN
i等の無電解めっきや、はんだめっき等からなり、外部
電極14,14上に少なくとも1層形成されてなる。
【0045】なお、本発明のセラミック電子部品のセラ
ミック素体12の材料は、上述の実施形態に限定される
ことなく、例えばCaTiO3,MgTiO3等、その他
の誘電体材料や、絶縁体、磁性体、圧電体、半導体材料
でも構わない。また、本発明のセラミック素体12にお
けるセラミック層の積層数は、上述の実施形態に限定さ
れることなく、何層積層されても構わない。また、本発
明のセラミック電子部品の内部電極13の枚数は、上述
の実施形態に限定されない。
【0046】
【実施例】〔アニオン性のポリウレタン樹脂を用いた実
施例〕セラミック材料としてチタン酸バリウム粉末を用
い、有機バインダとしてアニオン性のポリウレタン樹脂
を用いてセラミック成形体を作製した実施例を説明す
る。
【0047】ここで、チタン酸バリウム粉末からなるセ
ラミック材料に、アニオン性のポリウレタン樹脂からな
る有機バインダを組み合わせたのは、次のような背景に
よる。すなわち、一般に、チタン酸バリウム粉末を用い
て作製したセラミックスラリーから溶出する金属イオン
は比較的少量である。このため、アニオン性のポリウレ
タン樹脂中のアニオン性基と、溶出した金属イオンとが
反応し、セラミックスラリーがゲル化または高粘度化す
る恐れがない。したがって、チタン酸バリウム粉末を用
いたセラミックスラリーの作製において、有機バインダ
としてポリウレタン樹脂を用いる場合、通常、アニオン
性のポリウレタン樹脂が採用される。
【0048】セラミック材料としてチタン酸バリウム粉
末と、実施例1〜5の有機ビヒクルとして平均粒径が1
00〜500nmであるアニオン性のポリウレタン樹脂
30重量%と水溶媒70重量%とからなるアニオン性の
ポリウレタン樹脂エマルジョンと、比較例1の有機ビヒ
クルとして平均粒径が1000nmである酢酸ビニル樹
脂50重量%と水溶媒50重量%とからなる酢酸ビニル
樹脂エマルジョンと、比較例2の有機ビヒクルとして平
均粒径が100nmであるアクリル樹脂30重量%と水
溶媒70重量%とからなるアクリル樹脂エマルジョン
と、原料を均一に分散させるための分散剤と、脱泡性を
向上させるための消泡剤とを準備した。
【0049】次いで、チタン酸バリウム粉末100重量
部と、表1に示す含有量の実施例1〜5ならびに比較例
1,2の各種樹脂エマルジョンと、水溶媒20重量部
と、分散剤1重量部と、消泡剤0.5重量部とを配合し
た後、ボールミルを用いて2時間混合・解砕してセラミ
ックスラリーを得、これを脱泡した後、ドクターブレー
ドを用いてシート成形しこれを乾燥させて、厚み0.2
mmの実施例1〜5ならびに比較例1,2のセラミック
成形体を作製した。
【0050】そこで、実施例1〜5ならびに比較例1,
2のセラミック成形体について、相対密度(%),引張
り強度(MPa),伸び(%)を測定し、これらを表1
〜3にそれぞれ示した。また、表1〜3に基づいて、有
機バインダの含有量とセラミック成形体の相対密度との
関係を図3にグラフで示した。また、有機バインダの含
有量とセラミック成形体の引張り強度との関係を図4に
グラフで示した。さらに、有機バインダの含有量とセラ
ミック成形体の伸びとの関係を図5にグラフで示した。
【0051】なお、相対密度は、セラミック成形体をシ
ート打ち抜き機を用いて76.0×58.4mmに打ち
抜き、金型寸法ならびに厚み寸法および脱脂体重量から
相対密度(%)を求めた。なお、理論密度は、粉末真比
重5.83g/cm3とした。
【0052】また、引張り強度ならびに伸びは、セラミ
ック成形体をシート打ち抜き機を用いて40.0×1
2.0mmの「I」型形状(中央部幅2mm,凹部長さ
30mm,凹部R5mm)に打ち抜き、この試験片をオ
リエンテック社製の引張り強度試験機テンシロンUCT
−1Tを用いて測定した。なお、試験時のクロスヘッド
速度は5.0mm/min、測定温度は室温25℃とし
た。
【0053】
【表1】
【0054】表1ならびに図3から明らかなように、セ
ラミックスラリー中の有機バインダの含有量とセラミッ
ク成形体の相対密度は、略反比例することが分かる。ま
た、有機バインダの平均粒径が異なる実施例1〜5を比
較すると、平均粒径の小さい有機バインダを用いたセラ
ミック成形体であるほど、相対密度が高くなることが分
かる。
【0055】また、有機バインダの含有量が同じである
場合、実施例1〜5のセラミック成形体の相対密度は、
同じ粒径の比較例2のセラミック成形体の相対密度と比
べて若干高く、比較例1のセラミック成形体の相対密度
と比較すると、約20%程度高いことが分かる。したが
って、有機バインダとして、アニオン性のポリウレタン
樹脂やアクリル樹脂を用いた場合の方が、酢酸ビニル樹
脂を用いた場合より、高密度のセラミック成形体が得ら
れると言える。
【0056】
【表2】
【0057】表2ならびに図4から明らかなように、セ
ラミックスラリー中の有機バインダの含有量とセラミッ
ク成形体の引張り強度は、略比例することが分かる。ま
た、有機バインダの平均粒径が異なる実施例1〜5を比
較すると、平均粒径の小さい有機バインダを用いたセラ
ミック成形体であるほど、引張り強度が高くなることが
分かる。
【0058】また、有機バインダの含有量が同じである
場合、実施例1〜5のセラミック成形体の引張り強度
は、比較例1,2のセラミック成形体の引張り強度と比
べて高く優れることが分かる。したがって、同じ引張り
強度を得るためには、有機バインダとしてアニオン性の
ポリウレタン樹脂を用いた場合の方が、有機バインダの
酢酸ビニル樹脂やアクリル樹脂を用いた場合より、含有
量が少なくて済むと言える。
【0059】
【表3】
【0060】表3ならびに図5から明らかなように、セ
ラミックスラリー中の有機バインダの含有量とセラミッ
ク成形体の伸びは、略比例することが分かる。また、有
機バインダの平均粒径が異なる実施例1〜5を比較する
と、平均粒径の小さい有機バインダを用いたセラミック
成形体であるほど、伸びが高くなることが分かる。
【0061】また、有機バインダの含有量が同じである
場合、実施例1〜5のセラミック成形体の伸びは、比較
例1,2のセラミック成形体の伸びと比べて高いことが
分かる。したがって、同じ伸びを得るためには、有機バ
インダとしてアニオン性のポリウレタン樹脂を用いた場
合の方が、有機バインダの酢酸ビニル樹脂やアクリル樹
脂を用いた場合より、含有量が少なくて済むと言える。
【0062】ここで、引張り強度が2.30MPaであ
る実施例1のセラミック成形体を研磨したものの顕微鏡
写真を図6に示す。また、引張り強度が同じ2.30M
Paである比較例1のセラミック成形体を研磨したもの
の顕微鏡写真を図7に示す。図6、図7に、それぞれ矢
印で示した部分が有機バインダである。なお、実施例1
および比較例1のセラミック成形体で、有機バインダの
含有量は、それぞれ4重量部、13重量部であり、有機
バインダの平均粒径は、それぞれ100nm,1000
nmである。
【0063】図6と図7を比較すると、図7(比較例
1)より図6(実施例1)の方が、セラミック成形体を
構成するセラミック材料が緻密である。これは、有機ビ
ヒクルとして凝集性に優れたポリウレタン樹脂エマルジ
ョンを用いたこと、および、微粒の有機バインダを用い
たことによるものと考えられる。
【0064】次いで、実施例1のセラミック成形体を8
0.0×60.0mmにカットした試料を、表4に示し
た昇温速度で50〜600℃まで昇温することにより脱
脂し、セラミック脱脂体を得た。このセラミック脱脂体
中に残存する残留炭素量を測定し、これを表4に示し
た。
【0065】
【表4】
【0066】表4から明らかなように、セラミックスラ
リー中における有機バインダであるアニオン性のポリウ
レタン樹脂の含有量が、セラミック粉末100重量部に
対して8重量部以下であれば、昇温速度が2.29℃/
minであっても残留炭素量は0.01重量%以下であ
り、十分に脱脂されていることが分かる。これに対し
て、含有量が8重量部を上回ると、脱脂性の改善効果が
小さくなることが分かる。
【0067】次いで、架橋剤を含有させたセラミックス
ラリーを用いてセラミック成形体を作製した。すなわ
ち、上述した実施例1〜5のセラミックスラリーを用
い、さらに架橋剤として水分散性ポリイソシアネートを
準備し、これをアニオン性のポリウレタン樹脂100重
量%に対して10重量%添加した、実施例6〜10のセ
ラミックスラリーを準備し、これを上述した実施例1〜
5と同様にシート成形して、実施例6〜10のセラミッ
ク成形体を作製した。
【0068】そこで、実施例6〜10のセラミック成形
体について、相対密度(%),引張り強度(MPa),
伸び(%)を測定し、表5〜7にそれぞれ示した。ま
た、表5〜7に基づいて、有機バインダの含有量とセラ
ミック成形体の相対密度との関係を図8に示した。ま
た、有機バインダの含有量とセラミック成形体の引張り
強度との関係を図9に示した。さらに、有機バインダの
含有量とセラミック成形体の伸びとの関係を図10に示
した。なお、相対密度,引張り強度,伸びの測定は、上
述した実施例1〜5ならびに比較例1,2と同様の方法
により実施した。
【0069】また、比較例1,2のセラミック成形体に
ついても同様に、上述した測定結果に基づいて、有機バ
インダの含有量とセラミック成形体の相対密度との関係
を図8に併せて示した。また、有機バインダの含有量と
セラミック成形体の引張り強度との関係を図9に併せて
示した。さらに、有機バインダの含有量とセラミック成
形体の伸びとの関係を図10に併せて示した。
【0070】
【表5】
【0071】表5ならびに図8から明らかなように、架
橋剤を含有する場合であっても、セラミックスラリー中
の有機バインダの含有量とセラミック成形体の相対密度
は、略反比例することが分かる。また、有機バインダの
平均粒径が異なる実施例6〜10を比較すると、平均粒
径の小さい有機バインダを用いたセラミック成形体であ
るほど、相対密度が高くなることが分かる。
【0072】また、有機バインダの含有量が同じである
場合、実施例6〜10のセラミック成形体の相対密度
は、比較例2のセラミック成形体の相対密度と略同等で
あり、比較例1のセラミック成形体の相対密度と比較す
ると、約20%程度高いことが分かる。したがって、有
機バインダとしてアニオン性のポリウレタン樹脂やアク
リル樹脂を用いた場合の方が、酢酸ビニル樹脂を用いた
場合より、高密度のセラミック成形体が得られると言え
る。
【0073】また、表1ならびに図3に示したように、
実施例1〜5の架橋剤を含有しないセラミック成形体の
相対密度は、表5ならびに図8に示した実施例6〜10
の架橋剤を含有するセラミック成形体の相対密度と比べ
て、若干ながら密度が高いことが分かる。これは、架橋
剤を含むと架橋により乾燥収縮が阻害される分だけ密度
が若干低下するからである。
【0074】
【表6】
【0075】表6ならびに図9から明らかなように、架
橋剤を含有する場合であっても、セラミックスラリー中
の有機バインダの含有量とセラミック成形体の引張り強
度は、略比例することが分かる。また、有機バインダの
平均粒径が異なる実施例6〜10を比較すると、平均粒
径の小さい有機バインダを用いたセラミック成形体であ
るほど、引張り強度が高くなることが分かる。
【0076】また、有機バインダの含有量が同じである
場合、実施例6〜10のセラミック成形体の引張り強度
は、比較例1,2のセラミック成形体の引張り強度と比
べて高く優れることが分かる。したがって、同じ引張り
強度を得るためには、有機バインダとしてアニオン性の
ポリウレタン樹脂を用いた場合の方が、有機バインダの
酢酸ビニル樹脂やアクリル樹脂を用いた場合より、含有
量が少なくて済むと言える。
【0077】また、表2ならびに図4に示した実施例1
〜5の架橋剤を含有しないセラミック成形体の引張り強
度と、表6ならびに図9に示した実施例6〜10の架橋
剤を含有するセラミック成形体の引張り強度を比較する
と、有機バインダの含有量が5重量部前後で、20〜5
0%程度の強度向上が見られる。これは、有機ビヒクル
であるアニオン性のポリウレタン樹脂エマルジョンの官
能基間で架橋構造が形成されるためである。
【0078】
【表7】
【0079】表7ならびに図10から明らかなように、
架橋剤を含有する場合であっても、セラミックスラリー
中の有機バインダの含有量とセラミック成形体の伸び
は、略比例することが分かる。また、有機バインダの平
均粒径が異なる実施例6〜10を比較すると、平均粒径
の小さい有機バインダを用いたセラミック成形体である
ほど、伸びが高くなることが分かる。
【0080】また、有機バインダの含有量が同じである
場合、実施例6〜10のセラミック成形体の伸びは、比
較例1,2のセラミック成形体の伸びと比較して高く優
れることが分かる。したがって、同じ伸びを得るために
は、有機バインダとしてアニオン性のポリウレタン樹脂
を用いた場合の方が、有機バインダとして酢酸ビニル樹
脂やアクリル樹脂を用いた場合より、含有量が少なくて
済むと言える。
【0081】また、表3ならびに図5に示した実施例1
〜5の架橋剤を含有しないセラミック成形体の伸びと、
表7ならびに図10に示した実施例6〜10の架橋剤を
含有するセラミック成形体の伸びを比較すると、有機バ
インダの含有量が5重量部前後で、10〜25%程度の
伸び向上が見られる。 〔ノニオン性のポリウレタン樹脂を用いた実施例〕セラ
ミック材料としてチタン酸ジルコン酸鉛粉末を用い、有
機バインダとしてノニオン性のポリウレタン樹脂を用い
てセラミック成形体を作製した実施例を説明する。
【0082】ここで、チタン酸ジルコン酸鉛粉末からな
るセラミック材料に、ノニオン性のポリウレタン樹脂か
らなる有機バインダを組み合わせたのは、次のような背
景による。すなわち、一般に、チタン酸ジルコン酸鉛粉
末を用いて作製したセラミックスラリーからは比較的多
量の金属イオンが溶出する。そこで、有機バインダとし
てポリウレタン樹脂を用いる場合、通常、セラミックス
ラリーから溶出する金属イオンと反応することのないノ
ニオン性の親水基が付与されてなるノニオン性のポリウ
レタン樹脂が採用される。
【0083】セラミック材料としてチタン酸ジルコン酸
鉛粉末と、有機ビヒクルとして実施例11〜15ならび
に比較例3の各種樹脂エマルジョンと、分散剤と、消泡
剤とを準備した。上記の各種ポリウレタン樹脂エマルジ
ョンは、具体的には次のとおりである。すなわち、実施
例11〜15においては、平均粒径が100〜500n
mであるノニオン性のポリウレタン樹脂30重量%と水
溶媒70重量%とからなるノニオン性のポリウレタン樹
脂エマルジョンである。また、比較例3においては、平
均粒径が100nmであるアクリル樹脂30重量%と水
溶媒70重量%とからなるアクリル樹脂エマルジョンで
ある。
【0084】次いで、チタン酸ジルコン酸鉛粉末100
重量部と、表8に示す含有量の実施例11〜15ならび
に比較例3の各種樹脂エマルジョンと、水溶媒20重量
部と、分散剤1重量部と、消泡剤0.5重量部とを配合
した後、ボールミルを用いて24時間、混合・解砕して
セラミックスラリーを得た。これらのセラミックスラリ
ーを脱泡した後、ドクターブレードを用いてシート成形
し、乾燥させて、厚み0.2mmの実施例11〜15な
らびに比較例3のセラミック成形体を作製した。 ここ
で、セラミック成形体について、相対密度(%),引張
り強度(MPa),伸び(%)を測定し、表8〜10に
それぞれ示した。また、セラミック成形体を焼成してセ
ラミック素体を得た。このセラミック素体について、ポ
ア面積率(%),最大ポア径(μm)を測定し、表1
1,12にそれぞれ示した。
【0085】ここで、相対密度,引張り強度ならびに伸
びは、上述の実施例1〜10ならびに比較例1,2と同
様の方法により実施した。なお、相対密度の算出に用い
た理論密度は、粉末真比重8.0g/cm3とした。
【0086】また、ポア面積率ならびに最大ポア径は、
ムサシノ電子製の精密試料研磨装置MA−300を用い
て鏡面加工を施した焼結体表面をニコン社製のメジャー
スコープUM−2に接続したNIRECO社製のリアル
タイムイメージアナライザを用い、倍率を50倍にして
測定した。なお、本実施例において、ポア面積率とは、
視野内においてポアの占める比率であり、最大ポア径は
視野内における最も大きなポアの直径である。
【0087】
【表8】
【0088】表8はセラミック成形体の相対密度を示し
たものである。この表8から明らかなように、セラミッ
クスラリー中の有機バインダの含有量とセラミック成形
体の相対密度は、略反比例することが分かる。また、有
機バインダの平均粒径が異なる実施例11〜15を相互
に比較すると、平均粒径の小さい有機バインダを用いる
ほど、相対密度が高くなることが分かる。また、有機バ
インダの含有量が同じである場合、実施例11のセラミ
ック成形体の相対密度は、平均粒径の値が同じである比
較例3のセラミック成形体の相対密度と比べると高くな
ることが分かる。したがって、有機バインダとしてノニ
オン性のポリウレタン樹脂エマルジョンを用いた場合の
方が、アクリル樹脂エマルジョンを用いた場合より、高
密度なセラミック成形体が得られると言える。
【0089】
【表9】
【0090】表9はセラミック成形体の引張り強度を示
したものである。この表9から明らかなように、セラミ
ックスラリー中の有機バインダの含有量とセラミック成
形体の引張り強度は、略比例する。また、有機バインダ
の平均粒径が異なる実施例11〜15を相互に比較する
と、平均粒径の小さい有機バインダを用いるほど、引張
り強度が高くなることが分かる。また、有機バインダの
含有量が同じである場合、実施例11のセラミック成形
体の引張り強度は、平均粒径の値が同じである比較例3
のセラミック成形体の引張り強度と比べると高くなるこ
とが分かる。したがって、同じ引張り強度を得るために
は、有機バインダとしてノニオン性のポリウレタン樹脂
エマルジョンを用いた場合の方が、アクリル樹脂エマル
ジョンを用いた場合より、有機バインダの含有量は少な
くて済むと言える。
【0091】
【表10】
【0092】表10はセラミック成形体の伸びを示した
ものである。この表10から明らかなように、セラミッ
クスラリー中の有機バインダの含有量とセラミック成形
体の伸びは、略比例する。また、有機バインダの平均粒
径が異なる実施例11〜15を相互に比較すると、平均
粒径の小さい有機バインダを用いるほど、伸びが高くな
ることが分かる。また、有機バインダの含有量が同じで
ある場合、実施例11のセラミック成形体の伸びは、平
均粒径の値が同じである比較例3のセラミック成形体の
伸びと比べると高くなることが分かる。したがって、同
じ伸びを得るためには、有機バインダとしてノニオン性
のポリウレタン樹脂エマルジョンを用いた場合の方が、
アクリル樹脂エマルジョンを用いた場合と比べて、有機
バインダの含有量は少なくて済むと言える。
【0093】
【表11】
【0094】表11はセラミック素体のポア面積率を示
したものである。この表11から明らかなように、セラ
ミックスラリー中の有機バインダの含有量とセラミック
素体のポア面積率は、略比例する。また、有機バインダ
の平均粒径が異なる実施例11〜15を相互に比較する
と、平均粒径の小さい有機バインダを用いるほど、ポア
面積率は小さくなることが分かる。また、有機バインダ
の含有量が同じである場合、実施例11のセラミック素
体のポア面積率は、平均粒径の値が同じである比較例3
のセラミック素体のポア面積率と比べると小さいことが
分かる。したがって、有機バインダとしてノニオン性の
ポリウレタン樹脂エマルジョンを用いた場合の方が、ア
クリル樹脂エマルジョンを用いた場合よりポア面積率が
小さくなると言える。
【0095】
【表12】
【0096】表12はセラミック素体の最大ポア径を示
したものである。この表12から明らかなように、セラ
ミックスラリー中の有機バインダの含有量とセラミック
素体の最大ポア径は、略比例する。また、有機バインダ
の平均粒径が異なる実施例11〜15を相互に比較する
と、平均粒径の小さい有機バインダを用いるほど、最大
ポア径は小さくなることが分かる。また、有機バインダ
の含有量が同じである場合、実施例11のセラミック素
体の最大ポア径は、平均粒径の値が同じである比較例3
のセラミック素体の最大ポア径と比べると小さいことが
分かる。したがって、有機バインダーとしてノニオン性
のポリウレタン樹脂エマルジョンを用いた場合の方が、
アクリル樹脂エマルジョンを用いた場合より、最大ポア
径が小さくなると言える。
【0097】次いで、実施例11ならびに比較例3のセ
ラミック成形体を80.0×60.0mmにカットした
試料を、表13に示した昇温速度で50〜600℃まで
昇温することにより脱脂し、セラミック脱脂体を得た。
このセラミック脱脂体中に残存する残留炭素量を測定
し、表13にそれぞれ示した。
【0098】
【表13】
【0099】表13から明らかなように、セラミックス
ラリー中の有機バインダの含有量が、セラミック粉末1
00重量部に対して8重量部以下であれば、昇温速度が
2.29℃/minと比較的低いものであっても、十分
に脱脂され、0.01重量%以下の残留炭素量となる。
これに対して、有機バインダの含有量が、セラミック粉
末100重量部に対して8重量部を上回ると、脱脂性の
改善効果が小さくなることが分かる。なお、有機バイン
ダとしてノニオン性のポリウレタン樹脂エマルジョンを
用いた実施例11と、アクリル樹脂エマルジョンを用い
た比較例3では脱脂性に大差はなく、脱脂性は有機バイ
ンダの含有量により略決定されることが分かる。
【0100】次いで、上述の実施例11〜15のセラミ
ックスラリーに、さらに架橋剤を添加し、実施例16〜
20のセラミックスラリーを作製した。架橋剤として水
分散性ポリイソシアネートを用い、ノニオン性のポリウ
レタン樹脂エマルジョンの固形分100重量%に対して
10重量%添加した。これらのセラミックスラリーを上
述の実施例11〜15と同様にシ−ト成形し、セラミッ
ク成形体を作製した。ここで、実施例16〜20のセラ
ミック成形体について、相対密度(%),引張り強度
(MPa),伸び(%)を測定し、表14〜16にそれ
ぞれ示した。さらに、セラミック素体について、ポア面
積率(%),最大ポア径(μm)を測定し、表17,1
8にそれぞれ示した。なお、成形体の相対密度,引張り
強度,伸びならびに焼結体のポア面積率,最大ポア径の
測定は、上述の実施例11〜15ならびに比較例3と同
様の方法により実施した。また、比較例3のセラミック
成形体ならびに焼結体の相対密度(%),引張り強度
(MPa),伸び(%),ポア面積率(%),最大ポア
径(μm)について、前掲の表8〜12の値を表14〜
18に併記した。
【0101】
【表14】
【0102】表14から明らかなように、架橋剤を含有
する場合であっても、セラミックスラリー中の有機バイ
ンダの含有量とセラミック成形体の相対密度は、略反比
例する。また、表8に示した架橋剤を含有しない実施例
11〜15のセラミック成形体の相対密度に比べて、表
14に示した架橋剤を含有する実施例16〜20のセラ
ミック成形体の相対密度の方が、若干ながら低いことが
分かる。これは、架橋剤を含有する場合、架橋により乾
燥収縮が阻害される分だけ密度が低下するからである。
【0103】
【表15】
【0104】表15から明らかなように、架橋剤を含有
する場合であっても、セラミックスラリー中の有機バイ
ンダの含有量とセラミック成形体の引張り強度は、略比
例する。また、表9に示した架橋剤を含有しない実施例
11〜15のセラミック成形体の引張り強度と、表15
に示した架橋剤を含有する実施例16〜20のセラミッ
ク成形体の引張り強度を比較すると、架橋剤を含有する
方が高いことが分かる。これは、ポリウレタン樹脂エマ
ルジョンの官能基間で架橋構造が形成されるためであ
る。
【0105】
【表16】
【0106】表16から明らかなように、架橋剤を含有
する場合であっても、セラミックスラリー中の有機バイ
ンダの含有量とセラミック成形体の伸びは、略比例す
る。また、表10に示した架橋剤を含有しない実施例1
1〜15のセラミック成形体の伸びと、表16に示した
架橋剤を含有する実施例16〜20のセラミック成形体
の伸びを比較すると、架橋剤を含有する方が大きいこと
が分かる。これは、上述のようにポリウレタン樹脂エマ
ルジョンの官能基間で架橋構造が形成されるためであ
る。
【0107】
【表17】
【0108】表17はセラミック素体のポア面積率を示
したものである。この表17から明らかなように、架橋
剤を含有する場合であっても、セラミックスラリー中の
有機バインダの含有量とセラミック素体のポア面積率
は、略比例する。また、表11に示した架橋剤を含有し
ない実施例11〜15のセラミック素体のポア面積率に
比べて、表17に示した架橋剤を含有する実施例16〜
20のセラミック素体のポア面積率の方が、若干ながら
大きいことが分かる。これは、架橋剤を含むと架橋によ
りセラミック粒子間の距離が大きくなるからである。
【0109】
【表18】
【0110】表18はセラミック素体の最大ポア径を示
したものである。この表18から明らかなように、架橋
剤を含有する場合であっても、セラミックスラリー中の
有機バインダの含有量とセラミック素体の最大ポア径
は、略比例する。また、表12に示した架橋剤を含有し
ない実施例11〜15のセラミック素体の最大ポア径に
比べて、表18に示した架橋剤を含有する実施例16〜
20のセラミック素体の最大ポア径の方が、若干ながら
大きいことが分かる。これは、架橋剤を含むと架橋によ
りセラミック粒子間の距離が大きくなるからである。 〔アニオン性、ノニオン性、アニオン/ノニオン性の各
ポリウレタン樹脂のそれぞれを用いた実施例〕セラミッ
ク材料としてチタン酸ジルコン酸鉛粉末と、有機ビヒク
ルとして実施例21〜26の各種ポリウレタン樹脂エマ
ルジョンと、分散剤と、消泡剤とを準備した。上記の各
種ポリウレタン樹脂エマルジョンは、具体的には次のと
おりである。すなわち、実施例21,22では、平均粒
径が100nmであるノニオン性のポリウレタン樹脂3
0重量%と水溶媒70重量%とからなるノニオン性のポ
リウレタン樹脂エマルジョンを用いた。また、実施例2
3,24では、平均粒径が100nmであるアニオン/
ノニオン性のポリウレタン樹脂30重量%と水溶媒70
重量%とからなるアニオン/ノニオン性のポリウレタン
樹脂エマルジョンを用いた。また、実施例25,26で
は、平均粒径が100nmであるアニオン性のポリウレ
タン樹脂30重量%と水溶媒70重量%とからなるアニ
オン性のポリウレタン樹脂エマルジョンを用いた。
【0111】ここで、本実施例において、「アニオン/
ノニオン性」のポリウレタン樹脂エマルジョンとは、ア
ニオン性のカルボキシル基およびノニオン性のエーテル
基の双方が、ポリウレタン樹脂に付与されて自己乳化し
たものである。なお、自己乳化したものに限らず、例え
ば、カルボキシル基が付与されたポリウレタン樹脂に、
さらに界面活性剤が付与され、強制乳化されたものを用
いてもよい。
【0112】次いで、チタン酸ジルコン酸鉛粉末100
重量部と、実施例21〜26のポリウレタン樹脂エマル
ジョン5重量部と、水溶媒20重量部と、分散剤1重量
部と、消泡剤0.5重量部とを配合した後、ボールミル
を用いて2時間および24時間混合・解砕して、セラミ
ックスラリーをそれぞれ得た。これらのセラミックスラ
リーを脱泡した後、ドクターブレードを用いてシート成
形し、乾燥させて、厚み0.2mmの実施例21〜26
のセラミック成形体をそれぞれ作製した。
【0113】次いで、実施例21〜26のセラミック成
形体を80.0×60.0mmにカットして生のセラミ
ック素体を作製し、焼成して、実施例21〜26のセラ
ミック素体をそれぞれ得た。
【0114】そして、実施例21〜26の各セラミック
スラリーについて、原料平均粒径と金属イオン溶出量を
測定した。また、各セラミック成形体について相対密
度,引張り強度,伸びを測定した。さらに、各セラミッ
ク素体についてポア面積と最大ポア径を測定して、表1
9にそれぞれ示した。
【0115】ここで、原料平均粒径は、堀場製作所製の
レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定し
た。また、金属イオン溶出量の測定においては、遠心分
離機を用いて分離させたセラミックスラリーの上澄み液
を採取し、誘導結合プラズマ発光分光装置にて、特に溶
出量が多いと思われるPbイオン量を測定した。また、
相対密度,引張り強度,伸び,ポア面積ならびに最大ポ
ア径の測定は、上述の実施例11〜15と同様の方法に
より実施した。
【0116】
【表19】
【0117】表19から明らかなように、原料平均粒径
が同じ800nmである実施例21,23,25のセラ
ミックスラリーは、金属溶出量が何れも200ppmで
一致している。また、原料平均粒径が同じ500nmで
ある実施例22,24,26のセラミックスラリーは、
金属溶出量が何れも1500ppmで一致している。ま
た、有機バインダとしてノニオン性のポリウレタン樹脂
を用いた実施例21,22のセラミック成形体は、相対
密度がそれぞれ64.3%,64.5%である。また、
アニオン/ノニオン性のポリウレタン樹脂を用いた実施
例23,24のセラミック成形体は、相対密度がそれぞ
れ64.2%,64.0%である。これに対して、アニ
オン性のポリウレタン樹脂を用いた実施例25,26の
セラミック成形体は、相対密度がそれぞれ64.0%,
61.0%である。したがって、実施例25,26のセ
ラミック成形体は、実施例21〜24のセラミック成形
体と比べて、相対密度について僅かながら低いことが分
かる。
【0118】また、引張り強度および伸びについては、
実施例21〜24のセラミック成形体がそれぞれ2.6
〜3.4MPa,19.8〜22.5%であるのに対し
て、実施例25,26のセラミック成形体は、それぞれ
2.8MPa,1.8MPa,20.0%,14.0%
である。したがって、実施例25,26のセラミック成
形体は、実施例21〜24のセラミック成形体に比べ
て、引張り強度および伸びが低いことが分かる。
【0119】また、セラミック素体のポア面積率ならび
に最大ポア径については、実施例21〜24のセラミッ
ク素体がそれぞれ0.23〜0.30%,2.4〜3.
3μmであるのに対して、実施例25,26のセラミッ
ク素体は、それぞれ0.30%,0.95%,3.2μ
m,4.4μmである。したがって、実施例25,26
のセラミック素体は、実施例21〜24のセラミック素
体に比べて、ポア面積率ならびに最大ポア径の双方が大
きいことが分かる。
【0120】なお、特筆すべきは、有機バインダとして
ノニオン性のポリウレタン樹脂を用いた実施例22(金
属溶出量は1500ppm)は、同じ有機バインダを用
いた金属溶出量の比較的少ない実施例21(金属溶出量
は200ppm)に比べて、セラミック成形体の相対密
度,引張り強度,伸び,セラミック素体のポア面積率,
および最大ポア径の何れにおいても向上していることで
ある。すなわち、実施例22は実施例21と比べて、相
対密度が0.2ポイント、引張り強度が0.2ポイン
ト、伸びが0.5ポイント、ポア面積率が0.04ポイ
ント、最大ポア径が0.4ポイント向上している。これ
らの数値を実施例21に対する実施例22の向上率に換
算すると、それぞれ0.3%,6.3%,2.3%,1
4.8%,14.3%向上していることとなる。これ
は、実施例22の原料平均粒径が実施例21と比較して
小さいことによる効果が現れたものであり、金属の溶出
に起因するセラミック成形体の相対密度,引張り強度,
伸びの低下ならびにセラミック素体のポアの増加,ポア
径の拡大が生じていないことを示している。
【0121】これに対して、有機バインダとしてアニオ
ン/ノニオン性のポリウレタン樹脂を用いた実施例24
(金属溶出量は1500ppm)は、同じ有機バインダ
を用いた金属溶出量の比較的少ない実施例23(金属溶
出量は200ppm)と比べて、セラミック成形体の相
対密度,引張り強度,伸び、およびセラミック素体のポ
ア面積率,最大ポア径の何れにおいても低下している。
すなわち、実施例24は実施例23と比べて、相対密度
が0.2ポイント、引張り強度が0.4ポイント、伸び
が1.7ポイント、ポア面積率が0.02ポイント、最
大ポア径が0.2ポイント低下している。これらの数値
を実施例23に対する実施例24の低下率に換算する
と、それぞれ0.3%,13.3%,7.9%,7.1
%,6.5%低下していることとなる。
【0122】また、有機バインダとしてアニオン性のポ
リウレタン樹脂を用いた実施例26(金属溶出量は15
00ppm)は、同じ有機バインダを用いた金属溶出量
の比較的少ない実施例25(金属溶出量は200pp
m)に比べて、セラミック成形体の相対密度,引張り強
度,伸び,セラミック素体のポア面積率,および最大ポ
ア径の何れにおいても低下している。すなわち、実施例
26は実施例25と比べて、相対密度が3.0ポイン
ト、引張り強度が1.0ポイント、伸びが6.0ポイン
ト、ポア面積率が0.65ポイント、最大ポア径が1.
2ポイント低下している。これらの数値を実施例25に
対する実施例26の低下率に換算すると、それぞれ4.
7%,35.7%,30.0%,216.7%,37.
5%低下していることとなる。
【0123】上述のとおり、実施例25に対する実施例
26の低下率は、実施例23に対する実施例24の低下
率と比べて明らかに大きい。これは、実施例26の原料
平均粒径が実施例25と比べて小さいことによる効果以
上に、金属の溶出による影響が大きいことを示してい
る。
【0124】
【発明の効果】以上のように本発明のセラミック成形体
は、セラミック粉末と、ポリウレタン樹脂からなる有機
バインダと溶媒とからなるエマルジョンである有機ビヒ
クルと、を含有してなるセラミックスラリーを用いて成
形されたことを特徴とすることで、セラミックスラリー
中の有機バインダ含有量を少量化することができ、余剰
の有機バインダが凝集した塊状物が少なく、なおかつ優
れた引張り強度ならびに伸びを備え、これを焼成してセ
ラミック電子部品を製造する場合に、有機バインダの加
熱除去が短時間で済み、セラミック成形体の焼結に伴う
収縮が小さく、変形や反りの少ないセラミック電子部品
を提供することができる。
【0125】また、本発明のセラミック成形体は、上述
のセラミックスラリー中における有機バインダの平均粒
径が、300nm以下であることにより、従来より優れ
た引張り強度ならびに伸びを備え、なおかつ有機バイン
ダ含有量をより少量化することができる。
【0126】また、本発明のセラミック成形体は、上述
のセラミックスラリー中における有機バインダの含有量
が、セラミック粉末100重量部に対して8重量部以下
であることにより、従来より少ない有機バインダ含有量
でありながら、優れた引張り強度ならびに伸びを備え
る。
【0127】また、本発明のセラミック成形体は、上述
のセラミックスラリーがさらに架橋剤を含有することに
より、従来より少ない有機バインダ含有量でありなが
ら、さらに優れた引張り強度ならびに伸びを備える。
【0128】また、本発明のセラミック成形体において
は、アニオン性のポリウレタン樹脂、または、ノニオン
性のポリウレタン樹脂、あるいは、アニオン/ノニオン
性のポリウレタン樹脂の何れかからなる有機バインダを
用いることができる。
【0129】このうち、アニオン性のポリウレタン樹脂
は、ノニオン性またはアニオン/ノニオン性のポリウレ
タン樹脂に比べて、多数の種類があるので、バインダと
して採用するポリウレタン樹脂を選定する際の自由度が
高い。そして、作製するセラミック成形体の伸び、引張
り強度等の特性を所望の値にするため、最適なポリウレ
タン樹脂を選定することができる。
【0130】また、ノニオン性のポリウレタン樹脂を用
いた場合、セラミックスラリー中のセラミック粉末から
溶出する金属イオンと親水基とが反応することはない。
また、アニオン/ノニオン性のポリウレタン樹脂を用い
た場合、溶出する金属イオンと親水基とが反応する程度
は低い。したがって、ノニオン性のポリウレタン樹脂、
または、アニオン/ノニオン性のポリウレタン樹脂を用
いた場合には、溶出する金属イオンと親水基との反応を
防ぐための添加剤を加える必要がない。また、強度を得
るために有機バインダを過剰に添加する必要がない。こ
れにより、セラミック成形体の密度低下を防止すること
ができる。さらに、セラミック成形体を焼成して得られ
るセラミック素体のポアの増加,ポアの径の拡大を防止
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一つの実施形態のセラミック電子
部品の概略図である。
【図2】本発明に係る他の実施形態のセラミック電子部
品の断面図である。
【図3】本発明の実施例1〜5ならびに比較例1,2に
ついて、有機バインダの含有量とセラミック成形体の相
対密度との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例1〜5ならびに比較例1,2に
ついて、有機バインダの含有量とセラミック成形体の引
張り強度との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例1〜5ならびに比較例1,2に
ついて、有機バインダの含有量とセラミック成形体の伸
びとの関係を示すグラフである。
【図6】有機バインダとしてポリウレタン樹脂エマルジ
ョンを用いた、本発明に係る一つの実施形態のセラミッ
ク成形体における有機バインダの存在状態を示した顕微
鏡写真である。
【図7】有機バインダとして酢酸ビニル樹脂を用いた、
従来のセラミック成形体における有機バインダの存在状
態を示した顕微鏡写真である。
【図8】本発明の実施例6〜10ならびに比較例1,2
について、有機バインダの含有量とセラミック成形体の
相対密度との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の実施例6〜10ならびに比較例1,2
について、有機バインダの含有量とセラミック成形体の
引張り強度との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の実施例6〜10ならびに比較例1,
2について、有機バインダの含有量とセラミック成形体
の伸びとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 セラミック電子部品 2 セラミック素体 3 電極 4 はんだ 11 セラミック電子部品 12 セラミック素体 12a セラミック層 14 外部電極

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック粉末と、ポリウレタン樹脂か
    らなる有機バインダと溶媒とからなるエマルジョンであ
    る有機ビヒクルと、を含有してなるセラミックスラリー
    を用いて成形されたことを特徴とする、セラミック成形
    体。
  2. 【請求項2】 前記有機バインダの平均粒径は、300
    nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のセ
    ラミック成形体。
  3. 【請求項3】 前記セラミックスラリー中における有機
    バインダの含有量は、セラミック粉末100重量部に対
    して8重量部以下であることを特徴とする、請求項1ま
    たは2に記載のセラミック成形体。
  4. 【請求項4】 前記セラミックスラリーは、さらに架橋
    剤を含有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか
    に記載のセラミック成形体。
  5. 【請求項5】 前記セラミックスラリー中における溶媒
    は、水を含有することを特徴とする、請求項1〜4の何
    れかに記載のセラミック成形体。
  6. 【請求項6】 前記有機バインダは、アニオン性のポリ
    ウレタン樹脂、または、ノニオン性のポリウレタン樹
    脂、あるいは、アニオン/ノニオン性のポリウレタン樹
    脂の何れかからなることを特徴とする、請求項5に記載
    のセラミック成形体。
  7. 【請求項7】 前記セラミック成形体は、前記セラミッ
    クスラリーを用いてシート成形されたセラミックグリー
    ンシートであることを特徴とする、請求項1〜6の何れ
    かに記載のセラミック成形体。
  8. 【請求項8】 セラミック素体と、前記セラミック素体
    に接するように形成された外部電極と、を備えるセラミ
    ック電子部品であって、 前記セラミック素体は、請求項1〜7の何れかに記載の
    セラミック成形体が焼成されてなることを特徴とする、
    セラミック電子部品。
  9. 【請求項9】 複数のセラミック層が積層されてなるセ
    ラミック素体と、前記セラミック素体に接するように形
    成された外部電極と、を備えるセラミック電子部品であ
    って、 前記セラミック層は、請求項1〜7の何れかに記載のセ
    ラミック成形体が焼成されてなることを特徴とする、セ
    ラミック電子部品。
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